説明

シクロアルキルアルキルエーテル化合物の製造方法

【課題】安全に取り扱うことができ、多くの有機溶剤と混合し、油脂、ロウ、天然樹脂等の種々の汚染性有機物を溶解し、かつ、大気中で速やかに分解し、オゾン層に悪影響を与えない新規洗浄溶剤、反応溶剤、抽出溶剤、電子・電気材料用の溶剤及び剥離剤等として有用なシクロアルキルアルキルエーテル化合物を、工業的に有利に製造する方法を提供する。
【解決手段】(A)式:R−O−R(式中、Rはシクロペンチル基等を表し、Rは炭素数1〜10のアルキル基等を表す。)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物(1)の少なくとも1種を含有してなる溶剤、及び(B)含水量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂の存在下に、脂環式オレフィンとアルコール類とを反応させることを特徴とするシクロアルキルアルキルエーテル化合物(1)の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロアルキルアルキルエーテル化合物を含有してなる溶剤、及び該シクロアルキルアルキルエーテル化合物を製造する方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、電子部品及び精密機械部品等の洗浄溶剤、種々の化学反応の反応溶剤、各種混合物から目的とする有機物を抽出する抽出溶剤、電子・電気材料の溶剤、剥離剤等として有用なシクロアルキルアルキルエーテル化合物を含有してなる溶剤、及び本発明の溶剤を用いる物品の洗浄方法、有機金属反応方法、グリニャール反応方法、有機化合物の抽出方法、電子・電気材料用部品の製造方法、並びにこのシクロアルキルアルキルエーテル化合物を工業的に有利に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器や精密機械等の製造時に、その電気特性や機械特性の低下防止等のために洗浄溶剤による洗浄が行なわれている。このような目的に使用される洗浄溶剤としては、これまで化学的に安定な塩素系あるいはフロン系の溶剤が主に使用されてきたが、これらは、安全性、毒性、環境汚染面に大きな問題があり、その使用が制限されているものが多い。
【0003】
また、これらの代替として、安全で、毒性が少なく、環境汚染の問題の少ない洗浄溶剤又は洗浄溶剤組成物も提案されている。例えば、特許文献1〜5等に記載された洗浄溶剤又は洗浄溶剤組成物が挙げられる。
【0004】
しかしながら、これらの洗浄溶剤は、特に油脂類に対する洗浄力において十分なものとはいえない。従って、安全面及び洗浄力の両面に優れた新しい洗浄溶剤の開発が求められている。
【0005】
従来、グリニャール反応等の種々の有機合成学反応(以下、単に「反応」という。)の反応溶剤として、非プロトン性極性溶剤であるエーテル系溶剤が広く使用されている。エーテル系溶剤としてはテトラヒドロフラン(THF)が代表的なものであるが、このものは適度な沸点を有する非プロトン性極性溶剤であり、特にグリニャール反応や有機リチウム等を用いる反応等の反応溶剤として汎用されている。
【0006】
しかし、THFを反応溶剤として用いる場合には、反応液に水を加えた場合に、THFが水と相溶性を有し、また、共沸混合物を形成するために、反応混合物からTHFを分離することが困難となる。工業的に共沸混合物を分離するには、エントレーナー及び帯同剤を添加した特殊な蒸留方法が必要であり、少なくとも2本以上のカラム及びデカンター等の周辺設備が要求されるため、操作が煩雑であり、かつ高コストとなる問題がある。
【0007】
また、例えば、フェニルマグネシウムブロミド(PhMgBr)等のグリニャール試薬とアセトン等のエノール化し易いケトンとの反応のようなグリニャール反応に、反応溶剤としてTHFを使用した場合、目的とする求核反応よりも副反応である自己アルドール縮合反応が優先し、目的とする求核反応生成物(α,α−ジメチルベンジルアルコール)が低収率でしか得られない場合があった。従って、使用後の回収性及び反応選択性に優れる反応溶剤の開発が求められている。
【0008】
従来、混合物から適当な抽出溶剤を使用して、所望の化合物を抽出する溶剤抽出方法がよく知られている。また、用いられる抽出溶剤も、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等のエーテル類等、種々のものが知られている。
【0009】
このような抽出溶剤としては、一般的に、(i)抽出条件下で不活性であって、(ii)抽出物の溶解力に優れ、(iii)適度な沸点を有し、溶剤抽出操作時において溶剤の蒸気を吸引する危険性が少なく、かつ溶剤の蒸発除去が容易であり、(iv)環境を汚染する問題の少ないものが求められる。
【0010】
しかしながら、現在使用されている抽出溶剤の中で、これらの全てを十分に満足するものは少ない。例えば、ジクロロメタンやクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類は、種々の有機化合物に対する溶解力に優れる抽出溶剤であるが、一般的に毒性が強く、しかも低沸点であるため、抽出作業時において溶剤蒸気を吸入するおそれや、揮散して自然環境を汚染する問題がある。また、酢酸エチル等のエステル類やトルエン等の芳香族炭化水素類も汎用性に富む抽出溶剤であるが、中程度の極性を有する有機化合物に対する溶解力が不十分であり、抽出効率が劣る場合があった。従って、抽出作業効率及び環境安全性の観点から有利な新しい抽出溶剤の開発が要望されている。
【0011】
従来、電子・電気材料等の溶剤や剥離剤として、芳香族炭化水素系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤等のさまざまな有機溶剤が使用されている。このような溶剤や剥離剤としては、電子・電気材料に対する溶解性又は分散性が高く、安全で環境を汚染する問題が少ないものであることが望ましい。
【0012】
しかしながら、現在使用されている溶剤や剥離剤は、電子・電気材料に対する溶解性又は分散性が不十分であったり、毒性が強く、環境を汚染する問題があるものも少なくない。従って、電子・電気材料に対する溶解性が高く、安全で、環境を汚染する問題が少ない新しい電子・電気材料用の溶剤及び剥離剤の開発が求められている。
【0013】
また、従来、オレフィンとアルコールの付加反応によるエーテル類の製造方法として、例えば、触媒として結晶性アルミノシリケートを用いる方法(特許文献6)、触媒としてゼオライト系のHZSM−5を用いる方法(特許文献7)、触媒として外表面酸点の多い特殊なアルミノシリケートを用いる方法(特許文献8)、及び、触媒として、ヘテロポリ酸の有する結晶水を該ヘテロポリ酸1分子あたり平均3.0分子以下に調整されたタングステンの酸化物を用いる方法(特許文献9)等が知られている。
【0014】
しかしながら、これらの方法で用いる触媒は活性が不十分であり、特に脂環式オレフィンを出発原料としてシクロアルキルアルキルエーテル化合物を製造する場合において、このものを工業的に満足できる選択率及び転化率で目的物を得ることができなかった。
【0015】
また、オレフィンとアルコールの付加反応によるエーテル類の製造方法として、酸性イオン交換樹脂を使用する方法が古くから知られている。しかしながら、従来の酸性イオン交換樹脂を用いる方法では、例えば、特許文献10にも記載されているように、副反応としてオレフィンの異性化を伴ったり、使用する樹脂が熱に不安定であるという問題を有していた。
【0016】
【特許文献1】米国特許第4,511,488号公報
【特許文献2】米国特許第4,640,719号公報
【特許文献3】米国特許第4,740,247号公報
【特許文献4】特開平3−62897号公報
【特許文献5】特開平6−49495号公報
【特許文献6】特開昭59−25345号公報
【特許文献7】米国特許第4,306,100号公報
【特許文献8】特開昭61−249945号公報
【特許文献9】特開平5−163188号公報
【特許文献10】特開平5−163188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、(a)安全に取り扱うことができ、多くの有機溶剤と混合し、油脂、ロウ、天然樹脂等の種々の汚染性有機物を溶解し、かつ、大気中で速やかに分解し、オゾン層に悪影響を与えない新規洗浄溶剤、(b)使用後の回収性及び反応選択性に優れる反応溶剤、(c)抽出作業効率及び環境安全性の観点から有利な抽出溶剤、(d)電子・電気材料に対する溶解性又は分散性が高く、安全で環境を汚染する問題が少ない電子・電気材料用の溶剤、及び(e)OPC(Organic Photo Conductor)ドラムから感光層を剥離する場合や、接着剤により治具に接着された半導体材料等を接着剤及び治具から剥離する場合等に用いられる剥離剤となり得る溶剤を提供することを第1の課題とする。
【0018】
また、本発明は、洗浄溶剤、反応溶剤、抽出溶剤、電子・電気材料用の溶剤及び剥離剤等として有用なシクロアルキルアルキルエーテル化合物を、工業的に有利に製造する方法を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、シクロアルキルアルキルエーテル化合物が、(1)適度な沸点を有し、安全に取り扱うことができ、大気中で速やかに分解し、オゾン層に悪影響を与えず、かつ、多くの有機溶剤と混合し、油脂類、ロウ、天然樹脂等に対する溶解力に優れること、(2)使用後の回収性に優れ、しかもグリニャール反応等の有機合成化学反応に用いられた場合、目的物を良好な収率で与える反応溶剤となること、(3)抽出作業効率及び環境安全性の面から優れた抽出溶剤となること、(4)電子・電気材料に対して優れた溶解力又は分散力を有し、毒性が少なく、環境を汚染する問題が少ない電子・電気材料用の溶剤となること、及び(5)感光剤、有機接着剤、感光性レジスト、有機絶縁材料に対し優れた溶解力を有し、毒性が低く、かつ環境を汚染する問題が少ない剥離剤となることを見出した。
【0020】
また、本発明者らは、脂環式オレフィンとしてシクロペンテンを、アルコール類としてメタノールをそれぞれ用い、含水量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂触媒の存在下に反応させると、目的とするシクロペンチルメチルエーテルを、高選択率、かつ高転化率で得ることができることを見出した。そして、これらの知見に基づいて更に検討を進め、本発明を完成するに到った。
【0021】
かくして本発明の第1によれば、式(1):R−O−R(式中、Rは置換基を有していてもよいシクロペンチル基又は置換基を有していてもよいシクロヘキシル基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物の少なくとも1種を含有してなる溶剤が提供される。
【0022】
本発明においては、前記式(1)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物が、式(2):R−O−R(式中、Rは前記と同じ意味を表し、Rは炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物であるのが好ましく、式(3):R−O−R(式中、Rはシクロペンチル基を表し、Rは前記と同じ意味を表す。)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物であるのがより好ましい。
【0023】
本発明の溶剤は、洗浄用溶剤、反応用溶剤、抽出用溶剤、電子・電気材料用溶剤又は剥離用溶剤であるのが好ましく、本発明の溶剤が反応用溶剤である場合には、有機金属反応用溶剤又はグリニャール反応用溶剤であるのがより好ましい。
また、本発明の溶剤は、水分含有量が100ppm以下のものであるのが好ましく、酸化防止剤をさらに含有するものであるのがより好ましい。
【0024】
本発明の第2によれば、本発明の溶剤を用いることを特徴とする有機金属反応方法が提供される。
本発明の第3によれば、本発明の溶剤を用いることを特徴とするグリニャール反応方法が提供される。
本発明の第4によれば、本発明の溶剤を用いることを特徴とする有機化合物の抽出方法が提供される。
【0025】
本発明の第5によれば、本発明の溶剤を用いることを特徴とする物品の洗浄方法が提供される。
本発明の第6によれば、本発明の溶剤を用いることを特徴とする電子・電気材料用部品の製造方法が提供される。
また、本発明の第7によれば、含水量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂の存在下に、脂環式オレフィンとアルコール類とを反応させることを特徴とする、前記式(1)、式(2)又は式(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明のシクロアルキルアルキルエーテル化合物を含有してなる溶剤は、(1)種々の有機溶剤と混合し、油脂、ロウ、天然樹脂の溶解力に優れ、(2)塩素やフッ素等のハロゲン原子を有しないため、大気中で分解してもオゾン層に悪影響を与えることはなく、(3)適度な沸点を有するので、洗浄溶剤としての取扱い性にも優れ、(4)反応溶剤として使用後の回収性に優れ、しかもグリニャール反応等の有機化学反応に用いられた場合、目的物を良好な収率で与え、かつ、(5)抽出作業効率及び環境安全性の面から優れている。従って、本発明の溶剤は、電子部品、精密機械部品等の洗浄溶剤、種々の化学反応の反応溶剤、混合物から目的とする有機物を抽出する抽出溶剤、電子・電気材料の溶剤及び剥離剤として有用である。また、本発明の製造方法によれば、目的とするシクロアルキルアルキルエーテル化合物を工業的に有利に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
1)シクロアルキルアルキルエーテル化合物を含有してなる溶剤
本発明の溶剤は、前記式(1)、好ましくは前記式(2)、より好ましくは前記式(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物(以下、単に「シクロアルキルアルキルエーテル化合物」という場合がある。)の1種又は2種以上を含有してなることを特徴とする。
(A)シクロアルキルアルキルエーテル化合物
前記式(1)及び式(2)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物において、Rは、置換基を有していてもよいシクロペンチル基又は置換基を有していてもよいシクロヘキシル基を表す。
