説明

ソマトスタチンSST1受容体アンタゴニストとしての置換ピペリジン

式(I)
【化1】


〔式中、R1、R2、nおよびmは明細書に定義の通りである〕
の化合物。式(I)の化合物はソマトスタチンsst1受容体アンタゴニストである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の概要
本発明は、3−置換ピペリジン誘導体、それらの製造、それらの医薬としての使用、およびそれらを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
sst1アンタゴニスト活性を有する多くの化合物が、例えば国際出願WO 03/40125から知られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明によって解決される課題は、この活性および/または他の有用な薬理活性および特性を有するさらなる化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決し、医薬としての有用性を示す化合物の新規クラスを以下に詳細に記載のとおり見出した。
【0005】
発明の詳細な説明
本発明はとりわけ、式I
【化1】

〔R1は置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロシクリルであり;
R2は置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロシクリルであり;
そしてnおよびmは各々互いに独立して0、1、または2である〕
の化合物またはその塩に関する。
【0006】
さらに、本発明は式Iの化合物またはその塩の製造法、動物または人体の治療的および/または診断的処置における式Iの化合物またはその塩の使用、あるいは医薬の製造のための使用、式Iの化合物またはその塩を動物またはヒトに投与することを含む処置法、およびそれらを含む医薬組成物、ならびに以下により詳細に記載されている本発明の他の態様に関する。
【0007】
他に記載がない限り、本明細書において使用される一般的な用語および名前は、好ましくは下記の意味を有する(ここで、個別または組み合わせのケースにおいてより詳細な定義はより好ましい本発明の態様を定義するためにより一般的な用語によって置換して使用することができる):
「低級」または「C−C−」なる用語は最大7個まで、とりわけ最大4個までの炭素原子を含む基を定義し、当該基は分枝または直鎖状である。低級またはC−C−アルキルは、例えばn−ペンチル、n−ヘキシルまたはn−ヘプチル、または好ましくは、とりわけメチル、エチル、n−プロピル、sec−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルのようなC−C−アルキルである。
【0008】
置換もしくは非置換アリールにおいて、アリールは好ましくは6〜14個の環炭素原子を有する好ましくは1−、2−または3三環式芳香族性炭化水素基、とりわけフェニル、ナフチルまたはフルオレニルであり、その各々は非置換であるかまたは好ましくはアルキル、好ましくはC−C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチルまたはヘキシル(とりわけn−ヘキシル);シクロアルキル、とりわけC−C−シクロアルキル;フェニルまたは(1−もしくは2−)ナフチルから独立して選択される1個以上、とりわけ1〜3個の置換基によって置換されており、その各々は非置換であるかまたはC−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、例えばトリフルオロメチル、C−C−アルコキシ、例えばメトキシ、ハロ−C−C−アルコキシ、例えばトリフルオロメトキシ、ニトロ、シアノ、およびハロ;非置換C−C−アルコキシ−置換もしくはハロ置換フェニル−C−C−アルキル;ヒドロキシ;ヒドロキシ−C−C−アルキル;アルコキシ、好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけメトキシ;フェノキシ;アルカノイルオキシ、とりわけC−C−アルカノイルオキシ;C−C−アルカノイルチオ;ハロ;アミノ;N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキル)アミノ;C−C−アルカノイルアミノ;C−C−アルカノイル;カルボキシ;C−C−アルコキシカルボニル;シアノ;カルバモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキル)カルバモイル;C−C−アルキルスルホニル;スルファモイル;およびニトロから選択される1個以上、とりわけ3個までの置換基によって置換されている。極めて好ましくは、置換もしくは非置換アリールは、非置換であるかまたは1個以上、とりわけ3個までの上記アリールの置換基、とりわけシアノ、C−C−アルコキシ、ニトロおよび/またはとりわけハロによって置換されているフェニルである。好ましい置換もしくは非置換アリール基の例は、3−フルオロ−4−ニトロフェニル、4−シアノフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、4−シアノ−2,6−ジフルオロフェニル、4−ニトロフェニル、4−フルオロフェニルまたは(とりわけ9−)フルオレニルである。
【0009】
置換もしくは非置換ヘテロシクリルにおいて、ヘテロシクリルは好ましくは3〜20個、好ましくは5〜14個の環原子を有する不飽和、部分飽和または飽和環であって、O、N(またはNH)およびSから独立して選択される1〜4個、好ましくは1〜3個のヘテロ原子を有し、ベンゾ、ピリジノ、ピラジノ、ピリミジノまたはピリダジノから独立して選択される1または2個の環にアニール化した3〜8個、好ましくは5〜7個の環員を有する1、2または3環式、例えば単環式ヘテロ環であり、そして非置換であるかまたは上記置換アリールの置換基およびオキソから独立して選択される1個以上、とりわけ3個までの基によって置換されており;置換もしくは非置換ヘテロシクリルは好ましくは、(i)ピリジニル、とりわけ2−ピリジニル;(ii)ヒドロキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシから独立して選択される置換ピリジニル、とりわけアルコキシ−ピリジニル、とりわけC−C−アルコキシ−ピリジン−2−、−3−もしくは−4−イル、またはジアルコキシ−ピリジニル、とりわけジ−(C−C−アルコキシ)−ピリジン−2−、−3−もしくは−4−イル;(iii)1−アルキル−オキソ−ジヒドロピリジニル、とりわけ1−(C−C−アルキル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル;(iv)ベンゾ[1,2,5]オキサジアゾリル、とりわけベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール−5−もしくは−6−イル;(v)ベンゾ[1,2,5]チアジアゾリル、とりわけベンゾ[1,2,5]チアジアゾル−5−もしくは−6−イル;(vi)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−、−7−もしくは好ましくは−6−イル;(vii)4−[1,2,5]−チアジアゾロ−[3,4−b]ピリジン−7−、−6−もしくは−5−イル、(viii)キサンテニル、とりわけキサンテン−9−イル;(ix)チオキサンテニル、とりわけチオキサンテン−9−イル;(x)ベンゾ[1,3]ジオキソル−4−もしくは好ましくは−5−イル;および(xi)2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−もしくは好ましくは−6−イルから選択される基であり;ここで(ii)、(viii)、(ix)、(x)および(xi)に記載の基がRとしてとりわけ好ましいが、(i)および(iii)〜(vii)に記載のものはR2としてとりわけ好ましい。ヘテロシクリル基において「不飽和」と記載されているとき、これは最大数の非累積的二重結合が環系に存在することを意味する。
【0010】
他に記載がない限り、ハロ(=ハロゲン)は好ましくはフルオロ、クロロまたはブロモである。
【0011】
記号mおよびnは各々好ましくは1を意味する。
【0012】
式Iの化合物およびそれらの塩に不斉炭素原子が存在するため、化合物は単離されたエナンチオマーとして光学的に活性な形態で、または光学異性体の混合物の形態で、例えばラセミ混合物の形態で存在し得る。すべての1個の光学異性体ならびにラセミ混合物を含むそれらの混合物は、本発明の一部である。好ましくは、式Iの化合物は純粋な光学異性体の形態である。
【0013】
