説明

センサユニット及び電子装置の製造方法

【課題】薄型であり取り扱いが容易なセンサユニット、及び当該センサユニットを備えた電子装置の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本実施例の指紋センサ1は、指紋の検出面22を有したセンサ素子20と、センサ素子20を実装したFPC10と、FPC10のセンサ素子20の実装面の裏面に、剥離可能に貼り付けられた支持板30と、を備えている。また、センサ素子20の検出面22は、FPC10により覆われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサユニット及び電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
指紋認証に用いられる指紋センサが知られている。指紋センサは、センサ素子を有しており、被験者がセンサ素子の検出面に指を押し付けることによって、被験者の指紋を読み取る。このようなセンサ素子は、プリント基板上に実装されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−79457号公報
【特許文献2】特開2001−127191号公報
【特許文献3】特開2005−300193号公報
【特許文献4】特開2004−172467号公報
【特許文献5】特開平11−111882号公報
【特許文献6】特開2004−146751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリント基板としてフレキシブル基板を採用することにより、指紋センサの薄型化を図ることができる。しかしながらフレキシブル基板を採用することにより、強度が低下する恐れがある。強度が低下すると、指紋センサの取り扱いが難しくなる。例えば指紋センサを電子装置に搭載する際には、指紋センサが破損するおそれがある。
【0005】
そこで本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、薄型であり取り扱いが容易なセンサユニット、及び当該センサユニットを備えた電子装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示のセンサユニットは、指紋の検出面を有するセンサ素子と、前記センサ素子を実装したフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板の前記センサ素子の実装面の裏面に、剥離可能に貼り付けられた支持板と、を備えている。フレキシブル基板の裏面に支持板が貼り付けられているので、センサユニットの強度を確保し、取り扱いが容易となる。また、センサユニットを電子装置に搭載した後に、支持板をフレキシブル基板から剥離することができる。これにより、薄い状態でセンサユニットが電子装置に搭載される。
【0007】
本明細書に開示の電子装置の製造方法は、センサ素子、前記センサ素子を実装したフレキシブル基板、前記フレキシブル基板の前記センサ素子の実装面の裏面に剥離可能に貼り付けられた支持板、を含むセンサユニットを、該センサユニットが搭載される電子装置の筐体に前記支持板を上側にして、前記フレキシブル基板と前記筐体とを接着する第1ステップと、前記フレキシブル基板と前記筐体とが接着した状態で前記支持板を前記フレキシブル基板から剥離する第2ステップと、を有している。
【発明の効果】
【0008】
センサ素子への外力の影響が抑制された接触センサユニット、当該接触センサユニットを備えた電子装置、及び当該接触センサユニットの製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
センサユニットの一例として指紋センサを説明する。
図1(A)は、指紋センサの説明図であり、指紋センサの断面を例示している。指紋センサ1は、可撓性を有したFPC(フレキシブル基板)10、FPC10に実装されたセンサ素子20、支持板30を含む。
【0010】
FPC10は、パターンが形成された導電層16、導電層16の一方の面を覆う保護層12、導電層16の他方の面を覆う保護層14を有している。保護層12は、導電層16の一方の面の全面を覆う。導電層16の一部分は、保護層14から露出している。導電層16の露出した部分で、センサ素子20のバンプ26と接合されている。これにより、センサ素子20とFPC10とは電気的に接合されている。
【0011】
