説明

シート切断方法及びマウント方法

【課題】 ウエハ等の板状部材にシートを貼り付けて板状部材の外周に沿ってシートを切断する際に、板状部材を損傷させることなくシートを切断する方法及びウエハのマウント方法を提供すること。
【解決手段】 極薄化された半導体ウエハWの裏面側に、当該半導体ウエハWの平面形状よりも大きい平面形状を備えた接着シートSを貼付した状態で、外周カット用テーブルに半導体ウエハWを載せて吸着支持させておく。この状態で、半導体ウエハWの外周縁よりも0.1mm〜1mmのシートはみ出し量を確保した状態で当該シートSの外周をカッターで切断する。シートSが貼付されたウエハWは、マウントテーブルに移載されてリングフレームRFにマウントされ、その際に、はみ出したシート部分の逃げ代を無くしてダイシングテープDTに貼付される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート切断方法及びマウント方法に係り、特に、感熱接着性のシートを半導体ウエハ等の板状部材に貼付した後に、当該シートの外周を板状部材の外周に沿って切断する方法と、シートが貼付された半導体ウエハをリングフレームにマウントする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路面が形成された半導体ウエハ(以下、単に、「ウエハ」と称する)をチップに個片化した後、各チップをピックアップしてリードフレームに接着(ダイボンディング)することが行われている。このダイボンディングは、ウエハ処理工程において、ダイボンディング用感熱接着性のシートを貼付することにより行うことができる。
【0003】
特許文献1には、ウエハの上面側にダイボンディング用の感熱接着性のシートを供給して当該シートをウエハに接着し、このシートをウエハの外周縁に沿ってカッターで切断する方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−257898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたシート切断方法にあっては、前記シートがウエハの外周縁に沿って切断されるものであり、この切断を行ったときに、板状部材の外周縁よりも外側にシートがはみ出る状態で切断を行う手法を積極的に採用してはいない。そのため、ウエハを支持するテーブルに対する当該ウエハの位置決め誤差が生じたときに、カッターがウエハ外周縁に沿って相対回転したときに、ウエハの外縁領域を損傷させてしまう、という不都合を招来する。特に、近時のウエハは、バックグラインド工程において、数十μmオーダーで裏面研削が行われているため、かかる不都合は一層顕著なものとなり、損傷に伴う無駄な経済的負担が強いられるという不都合がある。
【0006】
ところで、ダイボンディング用のシートが貼付された後のウエハはダイシング工程を経て個片化されることになるが、当該ダイシングを行う前の段階でダイシングテープを介してリングフレームにウエハをマウントする工程を経ることになる。このマウントを行うためのマウントテーブルは、ウエハを支持するウエハと略同形状の中央隆起部と、当該中央隆起部を囲むように設けられて前記リングフレームを支持する外側隆起部とを備えた構成とされている。すなわち、マウントテーブルは、中央隆起部と外側隆起部との間に凹状の空間を備え、これにより、マウントテーブルに対するダイシングテープの接着が回避されるように構成されている。従って、ウエハの外周縁より外側にはみ出る状態でシートを切断したものを対象としてダイシングテープに貼付圧力を付与すると、ウエハ外周縁からはみ出たシート部分が凹状の空間内に逃げて当該シート部分がダイシングテープに貼付されないこととなる。そのため、ダイシングカッターでウエハをカットするときに、貼付されていないシート部分がダイシングカッターに巻き込まれ、これがウエハを損傷させる原因となる。
【0007】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、ウエハ等の板状部材にシートを貼り付けて板状部材の外周に沿ってシートを切断する際に、板状部材を損傷させることのないシート切断方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、ウエハ外周縁からシートがはみ出た状態でリングフレームにマウントする場合に、当該はみ出たシート部分をダイシングテープに確実に貼付することができるマウント方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、板状部材の平面形状よりも大きい平面形状を有するシートを前記板状部材に貼付した後に、前記シートを板状部材の外周縁に沿って切断する方法において、
