センサユニット及びそれを備えたセンサシステム
【課題】従来技術のセンサユニットでは、部品点数の増加により、価格が上昇する等の問題があった。
【解決手段】本発明にかかるセンサユニットは、回転部材の回転を検出し、インピーダンス整合度情報を出力するインピーダンス調整部2と、インピーダンス調整部2から伝送路を介して供給されたインピーダンス整合度情報に基づくセンサ信号を、ワイヤレスで外部に送信するセンサ信号送信部3と、を備える。また、インピーダンス調整部2は、伝送路上に直列に接続されたインダクタンス素子L1,L2と、伝送路と電源電圧端子との間に設けられ、回転部材の回転に応じて容量値が変化する容量素子C1と、を備える。
【解決手段】本発明にかかるセンサユニットは、回転部材の回転を検出し、インピーダンス整合度情報を出力するインピーダンス調整部2と、インピーダンス調整部2から伝送路を介して供給されたインピーダンス整合度情報に基づくセンサ信号を、ワイヤレスで外部に送信するセンサ信号送信部3と、を備える。また、インピーダンス調整部2は、伝送路上に直列に接続されたインダクタンス素子L1,L2と、伝送路と電源電圧端子との間に設けられ、回転部材の回転に応じて容量値が変化する容量素子C1と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサユニット及びそれを備えたセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
センサシステムにおいて、無線通信機能搭載の適用範囲及び市場の拡大に伴い、近年コスト削減が求められている。その中でも、基板サイズの縮減を目的とした部品点数の削減の要求が高まってきた。
【0003】
特許文献1には、センサ信号の送信およびセンサ部等への給電が共にワイヤレスで行え、かつ回転数だけでなく、回転方向の検出が行えるワイヤレスセンサ付軸受装置の技術が記載されている。
【0004】
特許文献1に記載された従来技術について、図8〜図12を用いて説明する。図8に示すように、このワイヤレスセンサ付軸受装置は、転がり軸受110と、この転がり軸受110の回転を検出するセンサ部106と、このセンサ部106の出力するセンサ信号をワイヤレスで送信するセンサ信号送信部109と、上記センサ部106およびセンサ信号送信部109の動作電力をワイヤレスで受信する電力受信部108と、を備える。センサ部106は、位相差が略90°である2つの回転数信号(A相信号およびB相信号)を出力する。センサ部106の出力は、信号処理手段114を介して、または直接にセンサ信号送信部109に送られる。
【0005】
転がり軸受110は、内輪154と外輪155の対向する軌道面間に複数の転動体156を介在させたものである。各転動体156は保持器157により保持されている。内外輪154,155間の軸受空間の端部は、シール158により密封されている。転がり軸受110は、内輪154と外輪155のいずれが回転側であってもよいが、この例では、外輪155がハウジング(図示せず)に設置されて静止側となり、内輪154が軸159に嵌合して軸159を回転自在に支持している。
【0006】
センサ部106、センサ信号送信部109、および電力受信部108は、一体化されたワイヤレスセンサユニット104として構成されている。ただし、センサ部106のうち、後述のパルサリング117については、ワイヤレスセンサユニット104と別体とされる。信号処理手段114が設けられる場合は、信号処理手段114もワイヤレスセンサユニット104に含められる。ワイヤレスセンサユニット104に対して、ワイヤレスで電力を供給しかつ各センサ信号を受信するセンサ信号受信機105が設けられる。
【0007】
センサ信号受信機105は、上記センサ信号送信部109から送信されたセンサ信号を受信するセンサ信号受信部113と、電力受信部108へ動作電力をワイヤレスで送信する給電電力送信部112とを備える。センサ信号受信機105は、複数のワイヤレスセンサユニット104に対してセンサ信号の受信と動作電力の送信を行うものであっても良い。その場合、例えばワイヤレスセンサユニット104毎に、送信するセンサ信号を別の周波数のものとする。
【0008】
電磁波により通信を行うものである場合、ワイヤレス送信するセンサ信号と給電電力の周波数は互いに異なる周波数とされ、複数設けられる各センサ信号も、互いに異なる周波数とされる。ここでは、給電電力の周波数をf1とし、センサ信号の周波数をf2としている。1台のセンサ信号受信機105により複数のワイヤレスセンサユニット104に対してセンサ信号の受信と動作電力の送信を行うものである場合は、センサ信号の周波数をワイヤレスセンサユニット104毎に別の周波数とする。
【0009】
センサ部106は、パルサリング117と、それに対向して設置される磁気センサ118とで構成される。パルサリング117は、図9に示すように、円周方向に磁極N,Sが並ぶ多極に磁化された磁石、またはギヤー状の凹凸を施した磁性体リングなど、周方向に周期的な変化を有するものである。多極磁石からなるパルサリング117と磁気センサ118の組合せによると、小型で精度の良い回転センサが構成できる。磁気センサ118は、パルサリング117の周方向の磁気的変化の周期に対して位相が略90°離れた2ヵ所に、対向する2つの検出部118A,118Bを有し、位相が略90°異なる回転数信号を各検出部118A,118Bより出力する。各回転数信号は図10に示すようなパルス列であり、位相差が略90°であるA相およびB相の2つの回転数信号となる。
【0010】
磁気センサ118は磁界センサであり、各検出部118A,118Bのそれぞれが磁界センサとされる。この磁界センサは、磁気抵抗型センサ(「MRセンサ」と呼ばれる)の他に、ホール素子型センサ、フラックスゲート型磁界センサ、MIセンサ等のアクティブ磁界センサを使用することができる。
【0011】
センサ部106のパルサリング117は、図8に示すように、転がり軸受110の内輪154に取付け部材117aを介して取付けられる。磁気センサ118は、電力受信部108およびセンサ信号送信部109と共に、共通のケース104aに収められてワイヤレスセンサユニット104を構成し、取付け部材104bを介して外輪155に取付けられる。
【0012】
センサ部106のA相およびB相の回転数信号は、信号処理手段114により、センサ信号送信部109によるワイヤレス送信に適合した形態に処理され、センサ信号送信部109から送信される。
【0013】
センサ信号送信部109は、例えばA相およびB相の2つの回転数信号を1つの搬送波に乗せて送信する。1つの搬送波に2つの回転数信号を乗せる形式は、例えば時分割による送信であっても、適宜の信号処理を行った重畳等であっても良い。信号処理手段114は、このような時分割送信を行わせる処理、または重畳を行わせる処理等を行う。
【0014】
図11に、信号処理手段114によって、A相およびB相の2つの回転数信号を1つの搬送波に乗せて送信する処理の具体例を示す。この場合、周波数fA(Hz)の信号をA相信号(a)で、周波数fBの信号をB相信号でそれぞれASK(Amplitude Shift Keying)変調する。同図(b),(d)は、それぞれA相,B相信号のASK変調結果を示す。このASK変調された2つの信号(b),(d)を足し合わせた信号(e)で、搬送波をFM変調して送信する。受信側で、上記の足合わせ信号(e)から、2つのASK変調信号(b),(d)にフィルタで分離してから、センサ信号を復調する。
【0015】
センサ信号送信部109は、上記位相差が略90°である2つの回転数信号(A相信号およびB相信号)を、例えば図12に示すように2つの互いに異なる周波数f2,f3の搬送波にそれぞれ乗せて搬送するものとしても良い。その場合、同図のようにセンサ信号送信部109を2つ設け、各センサ信号送信部109に、A相の検出部118Aの回転数信号、およびB相の検出部118Aの回転数信号を送信させる。センサ信号受信機105側には、例えば各送信周波数f2,f3に応じた2つのセンサ信号受信部113が設けられる。
【0016】
このように2つの回転数信号を互いに異なる周波数f2,f3の搬送波に乗せて送信するようにした場合、一つの搬送波に2つの信号を乗せるための処理が不要で、センサ信号送信部109、あるいはその前段の信号処理手段114を含めた構成が簡素なものとできる。
【0017】
この構成のワイヤレスセンサ付軸受装置によると、内輪154と外輪155との間の相対回転がセンサ部106により回転数信号として検出される。そして、センサ信号送信部109によってワイヤレス送信された回転数信号は、センサ信号受信機105のセンサ信号受信部113により受信される。ここで、センサ部106は、位相差が略90°であるA相信号とB相信号との2つの回転数信号を出力する。そして、これら2つの回転数信号がセンサ信号受信部113により受信される。それにより、このワイヤレスセンサ付軸受装置は、回転数の他に、回転方向も検出可能である。そのため、転がり軸受110を装備した機器の制御の高機能化が図れる。
【0018】
その他の従来技術として、特許文献2には、タイヤの温度及び空気圧を含む複数の測定値を正確に検出可能なタイヤ情報検出装置が開示されている。このタイヤ情報検出装置は、車両のタイヤに装着される測定値送信機と、車両本体に設けられ測定値送信機との間で信号の送受信を行うコントローラとを備える。また、測定値送信機は、アンテナと、コントローラとの間で送受信される信号の変復調を行う変復調器と、コントローラからの信号に応じて共振する共振器と、タイヤの空気圧を測定するための圧力センサと、共振器と圧力センサとの接続状態を切り替えるスイッチと、を有する。コントローラは、測定値送信機からの受信信号から抽出した共振周波数と、その周波数差と、に基づいてタイヤの温度及び空気圧を算出する。それにより、このタイヤ情報検出装置は、タイヤの温度及び空気圧を含む複数の測定値を正確に検出することができる。
【0019】
また、特許文献3には、回転するタイヤからの圧力および他の測定値を判断し、それらを電気信号に変換し、それらを表示し、または例えば圧力損失警報メッセージを出力する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2005−84998号公報
【特許文献2】特開2008−201369号公報
【特許文献3】特表2000−517073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
