説明

スクリーン印刷用マスクのクリーニング装置及びスクリーン印刷機

【課題】下面が平面形状でないスクリーン印刷用マスクに対して効率よくペーストの拭き取りを行うことができるスクリーン印刷用マスクのクリーニング装置及びスクリーン印刷機を提供することを目的とする。
【解決手段】マスク3の下面に摺擦されるペーパー部材25と、上端部に取り付けられた弾性体部材23を介してペーパー部材25をマスク3の下面に押し付けるバックアップ部材22を備え、弾性体部材23を介してペーパー部材25をマスク3の下面に押し付けたバックアップ部材22をマスク3に対して相対移動させることによりマスク3の下面にペーパー部材25を摺擦させてマスク3の下面に付着したペーストPTの拭き取りを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷用マスクの下面に付着したペーストの拭き取りを行うスクリーン印刷用マスクのクリーニング装置及びスクリーン印刷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板の電極に半田ペースト等のペーストを印刷するときに基板に接触させて用いられるスクリーン印刷用マスク(以下、単にマスクと称する)では、版抜けをした後にマスクに付着したペーストを拭き取って次のスクリーン印刷に備える必要がある。このようなマスクに付着したペーストの拭き取りを行うためのクリーニング装置では、バックアップ部材の上面でペーパー部材の所定領域(摺擦領域)をマスクの下面に押し付けたうえで、そのバックアップ部材をスクリーン印刷用マスクの下面に対して相対移動させ、ペーパー部材をスクリーン印刷用マスクに対して摺擦させることによって、スクリーン印刷用マスクの下面に付着したペーストの拭き取りを行うようになっている(例えば特許文献1)。また、バックアップ部材の内部には上方に開口する空気吸引管路が設けられており、この空気吸引管路からペーパー部材の摺擦領域を介して空気を真空吸引することにより、マスクの下面に付着したペーストをペーパー部材側に吸い出すことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−66832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、クリーニング装置に備えられるバックアップ部材はアルミニウム等の金属材料から形成されることから、マスクの下面(すなわちペーパー部材が摺擦される面)が平面形状でない場合、例えば、比較的大型のサイズのスクリーン印刷用マスクがその自重によって下方に撓んで凸形状となっているような場合には、バックアップ部材の上端部がマスクの形状に追従できず、ペーパー部材をマスクの下面に密着させることができないためにペーストの拭き取り効果が低下するという問題点があった。また、ペーパー部材をマスクの下面に密着させることができないことから、空気の吸引によるペーストの吸い出し効果が低下してしまうおそれがあるという問題点もあった。
【0005】
そこで本発明は、下面が平面形状でないスクリーン印刷用マスクに対して効率よくペーストの拭き取りを行うことができるスクリーン印刷用マスクのクリーニング装置及びスクリーン印刷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のスクリーン印刷用マスクのクリーニング装置は、スクリーン印刷用マスクの下面に付着したペーストの拭き取りを行うスクリーン印刷用マスクのクリーニング装置であって、スクリーン印刷用マスクの下面に摺擦されるペーパー部材と、上端部に取り付けられた弾性体部材を介してペーパー部材をスクリーン印刷用マスクの下面に押し付けるバックアップ部材と、弾性体部材を介してペーパー部材をスクリーン印刷用マスクの下面に押し付けたバックアップ部材をスクリーン印刷用マスクに対して相対移動させることによりスクリーン印刷用マスクの下面にペーパー部材を摺擦させてスクリーン印刷用マスクの下面に付着したペーストの拭き取りを行うペーパー部材摺擦手段とを備えた。
【0007】
請求項2に記載のスクリーン印刷用マスクのクリーニング装置は、請求項1に記載のス
クリーン印刷用マスクのクリーニング装置であって、バックアップ部材の上端部に取り付けられた弾性体部材は、バックアップ部材の上端部の外周を取り囲んで設けられている。
【0008】