前記切断は、前記シートが前記板状部材の外周縁より所定量はみ出した状態で行われる、という方法を採っている。
【0010】
前記シート貼付方法において、前記切断後のシートの外縁は、前記板状部材の外縁に対して0.1mm〜1mmの範囲で外側に位置するように設けることが好ましい。
0.1mm未満では、板状部材とカッターとの位置的な誤差によってカッターが板状部材の外縁に触れる可能性があり、また、1mmを越えると、板状部材のその後の処理等に支障をきたすためである。
【0011】
前記シート貼付方法に適用される板状部材は半導体ウエハを対象とすることができる。
【0012】
また、前記板状部材はバックグラインドされた半導体ウエハを対象とすることもできる。
【0013】
更に、シート貼付方法におけるシートは感熱接着性のシートが用いられる。
【0014】
また、本発明に係るシート切断方法は、バックグラインド工程を経て極薄化された略円形の半導体ウエハを貼付テーブルに支持する工程と、
前記半導体ウエハの直径よりも大きい幅を有する帯状の感熱接着性のシートを繰り出して当該シートの幅方向両側と繰出方向の前後が半導体ウエハの外周縁よりも外側にはみ出る状態で貼付する工程と、
前記シートの繰り出し方向下流側を幅方向に切断する工程と、
前記シートが貼付されたウエハを外周カット用テーブルに移載する工程と、
前記半導体ウエハの外周縁よりも0.1mm〜1mmのシートはみ出し量を確保した状態で当該シートの外周を切断する工程とからなる、という方法を採ることができる。
【0015】
更に、本発明は、半導体ウエハよりも大きな平面積を有する感熱接着性のシートを前記半導体ウエハに貼付した後に、当該半導体ウエハの外周縁から所定量のはみ出し量となる状態に前記シートの外周を切断し、
次いで、マウントテーブルに支持されたリングフレームの内側に前記半導体ウエハを移載した状態でダイシングテープを介してリングフレームと一体化するマウント方法であって、
前記ウエハを支持するとともに前記シートの大きさに略対応する大きさに設けられた中央隆起部と、当該中央隆起部の回りに設けられて前記リングフレームを支持する外側隆起部を含むマウントテーブルと、前記ダイシングテープをリングフレームとシートに押圧して貼り付ける押圧ロールとを用い、
前記押圧ロールがダイシングテープ上を回転して貼付圧力を付与したときに、前記中央隆起部の外周側により前記ウエハ外周縁からはみ出したシート部分の逃げ代を無くして当該シート部分がダイシングテープに貼付される、という方法を採っている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シートの外周縁が板状部材の外周縁よりも外側に位置する状態で切断が行われるものであるため、カッターが板状部材の外周縁に接触して当該板状部材を損傷させてしまうリスクを回避できるようになる。
また、シートの外周縁が板状部材の外周縁からはみ出る量が0.1mm〜1mmであるため、板状部材の損傷を回避するに十分な量である一方、はみ出し量が板状部材の後処理に際して不都合をもたらすこともない、という利点を得る。かかる利点は、板状部材がウエハ、特に、バックグラインドされて厚みが数十μmオーダーとされた極薄ウエハであるときに顕著に発現することとなる。
更に、帯状をなすシートを板状部材に順次供給してこれを貼り付けて切断する方法によれば、予め板状部材の大きさに形成されたシートの形成を行う必要性を無くすことができる。しかも、板状部材の大きさに合わせてシートを形成した場合においては、前述したはみ出し量で貼り付ける場合の精度維持が非常に難しくなる不都合も回避可能となる。
【0017】
また、本発明のマウント方法によれば、中央隆起部がシートの大きさに略対応した大きさとされているため、押圧ロールの貼付圧力が作用したときに、はみ出したシート部分の逃げ代が実質的になくなり、これによって当該シート部分をダイシングテープに確実に貼付させることができる。そのため、ダイシングカッターでウエハを個片化する際に、ウエハに割れ等の損傷を与えるという不都合も回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1には、本実施形態に係るシート切断方法とマウント方法が適用されたウエハ処理装置の概略平面図が示され、図2には、ウエハ処理工程を経時的に説明するための概略断面図が示されている。これらの図において、ウエハ処理装置10は、UV硬化型保護テープPT(図2参照)が回路面をなす表面に貼付されたウエハW(板状部材)を対象とし、ウエハWの裏面にダイボンディング用感熱接着性のシートSを貼付した後に、ダイシングテープDTを介してリングフレームRFにウエハWをマウントする一連の工程を処理する装置として構成されている。
