説明

ジヒドロネペタラクタムおよびそのN−置換誘導体

ジヒドロネペタラクタムおよびそのN−置換誘導体は、金属化(metallated)ラクタムのアルキル化によって調製される。ジヒドロネペタラクタムおよびそのN−置換誘導体は、昆虫忌避剤として実用性を有する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2004年12月29日出願の米国仮特許出願第60/640,129号、および2004年12月29日出願の米国仮特許出願第60/640,130号の利益を請求し、その各々は、すべての目的のために、その全体が本明細書の一部として取り込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、昆虫および節足動物に対する忌避剤として有用である、ジヒドロネペタラクタムおよびそのN−置換誘導体に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒト−昆虫ベクター接触(insect vector contact)を低減させる手段として地球規模で昆虫忌避剤が用いられており、これにより、昆虫刺傷に関連する一般的な不快感、ならびにベクター媒介疾患伝染の発症率を最小限にしている。市販の局所的昆虫忌避剤における、最もよく知られたおよび最も広く用いられている活性処方成分は、合成ベンゼン誘導体である、N,N−ジエチルトルアミド(DEET)である。
【0004】
ネペタ属の植物により分泌される精油の主成分およびイヌハッカ中の活性成分であるネペタラクトン(一般に図式的に式IIによって表されている)は、多様な昆虫に対して効果的な、天然忌避剤であることが知られている(非特許文献1)。
【0005】
【化1】

【0006】
(特許文献1)には、ネペタラクトン、ならびに個別のシス、トランス(Z,E)およびトランス、シス(E,Z)異性体のチャバネゴキブリに対する忌避性が開示されている。
【0007】
一定の昆虫によって分泌される薬品である、式Iによって図式的に表される、ジヒドロネペタラクトン(DHN)は、昆虫忌避活性を示すことが知られている。
【0008】
【化2】

【0009】
ジェフソン(Jefson)ら(非特許文献2)は、ミゾヒメアリ種のアリによる摂取によるDHNの忌避効果を記載している。より近年においては、ハラハン(Hallahan)(特許文献2)が、DHNは昆虫忌避剤としてDEETと好適に匹敵することを見出した。
【0010】
しかしながら、できるだけ広く多様な昆虫忌避剤の連続的な利用可能性に対して需要が残っており、ジヒドロネペタラクタム、およびその誘導体が昆虫および節足動物に対する忌避剤として有用であることが見出されてきた。
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,524,605号明細書
【特許文献2】国際公開第2003/079786号パンフレット
【非特許文献1】アイズナー(Eisner),T.、サイエンス(Science)(1964年)146:1318〜1320頁
【非特許文献2】化学生態学ジャーナル(J.Chemical Ecology)(1983年)9:159〜180頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態において、本発明は、一般に式(IV)によって図式的に表される化合物に関する。
【0013】
【化3】

【0014】
式中、Rは、(1)メチル以外のアルカン基、(2)アルケン基、(3)アルキン基、または(4)芳香族基である。
【0015】
本発明の他の形態は、(a)担体、および(b)一般に上記式IVで記載される化合物を包含する物質の組成物であり、式中、RはH、アルカン基、アルケン基、アルキン基、または芳香族基である。
【0016】
本発明のさらなる実施形態は、昆虫または節足動物を、一般に上記式IVで記載される化合物に暴露することによる昆虫または節足動物の忌避方法であり、式中、RはH、アルカン基、アルケン基、アルキン基、または芳香族基である。
【0017】
本発明のさらに他の実施形態は、ヒト、動物または無生(inanimate)宿主から昆虫および/または節足動物を忌避させるための、一般に上記式IVで記載される化合物の使用であり、式中、RはH、アルカン基、アルケン基、アルキン基、または芳香族基である。
【0018】
本発明のさらに他の実施形態は、一般に上記式IVで記載される化合物を組み込む製造物品であり、式中、RはH、アルカン基、アルケン基、アルキン基、または芳香族基である。
【0019】
本発明のさらに他の実施形態は、一般に上記式IVで記載される化合物から組成物を形成することによる、またはこの化合物を物品に組み込むことによる、昆虫忌避剤組成物、または昆虫忌避剤製造物品の製造方法であり、式中、RはH、アルカン基、アルケン基、アルキン基、または芳香族基である。
【0020】
本発明のさらに他の実施形態は、一般に上記式IVで記載される化合物から組成物を形成することによる、または物品に取り込むことによる、皮膚に適用される組成物、または芳香性製造物品の製造方法であり、式中、RはH、アルカン基、アルケン基、アルキン基、または芳香族基である。皮膚に適用される組成物は、芳香性または他の治療的特性を有してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、昆虫忌避剤として有用である、C〜C20N−置換ジヒドロネペタラクタムに基づく新規な化合物に関する。本発明は、また昆虫忌避剤として有用である、ジヒドロネペタラクタムおよびN−置換ジヒドロネペタラクタム、およびそれらの組成物にも関する。
【0022】
本発明は、式IVの構造により図式的に表される新規な化合物を提供する。
【0023】
【化4】

【0024】
式中、Rは(1)メチル以外のアルカン基、(2)アルケン基、(3)アルキン基、または(4)および芳香族基である。用語「アルカン」は、一般式C2n+2を有する飽和炭化水素を指す。用語「アルケン」は、1つ以上のC=C二重結合を含有する不飽和炭化水素を指し、および用語「アルキン」は、1つ以上の炭素−炭素三重結合を含有する不飽和炭化水素を指す。アルケンまたはアルキンは、最低2つの炭素を必要とする。環状化合物は、最低3つの炭素を必要とする。用語「芳香族」は、ベンゼンおよび、ベンゼンに化学挙動が似ている化合物を指す。
【0025】
本発明の実施においてRについての値として有用であるアルカニル、アルケニル、アルキニルまたは芳香族基のタイプには原理上はとくに制限はないが、商業的に実用されるであろうR置換基のサイズについて実際的な検討がなされるであろう。さらに、副反応を回避するために、R置換基中への高反応性官能基の組み込みは避けることが望ましい場合がある。
【0026】
式(IV)のRは(1)C〜C20アルカン、(2)C〜C20アルケン、(3)C〜C20アルキン、または(4)C〜C20芳香族であることが好ましい。より好ましくは、式(IV)のRは、(1)C、(2)C〜C20直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン(3)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなる、C〜C20直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、(4)非置換または置換されたC〜C20芳香族、ここで置換基が(a)場合によりCl、BrまたはFで置換されていてもよい、C〜C12直鎖、分岐もしくは環状アルカンもしくはアルケン、および(b)Cl、BrおよびFよりなる群から選択されるハロゲン、よりなる群から選択される、ならびに(5)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなる非置換または置換されたC〜C20芳香族、ここで置換基が(a)場合によりCl、BrまたはFで置換されていてもよい、C〜C12直鎖、分岐もしくは環状アルカンもしくはアルケン、および(b)Cl、BrおよびFよりなる群から選択されるハロゲン、よりなる群から選択される、よりなる群から選択される。
【0027】
他の実施形態において、Rは、(1)C、(2)C〜C12直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、および(3)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなるC〜C12直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケンよりなる群から選択される。他のより特定の実施形態において、Rは、非置換または置換フェニルであり得、ここで置換基は、(a)場合によりCl、BrまたはFで置換されていてもよい、C〜C12直鎖、分岐もしくは環状アルカンもしくはアルケン、および(b)Cl、BrおよびFよりなる群から選択されるハロゲン、よりなる群から選択される。Fで置換されたアルカンの例はCFである。
【0028】
Rの特に好ましい値としては、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−オクチル、トリメチルペンチル、シクロオクチル、アリル、プロパルギル、フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、n−プロピルフェニル、n−ブチルフェニル、t−ブチルフェニル、p−クロロフェニル、およびp−ブロモフェニルが挙げられる。
【0029】
式IVによって表される化合物は、ネペタラクタムのアルキル化、これに続く水素化によって、またはジヒドロネペタラクタムのアルキル化によって調製され得る。ネペタラクタムはネペタラクトンから調製され得る。ネペタラクトン二環状構造は、式IIa〜IIdの構造に示す4つの立体異性体のいずれかで存在することができる。
【0030】
【化5】

【0031】
ネペタラクトンが大量に存在しおよび容易に精製し得るため、ネペタ(キャットミント)植物葉の精油から抽出されるネペタラクトンは原料の好ましい供給源である。本発明の化合物への天然生成物からの望ましい経路を形成する。本願明細書において記載のとおり、ネペタラクトンの精油からの精製、および数々の立体異性体の相互の分離の両方について分留が効果的な方法であることが見出された。クロマトグラフィによる分離もまた好適である。
【0032】
列挙したネペタラクトンの立体異性体の最初の3つだけが、イヌハッカ植物の精油中に存在する。シス、トランス−ネペタラクトンが、イヌハッカ植物から分離され得る主な異性体であり、および従って、入手容易性から最も有用である。その精油がトランス、シス−およびシス、シス−ネペタラクトン異性体に富む他の植物種が特定されている。
【0033】
ラクタムは、環状エステルまたはラクトンの窒素類似体であり、およびラクタム、特にN−置換ラクタムは、一般に加水分解に対して、それらのラクトン対応物より安定である。アイゼンブラウン(Eisenbraun)ら[J.Org.Chem.(1988年)53:3968〜3972頁]によってネペタラクタムの合成が論証された。この方法によれば、ネペタラクトン(式II)が、無水アンモニア(反応Iを参照のこと)の存在下にネペタラクタム(式III)に転換された。
【0034】
【化6】

