説明

スルホン酸基およびカルボキシル基を含有するコポリマー

本発明は(A1)少なくとも2個の異なるモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマー70〜100モル%および(A2)1個以上の非イオン性モノマー0〜30モル%からなるコポリマーであって、前記コポリマーを(B)アミノ−C〜C−アルカンスルホン酸および/またはその塩、モノマー(A1)および場合により(A2)からなるコポリマーに含まれるアミド化可能な官能基に対して5〜30モル%と反応させたコポリマーに関する。本発明は更にこれらのコポリマーの製造および洗剤、洗浄剤および透明すすぎ助剤への添加剤としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は
(A1)少なくとも2個の異なるモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマー70〜100モル%および
(A2)1個以上の非イオン性モノマー0〜30モル%
からなるコポリマーであって、前記コポリマーを
(B)アミノ−C〜C−アルカンスルホン酸および/またはその塩、モノマー(A1)および場合により(A2)からなるコポリマーに含まれるアミド化可能な官能基に対して5〜30モル%と反応させたコポリマーに関する。
【0002】
本発明は更にこれらのコポリマーの製造および前記コポリマーの洗剤、清浄剤およびすすぎ助剤における使用に関する。
【0003】
食器洗い機の場合に、製品は傷がなく輝く表面を有して残留物のないきれいな状態で得られるべきである。製品は食物の残りを完全に取り除くだけでなく、水滴の乾燥の間に水あかまたは他の無機および有機塩の存在により生じる白っぽい斑点を有してはならない。
【0004】
この理由からすすぎ助剤がかなり長い間使用された。ここですすぎ助剤は、通常は前洗浄サイクルと主洗浄サイクルからなり、これらの間の洗浄サイクルにより中断される洗浄プログラムの終了に続く透明すすぎサイクルで食器洗い機内部の配量タンクから自動的に排出され、透明すすぎサイクルと乾燥サイクルの間に水が平坦に、かつできるだけ完全に製品から流出することが保証される。
【0005】
市販されているいわゆるツー・イン・ワン(two in one)食器洗い洗剤の場合に、透明すすぎ界面活性剤がすでに洗剤組成物に配合されている。これらの製品が使用される場合にはすすぎタブレット配量タンクの充填はもはや必要でない。
【0006】
現代の食器洗い機用洗剤、スリー・イン・ワン(three in one)洗剤において、清浄化、透明すすぎおよび水軟化の3つの機能が1つの洗剤組成物に組み合わされ、塩(水硬度1〜3に対して)およびすすぎ助剤の充填は消費者にとって不要になることを意味する。主洗浄サイクルで硬度形成カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを結合するために、トリポリ燐酸ナトリウムまたはカリウムを一般にこれらの洗剤に添加する。しかしこれらの燐酸塩の添加は特に透明すすぎサイクルでその濃度が減少した場合に製品に燐酸カルシウムおよびマグネシウムの皮膜を生じる。
【0007】
WOA01/96514号はカルボキシル基を有するオレフィン性不飽和モノマーおよび共重合可能なスルホン化モノマーおよび/または共重合可能な非イオン性モノマーのコポリマーをベースとする皮膜防止剤を記載し、前記防止剤は食器洗浄プログラムの最後から二番目の洗浄サイクルで少なくとも部分的に排出される。しかしアクリル酸のほかにメタクリル酸を含有するコポリマーは明示されてなく、有利であると強調されていない。さらにすべてのコポリマーは相当する官能性モノマー、例えばアクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合により製造される。これらのコポリマーは欧州特許(EP−A)第851022号から燐酸カルシウム皮膜を防止するすすぎ助剤用添加剤として知られている。
【0008】
欧州特許(EP−A)第877002号により強酸性酸モノマーおよび弱酸性酸モノマーの共重合により得られるコポリマーが水性系での(ポリ)燐酸塩皮膜を防止するために適している。再びアクリル酸および2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸のコポリマーのみが明示されている。
【0009】
更に米国特許(US−A)第4801388号は燐酸塩皮膜防止剤として(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミドアルカンスルホン酸の共重合により製造されるコポリマーの使用を記載する。しかし明示されたコポリマーはメタクリル酸モノマーを含有しない。付加的に共重合されたアクリルアミドを有するターポリマーが有利である。
