説明

スプリングサスペンションアセンブリ

内側キャリア(56,117A)と外側キャリア(86,120)に取り付けられた複数のばね要素(77,83,77A,77B,77C,83A,83B,83C,787E,88F,77G,77H,77I,116,117,132,133,141,142)を有し,各配列(76,82,76A,76B,82A,82B)が,対向又は相殺する向きに向けられ,各ばね要素(77,83,77A,77B,77C,83A,83B,83C,787E,88F,77G,77H,77I,116,117,132,133,141,142)が円弧に対応する形状を有する車両用のスプリングサスペンションアセンブリであって,外側キャリア(86,120)が,車両のシャシに取り付けられるように適応され,内側キャリア(56,117A)が,車両の車軸シャフトに取り付け可能であることを特徴とするスプリングサスペンションアセンブリ(50,50A)。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は,車軸,駆動軸及び他の細長い部材を支持するために使用することができる改良されたスプリングサスペンションアセンブリに関する。本発明は,特にホイールサスペンションアセンブリに関する。
【0002】
ホイールサスペンションアセンブリは周知であり,基本的に,1対のホイールを相互接続する車軸に取り付けられた,対向する板ばねアセンブリを有し,各板ばねアセンブリは,それぞれの端部で車体の下側にも取り付けられている。また,油圧又は空気圧シリンダ等の1対の油圧又は空気圧ダンパが設けられることがあり,これらのダンパは,作動油や空気等の流体源に連結される。流体が各ダンパ内に入ると,各ダンパから流体が抜き出されたときの状態と比べて,より大きい耐荷重能力が車両に提供される。
【0003】
同様に板ばねアセンブリを使用するホイールサスペンションアセンブリは,米国特許第4,614,359号公報及び米国特許第5,217,248号公報に記載されている。米国特許第4,614,359号公報には,横方向に延在する板ばねを有するホイールサスペンションが記載されており,この板ばねは,スプリングコネクタ(spring connector)を操作することによって,車両の車輪案内装置の変更と独立してスプリングコネクタの外側端部を上下させ,車両のシャシを所望の高さ又はレベルに調整するように適応されている。
【0004】
米国特許第5,217,248号公報には,1対の板ばね,及びアンチロールバー又は管に連結された別の板ばね,オイルスプリング,液圧シリンダ,空気圧シリンダ,又はエラストマサスペンション部材を有する車両サスペンションアセンブリが記載されている。また,1対の板ばねのアーム間に連結されたアンチロールバー又は管の形状の安定化アセンブリが設けられている。
【0005】
米国特許第7,237,779号公報には,コイルスプリング又はつる巻きばねを使用する,他のホイールサスペンションアセンブリが記載されており,車両のばね上重量(spring weight)を支持するサスペンションコイルスプリングと,路面ホイールを支持すると共にサスペンションスプリングの下端部に連結されて,サスペンションスプリングの変形に応じて回動する回動式ばね下部材と,ばね上重量の影響を受けないように適合されると共に,ばね下部材を動かしてサスペンションスプリングの長さを増減し,それにより路面ホイールにおいて車両高さを調整できるようにした駆動機構とが設けられている。コイルスプリング又はつる巻きばねを使用する他のホイールサスペンションアセンブリは,米国特許第7,237,780号公報に開示されており,この特許には,コイルスプリングの一方を他方に対して軸方向に移動させるアクチュエータも記載されている。他のホイールサスペンションアセンブリは,米国特許第3,966,322号公報,米国特許第4,143,887号公報,米国特許第3,162,091号公報,米国特許第4,348,016号公報,米国特許第4,923,209号公報,米国特許第5,580,089号公報,米国特許第5,915,705号公報,及び米国特許第6,247,688号公報に記載されている。
【0006】
エアスプリング又は空気圧シリンダをキャリアアームアセンブリと組み合わせて使用するホイールサスペンションアセンブリが,米国特許第4,379,572号公報に記載されている。エアスプリングは,その圧縮率(compensability)を制御するため調整可能であり,したがって,車両の乗車特性及び車軸のアライメントも制御する。