【0035】
ネペタラクタムは、触媒としてPd/Cの存在下での水素化によってジヒドロネペタラクタムに引き続いて転換された。
【0036】
メチル−置換ネペタラクタム(IIIa)が、ネペタラクトンおよびメチルアミンを用いて、反応IIに示されるように、(前述の)アイゼンブラウン(Eisenbraun)らによって合成された。
【0037】
【化7】

【0038】
N−メチルネペタラクタム(IIIa)は、次いでPd/C触媒の存在下に水素化されてN−メチルジヒドロネペタラクタムが産出された。
【0039】
(前述の)アイゼンブラウン(Eisenbraun)らによって用いられたN−メチルジヒドロネペタラクタムの合成に対する代わりのアプローチは、KOH、臭化テトラブチルアンモニウムおよびヨウ化メチルを用いるジヒドロネペタラクタムのアルキル化を含んだ。
【0040】
ネペタラクタムは、従って、反応IIIに示されるとおり、(前述の)アイゼンブラウン(Eisenbraun)らによって記載された方法に従ってシス、トランス−ネペタラクトン(式II)を無水アンモニアに接触させることにより、調製され得る。
【0041】
【化8】

【0042】
シス、トランス−ネペタラクトンの使用は、出発材料として好ましい。トランス、シス−ネペタラクトンを用いてもよいが、得られるN−置換ネペタラクタム生成物の立体構造は、カルボニル基に隣接する橋頭炭素でのシス、トランス型への立体化学構造のエピマー化によりシス、トランスである。
【0043】
N−置換ジヒドロネペタラクタムは、以下にそれぞれ反応IVおよびVに示されるとおり、ネペタラクタムのジヒドロネペタラクタムへの水素化、これに続くラクタム窒素のアルキル化またはネペタラクタムのアルキル化、これに続くN−置換ネペタラクタムの水素化によって合成される。
【0044】
ネペタラクタムの水素化は、好適な活性金属水素化触媒の存在下で達成され得る。水素化のため、普通許容される溶剤、触媒、装置および方法は、オーガスチン(Augustine)、合成化学者のための不均一系触媒作用(Heterogeneous Catalysis for the Synthetic Chemist)、マルセルデッカー(Marcel Decker)、ニューヨーク州ニューヨーク(New York,N.Y.)(1996年)に見出すことができる。水素化反応は、(前述の)アイゼンブラウン(Eisenbraun)らによって記載されるとおり実施され得、ここで、N−メチル−3,4−ジヒドロネペタラクタムは10%Pd/C触媒の存在下で水素と処理された。水素化反応はまた、ネペタラクトンの水素化に関する、すべての目的についてその全体が本明細書の一部に援用される国際公開第2003/084946号パンフレットに教示される方法に従って実施され得る。水素化の好適な方法はまた、米国特許第6,664,402号明細書、同6,673,946号明細書、および同6,686,310号明細書などの資料に記載されている。
【0045】
N−置換ジヒドロネペタラクタムは、反応IVに示されるとおり、ジヒドロネペタラクタム(式V)を、適切な金属水素化物と反応させてジヒドロネペタラクタム塩を形成し、引き続きジヒドロネペタラクタム塩を適切なアルキル化剤と接触させてN−置換ジヒドロネペタラクタム(式IV)を形成することにより、形成され得る。
【0046】
【化9】

【0047】
代わりに、N−置換ジヒドロネペタラクタムは、反応Vに示されるとおり、ネペタラクタムのアルキル化、これに続くN−置換ネペタラクタムの水素化により形成され得る。
【0048】
【化10】

【0049】
ジヒドロネペタラクタムのN−置換ジヒドロネペタラクタムへの転換は、約0℃〜約室温(約25℃)の温度で実施される。同様に、ネペタラクトンのN−置換ジヒドロネペタラクタムへの転換は、約0℃〜約室温の温度で実施される。
【0050】
金属水素化物が、ジヒドロネペタラクタムのアミド−金属塩の生成に用いられる。好適な金属水素化物としては、限定されないが、カリウム水素化物およびナトリウム水素化物が挙げられる。ラクタムのカルボニル基を減少させるであろう、リチウムアルミニウム水素化物などの極めて反応性の金属水素化物は、過度に反応性であり得、従って好ましさに劣る。
【0051】
ジヒドロネペタラクタム塩のN−アルキル化に好適であるアルキル化剤としては、アルカニル、アルケニル、アルキニルまたはアリール塩化物、臭化物、ヨウ化物、サルフェート、メシレート、トシレートおよびトリフレートが挙げられる。ヨウ化アルカニル、アルケニル、アルキニルまたはアリールがアルキル化剤として好ましい。
【0052】
好ましいアルキル化剤はまた、(1)C、(2)C〜C20直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、(3)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなる、C〜C20直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、(4)非置換または置換されたC〜C20芳香族、ここで置換基が(a)場合によりCl、BrまたはFで置換されていてもよい、C〜C12直鎖、分岐もしくは環状アルカンもしくはアルケン、ならびに(b)Cl、BrおよびFよりなる群から選択されるハロゲン、よりなる群から選択される、および(5)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなる非置換または置換されたC〜C20芳香族、ここで置換基が(a)場合によりCl、BrまたはFで置換されていてもよい、C〜C12直鎖、分岐もしくは環状アルカンもしくはアルケン、および(b)Cl、BrおよびFよりなる群から選択されるハロゲン、よりなる群から選択される、よりなる群から選択されるアルカニル、アルケニルまたはアリール基を含んでなる。
【0053】
他の実施形態において、好ましいアルキル化剤は、(1)C、(2)C〜C12直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、および(3)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなるC〜C12直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、よりなる群から選択されるアルカニルおよびアルケニル基を含んでなる。他の実施形態において、好ましいアリール基は、非置換または置換フェニルであって、(a)場合によりCl、BrまたはFで置換されていてもよい、C〜C12直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、および(b)Cl、BrおよびFよりなる群から選択されるハロゲンよりなる群から置換基が選択されるものである。
【0054】
N−アルキル化反応において用いられる溶剤は無水物でなければならず、およびテトラヒドロフラン(THF)、エチルエーテル、ジメトキシエチルエーテルまたはジオキサンなどのいずれかの好適な無水溶剤であり得る。
【0055】
アルキル化反応は、約10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液の添加により急冷され、および反応混合物はジクロロメタンで抽出され、および無水硫酸ナトリウムで乾燥される。減圧下での溶剤の除去により、粗N−置換ネペタラクタム生成物が生成され、これは、シリカゲルの、溶離液として酢酸エチル/ヘキサンを用いるカラムクロマトグラフィーにより精製され得る。分画が、溶離液として25%酢酸エチル/ヘキサンが用いられる薄層クロマトグラフィ(TLC)により監視される。この標準的な技術は、スティル(Still)、カーン(Kahn)およびミルタ(Mitra)[J.Org.Chem.(1978年)43:2923〜2925頁]によって記載されている。
【0056】
N−置換ジヒドロネペタラクタムを含有するカラムクロマトグラフィーにより得られる分画が組み合わされ得、および溶剤が減圧下に除去されて精製されたN−置換ジヒドロネペタラクタム生成物が生成される。生成物は、Hおよび13C NMR技術によって分析され得、構造的同一性が確認される。
【0057】
N−アリールジヒドロネペタラクタムはまた、チャン(Chan)[テトラヒドロンレターズ(Tetrahedron Letters)(1996年)37:9013〜9016頁]によって記載された方法に従って、Cu(OAc)およびトリエチルアミンの存在下でジヒドロネペタラクタムを適切なトリアリールビスムタン(反応VIにおける式VI)と反応させて、N−アリールジヒドロネペタラクタム(反応VIにおける式VII)を形成することにより調製され得る。
【0058】
【化11】

