説明

センサ機能を有する電力測定システム

【課題】家電機器が接続された家屋のコンセント全てに電気料金表示器を取り付け、家庭のエネルギー管理ができるようにする。
【解決手段】エネルギー診断のために利用される電気料金表示器10に無線モジュール27と監視用のセンサ25を装備する。そして、その電気料金表示器10の電力量データとセンサ25のデータをインターネット上のサーバ11が収集する。サーバ11は、収集した電力量データからエネルギー診断を行うと同時に、電力量データとセンサのデータを突き合わせて監視し、異常の発生を検知して報知する。こうすることで、安否確認などのサービスをエネルギー診断と同一のシステムを使って提供し、エネルギー診断のコストを吸収してエネルギー診断が経済的にできるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エネルギーマネージメントの効果向上を図ると同時に、例えば、独居者の安否確認等々のセキュリティーサービスをできるようにしたセンサ機能を有する電力測定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
CO削減のため、家庭でのエネルギーの無駄使いのチェックは急務である。
このようなチェックを行うためのツールとして、例えば、「特許文献1」に示す簡易型電気料金表示器がある。
この電気料金表示器は、図5に示すように、表示窓1を設けたケースにプラグ2とコンセント3を備えたもので、ケースのプラグ2を壁面などのコンセントに接続し、そのケースのコンセント3に家電機器のプラグを接続する。また、内部は、図6のように、整流部兼積分部4´、制御部5、LCD表示部6と、電流検出用の変流器7を内蔵しており、先の家電機器の「電気料金」、「使用電力量」、「CO排出量」、「一時間当たりの電気料金の予想額」などのデータをサイクリック表示するというものである。
【0003】
ところで、上記の電気料金表示器は、コンセントと家電機器のプラグとの間に介在させて家電機器の電力をリアルタイムで実測するので、例えば、CO削減を図るための家庭の総合的なエネルギー管理を行おうとすれば、家電機器が接続された家屋のコンセント全てに電気料金表示器を取り付け、常時チェックするのが好ましい。
【0004】
ところが、家庭で使用する家電機器の数は、例えば、空調機などの白物家電、テレビなどのAV家電、パーソナルコンピュータなどIT家電と多岐に亘って多数ある。そのため、使用する電気料金表示器も多数必要になる。また、多数の電力表示機器の表示する各データを始終チェックするのは困難であることから、前記データを自動的に収集するためのシステムを、電気料金表示器に付与することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−222546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記データを収集するシステムを電気料金表示器に付与する場合、コストが上昇する。その結果、多数の前記表示器を使用してエネルギー診断を行うためには費用がかかり、普及を妨げる問題がある。
【0007】
そこで、この発明の課題は、コストに見合うサービスを行えるようにして、コストの上昇を吸収し、エネルギー診断の普及を促進することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、この発明では、コンセントと家電機器のプラグとの間に介在させて、前記家電が消費する電力量を計測して電力消費量および電力料金を表示する電気料金表示器に、ネットワークを介して通信を行う通信手段と、周囲環境状態を監視するためのセンサを備え、前記電気料金表示器を家庭で使用する家電機器とコンセント間に介在させるとともに、前記電気料金表示器の通信手段をインターネットと接続する家庭内のLANに接続して、前記電気料金表示器が計測した家電機器の電力消費量データとセンサのデータをインターネット上に設けた監視センターのサーバコンピュータへアップロードし、前記監視センターのサーバコンピュータが、アップロードされた電力量データの計測値でもってエネルギー消費の診断を行うとともに、前記計測値とセンサからのデータとを突き合わせて監視し、異常を報知するようにした構成を採用したのである。
