説明

シフト装置

【課題】レバー式のシフト装置に搭載されるセンサユニットをそのまま利用しつつ、操作ノブの回転操作の検出とユーザの操作性の維持との両立を図ることのできるダイヤル式の車両のシフト装置を提供する。
【解決手段】この車両のシフト装置では、操作ノブ20の回転中心の部分と可動部40の先端部とを連結するリンク機構30を設けた上で、同リンク機構30を第1及び第2のレバー31,32により構成する。そして、第1のレバー31の挿入孔31dを、可動部40の先端部が第1の案内溝11aに位置している状態で、第1の案内溝11aに沿って第1の軸線S1に沿った方向に延伸された長孔形状の孔として形成する。また、操作ノブ20の挿入孔23を、可動部40の先端部が第2の案内溝11bに位置している状態で、第2の軸線S2に沿った方向に延伸された長孔形状の孔として形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のシフト装置に関し、特にユーザによって操作される操作レバーなどのシフト操作部材と車両の変速機との間の機械的な連結を排除したシフトバイワイヤ式のシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のユーザにより操作される操作レバーなどのシフト操作部材と車両の変速機との間の機械的な連結を排除した上で、シフト操作部材の操作位置をセンサにより検出し、この検出されるシフト操作部材の操作位置に基づいて変速機のシフトレンジを変更させる、いわゆるシフトバイワイヤ式のシフト装置が周知である。車両のシフト装置としてこうしたシフトバイワイヤ式のシフト装置を採用することで、車室内のシフト操作部材の配設位置を自由に変更することが可能になるなど、車両設計の自由度を大きく高めることができるようになる。そして、従来、この種のシフト装置としては、例えば特許文献1に記載の装置がある。図13は、この特許文献1に記載のシフト装置を含めて、従来一般に採用されているシフト装置の斜視構造を示したものである。
【0003】
図13に示されるように、このシフト装置は、基本的には、ユーザによって操作される棒状の操作レバー100と、この操作レバー100を案内する部分としてT字状のシフトゲート101aの形成された箱形状のケース101とを備える、いわゆるレバー式のシフト装置である。そして、このシフト装置では、ユーザによって操作レバー100がシフトゲート101aに沿って操作されたとすると、ケース101の内部に設けられたセンサユニット(図示略)により操作レバー100の移動位置(シフトポジション)が検出されるとともに、検出された操作レバー100のシフトポジションに基づいて車両の変速機のシフトレンジがシフトポジションに対応したレンジに切り替えられる。
【0004】
一方、上記シフトバイワイヤ式のシフト装置としては、こうしたレバー式のシフト装置の他、例えば特許文献2に記載のシフト装置のようなダイヤル式のシフト装置も提案されている。図14は、この特許文献2に記載のダイヤル式のシフト装置も含めて、従来一般に採用されているダイヤル式のシフト装置の斜視構造を示したものである。
【0005】
同図14に示されるように、このシフト装置は、基本的には、車両のユーザによって回転中心n1を中心に回転操作される円柱状の操作ノブ200と、この操作ノブ200が挿入される部分として断面円形状の挿入穴201aの形成されたケース201とを備えている。そして、このシフト装置では、ユーザによって操作ノブ200が回転操作されたとすると、同じくケース201の内部に設けられたセンサユニット(図示略)により操作ノブ200の回転位置が検出されるとともに、検出された操作ノブ200の回転位置に基づいて車両の変速機のシフトレンジが操作ノブ200の回転位置に対応したレンジに切り替えられる。
【0006】
このように、シフト装置としてバイワイヤ式のシフト装置を採用するようにすることで、シフト操作部材の構造をレバー式のものとしたり、あるいはダイヤル式のものとすることができるため、シフト操作部材の構造を自由に変更することができるといった点についても、車両設計の自由度を高めることができるようになる。
【特許文献1】特開2007−326549号公報
【特許文献2】特開2002−52948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記レバー式のシフト装置にあっては、上記操作レバー100の操作位置を検出するための方法として、例えば操作レバー100と一体となって移動する磁石を同レバー100に設けた上で、磁石の位置の検出を通じて操作レバー100の操作位置を検出するといった方法が考えられる。図15は、このような構造を採用したレバー式のシフト装置の断面構造を示したものである。
【0008】
同図15に示されるように、このシフト装置にあっては、操作レバー100が、上記シフトゲート101aに挿入される棒状のロッド部100bと、このロッド部100bの先端部に取り付けられてユーザによって把持される部分となる把持部100aとから構成されている。一方、上記ケース101の内部は二段に構成されるとともに、その上段内部101bに、操作レバー100のロッド部100bを図中の傾動中心n2を中心に傾動可能に支持する支持部材102が配設されている。すなわち、操作レバー100の中心軸mは、傾動中心n2を中心として図中に二点鎖線で示される軸線m11から軸線m12の範囲で傾動する。一方、ロッド部100bの基端部は、上記支持部材102を通じてケース101の下段内部101cまで導出されるとともに、その基端部に磁石100cが取り付けられている。また一方、ケース101の下段内部101cの底壁には、磁石100cに対向して、磁石100cから発せられる磁界を検出するためのセンサユニット103が配設されている。すなわち、このシフト装置では、操作レバー100の傾動に伴って磁石100cの位置が変化すると、センサユニット103に印加される磁界に変化が生じる。そして、このシフト装置では、こうした磁界の変化をセンサユニット103を通じて検出するとともに、検出された磁石100cの磁界に基づいて操作レバー100の操作位置を検出する。
【0009】
