説明

スロットマシン

【課題】 1ゲームに掛ける一遊技媒体あたりの遊技者の享受する遊技利益が異なる遊技状態に遷移したときにおいて、最大の掛け数を超えない範囲においてゲーム開始可能な掛け数が複数あることを遊技者に認識させる。
【解決手段】 通常遊技中において、MAXBETボタンが操作されたときには、操作から掛け数の設定完了に至るまでに既定時間を費やし、ボーナス当選持ち越し遊技中において、MAXBETボタンが操作されたときには、操作から掛け数の設定完了に至るまでに既定時間よりも長い時間を費やす構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掛け数の設定によりゲーム開始可能となるスロットマシンに関し、特に、1ゲームに対して許容される最大の掛け数が同一であるとともに、最大の掛け数を超えない範囲においてゲーム開始可能な掛け数を複数有しながら、1ゲームに掛ける一遊技媒体あたりの遊技者の享受する遊技利益がそれぞれ異なる複数の遊技状態を有する場合において、設定する掛け数を遊技者に選択可能に示唆するスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシンは、メダル(コイン)や遊技球(パチンコ球)などの遊技媒体を掛けてスタートレバーを押下することにより、外周面に所定の絵柄や数字,文字等の図柄が表された複数のリール(通常3個のリール)が回転を開始し、定速回転後、任意のタイミングで停止ボタンが押されることでリールが停止し、停止したリール上の図柄の組合せに応じて所定数の遊技媒体が払い出される遊技機である。
【0003】
このようなスロットマシンでは、ゲーム開始の条件となる遊技媒体の掛け数は予め定められており、例えば、ゲーム開始の条件として常に固定の掛け数(例えば、メダル3枚)を要求する掛け数固定型スロットマシン、遊技状態に応じて要求する掛け数は常に同じであるものの、ゲーム開始可能な掛け数を複数有する掛け数選択型スロットマシンなどがある。
【0004】
掛け数選択型スロットマシンとしては、例えば、すべての遊技状態を通して1ゲームに対して許容される最大の掛け数が同一(例えば、3枚)であるとともに、最大の掛け数を超えない範囲においてゲーム開始可能な掛け数を複数有しながら(例えば、1〜3枚)、1ゲームに掛ける一遊技媒体(メダル1枚)あたりの遊技者の享受する遊技利益がそれぞれ異なる複数の遊技状態を有するスロットマシンがある。
【0005】
1ゲームに掛ける一遊技媒体あたりの遊技者の享受する遊技利益がそれぞれ異なる複数の遊技状態としては、例えば、1ゲームごとに行われる内部抽選の抽選対象として、その当選によりボーナス遊技に移行する条件となるボーナス役を含む遊技状態である、いわゆる通常遊技中と、ボーナス役に当選したゲームにおいてボーナス遊技に移行する契機となるボーナス図柄が揃わずに、次回ゲーム以降にボーナス役の当選状態が持ち越された遊技状態であって、ボーナス役を内部抽選の抽選対象に含まない、いわゆるボーナス当選持ち越し遊技中と、がある。
【0006】
通常遊技中では、例えば、掛け数が増加するほど内部抽選においてボーナス役に当選する確率が高くなるように設定され、ボーナス当選持ち越し遊技中では、例えば、掛け数が増加するほどボーナス図柄の停止範囲が拡張され揃いやすくなるものの、遊技者の技量によっては掛け数が1枚であってもボーナス図柄を揃えることができ、通常遊技中とボーナス当選持ち越し遊技中とでは、1ゲームに掛ける一遊技媒体あたりの遊技者の享受する遊技利益は異なるものとなっている。
【0007】
すなわち、この例では、通常遊技中は、遊技者の最も期待するボーナス役に未だ当選していない状態であり、ボーナス役に当選するか否かを、内部抽選を行うコンピュータ(乱数)に委ねた遊技状態であり、一方ボーナス当選持ち越し遊技中は、既にボーナス役に当選し、ボーナス遊技に移行する権利を獲得した状態であり、ボーナス図柄が揃うか揃わないかを、遊技者の技量に委ねた遊技状態であることから、メダル1枚あたりの遊技者の享受する遊技利益は全く違うものとなっている。
【0008】
ところで、スロットマシンでは、ゲーム開始に先立ち掛け数を設定する方法として、遊技媒体を所定の投入口から直接投入して設定する方法と、予め内部的にクレジットした貯留遊技媒体から掛け数を取得して設定する方法がある。
掛け数の取得先を貯留遊技媒体からに指定するには、BET(ベット)ボタンを操作することにより指定することができる。
BETボタンには、一の操作ごとに貯留遊技媒体から一の遊技媒体の取得を指定する1BETボタンと、一の操作ごとに貯留遊技媒体からそのときのゲーム状態で設定可能な最大数の遊技媒体の取得を指定するMAXBETボタンとがある。
大半の遊技者は、操作負担を軽減すべく、1BETボタンよりも少ない操作回数で指定可能なMAXBETボタンを操作することにより、掛け数を設定している。
【0009】
このように、MAXBETボタンの操作によって掛け数を設定すると、前述の掛け数選択型スロットマシンでは、1ゲームに掛ける一遊技媒体あたりの遊技者の享受する遊技利益が異なる遊技状態へ移行したことに気づかずに、最大数の掛け数を設定したままゲームを開始させてしまうことがあった。
すなわち、遊技者は、一遊技媒体あたりの遊技者の享受する遊技利益が異なる遊技状態に移行しているにもかかわらず、ゲーム開始可能となる掛け数が複数あることを活かすことなく、最大数の掛け数を設定していた。
その結果、例えば、前述の例によると、ボーナス当選持ち越し遊技中において、掛け数が1枚でもボーナス図柄を揃える技量を持ち合わせながらも、3枚の掛け数を設定したままゲームを開始させてしまうと、3枚の掛け数と、1枚の掛け数との差分のメダル(2枚)を損失することになる。
【0010】
このような問題を解消すべく、特許文献1には、所定数の掛け数が最適な掛け数となる一の遊技状態からこの掛け数よりも少ない掛け数が最適な掛け数となる他の遊技状態へ移行したときにおいて最適な掛け数以外の掛け数(例えば、3枚)を設定したときに、最適な掛け数(例えば、1枚)に係る情報を報知する遊技機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−136580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、スロットマシンでは、BETボタンが操作されると、ボタン操作のタイミングに遅れることなく、貯留遊技媒体から掛け数が内部的に取得されるとともに設定され、即座にスタートレバー操作待ちの状態となる(例えば、ボタン操作から1秒後)。
そうすると、遊技者は、BETボタンの操作、スタートレバーの操作、停止ボタンの操作の各操作を一定のタイミングで繰り返し行っていることから、BETボタンの操作により設定された掛け数のままスタートレバーが操作されることで、ゲームが開始されることになる。
【0013】
このような遊技者の遊技上の習性から、特許文献1に記載の技術を適用して、遊技状態が通常遊技中からボーナス当選持ち越し遊技中へ移行したときにおいて、MAXBETボタンが操作され、最大の掛け数(例えば、3枚)が設定されたときに、最大の掛け数を超えない範囲においてゲーム開始可能な掛け数が複数あることを報知したとしても、その報知に気づかずに、スタートレバーが操作され、ゲームが開始されることがあった。また、その報知に気づいたとしても、いつもの習性からその動作を止められずに意識とは裏腹にスタートレバーが操作され、ゲームが開始されてしまった。
このようなことから、1ゲームに掛ける一遊技媒体あたりの遊技者の享受する遊技利益が異なる遊技状態へ移行したときにおいて、最大の掛け数が設定されたときに、遊技の開始を積極的に遅らせる必要があった。
【0014】
