説明

セルフ写真プリント装置

【課題】釣り銭切れにより販売の機会を失うような問題が回避できるセルフ写真プリント装置を提供する。
【解決手段】写真プリントの出力形態を規定する所定のサービス種に基づいて入力された撮影コマ画像から写真プリントを出力するプリンタユニット40と、サービス種による写真プリント出力のための課金処理を管理する課金管理部23とを備えたセルフ写真プリント装置。それぞれ規定の料金が設定されている複数の前記サービス種を登録管理している写真サービス管理テーブル57と、前記課金管理部における釣り銭準備状態に基づいて、前記写真サービス管理テーブル57に登録されているサービス種の中から、釣り銭不足が問題とならないサービス種のみを取り扱い可能としてユーザに提示する提示サービス種決定部58とが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影コマ画像を入力するための画像入力処理部と、写真プリントの出力形態を規定する所定のサービス種に基づいて入力された撮影コマ画像から写真プリントを出力するプリンタユニットと、前記サービス種による写真プリント出力のための課金処理を管理する課金管理部とを備えたセルフ写真プリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のセルフ写真プリント装置においては、ユーザが入力することにより表示される撮影画像からプリントを希望する画像を選択し、さらにプリントの使用目的(「高品位プリント」「クイックプリント」「証明写真(プリント)」「アルバム作成(プリント)」など)が写真プリントサービス種として表示され、ユーザによって使用目的が選択されると、その使用目的に応じた画像処理が実行された後、料金が表示される。この料金表示に沿って紙幣投入口および硬貨投入口に投入された投入金額が判定され、釣り銭があるときは、釣り銭が釣り銭放出口に放出され、プリント処理が実行される(例えば、特許文献1参照)。このようなセルフ写真プリント装置は、無人で営業できるために、営業人件費が抑制されることや、24時間営業が可能であるという多くの利点をもっている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−006490号公報(段落番号0020−0033,0051−0058、図2,図4,図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、写真プリント出力のセルフサービスの場合、プリントサイズやプリント枚数に応じて、さらには複数撮影コマ同士や他の画像との合成といった特殊なプリント形態に応じて、料金が細かく変わってくるので、釣り銭パターンが多様であり、釣り銭切れが生じやすくなる。釣り銭切れが発生すると、商品(写真プリント)販売が不可能となるので、セルフ写真プリント装置の稼働が中止され、営業的な無駄が生じる。
【0005】
上記実状に鑑み、本発明の課題は、釣り銭切れにより販売の機会を失うような問題が回避できるセルフ写真プリント装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、撮影コマ画像を入力するための画像入力処理部と、写真プリントの出力形態を規定する所定のサービス種に基づいて入力された撮影コマ画像から写真プリントを出力するプリンタユニットと、前記サービス種による写真プリント出力のための課金処理を管理する課金管理部とを備えたセルフ写真プリント装置において、本発明では、それぞれ規定の料金が設定されている複数の前記サービス種を登録管理している写真サービス管理テーブルと、前記課金管理部における釣り銭準備状態に基づいて、前記写真サービス管理テーブルに登録されているサービス種の中から、釣り銭不足が問題とならないサービス種のみを取り扱い可能としてユーザに提示する提示サービス種決定部とが備えられている。
【0007】
ここでいうサービス種とは、プリントサイズ別でプリント枚数に応じて計算された料金を支払う枚数プリント、一定料金で所定範囲の枚数のプリントを行う定額プリント、料金別で設定された数の撮影コマ画像を1枚のプリントに合成するマルチプリント、撮影コマ画像に別に用意されているキャラクターや背景を合成する特殊編集プリントやイベントはがきプリントといった特殊プリントを代表的に表す語句である。枚数プリントサービスでは入力設定する枚数によって料金は増減するが、料金が定額であるサービス種も用意されている。
【0008】
