説明

ステージの移動時間の改善方法

一実施形態において、第1方向にクリアランス高さを通ってステージを加速し、ステージを第1方向に減速しながら第2方向に加速する方法およびシステムが示される。ステージは第3方向に移動し、第3方向にステージをさらに引き続き移動させる前にステージの第2方向の移動が閾値未満であるかどうかについて判定が行われる。第1方向は第2方向に垂直であり、第3方向に平行かつ第3方向と逆である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、コンポーネントのプロービング、検査、組み立て、または製造中のステージの移動時間を改善するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] プロービングは、集積回路のパッド表面をプローブチップに接触させることを伴う。このプロセスは、プローブチップに対してプローブパッドを位置決めすることを伴う。プローブパッドの位置決めは、1つのシステムにおいて、試験中のデバイスを含むウェーハを移動させることによって達成される。試験中の1組のパッドから次の組のパッドまで、移動は、パッドをピンから離すことと、次の組のパッドがプローブチップの下に位置するようにウェーハを移動させることと、パッドをプローブチップの方へ移動させてプローブチップと接触させることと、から成る。
【0003】
[0003] パッドをピンの下に位置決めするのに極めて高い精度が必要となるため、ウェーハの機械的移動を正確に制御することが必要である。横方向の望ましくない移動は試験中のデバイスを損傷するおそれがある。従って、プローブチップとの接触の前に機械的移動を十分に制御することを確実にするために、細心の注意を払う。
【0004】
[0004] 図1aは、単軸移動(垂直または「Z」方向であることが多い)によってステージが接触位置22からクリアランス高さ位置24に移動する一般的なステージ移動プロファイル20を示している。クリアランス高さは、システムのコンポーネントを損傷せずにステージが安全に移動可能である高さとして定義される。その後、ステージは、クリアランス高さと等しい別の指令ステージ位置26に移動し、その後、ステージは別の接触位置28に移動する。移動プロファイル20全体は3つの線分30、32、34で示される。
【0005】
[0005] 図1bは、線分30、32、34上に重ね合わせた加速度プロファイルを示している。第1加速度プロファイルは、加速度軸a1および距離軸d1に関して捉えることができる2つの線分36、38を有する。2つの線分40、42を有する第2加速度プロファイルは、加速度軸a2および距離軸d2に関して捉えることができる。2つの線分44、46を有する第3加速度プロファイルは、加速度軸a3および距離軸d3に関して捉えることができる。線分36、38、40、42、44、および46は移動方向を表さず、加速または減速の期間を示している。
【0006】
[0006] 第1加速度プロファイルは、接触位置22とクリアランス高さ位置24とから等距離の中点48までの加速36を示す。中点48距離に到達した後、ステージはクリアランス高さ24の停止点に到達するまで、第2線分38にわたって減速する。第1加速度プロファイルで起こる唯一の移動は加速期間(線分36)と減速期間(線分38)の両方を含む垂直移動であることが理解されるであろう。第2加速度プロファイルは、中点50を伴う加速40および減速42を示す。第2加速度プロファイルで起こる唯一の移動は加速期間(線分40)と減速期間(線分42)の両方を含む水平移動であることが理解されるであろう。第3加速度プロファイルは、別の接触位置28に到達する加速44および減速46を有する。第3加速度プロファイルで起こる唯一の移動は加速期間(線分44)と減速期間(線分46)の両方を含む垂直移動であることが理解されるであろう。
【0007】
[0007] 従って、Z方向において、Z方向の移動の半分は加速に費やされ、Z方向の移動の他の半分は減速に費やされる。
【0008】
[0008] 上述の単軸移動には、ウェーハを次の軸に移動させる前に、移動が完了し、かつ擾乱が最小になるという確認が必要となる。これはウェーハとプローブカードの両方の安全のために必要である。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 2つの位置間のステージ移動の効率を向上させる改善された方法およびシステムが提供される。ステージは、試験もしくは検査中のデバイス、または製造プロセスにおけるデバイスを保持することができ、あるいは、プローブチップまたは他の試験もしくは検査コンポーネントを保持することができる。試験または検査は、垂直に、または水平に実行することができる。
【0010】
[0010] 本発明の態様の一実施形態によると、ステージが第1方向にクリアランス高さを通って加速される。クリアランス高さを通って加速することの後に、ステージを第1方向に減速しながら第2方向に加速する。そして、ステージは第3方向に移動する。
【0011】
[0011] 第3方向に前記ステージをさらに引き続き移動させる前にステージの第2方向の移動が閾値未満であるかどうかについて判定が行われ得る。第1方向は第2方向に垂直であり、第3方向に平行かつ第3方向と逆である。
【0012】
[0012] 本発明の別の態様のさらに別の実施形態によると、クリアランス高さを超えて第1垂直方向にステージを移動させる方法が記載される。ステージは、第1垂直方向に引き続き移動し、かつ横方向に移動し始める。そして、ステージは整定チェックポイントへ第2垂直方向に移動する。
【0013】
[0013] 本発明の別の態様のさらに別の実施形態によると、ステージが第1期間にクリアランス高さを通って垂直方向に加速され、第2期間に減速される。第1期間は第2期間より長い。
【0014】
[0014] 本発明の別の態様のさらに別の実施形態によると、命令のシーケンスを表すデータが記憶された機械読取可能媒体であって、コンピュータシステムによって実行された際に、コンピュータシステムにステージを移動させる方法を行わせる機械読取可能媒体が記載される。
【0015】
[0015] 本発明の別の態様のさらに別の実施形態によると、ベースと、ベースによって支持されたステージとが記載される。ステージは3次元座標システム内で移動するように構成される。少なくとも1つのモータが、3次元座標システム内でステージを移動させるステージに接続される。モータは、第1方向にクリアランス高さを通ってステージを加速するように構成され、少なくとも1つのモータは、第1方向にステージを減速し、かつ第1方向にステージを減速するのと同時に第2方向にステージを加速するように構成される。少なくとも1つのセンサがステージに連結され、センサはステージパラメータを測定するように構成される。制御システムが少なくとも1つのセンサに連結される。制御システムは、少なくとも1つのセンサから情報を受け取り、かつクリアランス高さパラメータに基づいてモータの操作パラメータを決定するように構成される。
【0016】
[0016] 本発明の別の態様のさらに別の実施形態によると、サポートフレームと、サポートフレームによって支持されたベースが記載される。また、3つの移動軸を有する3次元座標システム内で移動するように構成された、ベースによって支持されたステージが記載される。少なくとも1つのモータが、3次元座標システム内でステージを移動させるステージに接続される。モータは、第1移動軸においてクリアランス高さを通ってステージを加速し、かつ第1移動軸および第2移動軸の両方において同時にステージを減速するように構成される。少なくとも1つのセンサがステージに連結され、センサはステージ加速度を測定するように構成される。
【0017】
[0017] 従って、本発明の少なくとも特定の実施形態によって提供される解決策は、接触、試験、検査、または製造における位置間のステージ移動時間を改善するシステムをもたらす。本発明のこれらのそして他の実施形態、特徴、態様、および利点は、添付の図面ならびに以下の詳細な説明および請求項から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
[0018] 本発明を、例として説明するが、添付の図面により限定されない。図面中、同じ参照符号は同様の要素を示す。
【0019】
【図1a】[0019] 図1aは、ステージの従来の移動プロファイルの側面図である。
【図1b】[0020] 図1bは、ステージの従来の加速度プロファイルの側面図である。
【図2】[0021] 図2は、プローバ試験システムおよびその2つの主要ステージの可能な実施形態の側面図である。
【図3】[0022] 図3は、プローバシステムの上面図である。
【図4】[0023] 図4は、1つの可能な実施形態における、プローブピンと導電素子との間のステージ接触位置の側面図である。
【図5a】[0024] 図5aは、一実施形態におけるステージ移動プロファイルの側面図である。
【図5b】[0025] 図5bは、一実施形態におけるステージ加速度プロファイルの側面図である。
【図6a】[0026] 図6aは、別の実施形態における水平プロービング操作におけるステージの側面図である。
【図6b】[0027] 図6bは、別の実施形態における水平プロービング操作におけるステージの別の側面図である。
【図6c】[0028] 図6cは、別の実施形態における水平プロービング操作におけるステージの別の側面図である。
【図6d】[0029] 図6dは、別の実施形態における水平プロービング操作の別の側面図である。