【0010】
WOA02/04583号および03/06594号は製品の斑点のない乾燥のためのかなり多くの量の非イオン性界面活性剤および/またはポリカルボン酸と組み合わせた不飽和カルボン酸とスルホン酸基を有するモノマーの共重合により得られるコポリマーを含有するツー・イン・ワンおよびスリー・イン・ワン食器洗浄組成物を記載する。有利なコポリマーのために、モノマーとしてアクリル酸、メタクリル酸およびマレイン酸、特に1−(メタ)アクリルアミド−1−プロパンスルホン酸および2−(メタ)アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸が記載される。WO02/26926号によりこれらのコポリマーは非イオン性界面活性剤の高い含量を有する洗剤および清浄化タブレットに使用できる。
【0011】
最後に米国特許(US−A)第4604431号はカルボキシル基をアミドアルキルスルホン酸基に部分的に変換するためのポリアクリル酸またはポリメタクリル酸とアミドアルカンスルホン酸のポリマー類似反応を記載する。ポリアクリル酸とアミドエタンスルホン酸(タウリン)の反応が明示される。
【0012】
本発明の課題は、食器洗い機の分野で有利な適用特性、特に皮膜防止作用および広い有用性ですぐれている添加剤を提供することである。
【0013】
前記課題は、
(A1)少なくとも2個の異なるモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマー70〜100モル%および
(A2)1個以上の非イオン性モノマー0〜30モル%
からなるコポリマーであって、前記コポリマーを
(B)アミノ−C〜C−アルカンスルホン酸および/またはその塩、モノマー(A1)および場合により(A2)からなるコポリマーに含まれるアミド化可能な官能基に対して5〜30モル%と反応させたコポリマーにより解決される。
【0014】
本発明のコポリマーはポリマー類似反応により製造され、すなわちまずカルボン酸モノマー(A1)および場合により非イオン性モノマー(A2)を共重合させ、得られたコポリマーのみを反応させてスルホアルキルアミン基を有するコポリマーを生じる。本発明のコポリマーは、使用されるモノマーの反応性の変動がそれぞれ特定のポリマー骨格上の官能基の配置を生じるので、カルボン酸およびカルボン酸アミドアルカンスルホン酸モノマーの重合により製造されたコポリマーと異なる。
【0015】
本発明によるコポリマーに有利なカルボン酸モノマー(A1)はモノエチレン性不飽和C〜C−モノカルボン酸、モノエチレン性不飽和C〜C−ジカルボン酸およびその無水物およびモノ−およびジカルボン酸の塩の基を含む。
【0016】
具体的に適当なモノマー(A1)の例は、アクリル酸、メタクリル酸、2−エチルプロペン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸であり、アクリル酸、メタクリル酸およびマレイン酸(無水物)が有利であり、アクリル酸およびメタクリル酸が特に有利である。
【0017】
カルボン酸モノマー(A1)はもちろんその塩の形で使用できる。水溶性塩、特にアルカリ金属塩、第1にナトリウム塩およびカリウム塩、およびアンモニウム塩が有利であり、ナトリウム塩が特に有利である。
【0018】
本発明によるコポリマーは共重合された形で1個以上の非イオン性モノマー(A2)を含有することができる。
【0019】
非イオン性コモノマー(A2)の例は、以下のものである。
一価C〜C22−アルコール、特にC〜C16−アルコールを有するモノエチレン性不飽和C〜C−カルボン酸、特にアクリル酸およびメタクリル酸、モノエチレン性不飽和C〜C−カルボン酸、特にアクリル酸およびメタクリル酸と二価C2〜C4−アルコールのヒドロキシアルキルエステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、およびステアリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
モノエチレン性不飽和C〜C−カルボン酸、特にアクリル酸およびメタクリル酸とC〜C12−アルキルアミンおよびジ(C〜C−アルキル)アミンのアミド、例えばN−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミドおよびN−ウンデシル(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリルアミド、
