説明

シリコンウェーハの製造方法

【課題】COP等のgrown−in欠陥が表層域に存在しない、例えば直径450mmの大口径のシリコンウェーハを製造する方法を提供する。
【解決手段】チョクラルスキー法により3.0℃/分以下の冷却速度の下に育成したシリコン単結晶をスライスしてシリコンウェーハを製造するに当たり、該シリコンウェーハに非酸化性雰囲気中で熱処理を施し、次いで酸化性雰囲気で熱処理を施し、シリコンウェーハの表面側にgrown−in欠陥が存在する欠陥層および該欠陥層の直下にgrown−in欠陥が存在しない無欠陥層を形成し、その後前記欠陥層を研磨除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハの製造方法、特に、表層域にCOP等の成長時導入欠陥(grown−in欠陥)が存在しない、大口径のシリコンウェーハを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、半導体デバイスを作製する際には、チョクラルスキー(CZ)法により育成されたシリコン単結晶をスライスし、得られたシリコンウェーハを基板として使用するのが一般的である。このようなシリコンウェーハの表面近傍の領域に、COP(Crystal Originated Particle)等のgrown−in欠陥が存在すると、デバイスの歩留まりが低下するため、現在、シリコンウェーハの表面から3μm程度までの深さ領域(以下、「表層域」と称する)にgrown−in欠陥が存在しないことが必要条件となっている。
【0003】
ここで、表層域にgrown−in欠陥が存在しないシリコンウェーハを得る方法は、以下の3つに大別できる。即ち、第1の方法は、製造されたシリコンウェーハ上に無欠陥のエピタキシャル層を成長させることにより、grown−in欠陥が存在しない表層域を後から形成する方法である。また、第2の方法は、CZ法によりシリコン単結晶を育成する際に、成長速度を大きく低下させることにより、grown−in欠陥を形成させない方法である。そして、第3の方法は、grown−in欠陥を含むシリコンウェーハを一旦製造し、次いでアルゴンや水素等の非酸化性雰囲気中で熱処理を施すことにより、表層域のgrown−in欠陥を消滅させる方法である。
【0004】
これら3つの方法のうち、第1の方法は、シリコンウェーハを製造した後に、該シリコンウェーハ上に化学気層成長法(CVD)等によりエピタキシャル層を成長させる必要があるため、製造コストが増大する問題がある。また、第2の方法は、grown−in欠陥を消滅させるためには成長速度を大きく低下させる必要があるため、生産性が著しく低下してしまう。従って、grown−in欠陥を含むシリコンウェーハに対して熱処理を施すことにより、grown−in欠陥を消滅させる第3の方法が、工業上、最も現実的な方法である。
【0005】
これまで、上記の第3の方法に基づく様々な方法が提案されてきた。例えば、シリコンウェーハに対して熱処理を施してgrown−in欠陥を消滅させるには、grown−in欠陥のサイズが小さいことが重要であるため、特許文献1では、CZ法によりシリコン単結晶を育成する際に、grown−in欠陥が形成される欠陥形成温度帯通過時の冷却速度を一定値以上とすることにより、grown−in欠陥サイズを小さくする技術を提案している。また、特許文献2には、シリコンウェーハに窒素をドープすることによりgrown−in欠陥の成長を抑制する技術が提案されている。
【0006】
また、特許文献3および4には、上述のような非酸化性雰囲気中での熱処理に加えて、酸化性雰囲気中での熱処理を施すことにより、COPの消滅を促進させる方法も提案されている。更に、特許文献5には、非酸化性雰囲気および酸化性雰囲気中での熱処理に加えて、窒素ドープされたシリコンウェーハを使用することにより、ウェーハ表面近傍のCOPを更に低減する技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4041182号公報
【特許文献2】特許第3771737号公報
【特許文献3】特許第3011178号公報
【特許文献4】特許第3800006号公報
