説明

シリコーンオイルエマルジョン、その製造方法、およびシリコーンオイル組成物

【課題】 水中に分散しているシリコーンオイルの液滴中に架橋シリコーン粒子を含有し、化粧料の特性を向上できるシリコーンオイルエマルジョン、その製造方法、およびシリコーンオイル中に架橋シリコーン粒子を均一に分散し、化粧料の特性を向上できるシリコーンオイル組成物を提供する。
【解決手段】 水中に分散している平均粒径0.1〜500μmのシリコーンオイルの液滴中に、平均粒径0.05〜100μmの架橋シリコーン粒子を含有するシリコーンオイルエマルジョンであって、前記シリコーンオイルがケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル変性シリコーンオイルであり、好ましくは、前記架橋シリコーン粒子がケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有するシリコーンオイルエマルジョン、および該エマルジョンから水を除去してなるシリコーンオイル組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーンオイルエマルジョン、その製造方法、およびシリコーンオイル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および2には、水中に分散しているシリコーンオイルの液滴中に架橋シリコーン粒子を含有するシリコーンオイルエマルジョンが記載されている。このシリコーンオイルとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンが用いられている。また、特許文献1および2には、このシリコーンオイルエマルジョン、あるいはこのエマルジョンから水を除去して得られるシリコーンオイル組成物を化粧料に用いることが記載されている。
【0003】
近年、化粧料へ適用するシリコーンオイルエマルジョンやシリコーンオイル組成物には様々な特性が要求されている。例えば、毛髪化粧料では、毛髪のからみを抑制し、さらさら感を付与することが求められ、皮膚化粧料では、皮膚への適度な広がり性と輝きのある皮膜を形成することが求められている。本発明者らは、ケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル変性シリコーンオイルを用いること、さらにはケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有する架橋シリコーン粒子を用いることにより、これらの要求を満たすシリコーンオイルエマルジョンおよびシリコーンオイル組成物を得ることができることがわかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−281523号公報
【特許文献2】特開2000−281903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、水中に分散しているアルキル変性シリコーンオイルの液滴中に架橋シリコーン粒子を含有しているシリコーンオイルエマルジョン、その製造方法、およびアルキル変性シリコーンオイル中に架橋シリコーン粒子を均一に分散しているシリコーンオイル組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシリコーンオイルエマルジョンは、水中に分散している平均粒径0.1〜500μmのシリコーンオイルの液滴中に、平均粒径0.05〜100μmの架橋シリコーン粒子(但し、この架橋シリコーン粒子の粒径は前記シリコーンオイルの液滴の粒径より小さい。)を含有するものであって、前記シリコーンオイルがケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル変性シリコーンオイルであり、好ましくは、前記架橋シリコーン粒子がケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の製造方法は、非架橋性のシリコーンオイルを含有している架橋性シリコーン組成物を水中で架橋反応させて、水中に分散している平均粒径0.1〜500μmのシリコーンオイルの液滴中に、平均粒径0.05〜100μmの架橋シリコーン粒子(但し、この架橋シリコーン粒子の粒径は前記シリコーンオイルの液滴の粒径より小さい。)を含有するシリコーンオイルエマルジョンの製造方法であって、前記シリコーンオイルがケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル変性シリコーンオイルであり、好ましくは、前記架橋シリコーン粒子がケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のシリコーンオイル組成物は、水中に分散している平均粒径0.1〜500μmのシリコーンオイルの液滴中に、平均粒径0.05〜100μmの架橋シリコーン粒子(但し、この架橋シリコーン粒子の粒径は前記シリコーンオイルの液滴の粒径より小さい。)を含有しているシリコーンオイルのエマルジョンから水を除去してなるものであって、前記シリコーンオイルがケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル変性シリコーンオイルであり、好ましくは、前記架橋シリコーン粒子がケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシリコーンオイルエマルジョンは、水中に分散しているアルキル変性シリコーンオイルの液滴中に架橋シリコーン粒子を含有しており、化粧料の特性を向上できるという特徴がある。また、本発明のシリコーンオイルエマルジョンの製造方法は、このようなエマルジョンを効率よく製造できるという特徴がある。さらに、本発明のシリコーンオイル組成物は、アルキル変性シリコーンオイル中に架橋シリコーン粒子を均一に分散しており、化粧料の特性を向上できるという特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
はじめに、本発明のシリコーンオイルエマルジョンを詳細に説明する。
本発明のシリコーンオイルエマルジョンは、水中に分散しているシリコーンオイルの液滴中に架橋シリコーン粒子を含有しており、前記シリコーンオイルがケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル変性シリコーンオイルであることを特徴とする。このシリコーンオイル中のアルキル基は炭素数が4以上であり、好ましくは、炭素数が6以上であり、特に好ましくは、炭素数が8以上である。また、このアルキル基の炭素数の上限は限定されないが、好ましくは、炭素数が30以下であり、特に好ましくは、炭素数が20以下である。このようなアルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が例示される。また、このシリコーンオイルの分子構造は限定されず、直鎖状、分岐鎖状、環状が例示される。また、このシリコーンオイル中の炭素数4以上のアルキル基以外のケイ素原子に結合している基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数3以下のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;その他、水素原子、水酸基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基である。
【0011】
このようなアルキル変性シリコーンオイルの25℃における粘度は特に限定されないが、好ましくは、1〜100,000,000mPa・sの範囲内であり、特に好ましくは、2〜10,000,000mPa・sの範囲内である。このようなアルキル変性シリコーンオイルは、架橋シリコーン粒子を形成する架橋性シリコーン組成物に相溶性のあるものが好ましく、また、この架橋シリコーン粒子を形成する際の架橋反応に関与しないものが好ましい。具体的には、この架橋反応がヒドロシリル化反応である場合には、分子中にアルケニル基やケイ素原子結合水素原子を有さないものが好ましく、また、縮合反応である場合には、ケイ素原子結合水素原子やケイ素原子結合アルコキシ基を有さないものが好ましい。
【0012】
このようなアルキル変性シリコーンオイルは、例えば、平均式:
【化1】

