説明

センサ共有による複数オブジェクト源の管理及び選択

【課題】複数個のオブジェクト源間のわずかなばらつきが欠陥として知覚されないようにする。
【解決手段】複数個のオブジェクト源132等、複数個のオブジェクト送給経路114、センサモジュール112及びコントローラ118を備えるオブジェクト取扱システム104を提供する。オブジェクト源132等によって提供されるオブジェクトはそれぞれオブジェクト送給経路114によってセンサモジュール112へと移送でき、コントローラ108は、センサモジュール112に送給されたオブジェクトについての特徴の検知結果を示す情報をセンサモジュール112から受け取ることによってオブジェクト源132等の動作特徴を監視し、状況に応じオブジェクト源132等の動作特徴を調整し又はその差乃至不正分を補償する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複数個のオブジェクト源(object source)にて生成又は提供され当該オブジェクト源から送給されるオブジェクトが到達できるようセンサモジュールが設けられ、各オブジェクト源からのオブジェクトの特徴(aspect)のうち何個かをこのセンサモジュールによって監視又は計測し、このセンサモジュールから得られる情報に基づきオブジェクト源の動作特徴(aspect of performnce)等を管理乃至制御するシステムに関する。本発明は、より詳細には、高度に集積化された文書処理システムを含め、様々なオブジェクト取扱又は生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
文書処理器の中には、複数個のIME(integrated marking engine:集積型又は一体型マーキングエンジン)を備えるものがある。この種の文書処理器を構成するIMEはそれぞれ何個かのIMEプロセスをその理想乃至目標値乃至状態に保持し又は接近させるためセンサ及び制御ループを有しており、電子写真システムの中には複数個の制御ループを階層的に設けた階層的制御機構を備えるものがある。例えば、ある種の電子写真システムは、電子写真アクチュエータを設定値乃至設定状態に保持するためのレベル1制御ループ、レベル1制御ループで使用する設定値乃至設定状態を選択するためのレベル2制御ループ、並びに電子写真プロセスの動作特徴の値乃至状態に関し実際と目標との間の残留誤差を補償するためのレベル3制御ループを、備えている。
【0003】
電子写真システムで利用できるアクチュエータ即ち電子写真アクチュエータとしては、清掃用電界強度乃至電圧、現像用電界強度乃至電圧、イメージャ乃至レーザパワー、(ある種の現像機における)ACワイヤ電圧等がある。例えば、レベル1制御ループにESV(electrostatic volt meter:静電電圧計)を設け、光導電部材が帯びている電荷により生じる荷電電圧をこのESVにより計測するようにした電子写真環境においては、放電エリア電圧や清掃電圧の計測値がその設定値からずれたときに、レベル1制御ループの動作によって、放電エリア電圧や清掃電圧の計測値がその設定値に回帰するようこれら電子写真アクチュエータ(の値)を調整することができる。
【0004】
レベル2制御ループは例えばIRD(infrared densitometer:赤外線濃度計)やETACS(enhanced toner area coverage sensor:拡張型トナー被覆エリアセンサ)を備えている。IRD又はETACSを用いれば、光導電部材に送られ或いは更に光導電部材上で現像されたトナーや着色剤の濃度を、計測できる。従って、例えばテストパッチ内に含まれるトナー又は着色剤の量が目標濃度に合致しておらず又は目標濃度から乖離している場合、レベル2制御ループによって、レベル1制御ループにおけるアクチュエータ用に新たな設定値を一通り又は複数通り、発生させ又は選択することができる。
【0005】
IRDやETACS等のセンサはレベル3制御ループにおいても使用できる。レベル3制御ループにおけるIRDやETACS等のセンサは、複数通りのレベル3テストパッチ濃度目標値に関連付けられているレベル3テストパッチ(群)における濃度を検知する。この検知を通じ、レベル3コントローラでは、実際のTRC(tone reproduction curve:調子、階調又は中間調再現曲線)がどのような曲線であるかを示す情報、ひいてはこのTRCが目標TRCとの間に有している残留誤差についての情報を得ることができる。こういった情報は、レベル2制御ループでは得ることができないものである。レベル3制御ループ又はそのレベル3コントローラは、この情報を用いて色補正ルックアップテーブルを構築する。色補正ルックアップテーブルは、画像経路において画像データを改変し上掲の残留誤差を補償するのに用いられる。
【0006】
このような制御を行えば、個々のオブジェクト源例えばIMEによるオブジェクト生成例えば画像の可視化乃至印刷に際して、高い品質と高いオブジェクト間又はオブジェクト内一致性(consitency)を実現できる。しかしながら、オブジェクト源の動作特徴やオブジェクト源におけるパラメータ、例えばセンサ、トナー、着色剤、温度、湿度等の状態乃至値にはオブジェクト源毎に違いがあるため、例えば第1オブジェクト源にて生成されるオブジェクト(群)と第2オブジェクト源にて生成されるオブジェクト(群)との間に違いが生じ得る。無論、ある1個のオブジェクトについてのオブジェクト生成動作全体を単一のオブジェクト源により行う限り、こういった複数個のオブジェクト源間の相違は全くのところ許容できるものであるが、単一の生成物(文書等)を部分的に別のオブジェクト源により生成する場合は、オブジェクト源間相違が問題となり得る。
【0007】
例えば、文書処理器(document processor)を構成する複数個のIME間に動作特徴面での相違があると、この相違は文書における一致性或いは品質上の問題として知覚され得るものとなる。一例として、複数の印刷エンジンによりブックレットを作成する際に、ブックレット内の相対向する頁を別々の印刷エンジンにより作成したとする。その場合、それら相対向する頁が個別的には高品質であったとしても、それら相対向する頁の間にわずかでも位置ずれ、グレースケール差或いは色差があると、これは欠陥として知覚されてしまう。
【0008】
一致性或いは品質上の問題として知覚されるIME間ばらつきをなくすため、これまでも、個別IME内のセンサ及び制御アルゴリズムをより精巧で洗練されたものにし、且つその状態を恒久的に保てるようにする、という方向に沿って努力がなされてきた。しかしながら、こういった方向で問題を解決するには、多大な研究開発コストが必要であるし、顧客に提供するハードウェアの価格も跳ね上がってしまう。
【0009】
このように、複数個のオブジェクト源を有するシステム又は複数個のオブジェクト源を用いる方法に対しては、オブジェクト源間のわずかなばらつきが欠陥として知覚されること或いは知覚し得る欠陥となることを防ぎ、或いはかかる状況の発生を抑えることが、求められている。
【0010】
【非特許文献1】P.F.Morgan, "Integration of Black Only and Color Printers", Xerox Disclosure Journal, Vol.16, No.6, Nov/Dec.1991, pp.381-83
【非特許文献2】Desmond Fretz, "Cluster Printing Solution Announced", Today at Xerox, No.1129, Aug.3, 2001
【発明の開示】
【0011】
本発明の一実施形態に係るオブジェクト取扱システムは、複数個の(例えば第1及び第2の)オブジェクト源、複数個の(例えば第1及び第2の)オブジェクト送給経路(object delivery path)、少なくとも1個のセンサモジュール並びにコントローラを備える。各オブジェクト源はそれぞれオブジェクトを提供し、各オブジェクト源からのオブジェクトはそれぞれ任意のオブジェクト送給経路を辿って任意の宛先へと移送される。各オブジェクト送給経路に係る宛先は他の何れかのオブジェクト送給経路に係る宛先と同一であってもよいし、別々であってもよいし、交換可能であってもよい。また、オブジェクト送給経路同士に共通乃至共有部分があってもよい。センサモジュールは複数個のオブジェクト送給経路から到達可能であり、送給されるオブジェクトの特徴のうち少なくとも1個を検知する。コントローラは、センサモジュールに送給されたオブジェクトの特徴のうち少なくとも1個についてその検知結果を示す情報をセンサモジュールから受け取ることによって複数個のオブジェクト源の動作特徴のうち少なくとも1個を監視し、状況に応じこれを調整し又はその差乃至不正分を補償する。
【0012】
上記システムは例えば文書処理器として実現することができる。複数個のオブジェクト源には、例えばIME等のマーキングエンジンや各種の可視化乃至印刷装置が含まれる。また、複数個のオブジェクト送給経路例えばシート移送経路の集まりのことを、仲介装置(interposer)と呼ぶことができる。仲介装置は、一般に複数個のオブジェクト源(例えばマーキングエンジンや可視化乃至印刷装置といったシート源)により提供されるオブジェクト(例えばシートや頁)を所定の宛先(例えば吐出装置やセンサモジュール)へと振り分け移送させる。また、センサモジュールは、センシング素子を1個だけ備えるモジュールであってもよいし、複数個備えるモジュールであってもよい。
【0013】
複数個のセンシング素子を以てセンサモジュールを構成する場合、当該センサモジュールは、それら複数個のセンシング素子を、単一のセンサモジュール外装内又は単一のセンサ実装ゾーン内に組み込み又は配置した構成としてもよいし、何個かに分けて外装乃至実装した構成としてもよい。即ち、複数個のセンシング素子がまとめて配置されているか何個かのグループに分けて実装されているかを問わない。本願でいうところの「センサモジュール」は、それぞれ別々の種類の特徴を検知する1個又は複数個のセンシング素子又はその集合体であって、システムを構成するオブジェクト源例えばマーキングエンジンからのオブジェクトをあらゆるセンシング素子にて受け取ることができるよう構成されているセンサモジュールを指している。勿論、この条件に合致しないセンサをシステムに付加することもできるが、そういったセンサは本願でいう「センサモジュール」或いはその「センシング素子」には含まれない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1に、本発明の一実施形態に係るオブジェクト取扱システム104を示す。このシステム104は、オブジェクトがセンサモジュール112に到達できるようセンサモジュール112及び複数個のオブジェクト送給経路114を設けた複数オブジェクト源システムであり、シート源等複数個のオブジェクト源108、複数個のオブジェクト源108から何れかのオブジェクト送給経路114を介して到達可能なセンサモジュール112即ち一組のセンシング素子、その宛先が他のオブジェクト送給経路114の宛先と同一、別々又は交換可能である複数個のオブジェクト送給経路114、並びにセンシングや診断のセッションを指揮、統合又は制御するコントローラ118を備えている。このシステム104は、主吐出口として第1吐出口122及び第2吐出口124を備えるほか、第3吐出口として例えば廃棄用ビン128を備えている。
【0015】
例示したシステム104は、複数個のオブジェクト源108として、第1オブジェクト源132、第2オブジェクト源134及び第3オブジェクト源136を備えている。オブジェクト源108に含まれるオブジェクト源例えばシート源は、当該オブジェクト源から送給されるオブジェクトの特徴のうち何個かをセンサモジュール112にて随時又は周期的に検知乃至監視できる限りにおいて、どのようなオブジェクト源であってもよい。オブジェクトの特徴に関する検知乃至監視結果即ち特徴情報は、システム104にてコントローラ118の制御下に実行されるプロセス即ちオブジェクトの送給、生成、発生、提供、取扱等といったオブジェクト関連動作において、状況に応じ文書処理ジョブの対象たるオブジェクトの特徴又はオブジェクト源の動作特徴を確立若しくは調整し、当該特徴に反応若しくは対応し、又は当該特徴の差乃至不正分を補償する上で、有益に利用できる。
【0016】