【特許文献5】特許第4038910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の特許文献1〜5に記載の方法は、直径が300mm程度までのシリコンウェーハに対しては、その表層域に存在するgrown−in欠陥を消滅させることが可能であるが、300mmを超える、例えば450mm程度の大口径のシリコンウェーハについては困難である。即ち、近年、シリコンウェーハの大口径化が益々進んでおり、CZ法によりシリコン単結晶を育成する際の冷却速度が益々低下している。その結果、シリコン単結晶中に形成されるgrown−in欠陥のサイズは従来よりも大きなものとなっている。かように大型化したgrown−in欠陥に対しては、上記の従来の各方法によってこれを消滅させることは難しかった。そのため、表層域にgrown−in欠陥が存在しない大口径のシリコンウェーハを製造する方法の確立が希求されていた。
【0009】
そこで、本発明の目的は、COP等のgrown−in欠陥が表層域に存在しない、例えば直径450mmの大口径のシリコンウェーハを製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者は、上記課題を解決するための方途について鋭意究明した結果、非酸化性雰囲気および酸化性雰囲気中での熱処理条件を適切に制御してgrown−in欠陥が存在する領域をシリコンウェーハ表層の出来るだけ狭い範囲に制限し、次いでgrown−in欠陥が存在する領域を研磨して除去することによって、無欠陥ウェーハの工業的規模での生産が実現されることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明のシリコンウェーハの製造方法は、チョクラルスキー法により3.0℃/分以下の冷却速度の下に育成したシリコン単結晶をスライスしてシリコンウェーハを製造するに当たり、該シリコンウェーハに非酸化性雰囲気中で熱処理を施し、次いで酸化性雰囲気で熱処理を施し、前記シリコンウェーハの表面側にgrown−in欠陥が存在する欠陥層および該欠陥層の直下に前記grown−in欠陥が存在しない無欠陥層を形成し、その後前記欠陥層を研磨除去することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明のシリコンウェーハの製造方法において、前記非酸化性雰囲気中での熱処理を1150〜1250℃にて0.5〜2時間行い、前記酸化性雰囲気中での熱処理を1150〜1250℃にて0.5〜1時間行うことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のシリコンウェーハの製造方法において、前記シリコンウェーハの表面から少なくとも3μm深さまでの領域が前記無欠陥層であることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明のシリコンウェーハの製造方法において、前記非酸化性雰囲気は、アルゴンまたは水素であることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明のシリコンウェーハの製造方法において、前記酸化性雰囲気中の酸素の分圧は1%以上であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シリコンウェーハ表面から3μm程度の表層域にgrown−in欠陥が存在しない、例えば直径450mmの大口径のシリコンウェーハを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】直径300mm以下のシリコンウェーハに対して(a)非酸化性雰囲気での熱処理、および(b)酸化性雰囲気中での熱処理を施した後のCOPの分布の様子、および深さ方向の酸素濃度を示す図である。
【図2】直径450mmのシリコンウェーハに対して(a)非酸化性雰囲気での熱処理、および(b)酸化性雰囲気中での熱処理を施した後のCOPの分布の様子、および深さ方向の酸素濃度を示す図である。
【図3】表面からの深さに対するCOPの個数の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明は、チョクラルスキー法により3.0℃/分以下の冷却速度の下に育成したシリコン単結晶をスライスしてシリコンウェーハを製造するに当たり、該シリコンウェーハに非酸化性雰囲気中で熱処理を施し、次いで酸化性雰囲気で熱処理を施し、前記シリコンウェーハの表面側にgrown−in欠陥が存在する欠陥層および該欠陥層の直下にgrown−in欠陥が存在しない無欠陥層を形成し、その後、欠陥層を研磨除去することを特徴とするものである。以下、代表的なgrown−in欠陥であるCOPを例に説明する。
