説明

サービス障害処理のための方法

ユーザ装置と,第1のネットワーク要素と,サービス提供ネットワーク要素と,を有する通信ネットワークにおけるサービス障害を処理する方法であって,次に掲げるステップを有する。第1のネットワーク要素において,ユーザ装置から第1のメッセージを受信する。第1のネットワーク要素からサービス提供ネットワーク要素へ,第1のメッセージを送信する。第1のネットワーク要素において,サービス提供ネットワーク要素が障害であることを検知する。第1のネットワーク要素において,第1のメッセージの種別を判定し,該第1のメッセージの種別に応じて,第1のネットワーク要素からユーザ装置へ,サービス提供ネットワーク要素が障害であることを示すエラーメッセージを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,通信システム,特に,IPマルチメディアサブシステムにおける通信セッションの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムは,ユーザ装置及び/又は通信システムと連携する他のノードのような,2以上のエンティティ間の通信を可能にする設備として捉えることができる。通信セッションは,例えば音声,データ,マルチメディアなどの通信を提供することができる。ユーザ装置は通信セッションの手段によって,例えば,双方向の電話呼または多地点会議呼を扱うことができる。ユーザ装置はまた,通信セッションの手段によって,例えば,アプリケーションサーバ(AS)などのエンティティを提供するアプリケーションへ接続することができ,それによってアプリケーションサーバによって提供されるサービスを利用することができる。
【0003】
通信システムは,典型的には,所定の標準又は仕様に基づいて動作する。標準又は仕様は,その通信システムに関連するさまざまなエンティティが何をすることが許され,またそれがどのように達成されるかについて列挙している。例えば,その標準または仕様は,ユーザ,より正確にはユーザ装置が,回線交換サービス及び/又はパケット交換サービスを受けられるかどうかを定義してもよい。コネクションに使われる通信プロトコル及び/又はパラメータをも定義することができる。言い換えれば,そのシステムによって通信を可能にするために,通信が基づくことのできる特定の「規定」(rules)のセットが定義されなければならない。
【0004】
ユーザ装置に無線通信を提供するいくつかの通信システムが知られている。無線システムの一例は,公衆陸上移動体ネットワーク(PLMN)である。移動体通信システムの他の例は,少なくとも部分的には,通信衛星の利用に基づいたものである。無線通信はまた,無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の手段によるような,他の構成によっても提供することができる。ユーザ装置と通信ネットワークの要素との間の無線インタフェース上の通信は,適当な通信プロトコルに基づくことができる。通信システムの局装置および通信に必要な他の装置の動作は,1又は複数の制御エンティティによって制御することができる。さまざまな制御エンティティが相互接続されていてもよい。また,1以上のゲートウェイノードが,通信ネットワークを他のネットワークに接続するために提供されてもよい。例えば,移動体ネットワークはIP(インターネットプロトコル)及び/又は他のパケット交換データネットワークのような通信ネットワークに接続されてもよい。
【0005】
通信システムのユーザに提供できるサービスの一例は,いわゆるマルチメディアサービスである。マルチメディアサービスを提供できる通信システムの例は,インターネットプロトコル(IP)マルチメディアネットワークである。IPマルチメディア(IM)機能は,IPマルチメディアコアネットワーク(CN)サブシステム,すなわち短く称するとIPマルチメディアサブシステム(IMS),によって提供できる。IMSは,マルチメディアサービスを提供するためのさまざまなネットワークエンティティを含んでいる。
【0006】
第三世代パートナシッププロジェクト(3GPP)は,IMSサービス提供のためのIP接続アクセスネットワークとして,一般パケット無線サービス(GPRS)の利用法を規定しており,ここでは,GPRSはマルチメディアサービスを可能にするIP接続アクセスネットワークの非限定的な一例として示される。第三世代パートナシッププロジェクト(3GPP)はまた,ユーザ装置のユーザに,マルチメディアサービスへのアクセスを提供するであろう第三世代(3G)ネットワークのための参照アーキテクチャも規定している。
【0007】
IPマルチメディアサブシステムは,インターネット技術タスクフォース(IETF)によってRFC3261において開発されたとおりのセッション開始プロトコル(SIP)を提供する。セッション開始プロトコル(SIP)は,1以上の参加者(終点)に関するセッションを生成,修正および終了させるためのアプリケーション層制御プロトコルである。ユーザ装置がIPマルチメディアサブシステムと通信できるようになる前に,GPRS付加(attach)手続きが行われなければならず,またパケットデータプロトコル(PDP)コンテキストとして知られる通信チャネルがSIP通知のために確立されなければならない。PDPコンテキストは,ホームネットワーク内または訪問(visited)ネットワーク内にあるGGSNに向かって確立される。PDPコンテキストはユーザ装置に適当なIPアドレスを提供する。このアドレスは,次に,そのPDPコンテキストにある間,ホストアドレスとして働く。SIP通知が行われるPDPコンテキストは,IPマルチメディアサブシステムからのサービスが求められる間はずっと,利用可能でなければならない。この要求条件は,GPRSアクセスおよびPDPコンテキストに限定されないばかりでなく,他の種別のアクセスシステムおよび通信チャネルにも適用される。
【0008】
この通信システムは,さまざまなネットワーク機能が適当なコントローラエンティティによって処理されるべく開発された。ユーザは,一連のコントローラを介したデータネットワークを介して,サービスにアクセスしてもよい。これらコントローラは,典型的には,サーバによって提供される。IMS仕様は,それを介してサービスにアクセスすることができるさまざまな種類のSIPサーバを規定している。これらのサーバは,呼セッション制御機能(CSCFs)のような機能を提供する。CSCFsは,また,呼状態制御機能とも呼ぶことができることを認識しなければならない。
【0009】
呼セッション機能は,プロキシ呼セッション制御機能(P−CSCF),問合せ(interrogating)呼セッション制御機能(I−CSCF),およびサービス提供セッション制御機能(S−CSCF)などのさまざまなカテゴリに区分することができる。ユーザは,通信システムからのサービスを要求することができるように,サービス提供呼セッション制御機能(S−CSCF)に登録される必要がある。プロキシ呼セッション制御機能(P−CSCF)は,順番に,ユーザと,ユーザが登録されているサービス提供呼セッション制御機能(S−CSCF)との間の通信を代行する。言い換えれば,IMSデータネットワークへの登録後に,ユーザには発信(outbound)プロキシ(典型的にはP−CSCF)およびレジスタ(S−CSCF)が割り当てられる。ユーザのいかなる活動もこれらのデータネットワークコントローラエンティティを通過する。
【0010】
しかし,S−CSCF又はP−CSCFのような制御機能サーバが障害になるときもある。故障又はソフトウェアアップグレードの場合のようないくつかの場合には,S−CSCF又はP−CSCFをシャットダウンしなければならないことがある。