本発明によるセルフ写真プリント装置では、予め規定の料金が設定されている複数のサービス種が登録管理されているので、課金管理部で管理されている釣り銭の準備状態に基づいて、例えば硬貨での釣り銭が不足している場合には、硬貨での釣り銭が発生しない料金が設定されているサービス種だけをユーザに提示して、それ以外のサービス種が選択できないようにする。これにより、釣り銭不足であっても、代替的なプリントサービスをユーザに提供することができる。また、この本発明によるセルフ写真プリント装置では、最初から硬貨の釣り銭は用意せずに、100円単位の料金が設定されたサービス種だけを取り扱うような装置にすることも可能である。あるいは、500円硬貨だけを釣り銭として用意し、500円単位の料金が設定されたサービス種だけを取り扱うようにしてもよい。
【0009】
釣り銭の準備状態に基づいて釣り銭が発生しないようなサービス種だけを取り扱うという技術の具体的な一例として、10円、50円、100円、500円硬貨及び1000円以上の紙幣の投入及び釣り銭払い出しが可能に構成され、100円以下の硬貨の釣り銭準備が不足している状態では500円の倍数となる料金であるサービス種のみが提示されるように構成されたセルフ写真プリント装置を挙げることができる。100円以下の釣り銭硬貨が不足した場合、これらの釣り銭硬貨が必要でない500円の倍数となる料金が設定されたサービス種のみを販売することで、スムーズなセルフサービスが続行されるとともに、この販売を通じて硬貨が蓄積された場合には再び硬貨の釣り銭が生じうるサービス種も提示するとよい。
【0010】
写真プリント業界において複数の撮影コマ画像を合成して1枚の写真プリントを出力するサービス種はインデックスプリントとして知られているが、本発明のように、特定の高額な金額に料金を限定したサービス種の場合、12個の撮影コマ画像しか入力していなくても20個の撮影コマ画像の合成が可能であるサービス種しか選択できず、損をしたような感じをユーザに与えるケースが生じうる。そのような損の感覚を引き起こさないために、同一の撮影コマ画像を重複して合成対象に加えることができるようにすると好都合である。従って、本発明の好適な実施形態の1つでは、複数の撮影コマ画像を合成して1枚の写真プリントを出力するマルチプリントサービス種の処理において、合成対象となる撮影コマ画像として同一の撮影コマ画像を重複指定することができる構成が採用されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明によるセルフ写真プリント装置の実施形態として、プリントキオスク端末機が示されている。プリントキオスク端末機は、DP店やコンビニエンスストア等の店頭に設置され、デジタルスチルカメラやカメラ付き携帯電話機やデジタルムービカメラのスチル撮影機能を利用して取得された撮影コマ画像データ(以下単に撮影コマ画像と略称するが、撮影コマ画像データによって可視化された画像自体も混乱を生じない範囲で撮影コマ画像と呼ぶことにする。)に基づいて種々の形態の写真プリントを出力する機能や、撮影コマ画像を電子アルバム化してDVD−RやCD−R等の記憶媒体に記憶する電子的写真プリント出力機能を有し、各種操作はユーザによるセルフサービスで行われる。
【0012】
このプリントキオスク端末機は、上部に写真処理サービス受付部Aを備え、下部のボックス状コンソールに課金決済部Bとプリント処理部Cを装備している。写真処理サービス受付部Aは上部ハウジングとこれに取り付けられた液晶ディスプレイ1によって形付けられている。液晶ディスプレイ1にはグラフィック化された操作画面に対して操作入力を行うためのタッチパネル2が備えられている。上部ハウジングの前面には、コンパクトフラッシュ(商標)、SDカード(商標)、メモリスティック(商標)等のフラッシュメモリなどのメモリカードMaから撮影コマ画像を取得する複数種のメディアドライブ3と、CD−RやDVD−R等のディスク型記録メディアMbからの撮影コマ画像やCG画像(この明細書ではCG画像も人工的な撮影コマ画像と見なしており、撮影コマ画像にCG画像も含めている)などを取得するディスクドライブ4と、レシートを発行するレシートプリンタ5とが装着されている。上部ハウジングの上面には、カメラ付き携帯電話機やデジタルカメラから直接撮影コマ画像の転送を可能にするUSBなどのデータ伝送コネクタ6が備えられている。上部ハウジングの内部には、このプリントキオスク端末機で利用される写真処理サービスにおける種々の処理機能を実現するメインコントロールユニット50を備えている。
【0013】
課金決済部Bは、ボックス状コンソールの表面に露出する課金決済パネル10を備えており、この課金決済パネル10に硬貨を投入する硬貨投入口11と、紙幣を投入する紙幣挿入口12とが形成されている。釣り銭払出口13は、写真プリント取出口41とともにボックス状コンソールの下部に配置されている。図からは確認できないが、硬貨投入口11には硬貨処理器、紙幣挿入口12には紙幣処理器、釣り銭払出口13には釣り銭処理器が連係している。これらの硬貨処理器、紙幣処理器、釣り銭処理器は、課金決済コントロールユニット20によって制御される。
【0014】