ここで、このシフト装置にあっては、操作レバー100が傾動した際の磁石100cの移動量A1がセンサユニット103の検出性能に基づいて設定されるとともに、この磁石100cの移動量A1に基づいて操作レバー100の傾動角度θが設定される。したがって、例えばシフト装置の小型化に伴ってセンサユニット103の大きさを小さくしたとすると、基本的には、磁石100cの移動量A1がより小さな値に設定されるとともに、これに伴って操作レバー100の傾動角度θも小さな値に設定される。一方、このシフト装置では、操作レバー100の傾動中心n2から把持部100aの先端部までの長さB1を長くするほど、磁石100cの移動量A1に対する把持部100aの移動量C1を大きく、すなわち操作レバー100の操作ストロークを大きくすることができる。すなわち、こうした構造からなるシフト装置にあっては、センサユニット103の小型化に伴って操作レバー100の傾動角度θが小さな値に設定されたとしても、操作レバー100の傾動中心n2から把持部100aの先端部までの長さB1を長くすることで操作レバー100の操作ストロークを大きくすることができるため、ユーザの操作レバー100の操作性をそのまま維持することができる。このように、こうした構造を有するレバー式のシフト装置にあっては、センサユニット103の小型化とユーザの操作レバー100の操作性の維持との両立を図ることができる。
【0010】
ところで、こうしたレバー式のシフト装置と上記ダイヤル式のシフト装置とでは、シフト操作部材の操作方法が大きく異なるため、基本的には、それぞれのシフト装置に対して専用のセンサユニットを用意する必要がある。しかしながら、このようにそれぞれ専用のセンサユニットを用意するようにした場合には、センサユニットを各別に製造する必要があるため、その生産性の悪化やコストの上昇を招くおそれがある。そこで、上記レバー式のシフト装置のセンサユニット103をそのまま用いることのできるダイヤル式のシフト装置が今なお望まれている実情がある。
【0011】
ただし、上記センサユニット103をそのままダイヤル式のシフト装置に用いるにあたり、例えば、図16(a),(b)に二点鎖線で示されるように、上記操作レバー100のロッド部100bの先端部に、上記把持部100aに代えて操作ノブ200の回転中心n1の部分を取り付けたとすると、以下のような問題が無視できないものとなる。すなわち、図16(b)に矢印iで示す方向に同操作ノブ200が回転操作されたときに、この操作ノブ200の回転操作に伴ってロッド部100bがシフトゲート11に沿って移動しないため、操作ノブ200の回転位置を検出することができない。また、発明者は、操作ノブ200の操作方法として、矢印iで示す回転操作に加え、上記シフトゲート101aに沿った方向、例えば図16(b)に矢印jで示す方向のスライド操作を採用しようとしたが、この場合、以下のような問題が新たに生じることがわかった。まず、ロッド部100bの傾動中心n2から操作ノブ200の連結される部分までの長さB2は、設計上は一定の長さに固定されるため、操作ノブ200の回転中心n1の移動量C2、すなわち操作ノブ200のスライド操作のストロークも一定の大きさに固定される。このため、例えばセンサユニット103の小型化に伴いロッド部100bの傾動角度θが小さな値に設定されると、操作ノブ200の回転中心n1の移動量C2が小さくなって操作ノブ200のスライド操作のストロークが小さくなるため、ユーザの操作レバー100の操作性が悪化するおそれがある。
【0012】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、レバー式のシフト装置に搭載されるセンサユニットをそのまま利用しつつ、操作ノブの回転操作の検出とユーザの操作性の維持との両立を図ることのできるダイヤル式の車両のシフト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ユーザによって操作されるシフト操作部材と、該シフト操作部材に連結されるとともに車両の変速機との間の機械的な連結が排除された可動部と、該可動部の先端部の移動を案内するシフトゲートの形成されたケースと、該ケースに設けられて前記可動部の先端部の位置を検出するためのセンサユニットとを備え、前記シフトゲートは、第1の軸線の方向に延設される第1の案内溝、及び該第1の案内溝の中央部分から前記第1の軸線に直交する第2の軸線の方向に延設される第2の案内溝により構成されるT字状の溝からなり、前記センサユニットを通じて検出される前記可動部の先端部の位置に基づいて前記変速機のシフトレンジの切り替えを行う車両のシフト装置において、前記シフト操作部材が、前記第2の軸線の方向に沿って操作されて、且つ前記可動部の先端部の位置から前記第2の軸線に沿った方向に離間した位置に回転中心を有して該回転中心を中心に回転操作される操作ノブからなるとともに、該操作ノブの回転中心と前記可動部の先端部とを連結するリンク機構を有し、前記リンク機構は、前記ケースに回動可能に支持される部分を有する第1のレバーと、該第1のレバーに回動可能に連結される部分及び前記操作ノブの回転中心に回転可能に連結される部分を有する第2のレバーとからなり、前記第1のレバー及び前記操作ノブには、前記可動部の先端部が挿入される挿入孔がそれぞれ形成され、前記第1のレバーの挿入孔は、前記可動部の先端部が前記第1の案内溝に位置している状態で、前記第1の案内溝に沿って前記第1の軸線に沿った方向に延伸されて、且つ前記第2の軸線に沿った方向に前記可動部の先端部を挟持する長孔形状の孔からなり、前記操作ノブの挿入孔は、前記可動部の先端部が前記第2の案内溝に位置している状態で、前記第2の軸線に沿った方向に延伸されて、且つ前記第1の軸線に沿った方向に前記可動部の先端部を挟持する長孔形状の孔からなることを要旨としている。
【0014】
