説明

スフィンゴシン−1−リン酸受容体モジュレーターとしてのアミノプロパノール誘導体

式(I)
【化1】


(式中、A、R、R、R、RおよびRは明細書の定義と同様である)の化合物、その製造法、その使用およびそれらを含む薬剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、アミノプロパノール誘導体、その製造方法、その使用およびそれらを含む薬剤組成物に関する。
【0002】
とりわけ、本発明は、遊離の形態または塩の形態である式I
【化1】

{式中、
は、C1−6アルキル;ヒドロキシ、C1−2アルコキシまたは1〜6個のフッ素原子によって置換されるC1−6アルキル;C2−6アルケニル;またはC2−6アルキニルであり、
は、C1−10アルキル;C1−10ハロアルキル;C1−9アルコキシ;C1−9ハロアルコキシであり;前記のそれぞれは、所望により、フェニル、フェノキシ、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環残基(ここで、フェニル、フェノキシ、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環残基は、それぞれ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシ、C3−6シクロアルコキシ、C3−6シクロアルキルC1−2アルキル、シアノ、フェニル、およびヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C1−4アルコキシ、またはシアノによって置換されるフェニルから選択される1〜5個の置換基によって環が置換されてもよい)によって末端の炭素原子上で置換されるか;
または式(b)
【化2】

[式中、
10は、C1−6アルキルであり、そして、
11は、C1−6アルキル;C1−10ハロアルキルであり;前記のそれぞれは、所望により、フェニル、フェノキシ、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環残基(ここで、フェニル、フェノキシ、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環残基は、それぞれ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ、C3−6シクロアルコキシ、C3−6シクロアルキルC1−2アルキル、シアノ、フェニル、およびヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキルまたはシアノによって置換されるフェニルから選択される1〜5個の置換基によって環が置換されてもよい)によって末端の炭素原子上で置換される]
の残基であり、
は、Z−X〔ここで、Zは、CH、CHF、CHMeまたはCFであり、そして、XはOHまたは式(a)
【化3】

(式中、Zは、直接結合、CH、CHF、CFまたはOであり、そして、RおよびRのそれぞれは、独立して、Hであるか、または1、2または3個のハロゲン原子によって、所望により、置換されるC1−4アルキルである)〕の残基であり;そして、
およびRのそれぞれは、独立して、H;1、2または3個のハロゲン原子によって所望により置換されるC1−4アルキル;またはアシルであり、そして、
環Aは、Rによって、そして二つの更なる置換基によって、好ましくは、Rのオルト位で置換される}
の化合物を提供する。
【0003】
好ましくは、二つの更なる置換基は、求電子置換基(electrophilic substituents)である。この二つの更なる置換基は、同一でも異なっていてもよい。
【0004】
式Iの中で好ましい化合物は、遊離の形態または塩の形態である式II
【化4】

(式中、
〜Rは、上記の定義と同様であり、そして、
およびRのそれぞれは、独立して、ヒドロキシ;ハロゲン;C1−4アルキル;C1−6シクロアルキル;C1−4アルコキシ;C1−6シクロアルコキシ;C3−6シクロアルキルC1−2アルキル;C1−4ハロアルキル;C1−4ハロアルコキシ;またはシアノである)である。
好ましくは、RおよびRは、Rのオルト位で存在する。
【0005】
アルキルまたはアルキル部分は、直鎖でも分枝鎖でもよい。アルケニルは、たとえば、ビニルであってもよい。アルキニルは、たとえば、プロピン−2−イルであってもよい。アシルは、RがC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルまたはフェニルC1−4アルキルである、残基R−COであってもよい。ハロゲンは、フッ素でも、塩素でも、臭素であってもよく、好ましくは、フッ素または塩素である。アルキルがヒドロキシで置換される場合は、好ましくは、それは末端の炭素原子上である。フェニルC1−2アルキルは、たとえば、ベンジルであってもよい。ハロアルキルは、一つまたはそれ以上のハロゲン原子、好ましくは、フッ素原子によって、置換される直鎖または分枝状のアルキルであってもよい。
【0006】
ヘテロアリールは、たとえば、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、フリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、イミダゾリルまたはピラゾリルである、N、OおよびSより選択される1〜4個のヘテロ原子を含んでなる5〜8員の芳香環でありうる。
【0007】
複素環残基とは、たとえば、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、アジリジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、ピペラジニルを含んでなる3〜8、好ましくは5〜8員の飽和または不飽和の複素環を意味する。
【0008】
式Iの化合物は、遊離の形態または、たとえば、塩酸塩、臭化水素酸塩または硫酸塩のような無機酸との付加塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩またはベンゼンスルホン酸塩のような有機酸との塩である塩の形態で存在し得る。水和物または溶媒和物の形態である式Iの化合物およびそれらの塩も、また本発明の一部である。
【0009】
式Iの化合物が分子中に不斉中心を有している場合は、様々な光学異性体が得られる。本発明はまた、エナンチオマー、ラセミ化合物、ジアステレオ異性体およびその混合物をも包含する。たとえば、R、R、およびNRを有している中心の炭素原子は、RまたはSの立体配置を持ちうる。通常は、次の3次元立体配置を有している式Iの化合物が好ましい:
【化5】

