説明

サーバ及びサーバプログラム

【課題】 クライアントに確実にコンテンツを再生させることができるサーバ及びサーバプログラムを提供すること。
【解決手段】 ネットワークに接続されている複数のサーバ間でコンテンツ情報を共有することができるサーバ及びサーバプログラムにおいて、サーバは、アクセス許可情報をさらに共有し、クライアントからコンテンツ情報を要求された場合に、共有されたアクセス許可情報を基に、当該クライアントをアクセス許可しているサーバを判別する。そして、サーバは、共有されたコンテンツ情報のうち、当該クライアントをアクセス許可しているサーバのコンテンツ情報のみを当該クライアントに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサーバ及びサーバクライアントシステムに関し、さらに詳しくは、ネットワークに接続されている複数のサーバ間でコンテンツ情報を共有することができるサーバ及びサーバクライアントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭内のパーソナルコンピュータや周辺機器、家電製品などを、ネットワークを介して相互に接続し、互いの機能を提供し合うためのプロトコルとしてUPnP(Universal Plug and Play)が利用されている(例えば、下記特許文献1)。UPnPは、AV(Audio Visual)機器の制御に関するデバイス及びサービスの定義仕様であるUPnPAVを含む。このUPnPAVを利用すれば、ホームネットワーク上で音楽もしくは映像を配信することができるサーバクライアントシステムが実現される。
【0003】
また、無線LAN(Local Area Network)が普及し、自宅のアクセスポイントだけではなく、隣接する家屋やマンションの部屋に設置されているアクセスポイントにもアクセス可能である環境も多い。そこで、無線LANには、WEP(Wired
Equivalent Privacy)等の暗号技術によって、不正な端末がネットワークに接続することを禁止し、転送データを保護する機能が備わっている。上述のサーバクライアントシステムにおいても無線LANと同様に、サーバは、不正な端末からコンテンツを利用されないように、アクセスを許可したクライアントだけにコンテンツデータやコンテンツ情報の配信を制限する機能が実装されている。例えば、サーバが、アクセスを許可していないクライアントからのディスカバリーアクション(ネットワーク機器を検出するためのアクション)、SOAP(Simple Object Access Protocol)アクション(他のコンピュータにあるデータやサービスを呼び出すためのアクション)及びコンテンツ配信要求には応答しないという方法を採る。この方法は、不正なクライアントを排除するためだけでなく、例えば、父のパーソナルコンピュータに保存しているコンテンツは父と母とがアクセスできるが、その子供にはアクセスを許可しないといった制限方法にも使用できる。
【0004】
また、ホームネットワーク上の他のサーバからコンテンツ情報を集め、その集めたコンテンツ情報をクライアントに提供してコンテンツ情報を共有する機能を持つサーバも存在する。図9は、コンテンツ情報共有機能を有するサーバを含むネットワークAVシステム1である。ネットワークAVシステム1は、ネットワーク上に、サーバSV1、サーバSV2及びクライアントCLがLANを介して相互に接続されている。サーバSV1はコンテンツAをコンテンツデータベースに格納しており、サーバSV2はコンテンツBをコンテンツデータベースに格納している。サーバSV1及びサーバSV2は、コンテンツA及びコンテンツBのコンテンツ情報a及びコンテンツ情報bを共有して、コンテンツ情報データベースに格納している。また、サーバSV1のアクセス許可情報にはサーバSV2及びクライアントCLが登録されており、サーバSV1はサーバSV2及びクライアントCLからのアクセスを許可する。サーバSV2のアクセス許可情報にはサーバSV1のみが登録されており、サーバSV2はサーバSV1からのみアクセスを許可している。
【0005】
この時、クライアントCLがサーバSV1にコンテンツ情報を要求すると、コンテンツ情報a+bが返信される(図9中の矢印(1))。つまり、クライアントCLにおいて、再生するコンテンツをコンテンツA又はBから選択することができる。そこで、クライアントCLにてコンテンツAを再生する場合、コンテンツAはクライアントCLをアクセス許可しているサーバSV1に格納されているので、サーバSV1からコンテンツAが配信され、クライアントCLはコンテンツAを再生することができる。しかし、クライアントCLがコンテンツBを再生する場合、クライアントCLがサーバSV2にコンテンツBの配信を要求しても(図9中の矢印(2))、サーバSV2はクライアントCLからのアクセスを許可していないので、サーバSV2がクライアントCLへコンテンツBを配信できない(図9中の矢印(3))。このように、従来のサーバクライアントシステムにおいて、クライアントCLは、サーバSV2からアクセス許可されていないにも拘らず、サーバSV1経由でサーバSV2のコンテンツ情報B’を取得できてしまう。そして、クライアントCLがコンテンツ情報B’を基にコンテンツBを再生しようとしても、クライアントCLはサーバSV2からアクセス許可されていないので、サーバSV2からコンテンツBを取得することができず、結局コンテンツBを再生することができないという問題がある。
