説明

タイヤおよびその製造方法ならびにタイヤ成形用金型

【課題】2つ割りの金型を用いて製造されるタイヤの縦溝の壁面のエッジ部における欠けやラックの発生を抑制でき、タイヤの商品価値を高める上で有利なタイヤおよびその製造方法ならびにタイヤ成形用金型を提供すること。
【解決手段】タイヤ10は、トレッド面12に設けられたタイヤ周方向に延在する縦溝22と、トレッド面12に設けられタイヤ周方向と交差する方向に延在しタイヤ赤道面Cから離れる方向において開口部24を介して前記縦溝22に連通する横溝16とを有している。開口部24に対向する縦溝22の壁面2202の近傍のトレッド面12の箇所に、トレッド面12から突出し縦溝22の延在方向に沿って延在する突条18が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤおよびその製造方法ならびにタイヤ成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ成型用金型として種々の方式が採用されているが、中でも、2つ割りの金型は、金型制作費が最も低コストで済み、したがって、タイヤのコストダウンを図る上で有利となる。
2つ割りの金型は、タイヤの幅方向の半部に対応する上型と下型とを備えている。製造すべきタイヤが、トレッド面上でタイヤ周方向に延在する縦溝と、トレッド面上でタイヤ周方向と交差する方向に延在しタイヤ赤道面から離れる方向において開口部を介して縦溝に連通する横溝とを備えている場合、上下の金型には、それら金型の内部で周方向に延在するトレッド面の形成用金型面と、トレッド面の形成用金型面から突出し周方向に延在する縦溝の形成用凸部と、トレッド面の形成用金型面から突出し周方向と交差する方向に延在し金型の割り面から離れる方向において縦溝の形成用凸部に接続する横溝の形成用凸部が設けられる。
そして、タイヤ加硫成形後に、上下の金型を、タイヤ幅方向でタイヤ赤道面から離れる方向に強制的に移動させ、上下の金型を製品タイヤから外すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−76110号公報
【特許文献2】特開2010−42561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、上下の金型を製品タイヤから外す際に、横溝の開口部に対向する縦溝のエッジ部に欠けやラックが生じ易い。
詳細に説明すると、加硫成形後に金型を開いてタイヤを取り出す際に、縦溝の形成用凸部および横溝の形成用凸部が、タイヤをその半径方向内側に押しつぶし、開口部に対向する縦溝の壁面を乗り越える。
この場合、縦溝の形成用凸部が縦溝の壁面を乗り越えた後、横溝の形成用凸部が縦溝の壁面を乗り越えることになるが、横溝の形成用凸部は、乗り越える方向に対して直交する方向の幅を有しているため、横溝の形成用凸部が縦溝の壁面を乗り越える際に、縦溝の壁面の上部のエッジ部に応力が集中し、欠けやラックが生じ易いと考えられる。
そして、欠けやラックが生じるとタイヤの外観性を高める上で不利となり、タイヤの商品価値を高める上で不利があった。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、2つ割りの金型を用いて製造されるタイヤの縦溝の壁面のエッジ部における欠けやラックの発生を抑制でき、タイヤの商品価値を高める上で有利なタイヤおよびその製造方法ならびにタイヤ成形用金型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明のタイヤは、トレッド面に設けられたタイヤ周方向に延在する縦溝と、トレッド面に設けられタイヤ周方向と交差する方向に延在しタイヤ赤道面から離れる方向において開口部を介して前記縦溝に連通する横溝とを有し、前記開口部に対向する前記縦溝の壁面の近傍のトレッド面の箇所に、トレッド面から突出し前記縦溝の延在方向に沿って延在する突条が形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、トレッド面に設