説明

シート状プローブおよびシート状プローブの製造方法ならびにその応用

【課題】 回路装置の被検査電極に接続される電極構造体が絶縁膜に貫通支持された複数の接点膜が支持体に支持されたシート状プローブにおいて、厚みの厚い絶縁膜であっても、所定の貫通孔を形成することができ、接点膜と支持体との固定強度を高めることができる。
【解決手段】 メッシュあるいは金属板などからなるフレーム板11を支持体に用い、回路装置1の被検査電極に接続される複数の電極構造体17が柔軟な樹脂からなる絶縁膜16に貫通支持された複数の接点膜15と、この接点膜15を支持するフレーム板11とを備えたシート状プローブであって、電極構造体の短絡部17cを形成するために、柔軟な絶縁膜形成用樹脂シート16aに予め形成される貫通孔23bを両側からのエッチングにより形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置の電気検査に用いられるシート状プローブおよびシート状プローブの製造方法ならびにその応用に関し、さらに詳しくは、例えばウェハに形成された複数の集積回路の電気検査をウェハの状態で行うために用いられるシート状プローブの製造方法並びにその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、多数の集積回路が形成されたウェハや、半導体素子等の電子部品などの回路装置の電気検査では、被検査回路装置の被検査電極のパターンに従って配置された検査用電極を有するプローブ装置が用いられている。従来から、このような装置としてピンもしくはブレードからなる検査用電極(検査プローブ)が配列されたプローブ装置が使用されている。
【0003】
被検査回路装置が多数の集積回路が形成されたウェハである場合、ウェハ検査用のプローブ装置を作製するためには、非常に多数の検査プローブを配列することが必要となるので、プローブ装置は高価になる。また、被検査電極のピッチが小さい場合には、プローブ装置を作製すること自体が困難になる。また、ウェハには一般に反りが生じており、その反りの状態も製品(ウェハ)毎に異なるため、それぞれのウェハにおける多数の被検査電極に対してプローブ装置の検査プローブのそれぞれを安定にかつ確実に接触させることは実際上困難である。
【0004】
このような問題に対応するため、一面に被検査電極のパターンに従って複数の検査用電極が形成された検査用回路基板の一面上に異方導電性シートを配置し、この異方導電性シート上に、絶縁シートにその厚み方向に貫通して延びる複数の電極構造体が配列されたシート状プローブを配置したプローブカードが提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0005】
このプローブカードのシート状プローブは、図22に示したように、ポリイミドなどの樹脂からなる柔軟な円形の絶縁シート91を有し、この絶縁性シート91には、その厚み方向に延びる複数の電極構造体95が被検査回路装置の被検査電極のパターンに従って配置されている。各電極構造体95は、絶縁シート91の表面に露出する突起状の表面電極部96と、絶縁シート91の裏面に露出する板状の裏面電極部97とが、絶縁シート91をその厚み方向に貫通して延びる短絡部98を介して一体に連結された構造になっている。また、絶縁シート91の周縁部には、絶縁シート91の熱膨張を制御する等の目的で例えばセラミックスからなるリング状の支持板92が設けられている。
【0006】
上述したように、近年では多数の被検査電極が微細ピッチで配置された大型のウェハに対して電気検査を行う必要がある。具体的には、例えば直径が8インチ以上のウェハに、5000個以上、場合によっては10000個以上の被検査電極が形成されたウェハが電気検査の対象となり、この場合、被検査電極のピッチは160μm以下になる。このようなウェハの検査を行うためには、ウェハに対応した大面積を有し、5000個以上、あるいは10000個以上の電極構造体95が160μm以下のピッチで配置されたシート状プローブを用いなければならない。
【0007】
しかしながら、図22のように1枚の絶縁シート91に全ての電極構造体95を連結する従来のシート状プローブ90の構造では、例えば、温度上昇が伴うバーンイン試験において絶縁シート91が熱膨張して電極構造体95と被検査電極との位置ずれが生じること
があるなど、幾つかの改善すべき点がある。
【0008】
これらの点に対応するため、例えばウェハ上の各集積回路に対応するそれぞれの位置に貫通孔を形成した金属等からなるフレーム板を用意し、このフレーム板の各貫通孔に絶縁シートを貼付して、絶縁シートにおけるフレーム板の各貫通孔に配置された部分に電極構造体を形成することが考えられる。即ち、例えばウェハ上の各集積回路に対応する各位置に、絶縁膜の厚さ方向に電極構造体が貫通支持されたウェハとの接続部(接点膜)を設け、この接点膜を金属フレーム板のような支持体で支持したシート状プローブであれば、絶縁シート一つ一つの面積が小さくなることから、従来のシート状プローブにおける問題点を改善できると考えられる。
【0009】
実際にこのようなシート状プローブを作成したところ、微細ピッチの被検査電極が形成された大型のウェハであってもバーイン試験を良好に行えることが確認された。
【特許文献1】特開2001−15565号公報
【特許文献2】特開2002−184821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、電極構造体を形成するための貫通孔を、ポリイミドの絶縁膜にエッチング加工により形成しようとすると、絶縁シート91(ポリイミドシート91)の膜厚が厚くなると、短絡部98の配置される貫通孔96が形成されないという問題があった。
【0011】
すなわち、図23に示したように、ポリイミドのエッチング加工を行う際、エッチングでの傾斜角αは、加工条件により異なるとされているが、一般的に45°〜50°と言われている。よって、片側から絶縁シート91にエッチングを行なった場合、図23に示した貫通孔94が形成可能な絶縁シート91の厚みは、開口径aの1/2以下である。それ以上の厚みになると、貫通孔94が形成される前に停止してしまう。
【0012】
例えば、開口径aの距離が70μmであれば、開口可能な絶縁シート91の厚みは、35μm以下、開口径aの距離が50μmであれば、開口可能な絶縁シート91の厚みは、25μm以下である。
【0013】
このように、従来の製造の方法では、厚みの厚いポリイミドシート91には、貫通孔94を形成することができないという問題があった。
また、この貫通孔94に形成される電極構造体95は、隣接する電極構造体と電気的に絶縁されていなければならず、メッキにて電極構造体95の表面電極部96を形成する場合、表面電極部96はリベット状になり開口径aの幅より大きくなる。そのため、隣接する電極構造体95、95同士の絶縁を確保するために、必要な絶縁部の幅(電極構造体の配置ピッチ−電極構造体の貫通孔径)は、40〜50μmは必要とされる。
【0014】
そのため、現在行なわれているように、電極構造体95の配置ピッチが120μmで、電極構造体95の形成に必要な貫通孔の開口径が70μmでシート状プローブを製造する場合、使用できるポリイミドシート91の厚みは35μm以下であるため、例えば、25μm厚のポリイミドフィルムを使用して加工している。
【0015】
もし、ポリイミドシート91(絶縁シート91)の強度を上げるために、50μm厚のポリイミドフィルムを使用したいとすると、貫通孔の開口径aを70μmより大にしなければならず、製造される電極構造体の隣接する絶縁部間の絶縁性の確立が困難となる。
【0016】
更に、円錐台形状の貫通孔(加工側面が大径、非加工側面が小径)の電極構造体95を
形成した場合、電気抵抗値は小径部分に依存するものと推定され、円錐台径においても、確実にポリイミドにエッチングで貫通孔を形成でき、安定した電極構造体の電気抵抗値、隣接する電極構造体の絶縁が確実にできる製造方法の開発が必要である。
【0017】
そこで、本発明者等は、絶縁膜(ポリイミドシート)をエッチングして貫通孔94を形成する方法において、以下の点を改良することにより、厚みの大きい絶縁膜においても、貫通孔径の最細部の径が大きい貫通孔を形成でき、電気的抵抗値の小さくて、バラツキの小さい電極構造体を形成するためのシート状プルーブの製造方法の改良を行なった。
【0018】
本発明は、例えば微細ピッチの被検査電極が形成された大型のウェハのような回路装置に対して電気検査を行うために使用され、回路装置の被検査電極に接続される電極構造体が絶縁膜に貫通支持された複数の接点膜が支持体に支持されたシート状プローブであって、特に、肉厚の大きいポリイミドなどからなる絶縁膜であっても、その表裏面間に貫通孔を形成することができるシート状プローブおよびその製造方法を提供することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するための本発明に係るプローブ状シートは、
それぞれ接続すべき電極に対応するパターンに従って配置された表面電極部、および裏面電極部、さらにこれらを接続する直線状の短絡部とから構成される電極構造体が、柔軟な樹脂よりなる絶縁膜に保持された接点膜と、
この接点膜を支持するフレーム板と、
を備えたシート状プローブであって、
前記短絡部を形成するために、前記柔軟な樹脂に予め形成される貫通孔が当該絶縁膜の両側から行なわれたエッチングにより形成されていることを特徴としている。
【0020】
このようなシート状プローブによれば、例えば、絶縁膜の厚みが厚い場合であっても、貫通孔を確実に形成することができる。
したがって、ここに電極構造体を形成することができる。
【0021】
また、このような貫通孔の最細部の径は比較的大きく形成することができるので、電気的抵抗値が小さくて、バラツキの小さい電極構造体を形成することができる。
ここで、本発明では、前記フレーム板が、有機繊維からなるメッシュもしくは不織布であることが好ましい。
また、前記フレーム板が、平板状の金属板または金属製のメッシュであっても良い。
【0022】
このように有機繊維あるいは金属製のメッシュ、さらには不織布であれば、高分子物質形成用液状物を塗布した場合に、その液状物がメッシュの孔の内部に入り込んだ状態で硬化されるので、フレーム板と絶縁膜との間を堅牢に固定することができる。したがって、接点膜のフレーム板との固定強度が高くなるので、繰り返し耐久性が向上する。
【0023】
さらに、平板状の金属板であれば、その剛性により接点膜を保持するのに最適であるとともに、金属の線膨張係数が絶縁膜の線膨張係数に比べてかなり小さいので、絶縁シートが熱膨張しても、それを保持するフレーム板がさほど膨張しないので、電極構造体と被検査電極との位置ずれを効果的に防止することができる。
【0024】
本発明に係るシート状プローブの製造方法は、
電気検査の対象となる回路装置の被検査電極に前記電極構造体が接続されるシート状プローブの製造方法であって、
前記絶縁膜に前記電極構造体が構築されるための貫通孔を形成するにあたり、前記絶縁
膜の両側からエッチングして前記貫通孔が形成されていることを特徴としている。
【0025】
このような本発明によれば、絶縁膜の厚みが大きい場合であっても、片側半分づつを両側から掘り進めて貫通孔を形成するため、この方法で加工できるポリイミド膜の厚みはより厚くなるとともに、形成される貫通孔の最細部の径も片側から貫通孔を形成した従来のものに比べて大となるので、電極構造体の電気的抵抗も小とすることを期待できる。また、貫通孔を速やかに形成することができる。
