説明

シート積層体の製造方法、およびシート積層体の製造装置

【課題】各シートを高精度で位置決めすることが可能な上、短時間で効率的にシート積層体を形成することが可能なシート積層体の製造方法を提供するとともに、そのような効率的なシート積層体の製造を可能とするシート積層体の製造装置を提供する。
【解決手段】シート積層体の製造装置41は、シートを1枚ずつ搬入するための搬入ステーション2と、搬送されたシートを積層して先のシートに仮接合するための仮接合ステーション3と、仮接合した積層シートを加熱すると共に加圧して熱圧着するための積層ステーション4と、熱圧着されたシート積層体を搬出するための搬出ステーション5とが、一列に順に配置されている。そして、仮接合ステーション3に設置されたアライメント装置12の下側の吸着板には、アライメントマークを認識するカメラと、位置決めされたシートを仮接合させるための電熱コテとが内蔵されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層チップコンデンサーや積層チップインダクター等のセラミックグリーンシートを積層してなる積層型の電子部品を製造するための製造方法、およびその製造方法に用いる製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型の電子部品の最も代表的な例である積層セラミックコンデンサは、内部電極パターンが印刷されたグリーンシートを積層することによって得られたシート積層体を、内部電極が端面に露出するようにしてチップ状に切断した後に、焼成することによって製造される。かかる積層セラミックコンデンサの製造においては、内部電極が印刷されたグリーンシートを積層する際に、印刷された内部電極の位置にずれが生じると、積層セラミックコンデンサに取得される静電容量にばらつきが生じてしまう。それゆえ、グリーンシートの積層時における位置ズレを防止する方法として、従来は、グリーンシートの孔明け工程で位置決め孔を穿設し、その位置決め孔を基準に印刷を行い、位置決め孔にピンを挿入しつつ各グリーンシートを積層する方法や、特許文献1の如く、アライメントマーク認識装置によってグリーンシートに予め付されたアライメントマークの位置を認識し、その位置情報に基づいてアライメント装置を作動させることにより各グリーンシートを位置決めする方法が採用されていた。
【0003】
【特許文献1】特開平03−142910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、グリーンシートに穿設された位置決め孔にピンを挿入しつつ各シートを積層する方法は、位置決め孔と印刷位置にズレが生じたり、位置決め孔をピンよりもある程度大きくしなければならないため、精度の高い位置決めをすることができない。一方、アライメントマーク認識装置とアライメント装置とを利用して各シートを位置決めする方法は、同一の積層装置内で、アライメントマークの認識、アライメント動作、グリーンシートの積層という複数の動作を行う必要があるため、短時間の内にシート積層体を形成することができないし、積層装置が複雑なものとなるため、メンテナンスが難しくなる、という不具合がある。
【0005】
本発明の目的は、上記従来のシート積層体の製造方法の問題点を解消し、各シートを高精度で位置決めすることが可能な上、短時間で効率的にシート積層体を形成することが可能なシート積層体の製造方法を提供することにある。また、そのような効率的なシート積層体の製造を可能とするシート積層体の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる本発明の内、請求項1に記載された発明の構成は、複数枚のセラミックシートを積層してなるシート積層体の製造方法であって、シートを仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションでシートのアライメントマーク位置を認識してその位置情報に基づいてシートを位置決めし、その後、次のシートを仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションでそのシートを位置決めした後、先に位置決めしたシートに積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、その後、仮接合されたシートを積層ステーションに搬送し、積層ステーションで仮接合状態のシートを加熱すると共に加圧して熱圧着し、積層ステーションでシートを熱圧着している間に、仮接合ステーションで次のシートを位置決めし、その後、位置決めしたシートを先に熱圧着されたシートに積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、その後、仮接合されたシートを積層ステーションに搬送して熱圧着し、以後これらの動作を繰返し、複数枚のシートを熱圧着して一体的に積層されたシート積層体を製造することにある。
【0007】
請求項2に記載された発明の構成は、複数枚のセラミックシートを積層してなるシート積層体の製造方法であって、シートを仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションでシートのアライメントマーク位置を認識してその位置情報に基づいてシートを位置決めし、その後、次のシートを仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションでそのシートを位置決めした後、先に位置決めしたシートに積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、以後これらの動作を繰返して複数枚のシートを仮接合し、その後、仮接合された複数枚のシートを積層ステーションに搬送し、積層ステーションで仮接合状態の複数枚のシートを加熱すると共に加圧して熱圧着し、積層ステーションでシートを熱圧着している間に、仮接合ステーションで次のシートを位置決めし、その位置決めしたシートを先に熱圧着した複数枚のシートに積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、この動作を繰返して複数枚のシートを熱圧着されたシート積層体を製造することにある。
【0008】
