説明

タイヤの製造方法、タイヤの製造装置、及びタイヤ

【課題】樹脂材料を用いて形成されたタイヤ骨格部材の外周面に対して補強コード部材を均等な圧力で押圧しながら巻き付けるタイヤの製造方法を提供すること。
【解決手段】樹脂材料を用いて軸方向の中央部よりも端部側で外径が小さい環状のタイヤケース17を形成する骨格形成工程と、タイヤケース17の外周面17Sの中間部及び端部側へ補強コード部材26を押圧ローラ113によって押圧しながら巻き付けて外周面17S上に補強層28を形成する補強層形成工程と、を備え、補強層形成工程では、タイヤケース17の軸方向断面視における外周面17Sの方向に応じて押圧ローラ113の押圧方向を変化させることから、タイヤケース17の外周面17Sに対して補強コード部材26を均等な圧力で押圧しながら巻き付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの製造方法、タイヤの製造装置、及びタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗用車等の車両には、ゴム、有機繊維材料、スチール部材などから構成された空気入りタイヤが用いられている。
【0003】
近年では、軽量化や、成形の容易さ、リサイクルのしやすさから、樹脂材料、特に熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性材料をタイヤ材料として用いることが求められている。
例えば、特許文献1には、熱可塑性の高分子材料を用いて成形された空気入りタイヤが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−143701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の空気入りタイヤでは、熱可塑性の高分子材料を用いて成形された環状のタイヤ骨格部材の外周面にクッションゴムを添着し、このクッションゴムへ補強コードを埋設しながら螺旋状に巻回して補強層を形成し、この補強層の上にトレッドゴムを配設している。
【0006】
ここで、補強コードをクッションゴムに埋設する方法としては、補強コードをローラなどで押圧してクッションゴムへ埋設する方法が考えられる。
【0007】
しかし、タイヤ骨格部材は、タイヤの骨格となる部材であることから、通常、外周面の軸方向の中央部が平坦状、端部側が径方向内側へ湾曲した形状となっていることが多く、このように外周面の端部側が径方向内側へ湾曲している場合、ローラで補強コードを十分に押圧できないことがある。
【0008】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、樹脂材料を用いて形成された環状のタイヤ骨格部材の外周面に対して補強コード部材を均等な圧力で押圧しながら巻き付けるタイヤの製造方法、及びタイヤの製造装置を提供することが第1の目的である。
また、樹脂材料を用いて形成され且つ耐久性に優れるタイヤを提供することが第2の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1のタイヤの製造方法は、樹脂材料を用いて軸方向の中央部よりも端部側で外径が小さい環状のタイヤ骨格部材を形成する骨格形成工程と、前記タイヤ骨格部材の外周面の前記中央部及び前記端部側へ補強コード部材を押圧部材によって押圧しながら巻き付けて前記外周面上に補強層を形成する補強層形成工程と、を備え、前記補強層形成工程では、前記タイヤ骨格部材の軸方向断面視における前記外周面の方向に応じて前記押圧部材の押圧方向を変化させる。
【0010】
請求項1のタイヤの製造方法によれば、樹脂材料を用いて軸方向の中央部よりも端部側で外径が小さい環状のタイヤ骨格部材が形成される。そして、タイヤ骨格部材の外周面の中央部及び端部側へ補強コード部材が押圧部材で押圧されながら巻き付けられて外周面上に補強層が形成される。
【0011】
ここで、補強層形成工程では、タイヤ骨格部材の軸方向断面視における外周面の方向に応じて押圧部材の押圧方向を変化させることから、タイヤ骨格部材の軸方向断面視における外周面の方向に応じて押圧部材の押圧方向を変化させないものと比べて、タイヤ骨格部材の外周面に対して補強コード部材を均等な圧力で押圧しながら巻き付けることができる。
【0012】
なお、樹脂材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)等を用いることができる。
【0013】
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0014】
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。
また、樹脂材料としては、走行時の弾性と製造時の成形性等を考慮すると熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。
【0015】
請求項2のタイヤの製造方法は、請求項1のタイヤの製造方法において、前記外周面は、少なくとも一部が径方向内側に湾曲し、前記補強層形成工程では、前記外周面の湾曲部分において、前記湾曲部分の法線方向に応じて前記押圧部材の押圧方向を変化させる。
【0016】
請求項2のタイヤの製造方法によれば、タイヤ骨格部材の外周面の湾曲部分において、該湾曲部分の法線方向に応じて押圧部材の押圧方向が変化する。これにより、タイヤ骨格部材の外周面が湾曲していても、タイヤ骨格部材の外周面に対して補強コード部材を均等な圧力で押圧しながら巻き付けることができる。
【0017】
請求項3のタイヤの製造方法は、請求項2のタイヤの製造方法において、前記外周面の湾曲部分において、前記押圧部材の押圧方向が前記湾曲部分の法線方向に沿っている。
【0018】
請求項3のタイヤの製造方法によれば、タイヤ骨格部材の外周面の湾曲部分において、押圧部材の押圧方向が湾曲部分の法線方向に沿っていることから、湾曲部分に対して最も効果的に補強コード部材を押圧しながら巻き付けることができる。
【0019】
請求項4のタイヤの製造方法は、請求項1〜請求項3のいずれか1項のタイヤの製造方法において、前記押圧部材は、押圧方向が異なる複数の押圧ローラにより構成され、前記補強層形成工程では、前記タイヤ骨格部材の軸方向断面視における前記外周面の方向に応じて前記複数の押圧ローラの中から一つを選択し、選択した押圧ローラで前記補強コード部材を押圧する。
【0020】
請求項4のタイヤの製造方法によれば、タイヤ骨格部材の軸方向断面視における外周面の方向に応じて複数の押圧ローラの中から一つを選択し、選択した押圧ローラで補強コード部材が押圧される。これにより、押圧方向が異なる複数の押圧ローラを複数用いるという簡単な構成で、タイヤ骨格部材の外周面に対して補強コード部材を均等な圧力で押圧しながら巻き付けることができる。
【0021】
請求項5のタイヤの製造方法は、請求項1〜請求項3のいずれか1項のタイヤの製造方法において、前記押圧部材は、単一の押圧ローラであり、前記補強層形成工程では、前記タイヤ骨格部材の軸方向断面視における前記外周面の方向に応じて前記タイヤ骨格部材の軸を傾け、前記補強コード部材を前記押圧ローラで押圧する。
【0022】
請求項5のタイヤの製造方法によれば、タイヤ骨格部材の軸方向断面視におけるタイヤ骨格部材の外周面の方向に応じてタイヤ骨格部材の軸が傾き、この状態で押圧ローラにより補強コード部材が押圧される。これにより、押圧ローラの構成を簡単なものとすることができ、さらに、タイヤ骨格部材の外周面に対して補強コード部材を均等な圧力で押圧しながら巻き付けることができる。
【0023】
請求項6のタイヤの製造方法は、請求項1〜請求項3のいずれか1項のタイヤの製造方法において、前記押圧部材は、前記タイヤ骨格部材の軸方向断面視における前記外周面の方向に応じて回転軸の角度を変化させる押圧ローラであり、前記補強層形成工程では、前記タイヤ骨格部材の軸方向断面視における前記外周面の方向に応じて前記押圧ローラは回転軸の角度を変化させて前記補強コード部材を押圧する。
【0024】
請求項6のタイヤの製造方法によれば、タイヤ骨格部材の軸方向断面視におけるタイヤ骨格部材の外周面の方向に応じて押圧ローラの回転軸の角度が変化し、この押圧ローラにより補強コード部材が押圧される。これにより、タイヤ骨格部材の外周面に対して補強コード部材を均等な圧力で押圧しながら巻き付けることができる。
【0025】
請求項7のタイヤの製造方法は、請求項4〜請求項6のいずれか1項のタイヤの製造方法において、前記押圧ローラの外周面には、該外周面に沿って前記補強コード部材の少なくとも一部を挿入可能な溝部が形成されている。
【0026】
請求項7のタイヤの製造方法によれば、押圧ローラの溝部に補強コード部材の少なくとも一部を挿入した状態で、補強コード部材をタイヤ骨格部材の外周面へ押圧しながら巻き付けることで、補強コード部材の蛇行配置を抑制することができる。
【0027】
請求項8のタイヤの製造方法は、請求項1〜請求項7のいずれか1項のタイヤの製造方法において、前記タイヤ骨格部材を形成する樹脂材料は、熱可塑性を有する熱可塑性材料であり、前記補強コード部材は、補強コードを被覆用熱可塑性材料で被覆して構成され、前記補強層形成工程は、前記補強コード部材の被覆用熱可塑性材料、及び、前記タイヤ骨格部材の前記補強コード部材が配置される部分の熱可塑性材料の少なくとも一方を加熱して溶融又は軟化状態にする熱処理を含み、前記外周面と前記補強コード部材とを溶着させる。
【0028】
請求項8のタイヤの製造方法によれば、熱処理により、補強コード部材を構成する被覆用熱可塑性材料、及び、タイヤ骨格部材の上記補強コード部材が配置される部分の熱可塑性材料の少なくとも一方が加熱されて溶融又は軟化状態となる。この状態で、補強コード部材が外周面に配置されることで、補強コード部材と外周面とが溶着され、タイヤ骨格部材と補強層とが強固に接合される。
【0029】
請求項9のタイヤの製造方法は、請求項8のタイヤの製造方法において、前記補強層形成工程は、前記外周面へ配置された前記補強コード部材を冷却する冷却処理を含んでいる。
【0030】