式Iの化合物の塩は、とりわけ酸付加塩である(塩基性基、例えばピペラジンにおける窒素原子として、ピペリジン環が存在するか、または複数の塩形成基が存在するとき、塩基との混合塩または分子内塩でもあり得る)。塩はとりわけ式Iの化合物の薬学的に許容される塩である。酸付加塩は、例えば式Iの化合物と無機酸、例えばヒドロハロゲン酸、例えば塩酸、硫酸もしくはリン酸、または有機カルボン酸、硫酸、スルホン酸もしくはリン酸もしくはN−置換スルファミン酸、例えばフマル酸もしくは酢酸、メタンスルホン酸、N−シクロヘキシルスルファミン酸(シクラメートを形成する)、または他の酸性有機化合物、例えばアスコルビン酸から形成される。式Iの化合物中の酸性基、例えばカルボキシは、例えば適当な塩基、例えば元素周期表のIa、Ib、IIaおよびIIb群の金属に由来する非毒性金属塩、例えばナトリウム塩もしくはカリウム塩、またはアルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩もしくはカルシウム塩、また亜鉛塩もしくはアンモニウム塩、ならびにアンモニアもしくは有機アミンで、または4級アンンモニウム化合物で形成される塩である。酸性基および塩基性基を共に有する式Iの化合物はまた、分子内塩を形成することができる。製造、単離および/または精製の目的のために、薬学的に許容されない塩、例えば過塩素酸塩またはピコリン酸塩を使用することもできる。
【0014】
本明細書において(とりわけ式Iの)化合物(複数も可)が記載されているとき、塩形成基が存在するときこれは(他に明確に記載がない限り)常に遊離化合物および/またはその塩を意味し、そしてかかる化合物または塩の溶媒和物、例えば水和物も含むことを意図する。
【発明の効果】
【0015】
式Iの化合物およびそれらの薬学的に許容される酸付加塩(以後本発明の薬剤と称する)は、SRIF受容体発現細胞培養物を使用したインビトロ試験および動物試験で有用な薬理学的特徴を示し、したがって医薬として、または医薬の製造のために有用である。
【0016】
とりわけ、本発明の薬剤はソマトスタチン受容体と結合する。より具体的には、それらは経口的に活性な、非ペプチドソマトスタチンsst1受容体(SSTR−1受容体と呼ばれる)アンタゴニストである。好ましい適応症は:アルツハイマー病、年齢に伴う記憶障害および他の認知症のような種々の神経学的障害における双極性障害、社会恐怖症および記憶障害である。さらに、化合物は注意欠陥および多動性障害(ADHD)の処置を目標にする。さらに、化合物は統合失調症を含む種々の状態における攻撃的状態の処置に使用される。さらにまた、化合物は統合失調症の陰性症状の処置に使用される。
【0017】
さらに、本発明の薬剤は腫瘍の処置に、血管障害の処置に、および/または免疫学的疾患の処置に有用であり得る。
【0018】
適応症の基礎は下記標準試験の範囲によって確認することができる:
本発明の薬剤がソマトスタチンsst1受容体に対する高い親和性および選択性を有することを(例えば、Hoyer D, Bell GI, Berelowitz M, Epelbaum J, Feniuk W, Humphrey PPA, O’Carroll AM, Patel YC, Schonbrunn A, Taylor JE, Reisine T (1995);classification and nomenclature of somatostatin receptors. TiPS, 16: 86-88参照)、ラットの大脳皮質において、そして組み換えヒトおよびマウスバージョンで(約6〜9の範囲、好ましくは7.8〜9.0の範囲のpKdを示す)記載のとおりに示すことができる(例えば、Siehler S., K. Seuwen & D. Hoyer. Characterisation of human recombinant somatostatin receptors: 1) radioligando binding studies (1999) Naunyn Schmiedeberg’s Arch Pharmacol, 360: 488-499参照)。
【0019】
本発明の薬剤はさらに、フォルスコリン刺激アデニル化サイクル活性のSRIF−14誘導性阻害(pKb=7.5〜8.5)(例えば、Siehler S. & D. Hoyer. Characterisation of human recombinant somatostatin receptors: 3) modulation adenylate cyclase activity. (1999) Naunyn Schmiedeberg’s Arch Pharmacol, 360: 510-521参照)および/またはルシフェラーゼ活性のSRIF−28誘導性刺激に拮抗すること、そしてsst1受容体の内因性活性を欠損していること(D. Hoyer, C. Nunn, J. Hannon, P. Schoeffter, D. Feuerbach, E. Schuepbach, D. Langenegger, R. Bouhelal, K. Hurth, P. Neumann, T. Troxler, P. Pfaeffli (2004) SRA880, a non peptide somatostatin sst1 receptor antagonist, Neuroscience letters, 361(1-3):132-5参照)を示し得る。
【0020】
様々な放射性リガンド結合試験で測定されるように、ニューロトランスミッター受容体およびリガンドゲート(ligand-gated)チャネルの範囲について顕著に低い親和性を有することが示され得る(例えば、Kalkman HO, N Subramanian, D Hoyer (2001) Comprehensive radioligand binding profile of iloperidone: a broad spectrum dopamine / serotonin / norepinephrine receptor antagonist for the management of psychotic disorders. Neuropsychopharmacology, 25: 9104-914参照)。
【0021】
本発明の薬剤は、攻撃性、マッチした攻撃的雄のペアおよび攻撃的住民への遭遇について、2匹のマウスモデルにおいて攻撃的態度の減少を示すことができる(1〜10mg/kg s.c.および3〜30mg/kg/p.o.)(Dixon A.K, Huber C, Lowe DA (1994): Clozapine Promotes Approach-Oriented behaviour in male Mice. J.Clin.Psychiatry. 55: (9) Suppl.B. 4-7参照)。それらはまた、攻撃的住民からの攻撃に曝された「イントルーダー」マウスの社会的引きこもり特性の逆転を示すことができる。化合物での処置の後(1〜10mg/kg、s.c.または3〜30mg/kg/p.o.)、イントルーダーマウスは攻撃的な相手へのアプローチ態度を増加し、そして回避態度を減少させることを示し得る(Dixon A.K, Huber C, Lowe DA (1994): Clozapine Promotes Approach-Oriented behaviour in male Mice. J.Clin.Psychiatry. 55: (9) Suppl.B. 4-7参照)。本発明の薬剤は、好ましくは0.03〜3mg/kg p.o.の用量範囲で投与するとき、ベンゾジアゼピンと同様に「住民」ラットと対立している「イントルーダー」ラットの社会的探索の増加を示すことができる(Vassout A, Veenstra S, Hauser K, Ofner S, Brugger F, Schilling W, Gentsch C. (2000) NKP608: a selective NK-1 receptor antagonist with anxiolytic-like effects in the social interaction and social exploration test in rats. Regulatory Peptides 96, 7-16.参照)。本発明の薬剤の顕著な抗攻撃および社会化(sociotropic)効果を抗躁剤リチウムおよびカルバマゼピンまたはバルプロエートによって模倣される(Dixon AK (1990) Ethopharmacology: A biological approach to the study of drug-induced changes in behaviour: Adv.study. Behaviour 19: 171-204. Dixon AK, Fisch HU, Huber C, Walser A (1989) Ethological studies in animals and man, their use in psychiatry. Pharmacopsychiatry 22 (suppl): 44-50参照)。
【0022】
