説明

スクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法

【課題】マスクプレートの交換に付随する段取り替え作業が適正に実行されることを担保可能なスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供すること。
【解決手段】マスクプレートを基板に当接させパターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置において、マスクプレートを保持するマスクホルダ23をマスクプレートのサイズに応じて取り付け位置が可変に構成し、ホルダ位置検出ユニット24によってマスクホルダ23の位置を検出することによってマスクプレートのサイズを識別し、この識別結果に基づいて当該識別されたマスクプレートに対応した印刷準備作業を、作業実行指示手段の指示により実行させる。これにより、マスクプレートの交換に付随する段取り替え作業が適正に実行されることを担保して、マスクプレートと他部品との干渉などによる不具合や印刷品質の低下を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷するスクリーン印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装工程において、基板上にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷する方法としてスクリーン印刷が用いられている。この方法は、印刷対象部位に応じてパターン孔が設けられたマスクプレートを基板に当接させ、マスクプレート上にペーストを供給してスキージを摺動させることによって、パターン孔を介して基板上にペーストを印刷するものである。
【0003】
同一のスクリーン印刷装置によって印刷対象となる基板のサイズは必ずしも同一ではなく、スクリーン印刷装置によっては、基板のサイズに応じて異なるサイズのマスクプレートを交換して用いる場合がある。このようなマスクプレートの交換を行うスクリーン印刷装置においては、セットされているマスクプレートのサイズを自動的に検出する機能を備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−175581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スクリーン印刷装置においてマスクプレートが交換されると、マスクプレートのサイズや配置と関連した機構部品を交換されたマスクプレートに応じて取り替えたり位置調整を行うなど、マスクプレートの交換に付随した各種の段取り替え作業を行う必要がある。
【0005】
しかしながら上述の特許文献に示す先行技術例においては、マスクプレートのサイズ検出は行われるものの、その検出結果は有効に利用されておらず、マシンオペレータは自らマスクプレートの種類を判断した上で、マスクプレートの交換に付随した段取り替え作業を行う必要があった。そして、この段取り替え作業が適正に実行されない場合には、マスクプレートと他部品との干渉などによる動作不具合や、適正条件で印刷動作が実行されないことによる印刷品質の低下を招いていた。
【0006】
そこで本発明は、マスクプレートの交換に付随する段取り替え作業が適正に実行されることを担保可能なスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスクリーン印刷装置は、パターン孔が設けられたマスクプレートを基板に当接させ、マスクプレート上にペーストを供給してスキージを摺動させることにより、パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、サイズの異なる複数種類の前記マスクプレートを保持しマスクプレートのサイズに応じて取り付け位置が可変に構成されたマスクホルダと、前記マスクホルダの位置を検出することにより前記マスクプレートのサイズを識別するマスク識別手段と、前記マスク識別手段の識別結果に基づいて、当該識別されたマスクプレートに対応した印刷準備作業を実行させる作業実行指示手段とを備えた。
【0008】
本発明のスクリーン印刷方法は、パターン孔が設けられたマスクプレートを基板に当接
