説明

スクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法

【課題】経験の少ない作業者でも作成できて、許された生産ラインタクトタイム内での最適な機種データの作成。
【解決手段】機種名、プリント基板のサイズ、基板認識に係るデータ、スクリーン認識に係るデータ、印刷条件及び印刷品質に係るデータを入力してRAM31に格納させると、RAM31には印刷品質に係るデータを「高」、「中」、「低」と設定した場合のスキージの材質に応じた印圧及びスキージの移動速度に係るデータ、プリント基板Pの厚さに応じた基板クランプ機構5の可動部7の押圧体7Bが移動するタイミング等のデータ、プリント基板PのX方向のサイズに応じて速度及び加速度に係るデータ等が格納されているので、完了スイッチ部52を押圧操作すると、当該プリント基板について印刷に係る機種データがCPU30により作成されてタクトタイムのシミュレーションを実行して、基板仕上がり時間をモニター46に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流側装置から搬送されて基板支持台上に支持した状態のプリント基板にスキージの移動によりスクリーン版を介してクリーム半田を塗布して印刷するスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスクリーン印刷機は、例えば特許文献1などで知られているが、一般に印刷動作に係る種々のデータから構成される機種データを作製する方法は、全てのパラメータを作業者が設定する方法と、最低限必要なパラメータを設定して他のパラメータは制御装置が自動的に生成する方法とがある。
【特許文献1】特開2002−29026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前者の場合、良好な印刷性を有するデータを作成するには、設定する各パラメータの影響度合についての経験と知識が必要なため、経験の少ないオペレータでも作成できるような方法が望まれている。この場合、後者の自動的に生成する方法であっても、生産ラインで求められる生産ラインタクトタイムに間に合わない場合には、再度作成しなければならないという問題がある。
【0004】
そこで本発明は、経験の少ない作業者でも作成できて、許された生産ラインタクトタイム内での最適な機種データの作成ができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため第1の発明は、上流側装置から搬送されて基板支持台上に支持した状態のプリント基板にスキージの移動によりスクリーン版を介してクリーム半田を塗布して印刷するスクリーン印刷機において、印刷の難易度を設定する設定装置と、この設定装置で設定されたデータを格納する格納装置と、この格納装置に格納されたデータに基づいてプリント基板毎の印刷に係る印刷データを作成する作成装置と、この作成装置により作成された印刷データに基づいてタクトタイムシミュレーションを実行する装置と、この実行する装置によるタクトタイムを表示する表示装置とを設けたことを特徴とする。
【0006】
第2の発明は、上流側装置から搬送されて基板支持台上に支持した状態のプリント基板にスキージの移動によりスクリーン版を介してクリーム半田を塗布して印刷するスクリーン印刷機において、印刷時間の長さに係る度合を設定する設定装置と、この設定装置で設定されたデータを格納する格納装置と、この格納装置に格納されたデータに基づいてプリント基板毎の印刷に係る印刷データを作成する作成装置と、この作成装置により作成された印刷データに基づいてタクトタイムシミュレーションを実行する装置と、この実行する装置によるタクトタイムを表示する表示装置とを設けたことを特徴とする。
【0007】
第3の発明は、第1又は第2のスクリーン印刷機に係る発明において、前記実行する装置によるタクトタイムとラインタクトタイムとを比較する比較装置とを設けたことを特徴とする。
【0008】
第4の発明は、上流側装置から搬送されて基板支持台上に支持した状態のプリント基板にスキージの移動によりスクリーン版を介してクリーム半田を塗布して印刷するスクリーン印刷方法において、
印刷の難易度を設定装置により設定し、
前記設定装置により設定されたデータを格納装置に格納し、
前記格納装置に格納されたデータに基づいてプリント基板毎の印刷に係る印刷データを作成装置が作成し、
前記作成装置により作成された印刷データに基づいてタクトタイムシミュレーションを実行し、
実行されたタクトタイムを表示装置に表示する
ことを特徴とする。
【0009】
第5の発明は、上流側装置から搬送されて基板支持台上に支持した状態のプリント基板にスキージの移動によりスクリーン版を介してクリーム半田を塗布して印刷するスクリーン印刷方法において、