【0007】
米国特許第4,168,075号公報は,車両荷重及び/又は車両速度の変化に応じて車両の各側で調整することができる回動可能なホイール制御部材又はガイド部材を有する独立した後輪サスペンションアセンブリを記載している。
【0008】
前述の従来のホイールサスペンションアセンブリの1つの大きな短所は,動作が過度に複雑であり,適切なダンパ又は衝撃吸収部材として液圧シリンダ又は空気圧シリンダの使用を必要とし,或いはコイルスプリングの圧縮度を制御するためにアクチュエータと共に使用されるコイルスプリングアセンブリの使用を必要とすることである。すなわち,得られたホイールサスペンションは,サスペンションアセンブリが,車両の車軸並びに車両のシャシに取り付けられているので,横方向に動くことができず,したがって,車体への衝撃によって伝わる衝撃が,車両サスペンション,シャシ,又は車両トランスミッション等の他の可動部品アセンブリの破損の原因となる。
【0009】
更に,従来のホイールサスペンションアセンブリは,嵩張るか又は重くて扱いにくく,したがって,坑内機械装置に要求される狭い旋回円又は小さな旋回円を必要とする関節式機械装置を構成する能力が制限される。したがって,坑内機械装置は,安全上の問題があるだけでなく,より多くの保守を必要とする車両サスペンションを具備していなかった。
【0010】
また,高さの調整と荷重補償を含む可変車両サスペンションを提供する一般的な方法は,漏出しやすいガススプリング又はエアスプリングの使用によるものである。
【0011】
したがって,本発明の目的は,構造が単純で動作が効果的な車両用スプリングサスペンションアセンブリを提供することである。
【0012】
本発明によるスプリングサスペンションアセンブリは,内側キャリアと外側キャリアにそれぞれ取り付けられた複数のばね要素を有し,ばね要素のそれぞれの配列(array)が,対向する(opposing)向き又は相殺する(counteracting)向きに向けられ,各ばね要素が,実質的に円弧に対応する形状を有し,前記外側キャリアが,車両のシャシに取り付けられるように適応され,前記内側キャリアが,車両の車軸又はシャフトに取り付け可能であることを特徴とする。
【0013】
内側キャリアは,車両の車軸又はシャフトに取り付け可能又は溶接可能な取り付けフランジ,或いは車両の車軸又はシャフトと一体の取り付けフランジを有していてもよい。或いは,内側キャリアは,車両の車軸又はシャフト上への取り付けに適した直径又は横断寸法を有する環状部材,又は車軸又はシャフトを包囲するハウジングであってもよい。
【0014】
外側キャリアは,ばね要素のそれぞれの配列を保持するための開口部を有する外側ハウジングを有してもよく,或いは,外側ハウジングに取り付け可能な環状部材を有していてもよい。
【0015】
別の態様のスプリングサスペンションアセンブリは,車軸又はシャフトと,車軸又はシャフトの隣接端部に取り付けられた前述のような1対のスプリングサスペンションアセンブリとを含むサスペンションシステムに関係する。
【0016】
また,シャフトが,プロペラ軸,又はより好適には車両の車軸を構成してもよいことを理解されたい。プロペラ軸の場合は,本体がプロペラ軸用の支持体で,車両の車軸の場合は,支持体が車両のシャシとなる。
【0017】
国際公開第2006/116807号公報を参照すると,非空気入りタイヤアセンブリについて言及されている。この非空気入りタイヤアセンブリは,外側のリムアセンブリ,内側の車両ハブ連結部材,該外側のリムアセンブリと該内側の車両ハブ連結部材の間にある区画,及びこの区画内にあり対向又は相殺する向きに向けられた複数のばね要素を有する。国際公開第2006/116807号公報の全内容は,参照のために本明細書において援用する。
【0018】
前述のような環状内側キャリアは,それに隣接する,例えば球軸受ハウジング又はころ軸受ハウジングの形状の環状ブシュ又は軸受ハウジングを有していてもよく,後述するように耐荷重調整のための複数のばね要素の回転を容易にする。或いは,複数のばね要素が固定されるように設計された場合は,ブシュ又は軸受は省略することができる。内側キャリアは,好ましくは,硬質の環状部材である。この硬質環状部材は,ばね要素の隣接する内側端部を硬質環状部材に相互接続する固定具と共に使用するための,開口部,ソケット又は取り付けピン又は突起の形状の取り付け部材を有する。そのような取り付けソケットと固定具は,例えば国際公開第2006/116807号公報の図14で検討されているタイプのものでよい。硬質の環状部材は,また,ばね要素の隣接する配列を支持するために内側面に複数のレースを備えてもよい。そのようなレースは,ばね要素に予め荷重をかけ,後で荷重を調整するための手段を提供するのに有用である。