【0026】
さらに、本発明に係るシート状プローブの製造方法は、
表面に露出する表面電極部および裏面に露出する裏面電極部およびこれら両電極部間を互いに連結する短絡部を有する電極構造体が、柔軟な樹脂により形成された絶縁膜に保持されてなる接点膜と、
前記接点膜の外周部を支持するフレーム板と、を備え、
電気検査の対象となる回路装置の被検査電極に前記電極構造体が接続されるシート状プローブの製造方法であって、
銅箔などの金属膜と絶縁膜形成用樹脂シートとを一体的に接合して構成される第1の積層体を予め用意する第1の準備工程と、
前記第1の準備工程で得られた前記第1の積層体の前記絶縁膜形成用樹脂シートを前記フレーム板に対向させ、かつ銅箔などの金属膜を外方に露出させた姿勢にして、前記第1の積層体と前記フレーム板とを、絶縁性熱硬化型接着剤により一体的に接合する第1の接合工程と、
前記第1の接合工程で得られた第1次シート状プローブ形成部材に、高分子物質形成用液状物を塗布して、この高分子物質形成用液状物と前記第1の積層体の前記絶縁膜形成用樹脂シートとを熱硬化させて一体化する熱硬化物形成工程と、
前記熱硬化物形成工程で得られた第2次シート状プローブ形成部材から銅箔などの前記金属膜を除去する金属膜除去工程と、
前記金属膜除去工程で得られた第3次シート状プローブ形成部材の少なくとも前記金属膜が被覆されていた跡地部分に、裏面側レジスト層を形成する裏面側レジスト層形成工程と、
前記裏面側レジスト層形成工程で得られた第4次シート状プローブ形成部材の表裏両面から前記電極構造体を構成するための貫通孔をエッチングにより形成する貫通孔形成工程と、を有することを特徴としている。
【0027】
このような方法によれば、電気検査のために使用されるシート状プローブを工業的な単価で、かつ大量生産するのに良好である。
ここで、前記金属膜除去工程を行う前に、前記第2次シート状プローブ形成部材の前記フレーム板側表面に表面側レジスト層を形成する表面側レジスト層形成工程を設けることもできる。
【0028】
このような方法によれば、裏側の金属膜をエッチングする際に、表面側がエッチング液により浸食される虞がある場合でも、その侵食を可及的に防止することができる。
さらに、本願発明では、前記貫通孔形成工程で得られた第5次シート状プローブ形成部材から表面側レジスト層および裏面側レジスト層を除去するレジスト層除去工程と、
前記レジスト層除去工程で得られた第6次シート状プローブ形成部材の表面側にドライフィルムレジストをラミネートする表面側レジスト層形成工程と、
前記表面側レジスト層形成工程で得られた第7次シート状プローブ形成部材の新たな表面側レジスト層にパターン孔を形成するパターン孔形成工程と、
前記第1の準備工程と同様に、銅箔などの金属膜と絶縁膜形成用樹脂シートとを一体的に接合して構成される第2の積層体を予め準備する第2の準備工程と、
前記第2の準備工程で得られた第2の積層体を、前記パターン孔形成工程で得られた第
8次シート状プローブ形成部材における前記裏面側レジスト層で被覆されていた跡地部分に接合するにあたり、前記第2の積層体の銅箔などの金属膜側を前記第8次シート状プローブ形成部材に対向させ、かつ前記絶縁膜を外方に露出した姿勢にして、前記第2の積層体と前記第8次シート状プローブ形成部材とを、絶縁性熱硬化型接着剤により一体的に接合する第2の接合工程と、
前記第2の接合工程で得られた第9次シート状プローブ形成部材の前記貫通孔内の底面に露出する絶縁性熱硬化型接着剤の接着樹脂層を熱硬化させた後、あるいはこの底面に露出する接着樹脂層を熱硬化させる前の状態からエッチングを行なって、当該接着樹脂層を前記貫通孔内の底面から除去してその除去部分に銅箔などの金属膜を露出させる金属膜露出工程と、
前記金属膜露出工程で得られた第10次シート状プローブ形成部材から表面レジスト層を除去する表面側レジスト層除去工程と、
前記表面側レジスト層除去工程で得られた第11次シート状プローブ形成部材の前記貫通孔内に、前記電極構造体を形成する電極構造体形成工程と、
を有することもできる。
【0029】
このような工程を引き続いて行なうことにより、電極構造体を形成するまでの作業を効率的に行なうことができる。
さらに、電気検査の対象となる回路装置の被検査電極に対応する検査電極が表面に形成された検査用回路基板と、
この検査用回路基板に対向して配置される異方導電性コネクターと、
この異方導電性コネクターに対向して配置される請求項1に記載のシート状プローブとを備えていれば、電気検査に使用されるプローブカードを提供することができる。
【0030】
このようなプローブカードによれば、絶縁膜に電極構造体が位置ずれすることなく所望の位置に形成されているので、各集積回路の電気検査を正しく行なうことができる。
さらに、複数の集積回路が形成されたウェハの各集積回路を、請求項7に記載のプローブカードを介してテスターに電気的に接続し、前記各集積回路の電気検査を行えば、高精度でウェハの検査を行なうことができる。
【0031】
本発明のシート状プローブによれば、支持体としてメッシュを使用すれば、樹脂製の絶縁膜が多孔膜内部に入り込んだ一体化構造を形成して接点膜を支持しているので、接点膜と支持体との固定強度が高く、このシート状プローブを用いた検査装置による電気検査において高い繰り返し耐久性が得られる。
【0032】
本発明のプローブカード、回路装置の検査装置およびウェハの検査方法によれば、接点膜と支持体との固定強度が高い上記のシート状プローブを用いているので、電気検査において高い繰り返し耐久性が得られる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係るシート状プローブによれば、厚みの厚い絶縁膜に、最細部の径が大きい貫通孔が具備されているので、ここに電気的抵抗値が小さくて、バラツキの小さい電極構造体を設置することができる。
【0034】
さらに、フレーム板がメッシュにより形成されていれば、電気検査において高い繰り返し耐久性が得られる。
本発明に係るシート状プローブの製造方法によれば、仮に絶縁膜の厚みの大きい場合であっても、貫通孔を形成することができる。したがって、厚みの厚い絶縁膜に形成された貫通孔内に、所定形状の電極構造体を形成することができる。これにより、回路装置を検査する場合に動作不良を起こさずに高い信頼性を得ることができる。
【0035】
さらに、この方法で製造されたシート状プローブを採用したプローブカード、回路装置の検査装置などによれば、電極構造体を形成した厚みの厚い絶縁膜に形成された貫通孔内に電極構造体が構成されているので、ウェハなどの回路装置を検査する場合に高い信頼性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、添付した各図面は説明用のものであり、その各部における具体的なサイズ、形状等は、本明細書の記載および、従来技術に基づいて当業者に理解される所による。
【0037】
<シート状プローブ>
図1は、本発明の製造方法で製造されたシート状プローブの実施形態を示した図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)におけるX−X線方向の断面図である。図2は、図1のシート状プローブにおける接点膜を拡大して示した平面図、図3は、図2のX−X線方向の断面図である。
【0038】
本実施形態のシート状プローブ10は、複数の集積回路が形成された8インチ等のウェハについて、各集積回路の電気検査をウェハの状態で行うために用いられる。このシート状プローブ10は、被検査対象であるウェハ上の各集積回路に対応する各位置に多数の貫通孔12が形成されたフレーム板11を有し、その貫通孔12内には、それぞれ接点膜15が配置されている。
【0039】
接点膜15は、フレーム板11の貫通孔周辺の支持部19により、フレーム板11に支持されている。図1(b)に示したように、この支持部19では、樹脂製の絶縁膜16がフレーム板11内部に入り込んだ状態で一体化構造が形成され、この一体化された部分により接点膜15が支持されている。
【0040】
接点膜15は、図2および図3に示したように、柔軟な絶縁膜16内に電極構造体17が貫通形成された構造になっている。即ち、絶縁膜16の厚み方向に延びる複数の電極構造体17が、検査対象であるウェハの被検査電極に対応するパターンに従って絶縁膜16の面方向に互いに離間して配置されている。
【0041】
電極構造体17は、絶縁膜16の表面に露出する突起状の表面電極部17aと、絶縁膜16の裏面に露出する板状の裏面電極部17bと、絶縁膜16の厚み方向に貫通して延びる短絡部17cとが一体化した構造になっている。裏面電極部17bには、高導電性金属からなる被覆膜18が形成されている。
【0042】
フレーム板11としては、有機繊維からなるメッシュあるいは金属製のメッシュ(多孔板)もしくは金属製の平板を用いることもできる。
金属フレーム板としては、鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルト、マグネシウム、マンガン、モリブデン、インジウム、チタン、タングステン、またはこれらの合金若しくは合金鋼を用いることができるが、後述する製造方法において、エッチング処理によって容易に貫通孔を形成することができる点で、42合金、インバー、コバールなどの鉄−ニッケル合金鋼が好ましい。
【0043】
また、金属製のメッシュを形成する金属としては、例えばステンレス、アルミニウムが挙げられる。
絶縁膜16としては、柔軟性を有する樹脂膜が用いられる。絶縁膜16の形成材料としては、電気的絶縁性を有する樹脂材料であれば特に限定されないが、例えばポリイミド系
樹脂、液晶ポリマー、およびこれらの複合材料が挙げられる。中でも、エッチングが容易であるポリイミドが好ましい。
【0044】
ポリイミドにより絶縁膜16を形成する場合は、熱硬化性のポリイミド、感光性のポリイミド、ポリイミド前駆体を溶媒に希釈したポリイミドのワニス、溶液等を用いて樹脂膜を形成することが好ましい。
【0045】
絶縁膜16の厚みは、良好な柔軟性を得る点などから、5〜150μmであることが好ましく、より好ましくは7〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmである。
電極構造体17の材料としては、例えばニッケル、鉄、銅、金、銀、パラジウム、鉄、コバルト、タングステン、ロジウム、またはこれらの合金もしくは合金鋼等が挙げられる。電極構造体17は、全体を単一の金属もしくは合金で形成してもよく、2種以上の金属もしくは合金を積層して形成してもよい。
【0046】
表面に酸化膜が形成された被検査電極について電気検査を行う場合には、シート状プローブの電極構造体17と被検査電極を接触させ、電極構造体17の表面電極部17aにより被検査電極の表面の酸化膜を破壊して電極構造体17と被検査電極との電気的接続を行うことが必要である。このため、電極構造体17の表面電極部17aは、酸化膜を容易に破壊することかできる程度の硬度を有していることが望ましい。このような表面電極部17aを得るために、表面電極部17aを形成する金属中に、硬度の高い粉末物質を含有させることができる。
【0047】
このような粉末物質としては、例えばダイヤモンド粉末、窒化シリコン、炭化シリコン、セラミックス、ガラスを挙げることができ、これらの非導電性の粉末物質を適量含有させることにより、電極構造体17の導電性を損なうことなく、電極構造体17の表面電極部17aにより被検査電極の表面に形成された酸化膜を破壊することができる。