で表される。上式中、Rは炭素数3以下のアルキル基、炭素数4以上のアルキル基、アリール基、またはハロゲン化アルキル基であり、前記と同様の基が例示される。また、上式中、Rは炭素数3以下のアルキル基、アリール基、またはハロゲン化アルキル基であり、前記と同様の基が例示される。また、上式中、Rは、炭素数4以上のアルキル基であり、前記と同様の基が例示される。また、上式中、mおよびnは、それぞれ0または正の数であり、但し、nが0のとき、Rの少なくとも1つは炭素数4以上のアルキル基である。
【0013】
上記のエマルジョンにおいて、アルキル変性シリコーンオイルは水中に液滴の状態で分散している。この液滴の平均粒径は0.1〜500μmの範囲内であり、好ましくは、0.2〜500μmの範囲内であり、より好ましくは、0.5〜500μmの範囲内であり、特に好ましくは、0.5〜200μmの範囲内である。これは、液滴の平均粒径が上記範囲の下限未満であるエマルジョンを調製することが困難であり、一方、上記範囲の上限をこえるエマルジョンは、その安定性が低下するからである。
【0014】
上記のエマルジョンにおいて、架橋シリコーン粒子は、ケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有することが好ましい。このアルキル基は、炭素数が5以上であることが好ましく、さらには、6以上であることが好ましく、特には、8以上であることが好ましい。また、このアルキル基の炭素数の上限は限定されないが、好ましくは、炭素数が30以下であり、特に好ましくは、炭素数が20以下である。このようなアルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が例示される。
【0015】
また、この架橋シリコーン粒子の平均粒径は0.05〜100μmの範囲内であり、好ましくは、0.1〜100μmの範囲内であり、特に好ましくは、0.1〜50μmの範囲内である。また、シリコーンオイルの液滴の平均粒径が0.2〜500μmの範囲内である場合には、架橋シリコーン粒子の平均粒径は0.1〜100μmの範囲内であることが好ましく、特に、0.1〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、シリコーンオイルの液滴の平均粒径が0.5〜500μmの範囲内である場合には、架橋シリコーン粒子の平均粒径は0.1〜100μmの範囲内であることが好ましく、特に、0.1〜50μmの範囲内であることが好ましい。さらに、シリコーンオイルの液滴の平均粒径が0.5〜200μmの範囲内である場合には、架橋シリコーン粒子の平均粒径は0.1〜100μmの範囲内であることが好ましく、特に、0.1〜50μmの範囲内であることが好ましい。これは、平均粒径が上記範囲の下限未満である架橋シリコーン粒子を調製することが困難であり、一方、上記範囲の上限をこえる架橋シリコーン粒子は、エマルジョンの安定性を低下させるからである。上記のエマルジョンにおいて、架橋シリコーン粒子の粒径はシリコーンオイルの液滴の粒径より小さいことは無論である。また、この架橋シリコーン粒子の形状としては、球状、紡錘形状、偏平形状、不定形状が例示され、好ましくは、球状である。また、この架橋シリコーン粒子の性状としては、ゲル状、ゴム状等のエラストマー状であることが好ましい。
【0016】
上記のエマルジョンにおいて、架橋シリコーン粒子は架橋性シリコーン組成物を架橋させたものであり、例えば、ヒドロシリル化反応架橋性シリコーン組成物を架橋させたもの、縮合反応架橋性シリコーン組成物を架橋させたもの、有機過酸化物によるラジカル反応架橋性シリコーン組成物を架橋させたもの、高エネルギー線照射によるラジカル反応架橋性シリコーン組成物を架橋させたものが挙げられ、好ましくは、ヒドロシリル化反応架橋性シリコーン組成物を架橋させたもの、または縮合反応架橋性シリコーン組成物を架橋させたものである。
【0017】
次に、本発明のシリコーンオイルエマルジョンの製造方法を詳細に説明する。
本発明の製造方法で用いることのできる架橋性シリコーン組成物は、架橋反応により、ゴム状、ゲル状等のエラストマー状の架橋物を形成するものが好ましい。このような架橋性シリコーン組成物としては、ヒドロシリル化反応架橋性のもの、縮合反応架橋性のもの、有機過酸化物によるラジカル反応架橋性のもの、高エネルギー線照射によるラジカル反応架橋性のものが例示され、好ましくは、ヒドロシリル化反応架橋性のもの、または縮合反応架橋性のものである。
【0018】
上記のヒドロシリル化反応架橋性シリコーン組成物としては、(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、(B)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、および(C)ヒドロシリル化反応用触媒から少なくともなるものが例示される。
【0019】
(A)成分中のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基が例示され、特に、ビニル基が好ましい。また、(A)成分中のアルケニル基以外のケイ素原子結合有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等のアルケニル基を除く一価炭化水素基が例示される。(A)成分の分子構造は、直鎖状、環状、網状、一部分岐を有する直鎖状が例示され、エラストマー状の架橋シリコーン粒子を形成するためには、直鎖状、あるいは一部分岐を有する直鎖状であることが好ましい。また、(A)成分の25℃における粘度は限定されないが、20〜100,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、20〜10,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0020】
また、(B)成分中の水素原子以外のケイ素原子結合有機基としては、前記と同様のアルケニル基を除く一価炭化水素基が例示される。(B)成分の分子構造は、直鎖状、環状、網状、一部分岐を有する直鎖状が例示される。また、(B)成分の25℃における粘度は限定されないが、1〜10,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。上記組成物において、(B)成分の配合量は、上記組成物を架橋させるに十分な量であり、具体的には、(A)成分100重量部に対して0.3〜200重量部の範囲内であることが好ましい。
【0021】
また、(C)成分は、上記組成物の架橋反応を促進するためのヒドロシリル化反応用触媒であり、特に、白金系触媒であることが好ましい。この白金系触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金黒、白金担持のシリカが例示される。上記組成物において、(C)成分の配合量は、上記組成物の架橋反応を促進するに十分な量であり、具体的には、(C)成分として白金系触媒を用いる場合には、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して(C)成分中の白金金属が1×10−7〜1×10−3重量部の範囲内となる量であることが好ましい。
【0022】
上記のエマルジョンにおいて、架橋シリコーン粒子中のケイ素原子に炭素数4以上のアルキル基を導入するため、上記(A)成分、(B)成分、および(C)成分からなるヒドロシリル化反応架橋性シリコーン組成物に、さらに(D)炭素数4以上のオレフィンを配合することが好ましい。
【0023】
(D)成分のオレフィンは、炭素数が4以上であり、好ましくは、炭素数が5以上であり、さらに好ましくは、炭素数が6以上であり、特に好ましくは、炭素数が8以上である。また、(D)成分の炭素数の上限は限定されないが、好ましくは、炭素数が30以下であり、特に好ましくは、炭素数が20以下である。このような(D)成分としては、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、デセン、ウンデセン、ドデセン、トリデセン、テトラデセンが例示される。(D)成分は分子鎖末端に炭素−炭素二重結合を有するα−オレフィンであることが好ましい。上記組成物において、(C)成分の配合量は、上記組成物を架橋して得られる架橋シリコーン粒子中に炭素数4以上のアルキル基を導入するに十分な量であれば限定されず、具体的には、(A)成分100重量部に対して0.05〜50重量部の範囲内であることが好ましく、特に、0.05〜15重量部の範囲内であることが好ましい。
【0024】
上記組成物を水中で分散した状態で架橋する場合には、上記組成物に予め(C)成分を配合してもよく、また、(C)成分を除いた架橋性シリコーン組成物を水中に分散させた後、(C)成分を水中に添加することにより、上記組成物を架橋することができる。後者の場合、(C)成分を平均粒径1μm以下に分散した水分散液を用いることが好ましい。
【0025】
また、縮合反応架橋性シリコーン組成物としては、(E)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合する水酸基、またはアルコキシ基、オキシム基、アセトキシ基、アミノキシ基等の加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン、(F)一分子中に少なくとも3個のケイ素原子に結合するアルコキシ基、オキシム基、アセトキシ基、アミノキシ基等の加水分解性基を有するシラン系架橋剤、および(G)有機錫化合物、有機チタン化合物等の縮合反応用触媒から少なくともなるものが例示される。
【0026】
(E)成分中のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基が例示される。また、(E)成分中のオキシム基としては、ジメチルケトキシム基、メチルエチルケトキシム基が例示される。(E)成分中のその他のケイ素原子結合有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の一価炭化水素基が例示される。(E)成分の分子構造は、直鎖状、環状、網状、一部分岐を有する直鎖状が例示され、エラストマー状の架橋シリコーン粒子を形成するためには、直鎖状、あるいは一部分岐を有する直鎖状であることが好ましい。また、(E)成分の25℃における粘度は限定されないが、20〜100,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、20〜10,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0027】
また、(F)成分中のアルコキシ基およびオキシム基としては、前記と同様の基が例示される。(F)成分としては、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリオキシムシラン、ビニルトリオキシムシランが例示される。上記組成物において、(F)成分の配合量は、上記組成物を架橋させるに十分な量であれば限定されず、具体的には、(E)成分100重量部に対して0.3〜200重量部の範囲内であることが好ましい。
【0028】
また、(G)成分は、上記組成物の架橋反応を促進するための縮合反応用触媒であり、具体的には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクテン酸錫、ジブチル錫ジオクテート、ラウリン酸錫、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、ジブトキシビス(エチルアセトアセテート)が例示される。上記組成物において、(G)成分の配合量は、上記組成物の架橋反応を促進するに十分な量であれば限定されず、具体的には、(E)成分100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲内であることが好ましく、特に、0.05〜2重量部の範囲内であることが好ましい。
【0029】
本発明の製造方法では、上記のような架橋性シリコーン組成物の流動性を調節したり、得られる架橋シリコーン粒子の機械強度を向上させるための任意の成分として充填剤を配合することができる。この充填剤としては、沈澱シリカ、フュームドシリカ、焼成シリカ、フュームド酸化チタン等の補強充填剤;粉砕石英、ケイ藻土、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等の非補強充填剤、これらの表面をヘキサメチルシラザン、トリメチルクロルシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン等の有機ケイ素化合物により処理してなる充填剤が例示される。
【0030】
上記組成物において、アルキル変性シリコーンオイルの含有量は、この架橋性シリコーン組成物の架橋物が、その架橋物中にこのアルキル変性シリコーンオイルを保持することができる量、すなわち、その架橋物が含有できるアルキル変性シリコーンオイルの量をこえる量であることが必要である。この保持し得る量は、架橋性シリコーン組成物とアルキル変性シリコーンオイルとの組み合わせにより異なるが、一般には、架橋性シリコーン組成物100重量部に対して、アルキル変性シリコーンオイルが200〜5,000重量部の範囲内であることが好ましく、特に、250〜2,000重量部の範囲内であることが好ましい。
【0031】
上記の製造方法では、このようなアルキル変性シリコーンオイルを含有している架橋性シリコーン組成物を水中に分散させた後、これを架橋反応させることを特徴とする。この架橋性シリコーン組成物を水中に分散させる方法としては、ホモミキサー、パドルミキサー、ヘンシェルミキサー、ホモディスパー、コロイドミル、プロペラ攪拌機、ホモジナイザー、インライン式連続乳化機、超音波乳化機、真空式練合機等の装置により、この組成物を水中に分散させる方法が例示される。
【0032】
上記の製造方法において、水の使用量は限定されないが、エマルジョン全体の5〜99重量%の範囲内であることが好ましく、特には、10〜80重量%の範囲内であることが好ましい。
【0033】
架橋性シリコーン組成物を水中に安定性よく分散させるためには、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンソルビタンエステル、ポリエチレングライコール、ポリプロピレングライコール、ジエチレングライコールトリメチルノナノールのエチレンオキサイド付加物等のノニオン系界面活性剤;ヘキシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、セチルベンゼンスルホン酸、ミリスチルベンゼンスルホン酸やそのナトリウム塩等のアニオン系界面活性剤;オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、デシルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、牛脂トリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヤシ油トリメチルアンモニウムヒドロキシド等のカチオン系界面活性剤を用いることが好ましく、特に、ノニオン系界面活性を用いることが好ましい。この界面活性剤の使用量は、非架橋性のアルキル変性シリコーンオイルを含有している架橋性シリコーン組成物100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲内であることが好ましく、特に、0.5〜10重量部の範囲内であることが好ましい。さらに、エマルジョンの安定性を向上させるため、2−フェノキシエタノール、カルボキシメチルセルロール、キサンタンガム等の増粘剤を配合してもよい。
【0034】
上記の製造方法において、水中に分散した架橋性シリコーン組成物の平均粒径は0.1〜500μmの範囲内であることが必要であり、好ましくは、0.2〜500μmの範囲内であり、より好ましくは、0.5〜500μmの範囲内であり、特に好ましくは、0.5〜200μmの範囲内である。これは、水中に分散した架橋性シリコーン組成物の平均粒径が上記範囲の下限未満であるエマルジョンを調製することが困難であり、一方、上記範囲の上限をこえるエマルジョンは、その安定性が低下するからである。
【0035】
このようにして調製された架橋性シリコーン組成物のエマルジョンを加熱、室温で放置したり、あるいは高エネルギー線を照射することによって、水中に分散している架橋性シリコーン組成物を架橋反応させることができる。
【0036】
続いて、本発明のシリコーンオイル組成物について詳細に説明する。
本発明のシリコーンオイル組成物は、水中に分散しているアルキル変性シリコーンオイルの液滴中に架橋シリコーン粒子を含有しているシリコーンオイルエマルジョンから水を除去してなることを特徴とする。このようなシリコーンオイルエマルジョンは上記のようにして調製されたものである。
【0037】
シリコーンオイル組成物を調製する方法は限定されないが、上記のシリコーンオイルエマルジョンを、風乾、熱風乾燥、真空乾燥、加熱乾燥等の手段により水を除去することにより調製することができる。このシリコーンオイル組成は、アルキル変性シリコーンオイル中に架橋シリコーン粒子を均一に分散しており、その性状としては、液状、クリーム状、ペースト状、グリース状が例示される。
【0038】
本発明のシリコーンオイルエマルジョンまたはシリコーンオイル組成物は化粧料原料もしくは化粧料として好適である。この化粧料の類型としては、石鹸、ボディシャンプー、洗顔クリーム等の洗浄用化粧料;化粧水、クリーム・乳液、パック等の基礎化粧料;おしろい、ファンデーション等のベースメークアップ化粧料;口紅、ほほ紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ等の眉目化粧料;マニキュア等のメークアップ化粧料;シャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、セットローション、ブロースタイリングローション、ヘアスプレー、泡状スタイリング剤、ジェル状スタイリング剤、ヘアリキッド、ヘアトニック、ヘアクリーム、育毛剤、養毛剤、染毛剤、整髪料等の毛髪化粧料;香水、オー・デ・コロン等の芳香性化粧料;歯磨き;浴用剤;脱毛剤、髭剃り用ローション、制汗・消臭剤、日焼け防止剤等の特殊化粧料が例示され、特に、基礎化粧料、メークアップ化粧料等の皮膚化粧料、あるいは毛髪化粧料であることが好ましい。また、この化粧料の剤形としては、水性液状、油性液状、乳液状、クリーム状、フォーム状、半固形状、固形状、粉状が例示される。また、この化粧品をスプレーにより用いることができる。
【0039】
このシリコーンオイルエマルジョンまたはシリコーンオイル組成物を用いて化粧料を調製する際、化粧料原料として、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、モクロウ、鯨ロウ、ホホバ油、モンタンロウ、ミツロウ等のロウ類;流動パラフィン、イソパラフィン、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、オレイン酸2−オクチルドデシル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アボガド油、アーモンド油、オリブ油、カカオ油、ホホバ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、スクワラン、パーシック油、ヒマシ油、ミンク油、綿実油、ヤシ油、卵黄油、豚脂等の油脂;ポリプロピレングリコールモノオレート、ネオペンチルグリコール−2−エチルヘキサノエート等のグリコールエステル油;イソステアリン酸トリグリセライド、椰子油脂肪酸トリグリセライド等の多価アルコールエステル油;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル等のポリオキシアルキレンエーテル油;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルテトラシクロシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル等を配合することができる。
【0040】
さらに、その他の化粧料原料として、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、d,l−ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ソルビトール、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤;高級脂肪酸石鹸、高級アルコール硫酸エステル塩、N−アシルグルタミン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ベタイン型、アミノ酸型、イミダゾリン型、レシチン等の両性界面活性剤、多価アルコールエステル型、酸化エチレン縮合型等の非イオン界面活性剤等の界面活性剤;酸化鉄等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジリコニウム等の白色顔料、マイカ、タルク、セリサイト等の体質顔料等の顔料;カラギーナン、アルギン酸、アラビアゴム、トラガント、ペクチン、デンプン、キサンタンガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ポリオキシエチレングリコールジステアレート、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレングリコール等の増粘剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導体、桂皮酸エステル等の紫外線吸収剤;グリチルリチン酸カリウム、酢酸トコフェロール等の坑炎症剤;メチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤;トリクロサン、トリクロロカルバン等の殺菌剤;BHA、BHT、γ−オリザノール等の酸化防止剤等を配合することができる。
【0041】
特に、この化粧料が毛髪化粧料である場合には、他の化粧料原料として、グリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ソルビタンモノパルミテート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンセチルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;その他、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルキロールアミド等の非イオン性界面活性剤;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等のモノアルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウム等のジアルキルジメチルアンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤;(メタ)アクリル系ラジカル重合性モノマーの重合体やシリコーン系化合物との共重合体、ポリ(N―アシルアルキレンイミン)、ポリ(N−メチルピロリドン)、フッ素基含有有機基やアミノ基で変性したシリコーンレジン、無変性のシリコーンレジン等の皮膜形成剤;イオウ、硫化セレン、ジンクピリチオン、オクトピロックス、ジンクピリジウム−1−チオール−N−オキサイド、サリチル酸、2,4,4'−トリクロロ−2'−ヒドロキシジフェニルエーテル、1−ヒドロキシ−2−ピリドン化合物等のふけ止め剤;スクワレン、ラノリン、パーフルオロポリエーテル、カチオン性ポリマー等の感触向上剤;エタノール、イソプロピルアルコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の凍結防止剤;エチレンジアミン4酢酸、クエン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホニックアシッド、およびこれらの塩等のキレート剤;;パール化剤、色素、染料等の着色料;ビタミン、養毛料、ホルモン、香料、pH調節剤、噴射剤、その他Encyclopedia of Shampoo Ingredients(Micelle press、1985)に収載されている成分等を配合することができる。
【0042】
このシリコーンオイルエマルジョンまたはシリコーンオイル組成物を用いて化粧料を調製する際、この配合量は限定されないが、この水分以外の成分換算(固形分換算)として、化粧料中の0.1〜99.9重量%であることが好ましく、特に、0.5〜99重量%の範囲内であることが好ましい。これは、このシリコーンオイルエマルジョンまたはシリコーンオイル組成物の配合量が上記範囲の上限をこえる場合には、化粧料としての効果が失われる傾向があるからであり、一方、上記範囲の下限未満であると、化粧料の使用感等が改善されにくくなる傾向があるからである。
【実施例】
【0043】
本発明のシリコーンオイルエマルジョン、その製造方法、およびシリコーンオイル組成物を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中の粘度は25℃において測定した値である。また、シリコーンオイルエマルジョンの平均粒径や安定性、架橋シリコーン粒子の平均粒径や分散性、およびシリコーンオイル組成物の粘弾性を次のようにして求めた。
【0044】
[シリコーンオイルエマルジョンの平均粒径]
シリコーンオイルエマルジョンをレーザー回折式粒度分布測定器(堀場製作所のLA−750)により測定し、得られたメジアン径(累積分布の50%に相当する粒径)を平均粒径とした。
【0045】
[シリコーンオイルエマルジョンの安定性]
シリコーンオイルエマルジョン180mLを225mLのガラスビン(深さ105mm、口径50mm)に密閉し、室温で1週間静置した。静置後、このエマルジョンから分離した水層の厚さを測定した。
【0046】
[架橋シリコーン粒子の平均粒径]
シリコーンオイルエマルジョンをガラス板上で風乾し、実体顕微鏡下で架橋シリコーン粒子を集めて試料を作製した。この試料を電子顕微鏡で観察して、10個の粒子径から平均粒径を求めた。
【0047】
[架橋シリコーン粒子の分散性]
シリコーンオイルエマルジョンをガラス板上で風乾し、実体顕微鏡で架橋シリコーン粒子の形状、凝集状態、および分布について観察した。すべての架橋シリコーン粒子が1次粒子として分散していれば”○”、数100μmの凝集粒子や500μm以上の1次粒子があれば”×”、これらの間であれば”△”とした。
【0048】
[シリコーンオイル組成物の粘弾性]
シリコーンオイル組成物の貯蔵弾性率G'(Pa)、損失弾性率G''(Pa)、さらに損失正接tanδをARES粘弾性測定装置(Reometric Scientific社製)により測定した。なお、測定の条件は、室温、25mmのパラレルプレート、ギャップ:0.5〜0.6mm、歪み:10%、振動数:0.01〜50Hzである。
【0049】
[実施例1]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48重量%)15.3重量部、粘度75mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.05重量%)4.70重量部、および平均式:
【化2】