例示したシステム104は、複数個のオブジェクト源108として文書源を備える文書処理器として、実現することができる。文書源の例としては、各種シート(例えば紙)用の取込トレイ、印刷済フォームや印刷済頁等の印刷済シート用の取込トレイ、各種可視化乃至印刷装置(IMEや電子写真印刷エンジン)等を、掲げることができる。印刷済シート取込トレイ又はビンを第1オブジェクト源132としIMEを第2オブジェクト源134とする文書処理器としてシステム104を実現した場合、第1オブジェクト源132から提供される印刷済シートはオブジェクト送給経路114(ここでは文書送給経路)を介し例えばセンサモジュール112へと搬送され、センサモジュール112は、例えば第1オブジェクト源132により提供された印刷済シート上の画像の色域(color gamut)、位置ずれの度合い(registration)等を検知、判別する。これによって得られた特徴情報例えば色域情報、位置ずれ情報等の情報は、コントローラ118にて、例えば、第2オブジェクト源134の動作特徴を調整又は制御する際に用いられる。
【0017】
例えば、第1オブジェクト源132及び第2オブジェクト源134を用いれば、最終文書冊子(assembly)中で互いに向かい合わせになる頁を印刷することができる。その際は、まず第1オブジェクト源132からセンサモジュール112へと印刷済頁を提供し、センサモジュール112がその印刷済頁の特徴について検知、判別を行い、その結果に基づき第2オブジェクト源134の動作特徴を調整しつつ、印刷済頁と向かい合わせとなる頁を第2オブジェクト源134により印刷させる。これによって、コントローラ118は、例えば、第2オブジェクト源134により頁上に可視化乃至印刷される画像の陰影乃至濃淡(shading)や色(color)を、印刷済頁の陰影乃至濃淡や色と整合させることができる。
【0018】
また、第2オブジェクト源134を用いれば、第1オブジェクト源132にて印刷済の頁に更にマーキングすることができる。その際は、まず第1オブジェクト源132からセンサモジュール112へと印刷済頁を提供し、センサモジュール112がその印刷済頁の特徴について検知、判別を行い、その結果に基づき第2オブジェクト源134の動作特徴を調整しつつ、センサモジュール112から第2オブジェクト源134へと印刷済頁を送給して第2オブジェクト源134によりその頁に更にマーキングする。これによって、コントローラ118がセンサモジュール112からの特徴情報に基づき第2オブジェクト源134の動作特徴を調整しつつ第2オブジェクト源134によりマーキングを行わせること、例えば、第2オブジェクト源134により付されるマーキングをセンサモジュール112における位置ずれ検知判別結果を示す位置ずれ情報を用いてその頁上の既存マーキングに対して好適に位置合わせすることが、可能になる。
【0019】
更に、第2オブジェクト源134にて画像が可視化乃至印刷されたシートをオブジェクト送給経路114を介し診断対象オブジェクト(ここでは診断対象シート乃至サンプリング用シート)としてセンサモジュール112に移送し、センサモジュール112にてこの診断対象シートから標本を抽出し、この診断対象シート上の特徴を検知し又はこの診断対象シートを精査してその結果を示す情報を得るようにすれば、コントローラ118は、第2オブジェクト源134におけるマーキングプロセスの動作特徴のうち例えば画像の位置合わせ度合いや色の整合度合い若しくは陰影乃至濃淡に関わる動作特徴を、その情報を用いて微調整することができる。
【0020】
複数個のオブジェクト源108が複数個のマーキングエンジンを含んでいる場合、センサモジュール112から得られる情報を用いれば、あるマーキングエンジンにより生成されるオブジェクト乃至印刷物と他の何個かのマーキングエンジンによって生成されるそれとの間の一致性を、確保することができる。また、センサモジュール112からの情報を用いれば、文書処理ジョブの対象のうち特定部分を処理、生成又は提供するためのオブジェクト源を、複数個のオブジェクト源108の中から何個か選択することもできる。
【0021】
コントローラ118は、例えば文書処理ジョブを開始するときや、ユーザ若しくはシステムオペレータから指令を受けたときや、計時ユニットや画像生成ユニット等での計測結果から見て前回診断から所定時間が経過したと認められるときに、診断対象シートを作成し生成した診断対象シートを仲介装置内のオブジェクト送給経路114へと送給するよう複数個のオブジェクト源108のうち少なくとも1個に対し指令し、作成された診断対象シート(群)をセンサモジュール112(又はこれを構成するセンシング素子)に対し例えば次々と移送するようオブジェクト送給経路114に指令する。センサモジュール112即ち一組のセンシング素子は、例えば、診断対象シート上に付されているマーキングの特徴乃至特性をその作成元のオブジェクト源(132、134、136)毎に判別し、現在の色域を示す色域情報、現在の位置ずれを示す位置ずれ情報等の特徴情報をオブジェクト源(132、134、136)毎に収集する。コントローラ118は、例えば、センサモジュール112から得られる特徴情報例えば色域情報や位置ずれ情報をジョブ記述情報(job description)と比較する。例えば、コントローラ118は、ジョブ記述情報をセンサモジュール112から与えられる色域情報と比較し、文書処理ジョブのうち極端又は境界的な色域でのマーキングを含む構成部分に関しては、複数個のオブジェクト源108のうちセンサモジュール112から与えられる色域情報から見て現時点で当該極端又は境界的な色域内の色を生成できるオブジェクト源(132、134、136)を1個選び、選んだオブジェクト源(132、134、136)に対しその色域内の色を生成するよう、処理指令を発する。或いは、コントローラ118は、例えば全オブジェクト源(132、134、136)間での色域の交わり方を判別し、文書処理ジョブの各構成部分が複数個のオブジェクト源(132、134、136)のうち何れかの有効範囲乃至能力範囲内となるよう、ジョブ記述情報を改変する(例えばジョブ記述情報中で要求されている色域を圧縮する)。これらのプロセス等については後に図4を参照してより詳細に説明する。
【0022】
色域情報には色校正情報を含めることができる。従って、選択されている1個のオブジェクト源(132、134、136)により画像として可視化乃至印刷できるよう、センサモジュール112からの情報に基づく調整、補償処理、校正情報適用等により画像データをカスタマイズ又は校正することができる。例えば、選択されている1個のオブジェクト源についてセンサモジュール112により実際のTRC又はエンジン応答曲線を計測判別し、コントローラ118により実際のTRCを理想、所望又は目標TRCと比較して補償乃至校正用TRCを生成し、更にコントローラ118の制御の下に補償乃至校正用TRCを画像データに適用して、選択されているオブジェクト源例えば意図している可視化乃至印刷装置によりその画像データに基づき所望の色で画像を可視化乃至印刷させることができる。
【0023】
本発明の実施形態に係るオブジェクト取扱システムには、何個かの主吐出口を設けることができる。例えば、例示したシステム104には2個の主吐出口122、124が設けられている。これら主吐出口122、124は、シート等を単純に収集して外に出すトレイ又はビンとすることもできるし、ある種の付加的な処理を施す機能部分とすることもできる。例えば、例示したシステム104を文書処理器として構成した場合に主吐出口122及び124により提供し得る機能としては、仕上げ(フィニッシャ)機能、印刷機能、仕上がり品収集機能等がある。第1主吐出口122をステープラ、バインダ、シュリンクラッピング装置等とし第2主吐出口124を単純な文書乃至シート収集トレイ或いはシート揃え装置(collator)等とするというように、主吐出口122及び124は様々な形態を採り得る。
【0024】
本実施形態においては、センサモジュール112から主出力部122又は124にオブジェクトを送るための経路140と、センサモジュール112から廃棄用ビン128にオブジェクトを送るための廃棄用経路142とが、設けられている。センサモジュール112に送られセンサモジュール112による検知乃至精査が行われたオブジェクトが、オブジェクト源により生成送給される標準的なアイテム即ちシステム104にて主生成物として位置づけられる通常生成物(印刷物等)等のオブジェクトである場合、そのオブジェクトはセンサモジュール112から経路140を介して適宜主出力部122又は124に送られる。これに対して、センサモジュール112により標本化、検知乃至精査されたオブジェクトが、その特徴上特殊な又は診断用のオブジェクトである場合、システム104にて主生成物として位置づけられる通常生成物等のオブジェクトを吐出するための主出力部122又は124に送るのは不適切であることから、そのオブジェクトは廃棄用経路142を介して例えば廃棄用ビン128に送られる。文書処理器における廃棄用ビン128は、例えば、サンプルジョブ、診断対象シートその他の非主要ジョブアイテムが送られるパージトレイである。
【0025】
例示したシステム104によれば、まとまって配置されているか何個かのグループに分けて実装されているかを問わず、一組のセンシング素子即ちセンサモジュール112を設け、複数個のオブジェクト源108により生成提供されるオブジェクトの特徴をこのセンサモジュール112により標本化、検知又は精査しているため、オブジェクト源別に専用センサを設けるのみのシステムでは達成できない利点を享受できる。即ち、まず、オブジェクト源別に専用センサを設けるのみのシステムにおいては、オブジェクト源間相違乃至ばらつきに関してはセンサそれ自体が誤差源となり得る。例えば、それぞれオブジェクト源として設けられている複数個の印刷エンジンそれぞれに専用の色センサが設けられているが、本実施形態におけるセンサモジュール112に相当するような一組のセンシング素子即ち複数個の印刷エンジンにより共有乃至共用されるセンシング素子は設けられていないシステムを、考える。この種のシステムにおいては、ある印刷エンジン専用の色センサが経時ドリフトして例えば赤色に対する感受性を増したときに、その印刷エンジンの色域があたかも他の印刷エンジンの色域に比べて赤色側に延びているかのような誤った検知結果が、当該ドリフトしている色センサによりもたらされてしまう。このように特定印刷エンジン専用のセンサにて得られる情報が誤っていると、コントローラからの指令も誤ったものになる。即ち、コントローラが、上述の通りドリフトしており対応する印刷エンジンの色域が赤色寄りであるかの如き検知結果をもたらしている色センサに係る印刷エンジンに対して、文書処理ジョブ(ここでは文書印刷ジョブ)の対象となるオブジェクトのうち赤色部分を印刷せよと、指令してしまう。これに対して、例示したシステム104における品質判断は、全オブジェクト源(132、134、136)により実質的に共有乃至共用されている一組のセンシング素子即ちセンサモジュール112から得られる情報に、基づいている。そのため、センサモジュール112を構成するセンシング素子の中にドリフトしているセンシング素子があっても、オブジェクト源間の相対的な或いは品質的な関係についてはセンサモジュール112から正しい情報が得られる。従って、あるセンシング素子にてドリフトが発生しそのため赤色についての彩度(saturation)や色調(hue)を正確にできない状況に陥ったとしても、オブジェクト源とオブジェクト源との相対関係は正しく識別できるため、他のオブジェクト源に比べて赤色寄りに広がった色域を有するオブジェクト源があればそれを正しく識別できる。
【0026】
例示したシステム104においては、また、センシング素子のドリフトによる他の影響を最小限に抑え又は補償するため、何個かの校正用ターゲットを有する校正用シート乃至校正用オブジェクト146を用い、センサモジュール112を構成する一組のセンシング素子のうち何個かを、随時若しくは周期的に又は要求に応じ、再校正できるようにしている。
【0027】
例えば、システムオペレータは、任意の時点で、校正用シート取込口に校正用シート乃至校正用オブジェクト146をセットし、センサモジュール112に含まれるセンシング素子のうち何個かを校正するようシステムに対し指令を与えることができる。この指令に応じ、コントローラ118は、校正用シート取込口から適切なセンシング素子へと校正用シート乃至校正用オブジェクト146を移送するよう一組のオブジェクト送給経路114に対し指令を与え又はそのためのスケジューリングを実行する。この指令乃至スケジューリングに基づき校正用シート乃至校正用オブジェクト146がセンサモジュール112を構成するセンシング素子へと送給されると、コントローラ118は、センサモジュール112、オブジェクト送給経路114、オブジェクト源108等に対して適宜指令を与え校正プロセスを指揮する。校正プロセスが終了すると、コントローラ118は、例えば、校正用シート乃至校正用オブジェクト146をセンシング素子の視界内から取り除くよう、一組のオブジェクト送給経路114に対し指令する。より具体的には、校正用シート乃至校正用オブジェクト146を廃棄用ビン128に移送するよう、オブジェクト送給経路114に対し指令する。
