説明

スイッチング回路の制御装置

【課題】スイッチング回路の損失を低減させる。
【解決手段】所定のスイッチング周期において、ハイ側スイッチング素子のオンデューティとロー側スイッチング素子のオンデューティとを独立に設定可能なPWM演算部25を備え、PWM演算部25は、前回までの複数のスイッチング周期におけるオンデューティの積算値を算出する通電割合演算部25aを備える。PWM演算部25は、通電割合演算部25aによって算出されたオンデューティの積算値に基づいて、順方向電流が流れていないスイッチング素子のオンデューティを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スイッチング回路の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電動車両などに搭載され、直流電源から供給される電力を用いてスイッチング回路のスイッチング素子をON/OFF制御することでモータなどの負荷を駆動させる電圧変換装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この電圧変換装置に具備されるスイッチング回路は、高電位側端子に接続されてハイ側アームを構成するハイ側スイッチング素子と、低電位側端子に接続されてロー側アームを構成するロー側スイッチング素子と、各スイッチング素子に逆導通方向に並列に接続される還流ダイオードとにより構成され、ハイ側アームとロー側アームとの接続点にはモータなどの誘導性負荷が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4306236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係る電圧変換装置に具備されるスイッチング回路において、例えばスイッチング素子としてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を採用するなどによって、各スイッチング素子がONからOFFへと切り換わるときにスイッチング回路に流れる転流電流(逆方向電流)がスイッチング素子に流れずに還流ダイオードのみに流れるように構成されていると、還流ダイオードでの導通損失が増大し、スイッチング回路全体としての損失が増大してしまう虞がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、スイッチング回路の損失を低減させることが可能なスイッチング回路の制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の請求項1に係るスイッチング回路の制御装置は、ハイ側スイッチング素子(例えば、実施の形態での各トランジスタUH,VH,WH)および還流ダイオード(例えば、実施の形態での各還流ダイオードDUH,DVH,DWH)を逆並列に接続してなるハイ側アームと、ロー側スイッチング素子(例えば、実施の形態での各トランジスタUL,VL,WL)および還流ダイオード(例えば、実施の形態での各還流ダイオードDUL,DVL,DWL)を逆並列に接続してなるロー側アームとを、直列に接続して構成されるスイッチング回路の制御装置であって、所定のスイッチング周期において、前記ハイ側スイッチング素子のオンデューティと前記ロー側スイッチング素子のオンデューティとを独立に設定可能なデューティ設定手段(例えば、実施の形態でのPWM演算部25)を備え、前記デューティ設定手段は、前記ハイ側スイッチング素子および前記ロー側スイッチング素子のうち順方向電流が流れていないスイッチング素子の前記オンデューティを、該スイッチング素子の前回までの前記スイッチング周期における前記オンデューティに基づいて設定する。
【0007】
さらに、本発明の請求項2に係るスイッチング回路の制御装置は、前回までの複数の前記スイッチング周期における前記オンデューティの積算値を算出する積算値算出手段(例えば、実施の形態での通電割合演算部25a)を備え、前記デューティ設定手段は、前記積算値算出手段によって算出された前記オンデューティの前記積算値に基づいて、前記順方向電流が流れていないスイッチング素子の前記オンデューティを設定する。
【0008】
さらに、本発明の請求項3に係るスイッチング回路の制御装置は、前記ハイ側アームおよび前記ロー側アームの接続点に接続された負荷(例えば、実施の形態でのモータ12)に流れる負荷電流を検出する負荷電流検出手段(例えば、実施の形態での各相電流検出部32)を備え、前記デューティ設定手段は、前記負荷電流検出手段によって検出された前記負荷電流に基づいて、前記順方向電流が流れていないスイッチング素子の前記オンデューティを設定する。
【0009】
