説明

シート供給システム、シート供給装置およびトレイ支持体

【課題】大容量トレイの歪みを抑えることができるシート供給システム、シート供給装置およびトレイ支持体を提供することを目的とする。
【解決手段】シート供給システム(画像形成システム)は、所定枚数のシートを収容可能な第1トレイと、当該第1トレイよりも深く形成されて所定枚数よりも多いシートを収容可能な第2トレイ(大容量トレイ110)と、第1トレイを収容する収容空間を下部に有するとともに当該収容空間を挟むように配置される一対の支持部(本体フレーム21)に設けられる一対の第1レール部R1で第1トレイを着脱可能に支持する装置本体2と、収容空間を第2トレイを収容可能な大きさまで広げるために一対の支持部の下に取り付けられる拡張部材200と、を備える。そして、第2トレイは、一対の第1レール部R1に干渉しないように形成されて拡張部材200に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイ内のシートを送り出すためのシート供給システム、シート供給装置およびトレイ支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シート供給システムとして、小容量トレイと、小容量トレイを収容する収容空間を下部に有するとともに小容量トレイを支持する一対の支持部と、小容量トレイよりも深く形成される大容量トレイと、前記収容空間を大容量トレイを収容可能な大きさまで広げるために一対の支持部の下に設けられる拡張部材とを備えるものが知られている(特許文献1参照)。具体的に、この技術では、小容量トレイと大容量トレイは、一対の支持部に設けられた共通のレールに支持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−61278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の構成であると、大容量トレイの一対の側壁の上部が一対の支持部で支持されるため、大容量トレイに収容されるシートの重みによって各側壁が歪んでしまうおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、大容量トレイの歪みを抑えることができるシート供給システム、シート供給装置およびトレイ支持体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係るシート供給システムは、所定枚数のシートを収容可能な第1トレイと、当該第1トレイよりも深く形成されて前記所定枚数よりも多いシートを収容可能な第2トレイと、前記第1トレイを収容する収容空間を下部に有するとともに当該収容空間を挟むように配置される一対の支持部に設けられる一対の第1レール部で前記第1トレイを着脱可能に支持する装置本体と、前記収容空間を前記第2トレイを収容可能な大きさまで広げるために前記一対の支持部の下に取り付けられる拡張部材と、を備える。
そして、前記第2トレイは、前記一対の第1レール部に干渉しないように形成されて前記拡張部材に支持される。
【0007】
なお、本発明に係るシート供給装置は、前記第2トレイ、前記装置本体および前記拡張部材を備えて構成され、本発明に係るトレイ支持体は、前記装置本体および前記拡張部材を備えて構成される。
【0008】
本発明によれば、装置本体の下側に配置される拡張部材によって第2トレイの下側が支持されるので、第2トレイの上側が支持される構造に比べ、第2トレイの歪みを抑えることができる。また、第2トレイが一対の第1レール部に干渉しないので、例えば第1トレイを支持するレールが第2トレイと干渉してしまうような構造に比べ、レールを取り外す作業が不要となり、第2トレイの組付作業を容易にすることができる。
【0009】
また、本発明では、前記一対の第1レール部は、前記収容空間から離れる方向に凹み、かつ、前記第1トレイの着脱方向に延びて当該第1トレイを支持可能な溝であるのが望ましい。
【0010】
これによれば、第2トレイの側壁を凹ますことなく干渉を防ぐことができるので、第2トレイの構造を簡易化することができる。
【0011】
また、本発明では、前記拡張部材に、前記収容空間側に向けて突出して前記第2トレイの底壁の両端を支持する一対の第2レール部を設けるのが望ましい。
【0012】
これによれば、一対の第2レール部で第2トレイの底壁を支持するので、例えば第2トレイの側壁に突出部を設け、この突出部を拡張部材に形成した溝で支持する構造に比べ、シートの重みで第2トレイの側壁が撓むのを抑えることができる。
【0013】
