説明

セラミック電子部品の製造方法およびセラミック電子部品

【課題】セラミック基板の一方主面に凹部が形成され、かつ、一方主面から上記凹部内に至る外部電極を備えた電子部品であって、位置精度および形状精度の高い外部電極を備えたセラミック電子部品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】セラミック基板と、セラミック基板の一方主面に配設された、実装対象との接続のための外部電極とを備えたセラミック電子部品において、セラミック基板の一方主面には、凹部が形成されており、かつ、外部電極は、セラミック基板の一方主面から凹部内に至るように、セラミック基板の表面に沿って配設された連続する一体の厚膜電極により形成された構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、セラミック基板と、外部電極を備えたセラミック電子部品およびその製造方法に関し、詳しくは、セラミック基板と外部電極の構造の改良およびそれを実現するためのセラミック電子部品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品(セラミック電子部品)の中には、基板状の電子部品本体に、外部電極が配設された構造を有するものがある。
このような電子部品の1つに、図14に示すように、基板状の電子部品本体(焼成後のセラミック基板)51の、実装対象(例えば、マザーボードなど)に接合される面である、一方主面(底面)52に凹部53が配設され、かつ、複数の外部電極54が該一方主面52から凹部53の内側面55にまで至るように配設された、ランドグリッドアレイ(LGA)構造を有する電子部品50がある(特許文献1参照)。
【0003】
そして、この電子部品50においては、外部電極54が電子部品本体51の一方主面(底面)52から、凹部53の内側面(内周面)55にまで連続して形成されていることから、
(a)例えば、リフローはんだ付けなどの方法により、電子部品50を図15に示すようにマザーボード61の接続用ランド63上に、はんだ付けにより搭載した場合、凹部53の内側にはんだフィレット62が形成されるため、実装強度(機械的強度)が向上し、例えば、マザーボード61が落下したときに電子部品50が脱落したりすることを抑制することができる、
(b)電子部品50の外側領域に、はんだフィレット62が形成されないため、実装領域を小さくすることが可能になり、該電子部品50のマザーボード61への高密度実装が可能になる
などの効果を得ることができるとされている。
【0004】
ところで、電子部品本体に外部電極(側面電極)を形成する方法としては、
(1)図16(b)に示すように、電子部品本体51の外側の側面に外部電極を形成する場合に、図16 (a)に示すように、基材71に外部電極形成用の導電ペースト54aを塗布し、この導電ペースト54aに電子部品本体51の側面を押し付けて導電ペースト54aを転写させた後、導電ペースト54aが付与された電子部品本体51を所定の条件で熱処理して、導電ペースト54aを焼き付けることにより、外部電極54(図16(b))を形成する方法が知られており、
(2)また、上記特許文献1の電子部品のように、電子部品本体51の一方主面(底面)52に形成された凹部53の内側面55に外部電極54を形成する方法として、例えば、
(2−1)図17 (a)に示すように、セラミックグリーンシート81に形成したビアホール82にビアホール導体(導電ペースト)83を充填しておき、図17(b)に示すように、セラミックグリーンシート81の所定の領域56を打ち抜いて、凹部53を与えるための貫通孔53a(図17(c))を形成する際に、貫通孔53aの内周面にビアホール導体83の一部を露出させて外部電極54とする方法や、
(2−2)図18 (a)に示すように、セラミックグリーンシート81に、凹部53となる貫通孔53aを形成した後、所定の位置に開口部84が形成されたマスク85を用い、スルーホール印刷により、外部電極54が形成されるべき領域(セラミックグリーンシート81の主面86から貫通孔53aの内側面(内周面)57に至る領域)に導電ペースト54a(図18(b))を付与する方法
などの方法が知られている。
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1の電子部品のように、凹部の電子部品本体51の一方主面(底面)52に形成された凹部53の内側面55に外部電極54を形成する場合、上記(1)の導電ペースト54aを電子部品本体51に転写させる方法を適用することは困難であり、上記(1)の方法では、位置精度や形状精度の高い外部電極を形成することはできないのが実情である。
【0006】
また、上記(2−1)の、打ち抜き加工を行って、貫通孔53aの内周面にビアホール導体83の一部を露出させる方法の場合、セラミックグリーンシートの状態で充填されたビアホール導体83の一部を打ち抜く際に、ビアホール82内のビアホール導体(導電ペースト)83が欠落・飛散するため、精度の高い外部電極54を形成することは困難である。
【0007】
さらに、(2−2)のセラミックグリーンシート81に外部電極形成用の導電ペースト54aを塗布する方法の場合、凹部53となるキャビティを構成する複数層のグリーンシートに対して、新たにスルーホール印刷工程を追加することが必要になり、製造コストの増大を招くばかりでなく、セラミックグリーンシート81の積層ズレのため、位置精度や形状精度の高い外部電極を形成することは困難である。
【特許文献1】特開2002−100697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明は、上記課題を解決するものであり、セラミック基板の一方主面に凹部が形成され、かつ、一方主面から上記凹部内に至る外部電極を備えた電子部品であって、位置精度および形状精度の高い外部電極を備えたセラミック電子部品および該セラミック電子部品を効率よく、しかも確実に製造することが可能な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本願発明(請求項1)のセラミック電子部品の製造方法は、
セラミック基板と、前記セラミック基板の一方主面に配設された、実装対象との接続のための外部電極とを備えたセラミック電子部品の製造方法であって、
(a)焼成後に前記セラミック基板となる未焼成セラミック体の一方主面の所定の位置に、焼成後に前記外部電極となる厚膜電極を印刷して、厚膜電極付き未焼成セラミック体を形成する工程と、
(b)前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の、前記厚膜電極が印刷された一方主面にプレス部材を押し当てることにより、前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の前記一方主面に凹部が形成されるとともに、前記厚膜電極が前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の前記一方主面から前記凹部内に至る所定の領域に位置し、かつ、前記厚膜電極に、前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の前記一方主面から前記凹部内に至る領域の形状に対応する段差部が形成されるように、前記厚膜電極付き未焼成セラミック体を変形させる工程と、
(c)前記厚膜電極付き未焼成セラミック体を焼成して、一方主面に凹部が形成された前記セラミック基板と、前記セラミック基板の一方主面から前記凹部内に至り、かつ、前記一方主面から前記凹部内に至る領域に曲折部を有する前記外部電極とを備えたセラミック電子部品を得る工程と
を具備することを特徴としている。
【0010】
また、本願発明(請求項2)のセラミック電子部品の製造方法は、
セラミック基板と、前記セラミック基板の一方主面に配設された、実装対象との接続のための外部電極とを備えたセラミック電子部品の製造方法であって、
(a)焼成後に前記セラミック基板となる未焼成セラミック体の一方主面の所定の位置に、焼成後に前記外部電極となる厚膜電極を印刷して、厚膜電極付き未焼成セラミック体を形成する工程と、
(b)前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の両主面に、前記未焼成セラミック体が焼結する温度では実質的に焼結しない材料からなる補助層を配設するとともに、前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の両主面に配設された前記補助層の少なくとも一方を、前記厚膜電極付き未焼成セラミック体に対向する面に、該補助層と同一材料からなる凸部を備えた、補助層とプレス用型の両方の機能を果たす型・補助層とした補助層付き未焼成セラミック体を形成する工程と、