【0020】
前記ウエハ処理装置10は、図1に示されるように、ウエハWを収容するカセット11から取り出されたウエハWを吸着保持するロボット12と、前記保護テープPTにUV照射を行うUV照射ユニット13と、ウエハWの位置決めを行うアライメント装置14と、アライメント処理されたウエハWの裏面に前記シートS(図2参照)を貼付する貼付装置15と、シートSが貼付された後のウエハWにダイシングテープDTを貼付してウエハWをリングフレームRFにマウントするマウント装置17と、前記保護テープPTを剥離するテープ剥離装置18と、保護テープPTが剥離されたウエハWを収納するストッカ19とを備えて構成されている。
【0021】
ここで、前記ロボット12,UV照射ユニット13,アライメント装置14、テープ剥離装置18及びストッカ19は、本出願人によって既に出願された特願2004−119567号と同一の構造であり、また、本発明の要旨ではないので、それらについての詳細な説明は省略するものとし、以下においては、前記貼付装置15及びマウント装置17について説明する。
【0022】
前記貼付装置15は、図3ないし図5に示されるように、ウエハWを支持する貼付テーブル40と、この貼付テーブル40に吸着されたウエハWの裏面側(上面側)に前記シートSを仮着する貼付ユニット41と、シートSをウエハW毎に幅方向に切断する切断手段43と、貼付テーブル40からウエハWを吸着して移載する移載装置45と、当該移載装置45を介して移載されるウエハWを吸着支持するとともにウエハWの外周からはみ出ている不要シート部分S1(図4参照)を切断手段43で切断するための外周カット用テーブル47と、当該外周カット用テーブル47に併設されるとともに、仮着されたシートSをウエハWに完全に接着するための接着用テーブル48と、前記不要シート部分S1を回収する回収装置50とを備えて構成されている。
【0023】
前記貼付テーブル40は、図4に示されるように、上面側が吸着面として形成されているとともに、シートSを一定程度に溶融してウエハWに仮着を行うことのできる第1の温度、本実施形態では、略110℃に保たれるヒータ内蔵型となっている。この貼付テーブル40は、移動装置52を介して前工程からウエハWを受け取り可能な位置と、前記貼付ユニット41の下部領域を通過して外周カット用テーブル47の上方に達する位置との間を往復移動可能に設けられているとともに、昇降装置53を介して上下に昇降可能に設けられている。移動装置52は、一対のレール54,54と、これらレール54に案内されて当該レール54上を移動するスライドプレート55と、このスライドプレート55に固定されたブラケット57に螺合する状態で貫通するボールスプライン軸58と、当該ボールスプライン軸58を回転駆動するモータM(図1参照)とを備えて構成されている。ここで、モータMは、図示しないフレームに固定されている一方、他端側は軸受60に回転可能に支持されている。従って、モータMの正逆回転駆動により貼付テーブル40がレール54に沿って図1中左右方向(X方向)に往復移動することとなる。また、昇降装置53は、貼付テーブル40の下面中央部に配置された上下動機構62と、前記スライドプレート55上に固定されたガイドブロック63と、このガイドブロック63に沿って昇降可能な四本の脚部材64とにより構成され、前記上下動機構62が上下方向に沿って進退することにより、貼付テーブル40が昇降して前工程からウエハWを受け取ることが可能になっている。
【0024】
前記貼付テーブル40の上面には、貼付ユニット41から繰り出される帯状のシートSを幅方向に切断するためのカッター受け溝40Aが形成されているとともに、貼付テーブル40の移動方向に沿う両側面の上部には、連動機構を構成するラック65と、当該ラック65の外側面に取り付けられたガイドバー67が設けられている。
【0025】
