説明

スクリーン印刷機

【課題】スキージをスキージ移動装置によりマスクに沿って移動させ、そのマスクの貫通穴を通して回路基板にクリーム状はんだを印刷するスクリーン印刷機を、さら使い勝手のよいものに改善する。
【解決手段】スキージをスキージ移動装置によりマスクに沿って移動させ、そのマスクに形成された複数の貫通穴を通して回路基板にクリーム状はんだを印刷するとともに、クリーム状はんだをマスク上に供給するはんだ供給装置を備えたスクリーン印刷機において、はんだ供給装置を、スキージの長手方向に移動可能なはんだ収容器242を備えたものとし、スキージの移動に伴ってマスクの上面とスキージとの間に形成されるはんだロール400のうち、はんだ消費量の多い部分400a,400b等に局部的にはんだ254を補給させる。はんだ消費量の多い部分400a,400b等は、回路基板上の印刷はんだの検査装置による検査結果や、マスクの貫通穴の分布状況に基づく演算や、ロール径検出器によるはんだロール径の検出により取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷機に関するものであり、特に、回路基板にクリーム状はんだを印刷するスクリーン印刷機の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷機は、スキージをスキージ移動装置によりマスクに沿って移動させ、そのマスクの貫通穴を通して印刷剤を印刷対象部材に印刷するものである。このスクリーン印刷機は、回路基板にクリーム状はんだ(以下、特に必要がない限りはんだと略称する)を印刷するために広く使用されており、その一例が下記特許文献1および2に記載されているが、一般のスクリーン印刷機に比較して、ユーザの要求が厳しい。例えば、回路基板に形成されたパッド上に極めて正確にはんだを印刷することが要求される。マスクの貫通穴に正確に対応した形状および量ではんだが印刷されることが要求されるのであり、この要求を満たすために、マスク上のはんだ量が一定に保たれることが望まれる。
そのため、特許検文献1に記載のスクリーン印刷機は、スキージによりロール状とされたはんだの高さがレーザ式はんだ高さセンサにより検出され、設定高さより低い場合に、はんだ供給装置が作動させられて、はんだが補給されるようになっている。
また、特許文献2には、はんだ印刷後の回路基板の重量を計測することにより、回路基板1枚毎に印刷に消費されたはんだの量を取得し、その消費量分のはんだを補給すること、あるいは簡易的に計算量のはんだを補給することにより、マスク上のはんだ量を一定に保つことが記載されている。さらに、各回路基板毎に印刷されたはんだの量を設定量と比較し、印刷の良否を判定することも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−261892号公報
【特許文献2】特開平11−179879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術には未だ改良の余地がある。例えば、はんだの消費量はマスク全体にわたって均一ではない。貫通穴の分布状況によって異なるのであり、回路基板によっては、局部的に消費量が大きくなる部分が存在し、その部分において特にマスク上のはんだ量の不足が生じることがあるのであるが、このような事態に十分対処し得ないうらみがあるのである。
【0005】
上記回路基板に対するはんだのスクリーン印刷に存在する技術の不足は一例に過ぎず、さらに改良の余地があることは勿論である。
本発明は、以上の状況を背景とし、従来技術の不足を軽減することを課題として為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、例えば、スキージをスキージ移動装置によりマスクに沿って移動させ、そのマスクに形成された複数の貫通穴を通して回路基板にクリーム状はんだを印刷するとともに、クリーム状はんだを前記マスク上に供給するはんだ供給装置を備えたスクリーン印刷機を、複数枚の回路基板に対する印刷作業の途中に、前記はんだ供給装置に、前記スキージの長手方向に関して一律ではない量のクリーム状はんだを補給させるはんだ補給制御部を含むものとすることにより解決される。
上記課題は、また、スキージをスキージ移動装置によりマスクに沿って移動させ、そのマスクに形成された複数の貫通穴を通して回路基板にクリーム状はんだを印刷するスクリーン印刷機を、(a)マスクをスキージ移動装置によるスキージの移動方向に平行な方向に分割して成る複数の分割領域の各々について、印刷作業の進行に伴うクリーム状はんだの消費量を予測するはんだ消費量予測部と、(b)前記複数の分割領域のうちで、はんだ消費量予測部により予測された予測消費量が他の分割領域に比較して大きい1つ以上の分割領域に対して、印刷作業の進行途中においてクリーム状はんだを局部補給すべき時期,位置および補給量を含む補給計画を策定する補給計画策定部と、(c)その補給計画策定部により策定された補給計画に従ってクリーム状はんだを補給するはんだ供給装置とを含むものとすることによっても解決される。
【発明の効果】
【0007】
上記のように、はんだ補給制御部により、はんだ供給装置に、スキージの長手方向に関して一律ではない量のクリーム状はんだを補給させれば、マスクの各部においてはんだの消費量が異なる場合でも、局部的にはんだが不足する事態の発生を良好に抑制することができる。
また、局部的にはんだの消費量が多い部分を予測し、その予測に基づいてはんだ補給計画を策定し、その補給計画に従ってはんだ供給装置にはんだを補給させれば、局部的なはんだ不足が発生することを未然に抑制することができ、回路基板に対するはんだの印刷精度を向上させることができる。
【発明の態様】
【0008】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。「請求可能発明」は、特許請求の範囲に記載の発明である本願発明やその下位概念発明あるいは上位概念発明を含み得、別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施形態の記載,従来技術,技術常識等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0009】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(7)項が請求項3に、(4)項が請求項4に、(5)項が請求項5に、(6)項が請求項6に、(11)項が請求項7に、(12)項が請求項8に、(13)項が請求項9に、(14)項が請求項10に、それぞれ相当する。
【0010】
(1)スキージをスキージ移動装置によりマスクに沿って移動させ、そのマスクに形成された複数の貫通穴を通して回路基板にクリーム状はんだを印刷するとともに、クリーム状はんだを前記マスク上に供給するはんだ供給装置を備えたスクリーン印刷機であって、
複数枚の回路基板に対する印刷作業の途中に、前記はんだ供給装置に、前記スキージの長手方向に関して一律ではない量のクリーム状はんだを補給させるはんだ補給制御部を含むことを特徴とするスクリーン印刷機。
はんだ補給制御部としては、次項以下に記載の構成のものが好適であるが、不可欠ではない。例えば、マスクを複数の分割領域に分割することは不可欠ではない。はんだの補給量をスキージの長手方向に連続的に変化させること、あるいは、補給が必要な箇所は連続的に調べるが、補給は補給が必要な箇所にのみ行うこと等が可能であり、その場合には、マスクを複数の分割領域に分割する必要はないのである。
(2)スキージをスキージ移動装置によりマスクに沿って移動させ、そのマスクに形成された複数の貫通穴を通して回路基板にクリーム状はんだを印刷するとともに、クリーム状はんだを前記マスク上に供給するはんだ供給装置を備えたスクリーン印刷機であって、
前記マスクを前記スキージ移動装置による前記スキージの移動方向に平行な方向に分割して成る複数の分割領域の各々について、印刷作業の進行に伴うクリーム状はんだの消費量を予測するはんだ消費量予測部と、
前記複数の分割領域のうちで、前記はんだ消費量予測部により予測された予測消費量が他の分割領域に比較して大きい1つ以上の分割領域に対して、印刷作業の進行途中においてクリーム状はんだを局部補給すべき時期,位置および補給量を含む補給計画を策定する補給計画策定部と、
その補給計画策定部により策定された補給計画に従って、前記はんだ供給装置にクリーム状はんだの局部補給を行うべきことを指令する局部補給指令部と