本発明は、このような従来のスロットマシンが有する問題を解決するために提案されたもので、1ゲームに掛ける一遊技媒体あたりの遊技者の享受する遊技利益が異なる遊技状態に遷移したときにおいて、そのゲームに許容される最大の掛け数が設定されたときに、遊技の開始を積極的に遅らせ、遊技者の操作タイミングを狂わせることにより、最大の掛け数を超えない範囲においてゲーム開始可能な掛け数が複数あることを確実に遊技者に認識させ、遊技者にとって最適な掛け数をあらためて選択させるスロットマシンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明のスロットマシンは、1ゲームに対して許容される最大の掛け数が同一であるとともに、前記最大の掛け数を超えない範囲においてゲーム開始可能な掛け数を複数有しながら、1ゲームに掛ける一遊技媒体あたりの遊技者の享受する遊技利益がそれぞれ異なる複数の遊技状態を管理する遊技状態管理手段と、掛け数の取得先を予めクレジットされた貯留遊技媒体からに入力操作によって指定するクレジット掛け指定手段と、前記クレジット掛け指定手段による指定に基づいて1ゲームに掛ける掛け数を設定する掛け数設定手段と、を備えるスロットマシンであって、遊技状態管理手段は、1ゲームごとに行われる内部抽選の抽選対象に所定のボーナス役を含む通常遊技中と、前記ボーナス役の当選が持ち越された遊技状態であって抽選対象に前記ボーナス役を含まないボーナス当選持ち越し遊技中との少なくとも二つの遊技状態を管理し、前記クレジット掛け指定手段は、前記貯留遊技媒体から取得する掛け数を、その遊技状態において許容される最大の掛け数に指定する最大掛け指定手段と、最小単位の掛け数に指定する最小単位掛け指定手段と、を有し、前記掛け数設定手段は、前記通常遊技中において前記最大掛け指定手段によって最大の掛け数が指定されたときに、前記入力操作から設定完了に至るまでに既定時間を費やし、前記ボーナス当選持ち越し遊技中において最大掛け指定手段によって最大の掛け数が指定されたときに、前記入力操作から設定完了に至るまでに前記既定時間よりも長い時間を費やす構成としてある。
【発明の効果】
【0016】
本発明のスロットマシンによれば、1ゲームに掛ける一遊技媒体あたりの遊技者の享受する遊技利益が異なる遊技状態に遷移したときにおいて、そのゲームで許容される最大の掛け数が設定されたときに、遊技の開始を積極的に遅らせ、遊技者の操作タイミングを狂わせることにより、最大の掛け数を超えない範囲においてゲーム開始可能な掛け数が複数あることを確実に遊技者に認識させ、遊技者にとって最適な掛け数をあらためて選択させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】スロットマシンを示す概略正面図である。
【図2】スロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
【図3】スロットマシンの制御部及びその周辺構成の概略を示すブロック図である。
【図4】遷移する遊技状態と、遊技状態別の最適な掛け数と、掛け数設定時間との関係を示す図表である。
【図5】MAXBETボタン操作処理を示すフローチャートである。
【図6】遊技状態別の掛け数設定時間と遊技者の操作タイミングとの関係を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るスロットマシンの好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
[スロットマシン本体]
まず、図1〜図3を参照して、本実施形態に係るスロットマシン本体の構成について説明する。
図1は、スロットマシンを示す概略正面図であり、図2は、スロットマシンの内部構成を示す概略斜視図であり、図3は、スロットマシンの制御部及びその周辺構成の概略を示すブロック図である。
これらの図に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、従来のスロットマシンと同様に、スロットマシン1に備えられた複数のリール91a,91b,91cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成しているものの、ボーナス役の当選が持ち越されるボーナス当選持ち越し遊技中において、最大の掛け数が設定されたときに、掛け数の設定が完了するまでの時間を遅らせるようになっている。
以下、本実施形態に係るスロットマシン本体の構成について詳述する。
【0020】
本実施形態のスロットマシン1は、コンピュータ等で構成された制御部11及び必要な機械、装置等を収納可能な前面側が開口された筐体1bと、前面側を開閉可能に覆う前扉1aとからなる筐体状に構成されている。
前扉1aは、図1及び図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉自在に取り付けられる扉体で、この前扉1aに表示パネル7とその他各部が備えられてスロットマシン1の正面部を構成している。
【0021】
前扉1aの最上部には、表示器Lと、この表示器Lの左右両脇にはスピーカSが備えられている。
表示器Lは、演出制御部12によって制御される液晶表示ディスプレイなどの表示装置であり、その画面に所定の動画や静止画を表示して、視覚的な演出を行う演出手段として構成されている。
スピーカ9は、演出制御部12によって制御され、遊技者に対してメロディ音やメッセージ音等の各種の音声を発生することで、聴覚的な演出を行う演出手段として構成されている。
【0022】
表示パネル7は、樹脂製のパネルからなり、表示窓7aと、掛け数表示部7bと、クレジット数表示部7cなどが設けられ、スロットマシン1の状態を外部から視認可能に構成されている。
表示窓7aは、スロットマシン1内部に配設された三つのリール(左)91a,リール(中)91b,リール(右)91c(図2参照)の視認用の窓部で、各リール91の外周面に表された複数の図柄のうち、縦方向に連続して隣接する三つの図柄をそれぞれ視認できるようになっている。
【0023】
この表示窓7aを介して視認される各リール91の停止図柄で表される図柄の組合せには、複数の有効ラインが設定されている。
例えば、有効ラインは、各リール91において縦方向に連続して隣接する三つの図柄のうちの水平方向(上段、中段、下段)に並んだ組合せを有効とする三つの有効ラインと、右上がりと右下がりの斜めに並んだ組合せを有効とする二つの有効ラインの計五つの有効ラインが設けられ、五つの有効ラインに沿って停止した各リール21に表された図柄の組合せによって、所定の遊技価値が付与されるようになっている。
【0024】
掛け数表示部7bとクレジット数表示部7cは、表示窓7aの下側に配置され、制御部11により点灯制御される表示手段として構成されている。
掛け数表示部7bは、例えば、三つのLEDからなり、設定された掛け数(最大3枚)が表示されるようになっている。
クレジット数表示部7cは、例えば、7セグメントLEDからなり、内部的にクレジット(例えば、制御部11のRAMに記憶)された貯留メダル数が表示される。
【0025】
表示パネル7の下側であって前扉1aのほぼ中央部分には、メダル投入口2、BETボタン3、スタートレバー4、停止ボタン5、精算ボタン6、遅延解除ボタン6a等の遊技者の操作に係る操作手段が備えられている。
【0026】
メダル投入口2は、ゲームに掛けるメダルを直接受け入れ可能なメダル受入口であり、このメダル投入口2から投入されたメダル数に応じてゲーム開始可能となる。
具体的には、図2に示すように、メダル投入口2に通じる本体内側には、制御部11に接続されるとともに投入されたメダルを検出するセンサを有するメダルセレクタ2aが設けられ、メダルの投入に係るメダル検出信号が制御部11に入力されることにより、制御部11がこの入力数に基づいて投入メダル数を計数することにより、掛け数が設定されるようになっている。この設定された掛け数がその遊技状態でゲーム開始可能な掛け数に達することでスロットマシン遊技を開始することができる。
【0027】