前記貼付ユニット41は、図5及び図6に示されるように、貼付テーブル40の上方に配置された板状のフレームFの領域内に設けられている。この貼付ユニット41は、ロール状に巻回された感熱接着性のシートSを供給可能に支持する支持ロール70と、シートSに繰り出し力を付与するドライブロール71及びピンチロール72と、シートSに積層された剥離シートPSを巻き取る巻取ロール73と、支持ロール70とピンチロール72との間に配置された二つのガイドロール74,74及びこれらガイドロール74,74間に設けられたダンサロール75と、剥離シートPSが剥離されたシートSのリード端領域を貼付テーブル40の上面に押圧してこれを挟み込む押圧部材76と、シートSをウエハWの裏面側(図5中上面側)に順次押し付けて仮着するプレスロール78と、シートSの繰り出し方向において、プレスロール78の直前位置に配置されたテンションロール79及びガイドロール80とを備えて構成されている。なお、プレスロール78はヒーターが内蔵されている。また、押圧部材76の下面側は吸着部を有し、前記シートSの端部を吸着保持するようになっている。
【0026】
前記ドライブロール71及び巻取ロール73は、フレームFの背面側に設けられたモータM1,M2によってそれぞれ回転駆動されるようになっている。また、押圧部材76、プレスロール78及びテンションロール79は、それぞれシリンダ82,83,84を介して上下に移動可能に設けられている。プレスロール78は、図7及び図8に示されるように、その両端側がブラケット85を介してシリンダ83に連結されており、その回転中心軸86の両端側には、前記ラック65と相互に作用する一対のピニオン88,88と、これらピニオン88の更に外側位置に一対のコロ89,89が固定されている。ピニオン88,88はラック65に噛み合い可能に設けられている一方、コロ89,89は、前記ガイドバー67上をプレスロール78の回転とは関係なく転動するように構成されている。
【0027】
前記切断手段43は、図5及び図6に示されるように、貼付テーブル40の移動方向に沿って延びるアーム部90と、このアーム部90の先端側(図5中左端側)下面に設けられた一軸ロボット91を介して進退可能に設けられたカッターユニット92とを含む。カッターユニット92は、一軸ロボット91に沿って移動するブラケット94に支持されたカッター上下用シリンダ95と、当該カッター上下用シリンダ95の先端に取り付けられたカッター96とにより構成されている。ここで、カッター上下用シリンダ95は、略鉛直面内において回転可能となる状態でブラケット94に取り付けられおり、これにより、カッター96の先端位置が略鉛直面内で円弧軌跡に沿う状態でカッター刃の角度調整を可能とする。また、前記一軸ロボット91により、アーム部90の延出方向に沿って進退可能とされ、後述する円周切りの時にシートSがウエハWの外周縁より所定量はみ出すように設定可能となっている。切断手段43は、図1に示されるように、貼付テーブル40の移動方向に対して直交する方向(図1中Y方向)に向けられたガイド97上を、モータM3の駆動により移動可能に支持されている。従って、カッター96の先端が貼付テーブル40のカッター受け溝40Aに入り込む姿勢とされて切断手段43全体がガイド97に沿って移動したときに、シートSが幅方向に切断されることとなる。
【0028】
前記移載装置45は、図4、図9ないし図14に示されるように、ウエハWを下面側に吸着する板状の吸着プレート100と、この吸着プレート100の上面側に設けられた冷却ユニット101と、吸着プレート100を支持するアーム102と、当該アーム102をY方向に移動させる一軸ロボット105とを含んで構成されている。吸着プレート100は、貼付テーブル40上でシートSが幅方向に切断された後のウエハWを吸着したときに(図10参照)、第1の温度である仮着時の温度(110℃)となっているウエハWを、例えば、常温に冷却し、シートSの粘性を低下若しくは消失させて前記カッター96に接着剤の転移を防止する作用をなす。また、移載装置45は、貼付テーブル40から外周カット用テーブル47にウエハWを移載するとともに、当該外周カット用テーブル47で前記不要シート部分S1が切断された後のウエハWを接着用テーブル48に移載し、更に、接着用テーブル48でシートSが完全に接着された後のウエハWを次工程に移載する作用をなす。
【0029】
前記一軸ロボット105は、図4に示されるように、前記切断手段43のガイド97の上方位置で当該ガイド97と略平行に配置されている。この一軸ロボット105には、上下方向に直交する方向に延びるシリンダ106と、当該シリンダ106を介して昇降可能な昇降スライダ108が設けられ、当該昇降スライダ108に前記アーム102の基端側(図9中右端側)が連結されている。
【0030】
