説明

スペアタイヤ用の保持システム

【課題】移動を選択的に禁止できる摺動可能な収納トレイを含む簡単、軽量で費用対効果が大きいスペアタイヤ保持システムを提供すること。
【解決手段】車のスペアタイヤ用の保持システムは底部をもつチャンバを含む。トレイが、伸長位置と収納位置の間で底部に対して第1方向に移動するように構成される。少なくとも1つの取り外し可能な相互連結部材が、第1方向のトレイの後部の移動を実質的に防止するために、トレイとチャンバの両方を選択的に連結するように構成される。少なくとも1つのガイド部材は、トレイが収納位置にあるとき、底部に対して第2方向のトレイの移動を実質的に防止するために、トレイの後部に選択的に連結するように構成される。第2方向は第1方向に一般に垂直である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両上のスペアタイヤ用の保持システムに関する。より詳細には、保持システムはスペアタイヤを支持するための摺動可能なトレイを含む。そのトレイを、1つまたは複数の取り外し可能な相互連結部材と1つまたは複数の部材ガイドとの組み合わせによって、チャンバ内部に選択的に保持することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、スペアタイヤは、多くの車両、特にピックアップ・トラックにおいて設計および収納の問題を引き起こしてきた。例えば、ピックアップ・トラック用のスペアタイヤは、トラック・ベッドの下の位置でピックアップ・トラックの下にしばしば吊られた。しかし、そのようなスペアタイヤにアクセスするのが困難なことがあり、またこの収納配置が一般にスペアタイヤに盗難および/または環境損傷をこうむらせることもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
別法として、収納コンパートメントを、例えば、ピッアップ・トラックのベッド下あるいは自動車のトランクの床の下に設けることができ、それら収納コンパートメントの中に、スペアタイヤを滑り込ませることができる。この別の装置では、摺動可能なトレイを収納コンパートメントに対してスペアタイヤを支持し、かつ収納コンパートメントへの/からのスペアタイヤの簡単な摺動を容易にするために設けることができる。いくつかの場合には、例えば、車両の走行中などこの摺動可能なトレイが水平または推直に移動することを禁止するのが望ましいことがある。しかし、車両のスペアタイヤが、車両の耐用年数の間で、一般に数回以上アクセスすることはないので、複雑で、かさ張り、かつ/または高価なトレイ保持システムは、一般に望ましくない。したがって、移動を選択的に禁止できる摺動可能なトレイを含む簡単、軽量で費用対効果が大きいスペアタイヤ保持システムの必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、選択的に移動を禁止する摺動可能な収納トレイを含む簡単、軽量で費用対効果が大きいスペアタイヤ保持システムを提供することが本発明の態様である。前述のまた他の態様を達成するために、ここで定義された本発明の目的によって、スペアタイヤ用の保持システムがここで提供される。
【0005】
本発明の1つの例示的な実施形態によれば、保持システムは底部をもつチャンバを含む。トレイが、伸長位置と収納位置の間でチャンバの底部に対して第1方向に移動するように構成される。少なくとも1つの取り外し可能な相互連結部材が、第1方向のトレイの移動を実質的に防止するために、トレイとチャンバの両方を選択的に連結(interface)するように構成される。少なくとも1つのガイド部材は、トレイが収納位置にあるとき、チャンバの底部に対して第2方向のトレイの後部の移動を実質的に防止するために、トレイの後部に選択的に連結するように構成される。第2方向は第1方向に一般に垂直である。
【0006】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、スペアタイヤ用の保持システムは、底部と背部と開口とをもつチャンバを含む。トレイが、スペアタイヤを支持するように構成され、かつ伸長位置と収納位置の間でチャンバの底部に対して第1方向に移動するようにさらに構成される。トレイが、トレイが収納位置にあるとき、実質的にチャンバの開口と一直線に並ぶ開口を形成(define)する。1つの取り外しピンが、実質的に一直線に並べられた開口を通って、第1方向のトレイの移動を実質的に防止するために、トレイとチャンバを選択的に連結するように構成される。ピンは上部本体と下部本体とを含み、上部本体が握り部材を含み、下部本体がねじをもつ。下部本体は、チャンバ内の開口に選択的に連結するように構成される。少なくとも1つのストッパが、チャンバの背部に取り付けられる。ストッパが、トレイが収納位置にあるとき、チャンバの底部に対して第2方向のトレイの後部の移動を実質的に防止するために、トレイの後部に選択的に連結するように構成される。第2方向は第1方向に一般に垂直である。