けられたタイヤ周方向に延在する縦溝と、トレッド面に設けられタイヤ周方向と交差する方向に延在しタイヤ赤道面から離れる方向において開口部を介して前記縦溝に連通する横溝とを有するタイヤを、前記縦溝の形成用凸部および前記横溝の形成用凸部を有する上下の金型により加硫成形するタイヤの製造方法であって、タイヤ加硫成形時に、前記上下の金型により、前記開口部に対向する前記縦溝の壁面の近傍のトレッド面の箇所に、トレッド面から突出し前記縦溝の延在方向に沿って延在する突条を形成し、前記上下の金型を開いてタイヤを取り出す際に、前記縦溝の形成用凸部および前記横溝の形成用凸部を、前記突条を乗り越えさせ、前記開口部に対向する前記縦溝の壁面とトレッド面とが交わるエッジ部の箇所を沈ませるようにしたことを特徴とする。
また、本発明は、割り面で合わされる上下の金型を備え、前記上下の金型は、それら金型の内部で周方向に延在するトレッド面形成用金型面と、前記トレッド面形成用金型面から突出し前記周方向に延在する縦溝形成用凸部と、前記トレッド面形成用金型面から突出し前記周方向と交差する方向に延在し前記割り面から離れる方向において前記縦溝形成用凸部に接続する横溝形成用凸部とを有し、前記縦溝形成用凸部の近傍で、かつ、前記割り面から離れる方向で前記横溝形成用凸部の延在方向の延長上に位置する前記トレッド面形成用金型面の箇所に、前記縦溝形成用凸部に沿って延在する突条形成用凹溝が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、金型の縦溝形成用凸部に続いて横溝形成用凸部が突条を乗り越える際に、突条が沈み込まされ、この突条の沈み込みにより、開口部に対向する縦溝の壁面のエッジ部が効果的に沈まされる。
これにより、金型の横溝形成用凸部のエッジ部への当たりを弱め、エッジ部にかかる応力を緩和してエッジ部の負荷を軽減できる。
したがって、エッジ部における欠けやラックの発生を抑制する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】(A)は簡略した説明用のトレッド面のブロックパターンの図、(B)は(A)のBB断面図である。
【図2】2つ割りのタイヤ成型用金型の半部断面図である。
【図3】縦溝形成用凸部48および横溝16成用凸部が壁面2202および突条18を乗り越える状態を横溝16側から見た説明図である。
【図4】(A)は簡略した説明用のトレッド面のブロックパターンの図、(B)は縦溝形成用凸部48が切り欠き部1802を有する突条18を乗り越える状態の説明図である。
【図5】突条18の説明図である。
【図6】簡略した説明用のトレッド面のブロックパターンの図である。
【図7】縦溝22側から見た突条18の図である。
【図8】面取り2204の説明図である。
【図9】実施例1〜4、従来例の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、タイヤ10のトレッド面12に、縦溝14と、横溝16と、突条18とが形成されている。
縦溝14は、タイヤ10の幅方向の中央に位置する縦溝20と、その両側に位置する縦溝22とを含んでいる。それら縦溝20、22は、タイヤ周方向に連続して延在している。
横溝16は、タイヤ周方向と交差する方向に延在しタイヤ赤道面Cから離れる方向において開口部24を介して縦溝20の両側の縦溝22に連通している。
そして、それら縦溝20、縦溝22、横溝16により多数のブロック26が形成され、それらブロック26は中央の縦溝14の両側でタイヤ周方向に並べられたブロック列を形成している。
また、タイヤ幅方向において縦溝22の外側部分は、図では省略してあるが、多数のブロック26、あるいは、リブ、あるいはそれらの組み合わせからなる陸部28となっている。
なお、図1において符号30で示す2点鎖線は、上下の金型の割り面を示している。割り面30はタイヤ赤道面Cと一致していてもよく、一致していなくてもよい。
【0009】
突条18は、開口部24に対向する縦溝22の壁面2202の近傍のトレッド面12の箇所に、トレッド面12から突出して縦溝22の延在方向に沿って延在形成されている。