【0019】
内側キャリアは,車両の車軸又はシャフトに摺動可能に取り付けられてもよく,環状ブシュ又は軸受は,車軸又はシャフトを受ける内側面を有する内側円形開口部を有していてもよい。或いは,前述のように,内側キャリアは車軸に溶接されるか強固に取り付けられてもよく,これは,車軸によって相互接続されたスタブ車軸に車輪が取り付けられる場合に適している。
【0020】
前述のようなばね要素は,対向するばね要素の両方の配列が単一平面内に位置する状態で本発明のサスペンションアセンブリを単一平面で支持するのに十分な幅を有する。しかしながら,より好ましくは,ばね要素の各配列が,異なる平面内に配置される。各配列の各ばね要素は,形状が類似していてもよいが,より好ましくは,各ばね要素は,異なる幅又は厚みを有するか或いは異なる材料で形成され,ばね要素の各配列が90°以下の鋭角の角度だけ回転されると,サスペンションアセンブリは,回転後に回転前と異なる耐荷重能力を有する。したがって,例えば,各配列の複数のばね要素は,回転後に,より大きい耐荷重能力を有するように変更される。何故なら,最初の実質的に水平方向の向きから実質的に垂直方向の向きに変化するからである。そのようなばね要素は,各配列の他のばね要素に比べて,より重いか,より厚いか,より幅が広いか,より強度が高い材料から作られており,各配列の他のばね要素は,より軽いか,より薄いか,より幅が狭いか,より強度が低い材料から作られており,より低い耐荷重能力を有する。すなわち,ばね要素の配列は,耐荷重が小さいばね要素が耐荷重が大きいばね要素よりも多く垂直向きに向けられるように回転されるか,その逆に,耐荷重が大きいばね要素が耐荷重が小さいばね要素よりも多く垂直向きに向けられるように回転される。回転量は,場合によって,30°,45°又は90°とすることができる。
【0021】
また,外側キャリアは,硬質の又は可撓性の材料の連続環状部材とすることができる。この環状部材は,複数のばね要素の隣接する外側端部に連結するために,接続ソケット,開口部,ピン,突起等の適切な連結手段を内側面上に有する。好ましくは,国際公開第2006/116807号公報の図15に示されているような接続ソケット,固定具,及び保持突起が使用される。
【0022】
外側ハウジングは,また,必要に応じてばね要素の配列を回転させるための軸受ハウジング又はブシュを有してもよい。軸受ハウジングは,球軸受,ころ軸受,又は他の適切な軸受を使用して,1対のばねの配列が,内側キャリアと関連付けられたブシュ又は軸受ハウジング,並びに外側キャリアと関連付けられたブシュ又は軸受ハウジングに対して容易に回転するようにしてもよい。この状況で,当然ながら,外側キャリアと内側キャリアは,支持ブシュ又は軸受ハウジングに対して回転する。
【0023】
外側ハウジングは,また,車両のシャシ又は車両のシャシ部材に取り付けられるように適応された部分を有してもよい。したがって,一形態では,外側ハウジングは,シャシ又はシャシ部材の対応する面に溶接又は適切な固定具の使用によって取り付けるために,シャシ又はシャシ部材の対応する面に当接する平坦面を有してもよい。好ましい形態では,外側ハウジングの上部は,この目的のために実質的に水平面内に位置合わせされた面を有してもよい。
【0024】
対向するばねの1対の配列は,それらを支持する内側及び外側の硬質の環状キャリアと共に,任意の適切な手段によって,それぞれの内側ブシュ,外側ブシュ,又は軸受ハウジングに対して移動可能であってもよい。一形態では,外側キャリアは,リングギヤ又はインナーギヤを有しており,ギヤは,その内面,より好ましくはその外面に複数の歯を有する。リングギヤは外側キャリアの内側拡張部を形成してもよい。或いは,リングギヤは別個の部材であってもよい。
【0025】
また,リングギヤを起動させるためのアクチュエータが設けられていてもよい。一形態では,これは,適切な駆動モータの駆動軸の外側端部に取り付けられたウォームギヤを構成していてもよい。駆動モータは,電気モータ,空気圧モータ,又は油圧モータとすることができる。駆動モータは,レーザの使用によって,又は車両に荷物を積み下ろしするときに自動的に作動するロードセル等によって,駆動モータから離れた場所で作動させることができる。そのような自動操作は,また,油圧又は空圧ラムアセンブリの助けを必要とすることがある。