請求項9のタイヤの製造方法によれば、補強コード部材を構成する被覆用熱可塑性材料、及び、タイヤ骨格部材の上記補強コード部材が配置される部分の熱可塑性材料の少なくとも一方を加熱して溶融又は軟化状態とし、補強コード部材と外周面とを溶着した後、補強コード部材が冷却処理で冷却されることから、溶融又は軟化状態となっている部分が外力を受けて変形する前に固化させることができる。
【0031】
請求項10のタイヤの製造方法は、請求項9のタイヤの製造方法において、前記冷却処理では、前記タイヤ骨格部材の軸方向断面における前記外周面の方向に応じて回転軸の角度を変化させる冷却ローラを前記補強コード部材に接触させて該補強コード部材を冷却する。
【0032】
請求項10のタイヤの製造方法によれば、タイヤ骨格部材の軸方向断面視における外周面の方向に応じて冷却ローラの回転軸の角度が変化し、この冷却ローラが接触して補強コード部材が冷却される。ここで、タイヤ骨格部材の軸方向断面視における外周面の方向に応じて冷却ローラの回転軸の角度を変化させることから、例えば、冷却ローラの回転軸の角度を変化させないものと比べて、補強コード部材と冷却ローラとの接触面積を確保することができるため、上記溶融又は軟化状態となっている部分を効果的に冷却することができる。
【0033】
請求項11のタイヤの製造装置は、樹脂材料を用いて形成され軸方向の中央部よりも端部側で外径が小さい環状のタイヤ骨格部材の外周面の前記中央部及び前記端部側へ補強コード部材を押圧しながら巻き付けるタイヤの製造装置であって、前記補強コード部材を前記外周面へ押圧する押圧部材と、前記タイヤ骨格部材の軸方向断面視における前記外周面の方向に応じて前記押圧部材の押圧方向を変化させる押圧方向可変手段と、を備えている。
【0034】
請求項11のタイヤの製造装置によれば、タイヤ骨格部材の軸方向断面視における外周面の方向に応じて押圧部材による補強コード部材の押圧方向を押圧方向可変手段により変化させることから、例えば、タイヤ骨格部材の軸方向断面視におけるタイヤ骨格部材の外周面の方向に応じて押圧部材の押圧方向を変化させさせないものと比べて、タイヤ骨格部材の外周面に対して補強コード部材を均等な圧力で押圧しながら巻き付けることができる。
【0035】
請求項12のタイヤの製造装置は、請求項11のタイヤの製造装置において、前記押圧部材は、単一の押圧ローラであり、前記押圧方向可変手段は、前記押圧ローラの回転軸の角度を前記タイヤ骨格部材の軸に対して変化させる。
【0036】
請求項12のタイヤの製造装置によれば、タイヤ骨格部材の軸方向断面視における外周面の方向に応じて押圧ローラの回転軸の角度がタイヤ骨格部材の軸に対して変化させられ、押圧ローラにより補強コード部材が押圧される。このように、タイヤ骨格部材の軸方向断面視における外周面の方向に応じて押圧ローラの回転軸の角度をタイヤ骨格部材の軸に対して変化させるという簡単な構成で、タイヤ骨格部材の外周面に対して補強コード部材を均等な圧力で押圧しながら巻き付けることができる。
【0037】
請求項13のタイヤは、樹脂材料を用いて形成され、軸方向の中央部よりも端部側で外径が小さい環状のタイヤ骨格部材と、前記タイヤ骨格部材の外周面上に配置され、前記外周面の前記中央部及び前記端部側へ補強コード部材を巻き付けて形成された補強層と、を備えている。
【0038】
請求項13のタイヤによれば、樹脂材料を用いて形成されたタイヤ骨格部材の外周面上に補強層が配置されていることから、当該補強層を備えていないものと比べて、耐パンク性及び耐カット性が向上する。特に、補強層がタイヤ骨格部材の中央部及び端部側に形成されていることから、タイヤ骨格部材の外周部が広い範囲に亘って補強され、耐パンク性及び耐カット性がさらに向上する。
【0039】
また、タイヤ骨格部材の外周面に補強コード部材を巻き付けて補強層が形成されていることから、タイヤの周方向剛性が向上する。周方向剛性が向上することで、樹脂材料で形成されたタイヤ骨格部材のクリープ(一定の応力下でタイヤ骨格部材の塑性変形が時間とともに増加する現象)が抑制され、且つ、タイヤ径方向内側からの空気圧に対する耐圧性が向上する。
以上のことから、請求項13のタイヤは、補強層をタイヤ骨格部材の中央部及び端部側に備えていないものと比べて、耐久性に優れる。
【0040】
請求項14のタイヤは、請求項13のタイヤにおいて、前記タイヤ骨格部材の軸方向断面視において、前記補強コード部材の少なくとも一部が前記外周面に埋設されている。
【0041】
請求項14のタイヤによれば、タイヤ骨格部材の軸方向断面視において、補強コード部材の少なくとも一部が樹脂材料を用いて形成されたタイヤ骨格部材の外周面に埋設されていることから、走行時の入力などによる補強コード部材の動きが抑制される。
ここで、補強層の外周側にトレッドなどのタイヤ構成部材を配設した場合、補強コード部材は動きが抑制されているため、これらの部材(タイヤ骨格部材及びタイヤ構成部材)間に剥離などが生じるのが抑制される。
【0042】
請求項15のタイヤは、請求項14又は請求項13のタイヤにおいて、前記補強コード部材は、前記タイヤ骨格部材を形成する樹脂材料とは別体の樹脂材料で補強コードを被覆して構成され、且つ前記外周面に接合されている。
【0043】
請求項15のタイヤによれば、タイヤ骨格部材を形成する樹脂材料とは別体の樹脂材料で被覆コードを被覆して補強コード部材が構成され、この補強コード部材がタイヤ骨格部材の外周面に接合されていることから、例えば、補強コードを上記別体の樹脂材料で被覆せずにタイヤ骨格部材の外周面に直に接合したものと比べて、補強コード周囲へのエア入りが抑制され、走行時の入力などによる補強コードの動きが抑制される。
【0044】
請求項16のタイヤは、請求項15のタイヤにおいて、前記タイヤ骨格部材を形成する樹脂材料、及び、前記補強コード部材を構成する樹脂材料の少なくとも一方が熱可塑性を有する熱可塑性材料であり、前記タイヤ骨格部材と前記補強コード部材とが溶着されている。
【0045】
請求項16のタイヤによれば、タイヤ骨格部材と補強コード部材とが溶着により接合されていることから、タイヤ骨格部材と補強コード部材との接合強度に優れる。
【発明の効果】
【0046】
以上説明したように、本発明のタイヤの製造方法及びタイヤの製造装置は上記構成としたので、樹脂材料を用いて形成されたタイヤ骨格部材の外周面に対して補強コード部材を均等な圧力で押圧しながら巻き付けることができる。
また、本発明のタイヤは上記構成としたので、樹脂材料で形成され且つ耐久性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】(A)は第1実施形態のタイヤの幅方向断面図である。(B)は第1実施形態のタイヤにリムを嵌合させた状態のビード部の幅方向断面の拡大図である。
【図2】第1実施形態のタイヤの補強層の周囲を示す幅方向断面図である。
【図3】成形機の斜視図である。
【図4】(A)は成形機のタイヤ支持部のシリンダロッドの突出量が最も小さい状態を示めす斜視図である。(B)は成形機のタイヤ支持部のシリンダロッドの突出量が最も大きい状態を示めす斜視図である。
【図5】押出機を用いてケース分割体の接合部に溶接用熱可塑性材料を付着させる動作を説明するための押出機の斜視図である。
【図6】補強層形成機を用いてタイヤケースの外周面に補強層を形成する動作を説明するための説明図である。
【図7】下面側を加熱した補強コード部材をタイヤケースの外周面へ押圧し、その後冷却ローラで冷却する動作を説明するための説明図である。
【図8】タイヤケースと押圧ローラとの関係を示すタイヤケースの幅方向断面図である。
【図9】補強コード部材をタイヤケースの外周面の一方の湾曲部に押圧している状態を示すタイヤケースの幅方向断面図である。
【図10】補強コード部材をタイヤケースの外周面の一方の湾曲部の中央寄り部分に押圧している状態を示すタイヤケースの幅方向断面図である。
【図11】補強コード部材をタイヤケースの外周面の平坦部に押圧している状態を示すタイヤケースの幅方向断面図である。
【図12】補強コード部材をタイヤケースの外周面の他方の湾曲部の中央寄り部分に押圧している状態を示すタイヤケースの幅方向断面図である。
【図13】補強コード部材をタイヤケースの外周面の他方の湾曲部に押圧している状態を示すタイヤケースの幅方向断面図である。
【図14】変形例の押圧ローラを示す正面図である。
【図15】第2実施形態の成形機の側面図である。
【図16】第2実施形態の成形機の軸を水平方向に対して一方側に傾けた状態を示す成形機の側面図である。
【図17】第2実施形態の成形機の軸を水平方向に対して他方側に傾けた状態を示す成形機の側面図である。
【図18】成形機の軸を水平方向に対して一方側に傾け、補強コード部材をタイヤケースの外周面の一方の湾曲部へ押圧ローラで押圧している状態を示すタイヤケースの幅方向断面図である。
【図19】成形機の軸を水平方向に対して他方側に傾け、補強コード部材をタイヤケースの外周面の他方の湾曲部へ押圧ローラで押圧している状態を示すタイヤケースの幅方向断面図である。
【図20】(A)は、第3実施形態の押圧部の一部破断正面図である。(B)は、第3実施形態の押圧部の一部破断側面図である。(C)は、押圧ローラを回転軸と直交する方向の一方側へ回転させた押圧部の正面図である。(D)は、押圧ローラを回転軸と直交する方向の他方側へ回転させた押圧部の正面図である。
【図21】補強コード部材をタイヤケースの外周面の一方の湾曲部へ押圧ローラで押圧している状態を示すタイヤケースの軸方向断面図である。
【図22】補強コード部材をタイヤケースの外周面の他方の湾曲部へ押圧ローラで押圧している状態を示すタイヤケースの軸方向断面図である。
【図23】(A)は、第3実施形態の押圧部の変形例の一部破断正面図である。(B)は、第3実施形態の押圧部の変形例の一部破断側面図である。(C)は、押圧ローラを回転軸と直交する方向の一方側へ回転させた押圧部の正面図である。
【図24】その他の実施形態の押圧ローラを示す正面図である。
【図25】その他の実施形態の被覆層を有するタイヤの幅方向断面図である。
【図26】その他の実施形態のチューブ型タイヤの幅方向断面図である。
【図27】その他の実施形態の外周面がすべて湾曲しているタイヤの幅方向断面図である。