を含むことを特徴とするスクリーン印刷機。
本項において、はんだ消費量予測部を、マスクをスキージの移動方向に平行な方向に分割することなく、連続的な位置についてはんだ消費量を予測するものとし、補給計画策定部も連続的な位置について補給計画を策定するものとすることも可能である。
(3)前記はんだ消費量予測部が、前記複数の分割領域の各々に分布する前記複数の貫通穴の開口面積の和に基づいて前記はんだ消費量を予測する開口面積和依拠消費量予測部を含む(2)項に記載のスクリーン印刷機。
(4)前記はんだ消費量予測部が、前記複数の貫通穴の開口面積和に加えて、それら貫通穴の各々に対応する位置におけるマスクの厚さにも基づいて、前記はんだ消費量を予測する貫通穴容積和依拠消費量予測部を含む(3)項に記載のスクリーン印刷機。
マスクが全体にわたって厚さが一定のものである場合には、分割領域の各々に分布する複数の貫通穴の開口面積の和がはんだ消費量に比例するため、その面積和と一定の厚さとに基づいて各分割領域におけるはんだ消費量を予測することが可能である。
しかし、マスクの厚さが全体にわたって一定ではない場合には、厚さの分布も考慮することが望ましい。複数の貫通穴の容積の和に基づいて各分割領域におけるはんだ消費量を予測することが望ましいのである。
(5)前記はんだ消費量予測部が、はんだ消費量を予測すべきマスクと貫通穴の分布状態および厚さの分布状態が 同じであるマスクを用いて行われた印刷作業の実行時に取得された作業結果に基づいて、前記はんだ消費量を予測する先行印刷作業結果依拠消費量予測部を含む(2)項ないし(4) 項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
(6)前記先行印刷作業結果依拠消費量予測部が、スキージの移動に伴って形成されるクリーム状はんだのロールの直径であるロール径の、設定枚数の回路基板に対する印刷作業の実行前後における変化を、そのはんだロールの長手方向の複数箇所(長手方向に沿って連続的に測定することも可能であり、その場合は「複数箇所」の特殊な場合である無限大数箇所と考えることにする)について検出したロール径変化分布に基づいて、前記はんだ消費量を予測する先行印刷作業時ロール径変化分布依拠消費量予測部を含む(5)項に記載のスクリーン印刷機。
ロール径がはんだロールの長手方向に関して一定の状態から、設定枚数の回路基板に対する印刷作業を実行した後におけるロール径分布を取得すれば、ロール径分布自体がはんだ消費量分布と対応するため、はんだ消費量の予測が簡単となり、かつ、予測精度も向上する。しかし、不可欠ではなく、任意のロール径分布状態からのロール径の変化に基づいてもはんだ消費量の予測は可能であり、その場合には、予め、ロール径がはんだロールの長手方向に関して一定の状態を準備する必要が無くなる利点がある。
なお、「ロール」といっても、ロールの横断面形状は実際は円ではないので、「ロールの直径」あるいは「ロール径」は、クリーム状はんだのスクリーン印刷の技術分野において慣用されている表現に従ったに過ぎず、実際は「ロールの横断面の、スキージによるクリーム状はんだの貫通穴への押込圧を左右する方向の寸法」のことであって、「ロールの太さ寸法」と称すべきものである。また、先行印刷作業は、実験のために行われる印刷作業でもよく、実際の生産の一環として行われた印刷作業でもよい。
(7)前記はんだ消費量予測部が、当該スクリーン印刷機の印刷結果を検査する印刷検査装置の検査結果に基づいて、印刷作業の進行に伴うクリーム状はんだの消費量を予測する印刷検査結果依拠消費量予測部を含む(2)項ないし(6)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
(8)前記印刷検査結果依拠消費量予測部が、印刷されたクリーム状はんだの正規量に対する不足量の比率である不足度が設定値を超える状態に基づいて、はんだ消費量が他の部分に比較して消費量の大きい部分であると予測する不足度依拠消費量大部予測部を含む(7)項に記載ののスクリーン印刷機。
不足度依拠消費量大部予測部は、不足度が設定値を超える印刷箇所が設定箇所以上まとまって存在すること、同じ印刷箇所における不足度が設定値を超える頻度が設定頻度以上であること、同じ印刷箇所における不足度に増大傾向がることの少なくとも1つに基づいて、はんだ消費量が他の部分に比較して消費量の大きい部分であると予測するものであることが望ましい。
(9)前記はんだ消費量予測部が、マスクを複数の分割領域に分割するマスク分割部を含む(2)項ないし(8)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
マスク分割部は、マスクを貫通穴の形成状況とは無関係に予め定められた規則に従って分割するものとすることも可能である。例えば、等分割するものとするのである。
(10)前記マスク分割部が、複数の貫通穴の形成状況を加味してマスクを分割する貫通穴形成状況加味分割部を含む(9)項に記載のスクリーン印刷機。
(11)前記貫通穴形成状況加味分割部が、前記マスクを、前記スキージの移動方向に平行な方向に並ぶ複数の貫通穴の容積の和が実質的に均一な部分毎に前記マスクを分割する貫通穴容積和依拠分割部を含む(10)項に記載のスクリーン印刷機。
(12)前記補給計画策定部が、前記局部補給すべき時期を、印刷作業の開始または前回の補給時点から印刷された回路基板の枚数で定める印刷枚数依拠補給時期決定部を含む(2)項ないし(11)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
(13)前記補給計画策定部が、前記局部補給すべき位置を、前記予測消費量が他の分割領域に比較して大きい前記1つ以上の分割領域の各々の、前記スキージの移動方向に直角な方向である幅方向の中央の1点に決定する補給点決定部を含む(2)項ないし(12)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
前記補給計画策定部を、局部補給すべき位置を予測消費量が他の分割領域に比較して大きい1つ以上の分割領域の各々の幅全体あるいは一部である補給領域に決定する補給領域決定部を含むものとすることも可能である。
(14)前記補給計画策定部が、前記局部補給すべき補給量を、前記予測消費量が他の分割領域に比較して大きい前記1つ以上の分割領域の各々の予測消費量が大きいほど大きい補給量に決定する予測消費量対応補給量決定部を含む(2)項ないし(13)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
1回の補給量を一定量とし、補給間隔を予測消費量が大きいほど短くすることも可能であり、そうすれば、ロール径の変動が小さくなり、印刷品質が安定する利点がある。それに対し、本項の特徴によれば、補給回数を少なくし、作業の能率を高め得る利点がある。
(15)前記補給計画策定部が、はんだロールの長手方向に関するロール径の分布が適正な状態である適正ロール径分布に関する情報を記憶する適正ロール径分布記憶部を含み、その適正ロール径分布に対してロール径が大きく不足する部分ほど、前記局部補給すべき補給量を大きい補給量に決定するロール径不足量対応補給量決定部を含む(2)項ないし(14)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
(16)前記スキージの移動に伴って形成されるクリーム状はんだのロールの直径であるロール径を検出するロール径検出装置を含む(1)項ないし(15)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
(17)前記ロール径検出装置による検出結果に基づいて、検出された部分のロール径が適正であるか否かを判定するロール径適否判定部を含む(16)項に記載のスクリーン印刷機。
(18)前記はんだロールの、前記はんだ供給装置によりクリーム状はんだが補給された部分である補給対象部のロール径を前記ロール径検出装置に検出させ、検出されたロール径が不適切である場合には前記補給計画策定部によって決定された前記補給計画を修正する補給計画修正部を含む(16)項または(17)項に記載のスクリーン印刷機。
一旦補給計画が策定されても、その補給計画が適正なものではないことがある。その場合には、補給計画が修正されることが望ましい。ロール径検出装置により検出されたロール径が不適切である場合に修正するのはその一例であり、その他、補給計画に従った補給を繰り返しつつ印刷作業を継続した結果、補給計画が適正ではないことが判明した場合に補給計画を修正する補給計画修正部を含むものとすることも可能である。