本発明の薬剤は、好ましくは0.01〜10mg/kgの用量範囲で、マウスの受動回避の低下におけるパフォーマンスを改善することを示すことができる(試験投与前および後の両方によって)。それらはステップスルー型受動的回避における検索パフォーマンスの向上を示し(0.1〜10mg/kg p.o.)、そして部分的にEショック誘導性健忘を弱めることができる(0.01〜10mg/kg p.o.)。本発明の薬剤は非ファミリアーではなく、ファミリアー若年性ラットの社会的認識を、好ましくは0.03〜3mg/kg p.o.の用量範囲で明確に上昇させることができる。同様に、それらはマウスの社会的認識を、例えば0.03〜3mg/kg p.o.の用量範囲で上昇させることができる(Mondadori C., Jaekel J. and Preiswerk G., (1993) CGP 36742: the first orally active GABA B blocker improves the cognitive performance of mice, rats and rhesus monkeys. Behavioral and Neural Biology 60, 62-68. Thor D.H. and Holloway W.R., (1982) Social memory in the male laboratory rat. Journal of Comparative and Physiological Psychology, 96, 1000-1006参照)。したがって、本発明の薬剤は学習、記憶および注意の明らかな増加を示し得る。
【0023】
ラットの1次観察試験において、本発明の薬剤は、例えば30mg/kg p.o.の用量で試験したとき、CNS活性化効果を示すことができる。常にラットの睡眠−覚醒サイクルにおいて、本発明の薬剤は(例えば30mg/kg p.o.で)、最初の3時間覚醒フェイズの顕著な増加を誘導し、REMおよび古典的睡眠フェイズの減少を誘導することを示すことができる。
【0024】
本発明の薬剤によって示される社会的および抗攻撃的成分との組合せによって、これらがADHD(注意欠陥および多動性障害)の処置に有用であると証明することを示唆する。
【0025】
本発明の薬剤はまた、様々な種類の腫瘍、とりわけsst1受容体担腫瘍の処置に、様々な異なるがん細胞系での増殖試験において、およびホルモン依存腫瘍を有するヌードマウスでの腫瘍増殖実験において示されるとおり、有効である[例えば: G. Weckbecker et al., Cancer Research 1994, 54: 6334-6337参照]。したがって化合物は、例えば乳がん、前立腺がん、結腸がん、膵臓がん、脳がんおよび肺がん(小細胞肺がん)の処置に適用される。
【0026】
すべての上記適用において、適当な用量は当然、例えば使用する化合物、宿主、投与形態および処置する状態の性質および重症度に依存して変化する。しかし、一般的に動物において満足のいく結果が、約0.1〜約10mg/kg動物体重の範囲の一日用量で得られる。一般的な哺乳類、例えばヒトで、使用される一日用量は約5〜約200mg、好ましくは約10約100mgの範囲の化合物を、1日4回までの分割された用量で簡便に投与する。
【0027】
本発明の薬剤を遊離形または薬学的に許容される塩形で投与することができる。かかる塩を常套の方法で製造することができ、そして遊離化合物と同程度の活性を示す。
【0028】
したがって、さらなる局面において本発明は、動物または人体の診断および治療的(予防を含む)処置に、より具体的には上記状態、例えば双極性障害、社会恐怖症、記憶障害、注意欠陥および過活動障害、攻撃的状態および/または統合失調症の陰性症状にの処置のために使用する本発明の薬剤を提供する。
【0029】
さらに本発明は、本発明の薬剤を少なくとも1種の薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む医薬組成物を提供する。かかる組成物は常套の方法で製剤することができる。単位投与形態は例えば、約0.25〜約50mgの本発明の薬剤を含む。
【0030】
本発明の薬剤は、あらゆる常套の経路、例えば注射溶液もしくは懸濁液の形態で非経腸的に、または例えば錠剤もしくはカプセル剤の形態で経腸、好ましくは経口的に投与することができる。
【0031】
あるいは本発明の薬剤は、例えばクリーム、ゲル等の形態で局所的に、または例えば乾燥粉末形態で吸入によって投与することができる。
【0032】
本発明の薬剤を含む組成物の例には、例えば固体分散剤、溶解剤を含む水溶液、ミクロエマルジョンおよび本発明の薬剤の懸濁液が含まれる。組成物は例えば3.5〜9.5の範囲のpHに、適当なバッファーによって緩衝化することができる。
【0033】
本発明の薬剤は単独で、あるいは上記状態の処置に有効な他の薬剤との組み合わせで投与することができる。
【0034】
したがって、本発明の薬剤を:三環式化合物、MAO阻害剤、SSRI’s、SNRI’s、NK受容体アンタゴニスト、CRF−受容体アンタゴニスト、5HT7受容体−アンタゴニスト、mGlu受容体アゴニスト/アンタゴニスト/調節剤、GABA−AもしくはGABA−A/B受容体アゴニスト/アンタゴニストまたは調節剤、バソプレシン受容体アンタゴニスト、電気ショック、睡眠剥奪療法、または漢方薬、例えばSt. John’s Wortと組み合わせて鬱症状の処置に使用することができる。
【0035】
本発明の薬剤をまた:ミトコンドリアベンゾジアゼピンを含むベンゾジアゼピンリガンド、5−HT1A受容体アゴニスト、SSRI’s、SNRI’s、NK受容体−アンタゴニスト、CRF受容体−アンタゴニスト、バソプレシン受容体−アンタゴニスト、mGlu受容体アゴニスト/アンタゴニスト/調節剤、GABA−AもしくはGABA−A/B受容体アゴニスト/アンタゴニストもしくは調節剤と組み合わせて使用することができる。
【0036】
本発明の薬剤をさらに:アセチルコリン−エステラーゼ阻害剤、例えばリバスチグミンおよびドネペジル、混合アセチルコリン/ブチリルコリンエステラーゼ−阻害剤およびニコチン酸−アルファ7−受容体アゴニストと組み合わせてアルツハイマー病(SDAT)を含む痴呆のあらゆる形態の処置に使用することができる。
【0037】
さらに、本発明の薬剤を:あらゆる典型的なまたは非典型的な抗精神病剤、例えばクロザピンもしくはハロペリドール、およびニコチン酸−アルファ7−受容体アゴニストと組み合わせて統合失調症の陽性および陰性症状を含む精神症状ならびに統合失調症タイプ症候群の処置に使用することができる。
【0038】
さらに、本発明の薬剤を:抗躁剤(例えばリチウム、カルバマゼピン、バルポロエート)またはあらゆる非典型的および典型的な抗精神病剤と組み合わせて双極性障害の処置に使用することができる。
【0039】
組合せパートナーの個別投与用医薬組成物および固定された組合せでの投与用医薬組成物、すなわち少なくとも2種類の本発明の組合せパートナーを含む1個のガレヌス製剤を、自体公知の方法で製造することができ、したがって治療上有効量の少なくとも1種の薬理学的に活性な組合せパートナーを単独で、または1種以上の薬理的に許容される、とりわけ経腸もしくは非経腸適用に適当な担体と組み合わせて含み、ヒトを含む哺乳類への経腸、例えば経口または直腸、および非経腸投与に適している。
【0040】
とりわけ、治療上有効量の各組合せパートナーを同時にまたは連続的に、そして任意の順番で投与することができ、そして成分を別個にまたは固定された組合せ剤として投与することができる。
【0041】
したがって本発明はまた、治療上有効量の本発明の薬剤と第2の薬剤物質または塩形性基が存在するときその薬学的に許容される塩を含む組合せ剤であって、前記第2の薬剤物質は例えば上記いずれかの具体的な適応症に使用するためのものである、剤を提供する。
【0042】
好ましい適応症は、うつ病、不安神経症および情動障害、とりわけ双極性障害、例えば躁病、社会恐怖症、記憶障害、注意欠陥、過活動障害、攻撃的状態および/または統合失調症の陰性症状である。
【0043】
上記のとおり、本発明はまた本発明の薬剤の医薬としての使用、例えば上記障害、とりわけ双極性障害、社会恐怖症、記憶障害、注意欠陥、過活動障害、攻撃的状態および/または統合失調症の陰性症状のいずれか1つ以上の処置のための使用を提供する。
【0044】
さらに本発明は、上記状態または障害、例えば双極性障害、社会恐怖症、記憶障害、注意欠陥、過活動障害、攻撃的状態および/または統合失調症の陰性症状のいずれか1つ以上の処置用医薬の製造のための本発明の薬剤の使用を提供する。
【0045】
さらなる局面において本発明は、処置を必要とする対象における上記状態または障害、例えば双極性障害、社会恐怖症、記憶障害、注意欠陥、過活動障害、攻撃的状態および/または統合失調症の陰性症状のいずれか1つ以上の処置(この用語を使用するときは常に予防を含む)法であって、前記対象に治療上有効量の本発明の薬剤を投与することを含む方法を提供する。
【0046】
さらなる局面において本発明は、本発明の薬剤を1種以上の担体および/または希釈剤と混合することを含む、上記状態または疾患のいずれか1つ以上の処置用医薬の製造法に関する。
【0047】
好ましい本発明の化合物は使用する種、発現系および放射性リガンドとは無関係に、ソマトスタチン受容体に高い親和性を有し、そしてsst選択的である。
【0048】
それらはイントルーダーラットの住民ラットとの社会的接触の期間を顕著に増加させることができる。マウスの社会的認識試験において、化合物は学習/記憶パフォーマンスに明確な上昇効果を示すことができる。
【発明を実施するための最良の形式】
【0049】
本発明の好ましい態様
式I
〔式中、R
【化2】