【0007】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、スペアタイヤ用の保持システムは、底部と背部とをもつチャンバを含む。底部は、第1開口および第2開口を形成する。トレイは、スペアタイヤを支持し、チャンバに対して、収納位置と伸長位置との間で摺動可能であるように構成される。トレイは前部と後部とをもつ。トレイはトレイの前部の近位側に第1および第2開口を形成する。トレイ内の第1開口は、トレイが収納位置にあるとき、チャンバ内の第1開口と実質的に一直線に並ぶ。トレイ内の第2開口は、トレイが収納位置にあるとき、チャンバ内の第2開口と実質的に一直線に並ぶ。トレイは、トレイの後部の近位側に第1および第2嵌合部をさらに含む。第1取り外し可能ピンは上部本体と下部本体とを含む。第1取り外し可能ピンの上部本体は握り部材を含み、第1取り外し可能ピンの下部本体はねじをもつ。第1取り外し可能ピンの下部本体は、第1の実質的に一直線に並べられた開口を通ってトレイとチャンバを選択的に連結するように構成される。第2取り外し可能ピンは上部本体と下部本体とを含む。第2取り外し可能ピンの上部本体は握り部材を含み、第2取り外し可能ピンの下部本体はねじをもつ。第2取り外し可能ピンの下部本体は、第2の実質的に一直線に並べられた開口を通ってトレイとチャンバを選択的に連結するように構成される。第1ストッパは、チャンバの背部に取り付けられ、トレイが収納位置にあるとき、第1嵌合部に連結するように構成される。第2ストッパは、チャンバの背部に取り付けられ、トレイが収納位置にあるとき、第2嵌合部に連結するように構成される。
【0008】
本発明は、移動を選択的に禁止する摺動可能な収納トレイを含む簡単、軽量で費用対効果が大きいスペアタイヤ保持システムを提供するのに有利である。本発明の追加の態様、利点および新規の特徴は、部分的には以下に続く説明の中で記載され、部分的には以下のことを調べることで当分野の技術者には明らかになるであろう、あるいは本発明を実施することで習得することができる。本発明の態様および利点を、添付の特許請求の範囲で詳細に指摘される手段および組み合わせによって実現し達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この明細書は、本発明を詳細に指摘し、かつそれを明確に請求することで特許請求の範囲で終わるが、同じことが、添付の図面と関連して記載される以下の説明からより一層、理解されることを確信する。
【0010】
本発明の例示的な実施形態およびその動作が、図1、2A−2Bおよび3−4の図および実施例に関連してこの後で詳細に説明され、同じ番号は図の全体にわたって、同一のまたは対応する要素を表す。図1は、ピックアップ・トラックのベッドまたは自動車の床に関連するような収納コンパートメント10を表す。収納コンパートメント10を、車両の荷物運搬領域の下にスペアタイヤ12を支持するように構成することができ、したがって、スペアタイヤ12を盗難および/または環境損傷(例えば、湿気および破片)から保護することができる。
【0011】
スペアタイヤ12用の保持システム14を含む収納コンパートメント10が示される。底部22と左側部24と右側部26と背部28とを備えるチャンバ20を含む保持システム14が、図1、2A−2Bおよび3に示される。保持システム14は、スペアタイヤ12を支持するように構成することができるトレイ16も含む。いくつか場合では、スペアタイヤ12を、トレイ16に(例えば、ストラップまたは、縛りつけ用のスタッド/ボルトによって)取り付けることさえもできる。
【0012】