さらに、本発明の請求項4に係るスイッチング回路の制御装置では、前記デューティ設定手段は、前記順方向電流が流れていないスイッチング素子の前記オンデューティに係るマップあるいは数式を記憶しており、該マップあるいは数式に基づいて、前記順方向電流が流れていないスイッチング素子の前記オンデューティを設定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係るスイッチング回路の制御装置によれば、前回までのスイッチング周期において順方向電流が流れていないスイッチング素子(つまり、転流電流が流れる還流ダイオードに並列に接続されたスイッチング素子)に転流電流(逆方向電流)が流れていた時間、すなわち順方向電流が流れていないスイッチング素子の発熱度合いに応じて、このスイッチング素子のオンデューティを設定することができ、スイッチング素子の発熱を抑制し、熱損傷の発生を防止することができる。
しかも、スイッチング素子の温度を検出するための特別な検出デバイスを必要とせずに、スイッチング素子の温度を制御することができ、装置構成に要する費用が嵩むことを防止することができる。
【0011】
さらに、本発明の請求項2に係るスイッチング回路の制御装置によれば、順方向電流が流れていないスイッチング素子の発熱度合いの推定精度を向上させることができ、より一層、的確にスイッチング素子の発熱を抑制し、熱損傷の発生を防止することができる。
【0012】
さらに、本発明の請求項3に係るスイッチング回路の制御装置によれば、ハイ側スイッチング素子およびロー側スイッチング素子のうち順方向電流が流れるスイッチング素子は周期的に切り換わることから、順方向電流が流れていないスイッチング素子のオンデューティを、このスイッチング素子に順方向電流が流れていたときの発熱度合いも考慮して設定することができる。
例えば、順方向電流が大きくなることに伴い、スイッチング素子の発熱度合いが大きくなるとして、スイッチング素子の発熱度合いの推定精度を向上させることができ、より一層、的確にスイッチング素子の発熱を抑制し、熱損傷の発生を防止することができる。
【0013】
さらに、本発明の請求項4に係るスイッチング回路の制御装置によれば、予め記憶しているマップあるいは数式に基づいて、順方向電流が流れていないスイッチング素子の発熱度合いを迅速に推定することができ、制御処理の負荷を低減しつつ、的確にスイッチング素子の発熱を抑制し、熱損傷の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るスイッチング回路の制御装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るスイッチング回路の制御装置の構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るスイッチング回路の制御装置におけるモータの目標トルクと回転数と順方向電流との対応関係の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るスイッチング回路の制御装置におけるハイ側スイッチング素子およびロー側スイッチング素子のオン/オフの状態の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るスイッチング回路の制御装置におけるハイ側スイッチング素子およびロー側スイッチング素子および還流ダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るスイッチング回路の制御装置において、スイッチング素子(MOSFET)のみに電流が流れる場合と、還流ダイオードのみに電流が流れる場合と、逆並列に接続されたスイッチング素子(MOSFET)および還流ダイオードの両方に電流が流れる場合とに対する電流−電圧特性の例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るスイッチング回路の制御装置において、ハイ側スイッチング素子およびロー側スイッチング素子の過去のオンデューティの履歴の例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るスイッチング回路の制御装置におけるハイ側スイッチング素子およびロー側スイッチング素子のオン/オフの状態の例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るスイッチング回路の制御装置の実施例および比較例における電流の通電状態の例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るスイッチング回路の制御装置の前回までの複数のスイッチング周期における順方向電流が流れていないスイッチング素子のオンデューティの積算値と、順方向電流と、逆方向電流との対応関係の一例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るスイッチング回路の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】図11に示す順方向デューティの演算処理を示すフローチャートである。