で表される、粘度30mPa・sのアルキル変性シリコーンオイル80重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した。
【0050】
上記組成物に、予め、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB=14.5)1.6重量部と2−フェノキシエタノール1.6重量部を純水96.8重量部に溶解して調製した水溶液29.5重量部を加えて、コロイドミルにより乳化した後、さらに純水27.6重量部を加えて、架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンを調製した。
【0051】
上記エマルジョンに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を主成分とする白金系触媒の水系エマルジョン(白金系触媒の平均粒径=0.05μm、白金金属濃度=0.05重量%)を、上記のエマルジョン中の架橋性シリコーン組成物に対して、白金金属が重量単位で10ppmとなる量を添加して、均一に混合した。
【0052】
上記エマルジョンを50℃で1日間静置することにより、架橋性シリコーン組成物をヒドロシリル化反応により架橋して、水中に分散しているアルキル変性シリコーンオイル液滴中にシリコーンゴム粒子を含有しているアルキル変性シリコーンオイルエマルジョンを調製した。このエマルジョンの特性を表1に記載した。また、このエマルジョンの一部を採取し、これに毛髪を浸漬した後、乾燥した。毛髪はからみにくくなり、毛髪にさらさら感を付与することができた。
【0053】
次に、上記エマルジョンをコンビミックス(株式会社エステーエム製バキュームミキサーHV−030型)に仕込み、アンカーミキサーの回転数を90rpm、ディスパーの回転数を1,000rpmとして攪拌しながら、1時間から2時間かけて75〜85℃に昇温しつつ、減圧にして、50mmHg以下で1時間保持して水分を除去した。その後、室温まで冷却して、液状のアルキル変性シリコーンオイル組成物を調製した。この組成物を実体顕微鏡で観察したところ、アルキル変性シリコーンオイル中にシリコーンゴム粒子が均一に分散しており、このシリコーンゴム粒子の形状が球状であることがわかった。この組成物の特性を表1に記載した。また、この組成物の一部を採取し、これを指で手の甲に塗り広げると、非常にスムーズに広がり、適度な広がり性を示した。また、手の甲に輝きのある撥水性皮膜を形成することができた。
【0054】
[実施例2]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基の含有量=1.18重量%)18.41重量部、粘度50mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.43重量%)1.59重量部、および平均式:
【化3】