トレイ16は、チャンバ20の中へまたそこから第1方向(図1および3に示す方向A)に収納と伸長位置の間を動くように構成される。トレイ16が、(図1、2Bおよび3に示すように)収納位置にあるとき、トレイ16上に支持されたスペアタイヤ12は、車両のオペレータに比較的アクセスしにくいように配置される。この収納位置にあるとき、トレイ16がチャンバ20の底部22上に載り、かつそれに接触して示されている。したがって、トレイ16は、収納と伸長位置の間でA方向にそれが動かされるとき、チャンバ20の底部22に摺動的に係合することができる。いくつかの(例えば、図1、2A、2Bおよび3に示すような)実施形態では、トレイ16は、トレイ16が収納位置にあるとき、チャンバ20の底部22と実質的に同一平面上にあり、かつそれに隣接することができる。他の実施形態では、トレイ16は、チャンバ20の底部22に実質的に形状において対応する底面をもつことができる。トレイ16が(例えば図2Aに示すように)伸長位置にあるときには、しかし、トレイ16上に配置されたスペアタイヤ12に、車両のオペレータは自由にアクセスすることができ、それをトレイ16から取り外すことができる。収納位置と伸長位置の間の(方向Aの)トレイ16の移動は、チャンバ20の底部22に対して一般に平行でよい。
【0013】
図1、2A−2Bおよび3に示すように、トレイ16は、オペレータが握ることができる1つまたは複数のハンドル80をもつことができる。これらのハンドル80を使用することによって、オペレータはトレイ16を簡単に掴むことができ、かつ、それを収納と伸長位置との間で移動させることができる。図3に最も明確に示されるように、ハンドル80は、トレイ16の前部62の近くのトレイ16内に形成された1つまたは複数の開口82を含むことができる。オペレータは、トレイ16上で確実な握りを達成するために、1つまたは複数の開口82の中にオペレータの指を挿入することができる。
【0014】
トレイ16が収納位置にあるとき、トレイ16をチャンバ20に対する望ましくない移動から実質的に防止するように、保持システム14を構成することができる。詳細には、トレイ16が収納位置にあるとき、左エッジ64および右エッジ65が、それぞれチャンバ20の左側部24および右側部26と密接に隣接するように、トレイ16を構成することができる。トレイ16をこのように構成することで、トレイ16を、車両の走行中に、チャンバ20の内部で(例えば図1に示す方向Cに)左右に移動することから実質的に防止することができる。
【0015】
1つまたは複数の取り外し可能な相互連結部材(例えばピン32)を、方向Aに沿ったチャンバ20の底部22に対するトレイ16の移動を実質的に防止するために、トレイ16とチャンバ20の両方を選択的に連結するように設けることができる。それによって、1つまたは複数の相互連結部材は、そのような1つまたは複数の相互連結部材が設けられなかった場合に、車両の走行中に、そうでないと起こり得る収納位置から伸長位置までの(方向Aに沿った)トレイ16の望ましくない移動を実質的に防止することができる。図1、2A−2B、および3−4に示された具体的な実施形態では、取り外し可能な相互連結部材が、それぞれトレイ16およびチャンバ20の底部22に実質的に一直線に並べられた協働開口34、36を通って、それらを選択的に挿入することができる少なくとも1つのピン32(例えば、図1、2Aおよび2Bに示すように2つのピン32)を含むように示されている。別の実施形態では、相互連結部材は、2本より少ないかまたは多いピンを含むことができる。相互連結部材が、ピン以外の構造または装置を含み、かつ/またはチャンバ20の他の部分(例えば24、26または28)の内部の1つまたは複数の開口を通る挿入を含むことも理解されよう。
【0016】
協働開口(例えば34、36)は、(例えば、図2A、3および4に示すように)大きさおよび形状において実質的に同じでよく、それによって、取り外し可能な相互連結部材(例えば32)が、トレイ16とチャンバ20の両方を簡単に貫通しかつそれらを連結することを可能にし、一方で、この連結が達成されたときには、さらにトレイ16とチャンバ20の間の過剰な相対運動を防止する働きをする。図1、2A−2Bおよび3は、オペレータが1つまたは複数のピン32を取り外し/挿入するアクセスを容易にするために、トレイ16の前部62の近位側にある一直線に並べられた開口34、36を示しているが、1つまたは複数の取り外し可能な相互連結部材を、トレイ16の後部46により近いところに、代替でまたは追加で設けることができることを理解されよう。また、図1、2Aおよび2Bは、一直線に並べられた開口34、36および関連する相互連結部材(例えばピン32)を、トレイ16の左および右エッジ64、65の近くに配置されるように示しているが、そのような相互連結部材を、左エッジ64と右エッジ65の間のトレイ16の中心近くに、かつ/または、オペレータのアクセスを可能にし、ならびにトレイ16とチャンバ20の間の適切な相互作用を可能にする事実上、任意の他の位置に、代替でまたは追加で配置することができる。
