説明

シフトポジションセンサ

【課題】 小型化することが可能なシフトポジションセンサを提供すること。
【解決手段】 シフトポジションセンサ19は、シフトレバーが第1レバールートに沿って操作されたときに単独で回動される第1ロータ30、シフトレバーが第2レバールートに沿って操作されたときに第1ロータ30と一体的に回動される第2ロータ40を備えている。第1ロータ30には磁石31が設けられている。第2ロータ40には磁性体41が設けられている。第1ロータ30及び第2ロータ40が一体的に回動されるとき、磁性体41により影響を及ぼされた上で磁気検出素子51に達した磁気が磁気検出素子51により検出されるように、磁石31の回動軌跡と磁性体41の回動軌跡とを径方向において一致させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動変速の機能を備えた自動変速機に適用され、シフトレバーのポジションを検出するためのシフトポジションセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の自動変速機においては、パーキングポジション、リバースポジション、ニュートラルポジション、ドライブポジションを有した第1レバールートが設定されている。また、シフトアップポジション、マニュアルポジション、シフトダウンポジションを有した第2レバールートが設定されている。第1レバールートと第2レバールートとは、ドライブポジションとマニュアルポジションとで互いに接続されている。
【0003】
そして、シフトレバーを第1レバールートにおいてドライブポジションに操作することで、前進ギア段の自動選択が行われる。そして、シフトレバーを第1レバールートのドライブポジションから第2レバールートのマニュアルポジションに移動操作することで、現在選択されている前進ギア段が固定され、手動変速の機能が使用可となる。そして、シフトレバーをマニュアルポジションからシフトアップポジションに操作することで前進ギア段が一段アップされ、また、マニュアルポジションからシフトダウンポジションに操作することで前進ギア段が一段ダウンされる。
【0004】
そして、このような自動変速機では、シフトレバーのポジションを検出するためにシフトポジションセンサが用いられている。特許文献1には、有接点式のシフトポジションセンサが開示されている。
【0005】
ここで、このような有接点式のシフトポジションセンサに代えて、無接点式のシフトポジションセンサの構成を図9を用いて説明する。シフトポジションセンサ101は、第1センサ110及び第2センサ120を備えている。
【0006】
第1センサ110は、シフトレバーが第1レバールートに沿って操作されたときに回動される第1ロータ111に設けられた第1磁石111aと、その第1磁石111aから出力される磁気を検出する第1磁気検出素子112とを備えている。第1磁気検出素子112は、第1レバールートに存在する各ポジション(パーキングポジション、リバースポジション、ニュートラルポジション、ドライブポジション)の各々に対応して基板130上に合計4つ設けられている。具体的には、4つの第1磁気検出素子112の各々は、第1磁石111aの回動軌跡に沿って、互いに離間するように配置されている。
【0007】
そして、パーキングポジション(リバースポジション、ニュートラルポジション、ドライブポジション)に対応する第1磁気検出素子112により第1磁石111aが検出されたとき、シフトレバーがパーキングポジション(リバースポジション、ニュートラルポジション、ドライブポジション)に存在している旨が検出される。
【0008】
第2センサ120は、シフトレバーが第2レバールートに沿って操作されたときに回動される第2ロータ121に設けられた第2磁石121aと、その第2磁石121aから出力される磁気を検出する第2磁気検出素子122とを備えている。第2磁気検出素子122は、第2レバールートに存在する各ポジション(シフトアップポジション、マニュアルポジション、シフトダウンポジション)の各々に対応して基板130上に合計3つ設けられている。具体的には、3つの第2磁気検出素子122の各々は、第2磁石121aの回動軌跡に沿って、互いに離間するように配置されている。
【0009】
そして、シフトアップポジション(マニュアルポジション、シフトダウンポジション)に対応する第2磁気検出素子122により第2磁石121aが検出されたとき、シフトレバーがシフトアップポジション(マニュアルポジション、シフトダウンポジション)に存在している旨が検出される。