また、本発明では、前記装置本体に、前記第1トレイに設けた第1位置決め部と当接して当該第1トレイの位置決めを行う本体側位置決め部を設け、前記第2トレイに、前記本体側位置決め部に当接して当該第2トレイの位置決めを行う第2位置決め部を設けるのが望ましい。
【0014】
これによれば、第1トレイと第2トレイに共通の本体側位置決め部を装置本体に設けるので、第1トレイ用の位置決め部と第2トレイ用の位置決め部を装置本体と拡張部材とに別々に設ける形態に比べ、構造を簡易化することができる。また、拡張部材で支持する第2トレイを装置本体に対して正確に位置決めすることができる。
【0015】
また、本発明では、前記装置本体に、前記第1トレイまたは前記第2トレイ内のシートを装置本体内に搬送するためのピックアップローラを設け、前記第1位置決め部、前記第2位置決め部および前記本体側位置決め部を、前記シートの搬送方向において、前記ピックアップローラ側に配置するのが望ましい。
【0016】
これによれば、ピックアップローラの近くに各位置決め部を設けるので、ピックアップローラに対する各トレイの位置精度を向上させることができる。
【0017】
また、本発明では、前記第1トレイに、前記一対の支持部に対向する一対の側壁と、各側壁から外側に突出して前記第1レール部に係合する一対の突出部と、当該第1トレイ内のシートを前記ピックアップローラに向けて付勢する圧板と、当該圧板を駆動するための駆動ギヤとを設け、前記駆動ギヤを、前記一対の側壁のうち一方の側壁の外側に設け、前記一方の側壁に設けられる突出部を、前記駆動ギヤよりも外側に突出するように形成するのが望ましい。
【0018】
これによれば、突出部を駆動ギヤよりも外側に突出させたので、駆動ギヤの回転により生じる力を突出部によって良好に受けることができる。
【0019】
また、本発明では、前記突出部を、前記第1トレイの底壁の延長面上に配置するのが望ましい。
【0020】
これによれば、例えば第1トレイの側壁の上部に突出部を設け、この突出部を装置本体に形成した溝で支持する構造に比べ、第1トレイの底壁に加わるシートの荷重によって一対の側壁が撓むのを抑えることができる。
【0021】
また、本発明では、前記第1レール部を、樹脂で形成された前記支持部に一体に形成するのが望ましい。
【0022】
これによれば、例えば第1レール部と支持部とを別部品とする構造に比べ、コストダウンを図ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、装置本体の下側に配置される拡張部材によって、大容量トレイである第2トレイの下側が支持されるので、第2トレイの歪みを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】小容量の給紙トレイを有するレーザプリンタを示す断面図である。
【図2】大容量トレイを有するレーザプリンタを簡略的に示す説明図(a)と、小容量の給紙トレイを有するレーザプリンタを簡略的に示す説明図(b)である。
【図3】大容量トレイを有するレーザプリンタの下部を示す断面図である。
【図4】左側の各レール部を示す分解斜視図である。
【図5】右側の各レール部を示す分解斜視図である。
【図6】給紙トレイを示す斜視図である。
【図7】大容量トレイを示す斜視図である。
【図8】トレイ支持体に給紙トレイを装着した状態を示す正面図である。
【図9】トレイ支持体に大容量トレイを装着した状態を示す正面図である。
【図10】第1圧板と第2圧板の長さの関係を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<レーザプリンタの全体構成>
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、一般的なレーザプリンタの全体構成を説明した後、本発明に係るシート供給装置の一例としてのレーザプリンタについて詳細に説明することとする。
【0026】
以下の説明において、方向は、レーザプリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前側(手前側)」、紙面に向かって左側を「後側(奥側)」とし、紙面に向かって奥側を「右側」、紙面に向かって手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0027】
図1に示すように、レーザプリンタ1は、装置本体2と、シートの一例としての用紙Pを画像形成部4に給紙するためのフィーダ部3と、用紙Pに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
