説明

タクシー配車システム及びタクシー配車方法

【課題】タクシー配車システム及びタクシー配車方法において、大口顧客周辺の迷惑駐車タクシーの数を低減させる。
【解決手段】配車の運行管理を行う配車管理装置の構成において、大口顧客(A社)の周辺に配車除外エリアAを設定し、この配車除外エリアA内に存在するタクシー(1号車、2号車)には配車指令を行わない構成にする。また、配車除外エリアを不定期に、例えば配車除外エリアBのように更新する。この場合、さらにタクシー(3号車)が配車指令から除外される。そして、このエリアの外に位置し、A社に最も近い5号車に配車指令が発行される。この更新では、配車除外エリアの形状やサイズや更新間隔をランダムに選択する構成とする。また、このような配車除外エリア内に長時間滞在するタクシーには、その滞在時間に対応して、この配車除外エリア外での配車指令を行わない構成にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、客先の要望によりタクシーを配車するシステム及びタクシー配車方法に係わり、より詳細には、客先近辺で配車待ちを行うタクシーの排除を行うことができる構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タクシー配車システムは図8に示す構成があった。
【0003】
このタクシー配車システムは、例えば、利用者の携帯端末25と、配車管理サーバ20と、タクシーに搭載された車載端末30とを備え、これらはインターネット等のネットワーク40を介して接続可能に構成されている。
【0004】
携帯端末25は、利用者が保有する端末であり、例えば携帯電話機等である。携帯端末25は、制御部、記憶部、表示部、入力部、GPS電波受信部、通信制御部等を備えるコンピュータから構成される。携帯端末25の制御部は、記憶部に記憶される制御プログラム等を読み込むこにより、利用者による入力操作に応答して、タクシーの配車を要求するための配車要求処理等を行う。
【0005】
配車要求処理では、GPS電波受信部により人工衛星からGPS信号を受信して、携帯端末25の現在位置を示す現在位置情報(例えば、緯度及び経度等)を生成して配車管理サーバ20に送信する。
【0006】
配車管理サーバ20は、例えば図9に示すように、制御部21と、記憶部22と、通信制御部23とを備えるコンピュータから構成される。
【0007】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit )、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、記憶部22に予め記憶された動作プログラム等を読み込んで実行することにより、ユーザ登録処理、タクシー位置管理処理、配車処理、乗車記録保管処理、利用状況情報提供処理、現在位置再検索処理等を行う。
【0008】
タクシー位置管理処理では、制御部21は、各タクシーの車載端末30から現在位置情報と車載端末IDを受信すると、受信した現在位置情報を記憶部22のタクシー位置DB222に記憶(更新)する。ここで、車載端末IDは、車載端末30を識別するためのコードであり、タクシーに搭載する車載端末30にそれぞれ異なるコードが予め付与されている。
【0009】
配車処理では、制御部21は、携帯端末25から配車依頼を受信すると、携帯端末25から現在位置情報を受信し、タクシー位置DB222を参照して現在位置情報が示す位置と利用者の位置との距離が最短のタクシーを選出する。この選出では、例えば、制御部21は、携帯端末25から受信した現在位置情報が示す位置と、タクシー位置DB222に記憶されている各車載端末30の位置との距離を算出して求め、求めた距離が最短である車載端末30を選出する。
【0010】
そして、制御部21は、選出した車載端末30に対して、配車要求を送信し、これに対して配車可を示す返答データを受信した場合には、その車載端末30に対して、先に携帯端末25から受信した現在位置情報、ユーザID等を送信する。また、配車不可を示す返答データを受信した場合には、先に求めた携帯端末25との距離が、選出した車載端末30の次に短い車載端末30を選び直し、その車載端末30に対して配車要求を送信する処理を、配車可を示す返答データを受信するまで繰り返す。
【0011】
記憶部22は、例えば、ハードディスク装置等から構成され、制御部21が実行するための動作プログラムや処理に必要な各種データ等が記憶される。また、記憶部22は、ユーザ情報DB221、タクシー位置DB222、乗車記録DB223を備える。
【0012】
通信制御部23は、ネットワーク40を介した他の装置(携帯端末25、車載端末30等)との通信を制御する。
【0013】
車載端末30は、各タクシーに搭載される端末であり、例えば図10に示すように、制御部31、記憶部32、表示部33、入力部34、通信制御部35、GPS電波受信部36等を備えるコンピュータから構成される。
【0014】
制御部31は、CPU、ROM、RAM等から構成され、記憶部32に予め記憶された動作プログラム等を読み込んで実行することにより、現在位置情報送信処理、配車要求受付処理、乗車記録送信処理等を行う。
【0015】
現在位置情報送信処理では、制御部31は、予め設定されたタイミング(例えば、所定時間毎)で、GPS電波受信部36により人工衛星からGPS信号を受信して、車載端末30の現在位置を示す現在位置情報(例えば、緯度及び経度等)を生成して配車管理サーバ20に送信する。
【0016】
