説明

スクリーン印刷装置

【課題】スキージ交換作業の手間と時間を省くとともに、スキージの装着状態を安定させることができるスクリーン印刷装置を提供する。
【解決手段】スキージ昇降機構によって昇降する装着部40A、40Bにスキージユニット35を着脱する構成のスクリーン印刷装置において、スキージユニット35を装着部40A、40Bに固定する固定手段を、装着部40A、40Bの装着ブロック41に設けられた2つの位置決めピン41b1,41b2を、スキージホルダ35の嵌着部36aに設けられた嵌合孔36b1,36b2に嵌合させるとともに、係止機構42の係止部47aによって嵌着部36aを係止して、スキージユニット35の位置を固定する。これにより、従来用いられていたボルト締結を不要にしてスキージ交換作業の手間と時間を省くとともに、スキージの装着状態を安定させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板にスキージによりクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷するスクリーン印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装工程において、基板上にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷する方法としてスクリーン印刷が用いられている。この方法は、印刷対象部位に応じて設けられたパターン孔介して基板上にペーストを印刷するものであり、スキージ部材の下端部をマスクプレートに対して押圧した状態でこのスキージ部材を水平方向に移動させるスキージング動作によって、パターン孔内にペーストを充填させ、このペーストをマスクプレートの下面にセットされた基板に印刷する。
【0003】
スクリーン印刷作業において印刷対象の基板やペーストの種類が変更になると、スキージ部材もこれらの種類に対応して交換される。この交換作業は、板状のスキージ部材をホルダに保持させたスキージユニットをスキージヘッドに着脱することによって行われる。このスキージユニットの着脱の方式として、従来より構成が簡略なボルト締結が用いられていた(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−170567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述の先行技術例に示すボルト締結には、以下に述べるような難点があった。まず、ボルト締結方式では交換作業の都度ボルトを弛め再締結する作業を必要とし、交換作業に手間と時間を要するという難点がある。またこの方式では、締結穴にボルトを挿通させる構造であることから、装着状態において位置誤差の発生が避けがたく、さらに締結力が不適切であると使用状態において振動などにより締結が緩んで、動作不具合を招く場合がある。このように、スキージユニットをボルト締結によって装着する構成の従来のスクリーン印刷装置においては、スキージ交換作業に手間と時間を要するとともに、装着状態が不安定になる場合があるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、スキージ交換作業の手間と時間を省くとともに、スキージの装着状態を安定させることができるスクリーン印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスクリーン印刷装置は、パターン孔が設けられたマスクプレートに基板を当接させ、ペーストが供給された前記マスクプレート上で板状のスキージ部材を摺動させることにより、パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、前記スキージ部材をスキージホルダに保持させて成るスキージユニットと、スキージ昇降機構によって昇降し前記スキージユニットが着脱自在に装着される装着部と、前記スキージユニットを前記装着部に固定する固定手段とを備え、前記固定手段は、前記装着部に設けられた位置決めピンと、前記スキージホルダに設けられ前記位置決めピンが嵌合する嵌合孔が設けられた嵌着部と、前記嵌合孔に前記位置決めピンを嵌合させて前記スキージユニットを前記装着部に装着する装着動作によって作動し前記嵌着部を係止して前記スキージユニットの位置を固定する係止機構とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スキージユニットを装着部に固定する固定手段を、装着部に設けられ