【0019】
本発明においては、例えば450mmの直径を有する大口径のシリコンウェーハに対して、まず、非酸化性雰囲気中で熱処理および酸化性雰囲気中での熱処理を施すことによりCOPの低減を図るが、上述のように、直径300mmを超える大口径のシリコンウェーハではCOPは消滅しない。ここで、シリコンウェーハの口径の違いによる非酸化性雰囲気および酸化性雰囲気中での熱処理とCOPの消滅について図面を参照して説明する。
【0020】
まず、従来の300mmのウェーハについて考える。育成された直後のシリコン単結晶においては、COPの内壁は酸化膜で覆われていることが知られている。このようなCOPが表層域に存在するシリコンウェーハに対して非酸化性雰囲気中で熱処理を施すと、表面近傍の領域に存在する酸素が外方拡散して酸素が飽和していない状態となり、COPの内壁を覆う酸化膜から酸素が拡散して酸化膜が溶解する。その結果、図1(a)に示すように、シリコンウェーハ1において、表面近傍の領域において酸化膜が溶解されたCOP11が存在し、それよりも深い領域には酸化膜を有するCOP12が存在する。また、シリコンウェーハ1中の酸素濃度は、深さとともに大きくなる。その後、酸化膜が溶解した空孔11に格子間シリコンが供給され、表面近傍の領域に存在するCOPが消滅して結晶性が回復される。
【0021】
しかし、上述のCOPの消失速度は遅いため、上述の非酸化性雰囲気中での熱処理を施した後に、酸化性雰囲気に切り替えて熱処理を施す技術が提案された(特許文献3および4参照)。これは、図1(b)に示すように、上記酸素雰囲気中での熱処理によりシリコンウェーハ2の表面を酸化して余剰のシリコン原子を発生させ、非酸化性雰囲気中での熱処理により内壁酸化膜が溶解したCOPに強制的に注入することによりCOPの消滅を促進させるものである。このような非酸化性雰囲気および酸化性雰囲気中での熱処理は、直径300mm程度までのシリコンウェーハに対しては、その表層域に存在するCOPを、短時間の熱処理にて消滅させることに有効であった。
【0022】
しかしながら、上述のような熱処理を、例えば450mmの大口径のシリコンウェーハに施すと、表層域に存在するCOPを消滅させることができないことが分かった。即ち、シリコンウェーハの大口径化が進むと、COPが成長する1050〜1150℃の温度領域における冷却速度が必然的に徐冷となる。直径が300mmを超える場合には、冷却速度を3.0℃/分を超えてシリコン単結晶を成長させると、シリコン単結晶の成長中の温度での熱応力が転位発生の限界強度を上回り、成長中のシリコン単結晶に転位が生じてしまうため、冷却速度を3.0℃/分以下とする必要がある。その結果、COPの成長が進行してそのサイズが増大してしまう。
【0023】
発明者は、例えば直径450mmの大口径のシリコンウェーハにおいて徐冷によりサイズが増大したCOPが消滅しないメカニズムについて鋭意検討したところ、以下の事実が明らかとなった。即ち、上述のように、大口径のシリコン単結晶を育成すると、COPのサイズが大きくなる。その結果、図2(a)に示すように、300mmの場合と同様に、シリコンウェーハ2に対して非酸化性雰囲気中で熱処理を施すことによりCOPの内壁酸化膜が溶解されるが、表面近傍の領域において酸化膜が溶解されたCOP21が残り、それよりも深い領域には酸化膜を有するCOP22が存在する。
【0024】
次いで、酸化性雰囲気中で熱処理を施すと、表面の酸素濃度が増大し、酸素の拡散距離までの深さ領域においては、格子間シリコンだけでなく、格子間酸素もCOPに注入される。そのため、格子間シリコンの注入によりCOPが消滅する前に、格子間酸素がCOPに注入され、酸化膜が再生されて格子間シリコンがCOPに注入されなくなる。この結果、図2(b)に示すように、表面近傍の酸素の拡散距離までの深さ領域においては、酸化膜が再生されたCOP23が形成され、格子間酸素が注入されない深さ領域のみにおいてCOPが消滅することとなる。
【0025】