請求項3に記載された発明の構成は、複数枚のセラミックシートを積層してなるシート積層体の製造方法であって、複数枚のシートを順次仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションで、シートのアライメントマーク位置情報に基づいてシートを位置決めした後、その位置決めしたシートを先に位置決めされて仮接合されているシートに積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、以後これらの動作を繰返して複数枚のシートを仮接合し、その後仮接合状態の複数枚のシートを積層ステーションに搬送し、積層ステーションで、仮接合状態の複数枚のシートを加熱すると共に加圧して熱圧着し、複数枚のシートを熱圧着して一体的に積層されたシート積層体を製造することにある。
【0009】
請求項4に記載された発明の構成は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、シートの下面を吸着保持した状態で仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションで、シートの上面を吸着保持した状態でシートを位置決めした後、その位置決めしたシートを先に位置決めされて下面を吸着保持されているシートの上側に積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、その後、仮接合したシートの下面を吸着保持した状態で積層ステーションに搬送し、積層ステーションで、仮接合状態のシートを上下側から加熱すると共に加圧して熱圧着することにある。
【0010】
請求項5に記載された発明の構成は、請求項1乃至4の何れかに記載の発明において、シートをフイルム付シートとし、そのフイルム付シートを仮接合ステーションに搬送するに先立ってシートからフイルムを剥離し、仮接合ステーションで、フイルムを剥離した状態のシートを位置決めすることにある。
【0011】
請求項6に記載された発明の構成は、複数枚のセラミックシートを積層してなるシート積層体の製造装置であって、シートを1枚ずつ搬入する搬入ステーションと、搬送されたシートを積層して先のシートに仮接合する仮接合ステーションと、仮接合した積層シートを加熱すると共に加圧して熱圧着する積層ステーションと、熱圧着したシート積層体を搬出する搬出ステーションを備え、シートの下面を吸着保持可能な第一昇降テーブルを備えて搬入ステーションと仮接合ステーションを往復移動可能な第一搬送装置と、シートの下面を吸着保持可能な第二昇降テーブルを備えて仮接合ステーションと積層ステーションを往復移動可能な第二搬送装置と、シートを保持可能な保持手段を備えて積層ステーションと搬出ステーションを往復移動可能な第三搬送装置を設け、仮接合ステーションにシートの上面を吸着保持した状態でシートのアライメントマーク位置情報に基づいてシートを位置決め可能なアライメント装置と位置決めしたシートを第二昇降テーブル上の先のシートの上面に電熱コテにて仮接合可能な仮接合装置を設け、積層ステーションに仮接合されている第二昇降テーブルの上の積層シートを加熱可能な加熱装置を備えてその積層シートを上側から加圧可能なプレス装置を設けてなることにある。
【0012】
請求項7に記載された発明の構成は、請求項6に記載の発明において、搬入ステーションと仮接合ステーションと積層ステーションを一列状に順に配置し、第一搬送装置に第一昇降テーブルを搬入ステーションと仮接合ステーションに往復案内可能な第一案内レールを設け、第二搬送装置に第二昇降テーブルを仮接合ステーションと積層ステーションに往復案内可能な第二案内レールを設け、第一案内レールと第二案内レールを共通の直線状の案内レールで構成してなることにある。
【0013】
請求項8に記載された発明の構成は、請求項6に記載の発明において、仮接合ステーションに固定的に支持されている支持部材を設け、アライメント装置に、支持部材に対して水平面内でX方向、Y方向、旋回方向へ移動可能に設けたアライメントテーブルと、アライメントテーブルにシートの上面を吸着保持可能に設けた吸着板と、支持部材にアライメントテーブルと吸着板の貫通孔を通してシートのアライメントマーク位置を認識するように位置調整可能に設けたカメラと、支持部材にカメラからのアライメントマーク位置情報に基づいてアライメントテーブルをX方向、Y方向、旋回方向へ移動させるように設けた制御装置を備え、仮接合装置に、支持部材に対してアライメントテーブルと吸着板の貫通孔を通して孔開口部へ向けて昇降可能に設けた加熱コテを備えてなることにある。
【0014】
請求項9に記載された発明の構成は、請求項6に記載の発明において、積層ステーションに固定的に支持されている支持部材を設け、プレス装置に、支持部材に対してピストンロッドを下向きにして固着した油圧シリンダと、支持部材に対して昇降可能に支持されてピストンロッドに連結されている昇降体と、昇降体に固着されてヒータを内蔵している上型と、昇降体に対して上型の側方の全周と上型の上方を囲むように昇降可能に設けた吸引ケースと、吸引ケースの内部空間から空気を吸引可能な真空装置を備え、昇降体を下降させると途中で吸引ケースが第二昇降テーブルに当接して下降が停止されると共に吸引ケース内を気密に閉鎖することにある。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明は、シートを仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションでシートのアライメントマーク位置を認識してその位置情報に基づいてシートを位置決めし、その後、次のシートを仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションでそのシートを位置決めした後、先に位置決めしたシートに積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、その後、仮接合されたシートを積層ステーションに搬送し、積層ステーションで仮接合状態のシートを加熱すると共に加圧して熱圧着することを特徴とするので、シートを正確に位置決めして積層できると共にその位置関係を維持した状態で一体的に積層でき、シート積層体の積層精度を高精度にできてシート積層体の品質を高くすることができる。また、積層ステーションでシートを熱圧着している間に、仮接合ステーションで次のシートを位置決めし、その位置決めしたシートを先に熱圧着されたシートに積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、その後、仮接合されたシートを積層ステーションに搬送して熱圧着することを特徴とするので、シートを位置決め(アライメント)して仮接合する動作とシートを加圧して熱圧着するプレス動作とを同時並行処理することができ、シート積層体製造のタクトタイムを短縮することができて生産性を高くできる。