請求項3に記載のスクリーン印刷用マスクのクリーニング装置は、請求項1又は2に記載のスクリーン印刷用マスクのクリーニング装置であって、バックアップ部材の上端部に取り付けられた弾性体部材は、ペーパー部材との接触面が平面状に形成されている。
【0009】
請求項4に記載のスクリーン印刷機は、基板に設けられた電極にスクリーン印刷を施すスクリーン印刷機であって、基板に接触して用いられ、基板の電極に対応するパターン孔が形成されたスクリーン印刷用マスクと、スクリーン印刷用マスクに形成されたパターン孔と基板の電極を合致させた状態でスクリーン印刷用マスク上にペーストを供給し、その後スクリーン印刷用マスクと基板を相対的に離間させることによって電極にペーストを印刷する印刷実行手段と、スクリーン印刷用マスクの下面に付着したペーストの拭き取りを行うスクリーン印刷用マスクのクリーニング装置とを備え、スクリーン印刷用マスクのクリーニング装置は、スクリーン印刷用マスクの下面に摺擦されるペーパー部材と、上端部に取り付けられた弾性体部材を介してペーパー部材をスクリーン印刷用マスクの下面に押し付けるバックアップ部材と、弾性体部材を介してペーパー部材をスクリーン印刷用マスクの下面に押し付けたバックアップ部材をスクリーン印刷用マスクに対して相対移動させることによりスクリーン印刷用マスクの下面にペーパー部材を摺擦させてスクリーン印刷用マスクの下面に付着したペーストの拭き取りを行うペーパー部材摺擦手段とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、バックアップ部材の上端部に設けられた弾性体部材を介してペーパー部材をスクリーン印刷用マスクの下面に押し付けるようになっており、弾性体部材を弾性変形させてスクリーン印刷用マスクの形状に追従させることができることから、下面が平面形状でないスクリーン印刷用マスクであっても、その下面にペーパー部材を密着させることができ、効率的にペーストの拭き取りを行うことができる。また、バックアップ部材の内部に設けられた空気吸引管路からペーパー部材の摺擦領域を介して空気を吸引することによりスクリーン印刷用マスクの下面に付着したペーストをペーパー部材側に吸い出すようになっている場合には、ペーパー部材をマスクの下面に密着させることができることから、空気の吸引時における空気漏れが少なくなり、ペーストの吸い出し効果を向上させることができるので、この面からもペーストの拭き取り効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の概略構成図
【図2】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が印刷対象とする基板の(a)平面図(b)側断面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるマスクの(a)平面図(b)側断面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるクリーニング装置の一部の(a)斜視図(b)断面図
【図5】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるクリーニング装置の一部の分解斜視図
【図6】(a)(b)(c)(d)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作説明図
【図7】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるクリーニング装置の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1において、本実施の
形態におけるスクリーン印刷機1は、印刷対象物である基板PBを保持する基板保持部2、基板保持部2によって保持された基板PBの上方に水平に設けられた矩形形状のスクリーン印刷用マスク(以下、単にマスク)3、マスク3の上方に設けられたペースト供給ヘッド4、マスク3の下面に下方から接触してスクリーン印刷機1によるスクリーン印刷の実行後にマスク3のクリーニングを行うクリーニング装置5を備えて構成されている。以下、説明の便宜上、図1の紙面に垂直な方向をX軸方向、図1の紙面左右方向をY軸方向、図1の紙面上下方向をZ軸方向とする。
【0013】