【0028】
なお、図1においては、例示したシステム104を構成するセンサモジュール112が一箇所にまとまって配置されているように描かれている。しかしながら、本発明を実施する際には、センサモジュールを構成するセンシング素子をシステム内に分散配置することができる。但し、そのようにする場合にも、各センシング素子が複数個のオブジェクト源の何れからも診断対象オブジェクトを受け取れるようシステムを構成しておかねばならず、また診断対象オブジェクトの各特徴を検知するのに用いるセンシング素子が特徴毎に1個でなくてはならない。
【0029】
また、オブジェクト送給経路114を構成する移送機構は、システム104に適するものである限りどのような機構でもよい。オブジェクト送給経路114は、例えば、オブジェクト源から吐出口へとオブジェクトを移送する手段、オブジェクト源からセンサモジュール112へとオブジェクトを移送する手段、センサモジュール112からオブジェクト源へとオブジェクトを移送する手段、センサモジュール112から吐出口へとオブジェクトを移送する手段、あるオブジェクト源から他のオブジェクト源へとオブジェクトを移送する手段等から構成できる。システム104が文書処理器であるなら、オブジェクト送給経路114は、シリンダ状ニップドライブローラ、球面ニップスピンローラドライブ、空気移送モジュール、コンベヤベルト等を有する構成とすることができる。
【0030】
図2に、複数個のオブジェクト源108、複数個のオブジェクト送給経路114及びセンサモジュール112を備えるシステム104の一例として、文書処理システム204を示す。この図の文書処理システム204は、第1IOT(image output terminal)208、第2IOT210、多機能フィニッシャ214、迂回移送モジュール218及びフィニッシャインタフェースモジュール222から構成されている。これらのうち第1IOT208は、オブジェクト源(ここではシート源)として複数個の給紙乃至媒体取込トレイ226、図示しないIME及びスキャナ230を備えており、また第2IOT210は、オブジェクト源として複数個の給紙乃至媒体取込トレイ226及び図示しないIMEを備えている。複数個のオブジェクト送給経路114のうち第1吐出経路234は、第1IOT208内にある第1部分、迂回移送モジュール218内にある第2部分及びフィニッシャインタフェースモジュール222内にある第3部分から構成されており、第2吐出経路は、第2IOT210内にある第1部分238及びフィニッシャインタフェースモジュール222内にある第2部分から構成されており、校正用シート取込経路乃至校正用シート送給経路237は、第1IOT208に設けられている校正用シート取込口236から第1IOT208内を通って迂回移送モジュール218に至り第1吐出経路234のうち第2部分に合流している。第1吐出経路234の第3部分及び第2吐出経路の第2部分は、第2IOT210内の最終ニップ242から始まってフィニッシャインタフェースモジュール222の頂部246に延び多機能フィニッシャ214の第1取込口248及び第2取込口250に至っている。そして、フィニッシャインタフェースモジュール222の下部には、多機能フィニッシャ214の第2取込口250のすぐ下にて第1吐出経路234の第3部分からも第2吐出経路の第2部分からもシートが到達できるよう、補助経路254が形成されている。センサモジュール258は、補助経路254に送給されてきたシート即ち補助経路254にて取り扱われているシート上の特徴を検知乃至精査することができるよう(例えばセンサモジュール258に到達した校正用シート上の特徴のうち少なくとも1個をセンシング素子にて検知してセンシング素子に関する校正情報を収集できるよう)、この補助経路254に隣り合って実装されている。
【0031】
なお、例示したセンサモジュール258は単一の箱、ゾーン又は外装体として描かれており、また単一の補助経路254に隣り合うように描かれている。しかしながら、本願においては、システム内の複数個のオブジェクト源例えばマーキングエンジンから吐出されるオブジェクトがセンサモジュールを構成する各センシング素子に到達可能であり、またそのオブジェクトの各特徴がそれぞれ単独のセンシング素子により検知されるようなあらゆる一組のセンシング素子を、「センサモジュール」と称している。即ち、単一ゾーン乃至外装体内に他のセンシング素子と併置されている場合であっても、何通りかのオブジェクト送給経路に隣り合うようシステム内に分散配置されている場合であっても、この条件を満たす限り、そのセンシング素子はセンサモジュールの一部として認められるものである。
【0032】
また、多機能フィニッシャ214は、IOT208及び210のうち一方又は双方から第1取込口248及び第2取込口250のうち一方又は双方を介し頁乃至シートを受け取り、その頁乃至シートに係るジョブ記述情報に従って且つ自らの能力範囲内で、その頁乃至シートを処理する。多機能フィニッシャ214は吐出口として第1主ジョブ吐出トレイ260、第2主ジョブ吐出トレイ262及びサンプル乃至パージトレイ266を備えており、処理された頁乃至シートは主ジョブ吐出トレイ260及び262のうち一方又は双方に収集される。即ち、ジョブ記述情報の内容や及び多機能フィニッシャ214の能力範囲にもよるが、主ジョブ吐出トレイ260及び262には、ばらの頁やシートだけでなく、各種の仕上がった文書例えばステープリング等の手法により結束されているブックレットやシュリンクラップされている冊子が、まとまって又は振り分けられて収集され得る。
【0033】
図示しないコントローラは、各頁を印刷し、印刷済頁を各種経路乃至経路部分(234、218、238、242、246、254等)を介して移送し、多機能フィニッシャ214にて印刷済頁を整列整頓及び冊子化してそのジョブに係る生成物を作成する、という一連の動作を統合的に指揮する。コントローラはまた、随時若しくは周期的に又はオペレータ等からの要求若しくはシステム上の必要に応じ、IOT208及び210のうち一方又は双方にて画像化乃至印刷させることにより診断対象シート乃至診断対象頁を生成させて、センサモジュール258に送給させる。センサモジュール258は、診断対象シート上の特徴のうち検知すべき特徴を検知しその結果を示す特徴情報をコントローラに送る。これを受けて、コントローラは、補助経路254からサンプル乃至パージトレイ266へと診断対象シートを移送させる。例えば、コントローラは、IOT208及び210のうち一方又は双方にて画像化乃至印刷された図示しない診断対象シートが、多機能フィニッシャ214の第2取込口250へと送り込まれるよう、モータ及び転向器(diverter)に対する指令を発し又はそのためのスケジューリングを実行し、更に、多機能フィニッシャ214を制御して診断対象シートをサンプル乃至パージトレイ266に送給させる。そして、コントローラは、例えば、センサモジュール258から受け取った特徴情報を用いて、引き続く文書処理ジョブ又は文書処理ジョブ構成部分に従い画像が生成される頁乃至シートについて、その生成結果に表れるべき特徴を調整する(IOT208及び210のうち一方又は双方の動作特徴を調整する)。
【0034】
校正用シート取込口236には、必要に応じまた望む場合に、校正用シートが差し込まれる。この校正用シートは、図示しないコントローラによる指令乃至制御の下に、校正用シート取込経路237、第1吐出経路234の第2(及び第3)部分並びに補助経路254を介し、センサモジュール258又はこれを構成するセンシング素子へと移送される。そして、コントローラは、センサモジュール258又はこれを構成するセンシング素子に関する校正プロセスを監視乃至管理する。この校正プロセスの終了時には、コントローラは、診断対象シートに関し上述したやり方と同様のやり方で、校正用シートをサンプル乃至パージトレイ266へと送給させる。校正用シート取込口236はまた、図1を参照して説明した通り、印刷済フォームの取込にも用いることができる。
【0035】
図3に、システム104の他の例として、複数個のオブジェクト源(322等)、複数個のオブジェクト送給経路(356等)並びにセンサモジュール384を備える文書処理器304を示す。この文書処理器304は、頒布器(distributer)308、収集器(collector)312並びに吐出側インタフェースモジュール316に加え、それぞれオブジェクト源たる複数個のIME320を備えている。IME320のうち、第1IME322及び第2IME324は例えば画像を多色のトナー乃至着色剤で可視化乃至印刷できるIMEであり、第3IME326及び第4IME328は例えば画像を単色(例えば黒色)のトナー乃至着色剤でしか可視化乃至印刷できないIMEである。IME322、324、326及び328は、それぞれ、取込側反転器(inverter)330、332、334又は336、並びに吐出側反転器338、340、342又は344を備えている。また、吐出側反転器338、340、342及び344を迂回する経路として、それぞれ、反転器迂回路346、348、350又は352が設けられている。そして、頒布器308からIME322、324、326又は328、収集器312、吐出側インタフェースモジュール316等へとオブジェクト例えばシート乃至頁を移送するための複数個のオブジェクト送給経路(の一部分)が、仲介装置354として、互いに重なり合って形成されている。
【0036】
より詳細には、仲介装置354は、下り経路356、上り経路358、第1吐出専用経路360、第2吐出専用経路362、第1回送経路364及び第2回送経路366を有している。第1吐出専用経路360、第2吐出専用経路362、第1回送経路364及び第2回送経路366と、下り経路356及び上り経路358との間は、複数個の連携路368によって自在にリンクされている。また、吐出側インタフェースモジュール316へとオブジェクト例えばシート乃至頁を移送するための連携路としては、吐出側連携路370が設けられている。従って、仲介装置354を用いれば、任意のIMEから他のIMEへ、或いは任意のIMEから吐出側連携路370へと、オブジェクト例えばシート乃至頁を移送することができる。
【0037】
例えば、頒布器308の取込口372を介しフィーダ等から取り込まれたシート乃至頁は、仲介装置354の一部たる下り経路356へと移送され、更に吐出専用経路360又は362へと送給され、その取込側反転器330、332、334又は336を介してIME322、324、326及び328のうち何れかに入り、そのIME322、324、326又は328によって処理され、そのシート乃至頁を送り込んだ吐出専用経路360又は362へと逆送される。
【0038】
シート乃至頁を吐出専用経路360又は362に逆送する際には、そのシート乃至頁を直接吐出専用経路360又は362に送り込んでもよいし、吐出側反転器迂回路346、348、350又は352を介して送り込んでもよいし、吐出側反転器338、340、342又は344により反転した上で送り込んでもよい。
【0039】
あるIME例えば第1IME322や第2IME324から吐出側反転器やその迂回路を介して又は直接に吐出専用経路360又は362に送給されたシート乃至頁は、そこから更に隣のIME例えば第3IME326や第4IME328に送給することもできるし、仲介装置354の一構成部分たる上り経路358を介して回送経路364又は366に移送することもできるし、上り経路358を介して吐出側連携路370ひいては吐出側インタフェースモジュール316に移送することもできる。回送経路364又は366に送り込まれたシート乃至頁は、仲介装置354の一構成部分たる下り経路356に移送することができ、更にそこから上述の通り吐出専用経路360又は362を介して任意のIME322、324、326又は328の取込口に振り分けることができる。
【0040】