【0016】
請求項2の発明は、シートを仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションでシートのアライメントマーク位置を認識してその位置情報に基づいてシートを位置決めし、その後、次のシートを仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションでそのシートを位置決めした後、先に位置決めしたシートに積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、以後これらの動作を繰返して複数枚のシートを仮接合し、その後、仮接合された複数枚のシートを積層ステーションに搬送し、積層ステーションで仮接合状態の複数枚のシートを加熱すると共に加圧して熱圧着することを特徴とするので、複数枚のシートを正確に位置決めして積層できると共にその位置関係を維持した状態で一体的に接合でき、シート積層体の積層精度を高くできる。また、積層ステーションでシートを熱圧着している間に、仮接合ステーションで次のシートを位置決めし、その位置決めしたシートを先に熱圧着した複数枚のシートに積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、この動作を繰返して複数枚のシートを熱圧着されたシートに仮接合し、以後これらの動作を繰返し、複数枚のシートを熱圧着して一体的に積層されたシート積層体を製造することを特徴とするので、複数枚のシートのアライメント動作および仮接合と複数枚のシートの加圧および熱圧着のプレス動作を同時並行処理することができ、シート積層体製造のタクトタイムを短縮することができて生産性を高くできる。
【0017】
請求項3の発明は、複数枚のシートを順次仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションで、シートのアライメントマーク位置情報に基づいてシートを位置決めした後、その位置決めしたシートを先に位置決めされて仮接合されているシートに積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、以後これらの動作を繰返して複数枚のシートを仮接合し、その後仮接合状態の複数枚のシートを積層ステーションに搬送し、積層ステーションで、仮接合状態の複数枚のシートを加熱すると共に加圧して熱圧着し、複数枚のシートを熱圧着して一体的に積層されたシート積層積層体を製造することを特徴とするので、複数枚のシートを正確に位置決めして積層できると共にその位置関係を維持した状態で一体的に接合でき、シート積層体の積層精度を高くでき、また、仮接合状態の複数枚のシートを積層ステーションに搬送し、積層ステーションで、仮接合状態の複数枚のシートを加熱すると共に加圧して熱圧着してシート積層体を製造することを特徴とするので、複数枚のシートの仮接合動作と複数枚のシートのプレス動作を同時並行処理することができ、シート積層体製造のタクトタイムを短縮することができて生産性を高くできる。
【0018】
請求項4の発明によれば、位置保持状態のシートの上面に位置決めしたシートを効率良く積層して正確に仮接合でき、シート積層体を効率よく製造できる。
【0019】
請求項5の発明によれば、フイルム付シートであっても、そのフイルムを剥離して複数枚のシートを正確に位置決めして仮接合でき、シート積層体の積層精度を高くできる。
【0020】
請求項6の発明によれば、シートを仮接合ステーションに搬送して位置決めした後、先に位置きめしたシートに積層すると共に部分的に加熱して仮接合することや、仮接合したシートを積層ステーションに搬送して加熱すると共に加圧して熱圧着することができ、複数枚のシートを一体的に積層したシート積層体を機械的に製造できる。
【0021】
請求項7の発明によれば、シートを仮接合ステーションと積層ステーションに簡易な機構で高率良く搬出入できる。
【0022】
請求項8の発明によれば、仮接合ステーションに搬送したシートの上面を吸着して正確に位置決めした後、そのシートを下方に搬送された別のシートに容易に仮接合でき、複数枚のシートを簡易な機構で効率良く仮接合できる。
【0023】
請求項9の発明によれば、積層ステーションに搬送した複数枚の積層シートを大気圧より低い真空領域内で加熱および加圧して熱圧着することができ、積層シートを急速に加圧しても積層シートのシート相互間に気泡が残るのを防止でき、シート積層体の製造効率を良くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明に係るシート積層体の製造装置、およびシート積層体の製造方法の一実施形態について、図面にしたがって詳細に説明する。
【0025】
図1、図2は、シート積層体の製造装置を示したものであり、シート積層体の製造装置(以下、単に積層装置という)41は、シートを1枚ずつ搬入するための搬入ステーション2と、搬送されたシートを積層して先のシートに仮接合するための仮接合ステーション3と、仮接合した積層シートを加熱すると共に加圧して熱圧着するための積層ステーション4と、熱圧着されたシート積層体を搬出するための搬出ステーション5とが、一列に順に配置されている。
【0026】
また、積層装置41の支持板42の上には、搬入ステーション2と仮接合ステーション3の間を往復移動可能な第一搬送装置6と、仮接合ステーション3と積層ステーション4の間を往復移動可能な第二搬送装置7と、積層ステーション4と搬出ステーション5の間を往復移動可能な第三搬送装置8とが設けられている。図3は、第一搬送装置6および第二搬送装置7を示したものであり、第一搬送装置6には、セラミックグリーンシート(以下、単にシートという)1の下面を吸着保持可能な第一昇降テーブル9が設けられており、第二搬送装置7には、同様にシートの下面を吸着保持可能な第二昇降テーブル10が設けられている。一方、第三搬送装置8には、シートの四隅際を保持して搬出ステーション5から外部へシートを搬出するための保持手段11が設けられている。
【0027】