【図13】図11に示す逆方向デューティの演算処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態に係るスイッチング回路の制御装置の実施例および第1比較例および第2比較例における電流波形の例を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態に係るスイッチング回路の制御装置の実施例および第1比較例における電流波形の例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態の変形例に係るスイッチング回路の制御装置の動作、特に、逆方向デューティの演算処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るスイッチング回路の制御装置について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態によるスイッチング回路の制御装置10は、例えば車両に搭載され、図1および図2に示すように、バッテリ11を直流電源として3相(例えば、U相、V相、W相の3相)交流のブラシレスDCモータ12(以下、単に、モータ12と呼ぶ)を制御するインバータ13と、処理装置14とを備えて構成されている。
【0016】
インバータ13は、スイッチング素子(例えば、双方向性のMOSFET:Metal Oxide Semi-conductor Field Effect Transistor)を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路(スイッチング回路)13aと平滑コンデンサCとを具備し、このブリッジ回路13aがパルス幅変調(PWM)された信号によって駆動される。
【0017】
このブリッジ回路13aでは、例えば各相毎に対をなすハイ側およびロー側U相トランジスタUH,ULと、ハイ側およびロー側V相トランジスタVH,VLと、ハイ側およびロー側W相トランジスタWH,WLとがブリッジ接続されている。
そして、各トランジスタUH,VH,WHはドレインがバッテリ11の正極側端子に接続されてハイ側アームを構成し、各トランジスタUL,VL,WLはソースがバッテリ11の接地された負極側端子に接続されてロー側アームを構成している。
そして、各相毎に、ハイ側アームの各トランジスタUH,VH,WHのソースはロー側アームの各トランジスタUL,VL,WLのドレインに接続され、各トランジスタUH,UL,VH,VL,WH,WLのドレイン−ソース間には、ソースからドレインに向けて順方向となるようにして各還流ダイオードDUH,DUL,DVH,DVL,DWH,DWLが接続されている。
【0018】
つまり、ブリッジ回路13aは、各相毎にハイ側スイッチング素子(各トランジスタUH,VH,WH)および還流ダイオード(各還流ダイオードDUH,DVH,DWH)を逆並列に接続(すなわち、双方向導通型のハイ側スイッチング素子と、該ハイ側スイッチング素子の順方向導通に対して逆導通する還流ダイオードとを並列に接続)してなるハイ側アームと、各相毎にロー側スイッチング素子(各トランジスタUL,VL,WL)および還流ダイオード(各還流ダイオードDUL,DVL,DWL)を逆並列に接続(すなわち、双方向導通型のロー側スイッチング素子と、該ロー側スイッチング素子の順方向導通に対して逆導通する還流ダイオードとを並列に接続)してなるロー側アームとが、各相毎に直列に接続されて構成されている。
そして、各相毎に、ハイ側アームおよびロー側アームの接続点にモータ12のステータ巻線12aが接続されている。
【0019】
インバータ13は、例えばモータ12の駆動時において、処理装置14から出力されて各トランジスタUH,VH,WH,UL,VL,WLのゲートに入力されるスイッチング指令であるゲート信号(つまり、PWM信号)に基づき、各相毎に対をなす各トランジスタのオン(導通)/オフ(遮断)状態を切り替える。これによって、バッテリ11から供給される直流電力を3相交流電力に変換し、3相のステータ巻線12aへの通電を順次転流させることで、各相のステータ巻線12aに交流のU相電流IuおよびV相電流IvおよびW相電流Iwを通電する。
【0020】
一方、例えばモータ12の回生時において、インバータ13は、モータ12の回転角に基づいて同期がとられて処理装置14から出力されるゲート信号(つまり、PWM信号)に基づき、各相毎に対をなす各トランジスタのオン(導通)/オフ(遮断)状態を切り替えることによって、モータ12から出力される3相交流電力を直流電力に変換してバッテリ11に充電可能である。
【0021】
処理装置14は、例えば、回転直交座標をなすdq座標上で電流のフィードバック制御(ベクトル制御)をおこなうものであり、目標d軸電流Idc及び目標q軸電流Iqcを演算する。そして、目標d軸電流Idc及び目標q軸電流Iqcに基づいて各相電圧指令Vu,Vv,Vwを算出し、各相電圧指令Vu,Vv,Vwに応じてインバータ13に対するゲート信号であるPWM信号を出力する。そして、実際にインバータ13からモータ12に供給される各相電流Iu,Iv,Iwをdq座標上に変換して得たd軸電流Id及びq軸電流Iqと、目標d軸電流Idc及び目標q軸電流Iqcとの各偏差がゼロとなるように制御をおこなう。