【0048】
また、被検査電極の表面の酸化膜を容易に破壊するために、電極構造体17の表面電極部17aの形状を鋭利な突起状としてもよく、表面電極部17aの表面に微細な凹凸を形成してもよい。このように、表面電極部17aの形状は必要に応じて適宜の形状としてよい。
【0049】
接点膜15における電極構造体17のピッチp(図3)は、検査対象であるウェハの被検査電極のピッチに応じて設定され、例えば40〜250μm、好ましくは40〜150μmである。ここで、「電極構造体のピッチ」とは、隣接する電極構造体の中心間距離であって最も短い距離を表す。なお、1つの接点膜15には、ウェハ上の集積回路の被検査電極の数等にもよるが、例えば数十個以上の電極構造体17が形成される。
【0050】
電極構造体17の表面電極部17aにおける径Rに対する突出高さの比は、0.2〜3であることが好ましく、より好ましくは0.25〜2.5である。このような条件を満足することにより、被検査電極のピッチが小さい場合であっても被検査電極に対応するパターンの電極構造体17を容易に形成することができ、ウェハに対して安定な電気的接続状態が確実に得られる。
【0051】
表面電極部17aの径Rは、短絡部17cの径rの1〜3倍であることが好ましく、より好ましくは1〜2倍である。また、表面電極部17aの径Rは、電極構造体17のピッチpの30〜75%であることが好ましく、より好ましくは40〜60%である。
【0052】
裏面電極部17bの外径Lは、短絡部17cの径より大きく、かつ、電極構造体17のピッチpより小さいものであればよいが、可能な限り大きいことが好ましく、これにより
、例えば異方導電性シートに対しても安定な電気的接続を確実に行うことができる。
【0053】
短絡部17cの径rは、電極構造体17のピッチpの15〜75%であることが好ましく、より好ましくは20〜65%である。
電極構造体17の具体的な寸法について説明すると、表面電極部17aの突出高さは、被検査電極に対して安定な電気的接続を達成する点から、15〜50μmであることが好ましく、より好ましくは15〜30μmである。
【0054】
表面電極部17aの径Rは、上記の条件や被検査電極の直径などを勘案して設定されるが、例えば30〜200μmであり、好ましくは35〜150μmである。
短絡部17cの径rは、充分に高い強度を得る点から、10〜120μmであることが好ましく、より好ましくは15〜100μmである。
【0055】
裏面電極部17bの厚みは、強度を充分に高くして良好な繰り返し耐久性を得る点から、0.1〜150μmであることが好ましく、より好ましくは1〜75μmである。
電極構造体17の裏面電極部17bに形成される被覆膜18は、化学的に安定な高導電性金属からなるものが好ましく、具体的には、例えば金、銀、パラジウム、ロジウムが挙げられる。
【0056】
また、電極構造体17の表面電極部17aにも金属被覆膜を形成することができ、例えは被検査電極が半田材料により形成されている場合には、この半田材料が拡散することを防止する点から、銀、パラジウム、ロジウムなどの耐拡散性金属で表面電極部17aを被覆することが望ましい。
【0057】
シート状プローブ10の周縁部には、剛性を有する平板リング状の支持板を設けることもできる。このような支持板の材料としては、インバー、スーパーインバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、コバール、42アロイなどの低熱膨張金属材料、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素などのセラミックス材料が挙げられる。
【0058】
このような剛性の高い支持板により、シート状プローブ10を支持することで、後述のプローブカードにおいて、例えば支持板に形成した孔と、プローブカードに設けられたガイドピンとを係合させることにより、あるいは支持板と、プローブカード周縁部に設けられた周状の段差部とを嵌め合わせることにより、シート状プローブ10の接点膜15に設けられた電極構造体17を、被検査物の被検査電極や異方導電性コネクターの導電部と容易に位置合わせすることができる。また、繰り返し検査に使用する場合においても、被検査物への張り付きを防止できるとともに、電極構造体17を所定位置にセットすることができる。
【0059】
以上のシート状プローブ10において、フレーム板11として金属製のメッシュが採用されていれば、図4(a)に示したように、接点膜15を構成する絶縁膜16の支持部19
が、フレーム板11と絶縁膜16とが一体化した構造となっているので固定強度が高く、このシート状プローブ10を用いた検査装置による電気検査において高い繰り返し耐久性が得られる。なお、図4(b)に示したように、平板状の金属板81を使用した場合には、絶縁膜16の片面に接合され、平面状の支持部82により支持される。
<シート状プローブの製造方法>
以下、本発明に係るシート状プローブ10の製造方法について説明する。
【0060】
本発明に係るシート状プローブの製造方法を工程順に示せば、図5に示したように、準備工程Aと、第1の接合工程Bと、熱硬化物形成工程Cと、表面側レジスト層形成工程D
と、金属膜除去工程Eと、裏面側レジスト層形成工程Fと、貫通孔形成工程Gとを有して
いる。さらに、この貫通孔形成工程Gに続いて、図6に示したように、レジスト層除去工程Hと、表面側レジスト層形成工程Iと、パターン孔形成工程Jと、第2の準備工程Kと、第2の接合工程Lと、金属膜露出工程Mと、表面側レジスト層除去工程Nと、電極構造体形成工程Oとが行なわれる。
【0061】
なお、本実施例では、熱硬化物形成工程Cと金属膜除去工程Eの間に、表面側レジスト層形成工程Dが行なわれているが、この表面側レジスト層形成工程Dは、裏面側レジスト層形成工程Fを行なう時に同時に行なうことも可能である。
【0062】
以下、工程順に説明する。
なお、以下の説明では、便宜上、図面の下側を、「下」あるいは「下面」、「裏面」などとし、図面の上側を「上」あるいは「上面」などとして説明する。
【0063】
まず、準備工程Aでは、図7(a)に示したように、絶縁膜16を形成するための絶縁膜形成用樹脂シート16aに、銅箔などの金属膜20が積層された第1の積層体3が用意
される。また、この第1の積層体3が張り合わされるフレーム板11が用意される。このフレーム板11として、金属製のメッシュ、有機繊維からなるメッシュ、あるいは平板状の金属板などが好ましく用いられる。本実施例では、有機繊維によるメッシュが採用されている。なお、この有機繊維によるメッシュからなるフレーム板11には、図1に示した接点膜15が配置される貫通孔12が予め所定位置に形成されている。
【0064】
このような第1の積層体3として、例えばポリイミドに銅箔が貼付された市販の銅張積
層板を用いることもできる。
次に、図7(b)、(c)に示す第1の接合工程Bとなる。この第1の接合工程Bでは、図7(b)に示したように、準備工程Aで用意された第1の積層体3が、金属製のメッ
シュからなるフレーム板11に対向して配置される。このとき、第1の積層体3の絶縁膜形成用樹脂シート16a側がフレーム板11の下面に配置され、銅箔などの金属膜20は下側に露出して配置される。そして、フレーム板11と第1の積層体3との間には、絶縁性熱硬化型接着剤4が介在され、この接着剤4を介してフレーム板11と第1の積層体3とが、図7(c)に示したように一体的に接合される。これにより、第1次シート状プロ
ーブ形成部材100が形成される。
【0065】
次に、図7(d),(e)に示す熱硬化物形成工程Cとなる。この熱硬化物形成工程Cでは、図7(d)に示したように、有機繊維によるメッシュからなるフレーム板11の表面に、高分子物質形成用液状物16bを塗布し、この液状物16bをフレーム板11の微細孔内部にまで染み込ませる。高分子物質形成用液状物16bは、例えば絶縁膜16の形成樹脂のプレポリマーを含む液状物であり、好ましくは感光性ポリイミド溶液もしくは熱硬化性ポリイミドの前駆体溶液が用いられる。この場合、樹脂シート16aにはポリイミドシートを用いることが望ましい。
【0066】
高分子物質形成用液状物16bを塗布した後、硬化処理を行うことにより、図7(e)に示したように、高分子物質形成用液状物16bの硬化樹脂と樹脂シート16aとが一体化した絶縁膜16が得られる。このような方法で絶縁膜16を形成することにより、フレーム板11の微細孔内に絶縁膜16が入り込んだ状態でこれらが一体に固定される。これにより、第2次シート状プローブ形成部材200が得られる。
【0067】
なお、図7(e)のように、フレーム板11の微細孔内に絶縁膜16が入り込んだ状態でこれらが一体に固定されたシートは、上記の製法の他、銅箔等の金属膜20上にフレーム板11を重ねた状態で、フレーム板11の表面から高分子物質形成用液状物16bを塗布し、次いで硬化処理することによっても得ることができる。また、貫通孔12を形成し
たフレーム板11に、上記の高分子物質形成用液状物16bを塗布し、これを硬化させて絶縁膜16とフレーム板11が一体化された積層体を形成し、この表面に金属膜を一体化することによっても得ることができる。
【0068】
次に、本実施例では、図8(a)に示す表面側レジスト層形成工程Dとなる。
この表面側レジスト層形成工程Dでは、熱硬化物形成工程Cを経て得られた第2次プローブ状形成部材200における絶縁膜16の表面側に、感光性ドラムフィルム等の表面側レジスト層22を形成する。
【0069】
次に、図8(b)に示す金属膜除去工程Eとなる。
この金属膜除去工程Eでは、第2次シート状プローブ形成部材200の下面に形成された銅箔などの金属膜20をエッチングにより除去する。これにより、第3次シート状プローブ形成部材300が得られる。
【0070】
次に、図8(c)に示す裏面側レジスト層形成工程Fとなる。
この裏面側レジスト層形成工程Fでは、一体化された絶縁膜16の下面に、感光性ドラムフィルム等の裏面側レジスト層24を形成する。これにより、第4次シート状プローブ形成部材400が得られる。
【0071】
すなわち、この第4次シート状プローブ形成部材400では、表裏両面にレジスト層22,24が形成され、これらレジスト層22,24に挟まれる態様で、熱硬された絶縁膜16が配置され、その絶縁膜16内に、メッシュ状のフレーム板11が埋設されている。
【0072】
次に、図9(a)、(b)に示す貫通孔形成工程Gとなる。
貫通孔形成工程Gは、裏面側レジスト層形成工程Fを経て得られた第4次シート状プローブ形成部材400の表裏両方向から、開口23aと貫通孔23bを形成する工程である。
【0073】
すなわち、この貫通孔形成工程Gは、絶縁膜16に最終的に形成すべき電極構造体のパターンに従ってエッチングにより複数の貫通孔23bを形成するが、この貫通孔23bを形成するには、先ず、表裏両面のレジスト層22,24をエッチングし、その後、絶縁膜16をエッチングする。用いるエッチング液は、別々のエッチング液が用意される。
【0074】
ここで、この貫通孔形成工程Gでは、これまで図9に示した絶縁膜16の厚さが所定厚以上に厚くなると、この部分に貫通孔23bを形成することができなかったが、本発明では、両側から開口23aおよび貫通孔23bを掘り進めることにより、貫通孔23bを形成することが可能になった。したがって、本実施例の貫通孔形成工程Gによれば、例えば、ポリイミドから構成される絶縁膜16の厚さが厚い場合であっても、表裏両面間に亘って貫通孔23bを形成することができる。