上記した第一搬送装置6、第二搬送装置7は、直線状で平行に配置された一対の案内レール17と、案内レール17の上にスライド可能に載置されている台車6A,7Aと、第一搬送装置6、第二搬送装置7の下側にそれぞれ支持板42に固定された一対の支承板18A,19Aによって支承されて案内レール17と平行に配置されると共に、第一搬送装置6、第二搬送装置7の台車6A,7Aに螺合されているねじ軸18,19と、支持板42に固定配置されてねじ軸18,19の端部に連結されているサーボモータ18B,19Bとを備えている。第一搬送装置6の台車6Aと第二搬送装置7の台車7Aには、それぞれ第一昇降テーブル9と第二昇降テーブル10を昇降させるための前後一対の昇降シリンダ9A,10Aと第一昇降テーブル9と第二昇降テーブル10の昇降を案内するための図示しない案内手段が取着されている。また、第一搬送装置6の第一昇降テーブル9には、第一昇降テーブル9上に載置されたシートを位置決めするための前後一対の位置決めシリンダ9B,9C(図2に記載)が付設されている。一方の位置決めシリンダ9Bは、シートを位置決めするストッパを前後移動させるものであり、他方の位置決めシリンダ9Cはシートをストッパに当接するように押すためのものである。また、第一昇降テーブル9と第二昇降テーブル10には、金枠等の枠に張り付けたシートを用いる場合に、金枠等の4角部分を昇降させるための4個の枠昇降シリンダ(図示省略)が内蔵され、シートを上方に位置する後述のアライメントテーブルの吸着板に受け渡す際に金枠等を押し上げて確実に吸着板に受け渡すようになっている。支持板42の上には、第二搬送装置7の台車7Aを仮接合ステーション3において正確な位置に停止させるための位置決めセンサ60が設けられている。そして、案内レール17の内、ねじ軸18側の部分が、第一昇降テーブル9を搬入ステーション2と仮接合ステーション3とに往復案内する第一案内レール20として機能し、ねじ軸19側の部分が、第二昇降テーブル10を仮接合ステーション3と積層ステーション4とに往復案内する第二案内レール21として機能するようになっている。
【0028】
また、仮接合ステーション3においては、支持板42の上に4本の支柱22,22・・が立設され、それらの各支柱22の上端部に支持部材43が水平に固着されている。そして、その支持部材(フレーム)43には、シート1に予め付されたアライメントマークの位置に関する情報に基づいてシート1を位置決めするためのアライメント装置12が設けられている。図4、図5は、アライメント装置12の設置部位を示したものであり、アライメント装置12は、支持部材43の下面に固着された中空の取付基板12Aと、取付基板12Aの下側に水平面内で移動可能に取り付けられているアライメントテーブル23を備えている。アライメントテーブル23は、特開2000−98631号公報等に記載されているように、取付基板12Aに設けた従来公知の機構により、制御装置26による指令に基づいて、水平面内でX方向、Y方向、旋回方向(θ方向)へ移動可能になっている。支持部材43と取付基板12Aの上面には中央部分に大きな開口部43C,12Cが設けられている。
【0029】
さらに、アライメントテーブル23は、中央部分に大きな開口部23Aを備え、その下面には開口部23Aを塞ぐように、シートの上面を吸着保持するための吸着保持板24が設けられている。吸着保持板24には、その下面のシートを吸着する領域の縁部の一部を除いた位置に吸引可能な多孔質材料からなる略四角形の吸着板24Aが面一になるように固着され、その吸着板24Aの上側に位置する内部には吸引室24Bが設けられ、吸着保持板24の上面に吸引室24Bの真空吸引と真空破壊を行うための複数本の吸引管24Cが連結されている。また、吸引保持板24には、複数本の金枠に張り付けたシートを用いる場合のために、シートを吸引する領域の側方の複数箇所に、金枠を吸着可能な磁石24Dが埋設されると共に、それらの磁石に吸引された金枠を離脱させるための複数のピンシリンダ24Eが下向きに配置されている。また、吸引保持板24には、シートを吸着する領域の縁部の一部に、4個の貫通孔36,36・・と、後に示す仮接合のための4個の貫通孔26,26・・とが穿設されている。各貫通孔36の内部には、それぞれ、シート1に付されたアライメントマークを認識するためのカメラ(CCDカメラ)25,25・・が、支持部材43の上面に取着された支持ブラケット25Aによって支持されることで、位置調整可能に設置されている。
【0030】
また、アライメントテーブル23の上方には、位置決めしたシート1を先に位置決めされたシートの上面に仮接合可能な仮接合装置13が設けられている。そして、仮接合装置13においては、支持部材43の上面に取着された支持ブラケット13Aに、仮接合手段としての4個の電熱コテ14,14・・が下向きに昇降可能に設けられている。かかる電熱コテ14,14・・は、アライメントテーブル23の開口部23Aおよび吸着保持板24に穿設された貫通孔26,26・・を通って孔開口部27から出没可能になっている。
【0031】
一方、積層ステーション4においては、基板42の上に4本の支柱28,28・・が立設され、それらの各支柱28の上端部に支持部材(フレーム)28Aが固着されている。そして、その支持部材28Aには、仮接合された第二昇降テーブル9の上の積層シートを加熱可能な加熱装置15を備えて加熱した積層シートを上側から加圧可能なプレス装置16が設けられている。
【0032】
図6は、加熱装置15、プレス装置16の設置部位を示したものであり、プレス装置16には、ピストンロッド30を下向きにして支持部材28Aの上面に固着した油圧シリンダ29と、支持部材28Aに固着された一対の案内ブッシュ28B,28Bによって昇降自在に案内される一対の案内ロッド31Aと、案内ロッド31Aの下端部に固着されると共に油圧シリンダ29のピストンロッド30に連結されている昇降体31を備えている。そして、その昇降体31には、ヒータ32を内蔵した上型33が支持体33Aを介して固着されている。
【0033】