【0010】
更に、式Iの化合物が幾何異性体を包含する場合は、本発明は、シス化合物、トランス化合物およびその混合物を包含する。上記に言及されるような不斉炭素原子または不飽和結合を有する、たとえば、下記に示される式III、IVまたはVの化合物である出発物質に関しても同様な事情が当てはまる。
【0011】
式Iの化合物では、次の意味が個々にあるいは任意のサブコンビネーションで好ましい。
1.Rは、CHまたはCH−OH;
2.Rは、C1−7アルキルまたはC1−6アルコキシ;
4.Rは、CH−OHまたはCH−OPO
5.RおよびRのいずれも水素
6.Rは、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、クロロ、フルオロまたはブロモ;
7.Rは、Rに対してオルト位;
8.Rは、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、クロロ、フルオロまたはブロモ;
9.Rは、Rに対してオルト位。
【0012】
本発明は、また式Iの化合物の製造方法を含み、その方法は、
a)RがZ−Xであって、XがOHである式Iの化合物の場合は、
式III
【化6】

(式中、X、R、RおよびRは上記の定義と同様であり、R’は、XがOHであるZ−Xであり、R’はアミノ保護基であり、そして、環Aは上記の定義と同様である)
の化合物に存在する保護基を除去するか、または
b)Rが、Z−Xであって、Xが式(a)の残基である式Iの化合物の場合は、
式IV
【化7】

[式中、X、R、R、RおよびR’は上記の定義と同様であり、環Aは上記の定義と同様であり、そして、R’’は、X
式(a’)
【化8】

(式中、Zは上記の定義と同様であり、R’またはR’のいずれも加水分解性基(hydrolysable)または水素化分解性基(hydrogenolysable group)であるか、またはR’およびR’は、一緒になって、所望により環(たとえば、ベンゼン環)に縮合される2価の架橋残基を形成する)の残基であるZ−Xである]
の化合物に存在する保護基を除去し、
そして、必要に応じて、遊離の形態で得られる式Iの化合物を所望の塩の形態に、またはその逆に塩の形態で得られる式Iの化合物を遊離の形態に変換させる、
ことを含んでなる。
【0013】
方法工程a)は、本分野で知られている方法に従って行うことができる。アミノ保護基を除去するには、本分野で知られている方法に従って、たとえば、加水分解(たとえば、酸性媒体中で、たとえば、塩酸を用いて)によって簡便に行うことができる。アミノ基の保護基の例は、たとえば、“有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)”T.W.Greene, J. Wiley & Sons NY, 2nded., chapter 7, 1991およびその中の引用文献に開示されており、たとえば、ベンジル、p−メトキシベンジル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、トリアルキルシリル、アシル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、トリフルオロアセチルなどである。
【0014】
式(a')の残基中、R'およびR'の各々は、たとえばtert−ブチル、フェニルまたはベンジルの意味であってもよく、または一緒になって1,5−ジヒドロ−2,4,3−ベンゾジオキサホスフェピン(1,5-dihydro-2,4,3-benzodioxaphosphepin)のような環系を形成してもよい。
【0015】
方法工程b)は、本分野で知られている方法に従って、たとえばR'およびR'が各々加水分解性基である場合は、たとえば、水酸化バリウムのような水酸化物を用いて塩基性媒体中で、またはR'およびR'が各々tert−ブチル基である場合は、酸性媒体中で、たとえば、加水分解によって行われ得る。これはまた、たとえば、触媒、たとえばPd/Cの存在下での水素化分解、続いて、たとえば、酸性媒体、たとえば塩酸中での加水分解によって行ってもよい。出発物質として使用される式IIIおよびIVの化合物およびその塩もまた新規であり、本発明の一部である。
【0016】
本発明はまた、式IIIの化合物の製造法を含み、その方法は、
式V
【化9】