また、メダル投入口6から投入されるメダルにおいて、1ゲームに対して許容される最大の掛け数を超える分のメダルは、貯留メダルとして制御部11内のRAM(不図示)に記憶され、ゲームの開始に先立って、予め投入したメダルを貯留メダルとして貯留することができるようになっている。
具体的には、1ゲームに対して許容される最大の掛け数となるメダル(例えば、3枚)が既に投入されている状態で、さらにメダル投入口2からメダルが投入されると、それ以降のメダルは貯留メダルとして、所定数(例えば、最大50枚)まで貯留,記憶されることになる。
また、メダル投入口6から投入されるメダルのみならず、各リール91が停止したときの図柄の組合せが所定の入賞に係る組合せのときに払い出される入賞メダルも貯留メダルとして貯留,記憶されるようになっている。
なお、この貯留メダル数は前述のクレジット数表示部7cに数値として表示される。
【0028】
BETボタン3は、貯留メダルがある場合に、ゲームに掛けるメダルの取得先を貯留メダルからに指定するクレジット掛け用スイッチである。
具体的には、BETボタン3には、一回の押下操作によってその遊技状態においてゲーム開始可能となる最大の掛け数に対応するメダルの取得を指定するMAXBETボタン3aと、一回の押下操作で1枚のメダルの取得を指定する1BETボタン3bとが設けられている。
なお、本実施形態では、すべての遊技状態において1ゲームに対して最大3枚の掛け数が許容されるとともに、最大の掛け数を超えない範囲において、1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けのいずれの掛け数でもゲーム開始可能としている(図4参照)。そのため、1ゲームに掛ける一遊技媒体あたりの遊技者の享受する遊技利益が異なる遊技状態に遷移したときにおいて、最大の掛け数である3枚が設定されたとしても、その設定のままでゲームが開始可能となる不都合が生じることになる。
【0029】
そして、これらの各BETボタン7が押下操作されると、操作に係るBET信号がそれぞれ制御部11に入力されることになり、これにより、制御部11が各BETボタン7に対応するメダル数をRAMに記憶された貯留メダル数から取得(減算)するようになっている。
この取得分(減算分)のメダル数は、RAMの所定領域に掛け数として記憶され、この記憶分の掛け数が掛け数表示部7bに表示されるようになっている。掛け数表示部7bにおける掛け数の表示は、この記憶分の掛け数に対応する数のLEDが下部に位置するLEDから順次点灯するようになっている。
【0030】
例えば、本実施形態では、すべての遊技状態において1ゲームに対して許容される最大の掛け数である3枚掛けを常に容認していることから、MAXBETボタン3aを一回押下操作すると、最大の掛け数に対応する3枚のメダルが貯留メダルから取得されるとともに、掛け数表示部7bのLEDが、下部に位置するLEDから順次点灯し、最終的にすべてのLED(3つ)が点灯することになる。
【0031】
一方、1BETボタン3bを一回押下操作すると、最小単位の掛け数に対応する1枚のメダルが貯留メダルから取得されるとともに、下部に位置する1つのLEDのみが点灯することなる。
なお、さらに1BETボタン3bを押下操作することで、貯留メダルから取得されるメダルを一押下操作ごとに1枚ずつ追加することができ、この際には、押下操作ごとに点灯するLEDも増加することになる。
【0032】
また、貯留メダルから取得されると、RAMに記憶された貯留メダル数が取得数分だけ減算され、これにより、クレジット数表示部7cの表示数値も取得数分減った値に減算表示されることになる。
このように、BETボタン3の押下操作から始まり、RAMに記憶された貯留メダル数からのBETボタン3に対応するメダル数の減算、掛け数としてのRAMへの記憶、クレジット数表示部7cにおける減算表示、掛け数表示部7bのLEDの点灯の一連の動作は、制御部11における掛け数設定処理により実行処理され、さらに掛け数設定処理では、RAMに記憶された掛け数がゲーム開始可能な掛け数か否かの判定を行い、RAMに記憶された掛け数がゲーム開始可能な掛け数に達していれば、ゲームの開始を許容すべく、スタートレバー4の操作を許容するとともにスタートレバー4の操作待ちとなるようになっている。
一方、RAMに記憶された掛け数がゲーム開始可能な掛け数に達していないと判定されたときには、ゲームの開始は許容されずに、スタートレバー4を操作しても各リール91は回転を開始しないようになっている。
【0033】
このような構成から、貯留メダル数が記憶されているときにMAXBETボタン3aを一回押下操作すると、メダル3枚を示す掛け数がRAMに記憶されるとともに、クレジット数表示部7cが減算表示され、さらに掛け数表示部7bのすべてのLEDが点灯した後、RAMに記憶された掛け数が判定されるものの、メダル3枚を示す掛け数は、本実施形態ではすべての遊技状態においてゲーム開始可能な掛け数であることから、MAXBETボタン3aの押下操作により、必然的にスタートレバー4の操作が許容される状態となる。
そうすると、掛け数が1枚でもゲーム開始可能であるにもかかわらず、MAXBETボタン3aの押下操作により、掛け数3枚が設定されるとともにスタートレバー4の操作が許容される状態となることから、この状態でスタートレバー4が操作されてしまうと、例えば、ボーナス当選持ち越し遊技中において、掛け数が1枚でもボーナス図柄を揃える技量を持ち合わせている遊技者にとっては、掛け数3枚と掛け数1枚との差分のメダル2枚を損失することになる。
そこで、本実施形態では、MAXBETボタン3aの操作からスタートレバー4の操作が許容されるまでの時間を遊技状態に応じて変化させ、例えば、通常遊技中よりもボーナス当選持ち越し遊技中の方が、MAXBETボタン3aの操作からスタートレバー4の操作が許容されるまでの時間を長く費やすように構成してある。
【0034】
なお、本実施形態では、MAXBETボタン3aが押下操作された後、RAMに記憶された貯留メダル数から3枚のメダルが減算され、掛け数表示部7bのLEDが点灯するとともにクレジット数表示部7cが減算表示された後、RAMに記憶された掛け数が判定され、さらにスタートレバー4の操作が許容されたときを、MAXBETボタン3aの押下操作に係る掛け数の設定が完了したタイミングとみなし、押下操作からこのタイミングまでを、MAXBETボタン3aの押下操作から掛け数の設定までの時間(以下、掛け数設定時間という)として扱うことにする。
【0035】
そして、本実施形態では、この掛け数設定時間が遊技状態に応じて変化し、例えば、通常遊技中の掛け数設定時間を本発明に係る既定時間とすると、この既定時間を1秒としてあるものの、ボーナス当選持ち越し遊技中では3秒とすることにより、ボーナス当選持ち越し遊技中の掛け数設定時間を既定時間よりも長い時間を費やすようにしてある。
これにより、遊技者が通常遊技中からボーナス当選持ち越し遊技中に遊技状態が遷移したことに気づかずに、通常遊技中のつもりでMAXBETボタン3aの押下操作から既定時間を経過したタイミングで直ちにスタートレバー4を操作したとしても、未だ掛け数の設定完了に至たらずスタートレバー4の操作が許容されていないことから、リール91の回転が開始されないため、遊技状態がボーナス当選持ち越し遊技中に遷移したことに気づくとともに、最大の掛け数を超えない範囲においてゲーム開始可能な掛け数が複数あることを確実に遊技者に認識させることができる。
なお、MAXBETボタン3aの押下操作に係る掛け数の設定が完了したタイミングは、上記のタイミングに限らず、例えば、RAMに記憶された貯留メダル数からゲーム開始可能な掛け数が確保されてスタートレバー4の操作が許容されたタイミングであれば、いつでもよい。
【0036】
スタートレバー4は、三つの各リール91の回転を開始させるスタートスイッチであり、上記のスタートレバー4の操作が許容された状態で、遊技者によって押下操作されることで、制御部11にスタート信号が入力され、各リール91a〜91cの回転が開始されるようになっている。