同構成によれば、ユーザが操作ノブを第2の軸線に沿って操作したとすると、操作ノブに形成された挿入孔内を可動部の先端部がスライド移動するとともに、第2のレバーが第1のレバーとの連結部分を中心に回動し、また、第1のレバーがケースに支持される部分を中心に回動する。そしてこのとき、可動部の先端部は、第1のレバーの挿入孔の内壁が当接している部分から力を受けて、第2の案内溝に案内されるかたちで第2の軸線に沿った方向に移動しつつ、同第1のレバーの挿入孔内をスライド移動する。ちなみに、このときの可動部の先端部の移動量は、上記リンク機構の減衰効果により、操作ノブの移動量よりも小さくなる。換言すれば、リンク機構により、可動部の先端部の移動量よりも操作ノブの移動量を大きく、すなわち操作ノブの第2の軸線に沿った方向の操作ストロークを大きくすることができるようになる。したがって、レバー式のシフト装置に搭載されるセンサユニットを利用することで、可動部の先端部の移動量が操作ノブの第2の軸線に沿った方向の操作ストロークと比較して小さな値に設定されている場合であっても、十分な大きさの操作ストロークを確保することができるため、ユーザの操作性の悪化を招くことはない。一方、ユーザが操作ノブをその回転中心を中心に回転操作したとすると、第1及び第2のレバーはそれぞれの位置を保持したまま、操作ノブのみがその回転中心を中心に回転する。そしてこのとき、可動部の先端部には、操作ノブの挿入孔の内壁が当接している部分から第1の軸線に沿った方向の力が作用するため、同可動部の先端部は、第1のレバーの挿入孔及び第1の案内溝の双方に案内されるかたちで第1の軸線に沿った方向に移動する。すなわち、操作ノブの回転操作に伴って可動部の先端部が第1の案内溝に沿って移動するようになるため、レバー式のシフト装置に搭載されるセンサユニットを利用しつつも、同センサユニットを通じて可動部の先端部の移動位置を検出することで操作ノブの回転位置を検出することもできるようになる。このように、同構成によれば、レバー式のシフト装置に搭載されるセンサユニットを利用しつつも、操作ノブの回転操作の検出とユーザの操作性の維持との両立を図ることができるようになる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両のシフト装置において、前記第1のレバーの前記ケースに支持されている部分から前記第2のレバーが連結されている部分までの長さが、前記第1のレバーの前記ケースに支持されている部分から前記第1のレバーの挿入孔に挿入される前記可動部の先端部までの長さよりも長く設定されてなることを要旨としている。
【0016】
同構成によれば、上述したリンク機構による減衰効果がより高まるため、可動部の先端部の第2の軸線に沿った方向の移動量に対して、操作ノブの移動量を大きくすることができ、ひいては操作ノブの操作ストロークをより大きくすることができるようになる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両のシフト装置において、前記第1のレバーに形成される前記挿入孔の延伸方向の長さが、前記第1の案内溝の延設方向の長さ以上の長さに設定されてなることを要旨としている。
【0018】
上述のように、ユーザが操作ノブをその回転中心を中心に回転操作する際、可動部の先端部は、第1のレバーの挿入孔及び第1の案内溝の双方に案内されるかたちで第1の軸線に沿った方向に移動する。このため、例えば第1のレバーの挿入孔の延伸方向の長さが第1の案内溝の延設方向の長さよりも短く設定されていたとすると、可動部の先端部の第1の軸線に沿った方向の移動量が第1のレバーの挿入孔の延伸方向の長さに制限されるため、同部分が第1の案内溝の長さの分だけ移動する場合と比較して、操作ノブの回転方向の操作ストロークが短くなるおそれがある。この点、上記構成によるように、第1のレバーの挿入孔の延伸方向の長さを、第1の案内溝の延設方向の長さ以上の長さに設定するようにすれば、可動部の先端部の移動量として第1の案内溝の延設方向の長さの分だけ確保することができるため、操作ノブの回転方向の操作ストロークを最大の長さに設定することができるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる車両のシフト装置によれば、レバー式のシフト装置に搭載されるセンサユニットをそのまま利用しつつ、操作ノブの回転操作の検出とユーザの操作性の維持との両立を図ることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明にかかる車両のシフト装置の一実施形態について図1〜図11を参照して説明する。図1(a),(b)は、本実施形態にかかる車両のシフト装置の平面構造を示したものであり、はじめに、これら図1(a),(b)を参照して、この車両のシフト装置の概略構成について説明する。
【0021】
同図1(a)に示されるように、このシフト装置は、基本的には、回転中心n3を中心とする断面円形状に形成された操作ノブ20と、この操作ノブ20の取り付けられるケース10とを備えている。
【0022】
ここで、操作ノブ20の上面には、図中の上下方向(図中の軸線S2に沿った方向)に延伸された凸状の把持部21が形成されており、この操作ノブ20では、この把持部21がユーザによって把持される部分となっている。そして、例えばユーザが把持部21を把持しつつ上記軸線S2に平行な矢印aで示す方向の外力を操作ノブ20に印加したとすると、操作ノブ20は、図中の位置を基準位置として矢印aで示す方向に移動する。すなわち、図1(b)に示されるように、操作ノブ20は、図中の二点差線で示す位置から実線で示す位置まで移動し、同操作ノブ20のシフト位置が、「P(パーキング)」ポジションから「N(ニュートラル)」ポジションに切り替わる。さらに、ユーザが操作ノブ20を実線で示す位置まで操作した状態でその回転中心n3を中心とする回転方向、すなわち図中の矢印b1,b2で示す方向の外力を同操作ノブ20に印加したとすると、同操作ノブ20は、矢印b1,b2で示す方向に所定角度だけそれぞれ回転する。そして、こうした操作ノブ20の回転に伴って、同操作ノブ20のシフト位置が、「R(リバース)」ポジション、あるいは「D(ドライブ)」ポジションに切り替わる。ちなみに、シフト装置は、こうした操作ノブ20のシフトポジションの切り替え操作に伴い、車両の変速機(図示略)のシフトレンジを、操作ノブ20のシフト位置に対応したシフトレンジ、具体的にはパーキングレンジ、ニュートラルレンジ、リバースレンジ、及びドライブレンジのいずれかのレンジに切り替える。
【0023】
図2(a)は、本実施形態にかかるシフト装置の分解斜視構造を、また、図2(b)は、このシフト装置の上記操作ノブ20を取り除いた状態での平面構造を示したものであり、次に、図2(a),(b)を参照して、このシフト装置の構造について説明する。なお、図2(a),(b)に示すケース10は、その基本的な構成は先の図13に例示したレバー式のシフト装置に搭載されるケースと同様である。
【0024】
