説明

スキャナモジュールを備えたカメラ

【課題】光走査によるファインダー表示において、光源およびスキャナ機構の位置決めが容易で、表示パターンを所定位置に精度よく表示する。
【解決手段】一体的にパッケージングされたマイクロミラーデバイス55および光源60を備えるスキャナモジュール50を、カメラの光学ファインダー傍に設ける。スキャナモジュール50において、光源60とマイクロミラー56を同一方向に向けて配置し、光射出面60Sとミラー反射面56Sを互いに平行にする。また、スキャナモジュール50内の内部空間NSを密閉する矩形状リッドグラス70には、全反射面76、PBS膜78を45度の傾斜角度で形成し、マイクロミラー56とリッドグラス70の間にλ/4波長板65を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペンタプリズムなど光学ファインダーを備えたカメラに関し、特に、マイクロミラーを使った2次元走査によって文字情報等をスーパーインポーズ表示可能なファインダー表示機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフ型カメラでは、撮影レンズを通った光がクイックリターンミラーによってミラー上方にあるピントグラスに導かれ、被写体像がピントグラスに形成される。カメラ上部に設けられたペンタプリズム、あるいはペンタミラーによって被写体像が観察可能となり、接眼レンズを通して被写体の構図、合焦状態が確認される。
【0003】
ピントグラス上方には、合焦位置などをファインダー視野内に表示するため、複数の微小プリズムが測距点位置に形成されたスクリーン板が配置されている。レリーズボタン半押しによってオートフォーカスが機能すると、ファインダー傍に設けられたLEDなどの光源から合焦位置に向けて光を照射し、これによって合焦マークが被写体像にスーパーインポーズ表示される。また、絞り、シャッタスピードなど露出値が液晶素子によりファインダー視野外に表示される。
【0004】
合焦マークの表示位置は微小プリズムの形成位置にしか表示できず、また、文字情報の表示位置もファインダー視野外の所定領域に定められている。このようなパターンの表示位置の制限を解消するため、液晶素子とともにマイクロミラーを配置するカメラのファインダー表示方法が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
そこでは、所定角度で傾斜したマイクロミラーにLED光源の光を照射させ、反射光を被写体像の光と重ね合わせる。マイクロミラーの角度を調整することによってフォーカスポイントなどのパターン表示位置を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−15063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マイクロミラーを2次元駆動させ、ミラーに反射する光を走査させてスーパーインポーズ表示する場合、ミラーを連続的に高速駆動する。走査中、合焦マーク、文字情報などの表示パターンをファインダー視野内で正確な位置に表示させることが要求され、位置決め精度の高いパターン表示が必要になる。しかしながら、走査時のマイクロミラーの傾斜角度、回転範囲は大きく、正確な位置にパターン表示させることが難しい。
【0008】
特に、光源とスキャナ機構との間における光軸調整、すなわちミラー反射面への入射角度を、空間スペースの乏しい光学ファインダー周囲で精度よく調整する必要がある。また、カメラの種類によって光学ファインダーの形状、配置構成が異なるため、光学ファインダーの違いに合わせて個別に位置調整しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のカメラは、光走査によるファインダー表示可能なカメラであり、焦点板を有し、観察用の被写体像を形成する光学ファインダーと、マイクロミラーなどの光源の光を反射する微小ミラーを傾斜させることによって、微小ミラーで反射した光をファインダー視野に合わせて走査させるスキャナ機構と、光源の光を変調して表示パターンを形成する表示制御手段とを備える。
【0010】
スキャナ機構は、表示パターンがファインダー視野内で被写体像に重ねて表示されるように、光学ファインダーに対して位置決めされている。走査面に関しては、例えば、微小ミラーで反射した光が光学ファインダーを介して焦点板の表面を走査するように、スキャナ機構を配置すればよい。光源については、面発光レーザーを光源としてもよい。
【0011】