【0010】
このようにシフトポジションセンサ101では、第1レバールートのポジションが第1センサ110で検出される一方、第2レバールートのポジションが第2センサ120で検出される。尚、シフトレバーが第1レバールートに存在している場合と、シフトレバーが第2レバールートに存在している場合とを区別するために、シフトポジションセンサ101には、レバールート検出スイッチが設けられている。
【0011】
そして、レバールート検出スイッチがOFF作動している場合、第1センサ110で検出されたポジションが有効化される一方、第2センサ120で検出されたポジションが無効化される。逆に、レバールート検出スイッチがON作動している場合、第2センサ120で検出されたポジションが有効化される一方、第1センサ110で検出されたポジションが無効化される。
【特許文献1】特開2000−108707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上記したシフトポジションセンサ101では、第1磁石111aの回動軌跡と第2磁石121aの回動軌跡とを径方向において互いに異ならせた構成が採用されている。しかしながら、このような構成では、第1ロータ111の回動軸と第2ロータ121の回動軸とが共通であり、該回動軸から第1磁石111aまでの距離、及び同回動軸から第2磁石121aまでの距離のうち長い方に依存して、シフトポジションセンサ101の径方向の長さを長くせざるを得ない。そうすると、シフトポジションセンサ101に対する小型化の要求を満足することができなくなる。
【0013】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、小型化することが可能なシフトポジションセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、シフトレバーを第1レバールートに沿って操作することで自動変速が行われ、シフトレバーを第1レバールートから第2レバールートに移動操作するとともに第2レバールートに沿って操作することで手動変速が行われる自動変速機に適用されるシフトポジションセンサであって、シフトレバーが第1レバールート及び第2レバールートの一方に沿って操作されたときに単独で回動される第1ロータに磁石を設け、シフトレバーが第1レバールート及び第2レバールートの他方に沿って操作されたときに第1ロータと一体的に回動される第2ロータに磁性体を設け、第1ロータ及び第2ロータが一体的に回動されるとき、磁性体により影響を及ぼされた上で磁気検出素子に達した磁気が磁気検出素子により検出されるように、磁石の回動軌跡と磁性体の回動軌跡とを径方向において一致させたことを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のシフトポジションセンサにおいて、第2ロータに設けられた磁性体は磁石であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載のシフトポジションセンサにおいて、第2ロータに設けられた磁性体は、第1ロータに設けられた磁石から出力される磁気を通すヨークであることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載のシフトポジションセンサにおいて、第2ロータに設けられたヨークは、第1ロータ及び第2ロータが一体的に回動されたとき、第1ロータに設けられた磁石から出力される磁気を通すことで、第1ロータが単独で回動されるときよりも大きな磁気が磁気検出素子により検出されるように作用するものであることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明では、請求項3に記載のシフトポジションセンサにおいて、第2ロータに設けられたヨークは、第1ロータ及び第2ロータが一体的に回動されたとき、第1ロータに設けられた磁石から出力される磁気を通すことで、第1ロータが単独で回動されるときよりも小さな磁気が磁気検出素子により検出されるように作用するものであることを特徴とする。
【0018】
以下、本発明の「作用」について説明する。