特許文献1に記載された従来技術は、転がり軸受け110の回転数(回転速度)及び回転方向を検出するために、パルサリング117に対して2つのセンサを配置する必要があった。したがって、回転軸の数が増えれば増えるほど、外付け部品としてのセンサの数もその2倍必要となった。このように、特許文献1に記載された従来技術では、部品点数の増加により、価格が上昇する等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明にかかるセンサユニットは、回転部材の回転を検出し、検出結果を出力するセンサ部と、前記センサ部から伝送路を介して供給された前記検出結果に基づくセンサ信号を、ワイヤレスで外部に送信するセンサ信号送信部と、を備え、前記センサ部は、前記伝送路上に直列に接続されたインダクタンス素子と、前記伝送路と電源電圧端子との間に設けられ、前記回転部材の回転に応じて容量値が変化する容量素子と、を備える。
【0023】
上述のような回路構成により、部品点数を増加させることなく、回転方向及び回転速度の判定をすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、部品点数を増加させることなく、回転方向及び回転速度の判定が可能なセンサユニット及びそれを備えたセンサシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるセンサシステムのブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかるインピーダンス調整部2の構成図である。
【図3A】本発明の実施の形態1にかかるインピーダンス調整部2に設けられた容量素子C1の構成図である。
【図3B】本発明の実施の形態1にかかるインピーダンス調整部2に設けられた容量素子C1の構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる回転情報判定部7のブロック図である。
【図5A】本発明の実施の形態1にかかる狭帯域アンテナ4の共振特性と送信電波強度との関係を示す図である。
【図5B】本発明の実施の形態1にかかる狭帯域アンテナ4の共振特性と送信電波強度との関係を示す図である。
【図5C】本発明の実施の形態1にかかる狭帯域アンテナ4の共振特性と送信電波強度との関係を示す図である。
【図6A】本発明の実施の形態1にかかるセンサ信号受信装置5における受信電波強度の変化を示す図である。
【図6B】本発明の実施の形態1にかかるセンサ信号受信装置5における受信電波強度の変化を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1にかかるセンサシステムの動作を示すフローチャートである。
【図8】従来技術を説明するための図である。
【図9】従来技術を説明するための図である。
【図10】従来技術を説明するための図である。
【図11】従来技術を説明するための図である。
【図12】従来技術を説明するための図である。
【図13】一般的なインピーダンス整合回路の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として本発明の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
【0027】
実施の形態1
図1に、本発明の実施の形態1にかかるセンサシステムのブロック図を示す。図1に示すセンサシステムは、センサ信号を送信するワイヤレスセンサユニット(センサユニット)1と、センサ信号を受信するセンサ信号受信装置5と、を備える。なお、ワイヤレスセンサユニット1とセンサ信号受信装置5との間では、センサ信号の無線通信が行われる。ワイヤレスセンサユニット1は、例えば、転がり軸受等の回転部材に設けられ、当該回転部材の回転方向及び回転速度に応じたセンサ信号を出力する。センサ信号受信装置5は、例えば、車体に設けられ、ワイヤレスセンサユニット1から送信されたセンサ信号を受信し、当該センサ信号の電波強度に基づいて回転部材の回転方向及び回転速度を判定する。
【0028】
ワイヤレスセンサユニット1は、インピーダンス調整部(センサ部)2と、センサ信号送信部3と、を有する。インピーダンス調整部2は、インピーダンス整合度情報(伝送路の特性インピーダンスの情報)を、伝送路を介してセンサ信号送信部3に出力する。なお、インピーダンス調整部2は、伝送路の特性インピーダンスを調整する機能と、回転部材の回転を検出する回転センサとしての機能と、振幅変調する機能と、を有する。また、センサ信号送信部3は、狭帯域アンテナ4を有する。センサ信号送信部3は、インピーダンス整合度情報に応じた電波を、狭帯域アンテナ4を介してセンサ信号として送信する。
【0029】
一方、センサ信号受信装置5は、センサ信号受信部6と、回転情報判定部7と、を有する。センサ信号受信部6は、センサ信号送信部3から送信されたセンサ信号の電波を受信し、回転情報判定部7に出力する。回転情報判定部7は、受信したセンサ信号の電波強度(以下、単に受信電波強度と称す)を測定し、その測定値に基づいて、回転部材の回転方向及び回転速度を判定する。
【0030】
ここで、図13を用いて、一般的なインピーダンス整合回路について説明する。インピーダンス整合回路は、インダクタンス素子L51,L52と、容量素子C50と、を有する。インダクタンス素子L51,L52は、伝送路上に直列に接続される。容量素子C50の一端は、インダクタンス素子L51,L52間のノードに接続される。容量素子C50の他端は、接地電圧端子GNDに接続される。なお、インダクタンス素子L51,L52及び容量素子C50により分布定数回路を構成する。一般的に、無線回路には、送信電力のリターンロスを極力避けるために、アンテナの手前に、図13に示すようなインピーダンス整合回路が設けられる。そして、このインピーダンス整合回路は、伝送路が同じインピーダンス成分を有する(以下、マッチング状態と称す)ように構成される。
【0031】
次に、図2を用いて、本実施の形態にかかるインピーダンス調整部2について説明する。なお、インピーダンス調整部2は、後述する容量素子C1の容量値の変化をセンサとして用いることを特徴とする。
【0032】
図2に示すように、インピーダンス調整部2は、伝送路上に直列に接続された2つのインダクタンス素子L1,L2と、インダクタンス素子L1,L2間のノードに一端が接続された容量素子C1と、を有する。なお、インダクタンス素子L1,L2及び容量素子C1により分布定数回路を構成する。そして、例えば、伝送路の一端には所定の基準電圧が印加され、伝送路の他端には狭帯域アンテナ4(図1参照)が接続される。
【0033】
インピーダンス調整部2の回路構成について、さらに具体的に説明する。図3A及び図3Bは、インピーダンス調整部2に設けられた容量素子C1の構成図である。なお、図3Aは、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合における容量素子C1の構成図である。一方、図3Bは、ワイヤレスセンサユニット1が左回転した場合における容量素子C1の構成図である。ここで、無回転状態とは、ワイヤレスセンサユニット1に力量が加わらない状態のことである。また、ワイヤレスセンサユニット1は、回転部材の回転に応じて、同一方向に回転する。
【0034】
本実施の形態では、容量素子C1は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた櫛形電極によって形成されている。この櫛型電極は、2本の電極C10,C11によって構成されている。電極C10の一端には伝送路が接続される。電極C11の一端には接地電圧端子GNDが接続される。また、電極C10,C11は、いずれも直線状に形成される。また、電極C10,C11は、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合において、距離Xaの間隔で互いに対向に配置される。また、電極C10,C11は、ワイヤレスセンサユニット1の回転方向に対して垂直に配置される。
【0035】
伝送路側の電極C10は、硬度が非常に高く、たわまないように形成される。一方、接地電圧端子GND側の電極C11は、硬度が低く、ワイヤレスセンサユニット1が動き、力量が加わることによって、たわむように形成される。
【0036】
図3Aに示すように、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合、電極C10,C11は、いずれもたわむことなく互いの間隔を距離Xaに維持する。このとき、容量素子C1は容量値C1aを示す。一方、図3Bに示すように、ワイヤレスセンサユニット1が左回転した場合、つまり、紙面の左方向に向けて移動した場合、ワイヤレスセンサユニット1には右方向に力量が加わる。電極C11は、加わった力量に応じて紙面の右方向にたわみ、電極C10に距離Xb(Xa>Xb)まで接近する。このとき、容量素子C1は、無回転状態における容量値C1aよりも大きな容量値C1bを示す。さらに、図示していないが、ワイヤレスセンサユニット1が右回転した場合、電極C11は、加わった力量に応じて図3Bの場合と逆の方向にたわみ、電極C10との間隔を距離Xc(Xc>Xa)まで広げる。このとき、容量素子C1は、無回転状態における容量値C1aよりも小さな容量値C1cを示す。
【0037】
このように、回転部材の回転に応じてワイヤレスセンサユニット1が回転すると、インピーダンス調整部2に設けられた容量素子C1の容量値が変化する。それにより、伝送路の特性インピーダンスが変化する。つまり、伝送路の特性インピーダンスと狭帯域アンテナ4(図1参照)の入力インピーダンスとの間のインピーダンス整合度が変動する。
【0038】
なお、本実施の形態では、櫛形電極によって形成された容量素子C1の容量値の変化に応じて、インピーダンス整合度が変化する場合を例に説明したが、これに限られない。趣旨を逸脱しない範囲内であれば、回転部材の回転に応じてインピーダンス整合度が変化する回路構成に適宜変更可能である。言い換えると、回転部材の回転に応じて伝送路の特性インピーダンスが変化する回路構成に適宜変更可能である。
【0039】