(c)前記厚膜電極付きセラミック体の、前記一方主面側に凹部が形成されるように、前記補助層付き未焼成セラミック体をプレスすることにより、前記一方主面側に凹部が形成され、他方主面側に凸部が形成されるとともに、前記厚膜電極が、前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の前記一方主面から前記凹部内に至る所定の領域に位置し、かつ、前記厚膜電極に、前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の前記一方主面から前記凹部内に至る領域の形状に対応する段差部が形成されるように、前記補助層付き未焼成セラミック体を変形させる工程と、
(d)前記補助層付き未焼成セラミック体を、前記未焼成セラミック体が焼結し、前記補助層および前記型・補助層が実質的に焼結しない温度で焼成する工程と、
(e)焼成後の補助層付きセラミック体から前記補助層および前記型・補助層を取り除くことにより、一方主面に凹部が形成された前記セラミック基板と、前記セラミック基板の一方主面から前記凹部内に至り、かつ、前記セラミック基板の、一方主面から前記凹部内に至る領域の形状に対応する曲折部を有する前記外部電極とを備えたセラミック電子部品を得る工程と
を具備することを特徴としている。
【0011】
また、本願発明(請求項3)のセラミック電子部品の製造方法は、
セラミック基板と、前記セラミック基板の一方主面に配設された、実装対象との接続のための外部電極とを備えたセラミック電子部品の製造方法であって、
(a)焼成後に前記セラミック基板となる未焼成セラミック体の一方主面の所定の位置に、焼成後に前記外部電極となる厚膜電極を印刷して、厚膜電極付き未焼成セラミック体を形成する工程と、
(b)前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の両主面に、前記未焼成セラミック体が焼結する温度では実質的に焼結しない材料からなる補助層が配設された補助層付き未焼成セラミック体を形成する工程と、
(c)前記厚膜電極が印刷された一方主面側から、前記補助層を介して、前記補助層付き未焼成セラミック体にプレス部材を押し当てることにより、前記補助層付き未焼成セラミック体のプレス部材を押し当てた面および前記厚膜電極付きセラミック体の、前記一方主面に凹部が形成されるとともに、前記厚膜電極が前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の前記一方主面から前記凹部内に至る所定の領域に位置し、かつ、前記厚膜電極に、前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の前記一方主面から前記凹部内に至る領域の形状に対応する段差部が形成されるように、前記補助層付き未焼成セラミック体を変形させる工程と、
(d)前記補助層付き未焼成セラミック体を、前記未焼成セラミック体が焼結し、前記補助層が実質的に焼結しない温度で焼成する工程と、
(e)焼成後の補助層付きセラミック体から前記補助層を取り除くことにより、一方主面に凹部が形成された前記セラミック基板と、前記セラミック基板の一方主面から前記凹部内に至り、かつ、前記セラミック基板の、一方主面から前記凹部内に至る領域の形状に対応する曲折部を有する前記外部電極とを備えたセラミック電子部品を得る工程と
を具備することを特徴としている。
【0012】
また、本願発明(請求項4)のセラミック電子部品は、
セラミック基板と、セラミック基板の一方主面に配設された、実装対象との接続のための外部電極とを備えたセラミック電子部品であって、
前記セラミック基板の前記一方主面には、凹部が形成されており、かつ、
前記外部電極は、前記セラミック基板の前記一方主面から前記凹部内に至るように、前記セラミック基板の表面に沿って配設された連続する一体の厚膜電極によって形成されていること
を特徴としている。
【0013】
また、請求項5のセラミック電子部品は、請求項4の発明の構成において、前記セラミック基板の一方主面に形成された凹部は、その側壁部分が、なだらかな傾斜を有していることを特徴としている。
【0014】
また、請求項6のセラミック電子部品は、請求項4または5の発明の構成において、前記凹部内に、表面実装部品が搭載されていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項7のセラミック電子部品は、請求項4〜6のいずれかに記載の構成において、前記セラミック基板の他方主面が略平坦であることを特徴としている。
【0016】
また、請求項8のセラミック電子部品は、請求項4〜6のいずれかに記載の構成において、前記セラミック基板の他方主面には、前記一方主面の前記凹部に対応する段差部が設けられていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項9のセラミック電子部品は、請求項4〜8のいずれかに記載の構成において、前記セラミック基板が、複数のセラミック層を積層してなるセラミック多層基板であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本願発明(請求項1)のセラミック電子部品の製造方法は、セラミック基板と、セラミック基板の一方主面に配設された、実装対象との接続のための外部電極とを備えたセラミック電子部品を製造するにあたって、(a)焼成後にセラミック基板となる未焼成セラミック体の一方主面の所定の位置に、焼成後に外部電極となる厚膜電極を印刷して、厚膜電極付き未焼成セラミック体を形成する工程と、(b)厚膜電極付き未焼成セラミック体の、厚膜電極が印刷された一方主面にプレス部材を押し当てることにより、厚膜電極付き未焼成セラミック体の一方主面に凹部が形成されるとともに、厚膜電極が厚膜電極付き未焼成セラミック体の一方主面から凹部内に至る所定の領域に位置し、かつ、厚膜電極に、厚膜電極付き未焼成セラミック体の一方主面から凹部内に至る領域の形状に対応する段差部が形成されるように、厚膜電極付き未焼成セラミック体を変形させる工程と、(c)厚膜電極付き未焼成セラミック体を焼成して、一方主面に凹部が形成されたセラミック基板と、セラミック基板の一方主面から凹部内に至り、かつ、一方主面から凹部内に至る領域に曲折部を有する外部電極とを備えたセラミック電子部品を得る工程とを備えているので、一方主面に凹部が形成されたセラミック基板と、セラミック基板の一方主面から凹部内に至る外部電極を備えたセラミック電子部品を確実に製造することができる。
【0019】
すなわち、焼成後にセラミック基板となる未焼成セラミック体の一方主面の所定の位置に、焼成後に外部電極となる厚膜電極を印刷して、厚膜電極付き未焼成セラミック体を形成し、この厚膜電極付き未焼成セラミック体の一方主面にプレス部材を押し当てることにより、厚膜電極付き未焼成セラミック体の一方主面に確実に凹部を形成することが可能になるとともに、厚膜電極付き未焼成セラミック体の一方主面から凹部内に至る、セラミック基板の表面に密着し、かつ、位置精度および形状精度の高い外部電極を確実に形成することが可能になる。
【0020】
また、本願発明(請求項1)のセラミック電子部品の製造方法により製造されるセラミック電子部品は、セラミック基板の一方主面から凹部内に至る、位置精度および形状精度の高い外部電極を備えているので、例えば、マザーボードの接続用ランドに、はんだ付けにより搭載した場合に、凹部の内側にはんだフィレットが形成されるため、実装強度(機械的強度)の大きい、信頼性の高い実装を行うことができるとともに、はんだフィレットがセラミック電子部品の外側領域にまで形成される(はみ出す)ことが抑制、防止されるため、高密度実装を行うことができる。
【0021】