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の発明によると、磁石の回動軌跡と磁性体の回動軌跡とを径方向において一致させている。つまり、回動軸から磁石までの距離と、同回動軸から磁性体までの距離とは同じである。このため、磁石の回動軌跡と磁性体の回動軌跡とを互いに異ならせた場合よりも、シフトポジションセンサの径方向の長さを短くすることが可能となる。従って、小型化することができる。
【0019】
ちなみに、シフトレバーが第1レバールート及び第2レバールートの一方に沿って操作されたとき、第1ロータが単独で回動される。一方、シフトレバーが第1レバールート及び第2レバールートの他方に沿って操作されたとき、第1ロータ及び第2ロータが一体的に回動される。ここに、前者と後者とでは、第1ロータの回動量が同じであれ、磁気検出素子により検出される磁気の大きさが異なる。従って、第1レバールートと第2レバールートとにおいて、第1ロータの回動量が同じ位置に、互いに異なるシフトポジションが存在している場合でも、それらの各々を峻別することができる。要するに、シフトレバーのポジションを確実に検出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の発明によれば、小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明を自動車の自動変速機に適用されるシフトポジションセンサに具体化した第1実施形態について説明する。
【0022】
図1に示すように、電子制御式自動変速機(以下、単に自動変速機とする)の変速機本体11は前進4段、後進1段のギア機構を有し、自動車のエンジンに連結されている。シフトレバー12は、自動車の車室フロアーにおいて運転席と助手席との間に配設されている。シフトレバー12は、その基端部が詳述しない多軸構造13(図2参照)を介してシフト軸14に支持されている。従って、シフトレバー12は、シフト軸14の軸線周りで回動可能であるとともに、同軸線に対して傾動可能である。カバー15は、シフトレバー12の基部付近の軸支構造を、車室内において覆い隠すように配設されている。
【0023】
操作パネル16は、カバー15の上面においてシフトレバー12の周囲に設けられている。第1レバールート17は、操作パネル16の左側において直線状に貫設されている。そして、第1レバールート17に沿ってパーキングポジション「P」、リバースポジション「R」、ニュートラルポジション「N」、ドライブポジション「D」が同順に設定されている。第2レバールート18は、操作パネル16の右側において直線状に貫設されている。そして、第2レバールート18に沿ってシフトアップポジション「+」、マニュアルポジション「M」、シフトダウンポジション「−」が同順に設定されている。第1レバールート17と第2レバールート18とは、ドライブポジション「D」とマニュアルポジション「M」とで互いに接続されている。
【0024】
シフトレバー12は、シフト軸14の軸線周りでの回動により第1レバールート17及び第2レバールート18の各々に沿って移動可能である。また、シフトレバー12は、第1レバールート17ではドライブポジション「D」に、第2レバールート18ではマニュアルポジション「M」に存在すれば、シフト軸14の軸線に対する傾動が許容されて、第1レバールート17と第2レバールート18との間で移動可能である。
【0025】
本実施形態のシフトポジションセンサ19は、カバー15内においてシフトレバー12の基部付近に並設されている。シフトポジションセンサ19は、シフトレバー12のポジションを検出するためのものである。レバールート検出スイッチ20は、カバー15内においてシフトレバー12の基部付近に並設されている。レバールート検出スイッチ20は、シフトレバー12が第1レバールート17及び第2レバールート18のいずれに存在しているのかを検出するためのものである。自動変速機の制御装置21は、シフトポジションセンサ19から入力されるシフトポジション検出信号、及びレバールート検出スイッチ20から入力されるレバールート検出信号に基づいて変速機本体11を制御する。
【0026】
制御装置21は、シフトレバー12が第1レバールート17においてドライブポジション「D」に操作されたとき、他に入力される車速やエンジン回転数等の車両状態信号に基づいて前進ギア段を自動で選択する。制御装置21は、シフトレバー12がマニュアルポジション「M」に移動操作されたとき、現在選択されている前進ギア段を固定する。制御装置21は、シフトレバー12がマニュアルポジション「M」からシフトアップポジション「+」に操作されたとき前進ギア段を一段アップし、また、シフトレバー12がマニュアルポジション「M」からシフトダウンポジション「−」に操作されたとき前進ギア段を一段ダウンする。