【特許文献1】特開2005−242737号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ネットワークに接続されている複数のサーバ間でコンテンツ情報を共有することができるサーバ及びサーバクライアントシステムにおいて、コンテンツ情報を要求してきたクライアントに対し、共有するコンテンツ情報のうち、当該クライアントをアクセス許可しているサーバに格納されているコンテンツのコンテンツ情報のみを送信し、当該クライアントに確実にコンテンツを再生させることができるサーバ及びサーバクライアントシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい実施形態によるサーバは、複数のコンテンツのコンテンツファイルを格納するコンテンツデータベースと、該コンテンツのコンテンツ情報を格納するコンテンツ情報データベースと、該コンテンツ情報を、ネットワークに接続されている他のサーバと共有する共有手段と、アクセスを許可する端末を特定する端末特定情報が登録されたアクセス許可情報を基に、ネットワークに接続されている他の端末からアクセスを許可又は禁止するアクセス管理手段と、クライアントからのコンテンツ情報の要求に応じてコンテンツ情報を該クライアントに送信する要求応答手段とを備え;該共有手段が、ネットワークに接続されている他のサーバと、該アクセス許可情報をさらに共有し、該要求応答手段が、クライアントからコンテンツ情報を要求された場合に、共有された該アクセス許可情報を基に、該クライアントをアクセス許可しているサーバを判別し、共有された該コンテンツ情報のうち、該クライアントをアクセス許可しているサーバのコンテンツ情報のみを該クライアントに送信する。
【0008】
好ましい実施形態においては、前記共有手段が、ネットワークに接続されているサーバを探索し、前記コンテンツ情報と前記アクセス許可情報と該サーバを特定するサーバ特定情報とを、発見したサーバから取得してサーバ情報としてサーバ情報リストに登録し、自身のサーバ情報を他のサーバに送信し、該コンテンツ情報及び該アクセス許可情報をネットワークに接続されている他のサーバと共有する。
【0009】
好ましい実施形態においては、前記要求応答手段が、コンテンツ情報を要求してきた前記クライアントから、該クライアントを特定するクライアント特定情報を取得し、前記サーバ情報リストに登録された各サーバの前記アクセス許可情報と該クライアント特定情報とを基に、該クライアントをアクセス許可しているサーバを判別し、該クライアントをアクセス許可している該サーバのコンテンツ情報のみを該クライアントに送信する。
【0010】
好ましい実施形態においては、前記アクセス管理手段が、前記アクセス許可情報が変更された場合に、ネットワークに接続されている他のサーバに変更内容を通知し、該他のサーバから変更内容を受信した場合には、該変更内容を基に、前記サーバ情報リストに登録されている該他のサーバのアクセス許可情報を更新する。
【0011】
本発明の別の局面において、サーバプログラムが提供される。サーバプログラムは、複数のコンテンツのコンテンツファイルを格納するコンテンツデータベースと、該コンテンツのコンテンツ情報を格納するコンテンツ情報データベースと、アクセスを許可する端末を特定する端末特定情報が登録されたアクセス許可情報を基に、ネットワークに接続されている他の端末からアクセスを許可又は禁止するアクセス管理手段とを備え、要求に応じてコンテンツをクライアントにストリーミング配信するサーバの動作プログラムであって、該コンテンツ情報及び該アクセス許可情報を、ネットワークに接続されている他のサーバと共有するステップと、クライアントからコンテンツ情報を要求された場合に、共有された該アクセス許可情報を基に、該クライアントをアクセス許可しているサーバを判別するステップと、共有された該コンテンツ情報のうち、該クライアントをアクセス許可しているサーバのコンテンツ情報のみを該クライアントに送信するステップとを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ネットワークに接続されている複数のサーバ間でコンテンツ情報を共有することができるサーバ及びサーバクライアントシステムにおいて、サーバは、アクセス許可情報をさらに共有し、クライアントからコンテンツ情報を要求された場合に、共有されたアクセス許可情報を基に、当該クライアントをアクセス許可しているサーバを判別する。そして、サーバは、共有されたコンテンツ情報のうち、当該クライアントをアクセス許可しているサーバのコンテンツ情報のみを当該クライアントに送信する。これによって、クライアントは、受信したコンテンツ情報に再生できない(サーバから配信されない)コンテンツは含まれていないので、コンテンツを確実に再生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態によるサーバ及びサーバクライアントシステムについて、ネットワークAVシステム1を例に、図を参照して説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明を援用する。