すなわち、同図2(a),(b)に示されるように、上記ケース10も箱形状に形成されるとともに、その上面にも、第1の軸線S1の方向に延設される第1の案内溝11a、及び同第1の案内溝11aの中央部分から第1の軸線S1に直交する第2の軸線S2の方向に延設される第2の案内溝11bとから構成されるT字状のシフトゲート11が形成されている。そして、このケース10のシフトゲート11には、ケース10の上面に突出する棒状の可動部40が挿入されており、可動部40の先端部の移動がシフトゲート11により案内されている。また、このケース10の上面には、シフトゲート11の形成されている部分から第1の軸線S1の方向に離間した位置に凸形状の支持部13が形成されており、この支持部13によって第1のレバー31の一端部が回動可能に支持されている。さらに、このケース10の上面には、シフトゲート11の形成されている部分から第2の軸線S2の方向に離間した位置に同軸線S2に沿って延設される第3の案内溝12が形成されており、この案内溝12に第2のレバー32の一端部に形成された突出部32aが挿入されることによって、第2のレバー32の一端部の移動が案内溝12により案内されている。
【0025】
一方、上記第1のレバー31は、以下の(a1)〜(a3)に示す第1〜第3の部位31a〜31cを有して構成されている。
(a1)上記支持部13に支持されている部分を端部として同部分から上記第1の案内溝11aの一方の端部の位置まで延伸された第1の部位31a。
【0026】
(a2)同第1の部位31aの上記第1の案内溝11aの一方の端部まで延伸された部分から上記第1の案内溝11aの他方の端部まで延伸された第2の部位31b。
(a3)同第2の部位31bの上記第1の案内溝11aの他方の端部まで延伸された部分から上記第3の案内溝12に向けて折り曲げられた第3の部位31c。
【0027】
そして、これらのうちの第2の部位31bには、上記第1の案内溝11aと同等の大きさからなる長孔形状の挿入孔31dが形成されており、この挿入孔31dに上記可動部40の先端部が挿入されている。ちなみに、この挿入孔31dは、可動部40の先端部が第1の案内溝11aに位置している状態で、第1の案内溝11aに沿った方向に延伸されて、且つ第2の軸線S2に沿った方向に可動部40の先端部を挟持する形状を有している。すなわち、このシフト装置では、第1のレバー31が上記支持部13を中心に反時計回りの方向に回動したとき、可動部40の先端部が挿入孔31d内をスライド移動する。また、上記第3の部位31cの端部には突出部31eが形成されており、この突出部31eに、第2のレバー32の一方の端部が回動可能に支持されている。一方、この第2のレバー32の他方の端部には上述した突出部32aが形成されており、上記突出部32aのうちの第2のレバー32の上面に突出した部分に上記操作ノブ20が連結されている。ちなみに、この第2のレバー32の突出部31eに連結されている部分から突出部32aまでの長さは、第1のレバー31の支持部13に連結されている部分から突出部31eまでの長さよりも短く設定されている。そして、このシフト装置では、これら第1及び第2のレバー31,32によりリンク機構30が構成されるとともに同リンク機構30によって上記可動部40の先端部と上記操作ノブ20とが駆動連結されることで、操作ノブ20の操作に伴って可動部40の先端部が上記シフトゲート11に沿って移動する。
【0028】
続いて、図3〜図6を参照して、操作ノブ20及びケース10のそれぞれの構造について詳細に説明する。
はじめに、図3(a),(b)を参照して、この操作ノブ20の構造について説明する。図3(a)は、操作ノブ20の上面構造を示したものであり、また、図3(b)は、同図3(a)のIII−III線に沿った断面構造をそれぞれ示したものである。
【0029】
同図3(a),(b)に示されるように、操作ノブ20の底面部分には、その回転中心n3の部分に位置して係合孔22が形成されており、この係合孔22に上記第2のレバー32の突出部32aが係合することで、操作ノブ20が回転中心n3を中心に回転可能に支持される。また、この操作ノブ20の底面部分には、同操作ノブ20の把持部21に沿って延伸されるとともに同操作ノブ20の正面部分に開口する長孔形状の挿入孔23が形成されており、この挿入孔23に上記可動部40の先端部がスライド移動可能に挿入される。ちなみに、この挿入孔23は、可動部40の先端部が上記第2の案内溝11bに位置している状態で、第2の軸線S2に沿った方向に延伸されて、且つ第1の軸線S1に沿った方向に可動部40の先端部を挟持する形状を有している。
【0030】
次に、図4〜図6を参照して、ケース10の構造について説明する。図4は、同ケース10の平面構造を、また、図5は、図4のV−V線に沿った断面構造を、さらに、図6は、図5のVI−VI線に沿った断面構造をそれぞれ示したものである。なお、これら図4〜図6では、上記可動部40の先端部が、第1の案内溝11aと第2の案内溝11bとの連結部付近に位置している状態を示している。また、このケース10の基本的な構造は、先の図15に例示したレバー式のシフト装置に搭載されるケースの構造と同様である。
【0031】
すなわち、図5に示されるように、ケース10の内部には仕切板14を介して二段に構成されるとともに、その上段内部10aには、シフトゲート11の下方にあたる部分に位置して、可動部40を図中の傾動中心n4を中心に傾動可能に支持する支持部材50が配設されている。一方、上記仕切板14には、支持部材50の下方にあたる部分に貫通孔14aが形成されており、上記可動部40の基端部が、上記支持部材50から同貫通孔14aを通じてケース10の下段内部10bの底壁付近まで導出されている。また、この可動部40の基端部には磁石41が取り付けられるとともに、ケース10の底壁には、磁石41に対向して、同磁石41から発せられる磁界を検出するためのセンサユニット60が配設されている。このセンサユニット60は、図6に示されるように、上記磁石41に対向する位置がその中央となるように配置されている。ちなみに、このセンサユニット60は、印加される磁界に応じて抵抗値の変化する磁気抵抗素子からなるセンサ、いわゆる磁気抵抗効果(MRE)センサを複数有するとともに、これらの複数のMREセンサから出力される電圧信号に対して所定の信号処理を施す回路等が1チップに集積化されて構成されている。
【0032】