【0028】
装置本体2は、左右一対の支持部の一例としての本体フレーム21と、各本体フレーム21の上部を連結する上パネル22と、各本体フレーム21に対して回動可能に設けられるフロントカバー23とを備えている。上パネル22には、装置本体2外に排出される用紙Pを載置するための排紙トレイ22Aが形成されている。
【0029】
フィーダ部3は、装置本体2内の下部に設けられ、前側から着脱可能に装着される第1トレイの一例としての給紙トレイ31と、給紙トレイ31内に設けられた第1圧板32とを備えている。また、フィーダ部3は、給紙トレイ31内に積載される用紙Pの前端部の上方に設けられるピックアップローラ33と、ピックアップローラ33に対して用紙Pの搬送方向下流側に設けられる分離ローラ34および分離パッド35とを備えている。なお、ピックアップローラ33および分離ローラ34は、ひとつの部材(符号略)に支持され、それぞれ回転可能に設けられている。
【0030】
また、ピックアップローラ33は、分離ローラ34を中心として回動可能に設けられている。そして、第1圧板32は、給紙トレイ31内の用紙Pをピックアップローラ33に向けて付勢するために、後端32Aが給紙トレイ31の底壁に回動可能に支持されて前端32Bが上下動するように構成されている。さらに、フィーダ部3は、分離ローラ34の搬送方向下流側に設けられる紙粉取りローラ36Aと、紙粉取りローラ36Aに対向する搬送ローラ36Bと、紙粉取りローラ36Aの搬送方向下流側に設けられる一対のレジストローラ37とを備えている。
【0031】
また、給紙トレイ31は、各本体フレーム21によって前後方向に着脱可能に支持されている。なお、ピックアップローラ33、分離ローラ34および搬送ローラ36Bは、装置本体2に保持されているが、分離パッド35および紙粉取りローラ36Aは、給紙トレイ31に保持されている。そのため、給紙トレイ31を取り外したときには、分離ローラ34と分離パッド35との間のニップ、および、紙粉取りローラ36Aと搬送ローラ36Bとの間のニップが開放される。
【0032】
そして、このように構成されるフィーダ部3では、給紙トレイ31内の用紙Pが、第1圧板32が回動することによってピックアップローラ33に付勢され、このピックアップローラ33で送り出されて分離ローラ34および分離パッド35で分離される。その後、用紙Pは、各種ローラ36,37を通った後一枚ずつ画像形成部4に搬送される。
【0033】
画像形成部4は、スキャナユニット5と、プロセスカートリッジ6と、定着装置7とを備えている。
【0034】
スキャナユニット5は、装置本体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部と、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。このスキャナユニット5では、レーザビームを、後述する感光ドラム61の表面上に高速走査にて照射する。
【0035】
プロセスカートリッジ6は、フロントカバー23の開放により形成される開口を通して装置本体2に着脱可能であり、感光ドラム61と、転写ローラ62と、符号を省略して示す帯電器、現像ローラ、層厚規制ブレードおよびトナー収容室とを備えている。
【0036】
このプロセスカートリッジ6では、回転する感光ドラム61の表面が、帯電器により一様に帯電された後、スキャナユニット5からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、感光ドラム61の表面に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0037】
次いで、トナー収容室内のトナーが現像ローラによって感光ドラム61の静電潜像に供給されて、感光ドラム61の表面上にトナー像が形成される。その後、感光ドラム61と転写ローラ62の間で用紙Pが搬送されることで、感光ドラム61上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0038】
定着装置7は、符号を省略して示すハロゲンヒータや定着フィルムやニップ板などを備えた加熱ユニット71と、加熱ユニット71のニップ板との間で定着フィルムを挟持する加圧ローラ72とを備えている。そして、このように構成される定着装置7では、用紙P上に転写されたトナーを、用紙Pが加熱ユニット71と加圧ローラ72との間を通過する間に熱定着している。
【0039】
なお、定着装置7で熱定着された用紙Pは、定着装置7の下流側に配設される排紙ローラRに搬送され、この排紙ローラRから排紙トレイ22A上に排出される。