【図28】加熱した補強コードをタイヤケースの外周面へ押圧ローラを用いて埋設している状態を示すタイヤケースの幅方向断面の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
[第1実施形態]
以下、図面にしたがって本発明のタイヤの製造方法、タイヤの製造装置、及びタイヤの第1実施形態について説明する。図1(A)に示すように、本実施形態のタイヤの製造方法で製造されるタイヤ10は、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。なお、以下の説明において、「幅方向」と記載した場合は、タイヤケース17及びタイヤ10の幅方向(矢印W方向)を指し、「周方向」と記載した場合は、タイヤケース17及びタイヤ10の周方向を指す。なお、幅方向とは、タイヤケース17及びタイヤ10の軸方向と同じ方向を指すものである。
【0049】
図1(A)に示すように、タイヤ10は、リム20のビードシート21及びリムフランジ22に接触する一対のビード部12(図1(B)参照)、ビード部12からタイヤ径方向外側に延びるサイド部14、一方のサイド部14のタイヤ径方向外側端と他方のサイド部14のタイヤ径方向外側端とを連結するクラウン部16からなる環状のタイヤケース17(タイヤ骨格部材の一例)を備えている。
【0050】
このタイヤケース17は、樹脂材料を用いて形成され、幅方向の中央部より端部側で外径が小さくなっている。具体的に説明すると、図1(A)に示すように、タイヤケース17の外周面17Sは、中央部が幅方向に沿った平坦部17Fとされ、端部側が平坦部17Fの両端部からタイヤ径方向内側へ湾曲する湾曲部17Rとされている。
【0051】
本実施形態のタイヤケース17は、単一の樹脂材料で形成されているが、本発明はこの構成に限定されず、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと同様に、タイヤケース17の各部位毎(ビード部12、サイド部14、クラウン部16など)に異なる特徴を有する樹脂材料を用いてもよい。
【0052】
また、タイヤケース17(例えば、ビード部12、サイド部14、クラウン部16等)に、補強材(高分子材料や金属製の繊維、コード、不織布、織布等)を埋設配置し、補強材でタイヤケース17を補強してもよい。
【0053】
樹脂材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)等を用いることができる。なお、樹脂材料には、加硫ゴムは含まれない。
【0054】
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0055】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0056】
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。なお、走行時に必要とされる弾性と製造時の成形性等を考慮すると熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。
また、樹脂材料の同種とは、エステル系同士、スチレン系同士などの形態を指す。
【0057】
これらの樹脂材料としては、例えば、ISO75−2又はASTM D648に規定される荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)が78°C以上、JIS K7113に規定される引張降伏強さが10MPa以上、同じくJIS K7113に規定される引張降伏伸びが10%以上、同じくJIS K7113に規定される引張破壊伸び(JIS K7113)が50%以上、JIS K7206に規定されるビカット軟化温度(A法)が130°C以上のものを用いることができる。
【0058】
本実施形態のビード部12には、従来一般の空気入りタイヤと同様の、スチールコードからなる円環状のビードコア18が埋設されている。しかし、本発明はこの構成に限定されず、ビードコア18は、スチールコード以外に、有機繊維コード、樹脂被覆した有機繊維コード、または硬質樹脂などで形成されていてもよい。また、ビード部12の剛性が確保され、リム20との嵌合に問題なければ、ビードコア18を省略してもよい(例えば、図26参照)。
【0059】
また、図1(B)に示すように、本実施形態では、ビード部12のリム20との接触部分、少なくともリム20のリムフランジ22と接触する部分にタイヤケース17を形成する樹脂材料よりも軟質である軟質材料からなる円環状のシール層24が形成されている。このシール層24はビードシート21と接触する部分にも形成されていてもよい。
【0060】
シール層24を形成する上記軟質材料としては、弾性体の一例としてのゴムが好ましく、特に従来一般のゴム製の空気入りタイヤのビード部外面に用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。なお、タイヤケース17の樹脂材料のみでリム20との間のシール性(気密性)が確保できれば、シール層24を省略してもよい。また、上記軟質材料としては、タイヤケース17を形成する樹脂材料よりも軟質な他の種類の樹脂材料を用いてもよい。
【0061】
図1(A)及び図2に示すように、タイヤケース17の外周面17Sには、補強コード部材26が周方向に巻き付けられて形成された補強層28(図2では補強層28の外周面を破線で示している)が配置されている。具体的に説明すると、図1(A)に示すように、補強層28は、外周面17Sの平坦部17F及び湾曲部17Rに配置され、外周面とタイヤケース17の外周面17Sとの距離が略一定(すなわち、厚みが一定)とされている。
【0062】
この補強コード部材26は、タイヤケース17を形成する樹脂材料よりも剛性が高い補強コード26Aにタイヤケース17を形成する樹脂材料とは別体の被覆用樹脂材料27を被覆して形成されている。また、補強コード部材26は、タイヤケース17に接合されている。
【0063】
また、被覆用樹脂材料27のヤング率は、タイヤケース17を形成する樹脂材料のヤング率の0.1倍から10倍の範囲内に設定することが好ましい。これは、ヤング率が10倍以下の場合は、リム組み性に問題がないが、11倍を超えるとクラウン部16が硬くなり、リム組みし難くなるからである。一方、ヤング率が0.1倍以下では、柔らか過ぎて補強層28によるベルト面内せん断剛性が低下してコーナリング力が低下してしまうからである。
【0064】
なお、本実施形態では、被覆用樹脂材料27を樹脂材料のうちの熱可塑性材料(例えば、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーなど)としている。
【0065】
補強コード26Aは、金属繊維や有機繊維等のモノフィラメント(単線)、又はこれらの繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)などを用いるとよい。なお、補強層28は、従来のゴム製の空気入りタイヤのカーカスの外周面に配置されるベルトに相当するものである。
【0066】
また、図2に示すように、補強コード部材26は、断面形状が台形状とされている。なお、以下では、補強コード部材26の上面(タイヤ径方向外側の面)を符号26Uで示し、タイヤケース17の外周面上に配置される下面(タイヤ径方向内側の面)を符号26Dで示す。
【0067】
図1に示すように、補強層28のタイヤ径方向外側には、クッションゴム29が配置されている。このクッションゴム29は、補強層28を覆っている。
【0068】
クッションゴム29のタイヤ径方向外側には、トレッド30が配置されている。このトレッド30は、クッションゴム29を覆っている。また、トレッド30は、タイヤケース17を形成している樹脂材料よりも耐摩耗性に優れた材料、例えばゴムによって構成されている。
【0069】
なお、トレッド30に用いるゴムは、従来のゴム製の空気入りタイヤに用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。また、トレッド30の代わりに、タイヤケース17を形成する樹脂材料よりも耐摩耗性に優れる他の種類の樹脂材料で形成したトレッドを用いてもよい。なお、トレッド30には、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、路面との接地面に複数の溝からなるトレッドパターン(図示省略)が形成されている。
【0070】
(タイヤの製造装置)
次に、本実施形態のタイヤの製造装置について説明する。
図3には、タイヤ10を形成する際に用いる成形機32の要部が斜視図にて示されている。成形機32は、水平に配置された軸36と、この軸36を回転させるギヤ付きモータ37と、床面に接地されてギヤ付きモータ37を支持する台座34と、を有している。
【0071】
軸36の端部側には、樹脂材料を用いて形成されたタイヤケース17を支持するためのタイヤ支持部40が設けられている。タイヤ支持部40は、軸36に固定されたシリンダブロック38を有し、シリンダブロック38には、径方向外側に延びる複数のシリンダロッド41が周方向に等間隔に設けられている。
【0072】
シリンダロッド41の先端には、外面がタイヤケース17内面の曲率半径と略同等に設定された円弧曲面42Aを有するタイヤ支持片42が設けられている。図3、図4(A)は、シリンダロッド41の突出量が最も小さい状態を示しており、図4(B)は、シリンダロッド41の突出量が最も大きい状態を示している。なお、各シリンダロッド41は、連動して同一方向に同一量突出可能となっている。
【0073】
図5に示すように、成形機32の近傍には、タイヤケース17が複数に分割されて形成された場合に、これら分割体を一体化するために用いる溶接用熱可塑性材料を押し出す押出機44が配置されている(なお、本実施形態では、左右半割りのケース分割体17Aを溶接一体化してタイヤケース17を形成している)。
【0074】
この押出機44は溶融した溶接用熱可塑性材料53を下方に向けて吐出するノズル46を有している。このノズル46の出口部は略矩形状とされており、断面形状が略矩形状とされた帯状の溶接用熱可塑性材料53を吐出する。
【0075】