(19)前記ロール径検出装置による検出結果に基づいてロール径をはんだロールの長さ方向に平均して平均径を取得し、その平均径が設定径より小さい場合は、はんだロールの全体にわたってクリーム状はんだの補給を指示する全体補給指令部を含む(16)項ないし(18)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
(20)前記はんだ供給装置が、
吐出口からクリーム状はんだを棒状に吐出するはんだ吐出器と、
そのはんだ吐出器を、前記スキージの長手方向に平行な方向に移動させる吐出器移動装置と、
前記はんだ吐出器のはんだ吐出(吐出の開始,停止や速度)と、前記吐出器移動装置による吐出器移動(移動の開始,停止や速度)とを関連制御することにより、吐出されたクリーム状はんだが全長にわたって均一な太さの棒状を成すようにする棒状補給制御部と
を含む(1)項ないし(19)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
(21)前記棒状補給制御部が、前記はんだ吐出器のはんだ吐出速度と、前記吐出器移動装置による吐出器移動速度との比率を変更することにより前記棒状のクリーム状はんだの太さを変更する棒状はんだ太さ変更部を含む(20)項に記載のスクリーン印刷機。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】請求可能発明の一実施形態であるスクリーン印刷機を含む電子回路組立ラインを示す斜視図である。
【図2】上記スクリーン印刷機およびシャトルコンベヤにおける基板搬送装置を示す平面図である。
【図3】上記スクリーン印刷機の本体フレームを示す側面図である。
【図4】上記スクリーン印刷機におけるマスク清掃装置および基準マーク撮像装置を移動させる装置を示す斜視図である。
【図5】上記スクリーン印刷機におけるマスク枠受けと、マスクの位置調節装置とを示す平面図である。
【図6】上記スクリーン印刷機におけるスキージ装置を示す平面図である。
【図7】前記スキージ装置の一部を取り出し、スキージスライドの前側の連結部を除去して示す部分断面斜視図である。
【図8】上記スキージ装置のスキージヘッドを示す斜視図である。
【図9】上記スキージ装置におけるはんだ掻寄装置を示す斜視図である。
【図10】前記スクリーン印刷機におけるはんだ供給装置を示す正面図である。
【図11】上記はんだ供給装置を示す一部断面側面図である。
【図12】前記スクリーン印刷機におけるカバー装置の一部を示す側面断面図である。
【図13】前記スクリーン印刷機の制御装置を示すブロック図である。
【図14】前記制御装置のコンピュータに格納されている制御プログラムの一例を表すフローチャートである。
【図15】図10および図11に示すはんだ供給装置によるはんだ供給の一態様である棒状供給を説明するための図である。
【図16】前記制御装置のコンピュータに格納されている制御プログラムの別の一例の一部を表すフローチャートである。
【図17】図16に示す制御プログラムの別の一部を表すフローチャートである。
【図18】図16に示す制御プログラムのさらに別の一部を表すフローチャートである。
【図19】図16に示す制御プログラムを説明するための図である。
【図20】図16ないし図18に示す制御プログラムを説明するための図である。
【図21】前記制御装置のコンピュータに格納されている制御プログラムのさらに別の一例を表すフローチャートである。
【図22】図21に示す制御プログラムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、請求可能発明の実施形態を、図を参照しつつ説明する。
なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0013】
図1に、請求可能発明の一実施形態である印刷機(スクリーン印刷機)を含む電子回路組立ラインを示す。この電子回路組立ラインは、複数台(図示の例では2台)の印刷機10と、複数台(図示の例では2台)のシャトルコンベヤ12と、複数台(図示の例では4台)の装着機(電子回路部品装着機)14とを含んでいる。印刷機10および装着機14は回路基板に対して作業を施す対基板作業機の一種であり、電子回路組立ラインは対基板作業ラインの一種である。2台の印刷機10は、4台の装着機14に対して、電子回路組立ラインにおける回路基板の搬送方向において上流側に互いに隣接して設けられ、2台のシャトルコンベヤ12の一方は、2台の印刷機10の間に設けられ、他方は、下流側の印刷機10と、その印刷機10に隣接する装着機12との間に設けられている。本明細書においては、回路基板の搬送方向である基板搬送方向を左右方向とし、基板搬送方向と直交する方向を前後方向とする。本実施形態においては、左右方向および前後方向はいずれも水平である。
【0014】
2台ずつの印刷機10およびシャトルコンベヤ12はそれぞれ、同様に構成されており、上流側の印刷機10およびシャトルコンベヤ12を代表的に説明する。
印刷機10は、図2に示すように、印刷機本体20,前コンベヤ22および後コンベヤ24を備えている。前コンベヤ22は印刷機本体20の前部に設けられ、後コンベヤ24は後部に設けられている。前コンベヤ22は、メインコンベヤ26と、基板搬送方向においてメインコンベヤ26の上流側に配設されたインコンベヤ28と、下流側に配設されたアウトコンベヤ30とを含む。メインコンベヤ26,インコンベヤ28およびアウトコンベヤ30はいずれも、ベルトコンベヤにより構成され、一対のコンベヤベルト32と、それらコンベヤベルト32をそれぞれ周回させるベルト周回装置34とを含み、回路基板35をその被印刷面が水平となる姿勢で搬送する。また、搬送すべき回路基板35の幅に合わせて搬送幅(一対のコンベヤベルト32の間隔)が、幅変えモータ36およびベルト38を含む幅変え装置により変更される。後コンベヤ24も同様に搬送幅の変更が可能なベルトコンベヤにより構成されている。
【0015】
シャトルコンベヤ12は、コンベヤ本体40と、ガイド42と、可動コンベヤ44と、可動コンベヤ移動装置46とを含む。可動コンベヤ44は、上記前コンベヤ22等と同様に、搬送幅の変更可能なベルトコンベヤにより構成されている。可動コンベヤ移動装置46は、駆動源たるシャトル用モータ50,ベルト52および複数のプーリ54を含む。複数のプーリ54のうちの1つがシャトル用モータ50により回転させられ、ベルト52に連結された固定サイドフレーム56および支持フレーム58が移動させられるとともに、搬送幅調節装置59を介して可動サイドフレーム60も移動させられ、可動コンベヤ44全体が前後方向の任意の位置へ移動可能である。
【0016】
印刷機本体20の主体を成す本体フレーム70は、概略、図3および図4に示す構造を有し、一対の桁72の各々にはガイド74が、一対の桁72の一方には送りねじ76がそれぞれ設けられ、送りねじ76が電動モータ78により回転させられることにより、スライド80が前後方向に移動させられる。送りねじ76としてはボールねじが好適であり、電動モータ78としてはサーボモータ等回転角度の制御が可能な電動モータが好適である。以下に記載の送りねじおよび電動モータについても同様である。
なお、印刷機10の機械的な構成は、本出願人が先に出願した特願2010−102298号の明細書および図面に記載されたものと同じであるが、以下の説明においては本願の請求可能発明との関係が薄い部分については説明を省略する。
【0017】
上記スライド80にはマスク清掃装置82が取り付けられている。また、スライド80には別のスライド90がガイド92により案内されて左右方向に移動可能に設けられており、図示を省略する送りねじおよび電動モータにより移動させられる。このスライド90には、マスクおよび回路基板35に設けられた基準マークを撮像するための基準マーク撮像装置94が取り付けられている。
【0018】
前記前コンベヤ22および後コンベヤ24は、本体フレーム70の一対の桁96の上方位置に設けられ、桁72と桁96との間の空間に基板支持装置および基板クランプ装置を含む基板保持装置100と、それを昇降させる昇降装置102とが設けられている。これらの構成の詳細な説明は省略し、位置のみを二点鎖線で示すが、基板支持装置はメインコンベヤ26により搬送された回路基板35を下方から支持するものであり、メインコンベヤ26と共同して基板クランプ装置を構成する。また、昇降装置は、基板支持装置をメインコンベヤ26に対して相対的に昇降させる第1昇降駆動部と、基板支持装置とメインコンベヤ26とを一体的に昇降させる第2昇降駆動部とを含んでいる。