た位置決めピンと、スキージホルダに設けられ位置決めピンが嵌合する嵌合孔が設けられた嵌着部と、嵌合孔に位置決めピンを嵌合させてスキージユニットを前記装着部に装着する装着動作によって作動し嵌着部を係止してスキージユニットの位置を固定する係止機構とで構成することにより、従来用いられていたボルト締結を不要にしてスキージ交換作業の手間と時間を省くとともに、スキージの装着状態を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図、図2は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図、図3、図4は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の平面図、図5は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置における印刷動作の説明図、図6、図7は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドにおけるスキージユニットの装着構造の説明図、図8は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドにおける係止機構の構造説明図、図9は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドにおける脱着動作の説明図、図10は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドにおけるスキージユニットの装着順序の説明図である。
【0009】
まず図1、図2、図3、図4を参照して、スクリーン印刷装置の構造を説明する。図1において、スクリーン印刷装置は、基板位置決め部1の上方にスクリーン印刷機構を配設して構成されている。基板位置決め部1は、Y軸テーブル2、X軸テーブル3およびθ軸テーブル4を段積みし、更にその上に第1のZ軸テーブル5、第2のZ軸テーブル6を組み合わせて構成されている。なお本実施の形態においては、図において左側からの方向(矢印a方向)が品種切替時の段取り替えや機器メンテナンスなどの作業を行う作業方向となっている。
【0010】
第1のZ軸テーブル5の構成を説明する。θ軸テーブル4の上面に設けられた水平なベースプレート4aの上面側には、同様に水平なベースプレート5aが昇降ガイド機構(図示省略)によって昇降自在に保持されている。ベースプレート5aは、複数の送りねじ5cをモータ5bによってベルト5dを介して回転駆動する構成のZ軸昇降機構によって昇降する。ベースプレート5aには垂直フレーム5eが立設されており、垂直フレーム5eの上端部には基板搬送機構8が保持されている。
【0011】
基板搬送機構8は基板搬送方向(X方向−−図1において紙面垂直方向)に平行に配設された2条の搬送レールを備えており、これらの搬送レールによって印刷対象の基板10の両端部を支持して搬送する。第1のZ軸テーブル5を駆動することにより、基板搬送機構8によって保持された状態の基板10を、搬送レール8とともに後述するスクリーン印刷機構に対して昇降させることができる。図2、図3に示すように、基板搬送機構8は上流側(図2、図3において左側)および下流側に延出し、上流側から搬入された基板10は基板搬送機構8によって搬送され、さらに基板位置決め部1によって位置決めされる。そして後述するスクリーン印刷機構によって印刷が行われた後の基板10は、搬送レール8によって下流側に搬出される。
【0012】
第2のZ軸テーブル6の構成を説明する。基板搬送機構8とベースプレート5aの中間には、水平なベースプレート6aが昇降ガイド機構(図示省略)に沿って昇降自在に配設されている。ベースプレート6aは、複数の送りねじ6cをモータ6bによってベルト6dを介して回転駆動する構成のZ軸昇降機構によって昇降する。ベースプレート6aの上面には、上面に基板10を保持する下受け面が設けられた基板下受部7が配設されている。
【0013】
第2のZ軸テーブル6を駆動することにより、基板下受部7は基板搬送機構8に保持さ
れた状態の基板10に対して昇降する。そして基板下受部7の下受け面が基板10の下面に当接することにより、基板下受部7は基板10を下面側から支持する。基板搬送機構8の上面にはクランプ機構9が配設されている。クランプ機構9は、左右対向して配置された2つのクランプ部材9aを備えており、一方側のクランプ部材9aを駆動機構9bによって進退させることにより、基板10を両側からクランプして固定する(図4も参照)。
【0014】
次に基板位置決め部1の上方に配設されたスクリーン印刷機構について説明する。図1,図2において、マスクホルダ(図示省略)によって保持されたマスク枠11にはマスクプレート12が展張されており、マスクプレート12には、基板10において印刷対象となる電極10aの形状・位置(図3参照)に対応して、パターン孔12aが設けられている。マスクプレート12上には、スキージ駆動機構13が配設されている。スキージ駆動機構13は、対向配置された1対のスキージヘッド16A,16Bをそれぞれ昇降させる2つのスキージ昇降機構15を、水平なプレート14に配設した構成となっている。各スキージ昇降機構15の昇降軸15aに結合されたスキージヘッド16A、16Bには、それぞれ板状のスキージ部材17が保持されている。ここで、スキージヘッド16A,16Bは、図1に示す作業方向(矢印a)に対しての位置によって区別され、作業方向から見て手前側にスキージヘッド16Bが、また奥側にスキージヘッド16Aが位置している。