吐出側インタフェースモジュール316内には吐出経路374、補助経路376、第1吐出側インタフェース連携路378及び第2吐出側インタフェース連携路380が設けられており、吐出側インタフェース連携路378及び380は補助経路376を吐出経路374ひいては例えばフィニッシャの吐出トレイに接続している。また、吐出側インタフェースモジュール316内においては、一組のセンシング素子たるセンサモジュール384が補助経路376に隣り合うよう配置されている。従って、仲介装置354、吐出側連携路370及び第1吐出側インタフェース連携路378により、IME322、324、326及び328それぞれから補助経路376従ってセンサモジュール384に至る複数個のオブジェクト送給経路が、形成されることとなる。例えば、第1オブジェクト送給経路として、第1吐出専用経路360、上り経路358の上半分、吐出側連携路370、第1吐出側インタフェース連携路378及び補助経路376を含む経路を考える。この経路によれば、第1IME322や第3IME326からセンサモジュール384へと、シート乃至頁を搬送することができる。また例えば、第2オブジェクト送給経路として、第2吐出専用経路362、上り経路358、吐出側連携路370、第1吐出側インタフェース連携路378及び補助経路376のうち少なくとも一部分を含む経路を考える。この経路によれば、第2IME324や第4IME328からセンサモジュール384へと、オブジェクト例えばシート乃至頁を移送することができる。
【0041】
また、センサモジュール384又はその構成要素たるセンシング素子を、仲介装置354として形成される経路の任意部分に隣り合うよう配置することもできる。即ち、仲介装置354内の各部位から仲介装置354内の他の部位へとオブジェクトを移送するため仲介装置354により形成される経路のうち、IME乃至オブジェクト源322、324、326及び328の何れかから仲介装置354内の何れかの部分に至る経路に隣り合って、センサモジュール384又はその構成要素たるセンシング素子を配置することができる。しかしながら、センサモジュール384又はその構成要素たるセンシング素子を、文書処理ジョブによる処理対象の主たる流れから離れた場所で、補助経路376と隣り合わせに配置することにより、文書処理ジョブによる処理の主要部分を邪魔したりその処理速度を落としめたりすることなく、長めの時間をかけて診断対象シート上の特徴を検知、解析乃至精査することが可能になる。
【0042】
このようにセンサモジュール384を補助経路376に隣り合うよう配置すれば、上述の通り診断対象シート上の特徴の検知、解析乃至精査に長めの時間をかけてもかまわなくなるため、比較的ゆっくりと動作する積分乃至蓄積時間の長いセンシング素子を用いてセンサモジュール384を構成することや、計測を繰り返し行うことが可能になる。高速で動作するセンシング素子に比べて安価であることが多いゆっくりなセンシング素子を用いれば、センサモジュール384を低コストで実現できる。また、計測の繰り返しによって複数通りの計測結果が得られれば、それらを平均化その他の手法で結合し、センシング素子の“読み”に含まれる変化乃至ばらつきを補償する(ならす)ことができる。
【0043】
センサモジュール384がどこに配置されているにしろ、コントローラ(図4参照)は、診断対象オブジェクトたる診断対象シートの生成に関してスケジューリングを実行し、生成した診断対象シートのセンサモジュール384への送給及びセンサモジュール384による検知乃至精査を制御する。診断対象シート上の特徴についての検知結果を示す特徴情報は、センサモジュール384からコントローラへと移送される。コントローラは、この特徴情報を用い、IME322、324、326及び328のうち少なくとも1個による可視化乃至印刷プロセスの調整等を実行する。
【0044】
コントローラは、例えば、第1IME322による生成物(印刷物等)が第2IME324による生成物(印刷物等)とより好適に整合するよう、調整を実行することができる。
【0045】
コントローラは、或いは、検知により得られた特徴情報を用い画像経路データを調整し、使用するIMEの動作特徴のうち所望のものにおける不正要素を補償することができる。例えば、コントローラは、TRCを生成し又は変化させて画像経路データに適用することにより、その画像経路データに係る画像を生成するのに用いるIMEにおけるドリフトを、補償することができる。
【0046】
コントローラは、また、診断対象オブジェクトたる診断対象シート上の画像から検知できるスキュー(skew)その他の位置ずれを補償するため、使用するIMEに関して画像ワーピング(warping)を実行することができる。
【0047】
診断対象オブジェクトたる診断対象シート上の画像からの検知によって得られた特徴情報はまた、生成スケジュールの調整にも使用できる。例えば、第1IME322の色域よりは第2IME324の色域の方が文書処理ジョブの特定部分に従い可視化乃至印刷を実行するのに適している旨、検知により得られた特徴情報から判断できる場合、コントローラは、第2IME324を用いて当該特定部分に従い可視化乃至印刷を実行させることができる。
【0048】
コントローラは、また、シート乃至頁上に可視化乃至印刷すべき画像中の色を単一のIMEでは要求通りに生成できないがある複数個のIMEの組合せであれば能力的に要求通り生成できる場合に、当該組合せに係る2個又はそれ以上の個数のIMEを用いてそのシート乃至頁上にその画像を可視化乃至印刷させることができる。
【0049】
コントローラは、また、現時点におけるIME間の相違乃至ばらつきが大きすぎないかどうかを判別することができる。従って、コントローラは、あるブックレット内の相対向する頁に対する可視化乃至印刷が同一IMEにより実行されるようスケジューリングし、それによって、IME間の相違乃至ばらつきが視認されることとなる恐れを減らすことができる。
【0050】
図4に、システム104の一例として文書処理器たる文書処理システム404を示す。このシステム404は、コントローラ408、複数個のIME412、仲介装置416、センサモジュール420、吐出口424及び廃棄用ビン428を備えている。
【0051】
コントローラ408は、センサモジュールインタフェース432、プロセスアクチュエータスーパバイザ436、スケジューラ440及びビデオ補償器444を有している。
【0052】
センサモジュールインタフェース432はセンサモジュール420と通信するための手段であり、センサモジュール420に対し指令を送って必要な計測を行わせる一方、センサモジュール420による計測結果を示す情報即ち診断対象シート上の特徴についての検知乃至解析結果を示す情報をセンサモジュール420から受け取る。センサモジュールインタフェース432は、受け取った情報即ち診断対象シートについての特徴情報を、コントローラ408内の適切なコンポーネントに供給乃至分配する。例えば、診断対象シートについての特徴情報のうち、プロセスアクチュエータによって制御又は調整できる特徴に関する情報は、センサモジュールインタフェース432によってプロセスアクチュエータスーパバイザ436へと送給される。仮に、センサモジュール420が光沢センサ(gloss sensor)を含んでおり従って検知により得られる特徴情報中に診断対象シート乃至診断対象頁の光沢に係る特徴情報即ち光沢情報が含まれているなら、この光沢情報は、センサモジュール420からセンサモジュールインタフェース432へと送られ、センサモジュールインタフェース432によってプロセスアクチュエータスーパバイザ436へと移送乃至送給される。プロセスアクチュエータスーパバイザ436は、例えば、状況に応じ(即ち状況に鑑み適切乃至必要であると認められる場合)、診断対象シート乃至診断対象頁に係るIME内の制御ループに対し、その診断対象シート乃至診断対象頁の光沢に関連する動作特徴上の設定値その他のパラメータを変化させる指令を与える。その種の指令の例としては、フューザ温度を変える指令を掲げることができる。
【0053】
診断対象シート乃至診断対象頁に関する特徴情報のうち、ビデオ又は画像データを調整することにより調整でき又はその不正要素乃至相違若しくはばらつき分を補償できる特徴についての検知結果を示す特徴情報は、センサモジュールインタフェース432によってビデオ補償器444に移送される。例えば、センサモジュール420がストリーキングセンサ(streaking sensor)を含んでおり従って診断対象シート上に現れたストリーキングについての検知乃至精査結果を示す特徴情報即ちストリーキング情報がセンサモジュール420から得られている場合、このストリーキング情報はセンサモジュールインタフェース432によってビデオ補償器444に移送される。ビデオ補償器444は、例えば、このストリーキング情報に基づきその診断対象シートに係るIME向けの画像データを調整又は修正することによって、そのIMEにより生成される画像中にストリーキングが現れる可能性即ちストリーキング発生傾向を補償する。
【0054】
診断対象シートに関する特徴情報のうち、文書処理ジョブ又はその一構成部分に従い可視化乃至印刷を実行するのにどのIMEを使用するかに影響乃至関連する情報は、センサモジュールインタフェース432によってスケジューラ440へと送給される。例えば、センサモジュール420が色センサ(color sensor)を含んでおり従って診断対象シートに関する特徴情報にその診断対象シート上の画像の色域に関する情報即ち色域情報が含まれている場合、この色域情報はセンサモジュール420からセンサモジュールインタフェース432へと送られセンサモジュールインタフェース432によってスケジューラ440へと送給される。スケジューラ440は、例えばこの色域情報を用いて文書処理ジョブ又はその一構成部分に従う画像生成、可視化乃至印刷に関するスケジューリングを実行する。例えば、文書処理ジョブ中に青色による特徴的な脈動陰影(vibrant shade)を必要とする構成部分があるなら、スケジューラ440は、要求されている青色による陰影を実現、可視化乃至印刷できることを示す色域情報をもたらしている診断対象シートを生成したIMEに対して、当該構成部分に従い画像生成、可視化乃至印刷を実行するよう指令する。また例えば、センサモジュール420が色センサ、位置ずれセンサ(registration sensor)或いはバイセル位置ずれセンサ(bi-cell registration sensor)を含んでおり従って診断対象シートに関する特徴情報にその診断対象シート上の画像の色域に関する色域情報やその診断対象シート上での位置ずれに関する位置ずれ情報が含まれている場合、これら色域情報又は位置ずれ情報はセンサモジュール420からセンサモジュールインタフェース432へと送られる。受け取った色域情報又は位置ずれ情報から判断して複数個のIME412に含まれるIME間に動作特徴上のわずかなしかし無視し得ない相違乃至ばらつきがあると認められる場合、スケジューラ440は、文書処理ジョブの目的となっている書籍又はブックレット内で相対向している頁に対し同一のIMEにより可視化乃至印刷が実行されるようにスケジューリングを実行する。
【0055】
動作時には、コントローラ408はジョブ記述情報450を受け取る。ジョブ記述情報450中の画像部分即ちビデオ454は、ビデオ補償器444に分配乃至供給される。ジョブ記述情報450は、本番の文書処理ジョブを記述する情報であることもあるし、診断対象シートの生成に関するジョブを記述する情報であることもある。また、予め決められている診断対象シートの生成に関しては、そのためのジョブ記述情報をコントローラ408内例えばスケジューラ440内に蓄えスケジューリングしておくようにしてもよい。何れにせよ、ジョブ記述情報450を受け取ったとき、スケジューラ440は、そのジョブ記述情報450によって記述されているジョブの各構成部分に従い画像が生成されるよう即ち可視化乃至印刷されるよう、文書処理システム404のコンポーネント群と交渉する(即ち当該コンポーネント群の動作を調整する)。
【0056】
