ズームレンズ
【課題】ズームレンズにおける、小型化、広角化および収差の抑制。
【解決手段】ズームレンズ100は、物体側から順に配列された、全体として正の屈折力を有し固定された第1レンズ群110と、全体として負の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第2レンズ群120と、全体として正の屈折力を有し固定された第3レンズ群130と、全体として正の屈折力を有する第4レンズ群140とにより構成されている。第1レンズ群110は、6枚のレンズで構成されている。第2レンズL2は、少なくとも一面が非球面に形成されたメニスカスレンズである。第2レンズL2の非球面は、中心部から周辺部まで肉厚変位の少ない形状で形成されている。こうすれば、広角側の歪曲収差および軸外収差を効率的に補正でき、小型で高変倍比を有する高性能なズームレンズを提供できる
【解決手段】ズームレンズ100は、物体側から順に配列された、全体として正の屈折力を有し固定された第1レンズ群110と、全体として負の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第2レンズ群120と、全体として正の屈折力を有し固定された第3レンズ群130と、全体として正の屈折力を有する第4レンズ群140とにより構成されている。第1レンズ群110は、6枚のレンズで構成されている。第2レンズL2は、少なくとも一面が非球面に形成されたメニスカスレンズである。第2レンズL2の非球面は、中心部から周辺部まで肉厚変位の少ない形状で形成されている。こうすれば、広角側の歪曲収差および軸外収差を効率的に補正でき、小型で高変倍比を有する高性能なズームレンズを提供できる
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非球面レンズを用いて構成したズームレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ等の撮像装置では、広い画角を持つズームレンズが使用されている。従来、この種のズームレンズでは、物体側より順に、正、負、正、正の屈折力配置の4群構成のものが多く使用されている。4群構成のズームレンズにおいて、第1レンズ群と第3レンズ群が固定で、第2レンズ群を光軸方向に移動させて変倍(ズーミング)を行い、変倍に伴う像面の変動を第4レンズ群を移動させて補正を行い、第4レンズ群を光軸方向に移動させて合焦を行うようにした、いわゆる4群フォーカスズーム方式が主流となっている。
【0003】
このようなズームレンズにおいて、例えばズーム比10倍程度のズームレンズには、第1レンズ群を5枚のレンズで構成することにより、広角化が図られている。
【0004】
【特許文献1】特開2003ー140044号公報
【特許文献2】特公昭2000ー227552号公報
【特許文献3】特開平5ー72475号公報
【特許文献4】特開2004ー272187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のレンズ構成では、広角端における画面対角線の画角はせいぜい66度程度であり、66度を上回る程度に広角化することは達成できてない(特許文献1、2)。また、特許文献4のズームレンズは、撮像素子の大型化に伴い、第1レンズ群に含まれるレンズが大型化するため、ズームレンズ自体の大型化および収差の増大という問題が生じる。
【0006】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、物体側より順に正、負、正、正の屈折力配置の4群構成のズームレンズにおける、小型化、広角化および収差の抑制を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
適用例1のズームレンズは、ズームレンズであって、最も物体側に配置され、少なくとも非球面を1面含む複数のレンズから構成された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、前記第1レンズ群の像面側に配置され、負の屈折力を有する第2レンズ群と、前記第2レンズ群の像面側に配置され、正の屈折力を有する第3レンズ群と、最も像面側に配置され、正の屈折力を有するフォーカシング用の第4レンズ群と、を備え、前記第1レンズ群は、前記物体側から前記像面側に対して順に配置された、前記像面側に対して凹面を向けた凹レンズである第1レンズと、少なくとも1面が非球面に形成され、メニスカス状に形成されたメニスカスレンズである第2レンズと、複数のレンズから構成される。
【0009】
適用例1のズームレンズによれば、第1レンズ群を複数のレンズから構成し、第2レンズを非球面レンズとしているため、10倍以上の高変倍比で画角80°と広角化を図ることができると共に、種々の収差を抑制できる。特に、広角端から望遠端までの歪曲収差および望遠端における軸外収差を精度良く抑制できる。また、第2レンズは非球面メニスカスレンズであるため、ズームレンズの小型化を図ることができる。
【0010】
適用例1のズームレンズは、以下の条件式(1)〜(5)を満足する
(1)0.55<d/d0<1.1
(2)11<|f2/fG1|
(3)−16.8<f1/fw<−11.5
(4)−2.5<f1/fG1<−1.45
(5)0.13<H1'/fG1<0.2
ここで、d0は、第2レンズの光軸上の厚みであり、dは第2レンズの像面側の面の有効半径内における光軸からの任意の高さでの法線方向における第2レンズの厚みであり、fiは、物体側から見て第i番目のレンズの焦点距離であり、fwは、全系の広角端での焦点距離であり、fG1は第1レンズ群の焦点距離であり、H1'は、第1レンズ群の最終面の頂点から第1レンズ群の後側主点までの距離である。
【0011】
適用例1のズームレンズによれば、種々の収差を効率的に抑制できるとともに、第1レンズ群のレンズ径を小型化できる。従って、小型で高性能なズームレンズを提供できる。
【0012】
適用例1のズームレンズにおいて、前記第1レンズ群は、前記第1レンズと、前記第2レンズと、前記物体側に凸面を向けた凸レンズである第3レンズと、前記像面側に凹面を向けた凹レンズである第4レンズと、前記物体側に凸面を向けた凸レンズである第5レンズと、前記物体側に凸面を向けた凸レンズである第6レンズと、により構成されている。
【0013】
適用例1のズームレンズによれば、10倍以上の高変倍比で画角80°と広角化を図ることができると共に、小型化を図ることができる。
【0014】
適用例1のズームレンズにおいて、前記第1レンズ群は、前記第4レンズと前記第5レンズとが接合された5群6枚のレンズ構成を有する。
【0015】
適用例1のズームレンズにおいて、前記第2レンズは、樹脂により形成されている。適用例1のズームレンズによれば、第2レンズをガラスで形成する場合に比べてコストを軽減できる。
【0016】
適用例1のズームレンズにおいて、前記第3レンズ群は、少なくとも非球面を1面含む。 適用例1のズームレンズによれば、種々の収差が補正されたズームレンズを提供できる。
【0017】
本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
A.第1実施例:
Aー1.ズームレンズの構成:
図1は、第1実施例における撮像装置10の要部を示す説明図である。図示するように、撮像装置10は、ズームレンズ100と、ズームレンズ100によって取り込んだ画像を電気的な画像信号に変換するCCD(電荷結合素子)などの固体撮像素子20と、ズームレンズ100と固体撮像素子20との間に設けられた光学要素30とを備えている。光学要素30は、例えば、光学フィルタや固体撮像素子のカバーガラスなどを含んでいる。固体撮像素子20は、像面(撮像面)ISを有している。
【0019】
ズームレンズ100は、物体側から順に配列された、全体として正の屈折力を有し固定された第1レンズ群110と、全体として負の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第2レンズ群120と、全体として正の屈折力を有し固定された第3レンズ群130と、全体として正の屈折力を有し像面位置補正のために光軸上を移動する第4レンズ群140とにより構成されている。第2レンズ群120と第3レンズ群130との間には絞り150が設けられている。この構成により、ズームレンズ100は、4群インナーフォーカスズーム方式のズームレンズとなっている。
【0020】
図1は、中間における各レンズ群の位置関係を示しており、望遠端への変倍時には第2レンズ群120は光軸に沿って物体側から像側に単調に移動する。第1レンズ群110及び第3レンズ群130は固定である。第4レンズ群140は、望遠端への変倍時に、光軸に沿って移動する。第4レンズ群140は合焦を行う。
【0021】
第1レンズ群110は、5群6枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第1レンズL1は像面側に対して凹面を向けた凹レンズである。物体側から像面側に対して2番目に配置された第2レンズL2は、物体側および像面側の両面が非球面に形成された凸メニスカスレンズである。第2レンズL2の非球面は、中心部から周辺部まで肉厚変位の少ない形状で、かつ、レンズ周辺部の曲率半径をレンズ中心部の曲率半径よりも小さくなるように、すなわち、きつくなるように形成されている。また、第2レンズL2は、樹脂で形成されている。第3レンズL3は物体側に凸面を向けた凸レンズである。第4レンズL4は、像面側に凹面を向けた凹メニスカスレンズであり、第5レンズL5は、物体側に凸面を向けた凸レンズである。第4レンズL4と第5レンズL5とは、張り合わされて接合レンズを構成している。第6レンズL6は、物体側に凸面を向けた凸レンズである。なお、第1レンズ群110において、第2レンズL2の両面が必ずしも非球面である必要はなく、第1レンズ群110に含まれる面内の少なくとも1面が非球面であればよい。また、第1レンズ群110内に少なくとも非球面を1面含めば良く、第1レンズ群110の前群に非球面が含まれることが好ましい。
【0022】
第1レンズ群110は、次の条件式(1)〜(5)を満たすように構成されている。なお、d0は、第2レンズL2の光軸上の厚みであり、dは第2レンズL2の像面側の面の有効半径内における光軸からの任意の高さでの法線方向における第2レンズL2の厚みであり、fiは、物体側から見て第i番目のレンズの焦点距離であり、fwは、全系の広角端での焦点距離であり、fG1は第1レンズ群の焦点距離であり、H1'は、第1レンズ群110の最終面の頂点から第1レンズ群110の後側主点までの距離である。
【0023】
(1)0.55<d/d0<1.1
(2)11<|f2/fG1|
(3)ー16.8<f1/fw<ー11.5
(4)ー2.5<f1/fG1<ー1.45
(5)0.13<H1'/fG1<0.2
【0024】
条件式(1)および(2)は、第2レンズL2の形状を規定している。条件式(1)は、第2レンズL2における光軸上での肉厚と、有効半径内の任意の高さでの法線方向における厚みに関するものである。上限の1.1を超えると、レンズ周辺部の厚みが光軸付近に比べ厚くなるため、成形時にヒケの問題が生じ、精度良く製造することが困難となる。
【0025】