【0011】
これらのサーバを使ってホームネットワークに接続されているすべてのユーザは,そのとき,サービスが連続性を失うことを体験するかもしれないし,彼らの通信要求を変えることができないかもしれない。通信は,通常,ユーザ装置を再起動することによって継続することができる。このことは,データキャリアが停止し,再確立されなければならないために必要となる。また,ユーザはコントローラ機能がシャットダウンされていたり,将来シャットダウンされたりすることに気が付かないかも知れないので,それゆえ,いかなる回復手続きを起動することも自分自身では判断できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
それぞれの状況においてユーザ装置を再起動しなければならないという問題を解決するために,より簡単な解決策でいくつかの実際上の問題を解決しなければならない。第1に,エラーおよび障害となっているサーバの位置を識別しなければならない。第2に,障害となっているサーバがS−CSCFかどうか,どうやってI−CSCFが他のS−CSCFを選択するか,を知らなければならない。第3に,通知用データストリームおよびマルチメディアデータストリームの取り扱い,言い換えれば,ユーザが他のユーザ装置(UE)およびアプリケーションサーバ(AS)との間で確立しているアクティブな対話が必要である。第4に,アプリケーションサーバ(AS)およびP−CSCFネットワーク要素のような他のネットワークエンティティに,新規な登録詳細を通知しなければならない。
【0013】
上記は,インターネットプロトコル(IP)ベースの第3世代(3G)通信システムおよびセッション開始プロトコル(SIP)に関する登録手続きおよび関連する問題について議論しているが,同様な不利益は他のシステムにも関連しうること,そしてそのためにここでの記述はこれらの例に限定されないこと,を認識しなければならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施例は,上記問題のうち1またはいくつかを扱うことを狙いとしている。
【0015】
本発明の1実施例は,ユーザ装置と,第1のネットワーク要素と,サービス提供ネットワーク要素とを備える通信ネットワークにおけるサービス障害を処理する方法であって,該方法は,前記第1のネットワーク要素において,前記ユーザ装置から第1のメッセージを受信するステップと,前記第1のネットワーク要素から前記サービス提供ネットワーク要素へ,前記第1のメッセージを送信するステップと,前記第1のネットワーク要素において,前記サービス提供ネットワーク要素に障害があることを検知するステップと,前記第1のネットワーク要素において,前記第1のメッセージの種別を判定するステップと,前記第1のメッセージの種別に応じて,前記第1のネットワーク要素からユーザ装置へ,前記サービスネットワーク要素の障害表示を含むエラーメッセージを送信するステップと,を有する。
【0016】
前記の方法は,ユーザ装置において,エラーメッセージを受信する更なるステップを有してもよい。
【0017】
前記の方法は,ユーザ装置においてエラーメッセージを受信するステップに引き続いて,登録を起動するために第1のメッセージの種別と異なる第2の種別の第2のメッセージを,ユーザ装置から通信ネットワークへ送信するステップを更に有してもよい。
【0018】
前記の方法は,第1のネットワーク要素において,ユーザ装置から第1のメッセージを受信するステップに先立って,ユーザ装置と第1のネットワーク要素との間の通知(signalling)のためのベアラを確立するステップを更に有してもよい。
【0019】
前記の方法は,更なるサービス提供ネットワーク要素を選択して,該更なるサービス提供ネットワーク要素へメッセージを転送してもよい。
【0020】
前記の方法は,更なるサービス提供ネットワーク要素に,ユーザ装置を登録する更なるステップを有してもよい。
【0021】
通知のためのベアラは,通知用PDPコンテキストでも,一般目的PDPコンテキストでもよい。
【0022】
通信ネットワークは,インターネットプロトコルマルチメディアサブシステム(IMS)ネットワークでもよい。
【0023】
第1のネットワーク要素は,問合せ(Interrogating)呼セッション制御機能(I−CSCF)でもよい。
【0024】
第1のネットワーク要素は,プロキシ呼セッション制御機能(P−CSCF)でもよい。
【0025】
サービス提供ネットワーク要素は,サービス提供呼セッション制御機能(S−CSCF)でもよい。
【0026】
メッセージの種別を判定するステップは,該メッセージ内のあらかじめ定められた情報要素の内容に基づいて,メッセージの種別を判定するステップを有してもよい。
【0027】
第1のネットワークにおいて,通信ネットワーク内のサービスネットワーク要素が障害であることを検知するステップは,第1のネットワーク要素からサービス提供ネットワーク要素へメッセージが転送されて以降,サービス提供ネットワーク要素からの応答が受信される前までに,あらかじめ定められた時間が過ぎたことを検知するステップ,及び/又は,第1のメッセージがあらかじめ定められた回数送信されたことを判定するステップを有してもよい。
【0028】
第1のメッセージの種別は,再登録要求でもよい。
【0029】
第2のメッセージの種別は,初期登録要求でもよい。
【0030】
情報要素は,要求が完全性を保護されて送信されていることを示してもよい。
【0031】
情報要素は,ユーザが正しく認証されていることを示してもよい。
【0032】
メッセージ内の情報要素は,該メッセージのAuthorizationヘッダ内の完全性保護フラグでもよい。
【0033】
本発明の第2の態様は,サービス提供ネットワーク要素とユーザ装置とを更に備える通信ネットワーク内のネットワーク要素であって,該ネットワーク要素は,ユーザ装置から第1のメッセージを受信し,該第1のメッセージをサービス提供ネットワーク要素へ転送し,サービス提供ネットワーク要素が障害であることを検知し,第1のメッセージの種別を判定し,ユーザ装置から受信した第1のメッセージの種別に応じて,ユーザ装置にエラーメッセージを送信する,ように構成される。
【0034】
ネットワーク要素は,ユーザ装置からの第1のメッセージの種別と異なる第2の種別の更なるメッセージを受信するように更に構成することができる。
【0035】
本発明の第3の態様は,第1のネットワーク要素と,サービス提供ネットワーク要素とを更に有する通信ネットワーク内のユーザ装置であって,該ユーザ装置は,第1のネットワーク要素からのエラーメッセージを受信し,該エラーメッセージはユーザ装置のためのサービス提供ネットワーク要素が障害であることを示し,第1のネットワーク要素へ第1の種別と異なる第2の種別の更なるメッセージを送信することによってエラーメッセージに応答する,ように構成される。
【0036】
ユーザ装置は,該ユーザ装置と通信ネットワークとの間の通知のためのベアラを確立するように更に構成され,かつユーザ装置と通信ネットワークとの間の通知のためのベアラを停止させることによってエラーメッセージに応答するように構成することができる。
【0037】
通知のためのベアラは,通知用PDPコンテキストでも,一般目的PDPコンテキストでもよい。
【0038】
第1のネットワーク要素に送信される,更なるメッセージの種別は,初期登録要求でもよい。
【0039】