【0017】
図4で最も明らかに示されるように、ピン32は上部本体38と下部本体40をもつことができる。上部本体38は、オペレータがピン32を効果的に掴むことができるための握り部材42を含むことができる。下部本体40を、それがトレイ16およびチャンバ20内の一直線に並べられた開口(例えば34および36)を通って効果的に延びるように(例えば細長く)構成することができる。下部本体40は、一直線に並べられた開口34、36の一方または両方の直径と同じ直径をもち、したがって、トレイ16とチャンバ20の間の密接な連結をもたらし、したがって、それらの間の(例えば方向Aに沿った)過剰な運動を防止することができる。この同じ大きさの直径の寸法決めはまた、ピン32が上方向に振動して、それが一直線に並べられた開口34、36から抜ける可能性を減少させるのを助けることができる。図4で示されたようないくつかの実施形態では、ピン32は、トレイの開口34の直径に近い大きさの直径をもつスペーサ68で、かつピン32がトレイの開口34に完全に挿入されたとき、トレイの開口34と嵌合的に連結して構成されるスペーサ68を備えることができる。ピン32は、ピン32が開口34を通って挿入されるとき、トレイ16の上面を押し付けるワッシャ66を含んでもよい。理解されるように、このワッシャ66を、ピン32の保持力をトレイ16の適切な部分にわたって分配するのに十分に大きい直径をもつように選択することができ、したがって、ピン32によるトレイ16への圧縮変形を防止する。
【0018】
チャンバ20の底部22内の開口36を通るとき、下部本体40は、底部22と関連する(例えば、スチール製の)ブラケット板70を貫通する。このブラケット板70を、例えば接着材、締め具、溶接または機械的相互作用を含む任意の様々な既知の技術を使用してチャンバ20の底部22に取り付けることができる。本発明のいくつかの実施形態では、ピン32の下部本体40は、図4に示すようにねじ41を含むことができる。そのような場合、ねじ式差込口72(例えばナット)を、底部22および/またはブラケット板70と関連づけることができる。例えば、ねじ式差込口72をブラケット板70に溶接してもよい。したがって、下部本体40のねじ41は、ピン32が一直線に並べられた開口34、36に挿入され、それに応じて回転されるとき、ねじ式差込口72と係合できる。ねじ式のピン32が、このようにねじ式の開口72に締め込まれるとき、収納位置と伸長位置の間の(方向Aに沿った)トレイ16の望ましくない運動を選択的にまた実質的に防止するのに加えて、ピン32は、トレイ16が収納位置にあるとき、チャンバ20の底部22に対する第2方向(図1および3に示すB方向)の(またはトレイ16の少なくとも前部62)の運動を防止するのを支援することもできる。この第2方向(例えば、方向B)は、第1方向(例えば、方向A)に一般に垂直であることができる。
【0019】
シュラウド(shroud)50を、一直線に並べられた開口(例えば、34、36)の中に挿入される取り外し可能な相互連結部材(例えばピン32)の部分を選択的に受けるために、チャンバ20に関連づけることもできる。例えば、図4に示すように、シュラウド50を、チャンバ20の底部22に関連づけることができ、下部本体40が開口36を通ってチャンバ20の底部22内に挿入されるとき、ピン32の下部本体40の部分を実質的に囲むことができる。それによって、シュラウド50がピン32の下部本体40を(そして、いくつかの場合では、図4に示すようにねじ式差込口72も同様に)車両の下の環境状況から保護する働きをする。
【0020】
本発明の別の例示的な実施形態では、シュラウドは、トレイが収納位置内部に保持されている間、ピンを所定の位置に確実に保持することを支援するためにピンの下部本体に圧縮嵌合をもたらす。シュラウド50を、チャンバ20と一体で形成することができるが、あるいは、それを、別に形成し、直接または間接にチャンバ20に、例えば締め具、接着材、圧入または溶接で取り付けることもできる。図4に示すように、シュラウド50を、ねじ式差込口72および/またはブラケット板70に接着させることができる。別の例示的な実施形態では、シュラウドがねじ式差込口を含み、シュラウドをそれと一体で形成することができる。
【0021】
