説明

タイヤ状態監視装置

【課題】より短いステップで、車体側装置で受信したタイヤの状態を示すデータとタイヤの位置とを対応づけることができるタイヤ状態監視装置を提供すること。
【解決手段】タイヤ状態監視装置10は、各タイヤに設置され、トリガ信号を受信すると、タイヤの状態のデータを送信するタイヤ側装置20と、車体に設置され、タイヤ側装置20へトリガ信号を送信し、タイヤ側装置20から送信されたデータを受信する車体側装置30とを備える。車体側装置30は、略垂直に配置された2つのバーアンテナ31a、31bと、2つのバーアンテナ31a、31bをそれぞれ独立に駆動し、トリガ信号の送信方向を制御するトリガ信号制御手段35とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のタイヤの状態を監視するタイヤ状態監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の運転者がタイヤの状態(例えば、タイヤの空気圧)を車室内で確認できるタイヤ状態監視装置が知られている(例えば、特許文献1)。このタイヤ状態監視装置は、各タイヤに設置されたタイヤ側装置と、車体に設置された車体側装置とからなる。各タイヤ側装置は、タイヤの状態に応じた電気信号を出力するセンサと、タイヤの状態を示すデータを送信する送信回路とを備え、それぞれ異なる時間間隔で定期的にデータを送信する。車体側装置は、タイヤ側装置から送信されたデータを受信する受信機を備え、この受信機は、タイヤの数と同数のアンテナを有する。各アンテナは、その指向性を各タイヤの方向へ向けた状態で配置される。したがって、タイヤ状態監視装置は、1つのタイヤ側装置から送信されたデータを車体側装置の複数のアンテナで順次受信し、受信強度の最も高いアンテナを特定することで、車体側装置で受信したタイヤの状態を示すデータとタイヤの位置とを対応づけることができる。
【特許文献1】特開2003−306017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の構成のタイヤ状態監視装置では、1つのタイヤ側装置から送信されたデータを車体側装置の複数のアンテナで順次受信し、受信強度の最も高いアンテナを特定するため、車体側装置で受信したタイヤの状態を示すデータとタイヤの位置との対応づけに、多くのステップを要する。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、より短いステップで、車体側装置で受信したタイヤの状態を示すデータとタイヤの位置とを対応づけることができるタイヤ状態監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明は、各タイヤに設置され、トリガ信号を受信すると、タイヤの状態を示すデータを送信するタイヤ側装置と、車体に設置され、前記タイヤ側装置へトリガ信号を送信し、前記タイヤ側装置から送信された前記データを受信する車体側装置とを備えるタイヤ状態監視塔において、
前記車体側装置は、お互いに対して略垂直方向に配置された2つのバーアンテナと、前記2つのバーアンテナをそれぞれ独立に駆動し、トリガ信号の送信方向を制御するトリガ信号制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車体側装置は、お互いに対して略垂直方向に配置された2つのバーアンテナをそれぞれ独立に駆動し、トリガ信号を特定のタイヤ側装置へ送信する。したがって、車体側装置は、2つのバーアンテナの各駆動状態に基づき、トリガ信号の送信方向に位置するタイヤを特定できる。このため、より短いステップで、車体側装置で受信したタイヤの状態を示すデータとタイヤの位置とを対応づけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0008】