【0014】
まず、本発明の実施形態であるネットワークAVシステム1を、図1を参照して詳細に説明する。図1は、ネットワークAVシステム1を示す概略ブロック図である。ネットワークAVシステム1は、サーバSV1、サーバSV2及びクライアントCLが、LAN11を介して相互に接続されている。このネットワークAVシステム1に利用される通信プロトコルはUPnPAVであり、サーバSV1、サーバSV2及びクライアントCLはUPnPAVに対応した機器である。
【0015】
サーバSV1は、複数のコンテンツのコンテンツファイルを格納し、要求に応じてコンテンツをクライアントCLにストリーミング配信する。サーバSV1は、コネクションマネージャーサービス11と、コンテントディレクトリサービス12と、コンテンツファイルを格納するコンテンツデータベース13と、複数のコンテンツ情報を格納するコンテンツ情報データベース14と、アクセス許可情報を格納するアクセス許可情報データベース15と、サーバ情報リストを格納するサーバ情報データベース16とを備える。コンテンツファイルとは、例えば、MPEGファイルやWAVEファイル、PCMファイルである。コンテンツ情報はコンテンツデータベース13に格納された各コンテンツファイルに関する情報であり、各コンテンツファイルの所在を示す情報であるURIと、各コンテンツのタイトルや日時、アーティスト名等を含むメタデータとを含む。
【0016】
コネクションマネージャーサービス11は、サーバSV1からクライアントCLにコンテンツをストリーミング配信するためのコネクションを確立し、管理する。コンテントディレクトリサービス12は、コンテンツデータベース13を管理し、コンテンツファイルをクライアントCLにストリーミング配信する。また、コンテントディレクトリサービス12は、要求に応じてコンテンツ情報をサーバSV2やクライアントCLに送信する。
【0017】
さらに、コンテントディレクトリサービス12は、他の端末(本実施例では、サーバSV2又はクライアントCL)からサーバSV1へのアクセスを管理する。コンテントディレクトリサービス12は、サーバSV1へアクセスを許可する端末を特定する端末特定情報が登録されるアクセス許可情報を基にアクセス管理を行う。アクセス許可情報に端末特定情報が登録されていない端末は、サーバSV1へアクセスすることができない、つまり、サーバSV1からコンテンツ情報を取得できず、コンテンツの配信も受けることができない。本実施例では図2に示すように、アクセス許可情報は複数の端末特定情報(サーバ特定情報又はクライアント特定情報)を含み、各端末特定情報は、端末名(サーバ名又はクライアント名)、IPアドレス及びMACアドレスを含む。なお、コンテントディレクトリサービス12が他の端末からのアクセスを管理するためにはMACアドレスのみで可能であるが、本実施例のように端末名やIPアドレスをさらに端末特定情報として含め、それらを後述するクライアントCLのユーザインターフェイス23に表示してユーザに選択させれば、ユーザはサーバSV1がアクセス許可している端末を確認及び選択しやすい。
【0018】
アクセス許可情報は、アクセス許可情報データベース15に格納されており、アクセスを許可する端末が予めユーザによって登録される。本実施例では、サーバSV1のアクセス許可情報にはサーバSV2のサーバ特定情報とクライアントCLのクライアント特定情報とが登録され、サーバSV2及びクライアントCLはサーバSV1にアクセス可能であると仮定する。また、本実施例においては、アクセス許可情報を、UPnPコンテントディレクトリサービスにおける状態変数(State Variable)としてAccessPermitと定義する。さらにアクセス許可情報AccessPermitを取得するためのアクションはGetAccessPermitと定義する。
【0019】