飽和C〜C30−カルボン酸、特にC〜C14−カルボン酸のビニルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ビニル2−エチルヘキサノエートおよびラウリン酸ビニル、
ビニルC〜C30−アルキルエーテル、特にビニルC〜C18−アルキルエーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルn−プロピルエーテル、ビニルイソプロピルエーテル、ビニルn−ブチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテルおよびビニルオクタデシルエーテル、
N−ビニルアミドおよびN−ビニルラクタム、例えばN−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−ピロリドン、N−ビニルピペリドン、およびN−ビニルカプロラクタム、
脂肪族および芳香族オレフィン、エチレン、プロピレン、C〜C24−α−オレフィン、特にC〜C16−α−オレフィン、例えばブチレン、イソブチレン、ジイソブテン、スチレンおよびα−メチルスチレンおよび活性二重結合を有するジオレフィン、例えばブタジエン、
不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリル。
【0020】
モノマー(A2)が本発明のコポリマーに存在する場合は、モノマーの含量は(A1)および(A2)のコポリマーに対して一般に0.5〜30モル%、有利に1〜10モル%である。
【0021】
しかし本発明のコポリマーは有利にモノマー(A1)のみから形成されるコポリマー、特に有利にメタクリル酸、アクリル酸および/またはマレイン酸のみから形成されるコポリマーをベースとする。
【0022】
メタクリル酸とアクリル酸のコポリマーが特に有利である。メタクリル酸とアクリル酸のモル比は一般に10:1〜1:5、特に9:1〜1:3、特に9:1〜1:2である。
【0023】
モノマー(A1)および場合によりモノマー(A2)を有する本発明のコポリマーをアミノ−C〜C−アルカンスルホン酸および/または前記酸の塩(B)と反応させ、この結果としてコポリマーに存在する一部のアミド化可能な官能基が相当するN−スルホアルキルアミド基に変換される。これらは特にモノマー(A1)のカルボキシル基である。コポリマーがエステル基またはアミド基を有する非イオン性モノマー(A2)を含有する場合は、これらはアミド化またはアミド交換されてもよい。
【0024】
適当なアミノ−C〜C−アルカンスルホン酸(B)はアミノメタンスルホン酸および2−アミノエタンスルホン酸であり、2−アミノエタンスルホン酸が有利である。
【0025】
アミノアルカンスルホン酸(B)は遊離した形でまたは塩の形で使用できる。有利な塩はアルカリ金属塩、特にナトリウム塩である。2−アミノエタンスルホン酸およびアミノメタンスルホン酸の混合物を使用することももちろん可能である。
【0026】
本発明によりモノマー(A1)および場合により(A2)のコポリマーを、それぞれ(A1)および場合により(A2)のコポリマーに存在するアミド化可能な官能基に対して5〜30モル%、有利に6〜17モル%、特に有利に7〜14モル%のアミノアルカンスルホン酸と反応させる。
【0027】
従って本発明のコポリマーはモノマー(A1)および場合により(A2)65〜97モル%、有利に73〜97モル%、特に80〜95モル%およびアミノアルカンスルホン酸(B)3〜35モル%、有利に3〜27モル%、特に5〜20モル%の組成を有する。
【0028】
本発明のコポリマーは一般に平均分子量M3000〜50000、有利に10000〜35000、特に15000〜25000を有する(室温で水性溶離剤を使用してゲル浸透クロマトグラフィーにより決定した)。
【0029】
コポリマーのK値は一般に12〜40、有利に15〜32、特に18〜30である(H.Fikentscher、Cellulose−Chemie、13巻、58〜64および71〜74頁(1932)により25℃およびpH7.2で濃度1質量%水溶液中で測定した)。
【0030】
本発明のコポリマーは有利に本発明により同様に提供される方法により製造することができ、前記方法は
a)少なくとも2個のモノマー(A1)および場合により1個以上のモノマー(A2)を互いにラジカル共重合させ、および
b)工程a)で得られたコポリマーをアミノ−C〜C−アルカンスルホン酸および/またはこの酸の塩と反応させる
ことを特徴とする。
【0031】
工程a)において任意の公知ラジカル重合法を使用できる。塊状重合のほかに溶液重合法および乳化重合法が記載されるべきであり、溶液重合が有利である。
【0032】