条件式(2)は、第2レンズL2と第1レンズ群110の焦点距離に関する。下限の11を超えると、第2レンズL2のパワー(屈折力)が増大するため、広角端での歪曲収差と非点収差をバランス良く補正することが困難となる。
【0026】
条件式(3)および(4)は、第1レンズL1の焦点距離に関する。上限(条件式(3)では「ー11.5」、条件式(4)では「ー1.45」)を超えると、レンズ全長、径の大型化を招く。下限(条件式(3)では「ー16.8」、条件式(4)では「ー2.5」を超えると、第1レンズL1のパワーが増大するため、広角端における像面湾曲や望遠端における球面収差のバランスが崩れ性能が低下する。
【0027】
条件式(5)は、第1レンズ群110の後ろ側主点位置と第1レンズ群110の焦点距離とに関する。各レンズの屈折力配置を規定することにより、ズームレンズ100の広角化と第1レンズL1の径の小型化を両立させることができるとともに、高変倍比を有するレンズ系を提供できる。
【0028】
第1実施例のズームレンズ100は、以下に示すように、条件式(1)〜(5)を満たしている。
(1)d/d0=0.758
(2)|f2/fG1|=18.6620
(3)f1/fw=−15.8368
(4)f1/fG1=−1.9374
(5)H1'/fG1=0.1864
【0029】
第2レンズ群120は、3枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第7レンズL7は、像側に凹面を向けた凹レンズである。第8レンズL8は、物体側および像側の双方に凹面を向けた両凹レンズである。最も像側に配置された第9レンズL9は物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズである。第8レンズL8と第9レンズL9とは、張り合わされて接合レンズを構成している。なお、第8レンズL8と第9レンズL9は、必ずしも張り合わされている必要はなく、離れて構成されていてもよい。
【0030】
第3レンズ群130は、2枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第10レンズL10は、物体側に凸面を向け、両面が非球面に形成された凸レンズである。第11レンズL11は、像側に凹面を向けた凹メニスカスレンズである。第10レンズL10は、必ずしも両面が非球面である必要はなく、片面のみを非球面としても良い、
【0031】
第4レンズ群140は、3枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第12レンズL12は、物体側および像面側の双方に凸面を向けた両凸レンズである。第3レンズL13は、物体側に凹面を向けた凹レンズである。最も像側に配置された最終レンズ(ズームレンズ100全体の最終レンズ)としての第14レンズL14は、両凸レンズである。第12レンズL12と第13レンズL13とは張り合わされて接合レンズを構成している。第12レンズL12と第13レンズL13とは必ずしも張り合わされている必要はなく、両者の間に空隙を有する構成としてもよい。
【0032】
以上のように構成された第1実施例のズームレンズ100では、第1レンズ群110に少なくとも非球面を1面含むことにより、広角端から望遠端までの歪曲収差を効率的に抑制できる。また、非球面レンズを採用することにより、ズームレンズの小型化を図ることができる。
【0033】
A2.レンズデータ:
図2は、第1実施例におけるズームレンズ100を構成する各レンズの面データを示す説明図である。面番号iは、ズームレンズ100を構成する各レンズの面(レンズ面)の番号を示している。ただし、面番号27,28は光学要素30を示す。曲率半径Riは、面Siの曲率半径(mm)を示している。物体側に凸の面の曲率半径は正の値で表されており、物体側に凹の面の曲率半径は負の値で表されている。
【0034】
面間隔Diは、面Siと面Si+1との間の光軸上の距離(mm)を示している。すなわち、面番号iがレンズの物体側の面を示す場合には、面間隔Diは、該レンズの光軸上の厚みを表しており、面番号iがレンズの像側の面を示す場合には、面間隔Diは、該レンズの像側の面と後段の光学素子(例えばレンズ)の物体側の面との間の光軸上の距離を表している。
【0035】
屈折率Ndiは、面Siを有するレンズのd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示している。
【0036】
アッベ数νdiは、面Siを有するレンズのアッベ数を示している。なお、アッベ数νdiは、レンズなどの光の分散に関する性質を表す値であり、d線,C線(波長656.3nm),F線(波長486.1nm)に対する屈折率をnd,nC,nFとすると、(ndー1)/(nFーnC)で表される。
【0037】
図2において、面番号iに「*」が付された面は、非球面形状を有する。前述したように、本実施例では、第2レンズL2の物体側の面S3と像側の面S4と、第10レンズL10の物体側の面S18と像側の面S19とが非球面形状に形成されている。非球面形状は、次式によって表される。
【0038】
【数1】
【0039】
ここで、Hは、非球面と光軸との交点を原点とすると、原点からの光軸と垂直な方向への距離(光軸からの高さ)を表す。Xは、該原点からの光軸上の距離を表す。Rは、曲率半径を表し、Kは円錐係数(コーニック定数)を表し、A4,A6,A8、A10、A12は、高次非球面係数を表す。なお、曲率半径Rは適宜設定される。
【0040】
図3は、第1実施例における非球面係数の各値を示す説明図である。図3は、各非球面(面S3、面S4、面S18、面S19)の非球面係数を示している。非球面係数としては、コーニック定数Kの値および高次非球面係数(4次、6次、8次、10次、12次の非球面係数)A4,A6,A8,A10、A12の各値が示されている。
【0041】
図4は、第1実施例における広角端から望遠端までの変倍時の移動面についての面間隔の各値を示す説明図である。第1実施例では、移動面は、面番号11,16,21,26の各面であり、図4は、面間隔D11,D16,D21,D26の各値を示している。図4に示すように、第1レンズ群110と第2レンズ群120との間の光軸上の距離に相当する面間隔D11を0.700に、第2レンズ群120と絞り150との間の光軸上の距離に相当する面間隔D16を26.713に、絞りと第3レンズ群130との間の光軸上の距離に相当する面間隔D21を6.203に、第3レンズ群130と第4レンズ群140との間の距離D26を3.358とすることにより、ズームレンズ100を広角端の状態とすることができる。同様に、面間隔D11,D16,D21,D26を図4に示す値にすることで、ズームレンズ100を広角端と望遠端との中間の状態、あるいは望遠端の状態とすることができる。
【0042】
図5は、第1実施例における光学仕様を示す説明図である。図5に示すように、広角端において、焦点距離=3.74、画角2ω=83.20度、Fナンバ=1.85をとり、中間において、焦点距離12.22、画角2ω=27.36度、Fナンバ2.31をとり、望遠端において、焦点距離=40.05、画角2ω=8.59度、Fナンバ=2.80をとる。このように、第1実施例のズームレンズ100は、広角端において、画角83.20度という広画角を提供できる。
【0043】
A3.ズームレンズの特性:
以上のように構成された第1実施例のズームレンズ100の収差特性を図6ないし図8に示した。図6は、第1実施例における広角端のときの収差特性を示す。図7は、第1実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。図8は、第1実施例における望遠端のときの収差特性を示す。図9は、第1実施例における広角端のときの横収差を示す説明図である。図10は、第1実施例における広角端と望遠端との中間のときの横収差を示す説明図である。図11は、第1実施例における望遠端のときの横収差を示す説明図である。横収差は、像面状の収差であり、コマ収差、倍率色収差などを含む。
【0044】
図6〜8において、左側のグラフは球面収差の大きさを示し、中央のグラフは結像面の高さ方向に対する非点収差の大きさを示し、右側のグラフは結像面の高さ方向に対する歪曲収差の大きさを示している。図6の球面収差を表すグラフにおける符号C,d,F,gはそれぞれ収差を求めるのに用いた光線の波長の違い(C線:波長656.27nm,d線:587.56nm,F線:486.13nm,g線:435.84nm)を示しており、図6の非点収差を表すグラフにおける符号T(二点鎖線)は、その特性がタンゼンシャル光線に対するものであることを、S(実線)はサジタル光線に対するものであることを、それぞれ示している。以下、図7および図8についても同様である。なお、図6ないし図11は、シミュレーション結果である。
【0045】
図6ないし図8に示すように、第1実施例のズームレンズ100では、従来のズームレンズの収差特性に比べ、10倍以上の高変倍比でありながら、広角端から望遠端のそれぞれにおいて、歪曲収差が改善されている。特に、望遠端での軸外収差を補正できズーム全域に亘って各種収差を抑制できる。従って、全画角に亘って高品質な像を撮影することが可能になる。
【0046】
図9(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100に入射する光の入射角が41.60°、39.65°、35.53°、21.12°、0.00°のときの横収差を表す。図9(A)〜(E)において、破線のグラフは、C線を用いたときの横収差を示している。実線のグラフは、d線を用いたときの横収差を示している。一点鎖線のグラフは、F線を用いたときの横収差を示している。長破線のグラフは、g線を用いたときの横収差を示している。図9(A)〜(E)の左側の図は、タンゼンシャル平面における横収差を示しており、右側の図は、サジタル平面における横収差を示している。なお、サジタル平面における横収差は、縦軸に対して対象であるため、図示が簡略化されている。
【0047】
横軸は、光線束を構成する各光線の絞り面上における位置を示している。例えば、原点は主光線を表しており、原点から最も離れた点は、絞り面上における光線束の最も外側の光線を示している。縦軸は、像面IS状の基準点と、光線束を構成する各光線と像面ISとが交わる交点と、の間の距離(mm)を示している。ここで、基準点は、波長587.56nmの主光線が像面ISと交わる点である。
【0048】
図10(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100に入射する光の入射角が13.68°、12.91°、11.40°、6.529°、0.00°のときの横収差を表す。図10(A)〜(E)において、破線のグラフは、C線を用いたときの横収差を示している。実線のグラフは、d線を用いたときの横収差を示している。一点鎖線のグラフは、F線を用いたときの横収差を示している。長破線のグラフは、g線を用いたときの横収差を示している。
【0049】