センサ素子20は、被験者の指紋を検出可能な検出面22を有している。検出面22は、FPC10により覆われている。センサ素子20は、半導体チップであるが、これに限定されない。センサ素子20による指紋の検出方式は、静電容量方式である。
【0012】
検出面22は、センサ膜と、センサ膜の下に複数の電極がアレイ状に配置されている。センサ膜表面に被験者の指が触れることにより、指紋形状によって変わる指表面と電極との距離に応じた静電容量に電荷が溜まり、この静電容量と充電電荷に応じた電圧が電極に発生する。指紋センサ1が搭載される電子装置は、このように発生した電圧に基づいて指紋のイメージ画像を形成して指紋認証を行う。尚、センサ素子20による指紋の検出方式は、静電容量方式であるが、電圧測定方式であってもよいし、それ以外の方式であってもよい。
【0013】
FPC10とセンサ素子20の検出面22と間にはアンダーフィル材40が充填されている。
【0014】
支持板30は、センサ素子20が実装されたFPC10の実装面の裏面に貼り付けられている。支持板30は、接着剤32によりFPC10に貼り付けられている。支持板30は、例えば合成樹脂製である。支持板30は、例えば厚さが0.5mm以上である。支持板30は、可撓性を有している。支持板30の最小曲げ半径は、例えば50mm以下である。詳しくは後述するが、支持板30は、指紋センサ1を電子装置に搭載後、FPC10から剥がされる。
【0015】
図1(A)においては、FPC10の下側の面が、被験者の指によりスイープされる面である。即ち、FPC10の裏面側が被験者の指によりスイープされる。被験者は、FPC10をスイープさせることにより、センサ素子20の検出面22により指紋が読み取られる。
【0016】
次に、指紋センサ1の製造方法について説明する。図1(B)は、指紋センサ1の製造方法の説明図である。
まず、支持板30を所定のステージ上に配置して、支持板30の上面に接着剤32を塗布し、FPC10を支持板30の上面に接着する。詳細には、図1(B)に例示するように、FPC10の導電層16が露出している側を上面にしてFPC10を支持板30上に接着する。次に、導電層16が露出した付近に、アンダーフィル材40を塗布する。次に、FPC10をボンディングステージに配置し、ボンディングツールによりFPC10に対してセンサ素子20を位置決めする。そして、センサ素子20をFPC10にフリップチップ実装する。実装は、センサ素子20をFPC10へ向けて加圧した状態で、加熱することにより行われる。これにより、指紋センサ1が完成する。
【0017】
このように、指紋センサ1にFPC10を採用した場合であっても、FPC10の裏面に支持板30が貼り付けられているので、指紋センサ1の強度が向上する。
【0018】
例えば支持板30が設けられていない場合、FPC10に撓みが生じ、FPC10からセンサ素子20が剥がれたり、またはFPC10が撓むことによりセンサ素子20に負荷がかかりセンサ素子20が破損する恐れがある。このため、指紋センサ1を出荷、搬送する際や、または指紋センサ1を電子装置の搭載する際の取り扱いが困難である。しかしながら、FPC10の裏面に支持板30を貼り付けることにより、FPC10が撓むことを防止でき、指紋センサ1の強度が向上する。これにより、指紋センサ1の取り扱いが容易となる。
【0019】
また、センサ素子20の検出面22がFPC10により覆われ、支持板30はFPC10の裏面側に貼り付けられている。このため、被験者によりスイープされるFPC10の面に傷がつくことが防止される。これにより、FPC10に傷が付くことによる指紋センサ1の検出精度の低下が防止される。また、アンダーフィル材40により、バンプ26がFPC10から剥がれることが防止される。
【0020】
センサ素子20の検出面22は、FPC10により覆われている。このため、検出面22に傷などがつくことが防止される。更に検出面22が水分や応力から保護される。FPC10とセンサ素子20の検出面22との間にアンダーフィル材40が充填されているので、これによっても検出面22が保護される。
【0021】
尚、FPC10の厚さは、全体でおよそ25um程度である。導電層16にはメッキ法などによって配線パターンが形成されている。保護層12、14は、ポリミイド樹脂により形成されている。バンプ26は、例えばメッキ法、転写法等により形成されたものである。
【0022】