本発明の第4の態様は,(i)ネットワーク要素と,(ii)第1のネットワーク要素に要求を送信し,第1のネットワーク要素からいかなる応答も受信されないことを判定することとによって,第1のネットワーク要素が障害であると判定するように構成されたユーザ装置と,を備える通信ネットワークにおいて運用するためのユーザ装置であって,該ユーザ装置は,第1のネットワークが障害であると判定したとき,ユーザ装置と通信ネットワークとの間の通知のためのベアラを停止し,新たな更なる第一のネットワーク要素を探索又は選択し,通信ネットワークへの登録のための初期要求を有するメッセージを,更なるネットワーク要素へ送信する,ように構成される。
【0040】
本発明の第5の態様は,通信ネットワークにおけるサービス障害を処理する方法で,該通信ネットワークが,ユーザ装置と,第1のネットワーク要素と,更なるネットワーク要素と,を備える方法であって,この方法は,ユーザ装置から第1のネットワーク要素へ,第1のメッセージを送信するステップと,ユーザ装置において,第1のネットワーク要素が障害であることを検知するステップと,ユーザ装置から通信ネットワークへの通知用ベアラを停止させるステップと,ユーザ装置において,更なるネットワーク要素を選択または探索するステップと,ユーザ装置から更なるネットワークへ,初期登録要求を有するメッセージを送信するステップと,を有する。
【0041】
本発明の第6の態様は,少なくともユーザ装置とネットワーク要素とを備える通信ネットワークにおいて登録の種別を判定する方法であって,ネットワーク要素において,ユーザ装置からの登録要求を受信するステップと,ネットワーク要素において,受信された要求内の情報要素を検知するステップと,情報要素の内容を判定するステップと,情報要素の判定された内容に応じて,登録要求が第1の種別の登録用か,第2の種別の登録用かを判定するステップと,を有する。
【0042】
通信ネットワークは,少なくとも一つのサービス提供ネットワーク要素を更に備えてもよく,前記の方法はまた,第1のネットワーク要素からサービス提供ネットワーク要素へ,要求を送信するステップと,サービス提供ネットワーク要素からいかなる応答も受信されないことによって,サービス提供ネットワークが障害であることを検知するステップと,もし登録要求が第1の種別の登録要求であったら,ユーザ装置へサービス提供ネットワーク要素障害メッセージを送信するステップと,もし登録要求が第2の種別の登録用であったら,第1のネットワーク要素によって更なるサービス提供ネットワーク要素を選択するステップと,を有してもよい。
【0043】
第1の種別の登録は再登録でもよく,また第2の種別の登録は初期登録でもよい。
【0044】
本発明の第7の態様は,ユーザ装置を更に備える通信ネットワーク内のネットワーク要素であって,ここにおいて該ネットワーク要素は,ユーザ装置から登録要求を受信し,受信した登録要求内の情報要素を検知し,該情報要素の内容を判定し,該情報要素の判定内容に応じて,受信した登録要求が第1の種別の登録か,第2の種別の登録かを判定する,ように構成される。
【0045】
情報要素は,要求が完全性を保護されて送信されたことを示すことができる。
【0046】
情報要素は,ユーザが正しく認証されたことを示すことができる。
【0047】
メッセージ内の情報要素は,完全性保護フラグでもよい。
【0048】
通信システムは,上記のネットワーク要素および上記で主張されたとおりのユーザ装置を備えてもよい。
【0049】
本発明の実施例は,通信ネットワークにおけるサービス障害を処理する方法を記述しており,該方法は,ユーザ装置と通信ネットワークとの間の通知のためのベアラを確立するステップと,通信ネットワーク内のサービス提供ネットワーク要素に,ユーザ装置を第1の種別の登録として登録するステップと,通信ネットワーク内のサービス提供ネットワーク要素が障害であることを,第1のネットワーク要素によって検知するステップと,第1のネットワーク要素からユーザ装置へ,サービスネットワーク要素が障害であることの表示を含むメッセージを送信するステップと,を有してもよい。
【0050】
更なる実施例は,ユーザ装置によって,通信ネットワークに第2の種別の登録を開始させるステップを更に有することができる方法を記述している。
【0051】
更なる実施例は,ユーザ装置によって送信されたメッセージへの応答として,通信ネットワーク内のネットワーク要素が障害であるという第1のネットワーク要素からの表示を,ユーザ装置によって受信するステップを更に有することができる方法を記述している。
【0052】
更なる実施例は,第1のネットワーク要素がP−CSCFであり得る方法を記述している。
【0053】
追加の実施例は,第1のネットワーク要素によって,第2の種別の登録を行う間に,サービス提供ネットワーク要素が障害になったことを検知するステップと,第1のネットワーク要素からメッセージを受信した応答として,ユーザ装置によって通知のためのベアラを停止するステップと,ユーザ装置と通信ネットワークとの間の通知のための第2のベアラを確立するステップと,を更に有することができる方法を記述している。
【0054】
更なる実施例は,通知のためのベアラは,通知用PDPコンテキストでも一般目的PDPコンテキストでもよいこと,通信ネットワークは,IMSネットワークでもよいこと,第1の種別の登録は,初期登録でもよいこと,第2の種別の登録は,再登録でもよいこと,第1のネットワーク要素は,問合せ(interrogating)CSCF(I−CSCF)でもよいこと,サービス提供ネットワークは,S−CSCFでもよいこと,を記述している。
【0055】
追加の実施例は,通信ネットワークにおける登録の種別を判定するための方法を記述しており,その方法は,ユーザ装置から第1のネットワーク要素へ登録要求を送信するステップと,第1のネットワーク要素において,要求内の情報要素をチェックするステップと,そのチェックステップの結果に基づいて,登録要求が第1の種別の登録用か,第2の種別の登録用か,を判定するステップと,を有してもよい。
【0056】
更なる実施例は,サービス提供ネットワーク要素からいかなる応答も受信されないステップと,もし,登録要求が第1の種別の登録用であったら,UEへサービス提供ネットワーク要素障害メッセージを送信するステップと,もし,登録要求が第2の種別の登録用であったら,第1のネットワーク要素によって新規なサービス提供ネットワーク要素を選択するステップと,を有してもよい。
【0057】
追加の実施例は,第1の種別の登録は再登録でもよく,第2の種別の登録は初期登録でもよいこと,を記述している。
【0058】
更なる実施例は,上記チェックステップが要求内に情報要素が存在することをチェックするものであってもよい方法を記述している。
【0059】
追加の実施例は,要求は完全性を保護されて送信されたことを,情報要素が示してもよいことを記述している。
【0060】
更なる実施例は,情報はユーザが正しく認証されたことを示してもよいことを記述している。
【0061】
追加の実施例は,要求における情報は,完全性保護フラグでもよいことを記述している。
【0062】
実施例は,通信ネットワーク内のネットワーク要素を記述しており,該ネットワーク要素は,サービス提供ネットワーク要素へ,及び/又はサービス提供ネットワーク要素から,メッセージを送信する手段と,サービス提供ネットワーク要素がユーザ装置にサービスを提供できないことを示す情報を検知する手段と,情報をユーザ装置に送信する手段と,を有するように構成することができる。
【0063】
更なる実施例は,通信ネットワーク内のネットワーク要素を記述しており,該ネットワーク要素は,登録要求を受信する手段と,登録要求が第1の種別であるか,第2の種別であるかをチェックする手段と,を有するように構成することができる。
【0064】