プリント処理部Cは,この実施形態では2台の昇華型プリンタユニット40から構成されており、各プリンタユニット40から排出された写真プリントは、ボックス状コンソールの表面に露出する共通の写真プリント取出口41に集積される。それぞれのプリンタユニット40に、異なるタイプの、例えばシート幅や材質の異なるプリント媒体を装填することにより、異なるサイズや異なる表面仕上げの写真プリントをプリント媒体の交換なしで出力することができる。プリンタユニット40に採用されるその他のプリント方式としては、熱転写方式やインクジェット方式が挙げられるが、本発明は、特定のプリント方式を限定していない。
なお、プリンタユニット40は1台だけでもよいし、3台以上で構成してもよい。
【0015】
このプリントキオスク端末機の制御系は図2に示されている。写真プリント処理を含む装置全体を管理するメインコントロールユニット50は、マイクロプロセッサ(CPU)とROMやRAMなどのメモリとを備えると共に、グラフィックインターフェースを簡単に実現するため汎用OS部を搭載し、この汎用OS部から供給されるプログラムセットを利用しながら各種機能プログラムを構築しているアプリケーション部が実装されている。マイクロプロセッサからの命令に応じて情報の入出力を行う入出力インターフェースに、ディスプレイ1、タッチパネル2、メディアドライブ3、ディスクドライブ4、レシートプリンタ5、データ伝送コネクタ6、そして2台のプリンタユニット40が接続されている。課金決済コントロールユニット20は、ワンチップマイコンによって構成することが可能であり、その入出力インターフェースには硬貨処理器、紙幣処理器、釣り銭処理器が接続されている。メインコントロールユニット50と課金決済コントロールユニット20はそれぞれの通信インターフェースを介して情報伝達可能に接続されており、メインコントロールユニット50からのプリント料金情報を受けて、課金決済コントロールユニット20はユーザからの釣り銭算出を含む金銭投入の適正判定の結果や、釣り銭の過不足を示す釣り銭準備情報を返答することができる。
【0016】
メインコントロールユニット50と課金決済コントロールユニット20のアプリケーション部によって主に作り出される、特に本発明に関係する各種処理機能を図3の機能ブロック図を用いて説明する。
【0017】
メディアドライブ3やディスクドライブ4やデータ伝送コネクタ6を通じて送られてきた撮影コマ画像をその画像データフォーマットに基づいてメモリ51に展開する画像入力処理部52と、メモリ51に展開された撮影コマ画像に対して必要な画像処理を施す画像処理部53と、画像処理を終えた画像データからプリンタユニット40に適合するプリントデータを生成するプリントデータ生成部54とが用意されている。また、液晶ディスプレイ1に表示されたグラフィック化された操作画面に対するタッチパネル2(場合によってはキーボードなどの入力デバイス)を用いた簡単な操作入力を実現するためのグラフィックインターフェースを作り出すためのGUI部55や、このGUI部55を通じて命令されたコマンドに従って画像処理部53やプリントデータ生成部54を制御して所望の写真プリントを出力するための工程を管理するプリント管理部56も用意されている。
【0018】
プリント管理部56にはGUI部55を通じて注文を受けたサービス種の料金を算出する料金算出部56aが含まれており、ここで算出された料金はGUI部55を通じてディスプレイ1に表示されるとともにデータ伝送により課金決済コントロールユニット20に転送される。課金決済コントロールユニット20は受け取った料金データに基づいてユーザとの間で課金決済を行う。
【0019】
本発明によるセルフ写真プリント装置では、プリントサイズ別でプリント枚数に応じて計算された料金を支払う枚数プリントサービス、一定料金で所定範囲の枚数のプリントを行う定額プリントサービス、料金別で設定された数の撮影コマ画像を1枚のプリントに合成するマルチプリントサービス、撮影コマ画像に別に用意されているキャラクターや背景を合成する特殊編集プリントサービスなど、複数のサービス種が取り扱い可能であり、それらのサービス種には、最初に選んだ段階で料金が決定するものや、最終的にプリント枚数が確定するまで料金が決定できないものがある。そのようなサービス種の例を以下に示す。
(1)枚数プリントL
Lサイズの出力写真プリント1枚当たり30円のサービスで、プリント枚数はユーザが設定する。
(2)枚数プリント2L
2Lサイズ(Lサイズの2倍サイズ)出力写真プリント1枚当たり60円のサービスで、プリント枚数はユーザが設定する。
(3)4枚プリントL
予め4枚以下のLサイズ写真プリント出力に限定された100円の定額サービスである。
(4)4枚プリント2L
予め4枚以下の2Lサイズ写真プリント出力に限定された200円の定額サービスである。