【0027】
インジケータ22は、速度計やエンジン回転計を備える車室の計器パネルに設けられている。インジケータ22は、複数のマーク(「P」、「R」、「N」、「D」)を備えた表示部22aと、表示部22aの各マークのうちマーク「D」に対して従属するような意匠で配置された複数のマーク(「4」、「3」、「2」、「1」)を備えた表示部22bとからなる。インジケータ22は、各マークの各々が発光ダイオードによって選択的に点灯可能である。
【0028】
制御装置21は、シフトレバー12の第1レバールート17でのポジションに従って、それに対応する表示部22aのいずれかのマークを点灯して示す。制御装置21は、シフトレバー12が第1レバールート17のドライブポジション「D」からマニュアルポジション「M」に移動操作されたとき、現在選択されている前進ギア段を、それに対応する表示部22bのいずれかのマークを点灯して示す。制御装置21は、シフトポジションセンサ19からのシフトアップポジション信号或いはシフトダウンポジション信号に応じて、つまり、手動によるシフトアップ或いはシフトダウンに応じて、表示部22bのいずれかのマークを切り換えて点灯させる。
【0029】
従って、例えば、変速機本体11の前進ギア段が3速の状態で、シフトレバー12がドライブポジション「D」からマニュアルポジション「M」に移動操作されたとき、表示部22bのマーク「3」が点灯される。さらに、シフトレバー12がマニュアルポジション「M」からシフトアップポジション「+」に操作されて、前進ギア段が1段アップされたとき、表示部22bのマーク「3」が消灯されるとともにマーク「4」が代わって点灯される。この状態でシフトレバー12がマニュアルポジション「M」からシフトダウンポジション「−」に操作されて、前進ギア段が1段ダウンされたとき、表示部22bのマーク「4」が消灯されるとともにマーク「3」が代わって点灯される。
【0030】
次に、シフトポジションセンサ19について説明する。
図3に示すように、シフトポジションセンサ19は、第1ロータ30、第2ロータ40、基板50を備えている。第1ロータ30は、シフトレバー12が第1レバールート17に沿って操作されたときに単独で回動される。第1ロータ30には磁石31が設けられている。第2ロータ40は、シフトレバー12が第2レバールート18に沿って操作されたときに第1ロータ30と一体的に回動される。第2ロータ40には磁性体41が設けられている。本実施形態では、磁性体41として磁石が採用されている。基板50の表面には4つの磁気検出素子51が設けられている。基板50の裏面には3つの磁気検出素子51が設けられている。
【0031】
ここで、磁石31の回動軌跡と磁性体41の回動軌跡とは径方向において一致している。従って、第1ロータ30及び第2ロータ40が一体的に回動されるとき、磁石31と磁性体41とが互いに密着される(図4参照)。つまり、このとき、磁性体41により影響を及ぼされた上で磁気検出素子51に達する磁気が磁気検出素子51により検出される。要するに、第1ロータ30及び第2ロータ40が一体的に回動されるとき、第1ロータ30が単独で回動されるときよりも大きな磁気が磁気検出素子51により検出される。
【0032】
次に、シフトポジションセンサ19の作用について説明する。
さて、基板50の表面に設けられた4つの磁気検出素子51を磁気検出素子51P,51R,51N,51Dとする(図5参照)。一方、基板50の裏面に設けられた3つの磁気検出素子51を磁気検出素子51UP,51M,51DNとする(図5参照)。そして、磁気検出素子51Dと磁気検出素子51Mとは、基板50の表裏において対向配置されている。また、磁気検出素子51Nと磁気検出素子51UPとは、基板50の表裏において対向配置されている。
【0033】
そして、シフトレバー12が第1レバールート17のパーキングポジション「P」に存在しているとき、第1ロータ30の磁石31が磁気検出素子51Pに対向するとともに、第2ロータ40の磁性体41が磁気検出素子51Dに対向する。このとき、磁石31から出力される磁気が磁気検出素子51Pにより検出されるとともに、磁性体41(磁石)から出力される磁気が磁気検出素子51Dにより検出される。ここで、シフトレバー12が第1レバールート17に存在している旨がレバールート検出スイッチ20により検出される。従って、制御装置21は、磁気検出素子51Pから入力されるシフトポジション検出信号を有効化するとともに、磁気検出素子51Dから入力されるシフトポジション検出信号を無効化する。要するに、この場合、シフトレバー12がパーキングポジション「P」に存在している旨がシフトポジションセンサ19により検出される。