また、本願発明(請求項2)のセラミック電子部品の製造方法は、(a)未焼成セラミック体の一方主面に、厚膜電極を印刷して、厚膜電極付き未焼成セラミック体を形成する工程と、(b)厚膜電極付き未焼成セラミック体の両主面に、未焼成セラミック体が焼結する温度では実質的に焼結しない材料からなる補助層を配設するとともに、厚膜電極付き未焼成セラミック体の両主面に配設された補助層の少なくとも一方を、該補助層と同一材料からなる凸部を備えた、補助層とプレス用型の両方の機能を果たす型・補助層とした補助層付き未焼成セラミック体を形成する工程と、(c)厚膜電極付きセラミック体の、一方主面側に凹部が形成されるように、補助層付き未焼成セラミック体をプレスすることにより、一方主面側に凹部が形成され、他方主面側に凸部が形成されるとともに、厚膜電極が、厚膜電極付き未焼成セラミック体の一方主面から凹部内に至る所定の領域に位置し、かつ、厚膜電極に、厚膜電極付き未焼成セラミック体の一方主面から凹部内に至る領域の形状に対応する段差部が形成されるように、補助層付き未焼成セラミック体を変形させる工程と、(d)補助層付き未焼成セラミック体を、未焼成セラミック体が焼結し、補助層および型・補助層が実質的に焼結しない温度で焼成する工程と、(e)焼成後の補助層付きセラミック体から補助層および型・補助層を取り除くことにより、一方主面に凹部が形成されたセラミック基板と、セラミック基板の一方主面から凹部内に至り、かつ、セラミック基板の、一方主面から凹部内に至る領域の形状に対応する曲折部を有する外部電極とを備えたセラミック電子部品を得る工程とを備えているので、特に型を用意することなく、セラミック基板の一方主面から凹部内に至る、位置精度および形状精度の高い外部電極を備えたセラミック電子部品を効率よく製造することができる。
【0022】
また、厚膜電極付き未焼成セラミック体の両主面に補助層を配設した状態で、型・補助層付き未焼成セラミック積層体を変形させるようにしているので、未焼成セラミック体の折損や破断、内部に内部電極パターンなどが配設されているような場合にも、それらの損傷や破断が発生することを抑制、防止しつつ、セラミック基板の一方主面から凹部内に至る、位置精度および形状精度の高い外部電極を備えたセラミック電子部品を効率よくしかも確実に製造することができる。
【0023】
また、凹部が形成された補助層付き未焼成セラミック体を、補助層が密着した状態のまま、未焼成セラミック体が焼結し、補助層および型・補助層が実質的に焼結しない温度で焼成するようにしているので、補助層および型・補助層の、セラミック体の焼結時の収縮や変形を抑制する力(拘束力)により、焼成工程でセラミック体に収縮や変形が生じることを抑制、防止して、凹部を備えた形状精度の高いセラミック基板を得ることが可能になる。
【0024】
なお、厚膜電極付き未焼成セラミック体の両主面に補助層を配設するとともに、両主面に配設された補助層の少なくとも一方を、補助層とプレス用型の両方の機能を果たす型・補助層とすることにより、一方主面に凹部を備えたセラミック電子部品を形成することができるのは、例えば、型・補助層が、その中央に凸部を1つ有している構造の場合、補助層付き未焼成セラミック積層体の、該型・補助層が配設された面に凹部が形成されることになり、また、例えば、型・補助層が、その周縁を周回する環状の凸部を有している構造の場合には、補助層付き未焼成セラミック積層体の、該型・補助層が配設された方の面は、周縁部の高さが低く、中央部が突出した凸形状となり、該型・補助層が配設されていない方の面には、上記中央部の凸形状に対応して、中央部に凹部が形成されることになり、このことからもからもわかるように、型・補助層への、型としての凸部の配設態様により、一方主面の意図する位置に凹部が形成されるようにすることが可能であることによる。
【0025】
また、本願発明(請求項3)のセラミック電子部品の製造方法は、セラミック基板と、セラミック基板の一方主面に配設された、実装対象との接続のための外部電極とを備えたセラミック電子部品の製造方法であって、(a)焼成後にセラミック基板となる未焼成セラミック体の一方主面の所定の位置に、焼成後に外部電極となる厚膜電極を印刷して、厚膜電極付き未焼成セラミック体を形成する工程と、(b)厚膜電極付き未焼成セラミック体の両主面に、未焼成セラミック体が焼結する温度では実質的に焼結しない材料からなる補助層が配設された補助層付き未焼成セラミック体を形成する工程と、(c)厚膜電極が印刷された一方主面側から、補助層を介して、補助層付き未焼成セラミック体にプレス部材を押し当てることにより、補助層付き未焼成セラミック体のプレス部材を押し当てた面および厚膜電極付きセラミック体の、一方主面に凹部が形成されるとともに、厚膜電極が厚膜電極付き未焼成セラミック体の一方主面から凹部内に至る所定の領域に位置し、かつ、厚膜電極に、厚膜電極付き未焼成セラミック体の一方主面から凹部内に至る領域の形状に対応する段差部が形成されるように、補助層付き未焼成セラミック体を変形させる工程と、(d)補助層付き未焼成セラミック体を、未焼成セラミック体が焼結し、補助層が実質的に焼結しない温度で焼成する工程と、(e)焼成後の補助層付きセラミック体から補助層を取り除くことにより、一方主面に凹部が形成されたセラミック基板と、セラミック基板の一方主面から凹部内に至り、かつ、セラミック基板の、一方主面から凹部内に至る領域の形状に対応する曲折部を有する外部電極とを備えたセラミック電子部品を得る工程とを備えており、請求項2の構成の場合と同様に、未焼成セラミック体の折損や破断、内部に内部電極パターンなどが配設されているような場合にも、それらの損傷や破断が発生することを抑制、防止しつつ、セラミック基板の一方主面から凹部内に至る、位置精度および形状精度の高い外部電極を備えたセラミック電子部品を効率よくしかも確実に製造することができる。
【0026】
また、凹部が形成された補助層付き未焼成セラミック体を、補助層が密着した状態のまま、未焼成セラミック体が焼結し、補助層が実質的に焼結しない温度で焼成するようにしているので、補助層の、セラミック体の焼結時の収縮や変形を抑制する力(拘束力)により、焼成工程でセラミック体に収縮や変形が生じることを抑制、防止して、凹部を備えた形状精度の高いセラミック基板を得ることが可能になる。
なお、未焼成セラミック体の表面に補助層が配設されているので、曲げ加工時に補助層付き未焼成セラミック体の補助層に表面割れが発生した場合にも、未焼成セラミック体には影響がなく、所望の特性を備えたセラミック基板を得ることが可能になる。
【0027】
また、本願発明(請求項4)のセラミック電子部品は、セラミック基板と、セラミック基板の一方主面に配設された、実装対象との接続のための外部電極とを備えたセラミック電子部品であって、セラミック基板の一方主面には、凹部が形成されており、かつ、外部電極は、セラミック基板の一方主面から凹部内に至るように、セラミック基板の表面に沿って配設された連続する一体の厚膜電極により形成されているので、例えば、本願請求項1〜3に記載の方法などにより、複雑な製造工程を必要とすることなく、効率よくしかも確実に製造することができる。
【0028】
また、本願発明のセラミック電子部品においては、実装対象(例えばマザーボードの接続用ランド)上に、はんだ付けにより搭載したときに、凹部の内側にはんだフィレットが形成されるため、実装強度(機械的強度)を高めて、信頼性(落下強度)を向上させることが可能になるとともに、はんだフィレットがセラミック電子部品の外側領域にまで形成されることを抑制、防止して、高密度実装に対応することが可能になる。
【0029】
なお、本願発明のセラミック電子部品においては、はんだ喰われを防止し、あるいは、はんだ付け性を向上させるために、外部電極の表面に、Niめっき、さらには、Snめっきやはんだめっきなどを施すことも可能であり、本願発明のセラミック電子部品は、そのような構成のものも含むものである。
【0030】
また、請求項5のセラミック電子部品のように、請求項4の発明の構成において、セラミック基板の一方主面に形成された凹部が、なだらかな側壁部分を有するような形状とすることにより、セラミック基板の加工時に大きな応力が加わることを抑制、防止することが可能で、割れや欠けなどのない信頼性の高いセラミック電子部品を提供することが可能になる。
【0031】
また、請求項6のセラミック電子部品のように、請求項4または5の発明の構成において、凹部内に、表面実装部品が搭載された構成とした場合、実装対象(例えばマザーボードの接続用ランド)と対向することになる面、すなわち下面側にも、表面実装部品を実装することが可能になり、さらに部品搭載の高密度化(すなわち、セラミック電子部品の小型化)を図ることが可能になる。
【0032】
また、請求項7のセラミック電子部品のように、請求項4〜6のいずれかに記載の構成において、セラミック基板の他方主面が略平坦となるようにした場合、他方主面に種々の表面実装部品を効率よく搭載することが可能になり、部品搭載密度の高いセラミック電子部品を提供することが可能になる。
【0033】
また、請求項8のセラミック電子部品のように、請求項4〜6のいずれかに記載の構成において、セラミック基板の他方主面に、一方主面の凹部に対応する段差部が設けられた構成とした場合、未焼成セラミック体を変形させて凹部を形成する工程において、未焼成セラミック体の一方主面と他方主面の両主面を変形させ、未焼成セラミック体全体の形状変化を伴うような態様で凹部を形成することになるため、未焼成セラミック体に大きなダメージを与えることなく、変形量を大きくして、より深い凹部を形成することが可能になる。