図4は、センサ信号受信装置5に設けられた回転情報判定部7のブロック図である。回転情報判定部7は、電波強度測定部8と、回転方向判定部9と、回転速度判定部10と、設定値格納部11と、回転速度判定用テーブル12と、を有する。電波強度測定部8は、受信電波強度を測定する機能を有する。設定値格納部11は、無回転状態における受信電波強度を基準値として格納するとともに、回転判定用の設定値(閾値TH1,TH2)を格納する。回転方向判定部9は、電波強度測定部8によって測定された受信電波強度の測定値と、設定値格納部11に格納された設定値と、に基づいて回転部材の回転方向を判定する。回転速度判定用テーブル12には、複数の異なる受信電波強度の情報と、対応する回転速度の情報と、が予めテーブル化して格納される。回転速度判定部10は、電波強度測定部8によって測定された受信電波強度と、回転速度判定用テーブル12に格納されたテーブル値と、に基づいて回転部材の回転速度を判定する。
【0040】
本実施の形態にかかるセンサシステムの動作について、図5A、図5B及び図5Cを用いてさらに具体的に説明する。図5A、図5B及び図5Cは、センサ信号送信部3から送信されるセンサ信号の電波強度(以下、単に送信電波強度と称す)と周波数との関係を示す図である。図中の点線PSは、センサ信号の電波強度スペクトルを示す。図中の実線Ra,Rb,Rcは、狭帯域アンテナ4の共振特性、即ち反射特性を示す。
【0041】
インピーダンス調整部2によって生成されるインピーダンス整合度情報(伝送路の特性インピーダンスの情報)に応じて変化する狭帯域アンテナ4の共振周波数をfとした場合、共振周波数fは、以下の式(1)のように表される。なお、式(1)において、L1は、インダクタンス素子L1のインダクタンス値を示す。L2は、インダクタンス素子L2のインダクタンス値を示す。C1は、容量素子C1の容量値を示す。
【0042】
【数1】
【0043】
式(1)により、共振周波数fは、インダクタンス値L1,L2を固定した場合、容量素子C1の容量値(C1)の変化に依存することがわかる。
【0044】
まず、図5Aを用いて、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合における送信電波強度の変化について説明する。なお、ワイヤレスセンサユニット1が出力可能な最大の送信電波強度をPmaxとする。また、このときのセンサ信号の周波数をF0とする。ここで、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合におけるインピーダンス整合度を意図的にマッチング状態からずらしておく。つまり、伝送路の特性インピーダンスと、狭帯域アンテナ4の入力インピーダンスと、を意図的に異なるように調整しておく。それにより、反射特性Raは、例えば、周波数Fa(Fa>F0)の場合に共振状態を示す。なお、図3Aに示したように、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合、容量素子C1を構成する電極C10,C11間は、距離Xaの間隔を有する。また、このとき、容量素子C1は容量値C1aを示す。
【0045】
このように、インピーダンス整合度をマッチング状態からずらしたことにより、リターンロスが発生するため、送信電波強度は、最大電波強度Pmaxより小さい電波強度Paを示す。なお、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合、電波強度Paは、最大電波強度Pmaxの2分の1になるように調整される。
【0046】
次に、図5Bを用いて、ワイヤレスセンサユニット1が左回転した場合における送信電波強度の変化について説明する。このとき、図3Bに示したように、容量素子C1を構成する電極C10,C11間は、距離Xbまで接近する。また、このとき、容量素子C1は容量値C1bを示す。このように、容量素子C1の容量値が変化することにより、伝送路の特性インピーダンスと狭帯域アンテナ4の入力インピーダンスとの間のインピーダンス整合度が変化する。つまり、センサ信号送信部3は、容量素子C1の微小なインピーダンス整合度情報(伝送路の特性インピーダンスの情報)の変化に応じて、送信電波強度を変化させることができる。
【0047】
図5Bの例では、容量素子C1を構成する電極C10,C11間が距離Xbまで接近することにより、図5Aの無回転状態の場合と比較して、インピーダンス整合度が良化する。つまり、インピーダンス整合度がマッチング状態に近づく。さらに具体的には、反射特性Rbの共振周波数Fbは、反射特性Raの共振周波数Faよりも、周波数F0に近づく(Fa>Fb>F0)。それにより、送信電波強度は、図5Aに示す電波強度Paよりも大きい電波強度Pbを示す。
【0048】
次に、図5Cを用いて、ワイヤレスセンサユニット1が右回転した場合における送信電波強度の変化について説明する。このとき、上述のように、容量素子C1を構成する電極C10,C11間は、距離Xcまで広がる。また、このとき、容量素子C1は容量値C1cを示す。このように、容量素子C1の容量値が変化することにより、伝送路の特性インピーダンスと狭帯域アンテナ4の入力インピーダンスとの間のインピーダンス整合度が変化する。つまり、センサ信号送信部3は、容量素子C1の微小なインピーダンス整合度情報(伝送路の特性インピーダンス情報)の変化に応じて、狭帯域アンテナ4を介して送信するセンサ信号の電波強度を変化させることができる。
【0049】
図5Cの例では、容量素子C1を構成する電極C10,C11間が距離Xcまで広がることにより、図5Aの無回転状態の場合と比較して、インピーダンス整合度が悪化する。つまり、インピーダンス整合度がマッチング状態から離れる。さらに具体的には、反射特性Rcの共振周波数Fcは、反射特性Raの共振周波数Faよりも、周波数F0から離れる(Fc>Fa)。それにより、送信電波強度は、図5Aに示す電波強度Paよりも小さい電波強度Pcを示す。
【0050】
ここで、Pmax>Pb>Pa>Pcの大小関係が成り立つ。センサ信号受信部6が受信するセンサ信号の電波強度(受信電波強度)においても、最大電波強度、左回転時の電波強度、無回転時の電波強度、右回転時の電波強度の関係は送信側と同様である。
【0051】
続いて、センサ信号受信装置5に設けられた回転情報判定部7の動作について、図6A及び図6Bを用いてさらに具体的に説明する。図6Aは、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合における受信電波強度の変化を示す図である。図6Bは、ワイヤレスセンサユニット1が左回転した場合における受信電波強度の変化を示す図である。
【0052】
まず、回転情報判定部7が回転部材の回転方向を判定する場合の動作について説明する。
【0053】
回転情報判定部7では、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合において、事前に所定の処理が実行される。具体的には、電波強度測定部8は、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合における受信電波強度を予め測定しておく。そして、電波強度測定部8によって測定された受信電波強度の測定値は、基準値として設定値格納部11に格納される。
【0054】
図6Aに示すように、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合、受信電波強度は電波強度Praを示す。つまり、設定値格納部11には、電波強度Praに応じた基準値Praが格納される。なお、基準値Praは、送信電波強度Pa(図5A参照)から、ワイヤレスセンサユニット1とセンサ信号受信装置5との間の通信損失分を差し引いた電波強度を有する。
【0055】
設定値格納部11は、基準値Praに加え、基準値Praよりも電波強度の強い閾値TH1と、基準値Praよりも電波強度の弱い閾値TH2と、を設定値として格納する。ここで、閾値TH1は、ワイヤレスセンサユニット1の左回転を判定するための閾値であり、閾値TH2は、ワイヤレスセンサユニット1の右回転を判定するための閾値である。なお、閾値TH1と閾値TH2とは、特定の値(電波強度)に限定されない。好適には、閾値TH1と基準値Praとの差分電波強度と、基準値Praと閾値TH2との差分電波強度と、が実質的に同一であればよい。各差分電波強度が小さいほど、回転方向の判定精度を向上させることができる。
【0056】
次に、図6Bを用いて、ワイヤレスセンサユニット1が左回転した場合の動作を説明する。センサ信号受信部6によってセンサ信号が受信されると、電波強度測定部8は受信電波強度を測定し、測定値を回転方向判定部9に対して出力する。回転方向判定部9は、設定値格納部11に予め格納された設定値(閾値TH1及び閾値TH2)と、電波強度測定部8によって測定された受信電波強度と、を比較し、回転部材の回転方向を判定する。具体的には、回転方向判定部9は、ワイヤレスセンサユニット1が左回転した場合における受信電波強度Prbが、閾値TH1を上回った場合に、左回転したと判定する。
【0057】
一方、回転方向判定部9は、ワイヤレスセンサユニット1が右回転した場合における受信電波強度Prc(不図示)が、閾値TH2を下回った場合に、右回転したと判定する。
【0058】
次に、回転情報判定部7が回転部材の回転速度を判定する場合の動作について説明する。回転速度の判定は、電波強度測定部8によって測定された受信電波強度と、設定値格納部11に格納された基準値Praと、の差分、つまり、受信電波強度の変化量を求めることによって行う。ここで、受信電波強度は、容量素子C1の容量値の変化に応じて変化する。したがって、受信電波強度の変化量を求めることにより、容量素子C1にどれだけ加速が加わっているかを求めることができる。回転運動の速度をv、半径をr、角速度をωとした場合のそれらの関係を式(2)に示す。
【0059】
【数2】
【0060】
式(2)により、回転速度vは角速度ωに比例することがわかる。さらに、aを加速度とした場合の加速度aと角速度ωとの関係を式(3)に示す。
【0061】
【数3】
【0062】
式(3)により、角速度ω2は加速度aに比例することがわかる。すなわち、角速度ωは、加速度aのルートに比例することがわかる。さらに、式(2)及び式(3)より、回転運動の速度v、半径r、加速度aの関係を式(4)に示す。
【0063】
【数4】
【0064】
式(4)により、加速度aを求めることによって、回転速度vを求めることができることがわかる。つまり、容量素子C1の容量値の変化量を求めることにより、回転部材の回転速度を求めることができる。前述のように、受信電波強度の変化量を求めることにより、容量素子C1にどれだけ加速が加わっているかを求めることができる。したがって、受信電波強度の変化量を求めることにより、回転部材の回転速度を求めることができる。