【0040】
<本発明に係るレーザプリンタ>
図2(a)に簡略的に示すように、本発明に係るシート供給装置の一例としてのレーザプリンタ100は、前述したレーザプリンタ1(図2(b)参照)の給紙トレイ31の代わりに当該給紙トレイ31よりも大きな第2トレイの一例としての大容量トレイ110を設けるために、一対の本体フレーム21の下に一対の拡張部材200を設けた構造となっている。すなわち、一対の本体フレーム21の下部の間に形成される給紙トレイ31の収容空間を大容量トレイ110を収容可能な大きさまで広げるために、一対の本体フレーム21の下に一対の拡張部材200を取り付けている。
【0041】
言い換えると、レーザプリンタ100は、大容量トレイ110と、大容量トレイ110の上部を挟んで対向する一対の樹脂製の本体フレーム21と、大容量トレイ110の下部を挟んで対向する一対の樹脂製の拡張部材200と、を備えている。なお、レーザプリンタ100は、前述したレーザプリンタ1の給紙トレイ31以外の構造(画像形成部4やピックアップローラ33等)も備えている。
【0042】
一対の拡張部材200は、前後方向に延びる部材であり、前後方向(大容量トレイ110の着脱方向)に間隔を開けて設けられる2つのアンダーバー210(図4参照)によって連結された状態で、一対の本体フレーム21に取り付けられている。すなわち、この一対の拡張部材200と一対の本体フレーム21によって、大容量トレイ110を支持するためのトレイ支持体が構成されている。
【0043】
大容量トレイ110は、前述した給紙トレイ31(図2(b)参照)よりも深く形成され、当該給紙トレイ31に収容される所定枚数の用紙Pよりも多くの用紙Pを収容可能となっており、拡張部材200に前後方向に移動可能(着脱可能)支持されている。これにより、本体フレーム21の下側に配置される拡張部材200によって大容量トレイ110の下側が支持されるので、例えば大容量トレイの上側が支持される構造に比べ、大容量トレイ110の歪みを抑えることが可能となっている。
【0044】
大容量トレイ110には、図3に示すように、前述した給紙トレイ31に設けた第1圧板32、分離パッド35および紙粉取りローラ36Aと略同様の構成となる第2圧板132、分離パッド135および紙粉取りローラ136Aが設けられている。なお、図3において、図1と同様の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。また、図1および図3においては、便宜上、圧板32,132の動作前後の状態を両方とも図示するものとする。
【0045】
このような構成にすることで、給紙トレイ31を使用する場合と、大容量トレイ110を使用する場合とで、本体フレーム21を共通化することが可能となる。つまり、一般的に使用される給紙トレイ31(例えば、積載最大枚数250枚)用のレーザプリンタ1の需要があるときは、本体フレーム21のみ使用し、大容量トレイ110用(例えば、積載最大枚数500枚)のレーザプリンタ100の需要があるときは、本体フレーム21と拡張部材200とを組み合わせれば良い。
【0046】
言い換えると、給紙トレイ31と、大容量トレイ110と、一対の本体フレーム21を有する装置本体2と、拡張部材200とで、シート供給システムの一例としての画像形成システムが構成されている。そして、作業者は、この画像形成システムを用いて、小容量の給紙トレイ31用のレーザプリンタ1と、大容量トレイ110用のレーザプリンタ100とを選択的に製造することが可能となっている。
【0047】
図4および図5に示すように、一対の本体フレーム21には、給紙トレイ31を前後方向に移動可能(着脱可能)に支持する一対の第1レール部R1が設けられ、一対の拡張部材200には、大容量トレイ110を前後方向に移動可能に支持する一対の第2レール部R2が設けられている。そして、拡張部材200で支持される大容量トレイ110は、一対の第1レール部R1に干渉しないように形成されている。
【0048】
具体的には、大容量トレイ110には、後述する溝状の第1レール部R1内に入り込んで当該第1レール部R1の一端から他端に向けて移動するような部分が一切設けられないようになっている。これにより、例えば給紙トレイを支持するレールが大容量トレイと干渉してしまうような構造に比べ、レールを取り外す作業が不要となるので、大容量トレイ110の組付作業を容易にすることが可能となっている。
【0049】