させ、マスクプレート上にペーストを供給してスキージを摺動させることにより、パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、サイズの異なる複数種類の前記マスクプレートをマスクプレートのサイズに応じて取り付け位置が可変に構成されたマスクホルダに保持させるマスク保持工程と、マスク識別センサによって前記マスクホルダの位置を検出することにより前記マスクプレートのサイズを識別するマスク識別工程と、前記マスクプレートのサイズの識別結果に基づいて当該マスクプレートに対応した印刷準備作業を実行する印刷準備作業工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、マスクホルダの位置を検出することによりマスクプレートのサイズを識別した識別結果に基づいて、マスクプレートに対応した印刷準備作業を実行させることにより、マスクプレートの交換に付随する段取り替え作業が適正に実行されることを担保して、マスクプレートと他部品との干渉などによる不具合や印刷品質の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図、図2は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図、図3は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の平面図、図4は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のマスクホルダの構造説明図、図5,図6は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置におけるマスクプレートの装着状態の説明図、図7は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の制御系の構成を示すブロック図,図8は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における印刷開始前作業のフロー図である。
【0011】
まず図1、図2,図3を参照してスクリーン印刷装置の構造を説明する。図1において、スクリーン印刷装置は、基板位置決め部1の上方にスクリーン印刷部10を配設して構成されている。基板位置決め部1は、Y軸テーブル2、X軸テーブル3およびθ軸テーブル4を段積みし、更にその上にZ軸テーブル5を載置して構成されている。
【0012】
Z軸テーブル5上には基板8を保持する基板保持部6が設けられている。基板8は搬入コンベア9A(図2参照)によって基板保持部6上に搬入され、クランプ部材7によって両側から挟み込まれて位置が固定される。印刷後の基板8は、搬出コンベア9B(図2参照)によって下流側へ搬出される。
【0013】
基板位置決め部1の上方に配設されたスクリーン印刷部10は、マスク枠11に展張されたマスクプレート12を備えている。マスクプレート12には、印刷対象に応じたパターン孔12a(図3参照)が設けられている。なおここでは、サイズが異なる複数種類のマスクプレートを、対象とする基板に応じて交換自在に使用できるようになっており、後述するように、大小2種類のマスクプレートを使い分けるようにしている。
【0014】
マスクプレート12上にはスキージヘッド13が配設されている。スキージヘッド13は、水平なプレート13aにスキージ15を昇降させるスキージ昇降機構14を配設した構成となっており、図2に示すように、プレート13aの両端は縦フレーム21上に配列されたガイド機構によって、Y方向にスライド自在にに支持されている。プレート13aは、ナット16a、送りねじ16bおよび回転駆動モータ(図示省略)より成るスキージ移動手段によりY方向に水平移動する。またスキージ昇降機構14を駆動することによりスキージ15は昇降してマスクプレート12の上面に当接する。
【0015】
Z軸テーブル6を上昇させてマスクプレート12の下面を基板8に当接させた状態で、ペーストであるクリーム半田が供給されたマスクプレート12上で、スキージ移動手段を
駆動してスキージ15を摺動させることにより、パターン孔12aを介して基板8にはクリーム半田が印刷される。なおスキージ15は、基板8のサイズに応じてスキージヘッド13に着脱自在に装着され、基板8の品種切替時にはスキージ15の交換が行われる。
【0016】
Y軸テーブル2上の基板位置決め部1の側方には、クリーニングユニット20が配設されている。Y軸テーブル2を駆動することにより、クリーニングユニット20は基板保持部6とともにY方向に移動し、上面に装着されたクリーニングヘッド20aによってマスクプレート12の下面をクリーニングする。クリーニングヘッド20aは交換自在に装着されており、対象とするマスクプレート12のサイズに応じて交換される。
【0017】
スクリーン印刷部10の上方には、カメラ19が設けられている。図3に示すように、カメラ19はX軸テーブル18およびY軸テーブル17によってXY方向に水平移動する。X軸テーブル18およびY軸テーブル17は、カメラ19を移動させるカメラ移動機構となっている。カメラ19をカメラ移動機構によってマスクプレート12に対して移動させることにより、カメラ19はマスクプレート12の任意の位置を撮像する。マスクプレート12の対角位置には1対の認識マーク12bが設けられており、認識マーク12bの位置を検出することにより、マスクプレート12の位置が認識される。カメラ19は、マスクホルダ23に保持されたマスクプレート12を上方から撮像するマスク撮像手段となっている。
【0018】