本発明では、スキャナ機構が、微小ミラーと対向し、光源からの光を微小ミラーの反射面に垂直方向から当てるとともに反射面で反射した光を透過する光学部材を有する。光学ファインダーと微小ミラーとの間に配置される光学部材によって、光源からの光をミラー反射面に対し垂直に当てる。ただし、ここでの垂直方向は、ミラーが傾斜していない状態での反射面に対する垂直な方向を表す。
【0012】
ミラー垂直方向から光が入射するため、入射方向とスキャナ機構との間の位置決めを精度よく調整することが容易に可能となる。また、光学ファインダーに対する位置決め調整もミラー垂直方向に合わせて行うことになり、ミラー傾斜角度と走査面での走査位置とをそのまま対応づけて精度よくスキャナ機構を位置決めすることが可能となる。
【0013】
特に、光源およびスキャナ機構を一体的にパッケージングすれば、光源と微小ミラーとの位置調整を行う必要がなく、ミラー反射面に垂直な方向を光軸に合わせ、光学ファインダーに対する配置を決定することが可能となる。パッケージングなどする場合、光学部材を微小ミラーと光源を覆うカバー部材として構成すればよい。
【0014】
スキャナ機構と光源の配置スペースに制限があることから、光源の光射出面を、反射面と同一方向に向かせて平行にし、そして、光学部材に対し、光源からの光を反射する第1光学面と、第1反射面からの光を微小ミラーへ導くとともに微小ミラーで反射した光を透過する第2光学面を設けるのが望ましい。光源と反射ミラーの設置位置が平面に沿って固定でき、両方の配置が容易かつ高精度に定まる。
【0015】
第2光学面はビームスプリッタ、プリズムなど様々な光学的部材によって構成可能であり、例えば、選択的に偏光成分を反射、透過するPBS膜を形成し、第2光学面と微小ミラーとの間にλ/4波長板を設けてもよい。また、光学部材にマイクロミラー上方に集光レンズを設けてもよい。
【0016】
本発明の他の局面におけるスキャナモジュールは、カメラなど光学像にパターンを重ねて表示させる一体型パッケージング可能なスキャナモジュールであり、ハウジング内に設けられる光源と、前記ハウジング内に設けられ、前記光源からの光を所定方向に反射する軸回転可能な微小ミラーと、前記ハウジングを密閉するとともに、前記光源からの光を前記微小ミラーへ導くカバーガラスとを備える。そして、前記カバーガラスは、前記微小ミラーと対向し、前記光源からの光を前記微小ミラーに垂直方向から当てるとともに前記微小ミラーで反射した光を透過することを特徴とする。
【0017】
パッケージングを小型化するため、前記光源から前記カバーガラスに入射する光の進行方向が前記微小ミラーへ入射する光の進行方向と平行になるように、前記光源をハウジング内に配置し、ハウジング内での光の入射、射出経路を平行にするのがよい。
【0018】
できるだけ厚さのない平板状カバーガラスを構成するため、例えばカバーガラスは、傾斜面を有する第1の柱状ガラスブロックと、前記光源および前記デバイスと対向し、2つの傾斜面を有する第2の柱状ガラスブロックと、傾斜面を有する第3の柱状ガラスブロックとを設け、反射膜を介して前記第2の柱状ブラックが前記第1、第3の柱状ガラスブロックと接合することによって平板状ガラスを形成するのが望ましい。光源から前記カバーガラスへ入射する光が、前記反射膜を介して前記カバーグラスから前記微小ミラーへ向けて射出する。
【発明の効果】
【0019】
このように本発明によれば、光源およびスキャナ機構の位置決めが容易で、表示パターンを所定位置に精度よく表示することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態であるデジタルカメラの部分的な内部構成図である。
【図2】スキャナモジュールを上方から見た平面図である。
【図3】スキャナモジュールの模式的断面図である。
【図4】リッドガラスの上方から見た平面図である。
【図5】デジタルカメラのブロック図である。
【図6】レリーズボタンが半押しされた状態におけるファインダー表示を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、図面を参照して本実施形態であるデジタルカメラについて説明する。
【0022】
図1は、本実施形態であるデジタルカメラの部分的な内部構成図である。
【0023】
一眼レフ型デジタルカメラ10では、鏡筒を含む撮影光学系12がカメラ本体11に着脱自在に装着されており、撮影光学系12後方にはクイックリターンミラー13、フォーカルプレーンシャッタ(図示せず)、CCD14が配置されている。クイックリターンミラー13が配置されるミラーボックス上方には、マット面25を形成したピントグラス24、ペンタプリズム(ペンタゴナルダハプリズム)26、そしてルーペ光学系22を含む光学ファインダー20が配置されている。