【0028】
置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
【0029】
の具体例としては、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基;2−メチル−シクロペンチル基、3−エチル−シクロヘキシル基、3−sec−ブチル−シクロペンチル基、2−tert−ブチル−シクロヘキシル基等のアルキルシクロペンチル基又はアルキルシクロヘキシル基;3−メトキシ−シクロペンチル基、3−エトキシ−シクロヘキシル基、2−sec−ブトキシ−シクロペンチル基、3−tert−ブトキシ−シクロヘキシル基等のアルコキシシクロペンチル基又はアルコキシシクロヘキシル基;3−メチルチオ−シクロペンチル基、3−エチルチオ−シクロヘキシル基、2−sec−ブチルチオ−シクロペンチル基、3−tert−ブチルチオ−シクロヘキシル基等のアルキルチオシクロペンチル基又はアルキルチオシクロヘキシル基;2−クロロ−シクロペンチル基、3−クロロ−シクロペンチル基、2−ブロモ−シクロヘキシル基、3−ブロモ−シクロヘキシル基等のハロゲン化シクロペンチル基又はハロゲン化シクロヘキシル基;等が挙げられる。
【0030】
前記式(1)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物において、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。
【0031】
の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;メトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−エトキシ−tert−ブチル基、2−エトキシ−n−ヘキシル基等のアルコキシアルキル基;2−メトキシ−シクロプロピル基、3−エトキシ−シクロヘキシル基等のアルコキシシクロアルキル基;メチルチオメチル基、1−メチルチオエチル基、2−メチルチオ−tert−ブチル基、4−メチルチオ−n−ヘキシル基等のアルキルチオアルキル基;2−メチルチオ−シクロプロピル基、3−エチルチオ−シクロヘキシル基等のアルキルチオシクロアルキル基;クロロメチル基、ブロモメチル基、1−クロロエチル基、2−ブロモ−tert−ブチル基、2−クロロ−n−ヘキシル基等のハロゲン化アルキル基;2−クロロ−シクロプロピル基、3−ブロモ−シクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;等が挙げられる。
【0032】
前記式(2)及び式(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物において、Rは、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。
【0033】
の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;等が挙げられる。
【0034】
本発明において、Rはシクロペンチル基を表す。
【0035】
本発明においては、前記式(1)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物の中でも、洗浄効果、環境に対する安全性、反応選択性、抽出効果、揮発性、化学的安定性、製造コスト等の観点から、前記式(2)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物が好ましく、前記式(3)で表されるシクロアルキルアルキエルエーテル化合物がより好ましい。
【0036】
本発明においては、前記式(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物の中でも、Rが炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数3〜6のシクロアルキル基であるシクロアルキルアルキルエーテル化合物が好ましく、シクロペンチルメチルエーテル(以下、「CPME」と略す。)、シクロペンチルエチルエーテル又はジシクロペンチルエーテルがさらに好ましく、CPMEが特に好ましい。
(B)シクロアルキルアルキルエーテル化合物の製造方法
シクロアルキルアルキルエーテル化合物の多くは公知物質であり、公知の製法により製造することができる。
【0037】
具体的には、(a)塩基の存在下に、前記Rと同じ置換基を有していてもよいシクロペンチルアルコール(以下、「シクロペンチルアルコール類」と略す。)又は前記Rと同じ置換基を有していてもよいシクロヘキシルアルコール(以下、「シクロヘキシルアルコール類」と略す。)に、アルキル化剤を反応させる方法、(b)固体酸の存在下に、前記Rと同じ置換基を有していてもよいシクロペンテン(以下、「シクロペンテン類」と略す。)又は前記Rと同じ置換基を有していてもよいシクロヘキセン(以下、「シクロヘキセン類」と略す。)を、式:R’OH(式中、R’は水素原子、前記Rと同じ置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は前記Rと同じ置換基を有していてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。)で表される化合物と接触させる方法、等により製造することができる。これらの中でも、経済性及び多量の塩基の消費を必要としない(b)の製造方法が好ましい。
【0038】
前記(a)の製法において用いるアルキル化剤としては、例えば、ハロゲン化アルキル、ジアルキル硫酸、アルキルスルホネート等が挙げられる。アルキル化剤の使用量は、シクロペンチルアルコール類又はシクロヘキシルアルコール類1モルに対して、通常0.9〜10倍モル、好ましくは1.1〜5.0倍モルの範囲である。
【0039】
アルキル化反応に用いる塩基としては、例えば、金属水素化物、アルカリ金属、炭酸塩、炭酸水素塩、有機塩基類等が挙げられる。塩基の使用量は、シクロペンチルアルコール類又はシクロヘキシルアルコール類1モルに対して、通常1〜10倍モル、好ましくは1〜5倍モルの範囲である。
【0040】
(a)の方法は無溶剤又は不活性溶剤中で行なうことができるが、不活性溶剤中で行なうのが好ましい。用いる溶剤としては非プロトン性の極性溶剤が好ましい。
【0041】
原料となるシクロペンチルアルコール類及びシクロヘキシルアルコール類は、市販品又は公知の方法により製造されたものを使用することができる。
【0042】
アルキル化反応は、不活性溶剤に所定量の塩基を懸濁又は溶解させ、そこへ、シクロペンチルアルコール類又はシクロヘキシルアルコール類を添加し、さらにアルキル化剤を添加する方法、あるいはシクロペンチルアルコール類又はシクロヘキシルアルコール類の不活性溶剤溶液に所定量の塩基を添加し、次いで、所定量のアルキル化剤を添加する方法等により行なうことができる。
【0043】
これらの場合においては、塩基を添加後、アルキル化剤を添加する前に、反応混合物を加熱撹拌等してシクロペンチルアルコール類又はシクロヘキシルアルコール類の塩を形成させるのが好ましい。反応は、通常、室温から用いられる溶剤の沸点までの温度範囲で、数分から数十時間かけて行なわれる。
【0044】
(b)の製造方法では、固体酸の存在下に、シクロペンテン類又はシクロヘキセン類(以下、「シクロペンテン類(シクロヘキセン類)」と略す。)と式:R’OHで表される化合物とを接触させる。
【0045】
シクロペンテン類の具体例としては、シクロペンテン、1−メチルシクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、1,3−ジメチルシクロペンテン、1−フルオロシクロペンテン、1−フェニルシクロペンテン等が挙げられる。また、シクロヘキセン類としては、シクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン、4−メチルシクロヘキセン、1,3−ジメチルシクロヘキセン、1−フルオロシクロヘキセン、4−クロロシクロヘキセン、1−フェニルシクロヘキセン、4−フェニルシクロヘキセンなどが挙げられる。これらの中でも、シクロペンテン又はシクロヘキセンが好ましく、シクロペンテンが特に好ましい。
【0046】
式:R’OHで表される化合物の具体例としては、水、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、n−プロパノール、2−クロロ−n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、3−メチルチオ−n−ブタノール、2−ブロモ−n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロプロピルアルコール、シクロペンチルアルコール、2−クロロシクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール等が挙げられる。
【0047】
式:R’OHで表される化合物の使用量は、シクロペンテン類(シクロヘキセン類)1モルに対して0.002〜11モル、好ましくは0.02〜7モルである。また、反応温度は、通常50〜200℃、好ましくは80〜180℃の範囲である。
【0048】
(b)の製造方法において用いる固体酸としては、例えば、酸性イオン交換樹脂や結晶性固体酸等が挙げられるが、酸性イオン交換樹脂の使用が好ましい。
【0049】
酸性イオン交換樹脂は、微細な三次元網目構造の高分子基体に酸性のイオン交換基を有する不溶性で多孔質の合成樹脂からなり、一般的に陽イオン交換樹脂と称されるものである。
【0050】
酸性イオン交換樹脂としては、スチレン系の高分子基体に、イオン交換基としてスルホン酸基を有する強酸性カチオンイオン交換樹脂;アクリル系やメタクリル系の高分子基体にイオン交換基としてアクリル酸基又はメタクリル酸基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂;等が挙げられる。また、酸性イオン交換樹脂は、酸性イオン交換樹脂の幾何学的構造面からの分類としてゲル型、ポーラス型、ハイポーラス型に大別することができるが、本発明においてはいずれの型のものも使用することができる。
【0051】
本発明に用いる酸性イオン交換樹脂の好ましい具体例としては、三菱化学(株)製のスチレン系強酸性陽イオン交換樹脂ゲル型DIAION SK1B、SK012、SK104、SK106、SK110、SK112、SK116;スチレン系強酸性陽イオン交換樹脂ポーラス型PK208、PK212、PK216、PK220、PK228;スチレン系強酸性陽イオン交換樹脂ハイポーラス型HPK25;耐熱性スチレン系強酸性陽イオン交換樹脂RCP145;三菱化学(株)製のアクリル酸系及びメタクリル酸系の弱酸性陽イオン交換樹脂 WK10、WK11、WK100、WT01S、WK40;三菱化学(株)製のスルホン酸系の陽イオン交換樹脂 UBK530、UBK550、UBK535、UBK555;バイエル社製のSPC系のスチレン系酸性陽イオン交換樹脂 SPC108、SPC118;バイエル社製の強酸性バイエルキャタリストゲル型K1221、K1431、K1481、K1491;強酸性バイエルキャタリストマクロポーラス型K2431、K2621、K2641;ローム・アンド・ハース社製のアンバーライト(XE−284)、オルガノ(株)製のAmberlyst15、等が挙げられる。
【0052】
これらの中でも、入手容易性及び取扱い性等の観点から、イオン交換基としてスルホン酸基を有するスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂の使用が好ましく、スチレン又はハロゲン化スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体を高分子基体とし、イオン交換基としてスルホン酸基を有するスルホン酸型スチレン系強酸性陽イオン交換樹脂の使用がより好ましい。
【0053】
酸性イオン交換樹脂の見かけ密度(g/L−R)は、通常500〜1000、好ましくは600〜900である。乾燥前の水含有量は、通常30〜70重量%である。また、酸性イオン交換樹脂の平均粒径は特に限定されず、後述する付加反応の反応管の内径に応じて適宜選択されるが、樹脂粒子の大きさは通常0.02mm〜10mm、好ましくは0.5mm〜2mmの範囲である。また、酸性イオン交換樹脂は、通常プロトン型で使用され、通常の再生処理を行なうことにより繰り返して使用することができる
本発明においては、これらの酸性イオン交換樹脂の中でも、水含有量が5重量%以下、好ましくは3重量%以下、特に好ましくは2重量%以下の酸性イオン交換樹脂を用いることが好ましい。水含有量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂を反応触媒として用いることにより、高い選択率及び転化率で目的とするシクロアルキルアルキルエーテル化合物を得ることができる。
【0054】
水含有量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂を得るには、使用前に予め乾燥して水分を除去すればよい。酸性イオン交換樹脂を乾燥する方法は、乾燥して水含有量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂が得られる方法であれば特に制約されない。
【0055】
乾燥する方法としては、通常の加熱脱水操作を採用できる。加熱脱水操作としては、例えば、(i)通常の乾燥機内に酸性イオン交換樹脂を収容し、50〜120℃、好ましくは80〜100℃で数分から数時間加熱する方法;(ii)酸性イオン交換樹脂を不活性な気体流通条件下に、所定温度(室温から100℃程度)で数分から数時間加熱乾燥する方法;及び(iii)前記(i)と(ii)の方法の組み合わせ;等が挙げられる。
【0056】
後者の方法において用いる不活性な気体としては、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。また、不活性な気体の流通速度は特に限定されないが、加熱温度での気体体積換算で装置内空間速度として、通常、0.01〜100vol/Hr・volである。
【0057】