追加の実施例は,通信ネットワーク内のネットワーク要素を記述しており,該ネットワーク要素は,ユーザ装置からメッセージを受信する手段と,利用者装置にメッセージを送信する手段と,を備え,該メッセージは,通信ネットワーク内のネットワーク要素が,ユーザ装置にサービスを提供できないことを示す,ように構成することができる。
【0065】
実施例は通信ネットワーク内のユーザ装置を記述しており,該ユーザ装置は,該ユーザ装置のためのサービス提供ネットワーク要素が,前記ユーザ装置にサービスを提供できないことを示すメッセージを通信ネットワークから受信する手段と,公開(releasing)ベアラによってメッセージに応答する手段とを備えるように構成することができる。
【0066】
更なる実施例は,メッセージに応答するための初期登録を行う手段を備えるように構成することができるユーザ装置を記述している。
【0067】
実施例は,ユーザ装置とアプリケーションサーバとの間の通信における不連続を避けるための方法を提供してもよい。ユーザは必ずしもどんな一時的障害にも気付く訳ではないので,ユーザの知覚が改善されるかも知れない。あるいは,サービス提供コントローラエンティティで障害が起きたら,ネットワークとの通信を再確立するために,ユーザが介入しなければならないかも知れない。
【実施例】
【0068】
本発明の一実施例は,一例として第三世代(3G)移動体通信システムの例示としてのアーキテクチャを参照して,以下に記述する。しかし,その実施例はいかなる適当な通信システムに適用してもよいことを認識しなければならない。例えば,適当な通信システムはCDMA2000システムであり得る。
【0069】
本発明をよりよい理解のために,ここで添付の図面を例として参照する。図1は,本発明が実施することができるネットワークアーキテクチャを例示している。図1において,IPマルチメディアネットワーク45は,IPマルチメディアネットワークサブシステムのためのIPマルチメディアサービスを提供するためにある。
【0070】
上記のように,IPマルチメディア(IM)サービスへのアクセスは,移動体通信システムの手段によって提供できる。移動体通信システムは,典型的には,ユーザ装置と,通信システムの少なくとも一つの基地局31との間の無線インタフェースを介して,複数の移動体ユーザ装置にサービスを提供するように構成される。移動体通信システムは,論理的に,無線アクセスネットワーク(RAN)とコアネットワーク(CN)とに分割することができる。
【0071】
基地局31は,ユーザ装置と無線アクセスネットワークとの間の無線インタフェースを介して,移動体ユーザ装置に信号を送信し,また移動体ユーザ装置から信号を受信するように構成される。同様に,移動体ユーザ装置30は無線インタフェースを介して無線アクセスネットワークに信号を送信し,また無線アクセスネットワークから信号を受信することができる。
【0072】
図示する構成では,ユーザ装置30は,基地局31と連携するアクセスネットワークを介して,IMSネットワーク45にアクセスすることができる。明瞭にするため,図1はただ一つの無線アクセスネットワークの基地局を示しているが,典型的な通信ネットワークシステムでは,通常,いくつかの無線アクセスネットワークを含むことを認識しなければならない。
【0073】
3G無線アクセスネットワーク(RAN)は,典型的には,適当な無線ネットワークコントローラ(RNC)によって制御される。このコントローラは,明瞭にするために図示していない。コントローラは,各基地局に割り当てられてもよいし,コントローラは,例えば無線アクセスネットワークレベルで,複数の基地局を制御することもできる。無線ネットワークコントローラの名称,配置,および数は,システムに依存することを認識しなければならない。
【0074】
図1の移動体ユーザ装置30は,ネットワークに接続するために,インターネットプロトコル(IP)通信に適合したいかなる適当な移動体ユーザ装置を有してもよい。例えば,移動体ユーザは,パーソナルコンピュータ(PC),パーソナルデータアシスタント(PDA),移動機(MS)などの手段でセルラネットワークにアクセスしてもよい。次に掲げる例は,移動機を参照して記述する。
【0075】
本技術における当業者であれば,典型的な移動機の特徴および動作をよく知っている。したがって,ユーザは電話呼を発信および受信したり,データをネットワークから受信したり,データをネットワークに送信したり,あるいはマルチメディアコンテンツの体験やそうでなければマルチメディアサービスの利用をしたり,といった仕事のために移動機を使うであろうことに注目すれば十分である。移動機は,無線で移動体通信ネットワークの基地局から信号を受信し,また基地局へ信号を送信するためのアンテナを含んでもよい。移動機はまた,移動体ユーザ装置のユーザに画像および他の図形情報を表示するためのディスプレイを備えてもよい。静止画又はビデオを撮影するために,カメラ手段があってもよい。スピーカ手段も典型的に備えられている。移動機の動作は,制御ボタン,音声コマンドなどのような適当なユーザインタフェース手段によって制御してもよい。さらに,移動機はプロセッサエンティティおよびメモリ手段を備えている。
【0076】
図1には明瞭にするため二三の移動機のみを示しているが,多数の移動機が通信システムと同時に通信していてもよいことを認識しなければならない。
【0077】
コアネットワーク(CN)は,いくつかの無線アクセスネットワークを経由した通信を可能にするため,また他のセルラシステム及び/又は固定回線通信システムのような1以上の通信システムと単一通信システムとをインタフェースするために,典型的にはさまざまな交換エンティティおよび他の制御エンティティならびにゲートウェイを含む。3GPPシステムでは,無線アクセスネットワークは,典型的には,適当なコアネットワークエンティティまたはサービス提供一般パケット無線サービスサポートノード(SGGN)33のようなエンティティ(ただしそれに限定はされない)に接続される。無線アクセスネットワークは,例えばIuインタフェースのような適当なインタフェースを介してサービス提供GPRSサポートノードと通信する。サービス提供GPRSサポートノードは,次に,典型的には,例えばゲートウェイGPRSサポートノード34のような適当なゲートウェイと,GPRSバックボーンネットワーク32を経由して通信する。このインタフェースは,通常,交換パケットデータインタフェースである。
【0078】
3GPPネットワークにおいては,ネットワーク上でトラヒックフローを搬送するためにパケットデータセッションが確立される。そのようなパケットデータセッションは,しばしばパケットデータプロトコル(PDP)コンテキストと呼ばれる。PDPコンテキストは,ユーザ装置と無線ネットワークコントローラとの間の無線ベアラと,ユーザ装置と,無線ネットワークコントローラと,SGGN33との間の無線アクセスベアラと,サービス提供GPRSサービスノード33とゲートウェアGPRSサービスノード34との間の交換パケットデータチャネルとを含んでもよい。各PDPコンテキストは,通常,特定のユーザ装置とゲートウェイGPRSサポートノードとの間の通信路を提供し,一旦それが確立されたら,典型的には複数フローを搬送することができる。各フローは通常,例えば,特定サービス及び/又は特定サービスの1メディアコンポーネントを表す。したがって,PDPコンテキストはしばしば,ネットワークを横切る1以上のフローのための論理的通信路を表す。ユーザ装置とサービス提供GPRSサポートノードとの間にPDPコンテキストを実装するために,少なくとも一つの無線アクセスベアラ(RAB)が確立されなければならず,それは通常,ユーザ装置のためのデータ転送を可能にする。これら論理的及び物理的チャネルは本技術の当業者には知られており,それ故ここではこれ以上議論しない。