からなる群から選択される基であり;
R2は式
【化3】

(式中、
XはCHまたはNであり、
YはOまたはSであり、
およびRは互いに独立して、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、C−C−アルキルまたはC−C−アルコキシであり、そして
は水素またはC−C−アルキルである)
の基からなる群から選択される基であり;
そして各nおよびmは、互いに独立して、1または2、好ましくは1である〕
の化合物またはその(とりわけ薬学的に許容される)塩、ならびにかかる化合物または塩との、いずれか1種以上の上記組合せ剤、使用および方法が好ましい。
【0050】
実施例に記載の化合物またはその(とりわけ薬学的に許容される)塩から選択される化合物、ならびにかかる化合物または塩との、いずれか1種以上の上記組合せ剤、使用および方法がもっとも好ましい。
【0051】
製造法
本発明の化合物を式Iの化合物についてではないが当業者に知られている自体公知の方法と同様に製造することができる。
【0052】
式Iの化合物の好ましい製造法の下記記載において、R1、R2、mおよびnは上記式Iの化合物またはその好ましいバージョンについて定義のとおりである
【0053】
ここで記載されている全工程を、既知の反応条件下、好ましくは具体的に記載されている条件下で、溶媒または希釈剤、好ましくは例えば使用する試薬に不活性でありこれらを溶解することができるものの不存在下または通常は存在下で、触媒、濃縮剤または中和剤、例えばイオン交換剤、典型的にはカチオン交換剤の存在または不存在下で、例えばH+形態で、反応のタイプおよび/または反応物に依存して、低温、常温または高温で、例えば−100℃〜約190℃、好ましくは約−80℃〜約150℃、例えば−80〜−60℃、室温、−20〜40℃の範囲、または使用する溶媒の沸点で、大気圧下で、または減圧が適当または都合がよいとき密封容器中で、および/または窒素、不活性、例えばアルゴンまたは窒素雰囲気下で、行うことができる。
【0054】
いずれかの具体的な反応に適当である溶媒は、例えば水、エステル、例えば低級アルキル−低級アルカノエート、例えば酢酸エチル、エーテル、例えば脂肪族エーテル、例えばジエチルエーテル、または環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン、液体芳香族性炭化水素、例えばベンゼンまたはトルエン、アルコール、例えばメタノール、エタノールまたは1−もしくは2−プロパノール、またはフェノール、例えばフェノール、ニトリル、例えばアセトニトリル、ハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン、酸アミド、例えばジメチルホルムアミド、塩基、例えばヘテロ環式窒素塩基、例えばピリジン、カルボン酸無水物、例えば低級アルカン酸無水物、例えば無水酢酸、環状、直鎖状または分枝鎖状炭化水素、例えばシクロヘキサン、ヘキサンまたはイソペンタン、またはこれらの溶媒の混合物、例えば水溶液から、方法の記載に特に指示がない限り、選択することができる。かかる溶媒混合物はまた、後処理、例えばクロマトグラフィもしくは分割によって使用することができる。
【0055】
式Iの化合物またはその塩の好ましい製造法および出発物質の下記記載、ならびに本明細書に記載の他の方法において、それぞれの反応に参加しない所望の反応を阻害し得るかまたは副反応を引き起こす官能基は、所望により保護形態で存在する。官能基の保護およびそれぞれの保護基は、例えば文献、例えばJ. F. W. McOmie, “Protective Groups in Organic Chemistry”, Plenum Press, London and New York 1973;T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, Third edition, Wiley, New York 1999;“The Peptides”;Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London und New York 1981、“Methoden der organischen Chemie”, Houben Weyl, 4. Ausgabe, Band 15/I, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974、H.-D. Jakubke and H. Jescheit, “Aminosauren, Peptide, Proteine”, Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel 1982、および/またはJochen Lehmann, “Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide und Derivate”, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974のような標準書に記載されている。保護基の除去は常套の条件、好ましくは上記文献に記載の条件下で、そして適当な反応段階および工程で可能である。保護されるべき基は当業者に既知であり、したがって保護基の導入、存在および/または除去は下記工程で極めて重要なときのみ記載している。具体的に記載がなくとも、塩形成基が存在し、塩の形成が望ましくない反応を導かないとき、出発物質を塩形でも使用することができる。
【0056】
好ましくは、式Iの化合物を
a)式II
【化4】