で表される、粘度30mPa・sのアルキル変性シリコーンオイル80重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した。
【0055】
実施例1と同様にして、上記組成物の水系エマルジョンを調製し、ヒドロシリル化反応により架橋して、水中に分散しているアルキル変性シリコーンオイル液滴中にシリコーンゴム粒子を含有しているアルキル変性シリコーンオイルエマルジョンを調製した。このエマルジョンの特性を表1に記載した。また、このエマルジョンの一部を採取し、これに毛髪を浸漬した後、乾燥した。毛髪はからみにくくなり、毛髪にさらさら感を付与することができた。
【0056】
次に、実施例1と同様にして、上記エマルジョンから水を除去して、ペースト状のアルキル変性シリコーンオイル組成物を調製した。このアルキル変性シリコーンオイル組成物を実体顕微鏡で観察したところ、アルキル変性シリコーンオイル中にシリコーンゴム粒子が均一に分散しており、このシリコーンゴム粒子の形状が球状であることがわかった。この組成物の特性を表1に記載した。また、この組成物の一部を採取し、これを指で手の甲に塗り広げると、非常にスムーズに広がり、適度な広がり性を示した。また、手の甲に輝きのある撥水性皮膜を形成することができた。
【0057】
[実施例3]
5℃に冷却した、粘度40mPa・sの分子鎖両末端水酸基封鎖ジメチルポリシロキサン(水酸基の含有量=3.8重量%)9.05重量部、粘度20mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.56重量%)0.95重量部、平均式:
【化4】