配車要求受付処理では、制御部31は、配車管理サーバ20から配車要求を受信すると、例えばメッセージの表示部33への表示や図示せぬ音声出力部から音声出力を行うことにより配車要求を受信したことをタクシーの運転手に通知する。そして、配車要求に対する返答の入力を受け付け、入力データを返答データとして配車管理サーバ20に送信する。配車可を示す返答データを送信した場合には、その後、配車管理サーバ20から配車を依頼した利用者の現在位置情報、ユーザID等を受信し、受信データを表示する。現在位置情報の表示は、例えば、地図データを表示し、地図上における現在位置情報が示す位置を表示する。
【0017】
記憶部32は、例えば、ハードディスク装置等から構成され、制御部21が実行するための動作プログラムや処理に必要な各種データ等が記憶される。表示部33は、制御部31等からの指示に従って各種画面を表示する。
【0018】
入力部34は、例えばタッチパネル等の入力装置であり、入力データを制御部31に通知する。通信制御部35は、配車管理サーバ20等とのネットワーク40を介した通信を制御する。
【0019】
GPS電波受信部36は、人工衛星からのGPS信号を受信して、携帯端末25の現在位置を緯度及び経度等で示す現在位置情報を生成する。
【0020】
次に、利用者が配車を依頼する場面における配車処理について説明する。
【0021】
例えば、携帯端末25は利用者の入力操作に応答して、配車依頼を配車管理サーバ20に送信する。
【0022】
配車管理サーバ20の制御部21は、配車依頼の受信に応答して、携帯端末25から現在位置情報を受信し、現在位置情報がタクシー位置DB222に記憶されている各車載端末30の現在位置情報が示す位置と、利用者の携帯端末25から受信した現在位置情報が示す位置との距離を算出して求め、求めた距離が最短の車載端末30を選出し、その車載端末30が搭載されているタクシーを配車対象とする。
【0023】
そして、制御部21は、選出した車載端末30に対して配車要求を送信し、これに対する返答データを受信する。
【0024】
そして、受信した返答データが配車可を示す場合、制御部21は、選出した車載端末30に対して、携帯端末25から受信した現在位置情報とユーザID等を送信する。車載端末30では、受信した現在位置情報が示す位置が地図上に表示される。
【0025】
また、受信した返答データが配車不可を示す場合、先に選出した車載端末30を選出対象から除外して、利用者の携帯端末25から受信した現在位置情報が示す位置との距離が最短の車載端末30を選出し直す構成になっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0026】
このように自動で配車車両を選択する場合、いくら配車先に近い距離にある空車のタクシーであっても、渋滞に巻き込まれて動けない車両や、駅前のロータリーなどで客待ちの順番待ちで並んでいる車両は、配車指定を受けてもすぐには配車先に行けない場合がある。
【0027】
このように、配車先に近い距離にある空車のタクシーであっても動けない車両には配車ができないため、予め定められたエリアや、渋滞道路上の車両には配車を行わず、前述しこれらのエリアや道路以外に存在する空車車両の中から、次に配車先に近い車両を選択するシステムが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0028】
ところで、例えば、タクシー会社の大口顧客である地方の工場や研究所などでは、アクセスする公共交通機関が遠くにあり、また運行頻度も少ないため、最寄りのターミナル駅までのタクシー利用が多い。また、大口顧客は大手の企業であるため、タクシーチケットの利用や深夜の遠距離利用が多く、タクシー会社にとっては有益な収入源である。
【0029】
このため、各タクシーは競ってこの大口顧客の周辺で客待ちを行うようになってきた。
【0030】
前述のように、顧客から配車の依頼があった場合、この顧客から一番距離が短い空車が配車の対象となるため、大口顧客の正門横などに駐車車両が集中する場合があった。また、このようなタクシーは客のために常に車内の冷暖房を行っており、結果的に駐車中であっても、エンジンを回している場合が多い。また、これらのタクシーが大口顧客の周辺道路に迷惑駐車する場合もあり、近所に住んでいる住民の車両の移動を妨げる虞があった。
【0031】
このため、これらのタクシーの騒音や排ガスの被害、迷惑な駐停車による通行妨害などに対する近隣住民の苦情が大口顧客に寄せられた場合、大口顧客はタクシー会社に改善を依頼し、タクシー会社でも各運転手に大口顧客周辺での客待ちができるだけないように運用している。一方、大口顧客側ではタクシー会社側で改善が見られない場合、このタクシー会社の利用を中止することを検討しており、タクシー会社側でも改善に苦慮している。
【0032】
しかしながら、大口顧客周辺での客待ちは、タクシー運転手にとって有望な客を獲得できる手段であり、この状況はなかなか改善されないという問題があった。このため、特許文献2のように特定の場所、ここでは大口顧客周辺を配車の対象エリア外とする方法もあるが、運転手に配車の対象エリアがわかった場合、このエリアの外周付近で、また、同じ問題が発生することになる。また、時間帯によっては配車の指示を待つよりも、大口顧客の会社の正門付近でタクシーを拾う客を得る方が効率的な場合もあり、客待ちの問題の改善は非常に困難であった。
【特許文献1】特開2006−268229号公報(第4−6頁、図1)