前述したように、導電層16の露出した部分で、センサ素子20のバンプ26と接合されている。導電層16は、センサ素子20の検出面22との対向する部分には形成されていない。即ち、導電層16は、検出面22との対向を回避するように形成されている。このため、検出面22上にはアンダーフィル材40と保護層12とが積層された状態である。検出面22上に多くの層が積層されていると、指紋の検出精度が低下する恐れがある。しかしながら、検出面22には、アンダーフィル材40と保護層12との2つの層が積層されているので、検出面22の保護を図りつつ、検出面22による指紋の検出精度を確保している。
【0023】
次に、指紋センサ1を電子装置に搭載する場合について説明する。
図2(A)(B)は、指紋センサ1を搭載した携帯電話100の説明図である。図2(A)に示すように、携帯電話100は、折り畳み可能に連結された本体部110と表示部130とを有している。本体部110には、入力キー120が設けられている。表示部130にはディスプレイ140が設けられている。図2(B)は、折り畳まれた状態の携帯電話100を例示している。表示部130の背面側に指紋センサ1が搭載されている。
【0024】
図3は、表示部130の説明図である。表示部130は、正面側ケース150、背面側ケース160、カバー170を含む。正面側ケース150、背面側ケース160は、指紋センサ1が搭載される筐体に相当する。正面側ケース150には、プリント基板151が固定されている。プリント基板151には、コネクタ158が実装されている。背面側ケース160には、指紋センサ1が取付けられる取付部161が形成されている。
【0025】
取付部161には、センサ素子20を収納する凹部162、FPC10を逃すための逃げ孔168が形成されている。FPC10の先端に形成された端子18は、逃げ孔168を介してコネクタ158に接続される。これにより、指紋センサ1とプリント基板151との電気的な接続が確保される。また、カバー170は、指紋センサ1を取付部161に固定する。カバー170には、開口172が設けられている。被験者は、開口172から露出したFPC10を指でスイープすることにより、指紋がセンサ素子20の検出面22により検出される。
【0026】
図4(A)(B)、図5は、指紋センサ1を搭載した携帯電話100の製造方法の説明図である。まず、FPC10の実装面側のセンサ素子20の周囲に両面テープ70を貼り付ける。次に、図4(A)に示すように、支持板30が上方を向くように取付部161に指紋センサ1を取付ける。詳細には、凹部162にセンサ素子20が収納されるように取付ける。この際に、支持板30を背面側ケース160側へ押し付ける。これにより、両面テープ70によるFPC10と取付部161との接着が強固になる。
【0027】
次に、図4(B)に示すように、FPC10と背面側ケース160とが接着した状態で、支持板30をFPC10から剥離する。尚、両面テープ70のピール強度は、接着剤32のピール強度よりも大きい。例えば、両面テープ70のピール強度は、接着剤32のピール強度の2倍以上である。接着剤32のピール強度は、例えば0.1kgf/mm以下であり、両面テープ70のピール強度は、例えば0.2kgf/mm以上である。これにより、FPC10から支持板30を剥離する際に、指紋センサ1が取付部161から剥がれることが防止される。
【0028】
次に、図5に例示するように、両面テープ80によりFPC10の裏面にカバー170を固定する。これにより、背面側ケース160に指紋センサ1が固定される。このようにして、指紋センサ1は携帯電話100へ搭載される。上述したように、搭載された状態での指紋センサ1は支持板30が剥がされている。このため、指紋センサ1は、リジット基板を用いた指紋センサよりも薄型化が達成されている。
【0029】
例えば、FPCが撓むことを防止し、又はセンサ素子を衝撃から保護するために、FPCの実装面側に何らかの補強部材を設けた場合を想定する。この場合、本実施例に係る指紋センサ1と同様に、薄型の状態で携帯電話100に搭載するためには、補強部材をFPCから剥離する必要がある。FPCの実装面側に補強部材が貼り付けられている場合には、指紋センサを携帯電話に搭載する前に補強部材をFPCから剥がし、指紋センサを携帯電話の取付部に固定する必要がある。この場合、補強部材をFPCから剥がした状態でFPCが撓む恐れがある。また、補強部材の剥がしかたによっては、FPCに負荷がかかり、それに伴ってセンサ素子がFPCから剥がれる恐れもある。
【0030】
しかしながら、本実施例の指紋センサ1は、指紋センサ1を携帯電話100に搭載した後に支持板30をFPC10から剥離することにより、FPC10を平坦に維持しつつ携帯電話100へ指紋センサ1を搭載できる。これにより、FPC10が撓むことに伴う指紋の検出精度の低下を防止できる。また、FPC10が平坦な状態で指紋センサ1が携帯電話100へ搭載されるので、指紋センサ1の外観も向上する。
