説明

シャッター装置、廃トナー回収ユニット及び画像形成装置

【課題】シャッター装置の外壁と内壁とにシール部材を容易に張り付けることができるシャッター装置、トナー回収ユニット及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】シール部材20は、開口部20A、スリット20B、及び開口部20Cが形成されている。開口部20Aは、長手方向に一辺から距離D1の位置を中心とし、開口部37Aと同一サイズの開口である。スリット20Bは、長手方向に一辺から距離D2の位置に形成される。開口部20Cは、長手方向に一辺から距離D3の位置を中心とし、開口部37Aの直径を短径とする楕円状の開口である。シール部材20は、開閉部材37の切欠部37Dに短手方向を合わせて、周壁の外側面に沿って貼り付けられる。シール部材20は、スリット20Bを開口部37Cの開口端に合わせて、該開口端で周壁の外側面から内側面へ折り返され、周壁の内側面に沿って貼り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に着脱自在に装着されるシャッター装置、廃トナー回収ユニット及び該シャッター装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、トナーを搬送するトナー搬送部を備えたトナーコンテナから現像装置へトナーを供給している。トナー搬送部の周囲には、現像装置へトナーを供給する開口部が形成されており、該開口部を塞ぐシャッター装置が周囲に回転可能に配置されている。シャッター装置には、トナー搬送部に形成された開口部と同一形状の開口部が形成されており、開口部を塞がないようにシール部材が内壁に張り付けられている。シール部材は、シャッター装置とトナー搬送部との隙間を塞ぐことで、トナーが飛散しないようにしている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、トナーを搬送するトナー搬送部を備えたトナーコンテナを備えている。トナー搬送部の周囲には、トナーを排出する開口部が形成されており、該開口部を塞ぐシャッター装置が周囲に回転可能に配置されている。画像形成装置は、トナー搬送部の周囲にシール部材を張り付けて、シャッター装置とトナー搬送部との隙間を塞いでいる。
【0004】
更に、画像形成装置は、転写処理に使用して劣化したトナーを回収するトナー回収ユニットを備えている。トナー回収ユニットは、転写装置から廃トナーを搬送する廃トナー搬送部と、該廃トナー搬送部が搬送した廃トナーを貯留する廃トナー貯留タンクとを備えている。廃トナー搬送部は、廃トナー貯留タンクへ廃トナーを排出する開口部が形成されており、該開口部を塞ぐシャッター装置が周囲に回転可能に配置されている。廃トナー搬送部は、トナー搬送部と同様にシール部材によりシャッター装置との隙間が塞がれている。
【0005】
また、トナー搬送部や廃トナー搬送部の周囲に回転可能に配置されたシャッター装置の場合、該シャッター装置と現像装置又は廃トナー貯留タンクとの間もシール部材で塞ぐことで、トナーが飛散しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−168856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
トナー搬送部や廃トナー搬送部の周囲に回転可能に配置されたシャッター装置では、トナー搬送部や廃トナー搬送部の周囲とシャッター装置の周囲とにシール部材を張り付けなければならない。この場合は、異なる部材にシール部材を張り付けなければならず手間がかかってしまう。また、トナー搬送部や廃トナー搬送部の周囲に代えて、シャッター装置の内壁にシール部材を張り付けてもよい。しかし、この場合は、シャッター装置の外壁と内壁とに別々にシール部材を張り付けなければならず手間がかかってしまう。
【0008】
そこで、この発明は、シャッター装置とトナー搬送部との隙間、及びシャッター装置と廃トナー貯留タンクとの隙間を塞ぐために、シャッター装置の外壁と内壁とにシール部材を容易に張り付けることができるシャッター装置、トナー回収ユニット及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のシャッター装置は、中空円筒状の筒体と該筒体の側面に形成された廃トナーを排出するトナー排出口とを有する廃トナー搬送部の該トナー排出口を開閉する。
【0010】
シャッター装置は、本体と第1開口部と第2開口部と基準位置とシール部材とを備える。本体は、トナー排出口の周囲に、トナー排出口を開口する開口位置とトナー排出口を閉鎖する閉鎖位置との間を回転自在に取り付けられた中空円筒状である。第1開口部は、本体の周壁に形成される開口であって、本体が開口位置に位置した状態でトナー排出口と同軸上に位置し、本体が閉鎖位置に位置した状態でトナー排出口と同軸上に位置しない。第2開口部は、本体の周壁に形成される開口であって、第1開口部と同一円周上に形成され、本体が開口位置に位置した状態で、本体の周壁の上半円側に形成される。