【特許文献2】特開2002−190096号公報(第4−5頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明は以上述べた問題点を解決し、タクシー配車システム及びタクシー配車方法において、大口顧客周辺の迷惑駐車タクシーの数を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は上述の課題を解決するため、タクシーの車両に搭載され、同搭載された車両の現在の車両位置と現在の動態とからなる車両情報を随時無線で送信する車両端末と、同車両端末から受信した前記車両情報に基づいて、依頼された顧客へ配車する車両を選択して配車指令を行う配車管理装置とを備え、
前記配車管理装置は、最新の前記車両情報を記憶する車両管理手段と、配車受付オペレータが受け付けた特定の前記顧客を識別する配車受付情報が入力され、同配車受付情報をデータ化する入力手段と、前記配車受付情報のデータを配車依頼データとして変換する配車受付手段と、特定の前記顧客の周辺エリアに存在する車両への配車が禁止された配車除外エリアを更新すると共に、同配車除外エリアを記憶し、指定された車両位置が前記配車除外エリア外か否かを判定する配車除外エリア管理手段と、前記車両情報内の車両位置における前記配車除外エリア外か否かの前記配車除外エリア管理手段での判定結果が前記配車除外エリア外の場合で、かつ、特定の前記顧客に近い空車の車両を特定の前記顧客への配車車両として割り当てる配車手段とを備える。
【0035】
また、前記車両管理手段は、最新の前記車両情報の各前記車両位置と各前記動態とを確認し、同確認した前記車両位置が前記配車除外エリア外か否かを前記配車除外エリア管理手段で判定し、その判定結果が前記配車除外エリア内に存在し、かつ、前記動態が空車の車両に対して、同車両が前記配車除外エリア内に存在する待機時間累計を記憶し、同待機時間累計を前記配車受付オペレータへ提示する。
【0036】
もしくは、前記車両管理手段は、最新の前記車両情報の各前記車両位置と各前記動態とを確認し、同確認した前記車両位置が前記配車除外エリア外か否かを前記配車除外エリア管理手段で判定し、その判定結果が前記配車除外エリア内に存在し、かつ、前記動態が空車の車両に対して、同車両が前記配車除外エリア内に存在する待機時間累計を記憶し、
前記配車手段は、前記配車依頼データ内の顧客が前記配車除外エリア外に位置する場合で、かつ、入力された前記待機時間累計が所定の時間以上となる待機超過車両を前記顧客への配車割り当て対象から除外し、前記待機超過車両以外で前記顧客に近い空車の別車両を前記顧客へ割り当てる。
【0037】
さらに、前記配車手段は、前記待機超過車両を前記顧客への配車割り当てから除外した時、前記待機超過車両と対応する前記待機時間累計を減じる。
【0038】
一方、タクシーの車両に搭載され、同搭載された車両の現在の車両位置と現在の動態とからなる車両情報を随時無線で送信する車両端末と、同車両端末から受信した前記車両情報に基づいて、依頼された顧客へ配車する車両を選択して配車指令を行う配車管理装置とを備えたタクシー配車システムで用いられるタクシー配車方法において、
前記配車管理装置は、最新の前記車両情報を記憶するステップと、配車受付オペレータが受け付けた特定の前記顧客を識別する配車受付情報をデータ化するステップと、前記配車受付情報のデータを配車依頼データに変換するステップと、特定の前記顧客の周辺エリアに存在する車両への配車が禁止された配車除外エリアを更新するステップと、同配車除外エリアを記憶し、指定された車両位置が前記配車除外エリア外か否かを判定するステップと、前記車両情報内の車両位置が前記配車除外エリア外に存在し、かつ、特定の前記顧客に近い空車の車両を特定の前記顧客への配車車両として割り当てるステップとを実行する。
【発明の効果】
【0039】
以上の手段を用いることにより、本発明によるタクシー配車システムによれば、
請求項1に係わる発明は、顧客周辺の配車除外エリア内に駐車するタクシーは配車対象から除外され、また、配車除外エリアが不定形状に更新されるため、運転者がそのエリアを把握できず、結果的に顧客周辺に駐車するメリットがなくなる。このため、顧客周辺に駐車するタクシーの数を低減させることができる。
【0040】
請求項2に係わる発明は、配車除外エリア内に存在する車両の待機時間累計が配車受付オペレータへ提示されるため、各車両の待機時間累計に対応して、人為的な手段により駐車しないように注意を促すことができる。
【0041】
請求項3に係わる発明は、配車除外エリア内に存在する車両の待機時間累計が所定時間以上の車両に対して、配車のチャンスを与えないペナルティを課すことで顧客周辺に駐車するメリットがなくなる。このため、顧客周辺に駐車するタクシーの数を低減させることができる。
【0042】
請求項4に係わる発明は、顧客への配車車両としての割り当てを中止した時、待機時間累計を減じるので、待機時間累計の多さに対応して配車のチャンスを与えないペナルティを課すことができる。
【0043】
また、本発明によるタクシー配車方法によれば、
請求項5に係わる発明は、請求項1と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
【実施例1】
【0045】
近年、タクシーの運行をGPS(Global Positioning System )と移動無線ネットワークを使用して管理するGPS−AVM(Automatic Vehicle Monitoring)システムが実用化されている。
【0046】
図1はこのようなシステムを応用した本発明によるタクシー配車システムを説明する説明図である。このシステムは、顧客からの配車要求を受け付ける電話機4と運行管理を行う配車管理装置10を備えたタクシー会社3と、この配車管理装置10とデータや音声を送受信する車両端末1を備えた複数のタクシー2a,2b,2c・・・を備えている。