【0079】
図1はまた,一例としてのインターネットプロトコル(IP)マルチメディアネットワーク45に接続された複数のアプリケーションサーバ50を示す。ユーザ装置30は,GPRSネットワーク32及びIMSネットワーク45を経由して,アプリケーションサーバ50のうち少なくとも一つに接続することができる。多数のアプリケーションサーバが,データネットワークに接続されてもよいことを認識しなければならない。
【0080】
アプリケーションサーバとの通信は,適当なコントローラエンティティによって提供されるデータネットワークの機能によって制御される。現在の第三世代(3G)無線マルチメディアネットワークアーキテクチャでは,さまざまな制御機能を提供するいくつかの異なったサーバが制御のために使われると想定されている。これらは,呼セッション又は呼状態制御機能(CSCFs)のような機能を含む。呼セッション機能は,さまざまなカテゴリに区分することができる。図1は,プロキシ呼セッション制御機能(P−CSCF)35および37と,問合せ(interrogating)呼セッション制御機能(I−CSCF)38および39と,サービス提供呼セッション制御機能(S−CSCF)36と,を示す。同様な機能は,さまざまなシステムではさまざまな名称で呼ばれ得ることを認識しなければならない。
【0081】
IMSシステムを経由してアプリケーションサーバが提供するサービスを利用したいと思うユーザは,最初に,サービス提供呼セッション制御機能(S−CSCF)36のような,サービス提供コントローラに登録する必要があるかも知れない。この登録は,ユーザ装置がマルチメディアシステムからのサービスを要求できるために必要とされるかも知れない。図1に示されるように,S−CSCF36とユーザ装置30との間の通信は,少なくとも一つのプロキシ呼セッション呼制御機能(P−CSCF)35を介するように経路設定することができる。プロキシCSCF35は,このようにして,GGSN34からサービス提供呼セッション機能36へ,およびその逆にメッセージを転送するプロキシとして動作する。
【0082】
登録手続きにおいて,UEは初期登録要求をネットワークに送信する。その要求はCSCFを経由してS−CSCFに届けられ,S−CSCFはユーザ認証を行い,またUEのIPアドレスをそのユーザの識別情報と結びつける。登録は一定の期間有効であり,登録を存続させるのはUEの仕事である。この目的のため,UEは登録が期限切れになる前にS−CSCFへ新たな登録要求を送信する。この手続きは再登録手続きと呼ばれる。
【0083】
図2〜5は本発明の一連の実施例を示す。図2は,本発明の実施例であって,再登録要求の応答にエラーが見つかったとき,S−CSCF障害エラーから回復するようにした通信システムを示している。本技術ではよく知られているように,ユーザの初期登録(3GPP TS 23.228に記載されている)の後,登録の有効性が期限切れになる前に,UEはS−CSCFに再登録要求を送信する。
【0084】
第1のステップ101において,ユーザ装置(UE)はP−CSCFへ再登録要求を送信する。
【0085】
第2のステップ103において,P−CSCFは再登録要求を受信し,そのメッセージをI−CSCFに転送する。
【0086】
第3のステップ105において,I−CSCFはP−CSCFから再登録要求を受信し,S−CSCFへその要求を渡すように試みる。S−CSCFは障害なので,その要求に応答することができない。
【0087】
S−CSCFは要求に応答することができないので,I−CSCF内のタイマは予め定められた時間後に期限切れになり,ステップ107において,I−CSCFはS−CSCFに要求を伴ってコンタクトする試みを止める。I−CSCFは,何回かの予め定められた回数,要求の送信を試みてもよい。
【0088】
第4のステップ109において,I−CSCFはエラー表示,例えばサーバタイムアウトエラーメッセージ(504エラーメッセージとしても知られる),をP−CSCFへ返送する。
【0089】
第5のステップ111において,P−CSCFは504エラーメッセージを受信し,この504エラーメッセージをユーザ装置(UE)に返送する。
【0090】
第6のステップ113において,UEは504エラーメッセージを受信する。UEは次に,その再登録プロセスに関するすべての通知およびデータのトラヒックを停止する。
【0091】
本発明のいくつかの実施例では,ユーザ装置は通知PDPコンテキストに関連した通知情報だけ停止させ,マルチメディアPDPコンテキストはそのまま保持する。この更なる実施例では,ユーザ装置は遠隔のサービス/端末とコンタクトを保つことが許されるが,本発明の実施例の第2部ではS−CSCFエラーを解決するように試みる。一般PDPコンテキストが既に確立されていた本発明の他の実施例では,一般PDPコンテキストが停止される。
【0092】
第7のステップ115において,ユーザ装置はP−CSCFへ初期登録要求を送信する。UE初期登録は,新たな通知PDPコンテキストを確立することにより,または既存の通知用PDPコンテキストを利用することにより,通信を再確立する第1のステップである。(一般コンテキストが停止されている実施例では,UEは新たな一般PDPコンテキストを確立するように試みる。)
【0093】
第8のステップ117において,P−CSCFはUEから要求を受信し,I−CSCFへ初期登録要求を渡す。
【0094】
第9のステップ119において,I−CSCFは要求を受信し,ユーザのために第2のS−CSCF2を選択する。
【0095】
第2のS−CSCF(S−CSCF2)は,ステップ121においてI−CSCFへ肯定応答信号(200okメッセージとしても知られる)を送信する。
【0096】
I−CSCFは受信した200okメッセージを,ステップ123においてP−CSCFへ送信する。
【0097】
P−CSCFは,ステップ125において受信した200okメッセージをユーザ装置へ送信する。
【0098】
このような方法は,ユーザおよびそのユーザと接続しているいかなる遠隔ユーザへのサービス提供が完全に中断することになるので,負荷のかかる手続きと受け取られるが,UEのハードリセットを必要としないのでより効率的である。また,このような手続きは,UEおよびネットワーク内のいかなる残存状態をも解消する。
【0099】
I−CSCFが,現在のタイムアウトした要求が再登録要求なのか,初期登録要求なのかをどうやって判定するかの問題は,図4に示されている。
【0100】
図4を参照し,I−CSCFが初期登録要求を処理するか,再登録要求を処理するかの判定について更に議論する。図4は,初期登録が処理され,I−CSCFによって呼ばれたS−CSCFが障害である例を示している。
【0101】
ステップ301,303および305において,初期登録要求がUEからP−CSCFへ送信され(ステップ301),次にP−CSCFからI−CSCFへ再送信され(ステップ303),次にI−CSCFからS−CSCFへ再送信が試みられる(ステップ305)。ここで,第1の試みで呼ばれるS−CSCFは,S−CSCF1である。
【0102】
ステップ307において,S−CSCF1が応答メッセージを返すことに失敗するとI−CSCSのタイマが期限切れとなり,それ故,要求が期限切れになったことを表示する。I−CSCFは,S−CSCF1へ要求を何回かの予め定められた回数,再送信を試みてもよい。
【0103】
I−CSCFは次に,期限切れになった要求が初期登録であったか再登録であったかを,要求ヘッダ内の完全性保護フラグを調べることによって判定する。
【0104】