【0011】
シール部材は、本体の周壁の外側面及び内側面における第2開口部の近傍から第1開口部を経て第2開口部の開口端までの距離にほぼ等しい長さである。このシール部材は、本体の周壁の外側面及び内側面に、第2開口部の開口端で折り返して配設される。
【0012】
この構成では、シール部材は、1枚からなり、本体の周壁の外側面に一端を合わせて、第2開口部の開口端まで貼り付けられた後、第2開口部の開口端で折り返されて内側面に沿って貼り付けられる。
【0013】
第2開口部は、第1開口部より大きい矩形の開口であることが好ましい。
【0014】
この構成では、本体の周壁の外側面に貼り付けたシール部材を、第2開口部を通して内側面に張り付ける。これにより、第2開口部の開口が大きいと、本体の周壁の外側面から内側面へシール部材を折り返しやすいため、本体の周壁の外側面及び内側面にシール部材をより容易に貼り付けることができる。
【0015】
本体が開口位置に位置する際に、本体の周壁の上半円側且つ本体の周壁の外側面に設けられた基準位置を更に備えることが好ましい。この場合、シール部材は、本体の周壁の外側面における基準位置から第1開口部を経て第2開口部の開口端までの距離である第1距離、本体の周壁の内側面における前記第2開口部の開口端から第1開口部を経て基準位置と対向する位置までの距離である第2距離を含む。シール部材は、本体の周壁の外側面における基準位置から第1開口部を経て第2開口部の開口端で折り返し、本体の周壁の内側面に沿って配設される
この構成では、シール部材は、本体の周壁の外側面にある基準位置にシール部材の一端を合わせ、第1開口部を経て第2開口部まで本体の周壁の外側面に沿って貼り付けられる。シール部材は、本体の周壁の外側面から内側面へ第2開口部で折り返されると、第1開口部を経て本体の周壁の内側面における基準位置を超える位置まで本体の周壁の内側面に沿って貼り付けられる。
【0016】
これにより、シャッター装置は、本体の周壁の外側面にある基準位置にシール部材の一端を合わせるだけで、本体の周壁の外側面及び内側面の正確な位置にシール部材を容易に貼り付けることができる。
【0017】
シール部材は、第1距離における厚みを低減することが好ましい。
【0018】
この構成では、シール部材は、シール部材にスリット等を形成し厚みを低減している位置を第2開口部の開口端に一致するようにして貼り付けられる。これにより、シャッター装置は、シール部材の厚みを低減している位置を第2開口部の開口端に貼り付ける基準位置とすることができるため、シール部材をより正確な位置に貼り付けることができる。
【0019】
シール部材は、第1距離までの素材がシール性を持つ素材であり、第1距離から第2距離までの素材がトナーの飛散防止性を持つ素材であることが好ましい。
【0020】
この構成では、本体の周壁の外側面にシール性を持つ素材が張り付けられ、内側面にトナーの飛散防止性を持つ素材が張り付けられる。これにより、シャッター装置は、廃トナー回収ユニットとのシール性を保ち、廃トナー搬送部からの廃トナーの飛散を防止することができる。
【0021】
シール部材は、本体の周壁の外側面における基準位置から第1開口部の中心までの距離を中心とする第1開口部と同一形状からなる開口と、本体の周壁の内側面における第2開口部の開口端から第1開口部の中心までの距離を中心とする第1開口部より大きい形状からなる開口と、が形成されていることが好ましい。
【0022】
この構成では、本体の第1開口部より大きい形状の開口のシール部材を本体の周壁の内側面側から貼り付ける。これにより、内側面側に貼り付けるシール部材の素材が厚手であっても、第1開口部を塞ぐことがない。
【0023】
この発明の廃トナー回収ユニットは、上述のシャッター装置と廃トナー搬送部と廃トナー貯留タンクと内部シャッター装置とを備える。廃トナー搬送部は、中空円筒状の筒体と、筒体の側面に形成された廃トナーを排出するトナー排出口と、を備える。廃トナー貯留タンクは、廃トナー搬送部のトナー排出口から排出された廃トナーを貯留する。内部シャッター装置は、廃トナー搬送部のトナー排出口の内壁面に沿って、開口位置と閉鎖位置との間を回転自在に取り付けられた中空円筒状である。内部シャッター装置は、シャッター装置の回転に連動して回転し、シャッター装置の第1開口部が廃トナー搬送部のトナー排出口と同軸上に位置した状態で、トナー排出口と同軸上に位置する開口である内部開口部を有する。
【0024】