また、水含有量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂を用いる場合には、前記シクロペンテン類(シクロヘキセン類)以外の他の脂環式オレフィンと、式:R’OHで表される化合物とを接触させて、対応するエーテル化合物を製造することもできる。
【0058】
他の脂環式オレフィンとしては、脂肪族系の炭素数3〜20の単環もしくは多環骨格を有し、かつ、これらの環骨格中に少なくとも1以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物(シクロペンテン類及びシクロヘキセン類を除く。)が挙げられる。さらに、これらの環骨格に、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、スルホン基、シアノ基などの置換基を有する脂環式オレフィンも用いることができる。他の脂環式オレフィンとしては、例えば、シクロヘプテン、1−メチルシクロヘプテン、1−フェニルシクロヘプテン等の7員環化合物;シクロオクテン、1−メチルシクロオクテン、1−フェニルシクロオクテン等の8員環化合物;等が挙げられる。
【0059】
酸性イオン交換樹脂の存在下に、シクロペンテン類(シクロヘキセン類)と式:R’OHとを接触させる方法は特に制限されない。例えば、シクロペンテン類(シクロヘキセン類)と式:R’OHとの混合物(以下、「混合物」ともいう。)に、酸性イオン交換樹脂を添加して撹拌する方法(バッチ式)や、酸性イオン交換樹脂をカラム内に充填し、該カラム(以下、「反応カラム」という。)中に混合物を流通させる方法(流通式)等を用いることができる。これらの中でも、作業効率及び連続的に反応生成物の精製を行なうことができる観点から、流通式を採用するのがより好ましい。
【0060】
前記混合物を調製するには、シクロペンテン類(シクロヘキセン類)と式:R’OHで表される化合物とを所定割合で混合すればよい。この場合、シクロペンテン類(シクロヘキセン類)と式:R’OHで表される化合物との混合液を予め調製しておき、それをタンクに貯蔵し、該タンクから反応カラムに気体状態又は液体状態で送り込むこともできるし、シクロペンテン類(シクロヘキセン類)と式:R’OHで表される化合物とを別々のタンクに貯蔵しておき、そこからシクロペンテン類(シクロヘキセン類)と式:R’OHで表される化合物とを別々に送液し、反応カラム内に送り込む直前に両者を混合することもできる。得られる混合物の含水量は、より効率よく目的物を得るためには少ない方が好ましいが、好ましくは1重量%以下、特に好ましくは500ppm以下である。
【0061】
バッチ式を採用する場合には、反応器に酸性イオン交換樹脂、シクロペンテン類(シクロヘキセン類)と式:R’OHで表される化合物とを所定量添加して、所定温度、所定圧力で反応混合物を撹拌する。この場合の酸性イオン交換樹脂の使用量は、通常、シクロペンテン類(シクロヘキセン類)100重量部に対し、0.01〜200重量部、好ましくは0.1〜150重量部、より好ましくは1〜100重量部の範囲である。
【0062】
バッチ式の場合、シクロペンテン類(シクロヘキセン類)と式:R’OHで表される化合物との使用割合は特に制約されないが、式:R’OHで表される化合物を過剰に用いるのが好ましい。バッチ式の場合には、混合物が加熱されている時間が長くなるため、シクロペンテン類(シクロヘキセン類)が過剰の状態で反応させると、シクロペンテン類(シクロヘキセン類)の重合物が生成するおそれがあるからである。シクロペンテン類(シクロヘキセン類)と式:R’OHで表される化合物との使用割合は、〔(シクロペンテン類(シクロヘキセン類))/(式:R’OHで表される化合物)のモル比で、通常1/1〜1/50、好ましくは1/1〜1/30、より好ましくは1/1〜1/20である。
【0063】
流通式を採用する場合には、混合物を反応カラム中に流通させる。この場合、用いるカラムは加熱装置を有するものを使用し、所定温度(反応温度)に加熱した反応カラム中に混合物を流通させる。また、混合物は液体状態で流通させることもできるし、気体状態で流通させることもできるが、目的物をより高選択率及び高転化率で得るためには、気体状態で流通させるのが好ましい。
【0064】
混合物を気体状態で反応カラム中に流通させる場合には、気相−固相反応が進行する。この反応を実施する方法としては、例えば、第1図(a)に示すように、混合液の貯蔵タンク1aから混合液を送液し、加熱・気化装置2aにより混合液を気体状態とし、気体状態で反応カラム3aに送り込む方法が挙げられる。複数の反応カラムを使用する場合には、反応カラムのみならず、反応カラム間を連結する連結管も所定温度に保温しておくのが好ましい。
【0065】
流通式により実施するより具体的な方法としては、例えば、第1図(a)に示すように、酸性イオン交換樹脂を充填した反応カラム3aを単独で用いる方法、第2図(b)に示すように、複数の酸性イオン交換樹脂を充填した複数の反応カラム3b、3cを直列に連結させて反応を行なう方法、第1図(c)に示すように、複数の反応カラム3d、3e、3fを直列と並列に連結して反応を行う方法等が挙げられる。複数の反応カラムを組み合わせる場合には、シクロペンテン類〔(シクロヘキセン類)又は式:R’OHで表される化合物〕の転化率をさらに向上させることができる。
【0066】
用いるカラムの大きさは特に限定されず、反応規模に応じて種々の大きさのものを選択して使用できる。複数の反応カラムを組み合わせて用いる場合には、それぞれのカラムに充填する酸性イオン交換樹脂は同じであっても、異なる種類のものであってもよい。
【0067】
また、混合物を酸性イオン交換樹脂を充填した反応カラム中を流通させる方法としては、第1図(b)に示すごとく、反応カラム3b、3cの上部から混合物を流通させるダウンフロー式であっても、第2図に示すごとく、反応カラム3b、3cの下部側から混合物を流通させるアップフロー式であってもよい。より高い転化率及び選択率で目的物が得られる観点から、ダウンフロー方式が好ましい。
【0068】
混合物が反応カラム中を通過するときの圧力は、通常、常圧から30MPa、好ましくは常圧から10MPa、より好ましくは常圧から5MPaの範囲である。また、流通式を採用する場合における混合物の空間速度は、混合物が液状の場合(LHSV)は、通常0.01〜100hr−1、好ましくは0.1〜20hr−1の範囲であり、混合物がガス状の場合(GHSV)は、通常0.01〜40,000hr−1、好ましくは0.1〜8,000hr−1の範囲である。また、複数の反応カラムを使用する場合には、反応温度、流通速度などを反応カラム毎に変化させることができる。
【0069】
流通式の場合、シクロペンテン類(シクロヘキセン類)と式:R’OHで表される化合物との使用割合は特に制約されないが、シクロペンテン類(シクロヘキセン類)を過剰に用いるのが好ましい。流通式の場合は、混合物が加熱されている時間が短いので、シクロペンテン類(シクロヘキセン類)が重合することがない一方で、式:R’OHで表される化合物を過剰に用いると、ジアルキルエーテルの副生量が増大するからである。シクロペンテン類(シクロヘキセン類)と式:R’OHで表される化合物との使用割合は、〔シクロペンテン類(シクロヘキセン類)〕/(式:R’OHで表される化合物)のモル比で、通常1/3〜20/1、好ましくは1/3〜10/1、より好ましくは1/3〜5/1、さらに好ましくは1/3〜3/1である。
【0070】
反応終了後は、反応液を溶媒抽出、蒸留等の通常の分離・精製方法によって、目的とするシクロアルキルアルキルエーテル化合物を単離することができる。蒸留は複数回行なってもよい。
【0071】
蒸留装置としては、例えば、精留塔を有する連続精留装置などの公知の蒸留装置を使用することができる。また、第3図に示すように、酸性イオン交換樹脂を充填した反応カラム3g中に混合液を流通させた後、得られた反応液を反応カラム3h中に通過させ、例えば、ラシヒリングを充填した蒸留装置4により連続的に蒸留することもできる。この方法によれば、未反応の脂環式オレフィン及びアルコール類を配管5により反応カラム3gに戻し、再度反応に供することができ、より高い転化率で目的物を得ることができる。
【0072】
前記(b)の製造方法においては、固体酸として結晶性固体酸を用いることもできる。結晶性固体酸は、珪素、リン、アルミニウム酸化物等が規則性をもって特定の化学構造単位及び形状単位を構成している無機酸性物質群の総称であり、天然又は合成ゼオライト等がこれに属する。
【0073】
結晶性固体酸としては、酸性もしくは中性のゼオライトが好ましく、これらは混合して用いることもできる。かかるゼオライトとしては、例えば、H−ZSM−5、Na−ZSM−5等で代表されるZSM系ゼオライト、Na−Y型ゼオライト、H−Y型ゼオライト、K−Y型ゼオライト、Na−X型ゼオライト、13X型ゼオライト等のフオージャサイト、H−モルデナイト、Na−モルデナイト、モレキュラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ5A、ホウ素、鉄、ガリウム、チタン、銅、銀等の異元素を含有するメタロアルミノシリケートやメタロシリケート等が挙げられる。また、リン酸骨格を有するSi置換リン酸アルミニウムゼオライト(SAPO)も使用可能である。これらは市販のものを用いてもよいし、公知の方法で調製して使用してもよい。
【0074】
ゼオライトとしては、通常、そのカチオン種がプロトン型であるものを用いるが、このものがMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、La、Ce等の希土類元素、Fe、Co、Ni、Ru、Pd、Pt等の周期律表第8〜10族元素の少なくとも1種のカチオン種で交換されたもの、あるいはTi、Zr、Hf、Cr、Mo、W、Th等を含有させたものも用いることができる。
【0075】
用いるゼオライトは、製造するシクロアルキルアルキルエーテル化合物の分子サイズにより、種々のものを適宜選択することができる。中でも、モレキュラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ5A、H−モルデナイト、Na−モルデナイト、ZSM−5等が好ましく、H−モルデナイト、Na−モルデナイト、ZSM−5等がより好ましく、ペンタシル構造を有するH型ゼオライトがさらに好ましく、ZSM系ゼオライトが特に好ましい。用いるゼオライトの細孔径は、通常2〜12Åであり、好ましくは2〜10Åである。ゼオライトの組成は特に限定されないが、シリカ/アルミナのモル比が10以上であるものが好ましく、20以上であるものがより好ましい。
【0076】
また、結晶性固体酸の形状は特に限定されず、粉末、粒状、成形体のいずれも使用できる。粉末のものは、一次粒子の粒子径が1μm以下であることが好ましく、これらの一次粒子は単独で存在していても二次凝集していてもよい。粒状物及び成形体の外観形状としては、球状、円盤状、円柱状、円筒状等が例示される。これらの平均粒径は特に限定されず、適宜選択すればよいが、通常1〜40mm、好ましくは2〜20mmの範囲である。比表面積も特に限定されず、通常1〜100m/gの範囲から適宜選択することができる。
【0077】
結晶性固体酸の使用量は、シクロペンテン類(シクロヘキセン類)100重量部に対して、通常0.001〜200重量部、好ましくは0.1〜200重量部、より好ましくは1.0〜150重量部の範囲である。
【0078】
結晶性固体酸を使用する方法は、流動床式、回分式、固定床流通式等の工業的に通常用いられる反応装置により行うことができる。回分式の場合、反応装置内の撹拌方法は特に制限されず、振動式、回転式等の公知の撹拌機を使用することができる。また、その振動数、回転数、撹拌強度等も適宜設定し得る。固定床流通式の場合、触媒は押し出し又は圧縮等により成形したものが好ましく用いられる。また、LHSV(Liquid Hourly Space Velocity)は、通常0.1〜5.0h−1、好ましくは0.5〜3.0h−1である。
【0079】
(b)の製造方法は無溶媒で行うこともできるし、原料のシクロペンテン類又はシクロヘキセン類を溶解し、水と混合しない不活性な溶媒で希釈して行なうこともできる。
【0080】
用いる溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカンなどの脂肪族飽和炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アニソール、クメン、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;シクロペンタン、アルキル置換シクロペンタン類、アルコキシ置換シクロペンタン類、ニトロ置換シクロペンタン類、シクロヘキサン、アルキル置換シクロヘキサン類、アルコキシ置換シクロヘキサン類、ニトロ置換シクロヘキサン類、シクロヘプタン、アルキル置換シクロヘプタン類、アルコキシ置換シクロヘプタン類、ニトロ置換シクロヘプタン類、シクロオクタン、アルキル置換シクロオクタン類、アルコキシ置換シクロオクタン類、ニトロ置換シクロオクタン類などの脂環式飽和炭化水素類;窒素、アルゴン、空気、ヘリウムなどが挙げられる。前記希釈剤の使用量は特に制限されず、反応を阻害しない範囲で任意の量を選択できる。溶媒の使用量は、通常、全反応液量の10〜90容量%、好ましくは20〜80容量%である。
(C)シクロアルキルアルキルエーテル化合物を含有してなる溶剤
本発明の溶剤は、シクロアルキルアルキルエーテル化合物の少なくとも1種を含有してなる。シクロアルキルアルキルエーテル化合物の含有量は、本発明の溶剤全体に対して、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上である。
【0081】