基板位置決め部1はY軸テーブル4によってスクリーン印刷部10の下方からY方向に移動して、保持した基板8を基板認識位置まで移動させることができるようになっており、この状態でカメラ19を基板位置決め部1上の基板8に移動させることにより、カメラ19によって基板8の任意の位置を撮像し、基板位置を認識することができる。
【0019】
またクランプ部材7には識別用の識別マーク7aが設けられており、カメラ19によって識別マーク7aを識別することにより、クランプ部材7の種別を判別することができるようになっている。したがってカメラ19は、基板8を側方から挟み込んでクランプするクランプ部材7を撮像するクランプ部材撮像手段となっている。
【0020】
次に図2,図4、図5を参照して、マスクプレート12の装着方法およびマスクプレート12のサイズ検出について説明する。図2に示すように、基板位置決め部1の両側に配設された縦フレーム21の側面には、2本の棒形状のブラケット22が内側に水平に延出して配設されている。2本のブラケット22の上面には、水平な底板部および垂直な立板部よりなるL字断面形状のマスクホルダ23がY方向に架設されている。
【0021】
左右2本のマスクホルダ23を相対向させた状態でマスク枠11を上方からセットすることにより、マスクホルダ23の底板部がマスク枠11を下方から支持するとともに、マスクホルダ23の立板部はマスク枠11をX方向の左右両側から保持する。またマスクホルダ23にはマスク枠11をY方向に位置決めするストッパ23cおよびマスククランプ部27が設けられている。
【0022】
マスクホルダ23のブラケット22との当接部分には、底板部をブラケット22の幅だけ切り欠いた切欠き部23aが設けられており、切欠き部23aにブラケット22の上面が嵌合することにより、マスクホルダ23はブラケット22に保持される。ブラケット22の上面には、位置合わせマーク22bおよびねじ孔22aがマスクサイズに対応して複数箇所に設けられており、マスクホルダ23の立板部を位置合わせマーク22bに位置合わせした状態では、マスクホルダ23に設けられた装着孔23bがねじ孔22aに一致する。
【0023】
そしてこの状態でボルト28を装着孔23bに挿通させてねじ孔22aに螺合させることにより、マスクホルダ23はブラケット22にねじ締結により固定される。すなわち、マスクホルダ23はサイズの異なる複数種類のマスクプレート12を保持し、マスクプレート12のサイズに応じて取り付け位置が可変に構成されている。
【0024】
一方側の縦フレーム21の内面には、ホルダ位置検出ユニット24が配設されている。図4に示すように、ホルダ位置検出ユニット24は、検出シャフト24a、スプリング25、ホルダ位置検出センサ26を備えている。ホルダ位置検出センサ26は遮光型の光センサであり、検出シャフト24aの端部はホルダ位置検出センサ26によって検出される検出端部24bとなっている。
【0025】
検出シャフト24aはスプリング25によって内側方向に付勢されており、検出シャフト24aの先端がフリーな状態では、検出端部24bはホルダ位置検出センサ26による検出位置から外れた位置にある。そして検出シャフト24aがスプリング25の付勢力に抗して押し込まれた状態では、検出端部24bは検出位置に移動しホルダ位置検出センサ26によって検出される。
【0026】
マスクプレート12の装着に際しては、まずマスクホルダ23をマスクサイズに対応した取り付け位置に固定する。そして2つのマスクホルダ23上にマスク枠11を上面からセットして、マスク枠11の両外側面をマスクホルダ23の内側側面に沿わせる。これにより、マスク枠11のX方向の位置が保持される。次いで、ストッパ23cにマスク枠11のY方向の一方側の側面を当接させた状態で、反対側の側面をマスククランプ部27によって押しつけることにより、マスク枠11のY方向の位置が固定される。
【0027】
そしてマスクホルダ23の両端部近傍に配設されたマスク押圧ユニット29によってマスク枠11を上下方向に固定する。マスク押圧ユニット29はマスク枠11の上面に当接する位置に設けられた当接部29aを押圧アクチュエータ29bによって下方に押圧する構成となっており、押圧アクチュエータ29bを駆動して当接部29aをマスクホルダ23の上面に対して押しつけることにより、マスク枠11の上下方向の位置が固定される。
【0028】
このマスクプレート12の装着において、図5に示すように、小型基板に対応したマスクプレート12Aを装着した場合には、マスクホルダ23は小型のマスク枠11Aに応じた位置に取り付けられていることから検出シャフト24aには当接せず、検出端部24bはホルダ位置検出センサ26によって検出されない。これにより、小型基板に対応したマスクプレート12Aが装着されていることが識別される。
【0029】