また、昇降体31には、左右一対の昇降ロッド34Aを案内する一対の案内ブッシュ31Bが固定され、昇降ロッド34Aの下端部に吸引ケース34が設けられており、降下位置において、上型33の側方の全周と上型33の上方を囲むようになっている。吸引ケース34の上壁に設けた嵌合孔34Bは上型33の支持体33Aに気密に上下摺動自在に嵌合され、吸引ケース34の下降は図示しないストッパにより阻止されている。また、吸引ケース34は、チューブ35Aによって、基板42の下側に設置された真空装置35に接続されており、内部から空気を吸引して真空にしたり真空破壊したりすることができるようになっている。そして、昇降体31が下降すると、その下降の途中で、吸引ケース34が第二昇降テーブル9に当接して吸引ケース34の下降が停止されると共に気密にシールされ、吸引ケース34の内部が脱気した状態で保たれるようになっている。第三搬送装置8は、積層ステーション4の側方に互いに水平に配設された第三案内レール44と空気圧作動のロッドレスシリンダ44Aを備えており、第三案内レール44に案内されてロッドレスシリンダ44Aによって水平移動される移動体44Bに、積層ステーション4に移動された状態で積層ステーション4の第二搬送装置7の上方へ張り出すように保持手段11を設けて構成してある。保持手段11は、熱圧着されたシート積層体の上面を空気吸引により吸着可能な吸着手段を備えている。また、保持手段11は、金枠等に張り付けたシートを使用する場合のために、第二昇降テーブル10に設けた枠昇降シリンダによって僅かに上昇させた状態の金枠等の左右の縁部の下方へ出没可能な係止部材を備え、金枠等の左右の縁部を持ち上げて搬送するようになっている。
【0034】
以下、上記の如く構成された積層装置41を用いたシート積層体の製造方法の一例について説明する。なお、以下の説明は、シートの位置決め→仮接合→熱圧着という一連の動作を1枚のシート毎に繰り返すことによって、最終的に必要な枚数(たとえば、40枚)のシートを積層したシート積層体を製造する方法についてのものである。
【0035】
シート1は、所定の大きさの矩形に切断され、予め、所定のパターンをもって電気的要素を構成する材料膜(たとえば、内部電極)が印刷等により形成されている。また、シート1の四隅際には、位置決め用のアライメントマークが印刷されている。かかるシート1は、搬入ステーション2まで搬送されて、第一搬送装置6の上の第一昇降テーブル9上に載置される。第一昇降テーブル9上にシート1が載置されると、位置決めシリンダ9B,9Cが作動してシート1が位置決めされた後、第一昇降テーブル9の外周際に設けられた吸引孔(図示せず)から吸引が行われることによって、シート1の下面が第一昇降テーブル9上に固定される。そして、シート1が第一昇降テーブル9上に載置された後には、第一搬送装置6が第一案内レール20に沿って仮接合ステーション3まで搬送される(図1における右側へスライドする)。なお、第一搬送装置6の台車6Aの移動位置は、ねじ軸18の回転によって規制される。
【0036】
上述の如くシート1を吸着保持した第一搬送装置6がスライドすることによって仮接合ステーション3に搬送されると、昇降シリンダ9Aが作動して第一昇降テーブル9が上昇し、アライメント装置12の下端に設けられた吸着板24Aとシート1を介して当接する(すなわち、シート1が第一昇降テーブル9と吸着板24Aとによって軽くプレスされた状態になる)。そのようにシート1が吸着板24Aと当接すると、吸着板24Aの下面全体から吸引が行われることによって、シート1の上面が吸着板24Aに固定される。また、それと同時に、第一昇降テーブル9がシート1の吸引を停止することによって、シート1が第一昇降テーブル9から吸着板24Aへと受け渡される。シート1が吸着板24Aへ受け渡されると、第一昇降テーブル9が最下位置まで下降を開始すると同時に、第一搬送装置6が第一案内レール20に沿って搬入ステーション2まで移動する(図1における左側へスライドする)。
【0037】
また、シート1が吸着板24Aへ受け渡されると、吸着板24に内臓された4個のカメラ25,25・・が、シート1に付されたアライメントマークを認識する。そして、そのアライメントマークの位置情報に基づいて、アライメントテーブル23が制御装置26からの指令によりX方向、Y方向、旋回方向(θ方向)へ移動することによって、シート1が吸着板24Aとともに所定の位置に位置決めされる。
【0038】
一方、上記の如くシート1が位置決めされている間に、第二搬送装置7が第二案内レール21に沿って仮接合ステーション3まで移動して位置決めセンサ60によって正確な位置に停止される(図1における左側へスライドする)。なお、第二搬送装置7の移動は、ねじ軸19の回転によって規制される。そして、第二搬送装置7が仮接合ステーション3へ搬送されると、第二昇降テーブル10が上昇して、アライメント装置12の下端の吸着板24Aと、シート1を介して当接する(すなわち、シート1が第二昇降テーブル10と吸着板24Aとによって軽くプレスされた状態になる)。そのようにシート1が第二昇降テーブル10と当接すると、第二昇降テーブル10の外周際に設けられた吸引孔(図示せず)から吸引が行われることによって、シート1の下面が第二昇降テーブル10に固定される。また、それと同時に、吸着板24Aがシート1の吸引を停止することによって、シート1が吸着板24Aから第二昇降テーブル10へと受け渡される。なお、上述の如く、シート1は吸着板24A上で位置決めされているので、その位置決めされた状態を保ったまま、第二昇降テーブル10に受け渡される。シート1が第二昇降テーブル10へ受け渡されると、第二昇降テーブル10が最下位置に向けて下降すると共に第二搬送装置7が第二案内レール21に沿って積層ステーション4へ移動される。
【0039】
前記のように、1枚目のシート1が位置決めされて、第二昇降テーブル10に受け渡されるている間に、2枚目のシート(所定の大きさの矩形に切断されたシート)1が、搬入ステーション2まで搬送されて、第一搬送装置6上の第一昇降テーブル9上に載置され、1枚目のシート1と同様の方法で、位置決め、吸引固定され、第二搬送装置7が仮接合ステーション3から積層ステーション4へ移動し始めた後に仮接合ステーション3に搬送される。そして、1枚目のシート1と同様の方法で、吸着板24Aに受け渡されて、位置決めされる。
【0040】
上記の如く、2枚目のシート1が位置決めされている間に、一枚目のシート1を吸引固定した第二搬送装置7が、再度、第二案内レール21に沿って仮接合ステーション3まで移動する(図1における左側へスライドする)。そして、第二搬送装置7が仮接合ステーションへ移動して位置決め停止されると、第二昇降テーブル10が上昇して、2枚目のシート1と1枚目のシート1とを介して、吸着板24Aと当接する(すなわち、2枚のシート1,1が第二昇降テーブル10と吸着板24Aとによって軽くプレスされた状態になる)。さらに、そのように2枚のシート1,1が第二昇降テーブル10と吸着板24Aとによって軽くプレスされると、仮接合装置13の加熱状態の4個の電熱コテ14,14・・が下降して、2枚のシート1,1を所定の位置(四隅際)において仮接合させる(熱融着させる)。なお、2枚のシート1,1は、上述の如く、いずれも吸着板24A上において位置決めされているので、位置決めされた状態を保ったまま、仮接合される。