印刷時間の長さに係る度合を設定装置により設定し、
前記設定装置により設定されたデータを格納装置に格納し、
前記格納装置に格納されたデータに基づいてプリント基板毎の印刷に係る印刷データを作成装置が作成し、
前記作成装置により作成された印刷データに基づいてタクトタイムシミュレーションを実行し、
実行されたタクトタイムを表示装置に表示する
ことを特徴とする。
【0010】
第6の発明は、第4又は第5のスクリーン印刷機に係る発明において、前記実行する装置によるタクトタイムとラインタクトタイムとを比較装置が比較する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、経験の少ない作業者でも作成できて、許された生産ラインタクトタイム内での最適な機種データの作成ができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明のスクリーン印刷機の実施の形態を説明する。図1及び図2において、1、1はプリント基板Pを搬送するための一対の搬送コンベアで、図示しない上流側装置から受け継いだプリント基板Pを駆動源40の駆動により所定位置まで搬送するものである。2は図示しない昇降機構の昇降用駆動源41により上下動するバックアップベースで、このバックアップベース2上には天面に開口して真空源に連通する複数の多数の吸着孔が開設された基板支持台である吸着治具4が連結軸3を介して設けられる。
【0013】
5は基板クランプ機構で、上流側装置から一対の搬送コンベア1、1を介して搬送されてきたプリント基板Pが上下動可能な基板ストッパ8に当接して停止した後にバックアップ用の前記吸着治具4が上昇し、その後にこのプリント基板Pをクランプするものである。この基板クランプ機構5はプリント基板Pの搬送方向と直交する方向のプリント基板Pの両端部をクランプするもので、機体前側に配設される一方のクランプ部材である固定部6と、この固定部6に対向するように機体後側に配設される他方のクランプ部材である可動部7とから構成され、前記可動部7は不動の脚体7Aとこの脚体7Aに沿って前後方向に移動可能な押圧体7Bとから構成される。従って、プリント基板Pをクランプする際には、移動用駆動源42により可動部7の押圧体7Bが前方へ移動して、プリント基板Pを固定部6に押圧してクランプするものである。
【0014】
10はプリント基板Pの搬送方向と直交する方向に延在するガイドで、11はこのガイドに沿って移動用駆動源43により移動可能なスライダである。そして、このスライダ11には取付体12を介して認識カメラ13が固定され、この認識カメラ13によりスクリーン15Aとその支持枠15Bから成るスクリーン版15及びプリント基板Pに付された位置合わせマークが撮像される。
【0015】
17は前記スライダ11に固定された一対の取付体18に揺動可能に支持された基板押え部材で、詳述すると、この基板押え部材17は一対の前記取付体18に支持された支軸19に回動可能に設けられたその支持体17A、17Aに支持された支軸19により揺動可能に支持され、シリンダ20のロッドが伸びて一方の前記支持体17Aが押しやられると前記支軸19を支点として基板押え部材17が揺動して、下方へ移動して前記支持体17A、17Aに支持された支軸17Bに回動可能に支持された複数のローラー17Cがプリント基板Pを上方から吸着治具4に押圧可能となる。なお、前記支持体17A、17Aはバネにより支軸19の回りに反時計方向に付勢されている
なお、機体の前後の前記天面のほぼ中央位置を通る左右のライン(図1の左右に延びる)、即ち前記天面のほぼ中央位置を通るプリント基板Pの搬送方向と平行なラインを境界線として、その前後部がそれぞれ低くなるように傾斜面4A、4Bが前記吸着治具4の天面に形成されており、その傾斜角度は0.2度から1.0度程度である。従って、スキージ22の移動方向であるプリント基板Pの前後方向の中央部の高さを若干高くし、前記クランプ機構5でこのプリント基板Pをクランプした際に、プリント基板Pの中央部が浮き上がっていても確実に支持することができる。
【0016】
また、前記固定部6の支承部6B(不動である)及び可動部7の押圧体7Bには天面に開口して真空源に連通する複数の吸着孔(図示せず)が開設され、前記スクリーン版15のスクリーン15Aを吸着可能である。更に、前記固定部6の支承部6B(不動である)及び可動部7の押圧体7Bの天面は外方に向けて、即ち支承部6Bの天面は前方に向けて、また押圧体7Bの天面は後方に向けて低く傾斜しており、その傾斜角度は0.2度から1.0度程度である。
【0017】