本発明の溶剤は、シクロアルキルアルキルエーテル化合物に加えて、他の液状有機化合物の1種又は2種以上を含有していてもよい。他の液状有機化合物としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、カルビトール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエ−テル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、モノグライム、ジグライム、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;ギ酸エステル、酢酸エステル等のエステル類;アセトニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ニトロベンゼン等のその他の有機窒素化合物類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の有機硫黄化合物類;テトラメチルシラン、テトラエチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の有機ケイ素化合物類;ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、ビシクロ[2,2,2]オクタン、ピナン、ジヒドロシクロペンタジエン、テトラヒドロジシクロペンタンジエン等の環式炭化水素;リモネン、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン等のテルペン系炭化水素類;等が挙げられる。
【0082】
他の液状有機化合物の含有量は、本発明の溶剤全体に対して、通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
【0083】
本発明の溶剤中の水分含有量は、100ppm以下であるのが好ましく、60ppm以下であるのがより好ましく、30ppm以下であるのがさらに好ましい。溶剤中の水分含有量が100ppmを越えると、本発明の溶剤を有機金属を用いる反応の反応用溶剤として使用する場合に、目的とする反応が収率よく進行しない場合がある。例えば、グリニャール反応においては、反応系内に、式:RaMgXa(式中、Raはアルキル基等を表し、Xaはハロゲン原子を表す。)で表されるグリニャール試薬を生成させて反応を行なうが、水分が多いと、このグリニャール試薬が収率よく生成しない。また、生成したグリニャール試薬は水と容易に反応するため、少なくとも溶剤中に残存する水分と当量のグリニャール試薬は水との反応により消費されてしまい、反応収率が低下する。
【0084】
本発明の溶剤の水分含有量を100ppm以下にする方法としては、例えば、未乾燥の本発明の溶剤を脱水剤と接触させる方法が挙げられる。
【0085】
用いる脱水剤としては、シクロアルキルアルキルエーテル化合物に対して安定なものであれば特に制約されず、従来公知のものを使用することができる。具体的には、モレキュラーシーブ(以下、「MS」と略す。)、活性アルミナ、シリカゲル等の吸着性多孔質物質や、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、塩化カルシウム等の中性もしくは中性に近い吸水性の塩が好適である。この中でも、短時間で効率よく脱水できる、MS、塩化カルシウム、無水硫酸マグネシウムが好ましく、MSが特に好ましい。
【0086】
従来から使用されているグリニャール反応用溶剤の代表的なものとして、テトラヒドロフラン(THF)が知られている。本発明者らが検討したところ、THFを工業的スケールでMS等の脱水剤と接触させて脱水しようとしても、THFの水分含有量を250ppm以下にすることは困難であった。これに対して、本発明の溶剤の場合には、MS等の脱水剤と接触させることにより、容易に水分含有量を30ppm以下にすることができる。従って、本発明の溶剤をグリニャール反応や有機金属反応の反応用溶剤として使用する場合には、THFと比較して高い反応収率を達成することができる。
【0087】
本発明の溶剤と脱水剤とを接触させる方法は特に限定されない。例えば、MS等の脱水剤をカラムに充填して、本発明の溶剤を通過させる流通式でも、攪拌機付きの容器に本発明の溶剤及び脱水剤を入れ、攪拌することにより接触させる回分式でも良い。本発明の溶剤中の水分含有量は、カールフィッシャー電量滴定法により求めることができる。
【0088】
本発明の溶剤は酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤を含有することにより、長期間保存したり、繰り返し蒸留回収しても、溶剤中の過酸化物量を100ppm以下に抑えることができる。また、本発明の溶剤を洗浄用溶剤として使用するには、洗浄効果を高めるために通常90℃以上の高温下で長時間継続使用したり、繰り返し蒸留回収を行なうが、酸化防止剤を添加しておくことにより、洗浄溶剤中の過酸化物が増加するのを防止することができる。すなわち、シクロアルキルアルキルエーテル化合物の少なくとも1種及び酸化防止剤を組み合わせることにより、高洗浄性能を有し、かつ安定性に優れた洗浄用溶剤を得ることができる。
【0089】
酸化防止剤の含有量は、使用条件等により異なり、広範囲に変えることが可能であるが、安定性、洗浄力、経済性等を考慮すると、本発明の溶剤全体に対して、0.0005〜5重量%であることが好ましい。
【0090】
用いる酸化防止剤としては、フェノール類、芳香族アミン、亜リン酸エステル等が挙げられるが、酸化防止性能及び経済性の観点から、フェノール類が好ましい。
【0091】
フェノール類としては、本発明の溶剤の加熱、汚れ、蒸留回収等における高温使用時の劣化を防ぐために必要な成分であり、該溶剤に悪影響を与えず、過酸化物の生成を抑制することができるものが選ばれる。
【0092】
フェノール類の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、チモール、ピロカテキン、4−メトキシフェノール、没食子酸n−プロピル、2−t−ブチルヒドロキノン等が挙げられる。これらの中でも、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールが特に好ましい。
【0093】
また、本発明の溶剤には、シクロアルキルアルキルエーテル化合物、前記他の液状有機化合物のほかに他の成分をさらに含有させてもよい。他の成分は、洗浄溶剤、反応溶剤、抽出溶剤、電子・電気材料の溶剤等の使用する用途に応じて、適宜選択することができる。
(D)洗浄用溶剤
前記式(1)、(2)又は(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物は、機械油、切削油、ロジン、ワックス類、高級脂肪酸等の広範囲な種類の有機化合物の溶解力に優れる。従って、本発明の溶剤は、油脂、樹脂、塗料、ラッカー、ワニス等の洗浄用溶剤として有用である。本発明の洗浄用溶剤中のシクロアルキルアルキルエーテル化合物の含有量は、通常70重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。
【0094】
本発明の溶剤が洗浄用溶剤の場合には、前記他の成分として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、防錆剤、研磨剤等を添加することができる。他の成分の配合量は、洗浄用溶剤全体に対して、通常0〜30重量%の範囲である。
【0095】
本発明の洗浄用溶剤は、精密機械工業、自動車工業、航空機工業、重機械工業、金属加工工業、金属組立工業、鉄鋼業、非鉄工業、鋼管工業、熱処理工業、メッキ工業、冶金工業、光学機械工業、事務機器工業、電子工業、電気工業、プラスチック工業、ガラス工業、セラミックス工業、印刷工業、繊維産業、クリーニング業等の分野における金属製、セラミック製、ガラス製、プラスチック製、エラストマー製、繊維製等のあらゆる物品の洗浄用溶剤として有用である。
【0096】
本発明の洗浄用溶剤により洗浄し得る物品の具体例としては、バンパー、ギアー、ミッション部品、ラジエーター部品等の自動車部品;電算機及びその周辺機器、家電機器、通信機器、OA機器、その他の電子応用機器等に用いられるプリント配線基板、IC部品、リードフレーム、抵抗器、リレー、リレー等の接点部材に用いられるフープ材、モーター部品、コンデンサー、液晶表示器、磁気記録部品、シリコンウエハーやセラミックウエハー等の半導体材料、水晶発振子等の電歪用部品、光電変換部品、ブラシ、ロータ、販売機等の発券用部品、販売機やキャッシュディスペンサー等の貨幣検査用部品等の電子・電気部品;超硬チップ、ベアリング、ギア、エンプラ製歯車、時計部品、カメラ部品、光学レンズ等の精密機械部品印刷機械、印刷機ブレード、印刷ロール、圧延機械、建設機械、大型重機部品等の大型機械部品;カメラや自動車等の精密樹脂加工品;食器、金具、工具、眼鏡フレーム、時計ベルト等の生活製品;繊維製品(染み抜き、原綿の脱脂、付着した油汚れやタンパク質の除去・クリーニング);ドライエッチング装置、常圧CVD(Chemical Vapor Deposition)装置、減圧CVD装置、プラズマCVD装置、光CVD装置、ドライエッチング装置、プラズマエッチング装置、RIE(Reactive Ion Etching)装置等の電子機器等の製造装置(付着した樹脂成分や油汚れの除去・クリーニング);等、多種多彩な例が挙げられる。
【0097】
また、本発明の洗浄用溶剤により洗浄除去可能な汚染物質は特に限定されない。例えば、切削油、水溶性切削油、焼き入れ油、熱処理油、圧延油、延伸油、潤滑油、防錆油、鍛造油、機械油、工作油、加工油、プレス加工油、打ち抜き油、型抜き油、引き抜き油、組立油、線引き油、極圧添加剤入りオイル、合成油(シリコン系、グリコール系、エステル系)等のオイル類、グリース類、ワックス類、塗料、インキ、ゴム、ニス、コーティング剤、研磨剤、接着剤、接着用溶剤、表面剥離材、油脂類、成型時の離型剤、アスファルトピッチ、手垢、指紋、タンパク質、ハンダ付け後のフラックス、レジスト、レジストの反射防止膜、光学レンズの保護膜、OPC(Organic Photo Conductor)ドラム感光剤、感光性樹脂(感光性レジスト等)、マスキング剤、コンパウンド、界面活性剤、ソルダーペースト、切削屑、切り粉、レンズピッチ(レンズ研摩剤)、金属粉、金属研摩剤、滑剤、各種樹脂(メラミン樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ロジン樹脂)、加工屑、バリ、樹脂粉、無機物粉、紙粉、パフ粉、パーティクル、イオン性の汚れ、ほこり(ダスト)、水分等が挙げられる。
【0098】
本発明の洗浄用溶剤は、例えば、浸漬法、超音波洗浄法、揺動法、スプレー法、
シャワー法、蒸気洗浄法、手拭き法等各種の洗浄方法において使用でき、かつ好ましい結果を得ることができる。これらの洗浄処理に際しては、必要に応じて撹拌、振動、ブラッシング等の物理的な手段を併用することができる。
【0099】
(E)反応用溶剤
前記式(1)、(2)又は(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物は、広範囲の化学物質やイオン性の物質に対して優れた溶解力を有し、かつ、種々の反応性物質に対して広い温度範囲において化学的に安定である。従って、本発明の溶剤は、種々の反応における反応用溶剤として有用である。
【0100】
本発明の反応用溶剤中のシクロアルキルアルキルエーテル化合物の含有量は、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上である。
【0101】
本発明の溶剤が反応用溶剤の場合、前記他の液状有機化合物として、例えば、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、脂環式炭化水素類、エーテル類、ニトリル類、アミド類等を添加することができる。前記他の液状有機化合物の含有量は、本発明の溶剤全体に対して、通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
【0102】
本発明の反応用溶剤を使用できる反応は特に制限されないが、本発明の反応用溶剤がエーテル化合物の1種であるシクロアルキルアルキルエーテル化合物を含有することから、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等の他のエーテル系溶剤を反応用溶剤として使用する反応に用いるのが好ましい。
【0103】
かかる反応としては、例えば、アニオン重合、カチオン重合、ラジカル重合等の各種重合反応、(コ)オリゴメリゼーション、酸化反応、還元反応、求核置換反応、親電子置換反応、転位反応、付加反応、脱離反応、付加脱離反応、挿入反応、異性化反応、分解反応、加溶媒分解反応、カップリング反応、メタセシス反応、カルベン反応、縮合反応、不斉合成反応、ペリ環状反応、光化学反応、電気化学反応、ラジカル反応、開環反応、閉環反応、開裂反応、水素化反応、エステル化反応、ハロゲン化反応、カルボニル化反応、ヘテロ環合成反応、脱水反応、水和反応、遷移元素又は典型元素の有機金属を用いる反応、金属触媒(金属錯体)を用いる化学反応、希土類を用いる反応等が挙げられる。
【0104】
これらの中でも、本発明の反応用溶剤は、グリニャール反応試薬、有機リチウム類、リチウムアミド類、アルカリ金属、アルカリ土類金属、金属水素化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩、金属アルコキシド類、ピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基類、有機アルミニウム化合物、有機スズ化合物等の有機金属類等を使用する反応の反応用溶剤として好ましく用いることができる。
【0105】
これらの中でも、本発明の反応用溶剤は、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムアイオダイド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムアイオダイド、イソプロピルマグネシウムブロミド、シクロペンチルマグネシウムブロミド、シクロヘキシルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムアイオダイド、2,4,6−トリメチルフェニルマグネシウムブロミド、2,4,6−トリメチルフェニルマグネシウムアイオダイド等のグリニャール反応剤;メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム等の有機リチウム類;リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド等のリチウムアミド類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、リチウムアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の金属水素化物;等を求核剤として用いる反応の反応用溶剤として用いるのがより好ましい。
【0106】