また、ノズル46の近傍には、タイヤケース17のケース分割体17Aに付着させた溶接用熱可塑性材料53を押圧して均す均しローラ48、及び均しローラ48をタイヤケース17に対して接離する方向に移動させるシリンダ装置50が配置されている。なお、シリンダ装置50は、図示しないフレームを介して押出機44の支柱52に支持されている。また、この押出機44は、床面に配置されたガイドレール54に沿って、成形機32の軸36と平行な方向に移動可能となっている。
【0076】
また、ガイドレール54には、タイヤケース17の外周面17S上に補強層28を形成するための補強層形成機56がガイドレール54に沿って移動可能に搭載されている。
【0077】
図6及び図7に示すように、補強層形成機56は、成形機32の軸36の回転にともなって矢印R方向に回転するタイヤケース17の外周面17Sへ補強コード部材26を供給するコード供給部58と、コード供給部58から外周面17Sへ供給される補強コード部材26を加熱するコード加熱部62と、外周面17S上に配置された補強コード部材26を押圧する押圧部68と、押圧部68により押圧された補強コード部材26を冷却する冷却部72と、を備えている。
【0078】
図6に示すように、コード供給部58は、補強コード部材26を巻き付けたリール(図示省略)と、このリールよりもコード搬送方向下流側に配置され内部空間を補強コード部材26が通過するボックス59と、を備えている。なお、補強コード部材26は、補強コード26Aを被覆用樹脂材料27で被覆して形成されたものであり、断面形状が略台形状とされている。
【0079】
ボックス59には、補強コード部材26が排出される排出口60が形成されている。排出口60の形状は、補強コード部材26と略同形状とされている。また、排出口60から排出される補強コード部材26は、下面26Dが外周面17Sに対向するようになっている。
なお、本実施形態では、リールに巻き付けられた補強コード部材26を巻き出して供給する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、箱などに収容された補強コード部材26を引っ張り出して供給する構成としてもよい。
【0080】
図6及び図7に示すように、コード加熱部62は、ボックス59の排出口60から排出された補強コード部材26の下面26Dを加熱して、補強コード部材26の下面26D側の被覆用樹脂材料27を溶融又は軟化状態にする。具体的に説明すると、コード加熱部62は、加熱ボックス63と、加熱ボックス63の内部に配置され熱風を生じさせるヒーター64及びファン65と、加熱ボックス63に設けられヒーター64及びファン65により生じた熱風を排出された補強コード部材26の下面26D側へ吹き出すための吹出口66と、を備え、排出口60から排出された補強コード部材26の下面26D側の被覆用樹脂材料27を熱風により加熱する。
【0081】
なお、コード加熱部62としては、補強コード部材26の下面26D側を加熱して溶融又は軟化状態にすることができれば、例えば、赤外線や輻射熱を発する機器を用いる構成としても構わない。
【0082】
図6〜図8に示すように、押圧部68は、補強コード部材26をタイヤケース17の外周面17S側へ押圧する複数の押圧ローラ69A〜69E(本実施形態では5個)と、各押圧ローラ69A〜69Eを外周面17S側に対して接離する方向に移動させる各シリンダ装置70A〜70Eと、を備えている。押圧ローラ69A〜69Eは、それぞれコ字状の支持部材により回転可能に両端支持され、これらのコ字状の支持部材はそれぞれのシリンダ装置70A〜70Eに接続されている。また、押圧ローラ69A〜69Eは、タイヤケース17の外周面17Sに接触している状態においては、タイヤケース17の回転方向に対して従動回転するようになっている。なお、図6では、一例として押圧ローラ69Cで補強コード部材26を押圧している状態を示している。
【0083】
図8に示すように、シリンダ装置70A〜70Eは、ベース78にそれぞれ横並びに固定されている。上述したようにこれらのシリンダ装置70A〜70Eには、それぞれ押圧ローラ69A〜69Eが各コ字状の支持部材を介して接続されている。
【0084】
図8に示すように、押圧ローラ69A〜69Eのうち、中央に位置する押圧ローラ69Cは、ローラ回転軸が水平方向に沿っている。より詳細には、成形機32の軸36と平行に配置されている。
【0085】
押圧ローラ69Cよりも一方側の押圧ローラ69A、69Bは、ローラ回転軸が水平方向に対して傾斜している。より詳細には、成形機32の軸36に対して傾斜している。なお、押圧ローラ69Aは、押圧ローラ69Bよりも軸36に対する傾斜角度が大きくなっている。
【0086】
押圧ローラ69Cよりも他方側の押圧ローラ69D、69Eは、ローラ回転軸が水平向に対して傾斜している。より詳細には、成形機32の軸36に対して押圧ローラ69A、69Bと反対方向に傾斜している。なお、押圧ローラ69Eは、押圧ローラ69Dよりも軸36に対する傾斜角度が大きくなっている。
【0087】
図7に示すように、冷却部72は、複数の金属製の冷却ローラ73A〜73E(本実施形態では5個)と、各冷却ローラ73A〜73Eをタイヤケース17の外周面17S側に対して接離する方向に移動させる各シリンダ装置74A〜74Eと、を備えている。冷却ローラ73A〜73Eは、それぞれコ字状の支持部材により回転可能に両端支持され、これらのコ字状の支持部材はそれぞれのシリンダ装置74A〜74Eに接続されている。また、冷却ローラ73A〜73Eは、タイヤケース17の外周面17Sに接触している状態においては、タイヤケース17の回転方向に対して従動回転するようになっている。なお、冷却ローラ73A〜73Eで補強コード部材26を押圧してもよい。
【0088】
シリンダ装置74A〜74Eは、シリンダ装置70A〜70Eと同様に、ベース78にそれぞれ横並びに固定されている。上述したようにこれらのシリンダ装置74A〜74Eには、それぞれ冷却ローラ73A〜73Eが各コ字状の支持部材を介して接続されている。
【0089】
また、冷却ローラ73A〜73Eのローラ回転軸は、それぞれ押圧ローラ69A〜69Eに対応し、例えば、押圧ローラ69Aで押圧した補強コード部材26を冷却ローラ73Aで冷却するようになっている。
【0090】
図示しないが、冷却ローラ73A〜73Eの内部にはそれぞれ冷媒用の流路が形成されている。これらの流路に冷媒(例えば、水)が流されることで各冷却ローラ73A〜73Eが冷却されるようになっている。
【0091】
なお、本実施形態では、冷却部72を、冷却ローラ73A〜73Eとシリンダ装置74A〜74Eで構成しているが、本発明はこの構成に限定されず、冷却部72を、冷風を吹出す装置などで構成し、冷風で補強コード部材26を冷却してもよい。
【0092】
また、押圧ローラ69A〜69E及び冷却ローラ73A〜73Eの表面は、溶融又は軟化した熱可塑性材料の付着を抑制するためにフッ素樹脂(本実施形態では、テフロン(登録商標))でコーティングされている。
【0093】
図8に示すように、ベース78の上部には、レール嵌合部79が設けられている。このレール嵌合部79は、ガイドレール54と平行な方向に延びる断面形状が略I型のレール80に該レール80に沿ってスライド可能に嵌合されている。なお、レール80は、補強層形成機56のフレーム(図示省略)に設けられている。
【0094】
また、ベース78には、レール80の延在方向の一方側に設けられたギヤ付きモータ81、及びレール80の延在方向の他方側に設けられたプーリー82に巻き掛けられたベルト83の両端部がそれぞれ固定されている。ベース78は、ギヤ付きモータ81によりベルト83が回転することでレール80に沿ってスライドするようになっている。なお、ベース78の移動にともなって、ベース78に固定された押圧ローラ69A〜69E及び冷却ローラ73A〜73Eも移動する。
【0095】
ここで、シリンダ装置70A〜70E、シリンダ装置74A〜74E、及びギヤ付きモータ81は、制御装置(図示省略)によって制御されている。この制御装置は、製造するタイヤの情報(例えば、タイヤケース17の外周面17Sの外形状やサイズなどの情報)に応じて、外周面17Sに配置する補強コード部材26の外周面17Sに対する最適押圧方向を算出し、最適押圧方向に最も近い押圧方向を実現できる押圧ローラを押圧ローラ69A〜69Eの中から選択し、選択した押圧ローラが補強コード部材26の上に位置するように、ギヤ付きモータ81を駆動させてベース78の位置を調整するようになっている。そして、制御装置は、選択した押圧ローラが補強コード部材26上に到達すると、選択した押圧ローラのシリンダ装置を作動させて補強コード部材26を押圧させるようになっている。なお、制御装置(図示省略)、ベース78、レール嵌合部79、レール80、モータ81、プーリー82、及びベルト83により押圧方向可変手段が構成されている。
【0096】
なお、本実施形態では、補強層形成機56は、押圧部68及び冷却部72を有する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、押圧部68のみを備える構成としてもよく、また、冷却部72のみを備える構成としてもよい。なお、冷却部72のみを備える場合は、冷却部72は、補強コード部材26を押圧しつつ冷却する構成とすることが好ましい。
【0097】
次に本実施形態のタイヤの製造方法について説明する。
(骨格形成工程)
(1)図3に示すように、先ず、径を縮小したタイヤ支持部40の外周側に、互いに向かい合わせに突き当てた2つのケース分割体17Aを配置すると共に、2つのケース分割体17Aの内部に、薄い金属板(例えば、厚さ0.5mmの鋼板)からなる筒状のタイヤ内面支持リング43を配置する(図3では、内部を見せるために一方のケース分割体17Aを外して記載されている)。なお、2つのケース分割体17Aは、両者を接合してタイヤケース17とした際に、このタイヤケース17の外径が幅方向の中央部から端部側へ小さくなるように予め成形されている。
【0098】