図1は、本発明のタイヤ状態監視装置、及び表示器の構成の一実施例を示した図である。タイヤ状態監視装置10は、図1に示すように、4つのタイヤ1a、1b、1c、1d(以下、タイヤ1)にそれぞれ設置された4つのタイヤ側装置20a、20b、20c、20d(以下、タイヤ側装置20)と、車体2に設置された1つの車体側装置30とを備える。タイヤ側装置20は、トリガ信号を受信すると、タイヤ1の状態(例えば、タイヤ1の空気圧)を示すデータを車体側装置30へ無線送信する。車体側装置30は、トリガ信号をタイヤ側装置20へ送信し、タイヤ側装置20からタイヤ1の状態を示すデータを受信する。このタイヤ側装置20が受信したタイヤ1の状態を示すデータは、車室内に設置された表示器4に表示される。したがって、タイヤ状態監視装置10は、運転者にタイヤ1の各種状態を車室内で確認させることができる。尚、タイヤ側装置20と車体側装置30とは、無線で接続されているため、走行中であっても、送受信することができる。
【0009】
タイヤ側装置20は、各種センサ21a、21b、・・・、21n(以下、各種センサ21n)と、受信回路22と、送信回路23と、コントローラ24とを備える。各種センサ21nは、タイヤの各種状態に応じた電気信号を出力する。受信回路22は、車体側装置30から送信されたトリガ信号を受信する。送信回路23は、タイヤ1の各種状態を示すデータを車体側装置30へ送信する。コントローラ24には、各種センサ21n、受信回路22、送信回路23が接続されている。タイヤ側装置20の各構成要素は、電池からの電力で動作する。尚、タイヤ側装置20の各構成の詳細については、後述する。
【0010】
各種センサ21nには、例えば、タイヤ1の空気圧を測定する圧力センサ、タイヤ1の温度を測定する温度センサを用いることができる。圧力センサには、例えば、半導体圧力センサを用いることができる。半導体圧力センサは、圧力による電極間の距離の変化を静電容量の変化として検知し、圧力に応じた電気信号をコントローラ24へ出力する。温度センサには、例えば、熱電対を用いることができる。熱電対は、温度の変化を電圧の変化として検知し、温度に応じた電気信号をコントローラ24へ出力する。これらの各種センサ21nは、タイヤ1内、又はホイールに設置される。
【0011】
受信回路22には、例えば、フェライトコアにコイルを螺旋状に巻き付けたバーアンテナを用いることができる。受信回路22は、その指向性を後述のイニシエータ31へ向けて設置されている。受信回路22は、イニシエータ31からトリガ信号を受信すると、トリガ信号の受信強度に応じた電気信号をコントローラ24へ送信する。
【0012】
コントローラ24は、マイクロコンピュータによって構成されており、例えば、CPU、制御プログラムを格納するROM、演算結果等を格納する読書き可能なRAM、時間を計測するタイマ、演算等の処理の回数を計測するカウンタ、入力インターフェイス、及び出力インターフェイス等を有する。このコントローラ24には、図1に示すように、各種センサ21n、受信回路22、及び送信回路23が接続されている。
【0013】
コントローラ24は、受信回路22でトリガ信号を受信すると、各種センサ21nにタイヤ1の状態に応じた電気信号を出力させる。また、コントローラ24は、受信回路22でトリガ信号を受信すると、トリガ信号の受信強度に応じた時間を設定する。トリガ信号の受信強度に応じた時間は、トリガ信号の受信強度が強いほど、短く設定することができる。また、トリガ信号の受信強度が閾値以下の場合は、トリガ信号を受信しなかったと処理してもよい。
【0014】
コントローラ24は、受信回路22でトリガ信号を受信すると、タイマで時間の計測を開始し、トリガ信号の受信強度に応じて設定した時間が経過すると、送信回路23でタイヤ1の各種状態を示すデータを送信する。
【0015】
送信回路23には、例えば、受信回路22と同様に、バーアンテナを用いることができる。
【0016】
車体側装置30は、イニシエータ31と、受信機32と、コントローラ33とを備え、表示器4に接続されている。イニシエータ31は、タイヤ側装置20にトリガ信号を送信する。受信機32は、タイヤ側装置20から送信されたタイヤ1の各種状態を示すデータを受信する。コントローラ33は、イニシエータ31、受信機32、表示器4を制御する。表示器4は、車室内に設置され、タイヤ1の各種状態を示すタイヤ状態表示画像を表示する。車体側装置30の各構成要素は、オルタネータ等の図示しない電源からの電力で動作する。尚、車体側装置30の各構成、及び表示器4の詳細については、後述する。
【0017】
図2は、イニシエータの構成の一例を示した概略図である。イニシエータ31は、図2に示すように、その特徴的な構成として、お互いに略垂直方向に配置された2つのバーアンテナ31a、31bで構成される。この2つのバーアンテナ31a、31bは、コントローラ33によって制御される。