【0024】
撮影光学系12を通った光は、クイックリターンミラー13によって上方に導かれ、ピントグラス24に被写体像が形成される。ピントグラス24を通った光は、ペンタプリズム26内で反射し、ルーペ光学系22へ導かれる。これにより、撮影光学系12によって捉えられた被写体の光学像が、ルーペ光学系22を通して視認される。
【0025】
スキャナモジュール50は、マイクロミラーデバイス55、レーザー光源60を備えた一体型モジュールであり、三角柱状プリズム27を介してペンタプリズム26の第2反射面26Sの傍に配置されている。レーザー光源60は、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)、すなわち面発光レーザーであり、可視光領域のレーザ光を放射する。レーザー光源60から放射された光はマイクロミラーデバイス55のマイクロミラー56において反射し、反射光はペンタプリズム26に入射し、ピントグラス24のマット面24Sに照射される。
【0026】
レーザー光源60からの光は、マット面24Sにてピントグラス24を透過する被写体像の光と重なり合う。
【0027】
後述するように、マイクロミラー56が2次元駆動することにより、マイクロミラー56で反射した光はマット面24Sをラスタ走査する。ラスタ走査の間、レーザー光源60がON/OFF制御され、表示パターンに応じた光がマット面24Sに照射する。その結果、ファインダー視野内において、文字情報、合焦マークなどの表示パターンが被写体像に対しスーパーインポーズ表示される。
【0028】
図2は、スキャナモジュールを上方から見た平面図である。図3は、スキャナモジュールの模式的断面図である。図4は、リッドガラスの上方から見た平面図である。
【0029】
スキャナモジュール50は、表面フラット型の方形モジュールであり、図3に示すように、セラミック層62A、62B、63Cを積層させてハウジングを構成した一体的構造になっている。スキャナモジュール50の上部には、矩形状リッドガラス70が配置されており、内部空間NSを密閉している。真空封止された内部空間NSには、レーザー光源60、マイクロミラーデバイス55が設置されている。
【0030】
リッドガラス70は、第1ガラスブロック70A、第2ガラスブロック70A、第3ガラスブロック70Cを貼り合わせることによって、1枚の平板状カバーガラス部材を構成している。第1ガラスブロック70Aは、傾斜面45度の斜面を有する柱状ブロックであり、傾斜斜面上に全反射膜76が形成されている。第3ガラスブロック70Cも45度傾斜面を有する柱状ブロックであり、その傾斜面上にはPBS膜78が形成されている。
【0031】
第2ガラスブロック70Bは、2つの45度傾斜面を有する断面台形状のガラスブロックであり、第1ガラスブロック70Aの傾斜面に形成された全反射膜76と、第3ガラスブロック70Cの傾斜面に形成されたPBS膜78とを接し合わせることにより、方形状リッドガラス70が一体的に構成されている。なお、全反射膜76とPBS膜78とを第2ガラスブロック70Bの2つ傾斜面にそれぞれ形成するようにしても良い。
【0032】
リッドガラス70の表面70Sには、凸レンズ74が第3ガラスブロック70Cの表面部分に形成されている。一方、リッドガラス70の底面70Tには、集光レンズ72が第1ガラスブロック70Aの底面部分に形成されている。
【0033】
セラミック層62Aには、レーザー光源60、およびマイクロミラーデバイス55を載せた基台53が設置固定されており、レーザー光源60、マイクロミラーデバイス55は外部の回路と繋がっているリード線BTと接続する。リッドガラス70は、内部空間NSを間に挟んでレーザー光源60、マイクロミラーデバイス55と対向している。
【0034】
矩形状のマイクロミラー56は、直交する2軸方向に沿って形成された2対のヒンジ(トーションバー、図示せず)を介してシリコンウェハ基板の矩形状支持フレーム59と一体的に繋がっており、2対のヒンジ周りにそれぞれ軸回転および往復揺動運動可能に保持されている。
【0035】
支持フレーム59に形成された固定電極(図示せず)とマイクロミラー56に形成された可動電極(図示せず)との間に正負の電荷が生じると、マイクロミラー56が傾斜する。電荷量を調整することによって、マイクロミラー56の傾斜角を連続的に変更させることが可能であり、マイクロミラー56は、反射光をラスタ走査させるように2次元駆動する。
【0036】