タイヤ内面支持リング43の外径は、ケース分割体17Aの外周部分の内径と略同一寸法に設定されており、タイヤ内面支持リング43の外周面が、ケース分割体17Aの外周部分の内周面に密着するようになっている。これにより、タイヤ支持片42間の隙間によりタイヤ支持部40の外周に生じる凹凸に起因する接合部分(溶接用熱可塑性材料53)の凸凹(前記凹凸の逆形状)の発生を抑制することができる。また、タイヤ支持片42間の隙間によって配置部材(タイヤケース17、トレッド30、その他のタイヤ構成部材(例えば、補強層など))に凹凸が発生するのを抑制することができる。つまり、配置部材を配置する際に作用させる力(テンションや押圧力など)で配置部材のタイヤ支持片42間の隙間に対応した部位に凹凸が発生するのを抑制することができる。なお、タイヤ内面支持リング43は薄い金属板で形成されているため、曲げ変形させてケース分割体17Aの内部に容易に挿入可能である。
【0099】
そして、図4(B)に示すように、タイヤ支持部40の径を拡大してタイヤ内面支持リング43を複数のタイヤ支持片42で内側から保持する。
【0100】
(2)図5に示すように、押出機44を移動して、ケース分割体17Aの突き当て部分の上方にノズル46を配置する。そして、タイヤ支持部40を矢印R方向に回転させながら、ノズル46から溶融した溶接用熱可塑性材料53を接合部位に向けて押し出し、接合部位に沿って溶融した溶接用熱可塑性材料53を付着させる。付着した溶接用熱可塑性材料53は、下流側に配置した均しローラ48によって平らに均されると共に、両方のケース分割体17Aの外周面に溶着する。溶接用熱可塑性材料53は自然冷却により次第に固化し、一方のケース分割体17Aと他方のケース分割体17Aとが溶接用熱可塑性材料53によって溶接され、これらの部材が一体となってタイヤケース17が形成される。なお、本実施形態のタイヤケース17の外周面17Sは、幅方向の中央部が幅方向に沿った平坦部17Fとされ、端部側が平坦部17Fの両端部からタイヤ径方向内側へ湾曲する湾曲部17Rとされている。
【0101】
(補強層形成工程)
(3)次に、図6に示すように、押出機44を退避させて、補強層形成機56をタイヤ支持部40の近傍に配置する。このとき、ベース78がタイヤケース17の上方に配置される(図8参照)。
【0102】
そして、図6及び図7に示すように、コード供給部58から外周面17S側へ補強コード部材26を供給する。このとき、コード加熱部62では、ヒーター64の温度を上昇させると共に、ヒーター64により加熱された空気をファン65の回転により熱風として吹出口66から吹き出させる。吹出口66から吹き出た熱風は、補強コード部材26の下面26D側を加熱し、下面26D側を溶融又は軟化状態にさせる。なお、コード加熱部62は、補強コード部材26の下面26D側の温度を100〜200°C程度に加熱する熱風を生成することが好ましい。
【0103】
一方、制御装置(図示省略)は、タイヤケース17の幅方向断面視における外周面17Sの延在方向に応じて、外周面17Sに配置する補強コード部材26の最適押圧方向を算出し、最適押圧方向に最も近い押圧方向を実現できる押圧ローラを押圧ローラ69A〜69Eの中から選択し、選択した押圧ローラが補強コード部材26の上に位置するように、ギヤ付きモータ81を駆動させてベース78の位置を調整する。なお、外周面17Sの平坦部17Fにおける最適押圧方向は、平坦部17Fの垂線方向であり、湾曲部17Rにおける最適押圧方向は、湾曲部17Rの法線方向である。
【0104】
ここで、図9に示すように補強コード部材26を外周面17Sの一方の湾曲部17R上に巻き付ける場合、制御装置は一方の湾曲部17Rの法線方向に最も近い押圧方向を実現できる押圧ローラ69Aを選択し、この押圧ローラ69Aが補強コード部材26上に位置するように、ベース78を移動させる。そして、押圧ローラ69Aが補強コード部材26上に到達すると、押圧ローラ69Aのシリンダ装置70Aが作動して補強コード部材26が押圧ローラ69Aによって押圧される。
【0105】
そして、下面26D側が加熱された補強コード部材26は、押圧ローラ69A〜69Eにより外周面17Sの湾曲部17Rへ押圧され、矢印R方向に回転するタイヤケース17の外周面17Sに一定のテンションをもって螺旋状に巻き付けられる。
【0106】
次に、図10に示すように、補強コード部材26の巻き付け部位が一方の湾曲部17Rの中央寄りの曲率が小さい部位に達すると、制御装置は押圧ローラ69Bを選択し、この押圧ローラ69Aが補強コード部材26上に位置するように、ベース78を移動させる。そして、押圧ローラ69Bが補強コード部材26上に到達すると、押圧ローラ69Bのシリンダ装置70Bが作動して補強コード部材26が押圧ローラ69Bによって押圧される。このとき、押圧ローラ69Aは、シリンダ装置70Aにより引き戻されている。
【0107】
そして、下面26D側が加熱された補強コード部材26は、押圧ローラ69A〜69Eにより外周面17Sの一方の湾曲部17Rの中央寄りの曲率が小さい部位へ押圧され、矢印R方向に回転するタイヤケース17の外周面17Sに一定のテンションをもって螺旋状に巻き付けられる。
【0108】
同様にして、図11に示すように、補強コード部材26の巻き付け部位が平坦部17Fに達すると、制御装置は、平坦部17Fの垂線方向に最も近い押圧方向を実現できる押圧ローラ69Cを選択する。また、図12に示すように、補強コード部材26の巻き付け部位が他方の湾曲部17Rに達すると、制御装置は、他方の湾曲部17Rの法線方向に最も近い押圧方向を実現できる押圧ローラ69Dを選択し、図13に示すように、補強コード部材26の巻き付け部位が他方の湾曲部17Rの曲率が大きい部位に達すると、制御装置は、押圧ローラ69Eを選択する。
このようにして、それぞれ選択された押圧ローラにより、タイヤケース17の外周面17Sに対して補強コード部材26が好適な方向へ押圧されながら、外周面17Sへ巻き付けられ、外周面17S上に補強層28が形成される。すなわち、本製造装置では、タイヤケース17の外周面17Sに対して補強コード部材26を均等な圧力で押圧しながら巻き付けることができる。
【0109】
ここで、外周面17Sに補強コード部材26の下面26Dが接触した際には、溶融状態又は軟化状態の被覆用樹脂材料27が外周面17S上に広がり、外周面17Sに補強コード部材26が溶着される。特に、補強コード部材26は、押圧ローラ69A〜69Eにより外周面17Sに対して均等な圧力で押圧されながら巻き付けられることから、溶着の際の補強コード部材26と外周面17Sとの間の空気入りが抑制されて接合面積が確保され、タイヤケース17と補強コード部材26とが強固に接合される。
【0110】
一方、補強コード部材26に作用させるテンションは、タイヤケース17に対して従動回転するコード供給部58のリール(図示省略)にブレーキをかけることで調整されるようになっており、このように一定のテンションを作用させながら補強コード部材26を巻き付けることで、補強コード部材26が蛇行するのを抑制できる。なお、本実施形態では、コード供給部58のリールにブレーキをかけてテンションを調整しているが、補強コード部材26の搬送経路途中にテンション調整用ローラを設けるなどしてテンションを調整してもよい。
【0111】
また、図7に示すように、押圧ローラ69A〜69Eで押圧された補強コード部材26は、押圧ローラ69A〜69Eにそれぞれ対応して配置された冷却ローラ73A〜73Eによって冷却される。具体的に説明すると、制御装置(図示省略)は、例えば、シリンダ装置70Aを作動させると同時にシリンダ装置74Aを作動させて、押圧ローラ69Aで押圧した補強コード部材26に冷却ローラ73Aを接触させて、補強コード部材26を冷却している。なお、制御装置は、押圧ローラ69B〜69Eと冷却ローラ73B〜73Eに関しても同様に制御している。これにより、補強コード部材26と外周面17Sとを溶着した後、溶融又は軟化状態となっている部分である補強コード部材26が外力を受けて動く(変形する)前に、補強コード部材26及びその周囲が冷却固化されるため、精度よく補強コード部材26を配設することができる。結果、補強層28の変形を抑制することができる。また、制御装置は、タイヤケース17の幅方向断面視における外周面17Sの延在方向に応じて押圧ローラ69A〜69Eの中から一つを選択するとともに、選択した押圧ローラに対応した冷却ローラを選択する。これにより、選択された冷却ローラと補強コード部材26との接触面積を確保することができるため、溶融又は軟化状態となっている部分である補強コード部材26を効果的に冷却することができる。
【0112】
なお、外周面17Sに対して補強コード部材26が押圧ローラ69A〜69Eにより均等な圧力で押圧されながら巻き付けられて、外周面17S上に補強層28が形成されることから、このように形成された補強層28は、厚みが略一定となる。
【0113】
(4)次に、補強層28の外周面及び補強層28の幅方向両側の外周面17Sを粗化状態となるように処理(例えば、ブラスト処理など)を行ない、粗化処理された部分に接合剤を塗布する。なお、接合剤としては、トリアジンチオール系接着剤、塩化ゴム系接着剤、フェノール系樹脂接着剤、イソシアネート系接着剤、ハロゲン化ゴム系接着剤など、特に制限はないが、クッションゴム29が加硫できる温度(90°C〜140°C)で反応することが好ましい。
【0114】
(5)次に、接合剤が塗布された部分に未加硫状態のクッションゴム29を1周分巻き付け、そのクッションゴム29の上に例えば、ゴムセメント組成物などの接合剤を塗布し、その上に加硫済み又は半加硫状態のトレッドゴムを1周分巻き付けて、生タイヤケース状態とする。なお、加硫済みとは、最終製品として必要とされる加硫度に至っている状態をいい、半加硫状態とは、未加硫の状態よりは加硫度が高いが、最終製品として必要とされる加硫度に至っていない状態をいう。
【0115】
(6)次に生タイヤケースを加硫缶やモールドに収容して加硫する。
(7)そして、タイヤケース17のビード部12に、樹脂材料よりも軟質である軟質材料からなるシール層24を、接着剤等を用いて接着すれば、タイヤ10の完成となる。
【0116】
(8)最後に、タイヤ支持部40の径を縮小し、完成したタイヤ10をタイヤ支持部40から取り外し、内部のタイヤ内面支持リング43を曲げ変形させてタイヤ外へ取り外す。
【0117】