図7及び図8は、こうした可動部40の傾動に基づくセンサユニット60に対する磁石41の相対的な位置の変化を示したものであり、以下、これら図7及び図8を参照して、同磁石41の動きについてさらに詳述する。なお、図7(a),図8(a)は、ケース10の平面構造を示したものであり、また、図7(c),図8(c)は、センサユニット60の平面構造を拡大して示したものである。さらに、図7(b)は、図7(a)のVII−VII線に沿った断面構造を、また、図8(b)は、図8(a)のVIII−VIII線に沿った断面構造をそれぞれ示したものである。
【0033】
例えばいま、図7(a)に示すように、可動部40の先端部が上記第2の案内溝11bの先端位置から第1の案内溝11aの中央位置まで移動、すなわち図中の実線で示す位置から二点鎖線で示す位置まで移動したとする。このとき、図7(b)に示すように、可動部40は上記傾動中心n4を中心に図中の矢印aで示す方向と反対方向に傾動した状態から矢印aで示す方向に傾動した状態となり、上記磁石41が同可動部40の先端部と反対方向に移動する。すなわち、図7(c)に示すように、磁石41は、上記センサユニット60の中央位置を基準として、矢印aで示す方向に離間した図中に実線で示す位置から同矢印aで示す方向と反対方向に離間した図中の二点鎖線で示す位置まで移動し、こうした磁石41の移動に伴ってセンサユニット60に印加される磁界に変化が生じる。そして、このシフト装置では、こうした磁界の変化をセンサユニット60のMREセンサを通じて検出しつつ、検出される磁界に基づいて磁石41の位置を検出し、磁石41の位置に基づいて車両の変速機のシフトレンジを以下の(b1),(b2)に示すように設定する。
【0034】
(b1)磁石41の位置が図7(c)に実線で示す位置である旨を検出したとき。このときシフト装置は、車両の変速機のシフトレンジをパーキングレンジに設定する。
(b2)磁石41の位置が図7(c)に二点鎖線で示す位置である旨を検出したとき。このときシフト装置は、車両の変速機のシフトレンジをニュートラルレンジに設定する。
【0035】
一方、例えばいま、図8(a)に示すように、可動部40の先端部が上記第1の案内溝11aの中央位置からその両端位置まで移動、すなわち図中の実線で示す位置から一点鎖線及び二点鎖線で示すそれぞれの位置まで移動したとする。このとき、図8(b)に示すように、可動部40は上記傾動中心n4を中心に第1の軸線S1に沿った方向にそれぞれ傾動した状態となり、このときにも、上記磁石41が同可動部40の先端部と反対方向に移動する。すなわち、図8(c)に示すように、磁石41は、図中の実線で示す位置から第1の軸線S1に沿った方向に離間した図中の一点鎖線及び二点鎖線で示すそれぞれの位置まで移動し、こうした磁石41の移動に伴ってセンサユニット60に印加される磁界に変化が生じる。そして、このシフト装置では、こうした磁界の変化をセンサユニット60のMREセンサを通じて検出しつつ、検出される磁界に基づいて磁石41の位置を検出し、磁石41の位置に基づいて車両の変速機のシフトレンジを以下の(b3),(b4)に示すように設定する。
【0036】
(b3)磁石41の位置が図8(c)に一点鎖線で示す位置である旨を検出したとき。このときシフト装置は、車両の変速機のシフトレンジをリバースレンジに設定する。
(b4)磁石41の位置が図8(c)に二点鎖線で示す位置である旨を検出したとき。このときシフト装置は、車両の変速機のシフトレンジをドライブレンジに設定する。
【0037】
一方、本実施形態にかかるシフト装置では、ユーザによって上記操作ノブ20が操作されたときに上記リンク機構30を介して上記可動部40の先端部が移動し、この可動部40の先端部の移動に伴って変速機のシフトレンジの切り替えを行う。
【0038】
図9〜図11は、こうした操作ノブ20の操作に伴う可動部40の先端部の動きを示したものであり、以下、これら図9〜図11を参照して、可動部40の先端部の動きについてさらに詳述する。なお、図9(a)、図10(a)、図11(a)は、本実施形態にかかるシフト装置の平面構造を、また、図9(b)、図10(b)、図11(b)は、上記操作ノブ20を取り除いた状態でのシフト装置の平面構造をそれぞれ示したものである。
【0039】
例えばいま、図9(a)に示されるように、操作ノブ20が上記パーキングポジションに位置している状態で矢印aで示される方向に操作されたとする。このとき、可動部40の先端部は操作ノブ20の挿入孔23内をスライド移動するとともに、図9(b)に示されるように、上記第2のレバー32の突出部32aは第3の案内溝12の下端に位置している状態から矢印aで示される方向に移動する。また、この突出部32aの移動に伴って、第2のレバー32が突出部31eを中心に半時計回りの方向に回動するとともに、第1のレバー31が上記支持部13を中心に時計回りの方向に回動する。一方、上記可動部40の先端部は、第1のレバー31の挿入孔31dの内壁が当接している部分から力を受けて、第2の案内溝11bに案内されるかたちで矢印aで示す方向に移動しつつ、第1のレバー31の挿入孔31d内を右端部付近から中央部に向けてスライド移動する。
【0040】
そして、図10(a)に示されるように、操作ノブ20が上記ニュートラルポジションに操作されたとすると、図10(b)に示されるように、上記第2のレバー32の突出部32aは第3の案内溝12の下端位置から上端位置まで距離D1だけ移動する。そしてこのとき、上記可動部40の先端部は第2の案内溝11bの先端位置から距離D1よりも短い距離E1だけ移動して第1の案内溝11aの中央位置に達し、このとき、シフト装置は、車両の変速機のシフトレンジをニュートラルレンジに切り替える。このように、本実施形態にかかるシフト装置では、リンク機構30の減衰効果により、可動部40の先端部の移動量E1が、操作ノブ20の移動量D1よりも小さくなる。換言すれば、同リンク機構30により、可動部40の先端部の移動量E1よりも操作ノブ20の移動量D1を大きく、すなわち操作ノブ20の第2の軸線S2に沿った方向の操作ストロークを大きくすることができるようになる。ちなみに、このシフト装置では、第1のレバー31の支持部13に連結されている部分から突出部31eまでの長さが、同第1のレバー31の支持部13に連結されている部分から上記可動部40の先端部までの長さよりも長く設定されているため、リンク機構30による減衰効果をより高めることができる構造となっている。したがって、レバー式のシフト装置に搭載されるセンサユニット60を利用することで上記磁石41の第2の軸線S2に沿った方向の移動量、換言すれば可動部40の先端部の第2の軸線S2に沿った方向の移動量が操作ノブ20の移動量と比較して小さな値に設定された場合であっても、十分な大きさの操作ストロークを確保することができる。このため、ユーザの操作ノブ20の操作性が悪化することはない。