また、このスタートレバー4の押下操作によりスタート信号が入力されることで、制御部11において内部抽選が行われ、複数の抽選対象の中から今回ゲームにおける当選内容が決定されるようになっている。
【0037】
停止ボタン5は、回転するリール91を停止させる停止スイッチであり、三つのリール(左)91a,リール(中)91b,リール(右)91cに対応して設けられた三つの停止ボタン(左)5a,停止ボタン(中)5b,停止ボタン(右)5cが備えられている。この各停止ボタン5a,5b,5cが遊技者の任意のタイミングで押下操作されることで、制御部11にストップ信号が入力され、対応する各リール91a,91b,91cの回転がそれぞれ停止するようになっている。
【0038】
精算ボタン6は、遊技の終了時等に貯留メダルを精算するための精算スイッチである。
この精算ボタン6が押下操作されることで、制御部11に精算信号が入力され、貯留メダル分のメダルがメダル払出装置10からメダル払出口8に排出されるとともに、RAMに記憶された貯留メダル数のデータも消去される。また、貯留メダルが精算されることでクレジット数表示部7cの数値もゼロ表示となる。
なお、既に設定された掛け数がある状態で、精算ボタン6を押下操作することにより、貯留メダル分のメダルのみならず、設定された掛け数分のメダルも排出されるようになっている。このため、精算ボタン6は、既に設定された掛け数を取り消すための取消手段となっている。
【0039】
なお、精算ボタン6を取消手段として機能させる場合に、貯留メダル数分のメダルを排出することなく、既に設定された掛け数のみを排出することができるように、例えば、精算ボタン6を長押し(例えば、2秒以上)すると、設定された掛け数分のメダルを含むすべての貯留メダルが排出されるように制御し、短押し(例えば、2秒未満)すると、貯留メダル分のメダルを排出することなく、既に設定された掛け数のみを排出するように制御することもできる。
また、短押しすると、既に設定された掛け数を直接排出することなく、RAMに記憶された貯留メダル数にその掛け数を加算させることもできる。
このような精算ボタン6を設けることにより、ボーナス当選持ち越し遊技中において最大の掛け数を超えない範囲においてゲーム開始可能な掛け数が複数あることを認識したときに、この精算ボタン6を操作するとともに、あらためて1BETボタン3bを操作することで、その遊技者にとって最適な掛け数を再設定することができる。
【0040】
遅延解除ボタン6aは、ボーナス当選持ち越し遊技中において既定時間よりも長い時間を費やす掛け数設定時間を、遊技者の押下操作によってその遅延を解除(短縮)するスイッチであり、本発明に係る短縮手段としての機能を有している。
この遅延解除ボタン6aが押下操作されることで、制御部11に解除信号が入力され、例えば、遊技者がMAXBETボタン3aの押下操作から既定時間を経過したタイミングでスタートレバー4を操作したにもかかわらず、リール91の回転が開始しないときには、遅延解除ボタン6aを押下操作することにより、制御部11が直ちに掛け数設定処理を実行することにより、スタートレバー4の操作が許容される状態とすることができる。
これにより、遅延時間が切り上げられ、掛け数設定時間が短縮されることになり、その遊技者にとって最適な掛け数の再設定を迅速に行うことができる。
【0041】
なお、本実施形態では、遅延を解除するための専用のスイッチとして遅延解除ボタン6aを設けたが、スタートレバー4、停止ボタン5、1BETボタン3b等の操作手段に遅延解除機能を兼用させることもできる。
例えば、1BETボタン3bに遅延解除機能を兼用させるときには、遅延時間中の1BETボタン3bの押下操作により単に遅延時間を切り上げるだけでなく、同時に掛け数の再設定を行うようにすることもできる。
具体的には、遅延時間中に1BETボタン3bが押下操作されると、制御部11は直ちに掛け数設定処理を実行するとともに、この処理において、MAXBETボタン3aの操作に係る掛け数(3枚)をキャンセルして、掛け数(1枚)を設定するように構成することもできる。
【0042】
スロットマシン1の最下部には、メダル払出口8が備えられている。
停止ボタン5の押下操作によって各リール91が所定の図柄の組合せで停止した場合に、メダル払出装置10から図柄の組合せに応じた数量の入賞メダルが、メダル払出口8より、払い出されるようになっている。
【0043】
スロットマシン1の筐体内部には、図2に示すように、三個のリール91a〜91cを回転及び停止駆動するドラムユニット9や、メダルを払い出すメダル払出装置10、その他の機械,装置等が備えられている。
ドラムユニット9は、三つのリール91a,91b,91cと、三つのリール91a〜91cを回転駆動可能に軸支するステッピングモータと、各リール91a〜91cが一回転するごとに各リール91a〜91cの基準位置を検出する回転位置検出センサと、を備えている(いずれも不図示)。
ステッピングモータと回転位置検出センサは制御部11に接続され、これにより、制御部11によって各リール91の回転の開始、回転速度、停止、停止位置等が制御されるようになっている。
【0044】
リール91は、既存のスロットマシンにおけるものと同様、外周に複数の絵柄や文字等の図柄が表された円筒状部分からなり、縦方向(図面上から下方向)に回転する三つのリール(左)91a,リール(中)91b,リール(右)91cが横方向(図面左右方向)に一列に並んで配設されている(図2参照)。
各リール91a〜91cに表された図柄は、リール91ごとに等間隔で配設され、例えば、小役に対応する「ベル」、ボーナス役に対応する「7」(ボーナス図柄)、再遊技役に対応する「リプレイ」、小役に対応する「チェリー」等の絵柄や文字が、所定の順番で表示されており、各リール91に21個ずつの図柄が表示されるようになっている。
【0045】
メダル払出装置10は、筐体内のドラムユニット9の下側に配設されるメダル払出用の装置であり、払出用のメダルを収納するホッパー10aと、ホッパー10aに設けられたメダル払出モータと、払い出されるメダルを検出する払出センサと、を備え、これらが制御部11に接続され、制御部11が払出センサから入力される検出信号の入力数から払出数を監視しながら払出モータを回転制御することにより、各リール91において停止された図柄の組合せに応じた入賞メダル数がメダル払出口8から排出されるようになっている。
【0046】
演出制御部12は、後述の制御部11と同様、中央演算処理装置(CPU)と、メモリ(RAM,ROM)、インターフェイス回路等を備えたコンピュータとして構成され、筐体内の上部に配置されている。
演出制御部12は、制御部11から送信される制御コマンドに従って、図示しないランプ類(LED)や表示器L及びスピーカ9を駆動制御して所定の演出を行う演出制御手段として動作するようになっている。
【0047】
[制御部]
次に、スロットマシン1全体を制御する制御部11について説明する。
制御部11は、図3に示すように、上述したスロットマシン1の各部を制御する、中央演算処理装置(CPU)と、メモリ(RAM,ROM)、インターフェイス回路等を備えたコンピュータとして構成され、筐体1bの後部に配置されている。
具体的には、制御部11は、一般的に主基板と称され、CPUと、当該CPUに内蔵されたメモリであるROM及びRAM、基準クロックを発生するクロック発生回路、乱数発生のための基準クロックを生成する乱数クロック発生回路、内部抽選用の乱数を生成する乱数カウンタ等を備えている(いずれも不図示)。
また、制御部11には、BETボタン3、メダルセレクタ2a、スタートレバー4、停止ボタン5、精算ボタン6、遅延解除ボタン6aから入力される信号を監視する入力ポート、ドラムユニット9、メダル払出装置10、演出制御部12、掛け数表示部7b、クレジット表示部7cに制御信号を出力する出力ポートを備えるIC等も設けられている。