【0009】
このような構成を採用することにより、電気料金表示器に通信手段を設けるとともに、各種センサ機能を装備することで、電力量データと共にセンサからのデータをインターネット上のサーバコンピュータへ送信する。サーバコンピュータでは、電力量の計測値の推移から、例えば、電力の使用状況、在宅の有無、部屋の使用状況、家電機器の動作状況・・・等々の生活行動のパターンなどを把握して、エネルギー消費の無駄が無いかの診断を行うとともに、前記計測値によるパターンをセンサの検知信号と突き合わせて監視し、異常発生の正当性を確認して報知することにより、精度の高いサービスを提供する。
このように精度の高いサービスをエネルギー管理と同一システムで行えるようにして、コストの上昇を吸収し、エネルギー管理システム(HEMS)の普及を促進する。
【0010】
このとき、上記家庭内のLANにパーソナルコンピュータを接続し、前記LANに接続したパーソナルコンピュータに、電気料金表示器から家電機器の電力量データをアップロードし、表示させて電力消費の可視化を行うとともに、前記パーソナルコンピュータがサーバコンピュータから報知された異常を表示するようにした構成を採用することができる。
【0011】
このような構成を採用することにより、家庭内のパーソナルコンピュータに家電機器の電力量データを表示させて電力消費の可視化を行うことで、エネルギー診断による啓発に役立てる。また、同時に、サーバコンピュータから報知された異常を表示することで、セキュリティーサービスなどを提供する。
【0012】
このとき、上記センサが人感検知、音声検知、温度検知のいずれか一つまたは二つあるいは全部であるという構成を採用することができる。
【0013】
このような構成を採用することにより、電気料金表示器に、人感検知センサを装備したものでは、この表示器単体で、従来の人感検知方式に家電機器の動作状況を組み合せることができる。その結果、居住者の安否について人感検知センサを単独で使用するよりも高い精度で遠隔監視することができる。すなわち、人感検知だけを使用した場合、居住者の外出時や昼寝時などについて誤判定することが多いが、人感検知の監視データと、家電機器の電力測定から時間帯ごとの作動、不作動情報を突き合わせれば(生活行動の分析)、在宅の判定ができるので誤判定を避けることができる。
また、電気料金表示器に、音声検知センサを装備したものでは、居住者の発声を把握することが可能となり、例えば、電気料金表示器の測定する家電機器の電力使用量(生活行動の分析)と発声音とを突き合わせることで、居住者の安否について高い精度で遠隔監視が行える。
さらに、音声検知センサを用いた場合は、家電機器の故障を異常音と電力使用量とを突き合わせることで把握できるので、故障の監視もできる。また、その際、監視結果に家電機器のスイッチを連動できるようにしておけば、送電を緊急停止することもできる(セキュリティーサービス)。
また、温度センサを用いた場合は、周囲の異常温度を検知することができるので、当該コンセントの電力使用量(生活行動の分析)と突き合わせれば、機器異常や使用状態の異常を把握し、監視者や家人に通知できる(セキュリティーサービス)。
また、これらのセンサを2個、3個と組み合せれば、現象を異なる局面から把握できるので、異常の特定が確実にできる。
【0014】
また、このとき、通信手段が無線送受信モジュールである構成を採用することができる。
【0015】
このような構成を採用することにより、無線でデータの送受信ができるので、コンセントに設置するだけでデータの送受信が簡便にできる。また、配線を必要としないので、設置の際に家屋を疵つけることも無い。
【0016】
また、このとき、上記電気料金表示器の通信手段と家庭内のインターネット接続ゲート間にデータ収集装置を設けてデータのアップロードを行う構成を採用することができる。
【0017】
このような構成を採用することにより、データ収集装置が電力量データとセンサからのデータを収集したのち、まとめてサーバへ送信することができるので、通信が輻輳するのを防げる。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、上記のように構成したことにより、エネルギー診断と安否確認などのセキュリティーサービスを同一のシステムで経済的に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態の模式図