この構成では、シャッター装置が開口位置に配置されると内部シャッター装置も開口位置に配置され、シャッター装置が閉鎖位置に配置されると内部シャッター装置も閉鎖位置に配置される。すなわち、シャッター装置がトナー排出口を開口すると内部シャッター装置もトナー排出口を開口し、シャッター装置がトナー排出口を閉鎖すると内部シャッター装置もトナー排出口を閉鎖する。
【0025】
これにより、廃トナー回収ユニットは、シャッター装置の開閉動作に連動して、内部シャッター装置の開閉動作を行うことができる。
【0026】
この発明の画像形成装置は、上述の廃トナー回収ユニットと画像形成部とを備える。画像形成部は、画像を形成する。廃トナー回収ユニットの廃トナー搬送部は、画像形成部で回収された廃トナーを搬送する。
【発明の効果】
【0027】
この発明のシャッター装置、及びシャッター装置を備えたトナー回収ユニット及び画像形成装置は、シャッター装置の周壁の外側面及び内側面に容易にシール部材を張り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の一実施形態に係る画像形成装置の正面視における全体の構成を示す図である。
【図2】トナー回収ユニット前面側の構成を示す斜視図である。
【図3】トナー回収ユニット背面側の構成を示す斜視図である。
【図4】移動部材の移動に伴う開閉部材の開閉動作を説明する図である。
【図5】開閉部材の構成を示す斜視図である。
【図6】開閉部材の開閉動作を説明する図である。
【図7】開口位置及び閉鎖位置における開閉部材の構成を説明する図である。
【図8】シール部材の構成を示す図である。
【図9】開閉部材へのシール部材の貼り付け方法を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明に係るシャッター装置、廃トナー回収ユニット及び画像形成装置について、図を参照して以下に説明する。
【0030】
図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成部110と、自動原稿読取部120と、画像形成部110を格納する筐体130とを備え、画像データに応じて用紙に多色及び単色の印刷処理を行う。
【0031】
自動原稿読取部120は、画像形成部110の上部に配置されており、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿台92を有し、原稿台92上に原稿を自動搬送して原稿画像の読み取りを行う。
【0032】
画像形成部110は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、トナー回収ユニット30、給紙カセット81、排紙トレイ91等を有している。画像形成部110は、用紙に印刷処理を行う。
【0033】
現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のカラー画像に応じた4つの画像ステーションにそれぞれ配置されている。各ステーションでは、各色に応じた4種類の潜像を形成する。
【0034】
クリーナユニット4は、トナーを排出する搬送スクリューと、搬送スクリューが配設された導管(本発明の廃トナー搬送部に相当する。)4Aとを備え、感光体ドラム3の周面に残留したトナーを回収して、導管4Aを経由して排出する。
【0035】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるチャージャ型の帯電器である。
【0036】
露光ユニット1は、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)である。露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。現像器2はそれぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーにより顕像化する。
【0037】
中間転写ベルトユニット6は、感光体ドラム3の上方に配置され、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を有している。上記中間転写ローラ64は、YMCK用の各色に対応して4本設けられている。中間転写ベルトクリーニングユニット65は、トナーを排出する搬送スクリューが配設された導管(本発明の廃トナー搬送部に相当する。)65Aを備え、中間転写ベルト61に残留しているトナーを導管65A経由で排出する。
【0038】
給紙カセット81は、画像形成に使用する用紙が積層されており、画像形成部110の露光ユニット1の下側に設けられている。手差し給紙カセット82にも画像形成に使用する用紙を置くことができる。画像形成部110の上方に設けられている排紙トレイ91は、画像形成部110で画像形成処理を行った用紙を集積するためのトレイである。
【0039】