本発明の反応用溶剤は、式:RbMgXbで表されるグリニャール試薬と式:RcCHOで表されるアルデヒド類とを反応させて、式:(Rb)(Rc)CHOHで表される第2級アルコールを得る反応、及び式:RbMgXbで表されるグリニャール試薬と式:RdReC(=O)で表されるケトン化合物とを反応させて、式:(Rb)(Rd)(Re)COHで表される第3級アルコールを得る反応の反応溶剤として用いるのが特に好ましい。
【0107】
前記式中、Rb,Rc,Rd及びReは、それぞれ独立して炭化水素基を表す。また、RdとReは一緒になって結合して、炭素数3〜8の炭素環を形成してもよく、該炭素環は、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0108】
前記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基等が挙げられる。炭化水素基に含まれる炭素原子の数に特に制限はなく、通常1〜30、好ましくは1〜20である。ここで、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基等の鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の環状アルキル基;等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル、3−ブテニル基、ブタジエニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1,3−ペンタジエニル基、2,4−ペンタジエニル基等が挙げられる。アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロパルギル基、2−ブチニル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、5−ピリジル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
【0109】
これらの炭化水素基は、任意の位置に、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、ジアルキルアミノ基、ジアルキルスルファモイル基、ジアルキルホスホリル基等の置換基で置換されていてもよい。また、複数の置換基を有する場合、置換基は同一でも相異なっていてもよい。
また、Xbは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を表す。
【0110】
本発明の反応用溶剤の使用量は特に制限されないが、用いる反応物質の合計量1重量部に対して、通常0.001〜1000重量部、好ましくは0.01〜100重量部の範囲である。本発明の反応用溶剤を用いる反応は、通常−100℃から本発明の溶剤の沸点までの温度範囲で行なわれる。
【0111】
本発明の反応用溶剤は反応選択性に優れる。例えば、THF等の他のエーテル系溶剤を使用して、グリニャール試薬とエノール化し易いケトンとを反応させると、ケトンの自己アルドール反応が優先するが、本発明の反応用溶剤を使用することにより、目的とするアルコールを収率よく得ることができる。
【0112】
また、シクロアルキルアルキルエーテル化合物は水とほとんど相溶しない性質を有する。このものは水と共沸混合物を形成するが、分離性がよいので、水と分離することが容易である。従って、本発明の反応用溶剤を使用して反応を行なった後、反応用溶剤を反応液から容易かつ効率よく回収することができる。例えば、本発明の反応用溶剤を使用した反応液に、水(又は酸水溶液)を添加して反応を停止させた後、反応液を水層と有機層とに分離し、有機層から反応用溶剤を除去した後、残留物を蒸留法やカラムクロマトグラフィー法等の公知の精製法により精製することにより、容易に目的物を単離することができる。
【0113】
さらに、本発明の反応用溶剤は適度な沸点を有するので、反応処理液から効率よく回収することができる。回収した反応用溶剤は必要に応じて精製を行なうことにより、再度反応用溶剤として使用することができる。
【0114】
(F)抽出溶剤
前記式(1)、(2)又は(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物は、広範囲の化学物質に対して優れた溶解力を有し、かつ種々の反応性物質に対して化学的に安定である。従って、本発明の溶剤は、有機化合物を含む固体状又は液体状の混合物から該有機化合物を抽出する抽出用溶剤としても有用である。
【0115】
本発明の抽出用溶剤中のシクロアルキルアルキルエーテル化合物の含有量は、通常70重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。
【0116】
抽出の対象となる有機化合物としては、シクロアルキルアルキルエーテル化合物に溶解するものであれば特に制限されないが、本発明の抽出溶剤が従来の抽出溶剤の代替品となる観点から、脂肪族ハロゲン化炭化水素類、エステル類、芳香族炭化水素類等の従来の抽出溶剤に対して良好な溶解度を有する有機化合物が好ましい。
【0117】
かかる有機化合物としては、分子内に極性基を有する有機化合物が挙げられる。ここで、極性基とは、炭素原子と異なった電気陰性度をもつ酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の原子を含む基をいう。極性基としては、例えば、アミド基、カルボキシル基、エステル基、水酸基、カルボニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基等が挙げられる。
【0118】
分子内に極性基を有する有機化合物としては、例えば、分子内に1又は2以上の極性基を有する天然物、医薬品や農薬等の活性成分、工業薬品、香料及びこれらの製造中間体等が挙げられる。また、該有機化合物の分子量には特に制限はないが、通常100〜500、好ましくは100〜300の範囲である。
【0119】
なお、抽出の対象となる有機化合物が分子内に不斉炭素を有する場合、該有機化合物は光学異性体の混合物であっても一方の光学異性体のいずれであってもよく、抽出操作においてラセミ化反応が進行することはない。
【0120】
溶剤抽出の方法としては、例えば、有機化合物を含む溶剤溶液に該溶剤と非混和性の抽出溶剤を添加して、分配係数の差を利用して有機化合物を抽出溶剤に移動させる液−液抽出や、有機化合物を含む固体状の混合物に抽出溶剤を添加して、有機化合物を抽出溶剤で抽出する固−液抽出法等が挙げられる。本発明の抽出溶剤は、水とほとんど相溶せず、水との分離が容易であることから有機化合物を含む水溶液から、本発明の抽出溶剤を用いて有機化合物を抽出する場合に特に好適である。
【0121】
液−液抽出法としては、より具体的には、(i)水に比べて抽出溶剤に対して溶解度の高い有機化合物の水溶液に、本発明の抽出溶剤を添加して十分に振とうした後、静置して水層と有機層の2層に分離し、有機層を分取する方法、(ii)カルボン酸等の酸性有機化合物の塩や塩基性有機化合物の塩の水溶液に、酸性化合物の塩の場合には酸を添加して酸性化合物を遊離させ、塩基性化合物の塩の場合には塩基を添加して塩基性化合物を遊離させ、これらの遊離した酸性有機化合物又は塩基性有機化合物を本発明の抽出溶剤で抽出する方法等が挙げられる。この場合、抽出操作は数回繰り返し行なってもよい。抽出温度は、通常−20℃〜+100℃、好ましくは0℃〜+90℃、より好ましくは+20℃〜+50℃の範囲である。
【0122】
液−液抽出法を使用する場合には、実験室レベルで行なう場合には分液漏斗を使用し、大量に処理を行なう場合には、公知の分液装置(ミキサーセトラー)、多段ミキサー・デカンタータイプの接触器、重力分別カラムタイプの接触器等を使用することができる。
【0123】
分液漏斗を使用する場合には、抽出の対象となる化合物を含む水溶液に本発明の抽出溶剤の適当量を入れ、十分に振とうする。その後、静置して有機層と水層の2層に完全に分離させた後、有機層を分取する。
【0124】
公知の分液処理装置(ミキサーセトラー)を使用する場合には、このものが大型の分液漏斗を使用するものであるので、上記実験室レベルで分液漏斗を使用する方法に準じて行うことができる。
【0125】
多段ミキサー・デカンタータイプの接触器は、非撹拌タイプの抽出装置であり、典型的には、抽出塔の下側からより比重の小さい軽液(本発明の抽出溶剤)を、上側から比重の重い重液(水溶液等)をそれぞれ供給するものである。この装置では、軽液は上方に向かって、重液は下方に向かってそれぞれ流れるため、塔の中で2つの液が接触する。そして、軽液又は重液に溶解している成分が、分配係数に従って互いの液相に分配される。この場合、抽出塔内に多孔質板を多段に設置する場合には、多孔質板に空けられた小孔から軽液が液滴となって上昇し、重液と接触する。多数の液滴は次の多孔質版の小孔から液滴となってさらに上昇する。このように液滴の形成、合体を繰り返すことで、2つの液の接触を有効に行なわせることができる。
【0126】
また、重力分別タイプの接触器は、機械的撹拌を行なう抽出装置である。この撹拌の方法としては、撹拌翼により撹拌する方法やパルスを送って振動を与えることにより撹拌する方法等が挙げられる。
【0127】
固−液抽出法としては、具体的には、抽出の目的とする有機化合物を含む固体状の混合物と本発明の抽出用溶剤を十分に混合して目的とする有機化合物を抽出した後、ろ過等の方法により不溶物を除く方法が挙げられる。なお、抽出前においては、抽出効率をより高めるために、固体状の混合物を微粉砕しておくこともできる。また、抽出時において抽出用溶剤を加熱してもよい。
【0128】
固−液抽出に用いられる抽出装置としては、例えば、底部にろ布や多孔板を設置し、その上に抽出物を含む固体を静置し、本発明の抽出用溶剤を循環させるタイプの抽出装置等の公知の抽出装置を使用することができる。また、大量に固−液抽出処理を行なう場合には、例えば、特表平9−510913号公報に記載の連続抽出装置を使用することができる。
【0129】
いずれの場合も、抽出用溶剤の層を分取し、必要に応じて乾燥し、本発明の抽出用溶剤を蒸発除去する。得られた残留物を溶剤洗浄、再結晶、カラムクロマトグラフィー、蒸留等の公知の精製方法により精製して目的物を単離することができる。抽出物が天然物等の熱に不安定な化合物である場合には、抽出溶剤の除去を減圧下に行なったり、水蒸気を吹き込んで溶剤の分圧を下げる(スチームストリッピング)等の工夫が必要な場合もある。
【0130】
また、抽出に用いた抽出用剤は溶剤回収装置により回収して、必要に応じて蒸留等の精製処理を行なった後、再度抽出用溶剤として使用することができる。
【0131】
(G)電子・電気材料の溶剤
前記式(1)、(2)又は(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物は、電子・電気材料に対し優れた溶解性又は分散性を有し、毒性が低く、かつ環境を汚染する問題が少ない。従って、本発明の溶剤は、電子・電気材料の溶剤としても有用である。
【0132】
本発明の溶剤が電子・電気材料の溶剤の場合には、前記他の液状有機化合物として、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アミド系溶剤、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類等を添加することができる。
【0133】
電子・電気材料とは、情報記録媒体、OA機器、通信機器、電子機器、電子部品、電気製品等の製造に用いられる材料をいう。例えば、情報記録媒体の記録層形成用材料、OA機器や通信機器の感光層形成用材料、OA機器、通信機器、電子機器、電子部品、電気製品等絶縁層形成用材料、電池のセパレータ多孔質膜の製造原料等が挙げられる。
【0134】
情報記録媒体の記録層形成用材料(以下、「記録材料」という。)としては、従来より情報記録媒体の記録材料として公知の色素を用いることができる。色素としては、例えば、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、Ni,Cr等の金属錯塩系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、インドアニリン系色素、トリフェニルメタン系色素、トリアリルメタン系色素、アルミニウム系色素、ジインモニウム系色素、ニトロソ化合物等の色素が挙げられる。
【0135】
前記記録層は、基板上に記録層形成用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。基板としては、例えば、メチルメタクリレート樹脂基板、塩化ビニル樹脂基板、エポキシ樹脂基板、ポリカーボネート樹脂基板等の合成樹脂基板;ソーダ石灰ガラス基板等のガラス基板;セラミックス基板等が挙げられる。また、記録層が設けられる側の表面に、下塗層及び又はプレグループ層が設けられた基板、プレグループ層が設けられた基板を用いることもできる。
【0136】
下塗層は、平面性の改善、接着力の向上及び記録層の変質防止の目的で形成される。下塗層の材質としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン−スルホン酸共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネーと等の高分子物質;シランカップリング剤等の有機物質;無機酸化物(SiO、Al等)、無機フッ化物(MgF等)の無機物質が挙げられる。下塗層の厚みは通常0.005〜20μm、好ましくは0.01〜10μmである。
【0137】
プレグループ層は、トラッキング用溝又はアドレス信号等の情報を表す凹凸の形成の目的で設けられる。プレグループ層としては、アクリル酸のモノエステル、ジエステル、トリエステル及びテトラエステルのうち少なくとも一種のモノマー(又はオリゴマー)と光重合開始剤との混合物から得られる硬化物が挙げられる。プレグループ層の厚みは、通常0.05〜50μm、好ましくは0.1〜20μmである。
【0138】
記録層形成用塗布液は、上述した色素のほかに、色素の基板上への展着性を高めるために、例えばゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、天然ゴム等の天然有機高分子類、ポリスチレン、ポリイソブチレン、ポリ塩化ビニリデン等の合成有機高分子物質;等の結合剤や、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、滑剤等を含有させることができる。