重合は有利に溶剤として水中で実施する。しかしアルコール溶剤、特にC〜C−アルコール、例えばメタノール、エタノールおよび有利にイソプロパノール中でまたはこれらの溶剤と水の混合物、特に水とイソプロパノールの混合物中で実施することもできる。
【0033】
適当な重合開始剤は熱分解または光化学的に分解して(光開始剤)ラジカルを形成する化合物である。
【0034】
熱活性重合開始剤の中で20〜180℃、特に50〜90℃の範囲の分解温度を有する開始剤が有利である。適当な熱開始剤の例は無機ペルオキソ化合物、例えばペルオキソ二硫酸塩(ペルオキソ二硫酸アンモニウムおよび有利にペルオキソ二硫酸ナトリウム)、ペルオキソ硫酸塩、過炭酸塩、および過酸化水素、有機ペルオキソ化合物、例えばジアセチルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジアミルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス(o−トリル)ペルオキシド、スクシニルペルオキシド、t−ブチルペルアセテート、t−ブチルペルマレエート、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペルピバレート、t−ブチルペルオクトエート、t−ブチルペルネオデカノエート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートおよびジイソプロピルペルオキシジカルバメート、アゾ化合物、例えば2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)およびアゾビス(2−アミドプロパン)二塩酸塩である。
【0035】
これらの開始剤は開始剤/調節剤系として還元化合物と組み合わせて使用できる。記載できるこれらの還元化合物の例は燐含有化合物、例えば亜燐酸、次亜燐酸、ホスフィン酸塩、硫黄含有化合物、例えば亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートおよびヒドラジンである。
【0036】
適当な光開始剤の例はベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾインエーテル、ベンジルジアルキルケトンおよびその誘導体である。
【0037】
有利に熱開始剤を使用し、無機ペルオキソ化合物、特にペルオキソ二硫酸ナトリウム(ペル硫酸ナトリウム)および過酸化水素が有利である。
【0038】
ペルオキソ化合物は有利に硫黄含有還元剤、特にレドックス開始剤系として亜硫酸水素ナトリウムと組み合わせて使用する。この開始剤/調節剤系の使用は末端基として−SONaおよび/または−SONaを有し、特に清浄力および皮膜防止作用ですぐれているコポリマーを生じる。
【0039】
選択的に燐含有開始剤/調節剤系、例えば次亜燐酸塩/ホスフィン酸塩を使用することもできる。
【0040】
光開始剤および/または開始剤/調節剤系の量はそれぞれ使用されるモノマーに適合するべきである。例えばペルオキソ二硫酸塩/亜硫酸水素塩の有利な系を使用する場合は、それぞれモノマーの合計に対してペルオキソ二硫酸塩一般に2〜6質量%、有利に3〜5質量%および亜硫酸水素塩一般に5〜30質量%、有利に5〜10質量%を使用する。
【0041】
場合により重合調節剤を使用することもできる。適当な化合物は当業者に周知の化合物、例えば硫黄化合物、例えばメルカプトエタノール、2−エチルヘキシルチオグリコラート、チオグリコール酸およびドデシルメルカプタンである。
【0042】
重合調節剤を使用する場合は、その使用量はモノマーの合計に対して一般に0.1〜15質量%、有利に0.1〜5質量%、特に0.1〜2.5質量%である。
【0043】
重合温度は一般に30〜200℃、有利に50〜150℃、特に80〜130℃である。
【0044】
重合は有利に窒素またはアルゴンのような保護ガス下で実施し、気圧下で実施できるが、生じる自己圧下で閉じた装置で有利に実施する。
【0045】
本発明のコポリマーは工程a)で一般に10〜70質量%の固形分を有するポリマー溶液の形で有利に得られる。
【0046】
工程b)において、有利に形成される溶液の形で、工程a)で得られたコポリマーをポリマー類似反応でアミノアルカンスルホン酸および/またはこの酸の塩を有する(B)と反応させ、その結果としてコポリマーに存在するアミド化可能な官能基の一部が相当するN−スルホアルキルアミドに変換する。
【0047】
有利にコポリマー溶液をまず塩基の添加により有利に2.0〜9.0、特に4.0〜7.5のpH値に調節する。この目的のために原則的にすべての有機および無機塩基が適しているが、有利にアルカリ金属水酸化物の水溶液、例えば水酸化ナトリウム溶液を使用する。