で表される、粘度30mPa・sのアルキル変性シリコーンオイル90重量部、およびジオクチル酸錫0.10重量部を均一に混合して架橋性シリコーン組成物を調製した。
【0058】
上記組成物に、予め、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB=14.5)1.6重量部と2−フェノキシエタノール1.6重量部を純水96.8重量部に溶解して調製した水溶液29.5重量部を加えて、コロイドミルにより乳化した後、さらに純水29.1重量部を加えて、架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンを調製した。
【0059】
上記エマルジョンを室温で1週間静置することにより、架橋性シリコーン組成物を縮合反応により架橋して、水中に分散しているアルキル変性シリコーンオイル液滴中にシリコーンゴム粒子を含有しているアルキル変性シリコーンオイルエマルジョンを調製した。このエマルジョンの特性を表1に記載した。また、このエマルジョンの一部を採取し、これに毛髪を浸漬した後、乾燥した。毛髪はからみにくくなり、毛髪にさらさら感を付与することができた。
【0060】
次に、実施例1と同様にして、上記エマルジョンから水を除去して、液状のアルキル変性シリコーンオイル組成物を調製した。このアルキル変性シリコーンオイル組成物を実体顕微鏡で観察したところ、アルキル変性シリコーンオイル中にシリコーンゴム粒子が均一に分散しており、このシリコーンゴム粒子の形状が球状であることがわかった。この組成物の特性を表1に記載した。また、この組成物の一部を採取し、これを指で手の甲に塗り広げると、非常にスムーズに広がり、適度な広がり性を示した。また、手の甲に輝きのある撥水性皮膜を形成することができた。
【0061】
[実施例4]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48重量%)14.22重量部、粘度45mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.31重量%)0.78重量部、および平均式:
【化5】