【0047】
各タクシーの車両端末1は、この車両端末1が搭載されたタクシーの現在の動態情報、例えば、賃走か、空車かあるいは回送中や迎車かを表す情報と、タクシーの現在の位置情報とからなる車両情報を、無線回線を介して配車管理装置10に伝送する。従ってタクシー会社3では、自社のタクシーの位置と動態とをリアルタイムで管理している。
【0048】
一方、大口顧客であるA社7は、電話機6を用いて電話回線網5を介し、タクシー会社の電話機4へタクシーの配車を依頼する。この場合、従来であればA社7の近辺に位置する空車のタクシー2aを配車として指定していたが、背景技術で説明したように、このタクシー2aは迷惑駐車をしているタクシーであると思われるため、配車の対象から除外する。なお、特定の顧客であるA社7の近辺のエリアは予め配車除外エリアとして規定しており、この配車除外エリア以外で最もA社7に近いタクシー、ここではタクシー2bに対して配車の指示を行う。
【0049】
従ってA社7の近辺に待機しているタクシー2aには配車指令が行われないため、待機する意味がなくなり、A社7の近辺に待機するタクシーの数は低減される。ただし、配車指令かなくても、A社7の正門から出てタクシーを拾う深夜残業や徹夜明けの従業員を待ち受ける場合がある。これらのタクシーについては、配車除外エリア内の待機時間を累計し、この待機累計時間に対応してペナルティを与えるようにしている。
【0050】
次に各装置の詳細構成を説明する。図2は車両端末1の構成を示すブロック図である。
【0051】
車両端末1は配車管理装置10と無線通信を行うアンテナ1aに接続された移動局無線機1bと、現在の走行位置を検出するGPS装置1cと、賃走や空車あるいは回送中や迎車の動態の切り換えを行うタクシーメータ1eと、音声通話を行うためのスピーカ1fとマイク1gと、配車管理装置10から送られる配車依頼データを表示する表示装置1dと、これらを制御する移動局制御装置1hとで構成されている。
【0052】
移動局制御装置1hは、スピーカ1fとマイク1gとを介して乗務員の音声通話を行うと共に、配車管理装置10からの情報要求により、現在の位置情報と現在の動態情報とからなる車両情報を配車管理装置10へ送信する。なお、配車管理装置10からはポーリングによる定期的な情報要求が発せられている。
【0053】
図3は配車管理装置10の構成を示すブロック図である。
【0054】
配車管理装置10は、車両端末1と無線通信を行う基地局無線装置11と、基地局無線装置11に接続され、各タクシーの現状データを収集する無線サーバ12と、顧客からの配車依頼を配車オペレータの操作により入力して配車依頼データにする配車端末13と、配車依頼データに基づいて最適な配車タクシーを選択する配車サーバ14を備えており、無線サーバ12と配車端末13と配車サーバ14とはLANで接続されている。
【0055】
なお、図示しないが、これらの端末やサーバは制御部と記憶部と通信部と表示部とを備えており、これらの端末やサーバ内部のさまざまな手段の動作は、記憶部に記憶されたプログラムを制御部が実行することで実現している。また、これらの端末やサーバは、LANに接続された通信部を介して通信を行う構成になっている。
【0056】
基地局無線装置11は、車両端末1と無線通信を行うアンテナ11bと、基地局無線機11aと、マイク11cと、スピーカ11dとを備えている。
【0057】
無線サーバ12には車両管理手段12aが備えられており、この車両管理手段12aは、LANを介して送られてくる各種のデータを各車両端末1に選択的に送信する。また、車両管理手段12aは、定期的に、例えば1分ごとに、各車両端末1に対して現在の走行位置と現在の動態情報とからなる車両情報を入手するためにポーリング動作を行っており、この結果、返信された各車両端末1(各タクシー)の車両データは配車サーバ14内のデータファイル更新手段14cを介して車両管理ファイル14gに書き込まれる。
【0058】
配車端末13にはキー操作を受け付ける入力手段13bと、配車受付手段13aが備えられており、入力手段13bは、図示しない配車オペレータの操作により電話機4で受け付けた顧客の配車受付情報を入力し、配車受付手段13aはこの配車受付情報に対応する配車依頼データを配車サーバ14へ送信する。なお、配車依頼データとは、例えば、顧客の電話番号、顧客名、配車住所、配車場所近辺の目印などである。
【0059】
配車サーバ14は、LANに接続された配車手段14b及びデータファイル更新手段14cと、指定された条件に従って配車除外エリアの形状とサイズとを決定すると共に、与えられたタクシーの所在位置が配車除外エリアの内部か外部かの判定を行う配車除外エリア管理手段14aと、図示しない記憶装置、例えばハードディスク装置に格納された配車除外エリアファイル14d、顧客マスターファイル14e、地図マスターファイル14f、車両管理ファイル14gとを備えている。なお、これらのファイルは、他のサーバでも使用する場合があるため、他のサーバからもアクセスできるようになっているが、本発明に直接関係ない部分は図示と説明を省略する。
【0060】
データファイル更新手段14cは、車両管理手段12aが定期的に入手する各車両端末1を搭載したタクシーの現在の走行位置と現在の動態情報とからなる車両データを車両管理ファイル14gに書き込んで更新している。また、同時に、更新した現在の走行位置が配車除外エリア内である時、車両管理ファイル14g内の各タクシーと対応する待機時間累計に所定の時間値である単位待機時間を加算する。
【0061】