【図2】実施形態の電気料金表示器のブロック図
【図3】図2の機能ブロック図
【図4】実施例1の模式図
【図5】従来例斜視図
【図6】従来例の電気料金表示器のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1に、この形態のセンサ機能を有する電気料金表示器を用いた電力測定システムの模式図を示す。
【0021】
この形態の電力測定システムは、図1に示すように、電気料金表示器10と監視センターのサーバコンピュータ(以下、サーバ)11及び家庭のLANを介してインターネット接続されたパーソナルコンピュータ(以下、パソコン)12とで構成されている。
【0022】
電気料金表示器10は、表示窓1を設けたケースに、図2では見えないが、プラグ2とコンセント3を備えたもので、表示窓1の上にはセンサ孔13が設けられている。また、内部は、電力計測部14、センサ部15、LCD(キャラクタ)表示部17と電源部18を備えている。
電力計測部14は、電流電圧計測部4、制御部5とからなり、電流検出用の変流器7を内蔵していて、従来の電気料金表示器と同等の演算を行うものである。
すなわち、制御部5は、CPU、RAM、ROM、A/D変換器等を備えた1chipマイコンで、図3のような、演算部20と記憶部21からなる機能ブロックで構成されている。
前記演算部20は、経過時間測定部、電力量更新部、合計料金計算部、二酸化炭素排出量計算部、単位時間額計算部とからなっている。
前記経過時間測定部は、家電機器をコンセントに接続した時点からの経過時間をカウントする。
また、電力量更新部は、電力量計算部と、記憶値更新部とで構成されており、電力量計算部は、電流電圧計測部4で検出した電流値に電圧と力率とサンプリング間隔とを乗算し電力量を算出する。
一方、記憶値更新部は、電力量計算部が算出した電力量と記憶部が記憶した積算電力量との和を算出し、記憶部が記憶する積算電力量を更新する。
合計料金計算部は、単位電力量当たりの電気料金を積算電力量に乗算し、電気料金の合計を算出する。
二酸化炭素排出量計算部は、単位電力量当たりの二酸化炭素排出量を積算電力量に乗算し、排出された二酸化炭素量の合計を算出する。
単位時間額計算部は、積算電力量を積算通電時間で除算し、その除算した値に単位電力量当たりの電気料金を乗算して単位時間当りの電気料金を算出する。この算出した電気料金は、それまでと同様に家電機器を使用したときの電気料金を示すので、電気料金の予測値になる。
【0023】
他方、記憶部21は、経過時間記憶部、積算電力量記憶部、合計料金記憶部、二酸化炭素排出量記憶部、予測額記憶部とからなっている。
経過時間記憶部は、家電機器をコンセント8に接続したときからの積算した通電時間を記憶する場所である。ちなみに、この積算通電時間は、経過時間測定部によって更新される。
積算電力量記憶部は、記憶値更新部によって更新される積算電力量を記憶する。
合計料金記憶部は、合計料金計算部によって更新される電気料金の合計を記憶する。
二酸化炭素排出量記憶部は、二酸化炭素排出量計算部によって更新される二酸化炭素排出量の合計を記憶する。
予測額記憶部は、単位時間額計算部によって更新される電気料金の予測額を記憶する。
【0024】
このように、記憶部21に記憶された処理データは、表示部であるキャラクタLCD17へ順次送出して「電気料金」、「使用電力量」、「CO排出量」、「一時間当たりの電気料金の予想額」などのデータをサイクリック表示させる。同時に、処理データをセンサ部15へ送出する。
【0025】
センサ部15は、センサ25、1chipマイコン26、無線モジュール27で構成されている。
センサ25は、例えば、焦電センサ、マイクロフォン、サーミスタ、フォトセンサなどの人体、音声、温度、照度などの監視を行うためのものを組み込む。そして、監視対象に応じて選択できるように、例えば、前記のセンサ25を、それぞれ、予め組み込んだ電気料金表示器10を準備して提供できるようにする。
【0026】