完全性保護フラグは,UEおよびP−CSCFがセキュリティアソシエーションを構成したときに一度だけ設定されるので,認証/登録が成功した後に実行されるイベントでは,I−CSCFに対して,完全性保護フラグがないことが初期登録プロセスであることを示す。
【0105】
それ故,期限切れになった要求(S−CSCFが障害であるときに生成されるような)に,完全性保護フラグがあるときは,その期限切れになった要求はI−CSCFに対して,P−CSCFを介してUEへ,上記の第1の実施例に示されたとおりに,504エラーメッセージを送るきっかけを与える。
【0106】
期限切れになった要求(S−CSCFが障害であるときに生成されるような)に,完全性保護フラグがないときは,I−CSCFは処理中の要求が初期登録要求であることを識別し,それ故,I−CSCFは別のS−CSCF(新たなS−CSCF)に対し,本技術ではよく知られた方法に従って新たな初期登録要求を送信する。
【0107】
もしUEが別のS−CSCFに登録することができるなら,そのS−CSCFは稼動中であり,したがって,S−CSCFは登録を実行し,本技術ではよく知られているように,I−CSCFおよびP−CSCFを経由して,UEへ200okメッセージを返送する。図4に示された例では,UEは別のS−CSCFを利用することが承認されておらず,したがって401「非承認」メッセージを発行する。401メッセージは,ステップ309,311および313においてUEへ返送される。ステップ309において,メッセージはS−CSCFからI−CSCFへ渡され,ステップ313においてメッセージはP−CSCFからUEへ渡される。
【0108】
それ故,図示された二つの例に従って,本発明の実施例は,初期登録要求または再登録要求に対して起こるエラーを判定することができ,また要求メッセージヘッダの要素または部分を調べることによって,要求種別に応じて回復処理を起動することができる。そのような方法なしでは,I−CSCFは処理中の登録要求の種別が何であるかを判定し,次のようなときに発生する無限ループを防ぐことができないだろう。I−CSCFがすべての登録要求に対して504タイムアウトメッセージをUEへ渡し,そしてUEがI−CSCFへ新たな登録要求を渡すと,その登録要求は障害中のS−CSCFへ回送され,新たなタイムアウトを引き起こし,新たな504メッセージがUEへ渡されることになるだけである。
【0109】
本発明の更なる実施例を図3に示した例を参照して説明する。この実施例は,P−CSCFが登録以外の要求を処理しているときに504メッセージを受信すると,P−CSCFはその504メッセージをUEへ返送し,このUEが登録以外の要求の応答としてP−CSCFから504エラーメッセージを受信すると,再登録を実行する,例を更に示している。
【0110】
ステップ201,203及び205は,P−CSCF(ステップ203)及びS−CSCF(ステップ205)を経由して,例えばアプリケーションサーバ(AS)のようなIP/SIPネットワーク内のエンティティへ,登録以外のSIP形式メッセージを送信しているUE(ステップ201),を示している。
【0111】
IP/SIPネットワーク内のどこかで生じたエラーのために,要求はその目的地に届かず,代わりに504エラーメッセージがUEに返送される(返された504メッセージは,上記で返された504メッセージと類似である)。ステップ207,209および211において,このエラーメッセージはS−CSCF(ステップ209)およびP−CSCF(ステップ211)を経由してIP/SIPネットワークから返送され,UEで終端される。
【0112】
しかし,UEはエラーメッセージを受信しても,そのエラーがS−CSCFから発信されたのか,他のどこかからなのかを判定することはできない。それ故,S−CSCFの状態を判定するため,UEは,ステップ213に示すように,エラーメッセージがS−CSCFで発信されたかどうか判定するため,上記のとおり登録要求プロセスを起動する。
【0113】
これは図3において,ステップ215,216および217によって示されている。そこで,再登録要求は,UEによって送信され(ステップ215),P−CSCFによって受信および再送信され(ステップ216),そしてI−CSCFによってS−CSCFへ再送信される(ステップ217)。
【0114】
図3に示した例において,S−CSCFは稼働中であり,再登録プロセスは次のように進む。200okメッセージがS−CSCFによって送信され(ステップ219),I−CSCFによって受信および再送信され(ステップ221),そしてP−CSCFによって受信およびUEへ再送信される(ステップ223)。
【0115】
しかし,もしS−CSCFがその問題の原因であると分かったら,I−CSCFは更なるエラーメッセージを返送し,プロセスは新たな登録プロセスを使って上記の方法で自己解決するであろう。
【0116】
図5は,本発明の更なる実施例を示す更なる例を示す。図5に示された例において,UEは登録されており,ステップ402においてこのUEは,P−CSCF(P−CSCF1)へSIP要求メッセージを送信している。
【0117】
P−CSCF1は障害であり応答しない。UEのタイマは期限切れになり,ステップ403によってUEは要求が期限切れになったことを認識する。
【0118】
ステップ404および405において,UEはS−CSCF障害状態に引き続いて実施したのと同じ方法を実施する。上記の以前の方法では,障害状態が再登録要求の失敗を引き起こし,UEがメッセージに関する通知PDPコンテキストまたは一般PDPコンテキストを停止させた。ステップ404において,P−CSCF障害による失敗は一般要求の失敗となり,それはUEが,UEに関連する通知PDPコンテキストまたは一般PDPコンテキストを停止させるきっかけとなる。本発明の更なる実施例においては,UEはマルチメディアPDPコンテキストも更に停止させる。ステップ404の実行中,もしUEがP−CSCF1のための代わりのコンタクトアドレスを持っていなければ,新たなP−CSCFを探索してもよい。
【0119】
ステップ405,407および409において,UEは新たな初期登録プロセスを開始する。ステップ405において,UEは初期登録要求を新たなP−CSCF(新たなP−CSCF)へ送信するために,P−CSCFの新たなコンタクトアドレスを使用する。ステップ407において,初期登録要求は新たなP−CSCFによって受信され,I−CSCFへ転送される。ステップ409において,初期登録要求はI−CSCFによって受信され,I−CSCFからS−CSCFへ送信される。
【0120】
この更なる実施例は,本発明がP−CSCFが障害になったとき発生するエラーを,S−CSCF障害状態の場合と同様な方法で処理することを示している。
【0121】
本発明の実施例は移動機のようなユーザ装置に関連付けて記述されているが,本発明の実施例は認証を必要とするいかなる他の種別の装置にも適用できることを認識すべきである。例えば,本発明は無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信システムを介してIP/SIPネットワークに接続されている利用者装置には適用できるであろう。
【0122】
本発明の例はIMSシステムおよびGPRSネットワークの環境で記述されている。しかし,この発明はいかなる他の標準にも適用できる。さらに,与えられた例は,すべてのSIPエンティティを持ついわゆる”all SIP”ネットワークおよびPDPコンテキストとして知られる通信チャネルの環境で記述されている。この発明はまた,いかなる他の適当な,無線または固定回線システムである通信システム,通信標準および通信プロトコルにも適用できる。
【0123】