図1(B)に示すように、突条18が設けられる箇所は、後述するように、上下の金型36、38の縦溝形成用凸部48および横溝16成用凸部が突条18を乗り越える際に、エッジ部32を効果的に沈ませる観点から、縦溝22の底部の幅を寸法W1とした場合、開口部24に対向する縦溝22の壁面2202とトレッド面12とが交わるエッジ部32から、縦溝22から離れる方向へ寸法W1の範囲内の箇所が好ましい。
【0010】
このような突条18を設けると、2つ割りの金型を用いて製造されるタイヤの縦溝22の壁面2202のエッジ部32における欠けやラックの発生を抑制する上で有利となる。
図2を参照してより詳細に説明する。なお、図2では図を簡略化するため、タイヤ赤道面Cと割り面30とを一致させて描いている。
タイヤ成型用金型34は、上型36と下型38とからなる2つ割りで、割り面30で合わせた状態で、上型36と下型38の金型面により、製品タイヤ10の輪郭をなす加硫室3402が形成される。
上下の金型36,38の金型面は、加硫室3402の周方向に延在するトレッド面形成用金型面40と、トレッド面形成用金型面40から突出し周方向に延在する縦溝形成用凸部42と、トレッド面形成用金型面40から突出し周方向と交差する方向に延在し割り面30から離れる方向において縦溝形成用凸部42に接続する横溝形成用凸部44とを有している。
縦溝形成用凸部42は、割り面30を含んだ箇所に位置する縦溝形成用凸部46と、その両側に位置する縦溝形成用凸部48、49を含んでいる。
そして、中央の縦溝形成用凸部46の両側に位置する縦溝形成用凸部48の近傍で、かつ、割り面30から離れる方向で横溝形成用凸部44の延在方向の延長上に位置するトレッド面形成用金型面40の箇所に、縦溝形成用凸部48に沿って延在する突条形成用凹溝50が設けられている。
また、タイヤ成型用金型34の中央部に、不図示のブラダーの装着機構、加熱媒体供給機構、加圧媒体供給機構などが配置される。
【0011】
生タイヤ10Aは、上型36を上昇させた状態で下型38上に載置され、上型36が下降し割り面30で合わせた状態で金型面に配置される。
そして、生タイヤ10Aの内面に袋状のブラダーが配置され、ブラダーの内部に、加熱媒体、加圧媒体が供給され、加熱後に高圧で加圧して生タイヤ10Aの加硫成形が行なわれ、製品タイヤ10が成形される。
すなわち、トレッド面形成用金型面40、縦溝形成用凸部48、横溝形成用凸部44、突条形成用凹溝50によりトレッド面12、縦溝22、横溝16、突条18が成形される。
そして、加硫後に、ブラダーが取り外され、製品タイヤを下型38上に押さえつけた状態で上型36を上昇させ、上型36が製品タイヤから外される。
次に、製品タイヤを上昇させ、製品タイヤが下型38から外される。
これにより製品タイヤ10がタイヤ成型用金型34から取り出される。
【0012】
この最終工程である、上型36を製品タイヤ10から外す際、および、製品タイヤ10を下型38から外す際に、縦溝形成用凸部48および横溝形成用凸部44が、製品タイヤ10をその半径方向内側に押圧変形させつつ、開口部24に対向する縦溝22の壁面2202を乗り越える。
図3を参照して説明すると、縦溝形成用凸部48が縦溝22の壁面2202およびエッジ部32を乗り越えた後、続いて横溝形成用凸部44が縦溝22の壁面2202のエッジ部32を乗り越えることになる。
縦溝形成用凸部48が壁面2202およびエッジ部32を乗り越える際には、縦溝形成用凸部48は周方向に連続しているので、壁面2202やエッジ部32に応力が集中することはなく応力は分散される。
ところが、横溝形成用凸部44は、乗り越える方向に対して直交する方向の幅を有しており、また、縦溝形成用凸部48がエッジ部32を乗り越えた後は弾性によりトレッド面12は元に戻ろうとしてタイヤ半径方向外側に変位するため、横溝形成用凸部44がエッジ部32を乗り越える際に、突条18を設けていない従来では、横溝形成用凸部44が当たるエッジ部32に、応力が集中し、欠けやラックが生じる可能性があった。
【0013】