【0015】
スキージ昇降機構15を駆動することによりスキージヘッド16A、16Bは昇降し、これによりスキージ部材17がマスクプレート12の上面に当接する。プレート14の下面に固着されたナット20には、スキージ移動モータ19により回転駆動される送りねじ18が螺合しており、スキージ移動モータ19を駆動することにより、スキージヘッド16A,16Bはプレート14とともにY方向に水平移動する(図2も参照)。ここで、スキージヘッド16Aは左側方向(矢印b)へのスキージング動作において用いられ、スキージヘッド16Bは右側方向(矢印c)へのスキージング動作において用いられる。
【0016】
図2に示すように、縦フレーム25上に配置されたブラケット26上にはガイドレール27がY方向に配設されており、ガイドレール27にスライド自在に嵌合したスライダ28は、プレート14の両端に結合されている。これにより、スキージ駆動機構13はY方向にスライド自在となっている。プレート14は、ナット20、送りねじ18および送りねじ18を回転駆動するスキージ移動用モータ19(図1参照)より成るスキージ移動手段によりY方向に水平移動する。
【0017】
図2において縦フレーム25上にはガイドレール30がY方向に配設されており、ガイドレール30にスライド自在に嵌合したスライダ31は、ヘッドX軸テーブル24にブラケット24aを介して結合されている。これにより、ヘッドX軸テーブル24はY方向にスライド自在となっている。ヘッドX軸テーブル24は、ナット33、送りねじ32および送りねじ32を回転駆動するヘッド移動用モータ(図示省略)より成るヘッドY軸移動機構23により、Y方向に水平移動する。
【0018】
図2,図4に示すように、ヘッドX軸テーブル24には、カメラヘッドユニット21が装着されている。カメラヘッドユニット21は、基板10を上方から撮像するための基板認識カメラ21aと、マスクプレート12を下面側から撮像するためのマスク認識カメラ21bとを備えており、ヘッドY軸移動機構23、ヘッドX軸テーブル24を駆動してカメラヘッドユニット21を移動させることにより、基板10の認識とマスクプレート12の認識とを同時に行うことができる。カメラヘッドユニット21による基板10やマスクプレート12の認識を行わないときには、図1に示すように、カメラヘッドユニット21は基板位置決め部1の上方から側方に退避した位置にある。
【0019】
次にスクリーン印刷機構による印刷動作について図5を参照して説明する。まず基板搬
送機構8によって基板10が印刷位置に搬入されると、第2のZ軸テーブル6を駆動して基板下受部7を上昇させ、基板10の下面を下受けする。そしてこの状態で基板位置決め部1を駆動して、基板10をマスクプレート12に対して位置合わせする。この後、第1のZ軸テーブル5を駆動して基板10を基板搬送機構8とともに上昇させてパターン孔12aが設けられたマスクプレート12の下面に当接させ、次いで基板10をクランプ機構9によってクランプする。これにより、スキージ駆動機構13によってスキージヘッド16A、16Bを移動させるスキージングにおいて、基板10の水平位置が固定される。
【0020】
そしてこの状態で、当該スキージング動作におけるスキージング方向に対応してスキージヘッド16A、16Bのいずれかを下降させてスキージ部材17をマスクプレート12に当接させる。次いでペーストであるクリーム半田22が供給されたマスクプレート12上で、スキージ部材17をスキージング方向(Y方向)に摺動させることにより、パターン孔12aを介して基板10にはクリーム半田が印刷される。
【0021】
図6,図7を参照して、スキージヘッド16A、16Bの構造を説明する。スキージヘッド16A,16Bは、それぞれ装着部40A、40Bに同一構造の共通のスキージユニット35を装着した構成となっている。本実施の形態においては、スキージユニット35を同一の作業方向(図1に示す矢印a方向)から着脱作業を行うことによって、スキージヘッド16A,16Bのそれぞれのスキージ部材17を、対応するスキージング方向に応じた傾斜姿勢で相対向して保持させることができる。
【0022】
図6(a)、図7(a)に示すように、装着部40A、40Bは、スキージ昇降機構15の昇降軸15aに結合されて昇降する昇降部43に、装着ブロック41を軸支持部44を介して回動自在に支持させた構成となっており、装着ブロック41にはスキージユニット35が着脱自在に装着される。すなわち上記構成において、装着部40A、40Bは、スキージ昇降機構15によって昇降し、スキージユニット35が着脱自在に装着される装着部となっている。
【0023】
装着ブロック41の回動範囲は、軸支持部44の両側方において装着ブロック41の上面に立設されたストッパ45によって規制される。この装着ブロック41の回動を許容するフローティング機構により、スキージ部材17をマスクプレート12に当接させて摺動させるスキージング動作において、マスクプレート12が幾分傾斜している場合においても、スキージ部材17をマスクプレート12に良好に密着させることが可能となる。