スケジューラ440は、例えば、複数個のIME412それぞれにて作成された1枚以上の診断対象シートに関するセンサモジュール420による検知乃至精査結果に基づき、各IMEの生成能力と、ジョブ実行上必要とされる条件とを、ジョブの構成部分毎に比較する。この比較の結果に基づき、スケジューラ440は、文書処理ジョブのうちこれからスケジューリングしようとしているジョブ構成部分に従い画像を生成するのに好適に使用できそうなIMEを、複数個のIME412の中から選択し、更に、そのIMEを果たしてそのジョブ部分に係る画像生成に使用できるかどうかを判別する。使用できると判別した場合、スケジューラ440はそのIMEを使用することに決め、そのIME即ち使用IMEに対し当該ジョブ構成部分に係る画像データ即ちビデオ454を適当な時点で送るよう、ビデオ補償器444に対し指令する。ビデオ補償器444から使用IMEにビデオ454を送る際に変更、調整、改変等を施さないでそのまま送ることもできるが、ある種の変更、調整、改変等を施してから送ることも可能である。例えば、使用IMEに関し診断対象シートから得られている特徴情報から判断して、そのIMEをそのビデオ454の可視化乃至印刷に使用すると何らかの可視化乃至印刷異常乃至不正常が発生するものと認められ、またその可視化乃至印刷異常乃至不正常が位置ずれ乃至位置合わせ誤差やストリーキングといった可視化乃至印刷異常乃至不正常即ちビデオ経路上で補償できる可視化乃至印刷異常乃至不正常であると認められる場合、ビデオ補償器444は、そのビデオ454を使用IMEに移送乃至送給する前に、画像ワーピングやTRC補償処理といった適当な補償処理をそのビデオ454に施す。また、ビデオ補償器444においてビデオ454に対しTRCを適用することにより、そのビデオ454の記述に用いられている色空間をそれまでの色空間から使用IME向けの色空間へと変換することができる。例えば、可視化乃至印刷すべきビデオ454がその生成源乃至作成元のデバイスに依存した色フォーマットにて提供されており、この色フォーマットが使用IMEに適する色空間とは異なっている場合、ビデオ補償器444にて、そのビデオ454の色記述をそのビデオ454の作成元デバイスに依存している色記述から使用IME向けの色記述へと変換することができる。この変換又はその基礎となる色空間乃至色記述判別は、使用IMEにて生成された1枚以上の診断対象シート乃至診断対象頁に関しセンサモジュール420にて特徴の検知乃至精査を行うことによって得られた校正情報、即ちIME毎に診断対象シートから得られTRCという形態で記録されている情報に基づき、行うことができる。ビデオ補償器444は、このTRCを用いビデオ454を整えることによって、使用IMEにてそのビデオ454を可視化乃至印刷できるようにしている。
【0057】
文書処理ジョブのうちこれからスケジューリングしようとしているジョブ構成部分に従い画像を生成するのに好適に使用できそうなIMEとして選択したIMEが、実はそのジョブ部分に係る画像生成に使用できないものであると判別された場合、スケジューラ440は、別のIMEを選択し、新たに選択したIME向けとなるようにそのビデオ454を整え又は補償するようビデオ補償器444に対し指令する。ビデオ補償器444は、これに応じ、校正用TRC適用、画像ワーピング等の処理のうち、新たに選択したIMEにより生成された1枚以上の診断対象シートから得られセンサモジュール420から送られた特徴情報に基づき適切と認め得る処理、又はその組合せを、実行する。
【0058】
スケジューラ440はまた、ジョブ構成部分を使用IMEにより実行させることによって生成された画像を担持するシート乃至頁が、使用IMEから適切な吐出装置例えば吐出口424へと送給されるよう、仲介装置416の動作をスケジューリングし指揮する。また、スケジューラ440は、あるIMEから別のIMEへとシートが移送されるよう仲介装置416に対し指令し、そのシートに更なる処理を施させることができる。例えば、センサモジュール420から送られてくる特徴情報を利用することにより、スケジューラ440は、これからそのジョブ構成部分に従い可視化乃至印刷しようとしている画像を単独のIMEで可視化乃至印刷できるのか、またそれが不可能又は不適切である場合どのIMEを組み合わせればその画像を可視化乃至印刷できるのかを、判別できる。より具体的には、センサモジュール420からの色域情報を利用すれば、これからそのジョブ構成部分に従い画像を可視化乃至印刷するのに必要な全ての色を、複数個のIME412のうち1個のみで生成できるかどうか、また複数個のIME412のうちどの2個以上を組み合わせればそれらの色全てを生成できる合成色域が得られるのかを、判別することができる。スケジューラ440は、この判別によって第1IMEと第2IMEとを組み合わせれば当該ジョブ構成部分に従い画像を可視化乃至印刷できると認めた場合、第1IMEにて処理されたシートが第2IMEに移送されることとなるよう仲介装置416に対し指令し且つビデオ454のうち適切な部分をそれらのIMEへと移送するようビデオ補償器444に対し指令する。なお、ビデオ補償器444は、第1又は第2IMEに移送するビデオ454にTRC適用や画像ワーピング等の処理を施す際に、移送先IMEに適した内容の処理を施す。即ち、ビデオ454のうち第1IMEに移送される部分については第1IMEにとり適切となるよう調整乃至設定した内容の処理を、また第2IMEに移送される部分については第2IMEにとり適切となるよう調整乃至設定した内容の処理を施す。
【0059】
ジョブ記述情報450は、ユーザの好み或いはユーザからの指示に関する情報等を含んでいる。例えば、ユーザは、あるジョブ又はその構成部分に従う画像の可視化乃至印刷を、ある特定のIMEにより行わせるよう指示することができ、複数個のIME412の中でその色域が最も広いIMEにより行わせるようすることが指示でき、或いは複数個のIME412の中で最も光沢のある生成物(印刷物等)を生成できるIMEにより行わせるよう指示することができる。スケジューリングプロセスは、このようなユーザの好み又はユーザからの指示によって、拘束されている。なお、仲介装置416を用いれば複数個のIME412の何れによる生成物(印刷物等)をもセンサモジュール420に届けることができるため、スケジューラ440は、それらIME412の能力面での順位付けに関する情報を得ることができ、従ってユーザの好み又はユーザからの指示を充足させることができる。
【0060】
診断対象シートに対する画像の可視化乃至印刷に関する記述を含むジョブ記述情報450が与えられたときや、コントローラ408それ自体の内部で診断対象シート生成要求が発生したときには、スケジューラ440は、診断対象シートを生成するためのタイムスロットの設定乃至選択に関し使用IMEと交渉し、また診断対象シートを使用IMEからセンサモジュール420へと送給するためのタイムスロットの設定乃至選択に関し仲介装置416と交渉する。このとき更に、スケジューラ440は、診断対象シート上の特徴を標本化、検知、解析乃至精査するためのタイムスロットの設定乃至選択に関し、センサモジュールインタフェース432の動作を通じてセンサモジュール420と交渉することもできる。また、診断対象シート上に生成すべき画像を示すデータは、ビデオ454としてビデオ補償器444へと送給される。ビデオ補償器444は、生成すべき診断対象シートの種類やその使用目的次第で、診断対象シート作成用の画像データに改変を施すこともあるし、施さないで済ますこともある。例えば、診断対象シートの使用目的が使用IMEの動作特徴のうち未補償のものについて判別を行うことにある場合、ビデオ補償器444は、診断対象シート作成用の画像データを改変せずに使用IMEに送る。また例えば、診断セッションの目的が補償の有効性を判別することにある場合、ビデオ補償器444は、画像ワーピング、校正用TRCの適用、ストリーク補償等の補償処理を、使用IMEへの移送に先立ち診断対象シート作成用の画像データに適用する。
【0061】
診断対象シート作成用の画像データを受け取ると、使用IMEはその画像データに基づき診断対象シートに係る画像を可視化乃至印刷し、その結果得られた診断対象シートを仲介装置416に送給する。仲介装置416はスケジューラ440から与えられている指令に基づきこの診断対象シートを適切な部材へと移送する。例えば、あるIMEにて作成・完成された診断対象シートをセンサモジュール420にて解析させよという指令がスケジューラ440から与えられている場合は、仲介装置416は、完成している診断対象シートをセンサモジュール420へと直接送って解析させる。また、診断対象シートの使用目的が複数個のIME間の位置合わせ品質(位置が合っている度合い)を判別することでありそのためあるIMEにて(部分的に)作成された診断対象シートを更に別のIMEへと送給せよとの指令がスケジューラ440から与えられている場合は、仲介装置416は、その診断対象シートを当該別のIMEへと送給する。このとき、当該別のIMEは、診断対象シート上に更なるマーキングを施せというスケジューラ440からの指令に従い、且つビデオ補償器444から移送されてくる診断対象シート作成用の適切な画像データ即ち当該別のIMEが診断対象シート上に付すべきマークを指示するデータに基づき、診断対象シート上に更なるマーキングを施すことによって診断対象シートを完成させる(又は完成に近づける)。
【0062】
このように、診断対象シート作成用の画像データを該当するIMEへと送給するようビデオ補償器444に対し指令を与え又はスケジューリングすること、この画像データに基づきシート上にマーキングを施すよう(何個かの)IMEに対し指令を与え又はスケジューリングすること、並びに(必要な場合は)作成中の診断対象シートを次のIMEへと送給するよう仲介装置416に対し指令を与え又はスケジューリングすることにより、診断対象シートを完成させることができる。診断対象シートが完成すると、仲介装置416は、完成した診断対象シートをセンサモジュール420へと送給し、センサモジュール420は、送給されてきた診断対象シート上の特徴を検知、精査乃至記録してその結果を示す特徴情報をセンサモジュールインタフェース432へと送給する。例えば、センサモジュール420を構成しているセンシング素子の種類にもよるが、センサモジュール420は、IME内位置ずれ、IME間位置ずれ、色域、色乃至陰影の校正状況、トナー濃度、バンディング、ストリーキング、光沢等の検知結果を示す特徴情報を、センサモジュールインタフェース432へと送給する。勿論、ここで列記した特徴は一例に過ぎず、他種の特徴を検知するようにしてもよい。センサモジュール420を構成するセンシング素子としては、位置ずれセンサ、色センサ、比色計(colorimeter)、分光光度計(spectrophotometer)、トナー濃度計(toner densitometer)、ストリーキングセンサ、バンディングセンサ、モトルセンサ(mottle sensor)、スキャンバー、バイセル位置ずれセンサ、光沢センサ等を設けることができる。
【0063】
また、図1及び図2を参照して説明したように、センサモジュール420又はこれを構成するセンシング素子は、定期的に、必要に応じ又は所望に応じ、校正することができる。例えば、校正用画像の特徴を検知しその結果を保存せよとの命令を含む校正用ジョブ記述情報を、システムオペレータにより又はその指示の下にジョブ記述情報450としてコントローラ408に与え、校正用シート乃至校正用オブジェクト146を、システムオペレータによる指示の下にまた仲介装置416等を動作させてセンサモジュール420又はこれを構成するセンシング素子に送給することによって、センサモジュール420又はこれを構成するセンシング素子を校正することができる。
【0064】
診断対象シートの解析が完了すると、仲介装置416は、例えば、診断対象シートをセンサモジュール420から退け廃棄用ビン428等へと送給移送する。
【0065】
図5に、複数マーキングエンジンシステムにおける一致性管理方法510を示す。この図に示す方法510は、診断イベントを起動するステップ514、第1マーキングエンジンにより第1診断対象画像を印刷するステップ518、第2マーキングエンジンにより第2診断対象画像を印刷するステップ522、第1診断対象画像の特徴のうち所望のものを計測するセンサモジュール(112、258、384、420等)へと第1診断対象画像を振り分ける(ルーティングする)ステップ526、このセンサモジュールにて第1診断対象画像の特徴のうち所望のものを計測するステップ530、第1診断対象画像の特徴のうち所望のものを計測するセンサモジュール(112、258、384、420等)へと第2診断対象画像を振り分けるステップ534、このセンサモジュールにて第2診断対象画像の特徴のうち所望のものを計測するステップ538、並びに第1及び第2診断対象画像の特徴についての計測結果に基づき且つ状況に応じ補正乃至補償処理を実行するステップ540を、含んでいる。
【0066】
診断イベント起動ステップ514においては、適当な印刷物乃至生成物の特徴のうち、画像品質に関連する特徴であって、所望のものを所望通り管理乃至制御し又はその差乃至不正分等を補償するのに適当なあらゆる特徴に基づき、診断イベントが起動され得る。画像品質に関連する特徴には動的なものもあり得るが、実施形態(104、204、304、404、510等)にて画像品質改善のため補正乃至補償され得る特徴の多くは、静的又は半ば静的な性格のものであると認められよう。即ち、画像品質乃至一致性を高めるため実施形態に係る方法510並びにシステム104、204、304及び404にて管理乃至制御等される特徴は、大抵はゆっくりと変化するものであり、数分、数時間、数日或いは数ヶ月といった期間を経ないとその変化を検出できないものである。その中には、マーキングエンジンの摩耗によって変化するものや、マシン又はその周囲の温度、湿度又はその双方に応じて変わるもの等が、含まれる。具体的には、熱膨張収縮、電荷保持力、トナーの寿命及び吸着性劣化、インク粘度、現像機及びニップの摩耗、レーザ乃至光源の効率等が、文書処理システムの動作特徴の中でも画像品質乃至一致性に影響する動作特徴であり、且つ時間経過に従いゆっくりと又は画像化乃至印刷した画像の個数乃至枚数に応じて変化する性格の動作特徴である。