【図7a】[0030] 図7aは、別の実施形態におけるステージ移動プロファイルの側面図である。
【図7b】[0031] 図7bは、別の実施形態におけるステージ加速度プロファイルの側面図である。
【図8】[0032] 図8は、プローバ試験システム、およびその制御システムに接続された2つの主要ステージの可能な実施形態の側面図である。
【図9】[0033] 図9は、ステージ制御プロセスの例示的操作を示すフローチャートである。
【図10】[0034] 図10は、放物線移動プロファイルとの比較におけるステージ移動プロファイルの側面図である。
【図11】[0035] 図11は、さまざまなコンポーネント間に柔軟性が付加されたプローバ試験システムの可能な実施形態の側面図である。
【図12】[0036] 図12は、曲げ接続部を有するプローバ試験システムの加速度検知の実施形態を示す。
【図13】[0037] 図13は、相対加速度補償を組み入れるフィードバック制御スキームのブロック図である。
【図14】[0038] 図14は、相対加速度測定に基づいた加速度補償スキームの詳細を示すブロック図である。
【図15】[0039] 図15は、加速度ベースの補償を付加することによる図12の等価加速度ループのブロック図である。
【図16】[0040] 図16は、移動擾乱検知および補償を組み入れることによって望ましいプローブ対パッド位置を正確に維持する試験システムの例示的操作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0041] 図1は、本発明のさまざまな実施形態および態様を、以下に検討する詳細を参照して説明する。また、添付の図面はさまざまな実施形態を示している。以下の説明および図面は本発明を説明しており、本発明を限定すると解釈されない。本発明のさまざまな実施形態の完璧な理解を提供するために、多数の特定の詳細が述べられる。しかし、特定の場合において、本発明の実施形態の簡明な検討を提供するために周知または従来の詳細は説明されない。
【0021】
[0042] 集積回路、複数の集積回路を含むウェーハ、または1つ以上の他のコンポーネントを含む基板などのコンポーネントを試験または検査するために本発明の少なくとも特定の実施形態が使用され得る。以下の記載はウェーハプロービングを目的とするものであるが、ウェーハプロービングは本発明の一実施形態の一例に過ぎず、また、他の実施形態のすべての他の例がウェーハプロービングのために使用されるのではないことが理解されよう。
【0022】
[0043] ウェーハプロービングは、パッド表面をプローブチップに接触させることを伴う。プローブチップはプロービングの操作中、移動したり変形したりする。この移動によって、プローブチップは、試験されるウェーハの接合パッド、ボール/バンプまたは接触面をこすり、またはそれらの上を摺動する。この機械的移動は、プローブチップおよび/またはパッド上の汚染および酸化物を克服するために必要である。さらに、酸化物または汚染層をこすり落とすために大きな圧力が使用される。
【0023】
[0044] 本発明の一実施形態において、プローバシステムは2つの主なコンポーネント、すなわちステージから成り、1つはウェーハを保持し、他方はプローブカードを保持する。接合パッドとプローブチップとの高圧接触を作り出すために、2つのステージは、互いに対して移動し、組み合わされる。
【0024】
[0045] 図2は、2つの主要ステージを含むシステム100の1つの可能な実施形態の概略図である。主要ステージは、ウェーハホルダアセンブリ102およびプローブカードホルダアセンブリ104である。この具体例において、ウェーハホルダアセンブリ102は、X、Y、Z、およびθ方向の移動を行うことができ、一方、プローブカードホルダアセンブリ(PCHA)104は静止状態に保持される。別の実施形態では、WHA102を静止状態に保持することができ、一方、PCHA104は移動可能である。さらに別の実施形態では、WHA102およびPCHA104は、ともに移動を行うことができる。加えてウェーハ106自体が、ウェーハホルダアセンブリ102の保持チャック108に対してθ方向に回転可能である。このように、ウェーハホルダアセンブリ102によって支持されたウェーハ106は、プローブカードピン158がウェーハ106上のパッドまたはボール/バンプなどの導電素子110と接触できるように、プローブカードホルダアセンブリ104によって支持されたプローブカードピン158に対して移動可能である。
【0025】
[0046] ウェーハホルダアセンブリ102は、グラナイトベース112と、支持面116上に位置する金属フレーム114とによって支持される。ウェーハホルダアセンブリ102は、移動システム118と、Zステージ120と、保持チャック108とを含む。保持チャック108は、一実施形態において、試験用の多数のボンディングパッド110aを提供するウェーハ106を保持する。X、Y、Z、およびθ方向122に移動可能なチャック108は、ガントリのZステージ120に接続される。一実施形態において、XY移動システム118は、Xステージ138がX方向に移動し、かつYステージ146がY方向に移動することを可能にするXYガントリシステムをすることができる。XY移動システム118は、Z方向154に移動可能であることによってプローブピン158がウェーハ106上のパッド110aと接触することを可能にするZステージ120に接続される。また、XY移動システム118は、Zステージ120およびウェーハ106の位置、速度、および加速度を追跡するエンコーダまたはセンサに接続される。
【0026】
[0047] また、別の実施形態では、Zステージ120がグラナイトベース112上で滑らかに移動し、ひいてはZステージ120とグラナイトベース112との接触摩擦の一部を軽減するのを助けるために、Zステージ120は、空気をZステージ120の方へ上向きに吹く、均一に分布した一連の抽気孔を有するグラナイトベースの上方に浮くことが明らかであろう。
【0027】
[0048] 別の実施形態において、XY移動システム118は、滑らかなプラテン表面と、磁化フォーサと、駆動コイルとを有するソーヤ(Sewyer)モータシステムとすることができ、これらはフォーサの磁束に影響を及ぼしてZステージ120をプラテン表面上でXまたはY方向140、150に移動させる。ソーヤモータシステムでは、プラテンは、ウェーハホルダアセンブリ102に取り付けされた空気軸受がウェーハホルダアセンブリ102とプラテン表面との間の加圧領域を形成できるように、非多孔質面である。オリフィス空気軸受または多孔質媒質軸受などの空気軸受は、Zステージ120の下面に取り付けられてプラテンの方へ下向きに空気を吹き、それによってZステージ120とプラテンとの間の均一の空隙を形成する。
【0028】
[0049] さらに、図2は、支持部材またはアセンブリ124と、リングキャリア126と、プローブカード128と、プローブチップ158とを含むプローブカードホルダアセンブリ104を示している。リングキャリア126は、支持アセンブリ124によって支持され、アルミニウムまたはスチールなどの金属から形成することができる。支持アセンブリ124は、グラナイトベース112に接続される金属フレーム114に接続される。この実施形態では、プローブカードホルダアセンブリ104は静止状態であるが、プローブカードホルダアセンブリ104に、プローブカードがウェーハホルダアセンブリ102に対して移動可能であるように移動機構を備えることが可能である。
【0029】
[0050] プローブカード128はプローブチップ158に接続され、ウェーハ106と接触するためのプローブチップ158を提供する。この具体例において、Zステージ120が作動すると、プローブチップ158は導電素子110と接触する。
【0030】
[0051] システム100は、車輪130および132などの車輪上を移動してよい。車輪130および132は、好ましくは4つの車輪などの1組の車輪の一部であるが、いくつでも車輪を使用することができる。車輪は、金属フレーム114およびグラナイトベース112が直接に床上に、または伸縮自在の脚部によって床に載るように後退させることが可能である。図2において、車輪130および132は後退位置にあるが、車輪は、システム100が支持面116にわたって転がることができ、それによってシステム100が可搬となるように、延伸位置に移動することできる。
【0031】
[0052] 図3は、図2に示すシステム100の上面図である。図3は、簡単に上述した通り、XY移動システム118がXYガントリシステム134である例を示している。XYガントリシステム134において、1組の2つのXレール136によってZステージ120がX方向140に直線的に、かつ低摩擦で移動することが可能になる。Xレール136は、Y方向の移動が制限されるように、または存在しないようにZステージ120の移動のチャネルを形成する。ブリッジ138(またはXステージ)は、グラナイトベース112およびXレール136の上面に載る。ブリッジ138はZステージ120に接続され、空気軸受またはブローホールによってZステージ120が独立して支持されることが可能である。また、ブリッジ138は、ウェーハ106およびその導電素子110を保持するチャック108に接続される。チャック108は、ブリッジ138に接続された2つのXモータ142によって、グラナイトベース112に対してXレール136上をX方向140に沿って移動する。チャック108は、2つのモータの代わりに、1つのモータまたは任意の数のモータによってX方向140に移動可能であることが明らかである。ガントリシステムに収容された追加の移動機構は、チャック108をY、Z、およびシータ(θ)方向に移動させることができる。