(5)25枚プリントL
予め25枚以下のLサイズ写真プリント出力に限定された500円の定額サービスである。
(6)25枚プリント2L
予め25枚以下の2Lサイズ写真プリント出力に限定された1000円の定額サービスである。
(7)10コママルチプリント
ユーザによって選択された10個の撮影コマ画像を一覧化できるように合成して1枚の大判(例えば2LサイズやA4サイズ)写真プリントとして出力する250円の定額サービスである。
(8)20コママルチプリント
ユーザによって選択された20個の撮影コマ画像を一覧化できるように合成して1枚の写真プリントとして出力する500円の定額サービスである。
(9)30コママルチプリント
ユーザによって選択された30個の撮影コマ画像を一覧化できるように合成して1枚の写真プリントとして出力する750円の定額サービスである。
(10)40コママルチプリント
ユーザによって選択された40個の撮影コマ画像を一覧化できるように合成して1枚の写真プリントとして出力する1000円の定額サービスである。
【0020】
このようなサービス種に関する情報は、写真サービス管理テーブル57に、図4で例示されるようなデータ内容項目でもって登録されている。データ内容項目としては、サービス種を特定するコードであるサービスID、サービス種の名称、出力されるプリントサイズ、出力されるプリント枚数、1枚の写真プリントに割り当てられる撮影コマ画像数、料金、このサービス種を表すアイコンを格納しているアイコンアドレスなどである。この写真サービス管理テーブル57は提示サービス種決定部58によって参照され、この提示サービス種決定部58で選択されたサービス種だけがユーザに提供できるサービス種としてそのアイコンがディスプレイ1の提供サービス表示画面に表示されることになる。
【0021】
課金決済コントロールユニット20に構築される機能部としては、提示された料金に達する金額が投入されたかどうかを判定する入金判定部21、提示された料金に較べて過剰な投入金額に対して釣り銭を算定する釣り銭演算部22、各金種(10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨、1000円紙幣、5000円紙幣)の釣り銭準備高を管理する釣り銭管理部23aを含む課金決済を管理する課金管理部23などが挙げられる。課金管理部23は、種々の情報をメインコントロールユニット50のプリント管理部56やGUI部55や提示サービス種決定部58と共有している。特に、提示サービス種決定部58は、課金管理部23から与えられた釣り銭準備状態を示す情報に基づいて、写真サービス管理テーブル57に登録されているサービス種の中から、釣り銭不足が問題とならないサービス種のみを取り扱い可能としてユーザに提示する。
【0022】
例えば、このプリントキオスク端末機が10円、50円、100円、500円硬貨及び1000円以上の紙幣の投入及び釣り銭払い出しが可能に構成されていたとして、100円以下の硬貨の釣り銭準備が不足している状態では500円の倍数となる料金であるサービス種のみが提示されるように、提示サービス種決定部58が動作する。また、硬貨を全く準備しない場合には、1000円の定額サービスだけを提示するという運営を行うことも可能である。これにより、釣り銭切れに気づかないユーザが課金決済時になってせっかくのプリント注文を取り消さなければならないという不都合を解消することができる。
【0023】
上述のように構成されたプリントキオスク端末機における写真プリントサービスの過程を図5のフローチャートを用いて説明する。
まず、写真サービスの開始が指令されると(#00)、前処理として、提示サービス種決定部58は、所定のタイミングで課金管理部23から釣り銭準備情報を受け取り、使用許可している釣り銭金種の残高を記憶する(#01)。提示サービス種決定部58は、写真サービス管理テーブル57にアクセスし、登録されているサービス種から、記憶されている釣り銭金種の残高で釣り銭不足が生じない料金となるサービス種を決定する(#02)。例えば、10円硬貨の釣り銭が不足している場合は、料金が10円単位の端数を生じる恐れがあるものを提示の対象から外す。また、1000円均一サービスとして硬貨の取り扱いを中止している場合には硬貨の全ての釣り銭金種の残高が不足していると設定することで、料金が1000円となるサービス種だけが提示サービス種として決定される。全釣り銭金種の残高が十分である場合は、通常全サービス種が提示サービス種として決定される。
【0024】