【0059】
式中、Arは、上記において式IVについて定義したとおり、非置換または置換芳香族基である。
【0060】
上記構造IIa〜IIdの観点において、本願明細書に記載の化合物は、立体異性、場合によって鏡像異性およびジアステレオ異性の両方を示すと認識されるであろう。特定の立体異性体が示されていない限り、考察は、構造が、式IVの構造の立体化学的にあいまいな形態で示されていようと、または他の立体異性体も可能である場合に特定の立体異性体として示されていようと、すべての可能な異性体に言及していると理解されるであろう。
【0061】
本発明による化合物は、単一立体異性体である化合物、ならびに立体異性体の混合物である化合物を包含する。組成物は、Rが、上記のとおり、組成物が形成される種々の化合物によって異なる、本発明の化合物の混合物から形成され得る。
【0062】
ジヒドロネペタラクタム、N−メチルジヒドロネペタラクタムおよび式IVに記載の化合物はすべて、有効量での種々の昆虫または節足動物種の忌避のための活性物質として、または香料組成物中の芳香性化合物として、または皮膚のための局所的治療剤としての使用などの、多様な目的のために用いられ得る化合物である。例えば、これらの化合物は、昆虫あるいは節足動物に対するヒトまたは動物宿主の皮膚、皮革、髪、毛皮または羽毛に、または栽培植物または作物などの無生宿主に昆虫または節足動物忌避性を付与するために、または好ましい香りまたは芳香性を付与するために局所的な態様で適用され得る。無生宿主はまた、建物、家具等などの昆虫によって影響される製造物品のいずれをも包含し得る。典型的には、これらの物品は、昆虫許容性食物源または昆虫許容性生息地と考えられる。
【0063】
忌避剤または忌避組成物とは、昆虫または節足動物を、それらの好ましい宿主からまたは昆虫に好適性の製造物品から追い払う化合物または組成物を指す。最も知られている忌避剤はまったく活性な毒物ではなく、それでも、昆虫/節足動物食物源または生息条件を非誘引性または攻撃的とすることにより、ヒト、動物、植物、および/または製造物品に対する害を抑止する。典型的には、忌避剤は、宿主に局所的に適用されることができ、または昆虫に影響されやすい物品に組み込まれることができて、昆虫/節足動物が接近し、または、宿主または物品が存在する近接する3次元的空間に残留することを防止する化合物または組成物である。いずれの場合においても、忌避剤の効果は、昆虫/節足動物を、(1)宿主から追い払い、または排除することにより、宿主に対する「刺傷」の頻度を最低限とする、または(2)物品から追い払い、または排除することにより、物品を昆虫損傷から保護するために追い払うことである。忌避剤は、ガス(嗅覚)、液体、または固形分(味覚)の形態であり得る。
【0064】
全体の忌避有効性に重要である一特性は、多数の忌避剤が極性および非極性領域の両方をそれらの構造中に含有するため、表面活性である。第2の特性は揮発度である。忌避剤は化合物の異例のクラスを形成し、ここで、刺傷からの宿主の保護または損傷からの物品の保護により測定されるとおり、宿主の皮膚表面からの、または昆虫忌避物品からの活性処方成分の蒸発が有効性のために必要である。
【0065】
宿主の皮膚、皮革、髪、羽毛または毛皮に適用された局所的昆虫/節足動物忌避剤の場合、忌避剤の効力の態様は、適用された表面の直上空間における忌避剤の濃度が昆虫/節足動物を忌避するのに十分である程度である。忌避剤の濃度の所望のレベルは、空間において主に蒸発から得られるが、蒸発率は皮膚または他の表面への吸収速度によって影響され、および表面への、または中への浸透は、従って、ほとんど常に表面から忌避剤を損失する望ましくない形態である。物品自体を囲む3次元空間において、所望の保護レベルを得るための忌避剤の最低濃度が要求されるため、忌避剤を含有する物品、または忌避剤が導入された物品について、同様の考慮がなされなければならない。
【0066】
昆虫/節足動物忌避剤活性物質として用いるための物質の選択においては、固有揮発度は、従って、重要な要件である。しかしながら、揮発度を低下させずに、かつ、好ましくは向上させながら、活性物質の持続性を向上させる試みの目的のために必要である場合、多様な方策が利用可能である。例えば、活性物質は、ポリマーおよび不活性成分と配合されて、適用された表面上または物品内における持続性を向上させることができる。配合物中における不活性成分の存在は、しかしながら、適用される配合物中の活性物質を希釈し、望ましくない急速な蒸発による損失は、従って、有効であるには過度に少量の活性物質を単に適用することのリスクと均衡がとられなければならない。代わりに、活性処方成分は表面または物品からの損失速度を制御するためにマイクロカプセル中に含有され得、表面または物品中で徐々に崩壊する前駆体分子が活性処方成分の放出速度を制御するために用いられ得、または組成物からの活性物質の蒸発を連続的に誘発ために相乗剤が用いられ得る。
【0067】
活性処方成分の放出は、例えば、空気が風船中に捕捉されるように活性処方成分が皮膚栄養付与タンパク質中に封入される(包囲される)サブミクロンカプセル化により達成され得る。タンパク質は、例えば約20%濃度で用いられ得る。忌避剤の適用は、水性ローションまたは噴霧適用のための水のいずれかに懸濁されたこれらのタンパク質カプセルの多数を含有する。皮膚と接触した後、タンパク質カプセルは崩壊し始めて封入された活性物質を放出する。このプロセスは、各ミクロカプセルが枯渇するとともに、次いで新しいカプセルによって連続して置き換えられ、これが皮膚に接触すると共にその活性処方成分を放出するため、継続される。このプロセスは、一回の適用について24時間までかかり得る。タンパク質は非常に効果的に皮膚に粘着するため、これらの配合物は、発汗(汗を流す)および他からの水に対して極めて耐性である。
【0068】
ジヒドロネペタラクタム、N−メチルジヒドロネペタラクタムおよび式IVに記載の化合物の明確な利点の一つは、これらすべては、上記の表面または物品上、上方、および周囲で活性物質の濃度の所望の高レベルを得るための使用のためにそれらを好適とする、比揮発度(relative volatility)により特徴付けられる。これらのジヒドロネペタラクタム化合物の1つ以上が、例えば、液体、エアロゾル、ゲル、エアロゲル、フォームまたは粉末(可噴霧粉末または散布剤など)の形態でのいずれの表面への組成物の湿式または乾式適用に好適である担体と化合物が混和された組成物中において、典型的にはこのような目的のために活性物質として用いられる。好適な担体としては、多様な、市販されている、皮膚または昆虫忌避剤製品の配合に用いることができる、有機および無機液体、固体、または半固体担体、または担体配合物のいずれか一つが挙げられる。皮膚製品または局所的昆虫忌避剤を配合する場合、皮膚学的に許容される担体を選択することが好ましい。例えば、担体としては、水、アルコール、シリコーン、ペトロラタム、ラノリンまたは数々の他の周知の担体成分の多数を挙げ得る。有機液体担体の例としては、液体脂肪族炭化水素(例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカンおよびこれらの類似体)および液体芳香族炭化水素が挙げられる。
【0069】
他の液体炭化水素の例としては、石油の分留によって得られるケロシン油を包含する石炭の蒸留および種々の種類およびグレードの石油化学原料の蒸留から製造される油を包含する。他の石油としては、一般に農業スプレー油として称されるもの(例えばいわゆる軽および中スプレー油、石油の蒸留における中位の分画から構成され、わずかに揮発性である)が挙げられる。このような油は、通常は高度に精製されており、および極めて微細な量のみの不飽和化合物を含有し得る。このような油は、しかも、一般にパラフィン油であり、従って、水および乳化剤と乳化されることができ、低濃度に希釈されてスプレーとして用いられる。パラフィン油のような、木材パルプのサルフェート消化から得られるトール油を同様に用いることができる。他の有機液体担体としては、α−ピネン、ジペンテン、テルピネオール等などの液体テルペン炭化水素およびテルペンアルコールを挙げることができる。
【0070】
他の担体としては、シリコーン、ペトロラタム、ラノリン、液体炭化水素、農業スプレー油、パラフィン油、トール油、液体テルペン炭化水素およびテルペンアルコール、脂肪族および芳香族アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、鉱物油、高級アルコール、微細有機および無機固体材料が挙げられる。上述の液体炭化水素に追加して、担体は、最終使用用途のために、ネペタラクタム化合物を水中に分散させ、水で希釈するために用いることができる従来の乳化剤を含有することができる。さらに他の液体担体としては、脂肪族および芳香族アルコール、エステル、アルデヒド、およびケトンなどの有機溶剤を挙げることができる。脂肪族一価アルコールとしては、メチル、エチル、ノルマル−プロピル、イソプロピル、ノルマル−ブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチルアルコールが挙げられる。好適なアルコールとしては、グリコール(エチレンおよびプロピレングリコールなど)およびピナコールが挙げられる。好適な多価アルコールとしては、グリセロール、アラビトール、エリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。最後に、好適な環状アルコールとしては、シクロペンチルおよびシクロヘキシルアルコールが挙げられる。
【0071】
従来の芳香族および脂肪族エステル、アルデヒドおよびケトンが担体として用いられることができ、および時には、上述のアルコールと組み合わされて用いられる。さらに他の液体担体としては、鉱物油などの比較的高沸点の石油製品、およびより高級のアルコール(セチルアルコールなど)が挙げられる。追加で、従来のまたはいわゆる「安定化剤」(例えばtert−ブチルスルフィニルジメチルジチオ炭酸塩)を、担体または本発明に基づいて形成された組成物に用いられる担体と併せてまたはその成分として用いることができる。
【0072】
間隙を備えた層構造を有する数多くの粘土、および化学組成、結晶性および積層形態の点でこのような粘土に類似する合成無機材料は、本願明細書における担体としての使用について好適である。好適な間隙を備えた層構造を有する粘土としては、スメクタイト、カオリン、白雲母、バーミキュライト、金雲母、脆雲母、およびクリソタイル、およびこれらの混合物が挙げられる。スメクタイト粘土およびカオリン粘土が好ましい。スメクタイト粘土としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコン石他が挙げられる。カオリン粘土としては、カオリナイト、ジッカイト、ナクライト、アンチゴライト他が挙げられる。モンモリロナイトが最も好ましい。平均粒径は、0.5〜50マイクロメートルの範囲である。
【0073】
昆虫および/または節足動物に忌避性の局所的組成物または物品の望ましい特性としては、低毒性であり、水への浸漬または発汗による損失に対して耐性であり、低臭または無臭または少なくとも好ましい匂いであり、適用が容易であり、および宿主の皮膚または他の表面上での乾燥した不粘着性表面フィルムを迅速に形成することが挙げられる。これらの特性を得るために、局所的忌避剤または忌避剤物品に対する配合物は、昆虫および/または節足動物に感染した動物(例えばノミを有するイヌ、シラミを有する家禽、ノサシバエまたはダニを有するウシ、およびヒト)の皮膚、皮革、髪、毛皮または羽毛に有効量の、ヒトまたは動物宿主からの昆虫または節足動物忌避剤を接触させることにより、このようなヒトまたは動物を忌避剤(その組成物を含む)で治療することを許容するべきである。
【0074】
有効量の忌避剤組成物の、昆虫による攻撃対象表面(皮膚、皮革、髪、毛皮、羽毛または植物または作物表面など)への適用は、空気中に忌避剤を分散させることにより、または液体ミストとして忌避剤を分散させることにより、または粉末または粉剤(dust)中に組み込まれることにより達成され得、これは、忌避剤が所望の宿主表面に落下することを許容するであろう。噴霧の形態での適用のために、ジヒドロネペタラクタム化合物を一過性のベヒクル(fugitive vehicle)と組み合わせて組成物を形成することにより忌避剤を配合することもまた所望され得る。このような組成物は、圧縮ガス、または機械的ポンプ噴霧の手段により大気中に活性化合物を分散させるのに対応した、エアロゾル、可噴霧液体または可噴霧粉末組成物であり得る。同様に、液体/半固体/固体忌避剤の、宿主上への湿式または乾燥形態(例えば脆性固体として)での直接的な塗布が、宿主の表面を有効量の忌避剤と接触させる効果的な方法である。
【0075】
さらに、本願明細書に記載の1つ以上の活性化合物を、昆虫忌避性を有すると知られる1つ以上の他の化合物を組成物中に組み合わせて、このような組み合わせからもたらされ得る相乗効果を達成することもまた、所望され得る。このような目的のために組み合わされることができる、昆虫忌避性で知られる好適な化合物としては、限定されないが、ジヒドロネペタラクトン、ベンジル、ベンジルベンゾエート、2,3,4,5−ビス(ブチル−2−エン)テトラヒドロフルフラール、ブトキシポリプロピレングリコール、N−ブチルアセトアニリド、ノルマル−ブチル−6,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−1,4−ピロン−2−カルボキシレート、ジブチルアジペート、ジブチルフタレート、ジ−ノルマル−ブチルスクシネート、N,N−ジエチル−メタ−トルアミド、ジメチルカルベート、ジメチルフタレート、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジ−ノルマル−プロピルイソシンコメロネート、2−フェニルシクロヘキサノール、p−メタン−3,8−ジオール(p−methane−3,8−diol)、およびノルマル−プロピルN,N−ジエチルスクシナメートが挙げられる。