【0019】
本体フレーム70の最も上の一対の桁106により、図5に示すマスク枠受け120および位置調節装置122と、図6に示すスキージ装置124とが支持されている。マスク枠受け120は、印刷領域128に複数の貫通穴130を有するマスク132を保持するマスク枠134を下方から受けるものであり、一対の受け部136と、それらにマスク枠134を押し付けて固定する固定装置としての複数のエアシリンダ138とを備えている。位置調節装置122は、桁78とマスク枠受け120との間に設けられ、マスク枠受け120の位置を調節することにより、マスク枠受け120に保持されたマスク132と、前記基板保持装置110に保持された回路基板35との相対的な位置ずれを解消するものである。
【0020】
上記マスク枠受け120の上面に、図5に二点差線で示すスキージ装置本体150が固定されている。スキージ装置本体150は、図6に示すように、平面形状がU字形の平板状部材であり、Uの字の2本のアーム部にそって2本のガイド152が設けられている。これら2本のガイド152に、スキージスライド154が移動可能に支持されおり、スキージスライド駆動装置156によって前後方向に移動させられる。スキージスライド154には、図7に示すように、1つの第1昇降部材160と、2つの第2昇降部材162とが相対的に昇降可能に保持されており、各第2昇降部材162に、図8に示すスキージヘッド170がそれぞれ保持される。
【0021】
各第2昇降部材162には、左右方向に距離を隔てて2本のガイドロッド164が鉛直上向きに固定されている。これらガイドロッド164はそれぞれ、第1昇降部材160に設けられた2つずつのガイドスリーブ166と、スキージスライド154に設けられた2つずつガイドスリーブ168の各一方とに摺動可能に嵌合されており、結局、2つの第2昇降部材162の各々は、2本のガイドロッド164と2つのガイドスリーブ166とにより案内されて第1昇降部材160に対して鉛直方向に昇降し、また、第1昇降部材160は4本のガイドロッド164と4つのガイドスリーブ168とにより案内されてスキージスライド154に対して鉛直方向に昇降する。ガイドロッド164が第1昇降部材160と第2昇降部材162とのガイドを兼ねているのである。2つの第2昇降部材162の各々は昇降駆動装置180により第1昇降部材160に対して相対的にかつ個別に上下方向に平行移動させられる。
【0022】
各第2昇降部材162は長手形状を有するものであるが、それの長手方向の中央部にヘッド保持部材200を介して図8に示すスキージヘッド170が着脱可能に取り付けられる。スキージヘッド170のヘッド本体212には、取付部として2つのフック214が設けられており、これらフック214の各々が、ヘッド保持部材200に螺合された2本の固定ねじ216(図7においては1本のみ図示されている)の軸部に掛けられ、固定ねじ216が手で締め込まれることにより、ヘッド本体212がヘッド保持部材200に取り付けられるのである。したがって、2つの第2昇降部材162が個別に昇降させられれば、それら第2昇降部材の各々に保持されたスキージヘッド170が個別にマスク132に押し付けられ、あるいはマスク132から離間させられることとなる。
【0023】
スキージヘッド170は、ヘッド本体212に対して相対回動可能なスキージ保持体220を含んでいる。スキージ保持体220はスキージ222を着脱可能に保持するものであるが、スキージ保持体220のヘッド保持部材200に対する相対角度、すなわち、スキージ222とマスク132とが成すくさび角を任意に変更可能であり、この変更は、スキージ222の下端縁を中心とする回動により行われる。
【0024】
ヘッド保持部材200にははんだ掻寄部材230が取り付けられている。はんだ掻寄部材230は、図9に示すブラケット232に取り付けられており、このブラケット232がヘッド保持部材200の背面に取り付けられる。はんだ掻寄部材230はゴム製であり、自由状態においては、図9に示すように、真っ直ぐな棒状を成す断面形状が台形の部材であるが、取り付けられた状態では、スキージ222の側端面に当接して弾性的に屈曲させられ、その屈曲させられた部分が、二点鎖線で示すように、スキージ222の移動方向に平行な状態となる。スキージ222のくさび角の変更は、前述のように、スキージ222の下端縁を回動中心線とする回動により行われるため、くさび角の変更によりスキージ222の下端縁の高さが変わることがなく、はんだ掻寄部材230は、常にスキージ222の側端面とマスク132とに接触し、はんだを良好にスキージ側へ掻き寄せる機能を果たす。
【0025】
上記はんだは、図10および図11に示すはんだ供給装置240によりマスク132上に供給される。はんだ供給装置240ははんだ収容器242を備えている。はんだ収容器242は、長手形状の円筒容器であり、一端部にはんだ補給用の開口を有しているが、この開口は通常はキャップ244により気密に覆われている。はんだ収容器242は、他端に吐出口246を有している。はんだ収容器242内にはピストン248が摺動可能に嵌合されており、吐出駆動装置としてのエア供給装置250から、キャップ244に設けられたエア供給部252を経て、加圧空気が供給されることにより、ピストン248を介してはんだ収容器242内のはんだ254が加圧され、吐出口246から吐出される。
【0026】
はんだ収容器242は、収容器保持装置256により回動部材258に着脱可能に取り付けられ、回動部材258は、回動部材駆動装置としてのロータリシリンダ260を介して可動部材262に取り付けられている。可動部材262は、ガイド264を介してはんだ供給装置本体266に、左右方向に移動可能に保持されており、可動部材駆動装置268により移動させられる。可動部材駆動装置268は、はんだ供給装置本体266に固定された駆動源としての図示しない電動モータによって周回させられるベルト270を含んでおり、このベルト270の1箇所に可動部材262が結合されている。したがって、電動モータの回転により、可動部材262およびはんだ収容器242が左右方向に移動させられる。本実施形態においては、はんだ供給装置本体266は前述のスキージスライド154の前側に固定されており、スキージヘッド170と共に移動させられるが、スキージ装置本体150あるいは本体フレーム70に固定することも可能である。
【0027】
はんだ収容器242は、通常は図10に示すように、長手方向が左右方向と平行になる横向きの姿勢に保たれている。これは、はんだ収容器242のはんだ254が、エアの供給がないのに自重により吐出口246から垂れることを回避するためである。そして、はんだ254の供給時には、吐出口246が下を向く縦向きの姿勢に回動させられる。はんだ収容器242は、横向きの姿勢では、周辺の部材と干渉するため、充分な大きさのストロークで移動させることができないが、縦向きの姿勢では、マスク132上に予定されている最大はんだ供給領域に対応するストロークで左右方向に移動させることができる。はんだ254は、一対のスキージ222の間のスペースにではなく、そのスペースの外側に供給され、スキージ222の一方がマスク132から離れた上昇位置にある状態で、スキージヘッド170が移動させられ、マスク132上のはんだが平面視で一対のスキージ222の間に位置する状態で、上記一方のスキージ222が下降させられることにより、一対のスキージ222の間のスペースに取り込まれる。
【0028】
本印刷機10においては、前コンベヤ22,基板保持装置100,マスク枠受け120およびスキージ装置124等から成る印刷部が、本体フレーム70の前部に設けられるとともに、印刷機10全体を覆うカバー282(図1参照)の前部に開閉扉284が設けられ、その開閉扉284に、内部を透視可能な透視窓286およびディスプレイ358を備えた操作パネル288が設けられている。開閉扉284は図12(a)に示す閉状態から図12(b)に示す開状態に手動で容易に開くことができ、かつ、開閉扉284,リンク290およびカバー282により構成されるリンク機構により、図12(b)に示す状態に安定に保持できるようにされている。また、操作パネル288のディスプレイ358が、開閉扉284を開いた状態においても正面から見ることができるように取り付けられている。そのため、作業者292は、印刷機10を運転するために必要な操作や監視を印刷機10の前方から行うことができるとともに、開閉扉284を開いて行う必要のある印刷部に対するメンテナンス等も、操作パネル288に対する操作やディスプレイ358の監視を行いつつ前方から行うことができる。