また、一方主面に形成された凹部と、他方主面に形成された段差部とを有する形状を利用して、表面実装部品を種々の態様で搭載することが可能になり、構成の自由度の高いセラミック電子部品を提供することが可能になる。
【0034】
また、請求項9のセラミック電子部品のように、請求項4〜8のいずれかに記載の構成において、セラミック基板を、複数のセラミック層を積層してなるセラミック多層基板とした場合、さらに集積密度の高いセラミック多層基板を提供することが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に本願発明の実施例を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0036】
図1は本願発明の一実施例(実施例1)にかかるセラミック電子部品をマザーボードに搭載した状態を示す図である。
【0037】
この実施例1のセラミック電子部品10は、複数のセラミック層を積層することにより形成され、内部にインダクタやコンデンサなどを構成する内部電極(図示せず)が配設されたセラミック基板1と、セラミック基板1の一方主面F1に配設された、実装対象であるマザーボード21上の接続用ランド22との接続のための外部電極5とを備えている。
【0038】
セラミック基板1の一方主面F1には、凹部C1が形成されており、他方主面F1aは平坦に形成されている。そして、この平坦な他方主面F1aには、表面実装部品14a,14bが搭載されている。また、セラミック基板1の一方主面F1に形成された凹部C1は、側壁部分3がなだらかに傾斜した形状を有している。
さらに、セラミック基板1の上面側は、表面実装部品14a,14bが配設された他方主面F1aを封止するための金属ケース(シールドケース)18が配設されている。
【0039】
また、外部電極5は、セラミック基板1の一方主面F1から凹部C1内に至るように、セラミック基板1の表面に沿って配設された、連続する一体の厚膜電極5aによって形成されており、外部電極5を形成する厚膜電極5aの、セラミック基板1の一方主面F1から凹部C1の側壁部分3に至る部分には、セラミック基板の形状に対応する段差部6が形成されている。なお、段差部は丸みを有していてもよいが、角張っていてもよい。
【0040】
そして、この実施例1のセラミック電子部品10は、外部電極5を、はんだ43を介して、マザーボード21の表面に配設された接続用ランド22に接続、固定することにより、マザーボード21に搭載されるように構成されている。
【0041】
次に、この実施例1のセラミック電子部品10の製造方法について説明する。
(1)まず、セラミックグリーンシートにビアホールを形成し、ビアホールに導電ペーストを充填する。
(2)上記グリーンシート上に導電ペーストを用いて配線パターン(内部電極)を印刷する。
(3)上記グリーンシートを所定の順序で積層し、セラミック積層体(未焼成セラミック体)を形成する。
(4)それから、図2(a)に示すように、未焼成セラミック体11の一方主面F2の所定の位置に、焼成後に外部電極5(図1)となる厚膜電極5aを印刷して、厚膜電極付き未焼成セラミック体12を形成する。
(5)それから、図2(a),(b)に示すように、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の、厚膜電極5aが印刷された一方主面(電極印刷面)F2に、凸部23aを備えた金型(プレス部材)23(図2(a))を配置し、プレスすることにより、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面F2に凹部C2を形成するとともに、厚膜電極5aが厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面F2から凹部C2の内側に至る所定の領域に位置し、かつ、厚膜電極5aに、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面F2から凹部C2内に至る領域の形状に対応する段差部6が形成されるように、厚膜電極付き未焼成セラミック体12を変形させる(図2(b))。
上述のような金型23を用い、金型23の形状を調整することにより、セラミック基板1に、深さが100μm以下程度、好ましくは20〜100μm程度の凹部C1を効率よく形成することができる。
なお、マザー基板を分割して、一度に多数個のセラミック電子部品を得る、いわゆる多数個取りの方法の場合には、厚膜電極付き未焼成セラミック体12のブレイクライン上にブレイク用の溝を形成する。
(6)次に、厚膜電極付き未焼成セラミック体12を焼成して、図3(a),(b)に示すように、一方主面F1に凹部C1が形成され、かつ、一方主面F1から凹部C1の側壁部分3に至る領域に、外部電極5を備えたセラミック基板1を得る。なお、本願発明のセラミック電子部品においては、外部電極5は凹部C1の側壁部分3を超えて、凹部C1の底部にまで達していてもよい。
また、必要に応じて、はんだ喰われを防止したり、はんだ付け性を向上させるために、外部電極5(厚膜電極5a)にめっきを施すことができる。
(7)それから、例えば、図4(a)に示すように、回路要素部品や半導体などの表面実装部品14a,14bをセラミック基板1の他方主面F1aに実装する。
(8)次に、セラミック基板1の上面側を覆うように金属ケース(シールドケース)18を取り付ける。これにより、図1,図4(b)に示すような構造を有するセラミック電子部品10が得られる。
なお、多数個取りの場合には、マザー基板を分割して個々のセラミック基板に分割した後、金属ケースを取り付けたり、あるいは、金属ケースを取り付けた後、マザー基板を分割したりすることにより、一度に多数個のセラミック電子部品が得られるようにすることができる。
【0042】
この実施例の方法によれば、凸部23aを備えた金型23を用いるだけで、前述の特許文献1の場合のように、特に複雑な製造工程を必要とせずに、セラミック基板1の一方主面F1に凹部C1が形成され、かつ、外部電極5が、セラミック基板1の一方主面F1から凹部C1内に至るように、セラミック基板1の表面に沿って配設された連続する一体の厚膜電極5aにより形成されセラミック電子部品10を容易かつ確実に製造することができる。
【0043】
また、セラミック基板1の一方主面F1に形成された凹部C1が、なだらかな側壁部分3を有するような形状とされているので、セラミック基板1の加工時に大きな応力が加わることを抑制、防止して、割れや欠けなどのない信頼性の高いセラミック電子部品10を得ることができる。
【0044】
また、本願発明のセラミック電子部品10は、セラミック基板1の一方主面F1から凹部C1内に至る、位置精度および形状精度の高い外部電極5を備えているので、図1に示すように、マザーボード21の接続用ランド22上に、リフローはんだ付けなどの方法により搭載した場合に、凹部C1の内側にはんだフィレット13が形成されるため、実装強度(機械的強度)の大きい、信頼性の高い実装を行うことができる。
また、はんだフィレット13がセラミック電子部品10の外側領域にまではみ出すことが抑制、防止されるため、高密度実装を行うことが可能になる。
【実施例2】
【0045】
図5(a),(b)は、それぞれ本願発明の他の実施例(実施例2)にかかるセラミック電子部品の製造方法の工程を示す図である。
【0046】
この実施例2では、厚膜電極付き未焼成セラミック体12を、凸部23aを備えた金型23を用いてプレスする工程(実施例1のセラミック電子部品の製造方法の(5)の工程に相当する工程)を、以下のようにして実施している。
(1)まず、セラミックグリーンシートにビアホールを形成し、ビアホールに導電ペーストを充填する。
(2)上記グリーンシート上に導電ペーストを用いて配線パターン(内部電極)を印刷する。
(3)上記グリーンシートを所定の順序で積層し、セラミック積層体(未焼成セラミック体)を形成する。
(4)それから、未焼成セラミック体の一方主面の所定の位置に、焼成後に外部電極となる厚膜電極を印刷して、厚膜電極付き未焼成セラミック体を形成する。
(5)次に、図5(a)に示すように、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の両主面(一方主面F2および他方主面F2a)に、未焼成セラミック体11が焼結する温度では実質的に焼結しない材料からなる補助層20が配設された補助層付き未焼成セラミック体15を形成する。
【0047】