さらに、コンテントディレクトリサービス12は、コンテンツ情報及びアクセス許可情報を、ネットワークに接続されている他のサーバSVと共有する。具体的には、コンテントディレクトリサービス12は、サーバSV1が起動された際に、ネットワークに接続されている他のサーバSVを探索し、発見したサーバSV(ここではサーバSV2)からサーバ情報を取得してサーバ情報リストに登録する。図3に示すように、サーバ情報リストは、複数のサーバ情報が登録され、各サーバ情報はサーバのCDS情報、コンテンツ情報及びアクセス許可情報を含む。CDS情報は、サーバSVを特定するためのサービスIDやコンテントディレクトリサービスのURL、サービスディスクリプションなどを含むサーバ特定情報である。なお、サービスIDやコンテントディレクトリサービスのURL、サービスディスクリプションは、UPnP規格で定義されている情報である。サーバ情報リストは、サーバ情報データベース16に格納されており、本実施例では、サーバSV1のサーバ情報が予め登録されているものとする。そして、コンテントディレクトリサービス12は、サーバSV2からサーバ情報を取得後、自身(サーバSV1)のサーバ情報をサーバSV2に送信する。逆に、サーバSV2からサーバ情報を受信した場合、コンテントディレクトリサービス12は、受信したサーバ情報を基にしてサーバ情報リストを更新する。これによって、ネットワークAVシステム1に接続されている複数のサーバSV間でコンテンツ情報及びアクセス許可情報が共有される。
【0020】
さらに、コンテントディレクトリサービス12は、クライアントCLからコンテンツ情報の要求があれば、共有されたアクセス許可情報を基に、そのクライアントCLをアクセス許可しているサーバSVを判別し、当該サーバSVのコンテンツ情報のみをクライアントCLに送信する。具体的には、コンテントディレクトリサービス12は、クライアントCLからコンテンツ情報の要求があれば、サーバ情報リストに登録されている各サーバSVのアクセス許可情報に、そのクライアントCLのMACアドレスが登録されているか否かを判断する。コンテンツ情報を要求してきたクライアントCLのMACアドレスが登録されているアクセス許可情報があれば、そのアクセス許可情報の発行元のサーバSVに格納されているコンテンツのコンテンツ情報のみをクライアントCLに送信する。これにより、クライアントCLは、自身がアクセス許可されているサーバSVのコンテンツ情報のみを取得することができ、そのコンテンツ情報を基にコンテンツが選択されるので、サーバSVにコンテンツ配信を要求した場合に確実にコンテンツが配信される。
【0021】
さらに、コンテントディレクトリサービス12は、コンテンツ情報データベース14に登録されているコンテンツ情報が変更された場合、その変更内容を通知端末リストに登録されている他の端末に通知する。通知端末リストとは、図4に示すように、コンテンツ情報データベース14に登録されているコンテンツ情報が変更された場合に、その変更内容を通知する端末(サーバSV又はクライアントCL)の端末特定情報が登録されているリストである。ここで言う端末特定情報は、端末を特定することが可能な端末名やIPアドレス、通知先のURLなどである。なお、通知端末リストは、例えばサーバSV1に設けられるメモリ(図示せず)などに格納される。
【0022】
さらに、本実施例において、コンテントディレクトリサービス12は、アクセス許可情報データベース15に登録されているアクセス許可情報が変更された場合にも、その変更内容を通知端末リストに登録されているサーバSVに通知する。逆に、他のサーバSVからアクセス許可情報の変更内容を受信した場合には、コンテントディレクトリサービス12は、その変更内容を基に、サーバ情報リストに登録されているサーバSVのアクセス許可情報を更新する。
【0023】
サーバSV2は、上述のサーバSV1と同じ構成であるが、本実施例では図5
に示すように、サーバSV2のアクセス許可情報にはサーバSV1の端末情報のみが登録されているとする。つまり、サーバSV1はサーバSV2にアクセス可能であるが、クライアントCLはサーバSV1にアクセスすることができない。つまり、クライアントCLはサーバSV1からコンテンツ情報を取得できず、コンテンツの配信も受けることができない。
【0024】
サーバSV1及びサーバSV2は、たとえばコンピュータ装置である。また、DVDプレーヤー、HDDプレーヤー、テレビチューナー、ラジオチューナーであっても良く、CDプレーヤーやMP3プレーヤー等のオーディオプレーヤーであっても良い。
【0025】
クライアントCLは、サーバSV1又はサーバSV2から配信されるコンテンツを再生するコンテンツ再生装置であり、例えばコンピュータ装置である。また、テレビ、ステレオ、オーディオプレーヤーであっても良い。クライアントCLは、メディアレンダラMR及びコントロールポイントCPを含む。メディアレンダラMRは、サーバSV1又はサーバSV2からストリーム配信されたコンテンツデータを再生する。コントロールポイントCPは、サーバSV1又はサーバSV2にコンテンツ情報及びコンテンツデータを要求し、そのコンテンツを再生するメディアレンダラMRを選択する。本実施例では、メディアレンダラMRはクライアントCLのみに備えられるので、サーバSV1又はサーバSV2から配信されるコンテンツの再生はクライアントCLで再生される。また、コントロールポイントCPは、後述するコネクションマネージャーサービス21とサーバSV1又はサーバSV2のコネクションマネージャーサービス11とを制御し、サーバSV1(又はサーバSV2)とクライアントCLとの間のストリミーム伝送路の確立及びその伝送を、コネクションマネージャーサービス21及びコネクションマネージャーサービス11に管理させる。