【0029】
以上のように構成された電子回路組立ラインは、図1に示すように、各印刷機10をそれぞれ制御する制御装置300と、各装着機14をそれぞれ制御する制御装置302と、それら制御装置300,302を統括制御する統括制御装置304とを含む制御システムにより制御される。シャトルコンベヤ12はそれぞれそれらの上流側の印刷機10の制御装置300によって制御される。
【0030】
上記制御装置300のさらに詳細な構成を図13に示す。制御装置300はCPU316,RAM314,ROM312およびI/Oポート318を含むコンピュータ310を主体として構成されており、I/Oポート318には印刷機10の種々の検出装置や作動装置の他、統括制御装置304が接続されており、また、ROM312には種々のプログラムを格納するプログラムメモリ330が設けられ、RAM314には図13に代表的に示す種々のメモリが設けられている。
【0031】
印刷機10においては、マスク132上に載せられたはんだが、スキージ222の移動により、ロール状に形成されて移動させられつつ、マスク132に形成された貫通穴130を通して、基板保持装置100に保持された回路基板35の所定複数箇所に印刷されるが、マスク132上のはんだ量が適正量より少ないと、回路基板35の各印刷箇所に適正量で、すなわち適正な形状および厚さで印刷されない。そのため、本印刷機10においては、ROM312のプログラムメモリ330に格納された複数種類のプログラムからユーザにより、あるいは予め定められた選定規則に基づいて自動で選ばれたプログラムの実行により、マスク132上へのはんだの自動供給が行われるようになっている。
【0032】
まず、その1つである図14に記載の「消費量予測,局部補給計画策定および供給実行ルーチン」を説明する。このルーチンにおいては、S10ないしS18,S24およびS30,S38ないしS46ではんだの消費量予測が行われ、その予測結果に基づいて、S20,S26およびS32で局部補給計画が策定され、その局部補給計画に基づく局部補給がS54ないしS58で実施されるようになっている。
【0033】
まず、S10において整数MおよびΣMが共に0に設定され、自然数Pが1に設定されるとともに、M0,M1およびMmaxが記憶される。整数Mは1枚の回路基板35の検査結果が得られる毎に1増加する整数であり、ΣMは整数Mが1増加すれば1増加し、Mが0にリセットされてもリセットされない整数であり、Mmaxは検査されることが予定されている回路基板35の総数である。検査は、印刷機10により印刷されるすべての回路基板について行われてもよく、印刷される回路基板35の設定枚数毎に毎に1枚の回路基板35について行われてもよい。前者の場合はMmaxは生産予定枚数と同じであり、後者の場合は、Mmaxがオペレータにより入力されてもよく、オペレータによっては生産予定枚数と生産される回路基板35の何枚毎に1回の検査を行うべきかの情報とに基づいてコンピュータ310により演算されるようにしてもよい。M0,M1,N0については後に説明する。
【0034】
次にS11において、MとΣMとが1ずつ増加させられ、S12において、1枚の回路基板35の検査結果の読込みおよび記憶が行われる。印刷機10自体、または印刷機10の下流に設けられた検査機の検査装置により検査された回路基板35の1枚の検査結果の読込と、ROM312の検査結果メモリ340への記憶とが行われるのである。検査装置は公知のものであるので詳細な説明は省略するが、回路基板35に印刷されたはんだの平面形状を撮像し、その撮像結果から印刷が適正に行われたかを判定するものでもよいが、平板状のスリット光を回路基板35の表面に対して傾斜した方向から、印刷されたはんだの複数箇所に当て、それにより形成される明るい部分の像の画像処理により、はんだの印刷量を取得するものや、はんだの表面の複数箇所の高さを非接触で検出し、その検出結果に基づいてはんだの印刷量を取得するも等、3次元のはんだ形状から印刷量を取得するものが好適である。いずれにしても、検査装置は1枚の回路基板35のすべての印刷箇所、あるいは印刷不良が発生する可能性が高いとして、予め設定された印刷箇所のすべてについて、はんだ印刷量を示すデータを各回路基板35毎に作成し、出力し得るものとする。
【0035】
S12における検査結果の読込みおよび記憶の後、S14でMmax枚の回路基板35のすべてについての処理が終了したが否かが判定されるが、当初の判定結果はNOであるため、S16において、はんだ印刷量が不足気味の印刷箇所があるか否かの判定が行われる。印刷量が「不足気味」とは、各印刷箇所について、正規の量よりは少ないが、印刷不良には到らない程度で設定されたしきい印刷量以下であることを意味するものとする。S16の判定結果がYESの場合には、S18,S24およびS30において、(a)互いに近接した複数の印刷箇所においてはんだ量が不足気味になっているか、(b)検査された複数枚の回路基板35の同じ印刷箇所における不足気味発生頻度が設定頻度以上であるか、あるいは(c)検査された複数枚の回路基板35の同じ印刷箇所において不足気味の程度が増加傾向にあるかの3種類の判定が行われる。これらの判定は、マスク132上のはんだ量不足とは別の何らかの理由により、偶然にはんだ印刷量が不足気味の印刷箇所が発生することにより、誤った判定が行われてしまうことを回避しつつ、真の印刷量不足気味をできるかぎり確実に検出するために行われるものである。
【0036】
以下、それぞれの判定について説明する。S18において、予め設定された状態以上で互いに近接した複数の印刷箇所において、印刷量が不足気味になっているか否かの判定が行われ、判定結果がYESの場合は、S20において、その状態を解消するために、対応する印刷領域に対するはんだの局部補給が行われる。印刷機10においては、図15の(a)ないし(c)に示すように、吐出開始および吐出停止の時点をはんだ収容器242の移動開始および終了時点と関連制御するとともに、吐出口246からはんだを吐出させつつはんだ収容器242を適切な速度で移動させることにより、所望の範囲に、はんだ254をほぼ一定の太さの棒状に(吐出されたはんだが互いに重なり合って局部的に太くなることも、逆に切れることもなく)供給することができるようにされており、この機能を利用して、上記「互いに近接した複数の印刷箇所」に対応する位置および長さで、はんだの局部補給の一種である局部領域補給が行われるのである。もっとも、「互いに近接した複数の印刷箇所」を含む領域が十分狭い場合には、はんだ収容器242を1点に停止させてはんだを吐出させ、1点にまとめてはんだを補給してもよい。本明細書においては、前者を領域補給、後者を点補給と称することとする。
【0037】
S18の判定結果がNOの場合には、S22においてフラグF2が「1」にセットされた後、S24において、連続設定枚数M0(ここにおいて、「連続」は「連続して検査結果が得られる」という意味で、必ずしも「連続して印刷される」という意味ではない)の互いに同じ印刷箇所において印刷量が不足気味になっている回数が設定回数N0以上であるか否かが判定され、判定結果がYESの場合には、S26において、その印刷箇所に対応する位置に時間T1の点補給が決定された後、S28でフラグF2が「0」にリセットされる。
【0038】
S24の判定結果がNOの場合には、S30において、連続設定枚数M0の互いに同じ印刷箇所で印刷量の不足傾向が増しているか否かが判定される。具体的には、例えば、連続設定枚数M0における印刷量の近似直線の勾配が負であるか否かが判定されるのである。判定の結果がYESの場合には、S32において、その印刷箇所に対応する位置に時間T2の点補給が決定された後、S34でフラグF2が「0」にリセットされる。なお、時間T2は時間T1と同じにすることも、異ならせることも可能である。
以上S20,S26およびS32のいずれが実行された場合でも、S36においてフラグF1が「1」にセットされる。
【0039】
また、前述のS16の判定結果がNOの場合には、S38でフラグF2が「1」にセットされているか否かが判定され、判定結果がNOの場合には、S40で、S12において読み込まれ、記憶された検査結果が消去される。