本発明では、加硫成形時に、突条形成用凹溝50により製品タイヤ10に突条18が形成され、この突条18は、開口部24に対向する縦溝22の壁面2202の近傍のトレッド面12の箇所に、縦溝22の延在方向に沿って延在している。
したがって、縦溝形成用凸部48が縦溝22の壁面2202およびエッジ部32を乗り越える際、続いて横溝形成用凸部44が縦溝22の壁面2202のエッジ部32を乗り越える際に、縦溝形成用凸部48および横溝形成用凸部44は共に前記突条18を乗り越える。
そして、縦溝形成用凸部48および縦溝形成用凸部48に続いて横溝形成用凸部44が突条18を乗り越える際に、突条18が沈み込まされ、この突条18の沈み込みにより、開口部24に対向する縦溝22の壁面2202のエッジ部32は効果的に沈まされる。
これにより、横溝形成用凸部44のエッジ部32への当たりを弱め、エッジ部32にかかる応力を緩和してエッジ部32の負荷を軽減できる。
したがって、エッジ部32における欠けやラックの発生を抑制する上で有利となる。
したがって、本発明によれば、2つ割りの金型を用いて製造されるタイヤの外観性を高める上で有利となり、タイヤの商品価値を高める上で有利となる。
【0014】
次に、突条18についてさらに詳細に説明する。
図1(B)に示すように、突条18のトレッド面12からの高さHは、1〜3mmが好ましい。
高さHが1mm未満になると、開口部24に対向する縦溝22の壁面2202のエッジ部32の沈み量が少なくなるため、エッジ部32における欠けやラックの発生を抑制する効果が少なくなり、3mmを超えると、金型の抜けが悪化するためである。
このようなことから、上下の金型36、38のトレッド面形成用金型面40に設ける突条形成用凹溝50の深さも、1〜3mmが好ましい。
【0015】
また、図4(A)に示すように、縦溝22を挟んで前記ブロック26に対向する突条18部分に、該突条18部分を除いた切り欠き部1802を設けてもよい。
切り欠き部1802を設けることで、図4(B)に示すように、縦溝形成用凸部48が突条18を乗り越える際に、切り欠き部1802に位置する陸部28の部分の剛性を低下させ、開口部24に対向する縦溝22の壁面2202のエッジ部32をさらに効果的に沈ませる上で有利となる。
この切り欠き部1802の長さL1は、好ましくはタイヤ周方向に沿ったブロック26の長さL2の10%以上100%以下が好ましい。切り欠き部1802の長さが10%に満たない場合、および、100%を超えると、開口部24に対向する縦溝22の壁面2202のエッジ部32を効果的に沈ませる上で不利となるためである。
このようなことから、突条18の部分に切り欠き部1802が形成されるように、上下の金型36、38の突条形成用凹溝50に、突条形成用凹溝50の部分を塞いだ閉塞部を設けてもよい。
【0016】
また、図5に示すように、突条18の縦溝22側に、縦溝22に近づくにつれて次第に高さが低くなる傾斜面1804を形成してもよい。
傾斜面1804を形成すると、上下の金型36、38の縦溝形成用凸部48および横溝16成用凸部が突条18を乗り越える乗り越し性を向上させることができ、エッジ部32における欠けやラックの発生を抑制する上で有利となる。
傾斜面1804のトレッド面12に対する傾斜角θ1は、乗り越し性を向上させる観点から60°以下が好ましい。
【0017】
また、突条18の剛性を確保し、開口部24に対向する縦溝22の壁面2202のエッジ部32を効果的に沈ませるため、突条18がトレッド面12に接する突条18の底面の幅W2は、2mm以上5mm以下が好ましい。突条18の底面の幅W2が2mmに満たないと、縦溝形成用凸部48および横溝16成用凸部が突条18を乗り越える際に、突条18が変形し、開口部24に対向する縦溝22の壁面2202のエッジ部32を効果的に沈ませる上で不利となる。また、突条18の底面の幅Wが5mmを超えると、タイヤ接地面積に影響し、タイヤ性能上不利となる。
このようなことから、突条18の縦溝22側に傾斜面1804が形成されるように、上下の金型36、38の突条形成用凹溝50を構成する互いに対向する壁面のうちの縦溝形成用凸部48側の壁面を、縦溝形成用凸部48から離れるにつれて突条形成用凹溝50の深さが次第に深くなる傾斜面で形成してもよい。