図2(a),(b)において基板PBの上面には複数の電極dが設けられている。基板保持部2は水平面内方向(XY面内方向)及び上下方向(Z軸方向)に移動自在に設けられており、保持した基板PBをマスク3の下方の任意の位置に位置決めすることができる。
【0014】
図1及び図3(a),(b)において、マスク3は四辺を枠部材3wによって支持されており、枠部材3wによって囲まれた矩形の領域には、基板PBの上面に設けられた複数の電極dに対応する複数のパターン孔hが設けられている。
【0015】
図1において、ペースト供給ヘッド4はマスク3に対して水平面内方向(XY面内方向)及び上下方向(Z軸方向)に移動自在に設けられたヘッド本体11と、ヘッド本体11の下部に設けられてY軸方向に対向する2つのガイド部材12を備えて成る。各ガイド部材12はX軸方向に延びた「へら」状の部材であり、ヘッド本体11に内蔵されたペーストカートリッジ(図示せず)より下方に供給(圧送)される半田ペーストや導電性ペースト等のペーストがマスク3上の目的とする箇所に集中して供給されるようにガイドをする。
【0016】
図1においてクリーニング装置5は、水平面内方向(XY面内方向)及び上下方向(Z軸方向)に移動自在に設けられたケース状のベース部21と、ベース部21内に設けられ、上方に開口した長方形枠形状のノズル部22aを有したバックアップ部材22と、バックアップ部材22の上端部(ノズル部22a)の外周を取り囲んで設けられた弾性体部材23と、バックアップ部材22を挟んでY軸方向に対向して配置されたX軸回りに回転自在な一対の巻き取りローラ24と、一対の巻き取りローラ24に掛け渡されたペーパー部材25と、一対の巻き取りローラ24の間においてバックアップ部材22を挟んでY軸方向に対向して配置されたX軸回りに回転自在な一対の案内ローラ26を備えて成る。
【0017】
図4(a),(b)及び図5(a),(b)において、弾性体部材23はバックアップ部材22のノズル部22aの長辺部に沿って設けられた一対の弾性体部材23aと、ノズル部22aの短辺部に沿って設けられた一対の弾性体部材23bから成り、これら4つの弾性体部材23はそれぞれ複数の締結具Bによってノズル部22aの側面に取り付けられるプレート状の押さえ部材23pに押さえられてノズル部22aの外周面に取り付けられている。各弾性体部材23は隣接するもの同士と端部を接触又は近接させており、4つの弾性体部材23は全体として閉じた形状(上方から見て閉じた枠形状)をなしている。
【0018】
ペーパー部材25はその上面が粘着面となっており、一対の案内ローラ26の間の4つの弾性体部材23によって支持される水平な領域は、マスク部材3の下面に下方から摺擦される摺擦領域25aとなっている。各弾性体部材23はその上面であるペーパー部材25との接触面23s(図4(b)中の拡大図)が水平な平面状になっており、各弾性体部材23はペーパー部材25と面接触できるようになっている。
【0019】
ペーパー部材25の摺擦領域25aは、一対の巻き取りローラ24を同方向に駆動してペーパー部材25を巻き取ることによって更新することができる。また、図4(b)にお
いて、バックアップ部材22には上下に貫通する空気吸引管路22bが設けられており、この空気吸引管路22b内に真空圧を供給することにより、ペーパー部材25の摺擦領域25aを介して空気吸引管路22b内に空気を吸引することができるようになっている。
【0020】
基板保持部2の水平面内方向移動及び上下方向移動による基板PBのマスク3に対する位置決め動作は、このスクリーン印刷機1が備える制御装置30(図1)が図示しないアクチュエータ等から成る基板位置決め機構31(図1)の作動制御を行うことによってなされる。
【0021】
ペースト供給ヘッド4のヘッド本体11の水平面内方向移動及び上下方向移動によるペースト供給ヘッド4のマスク3に対する位置決め動作は、制御装置30が図示しないアクチュエータ等から成るペースト供給ヘッド移動機構32(図1)の作動制御を行うことによってなされ、ペースト供給ヘッド4からのペーストの供給動作は、制御装置30が図示しないアクチュエータ等から成るペースト供給機構33(図1)の作動制御を行うことによってなされる。
【0022】