図11(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100に入射する光の入射角が4.296°、4.042°、3.533°、2.002°、0.00°のときの横収差を表す。図11(A)〜(E)において、破線のグラフは、C線を用いたときの横収差を示している。実線のグラフは、d線を用いたときの横収差を示している。一点鎖線のグラフは、F線を用いたときの横収差を示している。長破線のグラフは、g線を用いたときの横収差を示している。
【0050】
上記のように、波長587.56nmの主光線が像面ISと交わる点が基準点に設定されているため、広角端から望遠端までのそれぞれの状態において、実線のグラフは、原点を通っている。各波長の光を用いたときの基準点からのずれ量は、d線を基準として、広角端において、図9に示すように、C線は約0.0039mm以下、F線は約0.0029mm以下、g線は約0.0023mm以下であり、中間において、図10に示すように、C線は約0.0003mm以下、F線は約0.0030mm以下、g線は約0.0075mm以下であり、望遠端において、図11に示すように、C線は約0.0086mm以下、F線は約0.0014mm以下、g線は約0.0214mm以下である。
【0051】
以上説明した第1実施例のズームレンズ100によれば、10倍以上の高変倍比で、広角端の画角約80度を超える広画角を実現できる。また、第1レンズ群110に含まれる非球面レンズを樹脂で形成することにより、ガラスで形成する場合に比べてコストを抑制できる。また、非球面レンズのレンズ形状を、中心部から周辺部まで肉厚変位の少ない形状で、かつ、レンズ周辺部の曲率半径をレンズ中心部の曲率半径よりもきつくなるような形状に形成することにより、広角側の歪曲収差および軸外収差を効率的に補正できる。従って、第1実施例によれば、小型で高変倍比を有する高性能なズームレンズを提供できる。
【0052】
B.第2実施例:
B1.ズームレンズの構成:
図12は、第2実施例における撮像装置10Bの要部を示す説明図である。撮像装置10Bは、ズームレンズ100Bの構成以外は、第1実施例の撮像装置10とほぼ同一の構成を有する。
【0053】
ズームレンズ100Bは、物体側から順に配列された、全体として正の屈折力を有し固定された第1レンズ群110Bと、全体として負の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第2レンズ群120Bと、全体として正の屈折力を有し固定された第3レンズ群130Bと、全体として正の屈折力を有し像面位置補正のために光軸上を移動する第4レンズ群140Bと、絞り150と、により構成されている。
【0054】
第1レンズ群110Bは、5群6枚のレンズ構成を有する。最も物体側に配置された第1レンズL21は像面側に対して凹面を向けた凹レンズである。物体側から像面側に対して2番目に配置された第2レンズL22は、物体側に非球面に形成された凸面を向けた凸メニスカスレンズである。第3レンズL23は物体側および像面側の双方に凸面を向けた両凸レンズである。第4レンズL24は、像面側に凹面を向けた凹メニスカスレンズであり、第5レンズL25は、物体側に凸面を向けた凸レンズである。第4レンズL24と第5レンズL25とは、張り合わされて接合レンズを構成している。第6レンズL26は、物体側に凸面を向けた凸レンズである。なお、第1レンズ群110Bにおいて、第2レンズL22の両面が必ずしも非球面である必要はなく、第1レンズ群110Bに含まれる面内の少なくとも1面が非球面であればよい。
【0055】
第2レンズL22は、第1実施例と同様に、中心部から周辺部まで肉厚変位の少ない形状で、かつ、レンズ周辺部の曲率半径をレンズ中心部の曲率半径よりも物体側の面がきつく像面側の面はゆるい非球面形状に形成されており、樹脂で形成されている。
【0056】
第1レンズ群110Bは、第1実施例において説明した条件式(1)〜(5)について、以下に示すように各条件式を満たしている。
(1)d/d0=0.765
(2)|f2/fG1|=−40.4168
(3)f1/fw1=−12.1795
(4)f1/fG1=−1.4837
(5)H1'/fG1=0.1923
【0057】
第2レンズ群120B、第3レンズ群130Bおよび第4レンズ群140Bは、第1実施例と同様に構成されている。
【0058】
B2.レンズデータ:
図13は、第2実施例におけるズームレンズ100Bを構成する各レンズの面データを示す説明図である。図13は、第1実施例において説明した図2に対応する。第2実施例では、第1実施例と同様に、第2レンズL2の物体側の面S3と像側の面S4と、第10レンズL10の物体側の面S18と像側の面S19とが非球面形状に形成されている。図14は、第2実施例における面S3,S4、S18、S19の非球面係数を示している。図14は、第1実施例において説明した図3に対応している。図15は、第2実施例における広角端から望遠端まで変倍をおこなったときの移動する面(面番号11,16,21,26の各面)についての面間隔D11,D16,D21,D26の各値を示す説明図である。図15は、第1実施例において説明した図4に対応している。
【0059】
図15に示すように、第1レンズ群110Bと第2レンズ群120Bとの間の光軸上の距離に相当する面間隔D11、第2レンズ群120Bと絞り150との間の光軸上の距離に相当する面間隔D16、絞り150と第3レンズ群130Bとの間の光軸上の距離に相当する面間隔D21、第3レンズ群130Bと第4レンズ群140Bとの間の距離D26は、広角端から望遠端のそれぞれの状態において、第1実施例と同一である。このように構成することにより、ズームレンズ100Bを広角端の状態、広角端と望遠端との中間の状態、あるいは望遠端の状態とすることができる。
【0060】
図16は、第2実施例における光学仕様を示す説明図である。図16に示すように、広角端において、焦点距離=3.70、画角2ω=81.18度、Fナンバ=1.85をとり、中間において、焦点距離12.12、画角2ω=27.14度、Fナンバ2.31をとり、望遠端において、焦点距離=39.95、画角2ω=8.60度、Fナンバ=2.80をとる。このように、第2実施例のズームレンズ100Bは、広角端において、画角81.18度という広画角を提供できる。
【0061】
B3.ズームレンズの特性:
図17ないし図22は、ズームレンズ100Bの収差特性を示す説明図である。図17は、第2実施例における広角端のときの収差特性を示す。図18は、第2実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。図19は、第2実施例における望遠端のときの収差特性を示す。図20は、第2実施例における広角端のときの横収差を示す説明図である。図21は、第2実施例における広角端と望遠端との中間のときの横収差を示す説明図である。図22は、第2実施例における望遠端のときの横収差を示す説明図である。図17〜図22は、それぞれ第1実施例において説明した図6〜図11に対応する。(ここに第1実施例を第2実施例に、との修正ご指示がありましたが、図6〜図11は第1実施例の図面ですので、このままでよろしいかと思います)
【0062】
図17ないし図19に示すように、第2実施例のズームレンズ100Bでは、第1実施例のズームレンズ100Bと同様に、従来のズームレンズの収差特性に比べ、10倍以上の高変倍比でありながら、広角端〜望遠端において、球面収差、非点収差、歪曲収差が改善されている。
【0063】
図20(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100に入射する光の入射角が40.59°、38.71°、34.76°、21.09°、0.00°のときの横収差を表す。図21(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100に入射する光の入射角が13.58°、13.00°、11.32°、6.557°、0.00°のときの横収差を表す。図22(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100に入射する光の入射角が4.299°、4.045°、3.537°、2.006°、0.00°のときの横収差を表す。
【0064】
また、広角端から望遠端までのそれぞれの状態において、各波長の光を用いたときの基準点からのずれ量は、d線を基準として、広角端において、図20に示すようにC線は約0.0050mm以下、F線は約0.0047mm以下、g線は約0.0026mm以下であり、中間において、図21に示すように、C線は約0.0017mm以下、F線は約0.0056mm以下、g線は約0.0143mm以下であり、望遠端において、図22に示すように、C線は約0.0088mm以下、F線は約0.0026mm以下、g線は約0.0211mm以下である。
【0065】
以上のような特徴的な構成を備えることにより、第2実施例のズームレンズ100Bは、10倍以上の高変倍比で、広角端の画角約80度を超える広画角を実現できると共に、広角端から望遠端のそれぞれの状態において、種々の収差が抑制された高性能で小型のズームレンズを提供できる。
【0066】
C.第3実施例:
C1.ズームレンズの構成:
図23は、第3実施例における撮像装置10Cの要部を示す説明図である。撮像装置10Cは、ズームレンズ100Cの構成以外、第1実施例の撮像装置10とほぼ同一の構成を有する。
【0067】
ズームレンズ100Cは、物体側から順に配列された、全体として正の屈折力を有し固定された第1レンズ群110Cと、全体として負の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第2レンズ群120Cと、全体として正の屈折力を有し固定された第3レンズ群130Cと、全体として正の屈折力を有し像面位置補正のために光軸上を移動する第4レンズ群140Cと、絞り150とにより構成されている。
【0068】
第1レンズ群110Cは、第1実施例および第2実施例の5群6枚のレンズ構成とは異なり、6枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第1レンズL31は像面側に対して凹面を向けた凹レンズである。物体側から像面側に対して2番目に配置された第2レンズL32は、像面側に非球面に形成された凸面を向けた凸メニスカスレンズである。第3レンズL33は物体側および像面側の双方に凸面を向けた両凸レンズである。第4レンズL34は、像面側に凹面を向けた凹メニスカスレンズである。第5レンズL35は、物体側および像面側の双方に凸面を向けた両凸レンズである。第4レンズL34と第5レンズL35とは、接合されていない。第6レンズL36は、物体側に凸面を向けた凸レンズである。なお、第1レンズ群110Cにおいて、第2レンズL32の両面が必ずしも非球面である必要はなく、第1レンズ群110Cに含まれる面内の少なくとも1面が非球面であればよい。
【0069】
第2レンズL32は、第1実施例および第2実施例と同様に、中心部から周辺部まで肉厚変位の少ない形状で、かつ、レンズ周辺部の曲率半径をレンズ中心部の曲率半径よりもきつい非球面形状に形成されており、樹脂で形成されている。
【0070】
第1レンズ群110Cは、第1実施例において説明した条件式(1)〜(5)について、以下に示すように各条件式を満たしている。
(1)d/d0=0.835
(2)|f2/fG1|=35.9611