〔式中、R2は式Iの化合物について定義のとおりである〕
のN−アクリロイル−ピペラジン化合物を、式III
【化5】

〔式中、R1、mおよびnは上記または下記式Iの化合物について定義のとおりである〕
の化合物と反応させる工程、または
b)式IV
【化6】

〔式中、R1、mおよびnは上記または下記式Iの化合物について定義のとおりである〕
のカルボン酸化合物もしくはその反応性誘導体を、式V
【化7】

〔式中、R2は上記または下記式Iの化合物について定義のとおりである〕
のピペラジン化合物と反応させる工程;
および所望により、式Iの化合物を他の式Iの化合物に変換する工程、得られた塩形の式Iの化合物を遊離形または異なる塩形の式Iの化合物に変換する工程、得られた遊離形の式Iの化合物を塩に変換する工程、および/または得られた式Iの化合物のアイソマー混合物を個々のアイソマーに分離する工程;
によって製造することができる。
【0057】
反応a)は好ましくは、反応条件下でそれ自体が反応性でない適当な溶媒、例えばエーテル、とりわけ環状エーテル、例えばテトロヒドロフランの存在下で、好ましくは0〜50℃の範囲、例えば室温で、好ましくは塩基、とりわけ3級窒素塩基、例えばトリ−低級アルキルアミン、例えばトリエチルアミンの存在下で行う。
【0058】
反応b)において、式IVのカルボン酸をin situで反応性誘導体に、例えば式IVおよびVの化合物を適当な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、塩化メチレン、またはかかる溶媒の2種以上の混合物に溶解することによって、そして適当な塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)またはN−メチルモルホリンおよびin situで式IIIのカルボン酸の好ましい反応性誘導体を形成する適当なカップリング試薬、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(DCC/HOBT);O−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)−N,N,N‘,N‘−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸(TPTU);O−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’、N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸(TBTU);または1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸(EDC)を加えることによって変換する。他の可能なカップリング試薬の記載は、例えばKlauser;Bodansky, Synthesis 1972, 453-463参照。反応混合物を好ましくは約−20〜50℃、とりわけ0℃〜室温の温度で攪拌して、式Iの化合物を得る。あるいは、式IVのカルボン酸を反応性誘導体の形態で、例えばカルボン酸クロライドのようなカルボン酸ハライドとして、例えばC−C−アルカン酸のようなカルボン酸との無水物として、活性エステルとして、またはアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、リチウム塩またはカリウム塩の形態で使用する。いずれの場合でも、反応を好ましくは、不活性ガス、例えば窒素またはアルゴン下で行うことができる。
【0059】
上記方法の反応混合物の後処理および得られた化合物の精製を、既知の方法によって行うことができる。
【0060】
随意的反応/変換:
式Iの化合物を式Iの異なる化合物に変換することができる。例えば、低級アルコキシカルボニル置換基を鹸化によってカルボキシルに変換し、ニトロ置換基をアミノに水素化することができる。
【0061】
塩形成基を有する式Iの化合物の塩を、遊離化合物から自体公知の方法で製造することができる。例えば、式Iの化合物の酸付加塩を、遊離化合物を酸または適当なアニオン交換剤で処理することによって得ることができる。式Iの化合物の塩を通常、適当な塩基性試薬、例えばアルカリ金属炭素酸塩、炭酸水素塩、またはヒドロキシド、典型的には炭酸カリウムまたは水酸化ナトリウムで処理することによって遊離化合物に変換することができる。式Iの化合物の塩をまた、適当な塩で処理することによって、例えば式Iの化合物の塩よりもモル過剰のものを使用して、異なる塩に変換することができる。
【0062】
式Iの化合物および出発物質の立体異性体混合物、例えばエナンチオマーの混合物を、自体公知の方法で適当な分割法によって対応するアイソマーに分割することができる。エナンチオマー混合物を例えば、例えばエナンチオマー−純粋なキラル酸と塩を形成することによるジアステレオマー塩の形成によって、または例えばキラルリガンドを有するクロマトグラフィー固相を用いたHPLCによるクロマトグラフィーによって、分割することができる。
【0063】
出発物質:
出発物質(出発物質および中間体)の遊離形およびそれらの塩形の密接な関係から、遊離化合物またはそれらの塩についての本明細書のあらゆる記載は、適当かつ便宜であるとき、それらの対応する塩または遊離化合物、または塩/遊離化合物の混合物をも意味すると理解される。
【0064】
出発物質は当業者に既知であるか、または当業者に既知の方法と同様にもしくは実施例のとおりに製造することができる。
【0065】
式IIの出発物質またはその塩を、式VI
【化8】

〔R2は式Iの化合物について定義のとおりである〕
のピペリジン化合物をアクリル酸またはその反応性誘導体、好ましくはアクリル酸ハライド、例えばクロライドと、適当な溶媒、例えば塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素中で、好ましくは−20〜15℃のような低温、例えば約5℃で、好ましくは3級窒素塩基のような塩基、例えばトリ−C−C−アルキルアミン、例えばトリエチルアミンの存在下で反応させることによって製造することができる。
【0066】
式VIの出発物質を当業者に既知の方法で、または同様に、例えば実施例1に記載の方法と同様に、式VII
【化9】