【0026】
メディアレンダラMRは、コネクションマネージャーサービス21及びAVトランスポートサービス22を含む。コネクションマネージャーサービス21は、サーバSV1、SV2からコンテンツをダウンロードするためのストリミーム伝送路を確立し、その伝送を管理する。AVトランスポートサービス22は、所望のコンテンツをストリーミング配信するようサーバSV1、SV2に要求する。また、AVトランスポートサービス22はストリーミング配信されたコンテンツの再生を制御する。
【0027】
コントロールポイントCPはユーザインターフェイス23を含む。ユーザインターフェイス23は、サーバSV1(又はサーバSV2)とメディアレンダラMRの動作を協調させる。また、ユーザインターフェイス23は、サーバSV1(又はサーバSV2)から受信したコンテンツ情報を表示し、ユーザがコンテンツを選択することを可能にする。
【0028】
以下、上述のネットワークAVシステム1の動作について、図6〜図8を参照して詳細に説明する。
【0029】
<サーバ情報取得処理>
図6は、コンテントディレクトリサービス12におけるサーバ情報取得処理を示すフロー図である。図7は、サーバSV1及びサーバSV2におけるコンテンツ情報及びアクセス許可情報の共有状態を示すブロック図である。今この段階では、ネットワークAVシステム1にはサーバSV2及びクライアントCLのみが相互に接続されている状態であり、サーバSV1の起動(接続)直後は図7(a)に示すように、コンテンツ情報及びアクセス許可情報が共有されていない状態である。つまり、サーバSV1及びサーバSV2が有するサーバ情報リストにはそれぞれ自身のサーバ情報のみが登録されている状態である。
【0030】
サーバSV1が起動されると、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12が、サーバ情報取得処理を実行する。具体的には、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12が、ネットワークに接続されている他のサーバSVを探索し、発見したサーバSVのCDS情報をサーバ情報リストにサーバ情報として登録する(S101)。本実施例の場合、サーバSV1以外にネットワーク上に接続されているサーバはサーバSV2のみであるので、サーバSV1はサーバSV2を発見し、サーバSV2からCDS情報を取得してサーバ情報リストにサーバSV2のサーバ情報として登録する。
【0031】
次に、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12は、発見した全てのサーバからコンテンツ情報及びアクセス許可情報を取得し、サーバ情報リストにサーバSV2のサーバ情報として登録する(S102〜S104)。まず、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12は、発見した全てのサーバからコンテンツ情報及びアクセス許可情報を取得したか否かを判断する(S102)。ステップS101の処理直後は、コンテントディレクトリサービス12は、まだサーバSV2からコンテンツ情報及びアクセス許可情報を取得していないので、発見した全てのサーバSVからコンテンツ情報及びアクセス許可情報を取得していないと判断する(S102:NO)。そして、コンテントディレクトリサービス12は、サーバSV2に格納されている各コンテンツのコンテンツ情報をサーバSV2から取得し、サーバ情報リストにサーバSV2のサーバ情報として登録する(S103)。そしてさらに、コンテントディレクトリサービス12は、サーバSV2にアクセス許可情報の取得アクションGetAccessPermitを送信してアクセス許可情報をサーバSV2から取得し、サーバ情報リストにサーバSV2のサーバ情報として登録する(S104)。そして、コンテントディレクトリサービス12はステップS102に戻る。本実施例ではネットワークにSV2以外のサーバSVは接続されていないので、コンテントディレクトリサービス12はステップS102で、発見した全てのサーバからコンテンツ情報及びアクセス許可情報を取得したと判断する(S102:YES)。このとき、サーバSV1及びサーバSV2におけるコンテンツ情報及びアクセス許可情報の共有状態は、図7(b)に示すように、サーバSV1のサーバ情報リストに、サーバSV2のサーバ情報が追加された状態である。
【0032】