(式中、Rは−C1225と−C1429の混合物である。)
で表される、粘度150mPa・sのアルキル変性シリコーンオイル85重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した。
【0062】
実施例1と同様にして、上記組成物の水系エマルジョンを調製し、ヒドロシリル化反応により架橋して、水中に分散しているアルキル変性シリコーンオイル液滴中にシリコーンゴム粒子を含有しているアルキル変性シリコーンオイルエマルジョンを調製した。このエマルジョンの特性を表1に記載した。このエマルジョンの一部を採取し、これに毛髪を浸漬した後、乾燥した。毛髪はからみにくくなり、毛髪にさらさら感を付与することができた。
【0063】
次に、実施例1と同様にして、上記エマルジョンから水を除去して、やや粘稠な液状のアルキル変性シリコーンオイル組成物を調製した。このアルキル変性シリコーンオイル組成物を実体顕微鏡で観察したところ、アルキル変性シリコーンオイル中にシリコーンゴム粒子が均一に分散しており、このシリコーンゴム粒子の形状が球状であることがわかった。この組成物の特性を表1に記載した。また、この組成物の一部を採取し、これを指で手の甲に塗り広げると、非常にスムーズに広がり、適度な広がり性を示した。また、手の甲に輝きのある撥水性皮膜を形成することができた。
【0064】
[比較例1]
実施例1において、アルキル変性シリコーンオイルの代わりに、粘度6mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンを同量配合した以外は実施例1と同様にして、シリコーンゴム粒子を有するシリコーンオイルエマルジョン、およびシリコーンゴム粒子を有するペースト状のシリコーンオイル組成物を調製した。
【0065】
上記のエマルジョンおよびシリコーンオイル組成物の特性を表1に記載した。また、上記エマルジョンの一部を採取し、これに毛髪を浸漬した後、乾燥した。毛髪のからみにくさは改善されず、毛髪にさらさら感を付与することはできなかった。また、上記組成物の一部を採取し、これを指で手の甲に塗り広げると、広がりすぎる傾向があり、広がり性は適当ではなかった。また、手の甲には、くすみのある撥水性皮膜が形成された。
【0066】
[比較例2]
実施例2において、アルキル変性シリコーンオイルの代わりに、粘度6mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンを同量配合した以外は実施例2と同様にして、シリコーンゴム粒子を有するシリコーンオイルエマルジョン、およびシリコーンゴム粒子を有するペースト状のシリコーンオイル組成物を調製した。このエマルジョンおよびシリコーンオイル組成物の特性を表1に記載した。
【0067】
[比較例3]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基の含有量=1.18重量%)92.10重量部、粘度50mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.43重量%)7.90重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した。
【0068】
上記組成物に、予め、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB=14.5)1.6重量部と2−フェノキシエタノール1.6重量部を純水96.8重量部に溶解して調製した水溶液29.5重量部を加えて、コロイドミルにより乳化した後、さらに純水27.6重量部を加えて、架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンを調製した。
【0069】
上記エマルジョンに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を主成分とする白金系触媒の水系エマルジョン(白金系触媒の平均粒径=0.05μm、白金金属濃度=0.05重量%)を、上記のエマルジョン中の架橋性シリコーン組成物に対して、白金金属が重量単位で10ppmとなる量を添加して、均一に混合した。
【0070】
上記エマルジョンを50℃で1日間静置することにより、架橋性シリコーン組成物をヒドロシリル化反応により架橋して、シリコーンゴム粒子の水系サスペンジョンを調製した。このサスペンジョンを、室温で1週間風乾してシリコーンゴム粒子を調製した。
【0071】
次に、このシリコーンゴム粒子20重量部と平均式:
【化6】