【0034】
次いで、シフトレバー12が第1レバールート17のリバースポジション「R」に存在しているとき、第1ロータ30の磁石31が磁気検出素子51Rに対向するとともに、第2ロータ40の磁性体41が磁気検出素子51Dに対向する。このとき、磁石31から出力される磁気が磁気検出素子51Rにより検出されるとともに、磁性体41(磁石)から出力される磁気が磁気検出素子51Dにより検出される。ここで、シフトレバー12が第1レバールート17に存在している旨がレバールート検出スイッチ20により検出される。従って、制御装置21は、磁気検出素子51Rから入力されるシフトポジション検出信号を有効化するとともに、磁気検出素子51Dから入力されるシフトポジション検出信号を無効化する。要するに、この場合、シフトレバー12がリバースポジション「R」に存在している旨がシフトポジションセンサ19により検出される。
【0035】
次いで、シフトレバー12が第1レバールート17のニュートラルポジション「N」に存在しているとき、第1ロータ30の磁石31が磁気検出素子51Nに対向するとともに、第2ロータ40の磁性体41が磁気検出素子51Dに対向する。このとき、磁石31から出力される磁気が磁気検出素子51Nにより検出されるとともに、磁性体41(磁石)から出力される磁気が磁気検出素子51Dにより検出される。ここで、シフトレバー12が第1レバールート17に存在している旨がレバールート検出スイッチ20により検出される。従って、制御装置21は、磁気検出素子51Nから入力されるシフトポジション検出信号を有効化するとともに、磁気検出素子51Dから入力されるシフトポジション検出信号を無効化する。要するに、この場合、シフトレバー12がニュートラルポジション「N」に存在している旨がシフトポジションセンサ19により検出される。
【0036】
次いで、シフトレバー12が第1レバールート17のドライブポジション「D」に存在しているとき、第1ロータ30の磁石31が磁気検出素子51Dに対向するとともに、第2ロータ40の磁性体41も磁気検出素子51Dに対向する。このとき、磁性体41により影響を及ぼされた上で磁気検出素子51D,51Mに達した磁気が磁気検出素子51D,51Mにより検出される。ここで、シフトレバー12が第1レバールート17に存在している旨がレバールート検出スイッチ20により検出される。従って、制御装置21は、磁気検出素子51Dから入力されるシフトポジション検出信号を有効化するとともに、磁気検出素子51Mから入力されるシフトポジション検出信号を無効化する。要するに、この場合、シフトレバー12がドライブポジション「D」に存在している旨がシフトポジションセンサ19により検出される。
【0037】
次いで、シフトレバー12が第2レバールート18のマニュアルポジション「M」に存在しているとき、第1ロータ30の磁石31が磁気検出素子51Dに対向するとともに、第2ロータ40の磁性体41も磁気検出素子51Dに対向する。このとき、磁性体41により影響を及ぼされた上で磁気検出素子51D,51Mに達した磁気が磁気検出素子51D,51Mにより検出される。ここで、シフトレバー12が第2レバールート18に存在している旨がレバールート検出スイッチ20により検出される。従って、制御装置21は、磁気検出素子51Mから入力されるシフトポジション検出信号を有効化するとともに、磁気検出素子51Dから入力されるシフトポジション検出信号を無効化する。要するに、この場合、シフトレバー12がマニュアルポジション「M」に存在している旨がシフトポジションセンサ19により検出される。
【0038】
次いで、シフトレバー12が第2レバールート18のシフトアップポジション「+」に存在しているとき、第1ロータ30の磁石31が磁気検出素子51Nに対向するとともに、第2ロータ40の磁性体41も磁気検出素子51Nに対向する。このとき、磁性体41により影響を及ぼされた上で磁気検出素子51N,51UPに達した磁気が磁気検出素子51N,51UPにより検出される。ここで、シフトレバー12が第2レバールート18に存在している旨がレバールート検出スイッチ20により検出される。従って、制御装置21は、磁気検出素子51UPから入力されるシフトポジション検出信号を有効化するとともに、磁気検出素子51Nから入力されるシフトポジション検出信号を無効化する。要するに、この場合、シフトレバー12がシフトアップポジション「+」に存在している旨がシフトポジションセンサ19により検出される。