【0026】
ばねの配列を起動させる代替手段は,外側環状部材の周囲の単一の場所に連結された機械的なてこシステムを有してもよく,この機械的なてこシステムは,外側リムアセンブリと別の構成要素でもよく,硬質環状部材の拡張部分でもよく,又は回転可能な板の反対側の場所に連結された1対のレバーの動きを開始する油圧ジャッキであってもよい。
【0027】
次に,添付図面に示すような本発明の好適な実施形態を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来の板ばね車両サスペンションアセンブリの斜視概略図である。
【図2】本発明の車両サスペンションアセンブリの一実施形態の斜視図である。
【図3】本発明の車両サスペンションアセンブリの別の実施形態の斜視図である。
【図4】図3に示す車両サスペンションアセンブリの分解斜視図である。
【図5】隣接した硬質環状部材又はキャリア部材に対するばね要素の内側端部の相互接続の斜視図である。
【図6】図5に示された構成の詳細図である。
【図7】対向するばねの各配列及び関連したキャリア部材を車両のシャシに対して回転させるのに適した手段の斜視図である。
【図8】図5に示された構成の正面図である。
【図9】異なる厚みを有するばね要素の1対の配列の斜視図である。
【図10】対向するばね要素の2対の配列を示す斜視図である。
【図11】図10に示された各対の配列の向きを示す概略図である。
【図12】1個の配列のばね要素の斜視図で,幅の増大範囲を示す。
【図13】ばねの二重の配列及び関連したキャリア本体の回転を示し,弱軸と強軸が水平方向に示される。
【図14】ばねの二重の配列及び関連したキャリア本体の回転を示し,弱軸と強軸が水平方向に示される。
【図15】ばねの二重の配列及び関連したキャリア本体の回転を示し,弱軸が略垂直向きに対応する傾いた向きで示される。
【図16】図3に示すスプリングサスペンションアセンブリが,可動シャフト又は車軸を収容する支持ハウジングと共に使用される本発明の別の実施形態の斜視図である。
【図17】プロペラ軸を支持するために使用される際の,図3で使用されたスプリングサスペンションアセンブリを示す。
【図18】ばね要素が車両のシャフトに直接取り付けられた,本発明の代替実施形態を示す。
【図19】ばね要素が車両のシャフトに直接取り付けられた,本発明の代替実施形態を示す。
【図20】外側スプリングアセンブリを更に含む図18,図19に示すものと類似の実施形態を示す。
【図21】外側スプリングアセンブリを更に含む図18,図19に示すものと類似の実施形態を示す。
【図22】各ばね要素を内側キャリアと外側キャリアに取り付ける代替構成を示す。
【0029】
図1において,従来の板ばねサスペンションアセンブリ10は,車軸11,差動装置12,油圧又は空気圧モータ13,コントロールボックス14,及び作動油又は空気を入口19及び20を介して液圧シリンダ又は空気圧シリンダ17及び18に出し入れするための流体導管15又は16を有する。シリンダ17及び18はそれぞれ,車両のシャシ(図示せず)に取り付けるための取り付けブロック21及び22を有する。シャシに加わる荷重が大きい場合には,流体がシリンダ17及び18に導入され,荷重が小さい場合には,流体がシリンダ17及び18から抜き取られる。また,1対の板ばねアセンブリ23及び24が設けられ,板ばねアセンブリ23及び24はそれぞれ,板ばね25,26,27及び28を有し,図示のような弓形形状を有し,クランプ29によって互いに結合される。各板ばねアセンブリ23及び24は,サスペンションアセンブリ10の両側で1対のUボルト30及び31によって車軸11に取り付けられる。各Uボルト30及び31は,取り付け板32を通り,ナット33によって保持される。車軸11は,ホイールハブ35を従来の方式で取り付けるための突出部34を有する。各板ばねアセンブリは,仮想線で示す隣接したシャシ部材37に取り付けるための取り付けブラケット36とその関連した取り付け孔40を有する。各板ばねアセンブリ23及び24には,渦巻き状の端部38が設けられている。また,取り付け孔41を通る固定具(図示せず)によって隣接した渦巻き状の端部38をシャシ部材37に取り付けるための垂直ブラケット39が示されている。
【0030】