以上、本実施形態のタイヤの製造方法により製造されたタイヤ10は、樹脂材料を用いて形成されたタイヤケース17の外周面17S上に補強層28が配置されていることから、補強層28を備えていないものと比べて、耐パンク性及び耐カット性が向上する。特に、補強層28がタイヤケース17の平坦部17F及び湾曲部17Rに形成されていることから、タイヤケース17の外周部が広い範囲に亘って補強され、耐パンク性及び耐カット性がさらに向上する。
【0118】
また、タイヤケース17の外周面17Sに補強コード部材26を巻き付けて補強層28が形成されていることから、タイヤ10の周方向剛性が向上する。周方向剛性が向上することで、タイヤケース17のクリープ(一定の応力下でタイヤケース17の塑性変形が時間とともに増加する現象)が抑制され、且つ、タイヤ径方向内側からの空気圧に対する耐圧性が向上する。
以上のことから、タイヤ10は、補強層28をタイヤケース17の平坦部17F及び湾曲部17Rに備えていないものと比べて、耐久性に優れる。
【0119】
タイヤ10は、補強コード部材26がタイヤケース17の外周面17Sに溶着により接合されていることから、例えば、補強コード26Aを被覆用樹脂材料27で被覆せずに外周面17Sに直に接着剤などで接着したものと比べて、補強コード26A周囲へのエア入りが抑制され、走行時の入力などによる補強コード26Aの動きが効果的に抑制される。
【0120】
また、タイヤ10は、従来のゴム製タイヤに広く用いられるカーカスプライを用いずに、樹脂材料で形成したタイヤケース17で剛性を担うため、従来のカーカスプライを有するゴム製タイヤと比べて、軽量化を図ることができる。さらに、本実施形態のタイヤ10の構造では、従来のゴム製タイヤのようにカーカスプライを用いないため、タイヤ製造時における加工工数を減らすことができる。
【0121】
補強層28は、タイヤケース17の幅方向断面の外周面17Sの延在方向に応じて押圧ローラ69A〜69Eの中から好適な押圧方向を実現できる押圧ローラを選択し、選択した押圧ローラで補強コード部材26を外周面17Sに対して均等な圧力で押圧しながら巻き付けて形成されている。これにより、外周面17Sに補強コード部材26を溶着するときの、タイヤケース17と補強コード部材26との間への空気入りが抑制されている。また、均等な圧力で押圧されることから補強コード部材26が外周面17Sにムラなく強固に接合されている。結果、タイヤケース17と補強コード部材との接合強度が向上し、走行時などにおいて、タイヤケース17と補強層28との間に亀裂や剥離が生じるのが抑制される。
【0122】
なお、図8に示すように、第1実施形態では押圧ローラ69A〜69Eを円柱状又は円筒状とし、それぞれの回転軸を成形機32の軸36に対して異なる角度で傾斜させる構成としているが、本発明はこの構成に限定される必要はなく、図14に示すように、押圧ローラ84A〜84Eを円錐状又は円錐筒状とし、それぞれの回転軸を成形機32の軸36に対して平行(水平方向)とする構成としてもよい。
【0123】
[第2実施形態]
以下、本発明のタイヤの製造方法及びタイヤの製造装置の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して示し、その部分の詳細な説明は省略する。
【0124】
図15に示すように、成形機86は、台座34が下台座部34Bと、上台座部34Aとで構成されている。上台座部34Aの下面のタイヤ支持部40側には、軸部87が設けられている。一方、下台座部34Bの上面のタイヤ支持部40側には、軸部87を回転自在に支持する軸受部88が設けられている。
【0125】
また、下台座部34Bのタイヤ支持部40と反対側の壁部89には、ギヤ付きモータ90と、ギヤ付きモータ90の回転軸91の先端部を回転自在に支持する軸支持部92と、が設けられている。また、回転軸91の外周面には、雄ねじ部93が形成され、この雄ねじ部93には、移動部材94の下部側に設けられた雌ねじ部95が螺合している。一方、上台座部34Aのタイヤ支持部40と反対側の壁部96には、軸支持部97が設けられ、この軸支持部97により移動部材94の上部側に設けられた軸部98が回転自在に支持されている。
【0126】
ここで、ギヤ付きモータ90を駆動させて回転軸91を回転させると、回転軸91に沿って移動部材94が上方又は下方に移動する。回転軸91に沿って移動部材94が下方へ移動した場合には、図16に示すように、軸部87を回転中心として上台座部34Aの軸支持部97側が下方へ移動し、軸36が水平方向に対して傾斜する。この軸36の傾斜は、ギヤ付きモータ37が下方、タイヤ支持部40が上方となる傾斜となる。
一方、回転軸91に沿って移動部材94が上方へ移動した場合には、図17に示すように、軸部87を回転中心として上台座部34Aの軸支持部97側が上方へ移動し、軸36が水平方向に対して傾斜する。この軸36の傾斜は、ギヤ付きモータ37が上方、タイヤ支持部40が下方となる傾斜となる。
【0127】
図15に示すように、補強層形成機100の押圧部102は、1組の押圧ローラ103及びシリンダ装置104で構成されている。押圧ローラ103は、コ字状の支持部材により回転可能に両端支持され、このコ字状の支持部材はシリンダ装置104に接続されている。また、押圧ローラ103のローラ回転軸は、水平方向に沿っている。シリンダ装置104は、補強層形成機100のフレーム(図示省略)に固定されている。これにより、補強層形成機100がガイドレール54に沿って移動すると、押圧ローラ103及びシリンダ装置104も補強層形成機100とともに移動する。
【0128】
また、補強層形成機100の冷却部106(図7参照)は、1組の冷却ローラ107及びシリンダ装置108で構成されている。冷却ローラ107は、コ字状の支持部材により回転可能に両端支持され、このコ字状の支持部材はシリンダ装置108に接続されている。また、冷却ローラ107のローラ回転軸は、水平方向に沿っている。シリンダ装置108は、補強層形成機100のフレーム(図示省略)に固定されている。これにより、補強層形成機100がガイドレール54に沿って移動すると、冷却ローラ107及びシリンダ装置108も補強層形成機100とともに移動する。
【0129】
制御装置(図示省略)は、タイヤケース17の幅方向断面視における外周面17Sの延在方向に応じて、ギヤ付きモータ90を駆動させて軸36を傾斜させる。また、制御装置は、タイヤケース17の外周面17Sの所望の位置に補強コード部材26が配置できるように、補強層形成機100をガイドレール54に沿って移動させ、押圧ローラ103で補強コード部材26を押圧させるようにシリンダ装置104を制御している。一方、制御装置は、冷却部106のシリンダ装置108も制御しており、押圧ローラ103で押圧した補強コード部材26を冷却ローラ107で冷却させるようになっている。
なお、制御装置(図示省略)、軸部87、軸受部88、ギヤ付きモータ90、回転軸91、軸支持部92、雄ねじ部93、移動部材94、雌ねじ部95、軸支持部97、及び軸部98により押圧方向可変手段が構成されている。
【0130】
次に、タイヤケース17の外周面17Sに補強層28を形成する動作について説明する。
図18に示すように、まず、外周面17Sの一方の湾曲部17Rの延在方向に応じて上台座部34Aの軸支持部97側を下方向へ移動させて軸36を傾斜させる(図16図示状態)。この状態で、補強層形成機100のコード供給部58及びコード加熱部62を通過して下面26D側が加熱され溶融又は軟化状態となった補強コード部材26を外周面17Sの一方の湾曲部17Rの所定位置へ配置し、押圧部102の押圧ローラ103で補強コード部材26を押圧する。そして、押圧ローラ103で補強コード部材26を押圧した状態で成形機86の軸36の回転にともなってタイヤケース17が回転することにより、タイヤケース17の外周面17Sの一方の湾曲部17Rに補強コード部材26が押圧されながら巻き付けられる。
【0131】
また、補強コード部材26の巻き付け位置が外周面17Sの平坦部17Fに達すると、成形機86の軸36は水平方向となり、押圧ローラ103のローラ回転軸と平行な状態となる。そして、押圧ローラ103で補強コード部材26を押圧した状態で成形機86の軸36の回転にともなってタイヤケース17が回転することにより、タイヤケース17の外周面17Sの平坦部17Fに補強コード部材26が押圧されながら巻き付けられる。
【0132】
図19に示すように、補強コード部材26の巻き付け位置が外周面17Sの他方の湾曲部17Rに達すると、外周面17Sの他方の湾曲部17Rの延在方向に応じて上台座部34Aの軸支持部97側を上方向へ移動させて軸36が傾斜する。そして、押圧ローラ103で補強コード部材26を押圧した状態で成形機86の軸36の回転にともなってタイヤケース17が回転することにより、タイヤケース17の外周面17Sの他方の湾曲部17Rに補強コード部材26が押圧されながら巻き付けられる。
【0133】
なお、押圧ローラ103で押圧された補強コード部材26は、押圧ローラ103の下流側に設けられた冷却ローラ107により冷却される。
このようにして、タイヤケース17の外周面17Sに沿って補強層28が形成される。
【0134】
ここで、本実施形態は、成形機86の軸36を水平方向に対して傾斜させることで、補強層形成機100に固定された押圧ローラ103の押圧方向を最適化している。このため、本実施形態の押圧部102の構成は、第1実施形態の押圧部68の構成と比べて簡単な構成とすることができる。なお、冷却部106の構成も第1実施形態の冷却部72の構成と比べて簡単な構成とすることができる。
【0135】
さらに、成形機86は、軸36の水平方向に対する傾斜角度を自在に設定できることから、タイヤケース17の幅方向断面視における外周面17Sの延在方向に応じて押圧ローラ103の最適な押圧方向を実現することができる。これにより、外周面17Sに対してより補強コード部材26を均等な圧力で押圧しながら巻き付けることができる。
【0136】
[第3実施形態]
以下、本発明のタイヤの製造方法及びタイヤの製造装置の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して示し、その部分の詳細な説明は省略する。
【0137】