【0041】
さらに、図11(a)に示されるように、操作ノブ20が上記リバースポジションに操作されたとすると、図11(b)に示されるように、上記第1及び第2のレバー31,32は先の図10(b)に示した位置を保持したまま、操作ノブ20のみがその回転中心n3を中心に回転する。そしてこのとき、可動部40の先端部には、操作ノブ20の挿入孔23の内壁が当接している部分から第1の軸線S1に沿った方向の力が作用するため、同可動部40の先端部は、第1のレバー31の挿入孔31d及び第1の案内溝11aの双方に案内されるかたちで第1の軸線S1に沿った方向に移動する。そして、可動部40の先端部が第1の案内溝11aの右端位置まで達したとき、シフト装置は、車両の変速機のシフトレンジをリバースレンジに切り替える。すなわち、本実施形態にかかるシフト装置では、操作ノブ20の回転操作に伴って可動部40が第1の案内溝11aに沿って移動するようになるため、レバー式のシフト装置に搭載されるセンサユニット60を利用しつつも、同センサユニット60を通じて可動部40の先端部の移動位置を検出することで操作ノブ20の回転位置を検出することができるようになる。
【0042】
ところで、上述のように、ユーザが操作ノブ20を回転操作する際にあっては、可動部40の先端部は、第1のレバー31の挿入孔31d及び第1の案内溝11aの双方に案内されるかたちで第1の軸線S1に沿った方向に移動する。このため、例えば図11(b)に二点鎖線で示すように、第1のレバー31の挿入孔31dの延伸方向の長さが第1の案内溝11aの延伸方向の長さよりも短く設定されていたとすると、可動部40の先端部の第1の軸線S1に沿った方向の移動量が第1のレバー31の挿入孔31dの延伸方向の長さに制限されるため、可動部40の先端部が第1の案内溝11aの長さの分だけ移動する場合と比較して、操作ノブ20の回転方向の操作ストロークが短くなってしまう。この点、本実施形態にかかる車両のシフト装置では、上述のように、第1のレバー31の挿入孔31dの延伸方向の長さを、第1の案内溝11aの延伸方向の長さと同等の長さに設定するようにしているため、可動部40の先端部の移動量として第1の案内溝11aの延伸方向の長さの分だけ確保することができるようになる。したがって、操作ノブ20の回転方向の操作ストロークを最大の長さに設定することができるようになる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態にかかる車両のシフト装置によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)操作ノブ20の回転中心n3の部分と可動部40の先端部とを連結するリンク機構30を設けた上で、同リンク機構30を第1及び第2のレバー31,32により構成するようにした。そして、第1のレバー31をケース10の支持部13に回動可能に支持し、また、第2のレバー32を第1のレバー31の突出部31eに回動可能に連結するとともに操作ノブ20の回転中心n3の部分に回転可能に連結するようにした。さらに、第1のレバー31及び操作ノブ20に、可動部40の先端部の挿入される挿入孔31d,23をそれぞれ形成するようにした。そして、第1のレバー31の挿入孔31dを、可動部40の先端部が第1の案内溝11aに位置している状態で、第1の案内溝11aに沿って第1の軸線S1に沿った方向に延伸されて、且つ第2の軸線S2に沿った方向に可動部40の先端部を挟持する長孔形状の孔として形成するようにした。また、操作ノブ20の挿入孔23を、可動部40の先端部が第2の案内溝11bに位置している状態で、第2の軸線S2に沿った方向に延伸されて、且つ第1の軸線S1に沿った方向に可動部40の先端部を挟持する長孔形状の孔として形成するようにした。これにより、リンク機構30の減衰効果を通じて、可動部40の先端部の第2の軸線S2に沿った方向の移動量よりも操作ノブ20の移動量を大きく、すなわち操作ノブ20の第2の軸線S2に沿った方向の操作ストロークを大きくすることができるようになるため、ユーザの操作ノブ20の操作性の悪化を招くことはない。また、操作ノブ20の回転操作に伴って可動部40の先端部が第1の軸線S1に沿った方向に移動するようになるため、センサユニット60を通じて可動部40の先端部の移動位置を検出することで操作ノブ20の回転位置を検出することもできるようになる。したがって、レバー式のシフト装置に搭載されるセンサユニット60を利用しつつも、操作ノブ20の回転操作の検出とユーザの操作性の維持との両立を図ることができるようになる。
【0044】
(2)第1のレバー31の支持部13に連結されている部分から突出部31eまでの長さを、同第1のレバー31の支持部13に連結されている部分から可動部40の先端部までの長さよりも長く設定するようにした。これにより、上記リンク機構30を通じた減衰効果がより高まるため、可動部40の先端部の第2の軸線S2に沿った方向の移動量に対して、操作ノブ20の移動量をより大きくすることができ、操作ノブ20の操作ストロークをより大きくすることができるようになる。
【0045】
(3)第1のレバー31の挿入孔31dの延伸方向の長さを、第1の案内溝11aの延伸方向の長さと同等の長さに設定するようにした。これにより、可動部40の先端部の移動量として第1の案内溝11aの延伸方向の長さの分だけ確保することができ、操作ノブ20の回転操作の操作ストロークを最大の長さに設定することができるようになる。
【0046】
(4)可動部40の基端部に磁石41を取り付けた上で、センサユニット60を、複数のMREセンサにより構成するとともに、可動部40の移動に伴う磁石41から発せられる磁界の変化をMREセンサを通じて検出し、検出された磁界の変化に基づいて可動部40の先端部の位置を検出するようにした。すなわち、無接点式のセンサユニットとして構成するようにした。これにより、接点式のセンサユニットと比較すると、接点間の導通不良の影響を受けることがなく、より信頼性の高い可動部40の先端部の位置の検出を実現することができるようになる。