また、センサ25は、監視対象に合わせて2個、3個と異なるセンサ25を組み合せて組み込むこともできる。このように、監視対象に合わせて組み込むようにすれば、対象を異なるセンサ25で他方面から監視することで検出精度を向上できる。
1chipマイコン26は、先の電力計測部14で述べたCPUに通信ポートを備えたもので、後述の無線モジュール27を制御してIPプロトコルに基づいて通信を行うようにセットされている。また、前記プロトコルに基づいて、電力計測部14から送出されたデータやセンサ25の検出データを、後述するようにサーバ11やパソコン12へ送信する。その際、前記データを、例えばデータベースや表計算ソフトなどが使用できるデータ形式に変換できるようにしてある。
無線モジュール27は、この形態の場合、例えば、無線LAN用のモジュールで、wi−fi(登録商標)規格に対応しており、家庭内に設置された無線LANに接続可能なものである。
【0027】
監視センターのサーバ11は、インターネット上に設けたもので、家庭に設置した電気料金表示器10の一台ごとのデータを収集し、データベース化して管理する。例えば、データベース化したデータを時系列で管理することで生活行動を分析し、エネルギー診断やサービスに利用することができる。
【0028】
パソコン12は、この電気料金表示器10を設置した家庭のユーザが所有するもので、無線付ルータ28を介してインターネットに接続できるようにしたものである。
また、このパソコン12は、電気料金表示器10から送信されたデータを、例えば、表計算ソフトを使用して、グラフ表示できるようにしてある。このように可視化できるようにすることで、無駄なエネルギーの消費を把握させて、エネルギー管理の効果の向上を図る。
【0029】
この形態は、上記のように構成されており、この形態の電気料金表示器10を使用して電力測定システムを構築する場合は、家屋内に無線LAN環境が整っていて、無線LANを介してインターネットへ接続できる環境が必要である。
【0030】
前記接続環境が整っている場合は、例えば、この形態では、図1のように、テレビ30、冷蔵庫31、洗濯機32、エアコン33など複数の家電機器の種類やその設置場所などにより、要求するサービスに応じたセンサ機能を装備した電気料金表示器10を選択する。
また、使用する各電気料金表示器10が無線ルータ28へアクセスできるようにするため、必要であれば、例えば、無線ルータ28にパスワードの設定や無線LANモジュール(電気料金表示器10)27のMACアドレスの登録などを行う。また、前記ルータ28に接続されたパソコン12のIPアドレス(プライベート)などの設定も行っておく。ちなみに、この設定は、設定用プログラムを準備すれば、ネットワークに詳しくない者でも容易に設定できるようにすることもできる。
【0031】
設定の済んだ電気料金表示器10は、家電機器と壁面などのコンセント8間に、図1に示すように、介在させて取り付ける。
その際、例えば、図1のものでは、テレビ30とテレビ30を接続するコンセント8間には、人感検知センサを設けた電気料金表示器10を介在させる。また、冷蔵庫31とコンセント8間には、音声検知センサを設けた電気料金表示器10を介在させる。洗濯機32とコンセント8間には温度センサを設けた電気料金表示器10を介在させる。エアコン33とコンセント8間には、照度センサを設けた電気料金表示器10を介在させるなど、サービスに合致したセンサ25を設けた電気料金表示器10を取り付ける。
【0032】
こうした設置が終わると、家電機器の電源をオンにする。すると、電気料金表示器が家電機器に流れる電流を検出して、「電気料金」、「使用電力量」、「CO排出量」、「一時間当たりの電気料金の予想額」などのデータをサイクリック表示する。同時に、そのデータをパソコン12とサーバ11へ送信する。パソコン12は、上述したようにIPアドレスを設定してあるので、パソコン12を起動していれば、データを受信して表示することができる。このとき可視化されたデータは、エネルギー診断の啓発に役立つものである。
【0033】