(3)f1/fw=−15.8336
(4)f1/fG1=−1.9493
(5)H1'/fG1=0.1787
【0071】
第2レンズ群120C、第3レンズ群130Cおよび第4レンズ群140Cは、第1実施例と同様に構成されている。
【0072】
C2.レンズデータ:
図24は、第3実施例におけるズームレンズ100Cを構成する各レンズの面データを示す説明図である。図24は、第1実施例において説明した図2に対応する。第3実施例では、第2レンズL32の物体側の面S3と像側の面S4と、第10レンズL10の物体側の面S19と像側の面S20とが非球面形状に形成されている。図25は、第3実施例における面S3,S4、S19、S20の非球面係数を示している。図25は、第1実施例において説明した図3に対応している。図26は、第3実施例における広角端から望遠端まで変倍をおこなったときの移動する面(面番号12,17,22,27の各面)についての面間隔D12,D17,D22,D27の各値を示す説明図である。図26は、第1実施例において説明した図4に対応している。
【0073】
図26に示すように、第1レンズ群110Cと第2レンズ群120Cとの間の光軸上の距離に相当する面間隔D11、第2レンズ群120Cと絞り150との間の光軸上の距離に相当する面間隔D16、絞り150と第3レンズ群130Cとの間の光軸上の距離に相当する面間隔D21、第3レンズ群130Cと第4レンズ群140Cとの間の距離D26は、広角端から望遠端のそれぞれの状態での間隔を表す。このように構成することにより、ズームレンズ100Cを広角端の状態、広角端と望遠端との中間の状態、あるいは望遠端の状態とすることができる。
【0074】
図27は、第3実施例における光学仕様を示す説明図である。図27に示すように、広角端において、焦点距離=3.80、画角2ω=79.64度、Fナンバ=1.85をとり、中間において、焦点距離12.34、画角2ω=26.84度、Fナンバ2.31をとり、望遠端において、焦点距離=40.00、画角2ω=8.59度、Fナンバ=2.81をとる。このように、第3実施例のズームレンズ100Cは、広角端において、画角79.64度という広画角を提供できる。
【0075】
C3.ズームレンズの特性:
図28ないし図33は、ズームレンズ100Cの収差特性を示す説明図である。図28は、第3実施例における広角端のときの収差特性を示す。図29は、第3実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。図30は、第3実施例における望遠端のときの収差特性を示す。図31は、第3実施例における広角端のときの横収差を示す説明図である。図32は、第3実施例における広角端と望遠端との中間のときの横収差を示す説明図である。図33は、第3実施例における望遠端のときの横収差を示す説明図である。図28〜図33は、それぞれ第1実施例において説明した図6〜図11に対応する。
【0076】
図28ないし図30に示すように、第3実施例のズームレンズ100Cでは、第1実施例のズームレンズ100と同様に、従来のズームレンズの収差特性に比べ、10倍以上の高変倍比でありながら、広角端〜望遠端において、球面収差、非点収差、歪曲収差が改善されている。
【0077】
図31(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100Cに入射する光の入射角が39.82°、37.98°、34.26°、20.69°、0.00°のときの横収差を表す。図32(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100Cに入射する光の入射角が13.42°、12.68°、11.18°、6.449°、0.00°のときの横収差を表す。図33(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100Cに入射する光の入射角が4.294°、4.039°、3.531°、2.002°、0.00°のときの横収差を表す。
【0078】
また、広角端から望遠端までのそれぞれの状態において、各波長の光を用いたときの基準点からのずれ量は、d線を基準として、図31に示すように、広角端において、C線は約0.0039mm以下、F線は約0.0037mm以下、g線は約0.0030mm以下であり、中間において、図32に示すように、C線は約0.0015mm以下、F線は約0.0061mm以下、g線は約0.0124mm以下であり、望遠端において、図33に示すように、C線は約0.0079mm以下、F線は約0.0014mm以下、g線は約0.0197mm以下である。
【0079】
以上のような特徴的な構成を備えることにより、第3実施例のズームレンズ100Cは、10倍以上の高変倍比で、広角端の画角約80程度の広画角を実現できると共に、広角端から望遠端のそれぞれの状態において、種々の収差が抑制された高性能で小型のズームレンズを提供できる。また、第3実施例のズームレンズ100Cによれば、第1レンズ群を単なる6枚構成としているため、第1実施例および第2実施例のズームレンズに比べてより小型化を図ることができる。
【0080】
D.変形例
(1)上記各実施例では、ズームレンズは、書画カメラ、監視カメラ、デジタルスチルカメラ等の撮像装置に適用されているが、これに代えて、プロジェクタなどの投影装置に適用されてもよい。
【0081】
(2)上記各実施例では、ズームレンズの第1レンズ群は、6枚のレンズから構成されているが、例えば、5枚以下もしくは7枚以上のレンズ構成としてもよい。
【0082】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1実施例における撮像装置10の要部を示す説明図。
【図2】第1実施例におけるズームレンズ100を構成する各レンズの面データを示す説明図。
【図3】第1実施例における非球面係数の各値を示す説明図。
【図4】第1実施例における広角端から望遠端までの変倍時の移動面についての面間隔の各値を示す説明図。
【図5】第1実施例における光学仕様を示す説明図。
【図6】第1実施例における広角端のときの収差特性を示す説明図。
【図7】第1実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す説明図。
【図8】第1実施例における望遠端のときの収差特性を示す説明図。
【図9】第1実施例における広角端のときの横収差を示す説明図。
【図10】第1実施例における広角端と望遠端との中間のときの横収差を示す説明図。
【図11】第1実施例における望遠端のときの横収差を示す説明図。
【図12】第2実施例における撮像装置10Bの要部を示す説明図。
【図13】第2実施例におけるズームレンズ100Bを構成する各レンズの面データを示す説明図。
【図14】第2実施例における非球面係数の各値を示す説明図。
【図15】第2実施例における広角端から望遠端までの変倍時の移動面についての面間隔の各値を示す説明図。
【図16】第2実施例における光学仕様を示す説明図。
【図17】第2実施例における広角端のときの収差特性を示す説明図。
【図18】第2実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す説明図。
【図19】第2実施例における望遠端のときの収差特性を示す説明図。
【図20】第2実施例における広角端のときの横収差を示す説明図。
【図21】第2実施例における広角端と望遠端との中間のときの横収差を示す説明図である。
【図22】第2実施例における望遠端のときの横収差を示す説明図。
【図23】第3実施例における撮像装置10Cの要部を示す説明図。
【図24】第3実施例におけるズームレンズ100Cを構成する各レンズの面データを示す説明図。
【図25】第3実施例における非球面係数の各値を示す説明図。
【図26】第3実施例における広角端から望遠端までの変倍時の移動面についての面間隔の各値を示す説明図。
【図27】第3実施例における光学仕様を示す説明図。
【図28】第3実施例における広角端のときの収差特性を示す説明図。
【図29】第3実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す説明図。
【図30】第3実施例における望遠端のときの収差特性を示す説明図。
【図31】第3実施例における広角端のときの横収差を示す説明図。
【図32】第3実施例における広角端と望遠端との中間のときの横収差を示す説明図。
【図33】第3実施例における望遠端のときの横収差を示す説明図。
【符号の説明】
【0084】
10...撮像装置
10B...撮像装置
10C...撮像装置
20...固体撮像素子
30...光学要素
110...第1レンズ群
110B...第1レンズ群
110C...第1レンズ群
120...第2レンズ群
120B...第2レンズ群
120C...第2レンズ群
130...第3レンズ群
130B...第3レンズ群
130C...第3レンズ群
140...第4レンズ群
140B...第4レンズ群
140C...第4レンズ群
150...絞り
【技術分野】
【0001】
本発明は、非球面レンズを用いて構成したズームレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ等の撮像装置では、広い画角を持つズームレンズが使用されている。従来、この種のズームレンズでは、物体側より順に、正、負、正、正の屈折力配置の4群構成のものが多く使用されている。4群構成のズームレンズにおいて、第1レンズ群と第3レンズ群が固定で、第2レンズ群を光軸方向に移動させて変倍(ズーミング)を行い、変倍に伴う像面の変動を第4レンズ群を移動させて補正を行い、第4レンズ群を光軸方向に移動させて合焦を行うようにした、いわゆる4群フォーカスズーム方式が主流となっている。
【0003】
このようなズームレンズにおいて、例えばズーム比10倍程度のズームレンズには、第1レンズ群を5枚のレンズで構成することにより、広角化が図られている。
【0004】
【特許文献1】特開2003ー140044号公報
【特許文献2】特公昭2000ー227552号公報
【特許文献3】特開平5ー72475号公報
【特許文献4】特開2004ー272187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のレンズ構成では、広角端における画面対角線の画角はせいぜい66度程度であり、66度を上回る程度に広角化することは達成できてない(特許文献1、2)。また、特許文献4のズームレンズは、撮像素子の大型化に伴い、第1レンズ群に含まれるレンズが大型化するため、ズームレンズ自体の大型化および収差の増大という問題が生じる。
【0006】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、物体側より順に正、負、正、正の屈折力配置の4群構成のズームレンズにおける、小型化、広角化および収差の抑制を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