オペレータによる、ピン32のより簡単な握り(また適切な場合には、回転)を容易にするための握り部材42を含む上部本体38を図4に示す。また、上部本体38の部分(例えば、握り部材42および/またはワッシャ66)は、下部本体40、チャンバ20の底部22の開口36、いくつかの場合では、トレイ16の開口34の幅より大きい幅をもつことができる。このより大きな幅は、ピン32全体が一直線に並んだ開口(例えば34、36)を通って落ちることを防ぐことができ、さらに、例えばシールとして作用するように、開口34、36の付近でトレイ16および/または底部22に接触する効果をもつことができる。握り部材42および/またはワッシャ66を、そのようなシールをより十分に提供するために、弾性材料(例えば、ゴム)から形成することさえもできる。
【0022】
別法では、取り外し可能ピンを、トレイ16かチャンバ20のどちらかに(ヒンジ、コード、ケーブルまたは柔軟なフランジで)移動可能に連結できことが理解されるが、取り外し可能ピン32を、図4に示すように、トレイ16とチャンバ20の両方から完全に別にすることもできる。他の実施形態では、収納位置内部でのトレイ16の固定が望ましい間は、その下部本体40が協働開口34、36を通って配置されたままになるようにピン32を固定するために、別の固定機構(例えば、ストラップ、ケーブルまたはフランジ)を設けることができる。
【0023】
保持システム14は、1つまたは複数のガイド部材(例えば、少なくとも1つのストッパ48)も含むことができる。チャンバ20の背部28に取り付けられた1対のストッパ48を含む例示的なガイド部材を図2Aおよび2Bに示す。ストッパ48は、トレイ16が収納位置にあるとき、トレイ16の後部46上の嵌合部52に選択的に接触するように構成される。これらの嵌合部52を、ストッパ48を嵌合して受けるように、形成しまたはくぼみをつけることができる。
【0024】
トレイ16の後部46との相互作用を通して、ガイド部材(例えば、ストッパ48)は、トレイ16が収納位置にあるとき、チャンバ20の底部22に対するトレイ16の少なくとも後部46の第2方向(一般に方向Aに垂直な方向B)の運動を実質的に防止することができる。本発明のいくつかの例示的な実施形態では、ガイド部材(例えば、ストッパ48)は、トレイ16が収納位置にあるとき、チャンバ20の底部22に対するトレイ16(例えば、トレイ16全体)の(方向Bの)運動を実質的に防止することができる。本発明の他の例示的な実施形態では、取り外し可能な相互連結部材(例えば1つまたは複数のピン32)は、ガイド部材が、チャンバ20の底部22に対するトレイ16(例えば、トレイ16全体)の(方向Bの)この運動を防止するのを支援することができる。例えば、トレイ16が収納位置にあるとき、ストッパ48は、チャンバ20の底部22に対するトレイ16の少なくとも後部46のB方向の運動を実質的に防止することができ、一方、1つまたは複数のピン32は、(1つまたは複数のねじ式差込口72にねじ込まれるとき)チャンバ20の底部22に対するトレイ16の他の部分(例えば、前部62)のB方向の運動を防止するのを支援することができる。
【0025】
いくつかの例示的な実施形態では、ガイド部材(例えばストッパ)を、トレイ16が収納位置にあるとき(図3に示すように)トレイ16の後面60に接触するように構成することもできる。このように、嵌合部52および/またはトレイ16の後面60に接触することで、トレイ16を、チャンバ20(方向Aに)の内部に移動させ過ぎるのを効果的に防止することができ、したがって、取り外し可能な相互連結部材(例えばピン32)の挿入のために、開口34、36を簡単に一直線に並べることができる。ストッパ48を、任意の様々な特定の方法でチャンバ20の背部28に取り付けることができる。本発明の1つの例示的な実施形態では、各ストッパ48をチャンバ20の背部28に取り付けるために、1つまたは複数の締め具を設けることができる。例えば、各ストッパ48を、図3に示すようにボルト56およびナット58で、チャンバ20の背部28にボルトで締めることができる。1つまたは複数の金属のワッシャまたは支持板(図示せず)を、1つまたは複数のストッパ48に関連する機械的な力をチャンバ20の背部28のより広い表面領域にわたって分配させることを支援するために、(例えば、ボルト56および/またはナット58と接触し、または連結して)設けることもできる。
【0026】