【0067】
診断イベント起動ステップ514にて診断イベントを起動する引き金となるイベント(診断イベント起動イベント)としては、例えば、システム設計者によって予め選択設定されているデフォルトイベントや、実施形態に係る文書処理システムのオペレータが適宜設定する任意イベントがある。こういったデフォルト又は任意イベントの例としては、文書処理器に電源が投入されたこと、文書処理器が起動されたこと、所定時間例えば20分が経過したこと、所定枚数のシートに対して又は所定個数の画像が可視化乃至印刷されたこと、(所定程度以上)温度又は湿度が変化したこと等を、掲げ得る。
【0068】
また、画像の可視化乃至印刷結果に表れる特徴を調整し又はその差乃至不正分等を補償する上で、方法510を繰り返し実行することが有効な場合がある。即ち、診断イベント起動ステップ514にてある診断イベントが起動され(或いは更に方法510が少なくとも部分的に実行され)たことを以て、診断イベント起動ステップ514が実行され別の診断イベントが起動されるよう、診断イベント起動イベントをデフォルト又は任意設定することができる。例えば、診断対象画像印刷ステップ518又は522にて第1マーキングエンジン(例えば第1IME)又は第2マーキングエンジン(例えば第2IME)により画像化乃至印刷された第1又は第2診断対象画像にストリーキングが現れているとする。この場合、第1又は第2診断対象画像に現れているストリーキングが診断対象画像特徴計測ステップ530又は538にて検知乃至計測されると、この検知乃至計測の結果から見て必要であれば(即ち「状況に応じて」)補正乃至補償処理ステップ540にてこれを補正乃至補償するための動作が実行される。しかしながら、補正乃至補償処理ステップ540にて実行される動作により施される補正乃至補償の量は、慎重を期して、安定性を確保できる程度に抑えるのが望ましい。このように1回の補正乃至補償処理で施す補正乃至補償の量が抑えられている場合には、例えば、ストリーキングに関する補正乃至補償処理が実行されたことを以て診断イベント起動イベントとすればよい。即ち、ストリーキングに関する補正乃至補償処理が実行されたときに診断イベント起動ステップ514を実行させて新たな診断イベントを起動し、診断対象画像印刷ステップ518又は522にて新たな診断対象画像を画像化乃至印刷し、この新たな診断対象画像について更なる画像処理(補正乃至補償処理)が必要であるかを判別するため診断対象画像特徴計測ステップ530又は538にて検知乃至計測を行わせればよい。3回目以降の繰り返しは、必要乃至要求に応じ或いは常に、行うようにすればよい。勿論、(ストリーキング等が発生しているかどうかをシステムオペレータが確認した上で)システムオペレータからの要求乃至指令に応じ診断イベント起動ステップ514を実行して診断イベントを起動するようにしてもよい。
【0069】
第1診断対象画像印刷ステップ518にて印刷する画像には、診断イベント起動ステップ514にて起動された診断イベントに適するあらゆる画像を含めることができる。例えば、診断イベント起動ステップ514にて起動された診断イベントが何個かのIME乃至IOT(322、324、326、328、208等)の色域に関する情報の収集に関連するものである場合、第1診断対象画像印刷ステップ518においては複数個の色パッチを含む画像を印刷すればよい。印刷する色パッチとしては、ANSI(American National Standards Institute)標準比色目標IT8.7/2−1993により規定されているものを例示できる。なお、これは一例に過ぎず、実際上は、使用しているセンサシステムに適しておりまた使用しているマーキングエンジンについての色域判別結果を示す情報を得るのに適している画像を、印刷すればよい。
【0070】
診断イベント起動ステップ514にて起動された診断イベントが画像の均一性に関する情報(例えばストリーキング、バンディング又はモトリングに関する情報)の収集に関連するものである場合、第1診断対象画像印刷ステップ518においては、単一頁内に跨る何本かの長くて均一な中間調ストリップを含む画像を、印刷すればよい。
【0071】
診断イベント起動ステップ514にて起動された診断イベントが画像のサイズに関する情報(例えば収縮等による歪等に関する情報)の収集に関連するものである場合、第1診断対象画像印刷ステップ518においては、何個かの基準(fiducial)マークを含む画像を印刷すればよい。
【0072】
診断イベント起動ステップ514にて起動された診断イベントが画像の位置合わせに関する情報の収集に関連するものである場合、第1診断対象画像印刷ステップ518にて第1診断対象シート上に上記同様又は類似の基準マークを含む画像を印刷するようにしてもよいし、何個かのシェブロン(山形)パターンを含む画像を印刷するようにしてもよいし、これらを共に印刷するようにしてもよい。
【0073】
診断イベント起動ステップ514にて起動された診断イベントが画像の外観(見栄え)上の特徴(例えば光沢)に関する情報の収集に関連するものである場合、第1診断対象画像印刷ステップ518においては、何個かの色パッチ又は何本かの色スイープ(湾曲線)を含む画像を印刷すればよい。
【0074】
第2マーキングエンジンにより第2診断対象画像を印刷するステップ522においては、第1診断対象画像として印刷した画像と同様の画像を印刷すればよい。例えば、第1マーキングエンジンの動作特徴のうちあるものを第2マーキングエンジンの動作特徴のうちそれに対応するものと比較する場合、第2診断対象画像印刷ステップ522においては、第1診断対象画像と概ね同じ画像を含む画像を印刷すればよい。しかしながら、十分考慮されるべきことに、第1診断対象画像と第2診断対象画像とが異なるタイプのものであってもかまわない。例えば、ばらつきのある画像或いは擬似的にランダムな画像に基づき、IMEの各種動作特徴に関する情報を収集するのもよいであろう。加えて、例えば一方が多色で他方が白黒或いは一方が電子写真で他方がインクジェットというように第1IMEと第2IMEのタイプが異なっている場合、IME毎に別々の診断対象画像を用いて同一乃至同類の特徴を検知乃至精査することが可能なこともあり得る。
【0075】
また、第1診断対象画像印刷ステップ518にて診断対象画像が印刷されるシートと、第2診断対象画像印刷ステップ522にて診断対象画像が印刷されるシートは、同一シートであってもよいし別々のシートであってもよい。例えば、IME間位置ずれを調べるために診断対象画像印刷ステップ518及び522にて診断対象画像を印刷する場合、第1及び第2IME(322、324、326、328、208、210等)により同じシート上に何個かの基準マークを付するようにするのが適切である。加えて、画像のサイズや画像の外観に関する特徴を調べる場合も、第1及び第2IMEが同じシートに処理を施すようにするのが適切である。例えば、収縮及び光沢は、融着を施したシートの枚数及びそのシートが晒されたフューザ温度に依存しているため、これらを調べるには第1及び第2IMEにより同じシートに処理を施すのが望ましい。従って、複数個のマーキングエンジンにより1枚のシートを処理することが印刷ジョブ上必要とされている場合、それら複数個のマーキングエンジンにより処理された1枚の診断対象シートを調べるようにすることが、適切である。複数個のマーキングエンジンの組合せにより実現される色域を調べる際にも、第1診断対象画像と第2診断対象画像とを同一シート上に印刷するようにすることが、有益である。
【0076】
各種構成部分(218、234、238、242、246、254等)を含む仲介装置又はこれにより実現される一組のオブジェクト送給経路(114、354、416等)を用いれば、第2診断対象画像印刷ステップ522にて第2マーキングエンジン(210、208、324、326、328、322等)又は第2オブジェクト源(134、136、132等)がそのシート上に第2診断対象画像を印刷できるよう、第1診断対象画像印刷ステップ518にて第1マーキングエンジン(208、210、322、324、326、328等)又は第1オブジェクト源(132、134、136等)により印刷された第1診断対象画像を担持しているシートを、第2マーキングエンジン又は第2オブジェクト源に振り分けることができる。勿論、更なるマーキングエンジンを備えているシステムにおいては、こういった仲介装置又はそれにより形成される一組のオブジェクト送給経路からなる移送機構を用い、当該更なるマーキングエンジンへと診断対象シートを送給することができ、従って当該診断対象シート上に更なる診断対象画像を付することができる。
【0077】
仲介装置乃至移送機構(114、354、416、218、234、238、242、246、254等)を用いれば、また、診断対象画像振り分けステップ526及び534にて、第1又は第2診断対象画像をセンサモジュール(112、258、384、420等)又は組をなす複数個のセンシング素子へと、振り分けることができる。第1及び第2診断対象画像が同一シート上にある場合は、勿論、一連のIMEのうちそのシートを最後に処理し又は改変したIME(例えばそのシートを2個のIMEにより処理した場合は2番目のIME)からセンサモジュール又はセンシング素子へと当該1枚の診断対象シートを移送することによって、センサモジュール又はその適切なセンシング素子へと診断対象画像を振り分けるステップ526及び534を、一挙に実行できる。また、第1診断対象画像と第2診断対象画像とを別々のシート上に可視化乃至印刷する場合は、それら診断対象画像の可視化乃至印刷並びにそれを担持している個別のシートの振り分けを適宜スケジューリングすることによって、それら診断対象画像を適当な順番でセンサモジュール又は適切なセンシング素子に振り分けることができる。
【0078】
診断対象画像の特徴のうち所望のものを計測するステップ530及び538においては、システム構成次第で診断対象画像のあらゆる特徴を計測することができる。例えば、診断対象画像の全体又は一部分が診断対象画像印刷ステップ518又は522にて色域情報の収集を目的とし可視化乃至印刷されている場合、センサモジュール又はこれを構成するセンシング素子としては、比色計、分光光度計その他、色情報を生成乃至処理する手段(色センシング素子)を設け、この色センシング素子を例えば定期的に又は必要に応じ校正して使用すればよい。校正の際、校正用シート(146等)としてはANSI IT8.7/2−1993に準拠した画像等を含むシートを用いこれをセンサモジュール(112、258、384等)に振り分ける。すると、センサモジュール又はその色センシング素子は、このシート上の画像例えば色パッチについて計測を行いその結果得られた計測値を記録する。記録された計測値は、例えばセンサモジュールと連携しているメモリ内に格納され、或いはコントローラに送られてコントローラからアクセスできる記録装置内に格納される。このようにして校正時計測値が格納された後に、例えばANSI IT8.7/2−1993等に準拠した画像等を含む診断対象画像が診断対象画像印刷ステップ518又は522にて可視化乃至印刷され診断対象画像特徴計測ステップ530又は538にて計測されると、その結果得られる計測値が格納済の校正時計測値と比較され、その結果に基づき校正時計測値に対する差分乃至色差分を示す指標値、例えば校正時に計測した色と診断対象画像から計測した対応する色との間のユークリッド距離ΔEが導出される。ユークリッド距離ΔEは、校正用シート上における印刷結果と第1診断対象画像との間のユークリッド距離として即ち第1マーキングエンジンについてのユークリッド距離として導出することもでき、また第2マーキングエンジンについてのユークリッド距離として導出することもできる。ユークリッド距離ΔEとしては、1個の診断対象画像中の色パッチ毎のユークリッド距離を導出することもでき、1個の診断対象画像内における平均ユークリッド距離を導出することもでき、原色(C,M,Y,K)毎のユークリッド距離を導出することもでき、白黒乃至単色マーキングエンジンであれば黒色等の単色パッチについてのユークリッド距離を導出することもでき、またそれらの組合せ、結合物乃至合成物を導出することもできる。ユークリッド距離ΔEとしては、色に限らず、一般に、ある1個のマーキングエンジンの特徴とその特徴の標準的な値乃至状態との間のユークリッド距離を導出することもでき、また複数個のマーキングエンジン間で特徴同士のユークリッド距離を導出することもできる。こういった手法による色その他の特徴の比較は、センサモジュール若しくはこれを構成するセンシング素子により得られた計測値情報に基づきセンサモジュールにより、又はセンサモジュール若しくはこれを構成するセンシング素子から送られてくる計測値情報に基づきセンサモジュールとは別体のコントローラ(118、408等)により、行うことができる。