〔式中、R2は式Iの化合物について定義のとおり、とりわけ置換アリールであり、Halはハロ、とりわけフルオロである〕
の化合物のピペラジンとの、例えば適当な非プロトン性溶媒、例えばニトリル、例えばアセトニトリル中で、塩基、例えば炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩の存在下で、0〜50℃の範囲、例えば約室温で、好ましい温度での反応によって製造することができる。
【0067】
式IIIの化合物またはその塩を、式VIII
【化10】

〔式中、R1、mおよびnは式Iの化合物について定義のとおりであり、Prはアミノ保護基、例えばベンジルである〕
のラクタム化合物を、適当な複合体ヒドリド、例えばリチウムアルミニウムヒドリドで、エーテルのような適当な溶媒、例えばテトロヒドロフラン中で、10〜還流温度、例えば室温〜混合物の還流温度の好ましい温度で還元し;次いで保護基、例えばベンジルを、貴金属触媒、例えばパラジウム炭素(Pd/C)の存在下で、適当な溶媒、例えばメタノールのようなアルコールと酢酸のようなカルボン酸の混合物中で、0〜50℃の範囲、例えば約室温の好ましい温度で水素化して除去することによって製造することができる。
【0068】
式VIIIの化合物を例えば、式IX
【化11】

〔式中、Prおよびnは定義のとおりである〕
の化合物を、エーテルのような適当な溶媒、例えばテトロヒドロフラン中で、1種以上のさらなる溶媒、例えば低級アルカンまたは低級シクロアルカン、例えばヘキサンまたはシクロヘキサンの存在または非存在下で、低温、例えば−80〜−50℃、例えば約−70℃で、好ましくはアルゴンのような不活性ガス下で、第1にリチウムブタニド、例えば2級ブチルリチウムの存在下で、そして次いで式
【化12】

〔式中、R1およびmは式Iの化合物について定義のとおりであり(mは好ましくは1または2である)、そしてAはハロ、とりわけブロモである〕
の化合物と反応させることによって得ることができる。
【0069】
式IVの出発物質を例えば、式IIIの化合物(上記のとおり入手可能である)をカルボキシル保護形態のアクリル酸と、工程a)に記載の、または3−ブロモ−プロピオン酸の反応条件と同様に反応させ、そして保護基を除去することによって得ることができる。
【0070】
式Vの出発物質は上記式VIのものと同一である。
【0071】
他の出発物質を既知の方法によって、または同様に得ることができ、あるいは商業的に入手可能である。
【0072】
本発明はまた、工程の任意の段階で中間体として得られる化合物を出発物質として使用し、残りの反応工程を行うか、または出発物質を反応条件下で形成するか誘導体の形態、例えば保護形もしくは塩形で使用するか、または本発明の方法によって得られる化合物を工程条件下で製造しさらにin situで処理する方法の形態に関する。本発明の方法において、好ましくは最初にとりわけ有用であると記載した式Iの化合物をもたらす出発物質を使用する。実施例に記載のものと同様の反応条件および製造工程が極めて好ましい。本発明はまた、式Iの化合物の合成に有用である本明細書に記載の新規出発物質に関する。
【実施例】
【0073】
実施例
下記実施例をその範囲を限定することなく本発明を説明するために提供する:
【0074】
略語:
abs. 完全
AcOH 酢酸
AcOEt 酢酸エチル
aq. 水性
sec.−BuLi sec.−ブチルリチウム(リチウム−2−ブタニド)
Celite(登録商標) 珪藻土を利用したフィルタリング手段(Celite Corporation, Lompoc, USA)
d 日
DMSO ジメチルスルホキシド
ESI−MS エレクトロスプレーイオン化質量分析
エーテル ジエチルエーテル
EtOH エタノール
h 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
MeOH メタノール
min 分
MPLC 中圧液体クロマトグラフィー
H−NMR プロトン核磁気共鳴
Pd/C パラジウム炭素
rt 室温
sat. 飽和
THF テトラヒドロフラン
【0075】
例えば溶離剤または溶媒混合物中の溶媒反応をv/v(体積対体積)、温度を℃(補正せず)で表す。
【0076】
実施例1:(+)−4−{4−[3−(3−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イルメチル−ピペリジン−1−イル)−プロピオニル]−ピペラジン−1−イル}−2−フルオロ−ベンゾニトリル
THF(1.6ml)中4−(4−アクリロイル−ピペラジン−1−イル)−2−フルオロ−ベンゾニトリル(0.125g、0.48mmol)、(+)−3−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イルメチル−ピペリジン(0.106g、0.48mmol)およびトリエチルアミン(0.088ml、0.629ml)をrtで25時間攪拌する。混合物をCHClで希釈し、飽和NaCO水溶液で洗浄する。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、蒸発させる。残渣をMPLC(60gシリカゲル、溶離剤CHCl:MeOH 9:1)で精製して表題化合物、(+)−4−{4−[3−(3−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イルメチル−ピペリジン−1−イル)−プロピオニル]−ピペラジン−1−イル}−2−フルオロ−ベンゾニトリルを無色泡状物として得る:
1H-NMR (400 MHz, DMSO): δ = 7.68-7.61 (m, 1H), 6.99-6.93 (m, 1H), 6.89-6.84 (m, 1H), 6.83-6.79 (m, 1H), 6.77-6.74 (m, 1H), 6.64-6.59 (m, 1H), 5.97 (s, 2H), 3.62-3.54 (m, 4H), 3.50-3.37 (m, 4H), 2.77-2.64 (m, 2H), 2.51-2.33 (m, 6H), 1.96-1.87 (m, 1H), 1.74-1.52 (m, 4H), 1.43-1.34 (m, 1H), 0.94-0.84 (m, 1H);[α]Drt = +14.7° (c=0.5, EtOH), ESI-MS M+H+ = 479.3;光学純度>99.9%、Chiralcel(登録商標)OD−RH 150×4.6mmカラム(Daicel Chiral Technologies, Inc., Exton USA;キラル固定相)を使用して、溶離剤CHCN+0.1%ジエチルアミン、流速0.8ml/min、UV検出(226nM)、保持時間4.8分でラセマートとHPLC比較して決定した。