本発明の別の例示的な実施形態では、各ストッパを、チャンバ20の背部28と一体で設けることができる。ガイド部材(例えばストッパ48)を、例えばゴム、プラスチック、木、複合材、ファイバー・グラス、金属、合金および/またはそれらの組み合わせを含めた任意の様々な適切な材料から形成することができる。また、ガイド部材は、図2Aおよび2Bに2つのストッパ48を含んで表されているが、例示的な保持システムは、1つだけのストッパ、3つまたはそれ以上のそのようなストッパ、または、例えば、チャンバの背部の幅全体にわたって実質的に連続して延びる1つの細長い部材を備えるガイド部材を含んでもよいことを理解されよう。
【0027】
次に、図1、2A−2Bおよび3−4の例示的な拘束装置を使用する方法を説明する。オペレータがトレイ16上に収納されたスペアタイヤ12にアクセスしようと望むとき、オペレータは、(例えば、ねじを外すことによって)ピン32をチャンバ20から取り外すことができる。それから、オペレータは、トレイ16上のハンドル80を掴むことによって、トレイ16をA方向に引くことができる。この動作によって、トレイ16、収納位置から伸長位置に移動させることができる。トレイ16が、収納位置を離れ始めるとき、トレイ16の後部46が、チャンバ20の背部28に取り付けられたストッパ48を係合解除する。トレイ16が伸長位置に達するように完全に引き出されたとき、オペレータは、トレイ16からスペアタイヤ12を取り外すことができる。それから、オペレータは、そう望むならば、破損したタイヤが修理されるまで、収納のためにトレイ16上に破損したタイヤを置くことができる。
【0028】
破損したタイヤが伸長されたトレイ16上に置かれた後、オペレータは、それからトレイ16のハンドル80を内側に押し、それによってトレイ16を伸長位置から収納位置に移動させる。この移動はトレイ16の後部46がチャンバ20の背部28に取り付けられたストッパ48に接触するまで続く。この時点で、トレイ16内の開口34は、チャンバ20の底部22内の開口36と実質的に一直線に並ぶはずである。それから、オペレータは、1つまたは複数のピン32を一直線に並べられた開口34、36に挿入することによってトレイ16を収納位置に固定し終えることができる。
【0029】
例示的な保持システムお構成部品を、既知の、また当分野の技術者によって理解されている様々な材料から形成することができることに留意することが重要である。例えば、材料は金属、合金、プラスチック、木、複合材またはそれらの組み合わせを含むことができる。また、ここで説明された特定の実施形態は、主に車両に関連する例示的な保持システムの使用に関係するが、本発明による保持システムを、車、スポーツ用多目的車、リクリエーション用車両、建設機械、トレーラ、キャンプ用車両および様々な他の車両を含めて、それだけには限らないが、他の型の自動車、モータなしの車両に関連できることを理解されよう。
【0030】
本発明の例示的な実施形態および実施例の前述の説明は、図示および説明の目的で提示された。これらの実施例および説明は、網羅的ではなく、または説明された形式に本発明を限定するものではない。上述の教示を考慮して、数多くの修正形態が可能である。これらの修正形態のいくつかを説明してきたが、他のものを、当分野の技術者は理解するであろう。これによって、本発明の範囲は、これに添付した特許請求の範囲によって定義されることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の1つの例示的な実施形態によるタイヤ保持システムをもつ収納コンパートメントを表す透視図である。
【図2A】トレイがチャンバ部から取り外された、トレイおよび図1のタイヤ保持システムのチャンバの部分を表す透視図である。
【図2B】トレイがチャンバ部の中に完全に挿入され、2つのピンと2つのストッパによってそこに保持される、トレイならびに図1および図2Aのタイヤ保持システムのチャンバの部分を表す透視図である。
【図3】図2Bの線3−3に沿って取られた、図1および図2A−2Bのタイヤ保持システムの断面図である。
【図4】トレイとチャンバと図3に示されたピンとの連結を表す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 収納コンパートメント
12 スペアタイヤ
14 保持システム
16 トレイ
20 チャンバ
22 底部
24 左側部
26 右側部
28 背部
32 ピン
34、36 協働開口
38 上部本体
40 下部本体
41 ねじ
42 握り部材
46 後部