(式中、R、R’、RおよびR’は上記の定義と同様であり、そして環Aは上記の定義と同様である)
の化合物を変換させ、たとえば、アルキル化によって所望の残基−Rを導入することを含んでなる。式Vの化合物のアルキル化は、本分野で知られている方法に従って、たとえば、求核置換によって、たとえば、アルキル化剤X−R(ここで、Xはメシラート、トシラート、トリフラート、ノシラート(nosylate)、塩化物、臭化物、またはヨウ化物である)との反応によって行うことができる。アルキル化は、また、溶液中または固相支持体合成で、たとえば、式IVの化合物を樹脂に結合させることによって、HO−Rを用いて光延プロトコール(たとえば、Hughes, Organic Preparations and Procedures International 28, 127-64, 1996、または D.L. Hughes, Org. React. 42, 335, 1992に開示されているように)に従い行うことができる。もう一つの選択肢として、樹脂、たとえばポリスチレンに結合した、たとえば、トリフェニルホスフィンまたはジエチルアゾカルボキシラートを使用することができる。
【0017】
R’およびR’が環系を形成する式IVの化合物は、次のように製造することができる:
【化10】

式中、X、Y、R、R、RおよびR’は上記の定義と同様であり、そして環Aは上記の定義と同様である。
【0018】
出発物質の製造は特に述べない限り、化合物は公知であるか、または本分野で知られている方法と同様に、または下記の実施例に開示されているように製造することができる。
【0019】
次の実施例は、本発明の例証である。
RT=室温
AcOEt=酢酸エチル
EtO=ジエチルエーテル
【0020】
実施例1:(R)−2−アミノ−4−(3,5−ジクロロ−4−ペンチルオキシ−フェニル)−2−メチル−ブタン−1−オール・ヒドロトリフラート(Hydrotriflate)
【化11】

酢酸(20ml)、濃塩酸(0.625ml)および過酸化水素(30%,0.17ml)中の[(R)−1−ヒドロキシメチル−1−メチル−3−(4−ペンチルオキシ−フェニル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(550mg,1.50mmol)溶液を45℃で2時間攪拌する。溶媒を蒸発させた後、油状の残渣を最初溶出剤としてAcOEt/メタノール=85/15を用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって、そして二番目に溶出剤としてアセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸=900/100/1を用いる逆相分取HPLC(20×250mm,RP18:10μm)によって精製して、白色固体としての標題化合物を得る。
MS(ESI+):m/z=334/336(MH)。
【0021】
実施例2:(R)−2−アミノ−4−(3−ブロモ−5−メチル−4−ペンチルオキシ−フェニル)−2−メチル−ブタン−1−オール・ヒドロトリフラート
【化12】

エタノール(2ml)中の(R)−4[2−(3−ブロモ−5−メチル−4−ペンチルオキシ−フェニル)−エチル]−4−メチル−オキサゾリジン−2−オン(58mg,0.15mmol)溶液に、水(1.5ml)中の水酸化リチウム水和物(180mg,4.28mmol)溶液を加える。この混合物を90℃で2時間攪拌する。室温まで冷却し、次にAcOEt(2×20ml)で抽出した後、有機相をMgSOを用いて乾燥する。溶媒を蒸発させた後、次いで溶出剤としてアセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸=900/100/1を用いて逆相分取HPLC(20×250mm,RP18:10μm)で処理し白色固体としての標題化合物を得る。
MS(ESI+):m/z=358/360(MH)。
【0022】
実施例3:(R)−2−アミノ−4−(3,5−ジブロモ−4−ペンチルオキシ−フェニル)−2−メチル−ブタン−1−オール・塩酸塩
【化13】

エタノール(2ml)中の(R)−4[2−(3,5−ジブロモ−4−ペンチルオキシ−フェニル)−エチル]−4−メチル−オキサゾリジン−2−オン(45mg,0.10mmol)溶液に、水(1.5ml)中の水酸化リチウム水和物(180mg,4.28mmol)溶液を加える。この混合物を90℃で2時間攪拌する。室温まで冷却し、次にAcOEt(2×20ml)で抽出した後、有機相をMgSOを用いて乾燥する。溶媒を蒸発させた後、次いで1M塩酸(0.2ml)を添加する。生成物をMeOH(0.5ml)に溶解し、次にEtO(10ml)を添加することによって析出させて白色固体としての標題化合物を得る。
MS(ESI+):m/z=422/424/426(MH)。
【0023】
実施例4:リン酸モノ−[(R)−2−アミノ−4−(3,5−ジクロロ−4−ペンチルオキシ−フェニル)−2−メチル−ブチル]エステル
【化14】