図2には,車軸ハウジング51によって相互接続された本発明の1対のホイールサスペンションアセンブリ50が示されている。差動装置52と1対のスプリングアセンブリ53も示され,1対のスプリングアセンブリ53はそれぞれ,外側リムハウジング又はキャリア55及び内側キャリア56を有する。各内側キャリア56は,車軸ハウジング51に摺動可能に取り付けられるか又は溶接される。各外側ハウジング又はキャリア55は,操舵機構(図示せず)を収容するための凹部58を有し,それにより,スプリングアセンブリ53は,各ホイール60を仮想線で示された方向に動かすために操舵アセンブリと関連して使用することができる。ホイール60は,外側ハブ部材62に取り付けることができる。また,各上側拡張部57には表面63を有する端部59が設けられ,シャシ部材64は,表面63に溶接されるか他の方法で取り付けられる。しかしながら,後で実施形態に示すように,凹部58を省略してもよいことを理解されたい。
【0031】
図3において,本発明の別の実施形態を参照することができ,各ホイールサスペンションアセンブリ50Aは,車両のシャシ(図示せず)のフレーム部材64に取り付けるように適応されている。車軸51と差動装置52も示されている。各サスペンションアセンブリ50Aは,外側ハウジング又はキャリア55並びに内側キャリア56内に取り付けられたスプリングアセンブリ53を有する。或いは,スプリングアセンブリ56は,外側ハウジング又はキャリア55内に保持可能な外側環状部材56A内に配置することができる。各外側ハウジング55には,シャシフレーム部材64に取り付けるための取り付け口40を有する上側取り付け拡張部57Aが設けられている。
【0032】
また,各サスペンションアセンブリ50Aは,後で詳述する理由のために,サスペンションアセンブリ50Aを回転させるためにスプロケット又はプーリホイール70の歯69と歯合するウォームギヤ68を備えた駆動軸67を有する駆動モータ66を含む。
【0033】
図4には,サスペンションアセンブリ50Aの詳細な分解図が示され,サスペンションアセンブリ50Aは,車軸ハウジング51と,封止リング71及び72,内側ブシュ又はころ軸受73と,ブシュインサート75を有する内側キャリア部材56と,内側端ソケット78と外側端ソケット79を有するばね要素77の配列76と,内側ソケット84と外側ソケット85とを有するばね要素83の配列82と,内側ソケット78と内側ソケット84を内側キャリア部材56に相互接続する固定具81と,外側ソケット79及び85を,取り付け孔87を有する外側キャリア部材86に相互接続する固定具90と,歯69を有するリングギヤ70と,ブシュ91と,該ブシュ91を保持するための中心孔93を有する外側ハウジング55とを有する。上側拡張部57Aは,取り付け孔40を通る固定具(図示せず)を使用することによって,図3に示すシャシ部材64に取り付けるための取り付け面94を有する。
【0034】
また,ばね要素77を内側キャリア56の外側レース56A内に設け,ばね要素83を外側レース56B内に設けることができることを理解されたい。同様に,ばね要素77を外側キャリア86の内側レース86A内に設け,ばね要素83を外側キャリア86の外側レース86B内に設けてもよい。
【0035】
図5及び図6は,ばね要素77の配列76及びばね要素83の配列82が,内側キャリア56のレース56A及び56B内にどのように収容又は保持されているかを示す。したがって,各インサート又はブシュ75が図示されたように内側端ソケット78及び84に挿入され,短いインサート又はブシュ104が図6に示すように孔100に挿入された状態で,一体型ヘッド98と保持ナット99を有する細長いピン81が,内側キャリア56の各フランジ103の1列の位置合わせされた取り付け孔100に挿入される。内側端ソケット78及び84はそれぞれ,隣接したフランジ103間のレース56A及び56B内にそれぞれ配置され,ピン81を短いインサート104,長いインサート75に挿入し,ナット99に取り付けることによって,所望の位置に保持される。図6は,孔100の内部通路107内に保持されたインサート104と,内部通路106内に保持されたインサート75を示す。
【0036】
ばね要素77及び83の外側端ソケット79及び85がそれぞれ,固定具81と類似の細長い固定具90によって,類似の方法で外側キャリア86の内側レース86A及び86B内に保持できることを理解されたい。
【0037】
図7及び図8は,図4に示す構成要素の組立図であり,またウォームギヤ68と歯69間の相互接続を示す外側ハウジング55とリングギヤ70の詳細図を示し,相互接続によって,ばねの配列76及び82及びそれらに対応する硬質キャリア56及び86が固定外側ハウジング55に対して回転する。