【0041】
そのように2枚のシート1,1が仮接合されると、第二昇降テーブル10の吸引孔(図示せず)から吸引が行われることによって、1枚目のシート1の下面が第二昇降テーブル10に固定されると同時に、吸着板24Aが2枚目のシート1の吸引を停止することによって、仮接合されたシート1,1が吸着板24Aから第二昇降テーブル10へと受け渡される。なお、上述の如く、2枚のシート1,1は位置決めされた状態で仮接合されているので、その位置決めされた状態を保ったまま、第二昇降テーブル10に受け渡される。
【0042】
そして、2枚のシート1,1が位置決めされた状態で第二昇降テーブル10へ受け渡されると、第二昇降テーブル10が最下位置まで下降を開始すると同時に、第二搬送装置7が第二案内レール21に沿って積層ステーション4まで移動する(図1における右側へスライドする)。第二搬送装置7が積層ステーション4へ搬送されると、プレス装置16の油圧シリンダ29の作動によって、ヒータ32によって加熱された上型33と吸引ケース34を設けた昇降体31が下降する。そして、吸引ケース34の下端の正方形状の周縁が第二昇降テーブル10の上面と当接することによって、吸引ケース34内が外部と気密に遮断される。なお、吸引ケース34内の気密性を高めるには、吸引ケース34の下端にシール材を付設するのが好ましい。さらに、その状態において、真空装置35によって吸引ケース34内の空気が吸引される。また、前記のように昇降体31が下降されると、吸引ケース34が第二昇降テーブル10に当接した後も昇降体31が更に下降することにより、ヒータ32によって加熱された上型33が下降して、第二昇降テーブル10と当接する(第二昇降テーブル10上に吸引固定された仮接合後の2枚のシート1,1を介して当接する)。しかる後、所定の圧力が加えられることによって、2枚のシート(仮接合後のシート)1,1が熱圧着される(位置決めされた状態を保ったまま、熱圧着される)。そして、2枚のシート1,1が熱圧着されると、吸引ケース34内に空気が充填されて真空破壊された後に、吸引ケース34と上型33とが最上位置まで上昇する。
【0043】
一方、そのように1枚目のシートと2枚目のシートとが熱圧着されている間に、3枚目のシート(所定の大きさの矩形に切断されたシート)1が、搬入ステーション2まで搬送されて、第一搬送装置6上の第一昇降テーブル9上に載置され、1,2枚目のシートと同様の方法で、吸引固定された後に仮接合ステーション3に搬送される。そして、1,2枚目のシート1,1と同様の方法で、吸着板24Aに受け渡されてアライメントされ、位置決めされる。
【0044】
また、3枚目のシート1が位置決めされている間に、熱圧着された1,2枚目のシート1,1を吸引固定した第二搬送装置7が、再度、第二案内レール21に沿って仮接合ステーション3まで移動する(図1における左側へスライドする)。そして、第二搬送装置7が仮接合ステーション3まで移動して位置決めされると、第二昇降テーブル10が上昇して、1,2枚目のシート(熱圧着されたシート)1,1と3枚目のシート1とを介して、吸着板24Aと当接する。さらに、そのように3枚のシート1,1,1が第二昇降テーブル10と吸着板24Aとによって軽くプレスされると、仮接合装置13の4個の電熱コテ14,14・・が下降することにより、1,2枚目のシート1,1と3枚目のシート1とを所定の位置(四隅際)において仮接合させる(熱融着させる)。なお、3枚のシート1,1,1は、上述の如く、いずれも吸着板24上で位置決めされているので、位置決めされた状態を保ったまま、仮接合される。
【0045】
そのように3枚のシートが仮接合されると、それらの3枚のシート1,1,1が吸着板24Aから第二昇降テーブル10へ受け渡され、第二昇降テーブル10が積層ステーション4までスライドする。そして、1,2枚目のシート1,1を熱圧着したときと同様の工程によって、吸引ケース34内を脱気した状態の下で、加熱された上型33によって3枚のシート(仮接合された3枚のシート)1,1,1が熱圧着される。
【0046】
そして、上記したような搬入→位置決め→仮接合→熱圧着を所定回数だけ繰り返すことによって、最終的に必要な枚数のシート1,1・・を積層したシート積層体が形成される。しかる後、形成されたシート積層体は、第三搬送装置8に設けられた保持手段11に保持された状態で、積層ステーション4から搬出ステーション5へと搬出される。なお、第三搬送装置8は、第一搬送装置6、第二搬送装置7と同様に、第三案内レール44に導かれて、積層ステーション4と搬出ステーション5との間を移動可能になっている。
【0047】
積層装置41による上記の如きシート積層体の製造方法によれば、各シート1,1・・を正確に位置決めして積層できると共にその位置関係を維持した状態で一体的に積層でき、シート積層体の積層精度を高精度にできてシート積層体の品質を高くすることができる。また、各シート1,1・・を位置決め(アライメント)して仮接合する動作とシート加圧して熱圧着するプレス動作と同時並行処理することができ、シート積層体製造のタクトタイムを短縮することができるため、きわめて生産性が高い。
【0048】
また、積層装置41は、シート1を仮接合ステーション3に搬送して位置決めした後、先に位置きめしたシート1に積層すると共に部分的に加熱して仮接合することや、仮接合したシート1を積層ステーション4に搬送して加熱すると共に加圧して熱圧着することができ、複数枚のシート1,1・・を一体的に積層したシート積層体を機械的に製造することができる。
【0049】
なお、本発明のシート積層体の製造方法、およびシート積層体の積層装置の構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、搬入ステーション、仮接合ステーション、積層ステーション、搬出ステーション、第一搬送装置、第二搬送装置、第三搬送装置、アライメント装置、仮接合装置、加熱装置、プレス装置、第一案内レール、第二案内レール、第三案内レール等の形状・構造等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0050】