酢酸(0.4ml)および濃塩酸(0.042ml)中の[(R)−1−(ジ−tert−ブトキシ−ホスホリルオキシメチル)−3−(3,5−ジクロロ−4−ペンチルオキシ−フェニル)−1−メチル−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(43mg,0.07mmol)溶液を室温で4時間放置する。溶媒を蒸発させた後、油状の残渣をEtOで処理して、濾別して白色析出物として標題化合物を得る。
MS(ESI−):m/z=413/415(M−H)。
【0024】
実施例5:(R)−2−アミノ−4−[3−クロロ−5−メトキシ−4−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−2−メチル−ブタン−1−オール・塩酸塩
【化15】

酢酸(1ml)、濃塩酸(0.027ml)および過酸化水素(30%,0.074ml)中の{(R)−1−ヒドロキシメチル−3−[3−メトキシ−4−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−1−メチル−プロピル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(32mg,0.07mmol)溶液を室温で2時間攪拌する。溶媒を室温で蒸発させた後、油状の残渣をトルエン(1ml)で処理し、それを室温で留去する。EtOを加え、次に、白色析出物を濾別し、標題化合物を得る。
MS(ESI+):m/z=420/422(MH)。
【0025】
実施例6:リン酸モノ−{(R)−2−アミノ−4−[3−クロロ−5−メトキシ−4−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−ペンチルオキシ−フェニル]−2−メチル−ブチル}エステル
【化16】

[(R)−3−[3−クロロ−5−メトキシ−4−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−1−(ジ−tert−ブトキシ−ホスホリルオキシメチル)−1−メチル−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを出発物質として用い、実施例4に従って標題化合物を製造する。
MS(ESI−):m/z=498(M−H)。
【0026】
実施例7:(R)−2−アミノ−4−(3−クロロ−5−フルオロ−4−ペンチルオキシ−フェニル)−2−メチル−ブタン−1−オール・塩酸塩
【化17】

[(R)−3−(3−クロロ−5−フルオロ−4−ペンチルオキシ−フェニル)−1−ヒドロキシメチル−1−メチル−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(10mg)を4M塩酸(0.5ml)を含むジオキサンに溶解する。室温で18時間攪拌の後、生成物をEtOの添加によって析出させ、白色固体としての標題化合物を得る。
MS(ESI+):m/z=319(MH)。
【0027】
実施例8:(R)−2−アミノ−4−(3−クロロ−5−メトキシ−4−ペンチルオキシ−フェニル)−2−メチル−ブタン−1−オール・ヒドロトリフラート
【化18】

[(R)−3−(3−クロロ−5−メトキシ−4−ペンチルオキシ−フェニル)−1−ヒドロキシメチル−1−メチル−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを出発物質として用い、実施例7に従って標題化合物を製造する。粗生成物を溶出剤としてアセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸=900/100/1を用いる逆相分取HPLC(20×250mm,RP18:10μm)によって精製して、白色固体としての標題化合物を得る。
MS(ESI+):m/z=331(MH)。
【0028】
実施例9:(R)−2−アミノ−4−{3−クロロ−4−[2−(4−エトキシ−フェニル)−エトキシ]−5−メトキシ−フェニル}−2−メチル−ブタン−1−オール・ヒドロトリフラート
【化19】

((R)−3−{3−クロロ−4−[2−(4−エトキシ−フェニル)−エトキシ]−5−エトキシ−フェニル}−1−ヒドロキシメチル−1−メチル−プロピル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを出発物質として用い、実施例8に従って標題化合物を製造する。
MS(ESI+):m/z=409(MH)。
【0029】
実施例10:リン酸モノ−((R)−2−アミノ−4−{3−クロロ−4−[2−(4−エトキシ−フェニル)−エトキシ]−5−メトキシ−フェニル}−2−メチル−ブチル)エステル
【化20】