そして、CPUが(以下、制御部11という)、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づき、遊技者による入力操作を検出しながら各処理を実行することにより、本発明に係る遊技状態管理手段、掛け数設定手段として動作するとともに、前述の各部が制御されスロットマシン1が回動式遊技機として動作するようになっている。
【0048】
具体的には、制御部11は、メダル投入口2からの投入メダル、又はBETボタン3の押下操作を監視して、投入メダル数及び押下操作されたBETボタン3の種別に応じた掛け数を設定するとともに、設定された掛け数の数量に応じてスタートレバー4の操作を許容し、スタートレバー4の操作のタイミングで、各リールの回転を開始するとともに、複数の抽選対象の中から今回ゲームの当選内容を抽選で決定する内部抽選を行い、遊技者による停止ボタン5の停止操作のタイミングと当選内容とに基づいて当選内容の抽選対象に対応する図柄の組合せで停止するよう、各リール91の停止制御を行う。
【0049】
内部抽選の抽選対象には、ボーナス遊技に移行することになるボーナス役をはじめ、次回ゲームにおいてメダルを掛けることなく遊技可能となる再遊技役(リプレイ)、所定数の入賞メダルが払出されることになる小役、何ら遊技価値の付与されないハズレなどがある。
内部抽選では、これらの抽選対象ごとに予め割り当てられた乱数の当選値と、スタートレバー4の操作のタイミングで乱数カウンタから取得する乱数値とを比較することにより、当該ゲームにおける当選内容を1ゲームごとに決定するようになっている。
【0050】
また、内部抽選の抽選対象は、遊技状態ごとに異なり、通常遊技中では、ボーナス役を抽選対象に含むものの、ボーナス当選持ち越し遊技中では、既にボーナス役に当選した状態にあることから、ボーナス役を抽選対象に含まないようになっている。
また、通常遊技中におけるボーナス役の当選確率は、設定された掛け数に応じて変化し、例えば、1枚掛けでは、1/2700、2枚掛けでは、1/1360、3枚掛けでは、1/170に設定され、掛け数の増加に伴い、ボーナス役の当選確率が高くなるとともに、1枚掛け、2枚掛けに比べて3枚掛けの方が、1枚あたりの遊技者の享受する遊技利益が最も多くなるように設定され、通常遊技中では3枚掛けを推奨するゲーム性を有している。
【0051】
さらに、制御部11は、停止した各リール91の図柄の組合せを判定して、以下のような処理を行う。
例えば、内部抽選において小役に当選するとともに、所定の有効ラインにおいて、この小役に対応する図柄の組合せで停止したと判定したときには、メダル払出装置10を制御して所定数の入賞メダルを払出す処理を実行する。
なお、図柄の組合せを判定する際の有効ラインは、設定された掛け数に応じて変化し、例えば、1枚掛けでは、中段のみの有効ラインにおける図柄の組合せを判定し、2枚掛けでは、上段、中段、下段の三つの有効ラインにおける図柄の組合せを判定し、3枚掛けでは、すべての有効ラインにおける図柄の組合せを判定する。
【0052】
また、制御部11は、停止した各リール91の図柄の組合せを判定して、遊技状態を遷移させる処理を実行する。
例えば、内部抽選においてボーナス役に当選するとともにボーナス役に対応するボーナス図柄の組合せで停止したと判定したときには、遊技状態をボーナス遊技に遷移させる。
また、ボーナス役に当選したゲームにおいてボーナス図柄の組合せで停止していないと判定したときには、ボーナス役の当選を次回ゲームに持ち越す処理を実行する。
【0053】
このようなボーナス役の持ち越しに係る遊技状態をボーナス当選持ち越し遊技中と称し、このボーナス当選持ち越し遊技中では、内部抽選の抽選対象からボーナス役が除外されるとともに、抽選対象ごとに予め割り当てられた乱数の当選値を通常遊技中とは異なる当選値とすることもできる(例えば、再遊技役の当選値を増加させるなど)。
また、ボーナス当選持ち越し遊技中は、内部抽選の抽選対象にボーナス役が含まれる通常遊技中においてボーナス役に当選するとともに、そのゲームにおいてボーナス図柄の組合せが停止しないときの次回のゲームから遷移するようになっている。
このように制御部11は、停止した各リール91の図柄の組合せを判定して、遊技状態を遷移させるようになっている。
【0054】
また、制御部11は、メダル投入口2からの投入メダル、又はBETボタン3の押下操作を監視して、投入メダル数及び押下操作されたBETボタン3の種別に応じた掛け数を設定するとともに、設定された掛け数がゲーム開始可能な掛け数か否かの判定を行い、設定された掛け数がゲーム開始可能な掛け数と判定されたときには、スタートレバー4の操作を許容する掛け数設定処理を実行する。
【0055】
また、制御部11は、MAXBETボタン3aが押下操作されたときの遊技状態を監視し、遊技状態に応じて掛け数設定時間を変化させる、MAXBETボタン操作処理を実行する。
制御部11がこのような処理を実行するにあたり、制御部11のROMには、遊技状態ごとのゲーム開始可能な掛け数及び掛け数設定時間(後述の遅延タイマ、ディレイ時間、所定の時間など時間値データ等)が記憶されている。
ここで、遊技状態別の掛け数設定時間について、図4を参照しながら説明する。
【0056】
図4は、遷移する遊技状態と、遊技状態別の掛け数及び掛け数設定時間との関係を示す図表であり、同図における横軸はゲームの推移を示し、各目盛りは1ゲームを示している。
この例は、通常遊技中にボーナス役に当選したものの、当選したゲームにおいてボーナス図柄が停止することなく、次回ゲーム(最初のゲーム)を含む6ゲームに亘ってボーナス当選が持ち越されたボーナス当選持ち越し遊技中となり、6ゲーム目にボーナス図柄が停止し、停止したゲームの次のゲームからボーナス遊技に移行するとともに、規定枚数分の入賞メダルの払い出しによりボーナス遊技が終了して再び通常遊技中に移行した遊技状態の変遷を示したものである。
【0057】
このような遊技状態の変遷において、本実施形態に係るスロットマシン1では、同図に示すように、すべての遊技状態を通して最大の3枚の掛け数を許容しながら、この最大の掛け数3枚を超えない範囲において、1枚掛け、2枚掛けでもゲーム開始可能としてある。
また、MAXBETボタン3aの操作に係る掛け数設定時間は、通常遊技中及びボーナス遊技中では、例えば1秒(既定時間)であるものの、ボーナス当選持ち越し遊技中では、既定時間より長い、例えば3秒に変化するようになっている。
【0058】
これにより、遊技者は、ボーナス当選持ち越し遊技中では、MAXBETボタン3aを操作するたびに、長い掛け数設定時間を体感することとなるため、遊技者に最大の掛け数を超えない範囲においてゲーム開始可能な掛け数が複数あることを確実に認識させることができる。
すなわち、遊技者は、遊技状態がボーナス当選持ち越し遊技中に遷移したことに気づかずに通常遊技中のつもりで、MAXBETボタン3aの押下操作後からいつものタイミング(例えば、MAXBETボタン3aの押下操作後から約1.7秒経過後)でスタートレバー4を操作しても、このタイミングでは、未だ掛け数3枚の設定完了には至らないため、スタートレバー4の操作は許容されておらず、リール91の回転は開始しないことから、スタートレバー4の操作タイミングが狂わされることにより、既定時間よりも長い掛け数設定時間を体感することになるからである。
また、遊技者は既定時間よりも長い掛け数設定時間を体感することによりボーナス当選を認識することができるため、掛け数設定時間の変化はボーナス当選を演出するという効果をもたらすことにもなる。
【0059】
このような掛け数設定時間の遊技状態別の変化は、MAXBETボタン操作処理を実行することにより実現される。
図5は、本実施形態に係る制御部11において実行されるMAXBETボタン操作処理を示すフローチャートである。
【0060】
ところで、ボーナス当選持ち越し遊技中の掛け数設定時間を既定時間よりも長い時間を費やすように構成する方法としては種々の方法を挙げることができる。