第1レール部R1は、左右方向外側(給紙トレイ31の収容空間から離れる方向)に凹み、かつ、前後方向(給紙トレイ31の着脱方向)に延びて給紙トレイ31を支持可能な溝状に形成されている。このように第1レール部R1が溝状に形成されることで、大容量トレイ110の側壁111(図7参照)を凹ますことなく干渉を防ぐことができるので、大容量トレイ110の構造を簡易化することが可能となっている。
【0050】
また、第1レール部R1は、樹脂で形成された本体フレーム21に一体に形成されている。これにより、例えば第1レール部と本体フレームとを別部品とする構造に比べ、コストダウンを図ることが可能となっている。
【0051】
第2レール部R2は、拡張部材200の下端から左右方向内側(収容空間側)に向けて突出して、大容量トレイ110の底壁112(図7および図9参照)の左右両端を支持するように構成されている。これにより、一対の第2レール部R2で大容量トレイ110の底壁112を支持するので、例えば大容量トレイの側壁に突出部を設け、この突出部を拡張部材に形成した溝で支持する構造に比べ、用紙Pの重みで大容量トレイ110の側壁111が撓むのを抑えることが可能となっている。
【0052】
また、図5に示すように、第1レール部R1の前端部R11は、前側に向かうにつれて上下方向に広がるように形成されている。これにより、給紙トレイ31の後述する突出部312を第1レール部R1内に差し込みやすくなっている。
【0053】
そして、第1レール部R1の前端部R11の底面には、左右方向外側に凹む本体側位置決め部213が形成されている。本体側位置決め部213は、左右の本体フレーム21に設けられ、給紙トレイ31に設けた左右一対の第1位置決め部313または大容量トレイ110に設けた左右一対の第2位置決め部113と当接することで、給紙トレイ31または大容量トレイ110の前側部分の上下左右の位置決めを行うようになっている。
【0054】
具体的に、給紙トレイ31の第1位置決め部313は、給紙トレイ31の下端から所定距離(第1レール部R1の下面から本体側位置決め部213までの距離)だけ離れた位置に設けられている。大容量トレイ110の第2位置決め部113は、大容量トレイ110の下端から前記所定距離よりも大きな距離(第2レール部R2の下面から本体側位置決め部213までの距離)だけ離れた位置に設けられている。
【0055】
これによれば、給紙トレイ31と大容量トレイ110に共通の本体側位置決め部213を装置本体2に設けるので、給紙トレイ用の位置決め部と大容量トレイ用の位置決め部を装置本体と拡張部材とに別々に設ける形態に比べ、構造を簡易化することが可能となっている。また、拡張部材200で支持する大容量トレイ110を装置本体2に対して位置決めするので、大容量トレイ110に設けた第2圧板132、分離パッド135および紙粉取りローラ136Aを、装置本体2に設けた相手部品に正確に合わせることが可能となっている。
【0056】
そして、第1位置決め部313、第2位置決め部113および本体側位置決め部213は、前後方向(シートの搬送方向)において、ピックアップローラ33(図1参照)側に配置されている。これにより、ピックアップローラ33の近くに各位置決め部313,113,213が設けられるので、ピックアップローラ33に対する各トレイ31,110の位置精度をより向上させることが可能となっている。
【0057】
図6に示すように、給紙トレイ31には、一対の本体フレーム21に対向する一対の側壁311(一方のみ図示)と、各側壁311から左右方向外側に突出して第1レール部R1に係合する一対の突出部312と、前述した第1圧板32を駆動するための第1駆動機構410とが設けられている。
【0058】
突出部312は、側壁311の下端部から左右方向に突出するように形成されることで、給紙トレイ31の底壁314の延長面上に配置されている。これにより、例えば給紙トレイの側壁の上部に突出部を設け、この突出部を装置本体に形成した溝で支持する構造に比べ、給紙トレイ31の底壁314に加わる用紙Pの荷重によって一対の側壁311が撓むのを抑えることが可能となっている。
【0059】
また、左側の側壁311に設けられる突出部312は、第1駆動機構410の後述する駆動ギヤ411よりも左右方向外側に突出するように形成されている。このように突出部312を駆動ギヤ411よりも外側に突出させたので、駆動ギヤ411の回転により生じる力を突出部312によって良好に受けることが可能となっている。
【0060】
第1駆動機構410は、駆動ギヤ411と、第1押圧部材412(図1参照)と、第1扇型部材413と、中間ギヤ414とを備えている。
【0061】