【0018】
コントローラ33は、コントローラ24と同様に、マイクロコンピュータによって構成され、イニシエータ31、受信機32、及び表示器4に接続されている。また、コントローラ33は、2つのバーアンテナ31a、31bをそれぞれ独立に駆動し、トリガ信号の送信方向を制御するトリガ信号制御手段35を備える。
【0019】
図3は、イニシエータの指向性とタイヤの位置との関係の一例を示した概略図で、(a)は第1のバーアンテナ31aを駆動した場合、(b)は第2のバーアンテナ31bを駆動した場合、(c)は、両方のバーアンテナ31a、31bを駆動した場合である。尚、イニシエータ31は、図3に示すように、タイヤ1bの近傍に設置されている。
【0020】
トリガ信号制御手段35は、例えば、図3(a)、(b)、(c)の順序で2つのバーアンテナ31a、31bをそれぞれ独立に駆動し、トリガ信号の送信方向を制御する。尚、以下の説明では、図3(a)に示す駆動状態をモード1、図3(b)に示す駆動状態をモード2、図3(c)に示す駆動状態をモード3とする。
【0021】
モード1の場合、図3(a)に示すように、イニシエータ31の指向性Dがタイヤ1aの方向へ向く。この状態で、イニシエータ31がトリガ信号を送信すると、タイヤ側装置20aが、トリガ信号を受信し、タイヤ1aの各種状態を示したデータを車体側装置30へ送信する。
【0022】
ここで、イニシエータ31の指向性Dが幅広になる場合、タイヤ側装置20b、20cがトリガ信号を受信し、タイヤ1b、1cの各種状態を示したデータを車体側装置30へ送信する可能性がある。しかしながら、タイヤ側装置20aは、タイヤ側装置20b、20cと比べて、強いトリガ信号を受信する。したがって、タイヤ1aの各種状態を示したデータが、最初に車体側装置30へ送信される。
【0023】
モード2の場合、図3(b)に示すように、イニシエータ31の指向性Dがタイヤ1b、1cの方向へ向く。この状態で、イニシエータ31がトリガ信号を送信すると、タイヤ側装置20b、20cが、トリガ信号を受信し、それぞれタイヤ1b、1cの各種状態を示したデータを送信する。
【0024】
ここで、タイヤ側装置20bは、タイヤ側装置20cと比べて、イニシエータ31の近くにあるため、強いトリガ信号を受信する。したがって、タイヤ1bの各種状態を示したデータが、最初に車体側装置30へ送信される。また、タイヤ1cの各種状態を示したデータが、2番目に車体側装置30へ送信される。
【0025】
モード3の場合、図3(c)に示すように、イニシエータ31の指向性Dがタイヤ1dに向く。この状態で、イニシエータ31がトリガ信号を送信すると、タイヤ側装置20dが、トリガ信号を受信し、タイヤ1dの各種状態を示したデータを送信する。
【0026】
ここで、タイヤ側装置20bがトリガ信号を受信し、タイヤ1bの各種状態を示したデータを車体側装置30へ送信する可能性がある。しかしながら、タイヤ側装置20dは、タイヤ側装置20bと比べて、強いトリガ信号を受信する。したがって、タイヤ1dの各種状態を示したデータが、最初に車体側装置30へ送信される。
【0027】
尚、2つのバーアンテナ31a、31bの駆動周波数は、100kHz程度の低周波に設定される。低周波で駆動することにより、イニシエータ31の指向性を、図3に示すように、2つのバーアンテナ31a、31bが形成する磁気力線の方向に一致させることができる。
【0028】
受信機32は、タイヤ側装置20から送信されたタイヤ1の各種状態を示したデータを受信する。受信機32は、例えば、RFアンテナで構成されてよい。
【0029】
受信機32がタイヤ1の各種状態を示すデータを受信すると、コントローラ33は、2つのバーアンテナ31a、31bの駆動状態に基づき、車体側装置30で受信したタイヤ1の状態を示すデータとタイヤ1の位置とを対応づける。
【0030】
図4は、車体側装置で受信したタイヤの各種状態を示すデータとタイヤの位置とを対応づけるフローチャートの一例を示した図である。
【0031】
コントローラ33は、図4のS11において、イニシエータ31の駆動状態の情報を取得する。続いて、S12に進み、駆動状態がモード1か否かチェックする。駆動状態がモード1である場合(S12、Yes)、S13に進み、受信機32が最初に受信したタイヤ1の各種状態を示すデータをタイヤ1aのデータとして特定し、今回の処理を終了する。