【0038】
図8は,ばねの配列76のばねが,比較的薄いばね77Aと,中間の厚みのばね77Bと,より大きい厚みのばね77Cとによって示されたような異なる厚みを有する本発明の別の実施形態を示す。これの関連性を以下に説明する。
【0039】
図9は,ばねの配列76及び82の向きがどのように決められるかを示し,図示のばね77A,77B及び77Cは,図8で述べたように異なる厚みをそれぞれ有する。ばねの配列82が,同様に異なる厚みのばね83A,83B及び83Cを有し,そのようなばねが,ばね77A,77B及び77Cと対向又は相殺する向きに向けられていることに注意されたい。
【0040】
図10に示す別の実施形態では,全て厚みが等しく幅が異なるばね77の2つの配列76A及び76Bと,全て厚みが等しく幅が異なるばね83の2つの配列82A及び82Bが示されている。したがって,本発明は,特定の対の各配列が対向又は相殺する向きとなっている,複数対を成すばねの多数の配列を意図するものである。
【0041】
図11は,逆向き関係の矢印によって示すような逆向きの関係のばねの配列を示す。
【0042】
図12は,全て異なる幅を有するばね77E,77F,77G,77H及び77Iをそれぞれ有する逆向きの関係のばねの配列76C及び76Dを示す。これは,図9に示したものの変形例である。
【0043】
図13〜図15は,異なる幅又は厚みのばね77,又は異なる材料で作成されたばね77を設けることが,ばね要素77A,77B及び77Cの回転によって,水平面内の軸「B−B」によって定義された弱軸,又は垂直面内の軸「A−A」によって定義された強軸が提供されることを示す。ばね要素77A,77B及び77Cを90°回転させることで,図14において逆の関係が得られ,これは,車両に強力な耐荷重能力を提供しなければならないときには,図13に示した構成が好ましいことを意味する。しかし,ばね要素77A,77B及び77Cを,図14に示した位置まで回転させることによって,車両により少ない耐荷重能力を付与することができる。図15では中間の耐荷重能力を得ることができ,図15は,図14に示したものに対して22.5°の回転を示す。車両のシャフト51Aも示されている。
【0044】
図16は,本発明の別の実施形態を示し,ばねの配列76及び82並びにそれらの関連した硬質キャリア56及び86が,長手方向又は回転方向に可動なシャフト111を保護するための中空ケーシング110を設けることができる。この実施形態では,シャフト111は,これらの動きのどちらも可能である。
【0045】
図17は,本発明の別の実施形態を示し,プロペラ羽根113を有するプロペラ軸112を支持するためにスプリングサスペンションアセンブリ50を使用することができる。
【0046】
図18及び図19は,サスペンションアセンブリ100に関する本発明の別の変形例を示し,対向する異なる配列のばね要素116及び117を含むスプリングアセンブリ115は,その内側端部116Aが固定具98によってシャフト118の取り付けフランジ117に固定され,その外側端部116Bは固定具99によって外側キャリア120のフランジ119に取り付けることができる。外側キャリア120は,ブシュ121,内側軸受ハウジング122,及び外側軸受ハウジング124を有する。軸受レース123も設けられる。したがって,外側キャリア120は,図1及び図2に示すように外側ハウジング55に固定することができる。したがって,外側キャリア120とスプリングアセンブリ115は,シャフト118と一体的に回転する。この構成は,組み合わされたサスペンションとショックアブソーバとして極めて有用であり,従来のショックアブソーバを最小にするか又は省略することもできる。
【0047】
図20及び図21に示すような代替の構成では,外側キャリア120と外部ケーシング125との間に挟持された外側スプリングアセンブリ130が更に設けられており,この得られたアセンブリ131は,車両が道路の深い窪みに衝突するときのようなより大きい衝撃を吸収するために使用することができる。スプリングアセンブリ130は,対向する向きのばね要素132及び133を含むことができる。ばね132及び133はそれぞれ,その内側端部を固定具135によってフランジ134に取り付け,その外側端部を固定具137によって外側ケーシング125に取り付けることができる。
【0048】