【0076】
本願明細書に記載の1つ以上の活性化合物に追加して、昆虫忌避剤組成物はまた、1つ以上の精油および/または精油の活性成分を包含し得る。「精油」は、植物の匂いおよび他の特徴的な特性を備えている、植物から得られる揮発性油のいずれかのクラスとして定義される。有用な精油の例としては、苦扁桃油、アニス油、メボウキ油、ベイ油、キャラウェー油、ショウズク油、セダー油、セロリ油、カモミール油、桂皮油、シトロネラ油、丁子油、コリアンダー油、クミン油、ジラ油、ユーカリ油、ウイキョウ油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、レモン油、ライム油、ハッカ油、パセリ油、ペパーミント油、コショウ油、ローズ油、スペアミント油(メントール)、オレンジ油、タイム油、ターメリック油、および冬緑油が挙げられる。精油中の活性成分の例は、シトロネラール、メチルサリチレート、エチルサリチレート、プロピルサリチレート、シトロネロール、サフロール、およびリモネンである。
【0077】
本発明の化合物および/または組成物によって忌避され得る昆虫および節足動物としては、成虫状態において(非成虫昆虫状態は幼虫およびさなぎを包含する)、体の頭部、胸部、および腹部への分割、3対の脚部、および多くの場合(常にではないが)2組の膜状翅によって特徴付けられる、無脊椎動物の大きな群のいずれかのメンバを包含し得る。この定義は、従って、多様な刺咬昆虫(例えばアリ、ハチ、ツツガムシ、ノミ、蚊、ダニ、カリバチ)、サシバエ(biting flies)[例えばブヨ、緑眼アブ(green head flies)、サシバエ(stable flies)、ノサシバエ(ノサシバエ:haematobia irritans)]、木喰虫(例えばシロアリ)、害虫(例えばイエバエ、アブラムシ、シラミ、ゴキブリ、木材シラミ)、および家庭害虫(例えばコクヌストモドキおよびマメゾウムシ、チリダニ、ガ、シミ、ゾウムシ)を包含する。
【0078】
昆虫を忌避することが所望され得る宿主としては、昆虫に影響されるいずれかの植物または動物(ヒトを含む)が挙げられ得る。典型的には、宿主は、昆虫許容性食物源または昆虫許容性生息地であると考えられている。例えば、ヒトおよび動物は、サシバエ、ツツガムシ、ノミ、蚊、ダニおよびシラミなどの吸血昆虫および節足動物のための食物源宿主となる。
【0079】
他の実施形態において、ジヒドロネペタラクタム化合物が、芳香性化合物として、または芳香性組成物中の活性物質として用いられ得、および、ヒトまたはペット用のスキンローションおよび香料のように、局所的な態様でヒトまたは動物皮膚または髪に適用されて、好ましい芳香を付与する。
【0080】
特に、本明細書における化合物に関連する好ましい芳香のために、本発明のさらなる実施形態は、1つ以上のジヒドロネペタラクタム化合物が、他の重要な目的を対象とする、製品として用いられるための組成物に配合されるものである。これらの製品の芳香性および/または昆虫忌避性は、本発明の活性化合物または組成物の存在により増強されるであろう。このような製品としては、制限されないが、コロン、ローション、スプレー、クリーム、ゲル、軟膏、バスジェルおよびシャワージェル、フォーム製品(例えばシェービングフォーム)、化粧、脱臭剤、シャンプー、ヘアラッカー/ヘアリンス、および個人用石鹸組成物(例えばハンドソープおよびバス/シャワーソープ)が挙げられる。化合物は、当然、単に好ましい芳香を付与するだけのためにこのような製品中に組み込まれ得る。技術分野において実施されているものなどのいずれの組み込み手段も十分である。
【0081】
上記に検討された広く多様な製品の関連する態様は、本発明のさらなる代替実施形態であり、これは、1つ以上のジヒドロネペタラクタム化合物、またはそれらの立体異性体の混合物を、組成物として提供することによる、または組成物、スキントリートメントまたは物品への組み込むことによる、物質の組成物の製造方法、皮膚への局所的トリートメント方法、または製造物品である。上述の、このような製品、ならびに方法およびプロセスは、ジヒドロネペタラクタム化合物の、芳香化合物または香料としての、または芳香組成物または配合物における、または皮膚への局所的トリートメントにおける、または製造物品における使用を例示する。物質の組成物の製造においては、例えば、組成物は、可噴霧液体、エアロゾル、フォーム、クリーム、軟膏、ゲル、ペースト、粉末または脆性固体として調製されることが可能である。このような場合における製造プロセスは、従って、上記の物理的形態での出荷を促進するために、活性成分を、好適な担体または他の不活性成分(容易に噴霧される液体担体;エアロゾルまたはフォームの噴射剤;クリーム、軟膏、ゲルまたはペースト用粘性担体;または粉末または脆性固体用の乾燥または半固体担体など)と混和することを含むこととなる。
【0082】
昆虫/節足動物忌避剤、芳香剤生成物、スキントリートメントまたは他のパーソナルケア製品として調製された、1つ以上の上述の活性化合物を含有する組成物はまた、パーソナルケア産業において典型的である他の治療的または美容的に活性な添加剤または補助成分を含有し得る。これらの例としては、殺菌・殺カビ剤、日焼け防止剤、日光遮断剤、ビタミン、日焼け剤、植物抽出物、抗炎症剤、抗酸化剤、ラジカル捕捉剤、レチノイド、α−ヒドロキシ酸、消毒薬、抗生物質、抗菌剤、抗ヒスタミン剤;増粘剤、緩衝材、キレート化剤、防腐剤、ゲル化剤、安定化剤、界面活性物質、エモリエント剤、着色剤、アロエ、ワックス、および浸透促進剤などの添加剤;およびこれらのいずれかの2つ以上の混合物が挙げられる。
【0083】
本発明のさらなる実施形態においては、ジヒドロネペタラクタム化合物が、昆虫/節足動物忌避効果を生じる物品に組み込まれる。この実施形態の範囲内に含まれると予期される物品としては、被服などの繊維製品、かやなどのアウトドアまたは軍用装備を包含する製造品、昆虫に脆弱性の植物の材木または葉などの天然製品が挙げられる。
【0084】
本発明の他の実施形態において、ジヒドロネペタラクタム化合物が、ヒトに好ましい芳香を生じさせるために物品に組み込まれ、またはネペタラクタム化合物が、対象物の表面に適用されて香りが付与される。用途の特定の態様は、対象とされる表面および必要な強さの香りを付与するために必要とされる濃度に依存するであろう。これらの実施形態の範囲ないに含まれると予期される物品としては、繊維製品、芳香剤、ロウソク、種々の香料入り物品、繊維、シート、紙、塗料、インク、粘土、木材、家具(例えばパティオおよびデッキに)、カーペット、衛生用品、プラスチック、ポリマー等を包含する製造品が挙げられる。
【0085】
ジヒドロネペタラクタム化合物は、担体などの他の成分と組成物中で、昆虫/節足動物忌避剤、芳香剤または他のスキントリートメントなどの特定の目的についての用途に効果的である量で混合され得る。組成物中に含有される活性化合物の量は、一般に、最終製品の重量に基づいて約80重量%以下であろう。しかしながら、一定の用途についてはより多い量が用いられてもよく、およびこの量は制限されない。より好ましくは、化合物の好適な量は、総組成物または物品の総重量に基づいて、少なくとも約0.001重量%および好ましくは約0.01%から約50重量%以下、およびより好ましくは、約0.01%〜約20%重量パーセントであろう。特定の組成は、意図される使用に依存するであろう。
【0086】
ジヒドロネペタラクタムを用いる他の方法は、各々が本明細書の一部としてその全体が援用される、米国公開特許第2003/062,357号明細書、米国公開特許第2003/079,786号明細書、および米国公開特許第2003/191,047号明細書に開示されるとおりである。
【0087】
本発明を、以下の特定の実施形態においてさらに記載するが、これらにより限定されない。
【実施例】
【0088】
基本手順
対照およびテスト忌避剤の合成に関連するすべての反応および処置は、標準的な実験用ドラフト中において、標準的な実験用ガラス器具で実施した。主にシス、トランス−立体異性体から構成されるネペタラクトン(II)を、市販されているイヌハッカからのイヌハッカ油(ベルジュ(Berje)、(ニュージャージー州ブルームフィールド(Bloomfield,NJ))から得た)の蒸気蒸留により得た。すべての無機塩および有機溶剤は、無水THFを除き、VWRサイエンティフィック(VWR Scientific)(ペンシルベニア州ウェストチェスター(West Chester,PA))から得た。実施例で用いたすべての他の試薬は、シグマアルドリッチケミカル(Sigma−Aldrich Chemical)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,WI))から得、および受け取ったまま用いた。ミクロエッセンシャルラボラトリー(Micro Essential Laboratory,Inc.)(ニューヨーク州ブルックリン(Brooklyn,NY))製のフィドリオンぺーパー(pHydrion paper)で、pHの測定を行った。ラクタム生成物は、シリカゲル上の酢酸エチル/ヘキサンを溶離液として用いるカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成した生成物をNMRスペクトロスコピーにより特性決定した。ケンブリッジアイソトープラボラトリーズ(Cambridge Isotope Laboratories,Inc.)(マサチューセッツ州アンドーバー(Andover,MA))から得た重水素化溶剤を用いて、ブルッカーDRXアドバンス(Bruker DRX Advance)(500MHzH、125MHz13C;マサチューセッツ州ビレリカのブルッカーバイオスピン社(Bruker Biospin Corp.,Billerica,MA))でNMRスペクトルを得た。
【0089】
用いた略語の意味は以下のとおりである。「mL」はミリリットルを意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「g」はグラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「psi」は、平方インチ当たりのポンドを意味し、「MP」は融点を意味し、「NMR」は核磁気共嗚を意味し、「℃」は摂氏度を意味し、および「ATP」はアデノシン三リン酸を意味する。
【0090】
トリス(4−クロロフェニル)ビスムタン(反応VIに用いられたトリアリールビスムタン)の合成
窒素下に氷浴で冷却された100mLの1M 4−クロロフェニル臭化マグネシウムのジエチルエーテル中の溶液に、温度が5℃未満に維持されるよう、三塩化ビスマス10.51gの50mLのテトラヒドロフラン中の溶液を滴下添加した。反応を室温まで温めさせ、およびさらに1時間攪拌した。50mLの塩化アンモニウム飽和水溶液の溶液を5℃で添加して反応を急冷した。反応からの固体をろ過により除去し、および200mLのジエチルエーテルで抽出した。組み合わせた濾液を、100mLの塩化アンモニウム飽和水溶液で洗浄した。塩化アンモニウム溶液を200mLのジエチルエーテルで抽出し、および組み合わせたエーテル溶液を75mLの塩化アンモニウム飽和水溶液で2回洗浄した。エーテル溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、および減圧中で濃縮して粗固体を得、これを複数の分量の熱ヘキサンで抽出した。ヘキサン抽出物(400mL)を組み合わせ、および減圧中で濃縮して、トリス(4−クロロフェニル)ビスムタンを黄色固体(13.94g、収率62%、m.p.100℃)として得た。生成物のNMR分析は、トリス(4−クロロフェニル)ビスムタンのものと一致した。
【0091】
トリス(4−ブロモフェニル)ビスムタン(反応VIに用いられたトリアリールビスムタン)の合成
窒素下に氷浴で冷却された、320mLの4−ブロモフェニル臭化マグネシウムのジエチルエーテル中の溶液(54.9gの1,4−ジブロモベンゼンおよび5.63gのマグネシウムを反応させることにより調製した)に、三塩化ビスマス23.6gの120mLのテトラヒドロフラン中の溶液を、7℃未満に温度を維持しながら1時間かけて滴下添加した。反応を室温まで温めさせおよびさらに1時間攪拌した。60mLの塩化アンモニウム飽和水溶液の溶液を5℃で添加して反応を急冷した。反応からの固体をろ過により除去し、および150mLのジエチルエーテルで抽出した。水性層を100mLのジエチルエーテルで3回抽出した。組み合わせたエーテル溶液を150mLの塩化アンモニウム飽和水溶液で洗浄し、および無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、および減圧中で濃縮して粗固体を得、これを複数の分量の熱ヘキサンで抽出した。ヘキサン抽出物(700mL)を組み合わせ、および減圧中で濃縮してトリス(4−ブロモフェニル)ビスムタンを黄色固体(17.5g、収率35%、m.p.112℃)として得た。生成物のNMR分析はトリス(4−ブロモフェニル)ビスムタンのものと一致した。
【0092】
実施例1から15までに記載の手順を用いて、表1に示される化合物を合成した。ここで、構造番号は、示されたR基で置換されたジヒドロネペタラクタム誘導体を指す。
【0093】
【表1】



