説明

サーモスタットおよびそれを具備したシートヒータ

【課題】幅寸法が小さく、シートヒータ等への取り付けが容易で安価なサーモスタットを提供する。
【解決手段】サーモスタット1は、温度制御用バイメタル板6を略円形状とし、温度過昇防止用バイメタル板11を、温度制御用バイメタル板6と隣接する方向の寸法が温度制御用バイメタル板6と隣接する方向に垂直な端子12方向の寸法より小さい矩形状とし、さらに略円形状の温度制御用バイメタル板6を、温度過昇防止用バイメタル板11と隣接する方向の寸法が小さくなるように、円形状の一部に切り欠き部6aを有する形状とした。これにより、サーモスタット1の幅寸法を小さくすることができ、シートヒータへの取り付けが容易で安価なものとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車等の座席に用いられるシートヒータに設けられ、シートヒータの温度制御および過昇防止をする用途等に用いられるサーモスタット、およびそのサーモスタットを具備したシートヒータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からシートヒータの温度制御や過昇防止の手段として、バイメタル板の反転動作により接点を開閉し、ヒータへの通電をON−OFF制御するサーモスタットが採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図10は、上記特許文献1に記載された従来のサーモスタットの構造を示す平断面図である。
【0004】
図10に示すように、このサーモスタット101は、非電動性のケース102内に温度過昇防止用バイメタル板103、温度過昇防止用可動接点板104、固定接点105,106、温度制御用バイメタル板107、温度制御用可動接点板108および導電板109が内蔵され、端子110,111はケース102の外部に突出したものである。
【0005】
温度過昇防止用可動接点板104は、一端は端子110にスポット溶接されており、他端には可動接点112がスポット溶接されている。温度制御用可動接点板108は、一端は端子111にスポット溶接されており、他端には可動接点113がスポット溶接されている。導電板109には固定接点105,106がスポット溶接されており、可動接点112,113と固定接点105,106が接触し、端子110と端子111が導通されるようになっている。
【0006】
なお、温度過昇防止用バイメタル板103の動作温度は、温度制御用バイメタル板107の動作温度よりも高く設定している。
【0007】
そして、サーモスタット101が所定の温度に達すると、温度制御用バイメタル板107が反転し、温度制御用可動接点板108を押し上げ、可動接点113と固定接点106の接触を解除することにより、端子110と端子111の導通を切断し、シートヒータ(図示せず)の通電を停止する。次にサーモスタット101が所定の温度に低下すると、温度制御用バイメタル107が逆転し、温度制御用可動接点板108が元の位置に戻るため、可動接点113と固定接点106が接触することで端子110と端子111が再び導通し、シートヒータ(図示せず)の通電を再開する。このような動作を繰り返すことで、シートヒータ(図示せず)の温度制御をしている。
【0008】
ここで、長期にわたる使用等で接点が摩耗し、可動接点113と固定接点106が溶着した場合には、温度制御が不能となり、不安全になる危険性があるが、可動接点113と固定接点103が溶着した場合には、所定の温度で温度過昇防止用バイメタル板103が反転し、温度過昇防止用可動接点板104を押し上げ、可動接点112と固定接点105の接触を解除することでシートヒータ(図示せず)への通電を停止し、安全を確保するという二重安全を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−109721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の構成では、サーモスタット101をシートヒータ(図示せず)に設置する場合、人の座る場所を避けた端部への設置が必要であるが、サーモスタット101は円形状の温度制御用バイメタル板107と同じく円形状の温度過昇防止用バイメタル板103を並べて配置した構成の為、幅寸法が大きく、シートヒータ(図示せず)への取り付けにおいて、大きなスペースが必要であり、配置が困難という課題を有していた。
【0011】
また、ケース102が大きく高価なものとなってしまうという課題も有していた。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、幅寸法が小さく、取り付けスペースの省スペース化が図れ、取り付けが容易で、材料費の削減が図れ、安価なサーモスタットを提供し、また、安価なシートヒータとすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のサーモスタットは、温度制御用バイメタル板を略円形状とし、温度過昇防止用バイメタル板を、温度制御用バイメタル板と隣接する方向の寸法が温度制御用バイメタル板と隣接する方向に垂直な端子方向の寸法より小さい矩形状としたものである。