【0032】
また、S12において、駆動状態がモード1でない場合(S12、No)、S14に進み、駆動状態がモード2か否かチェックする。駆動状態がモード2である場合(S14、Yes)、S15に進み、受信機32が最初に受信したタイヤ1の状態を示すデータをタイヤ1bのデータとして特定する。続いて、S16に進み、受信機32が2番目に受信したタイヤ1の状態を示すデータをタイヤ1cのデータとして特定し、今回の処理を終了する。
【0033】
また、S14において、駆動状態がモード2でない場合(S14、No)、駆動状態はモード3であるので、S17に進み、受信機32が最初に受信したタイヤ1の状態を示すデータをタイヤ1dのデータとして特定し、今回の処理を終了する。
【0034】
このようにして、車体側装置30で受信したタイヤ1の各種状態を示すデータと、タイヤ1の位置とを対応づけることができる。
【0035】
図5は、車体側装置で受信したタイヤの各種状態を示すデータとタイヤの位置とを対応づけるフローチャートの別の例を示した図である。尚、ここでは、タイヤ側装置20は、タイヤ1の各種状態を示すデータと共に、タイヤ側装置20のID番号を示すデータを送信する。タイヤ側装置20のID番号は、装置毎に固有の番号に設定されており、タイヤ側装置20の製造時にコントローラ24のROMに記録され、必要に応じて読み出される。以下、図5のフローチャートについて説明するが、図4と同一のステップについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
コントローラ33は、図5のS21において、タイヤ側装置20のID番号とタイヤ1の位置とを対応づけた対応表データがRAMに記録されているか否かチェックする。対応表データがRAMに記録されていない場合(S21、No)、S11に進み、イニシエータ31の駆動状態の情報を取得する。
【0037】
続いて、駆動状態がモード1の場合(S12、Yes)、S13に続いて、S31に進む。S31では、受信機32が最初に受信したタイヤ側装置20のID番号を、タイヤ1aに対応づける対応表データを作成し、今回の処理を終了する。
【0038】
また、駆動状態がモード2の場合(S13、Yes)、S16に続いて、S32に進む。S32では、受信機32が最初に受信したタイヤ側装置20のID番号を、タイヤ1bに対応づけ、受信機32が2番目に受信したタイヤ側装置20のID番号をタイヤ1cに対応づける対応表データを作成し、今回の処理を終了する。
【0039】
また、駆動状態がモード3の場合(S13、No)、S17に続いて、S33に進む。S33では、受信機32が最初に受信したタイヤ側装置20のID番号を、タイヤ1dに対応づける対応表データを作成し、今回の処理を終了する。
【0040】
このようにして、タイヤ側装置20のID番号と、タイヤ1の位置とを対応づけた対応表データを完成することができる。
【0041】
また、対応表データがRAMに記録されている場合(S21、Yes)、S22に進み、対応表データを参照して、タイヤ側装置20のID番号からタイヤ1の位置を特定し、タイヤ1の各種状態を示すデータとタイヤ1の位置とを対応づけ、今回の処理を終了する。
【0042】
このように、対応表データを参照して、車体側装置30で受信したタイヤ1の各種状態を示すデータとタイヤ1の位置とを対応づけることで、対応付けに要する処理時間を短くすることができる。
【0043】
この対応表データは、運転者がエンジンのイグニションスイッチをオフに操作したとき、コントローラ33のRAMから消去される設定としても良く、運転者が専用のスイッチを操作したとき、コントローラ33のRAMから消去される設定としても良い。タイヤ1のローテーションが行われた場合であっても、これらの操作を行うことで、対応表データを更新することができる。
【0044】
コントローラ33は、車体側装置30で受信したタイヤ1の各種状態を示すデータとタイヤ1の位置とを対応づけた後、タイヤ1の各種状態を示すタイヤ状態表示画像を作成する。タイヤ状態表示画像を作成するプログラムは、車体側装置30の製造時に、コントローラ33のRAMに記録され、必要に応じて読み出して用いられる。タイヤ状態表示画像では、例えば、車両の構成の概略図上に、タイヤ1の各種状態を示すデータが数字として併記表示される。コントローラ33は、作成したタイヤ状態表示画像を公知の方法で、表示器4に出力する。