適用例1のズームレンズは、ズームレンズであって、最も物体側に配置され、少なくとも非球面を1面含む複数のレンズから構成された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、前記第1レンズ群の像面側に配置され、負の屈折力を有する第2レンズ群と、前記第2レンズ群の像面側に配置され、正の屈折力を有する第3レンズ群と、最も像面側に配置され、正の屈折力を有するフォーカシング用の第4レンズ群と、を備え、前記第1レンズ群は、前記物体側から前記像面側に対して順に配置された、前記像面側に対して凹面を向けた凹レンズである第1レンズと、少なくとも1面が非球面に形成され、メニスカス状に形成されたメニスカスレンズである第2レンズと、複数のレンズから構成される。
【0009】
適用例1のズームレンズによれば、第1レンズ群を複数のレンズから構成し、第2レンズを非球面レンズとしているため、10倍以上の高変倍比で画角80°と広角化を図ることができると共に、種々の収差を抑制できる。特に、広角端から望遠端までの歪曲収差および望遠端における軸外収差を精度良く抑制できる。また、第2レンズは非球面メニスカスレンズであるため、ズームレンズの小型化を図ることができる。
【0010】
適用例1のズームレンズは、以下の条件式(1)〜(5)を満足する
(1)0.55<d/d0<1.1
(2)11<|f2/fG1|
(3)−16.8<f1/fw<−11.5
(4)−2.5<f1/fG1<−1.45
(5)0.13<H1'/fG1<0.2
ここで、d0は、第2レンズの光軸上の厚みであり、dは第2レンズの像面側の面の有効半径内における光軸からの任意の高さでの法線方向における第2レンズの厚みであり、fiは、物体側から見て第i番目のレンズの焦点距離であり、fwは、全系の広角端での焦点距離であり、fG1は第1レンズ群の焦点距離であり、H1'は、第1レンズ群の最終面の頂点から第1レンズ群の後側主点までの距離である。
【0011】
適用例1のズームレンズによれば、種々の収差を効率的に抑制できるとともに、第1レンズ群のレンズ径を小型化できる。従って、小型で高性能なズームレンズを提供できる。
【0012】
適用例1のズームレンズにおいて、前記第1レンズ群は、前記第1レンズと、前記第2レンズと、前記物体側に凸面を向けた凸レンズである第3レンズと、前記像面側に凹面を向けた凹レンズである第4レンズと、前記物体側に凸面を向けた凸レンズである第5レンズと、前記物体側に凸面を向けた凸レンズである第6レンズと、により構成されている。
【0013】
適用例1のズームレンズによれば、10倍以上の高変倍比で画角80°と広角化を図ることができると共に、小型化を図ることができる。
【0014】
適用例1のズームレンズにおいて、前記第1レンズ群は、前記第4レンズと前記第5レンズとが接合された5群6枚のレンズ構成を有する。
【0015】
適用例1のズームレンズにおいて、前記第2レンズは、樹脂により形成されている。適用例1のズームレンズによれば、第2レンズをガラスで形成する場合に比べてコストを軽減できる。
【0016】
適用例1のズームレンズにおいて、前記第3レンズ群は、少なくとも非球面を1面含む。 適用例1のズームレンズによれば、種々の収差が補正されたズームレンズを提供できる。
【0017】
本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
A.第1実施例:
Aー1.ズームレンズの構成:
図1は、第1実施例における撮像装置10の要部を示す説明図である。図示するように、撮像装置10は、ズームレンズ100と、ズームレンズ100によって取り込んだ画像を電気的な画像信号に変換するCCD(電荷結合素子)などの固体撮像素子20と、ズームレンズ100と固体撮像素子20との間に設けられた光学要素30とを備えている。光学要素30は、例えば、光学フィルタや固体撮像素子のカバーガラスなどを含んでいる。固体撮像素子20は、像面(撮像面)ISを有している。
【0019】
ズームレンズ100は、物体側から順に配列された、全体として正の屈折力を有し固定された第1レンズ群110と、全体として負の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第2レンズ群120と、全体として正の屈折力を有し固定された第3レンズ群130と、全体として正の屈折力を有し像面位置補正のために光軸上を移動する第4レンズ群140とにより構成されている。第2レンズ群120と第3レンズ群130との間には絞り150が設けられている。この構成により、ズームレンズ100は、4群インナーフォーカスズーム方式のズームレンズとなっている。
【0020】
図1は、中間における各レンズ群の位置関係を示しており、望遠端への変倍時には第2レンズ群120は光軸に沿って物体側から像側に単調に移動する。第1レンズ群110及び第3レンズ群130は固定である。第4レンズ群140は、望遠端への変倍時に、光軸に沿って移動する。第4レンズ群140は合焦を行う。
【0021】
第1レンズ群110は、5群6枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第1レンズL1は像面側に対して凹面を向けた凹レンズである。物体側から像面側に対して2番目に配置された第2レンズL2は、物体側および像面側の両面が非球面に形成された凸メニスカスレンズである。第2レンズL2の非球面は、中心部から周辺部まで肉厚変位の少ない形状で、かつ、レンズ周辺部の曲率半径をレンズ中心部の曲率半径よりも小さくなるように、すなわち、きつくなるように形成されている。また、第2レンズL2は、樹脂で形成されている。第3レンズL3は物体側に凸面を向けた凸レンズである。第4レンズL4は、像面側に凹面を向けた凹メニスカスレンズであり、第5レンズL5は、物体側に凸面を向けた凸レンズである。第4レンズL4と第5レンズL5とは、張り合わされて接合レンズを構成している。第6レンズL6は、物体側に凸面を向けた凸レンズである。なお、第1レンズ群110において、第2レンズL2の両面が必ずしも非球面である必要はなく、第1レンズ群110に含まれる面内の少なくとも1面が非球面であればよい。また、第1レンズ群110内に少なくとも非球面を1面含めば良く、第1レンズ群110の前群に非球面が含まれることが好ましい。
【0022】
第1レンズ群110は、次の条件式(1)〜(5)を満たすように構成されている。なお、d0は、第2レンズL2の光軸上の厚みであり、dは第2レンズL2の像面側の面の有効半径内における光軸からの任意の高さでの法線方向における第2レンズL2の厚みであり、fiは、物体側から見て第i番目のレンズの焦点距離であり、fwは、全系の広角端での焦点距離であり、fG1は第1レンズ群の焦点距離であり、H1'は、第1レンズ群110の最終面の頂点から第1レンズ群110の後側主点までの距離である。
【0023】
(1)0.55<d/d0<1.1
(2)11<|f2/fG1|
(3)ー16.8<f1/fw<ー11.5
(4)ー2.5<f1/fG1<ー1.45
(5)0.13<H1'/fG1<0.2
【0024】
条件式(1)および(2)は、第2レンズL2の形状を規定している。条件式(1)は、第2レンズL2における光軸上での肉厚と、有効半径内の任意の高さでの法線方向における厚みに関するものである。上限の1.1を超えると、レンズ周辺部の厚みが光軸付近に比べ厚くなるため、成形時にヒケの問題が生じ、精度良く製造することが困難となる。
【0025】
条件式(2)は、第2レンズL2と第1レンズ群110の焦点距離に関する。下限の11を超えると、第2レンズL2のパワー(屈折力)が増大するため、広角端での歪曲収差と非点収差をバランス良く補正することが困難となる。
【0026】
条件式(3)および(4)は、第1レンズL1の焦点距離に関する。上限(条件式(3)では「ー11.5」、条件式(4)では「ー1.45」)を超えると、レンズ全長、径の大型化を招く。下限(条件式(3)では「ー16.8」、条件式(4)では「ー2.5」を超えると、第1レンズL1のパワーが増大するため、広角端における像面湾曲や望遠端における球面収差のバランスが崩れ性能が低下する。
【0027】
条件式(5)は、第1レンズ群110の後ろ側主点位置と第1レンズ群110の焦点距離とに関する。各レンズの屈折力配置を規定することにより、ズームレンズ100の広角化と第1レンズL1の径の小型化を両立させることができるとともに、高変倍比を有するレンズ系を提供できる。
【0028】
第1実施例のズームレンズ100は、以下に示すように、条件式(1)〜(5)を満たしている。
(1)d/d0=0.758
(2)|f2/fG1|=18.6620
(3)f1/fw=−15.8368
(4)f1/fG1=−1.9374
(5)H1'/fG1=0.1864
【0029】
第2レンズ群120は、3枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第7レンズL7は、像側に凹面を向けた凹レンズである。第8レンズL8は、物体側および像側の双方に凹面を向けた両凹レンズである。最も像側に配置された第9レンズL9は物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズである。第8レンズL8と第9レンズL9とは、張り合わされて接合レンズを構成している。なお、第8レンズL8と第9レンズL9は、必ずしも張り合わされている必要はなく、離れて構成されていてもよい。
【0030】
第3レンズ群130は、2枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第10レンズL10は、物体側に凸面を向け、両面が非球面に形成された凸レンズである。第11レンズL11は、像側に凹面を向けた凹メニスカスレンズである。第10レンズL10は、必ずしも両面が非球面である必要はなく、片面のみを非球面としても良い、
【0031】
第4レンズ群140は、3枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第12レンズL12は、物体側および像面側の双方に凸面を向けた両凸レンズである。第3レンズL13は、物体側に凹面を向けた凹レンズである。最も像側に配置された最終レンズ(ズームレンズ100全体の最終レンズ)としての第14レンズL14は、両凸レンズである。第12レンズL12と第13レンズL13とは張り合わされて接合レンズを構成している。第12レンズL12と第13レンズL13とは必ずしも張り合わされている必要はなく、両者の間に空隙を有する構成としてもよい。
【0032】
以上のように構成された第1実施例のズームレンズ100では、第1レンズ群110に少なくとも非球面を1面含むことにより、広角端から望遠端までの歪曲収差を効率的に抑制できる。また、非球面レンズを採用することにより、ズームレンズの小型化を図ることができる。
【0033】
A2.レンズデータ:
図2は、第1実施例におけるズームレンズ100を構成する各レンズの面データを示す説明図である。面番号iは、ズームレンズ100を構成する各レンズの面(レンズ面)の番号を示している。ただし、面番号27,28は光学要素30を示す。曲率半径Riは、面Siの曲率半径(mm)を示している。物体側に凸の面の曲率半径は正の値で表されており、物体側に凹の面の曲率半径は負の値で表されている。
【0034】