これに対し図6に示すように、大型基板に対応したマスクプレート12Bをセットした場合には、マスクホルダ23は大型のマスク枠11Bに応じた位置に取り付けられていることから、検出シャフト24aはマスクホルダ23によってスプリング25の付勢力に抗して押し込まれ、検出端部24bはホルダ位置検出センサ26による検出位置に移動する。これにより、大型基板に対応したマスクプレート12Aがセットされていることが識別される。
【0030】
次に、図7を参照してスクリーン印刷装置の制御系の構成について説明する。図7において、演算部35はCPUであり、プログラム記憶部36に記憶された各種プログラムを実行することにより、後述する各種演算・処理を行う。これらの演算・処理においては、データ記憶部37に記憶された各種のデータが用いられる。プログラム記憶部36には、印刷動作プログラム、画像処理プログラム、マスクサイズ識別処理プログラム、作業実行指示プログラムが記憶されている。
【0031】
印刷動作プログラムは、基板位置決め部1およびスキージヘッド13の動作を制御して基板6へのクリーム半田9の印刷を行う印刷動作のためのプログラムである。画像処理プログラムは、画像処理部30がカメラ19の撮像結果に基づき、後述するように、マスクプレート12の認識マーク12bの位置認識、基板8の位置認識およびクランプ部材7に設けられた識別マーク7aの識別のための画像認識処理を行うためのプログラムである。
【0032】
マスクサイズ識別処理プログラムは、ホルダ位置検出センサ26の検出信号に基づき、マスクホルダ23に装着されたマスクプレート12のサイズを識別する処理を行うためのプログラムである。ここでは、大型基板、小型基板のいずれに対応したマスクプレートが装着されているかを識別する。作業実行指示プログラムは、スクリーン印刷装置の各部を、識別されたマスクプレート12にマッチした状態に設定するために必要な準備作業の実行を指示するためのプログラムである。またデータ記憶部37には、スクリーン印刷動作におけるスキージ移動速度や印圧値などの印刷条件データの他、上述の準備作業の実行の指示に必要なデータが記憶される。
【0033】
操作・入力部38は、キーボードやマウスなどの入力手段であり、各種の制御コマンドやデータの入力を行う。表示部39はディスプレイ装置であり、カメラ19によって取得された画像のほか、後述する印刷開始前準備作業におけるマスクサイズの自動識別結果や識別結果に応じた注意メッセージの表示を行う。したがって表示部39は、マスクプレート12の種類に関連した事項について予め設定された注意メッセージを表示する表示手段となっている。
【0034】
画像処理部30は、カメラ19による撮像結果を画像処理する。これにより、マスクプレート12の認識マーク12bの位置認識や、基板8の位置認識およびクランプ部材7に設けられた識別マーク7aの識別が行われる。機構制御部31は、基板位置決め部1,クリーニングユニット20,スクリーン印刷部10およびカメラ移動機構31などの機構部を制御する。
【0035】
マスクサイズ識別部33は、ホルダ位置検出センサ26によるマスクホルダ23の位置検出信号に基づき、マスクホルダ23に装着されたマスクプレート12のサイズを識別する。したがって、ホルダ位置検出センサ26およびマスクサイズ識別部33は、マスクホルダ23の位置を検出することによりマスクプレート12のサイズを識別するマスク識別手段となっている。
【0036】
作業実行指示部34は、プログラム記憶部36に記憶された作業実行指示プログラムを演算部35が実行することによって実現される機能であり、マスクサイズ識別部33の識別結果に基づき、スクリーン印刷装置の各部を識別されたマスクプレート12にマッチした状態に設定する印刷準備作業の実行指示を行う。すなわち作業実行指示部34は、マスク識別手段の識別結果に基づいて、当該識別されたマスクプレートに対応した印刷準備作業を実行させる作業実行指示手段となっている。以下、作業実行指示部34によって実行が指示される作業内容の例について説明する。
【0037】
スクリーン印刷動作の実行開始に際しては、基板8との位置合わせのためにマスクプレート12に設けられた認識マーク12bをカメラ19によって撮像して位置認識することが行われる。このとき、カメラ19を認識マーク12bの上方まで移動させるために、従来は基板品種切替に際し、その都度カメラ19の移動目標位置を手動設定する必要があったが、本実施の形態においては、マスクサイズ識別部33の識別結果に基づいて、予めデータ記憶部37に記憶されたカメラ移動目標位置が機構制御部32を介してカメラ移動機構31に指令されるようになっている。すなわち作業実行指示部34は、識別されたマスクプレートに応じて予め設定された撮像位置にカメラ19を移動させる。
【0038】
また印刷作業開始に際して基板品種の切替えに伴ってマスク交換が行われた場合には、基板位置決め部1のクランプ部材7を基板8に対応したものに交換する段取り替え作業が実行される。このとき段取りがえ作業が正しく実行されず、不適合のクランプ部材7が取り付けられている場合には、印刷動作においてマスクプレート12との干渉などの不具合を生じる。
【0039】