【0022】
処理装置14は、例えば、電流指令演算部21と、差分演算部22と、電流フィードバック演算部23と、dq−3相変換部24と、PWM演算部25と、3相−dq変換部26とを備えて構成されている。
【0023】
電流指令演算部21は、モータ12の目標トルクと回転数とに基づき、インバータ13からモータ12に供給される各相電流Iu,Iv,Iwを指定するための電流指令を演算しており、この電流指令は、回転する直交座標上での目標d軸電流Idc及び目標q軸電流Iqcとして差分演算部22へ出力されている。
【0024】
なお、モータ12の回転数は、例えば、回転子(図示略)の回転角(例えば、所定の基準回転位置からの回転子の磁極の回転角度)を検出する回転角センサ31から出力される検出値に基づき算出されてもよいし、あるいは、回転子(図示略)の回転数を検出する回転数センサ(図示略)により検出されてもよい。
【0025】
電流指令演算部21は、例えば図3に示すように、予めモータ12の目標トルクと回転数とスイッチング素子の順方向電流との所定の対応関係を示すマップなどのデータを複数の異なる電源電圧(つまり、バッテリ11の出力電圧)毎に対応付けて記憶している。
そして、電流指令演算部21は、モータ12の目標トルクと回転数と電源電圧とに応じたスイッチング素子の順方向電流を、予め記憶しているマップに対するマップ検索などにより取得し、この順方向電流に応じた目標d軸電流Idc及び目標q軸電流Iqcを演算する。
【0026】
なお、例えば図3に示す適宜の電源電圧Aに対する所定のマップでは、目標トルクの増大あるいは回転数の増大あるいは電源電圧の低下に伴い、順方向電流が増大傾向に変化するように設定されているが、これに限定されず、例えばモータ12やインバータ13などの特性あるいは素子特性データなどに応じた適宜の傾向を示すように設定されてもよい。
【0027】
また、回転直交座標をなすdq座標は、例えばモータ12の回転子(図示略)に具備される永久磁石による界磁極の磁束方向をd軸(界磁軸)とし、このd軸と直交する方向をq軸(トルク軸)としており、回転子の回転位相に同期して回転している。
これにより、インバータ13からモータ12の各相に供給される交流信号に対する電流指令として、直流的な信号である目標d軸電流Idcおよび目標q軸電流Iqcを与えるようになっている。
【0028】
差分演算部22は、電流指令演算部21から出力される目標d軸電流Idcおよび目標q軸電流Iqcと3相−dq変換部26から出力されるd軸電流Idおよびq軸電流Iqとの各偏差ΔId,ΔIqを算出する。
電流フィードバック演算部23は、例えばPID(比例積分微分)動作などにより、各偏差ΔId,ΔIqを制御増幅してd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqを算出する。
【0029】
dq−3相変換部24は、モータ12の回転子(図示略)の回転角を検出する回転角センサ31から出力される回転角の検出値により、dq座標上でのd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqを、静止座標である3相交流座標上での電圧指令値であるU相出力電圧VuおよびV相出力電圧VvおよびW相出力電圧Vwに変換する。
【0030】
PWM演算部25は、例えばモータ12の駆動時には、各相のステータ巻線12aに交流の正弦波状のU相電流IuおよびV相電流IvおよびW相電流Iwを通電するために、各相出力電圧Vu,Vv,Vwと三角波などのキャリア信号とを比較して、インバータ13の各トランジスタUH,VH,WH,UL,VL,WLをオン/オフ駆動させるゲート信号(つまり、PWM信号)を生成する。
【0031】
PWM演算部25は、ハイ側アームおよびロー側アームの各スイッチング素子のオンデューティを独立に設定可能である。
PWM演算部25は、例えば図4に示すように、いわゆる相補PWM(パルス幅変調)によってブリッジ回路13aのハイ側アームおよびロー側アームの各スイッチング素子を交互にON/OFF駆動させる。そして、各相毎のハイ側スイッチング素子およびロー側スイッチング素子のオンの比率は、各相毎のハイ側およびロー側オンデューティDutyU(H,L),DutyV(H,L),DutyW(H,L)により設定されている。
【0032】
これにより、ハイ側アームのハイ側スイッチング素子(SW1)のオンおよびロー側アームのロー側スイッチング素子(SW2)のオフの状態と、ハイ側アームのハイ側スイッチング素子(SW1)のオフおよびロー側アームのロー側スイッチング素子(SW2)のオンの状態とが、交互に切り替えられる。
【0033】
そして、例えば図5に示すように、ハイ側アームのハイ側スイッチング素子(SW1)のオンにおいてハイ側スイッチング素子(SW1)に順方向電流が流れる場合には、ロー側アームのロー側スイッチング素子(SW2)のオンにおいてロー側スイッチング素子(SW2)に逆方向電流が流れると共に、このロー側スイッチング素子(SW2)に逆並列に接続されている還流ダイオード(2)に転流電流が流れる。