【0039】
次いで、シフトレバー12が第2レバールート18のシフトダウンポジション「−」に存在しているとき、第1ロータ30の磁石31が磁気検出素子51DNに対向するとともに、第2ロータ40の磁性体41も磁気検出素子51DNに対向する。このとき、磁性体41により影響を及ぼされた上で磁気検出素子51DNに達した磁気が磁気検出素子51DNにより検出される。ここで、シフトレバー12が第2レバールート18に存在している旨がレバールート検出スイッチ20により検出される。従って、制御装置21は、磁気検出素子51DNから入力されるシフトポジション検出信号を有効化する。要するに、この場合、シフトレバー12がシフトダウンポジション「−」に存在している旨がシフトポジションセンサ19により検出される。
【0040】
以上、詳述したように本実施形態によれば、次のような作用、効果を得ることができる。
(1)磁石31の回動軌跡と磁性体41の回動軌跡とを径方向において一致させている。つまり、回動軸から磁石31までの距離と、同回動軸から磁性体41までの距離とは同じである。このため、磁石31の回動軌跡と磁性体41の回動軌跡とを互いに異ならせた場合よりも、シフトポジションセンサ19の径方向の長さを短くすることが可能となる。従って、小型化することができる。
【0041】
(2)シフトレバー12が第1レバールート17に沿って操作されたとき、第1ロータ30が単独で回動される。一方、シフトレバー12が第2レバールート18に沿って操作されたとき、第1ロータ30及び第2ロータ40が一体的に回動される。ここに、前者と後者とでは、第1ロータ30の回動量が同じであれ、磁気検出素子51により検出される磁気の大きさが異なる。従って、第1レバールート17と第2レバールート18とにおいて、第1ロータ30の回動量が同じ位置に、互いに異なるシフトポジションが存在している場合でも、それらの各々を峻別することができる。要するに、シフトレバー12のポジションを確実に検出することができる。
【0042】
(3)第2ロータ40に設けられた磁性体41は磁石である。従って、第1ロータ30及び第2ロータ40が一体的に回動されるとき、第1ロータ30が単独で回動されるときよりも大きな磁気が磁気検出素子51により検出される。そして、これにより、上記(2)の効果を得ることができる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態について説明する。
図6に示すように、本実施形態のシフトポジションセンサ19は、基板50の表面に5つの磁気検出素子51が設けられている。ここで、これら5つの磁気検出素子51を磁気検出素子51A〜51Eとする。
【0044】
そして、シフトレバー12が第1レバールート17のパーキングポジション「P」に存在しているとき、第1ロータ30の磁石31が磁気検出素子51Aに対向するとともに、第2ロータ40の磁性体41が磁気検出素子51Dに対向する。このとき、磁石31から出力される磁気が磁気検出素子51Aにより検出されるとともに、磁性体41(磁石)から出力される磁気が磁気検出素子51Dにより検出される。ここで、シフトレバー12が第1レバールート17に存在している旨がレバールート検出スイッチ20により検出される。従って、制御装置21は、磁気検出素子51Aから入力されるシフトポジション検出信号を有効化するとともに、磁気検出素子51Dから入力されるシフトポジション検出信号を無効化する。要するに、この場合、シフトレバー12がパーキングポジション「P」に存在している旨がシフトポジションセンサ19により検出される。
【0045】
次いで、シフトレバー12が第1レバールート17のリバースポジション「R」に存在しているとき、第1ロータ30の磁石31が磁気検出素子51Bに対向するとともに、第2ロータ40の磁性体41が磁気検出素子51Dに対向する。このとき、磁石31から出力される磁気が磁気検出素子51Bにより検出されるとともに、磁性体41(磁石)から出力される磁気が磁気検出素子51Dにより検出される。ここで、シフトレバー12が第1レバールート17に存在している旨がレバールート検出スイッチ20により検出される。従って、制御装置21は、磁気検出素子51Bから入力されるシフトポジション検出信号を有効化するとともに、磁気検出素子51Dから入力されるシフトポジション検出信号を無効化する。要するに、この場合、シフトレバー12がリバースポジション「R」に存在している旨がシフトポジションセンサ19により検出される。