次に、図3の制御ブロック図について説明する。30はスクリーン印刷機の印刷動作を統括制御する制御装置としてのCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)、31は記憶装置としてのRAM(ランダム・アクセス・メモリ)と、32はROM(リ−ド・オンリー・メモリ)で、CPU30は前記RAM31に記憶されたデータに基づき、前記ROM32に格納されたプログラムに従い、スクリーン印刷機の印刷動作についてインターフェース33及び駆動回路34を介して各駆動源を統括制御する。
【0018】
この各駆動源は、前記搬送コンベア1、1の駆動源40、前記バックアップベース2の昇降機構の昇降用駆動源41、基板クランプ機構5の押圧体7Bの移動用駆動源42、スライダ10の移動用駆動源43、前記シリンダ20等である。
【0019】
45はインターフェース33を介して前記CPU30に接続される認識処理装置で、前記認識カメラ13により撮像されて取込まれた画像の認識処理が該認識処理装置45にて行われ、CPU30に処理結果が送出される。即ち、CPU30は、認識カメラ13に撮像された画像を認識処理するように指示を認識処理装置45に出力すると共に認識処理結果を認識処理装置45から受取るものである。
【0020】
尚、前記認識カメラ13より撮像された画像は表示装置としてのモニター46に表示される。そして、前記モニター46には種々のタッチパネルスイッチ47が設けられ、作業者がタッチパネルスイッチ47を操作することにより、種々の設定を行うことができる。
【0021】
以上の構成により、機種データの作成について、図4のフローチャートに基づき説明する。先ず、作業者はモニター46に表示されたタッチパネルスイッチ47を押圧操作して、図5に示すように、機種名を入力する。
【0022】
次いで、作業者が図5に示す「次へ」スイッチ部49を押圧操作すると、図6に示す画面となり、プリント基板のサイズ、即ちX方向(横Z)、Y方向(縦)及びT方向(厚み)のサイズを、各入力指示スイッチ部50を押圧しては各入力指示スイッチ部50の押圧により表示されたテンキースイッチ部51を押圧操作して入力する。そして、この基板サイズの入力後、図示しない「次へ」スイッチ部を押圧操作すると、図7に示す画面となり、基板認識に係るデータ、即ちプリント基板Pに付される2つの認識マーク(位置合せマーク)の夫々についてX座標、Y座標、マーク選択(形状及び二重丸の内側直径と外側直径)、認識方式につき各入力指示スイッチ部53を押圧操作して入力する。
【0023】
そして、作業者が図7に示す「次へ」スイッチ部54を押圧操作すると、図8に示す画面となり、スクリーン認識に係るデータ、即ちX座標、Y座標、マーク選択(形状及び二重丸の内側直径と外側直径)、認識方式につき各入力指示スイッチ部55を押圧操作して入力する。
【0024】
次に、作業者が図8に示す「次へ」スイッチ部56を押圧操作すると、図9に示す画面となり、印刷条件に係るデータ、即ちスキージ22の種類(長手方向の長さ及び材質)、スクリーン版15のサイズ、製版基準(スクリーン15Aの中心からの位置で印刷用開口を定める中心基準か又はスクリーン15Aの手前側の支持枠15B端部からの位置で印刷用開口を定める手前基準)、チャックステージの選択(プリント基板Pを吸着する吸着治具又は吸着しないバックアップ治具)について各入力指示スイッチ部57を押圧操作して入力する。
【0025】
次に、作業者が図9に示す「次へ」スイッチ部58を押圧操作すると、図10に示す画面となり、印刷品質に係るデータ、即ち印刷の難易度に係るデータについて各選択スイッチ部59を押圧操作して入力する。具体的には、スクリーン15Aに開設された開口が小さくてしかも複数の開口が密集しているというような状態で印刷精度が高く要求される場合には印刷品質に係るデータは「高」を設定し、印刷精度がさほど高く要求されず普通の場合には「中」と設定し、「中」より印刷精度が高くない場合には「低」と設定する。この印刷品質、即ち印刷の難易度は、品質を高く望む(難易度が高い)場合には、ゆっくり印刷をする必要があるので、印刷時間の長さに係る度合でもある。
【0026】
図10に示す画面は、印刷品質に係るデータが「中」と設定した場合の画面であるが、同時に「中」と設定した場合の標準の印圧なども表示されるが、この印圧なども個別に設定することもできる。即ち、印圧、印刷速度、版離れ速度、版離れ加速度、版離れ距離、基板クランプタイミング、基板クランプ位置、基板クランプ前上昇速度(上流側装置から搬送されてきたプリント基板Pが基板ストッパ8に当接して停止した後、基板クランプ機構5がプリント基板Pをクランプ前のバックアップベース2を上昇させる昇降用駆動源41の速度)、基板クランプ後上昇速度(基板クランプ機構5がプリント基板Pをクランプした後のバックアップベース2を上昇させる昇降用駆動源41の速度)や、図示しないクリーニング機構によりスクリーン15Aを清掃するタイミングである主クリーニングインターバル(図10では、プリント基板Pの印刷の20枚毎に清掃する)、主クリーニング速度(クリーニング機構の清掃のための移動速度)について、各入力指示スイッチ部60を押圧操作して個別に設定することもできる。