【0014】
したがって、温度過昇防止用バイメタル板は、円形状に比べ、幅寸法が小さくなり、サーモスタットの幅寸法を小さくすることができる。
【0015】
その結果、シートヒータ等への取り付けスペースが小さく、取り付けが容易なものとすることができる。
【0016】
また、温度過昇防止用バイメタル板の材料費が削減できるとともに、外郭を形成するケースの小型化により材料費の削減ができる。
【0017】
その結果、サーモスタットを安価なものとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のサーモスタットは、幅寸法が小さく、シートヒータ等への取り付けが容易で、材料費が削減でき、安価なものとすることができる。
【0019】
さらに、かかるサーモスタットを具備したシートヒータは安価なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1におけるサーモスタットの正面図
【図2】同実施の形態のサーモスタットの側面図
【図3】同実施の形態のサーモスタットの内部構造を示す平断面図
【図4】図1のA−A線断面図
【図5】図1のB−B線断面図
【図6】同実施の形態のサーモスタットの温度制御用バイメタル板の平面図
【図7】同実施の形態のサーモスタットの温度過昇防止用バイメタルの平面図
【図8】本発明の実施の形態2におけるシートヒータの構成を示す平面図
【図9】同実施の形態のシートヒータの回路図
【図10】従来例を示すサーモスタットの構造を示す平断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
第1の発明は、外郭を形成するケース内に、温度制御用バイメタル板の反転動作により接点の開閉動作を行う温度制御回路と、前記温度制御用バイメタル板より動作温度を高く設定した過昇防止用バイメタル板の反転動作により接点の開閉動作を行う過昇防止回路と、前記温度制御回路と前記過昇防止用回路とを直列に接続する導電板と、前記温度制御回路と前記過昇防止用回路の両方の反導電板側の一端にそれぞれ設けられた接続用の端子とを有するサーモスタットであって、前記温度制御用バイメタル板を略円形状とし、前記温度過昇防止用バイメタル板を前記温度制御用バイメタル板と隣接する方向の寸法が前記温度制御用バイメタル板と隣接する方向に垂直な端子方向の寸法より小さい矩形状としたサーモスタットである。
【0022】
上記構成において、温度制御用バイメタル板を略円形状とし、温度過昇防止用バイメタル板を、温度制御用バイメタル板と隣接する方向の寸法が温度制御用バイメタル板と隣接する方向に垂直な端子方向の寸法より小さい矩形状としたことにより、温度過昇防止用バイメタル板の幅寸法が小さくなり、それにより、サーモスタットの幅寸法を小さくすることができる。
【0023】
その結果、シートヒータ等への取り付けスペースが小さくなり、取り付けを容易に行うことができる。また、ケースが小さくなるので、材料費の削減ができ、サーモスタットを安価にすることができる。
【0024】
第2の発明は、特に第1の発明における前記略円形状の温度制御用バイメタル板を、前記温度過昇防止用バイメタル板と隣接する方向の寸法が小さくなるように、円形状の一部に切り欠き部を有する形状としたものである。
【0025】
これにより、温度制御用バイメタル板のケース組込み時の幅寸法が小さくなり、それにより、第1の発明よりも、さらにサーモスタットの幅寸法を小さくすることができる。
【0026】
その結果、シートヒータ等への取り付けスペースがさらに小さくなり、取り付け性をさらに向上できる。
【0027】
また、第1の発明よりも、ケースをさらに小さくでき、さらなる材料費の削減が可能であり、安価なものとすることができる。
【0028】
第3の発明は、特に第1または第2の発明に加えて、前記温度制御回路および前記温度過昇防止回路の一端に設けた接続用の端子と前記導電板を一体に保持すると共に前記温度制御用バイメタル板と前記温度過昇防止用バイメタル板を設置するための凹部が2箇所形成された樹脂製の保持部材を有するものである。
【0029】
これによって、接続用の端子と導電板と温度制御用バイメタル板と温度過昇防止用バイメタル板を保持部材により一体化できるので、ケース内への部品の組込みが容易となり、組立て性の良いものとすることができる。
【0030】
その結果、組立てにかかる費用を削減でき、安価なものとすることができる。
【0031】
第4の発明は、支持体と、支持体に配置された採暖用ヒータと、前記採暖用ヒータの温度制御機能と過昇防止機能を有するサーモスタットと、前記サーモスタットを加熱する補助ヒータからなるシートヒータにおいて、前記サーモスタットを、第1から第3の発明のいずれかのサーモスタットとしたものである。
