説明

シリル化熱可塑性加硫組成物

【課題】新規な熱可塑性加硫物の調製方法の提供。
【解決手段】当該方法は、熱可塑性第1ポリマー、弾力性第2ポリマー、カルボン酸無水物、フリーラジカル発生剤及び粘着付与剤を混合して、熱可塑性第1ポリマー及びグラフト化した弾力性第2ポリマーを含有し、分散させた粘着付与剤を含有する粘着性の第1混合物を調製する工程と、更に第1混合物をシランと反応させて非粘着性の熱可塑性加硫物生成物を調製する工程からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なシリル化熱可塑性加硫組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
組み立て作業及び建築用途に用いられるシーラント/接着剤の望ましい特性は、熱溶融物がシラン架橋により改良された粘着力、抗張力及び熱抵抗を示すことである。自動車ウインドウ及び断熱性ガラスユニットの産業的な組立て用のシーラント/接着剤がかかる用途の典型例である。更にシーラント/接着剤に求められる要件は、熱サイクルの間粘着力が維持されるとともに、組み立て工程中の十分な緑の強さの維持及び経済的な硬化時間により取扱いが容易となることが挙げられる。シーラント/接着剤に求められる特性は、200psi以上の抗張力、100psi以上における100%の弾性率、200%以上の伸長及び30以上のShoreA硬度である。単一のシール剤として使用できるシーラント/接着剤は、自動化した用途におけるコスト削減を可能とする。
【0003】
断熱性ガラス製造産業においては、2つのタイプの接着剤及びシーラントが存在する。すなわち熱硬化性粗製物及び熱可塑性組成物である。化学的に硬化する熱硬化性組成物としては、ポリスルフィド系、ポリウレタン系及びシリコン系のものが挙げられる。熱可塑性組成物としては、熱溶融ブチルゴムベースの組成物が挙げられる。熱溶融ブチル組成物の好適な特性は、低い湿気・蒸気・蒸発(MVT)特性に起因する。しかしながら、これらは低温及び高温変動による粘着力の低下及びクリープ抵抗の低下が生じやすく、組み立てられた構造の変形につながる。
【0004】
Schombourg,J.F.らの特許文献1(本願明細書に援用する)では、シランによる加硫により、10〜50重量%のゲル含有率及び400%の伸長を有する熱可塑性エラストマーを得たことを開示している。特許請求されている組成物は、分散相でのポリマー又は共重合体の反応生成物、フリーラジカル発生剤、カルボン酸無水物及びアミノシラン、並びに第2ポリマーの連続相からなる。しかしながらこの特許において開示される方法は、シリルオキシ基の加水分解及び凝結を経た分散相の完全架橋に化学量論的に必要となる水量の提供には成功していない。明細書では、付加的な水の供給源が必要とされないことを教示している。更に、1つ以上の可塑剤、1つ以上の樹脂粘着付与剤、シラン、凝結触媒及び/又はポリマー添加剤の添加に関する記載は存在しない。
【0005】
Arhart,R.J.らの特許文献2では、水分硬化可能、溶融状態での処理が可能なグラフト化エチレンコポリマーを開示している。シリルグラフト化エチレンはポリマー主鎖へのエポキシグリシジルメタクリレートの共重合によって調製され、グラフト化部位をアミノシランに提供する。改良された粘着力が予想される。しかしながら、シリルオキシグループを介した架橋は方法の一部として開示されていない。最終的な特性を提供するための硬化後の処理が必要とされ、それが硬化時間の長期化の原因ともなる。共重合材料の調製の必要は、コストを増加させ、シリルオキシの架橋度合いの柔軟な調整を困難にする。水分放出添加剤、凝結触媒又は粘着付与剤に関する記載も存在しない。
【0006】
Laughner,M.K.らの特許文献3では、熱可塑性マトリックス樹脂相を含む熱可塑性ポリマーブレンド組成物を開示し、それは実質的に架橋が存在せず、分散した、シラングラフトされたエラストマー相である。これらの組成物は、最初に溶融混合の際の温度で同程度の粘度を有する熱可塑性樹脂とエラストマーを溶融混合する多段階方法によって調製される。それらが溶融状態である間、又はそれらが固体の状態に回収された後、シランの架橋、分岐又はその両方を促進する触媒を溶融混合相に、必須ではないが好ましくは添加する。溶融した混合相及び任意の触媒を、溶融混合相が成形された物品に変化する前若しくは後のいずれかに水分に曝露し、分散したエラストマー相の領域中での分岐、架橋を促進させる。架橋及び分岐は、エラストマー分子量を増加させ、分散した領域形状を安定させる。エラストマー相には非可塑性ポリマーを含有させてもよい。第2の非グラフト化エラストマー相を、熱可塑性ポリマーブレンド組成物に含有させてもよい。ただしかかる多段階方法は、前架橋や水分曝露後の硬化を防止するための特殊な貯蔵及び取扱いが必要となり、それがコスト及び複雑を増大させる。
【0007】
Baratuci,J.L.らは、特許文献4及び5において、コア材料及び接着剤が1つ以上のイソブチレンベースのポリマー、可塑剤、充填材、付着促進剤及びアモルファスポリアルファオレフィンポリマーである、マルチ枠ウインドウ組成物において使用する一体型スペーサ/シーラントを記載している。動的な加硫によって調製される熱可塑性物質又は熱可塑性エラストマーに関する開示もなされている。但しシリルオキシ基による架橋、シリルオキシ基の加水分解又は凝結のための水分を放出する添加剤に関する記載、あるいはコア材料又は接着剤組成物のための凝結触媒に関する記載は存在しない。
【特許文献1】米国特許第6448343号
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0032728号
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0151647号