【0047】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、磁気検出素子として、磁気抵抗効果により磁界に応じて抵抗値を変化させる磁気抵抗素子を採用するようにしたが、これに代えて、例えばホール効果によって磁界に応じたホール電圧を出力するホール素子なども採用することができる。要は、磁石41から発せられる磁界の変化を検出することのできる素子であれば、上記磁気検出素子として用いることができる。
【0048】
・上記実施形態では、可動部40の基端部に磁石41を取り付けるとともにセンサユニット60にMREセンサを設けるようにした上で、同磁石41から発せられる磁界の変化をセンサユニット60により検出しつつ、検出される磁界の変化から可動部40の先端部の位置を検出するようにした。これに代えて、例えば可動部40の基端部に光源を取り付けるとともにセンサユニット60に光の強度を検出するセンサを設けた上で、上記光源から発せられる光の強度の変化をセンサユニット60により検出しつつ、検出される光の強度の変化から可動部40の先端部の位置を検出するようにしてもよい。
【0049】
・上記実施形態では、第1のレバー31を上記第1〜第3の部位31a〜31cから構成するようにした。これに代えて、先の図10(b)に対応する図として図12を示すように、上記支持部13の位置を第1の案内溝11aの一方の端部から第1の軸線S1に沿った方向に所定距離だけ離間した位置に配置するようにした上で、第1のレバー31を、以下の(c1)、(c2)に示す第1及び第2の部位71a,71bから構成するようにしてもよい。
【0050】
(c1)支持部13に支持されている部分を端部として同部分から第1の案内溝11aの他方の端部の位置まで延伸された第1の部位71a。
(c2)同第1の部位71aの上記第1の案内溝11aの他方の端部まで延伸された部分から上記第3の案内溝12に向けて折り曲げられた第2の部位71b。
【0051】
すなわち、第1のレバー31の形状を適宜変更してもよい。同様に、第2のレバー32の形状を適宜変更することも可能である。なお、こうした第1のレバー31の形状の変更に伴い、第1のレバー31の挿入孔31dの位置や形状を適宜変更するようにしてもよい。要は、第1のレバー31の挿入孔31dは、可動部40の先端部が第1の案内溝11aに位置している状態で、第1の案内溝11aに沿って第1の軸線S1に沿った方向に延伸されて、且つ第2の軸線S2に沿った方向に可動部40の先端部を挟持する長孔形状に形成されていればよい。
【0052】
・上記実施形態では、第1のレバー31の挿入孔31dの延伸方向の長さを、第1の案内溝11aの延伸方向の長さと同等の長さに設定するようにした。これに代えて、例えば操作ノブ20の回転方向の操作ストロークを最大値よりも短く設定すべく、挿入孔31dの延伸方向の長さを第1の案内溝11aの長さよりも短く設定するようにしてもよい。すなわち、操作ノブ20の回転操作する際に必要な操作ストロークの大きさに応じて、挿入孔31dの延伸方向の長さを適宜変更するようにしてもよい。
【0053】
・操作ノブ20の第2の軸線S2に沿った方向の操作ストロークの大きさを調整するために、第2のレバー32の突出部31eに連結されている部分から突出部32aまでの長さを、第1のレバー31の支持部13に連結されている部分から突出部31eまでの長さよりも長く設定するようにしてもよい。また、それぞれの長さを同一の長さに設定するようにしてもよい。
【0054】
・同じく、操作ノブ20の第2の軸線S2に沿った方向の操作ストロークの大きさを調整するために、第1のレバー31の支持部13に連結されている部分から突出部31eまでの長さを、同第1のレバー31の支持部13に連結されている部分から可動部40の先端部までの長さよりも短く設定するようにしてもよい。
【0055】
・上記実施形態では、操作ノブ20を、その回転中心n3を中心とする断面円形状に形成するようにしたが、これに代えて、例えば断面楕円形状や断面矩形状に形成するなど、その形状を適宜変更するようにしてもよい。要は、第2の軸線S2に方向に操作されるとともに可動部40の先端部の位置から第2の軸線S2に沿った方向に離間した位置に回転中心を有して同回転中心を中心に回転操作されるものであればよい。なお、こうした操作ノブ20の形状の変更に伴い、挿入孔23の位置や形状を変更するようにしてもよい。要は、操作ノブ20の挿入孔23は、可動部40の先端部が第2の案内溝11bに位置している状態で、第2の軸線S2に沿った方向に延伸されて、且つ第1の軸線S1に沿った方向に可動部40の先端部を挟持する長孔形状に形成されていればよい。
(付記)
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
【0056】
(イ)請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両のシフト装置において、前記可動部が、当該可動部と一体となって移動する磁石を有するとともに、前記センサユニットが、前記磁石から発せられる磁界を検出する磁気検出素子から構成され、前記可動部の移動に伴う前記磁石から発せられる磁界の変化を前記磁気検出素子を通じて検出し、検出された磁界の変化に基づいて前記可動部の先端部の位置を検出することを特徴とする車両のシフト装置。例えばセンサユニットに複数の接点を設けた上で、可動部の先端部の位置に応じてこれら複数の接点間の導通及び非導通の選択的な変更を行うとともに、これら接点間の導通及び非導通の情報に基づいて可動部の先端部の位置を検出する、いわゆる接点式のセンサユニットにあっては、接点への異物の不着などによって接点間に導通不良が生じる懸念がある。そして、このような接点間に導通不良が生じた場合にあっては、可動部の先端部の位置を検出することができなくなるため、操作ノブの操作位置の検出が困難になるおそれがある。この点、同構成によれば、センサユニットが、可動部の磁石から発せられる磁界の変化に基づいて可動部の先端部の位置を検出する、いわゆる無接点式のセンサユニットであるため、上記接点間の導通不良の影響を受けることがなく、より信頼性の高い可動部の先端部の位置の検出を実現することができるようになる。
【0057】