たとえば、本発明のシートの積層方法は、上記の如く、1枚のシート毎に位置決め→仮接合→熱圧着を繰り返すことによって、最終的に必要な枚数のシートを積層したシート積層体を形成する方法に限定されず、所定の枚数(たとえば、10枚)になるまで1枚ずつの位置決め→仮接合を繰り返してシート積層体(所定枚数の積層体)を形成した後に、それらのシート積層体同士を熱圧着し、しかる後に、1枚毎のシート位置決め、仮接合、熱圧着を繰り返し、最終的に必要な枚数のシートを積層したシート積層体を形成する方法に変更することも可能である。かかる積層方法を採用した場合でも、上記実施形態の如き積層方法と同様に、複数枚のシートを正確に位置決めして積層できると共に、その位置関係を維持した状態で一体的に接合でき、シート積層体の積層精度を高くすることができる。加えて、複数枚のシートのアライメント動作および仮接合と複数枚のシートの加圧および熱圧着のプレス動作を同時並行処理することができ、シート積層体製造のタクトタイムを短縮することができて生産性を高くすることができる。
【0051】
加えて、本発明のシートの積層方法は、最終的に必要な枚数になるまで1枚ずつの位置決め→仮接合を繰り返して、最終的に必要な枚数を積層したシート積層体を形成した後に、そのシート積層体を熱圧着する積層方法に変更することも可能である。かかる積層方法を採用した場合でも、上記実施形態の如き積層方法と同様に、複数枚のシートを正確に位置決めして積層できると共にその位置関係を維持した状態で一体的に接合でき、シート積層体の積層精度を高くすることができる。加えて、複数枚のシートの仮接合動作と複数枚のシートのプレス動作を同時並行処理することができ、シート積層体製造のタクトタイムを短縮することができて生産性を高くすることができる。また、シートがフイルム付きシートである場合には、特許第2727739号公報や特開平8−244019号公報等に開示されている公知のフイルム剥離手段を用いて、シートからフイルムを剥離することが必要であるが、本発明においては、フイルム付きシートを仮接合ステーションに搬送するに先立ってシートからフイルムを剥離し、仮接合ステーションで、フイルムを剥離した状態のシートを位置決めするので、フイルム剥離に伴うシートの位置ズレを防止することができる。
【0052】
また、本発明のシートの積層方法は、仮接合ステーションにシートを搬入するまでは、シートを保護用のフイルムで被覆してフィルム付きシートとしておき、仮接合ステーションにおいて、シートからフイルムを剥離し、フイルムを剥離した状態のシートを位置決めするように構成することも可能である。かかる構成を採用した場合には、シートに粉塵が付着する事態を防止し、電気特性の優れたシート積層体を製造することができる、というメリットがある。
【0053】
また、積層装置は、アライメントマークを認識するためのカメラが4個設置されたものに限定されず、3個以下のカメラを設けることも可能であるし、5個以上のカメラを設けることも可能である。また、仮接合させるための手段は、電熱コテに限定されず、その他の手段を用いることも可能である。加えて、電熱コテの設置個数も4個に限定されず、3個以下であっても良いし、5個以上とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】シート積層体製造装置の正面を示す説明図である。
【図2】シート積層体製造装置を上から見た状態を示す説明図である。
【図3】第一搬送装置、第二搬送装置を示す斜視図である。
【図4】アライメント装置を上から見た状態を示す説明図である。
【図5】アライメント装置の鉛直断面を示す説明図である。
【図6】加熱装置、プレス装置の設置部位を示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1・・シート、2・・搬入ステーション、3・・仮接合ステーション、4・・積層ステーション、5・・搬出ステーション、6・・第一搬送装置、7・・第二搬送装置、8・・第三搬送装置、9・・第一昇降テーブル、10・・第二昇降テーブル、11・・保持手段、12・・アライメント装置、13・・仮接合装置、14・・電熱コテ、15・・加熱装置、16・・プレス装置、20・・第一案内レール、21・・第二案内レール、23・・アライメントテーブル、24・・吸着板、25・・カメラ、26・・制御装置、27・・孔開口部、28A・・フレーム(支持部材)、29・・油圧シリンダ、30・・ピストンロッド、31・・昇降体、32・・ヒータ、33・・上型、34・・吸引ケース、35・・真空装置、41・・積層装置、43・・支持部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のセラミックシートを積層してなるシート積層体の製造方法であって、
シートを仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションでシートのアライメントマーク位置を認識してその位置情報に基づいてシートを位置決めし、その後、次のシートを仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションでそのシートを位置決めした後、先に位置決めしたシートに積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、その後、仮接合されたシートを積層ステーションに搬送し、積層ステーションで仮接合状態のシートを加熱すると共に加圧して熱圧着し、積層ステーションでシートを熱圧着している間に、仮接合ステーションで次のシートを位置決めし、その後、位置決めしたシートを先に熱圧着されたシートに積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、その後、仮接合されたシートを積層ステーションに搬送して熱圧着し、以後これらの動作を繰返し、複数枚のシートを熱圧着して一体的に積層されたシート積層体を製造することを特徴とするシート積層体の製造方法。
【請求項2】
複数枚のセラミックシートを積層してなるシート積層体の製造方法であって、