別の変形例では,スプリングアセンブリ130は,図7に示すようなギヤアセンブリによって,外部ハウジング(図20及び図21には示されていないが,図7に示すハウジング55に対応する)に対して回転させることができ,それにより,スプリングアセンブリが,図13,図14及び図15に示すように選択された角度の変位で回転することができ,その結果,車両を,荷物を積む位置から荷物を下ろす位置に変えることができる。ギヤアセンブリは,油圧又は空圧ラムアセンブリ等の任意の適切なアクチュエータによって作動されてもよく,プーリとケーブルの構成によって作動されてもよい。スプリングアセンブリ130の回転は,走行中に一定位置に保持することができる。一構成では,外側ケーシング125は,図7に示すリングギヤ69に対応してもよい。
【0049】
図22に示す更に別の構成では,図22に示す相殺する向きのばね要素141及びばね要素142の配列を含むスプリングアセンブリ140を取り付ける別の方法が示され,ばね141の内側端部144は,内側キャリア56のスロット又はキー溝143に取り付けられ,ばね141の外側端部145は,外側キャリア86に設けたスロット又はキー溝146に取り付けられる。同様に,ばね142の内側端部147は,内側キャリア56のスロット又はキー溝148に取り付けられてもよく,ばね142の外側端部149は,外側キャリア86のスロット又はキー溝150に取り付けられてもよい。これは,図5及び図6に示すピン81及び90を使用するよりも構造的にはるかに単純な構成である。
【0050】
したがって,以上のことから,ばね要素の対向する配列を使用する本発明のスプリングサスペンションアセンブリは,極めて単純な構造であり,また使用時において極めて効果的であることが理解されよう。また,図8,図9,図10,図11及び図12に示されたもの,図13〜図15に示されたもの,図18及び図19,図20及び図21に示されたもの,及び図22に示されたもの等の多数の応用例がある。
【0051】
また,図2,図3及び図16に示すように,本明細書で使用した「車両の車軸又はシャフト」という用語は,その範囲内に,中空の内部を有し,それにより回転可能な軸又はシャフト及びそれを包囲する軸受を含む図2及び図3に示すような車両の車軸又はシャフトハウジングを含むものであることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側キャリアと外側キャリアにそれぞれ取り付けられた複数のばね要素を有し,前記ばね要素の各配列が対向又は相殺する向きに向けられ,各ばね要素が実質的に円弧に対応する形状を有し,前記外側キャリアは,車両のシャシに取り付けられるように適応されており,前記内側キャリアは,車両の車軸又はシャフトに取り付け可能であることを特徴とする車両用のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項2】
前記内側キャリアが,前記車両のシャフトに取り付け可能又は溶接可能な取り付けフランジ,或いは前記車両のシャフトと一体の取り付けフランジである請求項1記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項3】
前記内側キャリアが,前記車両の車軸又はシャフト上への取り付けに適した直径又は横断寸法を有する環状部材,或いは前記車軸又はシャフトを包囲するハウジングである請求項1記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項4】
環状ブシュ又は軸受を更に有する請求項3記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項5】
前記外側キャリアが,前記車両のシャシに取り付け可能で,前記ばね要素の前記各配列を保持するための開口部を有する外側ハウジングを有するか又は含む請求項1〜4いずれか1項記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項6】
前記外側キャリアが,前記車両のシャシに取り付け可能な前記外側ハウジングに取り付け可能な環状部材である請求項1〜4いずれか1項記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項7】
ブシュ又は軸受を更に有する請求項5又は6記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項8】