一方、サーバ11へのアクセスは、例えば、サーバ11のグローバルアドレスを電気料金表示器10に設定しておくことで対処できる。また、サーバ11による個々の電気料金表示器10の特定は、電気料金表示器にIPV6による固有のIPアドレスを付与しておくことで対処できるので、送られたデータを電気料金表示器10ごとにデータベース化する。このとき、電気料金表示器10を接続した家電機器をパソコン12からサーバ11へ登録するようにすれば、家電機器の仕様から最新機器との効率の差を判定するなどのエネルギー診断の結果に役立てることができる。
このように、無線モジュール27を用いたことにより、電気料金表示器10をコンセントに設置するだけでデータの送受信が簡便にできる。また、無線を用いたことで、配線を必要としないので、設置の際に家屋を疵つけることも無い。
【0034】
しかるのち、サーバ11では、送られた電気料金表示器10の電力量データとセンサ25からのデータを使ってエネルギー診断を実施する。
例えば、サーバコンピュータは、電力量の計測値の推移から、電力の使用状況、在宅有無、部屋の使用状況、家電機器の動作状況・・・等々などの生活行動のパターンなどを把握して、エネルギー消費の無駄が無いかの診断を行う。診断を行った結果は、メールなどで知らせる。
また、同時に、サーバは、前記診断と生活行動分析に基づくサービスを開始する。
例えば、テレビ30と接続した人感検知センサを装備した電気料金表示器10では、サーバ11は、送られた人感検知センサのデータと電気料金表示器の使用電力量のデータを突き合わせる。そして、長時間テレビの電力消費があるのに、人感検知センサによる人の検知が為されない場合(生活行動の分析)は、在宅中の居住者の安否に不安がある旨を監視者にパソコン12や携帯電話などを介して遠隔通知する(このとき、単に人感検知センサだけによる監視であれば、不在または就寝中と誤判断してしまう)。
このように、人体検知に家電機器の動作状況検知を組み合せて判断することができるので、居住者の安否について高い精度で監視できる。その際、この精度の高い監視をこの電気料金表示器10単体でできるので簡便である。また、この精度の高い遠隔監視を前記表示器10の電力診断に用いる同一システムを利用して行うので非常に経済的であり、システムの普及を促進できる。
【0035】
また、人感検知センサ以外でも、例えば、音声検知センサを装備した電気料金表示器10を使用すれば、居住者の発声を把握することが可能となり、家電機器の動作状況検知を組み合せることで居住者の安否について高い精度で遠隔監視できる。この場合、居住者に定期的に発声してもらうことで、安否について確実に把握することができる。
【0036】
このとき、使用目的にあわせて、複数の電気料金表示器10のデータと複数のセンサ情報を連携させると、さらに、精度を向上できる。
例えば、冷蔵庫31などの常時稼動する家電機器を除く電力量の合計が不在時の値であって(生活行動の分析)、この電力量の計測値と人感検知センサを設けた電気料金表示器10と音声検知(マイク)センサを設けた電気料金表示器10のセンサ情報を突き合わせれば、人感検知センサの検出と物音の有無から例えば、独居老人などの在宅あるいは不在を精度よく検出して、家族へメールなどで知らせることで、安否確認などのセキュリティーサービスができる。
さらに、高度なサービスとして、例えば、寝たきり介護患者の監視サービスなどを行うことができる。この場合、介護者部屋の家電機器に使用する電気料金表示器10に、人感検知センサを装備したものと、音声検知(マイク)センサを装備したものを配置する(2つ一緒に装備したものも可)。そして、電力測定データと前記センサのデータを突き合わせる。
例えば、消灯したことを電力量データから検出すると(生活行動の分析)監視を開始し、人感検知センサで寝たきり介護者の有無を検出して、音声検知(マイク)センサで寝息などを検出すれば、介護患者の安否をパソコン12や携帯電話等を介して家人に知らせたり、場合によっては、サーバ11が、119番へ緊急通報したりするサービスもできる。
【0037】
これ以外にも、温度センサを設けた電気料金表示器10で、電力消費量のデータからエアコン33の作動中の室温を常時観測するようにすれば(生活行動の分析)、前記データと電力量データとから冷やし過ぎや暖房し過ぎなどをチェックして、生活行動の分析に基づいたエネルギー診断が可能になり、エネルギーマネージメントの効果向上が図れる。
【0038】