【0027】
これらの設定されたデータはRAM31に格納され、作業者が図10に示す完了スイッチ部52を押圧操作すると、当該プリント基板について印刷に係る機種データ(印刷データ)がCPU30により作成され、CPU30がこの機種データに基づいてタクトタイムのシミュレーションを実行してタクトタイムを演算し、基板仕上がり時間として平均時間(インターバル含)及びインターバル動作無しの時間をモニター46に表示する(図10参照)。なお、前者の平均時間はクリーニング機構によるクリーニング時間が考慮され、後者のインターバル動作無しの時間はクリーニング機構によるクリーニング時間が考慮されない時間であり、両者が基板仕上がり時間として、即ち本スクリーン印刷機によるプリント基板1枚当りの印刷時間であるタクトタイムがモニター46に表示される。
【0028】
従って、作業者は当該スクリーン印刷機のプリント基板1枚当りの印刷時間であるタクトタイムを把握できる。
【0029】
なお、前述したように、CPU30が機種データに基づいてタクトタイムのシミュレーションを実行してタクトタイムを演算するに際して、又はプリント基板へスクリーン印刷する運転に際して、使用される種々のデータ(図11乃至図14)が既にRAM31に格納されている。
【0030】
即ち、印刷品質に係るデータを「高」、「中」、「低」と設定した場合のスキージの材質に応じた印圧及びスキージの移動速度に係るデータの一覧表が図11に示されているが、印刷品質に係るデータ内容に応じてスキージの材質に応じた印圧及びスキージの移動速度となるように移動用駆動源44がCPU30により制御される。
【0031】
また、既にプリント基板Pのサイズを入力してRAM31に格納したが、図12に示すように、入力されたプリント基板Pの厚さに応じて基板クランプ機構5の可動部7の押圧体7Bが移動するタイミング、位置、基板クランプ機構5がプリント基板Pをクランプする前のバックアップベース2の昇降用駆動源41の上昇速度、同じくクランプした後の昇降用駆動源41の上昇速度が格納されているので、プリント基板Pの厚さに応じて基板クランプ機構5の押圧体7Bの移動用駆動源42がCPU30により制御される。
【0032】
更に、既にプリント基板Pのサイズを入力してRAM31に格納したが、図13に示すように、入力されたプリント基板PのX方向のサイズに応じて昇降用駆動源41の速度及び加速度が格納されているので、プリント基板PのX方向のサイズに応じて印刷動作後のバックアップベース2と共に昇降用駆動源41により吸着治具4が下降する版離れ動作がCPU30により制御される。
【0033】
また、図14に示すように、設定された印刷品質に係るデータに応じてクリーニングに係るデータもRAM31に格納されているので、印刷品質に係るデータの設定内容に応じてクリーニング機構によるスクリーン版15のクリーニング動作についてCPU30により制御される。
【0034】
従って、以上のように、機種名、プリント基板のサイズ、プリント基板Pの基板認識に係るデータ、スクリーン認識に係るデータ、印刷条件及び印刷品質に係るデータを入力し、RAM31に格納させると、既にRAM31には印刷品質に係るデータを「高」、「中」、「低」と設定した場合のスキージの材質に応じた印圧及びスキージの移動速度に係るデータ、プリント基板Pの厚さに応じた基板クランプ機構5の可動部7の押圧体7Bが移動するタイミング、位置、クランプする前の上昇速度、クランプした後の上昇速度に係るデータ、プリント基板PのX方向のサイズに応じて速度及び加速度に係るデータ、印刷品質に係るデータを「高」、「中」、「低」と設定した場合のクリーニングに係るデータが格納されているので、作業者がモニター46に表示されたタッチパネルスイッチ47、即ち図10に示す完了スイッチ部52を押圧操作すると、当該プリント基板について印刷に係る機種データがCPU30により作成され、この機種データに基づいてタクトタイムのシミュレーションを実行してタクトタイムを演算し、基板仕上がり時間として平均時間(インターバル含)及びインターバル動作無しの時間をモニター46に表示する。
【0035】
更には、CPU30はこのスクリーン印刷機のタクトタイムと生産ラインのタクトタイムとを比較し、スクリーン印刷機のタクトタイムの方が短ければ終了するが、長ければモニター46に印刷品質に係るデータの入力画面をCPU30は表示させる。ここで,生産ラインのタクトタイムを優先する場合には、作業者は印刷品質を下げる、即ち「高」から「中」又は「低」、或いは「中」から「低」に設定し直す。これにより、印刷品質は低下するが、スクリーン印刷機のタクトタイムは生産ラインのタクトタイムよりも短くすることができる。
【0036】