[(R)−3−{3−クロロ−4−[2−(4−エトキシ−フェニル)−エトキシ]−5−メトキシ−フェニル}−1−(ジ−tert−ブトキシ−ホスホリルオキシメチル)−1−メチル−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを出発物質として用い、実施例4に従って標題化合物を製造する。
MS(ESI−):m/z=487(M−H)。
【0030】
実施例11:(R)−2−アミノ−4−[4−(2−ビフェニル−4−イル−エトキシ)−3−クロロ−5−メトキシ−フェニル]−2−メチル−ブタン−1−オール・ヒドロトリフラート
【化21】

{(R)−3−[4−(2−ビフェニル−4−イル−エトキシ)−3−クロロ−5−メトキシ−フェニル]−1−ヒドロキシメチル−1−メチル−プロピル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルを出発物質として用い、実施例8に従って標題化合物を製造する。
MS(ESI+):m/z=441(MH)。
【0031】
スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)受容体プロファイリング(Sphingosine-1-phosphate(S1P)receptor profiling)
ヒトS1P受容体EDG−1(S1P)、EDG−3(S1P)、EDG−5(S1P)、EDG−6(S1P)およびEDG−8(S1P)に対する化合物のアゴニスト活性(Agonist activities)を試験する。機能的受容体活性化を、化合物によって誘発される、適切なヒトS1P受容体を安定に発現するトランスフェクトCHOまたはRH7777細胞から調製される膜蛋白質へのGTP[γ−35S]結合を定量化することによって評価する。使用されるアッセイ技術は、SPA(シンチレーション近接ベースアッセイ)である。要約すると、DMSOに溶解した化合物を段階希釈し、次に、50mM Hepes、100mM NaCl、10mM MgCl、10μM GDP、0.1%無脂肪BSAおよび0.2nM GTP[γ−35S](1200Ci/mmol)の存在下で、SPA−ビーズ(Amersham-Pharmacia)によって固定化されたS1P受容体発現膜蛋白質(10−20μg/ウエル)に添加する。96ウエルのマイクロタイタープレート中で、室温で120分間インキュベーションの後、非結合GTP[γ−35S]を遠心工程により分離する。膜結合GTP[γ−35S]により誘発されたSPAビーズのルミネセンス(luminescence)を、TOPcountプレートリーダー(Packard)で定量する。EC50を、標準曲線に適合するソフトウエアーを使用して計算する。
【0032】
【表1】