【0034】
一方、ロー側アームのロー側スイッチング素子(SW2)のオンにおいてロー側スイッチング素子(SW2)に順方向電流が流れる場合には、ハイ側アームのハイ側スイッチング素子(SW1)のオンにおいてハイ側スイッチング素子(SW1)に逆方向電流が流れると共に、このハイ側スイッチング素子(SW1)に逆並列に接続されている還流ダイオード(1)に転流電流が流れる。
【0035】
なお、例えば図5に示すように、順方向電流が流れていないスイッチング素子(つまり、転流電流が流れている還流ダイオードに並列に接続されたスイッチング素子)のオンの状態において、並列接続されたスイッチング素子および還流ダイオードの両方に転流電流(逆方向電流)が流れる場合には、例えば図6に示すように、転流電流(逆方向電流)がスイッチング素子のみ、あるいは還流ダイオードのみに流れる場合に比べて、並列接続されたスイッチング素子および還流ダイオードの合成抵抗が小さくなることに伴って、スイッチング回路全体としての損失を低減させることができる。
【0036】
そして、PWM演算部25は、各相電流検出部32により検出された各相電流Iu,Iv,Iwの検出値に基づき、所定のスイッチング周期においてハイ側スイッチング素子のオンデューティ(オンの比率)とロー側スイッチング素子のオンデューティ(オンの比率)とを独立に設定可能な通電割合演算部25aを備えている。
【0037】
通電割合演算部25aは、ハイ側スイッチング素子(各トランジスタUH,VH,WH)およびロー側スイッチング素子(各トランジスタUL,VL,WL)のうち順方向電流が流れていないスイッチング素子(つまり、転流電流が流れている還流ダイオードに並列に接続されたスイッチング素子)のオンデューティ(逆方向デューティ)を、該スイッチング素子の前回までのスイッチング周期におけるオンデューティ(例えば、前回までの複数のスイッチング周期における逆方向デューティの積算値など)に基づいて設定する。
【0038】
つまり、ハイ側スイッチング素子(各トランジスタUH,VH,WH)およびロー側スイッチング素子(各トランジスタUL,VL,WL)のうち順方向電流が流れるスイッチング素子のオンデューティは、電流指令演算部21によってモータ12の目標トルクと回転数と電源電圧とに応じて設定されることに対して、順方向電流が流れていないスイッチング素子のオンデューティは、通電割合演算部25aによってスイッチング素子と還流ダイオードとの転流電流(逆方向電流)の通電割合に応じて設定される。
【0039】
例えば図7に示す複数のスイッチング周期において、ハイ側スイッチング素子およびロー側スイッチング素子のうち順方向電流が流れていないスイッチング素子のオンデューティは、前回までの過去所定回数(例えば、5回など)のスイッチング周期における順方向電流が流れていないスイッチング素子のオンデューティ(逆方向デューティ)の積算値に基づいて設定される。
【0040】
なお、通電割合演算部25aによって設定される順方向電流が流れていないスイッチング素子のオンデューティ(SW2_Ton)には所定の上限値が設定されており、この上限値は、順方向電流が流れるスイッチング素子のオンデューティ(SW1_Ton)およびデッドタイム(Tdead)に応じた値(=100%−SW1_Ton%−Tdead%)である。
これにより、通電割合演算部25aによって設定される順方向電流が流れていないスイッチング素子のオンデューティ(SW2_Ton)は、例えば図8に示すように、ゼロから所定の上限値までの間の適宜の値(例えば、a%,b%,c%など)となるように設定される。
【0041】
これにより、例えば図9(A)に示すようにスイッチング素子としてIGBTを採用する比較例では、スイッチング素子のオンであってもスイッチング素子に逆方向電流が流れずに還流ダイオードのみに転流電流が流れることに対して、例えば図9(B),(C)に示すようにスイッチング素子としてMOSFETを採用する実施例では、通電割合演算部25aによって設定される通電割合でスイッチング素子と還流ダイオードの両方に転流電流(逆方向電流)が流れる。
【0042】
通電割合演算部25aは、例えば、ハイ側スイッチング素子およびロー側スイッチング素子のうち順方向電流が流れていないスイッチング素子のオンデューティ(逆方向デューティ)に係るマップあるいは数式を記憶しており、該マップあるいは数式に基づいて、順方向電流が流れていないスイッチング素子のオンデューティ(逆方向デューティ)を設定することにより、スイッチング素子と還流ダイオードとの転流電流(逆方向電流)の通電割合を調整する。
【0043】
なお、例えば図10に示す適宜の電源電圧Aに対する所定のマップでは、順方向電流が流れていないスイッチング素子のオンデューティ(逆方向デューティ)の積算値の増大あるいは順方向電流の増大に伴い、逆方向電流(逆方向デューティ)が低下傾向に変化する(すなわち、転流電流のスイッチング素子への通電割合が還流ダイオードへの通電割合に対して低下傾向に変化する)ように設定されているが、これに限定されず、例えばモータ12やインバータ13などの特性あるいは素子特性データなどに応じた適宜の傾向を示すように設定されてもよい。