例えば、第一の方法として、MAXBETボタン3aの操作後に一定の遅延時間を設けてから掛け数設定処理を行う方法、第二の方法として、掛け数設定処理の中で遅延時間を設けながら処理を行う方法、第三の方法として、掛け数設定処理においてスタートレバー4の操作を許容する処理を別処理とし、掛け数設定処理終了後からスタートレバー4の操作を許容するまでに遅延時間を設ける方法等がある。
本実施形態では、図5に示すように、MAXBETボタン3aの操作後に一定の遅延時間を設けてから掛け数設定処理を行う第一の方法を採用してある。
【0061】
具体的には、本実施形態に係るMAXBETボタン操作処理では、制御部11は、MAXBETボタン3aの押下操作を検出すると(S1)、この検出タイミングにおける遊技状態を判定する(S2)。遊技状態がボーナス当選持ち越し遊技中でなければ(S2−No)、すなわち、通常遊技中及びボーナス遊技中であれば、後述の遅延タイマ設定処理を実行することなく掛け数設定処理を実行する(S6)。
【0062】
掛け数設定処理では、RAMに記憶された貯留メダル数からMAXBETボタン3aに対応する3枚のメダルを減算する処理、3枚のメダルを示す掛け数をRAMの所定領域に記憶する処理、クレジット数表示部7cに表示されている数値を3枚のメダルを減算した数値に変更表示する処理、掛け数表示部7bのLEDを下部に位置するLEDから順次点灯させすべてのLEDを点灯させる処理、RAMに記憶された掛け数がゲーム開始可能な掛け数か否かの判定を行う処理、ゲーム開始可能な掛け数に達しているときに限りスタートレバー4の操作を許容する処理等を所定の順序で行う。
【0063】
これらのすべての処理は数ミリ秒で実行可能であるものの、例えば、掛け数表示部7bのLEDを点灯させる処理では、最下部に位置する1番目のLEDから順に、2番目のLED、3番目のLEDという順序で点灯させることから、1番目のLEDを点灯させてから、2番目のLEDが点灯するまでに数十ミリ秒のディレイ時間を設けるとともに、さらに2番目のLEDが点灯してから3番目のLEDが点灯するまでに数十ミリ秒のディレイ時間を設けるため、通常遊技中及びボーナス遊技中における、MAXBETボタン3aの押下操作に係る掛け数設定時間は、このような時間を積算して約1秒となっている。
【0064】
一方、遊技状態がボーナス当選持ち越し遊技中であれば(S2−Yes)、遅延タイマ設定処理を実行する(S3)。
遅延タイマ設定処理では、遅延タイマ(例えば、2秒)をRAMの所定領域にセットし、所定のクロックタイミング(割り込み周期)ごとに、遅延タイマをカウントダウン又はカウントアップしながら書き換える処理を実行するとともに、遅延タイマのタイムアップを監視する。
さらに、遅延タイマの監視中は、所定の演出処理を実行する(S4)。
【0065】
遅延タイマの監視中に行う演出処理では、最大の掛け数を超えない範囲においてゲーム開始可能な掛け数が複数あることを遊技者に認識させ、当該操作を取り消すとともに遊技者にとって最適な掛け数をあらためて選択指定することを促す演出を行うようになっている。
例えば、制御部11が直接点灯制御可能、又は演出制御部12を介して間接点灯制御可能なLEDを、MAXBETボタン3aと1BETボタン3bに内蔵し、MAXBETボタン3aの操作後に、MAXBETボタン3aに内蔵されたLEDを消灯させるとともに、1BETボタン3bに内蔵されたLEDを点灯させ、遊技者にとって最適な掛け数をあらためて選択指定するよう促すこともできる。
【0066】
また、制御部11が演出制御部12を介して表示器Lを制御することで、例えば、表示器Lに、「掛け数」の文字を表示させるとともに、「3枚」、「2枚」、「1枚」の文字を順次カウントダウン表示させることで、遊技者にとって最適な掛け数をあらためて選択指定するよう促すこともできる。
また、これらの演出に加え、その他のランプ類(LED)、表示器L、スピーカSを駆動制御することにより、光と音による演出や、特定の入力操作(例えば、図示しない演出用のコントロールスイッチ、MAXBETボタン3aの再操作など)により、特殊効果音を発生させるなどの多彩な演出を行うことで、遅延タイマの監視中における遊技性を向上させることができる。
【0067】
また、遅延タイマの監視中において、遊技者の操作に基づいて遅延タイマを抽選にて決定し、抽選した遅延タイマを新たな遅延タイマとして再度設定することにより、その結果として掛け数設定時間が長くなれば長くなるほどボーナス役当選や、総獲得入賞メダル数の多いボーナス役当選への期待感が高まる演出を行うこともできる。
例えば、遅延タイマの監視中において、再度MAXBETボタン3aの操作を促す表示演出を表示器Lに行わせるとともに、MAXBETボタン3aの押下操作のタイミングで、時間値の異なる複数の遅延タイマの中から抽選により再設定する遅延タイマを取得し、既に設定した遅延タイマがタイムアップする前に、この取得した遅延タイマを再設定することもできる(遅延タイマ再設定処理)。この再設定は、遅延タイマがタイムアップする前であれば、何度でも繰り返し行うことができ、これにより、MAXBETボタン3aを単位時間あたりに少しでも多く操作するほど、掛け数設定時間が長くなるようなゲーム性を付加することができる。
【0068】
これにより、例えば、ボーナス当選持ち越し遊技中のみならず、通常遊技中であっても、遅延タイマ再設定処理を実行させることにより、所定の時間以上、掛け数設定時間が長くなるとボーナス当選確定とする演出を表示器LとスピーカSを介して行うことで、MAXBETボタン3aを操作(連打)することにより、掛け数設定時間が長くなれば長くなるほどボーナス役当選への期待感が高まることになる。
【0069】
また、ボーナス遊技中に獲得する総獲得入賞メダル数の異なる複数種類のボーナス役(例えば、レギュラーボーナスと、ビッグボーナス)を抽選対象に有するスロットマシンでは、掛け数設定時間が既定時間より長く体感された時点でボーナス役の当選は確定しているものの、所定の時間以上、掛け数設定時間が長くなると総獲得入賞メダル数の多いボーナス(ビッグボーナス)当選確定とする演出を表示器LとスピーカSを介して行うことで、掛け数設定時間が長くなれば長くなるほど、ビッグボーナス当選への期待感が高まることになる。
【0070】
そして、以上のような演出処理を遅延タイマがタイムアップするまで行い(S5−No)、遅延タイマの経過(タイムアップ)に伴い(S5−Yes)、前述の掛け数設定処理を実行する(S6)。これにより、ボーナス当選持ち越し遊技中における掛け数設定時間は、遅延タイマの経過に伴う時間(2秒)に、掛け数設定処理の実行にかかる時間(1秒)を加えた時間(3秒)となる。
以上のように、本実施形態に係るMAXBETボタン操作処理を実行することにより、ボーナス当選持ち越し遊技中の掛け数設定時間が通常遊技中の掛け数設定時間(既定時間)よりも長い時間となるため、遊技者が既定時間より長い掛け数設定時間を体感することにより、最大の掛け数を超えない範囲においてゲーム開始可能な掛け数が複数あることを確実に認識することができ、その遊技者にとって最適な掛け数をあらためて設定することができる。
また、遊技者は既定時間よりも長い掛け数設定時間を体感することによりボーナス当選を認識することができるため、掛け数設定時間の変化はボーナス当選を演出するという効果を発揮することにもなる。
【0071】
[その他の実施形態]
また、上記の実施形態では、MAXBETボタン3aの操作後に一定の遅延時間を設けてから掛け数設定処理を行う第一の方法を採用したが、以下に示すように、掛け数設定処理の中で遅延時間を設けながら処理を行う第二の方法を採用することもできる。
例えば、上記の実施形態において、掛け数表示部7bのLEDを点灯させる処理では、一のLEDを点灯させてから次のLEDを点灯させるまでに数十ミリ秒のディレイ時間を設けたが、このディレイ時間を通常遊技中(ボーナス遊技中も含む)と、ボーナス当選持ち越し遊技中とで変えることにより、掛け数設定時間を変化させることができる。
【0072】
