説明

サンドイッチパネル製造装置及びサンドイッチパネル製造方法。

【課題】 サンドイッチパネル表面にくぼみなどの不良状態が発生することのないサンドイッチパネル製造装置及び製造方法の提供。
【解決手段】 長尺の上面部材1と長尺の下面部材2の間に硬質ウレタン原液を注入し、発泡、硬化させて上面部材、硬質発泡ウレタン樹脂及び下面部材から構成されるサンドイッチパネルPを製造するサンドイッチパネル製造装置100であって、硬質ウレタン原液の供給源6と、その一端が供給源に接続された管路5と、管路の他端に設置される複数のノズルとを備えた吐出機構を含み、複数のノズルは、下面部材の搬送路の搬送方向と直交する方向に沿って等間隔に配置され、管路は、複数のノズルの夫々から吐出される硬質ウレタン原液の吐出量及び吐出圧力が同一となるように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンドイッチパネル製造装置及びサンドイッチパネル製造方法に係り、特に平らな上面部材と下面部材の間に硬質発泡ウレタン樹脂を均一に供給することで、サンドイッチパネルの表面にくぼみ等の不良状態が発生することを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、長尺の上面部材と長尺の下面部材の間に硬質ウレタン樹脂の原液を注入し、発泡、硬化させた後に、定寸サイズに切断して完成される各種のサンドイッチパネルを製造している。このサンドイッチパネルは、大型冷蔵施設の壁面、天井部材として使用されている。
【0003】
このサンドイッチパネルを製造するにあたり、上面部材と下面部材との間に注入後に、上面部材と下面部材との間の空間を充填するように発泡及び硬化する硬質ウレタン樹脂の原液の注入を行う吐出機構の役割が重要となる。すなわち、この吐出機構により適量の原液の注入を過不足なく行うことで、上面部材と下面部材の間で原液が均一に拡散して、隙間なく発泡及び硬化することが必要となる。
【0004】
そこで、本願出願人は、上面部材と下面部材との間に硬質ウレタン樹脂の原液の注入を行うための吐出機構として、上面部材と下面部材の搬送方向を横切るように左右一対分のミキシングヘッドを搬送の上流側と下流側に夫々配置して、適量の原液の注入を過不足なく行うようにした硬質ウレタン注入方法を提案している(特許文献1)。
【0005】
また、上面部材と下面部材との間に硬質ウレタン樹脂の原液の注入を行うための吐出機構として、上面部材と下面部材の搬送方向を横切るように駆動されるノズルを設けた2基のミキシングヘッドを、搬送の上流側と下流側に夫々配置して、適量の原液の注入を過不足なく行うようにした硬質ウレタン注入方法も提案している(特許文献2)。
【特許文献1】特開平10−024431号公報
【特許文献2】特開平10−329295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の方法によるサンドイッチパネル製造装置乃至方法によれば、各種のサンドイッチパネルの製造時において、特に異なる厚さを有するサンドイッチパネルに対して柔軟に対応できるようになる。
【0007】
一方、近年になりフラットな表面を備えるサンドイッチパネルの需要が高まっている。このようにフラットな表面を備えるサンドイッチパネルは、平らな上面部材と下面部材の間に硬質発泡ウレタン樹脂をより均一に供給しないと、サンドイッチパネルの表面にくぼみ、凹み等の不良状態が発生することがある。この不良発生原因は、原液が上面部材と下面部材の間に均等に分布できず、原液の供給不足のままで体積が減少した状態で硬化してしまい、この体積の減少分が上面部材または下面部材に接着した状態で平らな表面に表れることで発生することが判明した。
【0008】
したがって、本発明は上記の事情に鑑み、平らな上面部材と下面部材の間に硬質発泡ウレタン樹脂をより均一に供給して、サンドイッチパネルの表面にくぼみ等の不良状態が発生することのないサンドイッチパネル製造装置及びその方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明によれば、長尺の上面部材と長尺の下面部材との間に硬質ウレタン樹脂の原液を注入し、発泡、硬化させて前記上面部材、前記硬質発泡ウレタン樹脂及び前記下面部材から構成されるサンドイッチパネルを製造するサンドイッチパネル製造装置であって、前記原液の供給源と、その一端が前記供給源に接続された管路と、前記管路の他端に設置される複数のノズルとを備えた吐出機構を含み、前記複数のノズルは、前記下面部材の搬送路の搬送方向と直交する方向に沿って等間隔に配置され、前記管路は、前記複数のノズルの夫々から吐出される前記原液の吐出量及び吐出圧力が同一となるように配管されることを特徴としている。