【特許文献4】米国特許第5851609号
【特許文献5】米国特許第6355328号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上より、熱溶融シーラント/接着剤組成物の分散相の弾力性、及び改良されたクリープ抵抗を有するホットメルト組成物に対するニーズが更に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
熱可塑性加硫物の調製方法は、熱可塑性第1ポリマー、弾力性第2ポリマー、カルボン酸無水物、フリーラジカル発生剤及び粘着付与剤を混合して、熱可塑性第1ポリマー及びグラフト化した弾力性第2ポリマーを含んでなり、分散する粘着付与剤を有する粘着性の第1混合物を調製する工程と、更に第1混合物をシランと反応させて非粘着性の熱可塑性加硫物生成物を調製する工程からなる。
【0010】
本発明では好適には、樹脂粘着付与剤、更には好ましくは水分を放出する添加剤を添加する。粘着付与剤樹脂の添加は、分散相の弾力性を強化し、更にクリープ抵抗を高める。一定温度で水分を放出する添加剤の添加によりアルコキシル基の完全な加水分解及び凝結が促進され、それにより架橋相が増加し、メルトフローの減少によって測定できるクリープ抵抗が改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明はシリル化された熱可塑性加硫物(TPVSi)組成物に関する。当該粗製物は、カルボン酸無水物修飾又は過酸化物グラフトされたエラストマー(シラン、好ましくはアミノシランと更に反応する)の分散相、連続相熱可塑性物質、有機樹脂粘着付与剤、分散相中でのアルコキシシリル基の加水分解及び凝結架橋を促進するために水分を放出する添加剤、及び凝結触媒をベースとする。これらの組成物では、メルトフローの減少によって定まるクリープ抵抗が向上しているのと同様に、従来技術よりも機械的特性が広範囲にわたり向上している。本発明の熱可塑性加硫物組成物は、ブチルゴムベースのシーラント/接着剤の優れたMVT特性を有し、断熱性ガラス製造に適している。更に、断熱性ガラス製造の間に硬化する組成物と比較して、本発明のTPVSi組成物では揮発性材料が減少し、化学的なフォギングも減少する。
【0012】
本発明の一実施態様では、TPVSi組成物は、(a)結晶質若しくは部分的に結晶質の熱可塑性第1ポリマーと、(b)弾力性第2ポリマー(ゴム相)と、(c)弾力性第2ポリマーにコモノマーとして添加されるか、又はフリーラジカル発生剤(例えば過酸化物若しくは他の適当な手段)と共にグラフト化されるカルボン酸無水物と、(d)シラン(好ましくはアミノシラン)と、有機樹脂粘着付与剤との混合物である。一実施態様では、組成物はまた水分供給源も含有する。
【0013】
本発明の一実施態様では、当該組成物は組成物総重量に対して、約5重量%〜約40重量%の熱可塑性第1ポリマーと、約60重量%〜約95重量%の弾力性第2ポリマーと、約0.01重量%〜約1.0重量%のカルボン酸無水物と、約0.005重量%〜約0.5重量%の過酸化物と、約0.25重量%〜約2.5重量%のシランと、約5重量%〜約25重量%の粘着付与剤を含有する。
【0014】
本発明の他の実施態様では、当該組成物は組成物総重量に対して、約10重量%〜約30重量%熱可塑性第1ポリマーと、約70重量%〜約90重量%の弾力性第2ポリマーと、約0.05重量%〜約0.5重量%のカルボン酸無水物と、約0.025〜約0.25重量%の過酸化物と、約0.5重量%〜約2.0重量%のシランと、約10重量%〜約25重量%の粘着付与剤を含有する。
【0015】
本発明の更に別の実施態様では、当該組成物は組成物総重量に対して、約15重量%〜約25重量%の熱可塑性第1ポリマーと、約75重量%〜約85重量%の弾力性第2ポリマーと、約0.1重量%〜約0.4重量%のカルボン酸無水物と、約0.05〜約0.2重量%の過酸化物と、約1.0重量%〜約2.0重量%のシランと、約15重量%〜約20重量%の粘着付与剤を含有する。
【0016】
別の実施態様では、当該組成物はまた、約1重量%〜約60重量%、より好ましくは約10重量%〜約50重量%、最も好ましくは約15重量%〜約20重量%(組成物総重量に対して)の水分供給源を含有する。
【0017】
好ましい実施態様では、本発明の方法は、TPVを調製する従来法とは対照的に、単一の操作において実施される。グラフティング、架橋及びカップリングは混合装置において連続的に実施される。当該工程はまた、必要に応じてバッチ合成システム(例えばバンブリー又はクルップミキサー)での使用にも適している。
【0018】
好適な熱可塑性ポリマー(a)としては、ポリプロピレン(PP)ポリエチレン(特に高密度)(PE)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、熱可塑性ポリエステル(PET、PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンエーテル(PPE)又はポリフェニレンオキシド(PPO)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
かかるポリマーは公知のいかなる方法によっても調製でき、例えばバルク相、スラリー相、気相、溶媒相、界面重合(ラジカル、イオン、金属(例えばメタロセン、ツィーグラー−ナッタ))、重縮合、多重付加又はこれらの方法論の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