前記外周カット用テーブル47は、図4及び図11等に示されるように、前記貼付テーブル40から前記移載装置45を介してウエハWを受け取り、これを吸着してウエハW回りの不要シート部分S1を切断手段43で切断するためのテーブルである。この外周カット用テーブル47は、本実施形態では第2の温度として常温に保たれるものであり、上面が吸着面として形成されているとともに、ウエハWの外周縁に対応する円周溝47Aを備えて構成されている。外周カット用テーブル47は、下面側に回転機構110を介して昇降プレート111上に支持されている。回転機構110は、軸線向きが上下方向とされた回転軸112と、当該回転軸112を支える回転軸受103と、回転軸112に固定された従動プーリ114と、当該従動プーリ114の側方に位置するとともにモータM4の出力軸に固定された主動プーリ115と、これらプーリ114,115間に掛け回されたベルト117とを備え、モータM4の駆動によって主動プーリ115が回転することで、外周カット用テーブル47が平面内で回転可能に設けられている。従って、前記カッター96が円周溝47Aに入り込んで外周カット用テーブル47が回転することにより、シートSの円周切りが達成されることとなる。この際、カッター96は、ウエハWの外周縁に対し、0.1mm〜1mmの範囲で外側にずれた状態でシートSを切断するように前記一軸ロボット91を制御することによって達成できる。
【0031】
前記外周カット用テーブル47を支持する昇降プレート111は、昇降装置120を介して昇降可能に設けられている。この昇降装置120は、図4に示されるように、昇降プレート111を支持する略L字状の支持体122の背面側に取り付けられたブロック123と、支持体122の両側に連結された一対の昇降側板124と、これら昇降側板124を上下方向にガイドする一対の起立ガイド125と、前記ブロック123を上下方向に貫通して延びるねじ軸126と、このねじ軸126の下端と、起立ガイド125の下端近傍に配置されたモータM5の出力軸にそれぞれ固定されたプーリ127,128と、これらプーリ127,128に掛け回されたベルト129とにより構成され、前記モータM5の駆動によってねじ軸126が回転することで外周カット用テーブル47が昇降可能となっている。
【0032】
前記接着用テーブル48は、図示しないフレームを介して外周カット用テーブル47の側方上部に配置されている。この接着用テーブル48は、上面が吸着面として構成されており、前記移載装置45を介して外周カット用テーブル47からウエハWが移載され、シートSが仮着されているウエハWを加熱して当該シートSをウエハWに完全に接着するようになっている。本実施形態では、接着用テーブル48は、第3の温度として約180℃に制御される。
【0033】
前記回収装置50は、前記カット用テーブル47上で、ウエハW回りの不要シート部分S1を吸着して回収する装置である。この回収装置50は、平面視略X状をなして各先端下面側が吸着機能を備えたクロスアーム130と、このクロスアーム130の略中心位置を支持する連結アーム131と、当該連結アーム131の基端側を支持するとともに、前記切断手段43のガイド97に対して平面内で略直交する方向に配設されたシリンダ132と、当該シリンダ132に沿って移動可能なスライダ133と、不要シート部分S1を回収する回収箱135とにより構成されている。クロスアーム130は、外周カット用テーブル47の上方位置と、回収箱135の上方位置との間で往復移動可能に設けられ、回収箱135上で不要シート部分S1への吸着を解除することにより、当該不要シート部分S1を回収箱135内に落とし込み可能となっている。
【0034】
前記接着用テーブル48でシートSが完全に接着されたウエハWは、再び前記移載装置45を介してマウント装置17側に移載される。この際、移載装置45は、移載過程において、前記冷却ユニット101を介してウエハWを冷却するようになっている。マウント装置17は、図1及び図13ないし図17に示されるように、リングフレームRFとウエハWを吸着するマウントテーブル137と、ダイシングテープDTを貼付するテープ貼付ユニット138に向かってマウントテーブル137を移動させる一対のレール139とを含んで構成されている。ここで、ダイシングテープDTは、帯状に連なる剥離テープSTの一方の面に、リングフレームRFの外径より若干小径サイズとなるダイシングテープ片を仮着したものが原反として用いられている。
【0035】
マウントテーブル137は、図15に示されるように、テーブル本体137Aと、当該テーブル本体137Aの上面において、シートSが貼付されたウエハWを支持する略円形の中央隆起部137Bと、当該中央隆起部137Bを囲むように設けられてリングフレームRFを支持する外側隆起部としてのリング状隆起部137Cとを備えた形状に設けられている。この際、中央隆起部137Bは、ウエハWの直径よりも僅かに大きい直径、すなわち、ウエハWに貼付されたシートSの大きさに略対応する大きさに設けられている。なお、マウントテーブル137は、前述した貼付テーブル40と実質的に同様に昇降可能に設けられているとともに、前記レール139に沿って移動可能に設けられている。