基台53上に設置されたマイクロミラーデバイス55のミラー反射面56Sとレーザー光源60の光射出面60Sは、ともに同一方向を向いて互いに平行である。すなわち、マイクロミラー56が傾斜していない状態でのミラー反射面56Sの垂直方向と、光射出面60Sの垂直方向が一致する。
【0037】
リッドガラス70内部には、モジュール長さ方向に沿って向かい合う全反射膜76とPBS膜78が形成されており、リッドガラス70の表面70S、底面70Tに対してそれぞれ45度傾斜している。全反射膜76は、レーザー光源60の上方に形成され、レーザー光源60からの光を全反射する。一方、マイクロミラー56上方に形成されたPBS膜78は偏光ビームスプリッタであり、光のS偏光成分を反射し、P偏光成分を透過する。
【0038】
リッドガラス70の底面70Tには、λ/4波長板65がマイクロミラー56と対向する位置に設置されている。全反射膜76で反射したS偏光成分の光がλ/4波長板65を往復することでP偏光成分に変換され、PBS膜78は、マイクロミラー56で反射したP偏光成分の光を透過する。
【0039】
上述したように、リッドガラス70の表面70S、底面70Tと、マイクロミラー56のミラー反射面56Sおよびレーザー光源60の光射出面60Sは、互いに平行関係にある。これらの面を仮想的基準平行面MSに平行な面であるとすると、レーザー光源60からリッドグラス70に入射する光、すなわちリッドグラス70に対して垂直方向に入射する光は、全反射膜76により基準平行面に沿って反射する。
【0040】
そして、全反射膜76からPBS膜78に到達した光は、基準平行面に垂直な方向、すなわちミラー反射面56Sに垂直な方向に進行する。その結果、レーザー光源60から放射された光は、マイクロミラー56のミラー反射面56Sに対し垂直方向から照射する。
【0041】
ミラー反射面56Sで反射した光は、リッドガラス70内のPBS膜78を通り、スキャナモジュール50外部へ射出する。マイクロミラー56が二次元駆動する(傾斜する)のに合わせて光の射出方向は変化し、反射光はラスタ走査される。
【0042】
なお、リッドガラス70の底面70Tに形成された凸レンズ74により、レーザー光源60から放出された光は照明凸レンズ74を通ってリッドガラス70に入射する。また、リッドガラス70の表面70Sに形成された集光レンズ72により、PBS膜を透過した光は集光レンズ72を通ってスキャナモジュール50の外部へ射出する。
【0043】
図5は、デジタルカメラ10のブロック図である。図6は、レリーズボタンが半押しされた状態におけるファインダー表示を示した図である。
【0044】
電源ON操作によってメインスイッチS1がON状態になると、電源回路82からシステムコントロール回路80を含む回路全体に電源が供給される。ROM97、RAM99を備えたシステムコントロール回路80は、カメラ動作を制御し、AF制御部90、分割測光制御部98などへ制御信号を出力する。撮影光学系12によって形成される被写体像は、ルーペ光学系22を通して表示されている。
【0045】
レリーズボタン(図示せず)が半押しされて測光スイッチS2がON状態になると、分割測光制御部58によって被写体の明るさが計測され、露出値が算出される。また、撮影光学系12を通った光がミラーボックス下部に設けられたAF用CCDセンサ91に導かれると、AF制御部90は合焦状態であるか否かを検出する。そして、多分割オートフォーカス機能に従い、システムコントロール回路80はAFモータ93を制御し、撮影光学系12のフォーカシングレンズをシフトさせる。
【0046】
一方、ファインダー表示のため、レーザー駆動回路61はレーザー光源60を駆動し、遠赤外線のレーザー光がマイクロミラー56に向けて放射される。また、ミラー駆動回路57がマイクロミラーデバイス55を制御し、マイクロミラー56を二次元駆動させてマイクロミラー56の反射光をラスタ走査させる。
【0047】
上述したように、マイクロミラー56で反射した光は、ペンタプリズム26に入射し、ピントグラス24のマット面24Sに照射する。そして、マット面24S上にて走査光と被写体像の光とが重ね合わせられる。
【0048】
マイクロミラー56によるラスタ走査範囲は、ファインダー表示される被写体像の視野領域に従う。また、マイクロミラー56の2軸に関する傾斜角度は、ファインダー視野領域内での走査位置と1対1対応関係になっている。したがって、レーザー光源60から放射される光を所定のタイミングでON/OFF制御することで、文字、マークなどのパターンを所望するサイズ、位置で表示可能である。
【0049】