適切なポリオレフィンゴム相成分(b)は、反応によりカルボン酸無水物含有ポリマーなどを産生することができるいかなるポリマーでもよく、特に限定されないが、例えばエチレンプロピレン共重合体(EPR)、エチレンプロピレンジエン三重合体(EPDM)、ブチルゴム(BR)、天然ゴム(NR)、塩素処理ポリエチレン(CPE)、シリコーンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン=ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−エチレン ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレンブチルアクリル酸(EBA)、エチレンメタクリル酸(EMA)、エチレンエチルアクリル酸(EEA)、エチレン−α−オレフィン共重合体(例えばEXACT及びENGAGE、LLDPE(線形低密度ポリエチレン))、高密度ポリエチレン(HPE)及びニトリルゴム(NBR)が挙げられる。ポリプロピレンは架橋の間分解する傾向を有するためこの相として適切でない。しかしながら、ポリプロピレンが酸無水物とポリプロピレンとのコポリマー又はグラフトマーである場合には使用可能である。好ましくは、上記ポリマーは少なくとも50%のエチレン(モノマー)含有率、より好ましくは少なくとも70%のエチレンモノマー含有率のエチレンポリマー又はコポリマーである。
【0021】
ポリマーを2つの相で同じとしてもよく、その場合、酸無水物が過酸化物又は他のグラフティング手段と共にポリマーの一部分に前添加され、その前反応させたポリマーはTPV内のゴム相として機能する。かかる前添加としては、ポリマー中にコモノマーとして酸無水物を存在させるか、又は酸無水物をポリマーと前反応させることが可能性として挙げられる。これらの2つのケースのいずれの場合も、酸無水物はポリマー中に既に存在するため、別々に添加する必要はない。このプロセスは、単一の連続ミキサー、タンデムに連結した幾つかのミキサー、バッチミキサー、又は通常エラストマーと熱可塑性高分子との処理に使用する他のいかなる適切なミキサーにおいて実施できる。
【0022】
第3の変形例では、ゴム相及び熱可塑性相のポリマーが同じポリマーであってもよいが、酸無水物はポリマー全体に添加される。かかる場合、シラン添加の際にポリマーの一部がゴム相を形成し、一方他の部分は反応しない(無水物及びシランの量が比較的少ない場合)。ゴム相と熱可塑性相間の相分離の適当な度合いが、当該工程の間に形成されることが重要である。このプロセスは、単一の連続ミキサー、幾つかのミキサー(タンデム)、バッチミキサー又は通常エラストマーと熱可塑性高分子の処理に使用する他のいかなる適切なミキサーにおいても実施できる。
【0023】
2つの異なるポリマーの場合、酸無水物との反応性が高いポリマーは、酸無水物によってグラフト化し、TPVのゴム相として機能する。しかしながら、必要に応じて、当該工程を柔軟に変更し、工程中への添加物の選択的な添加によって微調整してもよい。
【0024】
ゴム相(又は分散若しくは共連続相)として形成されるポリマーは処理可能でなければならず、また酸無水物とのグラフティングが可能である必要があるか、又はその製造の間に酸無水物によって修飾される必要がある。
【0025】
熱可塑性相の融点は、アミノシランの分解温度、並びに酸無水物(酸無水物がポリマーのコモノマーでない場合)の分解温度未満でなければならない。
【0026】
ポリマーは、単ピーク形若しくは、二ピーク性若しくは、多モード性の分子量分布を有することがありえる。ポリマーのメルトフローは、熱可塑性物質及びゴムを形成するために、公知技術のそれらのいずれかでありえる。
【0027】
ゴム相となるポリマーとグラフト化又は反応できるカルボン酸無水物を、いかなる機構においても使用できる。このグラフティングを達成するために、ポリマー中、より好ましくは酸無水物において不飽和の部分を存在させることが好ましい。カルボン酸無水物の不飽和は、それによりポリマーとの反応が可能である限りにおいて、環構造の内部又は外部に存在してもよい。酸無水物はハライドを含有してもよい。異なるカルボン酸無水物の混合物を用いてもよい。本発明の使用に適する典型的な不飽和カルボン酸の無水物を以下に列挙するが、それらに限定されない:イソブテニルコハク酸無水物、(+/−)−2−オクテン−1−イルコハク酸無水物、イタコン酸無水物、2−ドデセン−1−イルコハク酸無水物、シス−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物、エンド−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−カルボン酸無水物、エキソ−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、1−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、臭化マレイン酸無水物、及びジクロロマレイン酸無水物。
【0028】
これらの酸無水物は、ゴム相中でポリマーのコモノマーとして存在してもよく、又はゴム相となるポリマーにグラフト重合してもよい。
【0029】
酸無水物は、存在するポリマーの総量に対して約0.01重量%〜約1.0重量%の量で使用できる。フリーラジカル発生剤(好ましくは過酸化物)は、通常カルボン酸無水物の重量%の約半分で含有されるが、必要に応じて他のパーセンテージでしてもよい。
【0030】
本発明の調製のシランを架橋剤及び粘着付与剤の使用により三次元ポリマー構造を有する生成物が提供され、例えば窓ガラス取り付け用化合物として、粘着及び密閉用途に好適に使用できる。例えば、シランとの反応によって硬化するまで、混合物は最初粘着性であり、例えばホットメルト接着剤として使用する場合、反応後、TPV合成物が再加熱されるまでその粘着性を失う。接着しようとする表面(例えばガラス)に塗布する際に溶融させると熱溶融合成物はその粘着性を回復し、更に冷却すると粘着性を失う。シラン硬化がなければ、合成物は永久に粘着性を有し、それは例えば多くの用途(例えば窓ガラス取り付け用化合物)にとり不適当である。