【0024】
スキージユニット35は、細長矩形の板状のスキージ部材17を、スキージホルダ36に保持させた構成となっている。スキージホルダ36は、スキージ部材17をスキージング方向に所定角度で傾斜した姿勢で保持可能なように略フ字断面形状となっており、スキージ部材17はスキージホルダ36と押さえ部材37との間に挟み込まれることによって固着される。スキージホルダ36の上面には矩形ブロック状の嵌着部36aが左右2箇所に凸設されている。嵌着部36aにはそれぞれ短径寸法b1,b2(装着状態において上下方向の寸法)の長穴形状を有する嵌合穴36b1、36b2が設けられている。
【0025】
装着ブロック41の両端部には、嵌着部36aが嵌着する形状で装着ブロック41を部分的に切り欠いた切欠き部41aが設けられており、切欠き部41aには嵌合穴36b1、36b2に嵌合する位置合わせピン41b1,41b2が水平方向に植設されている。ここで位置合わせピン41b1,41b2のピン径寸法d1,d2は、それぞれ嵌合穴36b1、36b2の短径寸法b1,b2に対応して設定されている。すなわち嵌合穴36b1、36b2に位置合わせピン41b1,41b2が嵌合した状態において、上下方向には遊びがなく水平方向には十分な遊びを以て嵌合するような寸法設定となっている。これにより、スキージユニット35の装着ブロック41に対する脱着において、水平方向の
遊びを利用して作業を容易に行うことができるとともに、装着状態においてスキージユニット35の上下方向のがたつきを無くすることが可能となっている。そして切欠き部41aの上方には、スキージユニット35を装着した状態において嵌着部36aを係止するための係止機構42が設けられている。
【0026】
ここで、装着部40A、40Bは、切欠き部41aにおける位置合わせピン41b1,41b2の配置のみが異なっている。すなわち、図6に示す装着部40Aにおいては、位置合わせピン41b1が右側に、また位置合わせピン41b2が左側に配置されている。そしてこの位置合わせピン41b1,41b2に嵌合穴36b1、36b2を正しく嵌合させるために、図6(a)に示すように、嵌合穴36b1が右側に、また嵌合穴36b2が左側に位置するように。スキージユニット35の姿勢を合わせる。すなわち、この場合にはスキージユニット35は、スキージ部材17がスキージホルダ36の手前側となるような向きで装着ブロック41に装着される。
【0027】
また図7に示す装着部40Bにおいては、位置合わせピン41b2が右側に、また位置合わせピン41b1が左側に配置されている。そしてこの位置合わせピン41b1,41b2に嵌合穴36b1、36b2を正しく嵌合させるために、図7(a)に示すように、嵌合穴36b2が右側に、また嵌合穴36b1が左側に位置するように、スキージユニット35の姿勢を合わせる。すなわち、この場合にはスキージユニット35は、スキージ部材17がスキージホルダ36の奥側となるような向きで装着ブロック41に装着される。
【0028】
このように、装着部40A、40Bにおいて、スキージユニット35を装着して固定するための2つの位置合わせピン41b1,41b2のサイズを異ならせ、さらにこれらの2つの位置合わせピン41b1,41b2の左右の配置を装着部40Aと装着部40Bとで異ならせることにより、装着部40A、40Bについてはそれぞれ対応した姿勢でのみスキージユニット35の取付が可能となる。したがって同一のスキージユニット35を装着する場合においてスキージユニット35を装着すべき表裏姿勢を人為的に間違える装着ミスの発生がなく、常に正しい装着姿勢を確保することができる。
【0029】
スキージユニット35を装着ブロック41に装着した状態では、図6(b)、図7(b)に示すように、スキージホルダ36の上面が装着ブロック41の下面に当接して、嵌着部36aが切欠き部41aに嵌着する。これとともに、ピン嵌合孔36b1,36b2に位置合わせピン41b1,41b2がそれぞれ嵌合し、これによりスキージホルダ36は装着ブロック41に正しい姿勢で保持される。このとき前述のように、ピン嵌合孔36b1と位置合わせピン41b1およびピン嵌合孔36b2と位置合わせピン41b2とは、それぞれ上下方向に遊びのない寸法設定となっていることから、スキージユニット35は装着部40A、装着部40Bに上下方向のがたつきなく固定される。
【0030】
次に図8,図9を参照して、係止機構42の構造について説明する。図8(a)において、装着ブロック41の上面には、前端部が下方に屈曲した鈎型の係止部47aが設けられた係止部材47が水平方向に配設されている。係止部47aは、切欠き部41aに嵌着部36aが嵌着した状態において、嵌着部36aの前端面を水平方向に係止する位置にある。係止部材47は、装着ブロック41の上面に立設されたガイドポスト48によって水平方向の位置が規制され且つ係止部47aの上下動を許容するようになっている。さらに係止部材47はガイドポスト48の外周に装着されたバネ部材46によって常に下方に押しつけられている。