次に、サーバSV1が起動した事をサーバSV2が発見し、サーバSV2がサーバSV1にSV1のサーバ情報を要求してくるので、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12はサーバSV2に自身のサーバ情報を送信し(S105)、サーバ情報取得処理を終了する。サーバSV2のコンテントディレクトリサービス12は、受信したサーバSV1のサーバ情報を基にして自身のサーバ情報リストを更新する。これによって、図7(c)に示すように、サーバSV2のサーバ情報リストにもサーバSV1のサーバ情報が追加され、その結果、ネットワークAVシステムに接続されているサーバ間でコンテンツ情報及びアクセス許可情報が共有される。
【0033】
<コンテンツ情報要求応答処理>
図8は、コンテントディレクトリサービス12におけるコンテンツ情報要求応答処理を示すフロー図である。クライアントCLからサーバSV1へコンテンツ情報の要求があると、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12が、そのクライアントCLからクライアント特定情報を取得する(S201)。具体的には、コンテントディレクトリサービス12は、コンテンツ情報を要求してきたクライアントCLのMACアドレスを取得する。
【0034】
次に、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12は、そのアクセス許可情報を基に、クライアントCLをアクセス許可しているサーバSVのコンテンツ情報のみを返信候補リストに追加する(S202〜S204)。具体的には、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12は、サーバSV1のサーバ情報リストに登録されている全てのサーバのアクセス許可情報について、後述するステップS203の処理を実行したか否かを判断する(S202)。ここでは、クライアントCLからMACアドレスを取得した直後であるので、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12が、サーバSV1のサーバ情報リストに登録されている全てのサーバのアクセス許可情報についてステップS203の処理を実行していないと判断する(S202:NO)。次に、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12は、クライアントCLのMACアドレスがサーバSVnのアクセス許可情報に登録されているか否かを判断する(S203)。具体的には、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12は、まずサーバSV1のサーバ情報リストに登録されているサーバSV1のアクセス許可情報について、クライアントCLのMACアドレスが登録されているか否かを判断する。上述及び図2に示すように本実施例では、サーバSV1のアクセス許可情報にクライアントCLのMACアドレスが登録されているので、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12はステップS203で、クライアントCLのMACアドレスがサーバSV1のアクセス許可情報に登録されていると判断する(S203:YES)。これにより、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12は、クライアントCLがサーバSV1からアクセス許可されていると判断し、サーバSV1のコンテンツ情報を返信候補リストへ追加する(S204)。返信候補リストは、クライアントCLへ送信するコンテンツ情報が一時的に登録されるリストである。
【0035】
そしてステップS204を実行後、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12はステップS202に戻る。この段階では、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12は、サーバSV1のサーバ情報リストに登録されているサーバSV2のアクセス許可情報について、まだステップS203の処理を実行していない。従って、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12はステップS202でNOと判断し、次のステップS203の処理を実行する。サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12はステップS203で、サーバSV1のサーバ情報リストに登録されているサーバSV2のアクセス許可情報に、クライアントCLのMACアドレスが登録されているか否かを判断する。上述及び図5に示すように本実施例では、サーバSV2のアクセス許可情報にはクライアントCLのMACアドレスが登録されていないので、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12はクライアントCLのMACアドレスがサーバSV1のアクセス許可情報に登録されていないと判断し(S203:NO)、直ちにステップS202に戻る。この段階では、サーバSV1のサーバ情報リストに登録されている全てのサーバのアクセス許可情報についてステップS203の処理を実行済みである。