(6)それから、図5(b)に示すように、補助層付き未焼成セラミック体15の一方主面F3に、凸部23aを備えた金型23を用いてプレスを行い、補助層付き未焼成セラミック体15の金型23を押し当てた一方主面F3および厚膜電極付きセラミック体12の一方主面F2に凹部C3およびC2が形成され、厚膜電極5aが厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面F2から凹部C2内に至る所定の領域に位置し、かつ、厚膜電極5aに、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面F2から凹部C2内に至る領域の形状に対応する段差部6が形成されるように、補助層付き未焼成セラミック体15を変形させる。
(7)そして、プレス後の補助層付き未焼成セラミック積層体15を、補助層20がその両主面に密着した状態のまま、未焼成セラミック体11が焼結し、補助層20が実質的に焼結しない温度で焼成する。
(8)その後、補助層20を取り除くことにより、上記実施例1の場合と同様に(図3(a),(b)参照)、一方主面F1に凹部C1が形成され、かつ、一方主面F1から凹部C1内に至る領域に外部電極5が配設された構造を有するセラミック基板1を得る。
【0048】
そして、上記実施例1の場合と同様に、回路要素部品や半導体などの表面実装部品14a,14bをセラミック基板1の他方主面F1aに実装し(図4(a)参照)、セラミック基板1の上面側を覆うように金属ケース(シールドケース)18を取り付けることにより、図1,図4(b)に示すような構造を有するセラミック電子部品10が得られる。
【0049】
上述のように、この実施例2においては、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の両主面(一方主面F2および他方主面F2a)に、未焼成セラミック体11が焼結する温度では実質的に焼結しない材料からなる補助層20が配設された補助層付き未焼成セラミック体15を形成し、補助層20の上から金型23を押し当ててプレス加工を行うようにしているので、補助層付き未焼成セラミック体を変形させる工程で、例えば、未焼成セラミック体の折損や破断、内部に配設された内部電極パターンなどが配設されている場合にも、それらの損傷や破断が発生することを抑制、防止しつつ、一方主面F1から凹部C1内に至る領域に外部電極5が配設された構造を有するセラミック基板1を確実に形成することが可能になる。
【0050】
また、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の表面に補助層20が配設されているので、曲げ加工時に補助層に表面割れが発生した場合にも、未焼成セラミック体には影響がなく、所望の特性を備えたセラミック基板を得ることが可能になる。
また、補助層付き未焼成セラミック体15を、補助層20が密着した状態のまま、未焼成セラミック体11が焼結し、補助層20が実質的に焼結しない温度で焼成するようにしているので、補助層20の、セラミック体の焼結時の収縮や変形を抑制する力(拘束力)により、焼成工程でセラミック体に収縮や変形が生じることを抑制、防止して、形状精度の高いセラミック基板を得ることが可能になる。
【0051】
なお、図6は、上記実施例1および2のセラミック電子部品10の変形例を示す図である。
このセラミック電子部品10においては、セラミック基板1の凹部C1に樹脂8が充填され、樹脂8により、外部電極5の、凹部C1の側壁部分3と凹部C1の底面との境界部に位置する端部5xが樹脂8により被覆されている。その他の構成は、上記実施例1および2のセラミック電子部品10の場合と同じである。
【0052】
この積層セラミック電子部品10のように、セラミック基板1の凹部C1に樹脂8を充填し、外部電極5の凹部C1内に位置する端部5xを樹脂8により被覆することにより、外部電極5の剥離を抑制することが可能になり、さらに信頼性を向上させることができる。
【0053】
また、図7は、上記実施例1および2のセラミック電子部品10の他の変形例を示す図である。
このセラミック電子部品10においては、外部電極5の、セラミック基板1の中央側に位置する端部5x(セラミック基板1の端縁側の端部5yと逆側の端部)が入り込むように、セラミック基板1の一方主面F1の、中央部と端縁部を除く領域に凹部C1が設けられており、外部電極5の端部5xは凹部C1内に位置している。
【0054】
この図7に示すような構成とした場合にも、凹部C1の内側にはんだフィレットが形成されるため、実装強度(機械的強度)の大きい、信頼性の高い実装を行うことが可能になるとともに、はんだフィレットがセラミック電子部品10の外側領域にまではみ出すことが抑制、防止されるため、高密度実装を行うことが可能になる。
【実施例3】
【0055】
図8は本願発明の他の実施例(実施例3)にかかるセラミック電子部品をマザーボードに搭載した状態を示す図である。
この実施例3のセラミック電子部品10aは、図8に示すように、セラミック基板1の一方主面F1に凹部C1が形成され、かつ、セラミック基板1の他方主面F1aに、一方主面F1の凹部C1に対応する凸部D1(段差部16)が形成された構造を有している。そして、その他の点を除いては、上記実施例1のセラミック電子部品10の構成と同じ構成を備えている。
【0056】
次に、この実施例3のセラミック電子部品の製造方法について説明する。
(1)まず、セラミックグリーンシートにビアホールを形成し、ビアホールに導電ペーストを充填する。
(2)上記グリーンシート上に導電ペーストを用いて配線パターン(内部電極)を印刷する。
(3)上記グリーンシートを所定の順序で積層し、セラミック積層体(未焼成セラミック体)を形成する。
(4)それから、図9(a)に示すように、未焼成セラミック体11の一方主面F2の所定の位置に、焼成後に外部電極5(図8)となる厚膜電極5aを印刷して、厚膜電極付き未焼成セラミック体12を形成する。
(5)それから、図9(a),(b)に示すように、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の、厚膜電極5aが印刷された一方主面(電極印刷面)F2に、中央部に凸部23aが形成された金型(プレス部材)23を配置するとともに、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の他方主面F2aに、周辺部に凸部24aが形成された金型24を配置し、プレスすることにより、図9(b)に示すように、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面F2に凹部C2を形成し、他方主面F2aに、凹部C2の形状に対応する凸部D2を形成するとともに、厚膜電極5aが厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面F2から凹部C2内に至る所定の領域に位置し、かつ、厚膜電極5aに、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面F2から凹部C2内に至る領域の形状に対応する段差部6が形成されるように、厚膜電極付き未焼成セラミック体12を変形させる(図9(b))。
【0057】
この実施例3のように、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面(電極印刷面)F2に、凸部23aを有する金型23を配置するとともに、他方主面F2aに、周辺部に凸部24aが形成された金型24を配置してプレスすることにより、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面に、深い凹部C2を形成することが可能になる。例えば、幅5mm×長さ5mm×厚み0.5mmのセラミック基板の場合、700μm程度の深さまでの凹部を形成することが可能で、金型の形状を選択することにより、700μm以下、さらに好ましくは100〜500μmの範囲で任意の深さの凹部C1を備えたセラミック基板を形成することができる。凹部の深さが浅すぎると、実装強度の向上が小さく、また、深すぎると基板が割れたりするなど、加工性が低下する。凹部の深さが100μm以上であれば、十分な実装強度が得られ、500μm以下であれば安定して容易に基板を製造することができる。
【0058】
なお、マザー基板を分割して、一度に多数のセラミック電子部品を得る、いわゆる多数個取りの方法の場合には、厚膜電極付き未焼成セラミック体12のブレイクライン上にブレイク用の溝を形成する。
【0059】