【0065】
そこで、回転速度判定用テーブル12には、複数の異なる受信電波強度の情報と、対応する回転速度の情報と、が予めテーブル化して格納される。回転速度判定部10は、電波強度測定部8によって測定された受信電波強度と、回転速度判定用テーブル12に格納されたテーブル値と、に基づいて回転部材の回転速度を判定する。なお、回転速度判定用テーブル12に格納されるテーブル値の情報が多いほど、回転速度の判定精度が向上する。
【0066】
続いて、図7のフローチャートを用いて、無回転状態のワイヤレスセンサユニット1に左回転が生じた場合の動作を説明する。
【0067】
まず、無回転状態のワイヤレスセンサユニット1に左回転が生じる(図7のS1)。次に、インピーダンス調整部2に設けられた容量素子C1の容量値が、図3A,図3Bに示したように容量値C1aから容量値C1bに変化する(図7のS2)。容量素子C1の容量値が変化することにより、インピーダンス整合度が良化する(図7のS3)。それにより、狭帯域アンテナ4の共振周波数は、図5A,図5Bに示したように周波数Faから周波数Fbに変化する。狭帯域アンテナ4の共振周波数の変化により、送信電波強度は、電波強度Paから電波強度Pbに変化する。
【0068】
そして、ワイヤレスセンサユニット1に設けられたセンサ信号送信部3は、狭帯域アンテナ4を介して、送信電波強度Pbのセンサ信号を送信する(図7のS4)。センサ信号受信装置5に設けられたセンサ信号受信部6は、ワイヤレスセンサユニット1によって送信されたセンサ信号を受信する(図7のS5)。センサ信号受信装置5において、電波強度測定部8は、受信電波強度Prbを測定する(図7のS6)。回転方向判定部9は、設定値格納部11に予め格納された設定値(閾値TH1,TH2)と、電波強度測定部8によって測定された受信電波強度Prbと、をそれぞれ比較する(図7のS7)。
【0069】
具体的には、回転方向判定部9は、受信電波強度Prbが閾値TH1より大きい場合(図7のS7B)、ワイヤレスセンサユニット1が左回転したと判定する(図7のS8)。また、回転方向判定部9は、受信電波強度Prbが閾値TH2より小さい場合(図7のS7C)、ワイヤレスセンサユニット1が右回転したと判定する(図7のS10)。また、回転方向判定部9は、受信電波強度Prbが閾値TH1及び閾値TH2の範囲内である場合には(図7のS7A)、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態であると判定する(図7のS9)。図7の例では、受信電波強度Prbが閾値TH1より大きいため、回転方向判定部9は、ワイヤレスセンサユニット1が左回転したと判定する(図7のS8)。
【0070】
一方、電波強度測定部8が受信電波強度Prbを測定した後(図7のS6)、回転速度判定部10は、受信電波強度Prbと、回転速度判定用テーブル12に格納されたテーブル値と、を比較する(図7のS11)。そして、回転速度判定部10は、回転速度判定用テーブル12から受信電波強度Prbに応じた回転速度の情報を抽出することにより、回転部材の回転速度を判定する(図7のS12)。
【0071】
なお、無回転状態のワイヤレスセンサユニット1に右回転が生じた場合でも、同様の手順で処理が実行される。この場合、狭帯域アンテナ4の共振周波数は、図5A,図5Cに示したように周波数Faから周波数Fcに変化する。
【0072】
以上のように、上記実施の形態かかるセンサシステムは、ワイヤレスセンサユニット1において、インピーダンス調整部2に設けられた容量素子C1が、回転部材の回転に応じて変形する。つまり、インピーダンス調整部2に設けられた容量素子C1の容量値が、回転部材の回転に応じて変化する。それにより、ワイヤレスセンサユニット1に設けられた伝送路の特性インピーダンスが変化する。したがって、ワイヤレスセンサユニット1は、当該回転部材の回転方向及び回転速度に応じた電波強度のセンサ信号を生成することができる。
【0073】
また、上記実施の形態にかかるセンサシステムは、センサ信号受信装置5において、受信電波強度と設定値とを比較することにより、回転部材の回転方向を判定することができる。さらに、上記実施の形態にかかるセンサシステムは、センサ信号受信装置5において、受信電波強度の変化量に基づいて回転部材の回転速度を判定することができる。
【0074】
つまり、上記実施の形態にかかるセンサシステムは、センサ信号の電波強度の情報のみ基づいて、回転部材の回転方向及び回転速度を判定することができる。そのため、上記実施の形態にかかるセンサシステムは、従来技術と異なり、一つのセンサ(ワイヤレスセンサユニット1)を用いて、回転部材の回転方向及び回転速度を判定することができる。つまり、本実施の形態にかかるセンサシステムは、部品点数を増加させることなく、回転部材の回転方向及び回転速度を判定することができる。さらに、上記実施の形態にかかるセンサシステムは、インピーダンス調整部2を、回転センサ及び振幅変調手段としても機能させたことにより、外付けのセンサが不要となり、さらに部品点数の削減をすることができる。それにより、価格の上昇を抑制することができる。
【0075】
また、上記実施の形態にかかるセンサシステムは、センサ信号の電波強度の変化量に基づいて回転方向及び回転速度を判定することが可能であるため、従来技術と異なり周波数変調方式ではなく、振幅復調方式を用いた送受信が可能である。周波数変調方式の場合、一般的に回路面積の大きい周波数シンセサイザが用いられるが、振幅復調方式の場合、当該周波数シンセサイザは不要である。したがって、上記実施の形態にかかるセンサシステムは、従来技術と比較して、回路面積の増大を抑制することができる。
【0076】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。上記実施の形態では、硬度の高い電極C10を伝送路に接続し、硬度の低い電極C11を接地電圧端子GNDに接続した場合を例に説明したが、これに限られない。硬度の低い電極C11を伝送路に接続し、硬度の高い電極C10を接地電圧端子GNDに接続する回路構成にも適宜変更可能である。この場合、回転方向に応じたセンサ信号の電波強度は、上記実施の形態の場合と逆になる。
【0077】
また、上記実施の形態では、図5Aに示すように、無回転状態における共振周波数Faが、送信電波強度Pmaxに対応する周波数F0よりも高い場合を例に説明したが、これに限られない。無回転状態における共振周波数Faが、送信電波強度Pmaxに対応する周波数F0よりも低い回路構成にも適宜変更可能である。この場合、回転方向に応じたセンサ信号の電波強度は、上記実施の形態の場合と逆になる。
【0078】
また、上記実施の形態では、設定値格納部11に、無回転状態における受信電波強度Prbに応じた基準値Praを格納する場合を例に説明したが、これに限られない。設定値(閾値T1,T2)のみを格納する回路構成にも適宜変更可能である。
【0079】
なお、本実施の形態では、硬度の異なる2つの電極C10,C11によって構成される容量素子C1を備えた場合を例に説明したが、これに限られない。回転部材の回転に応じて容量値が変化する構成であればよい。
【符号の説明】
【0080】
1 ワイヤレスセンサユニット
2 インピーダンス調整部
3 センサ信号送信部
4 狭帯域アンテナ
5 センサ信号受信装置
6 センサ信号受信部
7 回転情報判定部
8 電波強度測定部
9 回転方向判定部
10 回転速度判定部
11 設定値格納部
12 回転速度判定用テーブル
L1 インダクタンス素子
L2 インダクタンス素子
C1 容量素子
C10 電極
C11 電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサユニット及びそれを備えたセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
センサシステムにおいて、無線通信機能搭載の適用範囲及び市場の拡大に伴い、近年コスト削減が求められている。その中でも、基板サイズの縮減を目的とした部品点数の削減の要求が高まってきた。
【0003】
特許文献1には、センサ信号の送信およびセンサ部等への給電が共にワイヤレスで行え、かつ回転数だけでなく、回転方向の検出が行えるワイヤレスセンサ付軸受装置の技術が記載されている。
【0004】
特許文献1に記載された従来技術について、図8〜図12を用いて説明する。図8に示すように、このワイヤレスセンサ付軸受装置は、転がり軸受110と、この転がり軸受110の回転を検出するセンサ部106と、このセンサ部106の出力するセンサ信号をワイヤレスで送信するセンサ信号送信部109と、上記センサ部106およびセンサ信号送信部109の動作電力をワイヤレスで受信する電力受信部108と、を備える。センサ部106は、位相差が略90°である2つの回転数信号(A相信号およびB相信号)を出力する。センサ部106の出力は、信号処理手段114を介して、または直接にセンサ信号送信部109に送られる。
【0005】
転がり軸受110は、内輪154と外輪155の対向する軌道面間に複数の転動体156を介在させたものである。各転動体156は保持器157により保持されている。内外輪154,155間の軸受空間の端部は、シール158により密封されている。転がり軸受110は、内輪154と外輪155のいずれが回転側であってもよいが、この例では、外輪155がハウジング(図示せず)に設置されて静止側となり、内輪154が軸159に嵌合して軸159を回転自在に支持している。
【0006】
センサ部106、センサ信号送信部109、および電力受信部108は、一体化されたワイヤレスセンサユニット104として構成されている。ただし、センサ部106のうち、後述のパルサリング117については、ワイヤレスセンサユニット104と別体とされる。信号処理手段114が設けられる場合は、信号処理手段114もワイヤレスセンサユニット104に含められる。ワイヤレスセンサユニット104に対して、ワイヤレスで電力を供給しかつ各センサ信号を受信するセンサ信号受信機105が設けられる。
【0007】
センサ信号受信機105は、上記センサ信号送信部109から送信されたセンサ信号を受信するセンサ信号受信部113と、電力受信部108へ動作電力をワイヤレスで送信する給電電力送信部112とを備える。センサ信号受信機105は、複数のワイヤレスセンサユニット104に対してセンサ信号の受信と動作電力の送信を行うものであっても良い。その場合、例えばワイヤレスセンサユニット104毎に、送信するセンサ信号を別の周波数のものとする。