図20(A)及び図20(B)に示すように、補強層形成機110の押圧部112は、押圧ローラ113と、押圧ローラ113を回転自在に両端支持するコ字型の支持部材114と、支持部材114の中央部に設けられシリンダ装置115のロッド116の先端部に取り付けられた軸受部117によりローラ回転軸に対して直交する方向に回転自在に支持される軸部118と、を備えている。
【0138】
また、軸受部117の上部には、ロッド116の延在方向と直交する方向に延出するプレート120が設けられ、このプレート120の両端側には、一対のシリンダ装置121がそれぞれ取り付けられている。このシリンダ装置121のロッド122の先端は、支持部材114の上側面に対して対向配置されている。また、ロッド122と支持部材114との間には、クッション部材123(例えば、ゴムなど)が配置されている。なお、クッション部材123は、支持部材114の上側面に設けられている。
【0139】
ここで、図20(C)に示すように、一対のシリンダ装置121のうち一方のシリンダ装置121のロッド122を押し出し、他方のシリンダ装置121のロッド122を引き戻すと、支持部材114が軸部118を回転軸として回転する(図では、左回りに回転)。これにより、支持部材114に支持された押圧ローラ113も軸部118を回転軸として回転する。
【0140】
一方、図20(D)に示すように、一対のシリンダ装置121のうち他方のシリンダ装置121のロッド122を押し出し、一方のシリンダ装置121のロッド122を引き戻すと、支持部材114が軸部118を回転軸として回転する(図では、右回りに回転)。これにより、支持部材114に支持された押圧ローラ113も軸部118を回転軸として回転する。
【0141】
また、補強層形成機110の冷却部(図示省略)は、押圧部112と同じ構造の冷却ローラやシリンダ装置など構成されている。なお、冷却部の冷却ローラには、冷媒を流すための流路が形成されている。
【0142】
制御装置(図示省略)は、タイヤケース17の幅方向断面視における外周面17Sの延在方向に応じて、一対のシリンダ装置121のうちの一方のロッド122を押し出して、押圧ローラ113の回転軸を水平方向に対して傾斜させ、その後、シリンダ装置115のロッド116を押し出して、押圧ローラ113で補強コード部材26を押圧するようになっている。また、制御装置は、冷却部のシリンダ装置も制御しており、押圧ローラ113で押圧した補強コード部材26を冷却ローラで冷却させるようになっている。
なお、制御装置(図示省略)、支持部材114、軸受部117、軸部118、及び一対のシリンダ装置121により押圧方向可変手段が構成されている。
【0143】
次に、タイヤケース17の外周面17Sに補強層28を形成する動作について説明する。
まず、図21に示すように、タイヤケース17の幅方向断面視における外周面17Sの一方の湾曲部17Rの延在方向に応じて押圧ローラ113のローラ回転軸をタイヤケース17の軸方向に対して傾ける。この状態で下面26D側が溶融又は軟化状態となった補強コード部材26を外周面17Sの所定位置へ押圧する。そして、押圧ローラ113で補強コード部材26を押圧した状態で、タイヤケース17が回転することにより、タイヤケース17の外周面17Sの一方の湾曲部17Rに補強コード部材26が押圧されながら巻き付けられる。
【0144】
補強コード部材26の巻き付け位置が外周面17Sの平坦部17Fに達すると、押圧ローラ113のローラ回転軸が水平方向(軸36と平行)となる。そして、押圧ローラ113で補強コード部材26を押圧した状態でタイヤケース17が回転することにより、タイヤケース17の外周面17Sの平坦部17Fに補強コード部材26が押圧されながら巻き付けられる。
【0145】
図22に示すように、補強コード部材26の巻き付け位置が外周面17Sの他方の湾曲部17Rに達すると、タイヤケース17の幅方向断面視における外周面17Sの他方の湾曲部17Rの延在方向に応じて押圧ローラ113のローラ回転軸が成形機32の軸36に対して傾斜する。そして、押圧ローラ113で補強コード部材26を押圧した状態で成形機32の軸36の回転にともなってタイヤケース17が回転することにより、タイヤケース17の外周面17Sの他方の湾曲部17Rに補強コード部材26が押圧されながら巻き付けられる。
【0146】
なお、押圧ローラ113で押圧された補強コード部材26は、押圧ローラ103の下流側に設けられた冷却ローラ(図示省略)により冷却される。
このようにして、タイヤケース17の外周面17Sに沿って補強層28が形成される。
【0147】
ここで、本実施形態は、押圧ローラ113のローラ回転軸を軸36に対して傾けることで、タイヤケース17の幅方向断面視における外周面17Sの延在方向に対して押圧ローラ113の押圧方向を最適化している。このため、本実施形態の押圧部112の構成は、第1実施形態の押圧部68の構成と比べて簡単な構成とすることができる。また、成形機32の構成も第2実施形態の構成よりも簡単なものとなる。
【0148】
一方、押圧ローラ113のローラ回転軸が軸36に対して傾くことで押圧ローラ113の押圧方向が最適化される。
【0149】
なお、図24に示すように、押圧ローラ113の外周面に周方向に沿って補強コード部材26の少なくとも一部が挿入可能な溝部124を設けてもよい。このように溝部124を設けることで、外周面17Sへ補強コード部材26を巻き付ける際の補強コード部材26の蛇行配置を抑制することができる。なお、押圧ローラに溝部124を設けることについては、第1実施形態及び第2実施形態にも適用可能である。
【0150】
第3実施形態では、押圧ローラ113を回転させるためにシリンダ装置115の押し出し力を用いる構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、図23(A)〜(C)に示す変形例の押圧部126のように、シリンダ装置115のロッド116の先端に取り付けられた軸受部128にギヤ付きモータ127を取り付け、このギヤ付きモータ127の回転軸129を支持部材114の中央部に接続する構成としてもよい。この構成によれば、ギヤ付きモータ127を回転することで、支持部材114が回転し、これにともなって押圧ローラ113も回転して水平方向に対してローラ回転軸が傾斜する。
【0151】
(その他の実施形態)
上述した実施形態のいずれも補強コード部材26の断面形状を台形状とする構成としているが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、補強コード部材26の断面形状を円形や四角形などとする構成としてもよい。
【0152】
また、上述した実施形態のいずれもケース分割体17Aを接合してタイヤケース17を形成する構成としているが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、金型などを用いてタイヤケース17を一体的に形成する構成としてもよい。
【0153】
さらに、上述した実施形態のいずれのタイヤも補強層28の上にクッションゴム29を配置する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、図25に示すタイヤ130のように、補強層28の上に被覆用熱可塑性材料132で構成した被覆層134を形成する構成としてもよい。この被覆層134の形成方法としては、補強層28の上に溶融又は軟化状態の被覆用熱可塑性材料132を配置し、ローラなどで溶融又は軟化状態の被覆用熱可塑性材料132を押圧すると共に均すことで形成することができる。なお、シート状にした被覆用熱可塑性材料132の外周面17Sへの接合面側を加熱(例えば、熱風を吹き付けて加熱など)して外周面17Sに配置し、ローラなどで押圧すると共に均して形成してもよい。このように被覆層134を形成することで、補強コード部材26を外周面17Sへ巻き付けた際に生じる隣接する補強コード部材26間の隙間を埋めることができ、クッションゴム29を配置する面を平坦面とすることができる。これにより、被覆層134とクッションゴム29との間に空気入りが生じるのを抑制され、タイヤケース17側とトレッド30側との接合強度をより向上させることができる。
【0154】
さらに、上述した実施形態のいずれもタイヤ10を、ビード部12をリム20に装着することで、タイヤ10とリム20との間で空気室を形成する、所謂チューブレスタイヤとする構成としているが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、タイヤを、図26に示すような完全なチューブ形状のタイヤとする構成としてもよい。このようなタイヤとしては、ビード部12間を連結部138によって連結し完全なチューブ形状を構成したタイヤケース137を用いたタイヤ136が挙げられる。なお、タイヤ136も図1に示すタイヤ10と同様にリム組みされるようになっている。
【0155】
上述した実施形態のいずれもタイヤケース17とトレッド30との間にクッションゴム29を配置する構成としているが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、クッションゴム29を配置せずに、トレッド30を補強層28の上に直接配置する構成としてもよい。
【0156】
上述した実施形態のいずれもタイヤケース17の外周面17Sを平坦部17Fと湾曲部17Rで構成しているが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、タイヤケース17の湾曲部17Rを平坦部17Fからタイヤ径方向内側へ傾斜する傾斜部とする構成としてもよく、平坦部17Fを緩やかにタイヤ径方向外側へ湾曲させる構成としてもよい。一例を説明すると、図27に示すタイヤ140のように、タイヤケース142の外周面142Sをすべて湾曲させる構成としてもよい。
【0157】
また、上述した実施形態のいずれも補強コード部材26を外周面17Sへ螺旋状に巻き付ける構成としているが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、補強コード部材26を幅方向で不連続となるように巻き付ける構成としてもよい。
【0158】