また、音声検知(マイク)センサを設けたものをIHコンロ34の電源に取り付ければ、電力量のデータからIHコンロの使用の有無を判定し(生活行動の分析)、その際、音から空焚きや吹きこぼれを検知して家人に知らせる事もできる。
【0039】
このように、エネルギー診断だけでなく、コストの上昇に見合う多種類のサービスがエネルギー診断を行う同一のシステムでできる。そのため、家屋のコンセント8全てに電気料金表示器10を取り付けるコストを吸収して、家庭のエネルギー診断が安価にできる。
【実施例1】
【0040】
この実施例1は、図4に示すように、電気料金表示器10の通信手段と家庭内のインターネット接続ゲートであるルータ28間に、wi−fi(無線)通信端局40を設けたものである。この通信端局40は、データロガーのようにデータ収集能力を持たせるようにしたもので、このようにすれば、多数の電気料金表示器10を配置した場合にデータを収集したのち、まとめてサーバ11へ送信することができる。そのため、各々電気料金表示器10が勝手にサーバ11との通信を行って、通信が輻輳するのを防げる。
他の構成及び効果は実施形態と同じなので、図面に同じ符号を付して詳しい説明は省略する。
【0041】
なお、実施形態及び実施例1では、電気料金表示器10のネットワーク用アダプターとして無線LANを使用したが、これに限定されるものではない。無線LANに替えてEthernet(登録商標)アダプターやPLC(Power Line Communication)アダプターを使用することができるので、無線LAN環境が整っていない場合でも対処できる。
【符号の説明】
【0042】
2 プラグ
3 コンセント
8 コンセント
10 電気料金表示器
11 サーバ
12 パソコン
25 センサ
27 無線モジュール
28 ルータ
30 テレビ
31 冷蔵庫
32 洗濯機
33 エアコン
34 IHコンロ
40 通信端局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンセントと家電機器のプラグとの間に介在させて、前記家電機器が消費する電力量を計測して電力消費量および電力料金を表示する電気料金表示器に、ネットワークを介して通信を行う通信手段と、周囲環境状態を監視するためのセンサを備え、
前記電気料金表示器を家庭で使用する家電機器とコンセント間に介在させるとともに、前記電気料金表示器の通信手段をインターネットと接続する家庭内のLANに接続して、前記電気料金表示器が計測した家電機器の電力消費量データとセンサのデータをインターネット上に設けた監視センターのサーバコンピュータへアップロードし、
前記監視センターのサーバコンピュータが、アップロードされた電力量データの計測値でもってエネルギー消費の診断を行うとともに、前記電力量データの計測値とセンサからのデータを突き合わせて監視し、異常を報知するようにしたセンサ機能を有する電力測定システム。
【請求項2】
上記家庭内のLANにパーソナルコンピュータを接続し、前記LANに接続したパーソナルコンピュータに、電気料金表示器から家電機器の電力量データをアップロードし、表示させて電力消費の可視化を行うとともに、前記パーソナルコンピュータがサーバコンピュータから報知された異常を表示するようにした請求項1に記載のセンサ機能を有する電力測定システム。
【請求項3】
上記センサが人感検知、音声検知、温度検知のいずれか一つまたは二つあるいは全部である請求項1または2に記載のセンサ機能を有する電力測定システム。
【請求項4】
上記通信手段が無線送受信モジュールである請求項1乃至3のいずれかに記載のセンサ機能を有する電力測定システム。
【請求項5】
上記電気料金表示器の通信手段と家庭内のインターネット接続ゲート間にデータ収集装置を設けてデータのアップロードを行う請求項1乃至4のいずれかに記載のセンサ機能を有する電力測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−254441(P2011−254441A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128971(P2010−128971)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000220882)株式会社エネゲート (42)
【Fターム(参考)】