【0036】
前記テープ貼付ユニット138は、板状の支持フレームF1の面内に設けられてロール状に巻回されたダイシングテープDTを繰り出し可能に支持する支持ロール140と、この支持ロール140から繰り出された剥離テープSTを急激に折り返すことによってダイシングテープDTを剥離するピールプレート142と、このピールプレート142によって折り返された剥離テープSTを巻き取る巻取ロール143と、ダイシングテープDTをリングフレームRF及びシートSの上面に押圧して貼り付けるための押圧ロール144とを備えている。従って、図14に示されるように、マウントテーブル137をテープ貼付ユニット138側に移動させた後に、マウントテーブル137の上面位置を上昇させ、図中左側の実線位置で示される方向にマウントテーブル137を移動させることで、リングフレームRF及びシートSの上面にダイシングテープDTが貼付され、これによって、ウエハWをリングフレームRFにマウントすることができる。なお、リングフレームRFは、図16に示されるように、フレームストッカ145に収容されており、移載アーム147を介して前記マウントテーブル137上に移載される。また、マウントテーブル137上でリングフレームRFにマウントされたワークKは、移載アーム147によって吸着保持され、ワークKの表裏面を反転した状態で、当該ワークKを搬送アーム149に受け渡し、搬送アーム149に保持されたワークKは、次工程、すなわち、保護シートPSの剥離装置18側に移載されることとなる。
【0037】
次に、本実施形態におけるシート切断方法と、マウント方法について説明する。
【0038】
ここでは、回路面に保護テープPTが貼付されたウエハWは、UV照射ユニット13に移載されて所定のUV処理を受けた後に、アライメントされて貼付テーブル40に移載されたものとする。
【0039】
貼付テーブル40は、シートSを仮着することのできる第1の温度として略110℃を維持するように制御される。また、ウエハWは、前記保護テープPTがテーブル面に接する状態で吸着され、従って、ウエハWの裏面が上面側となる状態とされる。
【0040】
図5に示されるように、貼付テーブル40が貼付ユニット41の所定位置に移動すると、押圧部材76の下面側に吸着保持されているシートSのリード端領域が、押圧部材76の下降によって貼付テーブル40の上面に当接することとなる。この当接完了後に、プレスロール78が下降してウエハWの上面との間にシートSを挟み込むこととなる(図7、図8参照)。次いで、押圧部材76が吸着を解除して上昇する。この時、プレスロール78の両端側に設けられたコロ89がガイドバー67の上面に接すると同時に、ラック65にピニオン88が噛み合って当該ピニオン88がラック65に沿って回転移動可能な状態となる。この状態で、貼付テーブル40が図5中右側に移動し、ラック65とピニオン88との噛み合いにより、プレスロール78が回転するとともに、コロ89がガイドバー67上をガイド面として転動し、順次繰り出されるシートSがウエハWの上面に貼付されることとなる。なお、プレスロール78は内蔵するヒーターによって略110℃を維持するように制御されている。
【0041】
このようにしてシートSがウエハWに貼付されて、前記押圧部材76がカッター受け溝40Aを通過した直後の上方位置に至ると、貼付テーブル40は、外周カット用テーブル47の略真上位置に到達することとなる。そして、押圧部材76が下降してシートSを貼付テーブル40に当接させる(図6参照)。この後、カッター96が前記カッター受け溝40A内に入り込み、カッターユニット92を支持しているアーム部90が図6中紙面直交方向に移動してシートSを幅方向に切断する。幅方向の切断が完了すると、前記押圧部材76は当該押圧部材76の下面側に位置するシートSを吸着して上昇位置に戻り、次のウエハWへの接着に備える。また、切断手段43は、カッター上下用シリンダ95の上昇により、カッター96の刃先位置が上昇する位置に変位し、貼付テーブル40の上面位置から離れる方向、すなわち、図1中上方に向かって退避することとなる。
【0042】