【0008】
電磁波により通信を行うものである場合、ワイヤレス送信するセンサ信号と給電電力の周波数は互いに異なる周波数とされ、複数設けられる各センサ信号も、互いに異なる周波数とされる。ここでは、給電電力の周波数をf1とし、センサ信号の周波数をf2としている。1台のセンサ信号受信機105により複数のワイヤレスセンサユニット104に対してセンサ信号の受信と動作電力の送信を行うものである場合は、センサ信号の周波数をワイヤレスセンサユニット104毎に別の周波数とする。
【0009】
センサ部106は、パルサリング117と、それに対向して設置される磁気センサ118とで構成される。パルサリング117は、図9に示すように、円周方向に磁極N,Sが並ぶ多極に磁化された磁石、またはギヤー状の凹凸を施した磁性体リングなど、周方向に周期的な変化を有するものである。多極磁石からなるパルサリング117と磁気センサ118の組合せによると、小型で精度の良い回転センサが構成できる。磁気センサ118は、パルサリング117の周方向の磁気的変化の周期に対して位相が略90°離れた2ヵ所に、対向する2つの検出部118A,118Bを有し、位相が略90°異なる回転数信号を各検出部118A,118Bより出力する。各回転数信号は図10に示すようなパルス列であり、位相差が略90°であるA相およびB相の2つの回転数信号となる。
【0010】
磁気センサ118は磁界センサであり、各検出部118A,118Bのそれぞれが磁界センサとされる。この磁界センサは、磁気抵抗型センサ(「MRセンサ」と呼ばれる)の他に、ホール素子型センサ、フラックスゲート型磁界センサ、MIセンサ等のアクティブ磁界センサを使用することができる。
【0011】
センサ部106のパルサリング117は、図8に示すように、転がり軸受110の内輪154に取付け部材117aを介して取付けられる。磁気センサ118は、電力受信部108およびセンサ信号送信部109と共に、共通のケース104aに収められてワイヤレスセンサユニット104を構成し、取付け部材104bを介して外輪155に取付けられる。
【0012】
センサ部106のA相およびB相の回転数信号は、信号処理手段114により、センサ信号送信部109によるワイヤレス送信に適合した形態に処理され、センサ信号送信部109から送信される。
【0013】
センサ信号送信部109は、例えばA相およびB相の2つの回転数信号を1つの搬送波に乗せて送信する。1つの搬送波に2つの回転数信号を乗せる形式は、例えば時分割による送信であっても、適宜の信号処理を行った重畳等であっても良い。信号処理手段114は、このような時分割送信を行わせる処理、または重畳を行わせる処理等を行う。
【0014】
図11に、信号処理手段114によって、A相およびB相の2つの回転数信号を1つの搬送波に乗せて送信する処理の具体例を示す。この場合、周波数fA(Hz)の信号をA相信号(a)で、周波数fBの信号をB相信号でそれぞれASK(Amplitude Shift Keying)変調する。同図(b),(d)は、それぞれA相,B相信号のASK変調結果を示す。このASK変調された2つの信号(b),(d)を足し合わせた信号(e)で、搬送波をFM変調して送信する。受信側で、上記の足合わせ信号(e)から、2つのASK変調信号(b),(d)にフィルタで分離してから、センサ信号を復調する。
【0015】
センサ信号送信部109は、上記位相差が略90°である2つの回転数信号(A相信号およびB相信号)を、例えば図12に示すように2つの互いに異なる周波数f2,f3の搬送波にそれぞれ乗せて搬送するものとしても良い。その場合、同図のようにセンサ信号送信部109を2つ設け、各センサ信号送信部109に、A相の検出部118Aの回転数信号、およびB相の検出部118Aの回転数信号を送信させる。センサ信号受信機105側には、例えば各送信周波数f2,f3に応じた2つのセンサ信号受信部113が設けられる。
【0016】
このように2つの回転数信号を互いに異なる周波数f2,f3の搬送波に乗せて送信するようにした場合、一つの搬送波に2つの信号を乗せるための処理が不要で、センサ信号送信部109、あるいはその前段の信号処理手段114を含めた構成が簡素なものとできる。
【0017】
この構成のワイヤレスセンサ付軸受装置によると、内輪154と外輪155との間の相対回転がセンサ部106により回転数信号として検出される。そして、センサ信号送信部109によってワイヤレス送信された回転数信号は、センサ信号受信機105のセンサ信号受信部113により受信される。ここで、センサ部106は、位相差が略90°であるA相信号とB相信号との2つの回転数信号を出力する。そして、これら2つの回転数信号がセンサ信号受信部113により受信される。それにより、このワイヤレスセンサ付軸受装置は、回転数の他に、回転方向も検出可能である。そのため、転がり軸受110を装備した機器の制御の高機能化が図れる。
【0018】
その他の従来技術として、特許文献2には、タイヤの温度及び空気圧を含む複数の測定値を正確に検出可能なタイヤ情報検出装置が開示されている。このタイヤ情報検出装置は、車両のタイヤに装着される測定値送信機と、車両本体に設けられ測定値送信機との間で信号の送受信を行うコントローラとを備える。また、測定値送信機は、アンテナと、コントローラとの間で送受信される信号の変復調を行う変復調器と、コントローラからの信号に応じて共振する共振器と、タイヤの空気圧を測定するための圧力センサと、共振器と圧力センサとの接続状態を切り替えるスイッチと、を有する。コントローラは、測定値送信機からの受信信号から抽出した共振周波数と、その周波数差と、に基づいてタイヤの温度及び空気圧を算出する。それにより、このタイヤ情報検出装置は、タイヤの温度及び空気圧を含む複数の測定値を正確に検出することができる。
【0019】
また、特許文献3には、回転するタイヤからの圧力および他の測定値を判断し、それらを電気信号に変換し、それらを表示し、または例えば圧力損失警報メッセージを出力する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2005−84998号公報
【特許文献2】特開2008−201369号公報
【特許文献3】特表2000−517073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
特許文献1に記載された従来技術は、転がり軸受け110の回転数(回転速度)及び回転方向を検出するために、パルサリング117に対して2つのセンサを配置する必要があった。したがって、回転軸の数が増えれば増えるほど、外付け部品としてのセンサの数もその2倍必要となった。このように、特許文献1に記載された従来技術では、部品点数の増加により、価格が上昇する等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明にかかるセンサユニットは、回転部材の回転を検出し、検出結果を出力するセンサ部と、前記センサ部から伝送路を介して供給された前記検出結果に基づくセンサ信号を、ワイヤレスで外部に送信するセンサ信号送信部と、を備え、前記センサ部は、前記伝送路上に直列に接続されたインダクタンス素子と、前記伝送路と電源電圧端子との間に設けられ、前記回転部材の回転に応じて容量値が変化する容量素子と、を備える。
【0023】
上述のような回路構成により、部品点数を増加させることなく、回転方向及び回転速度の判定をすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、部品点数を増加させることなく、回転方向及び回転速度の判定が可能なセンサユニット及びそれを備えたセンサシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるセンサシステムのブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかるインピーダンス調整部2の構成図である。
【図3A】本発明の実施の形態1にかかるインピーダンス調整部2に設けられた容量素子C1の構成図である。
【図3B】本発明の実施の形態1にかかるインピーダンス調整部2に設けられた容量素子C1の構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる回転情報判定部7のブロック図である。
【図5A】本発明の実施の形態1にかかる狭帯域アンテナ4の共振特性と送信電波強度との関係を示す図である。
【図5B】本発明の実施の形態1にかかる狭帯域アンテナ4の共振特性と送信電波強度との関係を示す図である。
【図5C】本発明の実施の形態1にかかる狭帯域アンテナ4の共振特性と送信電波強度との関係を示す図である。
【図6A】本発明の実施の形態1にかかるセンサ信号受信装置5における受信電波強度の変化を示す図である。
【図6B】本発明の実施の形態1にかかるセンサ信号受信装置5における受信電波強度の変化を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1にかかるセンサシステムの動作を示すフローチャートである。
【図8】従来技術を説明するための図である。
【図9】従来技術を説明するための図である。
【図10】従来技術を説明するための図である。
【図11】従来技術を説明するための図である。
【図12】従来技術を説明するための図である。
【図13】一般的なインピーダンス整合回路の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として本発明の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
【0027】
実施の形態1
図1に、本発明の実施の形態1にかかるセンサシステムのブロック図を示す。図1に示すセンサシステムは、センサ信号を送信するワイヤレスセンサユニット(センサユニット)1と、センサ信号を受信するセンサ信号受信装置5と、を備える。なお、ワイヤレスセンサユニット1とセンサ信号受信装置5との間では、センサ信号の無線通信が行われる。ワイヤレスセンサユニット1は、例えば、転がり軸受等の回転部材に設けられ、当該回転部材の回転方向及び回転速度に応じたセンサ信号を出力する。センサ信号受信装置5は、例えば、車体に設けられ、ワイヤレスセンサユニット1から送信されたセンサ信号を受信し、当該センサ信号の電波強度に基づいて回転部材の回転方向及び回転速度を判定する。