一方、S38の判定結果がYESの場合には、S44,S46が実行されて、連続設定枚数M0の間、S16の判定結果がNOであり続けた場合にはじめて、S12において読み込まれ、記憶された検査結果が消去される。
これによって、S24およびS30の判定を実行する必要がある間、その判定に必要な枚数分の検査結果が検査結果メモリ340に保持され、その必要がない場合には、S16の判定結果がNOになる毎に検査結果が消去されることとなる。
【0040】
以上の実行と共にS48ないしS58が実行される。S48においては、ΣMが設定枚数M1の整数P倍以上となったか否かが判定され、判定結果がYESの場合にはS50において全体補給が実行された後、S52において整数Pが1増加させられる。ここにおいて、設定枚数M1は、この枚数の検査が行われる毎にはんだロール全体にわたって一律にはんだが補給されるべき回路基板の枚数であり、例えば、マスク132全体の貫通穴130の容積和に基づいて演算で決定したり、試験印刷の実行により決定したりすることができる。
【0041】
続いて、S54において、フラグF1が「1」にセットされているか否かが判定され、判定結果がYESである場合に、S20,S26,S32のいずれかにおいて決定された局部補給が実行される。
なお、本実施形態においては、S18,S24およびS30の判定に優先順位がつけられることにより、S20,S26およびS32において同時に局部補給が決定されることがないようにされているため、これらの局部補給の実行が同時に必要となることがないが、判定に優先順位をつけないようにすることも可能であり、その場合には、S20,S26およびS32における複数種類の局部補給の実行が同時に必要となることもあり得、フローチャートをその事態に対処し得るものに変更することが必要となる。
ただし、上記「S20,S26およびS32において同時に局部補給が決定されることがない」とは、S18,S24およびS30においてそれぞれ実行される判定規則を互いに異にする局部補給の実行が同時に必要になることがないという意味であって、同じ判定規則に基づいて、はんだロールの長手方向における複数箇所で局部補給が必要になることはあり得る。
【0042】
以上の説明から明らかなように、コンピュータ310のS10ないしS18,S24およびS30,S38ないしS46を実行する部分が消費量予測部を構成し、S20,S26およびS32を実行する部分が局部補給計画策定部を構成し、S48ないしS52を実行する部分が全体補給指令部を構成し、S54ないしS58を実行する部分が局部補給指令部を構成している。
【0043】
はんだの局部補給を行うための複数種類のプログラムのうちの別の1つを表すフローチャートを図16ないし図18に示す。
これらフローチャートに基づく局部補給は、図19に概念的に例示するように、マスク132を、スキージ222の移動方向に平行な方向に視た場合に、開口面積の大きい貫通穴130が集中的に並んでいる等の理由で、他の部分に比較してはんだ254の消費量が多くなり、その結果、図20(a)に誇張して例示するように、はんだロール400の長手方向の一部に、他の部分に比較してロール径が小さくなる部分400a,400bが発生し、そのためにそれら部分400a,400bに対応する領域において印刷量が不足気味になるという認識の下に、図20の(a)ないし(d)に例示するようにはんだの局部補給を行うものである。なお、図19は開口面積の大きい貫通穴130のみを示したものであり、他の部分には開口面積の小さい貫通穴が形成されているが、図示は省略する。
【0044】
S1において初期設定が行われ、その中で、マスク132における貫通穴130の容積の演算に必要なデータの入力や、マスク132上においてはんだロール400を形成すべき領域の設定や、その領域を等分割すべきか、あるいは貫通穴130の形成状況を加味した分割を行うべきかの選択等の初期設定が行われる。続いて、S2において、等分割が選択されたか否かが判定され、判定結果がYESであれば、S3において所望の分割数を入力すべきことが指示され、それに応じて入力が行われれば、S4の判定がYESとなり、S5において、はんだロールを形成すべき領域を、入力された分割数に分割するための分割線402(図19参照)が自動で設定される。
【0045】
それに対し、S2の判定結果がNOであれば、S6において、貫通穴130の形成状況を加味した分割が選択されたか否かが判定され、NOの判定であれば、S8のその他の処理が行われるが、本願の請求可能発明とは関係が薄いので説明を省略する。
【0046】
そして、S6の判定結果がYESであれば、S10以降が実行される。S10においては、マスク132の貫通穴130が形成されている領域を予め定められている幅に細分する細分領域が、貫通穴130が形成されている領域の端に設定され、S12において、貫通穴130の、細分領域に属する部分の容積和が自動で演算され、記憶されるととともに、ディスプレイ358にグラフ表示される。続いてS14において細分作業が終了したか否かが判定されるが、当初は当然NOの判定であるため、S16において、細分領域が1幅分移動させられ、その新たな細分領域についても容積和が演算,記憶および表示される。以後同様のことが繰り返され、ディスプレイ358に貫通穴形成領域全体の容積和の変化状況が図示される。
【0047】
貫通穴形成領域全体の容積和の変化状況を示すグラフが完成すれば、S14の判定結果がYESとなり、S18において、容積和の変化状況を示すグラフに基づいて、貫通穴130の容積和が似た細分領域同士をまとめて分割領域とするための、分割線を設定すべきことがオペレータに指示される。その指示に基づいてオペレータが分割線の設定入力を行えば、S20の判定がYESとなり、S22において、図19の例示する分割線402が設定され、それに伴って分割領域404が設定される。
【0048】
S18ないしS22の繰返しにより領域の分割が終了したとオペレータが考えれば、分割終了の入力を行うため、S24においてYES判定が行われ、S22において設定された分割線402による貫通穴形成領域全体の分割領域404の数Nmax(図19に例示する場合にはNmax=6)が求められる。さらに、S28において、各分割領域の容積和ΣVと、貫通穴形成領域全体における平均容積和ΣVmeanとが演算され、S30において、ΣV<(1−a)ΣVmeanの条件を満たすべての分割領域とそれらの容積和とが互いに対応付けて容積和メモリ342に記憶される。
【0049】
そして、S32において、ΣV<(1−a)ΣVmeanの条件を満たす分割領域が1つ以上記憶されたか否かが判定され、YES判定の場合はS34でフラグF1が「1」にセットされ、NO判定の場合はS36でフラグF1が「0」にリセットされる。なお、(1−a)ΣVmeanは、各分割領域において局部補給を行うべき上限の容積和である。
すなわち、コンピュータ310の上記S2ないしS5を実行する部分が等分割部を構成し、S6ないしS24を実行する部分が貫通穴形成状況加味分割部を構成している。また、S28ないしS36を実行する部分が、上記等分割部および貫通穴形成状況加味分割部と共に、はんだ消費量予測部を構成している。
【0050】
以上のはんだ消費量予測部による予測に基づいて、図17に示すフローチャートで表される局部補給計画策定ルーチンが実行され、局部補給計画が策定される。
S42において、分割領域番号Nが0に設定され、S44において、フラグF1が「1」にセットされているか否かが判定され、判定結果がNOであれば、局部補給を必要とする分割量域404はないことになるため、局部補給計画策定ルーチンの実行が終了する。
【0051】
それに対し、S44の判定結果がYESであれば、S46ないしS58が、S60の判定結果がYESになるまで繰り返し実行され、それによって、局部補給の必要な分割量域404が、ΣV<(1−3a)ΣVmean、(1−3a)ΣVmean≦ΣV<(1−2a)ΣVmean、(1−2a)ΣVmean≦ΣV<(1−a)<ΣVmeanの3段階のいずれかに分類され、それぞれの段階に属する分割領域404について、1回の局部補給量が設定される。具体的には、ΣV≧(1−a)<ΣVmeanの領域については局部補給は不要であり、(1−2a)ΣVmean≦ΣV<(1−a)<ΣVmeanの領域については時間T1の局部補給が、(1−3a)ΣVmean≦ΣV<(1−2a)ΣVmeanの領域については時間2×T1の局部補給が、ΣV<(1−3a)ΣVmeanの領域については時間3×T1の局部補給がそれぞれ決定され、局部補給計画メモリ344に記憶させられる。コンピュータ310の、この局部補給計画策定ルーチンを実行する部分が、局部補給計画策定部を構成しているのである。