無線データ通信サービスを可能にする他のあり得る通信システムの例は,Universal Mobile Telecommunication System(UMTS),i−phoneまたはCDMA2000のような第三世代移動体通信システム,Terrestrial Trunked Radio(TETRA)システム,および”Enhanced Data rate for GSM Evolution”(EDGE)移動体データネットワーク,を含むが,これらに限定はされない。固定回線システムの例は,家庭やオフィスのようなさまざまな場所で,ユーザにインターネットアクセスを提供する多様なブロードバンド技術を含む。通信ネットワークに使われる標準およびプロトコルが何であれ,本発明はネットワークエンティティの登録が要求されるすべての通信ネットワークに適用できる。
【0124】
本発明の実施例は,プロキシおよびサービス提供呼状態制御機能の環境で議論されてきた。本発明の実施例は,適用可能な他のネットワーク要素に適用可能である。
【0125】
ここで,上記は本発明の例示としての実施例を記述しているが,本願の請求項に規定された発明の範囲を逸脱することなく,開示された解決策にいくつかの変形および修正が可能であることに注意すべきである。
【0126】
本出願人はここで,本発明が請求項の範囲に限って解釈されるべきでないことを表明する。
【0127】
障害(out of service)という用語は,サービス提供ネットワーク要素が,サービス提供ネットワーク要素内の故障によって,ユーザ装置と通信していないか,または通信ネットワークの故障により,ユーザ装置がサービス提供ネットワーク要素と通信できないという意味に解釈するものと理解される。
【0128】
さらに,ユーザ装置は,携帯電話機と,パーソナル通信デバイスと,パーソナルデータアシスタントとを含むものと理解される。
【0129】
さらに,通知のためのベアラを確立する行為は,通信セッションを生成する意味に理解され,そこで通信ノードは通信セッションによってネットワークと通信することができるように構成され,ネットワークは通信セッションの確立を承認するセッション承認ノードを備え,通信ノードは,セッションを確立すべく,セッションの承認を受信するためにセッション承認ノードと通信するよう構成され,通信ノードは,通信セッションの間,承認ノードにセッションの承認を要求することができ,そして,要求に応答するためにセッション承認ノードによって,故障を表示するメッセージをネットワークから受信した応答であるそのような要求の応答として,少なくともセッションの通知を終了させるように構成されている。
【0130】
本出願人はここで,ここに記述された個々の特徴単体およびそれら特徴の2以上のいかなる組合せが,それら特徴または特徴の組合せに関わらず,ここに開示されたいかなる問題をも解決することを,請求項の範囲に限定されることなく,本技術の当業者の通常かつ一般的な知識において,それら特徴または組合せを本仕様全体に基づいて実施することができる程度に,開示する。既述した記載に関して,本発明の範囲内でさまざまな修正が可能であることは,本技術の当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明を実施することができる通信システム環境を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例による通知フローの流れ図である。
【図3】本発明の更なる実施例による通知フローの流れ図である。
【図4】実用の本発明の更なる実施例による通知フローの流れ図である。
【図5】実用の本発明の更なる実施例による通知フローの流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ装置と,第1のネットワーク要素と,サービス提供ネットワーク要素とを備える通信ネットワークにおけるサービス障害を処理する方法であって,該方法は,
前記第1のネットワーク要素において,ユーザ装置からの第1のメッセージを受信するステップと,
前記第1のネットワーク要素から前記サービス提供ネットワーク要素へ,前記第1のメッセージを送信するステップと,
前記第1のネットワーク要素において,前記サービス提供ネットワーク要素に障害があることを検知するステップと,
前記第1のネットワーク要素において,前記第1のメッセージの種別を判定するステップと,
前記第1のメッセージの種別に応じて,前記第1のネットワーク要素から前記ユーザ装置へ,前記サービス提供ネットワーク要素の障害表示を含むエラーメッセージを送信するステップと,
を有する方法。
【請求項2】
前記ユーザ装置において,前記エラーメッセージを受信する更なるステップを有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザ装置において,前記エラーメッセージを受信するステップに引き続き,登録を起動させるために前記第1のメッセージの種別と異なる第2の種別の第2のメッセージを,前記ユーザ装置から前記第1のネットワーク要素に送信するステップを更に有する請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第1のネットワーク要素において,前記ユーザ装置から第1のメッセージを受信するステップに先立って,前記ユーザ装置と前記通信ネットワークとの間の通知のためのベアラを確立するステップを更に有する,請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
更なるサービス提供要素を選択する更なるステップと,該更なるサービス提供要素へ前記のメッセージを転送する更なるステップと,を有する請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記更なるサービス提供ネットワーク要素に,前記ユーザ装置を登録する更なるステップを有する請求項5記載の方法。
【請求項7】
通知のためのベアラは,通知用PDPコンテキストまたは一般目的PDPコンテキストである請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記通信ネットワークは,インターネットプロトコルマルチメディアサブシステム(IMS)ネットワークである請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のネットワーク要素は,問合せ呼セッション制御機能(I−CSCF)である請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のネットワーク要素は,プロキシ呼セッション制御機能(P−CSCF)である請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記サービス提供ネットワーク要素は,サービス提供呼セッション制御機能(S−CSCF)である請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
メッセージ種別を判定するステップは,該メッセージ内のあらかじめ定義された情報要素の内容に基づいてメッセージ種別を判定するステップを有する請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記第1のネットワーク要素において,通信ネットワークの前記サービス提供ネットワーク要素が障害であることを検知するステップは,
第1のネットワーク要素からサービス提供ネットワーク要素へメッセージが転送されて以降,サービス提供ネットワーク要素からの応答が受信される前までに,あらかじめ定められた時間が過ぎたことを検知するステップと,