【0044】
3相−dq変換部26は、各相電流検出部32により検出された各相電流Iu,Iv,Iwの検出値と、回転角センサ31から出力される回転角の検出値とにより、モータ12の回転位相による回転座標すなわちdq座標上でのd軸電流Idおよびq軸電流Iqを算出する。
【0045】
本実施の形態によるスイッチング回路の制御装置10は上記構成を備えており、次に、このスイッチング回路の制御装置10の動作例について説明する。
【0046】
先ず、例えば図11に示すステップS01においては、モータ12の回転角および相電流と、電源電圧(つまり、バッテリ11の出力電圧)を取得する。
次に、ステップS02においては、順方向電流が流れるスイッチング素子(ハイ側スイッチング素子およびロー側スイッチング素子の何れか一方であって、例えばハイ側スイッチング素子)のオンデューティである順方向デューティ(例えば、ハイ側デューティDutyH)の演算処理を実行する。
【0047】
次に、ステップS03においては、順方向電流が流れていないスイッチング素子(ハイ側スイッチング素子およびロー側スイッチング素子の何れか他方であって、例えばロー側スイッチング素子)のオンデューティである逆方向デューティ(例えば、ロー側デューティDutyL)の演算処理を実行する。
次に、ステップS04においては、順方向デューティおよび逆方向デューティの演算結果に応じた各相毎のハイ側およびロー側オンデューティDutyU(H,L),DutyV(H,L),DutyW(H,L)を出力し、エンドに進む。
【0048】
以下に、上述したステップS02における順方向デューティ演算の処理について説明する。
先ず、例えば図12に示すステップS11においては、モータ12の目標トルクと回転数と電源電圧とに応じたスイッチング素子の順方向電流を、予め記憶しているマップに対するマップ検索などにより演算する。
次に、ステップS12においては、例えば予め記憶されているデータなどに基づき、順方向電流が流れるスイッチング素子に対するデッドタイム(例えば、所定の最小デッドタイムなど)を取得する。
次に、ステップS13においては、順方向電流およびデッドタイムに基づき、順方向デューティを演算し、リターンに進む。
【0049】
以下に、上述したステップS03における逆方向デューティ演算の処理について説明する。
先ず、例えば図13に示すステップS21においては、前回までのスイッチング周期における順方向電流が流れていないスイッチング素子のオンデューティ(逆方向デューティ)の履歴を取得する。
次に、ステップS22においては、前回までの過去所定回数(例えば、5回など)のスイッチング周期における逆方向デューティの積算値を演算する。
【0050】
次に、ステップS23においては、前回までの過去所定回数(例えば、5回など)のスイッチング周期における逆方向デューティの積算値と、今回のスイッチング周期での順方向電流の大きさとに基づき、例えば図10に示すような予め記憶しているマップあるいは数式などを参照して、今回のスイッチング周期での逆方向電流(あるいは、逆方向電流の大きさに対応する逆方向デューティ)を演算する。
【0051】
次に、ステップS24においては、逆方向電流に基づき逆方向デューティ(例えば、ロー側デューティDutyL)を演算する。
次に、ステップS25においては、例えば予め記憶されているデータなどに基づき、逆方向電流が流れるスイッチング素子に対するデッドタイム(例えば、所定の最小デッドタイムなど)を取得する。
【0052】
次に、ステップS26においては、逆方向デューティリミット処理を行なう。
この処理では、先ず、今回のスイッチング周期での順方向デューティ(例えば、ハイ側デューティDutyH)と、逆方向電流が流れるスイッチング素子に対するデッドタイムとに基づき、逆方向デューティに対する所定の上限値(=100%−順方向デューティ%−デッドタイム%)を演算する。
そして、逆方向デューティの演算結果が逆方向デューティに対する所定の上限値以下であれば、この演算結果を逆方向デューティとして出力し、リターンに進む。
一方、逆方向デューティの演算結果が逆方向デューティに対する所定の上限値よりも大きい場合には、所定の上限値を逆方向デューティとして出力し、リターンに進む。
【0053】
例えば図14(A)〜(D)に示すように、モータ12に3相交流の各相電流Iu,Iv,Iwが通電される状態において、各相電流Iu,Iv,Iwが正の場合には順方向電流がハイ側スイッチング素子に流れ、各相電流Iu,Iv,Iwが負の場合には順方向電流がロー側スイッチング素子に流れる。
そして、例えば図14(C)に示すように、スイッチング素子として双方向性のMOSFETを採用して通常の相補PWM制御が実行される第1比較例では、モータ12の目標トルクと回転数と電源電圧とによって設定される所定の順方向デューティおよび逆方向デューティに応じて、ハイ側スイッチング素子およびロー側スイッチング素子が交互にON/OFF駆動される。