上述の非酸化性雰囲気および酸化性雰囲気中での熱処理を施す時間を、例えば24時間という、極めて長い期間に設定すれば、表層域に存在するCOPを消滅させることは物理的に可能である。しかし、例えば1200℃にて2時間を超える熱処理は生産性および装置の耐久性の点において現実的ではなく、表層域のCOPを消滅させるためには、上述の熱処理以外の何らかの対策が必要となる。
【0026】
そこで、発明者は、上記課題を解決するための方途について鋭意究明した結果、非酸化性雰囲気および酸化性雰囲気中で熱処理を施す際の条件を適切に制御して、COPが存在する領域を出来るだけ表面近傍の狭い範囲に制限しつつ、その直下に無欠陥層を形成し、次いで、COPが存在する領域を研磨して除去することが、工業的規模での生産を実現する上で、極めて有効であることを見出したのである。以下に、本発明のシリコンウェーハの製造方法について説明する。
【0027】
本発明は、チョクラルスキー法により3.0℃/分以下の冷却速度の下に育成したシリコン単結晶をスライスしてシリコンウェーハを製造するに当たり、まず、該シリコンウェーハに非酸化性雰囲気中で熱処理を施し、次いで酸化性雰囲気で熱処理を施すことにより、前記シリコンウェーハの表面側にgrown−in欠陥が存在する欠陥層および該欠陥層の直下にgrown−in欠陥が存在しない無欠陥層を形成する。その後、欠陥層を研磨除去することにより、表面にgrown−in欠陥が存在しない無欠陥層を含むシリコンウェーハが形成される。以下、各工程について説明する。
【0028】
まず、シリコンウェーハに対する非酸化性雰囲気中での熱処理は、1100〜1300℃の温度範囲にて、30分〜2時間だけ施す。非酸化性雰囲気としては、アルゴン、ヘリウム、ネオン等の不活性ガスまたは水素を挙げることができる。
【0029】
ここで、熱処理温度を1100〜1300℃の範囲に限定する理由は、1100℃未満ではシリコンウェーハ中に含まれるCOPを消滅させるのに要する時間が長くなり、生産性が低下し、1300℃を超えると、シリコンウェーハ中にスリップが発生する虞があるためである。
【0030】
また、熱処理時間を30分〜2時間の範囲に限定した理由は、30分未満では、COPが存在しない無欠陥層を形成できないためであり、また2時間を超える場合には、生産性が低下するためである。
【0031】
続く、酸化性雰囲気中での熱処理は、1100〜1300℃の温度範囲にて、30分〜1時間だけ施す。その際、酸素雰囲気における酸素の分圧は、1%以上とする。
【0032】
ここで、熱処理温度を1100〜1300℃の範囲に限定する理由は、非酸化性雰囲気中での熱処理の場合と同様に、1100℃未満ではシリコンウェーハ中に含まれるCOPを消滅させるのに要する時間が長くなり、生産性が低下するためであり、1300℃を超えると、シリコンウェーハ中にスリップが発生する虞があるためである。また、酸素の分圧を1%以上と限定した理由は、1%未満の場合には酸化による格子間シリコンの注入速度が遅く、COP消滅効果が十分に得られないためである。
【0033】
また、熱処理時間を30分〜1時間の範囲に限定した理由は、30分未満では、表面近傍にCOPが存在しない領域を形成することができず、また1時間を超える場合には、生産性が低下するためである。
【0034】
このように、シリコンウェーハに対して上述の非酸化性雰囲気および酸化性雰囲気中で熱処理を施すことにより、シリコンウェーハの表面近傍の領域にCOPが存在する欠陥領域および該欠陥領域の直下にCOPが存在しない無欠陥層を形成することができ、またCOPが存在する領域をシリコンウェーハの表面から2μm未満の極めて狭い深さ領域に限定することができる。
【0035】
上記の熱処理後の研磨は、シリコンウェーハ表面に存在する欠陥層を完全に除去するように行う。研磨する厚みは2〜11μmとする。その際、研磨方法は限定されないが、例えばコロイダルシリカを用いたメカノケミカル研磨を使用できる。
【0036】
ここで、研磨する厚みを2〜11μmと限定する理由は、上述の非酸化性および酸化性雰囲気中での熱処理を以てしても表面から2μm未満の深さ領域まではCOPが存在するからであり、また、11μmを超えて研磨すると、COPが存在しない無欠陥層を3μm以上確保できないためである。
【0037】
こうして、表層域にCOPが存在しない、例えば450mmの大口径のシリコンウェーハを提供することができる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の実施例について説明する。