【0075】
すなわち、図9(a)に示したように、レジスト層22,24に、先ず開口23a,23aが形成され、これに続いて、図9(b)に示したように、絶縁膜16にまで連通した貫通孔23bが形成される。この貫通孔23bは、図10に拡大して示したように、絶縁膜16に両側からエッチングすることにより、両側にテーパ状の斜面23c、23dが形成されながら掘り進められる。よって、片側から絶縁膜16の1/2tの厚みをエッチングで掘り進めれば良いので、深さの大きい(厚みの大きい)貫通孔23bを形成することが可能になる。このようにして、図9(b)に示した第5次シート状プローブ形成部材500が得られる。
【0076】
なお、図10において、貫通孔23bの最狭部直径bの距離も大きく確保できるので、
後に、この貫通孔23bにメッキにより電極構造体を形成する場合に、メッキ液を十分に循環させることが可能になる。したがって、メッキ液が循環されないことに起因するメッキ不良が生じることもない。
【0077】
このように、本実施例によれば、両側からのエッチングにより貫通孔23bを形成するので、絶縁膜16の厚みが厚い所定以上に厚い場合であっても、確実に貫通孔23bを形成することができる。したがって、その後、所定の電極構造体を形成することが可能になり、最狭部直径bの距離も大きく確保できるので、その電極構造体の電気的抵抗値も小さくすることができる。
【0078】
次に、図11(a)に示すレジスト層除去工程Hとなる。
このレジスト層除去工程Hでは、表面側レジスト層22および裏面側レジスト層24が除去される。これにより、第6次シート状プローブ形成部材600が得られる。
【0079】
次に、図11(b)に示す表面側レジスト層形成工程Iとなる。
この表面側レジスト層形成工程Iでは、第6次シート状プローブ形成部材600の表面にドライフィルムレジストをラミネートして絶縁層16上に、新たな表面側レジスト層29が形成される。これにより、第7次シート状プローブ形成部材700が得られる。
【0080】
次に、図11(c)に示すパターン孔形成工程Jとなる。
このパターン孔形成工程Jでは、表面側の新たなレジスト層29に対して、絶縁膜16に形成された貫通孔23bに対応する位置にパターン孔29aを形成する。これにより、第8次シート状プローブ形成部材800が得られる。
【0081】
次に、図12(a)に示す第2の準備工程Kとなる。
この第2の準備工程Kでは、図7(a)に示した第1の準備工程Aの場合と同様に、絶縁膜形成用樹脂シート16aに、銅箔などの金属膜20が積層された第2の積層体3’が用意される。このような第2の積層体3’として、例えばポリイミドに銅箔が貼付された市販の銅張積層板を用いることもできる。そして、この第2の積層体3’は、第1の積層体3の場合とは、反対の向きに配置される。
【0082】
次に、図12(b)、(c)に示す第2の接合工程Lとなる。この第2の接合工程Lでは、第2の準備工程Kで用意された第2の積層体3’が、図12(b)に示したように、図12(a)の姿勢で絶縁膜16の下面に対向して配置され、絶縁膜16と第2の積層体3’との間に、絶縁性熱硬化型接着剤4が介在されて、この接着剤4を介して絶縁膜16と第2の積層体3’とが、図12(c)に示したように一体的に接合される。これにより、第9次シート状プローブ形成部材900が得られる。
【0083】
ここで、図12(c)の状態で熱硬化されると、図12(d)に拡大して示したように、貫通孔23bの底面において、絶縁性熱硬化型接着剤4の樹脂層4aが金属膜20の表面を覆ってしまう。
【0084】
このように、絶縁性の樹脂層4aで金属膜20が覆われてしまうと、金属膜20を電極として使用することができないことから、貫通孔23b内にメッキすることができない。
そこで、本実施例では、図13(a)、(b)に示したように、金属膜露出工程Mとなる。
【0085】
この金属膜露出工程Mでは、貫通孔23bの底面から、エッチングにより樹脂層4aが除去される。このとき、裏面の絶縁膜形成用樹脂シート16aも同時に除去される。
これにより、第10次シート状プローブ形成部材1000が得られる。
【0086】
なお、このような樹脂層4aを除去するにあたり、上記実施例では、熱硬化型接着剤4が熱硬化する前に樹脂層4aを除去しているが、これに代え、熱硬化した後に除去することもできる。
【0087】
次に、図14(a)、(b)に示す表面側レジスト層除去工程Nとなる。
この表面側レジスト層除去工程Nでは、絶縁膜16の表面から表面側レジスト層22が除去される。これにより、第11次シート状プローブ形成部材1100が得られる。
【0088】
次に、図15(a)、(b)、(c)、(d)に示す電極構造体形成工程Oとなる。この電極構造体形成工程Oでは、先ず、図15(a)に示したように、金属膜20の下面にレジスト層24を形成する。さらに金属膜20を共通電極としてメッキ処理を施すことにより、絶縁膜16の貫通孔23b内に、表面が半球状に突出したリベット状の電極構造体17を形成する。その後、図15(b)に示したように、絶縁膜16および電極構造体17を覆うようにレジスト層25を形成する。さらに、図15(c)に示したように、裏面電極部17bに対応する部分を残すようにレジスト層24をパターニングする。そして、金属膜20をエッチングしてその一部を除去することにより、図15(d)に示したように、裏面電極部17bを形成する。
【0089】
次に、図16(a)に示したように、絶縁膜16の裏面および裏面電極部17bの裏面を覆うように、レジスト層26を形成する。さらに、図16(b)に示したように、このレジスト層26おける裏面電極部17bが位置する箇所に、パターン孔27を形成し、裏面電極部17bを露出させる。
【0090】
そして、金メッキ液を用い、裏面電極部17bに対して金メッキ処理を施すことにより、図16(c)に示したように、裏面電極部17bの裏面側表面に、金からなる被覆膜18を形成する。これにより、電極構造体17が形成される。
その後、図16(d)に示したように、レジスト層26を除去する。
【0091】
次いで、図17(a)に示したように、レジスト層28を形成する。次いで、図17(b)に示したように、レジスト層25およびレジスト層28に露光処理および現像処理を施すことにより、フレーム板11の各貫通孔12を覆うようにパターンを形成する。
【0092】
その後、図17(c)に示したように、絶縁膜16に対し、ポリイミドエッチング液を用いてエッチング処理を施す。
次いで、図17(d)に示したように、レジスト層25およびレジスト層28を除去することにより、接点膜15を得る。これにより、所定の工程が完了する。
【0093】
このように得られた接点膜15を、多数個用意し、図1に示したように、フレーム板11の貫通孔に配置することにより、シート状プローブ10を得ることができる。
以上、本発明に係るシート状プローブおよびシート状プローブ10の製造方法の好ましい実施形態について説明したが、上述した以外の方法でもシート状プローブ10を得ることができる。
<プローブカードおよび回路装置の検査装置>
図18は、上記シート状プローブ10が採用された本発明に係るプローブカードおよびこのプローブカードを採用した検査装置を示した断面図であり、図19(a)、(b)は、プローブカードの組み立て前後の状態を示した断面図、図20は、プローブカードの要部の構成を示した断面図である。
【0094】
この検査装置は、複数の集積回路が形成されたウェハについてそれぞれの集積回路の電
気検査をウェハの状態で行うために用いられる。この検査装置のプローブカード30は、検査用回路基板31と、この検査用回路基板31の表面に配置された異方導電性コネクター40と、この異方導電性コネクター40の表面に配置されたシート状プローブ10とを備えている。
【0095】
検査用回路基板31の表面には、検査対象であるウェハに形成された全ての集積回路における被検査電極のパターンに従って複数の検査用電極32が形成されている。検査用回路基板31の基板材料としては、例えば、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型フェノール樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂、ガラス繊維補強型ビスマレイミドトリアジン樹脂等の複合樹脂基板材料、ガラス、二酸化珪素、アルミナ等のセラミックス基板材料、金属板をコア材としてエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂を積層した積層基板材料が挙げられる。
【0096】
バーンイン試験に用いるためのプローブカードでは、この基板材料として、線熱膨張係数が3×10-5/K以下、好ましくは1×10-7〜1×10-5/K、より好ましくは1×10-6〜6×10-6/Kであるものを用いることが望ましい。
【0097】
異方導電性コネクター40は、図21に示したように、複数の貫通孔42が形成された円板状のフレーム板41を備えている。このフレーム板41の貫通孔42は、例えば、検査対象であるウェハに形成された各集積回路に対応して形成されている。貫通孔42の内部には、厚み方向に導電性を有する弾性異方導電膜50が、貫通孔42の周辺部に支持された状態で、隣接する弾性異方導電膜50と互いに独立して配置される。また、フレーム板41には、シート状プローブ10および検査用回路基板31との位置決めを行うための位置決め孔(図示省略)が形成されている。
【0098】
フレーム板41の厚みは、その材質によって異なるが、20〜600μmであることが好ましく、より好ましくは40〜400μmである。この厚みが20μm未満である場合、異方導電性コネクター40を使用する際に必要な強度が得られないことがあり、耐久性が低くなり易い。一方、厚みが600μmを超える場合、貫通孔42に形成される弾性異方導電膜50が過剰に厚くなり、接続用導電部52における良好な導電性および隣接する接続用導電部52間における絶縁性が得られなくなることがある。
【0099】
フレーム板41の貫通孔42における面方向の形状および寸法は、検査対象であるウェハの被検査電極の寸法、ピッチおよびパターンに応じて設計される。
フレーム板41の材料としては、フレーム板41が容易に変形せず、その形状が安定に維持される程度の剛性を有するものが好ましく、具体的には、例えば金属材料、セラミックス材料、樹脂材料が挙げられる。金属材料としては、具体的には、例えば鉄、銅、ニッケル、チタン、アルミニウムなどの金属またはこれらを2種以上組み合わせた合金もしくは合金鋼が挙げられる。フレーム板41を金属材料により形成する場合には、フレーム板41の表面に絶縁性被膜が施されていてもよい。
【0100】
バーンイン試験に用いるためのプローブカードでは、フレーム板41の材料として、線熱膨張係数が3×10-5/K以下、好ましくは1×10-7〜1×10-5/K、より好ましくは1×10-6〜8×10-6/Kであるものを用いることが望ましい。このような材料の具体例としては、インバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、スーパーインバー、コバール、42合金などの磁性金属の合金もしくは合金鋼が挙げられる。
【0101】
弾性異方導電膜50は、図20に示したように、厚み方向に延びる複数の接続用導電部52と、それぞれの接続用導電部52を互いに絶縁する絶縁部53とからなる。接続用導