【0031】
本発明で使用するシランは、好ましくは少なくとも1つの加水分解性の基(例えばアルコキシル、アセトキシ又はハロ基、好ましくはアルコキシル基)を有するアミノシランである。一実施態様では、架橋縮合反応を受けうるかかる加水分解基を少なくとも2つ存在し、それにより得られる合成物がかかる架橋を受けることができる。異なるアミノシランの混合物を用いてもよい。
【0032】
アミンは、酸無水物との充分な反応速度を有しなければならない。通常、第三級アミンは酸無水物と適切に反応せず、使用しないのが好ましい。アミノ基は、分岐基によってケイ素原子と架橋し、組成物の黄変を減少させうる。
【0033】
シランは、式YNHBSi(OR)(X)3−aで表すことができる。式中、a=1〜3、好ましくは3であり、Yは水素、アルキル、アルケニル、ハイドロキシアルキル、アルカリル、アルキルシリル、アルキルアミン、C(=O)OR又はC(=O)NRであり、Rはアシル、アルキル、アリール又はアルカリル基であり、XはR又はハロ基であってもよい。Bは二価の架橋基(好ましくはアルキレン基)であり、分岐状(例えばネオヘキシレン)又は環状であってもよい。Bはヘテロ原子橋(例えばエーテル結合)を含んでもよい。好ましくは、Bはプロピレン基である。好ましくは、Rはメチル又はエチル基である。メトキシ基含有シラン誘導体は、エトキシ基より良好な架橋性能を確実に付与できる。好ましくは、Yは、アミノアルキル、水素又はアルキル基である。より好ましくは、Yは水素又は第一級アミノアルキル基(例えばアミノエチル基)である。好ましくは、XはCl又はメチル基(より好ましくはメチル基)である。典型的なシランは、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(ゼネラルエレクトリック社から入手可能なSILQUEST(登録商標)A−1110)、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(SILQUEST(登録商標)A−1100)、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(SILQUEST(登録商標)A−1120)、HNCHCHNHCHCHNH(CHSi(OCH(SILQUEST(登録商標)A−1130)、及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(SILQUEST(登録商標)A−2120)である。他の適切なアミノシランを以下に列挙する。3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシランン、(アミノエチルアミノメチル)−フェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(1−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロフェニルトリメトキシシラン、ビス[(3−トリメトキシシリル)−プロピル]エチレンジアミン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビス−(γ−トリエトキシシリルプロピル)アミン(SILQUEST(登録商標)A−1170)、及びN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(SILQUEST(登録商標)Y−9669)。
【0034】
アミノシランが潜在的なアミノシラン(すなわちウレイドシラン又はカルバメートシラン)である場合、ブレンド温度は、それぞれのブロック基がアミンから外れ、150〜230ECでアミンを酸無水物官能と反応させるのに充分でなければならない。かかる潜在的なアミノシランの例は、tert−ブチル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)カルバミン酸エステル、ウレイドプロピルトリエトキシシラン及びウレイドプロピルトリメトキシシランである。使用できる他のカルバメートシランは、米国特許第5220047号において開示され、その開示内容は本願明細書に援用される。好ましくは、デブロッキングの付加的な複雑さを回避するために、アミノシランはかかる潜在的なアミノシランでない。
【0035】
アミノシランは、両方のポリマーの重量に対して250〜25,000ppmで存在する必要がある。酸無水物に対するモル当量比率は、約0.1〜10、より好ましくは約0.9〜1.1、最も好ましくは約1:1の比率である。
【0036】
シランを多孔性ポリマー、シリカ、二酸化チタン又はカーボンブラックのような担体上に結合させ、混合工程中のポリマー添加を容易にすることもできる。シランを、適合性を有する工程用のオイル若しくはワックスと混合してもよい。これは、すでに油を含む製剤において特に有用であり、及び/又は油を加工助剤、可塑剤、低吸油量製剤及び/又は柔軟剤として使用することにより便益を得ることが可能となる。典型的な材料としては、ACCURELポリオレフィン(Akzo Nobel)、STAMYPORポリオレフィン(DSM)及びVALTECポリオレフィン(Montell)、SPHERILENEポリオレフィン(Montell)、AEROSILシリカ(デグッサ)、MICRO−CEL E(マンヴィル)及びENSACO 350Gカーボンブラック(MMM Carbon)が挙げられる。ホワイトオイル(すなわちパラフィンオイル、パラフィンワックス)は、シランの有用な担体であるが、シラン及びコンポジット製剤と適合性を有する他のいかなる油又はワックスも使用できる。