従って、経験の少ない作業者でも作成できて、許された生産ラインタクトタイム内での最適な機種データの作成ができるスクリーン印刷機を提供することができる。
【0037】
なお、以下スクリーン印刷機の動作について説明する。運転スタートボタンを押すと、上流側装置より一対の搬送コンベア1、1を介して搬送されてきたプリント基板Pが上下動可能な基板ストッパ8に当接して停止する(図1、図2及び図15参照)。
【0038】
次に、昇降用駆動源41の駆動により吸着治具4が上昇し、搬送コンベア1、1上のプリント基板Pを上昇させる(図16参照)。この上昇後に、吸着治具4、基板クランプ機構5の前記固定部6の支承部6B及び可動部7の押圧体7Bに開設された吸着孔を介する吸引動作が開始され、移動用駆動源42により基板クランプ機構5の可動部7の押圧体7Bが前方へ移動して、プリント基板Pを固定部6に押圧してクランプする(図17参照)。このようにして、位置決めされた状態のプリント基板Pを、シリンダ20が作動して伸びたロッドが支軸19を支点として基板押え部材17を揺動させることにより移動した複数のローラー17Cが上方から吸着治具4に押圧する(図17及び図18参照)。
【0039】
この基板押え部材17の揺動後に、移動用駆動源43の駆動によりガイド10に沿ってスライダ11が移動する。この移動により、複数のローラー17Cがプリント基板Pを押圧しながら移動することとなるので、また吸着治具4の天面にはその前後部が低くなるように傾斜面4A、4Bが形成されているので、プリント基板Pの中央部が浮き上がっていても確実に支持することができ、吸着治具4の天面とプリント基板Pとを密着するように支持することができる。
【0040】
そして、更に昇降用駆動源41の駆動により前記吸着治具4を所定位置まで上昇させることにより、吸着治具4にプリント基板Pを沿わせて密着させ、プリント基板Pの各傾斜と前記固定部6及び可動部7の傾斜と一致させる。即ち、プリント基板Pの傾斜角度と前記固定部6及び可動部7の傾斜角度とを合わせる。
【0041】
このように支持した状態で、移動用駆動源43によりスライダ11に取付体12を介して固定された認識カメラ13が移動することにより、スクリーン版15及びプリント基板Pに付された位置合わせマークが撮像される。
【0042】
次いで、認識カメラ13及び基板押え部材17などを移動用駆動源43の駆動により後退させ、認識カメラ13により撮像された画像を認識処理装置が認識処理して、算出されたプリント基板Pと印刷スクリーン15Aとの位置ずれ量に基づいて制御装置(図示せず)が吸着治具4やスクリーン版15を補正移動させ、更に昇降用駆動源41の駆動により吸着治具4を印刷位置(印刷レベル)まで更に上昇させる(図19参照)。この上昇により、スクリーン15Aにプリント基板Pを押し付けて、スクリーン15Aを僅か中間部を上方へ凹ませるように湾曲させ、プリント基板Pとスクリーン15Aとを密着させる。更に、前述したように、前記固定部6の支承部6B及び可動部7の押圧体7Bに開設された複数の吸着孔を介してスクリーン15Aを吸引することにより、プリント基板Pとスクリーン15Aとをより確実に密着させることができる。
【0043】
そして、スキージ22がスクリーン15Aの上面を摺動することにより、印刷スクリーン15A上に供給されているクリーム半田をプリント基板P上にパターン印刷する(図20参照)。この印刷が終了すると、吸着治具4、可動部7及び固定部6の吸引動作を停止して版離れ動作を行い、バックアップベース2と共に吸着治具4が下降し、可動部7が固定部6から離間する方向に移動してプリント基板Pのクランプが解除される。次いで、コンベヤ1、1が駆動されてプリント基板Pがクランプ位置から排出されて、下流側装置に受け渡される。このような上述した動作が繰り返されて、多数枚のプリント基板Pに順次印刷処理が施されてゆく。
【0044】
以上本発明の実施形態について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】スクリーン印刷機の正面図である。
【図2】待機状態のスクリーン印刷機の左側面図である。
【図3】制御ブロック図である。
【図4】フローチャート図である。
【図5】機種名の入力画面を示す図である。
【図6】プリント基板のサイズの入力画面を示す。
【図7】プリント基板Pの基板認識に係るデータの入力画面を示す図である。
【図8】スクリーン認識に係るデータの入力画面を示す図である。
【図9】印刷条件の入力画面を示す図である。
【図10】印刷品質に係るデータの入力画面を示す図である。
【図11】印刷品質に係るデータ及びスキージの材質に応じた印圧及びスキージの移動速度に係るデータを示す図である。
【図12】プリント基板の厚さに応じた基板クランプ機構の可動部の押圧体の移動に係るデータを示す図である。
【図13】プリント基板のX方向のサイズに応じた版離れ速度及び加速度に係るデータを示す図である。