電部52には、磁性を示す導電性粒子51が厚み方向に並ぶよう配向した状態で密に含有されている。また、接続用導電部52は、弾性異方導電膜50の両面から突出しており、両面に突出部54が形成されている。
【0102】
弾性異方導電膜50の厚み(接続用導電部52が表面から突出している場合には接続用導電部52の厚み)は、50〜3000μmであることが好ましく、より好ましくは70〜2500μm、特に好ましくは100〜2000μmである。この厚みが50μm以上であれば、充分な強度を有する弾性異方導電膜50が確実に得られる。また、この厚みが3000μm以下であれば、所要の導電性特性を有する接続用導電部52が確実に得られる。
【0103】
突出部54の突出高さは、突出部54の最短幅もしくは直径の100%以下であることが好ましく、より好ましくは70%以下である。このような突出高さを有する突出部54を形成することにより、突出部54が加圧された際に座屈することがなく導電性が確実に得られる。
【0104】
弾性異方導電膜50のフレーム板41に支持された二股部分の一方の厚みは、5〜600μmであることが好ましく、より好ましくは10〜500μm、特に好ましくは20〜400μmである。また、図示したように弾性異方導電膜50をフレーム板41の両面側で二股状に支持する場合の他、フレーム板41の片面のみで支持するようにしてもよい。
【0105】
弾性異方導電膜50を形成する弾性高分子物質としては、架橋構造を有する耐熱性の高分子物質が好ましい。このような架橋高分子物質を得るために用いることができる硬化性の高分子物質形成材料としては、例えばシリコーンゴム、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、スチレン−ブタジエン−ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加物、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、軟質液状エポキシゴムが挙げられる。中でも、成形加工性および電気特性の点からシリコーンゴムが好ましい。
【0106】
シリコーンゴムとしては、液状シリコーンゴムを架橋または縮合したものが好ましい。液状シリコーンゴムは、その粘度が歪速度10-1secで105 ポアズ以下であることが好ましく、縮合型、付加型、ビニル基やヒドロキシル基を有するものなどを使用できる。具体的には、例えばジメチルシリコーン生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチルフェニルビニルシリコーン生ゴムを挙げることができる。
【0107】
高分子物質形成材料中には、硬化触媒を含有させることができる。このような硬化触媒のとしては、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ビスジシクロベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化ジターシャリーブチルなどの有機過酸化物、脂肪酸アゾ化合物、ヒドロシリル化触媒が挙げられる。
【0108】
硬化触媒の使用量は、高分子物質形成材料の種類、硬化触媒の種類、その他の硬化処理条件を考慮して適宜選択されるが、通常は、高分子物質形成材料100重量部に対して3〜15重量部である。
【0109】
弾性異方導電膜50の接続用導電部52に含有される導電性粒子51としては、磁性を示す粒子が好ましい。このような磁性を示す粒子としては、例えば鉄、ニッケル、コバルトなどの金属粒子もしくはこれらの合金粒子またはこれらの金属を含有する粒子が挙げら
れる。また、これらの粒子を芯粒子とし、この芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの導電性が良好な金属をメッキした粒子、あるいは非磁性金属粒子、ガラスビーズなどの無機粒子またはポリマー粒子を芯粒子とし、この芯粒子の表面に、ニッケル、コバルトなどの導電性磁性体をメッキした粒子、あるいは芯粒子に導電性磁性体および導電性が良好な金属の両方を被覆した粒子も使用できる。
【0110】
中でも、ニッケル粒子を芯粒子とし、その表面に金や銀などの導電性が良好な金属のメッキを施したものが好ましい。芯粒子の表面への導電性金属の被覆は、例えば無電解メッキにより行うことができる。
【0111】
芯粒子の表面に導電性金属を被覆した導電性粒子は、良好な導電性を得る点から、粒子表面における導電性金属の被覆率(芯粒子の表面積に対する導電性金属の被覆面積の割合)が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45%以上、特に好ましくは47〜95%である。導電性金属の被覆量は、芯粒子の2.5〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜45重量%、さらに好ましくは3.5〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。
【0112】
導電性粒子51の粒子径は、1〜500μmであることが好ましく、より好ましくは2〜400μm、さらに好ましくは5〜300μm、特に好ましくは10〜150μmである。また、導電性粒子51の粒子径分布(Dw/Dn)は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜7、さらに好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜4である。このような条件を満足する導電性粒子51を用いることにより、弾性異方導電膜50の加圧変形が容易であるとともに、接続用導電部52において各導電性粒子51間に充分な電気的接触が得られる。
【0113】
また、導電性粒子51の形状は、高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる点で、球状、星形状、あるいは1次粒子が凝集した2次粒子による塊形状が好ましい。
また、導電性粒子51の表面をシランカップリング剤などのカップリング剤で処理してもよい。これにより、導電性粒子51と弾性高分子物質との接着性が高くなり、得られる弾性異方導電膜50の繰り返し使用における耐久性が高くなる。
【0114】
接続用導電部52における導電性粒子51の含有割合は、体積分率で10〜60%、好ましくは15〜50%が好ましい。この割合が10%未満の場合、充分に電気抵抗値の小さい接続用導電部52が得られないことがある。一方、この割合が60%を超える場合、得られる接続用導電部52が脆弱になり易く、必要な弾性が得られないことがある。
【0115】
高分子物質形成材料中には、必要に応じて、通常のシリカ粉、コロイダルシリカ、エアロゲルシリカ、アルミナなどの無機充填材を含有させることができる。このような無機充填材を含有させることにより、成形材料のチキソトロピー性が確保され、その粘度が高くなる。さらに、導電性粒子51の分散安定性が向上すると共に、硬化処理されて得られる弾性異方導電膜50の強度が高くなる。
【0116】
異方導電性コネクター40は、例えば特開2002−334732号公報に記載されている方法により製造することができる。
プローブカード30の検査用回路基板31の裏面には、プローブカード30を下方に加圧する加圧板35が設けられ、プローブカード30の下方には、検査対象であるウェハ1が載置されるウェハ載置台36が設けられている。加圧板35およびウェハ載置台36のそれぞれには、加熱器37が接続されている。
【0117】
シート状プローブ10におけるリング状の支持板13は、図19に示したように、加圧
板35に設けられた周状の嵌合用段差部38に嵌め込まれる。また、異方導電性コネクター40の位置決め孔には、ガイドピン33が挿通される。これにより、異方導電性コネクター40は、弾性異方導電膜50のそれぞれの接続用導電部52が検査用回路基板31のそれぞれの検査用電極32に対接するように配置され、この異方導電性コネクター40の表面に、シート状プローブ10が、それぞれの電極構造体17が異方導電性コネクター40の弾性異方導電膜50におけるそれぞれの接続用導電部52に対接するよう配置され、この状態で、三者が固定される。
【0118】
なお、シート状プローブ10にリング状の支持板13を設けずに、シート状プローブ10および異方導電性コネクター40の各位置決め孔に、検査用回路基板31に設けられたガイドピン33を挿通することによりこれらを検査用回路基板31に固定し、検査用回路基板31の検査用電極32、異方導電性コネクター40の接続用導電部52、およびシート状プローブ10の電極構造体17が所定の位置関係で対接するように三者を位置決めするようにしてもよい。
【0119】
ウェハ載置台36には、検査対象であるウェハ1が載置され、加圧板35によりプローブカード30を下方に加圧することにより、シート状プローブ10の電極構造体17における各表面電極部17aが、ウェハ1の各被検査電極2に加圧接触する。この状態では、異方導電性コネクター40の弾性異方導電膜50における各接続用導電部52は、検査用回路基板31の検査用電極32とシート状プローブ10の電極構造体17の裏面電極部17aとにより挟圧されて厚み方向に圧縮されている。これにより、接続用導電部52にはその厚み方向に導電路が形成され、ウェハ1の被検査電極2と検査用回路基板31の検査用電極32とが電気的に接続される。その後、加熱器37によって、ウェハ載置台36および加圧板35を介してウェハ1が所定の温度に加熱され、この状態で、ウェハ1に形成された複数の集積回路のそれぞれについて電気検査が行われる。
【0120】
このウェハ検査装置によれば、ウェハ1が例えば直径が8インチ以上の大面積であり、且つ被検査電極2のピッチが極めて小さい場合であっても、バーンイン試験において、ウェハ1に対する良好な電気的接続状態を安定に維持することができ、ウェハ1の複数の集積回路のそれぞれについて所要の電気検査を確実に実行することができる。
【0121】
なお、本実施形態では、プローブカードの検査電極がウェハに形成された全ての集積回路の被検査電極に対して接続され、一括して電気検査が行われるが、ウェハに形成された全ての集積回路の中から選択された複数の集積回路の被検査電極に対してプローブカードの検査電極を接続して、各選択領域毎に検査するようにしてもよい。選択される集積回路の数は、ウェハのサイズ、ウェハに形成された集積回路の数、各集積回路における被検査電極の数などを考慮して適宜選択されるが、例えば16個、32個、64個、128個である。
【0122】
また、弾性異方導電膜50には、被検査電極のパターンに対応するパターンに従って形成された接続用導電部52の他に、被検査電極に電気的に接続されない非接続用の導電部が形成されていてもよい。
【0123】
また、本発明のプローブカードおよび回路装置の検査装置は、ウェハ検査用の他、半導体チップ、BGA、CSPなどのパッケージLSI、MCMなどの半導体集積回路装置などに形成された回路を検査するための構成としてもよい。
【0124】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<試験用ウェハの作製>