【0010】
また、前記管路は、その一端が前記供給源に接続される主配管と、それらの一端が前記主配管の他端に接続される2本の1次分岐配管と、それらの一端が前記2本の1次分岐配管の夫々の他端に接続される4本の2次分岐配管とを含み、前記ノズルは、前記4本の2次分岐配管の夫々の他端に4本設置されることを特徴としている。
【0011】
また、前記上面部材及び前記下面部材は、ガルバリウム鋼板又はカラー鋼板であることを特徴としている。
【0012】
そして、長尺の上面部材と長尺の下面部材との間に硬質ウレタン樹脂の原液を注入し、発泡、硬化させて前記上面部材、前記硬質発泡ウレタン樹脂及び前記下面部材から構成されるサンドイッチパネルを製造するサンドイッチパネル製造方法であって、前記原液の供給源と、その一端が前記供給源に接続された管路と、前記管路の他端に設置されるとともに前記下面部材の搬送路の搬送方向と直交する方向に沿って等間隔に配置され、かつ前記原液の吐出量及び吐出圧力が同一となるように配管された複数のノズルとを備えた吐出機構を用いて、前記複数のノズルの夫々から前記原液を吐出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
硬質ウレタン樹脂の原液が供給源から、下面部材の搬送路の搬送方向と直交する方向に沿って等間隔に配置された複数のノズルを介して原液の吐出量及び吐出圧力が同一となるように吐出されることで、サンドイッチパネルの表面にくぼみ等の不良状態が発生することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態について添付の図面を参照して説明すると、図1は、本発明のサンドイッチパネル製造装置100の全体構成を模式に図示した等角投影図である。
本図において、ガルバリウム鋼板ロールまたはカラー鋼板ロール1a、2aをトラックの荷台または置き場から工場内の不図示の天井クレーンを使用して吊るし上げて、図面手前左側に位置する破線図示のホッパー部にセットすることで、サンドイッチパネルPの上面部材1と下面部材2の形成材料になる各ロール1a、1bが回転自在に載置される。
【0015】
各ホッパー部にセットされた各材料の端部は、回転自在に設けられた上下一対のフォーミングロール21、21、…21のニップ部の間を通過する過程で、上記のロール体の巻き癖が解除されることでフラット状態にされる。そして、図中において二点鎖線で図示した連続する長尺の上面部材1と、一点鎖線で図示した連続する長尺の下面部材2として下流側の予熱室22に送られる。この予熱室22では硬質発泡ウレタン樹脂3との接着性を確保するための予熱が十分に行われる。また、下方の上下一対のフォーミングロール群21、21、…21の上流側には、製品保護用の保護フィルムロール20を供給することで、上記のフラット状態にする過程で保護フィルムを表面に圧着して、最終製品のサンドイッチパネルPに保護フィルムを貼設できるようにしている。
【0016】
この後に、連続する長尺の上面部材1と連続する長尺の下面部材2は、最終製品となるサンドイッチパネルPの厚さ寸法分で夫々の搬送面が離間されるとともに不図示の駆動源からの駆動力を得て駆動される上部スラットコンベア装置23と下部フラットコンベア装置24の間に搬送される。
【0017】
また、サンドイッチパネルPの幅寸法分で夫々の搬送面が離間されるとともに不図示の駆動源からの駆動力を得て駆動される右側壁用スラットコンベア装置25と左側壁用スラットコンベア装置26とにより硬質ウレタン樹脂の原液が供給された後に、発泡及び硬化するまでの間において左右側面の案内を行うように構成されている。
【0018】
そして、硬質ウレタン樹脂が上面部材1と下面部材2との間で発泡並びに硬化した後に、下流の切断装置30に送られ、図示のように横切る方向に駆動されるロータリカッターにより最終製品寸法に切断されて、図中の矢印A方向に送られる。このようにして最終製品寸法となる定尺サイズに切断されたサンドイッチパネルPは、載置用パレット31上に重ねて載置されてから、養生のための徐冷室33に送られて硬質ウレタン樹脂3の硬化状態を安定させてから最終検査及び梱包工程を経て出荷される。
【0019】