画像形成部110には、給紙カセット81又は手差し給紙カセット82の用紙を転写ローラ10や定着ユニット7を経由して排紙トレイ91に送る用紙搬送路Lが設けられている。用紙搬送路Lは、給紙カセット81乃至手差し給紙カセット82から排紙トレイ91に至る搬送路である。用紙搬送路Lは、ピックアップローラ11A、11B、搬送ローラ対12A、レジストローラ対13、転写ローラ10、定着ユニット7、搬送ローラ対12Bが上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。
【0040】
ピックアップローラ11Aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81から用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路Lに供給する。ピックアップローラ11Bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット82から用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路Lに供給する。
【0041】
レジストローラ対13は、用紙搬送路Lに沿って搬送されている用紙を一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端と用紙の先端を合わせるタイミングで用紙を下流側の中間転写ベルト61を介した中間転写ベルト駆動ローラ62及び転写ローラ10から成るローラ対へ搬送する。
【0042】
中間転写ベルト61を介した中間転写ベルト駆動ローラ62及び転写ローラ10から成るローラ対は、用紙を狭持搬送して中間転写ベルト61上に担持されているトナー像を用紙の印刷面に転写するローラ対である。
【0043】
定着ユニット7は、転写ローラ10の直上方に配置されており、ヒートローラ71及び加圧ローラ72から成るローラ対を有し、トナー像が転写された用紙を加熱及び加圧して用紙表面にトナー像を定着させる。
【0044】
筐体130は、トナー回収ユニット30と面する前面パネル131を有している。前面パネル131は、長手方向の両下端を基点にして前面側へ開閉可能に支持されている。トナー回収ユニット30は、支持部材(不図示)により画像形成部110へ着脱可能に支持されている。
【0045】
図2に示すように、トナー回収ユニット30は、カバー31、操作部32、廃トナー貯留タンク33、フレーム34、移動部材35、及び開閉部材(本発明のシャッター装置に相当する。)36,37を備えている。図2(A)に示すように、カバー31は、X軸方向を長手方向とする矩形の開口部311が形成されており、開口部311から突出する操作部32をX軸方向に平行移動可能にしている。
【0046】
図2(B)に示すように、トナー回収ユニット30は、フレーム34の全面を密閉するようにカバー31で被覆している。フレーム34の前面側には、カバー31に形成された開口部311と同一形状の開口部341が形成されている。フレーム34の上部には、移動部材35がX軸方向に平行移動可能に取り付けられている。移動部材35は、操作部32と一体形成されており、移動部材35の前面側から突出するように操作部32を設けている。操作部32は、開口部341から突出している。これにより、操作部32は、開口部341の開口範囲内でのX軸方向の移動に伴って、移動部材35をX軸方向に移動させることができる。
【0047】
また、移動部材35の下部には、開閉部材36,37が配置されている。開閉部材36,37は、トナー回収ユニット30が画像形成部110に装着された状態で、それぞれ導管65A,導管4Aに接続される。開閉部材36,37は、それぞれ導管65A,導管4Aを排出通路SP(図6参照。)に連通させる開口位置と連通させない閉鎖位置との間で回転可能に支持されている。
【0048】
また、フレーム34の下部には、廃トナー貯留タンク33が設けられている。廃トナー貯留タンク33は、開閉部材36,37から排出通路SPを経由して排出されたトナーを貯留する貯留部である。
【0049】
排出通路SPは、開閉部材36,37を廃トナー貯留タンク33へ連通させる隙間であり、上方に位置する開閉部材36,37周辺から下方に位置する廃トナー貯留タンク33の間にトナー回収ユニット30のほぼ全幅にわたって形成されている。これにより、開閉部材36,37を経由して排出されるトナーを廃トナー貯留タンク33へ貯留することができる。図3に示すように、廃トナー貯留タンク33の背面側には、開閉部331が設けられている。廃トナー貯留タンク33に貯留された廃トナーは、開閉部331から廃棄することができる。
【0050】