(発明例1〜14および比較例1〜6)
CZ法により育成した初期酸素濃度12.0×1017atoms/cmを有する直径450mmのシリコン単結晶から切り出したシリコンウェーハに対して、表1に示す条件の下で、アルゴン雰囲気中で1200℃の温度にて、次いで、100%濃度の酸素雰囲気中で1200℃の温度にて熱処理を施した。その後、熱処理を施した各シリコンウェーハに対して、表面から1,1.5,2,4,6,8,10,14および18μmの厚さだけそれぞれ再研磨を施し、各研磨後にレーザーパーティクルカウンタにより表面に存在するCOPの数を測定した。COPが観察されなかった表面からの深さ領域(μm)を表2に示す。表2から、表1のB1〜B14(発明例1〜14)の条件の下で熱処理を施したウェーハについては、4μm研磨することにより、COPが存在しない無欠陥層を含むシリコンウェーハを製造できることが分かる。更に、アルゴン雰囲気および酸素雰囲気中での熱処理時間を30分〜2時間とすることにより、2μmの厚みだけ研磨することにより、表層域にCOPが存在しない無欠陥層を含むシリコンウェーハを製造できる。一方、A1〜A6の条件の下で熱処理を施したウェーハ(比較例1〜6)については、どの深さ領域においてもCOPが観察された。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
(比較例7および8)
CZ法により育成した初期酸素濃度12.0×1017atoms/cmを有する直径450mmのシリコン単結晶から切り出したシリコンウェーハに対して、アルゴン雰囲気中で1200℃の温度にて1時間だけ熱処理を施したシリコンウェーハ(比較例7)、および上記アルゴン雰囲気中での熱処理に次いで、100%濃度の酸素雰囲気中で1200℃の温度にて30分だけ熱処理を施したシリコンウェーハ(比較例8)を用意し、それぞれのシリコンウェーハに対して、表面から1,1.5,2,4,6,8,10,14および18μmの厚さだけそれぞれ再研磨を施し、各研磨後にレーザーパーティクルカウンタにより表面に存在するCOPの数を測定した。表面からの深さに対するCOPの数の関係を図3に示す。この図から明らかなように、特許文献1および2に記載の方法では、表面近傍のCOPは消滅せず、表層域にCOPが存在しない無欠陥層を含むシリコンウェーハを製造できなかった。
【符号の説明】
【0042】
1,2 シリコンウェーハ
11,21 酸化膜が溶解されたCOP
12,22,23 酸化膜を有するCOP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョクラルスキー法により3.0℃/分以下の冷却速度の下に育成したシリコン単結晶をスライスしてシリコンウェーハを製造するに当たり、該シリコンウェーハに非酸化性雰囲気中で熱処理を施し、次いで酸化性雰囲気で熱処理を施し、前記シリコンウェーハの表面側にgrown−in欠陥が存在する欠陥層および該欠陥層の直下に前記grown−in欠陥が存在しない無欠陥層を形成し、その後前記欠陥層を研磨除去することを特徴とするシリコンウェーハの製造方法。
【請求項2】
前記非酸化性雰囲気中での熱処理を1150〜1250℃にて0.5〜2時間行い、前記酸化性雰囲気中での熱処理を1150〜1250℃にて0.5〜1時間行うことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記シリコンウェーハの表面から少なくとも3μm深さまでの領域が前記無欠陥層であることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記非酸化性雰囲気は、アルゴンまたは水素であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記酸化性雰囲気中の酸素の分圧は1%以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−243899(P2011−243899A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117014(P2010−117014)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(302006854)株式会社SUMCO (1,197)
【Fターム(参考)】