以上の工程において硬質ウレタン樹脂の原液は、図示のように上部スラットコンベア装置23と下部フラットコンベア装置24の入口付近において、下面部材2の搬送路の搬送方向と直交する方向に沿って等間隔に配置された複数のノズルを介して原液の吐出量及び吐出圧力が同一となるように管路5を介して吐出される。
【0020】
このように吐出可能とするために、この管路5は、ミキシングチャンバである供給源6に対して接続されている。この供給源6にはイソシアヌレート変性硬質ポリウレタン、ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤、触媒、界面活性剤を含む標準組成のA液、B液とが所定混合比率で供給される。このために図示しないインバータ制御の定量高圧ポンプ、流量計、熱交換器を含む温調装置、ストレーナ、センサ、切換弁を備えた高圧発泡装置と供給圧発生装置等から供給源6が構成されている。また、A液(発泡、硬化剤)貯液タンク7と、B液(硬質ポリウレタン原液)貯液タンク8とA液作業用タンク9とB液作業用タンク10とが図示のように供給源6に対して夫々配管されており、作業開始後の運転途中でのA液、B液の供給を適宜行えるようにしている。
【0021】
また硬質ウレタン樹脂3が上面部材1と下面部材2の間で均一に拡散し、隙間なく発泡及び硬化しない場合を想定して、不図示の注入状態監視装置によって拡散、充填状態を監視し、監視結果を自動画像解析してフィードバック制御を行うことで理想的な発泡及び充填状態に維持するように構成されている。
【0022】
図2は、図1の管路5の正面図及びその構成部品の平面図である。
【0023】
本図において上記の供給源6には主配管51が接続されている。この主配管51にはT字管54が接続されており、このT字管54の左右の出口には2本の1次分岐配管55、55が接続されている。また、各1次分岐管55の出口にはL字管56が接続されており、このL字管56にはT字管57が接続されている。また、T字管57の左右の出口には図示のように4本の2次分岐配管58が接続されている。そして、各2次分岐配管58の出口には吐出ノズルとなるL字管60が夫々200mm間隔を隔てるように4個接続されている。
【0024】
以上のように構成される管路5を備えた吐出機構によれば図示のように毎分mリットルで供給される硬質ポリウレタン原液は、T字管54で左右に分岐されて毎分1/2mリットルで一次分岐管55に送られる。その後、T字管57で左右に分岐されて毎分1/4mリットルで2次分岐管55に送られることで吐出ノズルとなるL字管60から外部に吐出することができるようになる。
【0025】
したがって、複数のノズルとなる4つのL字管60を上記の下面部材2の搬送方向と直交する方向に沿って配置すれば複数のノズルの夫々から吐出される硬質ポリウレタン原液の吐出量と吐出圧力を全て同一にできるようになる。
【0026】
図3(a)は、図2の管路5の正面図、(b)はサンドイッチパネルPの一部を破断して図示した外観斜視図、(c)は(b)のX-X線矢視断面図である。また、図4(a)は、図2の管路5との比較のために試験的に製造した管路105の正面図、(b)はサンドイッチパネルPの一部を破断して図示した外観斜視図、(c)は(b)のX-X線矢視断面図、(d)は実験管の断面図である。
【0027】
先ず、図4(a)において図2の管路5との比較のために試験的に製造した管路105はノズルを280mm間隔で2本備えており、幅寸法Wとして1130mmのサンドイッチパネルPを製造した結果、図4(b)のサンドイッチパネルPの一部を破断して図示した外観斜視図に見られるように表面の縁部に近い部分に凹部1dが点々と発生した。
【0028】
このような不良発生原因は、図4(b)のX-X線矢視断面図である図4(c)に図示したように、十分に硬質ポリウレタン原液が表面の縁部に近い部分まで到達できず、渦巻き状態になってそのまま硬化することによると判断された。一方、図4(d)に図示した実験管205によれば、図示のように主管に近い部分に穿設された貫通孔を中心に主管から遠い貫通孔にかけて吐出量が小さくなり、図4(b)に図示したような不良発生を起こした。
【0029】
これに対して図3(a)において、図2の管路5からは、複数のノズルとなる4つのL字管60の夫々から幅寸法Wの全体に渡り硬質ポリウレタン原液の吐出量と吐出圧力を全て同一に吐出することができたので、サンドイッチパネルPの一部を破断して図示した外観斜視図に図示したように表面に一切の不良状態が発生することを防止できた。また図3(b)のX-X線矢視断面図である(c)に見られるように硬質ポリウレタン原液は表面の縁部に近い部分で若干の渦巻き状態になって硬化するが縁部に近いこともあり凹部発生は見られなかった。また、硬質ポリウレタン3の主要部分は均一状態で発泡硬化することが確認された。