具体的には、通常遊技中(ボーナス遊技中も含む)では、上記の実施形態と同様、ディレイ時間を数十ミリ秒に設定することにより、通常遊技中の掛け数設定時間を1秒とするものの、ボーナス当選持ち越し遊技中では、ディレイ時間を1秒に設定することで、ボーナス当選持ち越し遊技中の掛け数設定時間を3秒にすることができる。
これにより、遊技者は、通常遊技中とは異なる掛け数設定時間を体感するだけでなく、掛け数表示部7bにおける点灯パターンの変化に気づくことから、最大の掛け数を超えない範囲においてゲーム開始可能な掛け数が複数あることを確実に認識することができる。
【0073】
また、このような掛け数表示部7bにおけるLEDの点灯パターンを変化させる処理に連動して、又は連動することなく単独で、以下のような制御を行うこともできる。
例えば、上記の実施形態では、MAXBETボタン3aに係る掛け数設定処理において、MAXBETボタン3aの押下操作により、RAMに記憶された貯留メダル数からMAXBETボタン3aに対応する3枚のメダルを一度に減算するとともに、この3枚のメダルを示す掛け数をRAMの所定領域に一度に記憶し、このRAMに記憶された掛け数がゲーム開始可能な掛け数か否かの判定を一度に行うように構成したが、これらの処理を、ボーナス当選持ち越し遊技中に限り、一定の時間的な間隔をおいて、RAMに記憶された貯留メダル数からメダル1枚を減算する度に行うこともできる。
【0074】
具体的には、MAXBETボタン3aの押下操作を検出後に所定の時間(例えば、1秒)をおいてから、RAMに記憶された貯留メダル数から1枚のメダルを減算するとともに、この1枚のメダルを示す掛け数をRAMの所定領域に記憶し、このRAMに記憶された1枚のメダルを示す掛け数がその遊技状態におけるゲーム開始可能な掛け数か否かの判定を行い、記憶された掛け数がゲーム開始可能な掛け数であれば、スタートレバー4の操作を許容する処理を行う。
そして、記憶された掛け数がゲーム開始可能な掛け数であれば、これ以降継続してスタートレバー4の操作を許容しながら、その後、さらに所定の時間(例えば、2秒)をおいた後、RAMに記憶された貯留メダル数からさらに1枚のメダルを減算するとともに(この時点で合計2枚減算することなる)、この1枚のメダルを示す掛け数を先にRAMの所定領域に記憶した掛け数に加算するとともにこの加算した掛け数(この時点で合計2枚となる)を記憶する処理を行う。
そして、記憶された掛け数がその遊技状態におけるゲーム開始可能な掛け数であれば、これ以降継続してスタートレバー4の操作を許容しながら、その後、さらに所定の時間(例えば、0.5秒)をおいた後、RAMに記憶された貯留メダル数からさらに1枚のメダルを減算するとともに(この時点で合計3枚減算することになる)、この1枚のメダルを示す掛け数を先にRAMの所定領域に記憶した掛け数に加算するとともにこの加算した掛け数(この時点で合計3枚となる)を記憶し、このRAMに記憶された3枚のメダルを示す掛け数がその遊技状態におけるゲーム開始可能な掛け数か否かの判定を行い、記憶された掛け数がゲーム開始可能な掛け数であれば、スタートレバー4の操作を許容する処理を行う。
【0075】
つまり、通常遊技中(ボーナス遊技中も含む)の掛け数設定処理では、掛け数3枚のメダルを一度に設定するものの、ボーナス当選持ち越し遊技中に限り、時間的な間隔をおいて1枚ずつ掛け数を設定するとともに、設定された掛け数(合計数)がゲーム開始可能な掛け数であると判定された時点から、継続してスタートレバー4の操作を許容するようにする。
なお、本実施形態では、ゲーム開始可能な最小の掛け数はすべての遊技状態を通してメダル1枚であることから、1枚のメダルを示す掛け数がRAMの所定領域に記憶され、このRAMに記憶された掛け数がゲーム開始可能な掛け数であると判定された時点から、継続してスタートレバー4の操作が許容されることになる。
このような処理を、図式的にタイムチャートで示したのが図6である。
【0076】
同図に示すように、通常遊技中では、MAXBETボタン3aの押下操作により、掛け数としてメダル3枚を一度に設定するとともに、掛け数設定後からスタートレバー4の操作を許容するものの、ボーナス当選持ち越し遊技中では、MAXBETボタン3aの押下操作から所定の時間(例えば、1秒)経過後に、掛け数としてまずメダル1枚を設定するとともに、この掛け数設定後以降からスタートレバー4の操作が許容され、その後、所定の時間(例えば、2秒)経過後に、さらに掛け数としてメダル2枚を設定するとともに、さらに、所定の時間(例えば、0.5秒)経過後に、掛け数としてメダル3枚を設定するようにしてある。
【0077】
このように、ボーナス当選持ち越し遊技中において、時間的な間隔をおいて1枚ずつ掛け数を設定するとともに、設定された掛け数(合計数)がゲーム開始可能な掛け数であると判定された時点から、継続してスタートレバー4の操作を許容することで、遊技者が、遊技状態がボーナス当選持ち越し遊技中に遷移したことに気づかずに通常遊技中のつもりで、いつものタイミング(例えば、MAXBETボタン3aの押下操作後から約1.7秒後)で、スタートレバー4を操作することにより、ボーナス当選持ち越し遊技中においてメダル1枚を掛けた状態でゲームを開始させることができる。
これにより、ボーナス当選持ち越し遊技中において、掛け数が1枚でもボーナス図柄を揃える技量を持ち合わせている遊技者にとっては、最適な掛け数でゲームを開始させることができる。
【0078】
すなわち、ボーナス当選持ち越し遊技中において、MAXBETボタン3aの押下操作後からメダル1枚が設定されるまでの時間(例えば、1秒)を、通常遊技中における掛け数設定時間である既定時間(例えば、1秒)とほぼ同じ時間とし、メダル1枚を加えた掛け数であるメダル2枚の設定に至るまでの時間を、メダル1枚が設定されてからさらに所定時間(例えば、2秒)後に到来するようにすることで、通常遊技中における遊技者のスタートレバー4の操作タイミング(いつもの操作タイミング)が既定時間とメダル2枚の設定に至るまでの時間との間に位置するようにしてある。
これにより、1ゲームに掛ける一遊技媒体あたりの遊技者の享受する遊技利益が異なる遊技状態に遷移したにもかかわらず、いつものタイミングでスタートレバー4を操作することにより、掛け数が1枚でもボーナス図柄を揃える技量を持ち合わせている遊技者は何ら損失を蒙ることもなく最適な掛け数を設定した状態で遊技を進行させることができるのである。
【0079】
なお、通常遊技中における遊技者のスタートレバー4の操作タイミングが、既定時間とメダル2枚の設定に至るまでの時間との間に位置するようにするためには、既定時間経過後からメダル2枚の設定に至るまでの時間が長ければ長い方がよい。
また、通常遊技中においても、MAXBETボタン3aの押下操作により、掛け数としてメダル3枚を一度に設定せずに、ボーナス当選持ち越し遊技中と同様、時間的な間隔をおいて1枚ずつ掛け数を設定するとともに、設定された掛け数(合計数)がゲーム開始可能な掛け数に達した時点から、継続してスタートレバー4の操作を許容する上記の方式を採用することができる。ただし、この場合には、通常遊技中における掛け数設定時間が既定時間となるように、時間的な間隔をボーナス当選持ち越し遊技中のときよりも狭める必要がある。
【0080】
また、ボーナス当選持ち越し遊技中において、時間的な間隔をおいて1枚ずつ掛け数を設定するとともに、設定された掛け数(合計数)がゲーム開始可能な掛け数であると判定された時点から、継続してスタートレバー4の操作を許容する、上記の実施例を、MAXBETボタン3aの押下操作の積算時間に応じて行うことができる。
例えば、上記の実施例では、MAXBETボタン3aの押下操作により、掛け数として必ずメダル3枚が設定されることになるが、設定される掛け数を押下操作の積算時間に応じて変えることもできる。
【0081】