シートを仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションでシートのアライメントマーク位置を認識してその位置情報に基づいてシートを位置決めし、その後、次のシートを仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションでそのシートを位置決めした後、先に位置決めしたシートに積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、以後これらの動作を繰返して複数枚のシートを仮接合し、その後、仮接合された複数枚のシートを積層ステーションに搬送し、積層ステーションで仮接合状態の複数枚のシートを加熱すると共に加圧して熱圧着し、積層ステーションでシートを熱圧着している間に、仮接合ステーションで次のシートを位置決めし、その位置決めしたシートを先に熱圧着した複数枚のシートに積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、この動作を繰返して複数枚のシートを熱圧着されたシート積層体を製造することを特徴とするシート積層体の製造方法。
【請求項3】
複数枚のセラミックシートを積層してなるシート積層体の製造方法であって、
複数枚のシートを順次仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションで、シートのアライメントマーク位置情報に基づいてシートを位置決めした後、その位置決めしたシートを先に位置決めされて仮接合されているシートに積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、以後これらの動作を繰返して複数枚のシートを仮接合し、その後仮接合状態の複数枚のシートを積層ステーションに搬送し、積層ステーションで、仮接合状態の複数枚のシートを加熱すると共に加圧して熱圧着し、複数枚のシートを熱圧着して一体的に積層されたシート積層体を製造することを特徴とするシート積層体の製造方法。
【請求項4】
シートの下面を吸着保持した状態で仮接合ステーションに搬送し、仮接合ステーションで、シートの上面を吸着保持した状態でシートを位置決めした後、その位置決めしたシートを先に位置決めされて下面を吸着保持されているシートの上側に積層すると共に部分的に加熱して仮接合し、その後、仮接合したシートの下面を吸着保持した状態で積層ステーションに搬送し、積層ステーションで、仮接合状態のシートを上下側から加熱すると共に加圧して熱圧着することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のシート積層体の製造方法。
【請求項5】
シートをフイルム付シートとし、そのフイルム付シートを仮接合ステーションに搬送するに先立ってシートからフイルムを剥離し、仮接合ステーションで、フイルムを剥離した状態のシートを位置決めすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のシート積層体の製造方法。
【請求項6】
複数枚のセラミックシートを積層してなるシート積層体の製造装置であって、
シートを1枚ずつ搬入する搬入ステーションと、搬送されたシートを積層して先のシートに仮接合する仮接合ステーションと、仮接合した積層シートを加熱すると共に加圧して熱圧着する積層ステーションと、熱圧着したシート積層体を搬出する搬出ステーションを備え、シートの下面を吸着保持可能な第一昇降テーブルを備えて搬入ステーションと仮接合ステーションを往復移動可能な第一搬送装置と、シートの下面を吸着保持可能な第二昇降テーブルを備えて仮接合ステーションと積層ステーションを往復移動可能な第二搬送装置と、シートを保持可能な保持手段を備えて積層ステーションと搬出ステーションを往復移動可能な第三搬送装置を設け、仮接合ステーションにシートの上面を吸着保持した状態でシートのアライメントマーク位置情報に基づいてシートを位置決め可能なアライメント装置と位置決めしたシートを第二昇降テーブル上の先のシートの上面に電熱コテにて仮接合可能な仮接合装置を設け、積層ステーションに仮接合されている第二昇降テーブルの上の積層シートを加熱可能な加熱装置を備えてその積層シートを上側から加圧可能なプレス装置を設けてなるシート積層体の製造装置。
【請求項7】
搬入ステーションと仮接合ステーションと積層ステーションを一列状に順に配置し、第一搬送装置に第一昇降テーブルを搬入ステーションと仮接合ステーションに往復案内可能な第一案内レールを設け、第二搬送装置に第二昇降テーブルを仮接合ステーションと積層ステーションに往復案内可能な第二案内レールを設け、第一案内レールと第二案内レールを共通の直線状の案内レールで構成してなる請求項6記載のシート積層体の製造装置。
【請求項8】
仮接合ステーションに固定的に支持されている支持部材を設け、アライメント装置に、支持部材に対して水平面内でX方向、Y方向、旋回方向へ移動可能に設けたアライメントテーブルと、アライメントテーブルにシートの上面を吸着保持可能に設けた吸着板と、支持部材にアライメントテーブルと吸着板の貫通孔を通してシートのアライメントマーク位置を認識するように位置調整可能に設けたカメラと、支持部材にカメラからのアライメントマーク位置情報に基づいてアライメントテーブルをX方向、Y方向、旋回方向へ移動させるように設けた制御装置を備え、仮接合装置に、支持部材に対してアライメントテーブルと吸着板の貫通孔を通して孔開口部へ向けて昇降可能に設けた加熱コテを備えてなる請求項6記載のシート積層体の製造装置。
【請求項9】
積層ステーションに固定的に支持されている支持部材を設け、プレス装置に、支持部材に対してピストンロッドを下向きにして固着した油圧シリンダと、支持部材に対して昇降可能に支持されてピストンロッドに連結されている昇降体と、昇降体に固着されてヒータを内蔵している上型と、昇降体に対して上型の側方の全周と上型の上方を囲むように昇降可能に設けた吸引ケースと、吸引ケースの内部空間から空気を吸引可能な真空装置を備え、昇降体を下降させると途中で吸引ケースが第二昇降テーブルに当接して下降が停止されると共に吸引ケース内を気密に閉鎖することを特徴とする請求項6記載のシート積層体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−149883(P2007−149883A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340884(P2005−340884)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000241588)豊和工業株式会社 (230)
【Fターム(参考)】