【0046】
次いで、シフトレバー12が第1レバールート17のニュートラルポジション「N」に存在しているとき、第1ロータ30の磁石31が磁気検出素子51Cに対向するとともに、第2ロータ40の磁性体41が磁気検出素子51Dに対向する。このとき、磁石31から出力される磁気が磁気検出素子51Cにより検出されるとともに、磁性体41(磁石)から出力される磁気が磁気検出素子51Dにより検出される。ここで、シフトレバー12が第1レバールート17に存在している旨がレバールート検出スイッチ20により検出される。従って、制御装置21は、磁気検出素子51Cから入力されるシフトポジション検出信号を有効化するとともに、磁気検出素子51Dから入力されるシフトポジション検出信号を無効化する。要するに、この場合、シフトレバー12がニュートラルポジション「N」に存在している旨がシフトポジションセンサ19により検出される。
【0047】
次いで、シフトレバー12が第1レバールート17のドライブポジション「D」に存在しているとき、第1ロータ30の磁石31が磁気検出素子51Dに対向するとともに、第2ロータ40の磁性体41も磁気検出素子51Dに対向する。このとき、磁性体41により影響を及ぼされた上で磁気検出素子51Dに達した磁気が磁気検出素子51Dにより検出される。ここで、シフトレバー12が第1レバールート17に存在している旨がレバールート検出スイッチ20により検出される。従って、この場合、シフトレバー12がドライブポジション「D」に存在している旨がシフトポジションセンサ19により検出される。
【0048】
次いで、シフトレバー12が第2レバールート18のマニュアルポジション「M」に存在しているとき、第1ロータ30の磁石31が磁気検出素子51Dに対向するとともに、第2ロータ40の磁性体41も磁気検出素子51Dに対向する。このとき、磁性体41により影響を及ぼされた上で磁気検出素子51Dに達した磁気が磁気検出素子51Dにより検出される。ここで、シフトレバー12が第2レバールート18に存在している旨がレバールート検出スイッチ20により検出される。従って、この場合、シフトレバー12がマニュアルポジション「M」に存在している旨がシフトポジションセンサ19により検出される。
【0049】
次いで、シフトレバー12が第2レバールート18のシフトアップポジション「+」に存在しているとき、第1ロータ30の磁石31が磁気検出素子51Cに対向するとともに、第2ロータ40の磁性体41も磁気検出素子51Cに対向する。このとき、磁性体41により影響を及ぼされた上で磁気検出素子51Cに達した磁気が磁気検出素子51Cにより検出される。ここで、シフトレバー12が第2レバールート18に存在している旨がレバールート検出スイッチ20により検出される。従って、この場合、シフトレバー12がシフトアップポジション「+」に存在している旨がシフトポジションセンサ19により検出される。
【0050】
次いで、シフトレバー12が第2レバールート18のシフトダウンポジション「−」に存在しているとき、第1ロータ30の磁石31が磁気検出素子51Eに対向するとともに、第2ロータ40の磁性体41も磁気検出素子51Eに対向する。このとき、磁性体41により影響を及ぼされた上で磁気検出素子51Eに達した磁気が磁気検出素子51Eにより検出される。ここで、シフトレバー12が第2レバールート18に存在している旨がレバールート検出スイッチ20により検出される。従って、この場合、シフトレバー12がシフトダウンポジション「−」に存在している旨がシフトポジションセンサ19により検出される。
【0051】
以上、詳述したように本実施形態によれば、次のような作用、効果を得ることができる。
(4)シフトレバー12のポジションの数(7つ)よりも少ない数(5つ)の磁気検出素子51しか備えていないにも拘わらず、前記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
尚、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・第2ロータ40に設ける磁性体41は磁石に限定されない。つまり、磁石31から出力される磁気を通すヨークを磁石の代わりに第2ロータ40に設けた構成を採用してもよい。
【0053】