【0052】
以上のようにして策定された局部補給計画は、図18に示す補給実行ルーチンに従って実行される。
まず、S72において、分割領域の番号NとMおよびΣMとが初期値0にセットされ、整数Pが1にセットされるとともに、回路基板の生産予定枚数Mmax,M0,Nmaxが記憶される。次に、S74において、整数M(全体補給が実行されるまで増加する回路基板35の枚数に相当)と、ΣM(整数Mが0にリセットされてもリセットされないで増加し続ける回路基板35の枚数に相当)とが1ずつ増加させられ、S76において、生産予定枚数の回路基板35に対する印刷が終了したか否かが判定され、印刷が終了すれば補給実行ルーチンの実行が終了させられるが、当初はNOの判定であるため、S78において、整数Mが、全体補給を実行すべきことが予め定められている回路基板35の印刷枚数M0の整数P倍に達したか否かが判定され、YESの判定であれば、S80において、はんだロール400の全体にわたってはんだ254の補給が行われる。この補給量は、印刷枚数M0の回路基板35の印刷によって消費されるはんだの全量から、その全体補給の実施までに局部補給によって補給されたはんだ量の和を差し引いた量とされる。S80に続いて、S82で整数Pが1増加させられる。
【0053】
次に、S84において、整数Mが局部補給を実行すべき回路基板35の印刷枚数M0に達したか否かが判定され、NOの判定であればS74に戻るが、YESの判定であれば、S86ないしS94において局部補給が行われる。まず、S86において、フラグF1が「1」に設定されているか否かが判定され、NOの判定であれば、局部補給の必要がないことを意味するので、S88ないしS94がスキップされる。YESの判定であれば、分割領域404の番号が1増加させられ、第1分割領域についての局部補給が実行される。第1分割領域について、図17の局部補給計画策定ルーチンにおいて局部補給を行うべきことが決定されていれば、第1分割領域の中央において、T1,2×T1,3×T1のいずれかの時間の点補給が行われるのであるが、第1分割領域について局部補給を行うべきことが決定されていなければ、現実にははんだ収容器242が第1分割領域を通過させられるのみで、局部補給は行われない。そして、S92においてすべての分割領域404についての局部補給が終了したか否かが判定され、NOの判定であればS88に戻る。
【0054】
以下、S88ないしS92が繰返し実行され、はんだ収容器242が第Nmax分割領域に向かって移動させられつつ、図20に例示するように、各分割領域404に対する局部補給の一種である点補給を行う。そして、第Nmax分割領域に対する局部補給の実行後、S94で整数NおよびMが0にリセットされ、プロガラムの実行がS74に戻る。
以上の説明から明らかなように、コンピュータ310のS74,S78,S80を実行する部分が全体補給部を構成し、S74,S84ないしS94を実行する部分が局部補給部を構成している。
【0055】
なお、本実施形態においては、全体補給を行うべき回路基板の枚数M0と、局部補給を行うべき回路基板の枚数M0とが同じにされているが、これは補給のために印刷作業を中断する回数を少なくするとともに、フローチャートを単純にするためであり、両者を互いに異ならせることも可能である。
また、全体補給と局部補給とは、はんだ収容器242をそれぞれ移動させて行われるようにされているが、枚数M0が共通であることを積極的に利用して、全体補給と局部補給との両方が、はんだ収容器242の1回の移動中に行われるようにすることも可能である。例えば、全体補給の実行中に、はんだ収容器242が局部補給を行うべき位置に達したならば、その位置で停止させ、局部補給を行わせるのである。
【0056】
また、本実施形態においては、分割領域の幅が比較的狭くなることを前提として、各分割領域404の幅方向の中央での点補給が行われるようにされているが、分割領域の幅が広い場合は、領域補給が行われるようにしてもよい。
さらに、貫通穴形成状況加味分割部は、オペレータの判断に基づいて領域分割を行うものとされ、そのオペレータの判断を助けるために、貫通穴形成領域全体の容積和の変化状況がグラフ表示すされるようになっている。しかし、例えば、「互いに隣接する細分領域の、容積和の差が設定値以内であること」等の条件を設定すれば、細分領域をまとめて分割領域とすることを自動で行わせることも可能であり、それによって、貫通穴形成領域の分割の自動化も可能となる。
【0057】
はんだの局部補給を行うためのさらに別のプログラムを表すフローチャートを図21に示す。本実施形態は、はんだロール400のロール径を、図22に例示するロール径検出器422によって非接触で検出することにより、局部的にはんだの消費量の大きい部分を特定し、その結果に基づいて局部補給を行うものである。ロール径検出器422としては、例えば、特開平5−261892号公報に記載のレーザ式3次元距離計を用いることができる。例えば、前記一対の第2昇降部材162の間を、スキージ222の長手方向に沿って移動可能に設けるのである。図示の例においては、一対の第2昇降部材162の一方にガイド424が固定され、そのガイド424上を移動するスライダ426にロール径検出器422が取り付けられている。
【0058】
スライダ426は、第2昇降部材162の長手方向に周回可能なベルト428の一部に固定され、サーボモータ352(図13参照)によりベルト428が周回させられることにより、スキージ222の長手方向に移動させられる。スライダ426の位置、すなわちロール径検出器422の位置は、I/Oポート318に駆動回路350を介して接続されているサーボモータ352に設けられたエンコーダ354からの信号に基づいて検出される。したがって、ロール径検出器422の出力信号とエンコーダ354の出力信号とにより、はんだロール400の長手方向のロール径分布が連続的に検出される。
【0059】
図21に示す消費量予測および局部補給計画策定ルーチンにおいては、S10において予め設定されているロール径のはんだロール400が形成される。はんだ収容器242がスキージ222の長手方向に平行に移動させられつつはんだ254を吐出させられ、また、スキージヘッド170がマスク132に沿って適数回往復移動させられて、スキージ222により形成されるはんだロール400が設定ロール径まで大きくされるのである。ただし、この間は回路基板35が移動させられず、同一の回路基板35に対して印刷動作が行われるため、はんだ254は消費されない。
続いて、S12において、予め定められた枚数の回路基板35への印刷が行われた後、S14において、前述の方法でロール径分布が連続的に検出され、S16においてロール径分布がロール径メモリ356に記憶させられるとともに、ディスプレイ358に表示され、かつ、オペレータに対して、マスク132の貫通穴形成領域を等分割すべきか否かを指示する入力が求められる。
【0060】
そして、S18において、等分割が指示されたか否かが判定され、YESの判定であれば、S20において、等分割が行われるとともに、各分割領域毎の平均ロール径が演算され、さらにS12の実行前における設定ロール径からの減少量が演算される。そして、S22において、上記ロール径の減少量に基づいて各分割領域におけるはんだ254の消費量が演算され、演算された消費量に基づいて、各分割領域の局部補給量が決定されるとともに、補給位置が各分割領域の中央に決定され、それら局部補給量と補給位置とが互いに対応付けられて局部補給計画メモリ360に記憶される。なお、演算された消費量に基づく各分割領域の局部補給量の決定は、例えば、図17に記載の局部補給計画策定ルーチンにおけると同様に行われてもよいが、限定されない。他の部分に比較してはんだの消費量が多い部分について局部補給量が決定されればよいのである。
【0061】