【0032】
[0053] 一実施形態によると、図3は、Y方向150にYステージ146を誘導する2つのYレール148に接続されたYステージ146に接続されたYモータ144を含むXYガントリシステム134を示している。Zステージ120は、チャック108およびウェーハ106(ここでは図示せず)がY方向150にも移動可能であるようにYステージ146で支持、またはYステージ146に接続されている。Yモータ144はXY移動システム118内に設けられてよく、またはYステージ146から離れて設けられ、かつYステージ146に接続されてよく、チャック108がY方向150に移動することを可能にする。
【0033】
[0054] また、図3は、一実施形態によると、Z方向154またはシータ(θ)156方向にZステージ120を上げることが可能な、XY移動システム118内のブラシレス回転モータ152を示している。システムの具体的使用によって、回転モータ152を、水平力を垂直力に転換してZステージ120をZ方向154に駆動する圧電昇降機構、リニアモータ、ボールねじ配置、およびスライダー機構、空気軸受、またはZ方向154にZステージ120を移動させる形状記憶合金材料と取り替えることができ、または回転モータ152をこれらと共に使用することができる。好ましくは、回転モータ152はXY移動システム118内に設けられるが、別の実施形態において、回転モータ152を離れて設けてZ方向154またはシータ156方向にZステージ120を駆動してよい。
【0034】
[0055] 図4は、リングキャリア126、プローブカード128、およびプローブピン158がボンドパッド110aとの電気接触を形成するようにボンドパッド110aと接触するプローブピン158の近接側面図である。チャック108を保持するZステージ120ならびにコンポーネントまたはウェーハ106は接触位置164に位置する。Zステージ120の第1接触位置高さ162が示されている。Zステージ120の基準点160がZステージ120の上部に位置し、コンポーネントまたはウェーハ106がプローブピン158と接触している際に接触位置高さ162と直接的に位置合わせされる。Zステージ120の基準点160は、保持チャック108およびウェーハ106の下で、Zステージ120の最上部に位置し、かつZステージ120の中心軸170に沿って位置すると示される。Zステージ120の基準点160は説明のためにこの位置に選択され、同一のZステージ120移動プロファイルをさらに説明するために別の基準点位置を選択可能であることが明らかである。
【0035】
[0056] Zステージ120は、Zステージ120の上方向または第3方向166(または第2垂直方向)の上昇移動によって第1接触位置高さ162に到達することができる。プローブピン158がコンポーネントまたはウェーハ106と接触した後で、Zステージ120は、下方向または第1方向168(または第1垂直方向)に移動することによってウェーハ106をプローブカードホルダアセンブリ104から離す。
【0036】
[0057] 2次元座標システム172が、Zステージ120の中心軸170に平行なZ方向154とならびに第1および第3方向168、166を示している。Z方向154に垂直な方向は、X方向140、Y方向150、またはXおよびY方向140、150の組合せであり得る。
【0037】
[0058] 図5aは、Zステージ120が3つの別個の移動線を経て移動する際の、Zステージ120の基準点160がたどる移動プロファイル194を示している。Z軸およびXまたはY軸は、Zステージ120の移動が示される平面を規定する。
【0038】
[0059] 上記Zステージ120の移動は図示の面の外、3次元空間で起こり得るが、説明を容易にするために、記載の例は2次元座標システムで起こることが明らかである。
【0039】
[0060] Z軸が正のZ方向154に延在する一方で、Z軸に垂直な軸はX方向140、Y方向150、またはXおよびYの両方向140、150に延在する。Zステージ基準点160は第1始点174から始まる。第1始点174は、図4に示すような接触位置164にある際のZステージ120を表す。Zステージ120は、第1方向168の第1移動プロファイル178に従って第1始点174から第2点176の方へ移動する。第1方向168は負のZ方向154または第1垂直方向の移動として表すこともできる。第2点176は、第1クリアランス高さ180を規定する平面内に位置する。
【0040】
[0061] 本発明の一実施形態において、クリアランス高さ180、202は第1方向168に垂直な方向の移動をシステム100内のコンポーネントへの損傷無しに安全に達成することができる高さである。
【0041】
[0062] 第1クリアランス高さ180で、プローブピン158、導電素子110、ウェーハ106、保持チャック108、プローブカード128、リングキャリア126、Zステージ120、またはシステム100内のいかなるコンポーネントを損傷するリスクを全く伴わずに、Zステージ120を(第1方向に対して)横に移動させることができる。
【0042】
[0063] 第1クリアランス高さ180を通って移動した後、Zステージ120は第2移動プロファイル188に従いながら整定チェックポイント186の方へ移動する。第2移動プロファイル188は、横方向のステージ120の移動中の曲線状の非放物線移動である。整定チェックポイント186は、Zステージ120が閾値内で第2方向192に整定することが可能になる場所である。一実施形態において、Zステージ120は、(第1クリアランス高さ180を超えて)第1垂直方向168にステージ120を移動させることと、第2接触位置198までステージ120を移動させることとの間に1つの整定チェックポイント186のみを有する。
【0043】
[0064] 第2移動プロファイル188は2つの移動区間を有する。第1区間182は、Zステージ120が第2点176で第1クリアランス高さ180を通過した直後に現れ、底点190に近づく。第2区間184は底点190と整定チェックポイント186との間に現れる。
【0044】
[0065] 底点190は第1方向168の最遠隔距離であり、Zステージ120は移動プロファイル194全体を進むことになる。移動プロファイル194全体において、底点190は、第1方向168に垂直な第2方向192に沿って、第2点176と整定チェックポイント186とから等距離でない場所に現れる。
【0045】
[0066] 第1区間182の間、Zステージ120は第1方向168と同時に第2方向192に移動し始める。第2方向192は、図示の座標システムに対して正のX方向140またはY方向150とすることができる。底点190を通過した後、Zステージは整定チェックポイント186の方へ第2区間184に沿って移動し始める。整定チェックポイント186は第2クリアランス高さ202に位置する。第2クリアランス高さ202は第1クリアランス高さ180と同一の高さとすることができ、またはシステムの因子、例えば、ウェーハ106の平面性、プローブピンのサイズ、材料、ボンドパッド、またはシステム100内の他の関連した変数によって異ならせることもできる。一実施形態では、第2クリアランス高さ202は、第1クリアランス高さ180と比較して20マイクロメートルまでの差を有することができる。
【0046】
[0067] 図5aおよび図5bにおいて、第2クリアランス高さ202は、説明を容易にするために第1クリアランス高さ180と全く同一の値であるとして示されている。
【0047】
[0068] 第2区間184の移動の間、Zステージ120は第2方向192と同時に第3方向166に移動する。第2区間184は、(別の平面内の)第2方向192以外の別の方向と同時の第3方向166の移動から成ることも可能である。なお、第1方向168は第2方向192に垂直であって、第3方向166に平行および第3方向166と逆であることに留意されたい。
【0048】
[0069] 整定チェックポイント186に到達後、Zステージ120は第3移動プロファイル196に沿って純粋に第3方向166に移動して第2接触位置高さ200に位置する第2接触位置198に近づく。第2接触位置高さ200は第1接触位置高さ162と同一の高さであってよく、前述のシステム因子、例えば、ウェーハ106の平面性、プローブピンのサイズ、材料、ボンドパッド、またはシステム100内の他の関連した変数によって実質的に異なっていてもよい。再び、第2接触位置高さ200は、説明を容易にするために第1接触位置高さ162と同一の高さであるとして示されている。
【0049】
[0070] 上述の通り、Zステージ120は第3移動プロファイル196に沿って距離を進む。第3移動プロファイル196が進む距離は、Zステージ120が横移動から切り離されている必要があるクリアランス間隔距離204によって規定される。Zステージ120がクリアランス間隔距離204内にある間にZステージ120の横移動が起こる場合、システム100のコンポーネントを損傷する危険性が存在する。
【0050】
[0071] クリアランス間隔距離204は、クリアランス高さ180、202と接触位置高さ162、200との間の距離を規定する。一実施形態においては、クリアランス間隔距離204は少なくとも125マイクロメートル( )の範囲内とすることができる。別の実施形態においては、クリアランス間隔距離204は125〜1mmの範囲内である。クリアランス距離204はシステム100のコンポーネントおよび制御パラメータによって数ミリメートルまでであり得ることは当然である。