面間隔Diは、面Siと面Si+1との間の光軸上の距離(mm)を示している。すなわち、面番号iがレンズの物体側の面を示す場合には、面間隔Diは、該レンズの光軸上の厚みを表しており、面番号iがレンズの像側の面を示す場合には、面間隔Diは、該レンズの像側の面と後段の光学素子(例えばレンズ)の物体側の面との間の光軸上の距離を表している。
【0035】
屈折率Ndiは、面Siを有するレンズのd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示している。
【0036】
アッベ数νdiは、面Siを有するレンズのアッベ数を示している。なお、アッベ数νdiは、レンズなどの光の分散に関する性質を表す値であり、d線,C線(波長656.3nm),F線(波長486.1nm)に対する屈折率をnd,nC,nFとすると、(ndー1)/(nFーnC)で表される。
【0037】
図2において、面番号iに「*」が付された面は、非球面形状を有する。前述したように、本実施例では、第2レンズL2の物体側の面S3と像側の面S4と、第10レンズL10の物体側の面S18と像側の面S19とが非球面形状に形成されている。非球面形状は、次式によって表される。
【0038】
【数1】
【0039】
ここで、Hは、非球面と光軸との交点を原点とすると、原点からの光軸と垂直な方向への距離(光軸からの高さ)を表す。Xは、該原点からの光軸上の距離を表す。Rは、曲率半径を表し、Kは円錐係数(コーニック定数)を表し、A4,A6,A8、A10、A12は、高次非球面係数を表す。なお、曲率半径Rは適宜設定される。
【0040】
図3は、第1実施例における非球面係数の各値を示す説明図である。図3は、各非球面(面S3、面S4、面S18、面S19)の非球面係数を示している。非球面係数としては、コーニック定数Kの値および高次非球面係数(4次、6次、8次、10次、12次の非球面係数)A4,A6,A8,A10、A12の各値が示されている。
【0041】
図4は、第1実施例における広角端から望遠端までの変倍時の移動面についての面間隔の各値を示す説明図である。第1実施例では、移動面は、面番号11,16,21,26の各面であり、図4は、面間隔D11,D16,D21,D26の各値を示している。図4に示すように、第1レンズ群110と第2レンズ群120との間の光軸上の距離に相当する面間隔D11を0.700に、第2レンズ群120と絞り150との間の光軸上の距離に相当する面間隔D16を26.713に、絞りと第3レンズ群130との間の光軸上の距離に相当する面間隔D21を6.203に、第3レンズ群130と第4レンズ群140との間の距離D26を3.358とすることにより、ズームレンズ100を広角端の状態とすることができる。同様に、面間隔D11,D16,D21,D26を図4に示す値にすることで、ズームレンズ100を広角端と望遠端との中間の状態、あるいは望遠端の状態とすることができる。
【0042】
図5は、第1実施例における光学仕様を示す説明図である。図5に示すように、広角端において、焦点距離=3.74、画角2ω=83.20度、Fナンバ=1.85をとり、中間において、焦点距離12.22、画角2ω=27.36度、Fナンバ2.31をとり、望遠端において、焦点距離=40.05、画角2ω=8.59度、Fナンバ=2.80をとる。このように、第1実施例のズームレンズ100は、広角端において、画角83.20度という広画角を提供できる。
【0043】
A3.ズームレンズの特性:
以上のように構成された第1実施例のズームレンズ100の収差特性を図6ないし図8に示した。図6は、第1実施例における広角端のときの収差特性を示す。図7は、第1実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。図8は、第1実施例における望遠端のときの収差特性を示す。図9は、第1実施例における広角端のときの横収差を示す説明図である。図10は、第1実施例における広角端と望遠端との中間のときの横収差を示す説明図である。図11は、第1実施例における望遠端のときの横収差を示す説明図である。横収差は、像面状の収差であり、コマ収差、倍率色収差などを含む。
【0044】
図6〜8において、左側のグラフは球面収差の大きさを示し、中央のグラフは結像面の高さ方向に対する非点収差の大きさを示し、右側のグラフは結像面の高さ方向に対する歪曲収差の大きさを示している。図6の球面収差を表すグラフにおける符号C,d,F,gはそれぞれ収差を求めるのに用いた光線の波長の違い(C線:波長656.27nm,d線:587.56nm,F線:486.13nm,g線:435.84nm)を示しており、図6の非点収差を表すグラフにおける符号T(二点鎖線)は、その特性がタンゼンシャル光線に対するものであることを、S(実線)はサジタル光線に対するものであることを、それぞれ示している。以下、図7および図8についても同様である。なお、図6ないし図11は、シミュレーション結果である。
【0045】
図6ないし図8に示すように、第1実施例のズームレンズ100では、従来のズームレンズの収差特性に比べ、10倍以上の高変倍比でありながら、広角端から望遠端のそれぞれにおいて、歪曲収差が改善されている。特に、望遠端での軸外収差を補正できズーム全域に亘って各種収差を抑制できる。従って、全画角に亘って高品質な像を撮影することが可能になる。
【0046】
図9(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100に入射する光の入射角が41.60°、39.65°、35.53°、21.12°、0.00°のときの横収差を表す。図9(A)〜(E)において、破線のグラフは、C線を用いたときの横収差を示している。実線のグラフは、d線を用いたときの横収差を示している。一点鎖線のグラフは、F線を用いたときの横収差を示している。長破線のグラフは、g線を用いたときの横収差を示している。図9(A)〜(E)の左側の図は、タンゼンシャル平面における横収差を示しており、右側の図は、サジタル平面における横収差を示している。なお、サジタル平面における横収差は、縦軸に対して対象であるため、図示が簡略化されている。
【0047】
横軸は、光線束を構成する各光線の絞り面上における位置を示している。例えば、原点は主光線を表しており、原点から最も離れた点は、絞り面上における光線束の最も外側の光線を示している。縦軸は、像面IS状の基準点と、光線束を構成する各光線と像面ISとが交わる交点と、の間の距離(mm)を示している。ここで、基準点は、波長587.56nmの主光線が像面ISと交わる点である。
【0048】
図10(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100に入射する光の入射角が13.68°、12.91°、11.40°、6.529°、0.00°のときの横収差を表す。図10(A)〜(E)において、破線のグラフは、C線を用いたときの横収差を示している。実線のグラフは、d線を用いたときの横収差を示している。一点鎖線のグラフは、F線を用いたときの横収差を示している。長破線のグラフは、g線を用いたときの横収差を示している。
【0049】
図11(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100に入射する光の入射角が4.296°、4.042°、3.533°、2.002°、0.00°のときの横収差を表す。図11(A)〜(E)において、破線のグラフは、C線を用いたときの横収差を示している。実線のグラフは、d線を用いたときの横収差を示している。一点鎖線のグラフは、F線を用いたときの横収差を示している。長破線のグラフは、g線を用いたときの横収差を示している。
【0050】
上記のように、波長587.56nmの主光線が像面ISと交わる点が基準点に設定されているため、広角端から望遠端までのそれぞれの状態において、実線のグラフは、原点を通っている。各波長の光を用いたときの基準点からのずれ量は、d線を基準として、広角端において、図9に示すように、C線は約0.0039mm以下、F線は約0.0029mm以下、g線は約0.0023mm以下であり、中間において、図10に示すように、C線は約0.0003mm以下、F線は約0.0030mm以下、g線は約0.0075mm以下であり、望遠端において、図11に示すように、C線は約0.0086mm以下、F線は約0.0014mm以下、g線は約0.0214mm以下である。
【0051】
以上説明した第1実施例のズームレンズ100によれば、10倍以上の高変倍比で、広角端の画角約80度を超える広画角を実現できる。また、第1レンズ群110に含まれる非球面レンズを樹脂で形成することにより、ガラスで形成する場合に比べてコストを抑制できる。また、非球面レンズのレンズ形状を、中心部から周辺部まで肉厚変位の少ない形状で、かつ、レンズ周辺部の曲率半径をレンズ中心部の曲率半径よりもきつくなるような形状に形成することにより、広角側の歪曲収差および軸外収差を効率的に補正できる。従って、第1実施例によれば、小型で高変倍比を有する高性能なズームレンズを提供できる。
【0052】
B.第2実施例:
B1.ズームレンズの構成:
図12は、第2実施例における撮像装置10Bの要部を示す説明図である。撮像装置10Bは、ズームレンズ100Bの構成以外は、第1実施例の撮像装置10とほぼ同一の構成を有する。
【0053】
ズームレンズ100Bは、物体側から順に配列された、全体として正の屈折力を有し固定された第1レンズ群110Bと、全体として負の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第2レンズ群120Bと、全体として正の屈折力を有し固定された第3レンズ群130Bと、全体として正の屈折力を有し像面位置補正のために光軸上を移動する第4レンズ群140Bと、絞り150と、により構成されている。
【0054】
第1レンズ群110Bは、5群6枚のレンズ構成を有する。最も物体側に配置された第1レンズL21は像面側に対して凹面を向けた凹レンズである。物体側から像面側に対して2番目に配置された第2レンズL22は、物体側に非球面に形成された凸面を向けた凸メニスカスレンズである。第3レンズL23は物体側および像面側の双方に凸面を向けた両凸レンズである。第4レンズL24は、像面側に凹面を向けた凹メニスカスレンズであり、第5レンズL25は、物体側に凸面を向けた凸レンズである。第4レンズL24と第5レンズL25とは、張り合わされて接合レンズを構成している。第6レンズL26は、物体側に凸面を向けた凸レンズである。なお、第1レンズ群110Bにおいて、第2レンズL22の両面が必ずしも非球面である必要はなく、第1レンズ群110Bに含まれる面内の少なくとも1面が非球面であればよい。
【0055】
第2レンズL22は、第1実施例と同様に、中心部から周辺部まで肉厚変位の少ない形状で、かつ、レンズ周辺部の曲率半径をレンズ中心部の曲率半径よりも物体側の面がきつく像面側の面はゆるい非球面形状に形成されており、樹脂で形成されている。
【0056】
第1レンズ群110Bは、第1実施例において説明した条件式(1)〜(5)について、以下に示すように各条件式を満たしている。
(1)d/d0=0.765
(2)|f2/fG1|=−40.4168
(3)f1/fw1=−12.1795
(4)f1/fG1=−1.4837