一方、S18の判定結果がNOであれば、S24において、貫通穴形成状況を加味した分割が指示されたか否かが判定され、NOの判定であれば、S26においてその他の処理が行われるが、YESの判定であれば、S28以降において貫通穴形成状況を加味した分割が行われる。まず、S28において、ディスプレイ358に表示されているロール径分布に基づいて、分割線の位置を決定し、入力すべきことがオペレータに指示される。その指示に基づいてオペレータが分割線の位置を入力する毎に、その分割線で規定される分割領域のロール減少量がS20におけるのと同様に演算され、S22におけるのと同様に、局部補給をすべき位置と補給量とが局部計画メモリ360に記憶される。そして、オペレータが分割終了の入力を行えば、S36の判定結果がYESとなり、貫通穴形成状況を加味した分割ならびに局部補給量の決定が終了する。
【0062】
以上等分割の場合も、貫通穴形成状況を加味した分割の場合も、局部補給の位置および量が決定された後、S38において分割領域の数Nmaxが記憶される。
以上のようにして策定された局部補給計画に従ったはんだの補給は、例えば、図18に示した補給実行ルーチンにおけると同様に行われるようにすることができる。
【0063】
しかし、S22あるいはS32において、ロール径の減少量に基づいて各分割領域におけるはんだ254の消費量が演算された後、その演算された消費量がそのまま補給量として、各分割領域の補給位置(中央位置)と対応付けて、補給計画メモリ370に記憶されるようにしてもよい。
この場合には、全体補給と局部補給との両方によるはんだの補給量が一緒に取得されることとなるため、はんだ収容器242の1回の移動の間に、補給量が分割領域毎に増減させられることとなる。補給量の増減は、例えば、はんだ収容器242の移動速度を一定に保って、吐出口246からの吐出速度を変更したり、あるいは吐出口246からの吐出速度を一定に保って、はんだ収容器242の移動速度を変更したりすることにより実現することができる。
【0064】
ただし、エア圧の供給によりはんだ収容器242からはんだ254を押し出すはんだ供給装置240においては、はんだ収容器242の移動速度は正確に制御し得るが、吐出口246からの吐出速度を正確に制御することが難しいうらみがある。そこで、はんだ供給装置240の吐出口246に、例えば、スクリュポンプやギヤポンプのような容積型のポンプを設け、そのポンプの回転速度を制御することにより、吐出口246からのはんだ254の吐出速度を制御することが望ましい。
【符号の説明】
【0065】
10:スクリーン印刷機(印刷機) 12:シャトルコンベヤ 14:電子回路部品装着機(装着機) 100:基板保持装置 120:マスク枠受け 124:スキージ装置 128:印刷領域 130:貫通穴 132:マスク 134:マスク枠 150ス:キージ装置本体 154:スキージスライド 156:スキージスライド駆動装置 160:第1昇降部材 162:第2昇降部材 170:スキージヘッド 180:昇降駆動装置 200:ヘッド保持部材 222:スキージ 230:はんだ掻寄部材 240:はんだ供給装置 242:はんだ収容器 246:吐出口 250:エア供給装置 254:はんだ 262:可動部材 266:はんだ供給装置本体 268:可動部材駆動装置 300:制御装置 304:統括制御装置 310:コンピュータ 312:ROM 314:RAM 316:CPU 330:プログラムメモリ 340:検査結果メモリ 342:容積和メモリ 344:局部補給計画メモリ 350:駆動回路 352:サーボモータ 354:エンコーダ 356:ロール径メモリ 358:ディスプレイ 360:局部補給計画メモリ 370:補給計画メモリ 400:はんだロール 402:分割線 404:分割領域 422:ロール径検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキージをスキージ移動装置によりマスクに沿って移動させ、そのマスクに形成された複数の貫通穴を通して回路基板にクリーム状はんだを印刷するとともに、クリーム状はんだを前記マスク上に供給するはんだ供給装置を備えたスクリーン印刷機であって、
複数枚の回路基板に対する印刷作業の途中に、前記はんだ供給装置に、前記スキージの長手方向に関して一律ではない量のクリーム状はんだを補給させるはんだ補給制御部を含むことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
スキージをスキージ移動装置によりマスクに沿って移動させ、そのマスクに形成された複数の貫通穴を通して回路基板にクリーム状はんだを印刷するとともに、クリーム状はんだを前記マスク上に供給するはんだ供給装置を備えたスクリーン印刷機であって、
前記マスクを前記スキージ移動装置による前記スキージの移動方向に平行な方向に分割して成る複数の分割領域の各々について、印刷作業の進行に伴うクリーム状はんだの消費量を予測するはんだ消費量予測部と、
前記複数の分割領域のうちで、前記はんだ消費量予測部により予測された予測消費量が他の分割領域に比較して大きい1つ以上の分割領域に対して、印刷作業の進行途中においてクリーム状はんだを局部補給すべき時期,位置および補給量を含む補給計画を策定する補給計画策定部と、
その補給計画策定部により策定された補給計画に従って、前記はんだ供給装置にクリーム状はんだの局部補給を行うべきことを指令する局部補給指令部と
を含むことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項3】
前記はんだ消費量予測部が、当該スクリーン印刷機の印刷結果を検査する印刷検査装置の検査結果に基づいて、印刷作業の進行に伴うクリーム状はんだの消費量を予測する印刷検査結果依拠消費量予測部を含む請求項2に記載のスクリーン印刷機。
【請求項4】
前記はんだ消費量予測部が、前記複数の貫通穴の開口面積和と、それら貫通穴の各々に対応する位置におけるマスクの厚さとに基づいて、前記はんだ消費量を予測する貫通穴容積和依拠消費量予測部を含む請求項2または3に記載のスクリーン印刷機。
【請求項5】
前記はんだ消費量予測部が、はんだ消費量を予測すべきマスクと貫通穴の分布状態および厚さの分布状態が 同じであるマスクを用いて行われた印刷作業の実行時に取得された作業結果に基づいて、前記はんだ消費量を予測する先行印刷作業結果依拠消費量予測部を含む請求項2ないし4のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
【請求項6】
前記先行印刷作業結果依拠消費量予測部が、スキージの移動に伴って形成されるクリーム状はんだのロールの直径であるロール径の、設定枚数の回路基板に対する印刷作業の実行前後における変化を、そのはんだロールの長手方向の複数箇所について検出したロール径変化分布に基づいて、前記はんだ消費量を予測する先行印刷作業時ロール径変化分布依拠消費量予測部を含む請求項5に記載のスクリーン印刷機。
【請求項7】
前記はんだ消費量予測部が、マスクを複数の分割領域に分割するマスク分割部を含み、そのマスク分割部が、前記マスクを、前記スキージの移動方向に平行な方向に並ぶ複数の貫通穴の容積の和が実質的に均一な部分毎に前記マスクを分割する貫通穴容積和依拠分割部を含む請求項2ないし6のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
【請求項8】
前記補給計画策定部が、前記局部補給すべき時期を、印刷作業の開始または前回の補給時点から印刷された回路基板の枚数で定める印刷枚数依拠補給時期決定部を含む請求項2ないし7のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
【請求項9】
前記補給計画策定部が、前記局部補給すべき位置を、前記予測消費量が他の分割領域に比較して大きい前記1つ以上の分割領域の各々の、前記スキージの移動方向に直角な方向である幅方向の中央の1点に決定する補給点決定部を含む請求項2ないし8のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
【請求項10】
前記補給計画策定部が、前記局部補給すべき補給量を、前記予測消費量が他の分割領域に比較して大きい前記1つ以上の分割領域の各々の予測消費量が大きいほど大きい補給量に決定する予測消費量対応補給量決定部を含む請求項2ないし9のいずれかに記載のスクリーン印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−103418(P2013−103418A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249194(P2011−249194)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】