【0139】
記録層形成用塗布液は、色素のほかに、所望により結合剤、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、滑剤等を本発明の溶剤に溶解又は分散させることにより調製することができる。前記記録層形成用塗布液の色素や結合剤等の固形分の濃度は,通常0.1〜30重量%であり、好ましくは0.2〜20重量%である。
【0140】
記録層は、この塗布液を基板表面に塗布して塗膜を形成し、乾燥することにより形成することができる。塗布液の塗布方法としては、スピンコート法,スプレー法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等が挙げられる。形成される記録層は単層でも重層でもよいが、その厚みは、通常0.01〜10μmであり、好ましくは0.02〜1μmである。また、記録層は片面のみならず両面に形成されていてもよい。
【0141】
また、記録層の上には、情報の再生時におけるS/N比の向上及び記録時における感度向上の目的でレーザー光に対する反射率の高いAl,Cr、Ni等の金属からなる反射層を設けることができる。反射層の厚みは、通常10〜300nmである。また、記録層又は反射層の上には、耐傷性、耐湿性を高めるために保護層を形成することもできる。保護層の厚みは、通常0.1〜100μmである。
【0142】
感光層は少なくとも1種の光導電体を本発明の溶剤に溶解又は分散させることにより感光層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。また感光層は、電荷発生層と電荷輸送層の組合せから形成することもできる。例えば、電荷発生材料を適当な溶剤に溶解又は分散させて電荷発生層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体上に塗布し、乾燥することによって電荷発生層を形成する。さらに、電荷輸送材料を本発明の溶剤に溶解又は分散させることにより電荷輸送層形成用塗布液を調製し、電荷発生層表面に塗布し、乾燥することによって電荷輸送層を形成することができる。
【0143】
導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、クロム及びチタン等の支持体自体が導電性を有する導電性支持体;合成樹脂成形体等の絶縁性基体の上にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金等を真空蒸着法等によって被膜形成した層を有する導電性支持体;カーボンブラック、酸化スズ粒子等を適当なバインダーとともにプラスチックや紙に含浸した導電性支持体;等が挙げられる。導電性支持体の特に好ましい例としては、OPCドラムのドラムが挙げられる。
【0144】
前記光導電体としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾールやポリビニルアントラセン等の有機光導電性ポリマー;カルバゾール、アントラセン、ピラゾリン類、オキサジアゾール類、ヒドラゾン類、ポリアセタールアルカン類等の低分子の有機光導電体;等の有機光導電体、アモルファスシリコン、セレン等の無機光導電体;等が挙げられる。前記電荷発生材料としては、例えば、アゾ顔料、キノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、フタロシアニン顔料、キナクドリン顔料等の1種又は2種以上が挙げられる。また、前記電荷輸送材料としては、例えば、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物及びトリアリールメタン系化合物の1種又は2種以上が挙げられる。
【0145】
前記感光層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液及び電荷輸送層形成用塗布液には所望によりバインダーを添加することができる。添加されるバインダーとしては、例えば、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアミド、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン及びポリビニルアルコール等の絶縁性樹脂;カルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー;等が挙げられる。
【0146】
前記感光層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液及び電荷輸送層形成用塗布液の固形濃度は特に制限されないが、通常1〜90重量%、好ましくは10〜80重量%である。
【0147】
形成する感光層の厚みは、通常5〜200μm、好ましくは5〜100μmであり、電荷発生層の厚みは通常0.01〜20μm、好ましくは0.01〜15μmである。電荷輸送層の厚みは、通常3〜100μm、好ましくは5〜50μmである。
【0148】
また、導電性支持体としてOPCドラム用のドラムを使用し、該ドラム上に感光層を形成する場合には、ドラムと感光層の間にバリヤー機能と接着機能を併せもつ下引層を形成することもできる。下引層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン、酸化アルミニウム等によって形成することができる。下引層の厚みは5μm以下が好ましく、0.5〜3μmがより好ましい。
【0149】
電池セパレータ用多孔質膜は、電池内で正極活物質と負極活物質との間に介在し、内部短絡を防止するものである。また、密閉型の電池の場合には,電解液を保持する機能も有する。このような多孔質膜は、本発明の溶剤に樹脂を溶解した樹脂液を用いて成膜後、一軸又は二軸延伸により形成することができる。樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等が用いられる。これらの樹脂の1種又は2種以上を本発明の溶剤に溶解又は分散して得られた樹脂液を使用して単層又は2層以上の多層構造の多孔質膜を形成することができる。
【0150】
また、本発明の溶剤に有機絶縁材料を溶解又は分散して得られる樹脂液を使用して、OA機器、通信機器、電子機器、電子部品、電気製品等の電気絶縁層を形成することができる。本発明の溶剤が使用できる有機絶縁材料としては、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルイミド、耐熱性ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。
【0151】
電気絶縁層の形成方法としては、例えば、本発明の溶剤に有機絶縁材料を溶解又は分散して得られる樹脂液を基体上に塗布し、乾燥する方法、発明の溶剤に有機絶縁材料を溶解又は分散して得られる樹脂液から絶縁性の樹脂フィルム又はシートを成形し、これを基体上に積層する方法が挙げられる。基体としては、OA機器、通信機器、電子機器、電子部品、電気製品等の製造中間体であって、その表面に絶縁層を形成するものであれば特に制限されない。
【0152】
(H)剥離剤
前記式(1)、(2)又は(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物は、感光剤、有機接着剤、感光性レジスト、有機絶縁材料に対し優れた溶解力を有し、毒性が低く、かつ環境を汚染する問題が少ない。従って、本発明の溶剤は、これらの剥離剤としても有用である。好ましい具体例としては、(イ)感光層を感光ドラムから剥離する場合や、(ロ)接着剤を用いて加工用の治具に半導体材料、結晶材料、電子部品関連材料、磁性材料、磁気材料、圧電材料等(以下、「接着部材」ともいう。)等を接着させた後、このものの切断、研削、研磨等の加工を行った後、該接着部材を治具から剥離する場合に用いる剥離剤が挙げられる。
【0153】
感光ドラム上に感光層を形成してOPCドラムを製造する場合には、感光層の厚みが不均一である場合には感光による電荷状態にばらつきが生じ、良好な画像を得ることができず不良品となる。そのため、ドラムから感光層を剥離し,再度感光層を形成する必要がある。このような場合((イ)の場合)に、不良品であるOPCドラムを本発明の溶剤中に浸漬し、引き上げることにより、ドラムから感光層を容易に剥離することができる。
【0154】
また、(ロ)の場合には、有機接着剤により治具に接着された接着部材を本発明の溶剤中に浸漬し、引き上げることにより、接着部材を治具から容易に剥離することができる。上記(イ)や(ロ)の場合、剥離効果を高めるために、必要に応じて加熱したり、超音波を照射してもよい。
【0155】
前記半導体材料としては、シリコン、ガリウム−砒素、ガリウム−リン等を、結晶材料、電子部品関連材料としては、結晶材料、水晶、石英、ガラス等を、磁性材料としては、フェライト、サマリウム、コバルト等を、磁気材料、圧電材料としては、磁気ヘッド等をそれぞれ例示することができる。
【0156】
有機接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤等の合成樹脂系接着剤;クロロプレン系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、スチレン−ブタジエンゴム系接着剤、熱可塑性エラストマー系接着剤(スチレン−ブタジエンのブロック重合体エラストマー、スチレン−イソプレンのブロック重合体エラストマー、スチレン−エチレン−ブチレンブロック重合体エラストマーを主成分とする接着剤)等のエラストマー系接着剤;ビニル樹脂とフェノール樹脂の混合系接着剤、ニトリルゴムとフェノール樹脂の混合系接着剤、クロロプレンゴムとフェノール樹脂の混合系接着剤、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合系接着剤、エポキシ樹脂と可溶性ナイロンの混合系接着剤等の混合系接着剤;等が挙げられる。
【0157】
これらの中でも、本発明の剥離剤は、エポキシ樹脂系接着剤を剥離する場合に特に好ましく用いることができる。エポキシ樹脂系接着剤は、エポキシ樹脂と硬化剤を必須成分とし、必要に応じ、充填剤や変性材等の添加剤が適宜配合されたものである。主成分であるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;環式脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂;グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシヌレート等の複素環式エポキシ樹脂、低粘度エポキシ樹脂な等が挙げられる。
【0158】
硬化剤としては、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン等の第一アミン硬化剤;第二アミン、第三アミン、ポリアミド、イミダゾール、酸無水物、メルカプタン系等の室温硬化型硬化剤;ジシアンジアミド、有機酸ヒドラジド、ルイス酸アミン錯体等の潜在型硬化剤;等が使用される。また、エポキシ樹脂系接着剤のタイプとしては、二液分離型室温硬化接着剤、一液潜在硬化型ペースト状接着剤、一液潜在硬化型フィルム状接着剤、一液硬化型粉体状接着剤等が挙げられる。本発明の溶剤は、いずれのタイプの接着剤の剥離剤として用いることができる。
【0159】
エポキシ樹脂系接着剤は、例えば、シリコン等の半導体インゴットを所定の外形成形加工を行なった後、このものをカーボン等からなるスラウススペースに接着する際に使用される。接着した後、内周刃式やバンドソー式、ワイヤソー式の切断装置(スライサー)にてウエハー又は板状物に切断し、スライススペース及びエポキシ樹脂系接着剤を除去して、次のアニール、ラッピング等の工程に送られる。本発明の溶剤は、このスライススペーズ及びエポキシ樹脂系接着剤をウエーハから剥離する場合の剥離剤として特に好ましく用いることができる。
【0160】
その他、本発明の溶剤は、晶析及び再結晶用溶媒、ラッカー原料、再生ゴム処理用溶剤、ロウ、樹脂の抽出用溶剤、ガソリンのオクタン価向上剤、アンチノック剤、ラッカーに混合しての混和性向上剤、オルガノゾルの分散剤、染色安定剤、リチウム電池等電解液、パーティクル除去剤、クリーニング液、可塑剤、潤滑剤、湿潤剤、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)用の溶剤、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用の溶剤、カラムクロマトグラフィー用の溶剤、ポリマー等の溶解剤、キャスティング溶剤、接着剤のプライマー、スピンコート用溶剤等としても使用することもできる。
【実施例】
【0161】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下の例中の部は、特に断りのない限り、重量基準である。
【0162】
ガスクロマトグラフィーによる分析は、特に断りが無い限り、次の条件で行なった。
分析機器:Hitachi GC390
カラム:Neutrabond Capillary Column 60×ID0.25φ(1.5μ mdf、GLサイエンス社製)
カラム温度:50℃(10min)、100℃→300℃(20℃/min)
注入口温度:200℃
検出器温度:300℃
キャリアーガス:N
検出器:FID
注入量:1μL
【0163】
製造例1 シクロペンチルメチルエーテルの製造
1リットルの四つ口フラスコに、N,N−ジメチルホルムアミド283部を入れ、窒素置換した後、60重量%油性水素化ナトリウム58.0部を加え、次いで、シクロペンタノール103.3部を室温から50℃の温度範囲で滴下した。この混合物を1時間かけて110℃に昇温した後、110℃〜120℃で1時間還流した。続いて、この混合物を50℃まで冷却した後、ヨウ化メチル341.0部を滴下した。滴下終了後、得られた混合物を110℃〜120℃で、さらに5時間還流した。
【0164】
反応液から低沸点物を留去した後、水100部を加えて分液した。有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して、ろ液約210部を得た。得られたろ液をヴィグリュー精留管を用いて常圧精留した。留出温度が100℃までのフラクション(Fr.1)を77.1部、留出温度100〜106℃のフラクション(Fr.2)を3.40部、留出温度106℃のフラクション(Fr.3)を70.0部、及び釜残分53.5部をそれぞれ得た。各フラクション(Fr.1〜Fr.3及び釜残)の得量及びガスクロマトグラフィーによる分析結果を第1表にまとめた。