【0051】
[0072] 図5aは、第1および第2接触位置174、198間の距離を規定するダイステップ寸法254を示している。ダイステップ寸法254は、ステップ寸法の半分の距離値を有する中点を有している。Zステージ120は、2つの接触位置174、198間の中点に到達する前に底点190に到達する。
【0052】
[0073] 一例において、一実施形態によると、Zステージ120は、.330mmの距離を第1移動プロファイル178に沿って進む。この例でのクリアランス間隔距離204もまた.330mmである。第2移動プロファイル188の間、Zステージ120は、第2点176と整定チェックポイント186との間の6.5mmのダイステップ寸法254を第2方向192に移動する。そして、Zステージ120は、第3移動プロファイル196に沿って第2接触位置198まで.330mmの距離を第3方向166に上向きに移動する。さらに、この例では、第2点176と底点190との間の第1方向168(または負のZ方向)の距離は、後述するターンアラウンド時間224において約.15mm〜.165mmである。従って、第1方向のZステージ120の総移動距離は約.480mm〜.495mmである。
【0053】
[0074] 説明した実施形態によると、第1方向168の第1移動プロファイル178と第3方向166の第3移動プロファイル196の移動距離は、ともに、システム100のコンポーネントの損傷を回避するためのクリアランス距離204と等しい。
【0054】
[0075] 別の実施形態によると、第1移動プロファイル178と第2移動プロファイル196の各々の長さは間隔距離204より長いことが可能であり得るが、そのようなシステムはZステージ120の総移動距離を増加させ、それによってステージ120の移動効率が低下するであろう。
【0055】
[0076] 図5bは、図5aで説明した移動プロファイル194の加速度プロファイル206を示している。図5aの移動プロファイル194は、参照のために図5bにおいて概して点線で示されている。第1加速度プロファイル208は第1加速度軸a1および第1距離軸d1に関して説明される。この例示的実施形態によると、第1加速度軸a1は第1方向168に垂直であり、正のX方向140、Y方向150、またはXおよびY方向に増加する。第1距離軸d1は、第1方向168に平行であり、負のZ方向154に増加する。
【0056】
[0077] 第1加速度プロファイル208は、第1方向168の移動プロファイル194の加速挙動を説明する2つの区間210、212を有する。Zステージ120は第1始点174のゼロ加速度から開始する。Zステージ120が第1方向168に移動すると、Zステージ120は加速区間210によって例示される増加等加速度で第2点176の方へ加速する。
【0057】
[0078] Zステージ120が第2点176に到達すると、Zステージは第1クリアランス高さ180のピーク加速度で加速している。一実施形態において、第1方向168の加速度および減速度は約.7g(.3g〜1g)である。
【0058】
[0079] Zステージ120の加速度はシステム能力によって可能な限り高く制限されるべきであることが明らかである。例えば、増幅器の変更、増幅器の数、電力供給、システムサイズ、ステージ慣性、および他のシステム100のコンポーネントパラメータがZステージ120の能力に影響を及ぼして特定の速度で加速する。システム100の特定の変数を変化させることによって加速度を増加または減少させることができる。例えば、移動中により低い慣性を有するより小さいステージサイズは、より大きいステージサイズよりも早い位置合せ時間および加速度を実現することができる。
【0059】
[0080] ステージ移動全体を通じて最大加速度および減速度の値を維持することは、説明した効率的な移動プロファイル194を利用する上で重要である。
【0060】
[0081] 第2点176を通過した後、減速区間212(明確にするために点線で示す)に例示されるように、Zステージ120は加速度軸a1および距離軸d1に対する第1方向168に減速し始める。第1方向68の移動が完了し、かつ第1方向168の加速度がゼロ216まで減少する際に、Zステージ120は底点190に到達するまで第1方向168に減速する。
【0061】
[0082] Zステージ120が第1クリアランス高さ180を通過した後に第1方向168に減速している間、減速が第2方向192においても起こる。第2加速度プロファイル218は、第2加速度軸a2および第2距離軸d2に関して説明される。この例示的実施形態によると、第2加速度軸a2は第2方向192に垂直であり、第1方向168に平行である。第2加速度軸a2は正のZ方向154に増加する。第2距離軸d2は第1方向168に垂直であり、第2方向192に平行である。第2距離軸d2は正のX方向140、Y方向150、またはXおよびYの両方向140、150に増加している。
【0062】
[0083] さらに、図5bは、第2方向192の移動プロファイル194の加速挙動を説明する2つの区間220、222を有する第2加速度プロファイル218を示している。減速区間220は前述の(第2移動プロファイル188の)第1移動区間182に直接的に関連している。同様に、加速区間222は図5aに示す第2移動区間184に直接的に関連している。
【0063】
[0084] Zステージ120が第1方向168と同時に第2方向192に移動すると、Zステージ120は第1および第2の両方向168、192に第2点176から底点190まで減速する。一実施形態において、Zステージ120は第1方向168の減速と同時に第2方向192の加速を受け得る。一実施形態において、第2方向192のZステージ120の加速度および減速度の値は約.7g(.3g〜1g)である。前述の通り、加速度値は多くのシステム100の変数によって影響を及ぼされ得る。
【0064】
[0085] 第1方向168の減速が起こるので、この領域は、第2移動プロファイル188の第1区間182のZステージ120の移動と密接に関連するターンアラウンド時間224と呼ぶことができる。
【0065】
[0086] 前述の例において、第2点176と底点190との間の第1方向168(または負のZ方向)の距離は、ターンアラウンド時間224において約.15mm〜.165mmであった。また、Zステージ120は.330mmの距離を第1移動プロファイル178に沿って進んだ。第2点176と底点190との間の距離は、Zステージ120がターンアラウンド時間224中に第1方向に進む距離も表す。ターンアラウンド時間224は、第2方向192の横移動が始まり、ならびにZステージ120の減速が横に、かつ縦に起こり始める場所に相当する。
【0066】
[0087] Zステージ120は、第1クリアランス高さ180を通って加速し、第1方向168にZステージ120の総垂直移動距離284の約3分の1の減速距離280(.165mm/.495mm=.33)を有する。第1方向168の減速距離280(クリアランス高さの下)は、せいぜい、クリアランス高さ180の上で生じる加速距離282の2分の1である。言い換えると、減速距離280はせいぜい、第1方向168のステージの加速距離282の半分である。
【0067】
[0088] 一実施形態において、第1方向168の減速距離280はせいぜいクリアランス間隔距離204の2分の1である(クリアランス間隔距離204および加速距離282が等しい場合)。
【0068】
[0089] 図5bは、加速度軸a2および距離軸d2に関する減速区間220を示している。減速区間220は、Zステージ120が底点190に到達するまで第2方向192に減速するZステージ120を表している。底点190において、第1方向168の減速は、減速区間212に従ってゼロ値216に到達する。同時に、底点190において、第2方向192の減速もまた、減速区間220に従ってゼロ値に到達する。底点190は、第1方向の168の加速または減速が完了する点も表す。
【0069】
[0090] 底点190の後、加速区間222が表すように、Zステージ120の加速が第2方向192に起こり始める。一実施形態において、Zステージ120は底点190に到達する前に第2方向192に加速し得ることが理解される。加速区間222の間、第3方向166に生じる加速(図示せず)も存在する。一実施形態によると、加速222は、ステージが整定チェックポイント186に到達するまで第2方向192および第3方向166に(横におよび縦に)継続する。
【0070】
[0091] 整定チェックポイント186において、制御システム250(詳細に後述する)は、XおよびY方向140、150の移動がゼロなどの閾値まで減少しているかどうか判定する。前述の通り、Zステージ120が第2クリアランス高さ202を通過した後のクリアランス間隔距離204内のZステージ120の横の移動(または第3方向166に垂直な移動)は、起こり得る損傷をシステム100に与える可能性がある。整定チェックポイント186は、望ましくない横移動が原因となる損傷が生じないことを制御システム250が確実なものにする場所である。整定チェックポイント186でのZステージ120のゼロまたは最小の横移動を確実にするために必要な整定チェック時間は、20msecの速度または数秒とすることができる。
【0071】
[0092] 一実施形態において、整定チェック時間は最小であり、Zステージ120の移動を大幅には妨げないので、加速区間222によって例示されるように第2方向192の加速が整定チェックポイント186の方へ常に起こることができる。