すなわち、一方側のアームのスイッチング素子の順方向デューティと、他方側のアームのスイッチング素子の逆方向デューティとの間には、逆方向デューティ%=100%−順方向デューティ%−デッドタイム%の関係が成り立っている。
【0054】
これに対して、例えば図14(B)に示すように、スイッチング素子として双方向性のMOSFETを採用して、前回までの過去所定回数(例えば、5回など)のスイッチング周期における逆方向デューティの積算値に基づいて、今回のスイッチング周期での逆方向デューティが設定される実施例では、この逆方向デューティに応じて転流時のデッドタイムが変更される。
【0055】
なお、例えば図14(D)に示すように、スイッチング素子としてIGBTを採用して通常の相補PWM制御が実行される第2比較例では、スイッチング素子において転流時の逆導通は生じない。
【0056】
例えば図15(A),(B)に示すように、モータ12の相電流が負となって順方向電流がロー側スイッチング素子に流れる場合において、第1比較例では転流時のデッドタイムが一定であり、ハイ側スイッチング素子に流れる逆方向電流は一定となることに対して、実施例では転流時のデッドタイムが可変となり、ハイ側スイッチング素子に流れる逆方向電流は、前回までの過去所定回数(例えば、5回など)のスイッチング周期における逆方向デューティの積算値に応じて変化する。
【0057】
上述したように、本実施の形態によるスイッチング回路の制御装置10によれば、前回までのスイッチング周期において順方向電流が流れていないスイッチング素子に転流電流(逆方向電流)が流れていた時間、すなわち順方向電流が流れていないスイッチング素子の発熱度合いに応じて、このスイッチング素子のオンデューティを設定することができ、スイッチング素子の発熱を抑制し、熱損傷の発生を防止することができる。
しかも、スイッチング素子の温度を検出するための特別な検出デバイスを必要とせずに、スイッチング素子の温度を制御することができ、装置構成に要する費用が嵩むことを防止することができる。
【0058】
さらに、前回までの複数のスイッチング周期における順方向電流が流れていないスイッチング素子のオンデューティの積算値に基づいて、順方向電流が流れていないスイッチング素子のオンデューティ(つまり逆方向デューティ)を設定することから、順方向電流が流れていないスイッチング素子の発熱度合いの推定精度を向上させることができ、より一層、的確にスイッチング素子の発熱を抑制し、熱損傷の発生を防止することができる。
【0059】
さらに、予め記憶しているマップあるいは数式に基づいて、順方向電流が流れていないスイッチング素子の発熱度合いを迅速に推定することができ、制御処理の負荷を低減しつつ、的確にスイッチング素子の発熱を抑制し、熱損傷の発生を防止することができる。
【0060】
なお、上述した実施の形態において、通電割合演算部25aは、前回までの複数のスイッチング周期における逆方向デューティの積算値に基づいて今回のスイッチング周期での逆方向デューティを設定するとしたが、これに限定されず、前回までの複数のスイッチング周期における逆方向デューティに係る他の値、例えば平均値などであって、順方向電流が流れていないスイッチング素子の発熱度合いに係る適宜の値に基づいて今回のスイッチング周期での逆方向デューティを設定してもよい。
【0061】
なお、上述した実施の形態において、通電割合演算部25aは順方向電流が流れていないスイッチング素子の過去のオンデューティの履歴に基づいて逆方向デューティを設定するとしたが、これに限定されず、ハイ側スイッチング素子およびロー側スイッチング素子のうち順方向電流が流れるスイッチング素子は周期的に切り換わることから、今回のスイッチング周期での逆方向デューティを、このスイッチング素子に順方向電流が流れていたときのオンデューティ、つまり順方向電流が流れていたときの発熱度合いも考慮して設定してもよい。
この場合には、例えば、順方向電流が大きくなることに伴い、スイッチング素子の発熱度合いが大きくなるとして、スイッチング素子の発熱度合いの推定精度を向上させることができ、より一層、的確にスイッチング素子の発熱を抑制し、熱損傷の発生を防止することができる。
【0062】
なお、上述した実施の形態において、通電割合演算部25aは、逆方向デューティの積算値および順方向電流と、逆方向電流との所定の対応関係を示すマップあるいは数式に基づいて、今回のスイッチング周期での逆方向電流あるいは逆方向デューティを演算するとしたが、これに限定されず、例えばインバータ13のスイッチング素子などのチップ温度を推定して、この推定結果に基づき逆方向電流あるいは逆方向デューティを演算してもよい。
【0063】
以下に、この変形例において、上述した実施の形態のステップS03における逆方向デューティ演算の処理について説明する。
先ず、例えば図16に示すステップS31においては、前回までのスイッチング周期における逆方向デューティの履歴を取得する。
次に、ステップS32においては、前回までの過去所定回数(例えば、5回など)のスイッチング周期における逆方向デューティの積算値を演算する。
【0064】