48 ストッパ
50 シュラウド
52 嵌合部
56 ボルト
58 ナット
60 後面
62 前部
64 左エッジ
65 右エッジ
66 ワッシャ
68 スペーサ
70 ブラケット板
72 ねじ式差込口
80 ハンドル
82 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペアタイヤ用の保持システムであって、
底部をもつチャンバと、
伸長位置と収納位置の間で該チャンバの該底部に対して第1方向に移動するように構成されたトレイと、
該第1方向の該トレイの移動を実質的に防止するために、該トレイと該チャンバの両方を選択的に連結するように構成された少なくとも1つの取り外し可能な相互連結部材と、
該トレイが該収納位置にあるとき、該チャンバの該底部に対して第2方向の該トレイの後部の移動を実質的に防止するために、該トレイの該後部に選択的に連結するように構成された少なくとも1つのガイド部材とを含み、該第2方向が該第1方向に一般に垂直である保持システム。
【請求項2】
前記チャンバおよび前記トレイが協働開口を形成する請求項1記載の保持システム。
【請求項3】
前記トレイおよび前記チャンバの前記底部が協働開口を形成する請求項2記載の保持システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの取り外し可能な相互連結部材が、前記協働開口を介して前記トレイと前記チャンバを結合する請求項2記載の保持システム。
【請求項5】
前記協働開口が、大きさおよび形状において実質的に同じである請求項2記載の保持システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの取り外し可能な相互連結部材がピンを含む請求項4記載の保持システム。
【請求項7】
前記ピンが、上部本体と下部本体とを含む請求項6記載の保持システム。
【請求項8】
前記上部本体が、握り部材を含む請求項7記載の保持システム。
【請求項9】
前記下部本体が、ねじを含む請求項7記載の保持システム。
【請求項10】
前記チャンバの前記協働開口に関連づけられ、かつ前記ピンの前記ねじを選択的に受けるように構成されたねじ式差込口をさらに含む請求項9記載の保持システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのガイド部材が少なくとも1つのストッパを含む請求項1記載の保持システム。
【請求項12】
前記チャンバが背部をさらに含み、前記少なくとも1つのストッパが前記チャンバの該背部に取り付けられた請求項11記載の保持システム。
【請求項13】
前記トレイが、嵌合部をもつ後部を含み、該嵌合部が、前記少なくとも1つのストッパに選択的に接触するように構成された請求項12記載の保持システム。
【請求項14】
前記トレイが少なくとも1つのハンドルをさらに含む請求項1記載の保持システム。
【請求項15】
前記トレイがスペアタイヤを支持するように構成された請求項1記載の保持システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのガイド部材が、前記トレイが前記収納位置にあるとき、前記チャンバの前記底部に対して前記第2方向の前記トレイの移動を実質的に防止するために、前記トレイの前記後部に選択的に連結するように構成された請求項1記載の保持システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの取り外し可能な相互連結部材が、前記トレイが前記収納位置にあるとき、前記チャンバの前記底部に対して前記第2方向の前記トレイの移動を防止するために、前記少なくとも1つのガイド部材を支援するように構成された請求項1記載の保持システム。
【請求項18】
前記トレイが、前記トレイが前記収納位置にあるとき前記チャンバの前記底部と実質的に同一平面上にあり、かつそれに隣接する請求項1記載の保持システム。
【請求項19】
前記トレイが、前記収納位置から前記伸長位置に前記第1方向に移動するとき、前記チャンバの前記底部に摺動的に係合する請求項1記載の保持システム。
【請求項20】
スペアタイヤ用の保持システムであって、
底部と背部と開口とをもつチャンバと、
スペアタイヤを支持するように構成され、かつ伸長位置と収納位置の間で、該チャンバの該底部に対して第1方向に移動するようにさらに構成されたトレイであって、該トレイが該収納位置にあるとき、該チャンバの開口と実質的に一直線に並ぶ該開口を形成するトレイと、