駆動ギヤ411は、装置本体2に設けられる公知の圧板上昇機構から駆動力が入力されるギヤであり、左側の側壁311の外側に回転可能に設けられている。ここで、圧板上昇機構は、装置本体2に設けられるモータによって駆動する機構であり、例えば駆動ギヤ411に間欠的に駆動力を伝達する機構を採用することができる。
【0062】
具体的には、例えば、第1圧板32上の用紙Pがピックアップローラ33によって所定枚数(例えば5枚)搬送されるまでの間、駆動ギヤ411に駆動力を伝達せず、所定枚数搬送されたときに、駆動ギヤ411に駆動力を所定時間だけ伝達することで、駆動ギヤ411を所定回数だけ回転させて、所定枚数分だけ第1圧板32を上昇させる機構を採用することができる。
【0063】
第1押圧部材412は、給紙トレイ31の底壁に一端が回動可能に支持されており、他端で第1圧板32を上方に押し上げるように構成されている。
【0064】
第1扇型部材413は、第1押圧部材412の左端部に設けられ、当該第1押圧部材412と一体に回動するように構成されている。第1扇型部材413の外周面には、ギヤが形成されており、当該ギヤが中間ギヤ414に噛み合うようになっている。
【0065】
中間ギヤ414は、駆動ギヤ411と第1扇型部材413との間に設けられ、駆動ギヤ411からの駆動力を第1扇型部材413に伝達するようになっている。
【0066】
そして、前述した駆動ギヤ411、第1扇型部材413および中間ギヤ414は、前後方向において第1位置決め部313と突出部312との間に設けられ、これらの第1位置決め部313と突出部312は、駆動ギヤ411、第1扇型部材413および中間ギヤ414よりも左右方向外側に突出している。これにより、給紙トレイ31を取り外して床等に置く際に、給紙トレイ31が斜めになって左側の側壁311が床等に干渉した場合であっても、突出部312等によって駆動ギヤ411等が保護されるようになっている。
【0067】
図3および図7に示すように、大容量トレイ110には、当該大容量トレイ110内の用紙Pをピックアップローラ33に向けて付勢する第2圧板132と、当該第2圧板132を駆動するための第2駆動機構420とが設けられている。
【0068】
第2圧板132は、第1圧板32と同様に、その後端132Aが底壁112に回動可能に支持されて前端132Bが上下動するように構成されている。そして、この第2圧板132は、第1圧板32よりも用紙Pの搬送方向に長く形成されている。
【0069】
このように第2圧板132を第1圧板32よりも長く形成することで、第2圧板132の最大角度を第1圧板32の最大角度に近づけることが可能になるので、第2圧板132とピックアップローラ33の間から排出される用紙Pの先端が上に向きすぎるのを抑えることができ、用紙Pの供給を良好に行うことが可能となっている。
【0070】
詳しくは、図10(a),(b)に簡略的に示すように、第1圧板32の長さL1に対する給紙トレイ31の底面31Aからピックアップローラ33までの高さH1の比(L1:H1)と、第2圧板132の長さL2に対する大容量トレイ110の底面110Aからピックアップローラ33までの高さH2の比(L2:H2)が同じになるように構成されている。言い換えると、第1圧板32が底面31Aに対して最大に傾いたときの角度θ1と、第2圧板132が底面110Aに対して最大に傾いたときの角度θ2が同じになるように構成されている。
【0071】
これにより、各トレイ31,110内に最後に残った用紙Pのピックアップローラ33に対する角度を、各トレイ31,110で同じ角度にすることができるので、用紙Pの供給をより良好に行うことが可能となっている。
【0072】
図3および図7に示すように、第2駆動機構420は、第1駆動機構410と略同様の構造となる駆動ギヤ421および中間ギヤ424を備える他、第1駆動機構410とは異なる第2押圧部材422および第2扇型部材423を備えている。そして、この第2駆動機構420は、第2圧板132の前端132Bの上昇速度が、第1駆動機構410で駆動される第1圧板32の前端32Bの上昇速度と同じになるように構成されている。
【0073】
具体的には、第2押圧部材422は、その長さ(回動中心から揺動する先端までの長さ)が、第1押圧部材412よりも長く形成され、第2扇型部材423は、第1扇型部材413よりも半径が大きくなるように形成されている。これにより、第2圧板132の角速度が第1圧板32の角速度よりも遅くなるので、長さの異なる各圧板32,132の前端32B,132Bの上昇速度を同じにすることが可能となっている。
【0074】