【0165】
【表1】

【0166】
実施例1 油脂類溶解性試験
製造例1で得たCPMEを洗浄用溶剤として用いて、下記第2表に示す油脂類(油、ロジン、ワックス及び脂肪酸)に対する溶解性試験を行なった。評価試験は、CPME5mlを試験管に入れたものを用意し、油を1g、ロジン、ワックス及び脂肪酸の場合は0.5gを滴下し、溶解性を目視観察した。観察結果を第2表にまとめた。
【0167】
【表2】

【0168】
比較例1,2 油脂類溶解性試験
NS−100(日鉱石油化学(株)製の炭化水素系洗浄用溶剤)及びtert−ブチルメチルエーテル(特開平6−49495号記載の洗浄用溶剤成分)の各5mlを試験管に入れたものを用意し、油の場合は1g、ロジン、ワックス及び脂肪酸の場合は0.5gを滴下し、溶解性を実施例1と同様に目視観察した。観察結果を第3表にまとめた。
【0169】
【表3】

【0170】
第2表及び第3表から、実施例1の洗浄用溶剤は、比較例1のNS−100に比して油脂類に対して格段に優れた溶解力を示し、比較例2のtert−ブチルメチルエーテルと同等又はそれ以上の優れた溶解力を示した。従って、本発明の洗浄用溶剤は、油脂類を汚染物とする物品の洗浄用溶剤として有用であることが示された。
【0171】
実施例2 CPMEを反応溶剤として用いるα,α−ジメチルベンジルアルコールの製造
1Mのフェニルマグネシウムブロミド(PhMgBr)のTHF溶液45ml(0.045mol)を窒素置換したフラスコ内に入れ、0℃で30分間撹拌した。次いで、アセトン1.74g(0.03mol)をCPME50mlに溶解した溶液を0℃でゆっくりと滴下した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した後、反応温度を50℃に上昇させて1時間さらに撹拌した。反応液を室温に冷却し、1規定の塩酸水溶液20mlを添加して反応を停止させた。反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、目的とするα,α−ジメチルベンジルアルコールが収率70%で得られたことが分かった。
【0172】
実施例3 CPMEを反応溶剤として用いる1−ヒドロキシ−1−フェニルシクロペンタン及びフェニルシクロペンテンの製造
アセトン1.74gをシクロペンタノン2.5g(0.03mol)に代えた以外は、実施例2と同様にして実験を行なった。得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1−ヒドロキシ−1−フェニルシクロペンタン及びフェニルシクロペンテンが合計で収率90%で得られたことが分かった。
【0173】
実施例4 CPMEを反応溶剤として用いる2−メシチル−2−プロパノ−ル及びα−メチル−2,4,6−トリメチルスチレンの製造
1MのフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液45mlに代えて、1Mの2,4,6−トリメチルフェニルマグネシウムブロミドのCPME溶液45ml(0.045mol)を用いた以外は、実施例2と同様にして実験を行なった。得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、2−メシチル−2−プロパノールが収率81.9%、α−メチル−2,4,6−トリメチルスチレンが収率1.6%でそれぞれ得られたことが分かった。
【0174】
実施例5 CPME及びTHFの混合溶剤を反応溶剤として用いる2−メシチル−2−プロパノール及びα−メチル−2,4,6−トリメチルスチレンの製造
反応用溶剤として、CPME50mlに代えて、CPME及びTHFの混合溶剤(1:1(容量比))を用いた以外は、実施例4と同様にして実験を行なった。得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、2−メシチル−2−プロパノールが収率66.8%、α−メチル−2,4,6−トリメチルスチレンが収率14.7%でそれぞれ得られたことが分かった。
【0175】
比較例3 THFを反応溶剤として用いるα,α−ジメチルベンジルアルコールの合成
反応用溶剤として、CPME50mlをTHF50mlに代えた以外は、実施例2と同様にして実験を行なった。得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、目的化合物は40%の収率でしか得られなかった。
【0176】
比較例4 THFを反応溶剤として用いる1−ヒドロキシ−1−フェニルシクロペンタン及びフェニルシクロペンテンの製造
反応用溶剤として、CPME50mlをTHF50mlに代えた以外は、実施例3と同様にして実験を行なった。得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1−ヒドロキシ−1−フェニルシクロペンタン及びフェニルシクロペンテンが収率85%で得られたことが分かった。
【0177】
比較例5 THFを反応溶剤として用いる2−メシチル−2−プロパノール及びα−メチル−2,4,6−トリメチルスチレンの製造
反応用溶剤として、CPME50mlをTHF50mlに代えた以外は、実施例4と同様に実験を行なった。得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、2−メシチル−2−プロパノールが収率44.6%、α−メチル−2,4,6−トリメチルスチレンが収率33.1%でそれぞれ得られたことが分かった。
【0178】
実施例2〜5及び比較例3〜5の結果から、本発明の反応溶剤を使用することで目的物を高収率で得ることができたことがわかった。
【0179】
実施例6 CPMEを抽出溶剤として用いるα,α−ジメチルベンジルアルコールの抽出
実施例2で得た塩酸中和後の水溶液を分液漏斗に入れ、CPME20ml及び水30mlを加えて十分に振とうし、30分間静置すると水層と有機層に分離した。有機層を分取して別の容器に保存し、残った水層にCPME20mlを加えて同様の抽出操作をおこない、有機層を先に分取した有機層と同じ容器に入れた。この抽出操作を合計3回繰り返した。集めた3回分の有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して粗生成物6.4gを得た。このものをガスクロマトグラフィーで分析したところ、α,α−ジメチルベンジルアルコールが収率71%で得られたことが分かった。また、エバポレーターのトラップ部にCPMEが約99ml回収されていた(CPMEの回収率:90%)。
【0180】
実施例7 CPMEを抽出溶剤として用いる1−ヒドロキシ−1−フェニルシクロペンタン及びフェニルシクロペンテンの抽出
実施例3で得た塩酸中和後の水溶液を分液漏斗に入れ、実施例6と同様にして抽出実験を行なった。粗生成物6.8gが得られた。抽出操作前の反応混合物のガスクロマトグラフィーによる分析結果から算出した目的物の回収率は91%であった。また、エバポレーターのトラップ部にCPMEが約100ml回収されていた(CPMEの回収率:91%)。
【0181】
比較例6 ジエチルエーテルを抽出溶剤として用いるα,α−ジメチルベンジルアルコールの抽出
実施例2で得た塩酸中和後の水溶液を分液漏斗に入れ、抽出溶剤としてジエチルエーテルを用い、ジエチルエーテル20mlで3回抽出を行なう以外は、実施例6と同様に実験を行なった。粗生成物5.5gが得られた。抽出操作前の反応混合物のガスクロマトグラフィーによる分析結果から算出した目的物の回収率は73%であった。また、エバポレーターのトラップ部にジエチルエーテルが殆ど回収されていなかった。
【0182】
比較例7 ジエチルエーテルを抽出溶剤として用いる1−ヒドロキシ−1−フェニルシクロペンタン及びフェニルシクロペンテンの製造
実施例3で得た塩酸中和後の水溶液を分液漏斗に入れ、抽出溶剤としてジエチルエーテルを用い、ジエチルエーテル20mlで3回抽出を行なう以外は、実施例6と同様に実験を行なった。粗生成物5.2gが得られた。抽出操作前の反応混合物のガスクロマトグラフィーによる分析結果から算出した目的物の回収率は73%であった。また、エバポレーターのトラップ部にジエチルエーテルが殆ど回収されていなかった。
【0183】
実施例6及び7、比較例6及び7の実験結果より、本発明の抽出溶剤は優れた抽出効果を有することが分かった。また、抽出に用いたCPMEを効率よく回収することができることもわかった。
【0184】
実施例8 情報記録媒体の製造
下記に示されるシアニン色素A、B及びCを製造例1で得たCPMEに溶解させて、色素濃度2.0重量%の塗布液を調製した。この塗布液をポリカーボネート基板(外形:130mm、内径15mm、厚さ1.2mm、トラックピッチ1.6μm、グループの深さ80nm)の表面上に、スピンコート法(2000rpm)により塗布した。これを100℃で10分間乾燥して、膜厚0.08μmの記録層を形成した。
【0185】
【化1】

【0186】
記録層形成工程(塗布及び乾燥)において、ポリカーボネート樹脂の膨潤や溶解は全く認められなかった。また、得られた情報記録媒体について記録再生特性を測定した結果、良好な記録特性を測定することができた。
【0187】
実施例9 OPCドラムの製造
アルミニウム製のパイプ(0.4mmt×30mmφ×253mm)10本を用意した。これらのパイプ一端部に、5kWの炭酸ガスレーザーにより、幅2mm、長さ3mmの切り欠きを形成して、OPCドラム用のドラムを得た。次に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学(株)製)1重量部をCPME20重量部に溶解し、これにX型無金属フタロシアニン3重量部と2−ブタノン20重量部を添加し、均一に分散させて電荷発生層形成用塗布液を調製した。この塗布液に前記基体を25℃で1分間浸漬した後、このドラムを引き上げて、窒素気流中、100℃で5分間乾燥して、ドラム表面に厚み0.25μmの電荷発生層を形成した。
【0188】
次いで、N,N’−ジフェニル−N,N’−(m−トリル)ベンジジン300部とポリカーボネート樹脂64部を、製造例1で得たCPMEとn−ヘキサンの混合液(CPME:n−ヘキサンの重量比=5:1)300部に溶解させて、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。この電荷輸送層形成用塗布液に、前記で得た電荷発生層を形成したドラムを25℃で1分間浸漬した後、引き上げ、窒素気流中、110℃で乾燥して、前記電荷発生層の表面に電荷輸送層を形成してOPCドラムを得た。以上の操作を繰り返して、合計10本のOPCドラムを得た。得られたOPCドラムの電荷発生層の厚みは均一(18μm〜19μm)であり、塗布ムラ等が少ないものであった。
【0189】
比較例9 OPCドラムの製造
実施例9において、CPMEとn−ヘキサンの混合液300部に代えて、THFとn−ヘキサン混合液(THF:n−ヘキサンの重量比=5:1)300部を使用した以外は、実施例9と同様にして、合計10本の比較例9のOPC感光性ドラムを得た。得られたOPCドラムの電荷輸送層の厚みは17μm〜20μmであり、実施例9のOPCドラムの電荷輸送層と比してその厚みにばらつきが見られた。電荷輸送層の厚みが17μmの感光ドラムと20μmの感光ドラム(それぞれ1本ずつ)は、不良品と評価した。
【0190】
実施例10 OPCドラムの感光層の剥離
比較例9で不良品と評価したOPCドラム2本を、製造例1で得たCPMEとn−ヘキサンの混合液(CPME:n−ヘキサンの重量比=5:1)中に浸漬した。10分間浸漬した後、感光ドラムを引き上げたところ、感光ドラム表面の感光層(電荷発生層と電荷輸送層)は完全に剥離して、表面がクリーンなドラムを回収できた。このものは、実施例9と同様の操作手順により、感光層を形成することができる。
【0191】
実施例11、12及び比較例10、11 エポキシ樹脂系接着剤の剥離性試験
1cm×6cm×15cmのガラス板に、エポキシ樹脂系接着剤(商品名:W−BOND、日化精工(株)製)にて、8インチのシリコンウエハ3枚のオリフラ(オリエンテーションフラット)部分を1cm間隔で接着し、このものを剥離性試験のテストピースとした。エポキシ樹脂系接着剤の接着は、エポキシ樹脂系接着剤の主剤と硬化剤とを主剤:硬化剤=2:1(重量比)で混合したものをガラス板の接着部分に塗布し、シリコンウエハを接着して、90℃で1時間硬化後、常温で3時間放置することにより行なった。
【0192】
第4表に示す剥離剤溶液の中に上記で得たテストピースを、第4表に示す剥離条件(温度、超音波処理の有無)にてそれぞれ浸漬した。テストピースを引き上げ、3枚のシリコンウエハが剥離して落下するまでの時間を測定し、それらの平均値を求めて剥離時間(分)とした。この場合、剥離時間の数値が小さいものほど、短い時間でエポキシ接着剤が剥離したこと、即ち、剥離性能が良好なことを表す。なお、超音波処理は、超音波照射装置(型式:SILENTSONICUT−204、シャープ(株)製、39kHz,200W,8.6L)を用いて行なった。
【0193】
用いた剥離剤、浸漬温度(℃)、超音波処理の有無及び剥離時間(分)を第4表にまとめて示す。
【0194】
【表4】

【0195】
第4表から、本発明の溶剤は比較例の剥離剤(イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール)に比して、エポキシ樹脂系接着剤に対して優れた剥離性能を有していた。
【0196】
製造例2
市販のスチレン系酸性イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、商品名:RCP145、含水量46重量%)10gを乾燥機に入れ、常圧下、温度105℃付近で10時間乾燥した後、デシケーターに入れ、室温で2週間さらに乾燥した。この乾燥したイオン交換樹脂の含水量をカールフィッシャー電量滴定法で測定したところ、3.0重量%であった。
【0197】
上記で得た乾燥イオン交換樹脂を、直径1インチ(2.54cm)、長さが40cmの反応管に詰めて、100℃で乾燥窒素ガスを5時間流通した後、室温に戻した。得られた乾燥イオン交換樹脂の含水量をカールフィッシャー電量滴定法で測定したところ、水分は1.5重量%であった。このようにして得た酸性イオン交換樹脂(以下、「乾燥酸性イオン交換樹脂」という。)を反応に使用した。
【0198】