(5)H1'/fG1=0.1923
【0057】
第2レンズ群120B、第3レンズ群130Bおよび第4レンズ群140Bは、第1実施例と同様に構成されている。
【0058】
B2.レンズデータ:
図13は、第2実施例におけるズームレンズ100Bを構成する各レンズの面データを示す説明図である。図13は、第1実施例において説明した図2に対応する。第2実施例では、第1実施例と同様に、第2レンズL2の物体側の面S3と像側の面S4と、第10レンズL10の物体側の面S18と像側の面S19とが非球面形状に形成されている。図14は、第2実施例における面S3,S4、S18、S19の非球面係数を示している。図14は、第1実施例において説明した図3に対応している。図15は、第2実施例における広角端から望遠端まで変倍をおこなったときの移動する面(面番号11,16,21,26の各面)についての面間隔D11,D16,D21,D26の各値を示す説明図である。図15は、第1実施例において説明した図4に対応している。
【0059】
図15に示すように、第1レンズ群110Bと第2レンズ群120Bとの間の光軸上の距離に相当する面間隔D11、第2レンズ群120Bと絞り150との間の光軸上の距離に相当する面間隔D16、絞り150と第3レンズ群130Bとの間の光軸上の距離に相当する面間隔D21、第3レンズ群130Bと第4レンズ群140Bとの間の距離D26は、広角端から望遠端のそれぞれの状態において、第1実施例と同一である。このように構成することにより、ズームレンズ100Bを広角端の状態、広角端と望遠端との中間の状態、あるいは望遠端の状態とすることができる。
【0060】
図16は、第2実施例における光学仕様を示す説明図である。図16に示すように、広角端において、焦点距離=3.70、画角2ω=81.18度、Fナンバ=1.85をとり、中間において、焦点距離12.12、画角2ω=27.14度、Fナンバ2.31をとり、望遠端において、焦点距離=39.95、画角2ω=8.60度、Fナンバ=2.80をとる。このように、第2実施例のズームレンズ100Bは、広角端において、画角81.18度という広画角を提供できる。
【0061】
B3.ズームレンズの特性:
図17ないし図22は、ズームレンズ100Bの収差特性を示す説明図である。図17は、第2実施例における広角端のときの収差特性を示す。図18は、第2実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。図19は、第2実施例における望遠端のときの収差特性を示す。図20は、第2実施例における広角端のときの横収差を示す説明図である。図21は、第2実施例における広角端と望遠端との中間のときの横収差を示す説明図である。図22は、第2実施例における望遠端のときの横収差を示す説明図である。図17〜図22は、それぞれ第1実施例において説明した図6〜図11に対応する。(ここに第1実施例を第2実施例に、との修正ご指示がありましたが、図6〜図11は第1実施例の図面ですので、このままでよろしいかと思います)
【0062】
図17ないし図19に示すように、第2実施例のズームレンズ100Bでは、第1実施例のズームレンズ100Bと同様に、従来のズームレンズの収差特性に比べ、10倍以上の高変倍比でありながら、広角端〜望遠端において、球面収差、非点収差、歪曲収差が改善されている。
【0063】
図20(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100に入射する光の入射角が40.59°、38.71°、34.76°、21.09°、0.00°のときの横収差を表す。図21(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100に入射する光の入射角が13.58°、13.00°、11.32°、6.557°、0.00°のときの横収差を表す。図22(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100に入射する光の入射角が4.299°、4.045°、3.537°、2.006°、0.00°のときの横収差を表す。
【0064】
また、広角端から望遠端までのそれぞれの状態において、各波長の光を用いたときの基準点からのずれ量は、d線を基準として、広角端において、図20に示すようにC線は約0.0050mm以下、F線は約0.0047mm以下、g線は約0.0026mm以下であり、中間において、図21に示すように、C線は約0.0017mm以下、F線は約0.0056mm以下、g線は約0.0143mm以下であり、望遠端において、図22に示すように、C線は約0.0088mm以下、F線は約0.0026mm以下、g線は約0.0211mm以下である。
【0065】
以上のような特徴的な構成を備えることにより、第2実施例のズームレンズ100Bは、10倍以上の高変倍比で、広角端の画角約80度を超える広画角を実現できると共に、広角端から望遠端のそれぞれの状態において、種々の収差が抑制された高性能で小型のズームレンズを提供できる。
【0066】
C.第3実施例:
C1.ズームレンズの構成:
図23は、第3実施例における撮像装置10Cの要部を示す説明図である。撮像装置10Cは、ズームレンズ100Cの構成以外、第1実施例の撮像装置10とほぼ同一の構成を有する。
【0067】
ズームレンズ100Cは、物体側から順に配列された、全体として正の屈折力を有し固定された第1レンズ群110Cと、全体として負の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第2レンズ群120Cと、全体として正の屈折力を有し固定された第3レンズ群130Cと、全体として正の屈折力を有し像面位置補正のために光軸上を移動する第4レンズ群140Cと、絞り150とにより構成されている。
【0068】
第1レンズ群110Cは、第1実施例および第2実施例の5群6枚のレンズ構成とは異なり、6枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第1レンズL31は像面側に対して凹面を向けた凹レンズである。物体側から像面側に対して2番目に配置された第2レンズL32は、像面側に非球面に形成された凸面を向けた凸メニスカスレンズである。第3レンズL33は物体側および像面側の双方に凸面を向けた両凸レンズである。第4レンズL34は、像面側に凹面を向けた凹メニスカスレンズである。第5レンズL35は、物体側および像面側の双方に凸面を向けた両凸レンズである。第4レンズL34と第5レンズL35とは、接合されていない。第6レンズL36は、物体側に凸面を向けた凸レンズである。なお、第1レンズ群110Cにおいて、第2レンズL32の両面が必ずしも非球面である必要はなく、第1レンズ群110Cに含まれる面内の少なくとも1面が非球面であればよい。
【0069】
第2レンズL32は、第1実施例および第2実施例と同様に、中心部から周辺部まで肉厚変位の少ない形状で、かつ、レンズ周辺部の曲率半径をレンズ中心部の曲率半径よりもきつい非球面形状に形成されており、樹脂で形成されている。
【0070】
第1レンズ群110Cは、第1実施例において説明した条件式(1)〜(5)について、以下に示すように各条件式を満たしている。
(1)d/d0=0.835
(2)|f2/fG1|=35.9611
(3)f1/fw=−15.8336
(4)f1/fG1=−1.9493
(5)H1'/fG1=0.1787
【0071】
第2レンズ群120C、第3レンズ群130Cおよび第4レンズ群140Cは、第1実施例と同様に構成されている。
【0072】
C2.レンズデータ:
図24は、第3実施例におけるズームレンズ100Cを構成する各レンズの面データを示す説明図である。図24は、第1実施例において説明した図2に対応する。第3実施例では、第2レンズL32の物体側の面S3と像側の面S4と、第10レンズL10の物体側の面S19と像側の面S20とが非球面形状に形成されている。図25は、第3実施例における面S3,S4、S19、S20の非球面係数を示している。図25は、第1実施例において説明した図3に対応している。図26は、第3実施例における広角端から望遠端まで変倍をおこなったときの移動する面(面番号12,17,22,27の各面)についての面間隔D12,D17,D22,D27の各値を示す説明図である。図26は、第1実施例において説明した図4に対応している。
【0073】
図26に示すように、第1レンズ群110Cと第2レンズ群120Cとの間の光軸上の距離に相当する面間隔D11、第2レンズ群120Cと絞り150との間の光軸上の距離に相当する面間隔D16、絞り150と第3レンズ群130Cとの間の光軸上の距離に相当する面間隔D21、第3レンズ群130Cと第4レンズ群140Cとの間の距離D26は、広角端から望遠端のそれぞれの状態での間隔を表す。このように構成することにより、ズームレンズ100Cを広角端の状態、広角端と望遠端との中間の状態、あるいは望遠端の状態とすることができる。
【0074】
図27は、第3実施例における光学仕様を示す説明図である。図27に示すように、広角端において、焦点距離=3.80、画角2ω=79.64度、Fナンバ=1.85をとり、中間において、焦点距離12.34、画角2ω=26.84度、Fナンバ2.31をとり、望遠端において、焦点距離=40.00、画角2ω=8.59度、Fナンバ=2.81をとる。このように、第3実施例のズームレンズ100Cは、広角端において、画角79.64度という広画角を提供できる。
【0075】
C3.ズームレンズの特性:
図28ないし図33は、ズームレンズ100Cの収差特性を示す説明図である。図28は、第3実施例における広角端のときの収差特性を示す。図29は、第3実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。図30は、第3実施例における望遠端のときの収差特性を示す。図31は、第3実施例における広角端のときの横収差を示す説明図である。図32は、第3実施例における広角端と望遠端との中間のときの横収差を示す説明図である。図33は、第3実施例における望遠端のときの横収差を示す説明図である。図28〜図33は、それぞれ第1実施例において説明した図6〜図11に対応する。
【0076】
図28ないし図30に示すように、第3実施例のズームレンズ100Cでは、第1実施例のズームレンズ100と同様に、従来のズームレンズの収差特性に比べ、10倍以上の高変倍比でありながら、広角端〜望遠端において、球面収差、非点収差、歪曲収差が改善されている。
【0077】
図31(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100Cに入射する光の入射角が39.82°、37.98°、34.26°、20.69°、0.00°のときの横収差を表す。図32(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100Cに入射する光の入射角が13.42°、12.68°、11.18°、6.449°、0.00°のときの横収差を表す。図33(A)〜(E)は、それぞれズームレンズ100Cに入射する光の入射角が4.294°、4.039°、3.531°、2.002°、0.00°のときの横収差を表す。