さらに、上述した実施形態のいずれも補強コード26Aに被覆用樹脂材料27を被覆して補強コード部材26を構成し、その補強コード部材26で補強層28を形成しているが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、図28に示すように、補強コード26Aに被覆用樹脂材料27を被覆させず、補強コード26A自体を加熱すると共に押圧部112で押圧してタイヤケース17の外周面17Sへ少なくとも一部を埋設して、補強層28を構成してもよい。
【0159】
上述した実施形態では、補強コード部材26を形成する被覆用樹脂材料27を熱可塑性材料とし、この被覆用樹脂材料27を加熱することにより溶融又は軟化状態にしてタイヤケース17の外周面17Sに補強コード部材26を溶着する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、被覆用樹脂材料27を加熱せずに接着剤などを用いて外周面17Sに補強コード部材26を接着する構成としてもよい。
また、補強コード部材26を形成する被覆用樹脂材料27を熱硬化性樹脂とし、補強コード部材26を加熱せずに接着剤などを用いて外周面17Sに接着する構成としてもよい。
さらに、補強コード部材26を形成する被覆用樹脂材料27を熱硬化性樹脂とし、タイヤケース17を熱可塑性材料で形成する構成としてもよい。この場合には、補強コード部材26を外周面17Sに接着剤などを用いて接着してもよく、タイヤケース17の補強コード部材26が配設される部位を加熱して溶融又は軟化状態として補強コード部材26を外周面17Sに溶着してもよい。
またさらに、補強コード部材26を形成する被覆用樹脂材料27を熱可塑性材料とし、タイヤケース17を熱可塑性材料で形成する構成としてもよい。この場合には、補強コード部材26を外周面17Sに接着剤などを用いて接着してもよく、タイヤケース17の補強コード部材26が配設される部位を加熱して溶融又は軟化状態としつつ、被覆用樹脂材料27を加熱して溶融又は軟化状態にして補強コード部材26を外周面17Sに溶着してもよい。なお、タイヤケース17及び補強コード部材26の両者を加熱して溶融又は軟化状態にした場合、両者が良く混ざり合うため接合強度が向上する。また、タイヤケース17を形成する樹脂材料、及び補強コード部材26を形成する被覆用樹脂材料27をともに熱可塑性材料とする場合には、同種の熱可塑性材料、特に同一の熱可塑性材料とすることが好ましい。
そして、例えば、補強コード26Aを加硫済みのゴムで被覆したゴム被覆コード(補強コード部材の一例)を樹脂材料で構成されたタイヤケース17の外周面17Sに巻き付けて補強層を構成してもよい。この場合には、上記したように、ゴム被覆コードをタイヤケース17に溶着又は接着してもよい。
【0160】
またさらに、上述した実施形態のいずれもタイヤケース17の略平坦状の外周面17Sに補強コード部材26を巻き付ける構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、外周面17Sに予め螺旋状の溝を形成し、この溝に補強コード部材26を嵌め合わせながら補強コード部材26を外周面17Sに巻き付ける構成としてもよい。この構成により、外周面17Sに補強コード部材26を巻き付ける際の補強コード部材26の蛇行を抑制することができる。また、このようにして形成されたタイヤは、タイヤケース17の軸方向断面視において、補強コード部材26の少なくとも一部が外周面に埋設されている。このタイヤによれば、走行時の入力などによる補強コード部材26の動きが効果的に抑制される。
【0161】
なお、タイヤ10、130、136、140を製造するための順序は、上述した第1〜第3実施形態の順序に限らず、適宜変更してもよい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0162】
10 タイヤ
17 タイヤケース(タイヤ骨格部材)
17S 外周面
17R 湾曲部
26 補強コード部材
26A 補強コード
27 被覆用樹脂材料
28 補強層
56 補強層形成機
62 コード加熱部
68 押圧部
69A〜E 押圧ローラ
72 冷却部
73A〜E 冷却ローラ
84A〜E 押圧ローラ
86 成形機
100 補強層形成機
102 押圧部
103 押圧ローラ
106 冷却部
107 冷却ローラ
110 補強層形成機
112 押圧部
113 押圧ローラ
124 溝部
126 押圧部
130 タイヤ
136 タイヤ
137 タイヤケース
140 タイヤ
142 タイヤケース
142S 外周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料を用いて軸方向の中央部よりも端部側で外径が小さい環状のタイヤ骨格部材を形成する骨格形成工程と、
前記タイヤ骨格部材の外周面の前記中央部及び前記端部側へ補強コード部材を押圧部材によって押圧しながら巻き付けて前記外周面上に補強層を形成する補強層形成工程と、
を備え、
前記補強層形成工程では、前記タイヤ骨格部材の軸方向断面視における前記外周面の方向に応じて前記押圧部材の押圧方向を変化させるタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記外周面は、少なくとも一部が径方向内側に湾曲し、
前記補強層形成工程では、前記外周面の湾曲部分において、前記湾曲部分の法線方向に応じて前記押圧部材の押圧方向を変化させる請求項1のタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記外周面の湾曲部分において、前記押圧部材の押圧方向が前記湾曲部分の法線方向に沿っている請求項2に記載のタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記押圧部材は、押圧方向が異なる複数の押圧ローラにより構成され、
前記補強層形成工程では、前記タイヤ骨格部材の軸方向断面視における前記外周面の方向に応じて前記複数の押圧ローラの中から一つを選択し、選択した押圧ローラで前記補強コード部材を押圧する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のタイヤの製造方法。
【請求項5】
前記押圧部材は、単一の押圧ローラであり、
前記補強層形成工程では、前記タイヤ骨格部材の軸方向断面視における前記外周面の方向に応じて前記タイヤ骨格部材の軸を傾け、前記補強コード部材を前記押圧ローラで押圧する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のタイヤの製造方法。
【請求項6】
前記押圧部材は、前記タイヤ骨格部材の軸方向断面視における前記外周面の方向に応じて回転軸の角度を変化させる押圧ローラであり、
前記補強層形成工程では、前記タイヤ骨格部材の軸方向断面視における前記外周面の方向に応じて前記押圧ローラは回転軸の角度を変化させて前記補強コード部材を押圧する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のタイヤの製造方法。
【請求項7】
前記押圧ローラの外周面には、該外周面に沿って前記補強コード部材の少なくとも一部を挿入可能な溝部が形成されている請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のタイヤの製造方法。
【請求項8】
前記タイヤ骨格部材を形成する樹脂材料は、熱可塑性を有する熱可塑性材料であり、
前記補強コード部材は、補強コードを被覆用熱可塑性材料で被覆して構成され、
前記補強層形成工程は、前記補強コード部材の被覆用熱可塑性材料、及び、前記タイヤ骨格部材の前記補強コード部材が配置される部分の熱可塑性材料の少なくとも一方を加熱して溶融又は軟化状態にする熱処理を含み、前記外周面と前記補強コード部材とを溶着させる請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のタイヤの製造方法。
【請求項9】
前記補強層形成工程は、前記外周面へ配置された前記補強コード部材を冷却する冷却処理を含んでいる請求項8に記載のタイヤの製造方法。
【請求項10】
前記冷却処理では、前記タイヤ骨格部材の軸方向断面における前記外周面の方向に応じて回転軸の角度を変化させる冷却ローラを前記補強コード部材に接触させて該補強コード部材を冷却する請求項9に記載のタイヤの製造方法。
【請求項11】
樹脂材料を用いて形成され軸方向の中央部よりも端部側で外径が小さい環状のタイヤ骨格部材の外周面の前記中央部及び前記端部側へ補強コード部材を押圧しながら巻き付けるタイヤの製造装置であって、
前記補強コード部材を前記外周面へ押圧する押圧部材と、
前記タイヤ骨格部材の軸方向断面視における前記外周面の方向に応じて前記押圧部材の押圧方向を変化させる押圧方向可変手段と、
を備えるタイヤの製造装置。
【請求項12】
前記押圧部材は、単一の押圧ローラであり、
前記押圧方向可変手段は、前記押圧ローラの回転軸の角度を前記タイヤ骨格部材の軸に対して変化させる請求項11に記載のタイヤの製造装置。
【請求項13】
樹脂材料を用いて形成され、軸方向の中央部よりも端部側で外径が小さい環状のタイヤ骨格部材と、
前記タイヤ骨格部材の外周面上に配置され、前記外周面の前記中央部及び前記端部側へ補強コード部材を巻き付けて形成された補強層と、
を備えるタイヤ。
【請求項14】
前記タイヤ骨格部材の軸方向断面視において、前記補強コード部材の少なくとも一部が前記外周面に埋設されている請求項13に記載のタイヤ。
【請求項15】
前記補強コード部材は、前記タイヤ骨格部材を形成する樹脂材料とは別体の樹脂材料で補強コードを被覆して構成され、且つ前記外周面に接合されている請求項13又は請求項14に記載のタイヤ。
【請求項16】
前記タイヤ骨格部材を形成する樹脂材料、及び、前記補強コード部材を構成する樹脂材料の少なくとも一方が熱可塑性を有する熱可塑性材料であり、
前記タイヤ骨格部材と前記補強コード部材とが溶着されている請求項15に記載のタイヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−207156(P2011−207156A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79121(P2010−79121)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】