カールフィッシャー電量滴定法による含水量の測定は、平沼水分測定装置(製品番号:AQ−7、平沼産業(株)製)を使用し、発生液として、ハイドラナー(R)及びアクアライト(RS−A)を、対極液として、アクアライト(CN)をそれぞれ使用した。
【0199】
実施例13 シクロペンチルメチルエーテルの製造
ステンレス製の密閉可能な反応容器(内容積200ml)に、シクロペンテン3.4g(0.05モル)、メタノール32g(1.0モル)、及び上記で得た乾燥酸性イオン交換樹脂3.0gを入れ、反応容器を密閉し、120℃、反応容器内の圧力2.5MPaで6〜8時間内容物を撹拌した。反応容器を開け、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析をした。ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、シクロペンテンの転化率は30%であった。
【0200】
また、反応液から不溶物を濾別し、得られた濾液をヴィグリュー精留管を用いて常圧精留することにより、目的とするシクロペンチルメチルエーテルを単離収率27%で得た。
【0201】
比較例12
実施例13において、乾燥酸性イオン交換樹脂に代えて、含水量46重量%の酸性イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、商品名:RCP145)を使用した以外は実施例13と同様に反応を行なった。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、シクロペンチルメチルエーテルは転化率0.4%でしか得られていなかった。
【0202】
また、実施例13と同様にして、反応液から不溶物を濾別し、得られた濾液をヴィグリュー精留管を用いて常圧精留することにより、目的とするシクロペンチルメチルエーテルを単離収率0.3%で得た。
【0203】
比較例13
ステンレス製の密閉可能な反応容器(内容積200ml)に、シクロペンテン3.4g(0.05モル)、メタノール32g(1.0モル)及び合成ゼオライト系触媒(モービル社製、商品名:ZSM−5)3.0gを入れ、反応容器を密閉し、120℃、反応容器内の圧力1.0MPaで、6〜8時間内容物を撹拌した。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、シクロペンチルメチルエーテルが転化率0.07%でしか得られていなかった。実施例13と同様に精製を試みたが、シクロペンチルメチルエーテルの生成量が微量であるため、単離することができなかった。
【0204】
製造例3〜8
製造例2と同様にして、種々の酸性イオン交換樹脂A1〜G1を乾燥して、乾燥酸性イオン交換樹脂A2〜G2をそれぞれ得た。得られた乾燥酸性イオン交換樹脂の含水量を測定したところ、第5表に示すようにすべて1.5重量%以下であった。
【0205】
使用した酸性イオン交換樹脂A1〜G1は次のものである。
酸性イオン交換樹脂A1:SPC108(バイエル社製)
酸性イオン交換樹脂B1:SPC118(バイエル社製)
酸性イオン交換樹脂C1:PK208LH(三菱化学(株)製)
酸性イオン交換樹脂D1:PK216LH(三菱化学(株)製)
酸性イオン交換樹脂E1:PK228LH(三菱化学(株)製)
酸性イオン交換樹脂F1:Amberlyst15(オルガノ(株)製)
酸性イオン交換樹脂G1:RCP145(三菱化学(株)製)
また、以下においては、酸性イオン交換樹脂A1を乾燥したものを乾燥酸性イオン交換樹脂A2とする(B2〜G2も同様である)。
【0206】
実施例14〜20
実施例14〜20は、第1図(b)に示す反応装置を使用して行なった。直径2.54cm(1インチ)、長さ40cmのSUS製の反応カラム3b、3cに、上記で得られた乾燥酸性イオン交換樹脂A2〜G2をそれぞれ充填し(充填量約80ml)、カラム3b、3cのそれぞれの全体を90℃に保温した。
【0207】
一方、シクロペンテン及びメタノールの混合液(混合モル比:シクロペンテン/メタノール=1.6/1)を貯蔵したタンク1から送液し、加熱・気化装置2bにより90℃に加熱・気化させて、常圧、90℃、流速0.8ml/分で、反応カラム3b内に連続的に送りこんだ。反応開始から7時間経過後、反応カラム3cの一方の出口から流出する反応液をガスクロマトグラフィーにより分析した。
【0208】
また、反応開始から7時間経過後までに反応カラム3cから留出した反応液を集め、全容をヴィグリュー精留管を用いて常圧精留することにより、目的とするシクロペンチルメチルエーテルを得た。得られたシクロペンチルメチルエーテルの純度は99%以上であった。
【0209】
用いた乾燥酸性イオン交換樹脂の種類、含水量、シクロペンチルメチルエーテルの単離収率、メタノールの転化率及びシクロペンチルメチルエーテルの反応選択率を第5表にまとめた。第5表中、CPMEはシクロペンチルメチルエーテルを表し、MeOHはメタノールを表す。
【0210】
比較例14〜20
実施例14〜20において、乾燥酸性イオン交換樹脂A2〜G2に代えて、含水量40〜70重量%の酸性イオン交換樹脂A1〜G1を使用する以外は、実施例14〜20と同様に反応を行なった。用いた酸性イオン交換樹脂の種類、メタノールの転化率及び反応選択率を第5表にまとめた。シクロペンチルメチルエーテルは、生成量が微量であるため、単離することができなかった。
【0211】
【表5】

【0212】
第5表から分かるように、乾燥酸性イオン交換樹脂を使用した実施例14〜20では、含水量が30〜70重量%の酸性イオン交換樹脂を使用した比較例14〜20に比して、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)の単離収率、メタノールの転化率及び反応選択率の全ての面において好ましい結果が得られた。
【0213】
実施例21 反応用溶剤の製造
実施例13で得たCPME100部及び市販の脱水剤(品名:MS−4A)10部を攪拌機付きの容器に入れ、5分間攪拌した後、窒素を流したドライボックス中で室温にて18時間放置し、CPME中の水分含有量の経時変化を測定した。測定結果を第6表に示す。
【0214】
次いで、脱水処理後のCPMEに、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを250ppmの濃度になるように加えて攪拌混合し、水分含有量25ppmの反応溶剤を得た(以下、「溶剤A」と略す。)
【0215】
比較例21 反応用溶剤の製造
市販のTHF(アルドリッチ社製、純度99.9%)100部及び市販の脱水剤(品名:MS−4A)10部を攪拌機付きの容器に入れ、5分間攪拌した後、窒素を流したドライボックス中で室温にて18時間放置し反応用THFを得た(以下、「溶剤B」と略す。)。また、THF中の水分含有量の経時変化を測定した結果を第6表に示す。
【0216】
【表6】

【0217】
第6表より、CPMEはTHFと比較した場合、MSを使用してより容易に脱水できることがわかった。
【0218】
実施例22 溶剤Aを用いるα,α−ジメチルベンジルアルコールの合成
1Mのフェニルマグネシウムブロミド(PhMgBr)の溶剤A溶液40部を、窒素置換したフラスコ内に入れ、0℃で30分間撹拌した。次いで、アセトン1.74部を溶剤A70部に溶解した溶液を0℃でゆっくりと滴下した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した後、反応温度を50℃に上昇させて1時間さらに撹拌した。反応液を室温に冷却し、1規定の塩酸水溶液20部を添加して反応を停止させた。反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、目的とするα,α−ジメチルベンジルアルコールが収率85%で得られたことが分かった。
【0219】
次いで、反応液に水50部を加えて分液し、有機層を分取した。得られた有機層を ヴィグリュー精留管を用いて常圧精留して、留出温度が100℃〜106℃のフラクションを99部を得た。このもののガスクロマトグラフィーによる分析の結果、CPMEが99%以上含まれていた。このものは、再度溶媒として使用することができる。
【0220】
実施例23 回収CPMEを用いるα,α−ジメチルベンジルアルコールの合成
実施例22で回収したCPMEを再度溶媒として使用し、実施例22と同様にしてα,α−ジメチルベンジルアルコールの製造を行い、α,α−ジメチルベンジルアルコールを収率85%で得た。このことから、シクロペンチルメチルエーテルは、反応溶媒として繰り返し使用できることが分った。
【0221】
比較例22 溶剤Bを用いるα,α−ジメチルベンジルアルコールの合成
溶剤Aを溶剤Bに代えた以外は、実施例22と同様にして実験を行なった。得られた反応混合物を上記と同条件のガスクロマトグラフィーで分析したところ、目的化合物は50%の収率でしか得られなかった。
【0222】
実施例24 油脂類溶解性試験
実施例13で得たCPMEに、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを250ppm含有させた洗浄用溶剤を用いた以外は、実施例1と同様に溶解性試験を行なったところ、第2表と同様の結果が得られた。
【0223】
実施例25 過酸化物生成試験
実施例24と同じ組成の洗浄用溶剤を、室温で遮光せずに無色の瓶に20ml保管し、過酸化物の生成状況を測定した。過酸化物量の測定は、ヨウ素イオン還元滴定法(JIS K 9705に準拠)により行った。結果を第7表に示す。
【0224】
【表7】

【0225】
第7表から、本発明の溶剤は、過酸化物が生成しにくく、保存安定性に優れていることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0226】
【図1】第1図は、本発明の製造方法を実施するための反応装置の模式図である。
【図2】第2図は、本発明の製造方法を実施するための反応装置の模式図である。
【図3】第3図は、本発明の製造方法を実施するための反応装置と蒸留装置を組み合わせた装置の模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):R−O−R(式中、Rは置換基を有していてもよいシクロペンチル基または置換基を有していてもよいシクロヘキシル基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物の少なくとも1種を含有してなる溶剤。
【請求項2】
式(2):R−O−R(式中、Rは前記と同じ意味を表し、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物の少なくとも1種を含有してなる溶剤。
【請求項3】
式(3):R−O−R(式中、Rはシクロペンチル基を表し、Rは前記と同じ意味を表す。)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物の少なくとも1種を含有してなる溶剤。
【請求項4】
前記式(1)、式(2)または式(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物の少なくとも1種を含有してなる洗浄用溶剤。
【請求項5】
前記式(1)、式(2)または式(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物の少なくとも1種を含有してなる反応用溶剤。
【請求項6】
前記式(1)、式(2)または式(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物の少なくとも1種を含有してなる有機金属反応用溶剤。
【請求項7】
前記式(1)、式(2)または式(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物の少なくとも1種を含有してなるグリニャール反応用溶剤。
【請求項8】
前記式(1)、式(2)または式(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物の少なくとも1種を含有してなる抽出用溶剤。
【請求項9】
前記式(1)、式(2)または式(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物の少なくとも1種を含有してなる電子・電気材料用溶剤。
【請求項10】
前記式(1)、式(2)または式(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物の少なくとも1種を含有してなる剥離用溶剤。
【請求項11】
水分含有量が100ppm以下である請求項1〜10のいずれかに記載の溶剤。
【請求項12】
酸化防止剤をさらに含有する請求項1〜10のいずれかに記載の溶剤。
【請求項13】
請求項1〜3、5、6、11または12のいずれかに記載の溶剤を用いることを特徴とする有機金属反応方法。
【請求項14】
請求項1〜3、5、7、11または12のいずれかに記載の溶剤を用いることを特徴とするグリニャール反応方法。
【請求項15】
請求項1〜3、8、11または12のいずれかに記載の溶剤を用いることを特徴とする有機化合物の抽出方法。
【請求項16】
請求項1〜4、11または12のいずれかに記載の溶剤を用いることを特徴とする物品の洗浄方法。
【請求項17】
請求項1〜3、9、10、11または12のいずれかに記載の溶剤を用いることを特徴とする電子・電気材料用部品の製造方法。
【請求項18】
含水量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂の存在下に、脂環式オレフィンとアルコール類とを反応させることを特徴とする、前記式(1)、式(2)または式(3)で表されるシクロアルキルアルキルエーテル化合物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−179638(P2008−179638A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10964(P2008−10964)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【分割の表示】特願2003−508685(P2003−508685)の分割
【原出願日】平成14年6月27日(2002.6.27)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】