【0079】
また例えば、診断対象画像の全体又は一部分が診断対象画像印刷ステップ518又は522にて画像の均一性に関する情報の収集を目的とし可視化乃至印刷されている場合、センサモジュール若しくはこれを構成するセンシング素子又はコントローラ等の処理手段としては、カラースキャンバー、ユークリッド距離空間依存性算出手段等、画像の均一性を判別し画像の均一性に関する情報を収集することができるセンサや処理手段を設ければよい。ユークリッド距離ΔEの空間依存性を算出するには、診断対象画像印刷ステップ518又は522にて第1又は第2診断対象画像内に中間調ストリップを可視化乃至印刷し、中間調ストリップに含まれる様々な点についてユークリッド距離ΔEを計算すればよい。ユークリッド距離ΔEの空間依存性からは、ストリーキング、バンディング、モトリング等を識別しその量を求めることができる。例えば、プロセス方向におけるユークリッド距離ΔEの変化分はストリーキングの発生及びその量を表しており、プロセス方向と直交する方向即ちクロスプロセス方向におけるユークリッド距離ΔEの変化分はバンディングの発生及びその量を表している。プロセス方向におけるユークリッド距離ΔEの変化分及びクロスプロセス方向におけるユークリッド距離ΔEの変化分を併せて精査すれば、モトリングが発生していることを認識識別しその量を求めることもできる。
【0080】
また例えば、診断対象画像の全体又は一部分が診断対象画像印刷ステップ518又は522にて画像のサイズに関する情報の収集を目的とし可視化乃至印刷されている場合、センサモジュール若しくはこれを構成するセンシング素子又はコントローラ等の処理手段としては、画像サイズ又はその判別に使用できる情報が得られる画像サイズセンサや、センサモジュール又はこれを構成するセンシング素子から得られる情報に基づき画像サイズを判別できる処理手段を、設ければよい。例えば、診断対象画像中に含まれる基準マークの位置を判別できるスキャンバーその他の計測装置を、使用すればよい。
【0081】
また例えば、診断対象画像の全体又は一部分が診断対象画像印刷ステップ518又は522にて画像の位置ずれに関する情報の収集を目的とし可視化乃至印刷されている場合、診断対象画像の特徴のうち所望のものを計測するステップ530又は538においては、バイセル位置ずれセンサ等の位置ずれセンサを用いて診断対象画像を調べればよい。例えば、診断対象画像に含まれている何個かのシェブロンがバイセル位置ずれセンサの視界内を通過したときに、このバイセル位置ずれセンサの視界各部内をシェブロンの各部がよぎったタイミングを検知し、その結果を示すタイミング情報を処理すれば、シェブロンの各部分の向き及びそれらの間の相対的位置関係並びに複数個のシェブロンの向き及びそれらの間の相対的位置関係を、判別することができる。
【0082】
また例えば、診断対象画像の全体又は一部分が診断対象画像印刷ステップ518又は522にて光沢情報の収集を目的とし可視化乃至印刷されている場合、診断対象画像の特徴のうち所望のものを計測するステップ530又は538においては、光沢センサ乃至光沢計を用いて診断対象画像の少なくとも一部を調べればよい。光沢計は、例えば、既知の又は所望の向きで配置された光センサ及び光源によって実現できる。より具体的には、例えば、精査対象シート面に対して20°、45°、60°、75°又は85°の方向を向くようフォトディテクタ及びこれに対応する光源を設けたものを、光沢計として使用することができる。
【0083】
上述した通り、第2診断対象画像の特徴のうち所望のものを計測するステップ538は、第1診断対象画像の特徴のうち所望のものを計測するステップ530に関して述べたものと同様の手段を含め、各種の適当な手段によって実現できる。第2診断対象画像の特徴のうち所望のものに関する計測結果を用いれば、第2マーキングエンジンに対し施すべき補正乃至補償処理の内容や量を判別決定でき、また第1マーキングエンジンと第2マーキングエンジンの動作特徴比較結果を判別してその結果を示す情報を生成できる。後者についていえば、2個の白黒マーキングエンジンK1及びK2と2個の多色マーキングエンジンC1及びC2を含む4個のマーキングエンジンを有するシステムであれば、これらのマーキングエンジンのうち任意の1個を第1マーキングエンジン、他の任意の1個を第2マーキングエンジンとし、それら第1及び第2マーキングエンジン間の動作特徴比較結果を判別してその結果を示す情報を生成できる。例えばこのシステムにて2個の白黒マーキングエンジン間の色域の差を補償したい場合は、ΔE(K1−K2)を求めればよい。また、これに限られるものではないが、ユークリッド距離ΔEとしてΔE(K1−C1)、ΔE(K1−C2)、ΔE(K2−C1)、ΔE(K2−C2)及びΔE(C1−C2)を求めてもよい。
【0084】
勿論、本実施形態に係る方法510は、第3、第4等々の診断対象画像を印刷するステップ、それらをセンサモジュール又は適切なセンシング素子へと振り分けるステップ、それらの特徴のうち所望のものを計測するステップ、並びにその結果に基づき補正乃至補償処理を施すステップを含む方法へと、拡張することができる。
【0085】
例えば、色域を調べるに当たり、3個、4個若しくはそれ以上の個数のマーキングエンジンの間の様々なユークリッド距離ΔE、即ち色域の相違乃至ばらつきを求めてもよい。先に採用した用語法及び先に述べた例に従いいうなら、ユークリッド距離ΔEとしてΔE(K1−K2−C1)、ΔE(K1−K2−C2)、ΔE(K1−C1−C2)、ΔE(K2−C1−C2)及びΔE(K1−K2−C1−C2)を求めてもよい。
【0086】
更にいえば、第2診断対象画像の特徴のうち所望のものを計測するステップ538(或いは更に第3、第4等々の診断対象画像の特徴のうち所望のものを計測するステップ)にて計測した生成オブジェクトの特徴(例えば画像の均一性、サイズ、位置ずれ、外観等に関する特徴)は、個々のマーキングエンジンの動作特徴をその理想若しくは標準値若しくは状態と比較しまたマーキングエンジン間の動作特徴の相違乃至順位付けに関する情報を知るのに用いることができる。この比較乃至収集により得られた情報を用いれば、補正乃至補償処理ステップ540等にて補正乃至補償処理を実行できる。
【0087】
補正乃至補償処理ステップ540には、診断対象画像特徴計測ステップ(530、538等)における計測結果を用いてシステムアクチュエータ乃至設定値を調整するサブステップ、システムの動作特徴が調整され又はその不正分等が補償されるよう診断対象画像特徴計測ステップにおける計測結果を用いてジョブ記述情報を調整するサブステップ、或いは最終生成物乃至印刷物にて実現したい一致性その他の目標を確実乃至次善的に達成できるよう診断対象画像特徴計測ステップにおける計測結果に応じてジョブ生成をスケジューリングするサブステップを、含めることができる。
【0088】
色域を例としていえば、補正乃至補償処理ステップ540には、個々のマーキングエンジンにおけるユークリッド距離ΔEを原色毎に最小化するための処理を診断対象画像特徴計測ステップ(530、538等)における計測結果を用いて実行するサブステップや、デフォルトで与えられている指示や顧客乃至システムオペレータから与えられる指示に係る若しくはこれに併用される拘束条件を診断対象画像特徴計測ステップにおける計測結果に応じプラナ/スケジューラに課すサブステップを、含めてもよい。中でも、個々のマーキングエンジンにおけるユークリッド距離ΔEを原色毎に最小化するための処理を実行するサブステップには、レーザ等のイメージャの動作特徴例えばLEDパワーや、現像機の動作特徴たる原色毎の現像電圧等、マーキングエンジンの動作特徴を計測結果に応じ調整するサブステップを含めることができる。個々の可視化装置の動作特徴を調整し又はその差乃至不正分等を補償するには、ジョブ記述情報中の画像データ即ちビデオを計測結果に応じ操作すればよい。例えば、何個かの補償用TRCをジョブ記述情報中の画像データに適用することによって、その画像を生成するようスケジューリングされているマーキングエンジン即ち使用マーキングエンジンの現時点での校正結果乃至動作特徴に相応するよう、当該画像データを操作して調整することができる。
【0089】
また、上に述べたように、補正乃至補償処理ステップ540には、診断対象画像特徴計測ステップ(530、538等)における計測結果を示す情報に基づきプラナ/スケジューラに拘束条件を課すサブステップを、含めることができる。ここに、スケジューリングの目的の一つはスループットを最大化させることにあり、そのため、プラナ/スケジューラは、例えばあるマーキングエンジンがふさがっているときには別のマーキングエンジンにより画像を可視化乃至印刷させるといった具合にスケジューリングする。しかしながら、画像の品質乃至一致性をある特定のレベル以上にするよう、顧客乃至ユーザが指示乃至要求を発して求めることもある。その場合、プラナ/スケジューラは、例えば、まずマーキングエンジンの動作特徴に関わる情報例えば診断対象画像特徴計測ステップ(530、538等)における計測結果を示す情報を、顧客乃至ユーザから求められている品質、一致性等と比較し、続いて、ジョブ又はその構成部分のうち肝要なもの(顧客乃至ユーザから求められている品質等を実現する上で重要なもの)に係る画像が、システム内マーキングエンジンのうち最適なマーキングエンジン即ち与えられた要求水準又はそれを上回る水準を達成できるマーキングエンジン(或いは不備な場合はそれに次ぐマーキングエンジン)で可視化乃至印刷されるよう、比較の結果に基づきスケジューリングする。このようにすれば、画像の品質乃至一致性をある特定のレベル以上にせよ等と求められた場合に、(少なくとも次善的には)これに応え要請を充足させることができる。また、ここで顧客乃至ユーザからの要求乃至要請と比較されるマーキングエンジンの動作特徴は、例えば、絶対ユークリッド距離ΔEの平均値、絶対ユークリッド距離ΔEの空間的変化乃至ばらつき、原色毎のユークリッド距離ΔEの平均値、原色毎のユークリッド距離ΔEの空間的変化乃至ばらつき等、画像の特徴のレベルに従い順位付けされている。従って、顧客が仮に“各部分におけるユークリッド距離ΔEとその理想値との差が1.5未満となるようジョブを実行して白黒画像を可視化乃至印刷せよ”と求めているなら、プラナ/スケジューラでは、システム内の使用できるマーキングエンジンのうちどのマーキングエンジンにおいて黒色(K)のユークリッド距離ΔEとその理想値との差が1.5未満になっているのかを判別し、1.5未満になっていると判別されたマーキングエンジンのみを用いてそのジョブが実行されるようスケジューリングを行えばよい。また、文書内の相対向する頁に対して画像を可視化乃至印刷する場合等において、顧客が仮に“精密さ乃至正確さを高めることよりも一致性を高めることの方が重要であるので私が指定した部分が4.0未満の相対ユークリッド距離ΔEで可視化乃至印刷されるよう多色ジョブを実行して多色画像を可視化乃至印刷せよ”と求めているなら、プラナ/スケジューラでは、使用できるマーキングエンジンのグループのうちどのグループであれば現時点で4.0未満の相対ユークリッド距離ΔEを実現できるかを判別し、またそれらグループのうち何れのグループが最も多数のマーキングエンジンを含んでいるか又は最も迅速に若しくは効率的にそのジョブを実行して画像を可視化乃至印刷できるかを判別し、顧客によって指定された部分即ち4.0未満の相対ユークリッド距離ΔEで可視化乃至印刷すればよい部分がこれらの判別条件を最も好適に充足したマーキングエンジンのグループによって可視化乃至印刷されるようスケジューリングを行えばよい。なお、何れのグループも相対ユークリッド距離ΔEに係る判別条件を満たしていない場合、指定部分については、ある単一のマーキングエンジンにより可視化乃至印刷されるようスケジューリングすればよい。
【0090】