【0031】
係止部47aにはオーバーハング状のテーパ面47bが設けられており、このテーパ面47bにより係止部47aを上方向に変位させることができるようになっている。すなわち図8(b)に示すように、テーパ面47bに対して前面側(図において左側)から物体
を当接させて水平方向の外力を作用させると、テーパ面47bによって発生する外力の上向きの分力により、係止部47aはバネ部材46の付勢力に抗して上方に変位する。そしてこの外力が消失すると、係止部材17は装着ブロック41の上面に当接する原位置に復帰し、係止部47aは嵌着部36aの前端面を係止可能な位置に戻る。
【0032】
図9(a)は、スキージユニット35を装着ブロック41に装着する装着動作を示している。まず(イ)に示すように、スキージユニット35を装着ブロック41に対して位置合わせし、嵌合穴36b1、36b2の軸線を位置合わせピン41b1、41b2の軸線に一致させる。次いで(ロ)に示すように、嵌合穴36b1、36b2に位置合わせピン41b1、41b2をそれぞれ嵌合させ、スキージユニット35を押し込む。このとき、嵌着部36aが係止部47aのテーパ面47bに当接して押し上げることにより、係止部47aは嵌着部36aの切欠き部41a内への嵌入を妨げない。
【0033】
そして(ハ)に示すように、嵌着部36aが切欠き部41aに完全に嵌着した状態となると、バネ部材46の付勢力により係止部材17は原位置に復帰し、係止部47aは嵌着部36aの前端面を水平方向に係止する。これにより、スキージユニット35は装着ブロック41に装着されて位置が固定された状態となる。すなわちスキージユニット35の装着ブロック41への装着は、スキージユニット35を装着ブロック41に対して押し込むワンタッチ動作によって行うことが可能となっている。
【0034】
上記構成において、オーバーハング状のテーパ面47bが設けられ前端部が下方に屈曲した鈎型の係止部47aが設けられた係止部材47、係止部材47の水平方向の位置を規制するとともに係止部47aの上下動を許容した状態で保持するガイドポスト48、係止部材47を下方に押し付けるバネ部材46は、嵌合穴36b1、36b2に位置合わせピン41b1、41b2を嵌合させてスキージユニット35を装着ブロック41に装着する装着動作によって作動し、嵌着部36aを係止してスキージユニット35の位置を固定する係止機構42となっている。
【0035】
図9(b)は、スキージユニット35を装着ブロック41から離脱させる離脱動作を示している。まず(イ)に示すように、嵌着部36aが切欠き部41aに完全に嵌着し、係止部47aが嵌着部36aの前端面を係止した状態において、手指操作によって係止部47aを押し上げ、嵌着部36aの切欠き部41aからの離脱が可能な状態とする。次いで(ロ)に示すように、嵌合穴36b1、36b2に位置合わせピン41b1、41b2が嵌合した状態のままスキージユニット35を手前側に引き出す。そして(ハ)に示すように、スキージユニット35をさらに引き出すことにより、嵌合穴36b1、36b2から位置合わせピン41b1、41b2を抜き出して、スキージユニット35を装着ブロック41から完全に離脱させる。
【0036】
上記構成において、装着部40A、40Bに設けられた位置合わせピン41b1、41b2と、スキージホルダ35に設けられ位置合わせピン41b1、41b2がそれぞれ嵌合する嵌合穴36b1、36b2が設けられた嵌着部36aと、前述の係止機構42とは、スキージユニット35を装着部40A、40Bに固定する固定手段となっている。
【0037】
次に図10を参照して、スキージヘッド16A、スキージヘッド16Bへのスキージユニット35の装着作業の実行順序について説明する。この作業は、図1に示す作業方向(矢印a)から作業者によって実行される。まず図10(a)に示すように、奥側のスキージヘッド16Aを対象として、スキージ部材17がスキージホルダ36の手前側に位置するように向きを合わせたスキージユニット35を、図9(a)に示す操作によって装着部40Aに装着する。これにより、図10(b)に示すように、嵌着部36aが係止機構42の係止部17aによって係止され、スキージユニット35の装着がワンタッチ動作で完
了する。
【0038】
次いで手前側のスキージヘッド16Bを対象として、図10(c)に示すようにスキージ部材17がスキージホルダ36の奥側に位置するように向きを合わせたスキージユニット35を、同様に図9(a)に示す操作によって装着部40Bに装着する。これにより、図10(d)に示すように、嵌着部36aが係止機構42の係止部17aによって係止され、スキージユニット35の装着がワンタッチ動作で完了する。
【0039】
上述のスキージユニット35の装着部40A、40Bへの装着および固定においては、前述のように装着部40A、40Bについてそれぞれ対応した姿勢でのみスキージユニット35の取付が可能であることから、スキージユニット35を装着すべき表裏姿勢を作業者が人為的ミスによって間違える誤装着の発生がなく、常に正しい装着姿勢で作業を実行することが可能となっている。