【0032】
かかる構成とすることにより、サーモスタットの取り付け性が向上できるとともに、安価なサーモスタットの採用により、安価なシートヒータを得ることができる。
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるサーモスタットの正面図、図2は、同サーモスタットの側面図、図3は、同サーモスタットの内部構造を示す平断面図、図4は、同サーモスタットの図1のA−A線での断面図、図5は、同サーモスタットの図1のB−B線での断面図、図6は、同サーモスタットの温度制御用バイメタル板の平面図、図7は、同サーモスタットの温度過昇防止用バイメタル板の平面図である。
【0035】
図1から図7において、サーモスタット1は、外郭を形成するケース2と、ケース2の内部に納められた温度制御回路3と温度制御回路3と並んだ位置のケース2内に配置された温度過昇防止回路4と、温度制御回路3と温度過昇防止回路4を直列に接続する導電板5を具備している。
【0036】
そして、温度制御回路3は、設定された温度にて反転動作を行う温度制御用バイメタル板6と、シートヒータ等の熱機器と電気的接続を行う為の端子7と、一端が端子7にカシメにより固定されている温度制御用可動接点板8と、温度制御用可動接点板8の他端にカシメにより固定されている可動接点9と、可動接点9と接触する位置に導電板5にカシメにて固定されている固定接点10を具備している。
【0037】
また、温度制御用バイメタル板6は、耐久信頼性の高い円形状とし、耐久信頼性を損わない範囲で一部に切り欠き部6aを有している。
【0038】
そして、過昇防止回路4は、温度制御用バイメタル板6より高い温度にて反転動作を行うよう設定された温度過昇防止用バイメタル板11と、シートヒータ等の熱機器と電気的接続を行う為の端子12と、一端が端子12にカシメにより固定されている温度過昇防止用可動接点板13と、温度過昇防止用可動接点板13の他端にカシメにより固定されている可動接点14と、可動接点14と接触する位置に導電板5にカシメにて固定されている固定接点15を具備している。
【0039】
また、温度過昇防止用バイメタル板11は、温度制御用バイメタル板6に比べ、耐久信頼性の劣る矩形状としている。
【0040】
さらに、導電板5の一部に検査用端子16を形成し、検査用端子16はケース2の凹部2aに位置し、特性検査機等と接続可能なようにケース2より露出しており、ケース2と検査用端子16の隙間は樹脂のポッティング材17にて埋められている。
【0041】
そして、端子7と端子12および導電板5はインサート成形にて形成された樹脂製の保持部材18にて一体に保持するとともに、ケース2の一端に端子7と12が並んで配置し、検査用端子16は、端子7および端子12の反対側に配置するよう保持している。また、保持部材18の一端に設けられたフランジ部18aが、ケース2の開口部2bを塞ぐように嵌合している。さらに保持部材18は、温度制御用バイメタル板6を設置し位置決めを行うための凹部18bと温度過昇防止用バイメタル板11を設置し位置決めを行う為の凹部18cを有している。
【0042】
また、端子7および端子12にはスポット溶接にてリード線19とリード線20が接続されており、接続部は樹脂のポッティング材21にて固定されるとともに、電気的に絶縁されている。
【0043】
本実施の形態のサーモスタット1は、外郭を形成するケース2内に、温度制御用バイメタル板6の反転動作により接点9,10の開閉動作を行う温度制御回路3と、温度制御用バイメタル板6より動作温度を高く設定した過昇防止用バイメタル板11の反転動作により接点14,15の開閉動作を行う過昇防止回路4と、温度制御回路3と過昇防止用回路4とを直列に接続する導電板5と、温度制御回路3と過昇防止用回路4の両方の反導電板側の一端にそれぞれ設けられた接続用の端子7,12と、温度制御回路3および温度過昇防止回路4の一端に設けた接続用の端子7,12と導電板5を一体に保持すると共に温度制御用バイメタル板6と温度過昇防止用バイメタル板11を位置決めして設置するための凹部18b,18cが2箇所形成された樹脂製の保持部材18を有するサーモスタット1であって、温度制御用バイメタル板6を略円形状とし、温度過昇防止用バイメタル板11を、温度制御用バイメタル板6と隣接する方向の寸法が温度制御用バイメタル板6と隣接する方向に垂直な端子12方向の寸法より小さい矩形状としたものであり、略円形状の温度制御用バイメタル板6を、温度過昇防止用バイメタル板11と隣接する方向の寸法が小さくなるように、円形状の一部に切り欠き部6aを有する形状としたものである。
【0044】
以上のように構成されたサーモスタット1の動作について説明する。
【0045】