次に、ステップS33においては、前回までの過去所定回数(例えば、5回など)のスイッチング周期における逆方向デューティの積算値に基づき、インバータ13のスイッチング素子などのチップ温度を推定する。
この推定処理では、例えば逆方向デューティの積算値とチップ温度の推定値との対応関係を示す所定のマップや数式、あるいは、例えば逆方向デューティの積算値および順方向電流とチップ温度の推定値との対応関係を示す所定のマップや数式、などを参照して、チップ温度の推定値を演算する。
【0065】
次に、ステップS34においては、例えばチップ温度の推定値および順方向電流と、逆方向電流との対応関係を示す所定のマップや数式などを参照して、逆方向電流を演算する。
次に、ステップS35においては、逆方向電流に基づき逆方向デューティ(例えば、ロー側デューティDutyL)を演算する。
次に、ステップS36においては、例えば予め記憶されているデータなどに基づき、逆方向電流が流れるスイッチング素子に対するデッドタイム(例えば、所定の最小デッドタイムなど)を取得する。
【0066】
次に、ステップS37においては、逆方向デューティリミット処理を行なう。
この処理では、先ず、今回のスイッチング周期での順方向デューティ(例えば、ハイ側デューティDutyH)と、逆方向電流が流れるスイッチング素子に対するデッドタイムとに基づき、逆方向デューティに対する所定の上限値(=100%−順方向デューティ%−デッドタイム%)を演算する。
そして、逆方向デューティの演算結果が逆方向デューティに対する所定の上限値以下であれば、この演算結果を逆方向デューティとして出力し、リターンに進む。
一方、逆方向デューティの演算結果が逆方向デューティに対する所定の上限値よりも大きい場合には、所定の上限値を逆方向デューティとして出力し、リターンに進む。
【0067】
この変形例によれば、順方向電流が流れていないスイッチング素子の発熱度合いに係るチップ温度の推定値に基づいて、スイッチング素子のオンデューティを、より一層適切に設定することができる。
【符号の説明】
【0068】
10 スイッチング回路の制御装置
12 モータ(負荷)
13 インバータ
13a ブリッジ回路(スイッチング回路)
14 処理装置
25 PWM演算部(デューティ設定手段)
25a 通電割合演算部(積算値算出手段)
32 相電流検出部(負荷電流検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイ側スイッチング素子および還流ダイオードを逆並列に接続してなるハイ側アームと、ロー側スイッチング素子および還流ダイオードを逆並列に接続してなるロー側アームとを、直列に接続して構成されるスイッチング回路の制御装置であって、
所定のスイッチング周期において、前記ハイ側スイッチング素子のオンデューティと前記ロー側スイッチング素子のオンデューティとを独立に設定可能なデューティ設定手段を備え、
前記デューティ設定手段は、
前記ハイ側スイッチング素子および前記ロー側スイッチング素子のうち順方向電流が流れていないスイッチング素子の前記オンデューティを、該スイッチング素子の前回までの前記スイッチング周期における前記オンデューティに基づいて設定する
ことを特徴とするスイッチング回路の制御装置。
【請求項2】
前回までの複数の前記スイッチング周期における前記オンデューティの積算値を算出する積算値算出手段を備え、
前記デューティ設定手段は、前記積算値算出手段によって算出された前記オンデューティの前記積算値に基づいて、前記順方向電流が流れていないスイッチング素子の前記オンデューティを設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング回路の制御装置。
【請求項3】
前記ハイ側アームおよび前記ロー側アームの接続点に接続された負荷に流れる負荷電流を検出する負荷電流検出手段を備え、
前記デューティ設定手段は、前記負荷電流検出手段によって検出された前記負荷電流に基づいて、前記順方向電流が流れていないスイッチング素子の前記オンデューティを設定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスイッチング回路の制御装置。
【請求項4】
前記デューティ設定手段は、前記順方向電流が流れていないスイッチング素子の前記オンデューティに係るマップあるいは数式を記憶しており、該マップあるいは数式に基づいて、前記順方向電流が流れていないスイッチング素子の前記オンデューティを設定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載のスイッチング回路の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−21869(P2013−21869A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154807(P2011−154807)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】