で表される、粘度30mPa・sのアルキル変性シリコーンオイル80重量部を、翼式攪拌機(スリーワンモーター)により、300回転で10分間混合した。混合物には指でわかる凝集粒子が含まれており、均一な組成物は得られなかった。また、1週間経過後に観察すると、シリコーンゴム粒子が沈殿していた。
【0072】
[比較例4]
実施例4において、アルキル変性シリコーンオイルの代わりに、粘度6mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンを同量配合した以外は実施例4と同様にして、シリコーンゴム粒子を含有するシリコーンオイルエマルジョン、およびシリコーンゴム粒子を含有するペースト状シリコーンオイル組成物を調製した。このエマルジョンおよびシリコーンオイル組成物の特性を表1に記載した。
【0073】
【表1】

【0074】
[実施例5]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基の含有量=1.18重量%)15.74重量部、粘度50mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.43重量%)3.02重量部、1−ドデセン1.22重量部、および平均式:
【化7】

で表される、粘度30mPa・sのアルキル変性シリコーンオイル80重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した。
【0075】
上記組成物に、予め、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB=14.5)1.6重量部と2−フェノキシエタノール1.6重量部を純水96.8重量部に溶解して調製した水溶液29.5重量部を加えて、コロイドミルにより乳化した後、さらに純水27.6重量部を加えて、架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンを調製した。
【0076】
上記エマルジョンに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を主成分とする白金系触媒の水系エマルジョン(白金系触媒の平均粒径=0.05μm、白金金属濃度=0.05重量%)を、上記のエマルジョン中の架橋性シリコーン組成物に対して、白金金属が重量単位で10ppmとなる量を添加して、均一に混合した。
【0077】
上記エマルジョンを50℃で1日間静置することにより、架橋性シリコーン組成物をヒドロシリル化反応により架橋して、水中に分散しているアルキル変性シリコーンオイル液滴中にシリコーンゴム粒子を含有しているアルキル変性シリコーンオイルエマルジョンを調製した。このエマルジョンの特性を表2に記載した。また、このエマルジョンの一部を採取し、これに毛髪を浸漬した後、乾燥した。毛髪はからみにくくなり、毛髪にさらさら感を付与することができた。
【0078】
次に、上記エマルジョンをコンビミックス(株式会社エステーエム製バキュームミキサーHV−030型)に仕込み、アンカーミキサーの回転数を90rpm、ディスパーの回転数を1,000rpmとして攪拌しながら、1時間から2時間かけて75〜85℃に昇温しつつ、減圧にして、50mmHg以下で1時間保持して水分を除去した。その後、室温まで冷却して、液状のアルキル変性シリコーンオイル組成物を調製した。このアルキル変性シリコーンオイル組成物を実体顕微鏡で観察したところ、アルキル変性シリコーンオイル中にシリコーンゴム粒子が均一に分散しており、このシリコーンゴム粒子の形状が球状であることがわかった。この組成物の特性を表2に記載した。また、この組成物の一部を採取し、これを指で手の甲に塗り広げると、非常にスムーズに広がり、適度な広がり性を示した。また、手の甲に輝きのある撥水性皮膜を形成することができた。
【0079】
[実施例6]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基の含有量=1.18重量%)31.49重量部、粘度50mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.43重量%)6.08重量部、1−ドデセン2.43重量部、および平均式:
【化8】

で表される、粘度30mPa・sのアルキル変性シリコーンオイル60重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した。
【0080】
実施例1と同様にして、上記組成物の水系エマルジョンを調製し、ヒドロシリル化反応により架橋して、水中に分散しているアルキル変性シリコーンオイル液滴中にシリコーンゴム粒子を含有しているアルキル変性シリコーンオイルエマルジョンを調製した。このエマルジョンの特性を表2に記載した。また、このエマルジョンの一部を採取し、これに毛髪を浸漬した後、乾燥した。毛髪はからみにくくなり、毛髪にさらさら感を付与することができた。
【0081】
次に、実施例1と同様にして、上記エマルジョンから水を除去して、ペースト状のアルキル変性シリコーンオイル組成物を調製した。このアルキル変性シリコーンオイル組成物を実体顕微鏡で観察したところ、アルキル変性シリコーンオイル中にシリコーンゴム粒子が均一に分散しており、このシリコーンゴム粒子の形状が球状であることがわかった。この組成物の特性を表2に記載した。また、この組成物の一部を採取し、これを指で手の甲に塗り広げると、非常にスムーズに広がり、適度な広がり性を示した。また、手の甲に輝きのある撥水性皮膜を形成することができた。
【0082】
[比較例5]
実施例6において、アルキル変性シリコーンオイルの代わりに、粘度6mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンを同量配合した以外は実施例6と同様にして、シリコーンゴム粒子を有するシリコーンオイルエマルジョン、およびシリコーンゴム粒子を有するそぼろ状のシリコーンオイル組成物を調製した。
【0083】
上記のエマルジョンおよびシリコーンオイル組成物の特性を表2に記載した。また、上記エマルジョンの一部を採取し、これに毛髪を浸漬した後、乾燥した。毛髪のからみにくさは改善されず、毛髪にさらさら感を付与することはできなかった。また、上記組成物の一部を採取し、これを指で手の甲に塗り広げると、広がりすぎる傾向があり、広がり性は適当ではなかった。また、手の甲には、くすみのある撥水性皮膜が形成された。
【0084】
[比較例6]
実施例7において、アルキル変性シリコーンオイルの代わりに、粘度6mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンを同量配合した以外は実施例7と同様にして、シリコーンゴム粒子を有するシリコーンオイルエマルジョン、およびシリコーンゴム粒子を有するそぼろ状のシリコーンオイル組成物を調製した。
【0085】
上記のエマルジョンおよびシリコーンオイル組成物の特性を表2に記載した。また、上記エマルジョンの一部を採取し、これに毛髪を浸漬した後、乾燥した。毛髪のからみにくさは改善されず、毛髪にさらさら感を付与することはできなかった。
【0086】
[比較例7]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基の含有量=1.18重量%)78.71重量部、粘度50mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.43重量%)15.21重量部、および1−ドデセン6.08重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した。
【0087】
上記組成物に、予め、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB=14.5)1.6重量部と2−フェノキシエタノール1.6重量部を純水96.8重量部に溶解して調製した水溶液29.5重量部を加えて、コロイドミルにより乳化した後、さらに純水27.6重量部を加えて、架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンを調製した。
【0088】
上記エマルジョンに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を主成分とする白金系触媒の水系エマルジョン(白金系触媒の平均粒径=0.05μm、白金金属濃度=0.05重量%)を、上記のエマルジョン中の架橋性シリコーン組成物に対して、白金金属が重量単位で10ppmとなる量を添加して、均一に混合した。
【0089】
上記エマルジョンを50℃で1日間静置することにより、架橋性シリコーン組成物をヒドロシリル化反応により架橋して、シリコーンゴム粒子の水系サスペンジョンを調製した。このサスペンジョンを、室温で1週間風乾してシリコーンゴム粒子を調製した。
【0090】
次に、このシリコーンゴム粒子20重量部と平均式:
【化9】