直径が8インチのシリコン製のウェハ(1)上に、それぞれの寸法が8mm×8mmである正方形の集積回路Lを合計で393個形成した。ウェハ(1)に形成された各集積回路Lは、その中央に被検査電極領域を有し、この被検査電極領域には、それぞれ縦方向の寸法が200μmで横方向の寸法が70μmである矩形の40個の被検査電極(2)が120μmのピッチで横方向に一列に配列されている。また、このウェハ(1)全体の被検査電極(2)の総数は15720個であり、全ての被検査電極(2)は互いに電気的に絶縁されている。以下、このウェハを「試験用ウェハW1」という。
【0125】
また、全ての被検査電極(2)を互いに電気的に絶縁することに代えて、集積回路(L)における40個の被検査電極(2)のうち最も外側の被検査電極(2)から数えて1個おきに2個ずつを互いに電気的に接続したこと以外は、上記試験用ウェハW1と同様の構成の393個の集積回路Lをウェハ(1)上に形成した。以下、このウェハを「試験用ウェハW2」という。
[実施例1]
有機繊維によるメッシュ(NBC(株)製 Vスクリーン、品番:V380、厚さ43μm、メッシュ数150/cm、線径23μm)からなる直径が22cmのフレーム板(11)を用意し、このメッシュに、横方向の寸法が5400μmで縦方向の寸法が600μmである393個の貫通孔(12)をパンチングにより穿孔した。
【0126】
一方、直径が20cmで厚みが(25μm)のポリイミドシート(16a)の片面に直径が20cmで厚みが12μmの銅からなる金属膜(20)が積層された積層シートを用意した(図7(a))。
【0127】
この積層シートのポリイミドシート(16a)側の表面にポリイミドワニス(宇部興産社製「U−ワニス」を厚さ約4μmに塗布して絶縁製熱硬化型接着剤層(4)を形成し、フレーム板(11)を配置し(図7(b))、ポリイミドワニス(宇部興産社製「U−ワニス」)を塗布して乾燥することを繰り返し絶縁層(16)を形成し、熱風乾燥により加熱硬化した(図7(c))。得られた積層体の多孔膜の貫通孔内におけるポリイミドの厚さは約60μmであった。
【0128】
この積層体の表面に、液状レジスト(JSR製、品名:THB−150N)によってレジスト層(22)を形成した(図8(a))。次いで、レジスト層(22)に露光処理および現像処理を施すことにより、試験用ウェハW1に形成された被検査電極のパターンに従って、直径が70μmの円形である15720個の開口(23a)を形成した(図9(a))。露光処理は、高圧水銀灯によって1200mJ/cm2 の紫外線を照射して行い、現像処理は、現像液(JSR製:PD523)に室温で180秒間浸漬することによって行った。
【0129】
その後、絶縁膜(16)に対し、ポリイミドエッチング液(東レエンジニアリング株式会社製、「TPE−3000」)を用い、80℃、10分間の条件でエッチング処理を施すことにより、両側から対応位置に貫通孔(23b)を形成した。
【0130】
貫通孔(23b)の最狭部直径bは、約20μmであった。その後、この積層体を45℃の水酸化ナトリウム溶液に2分間浸漬させることにより、図11(a)に示したように、表面側レジスト層(24)および裏面側レジスト層(22)を除去した。
【0131】
その後、図11(b)に示したように、表裏両面のレジスト層(22),(24)を除去した積層体の上面側に、厚みが25μmのドライフィルムレジスト(日立化成製、品名:H−K350)をラミネートして絶縁層(16)上に新たな表面側レジスト層(29)を形成する。
【0132】
次に、図11(c)に示したように、この新たなレジスト層(29)に対して絶縁膜(16)に形成された貫通孔(23b)に対応する位置に直径が70μmのパターン孔を形成し、絶縁層(16)の開口(23b)を露出させた。
【0133】
露光処理は、高圧水銀灯によって80mJの紫外線を照射することにより行い、現像処理は、1%水酸化ナトリウム水溶液よりなる現像液による40秒間の洗浄を2回繰り返すことにより行った。
【0134】
その後、直径が20cmで厚みが12.5μmのポリイミドシート(16a)の片側に直径が20cmで厚み12μmの銅からなる金属層(20)が積層された第2の積層体(3’)を用意した(図12(a))。
【0135】
この積層体(3’)の金属層側の表面にポリイミドワニス(宇部興産社製「U−ワニス」を厚さ約5μmに塗布して絶縁性熱硬化型接着剤(4)とし(図12(b))、その絶縁性熱硬化型接着剤の上に得られたシート状プローブ形成部材を配置し(図12(c))、熱風乾燥により加熱硬化した図13(a)。得られた積層体(シート状プローブ形成部材)のフレーム板の貫通孔内におけるポリイミドの厚さは約65μmであった。
【0136】
次に、得られた積層体の貫通孔底面のポリイミドの接着樹脂層をエッチングにより除去し、銅箔(20)を露出された(図13(a))。その後、表面側レジスト層(29)をエッチングで除去した(図14(a))。次に、裏面側にレジスト層24を形成した(図15(a))。
【0137】
次に、得られた積層体を、スルファミン酸ニッケルを含有するメッキ浴中に浸漬し、当該積層体に対し、金属膜(20)を電極として、電解メッキ処理を施すことにより、絶縁膜(16)の貫通孔(23b)内に金属を充填して短絡部(17c)を形成すると共に、絶縁膜(16)の表面に、短絡部(17c)と一体に連結された、直径が約90μmで突出高さが約30μmの半球状の表面電極部(17a)を形成した(図15(a))。ここで、電解メッキ処理は、メッキ浴の温度が50℃で、電流密度が5A/dm2で、メッキ
処理時間が60分間の条件で行った。
【0138】
その後、液状レジスト(JSR製、品名:THB−150N)によって、この積層体の表面電極部側の全面を覆うようにレジスト層(25)を形成した(図15(b)。そして、レジスト層(24)に対して露光処理および現像処理を施すことにより、試験用ウェハW1に形成された被検査電極のパターンに対応するパターンに従って横方向に120μmのピッチで並ぶよう配置された、それぞれ縦方向の寸法が200μmで横方向の寸法が70μmの矩形の15720(40×393)個のレジストパターンを形成した(図15(c)参照)。ここで、露光処理は、高圧水銀灯によって80mJの紫外線を照射することにより行い、現像処理は、1%水酸化ナトリウム水溶液からなる現像剤に40秒間浸漬する操作を2回繰り返すことによって行った。
【0139】
その後、金属膜(20)対して、塩化第二鉄系エッチング液を用いて50℃、30秒間の条件でエッチング処理を施すことにより、横方向の寸法が5400μmで縦方向の寸法が600μmの393個の各領域内に、横方向に120μmのピッチで並ぶように配置された、それぞれ縦方向の寸法が200μmで横方向の寸法が70μmである矩形の15720(40×393)個の裏面電極部(17b)を形成した(図15(d))。
【0140】
その後、液状レジスト(JSR製、品名:THB−150N)によって、絶縁膜(16)の裏面および裏面電極部(17b)のそれぞれを覆うように、厚みが25μmのレジス
ト層(26)を形成し(図16(a))、このレジスト層(26)おける裏面電極部(17b)が位置する箇所に、縦方向の寸法が200μmで横方向の寸法が70μmの矩形である15720個のパターン孔(27)を、裏面電極部(17b)が露出するよう形成した(図15(b))。ここで、パターン孔形成のための露光処理は、高圧水銀灯によって1200mJ/cm2 の紫外線を照射して行い、現像処理は、現像液(JSR製:PD523)に室温で180秒間浸漬することによって行った。
【0141】
そして、金メッキ液(田中貴金属(株)、品名:レクトロレス)を用い、裏面電極部(17b)に対して金メッキ処理を施すことにより、裏面電極部(17b)の表面に、厚み0.2μmの金からなる被覆膜(18)を形成し、以って電極構造体(17)を形成した(図16(c))。その後、レジスト層(26)を除去した。
【0142】
その後、絶縁膜(16)に対し、ポリイミドエッチング液(東レエンジニアリング株式会社製、「TPE−3000」)を用いて80℃、10分間の条件でエッチング処理を施すことにより、それぞれ寸法が6.4mm×6.4mmの互いに独立した393個の絶縁膜(16)を形成し、以って393個の接点膜(15)を形成した(図17(c))。
【0143】
次いで、レジスト層(25)およびレジスト層(28)を除去することにより、シート状プローブ(10)を製造した(図15(d))。
得られたシート状プローブ(10)の仕様は、以下の通りである。
【0144】
フレーム板(11)は、有機繊維によるメッシュからなり、その直径が22cmで厚みが43μmの円板状である。フレーム板(11)の貫通孔(12)の数は393個で、それぞれの横方向の寸法が5400μmで縦方向の寸法が600μmである。393個の接点膜(15)の各々における絶縁膜(16)は、材質がポリイミドで、その寸法は、横方向が6.4mm、縦方向が6.4mm、フレーム板の貫通孔内における厚みが約65μmである。接点膜(15)の各々における電極構造体(17)は、その数が40個(合計15720個)で、横方向に120μmのピッチで一列に並ぶよう配置されている。電極構造体(17)の各々における表面電極部(17a)は、直径が約90μmで突出高さ約30μmの半球状であり、短絡部(17c)の直径70μmであり、裏面電極部(17b)は、70μm×200μmの矩形の平板状で、被覆膜(18)を含む裏面電極部(17b)の厚みは約12μmである。
【0145】
このようにして、合計で4枚のシート状プローブを製造した。これらのシート状プローブを「シート状プローブM1」〜「シート状プローブM4」とする。
[比較例1]
実施例1で用いた、有機繊維のメッシュに支持された厚み約60μmのポリイミドからなる絶縁膜(16)に両面から対応位置に貫通孔(23b)を形成した第5次シート状プローブ形成部材500の代わりに、有機繊維のメッシュに支持された厚み約60μmのポリイミドからなる絶縁膜に片面から貫通孔を形成した積層シートを用い、以後の工程を実施例1と同様に行い電極構造体を15720個形成した。そして絶縁膜(厚み約65μmのポリイミドフィルム)よりなるシート状プローブを製造した。電極構造体の配置、形状、数は実施例1のシート状プローブと同様である。
【0146】
このようにして、合計で4枚の比較用のシート状プローブを製造した。これらのシート状プローブを「シート状プローブN1」〜「シート状プローブN4」とする。
<異方導電性コネクターの作製>
(i)磁性芯粒子の調製
市販のニッケル粒子(Westaim社製,「FC1000」)を用い、以下のようにして磁性芯粒子を調製した。
【0147】
日清エンジニアリング株式会社製の空気分級機「ターボクラシファイア TC−15N」によって、ニッケル粒子2kgを、比重が8.9、風量が2.5m3 /min、ローター回転数が2,250rpm、分級点が15μm、ニッケル粒子の供給速度が60g/minの条件で分級処理し、粒子径が15μm以下のニッケル粒子0.8kgを捕集し、さらに、このニッケル粒子0.8kgを、比重が8.9、風量が2.5m3 /min、ローター回転数が2,930rpm、分級点が10μm、ニッケル粒子の供給速度が30g/minの条件で分級処理し、ニッケル粒子0.5kgを捕集した。
【0148】
得られたニッケル粒子は、数平均粒子径が7.4μm、粒子径の変動係数が27%、BET比表面積が0.46×103 2 /kg、飽和磁化が0.6Wb/m2 であった。
このニッケル粒子を「磁性芯粒子[A]」とする。
(ii)導電性粒子の調製