該第1方向のトレイの移動を実質的に防止するために、実質的に一直線に並べられた開口を介して、該トレイと該チャンバを選択的に連結するように構成された取り外し可能ピンであって、上部本体と下部本体とを含み、該上部本体が握り部材を含み、該下部本体がねじをもち、かつ該チャンバの該開口に選択的に連結するように構成されたピンと、
該チャンバの該背部に取り付けられた少なくとも1つのストッパであって、該トレイが該収納位置にあるとき、該チャンバの該底部に対して第2方向の該トレイの後部の移動を実質的に防止するために、該トレイの該後部に選択的に連結するように構成されたストッパとを含み、該第2方向が該第1方向に一般に垂直である保持システム。
【請求項21】
前記チャンバの前記底部が前記チャンバの前記開口を形成する請求項20記載の保持システム。
【請求項22】
前記チャンバの前記開口に関連づけられ、かつ前記ピンの前記ねじを選択的に受けるように構成されたねじ式差込口をさらに含む請求項20記載の保持システム。
【請求項23】
前記実質的に一直線に並べられた開口が、大きさおよび形状において実質的に同じである請求項20記載の保持システム。
【請求項24】
前記少なくとも1つのストッパが2つのストッパを含む請求項20記載の保持システム。
【請求項25】
第2取り外し可能ピンをさらに含む請求項20記載の保持システム。
【請求項26】
前記トレイが少なくとも1つのハンドルをさらに含む請求項20記載の保持システム。
【請求項27】
前記少なくとも1つのガイド部材が、前記トレイが前記収納位置にあるとき、前記チャンバの前記底部に対して前記第2方向の前記トレイの移動を実質的に防止するために、前記トレイの前記後部に選択的に連結するように構成された請求項20記載の保持システム。
【請求項28】
前記少なくとも1つの取り外し可能な相互連結部材が、前記トレイが前記収納位置にあるとき、前記チャンバの前記底部に対して前記第2方向の前記トレイの移動を防止するために、前記少なくとも1つのガイド部材を支援するように構成された請求項20記載の保持システム。
【請求項29】
前記トレイが、前記トレイが前記収納位置にあるとき前記チャンバの前記底部と実質的に同一平面上にあり、かつそれに隣接する請求項20記載の保持システム。
【請求項30】
前記トレイが、前記収納位置から前記伸長位置に前記第1方向に移動するとき、前記チャンバの前記底部に摺動的に係合する請求項20記載の保持システム。
【請求項31】
スペアタイヤ用の保持システムであって、
底部と背部とをもつチャンバであって、該底部が第1開口および第2開口を形成するチャンバと、
前部と後部をもつトレイであって、スペアタイヤを支持するように構成され、かつ収納と伸長位置の間で、該チャンバに対して摺動可能であり、該トレイの該前部の近位側に第1および第2開口を形成し、該トレイ内の該第1開口が、該トレイが該収納位置にあるとき、該チャンバ内の該第1開口と実質的に一直線に並び、該トレイ内の該第2開口が、該トレイが該収納位置にあるとき、該チャンバ内の該第2開口と実質的に一直線に並び、該トレイの後部の近位側に第1および第2嵌合部をさらに含むトレイと、
上部本体と下部本体とを含む第1取り外し可能ピンであって、該上部本体が握り部材を含み、該下部本体がねじを含み、該下部本体が該第1の実質的に一直線に並べられた開口を介して、該トレイと該チャンバを選択的に連結するように構成された第1取り外し可能ピンと、
上部本体と下部本体とを含む第2取り外し可能ピンであって、該上部本体が握り部材を含み、該下部本体がねじを含み、該下部本体が該第2の実質的に一直線に並べられた開口を介して、該トレイと該チャンバを選択的に連結するように構成された第2取り外し可能ピンと、
該チャンバの該背部に取り付けられた第1ストッパであって、該トレイが該収納位置にあるとき、該第1嵌合部に連結するように構成された第1ストッパと、
該チャンバの該背部に取り付けられた第2ストッパであって、該トレイが該収納位置にあるとき、該第2嵌合部に連結するように構成された第2ストッパとを含む保持システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−27606(P2006−27606A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209609(P2005−209609)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】