次いで、図9に示されるように、前記移載装置45の吸着プレート100が一軸ロボット105の作動とシリンダ106の下降によって貼付テーブル40の上方に位置するように移動し、シリンダ107の下降により吸着プレート100の面位置を下降させてシートSが貼付されたウエハWを吸着保持する。これにより、貼付テーブル40は、次の処理対象となるウエハWを吸着保持する位置に移動すると同時に、外周カット用テーブル47が上昇して当該カット用テーブル47の上面に、吸着プレート100に吸着されているウエハWが移載される。この際、貼付テーブル40にて仮着温度となったウエハWは、吸着プレート100に吸着されている間に冷却作用を受けて、略常温まで降温された状態に保たれる。
【0043】
図11に示されるように、外周カット用テーブル47にウエハWが移載されて吸着保持されると、移載装置45は、外周カット用テーブル47の上方位置から離れる方向に移動する一方、切断手段43が外周カット用テーブル47上に移動する(図12参照)。そして、一軸ロボット91を所定量移動させ、カッター上下用シリンダ95を下降させることによってカッター96がウエハWの外周縁に対して0.1mm〜1mmの範囲ではみ出した位置で下方に突き抜けて先端が円周溝47A内に受容される。この状態で、貼付テーブル47が回転機構110によって水平面内で回転し、ウエハWの外周縁より0.1mm〜1mmはみ出した領域を残して周方向に沿って切断される。この切断が終了すると、切断手段43は、外周カット用テーブル47の上方位置から再び退避する位置に移動する一方、回収装置50のクロスアーム130が前記不要シート部分S1上に移動して当該不要シート部分S1を吸着し、回収箱135上に移動して不要シート部分S1を落とし込む。
【0044】
クロスアーム130が回収箱135側に移動するのと入れ替わるように移載装置45が外周カット用テーブル47上に移動し、再びウエハWを吸着した後に当該ウエハWを接着用テーブル48の上面に移載する。
【0045】
接着用テーブル48に移載されたウエハWは、当該接着用テーブル48が第3の温度となる略180℃を維持するように制御されていることで、シートSがウエハWに完全に接着する作用を受けることとなる。そして、所定時間経過後に、前記移載装置45の吸着プレート100によってウエハWが吸着されて再び常温に戻す冷却作用を受ける。
【0046】
移載装置45に吸着されている間に温度降下したウエハWは、リングフレームRFを吸着しているマウントテーブル137に移載された後、ダイシングテープDTを介してリングフレームRFにマウントされる。この際、マウントテーブル137の中央隆起部137Bは、ウエハWの直径よりも僅かに大きい直径に設けられているため、押圧ロール144がダイシングテープDT上を回転しながら相対移動するときに、ウエハWの外周縁から0.1mmないし1mmの範囲で外側にはみ出しているシート部分に対しても接着圧力を確実に付与することができ、前記はみ出したシート部分がダイシングテープDTから離れてしまうようなことはない。
【0047】
リングフレームRFにウエハWがマウントされたワークKは、表裏反転された状態でテープ剥離装置18側に移載された後、初期段階でUV硬化した保護テープPTが、テープ剥離装置18によってウエハ回路面から剥離され、ストッカ19に収容されることとなる。
【0048】
従って、このような実施形態によれば、シートSがウエハWの外周縁よりも所定量はみ出す状態で切断されるため、バックグラインドされた極薄のウエハWであっても、カッター96による切断時にウエハWの外周縁を損傷させることがない、という効果を得る。
しかも、シートSが貼付されたウエハWをリングフレームRFにマウントする際に、ウエハWの支持面をなす中央隆起部137Bが、ウエハWの直径よりも大きい直径、すなわち、ウエハWに貼付されたシートSの大きさに略対応する大きさに設けられているため、押圧ロール144の貼付圧力が作用したときに、はみ出したシート部分の逃げ代が実質的になくなるため、当該シート部分をダイシングテープDTに確実に貼付させることができる。従って、後工程において、ウエハWを個片化する際のダイシングカッターが、前記はみ出したシート部分に絡み付くことがなくなり、ダイシング工程においてウエハWが割れてしまうような不都合も回避することが可能となる。
【0049】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
【0050】
例えば、前記実施形態では、シートSが貼付される対象物がウエハWである場合を図示、説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の板状部材であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係るシート切断方法及びマウント方法がウエハ処理装置に適用された全体構成を示す概略平面図。