【0094】
実施例1
【0095】
【化12】

【0096】
ネペタラクタム(II)
(4aS,7S,7aR)−4,7−ジメチル−2,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[c]ピリジン−1−オン
【0097】
ネペタラクタムを、シス、トランス−ネペタラクトンから、(前述の)アイゼンブラウン(Eisenbraun)らの方法に従って調製した。1リットル反応容器中に、250mLのジクロロメタン中の100gのシス、トランス−ネペタラクトンを、テフロン(Teflon)(登録商標)被覆攪拌棒と共に、圧力調整器でシールした。容器を、3回減圧下で排気しおよびアンモニアガスで充填し、次いで103.4kPaにアンモニアを充填した。溶液を、一定の圧力のアンモニア下に、室温で三日間攪拌した。容器を通気させると共に窒素でパージした。溶液を500mL丸底フラスコに移し、および溶剤を減圧下に除去して濃い黄色のシロップ(109.49g)を得た。粗ネペタラクタムを減圧蒸留により薄い黄色結晶性固体に精製した。ヘキサンからの固体の再結晶で、観察MP=94〜96℃(文献MP=95〜96℃)を有する純粋なネペタラクタム(89.60g、収率88%)を得た。
【0098】
実施例2
【0099】
【化13】

【0100】
ジヒドロネペタラクタム(V)
(4S,4aR,7S,7aR)−4,7−ジメチルオクタヒドロ−1H−シクロペンタ[c]ピリジン−1−オン
【0101】
100mL圧力反応容器中で、20mLの95%エタノール中の10gのネペタラクタムを、0.25gの2%Pd/SrCOで処理した。容器を圧力調整器でシールし、次いで七回、減圧下で排気しおよび水素を充填した。次いで、容器を103.4kPaの圧力に水素で充填しおよび一定の圧力の水素下に、室温で三日間攪拌した。容器を通気させると共に窒素でパージした。次いで、混合物をセライトベッドを通してろ過し、追加のエタノール50mLですすいだ。濾液からの溶剤の除去は、10.24gのジヒドロネペタラクタムを清透な油としてもたらし、これは静置すると低融点固体に固化した。得られた生成物のNMR分析は、構造図Vに示すジヒドロネペタラクタム構造と一致した。
【0102】
実施例3
【0103】
【化14】

【0104】
N−メチル−ジヒドロネペタラクタムIVa
(4S,4aR,7S,7aR)−2,4,7−トリメチルオクタヒドロ−1H−シクロペンタ[c]ピリジン−1−オン
【0105】
100mL丸底フラスコ中で、30mLのTHF中の1.0gのジヒドロネペタラクタムIVを、2.15gのヨードメタン、0.85gの水酸化カリウムおよび0.39gの臭化テトラブチルアンモニウムで、室温で攪拌しながら処理した。三日後、減圧下に反応から溶剤を除去した。水(50mL)を得られた残渣に添加しおよび25mLのジクロロメタンで3回水性混合物を抽出した。組み合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させおよび溶剤を減圧下に除去して、N−メチル−ジヒドロネペタラクタムIVaを黄色の油0.69g(収率63%)として得た。生成物を、シリカゲル上に酢酸エチル/ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製した。得られた生成物のNMR分析は、構造図IVaに示すN−メチル−ジヒドロネペタラクタム構造と一致した。
【0106】
実施例4
【0107】
【化15】

【0108】
N−エチル−ジヒドロネペタラクタム(IVb)
(4S,4aR,7S,7aR)−2−エチル−4,7−ジメチルオクタヒドロ−1H−シクロペンタ[c]ピリジン−1−オン
【0109】
オーブン乾燥した、250mL三首丸底フラスコを窒素流下に室温に冷却し、30mLの乾燥THF中の1.68gのジヒドロネペタラクタム(V)の溶液を、ピペットで添加しおよび0℃に氷浴で冷却した。別に、0.80gの30%カリウム水素化物−鉱物油懸濁液を、10mLのヘキサンで3回洗浄して鉱物油を除去した。得られた白色の個体を0℃で攪拌しながら少分量で反応溶液に添加した。その結果、ガスが発生した。添加が完了した後、反応混合物を30分間攪拌し、1.2mLのヨードエタンで処理し、次いで0℃で30分間攪拌放置した。次いで、反応を室温に30分間温めおよび30mLの亜硫酸水素ナトリウムの10%水溶液の添加により急冷した。20mLのジクロロメタンで3回混合物を抽出し、および組み合わせた有機物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下での溶剤の除去は黄色の油としての粗生成物をもたらし、これを、シリカゲル上に酢酸エチル/ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製した。精製生成物(0.75g、収率38%)を得、およびNMR分析は、構造図IVbに示すN−エチル−ジヒドロネペタラクタム構造と一致した。
【0110】
実施例5
【0111】
【化16】