【図14】印刷品質に係るデータを「高」、「中」、「低」と設定した場合のクリーニングに係るデータを示す図である。
【図15】基板ストッパが下降した状態を示すスクリーン印刷機の正面図である。
【図16】吸着治具が上昇した状態を示すスクリーン印刷機の左側面図である。
【図17】基板クランプ機構が動作した状態を示すスクリーン印刷機の左側面図である。
【図18】基板押え部材が揺動した状態を示すスクリーン印刷機の正面図である。
【図19】吸着治具がプリント基板をスクリーンに押し付けている状態を示すスクリーン印刷機の左側面図である。
【図20】スキージにより印刷している状態を示すスクリーン印刷機の左側面図である。
【符号の説明】
【0046】
2 バックアップベース
4 吸着治具
5 基板クランプ機構
7B 押圧体
15 スクリーン版
15A スクリーン
22 スキージ
30 CPU
31 RAM
42 モニター
47 タッチパネルスイッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側装置から搬送されて基板支持台上に支持した状態のプリント基板にスキージの移動によりスクリーン版を介してクリーム半田を塗布して印刷するスクリーン印刷機において、印刷の難易度を設定する設定装置と、この設定装置で設定されたデータを格納する格納装置と、この格納装置に格納されたデータに基づいてプリント基板毎の印刷に係る印刷データを作成する作成装置と、この作成装置により作成された印刷データに基づいてタクトタイムシミュレーションを実行する装置と、この実行する装置によるタクトタイムを表示する表示装置とを設けたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
上流側装置から搬送されて基板支持台上に支持した状態のプリント基板にスキージの移動によりスクリーン版を介してクリーム半田を塗布して印刷するスクリーン印刷機において、印刷時間の長さに係る度合を設定する設定装置と、この設定装置で設定されたデータを格納する格納装置と、この格納装置に格納されたデータに基づいてプリント基板毎の印刷に係る印刷データを作成する作成装置と、この作成装置により作成された印刷データに基づいてタクトタイムシミュレーションを実行する装置と、この実行する装置によるタクトタイムを表示する表示装置とを設けたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項3】
前記実行する装置によるタクトタイムとラインタクトタイムとを比較する比較装置とを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスクリーン印刷機。
【請求項4】
上流側装置から搬送されて基板支持台上に支持した状態のプリント基板にスキージの移動によりスクリーン版を介してクリーム半田を塗布して印刷するスクリーン印刷方法において、
印刷の難易度を設定装置により設定し、
前記設定装置により設定されたデータを格納装置に格納し、
前記格納装置に格納されたデータに基づいてプリント基板毎の印刷に係る印刷データを作成装置が作成し、
前記作成装置により作成された印刷データに基づいてタクトタイムシミュレーションを実行し、
実行されたタクトタイムを表示装置に表示する
ことを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項5】
上流側装置から搬送されて基板支持台上に支持した状態のプリント基板にスキージの移動によりスクリーン版を介してクリーム半田を塗布して印刷するスクリーン印刷方法において、
印刷時間の長さに係る度合を設定装置により設定し、
前記設定装置により設定されたデータを格納装置に格納し、
前記格納装置に格納されたデータに基づいてプリント基板毎の印刷に係る印刷データを作成装置が作成し、
前記作成装置により作成された印刷データに基づいてタクトタイムシミュレーションを実行し、
実行されたタクトタイムを表示装置に表示する
ことを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項6】
前記実行する装置によるタクトタイムとラインタクトタイムとを比較装置が比較する
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のスクリーン印刷方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−150073(P2007−150073A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344103(P2005−344103)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】