【0018】
また、図6に示すように、突条18は、周方向に沿って直線状に延在させずに、開口部24の幅の中心に対向する突条18の部分が縦溝22に最も近く、この突条18の部分から離れるにつれて次第に縦溝22から離れるようにタイヤ周方向に対して角度θ2を持って延在させてもよい。
この場合の角度θ2は、周方向に対して10°〜45°の範囲となることがより好ましい。
このように突条18をタイヤ周方向に対して角度θ2を持って延在させると、縦溝形成用凸部48が突条18を乗り越える際に、ブロック26の長さL2の中央部に対向する陸部28の部分の剛性を低下させ、開口部24に対向する縦溝22の壁面2202のエッジ部32を効果的に沈ませる上で有利となる。
このようなことから、上下の金型36、38の突条形成用凹溝50も、加硫室3402の周方向に対して角度を持って延在させてもよい。
【0019】
また、図7に示すように、突条18の高さHを、開口部24に対向する突条18の部分が最も高く、最も高い突条18の部分から離れるにつれて次第に低くなるように形成してもよい。
このように突条18を延在させると、縦溝形成用凸部48が突条18を乗り越える際に、ブロック26の長さL2の中央部に対向する陸部28の部分の剛性を低下させ、開口部24に対向する縦溝22の壁面2202のエッジ部32を効果的に沈ませる上で有利となる。
このようなことから、上下の金型36、38の突条形成用凹溝50の深さも、横溝成用凸部に対向する箇所が最も深く、最も深い部分から離れるにつれて次第に浅くなるように形成してもよい。
【0020】
また、図8に示すように、開口部24に対向する縦溝22の壁面2202とトレッド面12とが交わるエッジ部32に、面取り2204を施してもよい。
このような面取り2204を施すと、縦溝形成用凸部48および横溝16成用凸部が壁面2202を乗り越える際に、エッジ部32にかかる負荷を軽減させ、エッジ部32における欠けやラックの発生を抑制する上で有利となる。
面取り2204は欠けやラックの発生を抑制する観点からC0.5〜C2.0の範囲が好ましい。
このようなことから、上下の金型36、38で割り面30から離れた方向においてトレッド面形成用金型面40と縦溝形成用凸部48とが交わる箇所に、面取り2204に対応する盛り上がり部を設けてもよい。
【実施例1】
【0021】
図9に示す仕様に基づいて、実施例1〜4の上下の金型36、38と、突条18のない従来例1の上下の金型36、38を用いてタイヤを成形し、評価を行なった。
実施例1〜4では、突条18は、図1(B)に示すように、縦溝22の底部の幅を寸法W1とした場合、開口部24に対向する縦溝22の壁面2202とトレッド面12とが交わるエッジ部32から、縦溝22から離れる方向へ寸法W1の範囲内の箇所に設けられている。
図9において突条18の高さHは、図1(B)に示す高さHである。
図9において切り欠き部1802の長さL1は、図4に示す長さL1である。
図9において突条18の傾斜面1804の角度θ1は、図5に示す角度θ1である。
図9において突条18の底面の幅W2は、図5に示す幅W2である。
図9において突条18のタイヤ周方向に対する角度θ2は、図6に示す角度θ2である。
図9において、突条18の高さ変化は、図7に示すように、突条18の高さHを、開口部24に対向する突条18の部分が最も高く、最も高い突条18の部分から離れるにつれて次第に低くなるように形成したもので、最も低い箇所を、最も高い箇所の高さの30%としたものである。
【0022】
評価の欄において、◎は、エッジ部32に生じる欠けやラックが皆無か皆無に近い状態であり、○は、欠けやラックが僅かに生じるもののほとんど目立たない範囲内であり、×は、欠けやラックが僅かに生じ少し目立つ範囲となったものである。
したがって、本発明によれば、エッジ部32における欠けやラックの発生を抑制する上で有利となり、そのため、2つ割りの金型を用いて製造されるタイヤの外観性を高める上で有利となり、タイヤの商品価値を高める上で有利となる。