【0037】
適切な市販の粘着剤としては、例えば、等級E、R、L及びWにおいて入手できる、イーストマンケミカル社製(Kingsport,Term)の、EASTOTAC H−100、H−115、H−130及びH−142などのEASTOTACシリーズとして市販されている、部分的に水素化された脂環式石油炭化水素樹脂(水素化レベルが最も少ない水素化(E)からほとんど水素化(W)されたものまで含む)、Exxon Chemical社製(ヒューストン、テキサス)のESCOREZシリーズ(ESCOREZ 5300及びESCOREZ 5400など)、ヘラクレス社製(デラウェア州、ウィルミントン)のHERCOLITE 2100、部分的に水素化された修飾された芳香族石油炭化水素樹脂として、Exxon Chemical社製のESCOREZ 5600、脂肪族−芳香族石油炭化水素樹脂として、Goodyear Chemical社製(アクロン、オハイオ)のWINGTACK EXTRA、d−リモネンから調製したスチレン化テルペン樹脂として、Arizona Chemical社製(パナマシティ、FIa)のZONATAC 105 LITE、芳香族の水素化炭化水素樹脂として、ヘラクレス社製のREGALREZ 1094、alphamethylスチレン樹脂として、ヘラクレス社製のKRISTALEX 3070、3085及び3100(それぞれ70EC、85EC及び100ECの軟化点を有する)が挙げられる。
【0038】
本発明の使用に適している水分供給源としては水が包含され、好ましくは水が分子構造において結合している化合物であるが、混合プロセスにおける温度で水を放出する化合物であることが好ましい。結合水を含有するかかる化合物としては、例えば無機化合物(例えば無機酸化物、水酸化物及び塩の水和物)の水和物が挙げられる。具体例としては、アルミニウム三水和物、Al(OH)、Mg(OH)、Ca(OH)などが挙げられる。
【0039】
カルボン酸無水物をフリーラジカル機構によってポリマーとグラフト化させる場合、フリーラジカル発生剤が必要となるが、酸無水物が他の機構を介してグラフト化するか、又はポリマーのコモノマーである場合、必要ではない。適切なフリーラジカル触媒は、水可溶性又は油溶解性の過酸化物から選択でき、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、有機ペルオキソ基を含む様々な触媒(例えばジアルキル過酸化物、例えばジイソプロピル過酸化物、ジラウリル過酸化物、ジ−t−ブチル過酸化物、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジクミルパーオキサイド、アルキル過酸化水素(例えばt−ブチル過酸化水素、t−アミル過酸化水素、クミル過酸化水素、ジアシルペルオキシド(例えば過酸化アセチル、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルペルオキシド)、エチル過酸化ベンゾアートなどのペルオキシエステル及びアゾ化合物(例えば2−アゾビス(イソブチロニトリル)などが挙げられる。
【0040】
フリーラジカル発生剤は、酸無水物のモル量に対して1/100〜1/1で存在してもよい。
【0041】
標準的な添加物(例えば安定化剤(UV、光又はエージング)、抗酸化剤、金属活性低下剤、加工助剤、ワックス、充填材及び着色剤)をTPVに添加してもよい。更に、発泡剤をポリマーに添加してもよく、それらを押出した際にポリマーがフォームを形成する。かかる発泡剤の例は、揮発性炭化水素、ヒドロフルオロカーボン類及びクロロフルオロカーボン類である。アゾカルボンアミド又は重炭酸ナトリウムなどの周知の発泡剤は高い温度で分解してガス状の生成物を産生する。これらはすべて化学発泡プロセスである。ポリマーメルトへ液体又はガス状の起泡剤を注入することによってフォームを生じさせてもよい。例えばブタン、CO、窒素、水、ヘリウムなどである。かかる発泡剤の量は、ポリマーに対して約0.1〜約5.0重量%でなければならない。
【0042】
第1の反応において、カルボン酸無水物は(最も好ましくはフリーラジカルメカニズムによって)ゴム相ポリマーにグラフティングする。この反応は両方のポリマーの存在において、又は2つのポリマーが別々の状態で行ってもよいが、両方のポリマーが共に存在するのが好ましい。あるいは、前記したように、この処理はコモノマーとしてカルボン酸無水物をゴム相ポリマーへ添加することによって効率的になされる(その場合、ラジカル発生剤が必要ない)。ポリマーは、アミノシランとの反応の前にカルボン酸無水物によってグラフト/共重合されなければならず、なぜなら酸無水物とアミノシランとの間の反応生成物ではグラフティング効率が低いからである。アミノシランと酸無水物との間の前反応によりセミアミドの形成がなされ、それによりグラフティング特性が悪化しうる。この場合、架橋が起こらない。対照的に、ポリマーの部分的な分解及び/又はセミアミドによる可塑性化の効果は、メルトフロー指数(MFI)の上昇につながりうる。
【0043】
ゴム相ポリマー上へ酸無水物のグラフティングを誘導するため、グラフティング処理の間、無水物と共にフリーラジカル発生剤を添加することが好ましい。
【0044】
熱可塑性ポリマーがグラフティングの間に存在しない場合、アミノシランの添加前に融合ゴム相ポリマーを添加する必要があるが、かかる方法は、結果として生じるTPVSiの機械的特性を損なうものである。
【0045】
第二段階は、ゴム相グラフト化ポリマー/熱可塑性ポリマーブレンドへのアミノシランの添加である。米国の特許第6448343号において開示される方法とは異なり、好ましくは水分供給源を添加する。アミノシランが1つのポリマーにグラフト化した後、架橋が行われ、架橋ポリマーのゲル相が形成される必要がある。別個の水分硬化を生じさせる必要はない。凝結触媒を、架橋工程を促進するために使用してもよいが、セミアミドが充分な触媒でなければならない。約60EC〜約200ECの高い温度で1〜10分間反応させ、架橋を確実に形成させる必要がある。