クリーニング装置5のベース部21の水平面内方向移動及び上下方向移動によるクリーニング装置5のマスク3に対する位置決め及び相対移動動作は、制御装置30が図示しないアクチュエータ等から成るクリーニング装置移動機構34(図1)の作動制御を行うことによってなされる。また、一対の巻き取りローラ24によるペーパー部材25の巻き取り動作(ペーパー部材25の摺擦領域25aの更新動作)は、制御装置30が図示しないアクチュエータ等から成るペーパー部材巻き取り機構35(図1)の作動制御を行うことによってなされる。また、空気吸引管路22b内に真空圧を供給して行うペーパー部材25の摺擦領域25aを介した空気の吸引動作は、制御装置30が図示しないアクチュエータ等から成る吸引機構36の作動制御を行うことによってなされる。
【0023】
このスクリーン印刷機1による基板PBへのスクリーン印刷実行工程では、制御装置30は先ず、マスク3のパターン孔hと基板保持部2に保持された基板PBの電極dが上下に対応するように基板PBを移動させた後(図6(a))、基板PBを上昇させて基板PBの上面とマスク3の下面を接触させる(図6(b))。これによりマスク3のパターン孔hと基板PBの電極dとが上下に合致する(位置合わせ工程)。
【0024】
制御装置30は、基板PBの上面とマスク3の下面を接触させたら、ペースト供給ヘッド4のガイド部材12をマスク3の上面に接触させたうえでペースト供給機構33を作動させ、基板PBの上面にペーストPTを供給する(図6(c)。ペースト供給工程)。これによりマスク3のパターン孔hを介して電極d上にペーストPTが供給されるので、その後基板PBとマスク3を上下方向に相対的に離間させれば(版抜け工程)、各電極dにペーストPTが印刷(転写)される(図6(d))。
【0025】
制御装置30は、上記のスクリーン印刷実行工程を終了したら、クリーニング装置5によりマスク3の下面のクリーニングを行う。このマスク3の下面のクリーニングでは、制御装置30は、図7(a)に示すように、クリーニング装置移動機構34の作動制御を行って、マスク3の下面にクリーニング装置5のペーパー部材25の摺擦領域25aを接触させたうえで、ベース部21を水平面内方向(ここではY軸方向)に移動させる(図7(a)中に示す矢印D)。これにより、マスク3の下面に付着していたペーストPT(ペーストPTの残り滓DS。図6(d)参照)はペーパー部材25の摺擦領域25aにくっつくので、マスク3の下面からペーストPTを拭き取ることができる(ペースト拭き取り工程)。
【0026】
このペースト拭き取り工程では、ペーパー部材25の摺擦面25aは、バックアップ部
材22の上端部に設けられた弾性体部材23を介してマスク3の下面に押し付けられるが、弾性体部材23はマスク3の形状に追従するように弾性変形してペーパー部材25をマスク3の下面に押し付けるため、図7(b)に示すように、マスク3がその自重によって下方に撓んで凸形状となり、下面が平面形状でなくなっているマスク3であっても、その下面にペーパー部材25を密着させることができ、効率的にペーストPTの拭き取りを行うことができる。また、前述のように、各弾性体部材23はその上面であるペーパー部材25との接触面23sが平面状に形成されているので、ペーパー部材25を広い面積でマスク3に押し付けて摺擦させることができ、効率よくペーストPTの拭き取りを行うことができる。また、弾性体部材23はバックアップ部材22の上端部(ノズル部22a)の外周を取り囲んで設けられているので、その分、ペーパー部材25とマスク3の下面との接触面積が増大し、このことによってもペーパー部材25は広い面積でマスク3に押し付けられる。
【0027】
また制御装置30は、上記ペースト拭き取り工程におけるペーストPTの拭き取りの際には、吸引機構36の作動制御を行い、空気吸引管路22bからペーパー部材25の摺擦領域25aを介して空気を真空吸引するようにする。これによりマスク3の下面に付着したペーストPTはペーパー部材25側に吸い出されるようになるので、ペーストPTの拭き取りを一層効果的に行うことができるようになる。ここで、弾性体部材23はバックアップ部材22の上端部(ノズル部22a)の外周を取り囲んで設けられているので、マスク3の下面のペーストPTの吸い出し対象領域を密閉状態にしてペーストPTの吸い出しを行うことができる。
【0028】
制御装置30は、ペーパー部材25の摺擦面25aにくっついたペーストPTの残り滓DSが多くなってきた頃に、ペーパー部材巻き取り機構35を作動させてペーパー部材25の巻き取りを行い、ペーパー部材25の摺擦領域25aを更新するようにする。
【0029】