なお、単位待機時間とは車両管理手段12aが、全ての車両端末1のデータを一回りして収集するポーリング時間である。例えば5秒/車両端末で処理し、全体のタクシー台数が20台である時、1回のポーリング時間が1分間となり、配車除外エリア内での待機時間累計にこの1分間が加算される。従って、この配車除外エリア内を走行中の空車タクシーも待機時間累計に加算されるが、短時間でこの配車除外エリア内を抜けるため、大きな誤差は発生しない。このため、待機時間累計でのペナルティ判定を行う場合は、所定の待機時間、例えば1日当たり1時間を待機時間累計から除外して判定するようにしている。
【0062】
配車手段14bは、配車端末13が出力した配車依頼データを入力し、顧客マスターファイル14eと地図マスターファイル14fと車両管理ファイル14gとから、配車依頼された特定の顧客に最も近い空車のタクシーを検索する。そして、この検索した空車のタクシーが配車除外エリア内であるか外であるかを配車除外エリア管理手段14aに問い合わせる。
【0063】
もし、この検索した空車のタクシーが配車除外エリア内である場合は、このタクシー以外で配車依頼された顧客に最も近い別の空車タクシーを検索し、配車除外エリア外で最も特定の顧客に近いタクシーを抽出する。
【0064】
そして、配車手段14bは、車両管理手段12aを介して抽出したタクシーと対応する車両端末1に配車受け入れの可否を打診し、配車可能の返信を受け取った場合、配車が決定されたと判断し、決定した空車のタクシーを配車受付手段13aに通知することで配車タクシー選択の処理が完了する。
【0065】
一方、配車除外エリア管理手段14aでは、タクシーの所在位置を入力し、このタクシーが配車除外エリアの内外のいずれかに位置するのかを判別する。また、配車除外エリア管理手段14aでは、不定期に配車除外エリアの大きさやエリアの形状を変更しており、タクシー運転手が現在の配車除外エリアを類推できないようにしている。
【0066】
図4はこのシステムで使用する各種のデータファイル内容を説明するテーブル形式の説明図である。
【0067】
図4(A)は車両管理ファイルであり、タクシー会社が保有する全てのタクシーの現在の状態をリアルタイムで管理するものである。
【0068】
車両管理ファイルは、横方向に左から順に、『車両番号』、『動態』、『現在位置』、『待機時間累計』の項目になっており、縦方向はタクシーを識別する『車両番号』が1号車から20号車までに区画されている。また、『動態』は、各タクシーの現在の状態を表しており、客待ちの空車、乗客を輸送中の賃走、配車先へ向かう迎車、移動のみを行う回送のいずれかが記憶される。
【0069】
『現在位置』は緯度と経度とで表されており、『待機時間累計』は、配車除外エリア内に存在した時間の累計を表している。累計期間はシステムの運用で任意に決定されるものであり、この実施例では1カ月としている。なお、『待機時間累計』は、配車除外エリアが複数存在する場合、そのエリア内に存在した時間の合計となっている。
【0070】
図4(B)は顧客マスターファイルであり、顧客に関するデータが記録されている。
【0071】
顧客マスターファイルは、横方向に左から順に、『顧客名称』、『顧客電話番号』、『待機可否』、『顧客住所』、『顧客所在位置』の項目になっている。なお、『顧客所在位置』のデータは緯度と経度とで表されている。
【0072】
『待機可否』は本発明による配車除外エリア内のタクシーに対する配車を行うか否かの識別であり、例えば、大口顧客内に駐車スペースがあり、この中に配車待ちのタクシーが駐車できるなら、タクシーの待機が『可』となり、そうでないなら『不可』と、予め決定しておく。この実施例では『待機可否が可』の顧客を、本発明を適用する特定の顧客として説明している。
【0073】
図4(C)は配車除外エリアファイルであり、顧客マスターファイルの『待機可否』で『不可』の顧客、つまり、本発明による配車除外エリア内のタクシーに対する配車を除外することを希望する特定の顧客ごとに、その配車除外エリアを決定する要素を記憶している。
【0074】
配車除外エリアファイルは、横方向に左から順に、『顧客名称』、『除外エリア形状』、『除外エリアサイズ』、『更新時間』、『顧客所在位置』の項目になっている。なお、『顧客所在位置』のデータは緯度と経度とで表されている。
【0075】
『除外エリア形状』とは顧客の位置を中心としたエリアの形状であり、この実施例では、円形、正方形、正三角形を用いている。また、『除外エリアサイズ』は除外エリアのサイズを示しており、この実施例では円形の場合は、半径をメートルで、また、それ以外の形状の場合は一辺の長さをメートルで表している。これらの長さは50、75、100メートルとしている。『更新時間』は、次に除外エリアを更新するまでの時間であり、15分、30分、1時間のいずれかで逐次更新される。
【0076】
前述したように、運転手がこの除外エリアを類推することがないように不定期でその形状と、大きさと、更新タイミングを変更している。つまり、『除外エリア形状』と『除外エリアサイズ』と『更新時間』とは、配車除外エリア管理手段14aによって、ランダムに更新されている。
【0077】
図4(D)は地図マスターファイルであり、地図を表示するための地図表示データファイルと、受け付けた配車依頼の情報から顧客の所在位置を特定するための検索テーブルとから構成されている。
【0078】
検索テーブルは、横方向に左から順に、『電話番号』、『住所』、『氏名』、『所在位置』の項目になっている。なお、『所在位置』のデータは緯度と経度とで表されている。
【0079】