【0072】
[0093] 別の実施形態において、整定チェック時間は重要である場合があり、従って、横移動が切り離されることが可能であるように、Zステージ120が停止点まですべての方向に減速することを必要とすることがある。
【0073】
[0094] 図5bは、加速区間230の間にZステージ120が中点228まで加速する第3加速度プロファイル226も示している。そして、Zステージ120は減速区間232の間、第2接触位置198まで減速する。一実施形態において、第3方向166の加速および減速は約.7g(.3g〜1g)である。再び、加速値は、システム100の多くの変数によって影響を及ぼされる。
【0074】
[0095] 図6a〜図6dは、Zステージ120の中心軸170がサイドプロービングのために水平方向に方向付けられた場合以外の、図5aおよび図5bで説明した移動プロファイル194全体の間のZステージ120の移動およびプローブ針158との相互作用を示している。図6a〜図6dは、サイドプロービングと、Zステージ120が支持面またはベースに対して垂直方向に方向付けられる必要はないという事実とを強調する。図6a〜図6dの基準点160は、上述したように移動プロファイル194に従う。
【0075】
[0096] 図6aは、第1移動プロファイル178に沿って第1方向168に移動しているZステージ120を示している。図6bは、概して矢印234で示されるように第1方向168および第2方向192に第2移動プロファイル188、182に沿って移動しているZステージ120を示している。図6cは、底点190を通過した後に概して矢印236で示されるように第3方向166および第2方向192に移動するZステージ120を示している。図6dは、Zステージ120によってプローブピン158がウェーハ106上の別の場所のボンドパッド110aと接触することが可能になる第2接触位置198まで、第3方向166に移動するZステージ120を示している。
【0076】
[0097] 図7aは、別の第2移動プロファイル238を有する移動プロファイル244に関する別の実施形態を示している。この実施形態では、第1および第3移動プロファイル178、196は、図5aに示すものと同様である。しかし、Zステージ120が別の底点242まで減速し、その後チェックポイント240まで加速する、別の第2移動プロファイル238が存在する。多くの異なる用途に対してチェックポイント240を使用することができる。例えば、チェックポイント240において検査プロセスを実施することができ、または、制御システム250は続行の前に垂直の移動が完了しているかどうか確認することができる。チェックポイント240は、Zステージ120の移動244の休止とすることができ、または、Zステージ120が第2方向192に常に加速することを可能にして整定チェックポイント186に到達する比較的滑らかな移動とすることができる。
【0077】
[0098] チェックポイント240の後、Zステージ120は整定チェックポイント186の方へ第2方向192に移動する。図5aの第2移動プロファイル188は説明および参照のために点線で示されている。別の底点242は、移動プロファイル188の底点190よりも第2方向にわずかに早く生じる。
【0078】
[0099] 図7bは、図7aに示す移動プロファイル244の加速度プロファイルを示している。別の第2移動プロファイル238の間、Zステージ120は底点242からチェックポイント240まで加速する。Zステージ120は、第2方向192に、チェックポイント240の後、継続して加速することができる。そして、第2方向192のZステージ120の加速は、加速度軸a3および距離軸d3に関して説明される。Zステージ120は、Zステージ120が減速し始めて整定チェックポイント186に到達する中点246まで、主に第2方向に引き続き加速する。再び、チェックポイント240は、Zステージ120が続行の前にある時間にわたって休止する場所とすることができ、そのような場合、第2方向192の減速が求められるであろう。
【0079】
[00100] 図8は、システム100、ならびにシステム100とセンサ248および制御システム250との接続を示している。特に、センサ248は、Zステージ120のパラメータが常に正確に分かるように移動システム118およびZステージ120に連通または接続する。センサ248によって測定されるパラメータは、Zステージ120の位置、速度、または加速度であり得る。センサ248は、モータ142、144などのZステージ120を移動させる機構へ正確な移動制御コマンドを伝達することができるように情報を制御システム250へ中継する。センサ248は、エンコーダ、カメラシステム、または公知の移動制御センサなどの任意のタイプのセンサとすることができる。
【0080】
[00101] 一実施形態において、制御システム250は、さらに詳細に説明される移動プロファイル、軌跡、および整定時間を予測できるモデルベースの制御システムである。
【0081】
[00102] 図9は、制御システム250の制御プロセス252を説明するフローチャートを示している。制御プロセス252は、クリアランス距離204およびダイステップ寸法254を判定256または読み取ることによって開始する。クリアランス距離204およびダイステップ寸法254は、ウェーハ106、コンポーネント、またはプローブピン158のどのタイプが使用されているかなどのシステム100のさまざまなパラメータに依存する入力パラメータ(システムによって自動的に、またはユーザによって手動で入力される)とすることができる。また、ウェーハ106上の開始場所は、ウェーハ106と接触するプローブピン158について決定されるべきである。クリアランス距離204から、Zステージ120に関して第1クリアランス高さ180および第2クリアランス高さ202を計算することができる。
【0082】
[00103] また、制御プロセス252は、負のZ方向154(第1方向168など)に加速するZ移動距離を決定する258。制御プロセス252は次に進んで、クリアランス高さを超えて負のZ方向154にステージを加速する260。
【0083】
[00104] クリアランス高さを超えると、Zステージ120は負のZ方向154に惰行し始め262、減速を生じさせると同時にX方向140、Y方向150、またはXおよびYの両方向140、150の移動を開始させる。惰行262効果は、電流などのモータパラメータを調整してモータを減速させることによって達成することができる。逆方向に電量を印加することによって、モータは加速したのと同じ速さで減速することができる。惰行は、Zステージ120が底点のゼロまで減速するまで、Z方向154のモータを遮断することによっても達成できる。
【0084】
[00105] さらに、図9はステップアンドリピートプロセスを示している。Zステージ120は、底点に到達した後、正のZ方向154に加速する264。制御プロセス252は、Zステージ120が第2クリアランス高さ202または整定チェックポイントに到達したかどうかを常に監視する266。第2クリアランス高さ202に到達していない場合、Zステージ120は正のZ方向154に引き続き加速する。第2クリアランス高さ202に到達している場合、制御プロセス252は、X方向140またはY方向150の移動があるかどうか、およびその移動が閾値未満であるかどうか確認する268。
【0085】
[00106] 一実施形態において、制御プロセスは、XまたはY移動がセンサ248を監視することによってなされるかどうか確認する268。センサ248は複数のセンサまたは単一のセンサとすることができ、図3に示すXYガントリシステム134とすることができる移動システム118に接続される、または移動システム118を監視する。
【0086】
[00107] 一実施形態によると、XYガントリシステム134において、センサ248は、Xステージ138および/またはYステージ146の移動が停止または閾値未満に低下したかどうか監視する(安全確認)。XおよびYステージ138、146において移動が検出されないが第2クリアランス高さ202に到達していない場合、第2クリアランス高さ202に到達するまでZステージ120はZ方向154に引き続き加速する。
【0087】
[00108] 図9において、システム100においてZステージ120が第2クリアランス高さ202に位置するがXおよび/またはY方向140、150の移動が依然として存在する場合、Zステージ120は正のZ方向154の移動を停止して270、XY移動が第2クリアランス高さ202より上で起こらないようにする。制御プロセス252は、Xおよび/またはY方向の移動が存在するかどうか引き続き確認する272。XY移動が続く場合、Zステージ120は、そのようなXY移動が終了するまでクリアランス高さで維持される。XY移動が終了し、Zステージ120が第2クリアランス高さ202に位置した後、Zステージ120は、試験がウェーハ106上で開始する指令タッチダウン位置までの正のZ方向154の移動を終了する274。
【0088】
[00109] 別の実施形態によると、移動プロファイルまたは移動ごとに軌跡計算を行って、加速時間および距離を最適化しながらウェーハ106およびプローブカード126の安全を維持することによって移動時間を最小化する。この移動プロファイルの更新は、50マイクロ秒ごとに起こる。
【0089】