【0045】
表示器4は、例えば、液晶ディスプレイ等で構成され、運転者が見やすい位置、好ましくは、運転者が運転中の視野を大きく変えることなく見ることができるような位置に配置される。例えば、表示器4は、車室内のインストルメントパネル上面の中央部に配置されてよいし、また、メーター内に配置されてもよい。
【0046】
表示器4は、ナビゲーション装置の表示器の機能を兼ねてよい。この場合、表示器4に対して、タイヤ状態表示画像の他、地図画像等が供給され表示される。タイヤ状態表示画像と地図画像とは、例えば、表示器4の表示画面に表示される感圧式のスイッチ、或いは、表示器4の表示画面の外に設置された押しボタン式のスイッチを操作すると切り替わる設定とすることができる。また、タイヤ状態表示画像と地図画像とは、タイヤ状態監視装置10がタイヤ1の状態の異常を検知すると、切り替わる設定としてよい。
【0047】
このように、本実施例のタイヤ状態監視装置10は、お互いに略垂直方向に配置された2つのバーアンテナ31a、31bの各駆動状態に基づき、トリガ信号の送信方向に位置するタイヤ1を特定できる。このため、より短いステップで、車体側装置30で受信したタイヤ1の状態を示すデータとタイヤ1の位置とを対応づけることができる。
【0048】
また、イニシエータ31は、お互いに略垂直方向に配置された2つのバーアンテナ31a、31bで構成され、1カ所にまとめて設置される。このため、従来の4つのイニシエータ(バーアンテナ)を4つのタイヤ1の近傍にそれぞれ設置する場合と比較して、設置スペースを小さくすることができる。また、2つのバーアンテナ31a、31bの駆動条件を制御することで、イニシエータ31の指向性Dを電気的に制御することができる。それ故、イニシエータ31の設置場所、設置姿勢等の設置条件の制約を低減することができる。
【0049】
図6は、イニシエータの構成の別の例を示した概略図である。イニシエータ50は、図6に示すように、略十字形状のフェライトコア部材53にコイル52a、52b、52c、52dを螺旋状に巻き付けて構成されている。コイル52a、52b、52c、52dは、略垂直に配置された2つのバーアンテナ51a(52a、52c、53)、51b(52b、52d、53)として機能すべく、軸心が一致するコイル毎に、独立して駆動される。この場合、2つのバーアンテナ51a、51bのそれぞれの軸は交差している。したがって、2つのバーアンテナ51a、51bのそれぞれの軸に段差がある場合に比べて、イニシエータ50の指向性の軸方向を同一平面内で電気的に制御できる。また、イニシエータ50の設置スペースを小さくすることができる。
【0050】
図7は、イニシエータの構成の別の例を示した概略図で、(a)はイニシエータの構成を示した概略図、(b)は(a)のイニシエータのモード2の場合の指向性を示した概略図である。イニシエータ60は、図7(a)に示すように、2つのバーアンテナ61a、61bのそれぞれの軸中心をお互いにオフセットした状態で配置されている。この場合、2つのバーアンテナ61a、61bを駆動すると、図7(b)に示すように、イニシエータ60により送信されるトリガ信号の強度分布が非対称性になる。したがって、比較的少ない電力でイニシエータ60を駆動しても、トリガ信号をタイヤ側装置20へ送信することができる。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0052】
例えば、本実施例のタイヤ1の各種状態を示すデータとタイヤ1の位置との対応付けには、トリガ信号の受信強度に応じて設定した時間を補助的に利用したが、トリガ信号の受信強度を示すデータそのものを補助的に利用してよい。この場合、タイヤ側装置20は、受信回路22でトリガ信号を受信すると、送信回路23でタイヤ1の各種状態を示すデータと共に、トリガ信号の受信強度を示すデータを車体側装置30へ送信する。タイヤ状態監視装置10は、モード1の場合、車体側装置30で受信したタイヤ1の各種状態を示すデータを複数受信すると、トリガ信号の最も強い受信強度を示すデータと共に送信されたデータをタイヤ1aのデータとして特定する。また、タイヤ状態監視装置10は、モード2の場合、車体側装置30で受信したタイヤ1の各種状態を示す複数のデータのうち、トリガ信号の最も強い受信強度を示すデータと共に送信されたデータをタイヤ1bのデータとして特定し、トリガ信号の2番目に強い受信強度を示すデータと共に送信されたデータをタイヤ1cのデータとして特定する。また、タイヤ状態監視装置10は、モード3の場合、車体側装置30で受信したタイヤ1の各種状態を示すデータを複数受信すると、トリガ信号の最も強い受信強度を示すデータと共に送信されたデータをタイヤ1dのデータとして特定する。