【0046】
添加剤の総量は組成物全体のわずか約0.4%であり、過酸化物又はビニルシラン硬化において必要とされる量は5分の1未満である。これにより、総経費の減少及び遊離する過酸化物の減少(安全性にとり好ましい)がもたらされる。
【0047】
本発明の処理は、連続工程で、単一ステップの操作で実施できる。あるいは、当該処理をバッチ工程で実施してもよい。本願明細書に記載されている目的に適するいかなるミキサーを使用してもよい。好ましいミキサーは、バレルに対して下流の位置にあるミキサーと、注入ポートの筒に対して上流の位置にある少なくとも1つの供給ポートを有するスクリュータイプミキサーである。付加的な供給ポートを有するミキサーを使用することにより、バレルに沿って数地点で成分を有効に導入することができ、工程の最適化につながる。ミキサーは、押出機(1つのスクリュー、一対のスクリューなど)、BUSS KO−KNEADERミキサー又は単純な内蔵タイプミキサーであってもよい。
【0048】
得られる生成物は、優れた機械的特性を有する熱可塑性加硫物である。架橋された材料は有意なゲル含有率及び開始材料としてのポリマーより顕著に低いMFIを有し、それによりクリープ抵抗性の改善、破壊時のより高い引張強度が得られ、ポリマーブレンドより硬い材料が提供される。最終製品は、弾力特性(すなわち400%を超える破壊時の伸長)を有するが、熱可塑性を有するため、通常公知技術の方法による溶融処理が可能である。最終製品の好ましいゲル含量(すなわちゴム含量)は約10重量%〜約50重量%、最も好ましくは約25重量%〜約35重量%である。機械的及び横方向の伸長度及び柔軟度が改善され、それは材料のダーツ衝撃強度となる。TPVSi組成物は塗料可能で、良好な油抵抗を有する。例えば、それらを接着剤及びシーラント、ケーブル絶縁、パイプ、プロフィール、成形パーツ、発泡パーツ、シートなどに使用することができる。
【0049】
アミノシランゴム相で修飾されたポリマーは熱可塑性ポリマーと良好な適合性を持つ傾向があり、より強いTPVSiの提供につながる。
【実施例】
【0050】
実施例及び比較例を以下に示す。実施例(番号付き)は本発明を例示する。比較例(文字付き、シラン不使用)は、比較のみを目的として示され、本発明を例示しない。
【0051】
以下の成分を実施例において使用した。
イソブチレン−イソプレンコポリマー(ブチルゴム):ブチル268及びブチル165としてExxonMobil社から市販。
炭化水素粘着付与剤樹脂:Escorez 1304としてExxonMobil Chemical社から市販。
高分子量ポリイソブチレン:Vistanex L−100及びL−140として市販。
無水マレイン酸修飾されたスチレンエチレン ブチレンスチレンブロックコポリマー:Kraton FG 1901及びKraton FG 1924XとしてKratonポリマー社から市販。
液体状の解重合された合成ブチルゴム:Kalene 800としてハードマン社から市販。
テルペンフェノール粘着付与剤:Sylvarez TR1085としてアリゾナ化学Coから市販。
エチレン−酢酸ビニル樹脂:Elvax(登録商標)460としてデュポン社から市販。
部分的に水素化された脂環式石油炭化水素樹脂粘着付与剤:Eastotac H−100Wとしてイーストマンケミカル社から市販。
炭酸カルシウム:Ultra−pflex及びHi−pflexとしてファイザー社から市販。
【0052】
<実施例1−4及びA−H>
表1の比較例AからDの組成物を、Braybenderを使用して、160℃、150回転/分で、次のアミノシランによる反応における酸無水物グラフティングを行わずに調製した。これらは高い溶融流速を示し、100psi(典型的な熱溶融ブチルゴムベースのシーラント/接着剤組成物)以下の100%の弾性率を示し、クリープが増加したことを示す。伸長及び亀裂試験の結果は、断熱性ガラス組立て用途のための望ましい機械的特性を有しない、過度に柔軟なシーラント/接着剤であることを更に裏付けるものである。
【0053】
比較例E、F、G及びHの組成物は、それぞれ実施例1、2、3及び4に対する比較組成である。それらは、無水マレイン酸をグラフト化させたSEBSゴム(コポリ(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン)が連続ブチルゴム相の分散相となっている。これらの調製による結果は、シランアミノシラン架橋剤が添加されたときにクリープ抵抗が改善され(メルトフローの減少によって観察される)、同時に断熱性ガラスシーラント/接着剤用途に適する機械的特性が改善されることを示す。
【0054】
例えば、亀裂強さ及び100%弾性率は、対応する比較例EからHよりも実施例1から4の各々では高く、メルトフローは低かった。
【0055】
表1
【表1】

1:メルトフローは、ASTM 1238につきTinius Olsen Extrusion Plastometer Model MP993aを使用し、14℃、2.16Kgの重量で測定した。
2:ASTM D412−86
3:ASTM D624−80
*:比較例
【0056】
<実施例5及び6>
実施例5及び6の組成は、上記の実施例1から4と同様に調製した。実施例5及び6においてアミノシラン架橋された分散相は増加し、添加した水分はクリープ抵抗の増加となって表れるメルトフローの更なる低下をもたらした。粘着付与剤樹脂の選択は、メルトフロー又はき裂抵抗を変えることなく機械的特性を変化させた。
【0057】
表2
【表2】

4:ASTM D2240−86