なお、基板3の中にはその上面だけでなく、上面から窪んだ開口部(キャビティ部)の底面にも電極が設けられているもの(いわゆるキャビティ基板)が知られているが、このようなキャビティ基板に対応するマスクはキャビティ部に嵌合する形状の凸状部が下面に形成されたものとなるので、マスク3が自重によって下方に撓んで凸形状となっている場合と同様のペーストPTの拭き取り効率の問題が生じ得る。しかし、本実施の形態におけるクリーニング装置5によれば、バックアップ部材22の上端部に取り付けられた弾性体部材23が弾性変形することによってマスク3の下面に形成された凸状部に倣うので、自重によって下方に凸形状となっているマスク3の場合と同様、キャビティ基板に対応するマスクに対しても、その下面から効率よくペーストPTを拭き取ることができる。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態におけるスクリーン印刷用マスク3のクリーニング装置5は、マスク3の下面に摺擦されるペーパー部材25と、上端部に取り付けられた弾性体部材23を介してペーパー部材25をマスク3の下面に押し付けるバックアップ部材22と、弾性体部材23を介してペーパー部材25をマスク3の下面に押し付けたバックアップ部材22をマスク3に対して相対移動させることによりマスク3の下面にペーパー部材25を摺擦させてマスク3の下面に付着したペーストPTの拭き取りを行うペーパー部材摺擦手段(クリーニング装置移動機構34及び制御装置30)を備えたものとなっている。
【0031】
このように、本実施の形態では、バックアップ部材22の上端部に設けられた弾性体部材23を介してペーパー部材25をマスク3の下面に押し付けるようになっており、弾性体部材23を弾性変形させてマスク3の形状に追従させることができることから、下面が平面形状でないマスク3であっても、その下面にペーパー部材25を密着させることができ、効率的にペーストPTの拭き取りを行うことができる。
【0032】
また、本実施の形態のように、バックアップ部材22の内部に設けられた空気吸引管路22bからペーパー部材25の摺擦領域25aを介して空気を吸引することによりマスク3の下面に付着したペーストPTをペーパー部材25側に吸い出すようになっている場合には、ペーパー部材25をマスク3の下面に密着させることができることから、空気の吸引時における空気漏れが少なくなり、ペーストPTの吸い出し効果を向上させることができるので、この面からもペーストPTの拭き取り効率を向上させることができる。
【0033】
また、本実施の形態におけるクリーニング装置5では、弾性体部材23はその上面であるペーパー部材25との接触面23sが平面状に形成されているので、ペーパー部材25を広い面積でマスク3に押し付けて摺擦させることができ、その分、ペーストPTの拭き取り効率を向上させることができる。
【0034】
また、弾性体部材23はバックアップ部材22の上端部(ノズル部22a)の外周を取り囲んで設けられているので、これによってペーパー部材25とマスク3の下面との接触面積を増大させることができるだけでなく、マスク3の下面のペーストPTの吸い出し対象領域を密閉状態にしてペーストPTの吸い出しを行うことができるので、ペーストPTの拭き取り効率を一層向上させることができる。
【0035】
また、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、基板PTに接触して用いられ、基板PBの電極dに対応するパターン孔hが形成されたマスク3と、マスク3に形成されたパターン孔hと基板PBの電極dを合致させた状態でマスク3上にペーストPTを供給し、その後マスク3と基板PBを相対的に離間させることによって電極dにペーストPTを印刷する印刷実行手段(ペースト供給ヘッド4、基板保持部2、ペースト供給機構33、基板位置決め機構31及び制御装置30)と、マスク3の下面に付着したペーストPTの拭き取りを行う上記クリーニング装置5を備えたものとなっている。このようなスクリーン印刷機1では、効率よくペーストPTの拭き取りを行うことができるクリーニング装置5を備えているので、マスク3のクリーニングに要する時間を短縮することができ、基板PBの生産性を向上させることができる。