画像の均一性を例としていえば、補正乃至補償処理ステップ540には、画像全体に亘るユークリッド距離ΔEの変化乃至ばらつきを最小化するための処理を診断対象画像特徴計測ステップ(530、538等)における計測結果を用いて実行するサブステップや、顧客乃至システムオペレータから与えられる指示又は要請に係る若しくはこれに併用される拘束条件を診断対象画像特徴計測ステップにおける計測結果に応じプラナ/スケジューラに課すサブステップを、含めることができる。前者に関していえば、プロセス方向におけるユークリッド距離ΔEの変化乃至ばらつきは、計測結果に応じ例えばLEDアレイ等の光子イメージャ(photonic imager)の駆動レベル乃至パワーレベルを空間依存的に変化させれば、補償できる。例えば、ストリーキングの検知結果に基づき、明るいストリークの発生に関わっているLEDは低めの強度で(光が集中しないよう)駆動し、暗いストリークの発生に関わっているLEDは少なめのパワーで駆動する、といった具合である。或いは、空間依存性のTRCを計測結果に応じて画像データ乃至ビデオに適用し画像の明るさを調整することによっても、そのビデオに基づき使用マーキングエンジンにて生成される画像におけるユークリッド距離ΔE等の空間的変化乃至ばらつきを補償できる。
【0091】
また、上述したように、補正乃至補償処理ステップ540には、顧客乃至システムオペレータから与えられる指示又は要請に係る若しくはこれに併用される拘束条件を診断対象画像特徴計測ステップにおける計測結果に応じプラナ/スケジューラに課すサブステップを含めることができる。プラナ/スケジューラは、この種の拘束条件が与えられている場合、要求されている拘束条件又はそれを上回る水準を達成できるマーキングエンジンのみによってジョブが実行され画像が生成されるよう、各所に指令を与え又はスケジューリングを実行する。例えば、頁全体に亘るユークリッド距離ΔEが4.0未満となるようなプリンタのみによってジョブに係る画像化乃至印刷が実行されるよう顧客が要求している場合、プラナ/スケジューラは、計測結果に基づき、指定されている条件を満たしつつ現在動作中のマーキングエンジン、或いはジョブ実行によって生成される画像におけるユークリッド距離ΔEが4.0未満となるよう画像データ乃至ビデオを補償できるマーキングエンジンを何個か選び、選んだマーキングエンジンのみによってジョブが実行され画像が生成されるよう、発令等すればよい。
【0092】
画像のサイズを例としていえば、補正乃至補償処理ステップ540には、適切なサイズで画像が可視化乃至印刷されるよう診断対象画像特徴計測ステップ(530、538等)における計測結果に基づきシステムアクチュエータを調整するサブステップや、適当なサイズで画像が可視化乃至印刷されるよう診断対象画像特徴計測ステップにおける計測結果に基づき画像ワーピング手法を適用するサブステップを、含めることができる。例えば、診断対象画像特徴計測ステップにおける計測結果に基づき、システムアクチュエータの一種たるフューザ温度を調整すれば、画像の収縮程度を加減させることができる。また、診断対象画像特徴計測ステップにおける計測結果に基づき、画像がスケーリング又はワーピングされるようジョブ記述情報乃至画像記述情報を改変すれば、使用中の可視化装置乃至マーキングエンジンにて現在発生している画像収縮のレベルに応じ当該画像収縮を補償することができる。
【0093】
画像の位置ずれを例としていえば、補正乃至補償処理ステップ540には、診断対象画像特徴計測ステップ(530、538等)における計測結果に基づきプロセスアクチュエータを調整するサブステップや、診断対象画像特徴計測ステップにおける計測結果に基づき画像経路乃至ビデオ経路補償を実行するサブステップや、顧客乃至システムオペレータから与えられる指示又は要請に係る若しくはこれに併用される拘束条件を診断対象画像特徴計測ステップにおける計測結果に応じプラナ/スケジューラに課すサブステップを、含めることができる。
【0094】
例えば、診断対象画像特徴計測ステップにおける計測結果に応じ、それぞれプロセスアクチュエータの一種たるレーザ発光位置乃至レーザ光照射位置やレーザ発光タイミング等を調整することにより、画像の位置ずれを修正しより良好に画像を位置合わせすることができる。また、診断対象画像特徴計測ステップにおける計測結果に応じ、画像位置がシフトするようジョブ記述情報を改変することにより、使用マーキングエンジンにおける位置不正分を補償できる。また、診断対象画像特徴計測ステップにて特徴情報として得られる画像位置ずれ情報を用い、プラナ/スケジューラに拘束条件を課すこともできる。例えば、システム中のマーキングエンジンは、位置合わせ精度に従い、またはそのマーキングエンジンにて現在達成されている位置合わせ水準の類似度に応じて、順位付け又はグループ分けすることができる。顧客乃至システムオペレータから画像の位置合わせに関する指示又は要請が与えられると、プラナ/スケジューラにおいては、このように順位付け或いはグループ分けされている位置合わせ水準を示す情報に従い、使用できるマーキングエンジンにおける現在の位置合わせ水準が顧客乃至システムオペレータからの指示又は要請と照合され、絶対値又は相対値で指定されている画像位置合わせ精度範囲内で画像を可視化乃至印刷できるマーキングエンジンのみによってジョブが実行され画像が生成されるよう、ジョブがスケジューリングされる。
【0095】
画像の外観例えば光沢を例としていえば、補正乃至補償処理ステップ540には、診断対象画像特徴計測ステップ(530、538等)における計測結果に基づきシステムアクチュエータ、ビデオ又は画像データストリームを調整するサブステップや、顧客乃至システムオペレータから与えられる指示又は要請に係る若しくはこれに併用される拘束条件を診断対象画像特徴計測ステップにおける計測結果に応じプラナ/スケジューラに課すサブステップを、含めることができる。前者についていえば、例えば、何個かのマーキングエンジンにおけるフューザ温度を変化させれば光沢を制御でき、電子写真マーキングエンジンにおける各部電界強度を変化させれば現像質量を変化させることができ、また使用する中間調スクリーンを変え若しくは使用する中間調スクリーンにおけるしきい値を変えれば現像質量を調整できる。後者についていえば、画像の外観例えば光沢に関して顧客乃至システムオペレータから与えられる指示又は要請を、診断対象画像特徴計測ステップ(530、538等)における計測結果及びそれに基づく画像外観順位付け情報と組み合わせて使用することによって、プラナ/スケジューラにおいては、生成物乃至印刷物における頁内、シート内又は対向頁間での外観乃至光沢の変化乃至ばらつきが最小になるよう、最適の又は許容できるマーキングエンジン又はその組合せを選択することができる。
【0096】
上述したように、補正乃至補償処理ステップ540は要求乃至必要に応じて実行すればよく、また当該要求乃至必要は絶対的な正確性を求めるものであってもよいし相対的な正確性を求めるにとどまるものであってもよい。多くの場合、顧客からの要求を満たすには、相対的に正確であり従って一致性があれば十分である。画像品質乃至一致性に関わる各種の特徴を検知するためのセンシング素子を特徴毎に1個ずつとしシステム内の全ての画像源乃至オブジェクト源にてこれら特徴毎に1個のセンシング素子を共有乃至共用することにより、センシング素子における変化乃至センシング素子間のばらつきによって一致性に誤差が生じることを、防ぐことができる。また、以上の説明においては、何個かのセンシング素子を含む単一のセンサモジュールを1本の補助経路に隣り合うよう設けたシステムを以て本発明の実施形態を説明したが、理解されるべきことに、検知乃至計測の対象となる画像乃至オブジェクトを可視化、印刷乃至生成したマーキングエンジン乃至オブジェクト源がどれであるかによらず、当該生成物例えば印刷物の特徴のうち特定のものが何れの生成物についても同一のセンシング素子により検知乃至計測されるよう構成されている限り、センサモジュールを複数個設けてもよいし、複数個のセンシング素子をひとまとめにせずバラバラに配置してもよいし、配置先は補助経路ではなく主経路であってもよいし、配置先の補助経路乃至主経路は複数本であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】オブジェクトがセンサモジュールに到達できるようセンサモジュール及び複数個のオブジェクト送給経路を設けた複数オブジェクト源システムのブロック図である。
【図2】センサモジュール及び複数個のオブジェクト送給経路(文書経路)を備える文書処理器を示す図である。
【図3】センサモジュール及び複数個のオブジェクト送給経路(文書経路)を備える他の文書処理器を示す図である。
【図4】複数個のIME及びセンサモジュールを備える文書処理器のブロック図である。
【図5】複数マーキングエンジンシステムにおける一致性管理方法を概括するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれオブジェクトを提供する複数個のオブジェクト源と、
任意のオブジェクト源から他の何れかのオブジェクト送給経路に係る宛先と同一、別々又は交換可能な任意の宛先へとそれぞれオブジェクトを移送するための複数個のオブジェクト送給経路と、
送給されるオブジェクトの特徴のうち少なくとも1個を検知する少なくとも1個のセンサモジュールであって上記複数個のオブジェクト送給経路から到達可能なセンサモジュールと、
センサモジュールに送給されたオブジェクトについての特徴の検知結果を示す情報をセンサモジュールから受け取ることによって、上記複数個のオブジェクト源の動作特徴のうち少なくとも1個を監視し、状況に応じこれを調整し又はその差乃至不正分を補償するコントローラと、
を備えるオブジェクト取扱システム。
【請求項2】
請求項1記載のオブジェクト取扱システムにおいて、
上記複数個のオブジェクト源が、第1、第2及び少なくとも1個の付加オブジェクト源を含め、少なくとも3個のオブジェクト源を含み、
上記複数個のオブジェクト送給経路が、それぞれ第1、第2又は少なくとも1個の付加オブジェクト源から他の宛先と同一、別々又は交換可能な第1宛先、第2宛先又は少なくとも1個の付加宛先へとオブジェクトを移送するための第1、第2及び少なくとも1個の付加オブジェクト送給経路を含め、少なくとも3個のオブジェクト送給経路を含み、
上記センサモジュールが、上記第1、第2及び少なくとも1個の付加オブジェクト送給経路から到達可能であり、
上記コントローラが、上記第1、第2及び少なくとも1個の付加オブジェクト源の動作特徴のうち少なくとも1個を監視し、状況に応じこれを調整し又はその差乃至不正分を補償するオブジェクト取扱システム。
【請求項3】
第1及び第2シート源と、
診断対象シート上の特徴を検知するセンシング素子と、
第1及び第2シート源からセンシング素子へとシートを搬送する仲介装置と、
少なくとも1枚の診断対象シートを仲介装置に送給するよう第1及び第2シート源の一方又は双方に対し指令し、その診断対象シートをセンシング素子に送給するよう仲介装置に対し指令し、その診断対象シート上の特徴に関する特徴情報をセンシング素子から受け取り、受け取った特徴情報に基づき且つ状況に応じ、第1シート源、第2シート源及び文書処理ジョブのうち少なくとも一つについてその特徴又は動作特徴を調整するコントローラと、
を備える文書処理器。
【請求項4】
請求項3記載の文書処理器において、第1シート源が第1電子写真IMEを備え、コントローラが、少なくとも1枚の診断シートに関し少なくとも1個のセンシング素子から受け取った情報に基づき、第2シート源の動作特徴に対して第1電子写真IMEの動作特徴を比較し、その結果に基づき第1電子写真IMEにおける電子写真プロセスアクチュエータを調整する文書処理器。
【請求項5】
第1マーキングエンジンにより第1診断対象画像を印刷するステップと、
第2マーキングエンジンにより第2診断対象画像を印刷するステップと、
第1診断対象画像をセンシング素子へと移送するステップと、
センシング素子により第1診断対象画像の第1特徴を計測するステップと、
第2診断対象画像を同センシング素子へと移送するステップと、
センシング素子により第2診断対象画像の第2特徴を計測するステップと、
第1及び第2特徴についての計測結果に基づき且つ状況に応じ補正乃至補償処理を実行するステップと、
を有し、第1及び第2マーキングエンジンを含め複数個のマーキングエンジンを有するシステムにおける一致性を管理する方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、補正乃至補償処理ステップが、
第1及び第2マーキングエンジンのうち少なくとも一方におけるプロセスアクチュエータと、画像経路データと、のうち少なくとも一方を、第1及び第2特徴のうち少なくとも一方の少なくとも一部が補正され又はその差乃至不正分が補償されるよう調整するステップを、
含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−54880(P2006−54880A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230286(P2005−230286)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】