【0053】
また、本実施例のタイヤ側装置20は、トリガ信号を受信すると、各種センサ21nにタイヤ1の各種状態に応じた電気信号を出力させる設定としたが、トリガ信号の受信の有無に関わらず、定期的に各種センサ21nにタイヤ1の各種状態に応じた電気信号を出力させ、その結果をコントローラ24のRAMに記録しておく設定としてよい。この場合、コントローラ24は、トリガ信号を受信すると、RAMからタイヤ1の各種状態を示すデータを読み出し、車体側装置30へ送信する。
【0054】
また、本実施例のコントローラ24は、トリガ信号を受信すると、タイヤ1の各種状態を示すデータを車体側装置30へ送信する設定としたが、トリガ信号の受信の有無に関わらず、タイヤ1の各種状態を示すデータが正常値でないときには、タイヤ1の各種状態を示すデータを車体側装置30へ送信してよい。
【0055】
また、車体側装置30は、タイヤ1の状態を示すデータが正常値か否か判定し、データが正常値でない場合、運転者に警報する警報手段を備えてよい。警報手段は、例えば、タイヤ状態表示画面を強調表示すること、スピーカから警告音を出力することで実現される。強調表示は、例えば、タイヤの各種状態を示す数字を比較的太い線、蛍光色、又は強い輝度で強調して生成される。
【0056】
また、本実施例のイニシエータ31は、タイヤ1bの近傍に設置したが、2つのバーアンテナ31a、31bの各駆動状態に基づき、車体側装置30で受信したタイヤ1の状態を示すデータとタイヤ1の位置とを対応づけることができる限り、その設置場所に制限はない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のタイヤ状態監視装置、及び表示器の構成の一実施例を示したブロック図である。
【図2】イニシエータの構成の一実施例を示した図である。
【図3】イニシエータの指向性とタイヤの位置との関係の一例を示した図である。
【図4】車体側装置で受信したタイヤの状態を示すデータとタイヤの位置とを対応付ける処理の一例を示したフローチャートである。
【図5】車体側装置で受信したタイヤの状態を示すデータとタイヤの位置とを対応付ける処理の別の例を示したフローチャートである。
【図6】イニシエータの構成の別の例を示した図である。
【図7】イニシエータの構成の別の例を示した図である。
【符号の説明】
【0058】
10 タイヤ状態監視装置
20 タイヤ側装置
21n 各種センサ
22 受信回路
23 送信回路
24 コントローラ
30 車体側装置
31、50、60 イニシエータ
31a、31b、51a、51b、61a、61b バーアンテナ
32 受信機
33 コントローラ
35 トリガ信号制御手段
53 コア部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各タイヤに設置され、トリガ信号を受信すると、タイヤの状態を示すデータを送信するタイヤ側装置と、車体に設置され、前記タイヤ側装置へトリガ信号を送信し、前記タイヤ側装置から送信された前記データを受信する車体側装置とを備えるタイヤ状態監視塔において、
前記車体側装置は、お互いに対して略垂直方向に配置された2つのバーアンテナと、前記2つのバーアンテナをそれぞれ独立に駆動し、トリガ信号の送信方向を制御するトリガ信号制御手段とを備えるタイヤ状態監視装置。
【請求項2】
前記2つのバーアンテナのそれぞれの軸が交差する請求項1に記載のタイヤ状態監視装置。
【請求項3】
前記2つのバーアンテナのそれぞれの軸中心がお互いにオフセットされた請求項1又は2に記載のタイヤ状態監視装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−32015(P2009−32015A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194958(P2007−194958)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】