【0078】
また、広角端から望遠端までのそれぞれの状態において、各波長の光を用いたときの基準点からのずれ量は、d線を基準として、図31に示すように、広角端において、C線は約0.0039mm以下、F線は約0.0037mm以下、g線は約0.0030mm以下であり、中間において、図32に示すように、C線は約0.0015mm以下、F線は約0.0061mm以下、g線は約0.0124mm以下であり、望遠端において、図33に示すように、C線は約0.0079mm以下、F線は約0.0014mm以下、g線は約0.0197mm以下である。
【0079】
以上のような特徴的な構成を備えることにより、第3実施例のズームレンズ100Cは、10倍以上の高変倍比で、広角端の画角約80程度の広画角を実現できると共に、広角端から望遠端のそれぞれの状態において、種々の収差が抑制された高性能で小型のズームレンズを提供できる。また、第3実施例のズームレンズ100Cによれば、第1レンズ群を単なる6枚構成としているため、第1実施例および第2実施例のズームレンズに比べてより小型化を図ることができる。
【0080】
D.変形例
(1)上記各実施例では、ズームレンズは、書画カメラ、監視カメラ、デジタルスチルカメラ等の撮像装置に適用されているが、これに代えて、プロジェクタなどの投影装置に適用されてもよい。
【0081】
(2)上記各実施例では、ズームレンズの第1レンズ群は、6枚のレンズから構成されているが、例えば、5枚以下もしくは7枚以上のレンズ構成としてもよい。
【0082】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1実施例における撮像装置10の要部を示す説明図。
【図2】第1実施例におけるズームレンズ100を構成する各レンズの面データを示す説明図。
【図3】第1実施例における非球面係数の各値を示す説明図。
【図4】第1実施例における広角端から望遠端までの変倍時の移動面についての面間隔の各値を示す説明図。
【図5】第1実施例における光学仕様を示す説明図。
【図6】第1実施例における広角端のときの収差特性を示す説明図。
【図7】第1実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す説明図。
【図8】第1実施例における望遠端のときの収差特性を示す説明図。
【図9】第1実施例における広角端のときの横収差を示す説明図。
【図10】第1実施例における広角端と望遠端との中間のときの横収差を示す説明図。
【図11】第1実施例における望遠端のときの横収差を示す説明図。
【図12】第2実施例における撮像装置10Bの要部を示す説明図。
【図13】第2実施例におけるズームレンズ100Bを構成する各レンズの面データを示す説明図。
【図14】第2実施例における非球面係数の各値を示す説明図。
【図15】第2実施例における広角端から望遠端までの変倍時の移動面についての面間隔の各値を示す説明図。
【図16】第2実施例における光学仕様を示す説明図。
【図17】第2実施例における広角端のときの収差特性を示す説明図。
【図18】第2実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す説明図。
【図19】第2実施例における望遠端のときの収差特性を示す説明図。
【図20】第2実施例における広角端のときの横収差を示す説明図。
【図21】第2実施例における広角端と望遠端との中間のときの横収差を示す説明図である。
【図22】第2実施例における望遠端のときの横収差を示す説明図。
【図23】第3実施例における撮像装置10Cの要部を示す説明図。
【図24】第3実施例におけるズームレンズ100Cを構成する各レンズの面データを示す説明図。
【図25】第3実施例における非球面係数の各値を示す説明図。
【図26】第3実施例における広角端から望遠端までの変倍時の移動面についての面間隔の各値を示す説明図。
【図27】第3実施例における光学仕様を示す説明図。
【図28】第3実施例における広角端のときの収差特性を示す説明図。
【図29】第3実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す説明図。
【図30】第3実施例における望遠端のときの収差特性を示す説明図。
【図31】第3実施例における広角端のときの横収差を示す説明図。
【図32】第3実施例における広角端と望遠端との中間のときの横収差を示す説明図。
【図33】第3実施例における望遠端のときの横収差を示す説明図。
【符号の説明】
【0084】
10...撮像装置
10B...撮像装置
10C...撮像装置
20...固体撮像素子
30...光学要素
110...第1レンズ群
110B...第1レンズ群
110C...第1レンズ群
120...第2レンズ群
120B...第2レンズ群
120C...第2レンズ群
130...第3レンズ群
130B...第3レンズ群
130C...第3レンズ群
140...第4レンズ群
140B...第4レンズ群
140C...第4レンズ群
150...絞り
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズームレンズであって、
最も物体側に配置され、少なくとも非球面を1面含む複数のレンズから構成された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、
前記第1レンズ群の像面側に配置され、負の屈折力を有する第2レンズ群と、
前記第2レンズ群の像面側に配置され、正の屈折力を有する第3レンズ群と、
最も像面側に配置され、正の屈折力を有するフォーカシング用の第4レンズ群と、を備え、
前記第1レンズ群は、前記物体側から前記像面側に対して順に配置された、前記像面側に対して凹面を向けた凹レンズである第1レンズと、少なくとも1面が非球面に形成され、メニスカス状に形成されたメニスカスレンズである第2レンズと、複数のレンズから構成された、ズームレンズ。
【請求項2】
請求項1記載のズームレンズであって、
0.55<d/d0<1.1
11<|f2/fG1|
−16.8<f1/fw<−11.5
−2.5<f1/fG1<−1.45
0.13<H1'/fG1<0.2
を満足する、ズームレンズ。
ここで、d0は、第2レンズの光軸上の厚みであり、dは第2レンズの像面側の面の有効半径内における光軸からの任意の高さでの法線方向における第2レンズの厚みであり、fiは、物体側から見て第i番目のレンズの焦点距離であり、fwは、全系の広角端での焦点距離であり、fG1は第1レンズ群の焦点距離であり、H1'は、第1レンズ群の最終面の頂点から第1レンズ群の後側主点までの距離である。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、
前記第1レンズと、
前記第2レンズと、
前記物体側に凸面を向けた凸レンズである第3レンズと、
前記像面側に凹面を向けた凹レンズである第4レンズと、
前記物体側に凸面を向けた凸レンズである第5レンズと、
前記物体側に凸面を向けた凸レンズである第6レンズと、により構成されている、ズームレンズ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3いずれか記載のズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、前記第4レンズと前記第5レンズとが接合された5群6枚のレンズ構成を有する、ズームレンズ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか記載のズームレンズであって、
前記第2レンズは、樹脂材料により形成されている、ズームレンズ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5いずれか記載のズームレンズであって、
前記第3レンズ群は、少なくとも非球面を1面含む、ズームレンズ。
【請求項1】
ズームレンズであって、
最も物体側に配置され、少なくとも非球面を1面含む複数のレンズから構成された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、
前記第1レンズ群の像面側に配置され、負の屈折力を有する第2レンズ群と、
前記第2レンズ群の像面側に配置され、正の屈折力を有する第3レンズ群と、
最も像面側に配置され、正の屈折力を有するフォーカシング用の第4レンズ群と、を備え、
前記第1レンズ群は、前記物体側から前記像面側に対して順に配置された、前記像面側に対して凹面を向けた凹レンズである第1レンズと、少なくとも1面が非球面に形成され、メニスカス状に形成されたメニスカスレンズである第2レンズと、複数のレンズから構成された、ズームレンズ。
【請求項2】
請求項1記載のズームレンズであって、
0.55<d/d0<1.1
11<|f2/fG1|
−16.8<f1/fw<−11.5
−2.5<f1/fG1<−1.45
0.13<H1'/fG1<0.2
を満足する、ズームレンズ。
ここで、d0は、第2レンズの光軸上の厚みであり、dは第2レンズの像面側の面の有効半径内における光軸からの任意の高さでの法線方向における第2レンズの厚みであり、fiは、物体側から見て第i番目のレンズの焦点距離であり、fwは、全系の広角端での焦点距離であり、fG1は第1レンズ群の焦点距離であり、H1'は、第1レンズ群の最終面の頂点から第1レンズ群の後側主点までの距離である。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、
前記第1レンズと、
前記第2レンズと、
前記物体側に凸面を向けた凸レンズである第3レンズと、
前記像面側に凹面を向けた凹レンズである第4レンズと、
前記物体側に凸面を向けた凸レンズである第5レンズと、
前記物体側に凸面を向けた凸レンズである第6レンズと、により構成されている、ズームレンズ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3いずれか記載のズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、前記第4レンズと前記第5レンズとが接合された5群6枚のレンズ構成を有する、ズームレンズ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか記載のズームレンズであって、
前記第2レンズは、樹脂材料により形成されている、ズームレンズ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5いずれか記載のズームレンズであって、
前記第3レンズ群は、少なくとも非球面を1面含む、ズームレンズ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2009−37105(P2009−37105A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202794(P2007−202794)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】
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