この場合、図7に示すように、第1ロータ30及び第2ロータ40が一体的に回動されたとき、磁石31から出力される磁気を通すことで、第1ロータ30が単独で回動されるときよりも大きな磁気が磁気検出素子51により検出されるように作用するヨークを第2ロータ40に設けた構成を採用してもよい。
【0054】
或いは、図8に示すように、第1ロータ30及び第2ロータ40が一体的に回動されたとき、磁石31から出力される磁気を通すことで、第1ロータ30が単独で回動されるときよりも小さな磁気が磁気検出素子51により検出されるように作用するヨークを第2ロータ40に設けた構成を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施形態のシフトポジションセンサが適用される自動変速機を示す概略図。
【図2】シフトレバーの基部付近の構成を示す斜視図。
【図3】本実施形態のシフトポジションセンサの構成を示す分解斜視図。
【図4】第1実施形態のシフトポジションセンサにおいて磁石と磁性体とが密着された状態を示す側面図。
【図5】第1実施形態のシフトポジションセンサにおいて基板に設けられた磁気検出素子を示す正面図。
【図6】第2実施形態のシフトポジションセンサにおいて基板に設けられた磁気検出素子を示す正面図。
【図7】他の実施形態のシフトポジションセンサにおいて磁石と磁性体とが密着された状態を示す側面図。
【図8】他の実施形態のシフトポジションセンサにおいて磁石と磁性体とが密着された状態を示す側面図。
【図9】従来のシフトポジションセンサの構成を示す分解斜視図。
【符号の説明】
【0056】
12…シフトレバー、17…第1レバールート、18…第2レバールート、19…シフトポジションセンサ、30…第1ロータ、31…磁石、40…第2ロータ、41…磁性体、51…磁気検出素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シフトレバーを第1レバールートに沿って操作することで自動変速が行われ、シフトレバーを第1レバールートから第2レバールートに移動操作するとともに第2レバールートに沿って操作することで手動変速が行われる自動変速機に適用されるシフトポジションセンサであって、
シフトレバーが第1レバールート及び第2レバールートの一方に沿って操作されたときに単独で回動される第1ロータに磁石を設け、
シフトレバーが第1レバールート及び第2レバールートの他方に沿って操作されたときに第1ロータと一体的に回動される第2ロータに磁性体を設け、
第1ロータ及び第2ロータが一体的に回動されるとき、磁性体により影響を及ぼされた上で磁気検出素子に達した磁気が磁気検出素子により検出されるように、磁石の回動軌跡と磁性体の回動軌跡とを径方向において一致させたことを特徴とするシフトポジションセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のシフトポジションセンサにおいて、
第2ロータに設けられた磁性体は磁石であることを特徴とするシフトポジションセンサ。
【請求項3】
請求項1に記載のシフトポジションセンサにおいて、
第2ロータに設けられた磁性体は、第1ロータに設けられた磁石から出力される磁気を通すヨークであることを特徴とするシフトポジションセンサ。
【請求項4】
請求項3に記載のシフトポジションセンサにおいて、
第2ロータに設けられたヨークは、第1ロータ及び第2ロータが一体的に回動されたとき、第1ロータに設けられた磁石から出力される磁気を通すことで、第1ロータが単独で回動されるときよりも大きな磁気が磁気検出素子により検出されるように作用するものであることを特徴とするシフトポジションセンサ。
【請求項5】
請求項3に記載のシフトポジションセンサにおいて、
第2ロータに設けられたヨークは、第1ロータ及び第2ロータが一体的に回動されたとき、第1ロータに設けられた磁石から出力される磁気を通すことで、第1ロータが単独で回動されるときよりも小さな磁気が磁気検出素子により検出されるように作用するものであることを特徴とするシフトポジションセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−8232(P2007−8232A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188797(P2005−188797)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】