【0028】
ワイヤレスセンサユニット1は、インピーダンス調整部(センサ部)2と、センサ信号送信部3と、を有する。インピーダンス調整部2は、インピーダンス整合度情報(伝送路の特性インピーダンスの情報)を、伝送路を介してセンサ信号送信部3に出力する。なお、インピーダンス調整部2は、伝送路の特性インピーダンスを調整する機能と、回転部材の回転を検出する回転センサとしての機能と、振幅変調する機能と、を有する。また、センサ信号送信部3は、狭帯域アンテナ4を有する。センサ信号送信部3は、インピーダンス整合度情報に応じた電波を、狭帯域アンテナ4を介してセンサ信号として送信する。
【0029】
一方、センサ信号受信装置5は、センサ信号受信部6と、回転情報判定部7と、を有する。センサ信号受信部6は、センサ信号送信部3から送信されたセンサ信号の電波を受信し、回転情報判定部7に出力する。回転情報判定部7は、受信したセンサ信号の電波強度(以下、単に受信電波強度と称す)を測定し、その測定値に基づいて、回転部材の回転方向及び回転速度を判定する。
【0030】
ここで、図13を用いて、一般的なインピーダンス整合回路について説明する。インピーダンス整合回路は、インダクタンス素子L51,L52と、容量素子C50と、を有する。インダクタンス素子L51,L52は、伝送路上に直列に接続される。容量素子C50の一端は、インダクタンス素子L51,L52間のノードに接続される。容量素子C50の他端は、接地電圧端子GNDに接続される。なお、インダクタンス素子L51,L52及び容量素子C50により分布定数回路を構成する。一般的に、無線回路には、送信電力のリターンロスを極力避けるために、アンテナの手前に、図13に示すようなインピーダンス整合回路が設けられる。そして、このインピーダンス整合回路は、伝送路が同じインピーダンス成分を有する(以下、マッチング状態と称す)ように構成される。
【0031】
次に、図2を用いて、本実施の形態にかかるインピーダンス調整部2について説明する。なお、インピーダンス調整部2は、後述する容量素子C1の容量値の変化をセンサとして用いることを特徴とする。
【0032】
図2に示すように、インピーダンス調整部2は、伝送路上に直列に接続された2つのインダクタンス素子L1,L2と、インダクタンス素子L1,L2間のノードに一端が接続された容量素子C1と、を有する。なお、インダクタンス素子L1,L2及び容量素子C1により分布定数回路を構成する。そして、例えば、伝送路の一端には所定の基準電圧が印加され、伝送路の他端には狭帯域アンテナ4(図1参照)が接続される。
【0033】
インピーダンス調整部2の回路構成について、さらに具体的に説明する。図3A及び図3Bは、インピーダンス調整部2に設けられた容量素子C1の構成図である。なお、図3Aは、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合における容量素子C1の構成図である。一方、図3Bは、ワイヤレスセンサユニット1が左回転した場合における容量素子C1の構成図である。ここで、無回転状態とは、ワイヤレスセンサユニット1に力量が加わらない状態のことである。また、ワイヤレスセンサユニット1は、回転部材の回転に応じて、同一方向に回転する。
【0034】
本実施の形態では、容量素子C1は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた櫛形電極によって形成されている。この櫛型電極は、2本の電極C10,C11によって構成されている。電極C10の一端には伝送路が接続される。電極C11の一端には接地電圧端子GNDが接続される。また、電極C10,C11は、いずれも直線状に形成される。また、電極C10,C11は、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合において、距離Xaの間隔で互いに対向に配置される。また、電極C10,C11は、ワイヤレスセンサユニット1の回転方向に対して垂直に配置される。
【0035】
伝送路側の電極C10は、硬度が非常に高く、たわまないように形成される。一方、接地電圧端子GND側の電極C11は、硬度が低く、ワイヤレスセンサユニット1が動き、力量が加わることによって、たわむように形成される。
【0036】
図3Aに示すように、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合、電極C10,C11は、いずれもたわむことなく互いの間隔を距離Xaに維持する。このとき、容量素子C1は容量値C1aを示す。一方、図3Bに示すように、ワイヤレスセンサユニット1が左回転した場合、つまり、紙面の左方向に向けて移動した場合、ワイヤレスセンサユニット1には右方向に力量が加わる。電極C11は、加わった力量に応じて紙面の右方向にたわみ、電極C10に距離Xb(Xa>Xb)まで接近する。このとき、容量素子C1は、無回転状態における容量値C1aよりも大きな容量値C1bを示す。さらに、図示していないが、ワイヤレスセンサユニット1が右回転した場合、電極C11は、加わった力量に応じて図3Bの場合と逆の方向にたわみ、電極C10との間隔を距離Xc(Xc>Xa)まで広げる。このとき、容量素子C1は、無回転状態における容量値C1aよりも小さな容量値C1cを示す。
【0037】
このように、回転部材の回転に応じてワイヤレスセンサユニット1が回転すると、インピーダンス調整部2に設けられた容量素子C1の容量値が変化する。それにより、伝送路の特性インピーダンスが変化する。つまり、伝送路の特性インピーダンスと狭帯域アンテナ4(図1参照)の入力インピーダンスとの間のインピーダンス整合度が変動する。
【0038】
なお、本実施の形態では、櫛形電極によって形成された容量素子C1の容量値の変化に応じて、インピーダンス整合度が変化する場合を例に説明したが、これに限られない。趣旨を逸脱しない範囲内であれば、回転部材の回転に応じてインピーダンス整合度が変化する回路構成に適宜変更可能である。言い換えると、回転部材の回転に応じて伝送路の特性インピーダンスが変化する回路構成に適宜変更可能である。
【0039】
図4は、センサ信号受信装置5に設けられた回転情報判定部7のブロック図である。回転情報判定部7は、電波強度測定部8と、回転方向判定部9と、回転速度判定部10と、設定値格納部11と、回転速度判定用テーブル12と、を有する。電波強度測定部8は、受信電波強度を測定する機能を有する。設定値格納部11は、無回転状態における受信電波強度を基準値として格納するとともに、回転判定用の設定値(閾値TH1,TH2)を格納する。回転方向判定部9は、電波強度測定部8によって測定された受信電波強度の測定値と、設定値格納部11に格納された設定値と、に基づいて回転部材の回転方向を判定する。回転速度判定用テーブル12には、複数の異なる受信電波強度の情報と、対応する回転速度の情報と、が予めテーブル化して格納される。回転速度判定部10は、電波強度測定部8によって測定された受信電波強度と、回転速度判定用テーブル12に格納されたテーブル値と、に基づいて回転部材の回転速度を判定する。
【0040】
本実施の形態にかかるセンサシステムの動作について、図5A、図5B及び図5Cを用いてさらに具体的に説明する。図5A、図5B及び図5Cは、センサ信号送信部3から送信されるセンサ信号の電波強度(以下、単に送信電波強度と称す)と周波数との関係を示す図である。図中の点線PSは、センサ信号の電波強度スペクトルを示す。図中の実線Ra,Rb,Rcは、狭帯域アンテナ4の共振特性、即ち反射特性を示す。
【0041】
インピーダンス調整部2によって生成されるインピーダンス整合度情報(伝送路の特性インピーダンスの情報)に応じて変化する狭帯域アンテナ4の共振周波数をfとした場合、共振周波数fは、以下の式(1)のように表される。なお、式(1)において、L1は、インダクタンス素子L1のインダクタンス値を示す。L2は、インダクタンス素子L2のインダクタンス値を示す。C1は、容量素子C1の容量値を示す。
【0042】
【数1】
【0043】
式(1)により、共振周波数fは、インダクタンス値L1,L2を固定した場合、容量素子C1の容量値(C1)の変化に依存することがわかる。
【0044】
まず、図5Aを用いて、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合における送信電波強度の変化について説明する。なお、ワイヤレスセンサユニット1が出力可能な最大の送信電波強度をPmaxとする。また、このときのセンサ信号の周波数をF0とする。ここで、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合におけるインピーダンス整合度を意図的にマッチング状態からずらしておく。つまり、伝送路の特性インピーダンスと、狭帯域アンテナ4の入力インピーダンスと、を意図的に異なるように調整しておく。それにより、反射特性Raは、例えば、周波数Fa(Fa>F0)の場合に共振状態を示す。なお、図3Aに示したように、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合、容量素子C1を構成する電極C10,C11間は、距離Xaの間隔を有する。また、このとき、容量素子C1は容量値C1aを示す。
【0045】
このように、インピーダンス整合度をマッチング状態からずらしたことにより、リターンロスが発生するため、送信電波強度は、最大電波強度Pmaxより小さい電波強度Paを示す。なお、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合、電波強度Paは、最大電波強度Pmaxの2分の1になるように調整される。
【0046】
次に、図5Bを用いて、ワイヤレスセンサユニット1が左回転した場合における送信電波強度の変化について説明する。このとき、図3Bに示したように、容量素子C1を構成する電極C10,C11間は、距離Xbまで接近する。また、このとき、容量素子C1は容量値C1bを示す。このように、容量素子C1の容量値が変化することにより、伝送路の特性インピーダンスと狭帯域アンテナ4の入力インピーダンスとの間のインピーダンス整合度が変化する。つまり、センサ信号送信部3は、容量素子C1の微小なインピーダンス整合度情報(伝送路の特性インピーダンスの情報)の変化に応じて、送信電波強度を変化させることができる。
【0047】