(6)次に、厚膜電極付き未焼成セラミック体12を焼成して、図9(c)に示すにように、一方主面F1に凹部C1が形成され、かつ、一方主面F1から凹部C1内に至る領域に、外部電極5を備えたセラミック基板1を得る。
必要に応じて、はんだ喰われを防止したり、はんだ付け性を向上させるために、外部電極5(厚膜電極5a)にめっきを施すことができる。
(7)それから、例えば、回路要素部品や半導体などの表面実装部品14a,14b,14cをセラミック基板1の表面に実装する(図10(a))。
(8)次に、図10(b)に示すように、セラミック基板1の上面側を覆うように金属ケース(シールドケース)18を取り付ける。これにより、図8,図10(b)に示すような構造を有するセラミック電子部品10aが得られる。
なお、多数個取りの場合には、マザー基板を分割して個々のセラミック基板に分割した後、金属ケースを取り付けたり、金属ケースを取り付けた後、分割したりすることにより、一度の多数個のセラミック電子部品が得られるようにすることができる。
【0060】
この実施例3のセラミック電子部品の製造方法によれば、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面(電極印刷面)F2に、凸部23aを有する金型23を配置するとともに、他方主面F2aに、周辺部に凸部24aが形成された金型24を配置してプレスして、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面F2に凹部C2を形成し、他方主面F2aに、凹部C2の形状に対応する凸部D2を形成するようにしている(すなわち、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面F2と他方主面F2aの両主面を変形させ、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の全体の形状変化を伴うような態様で凹部C2を形成するようにしている)ことから、厚膜電極付き未焼成セラミック体12に大きなダメージを与えることなく、変形量を大きくして、より深い凹部C2を形成することができる。
【0061】
なお、実施例1および2のように、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の他方主面が平坦になるようなプレス加工を行った場合には、凹部C2の深さを深くしようとすると、厚膜電極付き未焼成セラミック体12にかかる応力が大きくなり、未焼成セラミック体11の表面に破断が生じたり、内層電極に断線などの不具合が生じたりするため、凹部C2の深さは、通常、100μm程度が限界となる。
【0062】
また、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の凹部C2を深くすることにより、図8,図9(c)に示すように、凹部C1の深さが深いセラミック基板1を得ることが可能になり、外部電極5も凹部C1の長い側壁部分3に沿って長く、かつ、凹部C1の深い位置まで形成されるため、マザーボード21に実装した際のはんだフィレット13がより高く形成されることになる。その結果、落下強度などの機械的強度がより高いセラミック電子部品10aを得ることができるようになる。
【0063】
また、深い凹部C1を形成することができるため、セラミック基板1の他方主面側に表面実装部品14a,14bを搭載するだけでなく、凹部C1内にも表面実装部品14cを搭載することが可能になり、セラミック電子部品10aの小型化および機能の複合化・多機能化を実現することが可能になる。
また、その他の点においても、上記実施例1のセラミック電子部品において得ることが可能な作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【実施例4】
【0064】
図11(a)および図11(b)は、それぞれ本願発明の他の実施例(実施例4)にかかるセラミック電子部品の製造方法を示す図である。
【0065】
なお、この実施例4では上記実施例3のセラミック電子部品と同様の構成を有するセラミック電子部品を製造する場合を例にとって説明する。
(1)まず、セラミックグリーンシートにビアホールを形成し、ビアホールに導電ペーストを充填する。
(2)上記グリーンシート上に導電ペーストを用いて配線パターン(内部電極)を印刷する。
(3)上記グリーンシートを所定の順序で積層し、セラミック積層体(未焼成セラミック体)を形成する。
(4)それから、未焼成セラミック体11の一方主面F2の所定の位置に、焼成後に外部電極5(図8)となる厚膜電極5aを印刷して、厚膜電極付き未焼成セラミック体12(図11(a)参照)を形成する。
(5)一方、基板用グリーンシートの焼成温度では焼結しないセラミックを含む、補助層(補助層用グリーンシート)20(図11(a),(b)参照)を作製する。
補助層用グリーンシートは、たとえば、有機ビヒクル中にアルミナ粉末を分散させてスラリーを調製し、これをキャスティング法によってシート状に成形することにより得ることができる。このようにして得られた補助層用グリーンシートの焼結温度は、1500〜1600℃であるため、未焼成セラミック体が焼結する温度(例えば、800〜1000℃)では焼結せず、この補助層用グリーンシートからなる補助層を接合させた状態で未焼成セラミック体を焼成することにより、未焼成セラミック体の平面方向に関する収縮を抑制しつつ焼結させることが可能になる。
なお、この補助層用グリーンシートは、プレス時に未焼成セラミック体を傷めることなく加工することができるように、基板用グリーンシートよりも、硬くなるように物性を調整したものを用いる。
(6)また、上記(5)の工程で作製した補助層(補助層用グリーンシート)を、所定の形状に打ち抜き加工した、型を形成するために用いられるグリーンシート(型形成用グリーンシート)を、補助層(補助層用グリーンシート)20に圧着することにより、周辺部に凸部30aを備えた、補助層とプレス(変形)用型の両方の機能を備えた型・補助層30(図11(a))を作製する。
(7)それから、図11(a),(b)に示すように、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の、厚膜電極5aが印刷された一方主面(電極印刷面)F2に、未焼成セラミック体が焼結する温度では実質的に焼結しない材料からなる平坦な補助層20を配設するとともに、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の他方主面F2aに、周辺部に凸部30aが形成された型・補助層30を配置する。
そして、この補助層付き未焼成セラミック積層体(型・補助層付き未焼成セラミック体)15を、補助層20上に配置した弾性体層(シリコーンラバー層)31を介してプレスすることにより、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面F2に凹部C2を形成し、他方主面F2aに、凹部C2の形状に対応する凸部D2を形成するとともに、厚膜電極5aが、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面F2から凹部C2の側壁部分3に至る所定の領域に位置し、かつ、厚膜電極5aに、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面F2から凹部C2の側壁部分3に至る領域の形状に対応するなだらかな形状の段差部6が形成されるように、厚膜電極付き未焼成セラミック体12を変形させる(図11(b))。
【0066】
この実施例4のように、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面(電極印刷面)F2に、平坦な補助層20を配設するとともに、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の他方主面F2aに、周辺部に凸部30aが形成された型・補助層30を配置し、補助層20上に配置した弾性体層(シリコーンラバー層)31を介してプレスすることにより、厚膜電極付き未焼成セラミック体12にダメージを与えることなく、一方主面F2に、深い凹部C2を形成することが可能になる。例えば、幅5mm×長さ5mm×厚み0.5mmのセラミック基板の場合、700μm以下、好ましくは100〜500μm程度の深さの凹部を形成することが可能になる。凹部の深さが浅すぎると、実装強度の向上が小さく、また、深すぎると基板が割れたりするなど、加工性が低下する。凹部の深さが100μm以上であれば、十分な実装強度が得られ、500μm以下であれば安定して容易に基板を製造することができる。
【0067】