粉末メッキ装置の処理槽内に、磁性芯粒子[A]100gを投入し、更に、0.32Nの塩酸水溶液2Lを加えて攪拌し、磁性芯粒子[A]を含有するスラリーを得た。このスラリーを常温で30分間攪拌することにより、磁性芯粒子[A]の酸処理を行い、その後、1分間静置して磁性芯粒子[A]を沈殿させ、上澄み液を除去した。
【0149】
次いで、酸処理が施された磁性芯粒子[A]に純水2Lを加え、常温で2分間攪拌し、その後、1分間静置して磁性芯粒子[A]を沈殿させ、上澄み液を除去した。この操作を更に2回繰り返すことにより、磁性芯粒子[A]の洗浄処理を行った。
【0150】
そして、酸処理および洗浄処理が施された磁性芯粒子[A]に、金の含有割合が20g/Lの金メッキ液2Lを加え、処理層内の温度を90℃に昇温して攪拌することにより、スラリーを調製した。この状態で、スラリーを攪拌しながら、磁性芯粒子[A]に対して金の置換メッキを行った。その後、スラリーを放冷しながら静置して粒子を沈殿させ、上澄み液を除去することにより、導電性粒子を調製した。
【0151】
このようにして得られた導電性粒子に純水2Lを加え、常温で2分間攪拌し、その後、1分間静置して導電性粒子を沈殿させ、上澄み液を除去した。この操作を更に2回繰り返し、その後、90℃に加熱した純水2Lを加えて攪拌し、得られたスラリーを濾紙によって濾過して導電性粒子を回収した。そして、この導電性粒子を、90℃に設定された乾燥機によって乾燥処理した。
【0152】
得られた導電性粒子は、数平均粒子径が7.3μm、BET比表面積が0.38×103 2 /kg、(被覆層を形成する金の質量)/(磁性芯粒子[A]の質量)の値が0.3であった。
【0153】
この導電性粒子を「導電性粒子(a)」とする。
(iii)フレーム板の作製:
下記の条件により、上記の試験用ウェハW1における各被検査電極領域に対応して形成された393個の異方導電膜配置用の貫通孔(42)を有する直径が8インチのフレーム板(41)を作製した。
【0154】
このフレーム板(41)の材質はコバール(線熱膨張係数5×10-6/K)で、その厚みは、60μmである。
各貫通孔(42)は、その横方向の寸法が5400μmで縦方向の寸法が320μmである。
【0155】
縦方向に隣接する異方導電膜配置用孔(42)の間の中央位置には、円形の空気流入孔
が形成されており、その直径は1000μmである。
(iv)成形材料の調製:
付加型液状シリコーンゴム100重量部に、導電性粒子[a]30重量部を添加して混合し、その後、減圧による脱泡処理を施すことにより、成形材料を調製した。
【0156】
以上において、使用した付加型液状シリコーンゴムは、それぞれ粘度が250Pa・sであるA液およびB液よりなる二液型のものであって、その硬化物の圧縮永久歪みが5%、デュロメーターA硬度が32、引裂強度が25kN/mのものである。
【0157】
ここで、付加型液状シリコーンゴムおよびその硬化物の特性は、以下のようにして測定されたものである。
(a)付加型液状シリコーンゴムの粘度は、B型粘度計により、23±2℃における値を測定した。
(b)シリコーンゴム硬化物の圧縮永久歪みは、次のようにして測定した。
【0158】
二液型の付加型液状シリコーンゴムにおけるA液とB液とを等量となる割合で攪拌混合した。次いで、この混合物を金型に流し込み、当該混合物に対して減圧による脱泡処理を行った後、120℃、30分間の条件で硬化処理を行うことにより、厚みが12.7mm、直径が29mmのシリコーンゴム硬化物よりなる円柱体を作製し、この円柱体に対して、200℃、4時間の条件でポストキュアを行った。このようにして得られた円柱体を試験片として用い、JIS K 6249に準拠して150±2℃における圧縮永久歪みを測定した。
(c)シリコーンゴム硬化物の引裂強度は、次のようにして測定した。
【0159】
上記(b)と同様の条件で付加型液状シリコーンゴムの硬化処理およびポストキュアを行うことにより、厚みが2.5mmのシートを作製した。このシートから打ち抜きによってクレセント形の試験片を作製し、JIS K 6249に準拠して23±2℃における引裂強度を測定した。
(d)デュロメーターA硬度は、上記(c)と同様にして作製されたシートを5枚重ね合わせ、得られた積重体を試験片として用い、JIS K 6249に準拠して23±2℃における値を測定した。
(v)異方導電性コネクターの作製
上記(i)で作製したフレーム板(41)および上記(iv)で調製した成形材料を用い
、特開2002−324600号公報に記載された方法に従って、フレーム板(41)に、それぞれの貫通孔(42)内に配置され、その周辺部に固定されて支持された393個の弾性異方導電膜(50)を形成することにより、異方導電性コネクター(40)を製造した。ここで、成形材料層の硬化処理は、電磁石によって厚み方向に2Tの磁場を作用させながら、100℃、1時間の条件で行った。
【0160】
得られた弾性異方導電膜(50)について具体的に説明すると、弾性異方導電膜の各々は、横方向の寸法が7000μm、縦方向の寸法が1200μmであり、40個の接続用導電部(52)が絶縁部(53)によって互いに絶縁された状態で120μmのピッチで横方向に一列に配列されており、接続用導電部(52)の各々は、横方向の寸法が40μm、縦方向の寸法が200μm、厚みが150μm、突出部(54)の突出高さが25μm、絶縁部(53)の厚みが100μmである。また、横方向において最も外側に位置する接続用導電部(52)とフレーム板(41)との間には、非接続用の導電部が配置されている。非接続用の導電部の各々は、横方向の寸法が60μm、縦方向の寸法が200μm、厚みが150μmである。また、弾性異方導電膜(50)の各々における被支持部の厚み(二股部分の一方の厚み)は20μmである。
【0161】
また、各弾性異方導電膜(50)における接続用導電部(52)中の導電性粒子の含有割合を調べたところ、全ての接続用導電部(52)について体積分率で約25%であった。
【0162】
このようにして、合計で8枚の異方導電性コネクターを製造した。これらの異方導電性コネクターを「異方導電性コネクターC1」〜「異方導電性コネクターC8」とする。
<検査用回路基板の作製>
基板材料としてアルミナセラミックス(線熱膨張係数4.8×10-6/K)を用い、試験用ウェハW1における被検査電極のパターン従って検査用電極(31)が形成された検査用回路基板(30)を作製した。この検査用回路基板(30)は、全体の寸法が30cm×30cmの矩形であり、その検査用電極は、横方向の寸法が60μmで縦方向の寸法が200μmである。得られた検査用回路基板を「検査用回路基板T1」とする。
【0163】
<シート状プローブの評価>
試験1(隣接する電極構造体間の絶縁性)
シート状プローブM1、M2、シート状プローブN1、N2、シート状プローブL1、L2の各々について、以下のようにして隣接する電極構造体間の絶縁性の評価を行った。
【0164】
室温(25℃)下において、試験用ウェハW1を試験台に配置し、この試験用ウェハW1の表面上に、図14に示したように、シート状プローブをその表面電極部(17a)の各々が当該試験用ウェハW1の被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、このシート状プローブ上に、異方導電性コネクター(40)をその接続用導電部(52)の各々が当該シート状プローブの裏面電極部(17b)上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電性コネクター(40)上に、検査用回路基板T1をその検査用電極(32)の各々が当該異方導電性コネクター(40)の接続用導電部(52)上に位置するよう位置合わせして配置し、さらに検査用回路基板T1を下方に160kgの荷重(電極構造体1個当たりに加わる荷重が平均で約10g)で加圧した。ここで、異方導電性コネクター(40)としては下記表1に示すものを使用した。
【0165】
そして、検査用回路基板T1における15720個の検査用電極(32)の各々に順次電圧を印加すると共に、電圧が印加された検査用電極(32)と他の検査用電極(32)との間の電気抵抗をシート状プローブにおける電極構造体間の電気抵抗(以下、「絶縁抵抗」という。)として測定し、全測定点における絶縁抵抗が10MΩ以下である測定点の割合(以下、「絶縁不良割合」という。)を求めた。
【0166】
ここで、絶縁抵抗が10MΩ以下である場合には、実際上、ウェハに形成された集積回路の電気検査に使用することが困難である。
試験の結果を表1に示す。
【0167】
【表1】

【0168】
試験2(電極構造体の接続安定性)
シート状プローブM3、M4、シート状プローブN3、N4、シート状プローブL3、L4について、以下のようにして被検査電極に対する電極構造体の接続安定性の評価を行った。
【0169】
室温(25℃)下において、試験用ウェハW2を、電熱ヒーターを具えた試験台に配置し、この試験用ウェハW2の表面に、シート状プローブをその表面電極部(17a)の各々が試験用ウェハW2の被検査電極(2)上に位置するよう位置合わせして配置し、このシート状プローブ上に、異方導電性コネクター(40)をその接続用導電部(52)の各々が当該シート状プローブの裏面電極部(17b)上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電性コネクター(40)上に、検査用回路基板T1をその検査用電極(2)の各々が異方導電性コネクター(40)の接続用導電部(52)上に位置するよう位置合わせして配置し、さらに検査用回路基板T1を下方に160kgの荷重(電極構造体1個当たりに加わる荷重が平均で約10g)で加圧した。ここで、異方導電性コネクター(40)としては下記表2に示すものを使用した。
【0170】
そして、検査用回路基板T1における15720個の検査用電極(32)について、シート状プローブ、異方導電性コネクター(40)および試験用ウェハW2を介して互いに電気的に接続された2個の検査用電極(32)の間の電気抵抗を順次測定し、測定された電気抵抗値の2分の1の値を、検査用回路基板T1の検査用電極(32)と試験用ウェハW2の被検査電極(2)との間の電気抵抗(以下、「導通抵抗」という。)として記録し、全測定点における導通抵抗が1Ω以上である測定点の割合(以下、「接続不良割合」という。)を求めた。この操作を「操作(1)」とする。
【0171】
次いで、検査用回路基板T1に対する加圧を解除し、その後、試験台を125℃に昇温してその温度が安定するまで放置し、その後、検査用回路基板T1を下方に160kgの荷重(電極構造体(17)1個当たりに加わる荷重が平均で約10g)で加圧し、上記操作(1)と同様にして接続不良割合を求めた。この操作を「操作(2)」とする。
【0172】
次いで、検査用回路基板T1に対する加圧を解除し、その後、試験台を室温(25℃)まで冷却した。この操作を「操作(3)」とする。
そして、上記の操作(1)、操作(2)および操作(3)を1サイクルとして合計で100サイクル連続して行った。なお、この1サイクルに要する時間は約1.5時間であった。
【0173】
ここで、導通抵抗が1Ω以上である場合には、実際上、ウェハに形成された集積回路の
電気検査に使用することが困難である。
試験の結果を表2に示す。
【0174】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】図1は、本発明のシート状プローブの実施形態を示した図であり、図1(a)は平面図、図1(b)はX−X線による断面図である。