このような不具合を防止するため、本実施の形態においては作業実行指示部34は、印刷準備作業としてカメラ19にクランプ部材7の識別マーク7aを撮像させるようにしている。そして撮像結果を画像処理部30によって認識処理した結果が予め登録された識別マーク7aの特徴と一致するか否かを判定することにより、クランプ部材7とマスクプレート12との適否を判定し、不適合の場合にはその旨表示部39に表示して警告する。なおクランプ部材7に識別マーク7aを設ける替わりに、クランプ部材7に付随する部材の形状を認識することにより、クランプ部材7を識別するようにしてもよい。
【0040】
さらに、スクリーン印刷装置の各部には、マスクプレート12のサイズと関連した項目が存在する。例えば、クリーニングユニット20に装着されたクリーニングヘッド20aやスキージヘッド13のスキージ15など、いずれもマスクプレート12に応じて交換を必要とする場合がある。またスクリーン印刷部10に半田残量検出センサが設けられている場合には、マスクプレート12に応じて調整する必要がある。
【0041】
このため、本実施の形態においてはマスクプレート12の交換に関連して、他部品との干渉が懸念される箇所や印刷品質に影響を及ぼす箇所について、マシンオペレータに確認を促す所定の注意メッセージを表示部39に表示するようにしている。すなわち作業実行指示部34は、識別されたマスクプレート12に応じて予め設定された所定の注意メッセージを表示する。
【0042】
次に図8を参照して、上述のようにサイズの異なる複数種類のマスクプレートを基板の品種に応じて使い分ける構成のスクリーン印刷装置によるスクリーン印刷方法について説明する。図8は、マスクプレートを介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷作業に先立って実行される印刷開始前作業を示している。
【0043】
印刷作業において基板品種が変更され、マスクプレート12の交換が必要とされる場合には、まずマスクホルダ23の取り付け位置を、新たに対象となる基板8に対応したマスクプレート12に合わせて変更する(ホルダ位置変更工程)(ST1)。次いで新たなマスクプレート12を、取り付け位置が変更されたマスクホルダ23に保持させる(マスク保持工程)(ST2)。そして、ホルダ位置検出センサ26によってマスクホルダ23の位置を検出することにより、マスクサイズ識別部33によってマスクプレート12のサイズを識別する(マスク識別工程)(ST3)。
【0044】
この後、マスクプレートのサイズの識別結果に基づいて、当該マスクプレートに対応した印刷準備作業を実行する(印刷準備作業工程)(ST4)。印刷準備作業工程においては、作業実行指示部34によって以下の処理が実行される。まず、マスクプレートのサイズに関連した事項について、予め設定された注意メッセージを表示する(ST5)。そしてマシンオペレータはこれらの注意メッセージを受けて必要な確認作業を行う。
【0045】
次いでマスクプレート12の位置認識のために、カメラ19によってマスクプレート12の撮像が実行される(ST6)。このときカメラ19は、識別結果に基づいて予め設定された撮像位置、すなわち識別されたマスクプレート12の認識マーク12bの上方に移動し、撮像視野中の正しい位置に認識マーク12aを位置させて撮像する。
【0046】
次いでカメラ19によって基板8を挟み込んでクランプするクランプ部材7の撮像が実行され(ST7)、識別マーク7aを撮像して認識することにより、既装着のクランプ部材7が(ST3)において識別されたマスクプレート12に適合しているか否かを判別する。そして上記の印刷準備作業を完了して必要な確認を終えた後、スクリーン印刷作業が実行される(ST8)。
【0047】
上記説明したように、サイズの異なる複数種類のマスクプレートを基板の品種に応じて交換する構成のスクリーン印刷装置において、マスクプレート12を保持するマスクホルダ23の位置を検出することによってマスクプレート12のサイズを識別し、この識別結果に基づいて当該マスクプレート12に対応した印刷準備作業を実行させる構成を採用することにより、マシンオペレータが自らマスクプレートの種類を判断した上で、マスクプレートの交換に付随した段取り替え作業を行う必要がない。したがって、マスクプレートの交換に付随する段取り替え作業が適正に実行されることが確実に担保され、マスクプレートと他部品との干渉などによる不具合や印刷品質の低下を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のスクリーン印刷装置は、マスクプレートの交換に付随する段取り替え作業が適正に実行されることを担保して、マスクプレートと他部品との干渉などによる不具合や印刷品質の低下を防止することができるという効果を有し、基板にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷する分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図