【図2】ウエハ処理工程を経時的に説明するための概略断面図
【図3】貼付装置を示す正面図。
【図4】貼付装置の概略斜視図。
【図5】シートを仮着する初期段階を示す概略正面図。
【図6】シートを仮着して当該シートを幅方向に切断するときの概略正面図。
【図7】貼付テーブルを示す概略斜視図。
【図8】図7の側面図。
【図9】切断手段の動作を示す概略正面図。
【図10】貼付テーブルから外周カット用テーブルにウエハを移載する状態を示す概略正面図。
【図11】図10の次の段階を示す概略正面図。
【図12】外周カット用テーブルに移載されたウエハ外周に残るシート部分を切断する状態を示す概略正面図。
【図13】移載装置によってウエハを移載する領域を示す概略平面図。
【図14】マウント装置の概略正面図。
【図15】シートを貼付したウエハをマウントテーブルに載置してダイシングテープを貼付した状態を示す拡大正面図
【図16】リングフレームにウエハをマウントしたワークの移載状態を示す概略正面図。
【図17】図16の概略平面図。
【符号の説明】
【0052】
10 ウエハ処理装置
15 貼付装置
17 マウント装置
40 貼付テーブル
40A カッター受け溝
41 貼付ユニット
43 切断手段
47 外周カット用テーブル
47A 円周溝
96 カッター
137 マウントテーブル
137B 中央隆起部
137C リング状隆起部(外側隆起部)
W 半導体ウエハ(板状部材)
S シート(感熱接着性のシート)
S1 不要シート部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材の平面形状よりも大きい平面形状を有するシートを前記板状部材に貼付した後に、前記シートを板状部材の外周縁に沿って切断する方法において、
前記切断は、前記シートが前記板状部材の外周縁より所定量はみ出した状態で行われることを特徴とするシート切断方法。
【請求項2】
前記切断後のシートの外縁は、前記板状部材の外縁に対して0.1mm〜1mmの範囲で外側に位置することを特徴とする請求項1記載のシート切断方法。
【請求項3】
前記板状部材は半導体ウエハであることを特徴とする請求項1又は2記載のシート切断方法。
【請求項4】
前記板状部材はバックグラインドされた半導体ウエハであることを特徴とする請求項1又は2記載のシート切断方法。
【請求項5】
前記シートは感熱接着性のシートであることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載のシート切断方法。
【請求項6】
バックグラインド工程を経て極薄化された略円形の半導体ウエハを貼付テーブルに支持する工程と、
前記半導体ウエハの直径よりも大きい幅を有する帯状の感熱接着性のシートを繰り出して当該シートの幅方向両側と繰出方向の前後が半導体ウエハの外周縁よりも外側にはみ出る状態で貼付する工程と、
前記シートの繰り出し方向下流側を幅方向に切断する工程と、
前記シートが貼付されたウエハを外周カット用テーブルに移載する工程と、
前記半導体ウエハの外周縁よりも0.1mm〜1mmのシートはみ出し量を確保した状態で当該シートの外周を切断する工程とからなるシート切断方法。
【請求項7】
半導体ウエハよりも大きな平面積を有する感熱接着性のシートを前記半導体ウエハに貼付した後に、当該半導体ウエハの外周縁から所定量のはみ出し量となる状態に前記シートの外周を切断し、
次いで、マウントテーブルに支持されたリングフレームの内側に前記半導体ウエハを移載した状態でダイシングテープを介してリングフレームと一体化するマウント方法であって、
前記ウエハを支持するとともに前記シートの大きさに略対応する大きさに設けられた中央隆起部と、当該中央隆起部の回りに設けられて前記リングフレームを支持する外側隆起部を含むマウントテーブルと、前記ダイシングテープをリングフレームとシートに押圧して貼り付ける押圧ロールとを用い、
前記押圧ロールがダイシングテープ上を回転して貼付圧力を付与したときに、前記中央隆起部の外周側により前記ウエハ外周縁からはみ出したシート部分の逃げ代を無くして当該シート部分がダイシングテープに貼付されることを特徴とするマウント方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2006−140251(P2006−140251A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327409(P2004−327409)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】