【0048】
ここでアミノアルカンスルホン酸の使用量はコポリマーに存在するアミド化可能な官能基とアミノアルカンスルホン酸のモル比が一般に19:1〜2:1、有利に15:1〜5:1、特に13:1〜6:1であるように選択する。
【0049】
アミド化温度は一般に140〜250℃、有利に165〜200℃、特に165〜200℃である。
【0050】
アミド化は同様に有利に窒素またはアルゴンのような保護ガス下で、気圧下で実施するが、有利に閉じた装置で生じる自己圧下で(一般に1〜25バール、有利に5〜17バール、特に7〜13バールの圧力)実施する。
【0051】
適用に応じて本発明のコポリマーの製造中に有利に製造される水溶液を、有機または特に無機塩基、特に水酸化ナトリウム溶液の添加により、すなわち4〜8、有利に4.5〜7.5の範囲のpH値に中和または部分的に中和することができる。
【0052】
本発明のコポリマーは有利に洗剤、洗浄剤およびすすぎ助剤中の添加剤として適している。
【0053】
前記コポリマーは特に有利に食器洗い機の洗剤およびすすぎ助剤に使用できる。コポリマーは第1に無機皮膜および有機被膜に対するその皮膜防止作用により特徴付けられ、別々に配量されたすすぎ助剤に使用するために、および一緒に実施するツー・イン・ワンおよびスリー・イン・ワン食器洗い洗剤のすすぎ助剤機能に使用するために適している。
【0054】
その使用量は洗剤タブレットおよび洗剤粉末で一般に0.1〜20質量%、有利に1〜10質量%およびすすぎ助剤で一般に0.1〜10質量%、有利に1〜6質量%であり、量はそれぞれ洗剤またはすすぎ助剤組成物に関する。
【0055】
本発明のコポリマーは水の硬度を減少することを目的とする洗剤組成物の成分により生じる皮膜、例えばリン酸カルシウムおよびマグネシウム、珪酸カルシウムおよびマグネシウム、ホスホン酸カルシウムおよびマグネシウムの皮膜および洗浄液の汚れ成分に由来する皮膜、例えば油脂、タンパク質および澱粉皮膜に対する防止作用を有する。本発明により使用されるコポリマーは皮膜防止作用の結果として持続する作用を有して清浄化の結果を改良する。付加的にコポリマーは低い濃度でさえも製品からの水の除去に有利に作用し、食器洗い用洗剤中の透明すすぎ界面活性剤の量を減少できることを意味する。請求項に記載のコポリマーを使用すれば、特に水を軟化する塩を再生せずに食器洗い機を運転する場合に、特に透明なガラス製品および輝く金属器具が得られる。
【0056】
本発明のコポリマーは直接製造中に生じる水溶液の形でまたは例えば噴霧乾燥、流動噴霧乾燥、ドラム乾燥または凍結乾燥により得られた乾燥した形で使用できる。
【0057】
本発明のコポリマーは例えば以下のように使用できる。
透明すすぎサイクルの開始時に食器洗い機に自動的に配量される透明すすぎ組成物に溶解する。
透明すすぎ条件(温度。pH,透明すすぎサイクルでの洗剤成分の残留濃度)下で溶解する被膜が付加的に備えられているかまたはこれらの条件下で溶解するマトリックスに組み込まれ、洗剤と一緒に食器洗い機に導入されるが、透明すすぎサイクルてのみ排出される、前記方法の1つにより得られた固体の形で使用する。
この目的のために適当な被膜材料は例えばポリ酢酸ビニルの不完全加水分解(一般に88〜98%、有利に89〜95%、特に91〜92%の加水分解度)により製造されるポリビニルアルコールである。
適当なマトリックス材料は例えばゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、セルロースおよびその誘導体、澱粉およびその誘導体、これらの材料の混合物である。
食器洗い用洗剤タブレットのすすぎ助剤コアに配合される。
【0058】
実施例
I)本発明によるコポリマーの製造
例1
a)共重合
窒素下で水324gを、撹拌機、窒素導入口、還流冷却器および配量装置を備えた反応器中で内部温度100℃に加熱した。引き続き水230g中のアクリル酸107gおよびメタクリル酸242gの混合物およびこれに並行して水78g中のペルオキソ二硫酸ナトリウム14gの溶液を連続的に4時間かけて配量した。100℃で1時間後攪拌後、反応混合物を室温に冷却した。
【0059】
これにより固形分35質量%を有する透明なコポリマー溶液が得られた。コポリマーのK値は50であった(25℃、pH7、水中1質量%)。
【0060】
b)アミド化