なお、型・補助層30を構成する凸部30aは、断面形状が方形(図11(a)参照)になるように形成されているが、補助層20と同じ材料から構成されていることから、図11(b)に示すように、プレス工程で凸部30aの形状が変化するため、図8に示すような、なだらかな形状の側壁部分3を備えた凸部D1(16)を備えたセラミック基板1を形成することができる。
【0068】
(8)そして、プレス後の補助層付き未焼成セラミック積層体15を、補助層20がその両主面に密着した状態のまま、未焼成セラミック体11が焼結し、補助層20および型・補助層30が実質的に焼結しない温度で焼成した後、補助層20および型・補助層30を取り除くことにより、上記実施例3の場合と同様に(図9(c)参照)、一方主面F1に凹部C1が形成され、かつ、一方主面F1から凹部C1の段差部分3に至る領域に外部電極5が配設された構造を有するセラミック基板1を得ることが可能になる。
【0069】
その後、上記実施例3の場合と同様に、回路要素部品や半導体などの表面実装部品14a,14bをセラミック基板1の他方主面F1aに搭載し、表面実装部品14cをセラミック基板1の一方主面F1側の凹部C1内に実装した後(図10(a)参照)、セラミック基板1の他方主面F1aを覆うように金属ケース(シールドケース)18を取り付けることにより、図8,図10(b)に示すような構造を有するセラミック電子部品10aを得ることができる。
【実施例5】
【0070】
図12(a),(b)は、本願発明の他の実施例(実施例5)にかかるセラミック電子部品の製造方法を示す図である。
【0071】
上述の実施例4(図11(a),(b)参照)では、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面F2に、平坦な補助層20を配設するとともに、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の他方主面F2aに、周辺部に凸部30aが形成された型・補助層30を配置し、補助層20上に配置した弾性体層(シリコーンラバー層)31を介して、補助層付き未焼成セラミック積層体15をプレスするようにしたが、この実施例5では、図12(a),(b)に示すように、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面F2と他方主面F2aの両主面に平坦な補助層20を配設するとともに、補助層20を介して、補助層付き未焼成セラミック積層体15の下面側(補助層20を介して、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の他方主面F2aに対向する側)に、周辺部に凸部32aが形成された型(例えば金型)32を配置し、厚膜電極付き未焼成セラミック積層体12の一方主面F2側の補助層20上に配置した弾性体層(シリコーンラバー層)31を介して、補助層付き未焼成セラミック積層体15をプレスするようにした。
なお、その他の工程は、上記実施例4の場合に準じる。
【0072】
この実施例5のように、厚膜電極付き未焼成セラミック体12の一方主面F2と他方主面F2aの両方に平坦な補助層20を配設し、この補助層付き未焼成セラミック積層体15に型32を合わせて弾性体層31を介してプレスするようにした場合にも、厚膜電極付き未焼成セラミック体12にダメージを与えることなく、所望の深さの凹部C2を確実に形成することが可能になる。
【0073】
その後、上記実施例3の場合と同様に、回路要素部品や半導体などの表面実装部品14a,14bをセラミック基板1の他方主面F1aに搭載し、表面実装部品14cをセラミック基板1の一方主面F1側の凹部C1内に実装した後(図10(a)参照)、セラミック基板1の他方主面F1aを覆うように金属ケース(シールドケース)18を取り付けることにより、図8,図10(b)に示すような構造を有するセラミック電子部品10aを得ることができる。
【0074】
なお、この実施例5の構成の場合にも、型32の周辺部の凸部32aを、補助層20を構成する材料と同じ難焼結性材料から形成することも可能である。
【0075】
また、図13は、上記実施例3〜5のセラミック電子部品10aの変形例を示す図である。
このセラミック電子部品10aは、セラミック基板1の凹部C1に樹脂8が充填され、樹脂8により、外部電極5の、凹部C1の側壁部分3と凹部C1の底面との境界部に位置する端部5xが樹脂8により被覆されている。その他の構成は、上記実施例3〜5のセラミック電子部品10aの場合と同じである。
【0076】
この積層セラミック電子部品10aのように、セラミック基板1の凹部C1に樹脂8を充填し、外部電極5の凹部C1内に位置する端部5xを樹脂8により被覆することにより、外部電極5の剥離を抑制することが可能になり、さらに信頼性を向上させることができる。
【0077】
なお、本願発明は、上記の各実施例の構成に限定されるものではなく、セラミック基板の具体的な構成、凹部の配設位置や具体的な形状、外部電極の配設位置や配設個数、平面形状などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本願発明によれば、セラミック基板の一方主面から凹部内に至る、位置精度および形状精度の高い外部電極を備え、マザーボードの接続用ランド上に、はんだ付けにより搭載したときに、凹部の内側にはんだフィレットが形成されて大きな実装強度(機械的強度)を得ることが可能で、かつ、はんだフィレットがセラミック電子部品の外側領域にまで形成される(はみ出す)ことを抑制、防止することが可能な、実装信頼性が高く、かつ、高密度実装性に優れたセラミック電子部品を得ることが可能になる。
したがって、本願発明は、セラミック基板と、セラミック基板の一方主面に配設された、実装対象との接続のための外部電極とを備えたセラミック多層基板や、該セラミック多層基板に各種の電子部品を搭載したモジュール基板などの分野に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本願発明の実施例(実施例1)にかかるセラミック電子部品をマザーボードに搭載した状態を示す図である。
【図2】(a),(b)は、本願発明の実施例1にかかるセラミック電子部品の製造方法を示す図である。
【図3】(a),(b)は、本願発明の実施例1にかかるセラミック電子部品を構成するセラミック基板の構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)はセラミック基板の凹部や外部電極などが形成された面を示す斜視図である。
【図4】(a),(b)は、本願発明の実施例1にかかるセラミック電子部品の製造方法を示す図である。
【図5】(a),(b)は、本願発明の実施例2にかかるセラミック電子部品の製造方法を示す図である。
【図6】本願発明の実施例1および2にかかるセラミック電子部品の変形例を示す図である。
【図7】本願発明の実施例1および2にかかるセラミック電子部品の他の変形例を示す図である。
【図8】本願発明の他の実施例(実施例3)にかかるセラミック電子部品をマザーボードに搭載した状態を示す図である。
【図9】(a),(b),(c)は本願発明の実施例3にかかるセラミック電子部品の製造方法を示す図である。
【図10】(a),(b)は本願発明の実施例3にかかるセラミック電子部品の製造方法を示す図である。
【図11】(a),(b)は、本願発明の実施例4にかかるセラミック電子部品の製造方法を示す図である。
【図12】(a),(b)は、本願発明の実施例5にかかるセラミック電子部品の製造方法を示す図である。
【図13】本願発明の実施例3〜5にかかるセラミック電子部品の変形例を示す図である。
【図14】従来のセラミック電子部品の構成を示す図である。
【図15】従来のセラミック電子部品を実装した状態を示す図である。
【図16】(a),(b)は、従来のセラミック電子部品の製造工程で、外部電極を形成する方法を説明する図である。
【図17】(a),(b),(c)は、従来のセラミック電子部品の製造工程で、外部電極を形成する他の方法を説明する図である。
【図18】(a),(b)は、従来のセラミック電子部品の製造工程で、外部電極を形成するさらに他の方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0080】
1 セラミック基板
3 凹部の側壁部分
5 外部電極
5a 厚膜電極
5x 外部電極の凹部内に位置する方の端部
5y 外部電極の端縁側の端部
6 段差部
8 樹脂
10 セラミック電子部品
10a セラミック電子部品
11 未焼成セラミック体
12 厚膜電極付き未焼成セラミック体
13 はんだフィレット