[00110] 高い更新率を組み入れることによって、安全確認は、移動の完了後ではなく、ステージ移動とともに行われることが可能である。モデルベースの制御を用いて、整定時間(t*−XY移動が特定公差内まで整定される時間)を予測することができる。それによって、軌跡のZコンポーネントは、XY移動が十分に整定するまでウェーハがプローブピン158と接触しないように設計される(時間調節される)。逆に、ダイステップのXY軌跡は、Z軌跡または移動プロファイルがウェーハをプローブピンとの接触から安全にずらすときに開始するように設計する(時間調節する)ことができる。従って、本発明は、1つのダイから次のダイに進む時間を速めながらも、このことを決定性垂直上昇およびタッチタウン軌跡とともに達成する。
【0090】
[00111] 図10は、中点278を有する放物線移動プロファイル276と比較した図5aの非放物線移動プロファイル194を示している。本発明は放物線移動プロファイル276に対する重要な利点を有している。放物線移動プロファイル276は、クリアランス高さに到達する前に横移動を示し、コンポーネントを損傷する実質的な危険性を有している。さらに、放物線移動プロファイル276は移動プロファイル276より移動距離の点で短くなり得るが、放物線移動プロファイル276は移動プロファイル194よりゆっくりと移動する。従って、放物線プロファイル276は、より長い「位置合せ」時間を有する。たとえ移動プロファイル194が放物線プロファイル276より長い距離を進んでも、本発明は減速よりも加速に長い時間を費やす。移動プロファイル194は、底点190で第2方向192の加速を開始する一方、放物線プロファイル276は後の中点278で加速を開始する。結果として、移動プロファイル194は、より短い位置合せ時間およびより長い加速時間を有することによってより効果的かつ効率的である。
【0091】
[00112] 第1クリアランス高さ180を通じた第1垂直方向168のZステージ120の加速は、Zステージ120がクリアランス高さ180を通過した後で減速している第2期間より長い第1期間で起こる。
【0092】
[00113] 本発明は、1つの接触位置から別の接触位置に移動するZステージ120の「位置合せ時間」が非常に減少するという点で、図1aおよび図1bに示す従来技術に対して重要な利点を有する。Zステージ120が2つの接触位置間で第2方向に6.5mm(ステップ寸法254)移動するシナリオにおいて、本発明は230〜242秒で移動全体を完了するであろう。対して、図1aおよび図1bに示す従来技術は、約319ミリ秒で移動を完了するであろう。本発明は、従来技術に対して約24〜30%の接触位置間の位置合せ時間の減少を実現する。
【0093】
[00114] 一実施形態において、本発明の整定時間は20ミリ秒と速くすることができる一方、従来技術の整定時間は少なくとも40ミリ秒以上という長さである。本発明は、ステージの整定時間を著しく減少させる。
【0094】
[00115] 一実施形態において、前述の通り、モデルベースの制御によって整定時間を設計または予測することが可能である。前のステージ移動、試験されるコンポーネントのタイプ、増幅器、増幅器の数、電力供給、システムサイズ、ステージ慣性、および他のシステムコンポーネントパラメータなどの要因に基づいて整定時間または移動軌跡を予測するために経験的データを使用することができる。
【0095】
[00116] さらに、本発明で説明される加速度プロファイルは、Z方向154に約3分の2の加速および3分の1の減速を有するZ移動を実現する。公知の従来技術は、Z方向154に2分の1の加速および2分の1の減速しか有さないZ移動を有する。本発明は、従来技術よりZ方向154に遠くへ移動するが、より少ない時間をZ方向154の移動に費やす。
【0096】
[00117] 本発明の別の利点は、最低クリアランス距離を超えて最高速度ステージを加速することによって、Z方向の減速時間を減少させ、かつZ方向の加速時間を増加させることである。減速は、位置合せ時間を減少させる横移動において起こる。本発明は、待ち時間を減少させ、従って効率および生産能力を向上させる。
【0097】
[00118] 説明したステージ制御プロセス252および方法は、インクジェット、ノズル分配プロセス、エーロゾルスプレー塗布、ソフトリソグラフィ、レーザ誘導アプローチ、AFMディップペン技術、またはプリセットパターンもしくはレイアウトに引き続いてさまざまな表面上に別々のタイプの材料を堆積する、施す、または処理することが可能な任意の技術もしくはプロセスなどの「直接記録」操作において実行することができる。制御プロセス252は、上述のプロセス内で製造コンポーネントを保持するステージを速くかつ効率的に移動させることができる。制御プロセス252は、電子デバイス、センサ、MEMSデバイス、および他の公知のデバイスの製造システムに適用することができる。
【0098】
[00119] 説明した制御プロセス252および方法は、すべてのタイプのガラスおよび金属、合金、半導体、クリスタル、合成材料、セラミックス、プラスチック、および生物学的材料を含む天然有機材料などの広範囲の材料を扱うシステムとともに使用することができる。
【0099】
[00120] 説明した制御プロセス252および方法は、ウェーハプロービングシステムではなく、検査ステージシステムにおいて使用することができる。検査ステージシステムでは、接触位置174、198は、ウェーハ、電子デバイス、またはコンポーネントが欠陥に関して試験または結像される検査位置と考えられ得る。検査ステージシステムにおけるステージ120の移動は、既に述べたものと同一の方法および原理を適用するであろう。
【0100】
[00121] 典型的なシステムでは、別々のコンポーネントをつなぐ接続部は柔軟性を示す。コンポーネントとコンポーネントとの間の接続は完全に剛性があるわけではないので、システムの一部が擾乱にさらされる場合、システムのコンポーネントとコンポーネントとの間の相対振動変位または相対曲げ変位が存在することになる。ひいては、曲げ変形がウェーハパッドとプローブカードピンとの間の非補償変位を引き起こすことがあり、それによって性能が劣化する。
【0101】
[00122] 図11は、さまざまなコンポーネントのうちの一部のコンポーネント間の曲げ接続部を表すプロービングシステム300の可能な実施形態を示している。一部のコンポーネント間の多数の例示的な非剛性接続部が図11に示される。従って、Zステージ302とグラナイトベース301との間の接合部310が、接合部の曲げ(および振動)性を示すばね符号310で示されている。作動システム308がガントリシステムに接続される。同様に、プローブカードホルダアセンブリ(PHA)ステージ315、316とウェーハホルダアセンブリ(WHA)ステージ314のグラナイトベース301との間の接続部309、ならびにグラナイトベース301と床302との間の接合部311がばね符号で示されている。実際の物理的ばねは存在しないが、これらのばねによって接合部がモデル化される、または表されることが理解されるであろう。座標システム313は分かりやすくするために示される。プローブカードホルダチャック306が、プローブカード307をウェーハ304上のボンドパッド305に対して維持する。
【0102】
[00123] 接続部の曲げ剛性を増大させることによって、または床とシステムとの間の分離を提供することによって、望ましくない相対変位を減少させることができる。これらの方法は、システムの重量増加を必要とする(それによって移動擾乱に対する周波数領域の感度をあげる)という不利点、およびプロービングシステムの設置での分離特性の変化を必要とするという不利点を有する。望ましくない振動の影響を減少させるであろう、より安価で複雑でない解決策は、感知および制御システムを介して移動擾乱を能動的に抑制または補償することである。
【0103】
[00124] 本発明の別の態様の可能な実施形態において、擾乱測定デバイスをプロービングシステム上のいくつかの場所に追加することができる。例えば、1つのセンサをグラナイトベース上に配置してよく、別のセンサをガントリシステム上のXYZ移動機構上に配置してよく、第3のセンサをプローブピン位置決めインターフェイス上に配置してよい。擾乱振幅および位相情報はすべての3つの場所で、かつ別々の方向(X、Y、およびZ)に沿って継続して測定される。感知情報はローパスフィルタを介して移動コントローラ内に入力されて、信号の高周波数雑音を除去し得る。そして、コントローラは相対振幅および位相情報を処理して、移動機構の既存の作動デバイスを介してX、Y、Z、またはシータ方向にシステムに対して補償補正を施し得る。結果として生じる移動には、ウェーハ基板とプローブピンとの間の制御されていない相対変位が全くない。加えて、補正によってシステムがウェーハ上のダイからダイへかなり速く進むことが可能になり得る。というのは、ウェーハチャックが1つのダイをプローブすることから次のダイをプローブする位置へ移動する際に、反力(内部擾乱)を相殺するために加速度計が使用され得るからである。
【0104】
[00125] 図12は、図11に示す例示的なプロービングシステムにシステム上の3つの異なる場所の加速度計が追加された同一の側面図である。ボックスA412、A413、A414は、グラナイトベース301、ブリッジ/チャック/ウェーハアセンブリ402(強固に接続されていると見なすことができ、ひいては単一の振動素子として考えられる)、およびPCHAステージ315の移動を測定するために追加された3つの加速度計を表す。座標システム407が、分かりやすくするために示されている。
【0105】