(ロ)付記イに記載の車両のシフト装置において、前記磁気検出素子は、磁気抵抗効果により磁界に応じて抵抗値を変化させる素子であることを特徴とする車両のシフト装置。そしてこの場合、例えば付記ロに記載の発明によるように、磁気検出素子として、磁気抵抗効果により磁界に応じて抵抗値を変化させる素子を採用するといった構成を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】(a),(b)は、本発明にかかる車両のシフト装置の一実施形態についてその平面構造をそれぞれ示す平面図。
【図2】(a),(b)は、同実施形態の車両のシフト装置について分解斜視構造及び平面構造をそれぞれ示す斜視図及び平面図。
【図3】(a)は、同実施形態の車両のシフト装置の操作ノブについてその平面構造を、また、(b)は、図3(a)のIII−III線に沿った断面構造をそれぞれ示す平面図及び断面図。
【図4】同実施形態の車両のシフト装置のケースについてその平面構造を示す平面図。
【図5】図4のV−V線に沿った断面構造を示す平面図及び断面図。
【図6】図5のVI−VI線に沿った断面構造を示す平面図及び断面図。
【図7】(a)〜(c)は、同実施形態の車両のシフト装置の可動部の傾動に基づくセンサユニットに対する磁石の相対的な位置の変化を模式的に示す平面図及び断面図。
【図8】(a)〜(c)は、同実施形態の車両のシフト装置の可動部の傾動に基づくセンサユニットに対する磁石の相対的な位置の変化を模式的に示す平面図及び断面図。
【図9】(a),(b)は、同実施形態の車両のシフト装置についてその操作ノブがパーキングポジションからニュートラルポジションに操作された際の可動部の先端部の動きをそれぞれ示す平面図。
【図10】(a),(b)は、同実施形態の車両のシフト装置についてその操作ノブがニュートラルポジションに操作された際の可動部の先端部の移動位置をそれぞれ示す平面図。
【図11】(a),(b)は、同実施形態の車両のシフト装置についてその操作ノブがリバースポジションに操作された際の可動部の先端部の移動位置をそれぞれ示す平面図。
【図12】同実施形態の車両のシフト装置の第1のレバーについてその構造の変形例を示す平面図。
【図13】従来一般のレバー式のシフト装置についてその一例を示す斜視図。
【図14】従来一般のダイヤル式のシフト装置についてその一例を示す斜視図。
【図15】従来のレバー式のシフト装置についてその断面構造を示す断面図。
【図16】(a),(b)は、従来のレバー式のシフト装置のセンサユニットを利用したダイヤル式のシフト装置についてその断面構造及び平面構造をそれぞれ示す断面図及び平面図。
【符号の説明】
【0059】
10,101,201…ケース、10a,101b…上段内部、10b,101c…下段内部、11,101a…シフトゲート、11a…第1の案内溝、11b…第2の案内溝、12…第3の案内溝、13,102…支持部、14…仕切板、14a…貫通孔、20,200…操作ノブ、21…把持部、22…係合孔、23…挿入孔、30…リンク機構、31…第1のレバー、31a,71a…第1の部位、31b,71b…第2の部位、31c…第3の部位、31d…挿入孔、31e…突出部、32…第2のレバー、32a…突出部、40…可動部、41,100c…磁石、50…支持部材、60,103…センサユニット、100…操作レバー、100a…把持部、100b…ロッド部、201a…挿入穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって操作されるシフト操作部材と、該シフト操作部材に連結されるとともに車両の変速機との間の機械的な連結が排除された可動部と、該可動部の先端部の移動を案内するシフトゲートの形成されたケースと、該ケースに設けられて前記可動部の先端部の位置を検出するためのセンサユニットとを備え、前記シフトゲートは、第1の軸線の方向に延設される第1の案内溝、及び該第1の案内溝の中央部分から前記第1の軸線に直交する第2の軸線の方向に延設される第2の案内溝により構成されるT字状の溝からなり、前記センサユニットを通じて検出される前記可動部の先端部の位置に基づいて前記変速機のシフトレンジの切り替えを行う車両のシフト装置において、
前記シフト操作部材が、前記第2の軸線の方向に沿って操作されて、且つ前記可動部の先端部の位置から前記第2の軸線に沿った方向に離間した位置に回転中心を有して該回転中心を中心に回転操作される操作ノブからなるとともに、該操作ノブの回転中心と前記可動部の先端部とを連結するリンク機構を有し、
前記リンク機構は、前記ケースに回動可能に支持される部分を有する第1のレバーと、該第1のレバーに回動可能に連結される部分及び前記操作ノブの回転中心に回転可能に連結される部分を有する第2のレバーとからなり、
前記第1のレバー及び前記操作ノブには、前記可動部の先端部が挿入される挿入孔がそれぞれ形成され、
前記第1のレバーの挿入孔は、前記可動部の先端部が前記第1の案内溝に位置している状態で、前記第1の案内溝に沿って前記第1の軸線に沿った方向に延伸されて、且つ前記第2の軸線に沿った方向に前記可動部の先端部を挟持する長孔形状の孔からなり、
前記操作ノブの挿入孔は、前記可動部の先端部が前記第2の案内溝に位置している状態で、前記第2の軸線に沿った方向に延伸されて、且つ前記第1の軸線に沿った方向に前記可動部の先端部を挟持する長孔形状の孔からなる
ことを特徴とする車両のシフト装置。
【請求項2】
前記第1のレバーの前記ケースに支持されている部分から前記第2のレバーが連結されている部分までの長さが、前記第1のレバーの前記ケースに支持されている部分から前記第1のレバーの挿入孔に挿入される前記可動部の先端部までの長さよりも長く設定されてなる
請求項1に記載の車両のシフト装置。
【請求項3】
前記第1のレバーに形成される前記挿入孔の延伸方向の長さが、前記第1の案内溝の延設方向の長さ以上の長さに設定されてなる
請求項1又は2に記載の車両のシフト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−105621(P2010−105621A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282084(P2008−282084)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】