【図2】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図
【図3】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の平面図
【図4】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のマスクホルダの構造説明図
【図5】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置におけるマスクプレートの装着状態の説明図
【図6】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置におけるマスクプレートの装着状態の説明図
【図7】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の制御系の構成を示すブロック図
【図8】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における印刷開始前作業のフロー図
【符号の説明】
【0050】
1 基板位置決め部
7 クランプ部材
8 基板
10 スクリーン印刷部
11 マスク枠
12 マスクプレート
13 スキージユニット
15 スキージ
23 マスクホルダ
24 ホルダ位置検出ユニット
26 ホルダ位置検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン孔が設けられたマスクプレートを基板に当接させ、マスクプレート上にペーストを供給してスキージを摺動させることにより、パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、サイズの異なる複数種類の前記マスクプレートを保持しマスクプレートのサイズに応じて取り付け位置が可変に構成されたマスクホルダと、前記マスクホルダの位置を検出することにより前記マスクプレートのサイズを識別するマスク識別手段と、前記マスク識別手段の識別結果に基づいて、当該識別されたマスクプレートに対応した印刷準備作業を実行させる作業実行指示手段とを備えたことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記マスクプレートの下方において前記基板を側方から挟み込んでクランプするクランプ部材を撮像するクランプ部材撮像手段を備え、前記作業実行指示手段は、既装着のクランプ部材が前記識別されたマスクプレートに適合しているか否かを判別するために、前記クランプ部材撮像手段に前記クランプ部材を撮像させることを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
前記マスクプレートの種類に関連した事項について予め設定された注意メッセージを表示する表示手段を備え、前記作業実行指示手段は、前記識別されたマスクプレートに応じて予め設定された所定の注意メッセージを表示することを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
パターン孔が設けられたマスクプレートを基板に当接させ、マスクプレート上にペーストを供給してスキージを摺動させることにより、パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、サイズの異なる複数種類の前記マスクプレートをマスクプレートのサイズに応じて取り付け位置が可変に構成されたマスクホルダに保持させるマスク保持工程と、マスク識別センサによって前記マスクホルダの位置を検出することにより前記マスクプレートのサイズを識別するマスク識別工程と、前記マスクプレートのサイズの識別結果に基づいて当該マスクプレートに対応した印刷準備作業を実行する印刷準備作業工程とを含むことを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項5】
前記印刷準備作業工程において、前記基板を側方から挟み込んでクランプするクランプ部材をクランプ部材撮像手段によって撮像し、既装着のクランプ部材が前記識別されたマスクプレートに適合しているか否かを判別することを特徴とする請求項4記載のスクリーン印刷方法。
【請求項6】
前記印刷準備作業工程において、前記マスクプレートのサイズに関連した事項について予め設定された注意メッセージを表示することを特徴とする請求項4記載のスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−7625(P2006−7625A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189193(P2004−189193)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】