【0030】
尚、上面部材1、下面部材2としては上記の他に平坦なステンレス板、アルミニウム板、合成樹脂板も適用可能となる。また、管路5を容易に入手可能なガス用配管部品から構成したが、これに限定されず専用設計しても良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のサンドイッチパネル製造装置100の全体構成を模式に図示した等角投影図である。
【図2】図1の管路5の正面図及びその構成部品の平面図である。
【図3】(a)は、図2の管路5の正面図、(b)は、サンドイッチパネルPの一部を破断して図示した外観斜視図、(c)は、(b)のX-X線矢視断面図である。
【図4】(a)は、図2の管路5との比較のために試験的に製造した管路105の正面図、(b)は、サンドイッチパネルPの一部を破断して図示した外観斜視図、(c)は、(b)のX-X線矢視断面図、(d)は、実験管205の断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 上面部材
2 下面部材
3 硬質発泡ウレタン樹脂
5 管路
6 供給源
7 A液(発泡、硬化剤)貯液タンク
8 B液(原液)貯液タンク
9 A液作業用タンク
10 B液作業用タンク
20 保護フィルムロール
21 フォーミングロール
22 予熱室
23 上部スラットコンベア装置
24 下部フラットコンベア装置
25 右側壁用スラットコンベア装置
26 左側壁用スラットコンベア装置
30 切断装置
31 載置用パレット
33 徐冷室
51 主管
58 L字管(ノズル)
P サンドイッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の上面部材と長尺の下面部材との間に硬質ウレタン樹脂の原液を注入し、発泡、硬化させて前記上面部材、前記硬質発泡ウレタン樹脂及び前記下面部材から構成されるサンドイッチパネルを製造するサンドイッチパネル製造装置であって、
前記原液の供給源と、その一端が前記供給源に接続された管路と、前記管路の他端に設置される複数のノズルとを備えた吐出機構を含み、
前記複数のノズルは、前記下面部材の搬送路の搬送方向と直交する方向に沿って等間隔に配置され、
前記管路は、前記複数のノズルの夫々から吐出される前記原液の吐出量及び吐出圧力が同一となるように配管されることを特徴とするサンドイッチパネル製造装置。
【請求項2】
前記管路は、その一端が前記供給源に接続される主配管と、それらの一端が前記主配管の他端に接続される2本の1次分岐配管と、それらの一端が前記2本の1次分岐配管の夫々の他端に接続される4本の2次分岐配管とを含み、
前記ノズルは、前記4本の2次分岐配管の夫々の他端に4本設置されることを特徴とする請求項1に記載のサンドイッチパネル製造装置。
【請求項3】
前記上面部材及び前記下面部材は、ガルバリウム鋼板又はカラー鋼板であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のサンドイッチパネル製造装置。
【請求項4】
長尺の上面部材と長尺の下面部材との間に硬質ウレタン樹脂の原液を注入し、発泡、硬化させて前記上面部材、前記硬質発泡ウレタン樹脂及び前記下面部材から構成されるサンドイッチパネルを製造するサンドイッチパネル製造方法であって、
前記原液の供給源と、その一端が前記供給源に接続された管路と、前記管路の他端に設置されるとともに前記下面部材の搬送路の搬送方向と直交する方向に沿って等間隔に配置され、かつ前記原液の吐出量及び吐出圧力が同一となるように配管された複数のノズルとを備えた吐出機構を用いて、
前記複数のノズルの夫々から前記原液を吐出することを特徴とするサンドイッチパネル製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−66995(P2009−66995A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240118(P2007−240118)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】