提示サービス種決定部58で決定された提示サービス種のアイコンアドレスデータがGUI部55に渡されることにより、提示サービス種を一覧化した利用可能サービス種提示画面がユーザのための写真プリントサービス選択画面として作成され、ディスプレイ1に表示される(#03)。この写真プリントサービス選択画面の一例が図6に示されている。図6(a)では、利用可能サービスとして、「25枚プリントL」(料金500円)と「25枚プリント2L」(料金1000円)と「20コママルチプリント」(料金500円)と「40コママルチプリント」(料金1000円)だけが表示されており、ユーザはこれらの中から選ぶことになる。この場合、もし1000円以下の釣り銭が発生しても500円硬貨だけで対処できる。釣り銭が問題ない場合には、図6(b)に示すように、原則的には全てのサービス種が利用可能サービスとして表示されることになる。
【0025】
ディスプレイ1に表示された写真プリントサービス選択画面を見て、ユーザは希望するサービス種を選択する(#04)。サービス種が決まると、ディスプレイ1に表示される入力メディア選択画面を利用して、ユーザはプリントソースとして持参してきた画像記録メディア(メモリカードMaやディスク型記録メディアMb)を選択し、該当するドライブ(メディアドライブ3又はディスクドライブ4)に装着する(#05)。装着された画像記録メディアから撮影コマ画像が読み取られ、画像入力処理部52によってメモリ51に展開される(#06)。その際、画像入力処理部52は、読み込んだ撮影コマ画像にサムネイル画像が含まれている場合はディスプレイ1での一覧表示などの目的で使用するため撮影コマ画像の本データとは別にメモリ51に展開するが、もしサムネイル画像が含まれていない場合や適切でなかった場合は画像処理部53に指令して本データから作り出された縮小画像をサムネイル画像としてメモリ51に展開する。撮影コマ画像の本データとサムネイル画像とのリンク関係はプリント管理部56で管理される。
【0026】
次に、サムネイル画像を用いて、図7に例示するように、撮影コマ画像を一覧化しているプレジャッジ(PJ)画面がディスプレイ1に表示される(#07)。このプレジャッジ画面を通じて、ユーザは、プリントサービス処理対象にしたい撮影コマ画像の選択やそのプリント枚数、場合によっては色補正を設定することができる(#08)。例えば、図7のプレジャッジプリント画面では、左側領域に6個の撮影コマ画像(サムネイル画像)を一覧表示する撮影コマ画像表示欄71と、右欄領域に色濃度補正と枚数設定のためのボタン配置欄72が配置されている。プリント枚数設定を行うためには、デフォルトでプリント枚数は「0」に設定されているので、処理対象となる撮影コマ画像を選択し、枚数設定用の増減ボタン73を操作する。設定された枚数は各撮影コマ画像の下に表示される。色補正を行うためには、補正対象となる撮影コマ画像を選択し、「イエロー」、「マゼンタ」、「シアン」、「濃度」の各増減ボタン74を操作する。増減ボタン74の間にある「N(ニュートラル)」ボタン75は「補正なし」に設定する機能をもつ。
【0027】
「戻り」ボタンや「次」ボタンを操作しながら処理したい撮影コマ画像に対する設定を終えると、「OK]ボタンを操作することで、このプレジャッジ作業が終了する(#08Yes分岐)。なお、サービス種「25枚プリントL」を選んでいた場合で、処理対象の撮影コマ画像が20枚しかない場合、そのうちで複数枚欲しいものに対してプリント枚数を複数に設定することで、25枚のプリントサービスを有効に利用することができる。同様に、「20コママルチプリント」を選んでいた場合でも、同一撮影コマ画像に複数のプリント枚数(マルチプリントでは1枚の写真プリントに形成されるコマ数を意味する)を設定することでき、例えば1つの撮影コマ画像に20枚のプリント枚数を設定して、シールプリントのような同じ撮影コマ画像が一覧化された1枚の写真プリントを出力させることも可能である。これにより、インデックスプリントのように読み込まれた撮影コマ画像が一覧化された写真プリントとは違った、料金によって規定されているコマ数だけのユーザ好みの撮影コマ画像で構成された1枚の写真プリントを作成することができ、例えば、コラージュ的な写真プリントとして利用したり、ユーザ自身で各画像をカットして通常の写真プリントとして利用したりすることができ、写真プリントの新しい使い方が可能となる。
【0028】
プレジャッジ作業が終了すると、料金算出部56aで料金が算出される(#09)。「25枚プリントL」や「20コママルチプリント」の場合は、定額プリントなので、すぐに料金が求まるが、「枚数プリントL」や「枚数プリント2L」の場合は、プレジャッジ画面を通じて設定されたプリント枚数に応じて料金が算出される。算出された料金はディスプレイ1に表示されるとともに、そのデータが課金管理部23に転送されると、課金決済コントロールユニット20による課金決済処理が行われる(#10)。この課金決済処理は、自動販売機などでよく知られたものであり、ユーザが投入した紙幣や硬貨による金額を入金判定部21でチェックして、投入金額が料金以上であれば、釣り銭演算部22が釣り銭を演算し、釣り銭を釣り銭払出口13に払い出す。課金決済が終わると、プレジャッジ画面を通じて設定された注文通りに撮影コマ画像が処理され、最終的にプリントデータ生成部54でプリントデータ化され、このプリントデータによりプリンタユニット40が駆動されて、所望の写真プリントが写真プリント取出口41に排出される(#11)。