従って、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12は、ステップS202でYESと判断し、返信候補リストから要求条件に合うコンテンツ情報を選択する(S205)。具体的には、クライアントCLから要求されたコンテンツ情報の条件が例えばアーティスト名リストである場合、返信候補リストに登録されているコンテンツ情報の中からアーティスト名を選択する。そして、その選択したアーティスト名に関するコンテンツ情報をクライアントCLに送信し(S206)、コンテンツ情報要求応答処理を終了する。以上により、クライアントCLが受信したコンテンツ情報はサーバSV1に格納されているコンテンツのコンテンツ情報のみであるので、クライアントCLはサーバSV1のみにコンテンツの配信を要求してコンテンツを再生することができる。
【0036】
次に、サーバSV2のアクセス許可情報に、サーバSV1だけでなくクライアントCLも登録されていた場合における、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12のコンテンツ情報要求応答処理ついて説明する。上述のコンテンツ情報要求応答処理と同一の内容については説明を省略する。サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12はステップS203で、サーバSV1のサーバ情報リストに登録されているサーバSV1及びサーバSV2のアクセス許可情報に、クライアントCLのMACアドレスが登録されているか否かを判断する。サーバSV1及びサーバSV2のアクセス許可情報には、クライアントCLのMACアドレスが登録されているので、サーバSV1のコンテントディレクトリサービス12は、クライアントCLがサーバSV1及びサーバSV2からアクセス許可されていると判断し、サーバSV1及びサーバSV2のコンテンツ情報を返信候補リストへ追加する(S204)。その後、返信候補リストから要求条件に合うコンテンツ情報を選択し(S205)、その選択したコンテンツ情報をクライアントCLに送信する(S206)。つまり、クライアントCLが受信したコンテンツ情報はサーバSV1及びサーバSV2の両方に格納されているコンテンツのコンテンツ情報であるので、クライアントCLはサーバSV1及びサーバSV2の両方にコンテンツの配信を要求してコンテンツを再生することができる。
【0037】
以上、本発明に係るコンテンツ情報表示装置の好ましい実施形態の例について説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。例えば、本実施例では、ネットワークAVシステム1の構成を、2つのサーバSV1、SV2、1つのクライアントCLを示したが、サーバSV及びクライアントCLは各々複数であっても良い。
【0038】
また、本実施例において、サーバSV1のサーバ情報データベース16に格納されるサーバ情報リストには、予めサーバSV1のサーバ情報が登録されているものとしたが、上述のサーバ情報取得処理の際に、CDS情報、コンテンツ情報及びアクセス許可情報を収集し、自身のサーバ情報としてサーバ情報リストに登録する様にしても良い。
【0039】
さらに、コンテンツ情報又はアクセス許可情報が更新された場合やサーバSV1の起動時に作成したサーバ情報リストを送信する場合、その変更内容やサーバ情報リストを通知する端末を、通知端末リストに登録されている端末としたが、コンテンツ情報変更通知用、アクセス許可情報変更通知用、サーバ情報リスト送信用にそれぞれ個別に通知端末リストを備えていても良い。
【0040】
さらに、本実施例において、メディアレンダラMRを備えるのはクライアントCLのみであったが、サーバSVもメディアレンダラMRを備え、コントロールポイントCPによってコンテンツを再生するメディアレンダラMRを選択できるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、サーバクライアントシステムに採用され得るが、特に通信プロトコルとしてUPnPを利用したネットワークAVシステムに好適に採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるネットワークAVシステム1を示すブロック図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態におけるサーバSV1のアクセス許可情報を示す図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態におけるサーバSV1のサーバ情報リストを示す図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態におけるサーバSV1の通知端末リストを示す図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態におけるサーバSV2のアクセス許可情報を示す図である。