システムコントロール回路80は、表示パターンを所定サイズ、所定位置で表示するため、レーザー駆動回路61へ制御信号を出力する。レーザー駆動回路61はレーザー光源60をON/OFF制御し、光が表示位置を走査するときにレーザー光源60をONに切り替える。表示パターンのサイズ、表示位置に関するデータは、あらかじめROM97に記憶されている。
【0050】
図5では、ファインダー表示される被写体像とともに、多分割オートフォーカス動作によって検出された合焦位置にフレーム状の合焦マークK1がスーパーインポーズ表示されている。また、露出値である絞り値K2、シャッタスピードK3が表示領域右端付近にスーパーインポーズ表示されている。
【0051】
レリーズボタンが全押しされてレリーズスイッチS3がON状態になると、一連の記録動作が実行され、露出制御部95がクイックリターンミラー13を退避させるとともにシャッタ55を開閉させる。その結果、被写体像がCCD14に結像される。被写体像に応じた画像信号は、CCD駆動回路92によってCCD14から読み出される。信号処理回路99では、読み出された画像信号に対しホワイトバランス、ガンマ補正、マトリクス変換など様々な処理が施され、デジタルのR,G,B画像信号が生成される。
【0052】
デジタル画像信号は、圧縮処理された後にメモリカード88に記録される。モードダイヤル(図示せず)に対する操作よって再生モードが選択された場合、記録された画像データがメモリカード88から読み出される。そして、伸張処理により復元した画像がLCD96に再生表示される。
【0053】
このように本実施形態によれば、マイクロミラーデバイス55および光源60を備え、一体的にパッケージングされたスキャナモジュール50が光学ファインダー20の傍に設けられている。スキャナモジュール50では、光源60とマイクロミラー56が同一方向を向いて配置され、光射出面60Sとミラー反射面56Sが互いに平行である。一方、スキャンモジュール50内の内部空間NSを密閉する矩形状リッドグラス70には、全反射面76、PBS膜78が45度の傾斜角度で形成され、マイクロミラー56とリッドグラス70の間にλ/4波長板が配置される。
【0054】
このように光学レンズ機能および光反射機能を備えた平板状リッドガラス70をレーザー光源60、マイクロミラー56に対向配置させることにより、レーザー光源60の光がミラー反射面56Sに垂直入射し、スキャナモジュール50の表面70Sから反射光が垂直方向に沿って射出する。ミラー反射面56Sに光が垂直入射するため、光学ファインダー20の光軸に合わせてスキャナモジュール50を精度よく位置調整することが容易であり、表示パターンを所望する位置で正確に表示することができる。
【0055】
また、平板状であるリッドガラス70によって、入射光及び射出光ともリッドガラス70の平面の法線方向に沿った光路が形成される。したがって、並列配置されたレーザー光源60やスキャナモジュール50との位置合わせが、平面上にて容易かつ高精度に行うことが可能であり、光源、光学系、マイクロミラーデバイスを一体化、すなわちモジュール化するときに効果的である。
【0056】
また、レーザー光源60とマイクロミラー56はあらかじめスキャナモジュール50内で位置固定されているため、スキャナ機構、光源を光軸調整しながら個別にカメラ内部に設置する煩雑な作業が省略される。また、レーザー光源60とマイクロミラー56を同一方向に向けているため、スキャナモジュール50を薄型化することが可能となり、配置スペースの制限されたカメラ内部に収めることができる。
【0057】
ミラー反射面に対して光が垂直方向から照射する構成であればよく、レーザー光源、全反射面、PBS膜の配置角度などを実施形態外の構成で適用してもよい。
【0058】
全反射面以外の光学部材によってレーザー光源からの光を反射させてもよく、ビームスプリッタなど、PBS膜以外の光学部材によって光を選択的に反射、透過させるように構成してもよい。
【0059】
レーザー光源としてストライプ型レーザーも適用可能であり、レーザー以外の光源を使用してもよい。さらに、レ遠赤外光以外の光を光源から放射させてもよく、また、マット面に蛍光体をコーティングさせず、光源の光を直接視認させるように構成してもよい。
【0060】
スキャナモジュールは、ムービーカメラなどデジタルカメラ以外のカメラにも適用可能であり、キャラクタあるいは記録画像などをファインダー表示する撮影装置に適用可能である。また、一体化したパッケージングでなく、個別にスキャナ機構、光源を配置してもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 デジタルカメラ
12 撮影光学系
20 光学ファインダー
24 ピントグラス(焦点板)