【0040】
また従来のスクリーン印刷装置において用いられていたボルト締結方式を用いずにワンタッチ動作で作業が完了することから、スキージユニット35を脱着する交換作業の都度ボルトを弛め再締結する作業を必要としない。したがって品種切替や保守に伴うスキージユニット35の交換作業の手間と時間を省いて作業を簡略化することができる。さらにボルト締結に不可避的に伴う位置誤差、すなわちボルトを締結孔に挿通させるために必要とされる遊びに起因する位置誤差を防止することができるとともに、使用状態において振動などにより締結が緩んで発生する動作不具合がない。したがって、スキージ交換作業の手間と時間を省くとともに、スキージの装着状態を安定させることができる。
【0041】
なお本実施の形態においては、スキージユニット36の位置を固定する係止機構として、前述構成の係止部材47、バネ部材46,ガイドポスト48を用いる例を示したが、本発明はこのような構成例には限定されず、スキージユニット35を装着ブロック41に装着する装着動作によって作動して嵌着部36aを係止できるような機構であれば、本発明に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のスクリーン印刷装置は、スキージ交換作業の手間と時間を省くとともに、スキージの装着状態を安定させることができるという効果を有し、基板にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷する分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図
【図2】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図
【図3】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の平面図
【図4】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の平面図
【図5】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置における印刷動作の説明図
【図6】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドにおけるスキージユニットの装着構造の説明図
【図7】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドにおけるスキージユニットの装着構造の説明図
【図8】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドにおける係止機構の構造説明図
【図9】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドにおけるスキージユニットの脱着動作の説明図
【図10】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドにおけるスキージユニットの装着順序の説明図
【符号の説明】
【0044】
10 基板
12 マスクプレート
12a パターン孔
13 スキージ駆動機構
15 スキージ昇降機構
16A,16B スキージヘッド
17 スキージ部材
22 クリーム半田(ペースト)
35 スキージユニット
36 スキージホルダ
40A、40B 装着部
41 装着ブロック
42 係止機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン孔が設けられたマスクプレートに基板を当接させ、ペーストが供給された前記マスクプレート上で板状のスキージ部材を摺動させることにより、パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、
前記スキージ部材をスキージホルダに保持させて成るスキージユニットと、スキージ昇降機構によって昇降し前記スキージユニットが着脱自在に装着される装着部と、前記スキージユニットを前記装着部に固定する固定手段とを備え、
前記固定手段は、前記装着部に設けられた位置決めピンと、前記スキージホルダに設けられ前記位置決めピンが嵌合する嵌合孔が設けられた嵌着部と、前記嵌合孔に前記位置決めピンを嵌合させて前記スキージユニットを前記装着部に装着する装着動作によって作動し前記嵌着部を係止して前記スキージユニットの位置を固定する係止機構とを有することを特徴とするスクリーン印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−105294(P2008−105294A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290955(P2006−290955)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】