【0077】
出発物質は下記のとおりに製造する:
a)(−)−3−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イルメチル−1−ベンジル−ピペリジン−2−オン
無水THF(200ml)中1−ベンジル−ピペリジン−2−オン(4.8g、25.4mmol)を−70℃に冷却し;sec.−BuLi(23.4mlの1.3Mシクロヘキサン中溶液;30.4mmol)をアルゴン雰囲気下で滴下し、混合物を−70℃で30分間攪拌する。無水THR(80ml)中5−ブロモメチル−ベンゾ[1,3]ジオキソール(Harrowven et al., Tetrahedron (2001), 57(29), 4447参照)(8.0g、37.2mmol)溶液を滴下し、−70℃で3時間攪拌を継続し、次いでrtで1.5時間飽和NHCl水溶液を加え、有機層を分離し、NaSOで乾燥し、蒸発させる。油状残渣をMPLC(140gシリカゲル、溶離剤 シクロヘキサン、シクロヘキサン:AcOEt 7:3)で精製して3−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イルメチル−1−ベンジル−ピペリジン−2−オンを黄色油状物として得る。Chiralpak AD 5×50cm/20μmカラム(Daicel Chiral Technologies, Inc., Exton USA;キラル固定相);溶離剤 ヘキサン:イソプロパノール 90:10;流速80ml/min;UV検出(210nM)を使用した分離分取によって(−)−3−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イルメチル−1−ベンジル−ピペリジン−2−オン([α]rt=−61.1°(c=0.5、EtOH))を得る。
【0078】
b)(+)−3−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イルメチル−1−ベンジル−ピペリジン
THF(21ml)中(−)−3−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イルメチル−1−ベンジル−ピペリジン−2−オン(1.73g、5.3mmol)溶液に、LiAlH(6.5mlの1M THF溶液、6.5mmol)をrtで滴下する。混合物を2.5時間還流し、rtに冷却し、水でクエンチし、Celite(登録商標)でろ過する。ろ液を蒸発させ、残渣をAcOEtに溶解し、水および塩水で洗浄し、そして水層をAcOEtで再抽出し、合併した有機層をNaSOで乾燥し、蒸発させて(+)−3−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イルメチル−1−ベンジル−ピペリジン([α]rt=28.2°(c=0.5、EtOH))を得る。
【0079】
c)(+)−3−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イルメチル−ピペリジン
1.40g(4.5mmol)の(+)−3−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イルメチル−1−ベンジル−ピペリジンを35ml MeOHおよび1ml AcOHに溶解し、Pd/C 10%(0.3g)で2日間、水素吸収が完了するまで水素添加する。混合物をCelite(登録商標)でろ過し、ろ液を蒸発させ、CHClで希釈し、飽和NaCO水溶液で洗浄し、そして蒸発させて(+)−3−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イルメチル−ピペリジン([α]rt=5.9°(c=0.5、DMSO))得る。これをさらに精製することなく使用する。
【0080】
d)2−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)−ベンゾニトリル
ピペラジン(20.0g、232.3mmol)およびKCO(16.0g、118.5mmol)をCHCN(85ml)に溶解する。2,4−ジフルオロ−ベンゾニトリル(8.5g、61.1mmol)を加え、混合物を2時間rtで攪拌し、AcOEtで希釈し、水で洗浄する。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、蒸発させる。過剰のピペラジンをMPLC(100gシリカゲル、溶離剤 CHCl:MeOH 85:15)で除去する。2次クロマトグラフィー精製(300g シリカゲル、溶離剤 トルエン:EtOH:AcOH 4:4:1)によって2−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)−ベンゾニトリルの酢酸塩を得て、これをAcOEtから結晶化し、濾取し、エーテルで洗浄する。遊離塩基を飽和NaCO水溶液/AcOEtで抽出して単離する。
【0081】
e)4−(4−アクリロイル−ピペラジン−1−イル)−2−フルオロ−ベンゾニトリル
CHCl(13ml)中2−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)−ベンゾニトリル(0.53g、2.56mmol)およびトリエチルアミン(0.5ml、3.59mmol)溶液をCHCl (3ml)中塩化アクリロイル(0.25ml、3.15mmol)の冷(0〜5℃)溶液に滴下する。添加の終了後、混合物をrtで1時間攪拌し、飽和NaCO水溶液を加え、攪拌を20分間継続する。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、蒸発させる。AcOEtを加えて、4−(4−アクリロイル−ピペラジン−1−イル)−2−フルオロ−ベンゾニトリルを結晶化し、濾取し、AcOEtで洗浄し、そして空気乾燥する。
【0082】
実施例1および/または上記方法と同様に、下記実施例を製造する:
【化13】