【0112】
N−プロピル−ジヒドロネペタラクタム(IVc)
(4S,4aR,7S,7aR)−2−n−プロピル−4,7−ジメチルオクタヒドロ−1H−シクロペンタ[c]ピリジン−1−オン
【0113】
オーブン乾燥した、250mL三首丸底フラスコを窒素流下に室温に冷却し、30mLの乾燥THF中の1.12gのジヒドロネペタラクタム(V)の溶液をピペットで添加し、および0℃に氷浴で冷却した。別に、0.90gの30%カリウム水素化物−鉱物油懸濁液を、10mLのヘキサンで3回洗浄して鉱物油を除去した。得られた白色の個体を0℃で攪拌しながら少分量で反応溶液に添加した。その結果、ガスが発生した。添加が完了した後、反応混合物を30分間攪拌し、1.46mLのヨードプロパンで処理し、次いで0℃で30分間攪拌放置した。次いで、反応を室温に30分間温めおよび30mLの亜硫酸水素ナトリウムの10%水溶液の添加により急冷した。20mLのジクロロメタンで3回混合物を抽出し、および組み合わせた有機物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下での溶剤の除去は黄色の油としての粗生成物をもたらした。これを、シリカゲル上に酢酸エチル/ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製した。精製生成物(1.41g、収率67%)を得、およびNMR分析は、構造図IVcに示すN−プロピル−ジヒドロネペタラクタム構造と一致した。
【0114】
実施例6
【0115】
【化17】

【0116】
N−ブチル−ジヒドロネペタラクタム(IVd)
(4S,4aR,7S,7aR)−2−n−ブチル−4,7−ジメチルオクタヒドロ−1H−シクロペンタ[c]ピリジン−1−オン
【0117】
オーブン乾燥した、250mL三首丸底フラスコを窒素流下に室温に冷却し、30mLの乾燥THF中の1.12gのジヒドロネペタラクタム(V)の溶液をピペットで添加し、および氷浴で0℃に冷却した。別に、0.80gの30%カリウム水素化物−鉱物油懸濁液を、10mLのヘキサンで3回洗浄して鉱物油を除去した。得られた白色の個体を0℃で攪拌しながら少分量で反応溶液に添加した。その結果、ガスが発生した。添加が完了した後、反応混合物を30分間攪拌し、1.67mLのヨードブタンで処理し、次いで0℃で30分間攪拌放置した。次いで、反応を室温に30分間温めおよび30mLの亜硫酸水素ナトリウムの10%水溶液の添加により急冷した。20mLのジクロロメタンで3回混合物を抽出し、および組み合わせた有機物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下での溶剤の除去は黄色の油としての粗生成物をもたらした。これをシリカゲル上に酢酸エチル/ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製した。精製生成物(0.89g、収率60%)を得、およびNMR分析は構造図IVdに示すN−ブチル−ジヒドロネペタラクタム構造と一致した。
【0118】
実施例7
【0119】
【化18】

【0120】
N−ペンチル−ジヒドロネペタラクタム(IVe)
(4S,4aR,7S,7aR)−2−n−ペンチル−4,7−ジメチルオクタヒドロ−1H−シクロペンタ[c]ピリジン−1−オン
【0121】
オーブン乾燥した、250mL三首丸底フラスコを窒素流下に室温に冷却し、100mLの乾燥THF中の4.65gのネペタラクタム(ii)の溶液を、フラスコを窒素でパージしながらフラスコにピペットで添加し、および溶液を氷浴で窒素下に0℃に冷却した。別に、6.05gの30%カリウム水素化物−鉱物油懸濁液を、30mLのヘキサンで3回洗浄して鉱物油を除去した。得られた白色の個体を0℃で攪拌しながら少分量で反応溶液に添加した。その結果、ガスが発生した。添加が完了した後、反応混合物を30分間攪拌し、5.93mLのヨードペンタンで処理し、次いで0℃で30分間攪拌放置した。次いで、反応を室温に30分間温めおよび50mLの亜硫酸水素ナトリウムの飽和水溶液の添加により急冷した。30mLのジクロロメタンで3回混合物を抽出し、および組み合わせた有機物を10%亜硫酸水素ナトリウムで乾燥した。減圧下での溶剤の除去は、茶色の油としての粗生成物(7.2g)をもたらした。これをシリカゲル上で酢酸エチル/ヘキサンを溶離液として用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、精製生成物(4.4g、収率67%)を得た。精製生成物のNMR分析はN−ペンチル−ネペタラクタムと一致した。
【0122】
250mL圧力反応容器中で、100mLの95%エタノール中の2.4gのN−ペンチル−ネペタラクタムを、0.70gの2%Pd/SrCOで処理した。容器を圧力調整器でシールし、次いで3回減圧下で排気しおよび水素を充填した。次いで、103.4kPaの圧力に水素で容器を充填しおよび一定の圧力の水素下に室温で一晩攪拌した。容器を通気させると共に窒素でパージした。次いで、混合物をセライトベッドを通してろ過し、追加のエタノール50mLですすいだ。減圧下での溶剤の除去は、黄色の油としての粗生成物をもたらした。これをシリカゲル上に酢酸エチル/ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製した。精製生成物(1.5g、収率62%)を得、およびNMR分析は、構造図IVeに示すN−ペンチル−ジヒドロネペタラクタム構造と一致した。
【0123】
実施例8
【0124】
【化19】

【0125】
N−ヘキシル−ジヒドロネペタラクタム(IVf)
(4S,4aR,7S,7aR)−2−n−ヘキシル−4,7−ジメチルオクタヒドロ−1H−シクロペンタ[c]ピリジン−1−オン
【0126】
オーブン乾燥した、250mL三首丸底フラスコを窒素流下に室温に冷却し、100mLの乾燥THF中の4.65gのネペタラクタム(II)の溶液を、フラスコを窒素でパージしながらフラスコにピペットで添加し、および溶液を窒素下に氷浴で0℃に冷却した。別に、6.0gの30%カリウム水素化物−鉱物油懸濁液を30mLのヘキサンで3回洗浄して鉱物油を除去した。得られた白色の個体を0℃で攪拌しながら少分量で反応溶液に添加した。その結果、ガスが発生した。添加が完了した後、反応混合物を30分間攪拌し、6.7mLのヨードヘキサンで処理し、次いで0℃で30分間攪拌放置した。次いで、反応を室温に30分間温めおよび30mLの亜硫酸水素ナトリウムの10%水溶液の添加により急冷した。30mLのジクロロメタンで3回混合物を抽出し、および組み合わせた有機物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。茶色の油としての減圧下での溶剤の除去は粗生成物をもたらした(5.46g)。これをシリカゲル上で酢酸エチル/ヘキサンを溶離液として用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して精製生成物(3.2g、収率46%)を得た。精製生成物のNMR分析はN−ヘキシル−ネペタラクタムと一致した。
【0127】
250mL圧力反応容器中で、100mLの95%エタノール中の1.5gのN−ヘキシル−ネペタラクタムを0.70gの2%Pd/Sr/COで処理した。容器を圧力調整器でシールし、次いで3回減圧下で排気しおよび水素を充填した。次いで、容器を103.4kPaの圧力に水素で充填しおよび一定の圧力の水素下に室温で一晩攪拌した。容器を通気させると共に窒素でパージした。次いで、混合物をセライトベッドを通してろ過し、追加のエタノール50mLですすいだ。減圧下での溶剤の除去は、黄色の油としての粗生成物をもたらした。これをシリカゲル上に酢酸エチル/ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製した。精製生成物(1.35g、収率89%)を得、およびNMR分析は、構造図IVfに示すN−ヘキシ−ジヒドロネペタラクタム構造と一致した。
【0128】
実施例9
【0129】
【化20】

【0130】
N−オクチル−ジヒドロネペタラクタム(IVg)
(4S,4aR,7S,7aR)−2−n−オクチル−4,7−ジメチルオクタヒドロ−1H−シクロペンタ[c]ピリジン−1−オン
【0131】
オーブン乾燥した、250mL三首丸底フラスコを窒素流下に室温に冷却し、30mLの乾燥THF中の4.65gのネペタラクタム(II)の溶液を、フラスコを窒素でパージしながらフラスコにピペットで添加し、および溶液を窒素下に氷浴で0℃に冷却した。別に、6.0gの30%カリウム水素化物−鉱物油懸濁液を30mLのヘキサンで3回洗浄して鉱物油を除去した。得られた白色の個体を0℃で攪拌しながら少分量で反応溶液に添加した。その結果、ガスが発生した。添加が完了した後、反応混合物を30分間攪拌し、8.2mLのヨードオクタンで処理し、次いで0℃で30分間攪拌放置した。次いで、反応を室温に30分間温めおよび30mLの亜硫酸水素ナトリウムの10%水溶液の添加により急冷した。30mLのジクロロメタンで3回混合物を抽出し、および組み合わせた有機物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下での溶剤の除去は茶色の油としての粗生成物(5.36g)をもたらした。これをシリカゲル上で酢酸エチル/ヘキサンを溶離液として用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して精製生成物(4.26g、収率53%)を得た。精製生成物のNMR分析はN−オクチル−ネペタラクタムと一致した。
【0132】
250mL圧力反応容器中で、100mLの95%エタノール中の2.4gのN−オクチル−ネペタラクタムを0.70gの2%Pd/Sr/COで処理した。容器を圧力調整器でシールし、次いで3回減圧下で排気しおよび水素を充填した。次いで、容器を103.4kPaの圧力に水素で充填しおよび一定の圧力の水素下に室温で一晩攪拌した。容器を通気させると共に窒素でパージした。次いで、混合物をセライトベッドを通してろ過し、追加のエタノール50mLですすいだ。減圧下での溶剤の除去は、黄色の油としての粗生成物をもたらした。これをシリカゲル上に酢酸エチル/ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製した。精製生成物(1.7g、収率68%)を得、およびNMR分析は、構造図IVgに示すN−オクチル−ジヒドロネペタラクタム構造と一致した。
【0133】
実施例10
【0134】
【化21】