撹拌機、窒素導入口、温度センサ、圧力指示器、および抜き取り装置を備えた圧力が安定な反応容器中で、工程a)で得られ、固形分25質量%に希釈したコポリマー溶液1000gおよび2−アミノエタンスルホン酸(タウリン)43.5gの混合物を50質量%水酸化ナトリウム溶液183.0gの添加によりpH6に調節した。窒素で3回洗浄し、容器を閉鎖後、混合物を攪拌しながら内部温度180℃に加熱し、この間約12バールの圧力を形成した。180℃で5時間攪拌後、反応混合物を分解せずに室温に冷却した。引き続き容器を開放した。50質量%水酸化ナトリウム溶液14.0gを引き続き添加してpH7.2に調節した。
【0061】
これにより固形分31.7質量%を有する透明な黄色い溶液が得られた、アミド化コポリマーのK値は23.8であった(25℃、pH7.2、3質量%NaCl水溶液中1質量%)。
【0062】
例2
例1と同様に処理したが、工程b)でタウリン33.4gを使用し、50質量%水酸化ナトリウム溶液を反応の前に173g、反応後に18.9g使用した。
【0063】
これにより固形分50質量%を有する透明な黄色い溶液が得られた。アミド化コポリマーのK値は24.9であった(25℃、pH7.2、3質量%NaCl水溶液中1質量%)。
【0064】
例3
a)共重合
窒素下で水/イソプロパノール混合物(質量比80/20)1016gを、撹拌機、窒素導入口、還流冷却器および配量装置を備えた反応器中で内部温度100℃に加熱した。引き続き水449g中のアクリル酸472gおよびメタクリル酸1102gの混合物を4時間かけて添加し、これに並行して水/イソプロパノール混合物200g(質量比80/20)中の過酸化水素(30質量%)120gの溶液を6時間かけて連続的に配量した。引き続き更に水/イソプロパノール混合物200gを使用して供給物をすすいだ。100℃で1時間の後攪拌に続いて反応混合物を室温に冷却した。
【0065】
これにより固形分34質量%を有する透明なコポリマー溶液が得られた。コポリマーのK値は75.3であった(25℃、pH7、水中1質量%)。
【0066】
b)アミド化
撹拌機、窒素導入口、温度センサ、圧力指示器、および抜き取り装置を備えた圧力が安定な反応容器中で、工程a)で得られ、水200gで希釈したコポリマー溶液8000gおよび2−アミノエタンスルホン酸(タウリン)61.6gの混合物を50質量%水酸化ナトリウム溶液207.0gの添加によりpH6に調節した。窒素で3回洗浄し、容器を閉鎖後、混合物を攪拌しながら内部温度180℃に加熱し、この間約9.6バールの圧力を形成した。180℃で5時間攪拌後、反応混合物を分解せずに室温に冷却した。引き続き容器を開放した。96質量%硫酸6.3gを引き続き添加してpH7.2に調節した。
【0067】
これにより固形分34.9質量%を有する透明な黄色い溶液が得られた、アミド化コポリマーのK値は55.7であった(25℃、pH7.2、水中1質量%)。
【0068】
II)本発明のコポリマーの食器洗い機用洗剤での使用
a)皮膜防止
得られたコポリマーをその皮膜防止作用を試験するために、以下の組成の食器洗い用洗剤組成物と一緒に使用した。
トリポリリン酸ナトリウム(Na10・6HO)50質量%
炭酸ナトリウム27質量%
二珪酸ナトリウム(xNaO・ySiO;x/y=2.65、80%)3質量%
過炭酸ナトリウム(NaCO・1.5HO)6質量%
テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)2質量%
脂肪アルコールアルコキシレートをベースとする低フォーム非イオン性界面活性剤2質量%
塩化ナトリウム3質量%
硫酸ナトリウム5質量%
ポリアクリル酸ナトリウム塩(M8000)2質量%。
【0069】
以下の洗浄条件で汚れ堆積物を添加せずに、すすぎ助剤および再生塩を使用せずに試験を実施した。
食器洗い機:MieleG686SC
洗浄サイクル:標準、洗浄サイクル2回(前洗浄せず)、55℃
製品:ナイフ(WMF Tafelmesser Berlin、Monoblock)およびたる形ガラスビーカー(Matador、Ruhr Kristall)
食器洗い用洗剤:21g
コポリマー:4.2g
透明すすぎ温度:65℃
水硬度:25°ドイツ硬度。
【0070】
洗浄の18時間後にハロゲンスポットライトおよび開口プレートを有する黒く塗った光箱中で目での評価により10(きわねてよい)から1(きわめて劣る)までの等級を使用して製品を評価した。ここで最も高い等級10は皮膜および液滴のない表面に相当し、5未満の等級から標準的な室内の光でも皮膜および液滴が見られ、従って問題があると評価される。
【0071】
得られた試験結果を表1に示す。比較のためにアクリル酸および2−アミノ−2−メチルプロパンスルホン酸のコポリマー(モル比80:20、M20000)(比較例C1)を使用して得られた結果または付加的なコポリマーを使用せずに得られた結果をここに示す。
【0072】
【表1】

【0073】
b)透明すすぎ作用