図5Bの例では、容量素子C1を構成する電極C10,C11間が距離Xbまで接近することにより、図5Aの無回転状態の場合と比較して、インピーダンス整合度が良化する。つまり、インピーダンス整合度がマッチング状態に近づく。さらに具体的には、反射特性Rbの共振周波数Fbは、反射特性Raの共振周波数Faよりも、周波数F0に近づく(Fa>Fb>F0)。それにより、送信電波強度は、図5Aに示す電波強度Paよりも大きい電波強度Pbを示す。
【0048】
次に、図5Cを用いて、ワイヤレスセンサユニット1が右回転した場合における送信電波強度の変化について説明する。このとき、上述のように、容量素子C1を構成する電極C10,C11間は、距離Xcまで広がる。また、このとき、容量素子C1は容量値C1cを示す。このように、容量素子C1の容量値が変化することにより、伝送路の特性インピーダンスと狭帯域アンテナ4の入力インピーダンスとの間のインピーダンス整合度が変化する。つまり、センサ信号送信部3は、容量素子C1の微小なインピーダンス整合度情報(伝送路の特性インピーダンス情報)の変化に応じて、狭帯域アンテナ4を介して送信するセンサ信号の電波強度を変化させることができる。
【0049】
図5Cの例では、容量素子C1を構成する電極C10,C11間が距離Xcまで広がることにより、図5Aの無回転状態の場合と比較して、インピーダンス整合度が悪化する。つまり、インピーダンス整合度がマッチング状態から離れる。さらに具体的には、反射特性Rcの共振周波数Fcは、反射特性Raの共振周波数Faよりも、周波数F0から離れる(Fc>Fa)。それにより、送信電波強度は、図5Aに示す電波強度Paよりも小さい電波強度Pcを示す。
【0050】
ここで、Pmax>Pb>Pa>Pcの大小関係が成り立つ。センサ信号受信部6が受信するセンサ信号の電波強度(受信電波強度)においても、最大電波強度、左回転時の電波強度、無回転時の電波強度、右回転時の電波強度の関係は送信側と同様である。
【0051】
続いて、センサ信号受信装置5に設けられた回転情報判定部7の動作について、図6A及び図6Bを用いてさらに具体的に説明する。図6Aは、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合における受信電波強度の変化を示す図である。図6Bは、ワイヤレスセンサユニット1が左回転した場合における受信電波強度の変化を示す図である。
【0052】
まず、回転情報判定部7が回転部材の回転方向を判定する場合の動作について説明する。
【0053】
回転情報判定部7では、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合において、事前に所定の処理が実行される。具体的には、電波強度測定部8は、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合における受信電波強度を予め測定しておく。そして、電波強度測定部8によって測定された受信電波強度の測定値は、基準値として設定値格納部11に格納される。
【0054】
図6Aに示すように、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態の場合、受信電波強度は電波強度Praを示す。つまり、設定値格納部11には、電波強度Praに応じた基準値Praが格納される。なお、基準値Praは、送信電波強度Pa(図5A参照)から、ワイヤレスセンサユニット1とセンサ信号受信装置5との間の通信損失分を差し引いた電波強度を有する。
【0055】
設定値格納部11は、基準値Praに加え、基準値Praよりも電波強度の強い閾値TH1と、基準値Praよりも電波強度の弱い閾値TH2と、を設定値として格納する。ここで、閾値TH1は、ワイヤレスセンサユニット1の左回転を判定するための閾値であり、閾値TH2は、ワイヤレスセンサユニット1の右回転を判定するための閾値である。なお、閾値TH1と閾値TH2とは、特定の値(電波強度)に限定されない。好適には、閾値TH1と基準値Praとの差分電波強度と、基準値Praと閾値TH2との差分電波強度と、が実質的に同一であればよい。各差分電波強度が小さいほど、回転方向の判定精度を向上させることができる。
【0056】
次に、図6Bを用いて、ワイヤレスセンサユニット1が左回転した場合の動作を説明する。センサ信号受信部6によってセンサ信号が受信されると、電波強度測定部8は受信電波強度を測定し、測定値を回転方向判定部9に対して出力する。回転方向判定部9は、設定値格納部11に予め格納された設定値(閾値TH1及び閾値TH2)と、電波強度測定部8によって測定された受信電波強度と、を比較し、回転部材の回転方向を判定する。具体的には、回転方向判定部9は、ワイヤレスセンサユニット1が左回転した場合における受信電波強度Prbが、閾値TH1を上回った場合に、左回転したと判定する。
【0057】
一方、回転方向判定部9は、ワイヤレスセンサユニット1が右回転した場合における受信電波強度Prc(不図示)が、閾値TH2を下回った場合に、右回転したと判定する。
【0058】
次に、回転情報判定部7が回転部材の回転速度を判定する場合の動作について説明する。回転速度の判定は、電波強度測定部8によって測定された受信電波強度と、設定値格納部11に格納された基準値Praと、の差分、つまり、受信電波強度の変化量を求めることによって行う。ここで、受信電波強度は、容量素子C1の容量値の変化に応じて変化する。したがって、受信電波強度の変化量を求めることにより、容量素子C1にどれだけ加速が加わっているかを求めることができる。回転運動の速度をv、半径をr、角速度をωとした場合のそれらの関係を式(2)に示す。
【0059】
【数2】
【0060】
式(2)により、回転速度vは角速度ωに比例することがわかる。さらに、aを加速度とした場合の加速度aと角速度ωとの関係を式(3)に示す。
【0061】
【数3】
【0062】
式(3)により、角速度ω2は加速度aに比例することがわかる。すなわち、角速度ωは、加速度aのルートに比例することがわかる。さらに、式(2)及び式(3)より、回転運動の速度v、半径r、加速度aの関係を式(4)に示す。
【0063】
【数4】
【0064】
式(4)により、加速度aを求めることによって、回転速度vを求めることができることがわかる。つまり、容量素子C1の容量値の変化量を求めることにより、回転部材の回転速度を求めることができる。前述のように、受信電波強度の変化量を求めることにより、容量素子C1にどれだけ加速が加わっているかを求めることができる。したがって、受信電波強度の変化量を求めることにより、回転部材の回転速度を求めることができる。
【0065】
そこで、回転速度判定用テーブル12には、複数の異なる受信電波強度の情報と、対応する回転速度の情報と、が予めテーブル化して格納される。回転速度判定部10は、電波強度測定部8によって測定された受信電波強度と、回転速度判定用テーブル12に格納されたテーブル値と、に基づいて回転部材の回転速度を判定する。なお、回転速度判定用テーブル12に格納されるテーブル値の情報が多いほど、回転速度の判定精度が向上する。
【0066】
続いて、図7のフローチャートを用いて、無回転状態のワイヤレスセンサユニット1に左回転が生じた場合の動作を説明する。
【0067】
まず、無回転状態のワイヤレスセンサユニット1に左回転が生じる(図7のS1)。次に、インピーダンス調整部2に設けられた容量素子C1の容量値が、図3A,図3Bに示したように容量値C1aから容量値C1bに変化する(図7のS2)。容量素子C1の容量値が変化することにより、インピーダンス整合度が良化する(図7のS3)。それにより、狭帯域アンテナ4の共振周波数は、図5A,図5Bに示したように周波数Faから周波数Fbに変化する。狭帯域アンテナ4の共振周波数の変化により、送信電波強度は、電波強度Paから電波強度Pbに変化する。
【0068】
そして、ワイヤレスセンサユニット1に設けられたセンサ信号送信部3は、狭帯域アンテナ4を介して、送信電波強度Pbのセンサ信号を送信する(図7のS4)。センサ信号受信装置5に設けられたセンサ信号受信部6は、ワイヤレスセンサユニット1によって送信されたセンサ信号を受信する(図7のS5)。センサ信号受信装置5において、電波強度測定部8は、受信電波強度Prbを測定する(図7のS6)。回転方向判定部9は、設定値格納部11に予め格納された設定値(閾値TH1,TH2)と、電波強度測定部8によって測定された受信電波強度Prbと、をそれぞれ比較する(図7のS7)。
【0069】
具体的には、回転方向判定部9は、受信電波強度Prbが閾値TH1より大きい場合(図7のS7B)、ワイヤレスセンサユニット1が左回転したと判定する(図7のS8)。また、回転方向判定部9は、受信電波強度Prbが閾値TH2より小さい場合(図7のS7C)、ワイヤレスセンサユニット1が右回転したと判定する(図7のS10)。また、回転方向判定部9は、受信電波強度Prbが閾値TH1及び閾値TH2の範囲内である場合には(図7のS7A)、ワイヤレスセンサユニット1が無回転状態であると判定する(図7のS9)。図7の例では、受信電波強度Prbが閾値TH1より大きいため、回転方向判定部9は、ワイヤレスセンサユニット1が左回転したと判定する(図7のS8)。
【0070】
一方、電波強度測定部8が受信電波強度Prbを測定した後(図7のS6)、回転速度判定部10は、受信電波強度Prbと、回転速度判定用テーブル12に格納されたテーブル値と、を比較する(図7のS11)。そして、回転速度判定部10は、回転速度判定用テーブル12から受信電波強度Prbに応じた回転速度の情報を抽出することにより、回転部材の回転速度を判定する(図7のS12)。
【0071】
なお、無回転状態のワイヤレスセンサユニット1に右回転が生じた場合でも、同様の手順で処理が実行される。この場合、狭帯域アンテナ4の共振周波数は、図5A,図5Cに示したように周波数Faから周波数Fcに変化する。
【0072】
以上のように、上記実施の形態かかるセンサシステムは、ワイヤレスセンサユニット1において、インピーダンス調整部2に設けられた容量素子C1が、回転部材の回転に応じて変形する。つまり、インピーダンス調整部2に設けられた容量素子C1の容量値が、回転部材の回転に応じて変化する。それにより、ワイヤレスセンサユニット1に設けられた伝送路の特性インピーダンスが変化する。したがって、ワイヤレスセンサユニット1は、当該回転部材の回転方向及び回転速度に応じた電波強度のセンサ信号を生成することができる。
【0073】