で表される、粘度30mPa・sのアルキル変性シリコーンオイル80重量部を、翼式攪拌機(スリーワンモーター)により、300回転で10分間混合した。混合物には指でわかる凝集粒子が含まれており、均一な組成物は得られなかった。また、1週間経過後に観察すると、シリコーンゴム粒子が沈殿していた。
【0091】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明のシリコーンオイルエマルジョンは、化粧料原料もしくは化粧料として好適である。特に、このエマルジョンは、毛髪をからみにくくしたり、さらさら感を付与できることから、毛髪化粧料に好適である。また、このエマルジョンから水を除去することによって、アルキル変性シリコーンオイル中に架橋シリコーン粒子を均一に分散したシリコーンオイル組成物を調製することができる。この組成物は、例えば、潤滑剤、樹脂用添加剤、化粧料原料もしくは化粧料として好適である。特に、この組成物は、皮膚へ塗布する際に、適度な広がり性を付与でき、塗布後に輝きのある撥水性皮膜を形成できることから、皮膚化粧料に好適である。
また、本発明のシリコーンオイルエマルジョンおよびシリコーンオイル組成物は、化粧料原料もしくは化粧料として用いた場合、UV吸収剤、ビタミン等の有機成分との相溶性が優れ、特に、架橋シリコーン粒子が、ケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有する場合には、架橋シリコーン粒子の析出を抑制することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に分散している平均粒径0.1〜500μmのシリコーンオイルの液滴中に、平均粒径0.05〜100μmの架橋シリコーン粒子(但し、この架橋シリコーン粒子の粒径は前記シリコーンオイルの液滴の粒径より小さい。)を含有するシリコーンオイルエマルジョンであって、前記シリコーンオイルがケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル変性シリコーンオイルであることを特徴とするシリコーンオイルエマルジョン。
【請求項2】
アルキル変性シリコーンオイルが、平均式:
【化1】

(式中、Rは炭素数3以下のアルキル基、炭素数4以上のアルキル基、アリール基、またはハロゲン化アルキル基;Rは炭素数3以下のアルキル基、アリール基、またはハロゲン化アルキル基;Rは炭素数4以上のアルキル基;mおよびnは、それぞれ0または正の数、但し、nが0のとき、Rの少なくとも1つは炭素数4以上のアルキル基)
で表される、請求項1記載のシリコーンオイルエマルジョン。
【請求項3】
さらに、架橋シリコーン粒子がケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有する、請求項1または2記載のシリコーンオイルエマルジョン。
【請求項4】
化粧料原料もしくは化粧料である、請求項1乃至3のいずれか1項記載のシリコーンオイルエマルジョン。
【請求項5】
非架橋性のシリコーンオイルを含有している架橋性シリコーン組成物を水中で架橋反応させ、水中に分散している平均粒径0.1〜500μmのシリコーンオイルの液滴中に、平均粒径0.05〜100μmの架橋シリコーン粒子(但し、この架橋シリコーン粒子の粒径は前記シリコーンオイルの液滴の粒径より小さい。)を含有するシリコーンオイルエマルジョンを製造する方法であって、前記シリコーンオイルがケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル変性シリコーンオイルであることを特徴とするシリコーンオイルエマルジョンの製造方法。
【請求項6】
アルキル変性シリコーンオイルが、平均式:
【化2】

(式中、Rは炭素数3以下のアルキル基、炭素数4以上のアルキル基、アリール基、またはハロゲン化アルキル基;Rは炭素数3以下のアルキル基、アリール基、またはハロゲン化アルキル基;Rは炭素数4以上のアルキル基;mおよびnは、それぞれ0または正の数、但し、nが0のとき、Rの少なくとも1つは炭素数4以上のアルキル基)
で表される、請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
さらに、架橋シリコーン粒子がケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有する、請求項5または6記載の製造方法。
【請求項8】
水中に分散している平均粒径0.1〜500μmのシリコーンオイルの液滴中に、平均粒径0.05〜100μmの架橋シリコーン粒子(但し、この架橋シリコーン粒子の粒径は前記シリコーンオイルの液滴の粒径より小さい。)を含有しているシリコーンオイルのエマルジョンから水を除去してなるシリコーンオイル組成物であって、前記シリコーンオイルがケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル変性シリコーンオイルであることを特徴とするシリコーンオイル組成物。
【請求項9】
アルキル変性シリコーンオイルが、平均式:
【化3】

(式中、Rは炭素数3以下のアルキル基、炭素数4以上のアルキル基、アリール基、またはハロゲン化アルキル基;Rは炭素数3以下のアルキル基、アリール基、またはハロゲン化アルキル基;Rは炭素数4以上のアルキル基;mおよびnは、それぞれ0または正の数、但し、nが0のとき、Rの少なくとも1つは炭素数4以上のアルキル基)
で表される、請求項8記載のシリコーンオイル組成物。
【請求項10】
さらに、架橋シリコーン粒子がケイ素原子に結合した炭素数4以上のアルキル基を有する、請求項8または9記載のシリコーンオイル組成物。
【請求項11】
化粧料原料もしくは化粧料である、請求項8乃至10のいずれか1項記載のシリコーンオイル組成物。

【公開番号】特開2011−116893(P2011−116893A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276770(P2009−276770)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】