【0135】
N−イソプロピル−ジヒドロネペタラクタム(IVh)
(4S,4aR,7S,7aR)−2−n−イソプロピル−4,7−ジメチルオクタヒドロ−1H−シクロペンタ[c]ピリジン−1−オン
【0136】
オーブン乾燥した、250mL三首丸底フラスコを窒素流下に室温に冷却し、50mLの乾燥THF中の3.0gのネペタラクタム(II)の溶液を、ピペットで添加しおよび氷浴で0℃に冷却した。別に、4.0gの30%カリウム水素化物−鉱物油懸濁液を10mLのヘキサンで3回洗浄して鉱物油を除去した。得られた白色の個体を0℃で攪拌しながら少分量で反応溶液に添加した。その結果、ガスが発生した。添加が完了した後、反応混合物を30分間攪拌し、5.0gの2−ヨードプロパン処理し、次いで0℃で30分間攪拌放置した。次いで、反応を室温に30分間温めおよび30mLの亜硫酸水素ナトリウムの10%水溶液の添加により急冷した。20mLのジクロロメタンで3回混合物を抽出し、および組み合わせた有機物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下での溶剤の除去は、黄色の油としての粗生成物をもたらした。これをシリカゲル上に酢酸エチル/ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製した。精製生成物(3.0g、収率85%)を得、およびNMR分析はN−イソプロピル−ネペタラクタムと一致した。
【0137】
250mL圧力反応容器中で、100mLの95%エタノール中の2.4gのN−イソプロピル−ネペタラクタムを0.70gの2%Pd/Sr/COで処理した。容器を圧力調整器でシールし、次いで3回減圧下で排気しおよび水素を充填した。次いで、容器を103.4kPaの圧力に水素で充填しおよび一定の圧力の水素下に室温で一晩攪拌した。容器を通気させると共に窒素でパージした。次いで、混合物をセライトベッドを通してろ過し、追加のエタノール50mLですすいだ。減圧下での溶剤の除去は、黄色の油としての粗生成物をもたらした。これをシリカゲル上に酢酸エチル/ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製した。精製生成物(0.96g、収率40%)を得、およびNMR分析は、構造図IVhに示すN−イソプロピル−ジヒドロネペタラクタム構造と一致した。
【0138】
実施例11
【0139】
【化22】

【0140】
N−アリル−ジヒドロネペタラクタム(IVi)
(4S,4aR,7S,7aR)−2−n−アリル−4,7−ジメチルオクタヒドロ−1H−シクロペンタ[c]ピリジン−1−オン
【0141】
オーブン乾燥した、250mL三首丸底フラスコを窒素流下に室温に冷却し、20mLの乾燥THF中の0.93gのジヒドロネペタラクタム(V)の溶液をピペットで添加しおよび氷浴で0℃に冷却した。別に、1.9の30%カリウム水素化物−鉱物油懸濁液を10mLのヘキサンで3回洗浄して鉱物油を除去した。得られた白色の個体を0℃で攪拌しながら少分量で反応溶液に添加した。その結果、ガスが発生した。添加が完了した後、反応混合物を30分間攪拌した、1.52mLのヨウ化アリルで処理し、次いで0℃で30分間攪拌放置した。次いで、反応を室温に30分間温めおよび30mLの亜硫酸水素ナトリウムの10%水溶液の添加により急冷した。20mLのジクロロメタンで3回混合物を抽出し、および組み合わせた有機物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下での溶剤の除去は、黄色の油としての粗生成物をもたらした。これをシリカゲル上に酢酸エチル/ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製した。精製生成物(0.503g、収率43%)を得、およびNMR分析は、構造図IViに示すN−アリル−ジヒドロネペタラクタム構造と一致した。
【0142】
実施例12
【0143】
【化23】

【0144】
N−プロパルギル−ジヒドロネペタラクタム(IVj)
(4S,4aR,7S,7aR)−2−n−プロパルギル−4,7−ジメチルオクタヒドロ−1H−シクロペンタ[c]ピリジン−1−オン
【0145】
オーブン乾燥した、250mL三首丸底フラスコを窒素流下に室温に冷却し、30mLの乾燥THFの1.00gのジヒドロネペタラクタム(V)の溶液をピペットで添加しおよび氷浴で0℃に冷却した。別に、1.2gの30%カリウム水素化物−鉱物油懸濁液を10mLのヘキサンで3回洗浄して鉱物油を除去した。得られた白色の個体を0℃で攪拌しながら少分量で反応溶液に添加した。その結果、ガスが発生した。添加が完了した後、反応混合物を30分間攪拌し、1.07gの臭化プロパルギルで処理し、次いで0℃で30分間攪拌放置した。次いで、反応を室温に30分間温めおよび30mLの亜硫酸水素ナトリウム飽和10%溶液の添加により急冷した。20mLのジクロロメタンで3回混合物を抽出し、および組み合わせた有機物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下での溶剤の除去は、黄色の油としての粗生成物をもたらした。これをシリカゲル上に酢酸エチル/ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製した。精製生成物(0.64g、収率52%)を得、およびNMR分析は、構造図IVjに示すN−プロパルギル−ジヒドロネペタラクタム構造と一致した。
【0146】
実施例13
【0147】
【化24】

【0148】
フェニルネペタラクタム(VIIa)
(4S,4aR,7S,7aR)−4,7−ジメチル−2−フェニルオクタヒドロ−1H−シクロペンタ[c]ピリジン−1−オン
【0149】
10mLのジクロロメタン中の0.25gジヒドロネペタラクタム(V)、1.31gのトリフェニルビスムタン、0.27gの無水銅(II)アセテート、0.41mLのトリエチルアミンのスラリーを室温で24時間攪拌した。減圧下での溶剤の除去は粗反応混合物をもたらしこれをシリカゲル上で酢酸エチル/ヘキサンを溶離液として用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色の固体(0.23g、収率63%)としての精製生成物を得た。精製生成物のNMR分析は、構造図VIIaに示すN−フェニル−ジヒドロネペタラクタム構造と一致した。
【0150】
実施例14
【0151】
【化25】

【0152】
P−クロロフェニルネペタラクタム(VIIb)
(4S,4aR,7S,7aR)−2−(4−クロロフェニル)−4,7−ジメチルオクタヒドロ−1H−シクロペンタ[c]ピリジン−1−オン
【0153】
15mLのジクロロメタン中の0.15gネペタラクタム(V)、0.98gのトリス(4−クロロフェニル)ビスムタン、0.16gの無水銅(II)アセテート、0.25mLのトリエチルアミンのスラリーを室温で24時間攪拌した。減圧下での溶剤の除去は粗反応混合物をもたらしこれをシリカゲル上で酢酸エチル/ヘキサンを溶離液として用いたカラムクロマトグラフィーにより精製してオフホワイトの固体(0.16g、収率64%)としての精製生成物を得た。精製生成物のNMR分析は、構造図VIIbに示すN−4−クロロフェニル−ジヒドロネペタラクタム構造と一致した。
【0154】
実施例15
【0155】
【化26】

【0156】
P−ブロモフェニルネペタラクタム(VIIc)
(4S,4aR,7S,7aR)−2−(4−ブロモフェニル)−4,7−ジメチルオクタヒドロ−1H−シクロペンタ[c]ピリジン−1−オン
【0157】
15mLのジクロロメタン中の0.15gネペタラクタム(II)、1.22gのトリス(4−ブロモフェニル)ビスムタン、0.16gの無水銅(II)アセテート、0.25mLのトリエチルアミンのスラリーを室温で24時間攪拌した。減圧下での溶剤の除去は粗反応混合物をもたらしこれをシリカゲル上で酢酸エチル/ヘキサンを溶離液として用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して無色の油(0.08g)としての粗生成物を得た。反応を同一の手順で4倍のスケールで繰り返した。粗反応混合物を1回目の処理からの粗生成物と組み合わせ、およびシリカゲル上で酢酸エチル/ヘキサンを溶離液として用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して無色の油(0.16g、全体で収率11%)としての精製生成物を得た。精製生成物のNMR分析は、構造図VIIcに示すN−4−ブロモフェニル−ジヒドロネペタラクタム構造と一致した。
【0158】
実施例1〜15の生成物を、ネッタイシマカ(蚊)に対する昆虫忌避性について、インビトログプタボックス着地アッセイ(Gupta box landing assay)において評価した。この方法においては、チャンバは5個のウェルを含有し、各々が腸膜(Baudruche membrane)(動物腸管)によってカバーされていた。各ウェルを、クエン酸ナトリウム(凝血を防止するために)およびATP(26mLの血液あたり72mgATPジナトリウム塩)を含有するウシ血液を充填し、および37℃に加熱した。1種の試料または対照を含有する、25μLの体積のイソプロピルアルコール(IPA)を、各膜に適用した。ジヒドロネペタラクタム生成物の濃度はIPA中に1%(w/v)とした。負の制御は純粋なIPAとし、および正の制御をDEETの1%(w/v)溶液とした。
【0159】
5分後、およそ250の生まれて4日たったメスのネッタイシマカ蚊を、チャンバ内に導入した。各処理についての膜を触角で探っている蚊の数を、2分間隔で20分にわたって記録した。実施例1〜12の化合物について、この態様で得られた結果を図1〜10(実施例16〜25として表示されている)に示す。ここで、各データは5回の反復実験の平均を表している。
【0160】
これらのデータから、忌避剤テスト溶液の所与の濃度での、忌避剤についての%平均忌避性を、以下の式を用いて測定した。