【0033】
B.インビボ:血液リンパ球減少(depletion)
式Iの化合物または賦形剤(vehicle)を、ラットに胃管栄養法によって経口的に投与する。血液学的モニタリングのための尾の血液を、個々の基底値を得るために−1日目、そして適用の2、6、24、48および72時間後に得る。このアッセイにおいて、式Iの化合物は、0.03〜3mg/kgの用量で投与した場合、末梢血リンパ球を減少させる。たとえば、以下の結果が得られる:
50%以上の末梢血リンパ球の減少
実施例1:0.5mg/kg経口で6時間後、>1mg/kg経口で48時間後
実施例5:0.2mg/kg経口で6時間後、>1mg/kg経口で48時間後
実施例9:0.2mg/kg経口で6時間後
【0034】
式Iの化合物は、それゆえ、リンパ球相互作用により介在される疾患または障害、たとえば移植において、細胞、組織または臓器同種移植片または異種移植片の急性または慢性拒絶反応、または臓器移植後臓器機能障害、移植片対宿主疾患、自己免疫疾患、たとえば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型またはII型糖尿病およびその合併症、血管炎、悪性貧血、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、乾癬、グレーブス眼病(Graves ophthalmopathy)、円形脱毛症およびその他、アレルギー性疾患、たとえばアレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎/結膜炎、アレルギー性接触性皮膚炎、任意選択的に内在する異常反応を伴う炎症性疾患、たとえば、炎症性腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎、内因性喘息、炎症性肺傷害、炎症性肝傷害、炎症性糸球体傷害、アテローム性動脈硬化症、骨関節炎、刺激性接触性皮膚炎および更に湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、免疫介在疾患の皮膚発現、炎症性眼疾患、角結膜炎、心筋炎または肝炎、虚血/再潅流傷害、たとえば心筋梗塞、卒中、腸管虚血、腎不全または出血性ショック、外傷性ショック、癌、たとえば乳癌、T細胞リンパ腫瘍またはT細胞白血病、新脈管形成、感染症、たとえば毒素性ショック(たとえば超抗原(superantigen)誘発)、敗血症性ショック、成人呼吸窮迫症候群またはウイルス感染症、たとえばAIDS、ウイルス性肝炎、慢性細菌感染、または老人性痴呆症の処置および/または予防に有用である。細胞、組織または固形臓器移植の例には、たとえば膵臓島、幹細胞、骨髄、角膜組織、神経細胞組織、心臓、肺、複合心肺、腎臓、肝臓、大腸、膵臓、気管または食道が含まれる。上記の使用のために、必要な服用量はもちろん投与方式、処置すべき個々の病状および所望の効果に依存して変化する。
【0035】
通常、約0.03〜2.5mg/kg体重の一日量の全身投与で、十分な結果が得られることが示される。大型哺乳動物、たとえばヒトで指示される一日投与量は、約0.5mg〜約100mgの範囲であり、たとえば、1日4回までの分割投与でまたは放出遅延型で投与するのが便利である。経口投与のための好適な単位投与形態では、約0.1〜50mgの活性成分が含まれる。
【0036】
たとえば、式IIである式Iの化合物は、任意の慣例的な経路で、特に経腸的に、たとえば、経口で、たとえば錠剤またはカプセルの形で、または非経口的に、たとえば注射用溶液または懸濁液の形で、局所的に、たとえばローション、ゲル、軟膏またはクリームの形で、または経鼻的にまたは坐薬の形で投与することができる。遊離形態または薬学的に許容される塩形態のたとえば、式IIである式Iの化合物を、少なくとも一つの薬学的に許容される担体または希釈剤と一緒に含む薬剤組成物は、慣例的な方法で、薬学的に許容される担体または希釈剤と混合することにより製造することができる。
【0037】
たとえば、式IIである式Iの化合物は、たとえば、上記に示されるように、遊離形態または薬学的に許容される塩形態で投与することができる。このような塩は、慣例的な方法で製造することができ、遊離化合物と同等な活性を示す。
【0038】
上記に従って、本発明はさらに以下のものを提供する:
1.1 処置を必要とする対象におけるリンパ球が介在する障害または疾患、たとえば上記のようなものを予防または処置する方法であり、該対象に有効量の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含んでなる方法;
【0039】
1.2 処置を必要とする対象における急性もしくは慢性移植拒絶反応またはT細胞介在炎症性もしくは自己免疫性疾患、たとえば上記のようなものを予防または処置する方法であり、該対象に有効量の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含んでなる方法;
【0040】
2. たとえば、上記1.1または1.2に示す任意の方法において、薬剤として使用するための、遊離の形態または薬学的に許容される塩の形態である式Iの化合物。
【0041】
3. たとえば上記1.1または1.2の任意の方法に使用するための、遊離の形態または薬学的に許容される塩の形態である、たとえば、式IIである式Iの化合物を、その目的のための薬学的に許容される希釈剤または担体と一緒に含んでなる薬剤組成物。
【0042】
4. 上記1.1または1.2の任意の方法に使用するための薬剤組成物の製造に使用するための、たとえば、式IIである式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩。
【0043】
式Iの化合物は、唯一の活性成分として、または、他の薬剤、たとえば、同種移植または異種移植片の急性または慢性拒絶反応または炎症性もしくは自己免疫性疾患の処置または予防のための、たとえば、免疫抑制剤または免疫調節剤または他の抗炎症剤、または、化学療法剤、たとえば、悪性細胞抗増殖剤と組み合わせて、たとえば、そのアジュバントとして投与し得る。たとえば式IIである式Iの化合物は、カルシニューリン阻害剤、たとえばサイクロスポリンA、FK506またはISATX247;mTOR阻害剤、たとえばラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、CCI779、ABT578、AP23573、AP23464、AP23675、AP23841、TAFA−93、バイオリムス7(biolimus 7)またはバイオリムス9(biolimus 9);免疫抑制特性を有するアスコマイシン、たとえばABT−281、ASM981など;S1P受容体アゴニスト、たとえば、FTY720またはそのアナログ;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;メトトレキサート;レフルノミド;ミゾリビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンまたは免疫抑制性ホモログ、そのアナログまたは誘導体;免疫抑制性モノクローナル抗体、たとえば、白血球受容体、たとえば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40、CD45、CD58、CD80、CD86またはそのリガンドに対するモノクローナル抗体;他の免疫調節性化合物、たとえば、CTLA4またはその変異体の細胞外ドメインの少なくとも一部、たとえば非CTLA4蛋白配列に結合したCTLA4またはその変異体の少なくとも細胞外部分を有する組み換え結合分子、たとえばCTLA4Ig(たとえば、ATCC68629として呼ばれている)またはその変異体、たとえばLEA29Y;接着分子阻害剤、たとえばLFA−1アンタゴニスト、ICAM−1または−3アンタゴニスト、VCAM−4アンタゴニストまたはVLA−4アンタゴニスト;または化学療法剤、たとえばパクリタキセル、ゲムシタビン、シスプラチン、ドキソルビシンまたは5−フルオロウラシル;または抗感染症剤と組み合わせて使用することができる。
【0044】
式Iの化合物が他の免疫抑制/免疫調節(immunomodulatory)、抗炎症、化学療法または抗感染症療法と共に投与される場合、併用投与される免疫抑制化合物、免疫調節化合物、抗炎症化合物、化学療法化合物または抗感染症化合物の投与量は、もちろん、使用される併用剤のタイプ、たとえばそれがステロイドかまたはカルシニューリン阻害剤か、使用される具体的薬剤、処置する病状などに依存して変化する。上記に従って、本発明は更に以下の態様を提供する:
【0045】
5. 治療的に有効な非毒性量の式Iの化合物を、少なくとも一つの第2薬剤物質、たとえば、上記のような、たとえば、免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤または化学療法剤と、たとえば、同時または順次に、共投与することを含んでなる、上記の方法。
【0046】
6. a)本明細書に開示される遊離の形態または薬学的に許容される塩の形態である式Iの化合物である第1薬剤、およびb)少なくとも一つの併用剤、たとえば免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤、化学療法剤または抗感染症剤を含んでなる、薬学的組み合わせ、たとえばキット。キットは、その投与のための指示書を含み得る。
【0047】
本明細書で使用する、“共投与(co-administration)”または“併用投与(combined administration)”などの用語は、選択した治療剤をひとりの患者に投与することを含むことを意味し、これらの薬剤を必ずしも同じ投与経路で、または同時に投与するとは限らない、治療計画(treatment regimens)を含むことを意図する。
【0048】
本明細書で使用する、“薬学的組み合わせ(pharmaceutical combination)”という用語は、1個以上の活性成分を混合することまたは組み合わせることに由来する生成物を意味し、活性成分の固定されたまたは固定されていない組み合わせの両方を含む。“固定された組み合わせ”という用語は、活性成分、たとえば式Iの化合物と併用剤の両方を一人の患者に同時に一つの存在物(single entity)または調剤(dosage)の形態で投与することを意味する。“固定されていない組み合わせ”という用語は、活性成分、たとえば式Iの化合物と併用剤の両方を、一人の患者に別々の存在物として、一緒に、同時に、あるいは順次に、特定の時間的制限なしに投与することを意味し、こうした投与は、治療的有効量の二つの化合物を患者の体内に提供する。後者はまたカクテル療法、たとえば、3種またはそれ以上の活性成分の投与にも適用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離の形態または塩の形態である式I
【化1】