配車手段14bは配車端末13が出力した配車依頼データの中の顧客電話番号や顧客住所、顧客氏名など内、少なくとも1つの項目をキーとして、この検索テーブルを検索することで顧客マスターファイルに未登録の新規顧客であっても、その所在位置を特定することができる。
【0080】
次に以上説明した構成を用いて配車に関する処理を説明する。
【0081】
図3に示すようにタクシー会社3では電話機4によって、特定の顧客であるA社からタクシーの配車の依頼を受ける。この依頼は配車端末13を操作する図示しない配車受付オペレータによって受付られる。
【0082】
配車受付オペレータは、配車先がA社であることを確認すると、この顧客名称『A社』と実際に乗車する代表者の氏名や人数などの配車受付情報とをオペレータの操作により、配車端末13内の入力手段13bに入力する。この配車受付情報のデータは配車受付手段13aに入力され、配車受付手段13aはこれらの情報を配車依頼データとしてLANを介して配車サーバ14内の配車手段14bへ送信する。なお、顧客名称の代わりに配車先を特定する情報、例えば受け付けた相手の電話番号や住所、氏名などでもよい。
【0083】
この配車依頼データを受信した配車サーバ14内の配車手段14bは、受信した顧客名称『A社』をキーにして顧客マスターファイル14e内を検索し、A社の所在位置と、A社の待機可否のデータ『可』とを抽出する。従ってA社は特定の顧客であると識別する。
【0084】
次に配車手段14bは、車両管理ファイル14g内の各タクシーの現在位置と動態とを確認し、A社の所在位置に最も近い距離で、かつ、動態が空車のタクシーの車両番号:1号車を抽出する。
【0085】
次に、配車手段14bは、配車依頼が有った顧客が特定の顧客であるため、この車両番号:1号車の現在の所在位置と配車先でるある顧客名称:A社とのデータとを配車除外エリア管理手段14aに通知する。この通知を受け取った配車除外エリア管理手段14aは、配車除外エリアファイルを参照して顧客名称:A社の現在の配車除外エリアを特定し、車両番号:1号車の現在の所在位置がこの現在の配車除外エリア内か、もしくは、エリア外かを判定し、この結果、例えば車両番号:1号車の現在の所在位置が配車除外エリア内であることを配車手段14bに返答する。
【0086】
これを受け取った配車手段14bは、車両番号:1号車を今回の配車から除外して、再度、車両管理ファイル14g内の各タクシーの現在位置と動態とを確認し、A社の所在位置に次に近い距離で、かつ、動態が空車のタクシーの車両番号:2号車を抽出して配車除外エリア内外を確認する。この場合も同様に配車除外エリア内である場合は、さらに、これらの車両、つまり、1号車と2号車とを今回の配車から除外して、再度、車両管理ファイル14g内の各タクシーの現在位置と動態とを確認し、A社の所在位置に次に近い距離で、かつ、動態が空車のタクシーの車両番号:3号車を抽出して配車除外エリア内外を確認する。
【0087】
この結果、例えば車両番号:3号車の現在の所在位置が配車除外エリア外である場合、配車手段14bは、配車するタクシーの候補として車両番号:3号車を決定し、配車受付手段13aから入力した配車依頼データを無線サーバ12を介して車両番号:3号車と対応する車両端末1へ無線送信する。
【0088】
これを受信した車両端末1の移動局制御装置1hは、この配車依頼データを表示装置1dへ表示させ、乗務員に対して配車受け入れの判断を促す。これに対応して、乗務員がタクシーメータ1eを『空車』から『迎車』に切り換えて配車先に向かう。『迎車』に切り換えられた情報は情報は無線サーバ12を介して配車手段14bに通知され、配車手段14bは車両番号:3号車の配車が決定されたと判断し、この車両番号:3号車をA社の配車に割り当てたことを配車受付手段13aに通知する。配車受付手段13aはこれを記憶し、以降、車両番号:3号車の現在位置を図示しない表示画面上で確認し、顧客からの問い合わせ応対や、マイク11cやスピーカ11dを介しての音声通話で車両番号:3号車をA社まで道案内する。
【0089】
なお、以上説明した実施例は自動で配車の車両を決定しているが、これに限るものでなく、配車手段14bが配車するタクシーの候補として車両番号:3号車を決定した段階で、この情報を一旦、配車受付手段13aへ送信し、この情報を確認したオペレータがマイク11cやスピーカ11dを介しての音声通話で車両番号:3号車と通話し、配車を受け入れる確認を行ってもよい。この場合、配車受付手段13aから、車両番号:3号車の配車受け入れ確認を配車手段14bに通知することになる。
【0090】
図5は配車除外エリアを示すA社を中心とする付近の地図である。この配車除外エリアは円形をしており、半径が50メートルの配車除外エリアAと、半径が100メートルの配車除外エリアBとを示している。前述した配車の手順は、現在の配車除外エリアが配車除外エリアAの場合を説明している。従って、配車除外エリアA内の空車タクシーである1号車と2号車はA社への配車を除外され、配車除外エリアA外で次にA社に近い空車タクシーである3号車が配車されることになる。
【0091】
ただし、配車除外エリア管理手段14aによって、現在の配車除外エリアが配車除外エリアBとなっていた場合は、この内部に位置する3号車と4号車も配車の除外対象となり、配車除外エリアB外で次にA社に近い空車タクシーである5号車が配車されることになる。
【0092】
次に、この配車除外エリア内に長時間滞在するタクシーに対するペナルティ処理について説明する。このペナルティ処理は自動で行うものであり、配車除外エリア外であっても、配車除外エリア内に長時間滞在するタクシーに対しては、配車の指令回数を削減するようにしたものである。