このように各圧板32,132の前端32B,132Bの上昇速度を同じにすることで、トレイの種類に応じて各駆動機構410,420の制御を切り替える必要がないので、トレイの種類を検知するセンサなどが不要となり、装置本体2の構成を簡易化することが可能となっている。言い換えると、駆動ギヤ411,421の回転回数に対する各圧板32,132の前端32B,132Bの上昇量を同じにすることができるので、例えば、前述した公知の圧板上昇機構からの駆動力を駆動ギヤ411,421に伝達する時間をトレイの種類によって切り替える制御を行う必要がなく、装置本体2の構成を簡易化することができる。
【0075】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、第1レール部R1を溝状、第2レール部R2を凸状としたが、本発明はこれに限定されず、凹凸関係は適宜逆にしてもよい。
【0076】
前記実施形態では、シートの一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Pを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートや他のシートであってもよい。
【0077】
前記実施形態では、シート供給システム、シート供給装置およびトレイ支持体として画像形成システム、画像形成装置および画像形成装置の装置本体を採用したが、本発明はこれに限定されず、シートを搬送するためのシステムや装置等であれば、どのようなものにも本発明を適用することができる。なお、画像形成装置としては、レーザプリンタ100に限らず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0078】
2 装置本体
21 本体フレーム
31 給紙トレイ
100 レーザプリンタ
110 大容量トレイ
200 拡張部材
P 用紙
R 排紙ローラ
R1 第1レール部
R2 第2レール部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定枚数のシートを収容可能な第1トレイと、当該第1トレイよりも深く形成されて前記所定枚数よりも多いシートを収容可能な第2トレイと、前記第1トレイを収容する収容空間を下部に有するとともに当該収容空間を挟むように配置される一対の支持部に設けられる一対の第1レール部で前記第1トレイを着脱可能に支持する装置本体と、前記収容空間を前記第2トレイを収容可能な大きさまで広げるために前記一対の支持部の下に取り付けられる拡張部材と、を備えるシート供給システムであって、
前記第2トレイは、前記一対の第1レール部に干渉しないように形成されて前記拡張部材に支持されることを特徴とするシート供給システム。
【請求項2】
前記一対の第1レール部は、前記収容空間から離れる方向に凹み、かつ、前記第1トレイの着脱方向に延びて当該第1トレイを支持可能な溝であることを特徴とする請求項1に記載のシート供給システム。
【請求項3】
前記拡張部材には、前記収容空間側に向けて突出して前記第2トレイの底壁の両端を支持する一対の第2レール部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のシート供給システム。
【請求項4】
前記装置本体には、前記第1トレイに設けた第1位置決め部と当接して当該第1トレイの位置決めを行う本体側位置決め部が設けられ、
前記第2トレイには、前記本体側位置決め部に当接して当該第2トレイの位置決めを行う第2位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のシート供給システム。
【請求項5】
前記装置本体には、前記第1トレイまたは前記第2トレイ内のシートを装置本体内に搬送するためのピックアップローラが設けられ、
前記第1位置決め部、前記第2位置決め部および前記本体側位置決め部が、前記シートの搬送方向において、前記ピックアップローラ側に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のシート供給システム。
【請求項6】
前記第1トレイには、前記一対の支持部に対向する一対の側壁と、各側壁から外側に突出して前記第1レール部に係合する一対の突出部と、当該第1トレイ内のシートを前記ピックアップローラに向けて付勢する圧板と、当該圧板を駆動するための駆動ギヤとが設けられ、
前記駆動ギヤは、前記一対の側壁のうち一方の側壁の外側に設けられ、
前記一方の側壁に設けられる突出部が、前記駆動ギヤよりも外側に突出するように形成されていることを特徴とする請求項5に記載のシート供給システム。
【請求項7】
前記突出部は、前記第1トレイの底壁の延長面上に配置されていることを特徴とする請求項6に記載のシート供給システム。