【0036】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述の実施の形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、バックアップ部材22の上端部(ノズル部22a)の外周を取り囲んで設けられる弾性体部材23は複数の部材(ノズル部22aの長辺部に沿って設けられた一対の弾性体部材23a及びノズル部22aの短辺部に沿って設けられた一対の弾性体部材23b)から成るものであったが、これは一例であり、閉じた枠形状をなす断面形状を有する1つの弾性体部材23をバックアップ部材22に上方から嵌め込んで取り付ける構成のもの等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
下面が平面形状でないスクリーン印刷用マスクに対して効率よくペーストの拭き取りを行うことができるスクリーン印刷用マスクのクリーニング装置及びスクリーン印刷機を提供する。
【符号の説明】
【0038】
1 スクリーン印刷機
2 基板保持部(印刷実行手段)
3 スクリーン印刷用マスク
4 ペースト供給ヘッド(印刷実行手段)
5 クリーニング装置
22 バックアップ部材
23 弾性体部材
23s 接触面
25 ペーパー部材
30 制御装置(ペーパー部材摺擦手段、印刷実行手段)
31 基板位置決め機構(印刷実行手段)
33 ペースト供給機構(印刷実行手段)
34 クリーニング装置移動機構(ペーパー部材摺擦手段)
h パターン孔
PT ペースト
PB 基板
d 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン印刷用マスクの下面に付着したペーストの拭き取りを行うスクリーン印刷用マスクのクリーニング装置であって、
スクリーン印刷用マスクの下面に摺擦されるペーパー部材と、
上端部に取り付けられた弾性体部材を介してペーパー部材をスクリーン印刷用マスクの下面に押し付けるバックアップ部材と、
弾性体部材を介してペーパー部材をスクリーン印刷用マスクの下面に押し付けたバックアップ部材をスクリーン印刷用マスクに対して相対移動させることによりスクリーン印刷用マスクの下面にペーパー部材を摺擦させてスクリーン印刷用マスクの下面に付着したペーストの拭き取りを行うペーパー部材摺擦手段とを備えたことを特徴とするスクリーン印刷用マスクのクリーニング装置。
【請求項2】
バックアップ部材の上端部に取り付けられた弾性体部材は、バックアップ部材の上端部の外周を取り囲んで設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷用マスクのクリーニング装置。
【請求項3】
バックアップ部材の上端部に取り付けられた弾性体部材は、ペーパー部材との接触面が平面状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリーン印刷用マスクのクリーニング装置。
【請求項4】
基板に設けられた電極にスクリーン印刷を施すスクリーン印刷機であって、
基板に接触して用いられ、基板の電極に対応するパターン孔が形成されたスクリーン印刷用マスクと、
スクリーン印刷用マスクに形成されたパターン孔と基板の電極を合致させた状態でスクリーン印刷用マスク上にペーストを供給し、その後スクリーン印刷用マスクと基板を相対的に離間させることによって電極にペーストを印刷する印刷実行手段と、
スクリーン印刷用マスクの下面に付着したペーストの拭き取りを行うスクリーン印刷用マスクのクリーニング装置とを備え、
スクリーン印刷用マスクのクリーニング装置は、スクリーン印刷用マスクの下面に摺擦されるペーパー部材と、上端部に取り付けられた弾性体部材を介してペーパー部材をスクリーン印刷用マスクの下面に押し付けるバックアップ部材と、弾性体部材を介してペーパー部材をスクリーン印刷用マスクの下面に押し付けたバックアップ部材をスクリーン印刷用マスクに対して相対移動させることによりスクリーン印刷用マスクの下面にペーパー部材を摺擦させてスクリーン印刷用マスクの下面に付着したペーストの拭き取りを行うペーパー部材摺擦手段とを有することを特徴とするスクリーン印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−280088(P2010−280088A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133653(P2009−133653)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】