【図2】図2は、図1のシート状プローブにおける接点膜を拡大して示した平面図である。
【図3】図3は、図におけるX−X線による断面図である。
【図4】図4(a)は、本発明のシート状プローブにおける接点膜の支持部の断面図、図4(b)は、フレーム板として平板状の金属板を用いて絶縁膜をその表面で支持した場合の断面図である。
【図5】図5は、本発明のシート状プローブの製造方法を工程順に示したブロック図である。
【図6】図6は、図5に続く製造方法を工程順に示したブロック図である。
【図7】図7(a)〜(e)は、本発明のシート状プローブの製造方法を説明する断面図で、図7(a)は準備工程Aを示す断面図、図7(b)、(c)は、それぞれ第1の接合工程Bを示した断面図、図7(d),(e)は、それぞれ熱硬化物形成工程Cを示した断面図である。
【図8】図8(a)〜(c)は、本発明のシート状プローブの製造方法を説明する断面図で、図8(a)は表面側レジスト層形成工程Dの断面図、図8(b)は金属膜除去工程Eの断面図、図8(c)は裏面側レジスト層形成工程Fの断面図である。
【図9】図9(a)〜(b)は、本発明のシート状プローブの製造方法を説明する断面図で、図9(a)、(b)は、それぞれ貫通孔形成工程Gの断面図である。
【図10】図10は、本発明のシート状プローブの製造方法における貫通孔形成工程Gを説明する断面図で、両側からエッチングした時の拡大断面図である。
【図11】図11(a)〜(c)は、本発明のシート状プローブの製造方法を説明する断面図で、図11(a)はレジスト層形成工程Hの断面図、図11(b)は表面側レジスト層形成工程Iの断面図、図11(c)はパターン孔形成工程Jの断面図である。
【図12】図12(a)〜(d)は、本発明のシート状プローブの製造方法を説明する断面図で、図12(a)は第2の準備工程Kの断面図、図12(b)、(c)は、それぞれ第2の接合工程Lの断面図、図12(d)は図12(c)の一部拡大断面図である。
【図13】図13(a)、(b)は、本発明のシート状プローブの製造方法を説明する断面図で、図13(a)は金属膜露出工程Mの断面図、図13(b)は、図13(a)の一部拡大断面図である。
【図14】図14(a)、(b)は、本発明のシート状プローブの製造方法を説明する断面図で、図14(a)は表面側レジスト層除去工程Nの断面図、図14(b)は図14(a)の拡大断面図である。
【図15】図15(a)〜(d)は、本発明のシート状プローブの製造方法を説明する断面図で、それぞれ電極構造体形成工程Oの断面図である。
【図16】図16(a)〜(d)は、本発明のシート状プローブの製造方法を説明する断面図で、それぞれ電極構造体形成工程の断面図である。
【図17】図17(a)〜(d)は、本発明のシート状プローブの製造方法を説明する断面図で、それぞれ電極構造体形成工程の断面図である。
【図18】図18は、本発明の回路装置の検査装置およびそれに用いられるプローブカードの実施形態を示した断面図である。
【図19】図19(a)〜(b)は、それぞれ図18に示したプローブカードの組立て前の断面図と、プローブカードの組立て後の断面図である。
【図20】図20は、本実施例におけるシート状プローブの要部を示した断面図である。
【図21】図21は、異方導電性コネクターのフレーム板を示した平面図である。
【図22】図22は、従来のシート状プローブの断面図である。
【図23】図23は、本発明のシート状プローブの製造方法においてポリイミド樹脂シートをエッチングするときの開口径と貫通孔との関係を示す断面図である。
【符号の説明】
【0176】
1 ウェハ(回路装置)
2 被検査電極
3 第1の積層体
3’ 第2の積層体
4 絶縁性熱硬化型接着剤
4a 樹脂層
10 シート状プローブ
11 フレーム板
12 貫通孔
13 支持板
15 接点膜
16 絶縁膜
16a 絶縁膜形成用樹脂シート
16b 高分子物質形成用液状物
17 電極構造体
17a 表面電極部
17b 裏面電極部
17c 短絡部
18 被覆膜
19 支持部
20 金属膜
21 金属膜
22 レジスト層
23a 開口
23b 貫通孔
24 レジスト層
25 レジスト層
26 レジスト層
27 パターン孔
28 レジスト層
29 レジスト層
29a 開口
30 プローブカード
31 検査用回路基板
32 検査用電極
33 ガイドピン
35 加圧板
36 ウェハ載置台
37 加熱器
38 嵌合用段差部
40 異方導電性コネクター
41 フレーム板
42 貫通孔
50 弾性異方導電膜
51 導電性粒子
52 接続用導電部
53 絶縁部
54 突出部
55 被支持部
81 平板状の金属板
82 支持部
100 第1次シート状プローブ形成工程
200 第2次シート状プローブ形成工程
300 第3次シート状プローブ形成工程
400 第4次シート状プローブ形成工程
500 第5次シート状プローブ形成工程
600 第6次シート状プローブ形成工程
700 第7次シート状プローブ形成工程
800 第8次シート状プローブ形成工程
900 第9次シート状プローブ形成工程
1000 第10次シート状プローブ形成工程
1100 第11次シート状プローブ形成工程
A 第1の準備工程
B 第1の接合工程
C 熱硬化物形成工程
D 表面側レジスト層形成工程
E 金属膜除去工程
F 裏面側レジスト層形成工程
G 貫通孔形成工程
H 保護フィルム貼付工程
I 裏面側レジスト層除去工程
J 保護フィルム除去工程
K 第2の準備工程
L 第2の接合工程
M 金属膜露出工程
N 表面側レジスト層除去工程
O 電極構造体形成工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ接続すべき電極に対応するパターンに従って配置された表面電極部、および裏面電極部、さらにこれらを接続する直線状の短絡部とから構成される電極構造体が、柔軟な樹脂よりなる絶縁膜に保持された接点膜と、
この接点膜を支持するフレーム板と、
を備えたシート状プローブであって、
前記短絡部を形成するために、前記柔軟な樹脂に予め形成される貫通孔が当該絶縁膜の両側から行なわれたエッチングにより形成されていることを特徴とするシート状プローブ。
【請求項2】
前記フレーム板が、有機繊維からなるメッシュもしくは不織布であることを特徴とする請求項1に記載のシート状プローブ。
【請求項3】
前記フレーム板が、平板状の金属板もしくは金属製のメッシュであることを特徴とする請求項1に記載のシート状プローブ。
【請求項4】
電気検査の対象となる回路装置の被検査電極に前記電極構造体が接続されるシート状プローブの製造方法であって、
前記絶縁膜に前記電極構造体が構築されるための貫通孔を形成するにあたり、前記絶縁膜の両側からエッチングして前記貫通孔が形成されていることを特徴とするシート状プローブの製造方法。
【請求項5】
表面に露出する表面電極部および裏面に露出する裏面電極部およびこれら両電極部間を互いに連結する短絡部を有する電極構造体が、柔軟な樹脂により形成された絶縁膜に保持されてなる接点膜と、
前記接点膜の外周部を支持するフレーム板と、を備え、
電気検査の対象となる回路装置の被検査電極に前記電極構造体が接続されるシート状プローブの製造方法であって、
銅箔などの金属膜と絶縁膜形成用樹脂シートとを一体的に接合して構成される第1の積層体を予め用意する第1の準備工程と、
前記第1の準備工程で得られた前記第1の積層体の前記絶縁膜形成用樹脂シートを前記フレーム板に対向させ、かつ銅箔などの金属膜を外方に露出させた姿勢にして、前記第1の積層体と前記フレーム板とを、絶縁性熱硬化型接着剤により一体的に接合する第1の接合工程と、
前記第1の接合工程で得られた第1次シート状プローブ形成部材に、高分子物質形成用液状物を塗布して、この高分子物質形成用液状物と前記第1の積層体の前記絶縁膜形成用樹脂シートとを熱硬化させて一体化する熱硬化物形成工程と、
前記熱硬化物形成工程で得られた第2次シート状プローブ形成部材から銅箔などの前記金属膜を除去する金属膜除去工程と、
前記金属膜除去工程で得られた第3次シート状プローブ形成部材の少なくとも前記金属膜が被覆されていた跡地部分に、裏面側レジスト層を形成する裏面側レジスト層形成工程と、
前記裏面側レジスト層形成工程で得られた第4次シート状プローブ形成部材の表裏両面から前記電極構造体を構成するための貫通孔をエッチングにより形成する貫通孔形成工程と、を有することを特徴とするシート状プローブの製造方法。
【請求項6】
前記金属膜除去工程を行う前に、前記第2次シート状プローブ形成部材の前記フレーム板側表面に表面側レジスト層を形成する表面側レジスト層形成工程を設けたことを特徴とする請求項5に記載のシート状プローブの製造方法。
【請求項7】
前記貫通孔形成工程で得られた第5次シート状プローブ形成部材から表面側レジスト層および裏面側レジスト層を除去するレジスト層除去工程と、
前記レジスト層除去工程で得られた第6次シート状プローブ形成部材の表面側にドライフィルムレジストをラミネートする表面側レジスト層形成工程と、
前記表面側レジスト層形成工程で得られた第7次シート状プローブ形成部材の新たな表面側レジスト層にパターン孔を形成するパターン孔形成工程と、
前記第1の準備工程と同様に、銅箔などの金属膜と絶縁膜形成用樹脂シートとを一体的に接合して構成される第2の積層体を予め準備する第2の準備工程と、
前記第2の準備工程で得られた第2の積層体を、前記パターン孔形成工程で得られた第8次シート状プローブ形成部材における前記裏面側レジスト層で被覆されていた跡地部分に接合するにあたり、前記第2の積層体の銅箔などの金属膜側を前記第8次シート状プローブ形成部材に対向させ、かつ前記絶縁膜を外方に露出した姿勢にして、前記第2の積層体と前記第8次シート状プローブ形成部材とを、絶縁性熱硬化型接着剤により一体的に接合する第2の接合工程と、
前記第2の接合工程で得られた第9次シート状プローブ形成部材の前記貫通孔内の底面に露出する絶縁性熱硬化型接着剤の接着樹脂層を熱硬化させた後、あるいはこの底面に露出する接着樹脂層を熱硬化させる前の状態からエッチングを行なって、当該接着樹脂層を前記貫通孔内の底面から除去してその除去部分に銅箔などの金属膜を露出させる金属膜露出工程と、
前記金属膜露出工程で得られた第10次シート状プローブ形成部材から表面レジスト層を除去する表面側レジスト層除去工程と、
前記表面側レジスト層除去工程で得られた第11次シート状プローブ形成部材の前記貫通孔内に、前記電極構造体を形成する電極構造体形成工程と、
を有することを特徴とする請求項5または6に記載のシート状プローブの製造方法。
【請求項8】
電気検査の対象となる回路装置の被検査電極に対応する検査電極が表面に形成された検査用回路基板と、
この検査用回路基板に対向して配置される異方導電性コネクターと、
この異方導電性コネクターに対向して配置される請求項1〜3のいずれかに記載のシート状プローブとを備えることを特徴とするプローブカード。
【請求項9】
複数の集積回路が形成されたウェハの各集積回路を、請求項8に記載のプローブカードを介してテスターに電気的に接続し、前記各集積回路の電気検査を行うことを特徴とするウェハの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−138719(P2006−138719A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327945(P2004−327945)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】