【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
(rac):これらの化合物はラセマートとして存在する。
n.d.=検出せず
*この基は式
【化14】

を有する。
**この基は式
【化15】

を有する。
***この基は式
【化16】

の基を有する。
【0085】
実施例17:軟カプセル剤
5000個の軟ゼラチンカプセル剤(各々0.05gの上記実施例に記載のいずれか1つの式Iの化合物の有効成分を含む)を下記のとおりに製造する:
組成
有効成分 250g
Lauroglycol 2リットル
製造法:粉砕した有効成分をLauroglycol(登録商標)(プロピレングリコールラウレート、Gattefosse S.A., Saint Priest, France)に懸濁し、湿潤粉砕機で挽き、約1〜3μmの粒子サイズとする。0.419g部の混合物を、カプセル充填機を使用して軟ゼラチンカプセルに入れる。
【0086】
実施例18:式Iの化合物を含む錠剤
有効成分として実施例1〜16の式Iの化合物のいずれか1つを100mg含む錠剤を、下記組成で、下記標準的方法によって製造する:
組成
有効成分 100mg
結晶ラクトース 240mg
Avicel 80mg
PVPPXL 20mg
Aerosil 2mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
----------------------
447mg
製造:有効成分を担体物質と混合し、打錠機(Korsch EKO, Stempeldurchmesser 10 mm)によって圧縮する。
【0087】
Avicel(登録商標)は微結晶セルロースである(FMC, Philadelphia, USA)。
PVPPXLはポリビニルポリピロリドン、架橋である(BASF, Germany)。
Aerosil(登録商標)はシルシウム(silcium)ジオキシドである(Degussa, Germany)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
は置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロシクリルであり;
は置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロシクリルであり;
nおよびmは各々互いに独立して0、1または2であり、
および/またはRが置換アリールであるとき、置換基はC−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ハロ−C−C−アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロ;非置換、C−C−アルコキシ−置換もしくはハロ置換フェニル−C−C−アルキル;ヒドロキシ;ヒドロキシ−C−C−アルキル;アルコキシ;C−C−アルコキシ;フェノキシ;アルカノイルオキシ、C−C−アルカノイルオキシ;C−C−アルカノイルチオ;ハロ;アミノ;N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)アミノ;C−C−アルカノイルアミノ;C−C−アルカノイル;カルボキシ;C−C−アルコキシカルボニル;シアノ;カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)カルバモイル;C−C−アルキルスルホニル;スルファモイル;およびニトロから独立して選択される1個以上の置換基であり;
そしてRおよび/またはRが置換ヘテロシクリルであるとき、置換基はC−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ハロ−C−C−アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロ;非置換−、C−C−アルコキシ−置換もしくはハロ置換フェニル−C−C−アルキル;ヒドロキシ;ヒドロキシ−C−C−アルキル;アルコキシ;C−C−アルコキシ;フェノキシ;アルカノイルオキシ、C−C−アルカノイルオキシ;C−C−アルカノイルチオ;ハロ;アミノ;N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)アミノ;C−C−アルカノイルアミノ;C−C−アルカノイル;カルボキシ;C−C−アルコキシカルボニル;シアノ;カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)カルバモイル;C−C−アルキルスルホニル;スルファモイル;ニトロおよびオキソから独立して選択される1個以上の置換基である〕
の化合物またはその塩。
【請求項2】
が置換もしくは非置換アリールであり、ここでアリールがフェニル、ナフチルまたはフルオレニルであり、その各々が非置換であるかまたはアルキル;シクロアルキル;フェニルまたは(1−もしくは2−)ナフチルから独立して選択される1個以上の置換基によって置換されており、その各々が非置換であるかまたはC−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ハロ−C−C−アルコキシ、ニトロ、シアノ、およびハロ;非置換、C−C−アルコキシ−置換もしくはハロ置換フェニル−C−C−アルキル;ヒドロキシ;ヒドロキシ−C−C−アルキル;アルコキシ;フェノキシ;アルカノイルオキシ、C−C−アルカノイルチオ;ハロ;アミノ;N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)アミノ;C−C−アルカノイルアミノ;C−C−アルカノイル;カルボキシ;C−C−アルコキシカルボニル;シアノ;カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)カルバモイル;C−C−アルキルスルホニル;スルファモイル;およびニトロから選択される1個以上の置換基によって置換されており;
あるいは置換もしくは非置換ヘテロシクリルであり、ここでヘテロシクリルが3〜20個の環原子を有する不飽和、部分飽和または飽和環であって、O、N(またはNH)およびSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有しており、1、2または3環式であり、そして非置換であるかまたは置換アリールの上記置換基およびオキソから独立して選択される3個までの基によって置換されており;
がR1とは同一または異なって、R1に記載の基から独立して選択され、前記R1の置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロシクリルであり、
nが1または2であり、そして
mが1または21である、
請求項1に記載の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
が、非置換であるかもしくはシアノ、C−C−アルコキシ、ニトロおよびハロから独立して選択される1個以上の置換基によって置換されているフェニル、フルオレニルであるか、またはピリジニル、ヒドロキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシの1個以上から独立して選択される置換ピリジニル、1−アルキル−オキソ−ジヒドロピリジニル、ベンゾ[1,2,5]オキサジアゾリル、ベンゾ[1,2,5]チアジアゾリル、イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−、−7−もしくは−6−イル、4−[1,2,5]−チアジアゾロ−[3,4−b]ピリジン−7−、−6−もしくは−5−イル、キサンテニル、チオキサンテニル、ベンゾ[1,3]ジオキソル−4−もしくは−5−イル;および2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−もしくは−6−イルからなる群から選択される置換もしくは非置換ヘテロシクリルであり;
がR1とは同一または異なって、R1に記載の基から独立して選択され、前記R1の置換もしくは非置換フェニルまたは置換もしくは非置換ヘテロシクリルであり;
そしてnおよびmは各々1である;
請求項1に記載の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】

【化2】

からなる群から選択される基であり;
R2が式
【化3】

〔XがCHまたはNであり、
YがOまたはSであり、
およびRが互いに独立して水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、C−C−アルキルまたはC−C−アルコキシであり、そして
が水素またはC−C−アルキルである〕
の基からなる群から選択される基であり;
nおよびmは各々互いに独立して1または2である;
請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項5】
(+)−4−{4−[3−(3−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イルメチル−ピペリジン−1−イル)−プロピオニル]−ピペラジン−1−イル}−2−フルオロ−ベンゾニトリルおよび式
【化4】

の下記表
【表1】

の化合物2〜16からなる群から選択される、式Iの化合物または(好ましくは薬学的に許容される)その塩。
【請求項6】
純粋なエナンチオマーの形態である請求項1〜5のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の製造法であって、
a)式II
【化5】

〔式中、R2は式Iの化合物について定義のとおりである〕
のN−アクリロイル−ピペラジン化合物を、式III
【化6】

〔式中、R1、mおよびnは上記または下記式Iの化合物について定義のとおりである〕
の化合物と反応させる工程、または
b)式IV
【化7】

〔式中、R1、mおよびnは上記または下記式Iの化合物について定義のとおりである〕
のカルボン酸化合物もしくはその反応性誘導体を、式V
【化8】

〔式中、R2は上記または下記式Iの化合物について定義のとおりである〕
のピペラジン化合物と反応させる工程;
および所望により、式Iの化合物を他の式Iの化合物に変換する工程、得られた塩形の式Iの化合物を遊離形または異なる塩形の式Iの化合物に変換する工程、得られた遊離形の式Iの化合物を塩に変換する工程、および/または得られた式Iの化合物のアイソマー混合物を個々のアイソマーに分離する工程;
を含んでなる方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項9】
動物、とりわけ哺乳類または人体の診断および/または治療的処置に使用するための、請求項1〜6のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
精神障害、神経系の障害、腫瘍、血管障害および免疫学的疾患からなる群から選択される1種以上の障害の処置用;とりわけ双極性障害、社会恐怖症、記憶障害、注意欠陥、過活動障害、攻撃的状態および/または統合失調症の陰性症状の処置用医薬組成物の製造のための、請求項1〜6のいずれかに記載の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項11】
処置を必要とする対象における精神障害、神経系の障害、腫瘍、血管障害および/または免疫学的疾患からなる群から選択される1種以上の障害の予防、処置または進行の遅延のための;とりわけ双極性障害、社会恐怖症、記憶障害、注意欠陥、過活動障害、攻撃的状態および/または統合失調症の陰性症状の処置のための方法であって、かかる対象に治療上有効量の請求項1〜6のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含んでなる方法。
【請求項12】
治療上有効量の請求項1〜6のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、および第2の薬剤物質またはその薬学的に許容される塩を含む組合せ剤であって、前記第2の薬剤物質が精神障害、神経系の障害、腫瘍、血管障害および/または免疫学的疾患;とりわけ双極性障害、社会恐怖症、記憶障害、注意欠陥、過活動障害、攻撃的状態および/または統合失調症の陰性症状の処置に使用されるものである、組合せ剤。

【公表番号】特表2009−501180(P2009−501180A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520800(P2008−520800)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006867
【国際公開番号】WO2007/009662
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】