図4に示すように、移動部材35には、長手方向下面に沿って開閉部材36,37のそれぞれと離合可能に噛合するギア35Gが形成されている。一方、開閉部材36,37の周縁には各ギア35Gと離合可能に噛合するギア36G,37Gがそれぞれ形成されている。移動部材35は、−X方向から+X方向への自身の移動に伴い、ギア35Gをそれぞれ開閉部材36,37のギア36G,37Gと噛合させて、開閉部材36,37を矢印Mの方向へ回転させて閉鎖位置から開口位置に位置させる。また、移動部材35は、+X方向から−X方向への自身の移動に伴い、ギア35Gをそれぞれ開閉部材36,37のギア36G,37Gと噛合させて、開閉部材36,37を矢印Mの反対方向へ回転させて開口位置から閉鎖位置に位置させる。これにより、移動部材35の移動に伴って、開閉部材36,37の開閉動作を行うことができる。
【0051】
なお、移動部材35は、フレーム34の排出通路SPを形成する部分の上方に配置されている。これにより、排出通路SPを通過するトナーが移動部材35に付着するのを防止し、移動部材35に付着したトナーによってギア35Gが、ギア36G、37Gにスムーズに噛み合わなくなるのを防止するという効果を得ることもできる。
【0052】
次に、開閉部材36,37の構造について説明する。開閉部材36,37は同一の構造からなるため、開閉部材37を例に挙げて説明する。また、開閉部材36,37がそれぞれ接続される導管65A,導管4Aについても、同一の構造からなる。
【0053】
図5に示すように、開閉部材37は、中空円筒状の筒体(本発明の本体に相当する。)からなり、一方の先端に矩形の開口である嵌合部37Bを設け、他方の先端を全面開口している。開閉部材37は、先端を全面開口している側の周壁の一部にギア37Gを形成している。開閉部材37は、ギア37Gを形成している周壁に矩形の開口部(本発明の第2開口部に相当する。)37Cを形成し、ギア37Gを形成していない周壁の一部に円形状の開口部(本発明の第1開口部に相当する。)37Aを形成している。開口部37Cは、開口部37Aより大きい開口として、開口部37Aと同一円周上に形成されている。また、開閉部材37は、開口部37Aを下方に配置した状態で、開口部37Cを周壁の上半円側に位置するように形成している(図7(A)参照)。また、開閉部材37は、開口部37Cの近傍にシール部材20の貼り付け開始位置となる切欠部(本発明の基準位置に相当する。)37Dを形成している。切欠部37Dは、開口部37Aを下方に配置した状態で、周壁の上半円側に位置する。開閉部材37は、周壁の外側面と内側面とにシール部材20が貼り付けられている。
【0054】
図6に示すように、導管4Aは、中空円筒状の筒体からなり、周壁の下部に排出口(本発明のトナー排出口に相当する。)4Eを設けている。開閉部材37は、導管4Aが挿嵌されており、回転可能となっている。開閉部材37の開口部37Aは、開閉部材37が開口位置に位置する状態で、排出口4Eと同軸上に位置する周壁に設けられている。
【0055】
また、導管4Aの前面側の先端には、導管4Aの内壁面に沿って、開閉部材50(本発明の内部シャッター装置に相当する。)が回転可能に挿嵌されている。開閉部材50は、中空円筒状からなり、開口部(本発明の内部開口部に相当する。)50A及び突出部50Bが形成されている。
【0056】
突出部50Bは、直方体形状からなり、円状を成す前面部分に形成され、開閉部材37の嵌合部37Bに挿脱可能である。開閉部材50の開口部50Aは、突出部50Bが嵌合部37Bに嵌合した状態で、開閉部材37の開口部37Aと同軸上に位置する周壁に設けられている。これにより、開閉部材37の回転に連動させて開閉部材50を回転させることができる。また、開口部37Aと開口部50Aとを同軸上に位置したままにすることができる。
【0057】
図7(A)に示すように、開閉部材37は、開口位置に位置する状態で、開口部37A及び開閉部材50の開口部50Aを排出口4Eに面する下方へ配置する。これにより、開閉部材37は、排出口4Eを開放し、導管4Aを排出通路SPに連通させることができる。一方、図7(B)に示すように、開閉部材37は、閉鎖位置に位置する状態で、開口部37A及び開閉部材50の開口部50Aを排出口4Eに面しない位置で且つ導管4Aの周壁の上半円側へ配置する。これにより、開閉部材37は、排出口4Eを遮蔽し、導管4Aを排出通路SPに連通させない状態に保持することができる。なお、図7は、説明の簡単化のためシール部材20を省略している。
【0058】
これにより、開閉部材50は、開閉部材37が閉鎖位置に位置する状態で、トナー回収ユニット30が画像形成部110から取外されても、排出口40Eを遮蔽したままとなり、導管4Aに残っている廃トナーのトナー漏れを防ぐことができる。なお、本実施形態では、開閉部材50が各導管4Aに取り付けられているが、排出口4Eの開閉状態を切り替える必要がない場合には開閉部材50は設けなくてもよい。
【0059】