26 ペンタプリズム
27 蛍光体
50 スキャナモジュール
56 マイクロミラー(微小ミラー)
60 レーザー光源(光源)
65 λ/4波長板
70 リッドガラス(光学部材、カバーガラス)
72 集光レンズ
76 全反射面(第1光学面)
78 PBS膜(第2光学面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点板を有し、観察用の被写体像を形成する光学ファインダーと、
光源の光を反射する微小ミラーを傾斜させることによって、前記微小ミラーで反射した光をファインダー視野に合わせて走査させるスキャナ機構と、
前記光源の光を変調して表示パターンを形成する表示制御手段とを備え、
表示パターンがファインダー視野内で被写体像に重ねて表示されるように、前記スキャナ機構が前記光学ファインダーに対して位置決めされ、
前記スキャナ機構が、前記微小ミラーと対向し、前記光源からの光を前記微小ミラーの反射面に垂直方向から当てるとともに前記反射面で反射した光を透過する光学部材を有することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記光源の光射出面が前記反射面と同一方向に向いて平行であり、
前記光学部材が、前記光源からの光を反射する第1光学面と、前記第1反射面からの光を前記微小ミラーへ導くとともに前記微小ミラーで反射した光を透過する第2光学面を有することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記光学部材が、前記マイクロミラー上方に配置された集光レンズを有することを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のカメラ。
【請求項4】
前記第2光学面がPBS膜を有し、
前記光学部材が、前記第2光学面と前記微小ミラーとの間に配置されるλ/4波長板を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のカメラ。
【請求項5】
前記光学部材が、前記微小ミラーと前記光源を覆うカバー部材として構成されることを特徴とする請求項1乃至5に記載のカメラ。
【請求項6】
前記光源が、面発光レーザーであることを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至5に記載のカメラ。
【請求項7】
前記光源および前記スキャナ機構が、一体的にパッケージングされていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のカメラ。
【請求項8】
前記微小ミラーで反射した光が前記光学ファインダーを介して前記焦点板の表面を走査するように、前記スキャナ機構が配置されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のカメラ。
【請求項9】
ハウジング内に設けられる光源と、
前記ハウジング内に設けられ、前記光源からの光を所定方向に反射する軸回転可能な微小ミラーと、
前記ハウジングを密閉するとともに、前記光源からの光を前記微小ミラーへ導くカバーガラスとを備え、
前記カバーガラスが、前記微小ミラーと対向し、前記光源からの光を前記微小ミラーに垂直方向から当てるとともに前記微小ミラーで反射した光を透過することを特徴とするスキャナモジュール。
【請求項10】
前記光源から前記カバーガラスに入射する光の進行方向が前記微小ミラーへ入射する光の進行方向と平行になるように、前記光源が配置されていることを特徴とする請求項9に記載のスキャナモジュール。
【請求項11】
前記カバーガラスは、傾斜面を有する第1の柱状ガラスブロックと、前記光源および前記デバイスと対向し、2つの傾斜面を有する第2の柱状ガラスブロックと、傾斜面を有する第3の柱状ガラスブロックとを有し、
反射膜を介して前記第2の柱状ブラックが前記第1、第3の柱状ガラスブロックと接合することによって平板状ガラスを形成し、
前記光源から前記カバーガラスへ入射する光が、前記反射膜を介して前記カバーグラスから前記微小ミラーへ向けて射出することを特徴とする請求項10に記載のスキャナモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−175677(P2010−175677A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16294(P2009−16294)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】