【請求項8】
前記第1レール部は、樹脂で形成された前記支持部に一体に形成されていることを特徴とする請求項2〜請求項7のいずれか1項に記載のシート供給システム。
【請求項9】
所定枚数のシートを収容可能な第1トレイを移動可能に支持する一対の第1レール部を有し、かつ、前記第1トレイに対応した収容空間を下部に有するとともに当該収容空間を挟むように配置される一対の支持部を有する装置本体と、前記第1トレイよりも深く形成されて前記所定枚数よりも多いシートを収容可能な第2トレイと、前記収容空間を前記第2トレイを収容可能な大きさまで広げるために前記一対の支持部の下に取り付けられる拡張部材と、を備えるシート供給装置であって、
前記第2トレイは、前記一対の第1レール部に干渉しないように形成されて前記拡張部材に支持されることを特徴とするシート供給装置。
【請求項10】
前記一対の第1レール部は、前記収容空間から離れる方向に凹み、かつ、前記第1トレイの着脱方向に延びて当該第1トレイを支持可能な溝であることを特徴とする請求項9に記載のシート供給装置。
【請求項11】
前記拡張部材には、前記収容空間側に向けて突出して前記第2トレイの底壁の両端を支持する一対の第2レール部が設けられていることを特徴とする請求項10に記載のシート供給装置。
【請求項12】
前記装置本体には、前記第1トレイに設けた第1位置決め部と当接して当該第1トレイの位置決めを行う本体側位置決め部が設けられ、
前記第2トレイには、前記本体側位置決め部に当接して当該第2トレイの位置決めを行う第2位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項10または請求項11に記載のシート供給装置。
【請求項13】
前記装置本体には、前記第2トレイ内のシートを装置本体内に搬送するためのピックアップローラが設けられ、
前記第2位置決め部および前記本体側位置決め部が、前記シートの搬送方向において、前記ピックアップローラ側に配置されていることを特徴とする請求項12に記載のシート供給装置。
【請求項14】
前記第1レール部は、樹脂で形成された前記支持部に一体に形成されていることを特徴とする請求項10〜請求項13のいずれか1項に記載のシート供給装置。
【請求項15】
所定枚数のシートを収容可能な第1トレイを移動可能に支持する一対の第1レール部を有し、かつ、前記第1トレイに対応した収容空間を下部に有するとともに当該収容空間を挟むように配置される一対の支持部を有する装置本体と、前記一対の支持部の下に取り付けられ、かつ、前記第1トレイよりも深く形成されて前記所定枚数よりも多いシートを収容可能な第2トレイが収容可能になるように前記収容空間を広げる拡張部材と、を備えるトレイ支持体であって、
前記一対の第1レール部は、前記第2トレイに干渉しないように形成され、
前記拡張部材が、前記第2トレイを支持可能に構成されていることを特徴とするトレイ支持体。
【請求項16】
前記一対の第1レール部は、前記収容空間から離れる方向に凹み、かつ、前記第1トレイの着脱方向に延びて当該第1トレイを支持可能な溝であることを特徴とする請求項15に記載のトレイ支持体。
【請求項17】
前記拡張部材には、前記収容空間側に向けて突出して前記第2トレイの底壁の両端を支持する一対の第2レール部が設けられていることを特徴とする請求項16に記載のトレイ支持体。
【請求項18】
前記装置本体には、前記第1トレイに設けた第1位置決め部と前記第2トレイに設けた第2位置決め部の両方に当接可能な本体側位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項16または請求項17に記載のトレイ支持体。
【請求項19】
前記装置本体には、前記第1トレイまたは前記第2トレイ内のシートを装置本体内に搬送するためのピックアップローラが設けられ、
前記本体側位置決め部が、前記シートの搬送方向において、前記ピックアップローラ側に配置されていることを特徴とする請求項18に記載のトレイ支持体。
【請求項20】
前記第1レール部は、樹脂で形成された前記支持部に一体に形成されていることを特徴とする請求項16〜請求項19のいずれか1項に記載のトレイ支持体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−10610(P2013−10610A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144555(P2011−144555)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】