具体的には、制御部11がMAXBETボタン3aの押下操作時間を監視することにより、押下操作時間が10ミリ秒以下であれば、掛け数としてメダル1枚を設定し、押下操作時間が10ミリ秒を超え20ミリ秒以下であれば、掛け数としてメダル2枚を設定し、押下操作時間が20ミリ秒を超えれば、掛け数としてメダル3枚を設定するように制御することもできる。
そして、押下操作時間が20ミリ秒を超えれば、図6に示すように、ボーナス当選持ち越し遊技中において、時間的な間隔をおいて1枚ずつ掛け数を設定するとともに、設定された掛け数(合計数)がボーナス当選持ち越し遊技中のゲーム開始可能な掛け数に達した時点から、継続してスタートレバー4の操作を許容する、上記の実施例と同様な制御を行い、押下操作時間が10ミリ秒を超え20ミリ秒以下であれば、図6におけるメダル2枚設定までの制御を行い、押下操作時間が10ミリ秒以下であれば、図6におけるメダル1枚設定までの制御を行う。
このようにMAXBETボタン3aの押下操作の積算時間に応じて設定される掛け数を変えることで、遊技者は押下操作時間に応じて、掛け数を選択することができる。
【0082】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1によれば、1ゲームに掛ける一遊技媒体あたりの遊技者の享受する遊技利益が異なる遊技状態に遷移したときにおいて、そのゲームに許容される最大の掛け数が設定されたときに、遊技の開始を積極的に遅らせ、遊技者の操作タイミングを狂わせることにより、最大の掛け数を超えない範囲においてゲーム開始可能な掛け数が複数あることを遊技者に認識させ、遊技者にとって最適な掛け数をあらためて選択させることができる。
【0083】
以上、本発明のスロットマシンの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係るスロットマシンは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0084】
例えば、ゲーム開始可能な最小の掛け数、MAXBETボタンによる最大の掛け数、既定時間、ボーナス当選持ち越し遊技中の掛け数設定時間も実施形態に限定されるものではない。
【0085】
また、本実施形態では、図柄の組合せを判定する際の有効ラインを、掛け数に応じて変化させたが、例えば、1枚掛けですべての有効ラインにおける図柄の組合せを判定するように構成することもできる。
【0086】
また、本実施形態では、ボーナス当選持ち越し遊技中において、常に通常遊技中よりも掛け数設定時間を長く設定したが、掛け数設定時間を長くするか否かを所定の抽選確率に基づく抽選により(例えば、ボーナス当選した次のゲームから、スタートレバー操作タイミングごとに当該ゲームの掛け数設定時間を長くするか否かを抽選)、決定することもできる。
また、通常遊技中においても、所定の抽選確率に基づく抽選により(例えば、1ゲームごとのスタートレバー操作タイミングにおいて、当該ゲームの掛け数設定時間を長くするか否かを抽選)、ボーナス当選持ち越し遊技中と同様な長い掛け数設定時間となるゲームを設けることもできる。
【0087】
また、複数ゲームに亘って行われる一つのまとまりをなす演出である、いわゆる連続演出をボーナス当選持ち越し遊技中と通常遊技中に行うとともに、ボーナス当選持ち越し遊技中に行う連続演出に係る最後のゲームのみ掛け数設定時間を長くすることもできる。
これにより、最後のゲームを除く先行する連続演出を視聴する限りにおいてボーナス当選持ち越し遊技中か通常遊技中かを識別不能な演出とし、連続演出の最後のゲームのみ掛け数設定時間が長くなれば、ボーナス当選の確定を示唆することになり、連続演出の最後のゲームの掛け数設定時間が既定時間と同じであれば、ボーナス非当選の確定を示唆することになるから、連続演出の進行に伴い遊技者のボーナス当選への期待感を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、1ゲームに対して許容される最大の掛け数が同一であるとともに、最大の掛け数を超えない範囲においてゲーム開始可能な掛け数を複数有しながら、1ゲームに掛ける一遊技媒体あたりの遊技者の享受する遊技利益がそれぞれ異なる複数の遊技状態を有するスロットマシンに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 スロットマシン
2 メダル投入口
3 BETボタン
3a MAXBETボタン
3b 1BETボタン
4 スタートレバー
5(5a,5b,5c) 停止ボタン
6 精算ボタン
6a 遅延解除ボタン(短縮手段)
7 表示パネル
7a 表示窓
7b 掛け数表示部
7c クレジット数表示部
8 メダル払出口
9 ドラムユニット
91(91a,91b,91c) リール
10 メダル払出装置
11 制御部(掛け数設定手段、遊技状態管理手段、短縮手段)
12 演出制御部
L 表示器
S スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1ゲームに対して許容される最大の掛け数が同一であるとともに、前記最大の掛け数を超えない範囲においてゲーム開始可能な掛け数を複数有しながら、1ゲームに掛ける一遊技媒体あたりの遊技者の享受する遊技利益がそれぞれ異なる複数の遊技状態を管理する遊技状態管理手段と、
掛け数の取得先を予めクレジットされた貯留遊技媒体からに入力操作によって指定するクレジット掛け指定手段と、
前記クレジット掛け指定手段による指定に基づいて1ゲームに掛ける掛け数を設定する掛け数設定手段と、を備えるスロットマシンであって、
遊技状態管理手段は、
1ゲームごとに行われる内部抽選の抽選対象に所定のボーナス役を含む通常遊技中と、前記ボーナス役の当選が持ち越された遊技状態であって抽選対象に前記ボーナス役を含まないボーナス当選持ち越し遊技中との少なくとも二つの遊技状態を管理し、
前記クレジット掛け指定手段は、
前記貯留遊技媒体から取得する掛け数を、その遊技状態において許容される最大の掛け数に指定する最大掛け指定手段と、最小単位の掛け数に指定する最小単位掛け指定手段と、を有し、
前記掛け数設定手段は、
前記通常遊技中において前記最大掛け指定手段によって最大の掛け数が指定されたときに、前記入力操作から設定完了に至るまでに既定時間を費やし、
前記ボーナス当選持ち越し遊技中において最大掛け指定手段によって最大の掛け数が指定されたときに、前記入力操作から設定完了に至るまでに前記既定時間よりも長い時間を費やす
ことを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記掛け数設定手段は、
前記ボーナス当選持ち越し遊技中において前記最大掛け指定手段によって最大の掛け数が指定されたときに、前記入力操作から前記ゲーム開始可能な複数の掛け数のうちの最小の掛け数の設定に至るまでに前記既定時間とほぼ同じ時間を費やすとともに、前記最小の掛け数に一の遊技媒体を加えた掛け数の設定に至るまでに前記既定時間よりも長い時間を費やす
ことを特徴とする請求項1記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記最大掛け指定手段は、
前記貯留遊技媒体から取得する掛け数を、入力操作の積算時間に応じて前記最小単位の掛け数から前記最大の掛け数まで段階的に変化させる
ことを特徴とする請求項2記載のスロットマシン。
【請求項4】
前記ボーナス当選持ち越し遊技中において前記最大掛け指定手段によって最大の掛け数が指定されたときに、前記入力操作から設定完了に至るまでに費やす前記既定時間よりも長い時間を、入力操作に基づいて短縮させる短縮手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−66635(P2013−66635A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208517(P2011−208517)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】