前記内側キャリア及び外側キャリアが両方とも,(i)前記ばね要素のそれぞれの外側端部を前記外側キャリアに取り付ける際と,(ii)前記ばね要素のそれぞれの内側端部を前記内側キャリアに取り付ける際に,固定具と共に使用する開口部,ソケット,ピン又は突起を含む取り付け部材を具備する請求項1〜7いずれか1項記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項9】
前記内側キャリアが,前記ばね要素の隣接する前記配列をそれぞれ保持するための複数のレースを具備する請求項1〜8いずれか1項記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項10】
前記外側キャリアが,前記ばね要素の隣接する前記配列を保持するための複数のレースを具備する請求項1〜9いずれか1項記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項11】
前記ばね要素の前記各配列が,異なる平面内の向きを有する請求項1〜10いずれか1項記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項12】
前記ばね要素の前記各配列が,異なる幅又は厚みを有するか異なる材料で形成され,それにより,前記各配列が回転する際に,サスペンションアセンブリが回転後に回転前と異なる耐荷重能力を有する請求項1〜11記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項13】
前記外側ハウジングが,必要なときに前記ばね要素の前記各配列を回転させるための軸受又はブシュを有する請求項5又は6記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項14】
前記外側ハウジングが,車両の前記シャシの対応する面への取り付けを容易にする平坦面を有する請求項5,6又は7いずれか1項記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項15】
前記ばね要素の各配列が,アクチュエータによって作動されたときに移動可能である請求項1〜14記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項16】
前記外側キャリアが,更に前記ばね要素の前記各配列の隣接する外側端部に取り付けるための複数の取り付け孔を有し,それにより,前記ばね要素の前記各配列が,使用時に車両の前記シャフトの回転と一体的に回転する請求項2記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項17】
前記外側キャリアの外側に配置された軸受又はブシュを有する請求項16記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項18】
対向又は相殺する向きに向けられた前記ばね要素の各配列を具備する外側スプリングアセンブリを更に具備し,前記各ばね要素が実質的に円弧に対応する形状を有する請求項16又は17記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項19】
前記外側スプリングアセンブリが,前記外側キャリアに対して移動可能である請求項18記載のスプリングサスペンションアセンブリ。
【請求項20】
前記ばね要素の各配列が,前記内側キャリアと前記外側キャリアのそれぞれに配置された対応するキー溝又はスロットに取り付け可能なそれぞれの内側端部と外側端部を有する請求項1〜7及び請求項9〜19のいずれか1項記載のスプリングサスペンションアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2012−508134(P2012−508134A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534973(P2011−534973)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【国際出願番号】PCT/AU2009/001468
【国際公開番号】WO2010/054428
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(507357003)ビッグ タイア プロプライエタリー リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】BIG TYRE PTY LTD
【Fターム(参考)】