【0093】
データファイル更新手段14cで説明したように、各車両ごとに配車除外エリア内に滞在する時間を待機時間累計として記憶している。そして、配車手段14bが配車するタクシーの候補となるタクシーを選択した段階で、候補となったタクシーの待機時間累計を確認し、この待機時間累計が所定時間、例えば1時間以上の場合は、この配車候補から除外するペナルティを課すようにしている。同時に、待機時間累計から1時間を減算している。
【0094】
つまり、配車除外エリア内に長時間滞在するタクシーに対しては、その滞在時間1時間に対して1回の配車指令を見送ることで、配車除外エリア内の長時間滞在のメリットを低減させ、迷惑な停車を削減させるようにしている。
【0095】
以上説明したように、顧客周辺の配車除外エリア内に駐車するタクシーは配車対象から除外され、また、配車除外エリアが不定形状に更新されるため、運転者がそのエリアを把握できず、結果的に顧客周辺に駐車するメリットがなくなる。このため、顧客周辺に駐車するタクシーの数を低減させることができる。
【0096】
また、配車除外エリア内に存在する車両の待機時間累計が所定時間以上の車両に対して、配車のチャンスを与えないペナルティを課すことで顧客周辺に駐車するメリットがなくなる。このため、顧客周辺に駐車するタクシーの数を低減させることができる。
【0097】
また、顧客への配車車両としての割り当てを中止して配車のチャンスを与えないペナルティを課したた時、待機時間累計を減じるので、待機時間累計の多さに対応して配車のチャンスを与えないようにすることができる。
【0098】
次に図6と図7のフローチャートを用いて配車手段14bと配車除外エリア管理手段14aの処理を説明する。なお、図6と図7においてSTはステップを表し、これに続く番号はステップ番号を示す。また、YはYesを、NはNoを表している。
【0099】
図6は配車手段14bの動作を説明しており、配車サーバ14が動作を開始すると配車手段14bは、まず、配車端末13で受け付けた配車に関する配車依頼データを受信したか確認する(ST1)。配車依頼データを受信していない場合(ST1−N)、ST1へジャンプしてこれを待つ。
【0100】
配車依頼データを受信した場合(ST1−Y)、次に配車依頼データの顧客に最も近い空車のタクシーを車両管理ファイル14g内を検索して抽出する(ST2)。次に顧客マスターファイル14e内で、配車依頼データの顧客と対応する『待機可否』の項を読み出して、配車除外エリア内の特定の顧客か確認する(ST3)。配車除外エリア内の特定の顧客の場合(ST3−Y)、ST2で抽出したタクシーの現在位置が配車除外エリア内かの問い合わせを配車除外エリア管理手段14aに行う(ST4)。
【0101】
配車除外エリア管理手段14aからの回答が配車除外エリア内である時(ST5−Y)、配車依頼データの顧客に次に近い空車のタクシーを車両管理ファイル14g内を検索して抽出する(ST6)。そして、この抽出したタクシーの現在位置が配車除外エリア内かの問い合わせを配車除外エリア管理手段14aに行う(ST7)。
【0102】
配車除外エリア管理手段14aからの回答が配車除外エリア内である時(ST8−Y)、ST6へジャンプする。配車除外エリア管理手段14aからの回答が配車除外エリア外である時(ST8−N)、ST6で抽出した該当タクシーに対して、配車依頼データを無線サーバ12を介して送信する(ST9)。
【0103】
該当タクシーからの配車の承諾が得られない場合(ST10−N)、ST6へジャンプする。一方、該当タクシーからの配車の承諾が得られた場合、つまり、配車依頼データに対応して該当タクシーの動態が『空車』から『迎車』になったら(ST10−Y)、配車受付手段13aへ配車が決定した車両番号を通知する(ST11)。そして、ST1へジャンプする。
【0104】
ST3で配車除外エリア内の顧客のでない場合(ST3−N)と、ST2で抽出したタクシーが配車除外エリア外に位置する場合(ST5−N)とは、次に、抽出したタクシーの待機時間累計を車両管理ファイル14gを検索して読み出し、待機時間累計が1時間以上か確認する(ST12)。待機時間累計が1時間以下の場合(ST12−N)、ST9へジャンプする。
【0105】
待機時間累計が1時間以上の場合(ST12−Y)、車両管理ファイル14gの待機時間累計から1時間を減算して記憶する(ST13)。そして、配車依頼データの顧客に次に近い空車のタクシーを車両管理ファイル14g内を検索して抽出する(ST14)。そして、ST12へジャンプする。
【0106】
次に図7を用いて配車除外エリア管理手段14aの処理について説明する。
【0107】
配車除外エリア管理手段は動作を開始すると、配車手段14bやデータファイル更新手段14cから配車除外エリア判定の依頼があるか確認する(ST21)。配車除外エリア判定の依頼がある場合(ST21−Y)、問い合わせ元は配車手段か確認する(ST22)。
【0108】
問い合わせ元が配車手段である場合(ST22−Y)、指定された特定の顧客と対応する配車除外エリアファイル14dを読み出す(ST23)。そして、受け取ったタクシーの現在位置が指定された顧客と対応する配車除外エリアの内側か外側かを判定する(ST24)。次に、配車手段へこの判定結果を通知する(ST25)。そして、ST21へジャンプする。
【0109】