図8に示すように、開閉部材37に貼り付けられるシール部材20は、長方形状からなり、円形状の開口部20A、スリット20B及び楕円状の開口部20Cが形成されている。ここで、開閉部材37の周壁の外側面に形成した切欠部37Dから開口部37Aの中心までの距離を距離D1、開閉部材37の周壁の外側面に形成した切欠部37Dから開口部37Cの開口端までの距離を距離D2、開閉部材37の周壁の外側面に形成した切欠部37Dから開口部37Cの開口端で周壁の内側面へ折り返し開口部37Aの中心までの距離を距離D3、開閉部材37の周壁の外側面に形成した切欠部37Dから開口部37Cの開口端で周壁の内側面へ折り返し、切欠部37Dと対向する位置を越えて且つ開口部37Cの開口端を越えないまでの距離を距離D4とする。
【0060】
シール部材20は、長手方向が距離D4の長さに形成されている。開口部20Aは、シール部材20の一辺から長手方向に向かって距離D1の位置を中心C1とし、開口部37Aと同一サイズの開口として形成されている。スリット20Bは、シール部材20の一辺から長手方向に向かって距離D2の位置に形成されている。開口部20Cは、シール部材20の一辺から長手方向に向かって距離D3の位置を中心C2とし、開口部37Aの直径を短径とする楕円状の開口として形成されている。
【0061】
また、シール部材20は、シール部材20の一辺から長手方向に向かって距離D2の位置に高発泡ポリエチレンシート21Aを、距離D2から距離D4の位置にポリウレタンフォーム21Bを、ポリエチレンテレフタレート21Cの上面に両面テープ21Dで接着している。シール部材20は、ポリエチレンテレフタレート21Cの下面にも両面テープ21Eを貼り付ける。シール部材20は、両面テープ21Eにより開閉部材37に貼り付けられる。高発泡ポリエチレンシート21Aは、厚み0.5mmからなるシール性を備えた素材である。ポリウレタンフォーム21Bは、厚み3.0mmからなるポリエーテル系ポリウレタンフォームであり、トナーの飛散防止性を備えた素材である。ポリエチレンテレフタレート21Cは、厚み0.05mmからなるプラスチックの一種である。
【0062】
図9に示すように、シール部材20は、高発泡ポリエチレンシート21Aを張り付けた一辺を開閉部材37の切欠部37Dに合わせて、開閉部材37の周壁の外側面に沿って貼り付けられる。シール部材20は、スリット20Bを開口部37Cの開口端に合わせて、該開口端で周壁の外側面から内側面へ折り返され、周壁の内側面に沿って貼り付けられる。この結果、シール部材20は、開口部20Aが開閉部材37の開口部37Aと周壁の外側面で重なり、開口部20Cが開閉部材37の開口部37Aと周壁の内側面で重なるように貼り付けられる。
【0063】
これにより、開閉部材37の切欠部37D、開口部37Cの開口端に、1枚からなるシール部材20の短手方向の一辺、スリット20Bを基準位置として一致するように貼り付けるだけで、開閉部材37の周壁の外側面及び内側面にシール部材20を容易に張り付けることができる。開閉部材37は、導管4Aとの隙間、排出通路SPとの隙間を1枚のシール部材20で塞ぐことができ、トナーが外部に漏れるのをより確実に防止することができる。また、シール部材20は、開口部37Aの直径を短径とする楕円状の形状となる開口部20Cが形成されているため、開閉部材37の周壁の内側面に貼り付けられても、開口部37Aを塞がない。
【0064】
なお、スリット20Bは、隙間や切れ目や圧縮等により、シール部材20の厚みを低減するものであればよい。また、スリット20Bは、断続的に形成されたものでもよい。
【0065】
なお、本実施形態では、移動部材35は排出通路SPと遮蔽されたフレーム34の上方でX軸方向に移動可能に支持されている例を挙げて説明している。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、移動部材35による開閉部材36,37の開閉動作がスムーズに行える場合には、移動部材35は排出通路SP内を通過する位置に配置するものとしてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、カバー31は、トナー回収ユニット30の前面側の廃トナー貯留タンク33及び操作部32を除く全面を密閉するように被覆している。これにより、開閉部材36,37周辺からトナーが外部に漏れるのをより確実に防止することができる。しかし、トナー回収ユニット30の仕様によってはカバー31を用いなくともよい。
【0067】
また、本実施形態ではトナー回収ユニット30が開閉部材を複数備えているが、トナー回収ユニット30は開閉部材を少なくとも1つ以上備えているものであればよい。また、開閉部材は、現像器2へトナーを供給するトナー搬送部(不図示)に適応してもよい。この場合、開閉部材とトナー搬送部との隙間、及び開閉部材と現像器2への隙間を1枚のシール部材20で容易に塞ぐことができる。
【0068】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