【0029】
このように、本発明のセルフ写真プリント装置では、釣り銭準備状態に応じて、適合する料金設定されたサービス種だけがユーザに提示されるので、釣り銭切れのために使用できないサービス種が表示されることで、あまり管理されていない装置であるとの印象をユーザに与えて、商機を逃がすといった問題が解消される。また、意識的にダミーの釣り銭準備状態を設定することで、特定のサービス種だけをユーザに提示するといった使い道も可能である。
【0030】
上述した実施形態の説明では、提示サービス種決定部58は、釣り銭不足が問題とならないサービス種のみを取り扱い可能としてユーザに提示する際、釣り銭不足の金種が釣り銭とならない料金が設定されている個々のサービス種が写真サービス管理テーブル57から抽出されていたが、釣り銭不足の金種が釣り銭とならない料金を複数のサービス種のトータル料金にも適用し、複数のサービス種の組み合わせ、つまりセットサービスも釣り銭不足が問題とならないサービス種としてユーザに提示してもよい。
【0031】
さらに、上述した実施形態の説明では、セルフ写真プリント装置としてプリントキオスク端末機の形態で説明したが、本発明はこの形態に限定されるわけではなく、サービス種の選択や処理対象となる撮影コマ画像の選択を行い、その料金を決済するまでのプロセスを行う場所と異なる場所で実際の写真プリントの出力プロセスを行い、出力された写真プリントを配送するような形態、つまり、プリント処理部Cが写真処理サービス受付部Aや課金決済部Bとは独立した装置として構成される形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明によるセルフ写真プリント装置の実施形態であるプリントキオスク端末機の外観図
【図2】プリントキオスク端末機の制御系を示すブロック図
【図3】メインコントローラと課金決済コントローラの機能を示す機能ブロック図
【図4】写真サービス管理テーブルに登録されたサービス種のデータ構造を説明する説明図
【図5】セルフプリントサービスの一連の流れを示すフローチャート
【図6】利用可能サービス種提示画面の一例を示す画面図
【図7】プレジャッジ画面の一例を示す画面図
【符号の説明】
【0033】
20:課金決済コントロールユニット
21:入金判定部
22:釣り銭演算部
23:課金管理部
23a:釣り銭管理部
40:プリンタユニット
50:メインコントロールユニット
52:画像入力処理部
56:プリント管理部
56a:料金算出部
57:写真サービス管理テーブル
58:提示サービス種決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影コマ画像を入力するための画像入力処理部と、写真プリントの出力形態を規定する所定のサービス種に基づいて入力された撮影コマ画像から写真プリントを出力するプリンタユニットと、前記サービス種による写真プリント出力のための課金処理を管理する課金管理部とを備えたセルフ写真プリント装置において、
それぞれ規定の料金が設定されている複数の前記サービス種を登録管理している写真サービス管理テーブルと、前記課金管理部における釣り銭準備状態に基づいて、前記写真サービス管理テーブルに登録されているサービス種の中から、釣り銭不足が問題とならないサービス種のみを取り扱い可能としてユーザに提示する提示サービス種決定部とが備えられていることを特徴とするセルフ写真プリント装置。
【請求項2】
10円、50円、100円、500円硬貨及び1000円以上の紙幣の投入及び釣り銭払い出しが可能に構成され、100円以下の硬貨の釣り銭準備が不足している状態では500円の倍数となる料金であるサービス種のみが提示されることを特徴とする請求項1に記載のセルフ写真プリント装置。
【請求項3】
複数の撮影コマ画像を合成して1枚の写真プリントを出力するマルチプリントサービス種の処理において、合成対象となる撮影コマ画像として同一の撮影コマ画像を重複指定することができることを特徴とする請求項1又は2に記載のセルフ写真プリント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−33025(P2008−33025A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206588(P2006−206588)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】