[00126] これらの3つのセンサを追加することによって、外部擾乱または内部擾乱によって3つの場所の各々で引き起こされた振動加速および/または速度の大きさおよび位相の定量化が可能になる。同様に、測定値を利用して、測定されたコンポーネント間の相対的な加速度、速度、大きさ、および位相を導出することができる。個別測定および相対測定の両方のタイプを別々の制御スキームにおいて使用して、望ましくない変位を補償することができる。
【0106】
[00127] 本発明の同一の態様の別の実施形態において、別々の場所における速度センサ、速度センサおよび加速センサの組合せ、または別の数のセンサを代わりに使用することが可能であろう。そのようなセンサを使用して、(ガントリシステムではなく)ソーヤモータを使用するウェーハプロービングシステムの移動擾乱を補償してウェーハチャックおよびプローブカードプラットフォームの1つまたは両方を互いに対して移動させ得ることが理解されよう。
【0107】
[00128] 図13は、グラナイトベースおよびガントリのそれぞれに位置する2つのセンサ501および502からの加速情報を組み入れる制御システムの、可能な実施形態のブロック図である。この特定の実施形態は、本発明の別の態様、すなわち操作中の接触位置擾乱を除去するように設計された制御スキームを示す役割を果たす。図13に示す特定の具体的実施形態では、コントローラは2つの主要ループ、すなわち、独自の位置コントローラ508を有する位置制御ループ513と、独自の振動コントローラ509を有する加速度制御ループ514とから成る。
【0108】
[00129] 説明した通り、Zステージはガントリシステムのブリッジに取り付けられ、グラナイトベース上に浮かんでいる。ここでガントリは図12のブリッジ/チャック/ウェーハアセンブリ402を含むと見なされる。作動モータがガントリを前進させると、同量の牽引力が(ニュートンの第三法則によって)逆方向にグラナイトベースに作用する。これを内部擾乱と考えることができる。同様に、ガントリとグラナイトベースとの間の牽引力に起因して(例えば、床の振動から)ベースに作用する外部擾乱がガントリに生じることになる。ガントリとベースとの間の非剛性接続に起因して、そのような擾乱によって相対振動変位が引きこされることになるからである。
【0109】
[00130] 図13に示す補償スキームの設計目的は、ガントリとグラナイトベースの両方が同一の振幅および位相を有する、すなわち、制御システムがガントリとベースとの間の相対振動を補償する(または除去する)ことを確実にすることである。
【0110】
[00131] 本発明の態様のこの特定の具体的実施形態のために、グラナイトベースと床との間の剛性接続部が存在し、両者を質量MEQおよび剛性KEQを有する単一のばね質量システムとして捉えるものとする。剛性KEQは、ベースとガントリとの間の図12に示すばね310に対応するであろう。
【0111】
[00132] 床/ベース構造は、ガントリの質量に対して移動することができ、この具体例は質量MGantryを有し、かつ剛性を有さない線形システムとする。上記前提に基づいて、GGantry−on−Granite(図13のコントローラが抑制するように設計されるベースとガントリとの間の相対移動を生成する)と呼ばれる、グラナイトベースに対するガントリの動特性を以下の変換関数として周波数領域に書き込むことができる。
【数1】

ここで、
AccRelative(s)は、ベース511およびガントリ512の加速度計の読取値を減じることによって得られるベースとガントリとの間の相対加速度503である。
Actual(s)は、補償力510と所望の操作力505との組合せ作用から生じるベースおよびガントリに加えられた操作力504である。
Gantry(s)は、ガントリの動特性の変換関数である。
Granite(s)は、床/ベースの動特性の変換関数である。
【数2】

は、床/ベース構造の共振周波数である。
【数3】

は、組み合わされたガントリおよび床/ベースの質量の共振周波数である。
【0112】
[00133] および の組合せとなる、式1の共振(または、分母のルートを計算することによって得られる極)からして、サーボコントローラ(図13の位置コントローラ508と振動コントローラ509の組合せである)が指令位置506の完全追跡(すなわち、ゼロ位置誤差507)を達成することは困難であろう。従って、図13の所望の制御505の信号と相対加速度503の信号との間の動特性を線形化する補償510を設計することが望ましいであろう。その場合、サーボコントローラは理想(ゼロ)誤差制御を有し得る。本発明の別の態様では、制御スキームの実施形態はそのような線形化を含み得る。
【0113】
[00134] 図14は、ベース602とガントリ603との間の相対動特性604を線形化し、ひいては共振を除去するように設計された、HCompensation(図13の振動コントローラ509と同等である)と呼ばれる補償制御601の可能な実施形態のブロック図である。結果として生じる補償605、すなわちFCompensationは以下のように設計可能である。
【数4】

ここで、AccGraniteはグラナイトベースの加速度である。
【0114】
[00135] 式2は、所望の通り共振周波数の影響を受けない。ガントリとベースとの相対動特性、GGantry−on−Graniteを式(2)に組み入れると、補償制御、HCompensation601を以下の通り導くことができる。
【数5】

^GGantry−on−Graniteと呼ばれる、上記補償を伴う同等のシステム動特性は、
【数6】

である。
従って、結果として生じる、補償を伴うシステム動特性(式(2)および式(3)を式(4)に代入する)は、
【数7】

となる。
【0115】
[00136] 式(5)の補償を伴う相対動特性^GGantry−on−Graniteと式(1)の補償を伴わない動特性GGantry−on−Graniteを比較すると、牽引力および外部擾乱が引き起こす共振が上記補償HCompensationによって除去されることが明らかである。実際に、擾乱が操作中に存在し、かつ継続しながらプローブピンがボンディングパッドと接触している場合であっても、HCompensationは理想的線形システム、ひいては改善された位置追跡につながることが予想される。
【0116】
[00137] 図15は、図14の加速度ベースの補償制御601が図13の制御スキーム全体に組み入れられる際の完全制御ブロック図である。
【0117】
[00138] 任意の方向に、かつ移動擾乱の存在下で、プローブピンに対するウェーハパッドの正確かつ継続的な位置決めを実現するために同一または他の種類の多数のセンサの読取値を組み入れる制御システムの他の実施形態も、本発明に含まれる。同様に、プロービングシステムの移動擾乱の能動的抑制をもたらす別々の方法での、システムの別々のコンポーネントの個別(非相対的)または相対的加速度を補償する他の制御スキームも、本発明に含まれる。
【0118】
[00139] 図16は、センサおよび制御システムを利用してWHAステージ上の移動擾乱を補償する試験システムに関わるプロセスの可能な実施形態を示している。第1操作801として、所望の接触位置および力が達成されるまでWHAステージおよびPCHAステージは接触している。その所望の接触位置を維持するために、ガントリとベースとの間の振動(大きさおよび位相)が継続的に測定されて802、床の振動またはガントリの作動などの移動擾乱に起因する所望の接触位置の変化を検出する。そして、制御システムはセンサ情報に基づいて必要な補正作用を決定する803。そして、WHAステージに組み入れられたアクチュエータを介して補正力をガントリに加えて望ましくない位置擾乱を除去し、かつ所望の位置を追跡する804。少なくとも特定の実施形態において操作802〜804を継続的に繰り返して(例えば、50ミリ秒ごと)所望の位置に対する擾乱が迅速に補正されることを確実にする。これらの操作(802〜804)は、プローブプロセスにおいてダイからダイに進んでプローブチップを新しい組のボンディングパッドに対して位置決めするために、WHAステージおよびPCHAステージが互いに対して移動する際にも繰り返して実行される(例えば、50ミリ秒ごと)。他のパラメータおよびシステムのコンポーネントが監視され、かつ制御される他の実施形態も、実現可能である。
【0119】
[00140] 本明細書で記載される方法は、ソフトウェアがさまざまなコンピュータ読取可能媒体に格納されるソフトウェア制御下で作動する汎用または専用コンピュータなどのデータプロセシングシステムによって実行することができる。
【0120】
[00141] 本発明のさまざまな実施形態は、全ウェーハを保持するウェーハチャックを有するウェーハプローバ、または(可撓性の)フィルムフレーム上のダイまたは複数のダイまたは(剛性であり得る)ストリップをプローブするシステムなどの他のタイプのプロービングシステムに対して使用され得る。
【0121】
[00142] 従って、擾乱の存在下で試験システムにおいて接触位置決めをプローブする正確なパッドを実現および維持する装置および方法が提供されている。本発明を特定の例示的実施形態に関して説明してきたが、請求項に記載の本発明のより広範な精神および範囲から逸脱することなくこれらの実施形態に対してさまざまな変形および変更を行うことができることは明らかである。従って、明細書および図面は説明上のもので制約的なものでない。
【0122】