100…画像形成装置
110…画像形成部
20…シール部材
20A…開口部
20B…スリット
20C…開口部
30…トナー回収ユニット
33…廃トナー貯留タンク
36,37…開閉部材
37A…開口部
37C…開口部
37D…切欠部
4A…導管
4E…排出口
50…開閉部材
50A…開口部
65A…導管
65B…開閉部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円筒状の筒体と、該筒体の側面に形成された廃トナーを排出するトナー排出口とを有する廃トナー搬送部の該トナー排出口を開閉するシャッター装置であって、
前記トナー排出口の周囲に、該トナー排出口を開口する開口位置と該トナー排出口を閉鎖する閉鎖位置との間を回転可能に取り付けられた中空円筒状の本体と、
前記本体の周壁に形成される開口であって、前記本体が前記開口位置に位置した状態で前記トナー排出口と同軸上に位置し、前記本体が前記閉鎖位置に位置した状態で前記トナー排出口と同軸上に位置しない第1開口部と、
前記本体の周壁に形成される開口であって、前記第1開口部と同一円周上に形成され、前記本体が前記開口位置に位置した状態で、前記本体の周壁の上半円側に形成される第2開口部と、
前記本体の周壁の外側面及び内側面における前記第2開口部の近傍から前記第1開口部を経て前記第2開口部の開口端までの距離にほぼ等しい長さのシール部材と、を備え、
前記シール部材は、前記本体の周壁の外側面及び内側面に、前記第2開口部の開口端で折り返して配設されるシャッター装置。
【請求項2】
前記第2開口部は、前記第1開口部より大きい矩形の開口である請求項1に記載のシャッター装置。
【請求項3】
前記本体が前記開口位置に位置する際に、前記本体の周壁の上半円側且つ該本体の周壁の外側面に設けられた基準位置を更に含み、
前記シール部材は、前記本体の周壁の外側面における前記基準位置から前記第1開口部を経て前記第2開口部の開口端までの距離である第1距離、前記本体の周壁の内側面における前記第2開口部の開口端から前記第1開口部を経て前記基準位置と対向する位置までの距離である第2距離を含み、前記本体の周壁の外側面における前記基準位置から前記第1開口部を経て前記第2開口部の開口端で折り返し、該本体の周壁の内側面に沿って配設される請求項1又は2に記載のシャッター装置。
【請求項4】
前記シール部材は、前記第1距離における厚みを低減する請求項3に記載のシャッター装置。
【請求項5】
前記シール部材は、前記第1距離までの素材がシール性を持つ素材であり、該第1距離から前記第2距離までの素材がトナーの飛散防止性を持つ素材である請求項2〜4の何れかに記載のシャッター装置。
【請求項6】
前記シール部材は、前記本体の周壁の外側面における前記基準位置から前記第1開口部の中心までの距離を中心とする前記第1開口部と同一形状からなる開口と、前記本体の周壁の内側面における前記第2開口部の開口端から前記第1開口部の中心までの距離を中心とする前記第1開口部より大きい形状からなる開口と、が形成されている請求項5に記載のシャッター装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載のシャッター装置と、
中空円筒状の筒体と、前記筒体の側面に形成された廃トナーを排出するトナー排出口と、を備える廃トナー搬送部と、
前記廃トナー搬送部の前記トナー排出口から排出された廃トナーを貯留する廃トナー貯留タンクと、
前記廃トナー搬送部の前記トナー排出口の内壁面に沿って、前記開口位置と前記閉鎖位置との間を回転可能に取り付けられた中空円筒状の内部シャッター装置と、を備え、
前記内部シャッター装置は、前記シャッター装置の回転に連動して回転し、該シャッター装置の前記第1開口部が前記廃トナー搬送部の前記トナー排出口と同軸上に位置した状態で、該トナー排出口と同軸上に位置する開口である内部開口部を有する廃トナー回収ユニット。
【請求項8】
請求項7に記載の廃トナー回収ユニットと、
画像を形成する画像形成部と、を備え、
前記廃トナー回収ユニットの前記廃トナー搬送部は、前記画像形成部で回収された廃トナーを搬送する画像形成装置。

【図1】
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【図4】
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【図9】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−237698(P2011−237698A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110754(P2010−110754)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】