【図6】本発明の好ましい実施形態によるサーバ情報取得処理を示すフロー図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態におけるサーバSV1及びサーバSV2におけるコンテンツ情報及びアクセス許可情報の共有状態を示すブロック図である。
【図8】本発明の好ましい実施形態によるコンテンツ要求応答処理を示すフロー図である。
【図9】従来のネットワークAVシステム1を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ネットワークAVシステム
11 コネクションマネージャーサービス
12 コンテントディレクトリサービス
13 コンテンツデータベース
14 コンテンツ情報データベース
15 アクセス許可情報データベース
16 サーバ情報データベース
21 コネクションマネージャーサービス
22 AVトランスポートサービス
23 ユーザインターフェイス
30 LAN
SV サーバ
MR メディアレンダラ
CP コントロールポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンテンツのコンテンツファイルを格納するコンテンツデータベースと、
該コンテンツのコンテンツ情報を格納するコンテンツ情報データベースと、
該コンテンツ情報を、ネットワークに接続されている他のサーバと共有する共有手段と、
アクセスを許可する端末を特定する端末特定情報が登録されたアクセス許可情報を基に、ネットワークに接続されている他の端末からアクセスを許可又は禁止するアクセス管理手段と、
クライアントからのコンテンツ情報の要求に応じてコンテンツ情報を該クライアントに送信する要求応答手段とを備え;
該共有手段が、
ネットワークに接続されている他のサーバと、該アクセス許可情報をさらに共有し、
該要求応答手段が、
クライアントからコンテンツ情報を要求された場合に、共有された該アクセス許可情報を基に、該クライアントをアクセス許可しているサーバを判別し、
共有された該コンテンツ情報のうち、該クライアントをアクセス許可しているサーバのコンテンツ情報のみを該クライアントに送信する、サーバ。
【請求項2】
前記共有手段が、
ネットワークに接続されているサーバを探索し、
前記コンテンツ情報と前記アクセス許可情報と該サーバを特定するサーバ特定情報とを、発見したサーバから取得してサーバ情報としてサーバ情報リストに登録し、
自身のサーバ情報を他のサーバに送信し、該コンテンツ情報及び該アクセス許可情報をネットワークに接続されている他のサーバと共有する、請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記要求応答手段が、
コンテンツ情報を要求してきた前記クライアントから、該クライアントを特定するクライアント特定情報を取得し、
前記サーバ情報リストに登録された各サーバの前記アクセス許可情報と該クライアント特定情報とを基に、該クライアントをアクセス許可しているサーバを判別し、
該クライアントをアクセス許可している該サーバのコンテンツ情報のみを該クライアントに送信する、請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記アクセス管理手段が、
前記アクセス許可情報が変更された場合に、ネットワークに接続されている他のサーバに変更内容を通知し、
該他のサーバから変更内容を受信した場合には、該変更内容を基に、前記サーバ情報リストに登録されている該他のサーバのアクセス許可情報を更新する、請求項3に記載のサーバ。
【請求項5】
複数のコンテンツのコンテンツファイルを格納するコンテンツデータベースと、該コンテンツのコンテンツ情報を格納するコンテンツ情報データベースと、アクセスを許可する端末を特定する端末特定情報が登録されたアクセス許可情報を基に、ネットワークに接続されている他の端末からアクセスを許可又は禁止するアクセス管理手段とを備え、要求に応じてコンテンツをクライアントにストリーミング配信するサーバの動作プログラムであって、
該コンテンツ情報及び該アクセス許可情報を、ネットワークに接続されている他のサーバと共有するステップと、
クライアントからコンテンツ情報を要求された場合に、共有された該アクセス許可情報を基に、該クライアントをアクセス許可しているサーバを判別するステップと、
共有された該コンテンツ情報のうち、該クライアントをアクセス許可しているサーバのコンテンツ情報のみを該クライアントに送信するステップとを含む、サーバプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−70184(P2009−70184A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238520(P2007−238520)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】