[00143] 上記明細書において、本発明を特定の例示的実施形態に関して説明してきた。添付の請求項に記載の本発明のより広範な精神および範囲から逸脱することなくこれらの実施形態に対してさまざまな変形を行うことができることは明らかである。従って、明細書および図面は説明上のもので制約的なものでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージを移動させる方法であって、
第1方向にクリアランス高さを通ってステージを加速することと、
前記クリアランス高さを通って前記加速することの後に、前記第1方向に前記ステージを減速しながら第2方向に前記ステージを加速することと、
第3方向に前記ステージを移動させることと
を含み、前記第1方向は、前記第2方向に垂直であり、前記第3方向に平行かつ前記第3方向と逆である、方法。
【請求項2】
前記加速することは、前記第1方向の前記ステージの総移動距離の約3分の2の加速距離にわたって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記減速することは、前記第1方向の前記ステージの総移動距離の約3分の1の減速距離にわたって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記減速することは、前記第1方向の前記ステージの加速距離の最大で2分の1の減速距離にわたって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記クリアランス高さは距離値であり、前記ステージは別のコンポーネントとの接触を引き起こさずに前記第2方向に移動することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
別のコンポーネントはプローブカードまたはプローブピンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記クリアランス高さと接触位置との差は、少なくとも125マイクロメートルであるクリアランス間隔距離である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第3方向に前記ステージをさらに引き続き移動させる前に前記ステージの前記第2方向の移動が閾値未満であるかどうかを判定する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記加速することおよび前記減速することは、最大可能加速率および最大可能減速率で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記減速することは、前記クリアランス高さを通って加速した後に、少なくとも1つのモータのパラメータを調整し、前記第1方向に前記ステージを惰行させることによって実現される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステージを移動させる方法であって
クリアランス高さを超えて第1垂直方向に前記ステージを移動させ、および前記第1垂直方向に前記ステージを引き続き移動させ、前記クリアランス高さを超えて移動した後、かつ前記第1垂直方向に前記ステージを引き続き移動させながら、横方向に前記ステージを移動させ始めることと、
整定チェックポイントの方へ第2垂直方向に前記ステージを移動させることと
を含む、方法。
【請求項12】
前記整定チェックポイントの方へ前記第2垂直方向に移動した後、前記ステージは、前記整定チェックポイントへ前記横方向に移動する前に休止する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記整定チェックポイントへ前記第2垂直方向に前記ステージを移動させることは、前記横方向に前記ステージを移動させることと同時に行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
接触位置へ前記第2垂直方向に前記ステージをさらに移動させる前に、前記ステージが前記整定チェックポイントで整定することを可能にすることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記ステージは、2つの接触位置の中点を通過する前に底点に到達する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記ステージは、前記クリアランス高さを超えて前記接触位置へ前記第1垂直方向に前記ステージを移動させる間に1つの整定チェックポイントのみを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ステージは、前記クリアランス高さを超えて前記接触位置へ前記第1垂直方向に前記ステージを移動させる間にチェックポイントおよび整定チェックポイントを有する移動プロファイルを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記ステージが前記横方向に移動して前記整定チェックポイントに到達する際に前記ステージは曲線状の非放物線移動で移動する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
ステージを移動させる方法であって
第1期間にクリアランス高さを通って垂直方向にステージを加速することと、
第2期間に前記ステージを減速することと
を含み、前記第1期間は前記第2期間より長い、方法。
【請求項20】
命令のシーケンスを表すデータが記憶された機械読取可能媒体であって、コンピュータシステムによって実行された際に、前記コンピュータシステムに
第1垂直方向にクリアランス高さを通ってステージを加速することと、
前記クリアランス高さを通って前記加速することの後に、前記第1方向に前記ステージを減速しながら第2方向に前記ステージを加速することと、
第3方向に前記ステージを移動させることと
を含み、前記第1方向は前記第2方向に垂直であり、前記第3方向に平行かつ前記第3方向と逆である、方法を行わせる、機械読取可能媒体。
【請求項21】
命令のシーケンスを表すデータが記憶された機械読取可能媒体であって、コンピュータシステムによって実行された際に、前記コンピュータシステムに
クリアランス高さを超えて第1垂直方向に前記ステージを移動させ、および前記第1垂直方向に前記ステージを引き続き移動させ、前記クリアランス高さを超えて移動した後、かつ前記第1垂直方向に前記ステージを引き続き移動させながら、横方向に前記ステージを移動させ始めることと、
整定チェックポイントへ第2垂直方向に前記ステージを移動させることと
を含む、方法。
【請求項22】
システムであって、
ベースと、
前記ベースによって支持されたステージであって、3次元座標システム内で移動するように構成されたステージと、
前記3次元座標システム内で前記ステージを移動させる前記ステージに接続された少なくとも1つのモータであって、第1方向にクリアランス高さを通って前記ステージを加速するように構成され、かつ第1方向にステージを減速するように構成され、かつ前記第1方向に前記ステージを減速し、かつ同時に第2方向に前記ステージを加速するように構成された少なくとも1つのモータと、
前記ステージに連結された少なくとも1つのセンサであって、ステージパラメータを測定するように構成された少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサに連結された制御システムであって、前記少なくとも1つのセンサから情報を受け取り、かつクリアランス高さパラメータに基づいて前記少なくとも1つのモータの操作パラメータを決定するように構成された制御システムと
を備える、システム。
【請求項23】
装置であって、
サポートフレームと、
前記サポートフレームによって支持されたベースと、
前記ベースによって支持されたステージであって、3つの移動軸を有する3次元座標システム内で移動するように構成されたステージと、
前記3次元座標システム内で前記ステージを移動させるステージに接続された少なくとも1つのモータであって、第1移動軸においてクリアランス高さを通って前記ステージを加速し、かつ前記第1移動軸および第2移動軸の両方において同時に前記ステージを減速するように構成された少なくとも1つのモータと、
前記ステージに連結された少なくとも1つのセンサであって、ステージ加速度を測定するように構成された少なくとも1つのセンサと
を備える、装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つのモータはブラシレスモータである、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つのモータはソーヤモータである、請求項23に記載の装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−512529(P2012−512529A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540913(P2011−540913)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/067595
【国際公開番号】WO2010/068825
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(511139372)セネカ マージャー サブ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】