【符号の説明】
【0023】
10……タイヤ、12……トレッド面、14……縦溝、16……横溝、18……突条、34……タイヤ成型用金型、36……上型、38……下型、40……トレッド面形成用金型面、42……縦溝形成用凸部、44……横溝形成用凸部、50……突条形成用凹溝50。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド面に設けられたタイヤ周方向に延在する縦溝と、
トレッド面に設けられタイヤ周方向と交差する方向に延在しタイヤ赤道面から離れる方向において開口部を介して前記縦溝に連通する横溝と、
を有するタイヤにおいて、
前記開口部に対向する前記縦溝の壁面の近傍のトレッド面の箇所に、トレッド面から突出し前記縦溝の延在方向に沿って延在する突条が形成されている、
タイヤ。
【請求項2】
前記突条のトレッド面からの高さは、1〜3mmである、
請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
タイヤ周方向において隣り合う前記横溝によりブロックが形成され、
前記縦溝を挟んで前記ブロックに対向する前記突条部分に、該突条部分を除いた切り欠き部が設けられている、
請求項1または2記載のタイヤ。
【請求項4】
前記突条の前記縦溝側に、前記縦溝に近づくにつれて次第に高さが低くなる傾斜面が形成されている、
請求項1乃至3に何れか1項記載のタイヤ。
【請求項5】
前記突条は、前記開口部の幅の中心に対向する前記突条の部分が前記縦溝に最も近く、前記突条の部分から離れるにつれて次第に前記縦溝から離れるようにタイヤ周方向に対して角度を持って延在している、
請求項1乃至4に何れか1項記載のタイヤ。
【請求項6】
前記突条の高さは、前記開口部の幅の中心に対向する前記突条の部分が最も高く、前記突条の部分から離れるにつれて次第に低くなるように形成されている、
請求項1乃至5に何れか1項記載のタイヤ。
【請求項7】
前記開口部に対向する前記縦溝の壁面とトレッド面とが交わるエッジ部に、面取りが施されている、
請求項1乃至6に何れか1項記載のタイヤ。
【請求項8】
トレッド面に設けられたタイヤ周方向に延在する縦溝と、トレッド面に設けられタイヤ周方向と交差する方向に延在しタイヤ赤道面から離れる方向において開口部を介して前記縦溝に連通する横溝とを有するタイヤを、
前記縦溝の形成用凸部および前記横溝の形成用凸部を有する上下の金型により加硫成形するタイヤの製造方法であって、
タイヤ加硫成形時に、前記上下の金型により、前記開口部に対向する前記縦溝の壁面の近傍のトレッド面の箇所に、トレッド面から突出し前記縦溝の延在方向に沿って延在する突条を形成し、
前記上下の金型を開いてタイヤを取り出す際に、前記縦溝の形成用凸部および前記横溝の形成用凸部を、前記突条を乗り越えさせ、前記開口部に対向する前記縦溝の壁面とトレッド面とが交わるエッジ部の箇所を沈ませるようにした、
タイヤの製造方法。
【請求項9】
割り面で合わされる上下の金型を備え、
前記上下の金型は、それら金型内部で周方向に延在するトレッド面形成用金型面と、前記トレッド面形成用金型面から突出し前記周方向に延在する縦溝形成用凸部と、前記トレッド面形成用金型面から突出し前記周方向と交差する方向に延在し前記割り面から離れる方向において前記縦溝形成用凸部に接続する横溝形成用凸部とを有し、
前記縦溝形成用凸部の近傍で、かつ、前記割り面から離れる方向で前記横溝形成用凸部の延在方向の延長上に位置する前記トレッド面形成用金型面の箇所に、前記縦溝形成用凸部に沿って延在する突条形成用凹溝が設けられている、
タイヤ成型用金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−1021(P2012−1021A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135311(P2010−135311)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】