【0058】
<実施例I及び7−9>
(比較)実施例I及び実施例7から9の組成物は、Haake Rheometerを使用して、160℃、150回転数/分で調製し、次に0.25インチのすきま設定を使用して加熱をせずにEEMCO 2ロールミルで機械加工した。実施例8は他の例と同様に調製し、更に水分を放出させるために200℃で更にHaake Rheometer中で混合した。実施例I及び7は、シランを含まない組成物と、シラン及び水分をもつものとの比較のために準備した。水分とシランの添加により、裂け抵抗及びShore A硬度が増加し、分散相中での架橋を示すものである。実施例8では、水分供給源として、水に代えて200℃で水分を放出(〜30重量%)する添加剤を使用し、その結果、実施例7と同様であった。実施例9は、凝結触媒を添加することによる優位性を示す。実施例14は、ジブチルスズジラウレート20ppmをアミノシランと共に混合した結果を示す。
【0059】
水分放出剤及び凝結触媒の添加において観察されるように、分散相中での更なる架橋が機械的特性の重要な改良につながることを示す。
【0060】
表3
【表3】

*:乾燥150EC、2時間
+:20ppmジブチルスズラウレートをアミノシランに添加
【0061】
以上から示唆されるように、実施例7から9の生成物は、実施例Iの生成物より高いき裂強さ及び引張強度を示した。更に、Shore硬度が実施例7と8で少なくとも同様であり、実施例IのShore硬度より高かった。
【0062】
<実施例J及び10から13>
実施例10から13を実施例7から9と同様に調製し、更に組成を若干変化させ、IGガラス熱溶融グレージング/接着用途に適する機械的特性を得た。
【0063】
表4
【表4】

*:比較例
【0064】
上記から解るように、比較例Jは粘着付与剤を含まず、好適な結果を得るためには約50%のシランが必要であることを示すものである。
【0065】
本発明を具体的な実施態様に関して記載したが、本発明はその具体的な態様に限定されるものではなく、単に好ましい態様を例示するものであると解釈すべきである。当業者であれば、本発明の範囲内で様々に変化させることができ、その部材に関して均等物に代替することができることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性加硫物の調製方法であって、
a)熱可塑性第1ポリマー、弾力性第2ポリマー、カルボン酸無水物、フリーラジカル発生剤及び粘着付与剤を混合して、熱可塑性第1ポリマー及びグラフト化した弾力性第2ポリマーを含有し、かつ分散した状態の粘着付与剤を含有する、粘着性の第1混合物を調製する工程と、
b)更に前記第1混合物をシランと反応させて非粘着性の熱可塑性加硫物生成物を調製する工程からなる方法。
【請求項2】
前記熱可塑性第1ポリマーが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、スチレンアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、熱可塑性ポリエステル類、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル及びそれらの混合物によるホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される1つ以上のポリマーを含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記弾力性第2ポリマーが、エチレンプロピレン共重合体、エチレンプロピレンジエンターポリマー、ブチルゴム、天然ゴム、塩素化ポリエチレン、シリコーンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル、エチレンブチルアクリレート、メタクリル酸エチレン、エチレンエチルアクリレート、エチレン−α−オレフィン共重合体、高密度ポリエチレン、ニトリルゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、並びにそのグラフト化、反応又は官能化された変異物からなる群から選択される1つ以上のポリマーを含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記カルボン酸無水物が、イソブテニルコハク酸無水物、(+/−)−2−オクテン−1−イルコハク酸無水物、イタコン酸無水物、2−ドデセン−1−イルコハク酸無水物、シス−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物、エンド−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−カルボン酸無水物、エキソ−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、1−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、臭化マレイン酸無水物、及びジクロロマレイン酸無水物からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記カップリング剤が式YNHBSi(OR)(X)3−aで表されるシランであり、式中、a=1〜3であり、Yが水素、アルキル、アルケニル、ハイドロキシアルキル、アルカリル、アルキルシリル、アルキルアミン、C(=O)OR又はC(=O)NRであり、Rがアシル、アルキル、アリール又はアルカリル基であり、XがR又はハロゲンであり、Rがメチル又はエチル基であり、Bが二価の直鎖状、分岐状若しくは環状の炭化水素架橋基であるか、又はBがヘテロ原子橋を含んでもよい、請求項1記載の方法。
【請求項6】