{式中、
は、C1−6アルキル;ヒドロキシ、C1−2アルコキシまたは1〜6個のフッ素原子によって置換されるC1−6アルキル;C2−6アルケニル;またはC2−6アルキニルであり、
は、C1−10アルキル;C1−10ハロアルキル;C1−9アルコキシ;C1−9ハロアルコキシであり;前記のそれぞれは、所望により、フェニル、フェノキシ、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環残基(ここで、フェニル、フェノキシ、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環残基は、それぞれ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシ、C3−6シクロアルコキシ、C3−6シクロアルキルC1−2アルキル、シアノ、フェニル、およびヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C1−4アルコキシ、またはシアノによって置換されるフェニルから選択される1〜5個の置換基によって環が置換されてもよい)によって末端の炭素原子上で置換されるか;
または式(b)
【化2】

[式中、
10は、C1−6アルキルであり、そして、
11は、C1−6アルキル;C1−10ハロアルキルであり;前記のそれぞれは、所望により、フェニル、フェノキシ、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環残基(ここで、フェニル、フェノキシ、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環残基は、それぞれ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ、C3−6シクロアルコキシ、C3−6シクロアルキルC1−2アルキル、シアノ、フェニル、およびヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキルまたはシアノによって置換されるフェニルから選択される1〜5個の置換基によって環が置換されてもよい)によって末端の炭素原子上で置換される]
の残基であり、
は、Z−X〔ここで、Zは、CH、CHF、CHMeまたはCFであり、そして、XはOHまたは式(a)
【化3】