第1のメッセージがあらかじめ定められた回数送信されたことを判定するステップと,
のいずれかを一つを有する請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記第1のメッセージの種別は,再登録要求である請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のメッセージの種別は,初期登録要求である請求項1〜14のいずれか一項の記載の方法。
【請求項16】
前記情報要素は,前記要求が完全性を保護されて送信されていることを示す請求項12〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記情報要素は,ユーザが正しく認証されたことを示す請求項12,13および16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記メッセージ内の前記情報要素が,該メッセージのAuthorizationヘッダ内の完全性保護フラグである請求項12,13,16および17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
サービス提供ネットワーク要素とユーザ装置とを更に備える通信ネットワーク内のネットワーク要素であって,
前記ユーザ装置から第1のメッセージを受信し,
該第1のメッセージを前記サービス提供ネットワーク要素に転送し,
前記サービス提供ネットワーク要素が障害であることを検知し,
前記第1のメッセージの種別を判定し,
前記ユーザ装置から受信した前記第1のメッセージの種別に応じて,前記ユーザ装置にエラーメッセージを送信する,
ように構成するネットワーク要素。
【請求項20】
前記ユーザ装置からの前記第1のメッセージの種別と異なる第2の種類の更なるメッセージを受信するように更に構成する請求項20記載のネットワーク要素。
【請求項21】
第1のネットワーク要素と,サービス提供ネットワーク要素とを更に備える通信ネットワーク内のユーザ装置であって,該ユーザ装置は,
前記第1のネットワーク要素からエラーメッセージを受信し,
該エラーメッセージは前記ユーザ装置のための前記サービス提供ネットワーク要素が障害であることを示し,
前記第1のネットワーク要素へ第1の種別と異なる第2の種別の更なるメッセージを送信することによってエラーメッセージに応答する,
ように構成するユーザ装置。
【請求項22】
前記ユーザ装置と前記通信ネットワークとの間の通知のためのベアラを確立するように更に構成し,かつ前記ユーザ装置と前記通信ネットワークとの間の通知のためのベアラを停止させることによってエラーメッセージに応答するよう更に構成する,請求項21記載のユーザ装置。
【請求項23】
通知のためのベアラは,通知用PDPコンテキストベアラまたは一般目的PDPコンテキストベアラである請求項22記載のユーザ装置。
【請求項24】
前記第1のネットワークに送信される,前記更なるメッセージの種別は,初期登録要求である請求項21記載のユーザ装置。
【請求項25】
第1のネットワーク要素と,前記第1のネットワーク要素へ要求を送信し,前記第1のネットワーク要素からいかなる応答も受信されないことを判定することによって,前記第1のネットワーク要素が障害であることを判定するように構成したユーザ装置と,を備える通信ネットワーク内の運用のためのユーザ装置であって,
前記第1のネットワーク要素が障害であると判定したときに,
前記ユーザ装置と前記通信ネットワークとの間の通知のためのベアラを停止し,
新たな更なる第一のネットワーク要素を探索または選択し,
前記通信ネットワークへの登録のための初期要求を有するメッセージを前記更なるネットワーク要素に送信する,
ように構成するユーザ装置。
【請求項26】
通信ネットワークにおけるサービス障害を処理する方法であって,
前記通信ネットワークは,
ユーザ装置と,
第1のネットワーク要素と,
更なるネットワーク要素と,
を備え,前記方法は,
前記ユーザ装置から前記第1のネットワーク要素へ,第1のメッセージを送信するステップと,
前記ユーザ装置において,前記第1のネットワーク要素が障害であることを検知するステップと,
前記ユーザ装置から前記通信ネットワークへの通知用ベアラを停止するステップと,
前記ユーザ装置において,前記更なるネットワーク要素を選択または探索するステップと,
前記ユーザ装置から前記更なるネットワーク要素へ,初期登録要求を有するメッセージを送信するステップと,
を有する方法。
【請求項27】
少なくともユーザ装置とネットワーク要素とを備える通信ネットワークにおいて登録の種別を判定する方法であって,
前記ネットワーク要素において,前記ユーザ装置からの登録のための要求を受信するステップと,
前記ネットワーク要素において,前記の受信された要求内の情報要素を検知するステップと,
前記情報要素の内容を判定するステップと,
前記情報要素の前記判定された内容に応じて,前記登録要求が第1の種別の登録か第2の種別の登録かを判定するステップと,
を有する方法。
【請求項28】
前記通信ネットワークは,少なくとも一つのサービス提供ネットワーク要素を更に備え,
前記第1のネットワーク要素から前記サービス提供ネットワーク要素へ,要求を送信するステップと,
前記サービス提供ネットワークからいかなる応答も受信されないことによって,前記サービス提供ネットワークが障害であることを検知するステップと,
もし前記登録要求が前記第1の種別の登録要求であったら,前記ユーザ装置へサービス提供ネットワーク要素障害メッセージを送信するステップと,
もし前記登録要求が前記第2の種別の登録用であったら,前記第1のネットワーク要素によって更なるサービス提供ネットワーク要素を選択するステップと,
を更に有する請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記第1の種類の登録は再登録であり,前記第2の登録は初期登録である,請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
ユーザ装置を更に備える通信ネットワーク内のネットワーク要素であって,
前記ユーザ装置から登録要求を受信し,
前記の受信した登録要求内の情報要素を検知し,
該情報要素の内容を判定し,
前記情報要素の判定内容に応じて,前記の受信した登録要求が第1の種別の登録か,第2の種別の登録かを判定する,
ように構成するネットワーク要素。
【請求項31】
前記情報要素は,前記要求が完全性を保障されて送信されていることを示す,請求項30に記載のネットワーク要素。
【請求項32】
前記情報要素は,前記ユーザが正しく認証されたことを示す,請求項30または31に記載のネットワーク要素。
【請求項33】
前記メッセージ内の情報要素は完全性保護フラグである,請求項30〜32のいずれか一項に記載のネットワーク要素。
【請求項34】
請求項19,20および30〜33のいずれか一項に記載のネットワーク要素と,
請求項21〜25のいずれか一項に記載のユーザ装置と,
を備える通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−510328(P2007−510328A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536213(P2006−536213)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003573
【国際公開番号】WO2005/039108
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】