【0031】
また、支持板30がFPC10から剥がされる直前まで、FPC10の裏面は支持板30により保護されているので、指紋センサ1を携帯電話100へ搭載するための作業中においても、FPC10は保護される。また、前述したように、支持板30の最小曲げ半径は、例えば50mm以下である。これにより、支持板30を曲げやすくなり、FPC10から支持板30を剥離することが容易となる。
【0032】
次に、指紋センサ1を搭載した電子装置の変形例について説明する。
図6は、指紋センサ1を搭載した携帯電話の変形例の説明図である。図6に例示するように、凹部162内には樹脂164が充填されている。背面側ケース160へ指紋センサ1を取付ける前に、予め凹部162内に樹脂164を充填しておき、その状態で凹部162内にセンサ素子20が収納されるように指紋センサ1を背面側ケース160に接着固定する。次に、樹脂164の硬化後に、FPC10から支持板30を剥離する。センサ素子20は、樹脂164により覆われているので、耐衝撃性が向上する。また、樹脂164によりセンサ素子20は凹部162に接着されているので、支持板30をFPC10から剥離する際に、指紋センサ1が背面側ケース160から剥がれることが防止される。尚、樹脂164は、例えば熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂でもよい。
【0033】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0034】
尚、上記指紋センサは、ノート型パソコンに搭載してもよい。また、それ以外の電子装置に搭載してもよい。また、本発明は、上記指紋センサだけでなく、タッチパネルなどの接触型センサに対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1(A)は、指紋センサの説明図であり、図1(B)は、指紋センサの製造方法の説明図である。
【図2】図2(A)(B)は、指紋センサを搭載した携帯電話の説明図である。
【図3】図3は、表示部の説明図である。
【図4】図4(A)(B)は、指紋センサを搭載した携帯電話の製造方法の説明図である。
【図5】図5は、指紋センサを搭載した携帯電話の製造方法の説明図である。
【図6】図6は、指紋センサを搭載した携帯電話の変形例の説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 指紋センサ
10 FPC
20 センサ素子
22 検出面
30 支持板
32 接着剤
40 アンダーフィル
70 両面テープ
100 携帯電話(電子装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指紋の検出面を有するセンサ素子と、
前記センサ素子を実装したフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板の前記センサ素子の実装面の裏面に、剥離可能に貼り付けられた支持板と、を備えたセンサユニット。
【請求項2】
前記検出面は、前記フレキシブル基板により覆われている、請求項1のセンサユニット。
【請求項3】
前記支持板は、最小曲げ半径が50mm以下である、請求項1又は2のセンサユニット。
【請求項4】
センサ素子、前記センサ素子を実装したフレキシブル基板、前記フレキシブル基板の前記センサ素子の実装面の裏面に剥離可能に貼り付けられた支持板、を含むセンサユニットを、該センサユニットが搭載される電子装置の筐体に前記支持板を上側にして、前記フレキシブル基板と前記筐体とを接着する第1ステップと、
前記フレキシブル基板と前記筐体とが接着した状態で前記支持板を前記フレキシブル基板から剥離する第2ステップと、を有している電子装置の製造方法。
【請求項5】
前記フレキシブル基板と前記筐体との接着の強度は、前記フレキシブル基板と前記支持板との接着の強度よりも強い、請求項4の電子装置の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−122015(P2010−122015A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294885(P2008−294885)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】