(式中、Zは、直接結合、CH、CHF、CFまたはOであり、RおよびRのそれぞれは、独立して、Hであるか、または1、2または3個のハロゲン原子によって、所望により、置換されるC1−4アルキルである)〕の残基であり;そして、
およびRのそれぞれは、独立して、H;1、2または3個のハロゲン原子によって、所望により、置換されるC1−4アルキル;またはアシルであり、そして、
環Aは、Rによって、そして二つの更なる置換基によって置換される}
の化合物。
【請求項2】
環Aの二つの更なる置換基がメチル、メトキシ、トリフルオロメチル、クロロ、フルオロまたはブロモから選択される請求項1記載の化合物。
【請求項3】
遊離の形態または塩の形態である式II
【化4】

{式中、
は、C1−6アルキル;ヒドロキシ、C1−2アルコキシまたは1〜6個のフッ素原子によって置換されるC1−6アルキル;C2−6アルケニル;またはC2−6アルキニルであり、
は、C1−10アルキル;C1−10ハロアルキル;C1−9アルコキシ;C1−9ハロアルコキシであり;前記のそれぞれは、所望により、フェニル、フェノキシ、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環残基(ここで、フェニル、フェノキシ、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環残基は、それぞれ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ、C3−6シクロアルコキシ、C3−6シクロアルキルC1−2アルキル、シアノ、フェニル、およびヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C1−4アルコキシ、またはシアノによって置換されるフェニルから選択される1〜5個の置換基によって環が置換されてもよい)によって末端の炭素原子上で置換されるか;
または式(b)
【化5】

[式中、
10は、C1−6アルキルであり、そして、
11は、C1−6アルキル;C1−10ハロアルキル;前記のそれぞれは、所望により、フェニル、フェノキシ、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環残基(ここで、フェニル、フェノキシ、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環残基は、それぞれ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ、C3−6シクロアルコキシ、C3−6シクロアルキルC1−2アルキル、シアノ、フェニル、およびヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキルまたはシアノによって置換されるフェニルから選択される1〜5個の置換基によって環が置換されてもよい)によって末端の炭素原子上で置換される]
の残基であり、
は、Z−X〔ここで、Zは、CH、CHF、CHMeまたはCFであり、そして、XはOHまたは式(a)
【化6】

(式中、Zは、直接結合、CH、CHF、CFまたはOであり、そして、RおよびRのそれぞれは、独立して、Hであるか、または1、2または3個のハロゲン原子によって所望により置換されるC1−4アルキルである)〕の残基であり;そして、
およびRのそれぞれは、独立して、H;1、2または3個のハロゲン原子によって、所望により、置換されるC1−4アルキル;またはアシルであり;そして、
およびRのそれぞれは、独立して、ヒドロキシ;ハロゲン;C1−4アルキル;C1−6シクロアルキル;C1−4アルコキシ;C1−6シクロアルコキシ;C3−6シクロアルキルC1−2アルキル;C1−4ハロアルキル;C1−4ハロアルコキシ;またはシアノである}
の化合物。
【請求項4】
環Aの二つの更なる置換基のそれぞれまたはRおよびRのそれぞれが、独立して、Rのオルト位に存在する請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
環Aの二つの更なる置換基のそれぞれまたはRおよびRのそれぞれが、独立して、メチル、トリフルオロメチル、クロロまたはブロモである請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が、C1−7アルキルまたはC1−6アルコキシである請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
薬剤として使用するためおよび薬剤の製造に使用するための請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩をその目的のための薬学的に許容される希釈剤または担体と一緒に含んでなる薬剤組成物。
【請求項9】
遊離の形態または薬学的に許容される塩の形態である請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物と少なくとも一つの併用剤を含んでなる薬学的組み合わせ。
【請求項10】
対象の、リンパ球が介在する疾患または病気を予防または処置する方法および急性または慢性移植拒絶反応またはT細胞が介在する炎症性または自己免疫疾患を予防または処置する方法であって、有効な量の請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩をそれを必要とする対象に投与することを含んでなる方法。

【公表番号】特表2006−527231(P2006−527231A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515899(P2006−515899)
【出願日】平成16年6月11日(2004.6.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006318
【国際公開番号】WO2004/110979
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】