Rがメチル基であり、Yがアミノアルキル、水素又はアルキル基であり、XがCl又はメチル基である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記シランが、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルチルジエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3、3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、HNCHCHNHCHCHNH(CHSi(OCH、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)−フェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(1−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロフェニルトリメトキシシラン、ビス[(3−トリメトキシシリル)−プロピル]エチレンジアミン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビス−(γ−トリエトキシシリルプロピル)アミン(SILQUEST(登録商標)A−1170)、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、tert−ブチル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)カルバミン酸エステル、ウレイドプロピルトリエトキシシラン及びウレイドプロピルトリメトキシシランからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記シランが、多孔性微粒子の担体又は高表面積担体上に結合されるか、又はポリマーと前処理される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記多孔性微粒子の担体又は前記高表面積担体が、シリカ、酸化チタン(IV)、カーボンブラック、珪藻土及びポリオレフィンから選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記粘着付与剤が部分的若しくは完全に水素化された脂環式石油炭化水素樹脂、部分的若しくは完全に水素化された修飾された芳香族石油炭化水素樹脂、脂肪族−芳香族の石油炭化水素樹脂、d−リモネン及びα−メチルスチレン樹脂から調製したスチレン化テルペン樹脂からなる群から選択される1つ以上の粘着付与剤樹脂を含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項11】
工程(a)において、水分供給源を、第1ポリマー、第2ポリマー、カルボン酸無水物、フリーラジカル発生剤及び粘着付与剤と混合することを更に含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記水分供給源が水である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記水分供給源が無機化合物の水和物を含んでなる、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記無機化合物の水和物が、アルミニウム三水和物、Al(OH)、Mg(OH)、Ca(OH)からなる群から選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記混合が連続工程として行われる、請求項1記載の方法。
【請求項16】
UV安定化剤、酸化防止剤、金属活性低下剤、加工助剤、ワックス、充填材、着色剤及び発泡剤からなる群から選択される1つ以上の成分を更に混合する工程を更に含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記フリーラジカル発生剤が、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、ジイソプロピル過酸化物、ジラウリル過酸化物、ジ−t−ブチル過酸化物、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジクミルパーオキサイド、t−ブチル過酸化水素、t−アミル過酸化水素、クミル過酸化水素、過酸化アセチル、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルペルオキシド)、エチル過酸化ベンゾアート及び2−アゾビス(イソブチロニトリル)からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記混合を、スクリュータイプミキサー−押出機において実施する、請求項1記載の方法。
【請求項19】
請求項1の方法により調製される熱可塑性加硫物。
【請求項20】
請求項1の方法により調製される熱溶融接着剤。

【公表番号】特表2008−537973(P2008−537973A)
【公表日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506543(P2008−506543)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/013091
【国際公開番号】WO2006/113180
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(507267193)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (23)
【Fターム(参考)】