%平均忌避性=C−T/C×100

ここで、C=IPA対照ウェル上への着地の総数、およびT=テスト溶液ウェル上への着地の総数である。1%(w/v)での%平均忌避性を、実施例1〜15の化合物について表2に示す。ここで、Rはジヒドロネペタラクタム上の置換基を指す。
【0161】
【表2】

【0162】
【表3】

【0163】
【表4】

【0164】
【表5】

【0165】
【表6】

【0166】
【表7】

【0167】
【表8】

【0168】
【表9】

【0169】
【表10】

【0170】
【表11】

【0171】
【表12】

【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1−10】図示のジヒドロネペタラクタムまたは誘導体化合物、および/またはそれらの組成物の図示の対照に対する、本願明細書に記載のインビトログプタボックス着地アッセイ(Gupta box landing assay)手順におけるネッタイシマカ(蚊)の触角での探索挙動に対するそれらの効果のテスト結果を表す。水平目盛りは分での時間を示し、および垂直目盛りは蚊の着地数を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】


[式中、Rは(a)メチル以外のアルカン基、(b)アルケン基、(c)アルキン基、または(d)芳香族基を含んでなる]
によって図式的に表される化合物。
【請求項2】
Rが(a)C〜C20アルカン、(b)C〜C20アルケン、(c)C〜C20アルキン、または(d)C〜C20芳香族を含んでなる、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rが、
(a)C
(b)C〜C20直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、
(c)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなる、C〜C20直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、
(d)非置換または置換されたC〜C20芳香族、ここで置換基は(i)場合によりCl、BrまたはFで置換されていてもよい、C〜C12直鎖、分岐もしくは環状アルカンもしくはアルケン、および(ii)Cl、BrおよびFよりなる群から選択されるハロゲン、よりなる群から選択される、ならびに
(e)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなる、非置換または置換されたC〜C20芳香族、ここで置換基は(i)場合によりCl、BrまたはFで置換されていてもよい、C〜C12直鎖、分岐もしくは環状アルカンもしくはアルケン、および(ii)Cl、BrおよびFよりなる群から選択されるハロゲン、よりなる群から選択される、
よりなる群の構成要素を含んでなる、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Rが(a)C、(b)C〜C12直鎖、分岐または環状アルカンおよびアルケン、ならびに(c)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなるC〜C12直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケンよりなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Rが非置換または置換フェニルであり、ここで置換基が(a)場合によりCl、BrまたはFで置換されていてもよい、C〜C12直鎖、分岐もしくは環状アルカンもしくはアルケン、および(b)Cl、BrおよびFよりなる群から選択されるハロゲン、よりなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
単一化合物の単一立体異性体、または単一化合物の立体異性体の混合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
(a)担体、および(b)以下の式:
【化2】


[式中、RはH、アルカン基、アルケン基、アルキン基、または芳香族基である]
により一般に記載される化合物を含んでなる、物質の組成物。
【請求項8】
Rが(a)H、(b)C〜C20アルカン、(c)C〜C20アルケン、(d)C〜C20アルキン、または(e)C〜C20芳香族である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
Rが、
(a)CH、C
(b)C〜C20直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、
(c)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなる、C〜C20直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、
(d)非置換または置換されたC〜C20芳香族、ここで置換基は(i)場合によりCl、BrまたはFで置換されていてもよい、C〜C12直鎖、分岐もしくは環状アルカンもしくはアルケン、および(ii)Cl、BrおよびFよりなる群から選択されるハロゲン、よりなる群から選択される、ならびに
(e)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなる、非置換または置換されたC〜C20芳香族、ここで置換基は(i)場合によりCl、BrまたはFで置換されていてもよい、C〜C12直鎖、分岐もしくは環状アルカンもしくはアルケン、および(ii)Cl、BrおよびFよりなる群から選択されるハロゲン、よりなる群から選択される、
よりなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
Rが(a)CH、(b)C、(c)C〜C12直鎖、分岐または環状アルカンおよびアルケン、および(d)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなるC〜C12直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケンよりなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
Rが非置換または置換フェニルであり、ここで置換基が(a)場合によりCl、BrまたはFで置換されていてもよい、C〜C12直鎖、分岐もしくは環状アルカンもしくはアルケン、および(b)Cl、BrおよびFよりなる群から選択されるハロゲン、よりなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項12】
単一化合物の単一立体異性体、または単一化合物の立体異性体の混合物である、請求項7に記載の組成物。
【請求項13】
ジヒドロネペタラクトン、ベンジル、ベンジルベンゾエート、2,3,4,5−ビス(ブチル−2−エン)テトラヒドロフルフラール、ブトキシポリプロピレングリコール、N−ブチルアセトアニリド、ノルマル−ブチル−6,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−1,4−ピロン−2−カルボキシレート、ジブチルアジペート、ジブチルフタレート、ジ−ノルマル−ブチルスクシネート、N,N−ジエチル−メタ−トルアミド、ジメチルカルベート、ジメチルフタレート、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジ−ノルマル−プロピルイソシンコメロネート、2−フェニルシクロヘキサノール、p−メタン−3,8−ジオール、およびノルマル−プロピルN,N−ジエチルスクシナメートよりなる群から選択される昆虫忌避剤をさらに含んでなる、請求項7に記載の組成物。
【請求項14】
精油をさらに含んでなる請求項7に記載の組成物。
【請求項15】
精油が、苦扁桃油、アニス油、メボウキ油、ベイ油、キャラウェー油、ショウズク油、セダー油、セロリ油、カモミール油、桂皮油、シトロネラ油、丁子油、コリアンダー油、クミン油、ジラ油、ユーカリ油、ウイキョウ油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、レモン油、ライム油、ハッカ油、パセリ油、ペパーミント油、コショウ油、ローズ油、スペアミント油(メントール)、オレンジ油、タイム油、ターメリック油、および冬緑油よりなる群のいずれか1つ以上の構成要素から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
殺菌・殺カビ剤、日焼け防止剤、日光遮断剤、ビタミン、日焼け剤、植物抽出物、抗炎症剤、抗酸化剤、ラジカル捕捉剤、レチノイド、α−ヒドロキシ酸、消毒剤、抗生物質、抗菌剤、抗ヒスタミン剤よりなる添加剤の群のいずれか1つ以上の構成要素をさらに含んでなる、請求項7に記載の組成物。
【請求項17】
組成物の総重量の約0.001〜約80重量%の量で該化合物を含んでなる、請求項7に記載の組成物。
【請求項18】
噴霧可能な液体、エアロゾル、フォーム、クリーム、軟膏、ゲル、ペースト、粉末または脆性固体の形態である請求項7に記載の組成物。
【請求項19】
昆虫または節足動物を、以下の式:
【化3】


[式中、RはH、アルカン基、アルケン基、アルキン基、または芳香族基である]
により一般に記載される化合物に暴露することを含んでなる、昆虫または節足動物の忌避方法。
【請求項20】
Rが(a)H、(b)C〜C20アルカン、(c)C〜C20アルケン、(d)C〜C20アルキン、または(e)C〜C20芳香族である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
Rが、
(a)CH、C
(b)C〜C20直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、
(c)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなる、C〜C20直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、
(d)非置換または置換されたC〜C20芳香族、ここで置換基は(i)場合によりCl、BrまたはFで置換されていてもよい、C〜C12直鎖、分岐もしくは環状アルカンもしくはアルケン、および(ii)Cl、BrおよびFよりなる群から選択されるハロゲン、よりなる群から選択される、ならびに
(e)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなる、非置換または置換C〜C20芳香族、ここで置換基は(i)場合によりCl、BrまたはFで置換されていてもよい、C〜C12直鎖、分岐もしくは環状アルカンもしくはアルケン、および(ii)Cl、BrおよびFよりなる群から選択されるハロゲン、よりなる群から選択される、
よりなる群から選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
Rが(a)CH、(b)C、(b)C〜C12直鎖、分岐または環状アルカンおよびアルケン、ならびに(c)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなるC〜C12直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケンよりなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
Rが非置換または置換フェニルであり、ここで置換基が(a)場合によりCl、BrまたはFで置換されていてもよい、C〜C12直鎖、分岐もしくは環状アルカンもしくはアルケン、および(b)Cl、BrおよびFよりなる群から選択されるハロゲン、よりなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
化合物が単一化合物の単一立体異性体、または単一化合物の立体異性体の混合物である、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
昆虫または節足動物を、組成物の総重量の約0.001〜約80重量%の量で該化合物を含んでなる組成物に暴露することを含んでなる、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
吸血昆虫または節足動物を該化合物に暴露することを含んでなる、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
サシバエ(biting flies)、ツツガムシ、ノミ、蚊、ダニおよびシラミよりなる群から選択される昆虫または節足動物を、該化合物に暴露することを含んでなる、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
該化合物を、昆虫あるいは節足動物のためのヒトまたは動物宿主の、皮膚、皮革、髪、羽毛もしくは毛皮に適用することを含んでなる、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2008−526769(P2008−526769A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549676(P2007−549676)
【出願日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/047557
【国際公開番号】WO2006/072037
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】