得られたコポリマーを、その透明すすぎ作用を試験するために、タブレットの形の標準的な市販されたスリー・イン・ワン食器洗い洗剤組成物(Somat)と一緒に使用し、他のコポリマーの遅れた排出をシミュレートするために、透明すすぎサイクルでコポリマーのみを添加した。
【0074】
しかし以下の洗浄条件下でIKWよごれ堆積物(SOEFW Journal、124巻、14/98、1029頁)の存在で試験を実施した。
食器洗い機:MieleG686SC
洗浄サイクル:洗浄サイクル1回、55℃
製品:ナイフ(WMF Tafelmesser Berlin Monoblock)、ガラス(Willy、0.3l)、黒いデザート用皿(セラミック)、黒いプラスチック皿(SAN)、EMSA Superlineボックス(カバーPEブルー、カンPP透明)
食器洗い用洗剤、Somatスリー・イン・ワン1錠
汚れ堆積物;主洗浄サイクルで50g、透明すすぎサイクルで2g添加
コポリマー:透明すすぎサイクルで210mg
透明すすぎ温度;65℃
水硬度:21°ドイツ硬度。
【0075】
洗浄サイクルの終了時にドアを開き、ドアを開放して皿を60分乾燥させた。引き続き製品をa)に記載された光箱中で0(きわめて劣る、乾燥した液滴のきわめて激しい形成(斑点)、すなわち乾燥した液滴で覆われる表面が60%より多い、皮膜形成)から4(きわめてよい、斑点がない、皮膜を形成しない)までの等級を使用して目での評価により評価した。
【0076】
得られた試験結果を表2に記載し、コポリマーC1を使用した結果およびコポリマーを添加しない結果を再び比較のために記載する。
【0077】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A1)少なくとも2個の異なるモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマー70〜100モル%および
(A2)1個以上の非イオン性モノマー0〜30モル%
からなるコポリマーであって、前記コポリマーを
(B)アミノ−C〜C−アルカンスルホン酸および/またはその塩、モノマー(A1)および場合により(A2)からなるコポリマーに含まれるアミド化可能な官能基に対して5〜30モル%と反応させたコポリマー。
【請求項2】
成分(A1)として、モノエチレン性不飽和C〜C−モノカルボン酸、モノエチレン性不飽和C〜C−ジカルボン酸およびその無水物およびこれらの酸の塩の群からの少なくとも2個のモノマーを共重合された形で含有する請求項1記載のコポリマー。
【請求項3】
モノマー(A1)のみから形成される請求項1または2記載のコポリマー。
【請求項4】
モノマー(A1)としてメタクリル酸、アクリル酸および/またはマレイン酸を共重合された形で含有する請求項1から3までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項5】
モノマー(A1)としてメタクリル酸およびアクリル酸を9:1〜1;2のモル比で共重合された形で含有する請求項1から4までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項6】
成分(B)として2−アミノエタンスルホン酸および/またはこの酸の塩が使用されている請求項1から5までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載のコポリマーを製造する方法において、
a)少なくとも2個のモノマー(A1)および場合により1個以上の非イオン性モノマー(A2)を互いにラジカル共重合させ、および
b)工程a)で得られたコポリマーをアミノ−C〜C−アルカンスルホン酸および/またはこの酸の塩と反応させる
ことを特徴とするコポリマーの製造方法。
【請求項8】
洗剤、洗浄剤およびすすぎ助剤への添加剤としての請求項1から6までのいずれか1項記載のコポリマーの使用。
【請求項9】
食器洗い機用洗剤およびすすぎ助剤のための皮膜を防止する添加剤としての請求項1から6までのいずれか1項記載のコポリマーの使用。
【請求項10】
添加剤として請求項1から6までのいずれか1項記載のコポリマーを含有する洗剤、洗浄剤およびすすぎ助剤。

【公表番号】特表2007−503483(P2007−503483A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524239(P2006−524239)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007863
【国際公開番号】WO2005/028527
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】