14a,14b,14c 表面実装部品
15 補助層付き未焼成セラミック体
16 段差部
18 金属ケース(シールドケース)
20 補助層
21 マザーボード
22 接続用ランド
23 金型(プレス部材)
23a 金型の凸部
24 金型
24a 金型の凸部
30 型・補助層
30a 凸部
31 弾性体層(シリコーンラバー層)
32a 凸部
32 型(金型)
43 はんだ
C1,C2 凹部
D1,D2 一方主面の凹部に対応する凸部
F1 セラミック基板の一方主面
F1a セラミック基板の他方主面
F2 未焼成セラミック体の一方主面
F2a 未焼成セラミック体の他方主面
F3 補助層付き未焼成セラミック体の一方主面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基板と、前記セラミック基板の一方主面に配設された、実装対象との接続のための外部電極とを備えたセラミック電子部品の製造方法であって、
(a)焼成後に前記セラミック基板となる未焼成セラミック体の一方主面の所定の位置に、焼成後に前記外部電極となる厚膜電極を印刷して、厚膜電極付き未焼成セラミック体を形成する工程と、
(b)前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の、前記厚膜電極が印刷された一方主面にプレス部材を押し当てることにより、前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の前記一方主面に凹部が形成されるとともに、前記厚膜電極が前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の前記一方主面から前記凹部内に至る所定の領域に位置し、かつ、前記厚膜電極に、前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の前記一方主面から前記凹部内に至る領域の形状に対応する段差部が形成されるように、前記厚膜電極付き未焼成セラミック体を変形させる工程と、
(c)前記厚膜電極付き未焼成セラミック体を焼成して、一方主面に凹部が形成された前記セラミック基板と、前記セラミック基板の一方主面から前記凹部内に至り、かつ、前記一方主面から前記凹部内に至る領域に曲折部を有する前記外部電極とを備えたセラミック電子部品を得る工程と
を具備することを特徴とする、セラミック電子部品の製造方法。
【請求項2】
セラミック基板と、前記セラミック基板の一方主面に配設された、実装対象との接続のための外部電極とを備えたセラミック電子部品の製造方法であって、
(a)焼成後に前記セラミック基板となる未焼成セラミック体の一方主面の所定の位置に、焼成後に前記外部電極となる厚膜電極を印刷して、厚膜電極付き未焼成セラミック体を形成する工程と、
(b)前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の両主面に、前記未焼成セラミック体が焼結する温度では実質的に焼結しない材料からなる補助層を配設するとともに、前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の両主面に配設された前記補助層の少なくとも一方を、前記厚膜電極付き未焼成セラミック体に対向する面に、該補助層と同一材料からなる凸部を備えた、補助層とプレス用型の両方の機能を果たす型・補助層とした補助層付き未焼成セラミック体を形成する工程と、
(c)前記厚膜電極付きセラミック体の、前記一方主面側に凹部が形成されるように、前記補助層付き未焼成セラミック体をプレスすることにより、前記一方主面側に凹部が形成され、他方主面側に凸部が形成されるとともに、前記厚膜電極が、前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の前記一方主面から前記凹部内に至る所定の領域に位置し、かつ、前記厚膜電極に、前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の前記一方主面から前記凹部内に至る領域の形状に対応する段差部が形成されるように、前記補助層付き未焼成セラミック体を変形させる工程と、
(d)前記補助層付き未焼成セラミック体を、前記未焼成セラミック体が焼結し、前記補助層および前記型・補助層が実質的に焼結しない温度で焼成する工程と、
(e)焼成後の補助層付きセラミック体から前記補助層および前記型・補助層を取り除くことにより、一方主面に凹部が形成された前記セラミック基板と、前記セラミック基板の一方主面から前記凹部内に至り、かつ、前記セラミック基板の、一方主面から前記凹部内に至る領域の形状に対応する曲折部を有する前記外部電極とを備えたセラミック電子部品を得る工程と
を具備することを特徴とする、セラミック電子部品の製造方法。
【請求項3】
セラミック基板と、前記セラミック基板の一方主面に配設された、実装対象との接続のための外部電極とを備えたセラミック電子部品の製造方法であって、
(a)焼成後に前記セラミック基板となる未焼成セラミック体の一方主面の所定の位置に、焼成後に前記外部電極となる厚膜電極を印刷して、厚膜電極付き未焼成セラミック体を形成する工程と、
(b)前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の両主面に、前記未焼成セラミック体が焼結する温度では実質的に焼結しない材料からなる補助層が配設された補助層付き未焼成セラミック体を形成する工程と、
(c)前記厚膜電極が印刷された一方主面側から、前記補助層を介して、前記補助層付き未焼成セラミック体にプレス部材を押し当てることにより、前記補助層付き未焼成セラミック体のプレス部材を押し当てた面および前記厚膜電極付きセラミック体の、前記一方主面に凹部が形成されるとともに、前記厚膜電極が前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の前記一方主面から前記凹部内に至る所定の領域に位置し、かつ、前記厚膜電極に、前記厚膜電極付き未焼成セラミック体の前記一方主面から前記凹部内に至る領域の形状に対応する段差部が形成されるように、前記補助層付き未焼成セラミック体を変形させる工程と、
(d)前記補助層付き未焼成セラミック体を、前記未焼成セラミック体が焼結し、前記補助層が実質的に焼結しない温度で焼成する工程と、
(e)焼成後の補助層付きセラミック体から前記補助層を取り除くことにより、一方主面に凹部が形成された前記セラミック基板と、前記セラミック基板の一方主面から前記凹部内に至り、かつ、前記セラミック基板の、一方主面から前記凹部内に至る領域の形状に対応する曲折部を有する前記外部電極とを備えたセラミック電子部品を得る工程と
を具備することを特徴とする、セラミック電子部品の製造方法。
【請求項4】
セラミック基板と、セラミック基板の一方主面に配設された、実装対象との接続のための外部電極とを備えたセラミック電子部品であって、
前記セラミック基板の前記一方主面には、凹部が形成されており、かつ、
前記外部電極は、前記セラミック基板の前記一方主面から前記凹部内に至るように、前記セラミック基板の表面に沿って配設された連続する一体の厚膜電極によって形成されていること
を特徴とするセラミック電子部品。
【請求項5】
前記セラミック基板の一方主面に形成された凹部は、その側壁部分が、なだらかな傾斜を有していることを特徴とする請求項4記載のセラミック電子部品。
【請求項6】
前記凹部内に、表面実装部品が搭載されていることを特徴とする、請求項4または5記載のセラミック電子部品。
【請求項7】
前記セラミック基板の他方主面が略平坦であることを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載のセラミック電子部品。
【請求項8】
前記セラミック基板の他方主面には、前記一方主面の前記凹部に対応する段差部が設けられていることを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載のセラミック電子部品。
【請求項9】
前記セラミック基板が、複数のセラミック層を積層してなるセラミック多層基板であることを特徴とする、請求項4〜8のいずれかに記載のセラミック電子部品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2007−48844(P2007−48844A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−229974(P2005−229974)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】