また、上記実施の形態にかかるセンサシステムは、センサ信号受信装置5において、受信電波強度と設定値とを比較することにより、回転部材の回転方向を判定することができる。さらに、上記実施の形態にかかるセンサシステムは、センサ信号受信装置5において、受信電波強度の変化量に基づいて回転部材の回転速度を判定することができる。
【0074】
つまり、上記実施の形態にかかるセンサシステムは、センサ信号の電波強度の情報のみ基づいて、回転部材の回転方向及び回転速度を判定することができる。そのため、上記実施の形態にかかるセンサシステムは、従来技術と異なり、一つのセンサ(ワイヤレスセンサユニット1)を用いて、回転部材の回転方向及び回転速度を判定することができる。つまり、本実施の形態にかかるセンサシステムは、部品点数を増加させることなく、回転部材の回転方向及び回転速度を判定することができる。さらに、上記実施の形態にかかるセンサシステムは、インピーダンス調整部2を、回転センサ及び振幅変調手段としても機能させたことにより、外付けのセンサが不要となり、さらに部品点数の削減をすることができる。それにより、価格の上昇を抑制することができる。
【0075】
また、上記実施の形態にかかるセンサシステムは、センサ信号の電波強度の変化量に基づいて回転方向及び回転速度を判定することが可能であるため、従来技術と異なり周波数変調方式ではなく、振幅復調方式を用いた送受信が可能である。周波数変調方式の場合、一般的に回路面積の大きい周波数シンセサイザが用いられるが、振幅復調方式の場合、当該周波数シンセサイザは不要である。したがって、上記実施の形態にかかるセンサシステムは、従来技術と比較して、回路面積の増大を抑制することができる。
【0076】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。上記実施の形態では、硬度の高い電極C10を伝送路に接続し、硬度の低い電極C11を接地電圧端子GNDに接続した場合を例に説明したが、これに限られない。硬度の低い電極C11を伝送路に接続し、硬度の高い電極C10を接地電圧端子GNDに接続する回路構成にも適宜変更可能である。この場合、回転方向に応じたセンサ信号の電波強度は、上記実施の形態の場合と逆になる。
【0077】
また、上記実施の形態では、図5Aに示すように、無回転状態における共振周波数Faが、送信電波強度Pmaxに対応する周波数F0よりも高い場合を例に説明したが、これに限られない。無回転状態における共振周波数Faが、送信電波強度Pmaxに対応する周波数F0よりも低い回路構成にも適宜変更可能である。この場合、回転方向に応じたセンサ信号の電波強度は、上記実施の形態の場合と逆になる。
【0078】
また、上記実施の形態では、設定値格納部11に、無回転状態における受信電波強度Prbに応じた基準値Praを格納する場合を例に説明したが、これに限られない。設定値(閾値T1,T2)のみを格納する回路構成にも適宜変更可能である。
【0079】
なお、本実施の形態では、硬度の異なる2つの電極C10,C11によって構成される容量素子C1を備えた場合を例に説明したが、これに限られない。回転部材の回転に応じて容量値が変化する構成であればよい。
【符号の説明】
【0080】
1 ワイヤレスセンサユニット
2 インピーダンス調整部
3 センサ信号送信部
4 狭帯域アンテナ
5 センサ信号受信装置
6 センサ信号受信部
7 回転情報判定部
8 電波強度測定部
9 回転方向判定部
10 回転速度判定部
11 設定値格納部
12 回転速度判定用テーブル
L1 インダクタンス素子
L2 インダクタンス素子
C1 容量素子
C10 電極
C11 電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部材の回転を検出し、検出結果を出力するセンサ部と、
前記センサ部から伝送路を介して供給された前記検出結果に基づくセンサ信号を、ワイヤレスで外部に送信するセンサ信号送信部と、を備え、
前記センサ部は、
前記伝送路上に直列に接続されたインダクタンス素子と、
前記伝送路と電源電圧端子との間に設けられ、前記回転部材の回転に応じて容量値が変化する容量素子と、を備えたセンサユニット。
【請求項2】
前記容量素子は、
一端が前記伝送路に接続された第1の電極と、
一端が前記電源電圧端子に接続された第2の電極と、を有し、
前記回転部材の回転に応じて前記第1及び第2の電極間の間隔が変化することを特徴とする請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記第1及び第2の電極は、
それぞれ直線状に形成され、互いに対向配置されたことを特徴とする請求項2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記第1及び第2の電極は、
前記回転部材の回転方向に対して垂直に設けられたことを特徴とする請求項2又は3に記載のセンサユニット。
【請求項5】
前記第1及び第2の電極では、
いずれか一方の電極が、他方の電極よりも硬度が低いことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のセンサユニット。
【請求項6】
前記センサ信号送信部は、
前記伝送路に接続された狭帯域アンテナを有し、
前記回転部材が無回転状態の場合に、前記狭帯域アンテナの入力インピーダンスと、前記伝送路の特性インピーダンスと、が異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のセンサユニット。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のセンサユニットと、
前記センサユニットから送信された前記センサ信号を受信するセンサ信号受信装置と、を備えたセンサシステム。
【請求項8】
前記センサ信号受信装置は、
前記センサ信号の電波強度に基づいて前記回転部材の回転方向を判定する回転方向判定部を備えた請求項7に記載のセンサシステム。
【請求項9】
前記センサ信号受信装置は、
設定値を格納する設定値格納部をさらに備え、
前記回転方向判定部は、
前記センサ信号の電波強度と、前記設定値と、の比較結果に基づいて前記回転部材の回転方向を判定することを特徴とする請求項8に記載のセンサシステム。
【請求項10】
前記センサ受信装置は、
前記センサ信号の電波強度に基づいて前記回転部材の回転速度を判定する回転速度判定部を備えた請求項7〜9のいずれか一項に記載のセンサシステム。
【請求項11】
前記センサ信号受信装置は、
複数の異なる電波強度の情報と、対応する前記回転部材の回転速度の情報と、を格納する回転速度判定用テーブルをさらに備え、
前記回転速度判定部は、
前記センサ信号の電波強度と、前記回転速度判定用テーブルに格納された情報と、に基づいて、前記回転部材の回転速度を判定することを特徴とする請求項10に記載のセンサシステム。
【請求項1】
回転部材の回転を検出し、検出結果を出力するセンサ部と、
前記センサ部から伝送路を介して供給された前記検出結果に基づくセンサ信号を、ワイヤレスで外部に送信するセンサ信号送信部と、を備え、
前記センサ部は、
前記伝送路上に直列に接続されたインダクタンス素子と、
前記伝送路と電源電圧端子との間に設けられ、前記回転部材の回転に応じて容量値が変化する容量素子と、を備えたセンサユニット。
【請求項2】
前記容量素子は、
一端が前記伝送路に接続された第1の電極と、
一端が前記電源電圧端子に接続された第2の電極と、を有し、
前記回転部材の回転に応じて前記第1及び第2の電極間の間隔が変化することを特徴とする請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記第1及び第2の電極は、
それぞれ直線状に形成され、互いに対向配置されたことを特徴とする請求項2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記第1及び第2の電極は、
前記回転部材の回転方向に対して垂直に設けられたことを特徴とする請求項2又は3に記載のセンサユニット。
【請求項5】
前記第1及び第2の電極では、
いずれか一方の電極が、他方の電極よりも硬度が低いことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のセンサユニット。
【請求項6】
前記センサ信号送信部は、
前記伝送路に接続された狭帯域アンテナを有し、
前記回転部材が無回転状態の場合に、前記狭帯域アンテナの入力インピーダンスと、前記伝送路の特性インピーダンスと、が異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のセンサユニット。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のセンサユニットと、
前記センサユニットから送信された前記センサ信号を受信するセンサ信号受信装置と、を備えたセンサシステム。
【請求項8】
前記センサ信号受信装置は、
前記センサ信号の電波強度に基づいて前記回転部材の回転方向を判定する回転方向判定部を備えた請求項7に記載のセンサシステム。
【請求項9】
前記センサ信号受信装置は、
設定値を格納する設定値格納部をさらに備え、
前記回転方向判定部は、
前記センサ信号の電波強度と、前記設定値と、の比較結果に基づいて前記回転部材の回転方向を判定することを特徴とする請求項8に記載のセンサシステム。
【請求項10】
前記センサ受信装置は、
前記センサ信号の電波強度に基づいて前記回転部材の回転速度を判定する回転速度判定部を備えた請求項7〜9のいずれか一項に記載のセンサシステム。
【請求項11】
前記センサ信号受信装置は、
複数の異なる電波強度の情報と、対応する前記回転部材の回転速度の情報と、を格納する回転速度判定用テーブルをさらに備え、
前記回転速度判定部は、
前記センサ信号の電波強度と、前記回転速度判定用テーブルに格納された情報と、に基づいて、前記回転部材の回転速度を判定することを特徴とする請求項10に記載のセンサシステム。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−179948(P2011−179948A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44010(P2010−44010)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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