サーモスタット1がシートヒータ等の熱機器により熱せられ一定の温度に達することにより、温度制御用バイメタル板6が反転し、温度制御用可動接点板8が押し上げられ、温度制御用可動接点板8に固定されている可動接点9が、導電板5に固定されている固定接点10から離れ、導通を切断することにより、シートヒータ等の熱機器への通電を停止し、設定温度以上に温度が上がらないようにする。
【0046】
次に、シートヒータ等の熱機器への通電が停止したことにより、サーモスタット1の周囲温度が下がり、一定の温度に達すると、温度制御用バイメタル板6が逆転し、温度制御用可動接点板8が元の位置に戻る為、可動接点9と固定接点10が接し、再び導通することによりシートヒータ等の熱機器への通電を再開し、設定温度以下に温度が下がらないようにする。
【0047】
このような動作を繰り返すことで、シートヒータ等の熱機器の温度制御をしている。
【0048】
ここで、長期にわたる使用等で接点が摩耗し、可動接点9と固定接点10が溶着した場合には、温度制御が不能となり、不安全になる危険性があるが、可動接点9と固定接点10が溶着した場合には、温度制御用バイメタル板6より動作温度を高く設定した所定の温度で温度過昇防止用バイメタル板11が反転し、温度過昇防止用可動接点板13を押し上げられ、温度過昇防止用可動接点板13に固定されている可動接点14が、導電板5に固定されている固定接点15から離れることでシートヒータ等の熱機器への通電を停止し、シートヒータ等の熱機器の異常発熱を防止している。
【0049】
かかる動作は、周知の動作内容であるので、詳細な説明を省略する。
【0050】
したがって、上記構成からなるサーモスタット1は、温度制御用バイメタル板6を有する温度制御回路3により、シートヒータ等の熱機器の温度制御をし、温度制御回路3に不具合が生じた場合は、温度過昇防止用バイメタル板11を有する温度過昇防止回路4にて異常発熱を防止し、安全を確保するという二重安全を確保することができる。
【0051】
また、温度制御用バイメタル板6は、耐久信頼性の高い円形状とし、温度過昇防止用バイメタル板11は、温度制御用バイメタル板6と隣接する方向の寸法が温度制御用バイメタル板6と隣接する方向に垂直な端子12方向の寸法より小さい矩形状としているため、温度過昇防止用バイメタル板の幅寸法が小さくなることにより、サーモスタット1の幅寸法Xを小さくすることができる。したがって、シートヒータ等への取り付けスペースが小さくなり、取り付けを容易に行うことができ、さらにはケース2が小さくなることにより、材料費の削減ができ、安価なもととすることができる。
【0052】
ここで、温度過昇防止用バイメタル板11を矩形状にすることにより、円形状に比べ耐久信頼性が低下するが、温度過昇防止回路4は温度制御回路3に不具合が発生した場合の保護回路であり、温度過昇防止用バイメタル板11は、実際には、ほとんど反転動作をすることがなく、サーモスタット1の信頼性を損うものとはならない。
【0053】
また、円形上の温度制御用バイメタル板6は、耐久信頼性を損わない範囲で一部に切り欠き部6aを有する形状としているため、切り欠き部6aにより温度制御用バイメタル板11の直径に比べ小さくなる部分をケース2の幅寸法側に位置するよう構成することにより、サーモスタット1の幅寸法Xをさらに小さくすることができる。したがって、シートヒータ等への取り付けスペースがさらに小さくなり、取り付けを容易に行うことができ、さらにはケース2がさらに小さくなることにより、材料費の削減ができ、安価なものとすることができる。
【0054】
また、端子7と端子12および導電板5を保持部材18により一体に保持し、保持部材18の凹部18bに温度制御用バイメタル板6を設置し、保持部材18の凹部18cに温度過昇防止用バイメタル板11を設置した構成により、温度制御回路3と温度過昇防止回路4と導電板5を保持部材18により一体化しているので、各部品を別々に組み込む必要が無く、ケース2内への部品の組込みが容易となり、組立てにかかる費用を削減でき、安価なものとすることができる。
【0055】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態3におけるシートヒータの構成を示す平面図、図9は同シートヒータの回路図である。なお、ここでは、サーモスタットを実施の形態1のサーモスタットとし、実施の形態1の構成要件と同様の構成要件には同一の符号を付して説明する。
【0056】
図8、図9において、シートヒータ31は、クッション用ヒータユニット32とバック用ヒータユニット33を具備している。
【0057】
クッション用ヒータユニット31は、座席の座部を加熱するクッション採暖用ヒータ34と、温度制御機能と温度過昇防止機能を有するサーモスタット1とサーモスタット1を加熱するための補助ヒータ35と、クッション採暖用ヒータ34とサーモスタット1と補助ヒータ35を保持する布製の支持体36を具備している。
【0058】
バック用ヒータユニット33は、座席の背部を加熱するバック採暖用ヒータ37と、バック採暖用ヒータ37を保持する布製の支持体38を具備している。
【0059】
以上のように構成されたシートヒータ31の動作について説明する。
【0060】
クッション用ヒータユニット32およびバック用ヒータユニット33に通電すると、補助ヒータ35によりサーモスタット1が加熱されるため、サーモスタット1が所定の温度に達すると、サーモスタット1の温度制御用バイメタル板6が反転し、温度制御回路3の導通を切断することで、クッション採暖用ヒータ34とバック採暖用ヒータ37および補助ヒータ35への通電を停止する。次に、補助ヒータ35への通電が停止され、サーモスタット1が所定の温度に低下すると、サーモスタット1の温度制御用バイメタル板6が逆転し、温度制御回路3が再び導通することで、クッション採暖用ヒータ34とバック採暖用ヒータ37および補助ヒータ35への通電を再開する。このような動作を繰り返すことで、シートヒータ31の温度を制御している。
【0061】
ここで、長期にわたる使用等で、サーモスタット1の温度制御回路3の可動接点9と固定接点10が溶着した場合には、サーモスタット1の温度過昇防止用バイメタル板11が所定の温度で反転し、温度過昇防止回路4がOFFすることで、クッション採暖用ヒータ34とバック採暖用ヒータ37および補助ヒータ35への通電を停止し、安全を確保するという二重安全を確保することができる。
【0062】
かかる動作は、周知の動作内容であるので、詳細な説明を省略する。
【0063】
したがって、シートヒータ31に、実施の形態1の構成からなる温度制御用バイメタル板6を円形で一部に切り欠き形状6aを有する形状とし、温度過昇防止用バイメタル11を矩形状とすることにより、幅寸法が小さく取り付けが容易で安価なサーモスタット1を用いることにより、信頼性を落とすことなく安価なものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明にかかるサーモスタットは、幅寸法が小さく、シートヒータ等への取り付けが容易で、材料費が削減でき、安価であるので、シートヒータに限らず、熱機器の温度制御および温度過昇防止を行う用途に広く適用できる。
【符号の説明】
【0065】
1 サーモスタット
2 ケース
3 温度制御回路
4 温度過昇防止回路
5 導電板
6 温度制御用バイメタル板
6a 切り欠き部
7 端子
9 可動接点(接点)
10 固定接点(接点)
11 温度過昇防止用バイメタル板
12 端子
14 可動接点(接点)
15 固定接点(接点)
18 保持部材
18b 凹部
18c 凹部
31 シートヒータ
34 クッション採暖用ヒータ(採暖用ヒータ)
35 補助ヒータ
36 バック採暖用ヒータ(採暖用ヒータ)
37 支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭を形成するケース内に、温度制御用バイメタル板の反転動作により接点の開閉動作を行う温度制御回路と、前記温度制御用バイメタル板より動作温度を高く設定した過昇防止用バイメタル板の反転動作により接点の開閉動作を行う過昇防止回路と、前記温度制御回路と前記過昇防止用回路とを直列に接続する導電板と、前記温度制御回路と前記過昇防止用回路の両方の反導電板側の一端にそれぞれ設けられた接続用の端子とを有するサーモスタットであって、前記温度制御用バイメタル板を略円形状とし、前記温度過昇防止用バイメタル板を前記温度制御用バイメタル板と隣接する方向の寸法が前記温度制御用バイメタル板と隣接する方向に垂直な端子方向の寸法より小さい矩形状としたサーモスタット。
【請求項2】
前記略円形状の温度制御用バイメタル板を、前記温度過昇防止用バイメタル板と隣接する方向の寸法が小さくなるように、円形状の一部に切り欠き部を有する形状とした請求項1に記載のサーモスタット。
【請求項3】
前記温度制御回路および前記温度過昇防止回路の一端に設けた接続用の端子と前記導電板を一体に保持すると共に前記温度制御用バイメタル板と前記温度過昇防止用バイメタル板を設置するための凹部が2箇所形成された樹脂製の保持部材を有する請求項1または2に記載のサーモスタット。
【請求項4】
支持体と、支持体に配置された採暖用ヒータと、前記採暖用ヒータの温度制御機能と過昇防止機能を有するサーモスタットと、前記サーモスタットを加熱する補助ヒータからなるシートヒータにおいて、前記サーモスタットを、請求項1から3に記載のいずれか一項に記載のサーモスタットとしたシートヒータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−198485(P2011−198485A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60620(P2010−60620)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】