ST21で配車手段やデータファイル更新手段から配車除外エリア判定の依頼がない場合(ST21−N)、配車除外エリアファイルに記憶された『更新時間』が経過したか確認する(ST29)。『更新時間』が経過していない場合(ST29−N)、ST21へジャンプする。『更新時間』が経過している場合(ST29−Y)、配車除外エリアファイルに記憶された『除外エリア形状』、『除外エリアサイズ』、『更新時間』の内容をそれぞれランダムに選択し、この選択内容で配車除外エリアファイルを更新する(ST30)。そして、ST21へジャンプする。
【0110】
一方、ST22で問い合わせ元が配車手段でなく、データファイル更新手段である場合(ST22−N)、全ての特定の顧客と対応する配車除外エリアファイルを読み出す(ST26)。そして、受け取ったタクシーの現在位置が全ての特定の顧客と対応する配車除外エリアの内側か外側かを判定する(ST27)。次に、データファイル更新手段へこの判定結果を通知する(ST25)。そして、ST21へジャンプする。
【0111】
以上説明したように、特定の顧客周辺の配車除外エリア内に駐車するタクシーは配車対象から除外され、また、配車除外エリアが不定形状に更新されるため、運転者がそのエリアを把握できず、結果的に特定の顧客周辺に駐車するメリットがなくなる。このため、特定の顧客周辺に駐車するタクシーの数を低減させることができる。
【0112】
この実施例では車両管理ファイルに記憶している待機時間累計を元に、配車のチャンス回数を自動的に低減させる構成を記載しているが、これに限るものでななく、待機時間累計を配車端末を介して配車オペレータに通知するようにしてもよい。この場合、ペナルティは人為的に行うことになるが、配車のチャンス回数を自動的に低減させる部分のプログラム開発が不要であり、また、ペナルティ実施を柔軟に行うことができる。
【0113】
なお、この実施例では、無線サーバ12と配車端末13と配車サーバ14とに処理を分散させているが、これら各機能をさらに分割し、他のコンピュータで分散処理したり、全ての機能を1台のコンピュータで統合して処理してもよい。また、配車管理装置内の処理の一部を車両端末で実施するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明によるタクシー配車システムの実施例を示す説明図である。
【図2】本発明によるタクシー配車システムに使用される車両端末のブロック図である。
【図3】本発明によるタクシー配車システムに使用される配車管理装置のブロック図である。
【図4】本発明によるタクシー配車システムに使用される各種ファイルの内容を説明する説明図である。
【図5】本発明によるタクシー配車方法を用いた場合の配車方法を説明する地図である。
【図6】本発明によるタクシー配車方法における配車手段の動作を説明するフローチャートである。
【図7】本発明によるタクシー配車方法における配車除外エリア管理手段の動作を説明するフローチャートである。
【図8】従来のタクシー配車システムを示す説明図である。
【図9】従来のタクシー配車システムにおける配車管理サーバを示すブロック図である。
【図10】従来のタクシー配車システムにおける車載端末を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0115】
1 車両端末
1a アンテナ
1b 移動局無線機
1c GPS装置
1d 表示装置
1e タクシーメータ
1f スピーカ
1g マイク
1h 移動局制御装置
2a、2b、2c タクシー
3 タクシー会社
4 電話機
5 電話回線網
6 電話機
10 配車管理装置
11 基地局無線装置
11a 基地局無線機
11b アンテナ
11c マイク
11d スピーカ
12 無線サーバ
12a 車両管理手段
13 配車端末
13a 配車受付手段
13b 入力手段
14 配車サーバ
14a 配車除外エリア管理手段
14b 配車手段
14c データファイル更新手段
14d 配車除外エリアファイル
14e 顧客マスターファイル
14f 地図マスターファイル
14g 車両管理ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タクシーの車両に搭載され、同搭載された車両の現在の車両位置と現在の動態とからなる車両情報を随時無線で送信する車両端末と、同車両端末から受信した前記車両情報に基づいて、依頼された顧客へ配車する車両を選択して配車指令を行う配車管理装置とを備え、
前記配車管理装置は、最新の前記車両情報を記憶する車両管理手段と、配車受付オペレータが受け付けた特定の前記顧客を識別する配車受付情報が入力され、同配車受付情報をデータ化する入力手段と、前記配車受付情報のデータを配車依頼データとして変換する配車受付手段と、特定の前記顧客の周辺エリアに存在する車両への配車が禁止された配車除外エリアを更新すると共に、同配車除外エリアを記憶し、指定された車両位置が前記配車除外エリア外か否かを判定する配車除外エリア管理手段と、前記車両情報内の車両位置における前記配車除外エリア外か否かの前記配車除外エリア管理手段での判定結果が前記配車除外エリア外の場合で、かつ、特定の前記顧客に近い空車の車両を特定の前記顧客への配車車両として割り当てる配車手段とを備えたことを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項2】
前記車両管理手段は、最新の前記車両情報の各前記車両位置と各前記動態とを確認し、同確認した前記車両位置が前記配車除外エリア外か否かを前記配車除外エリア管理手段で判定し、その判定結果が前記配車除外エリア内に存在し、かつ、前記動態が空車の車両に対して、同車両が前記配車除外エリア内に存在する待機時間累計を記憶し、同待機時間累計を前記配車受付オペレータへ提示することを特徴とする請求項1記載のタクシー配車システム。
【請求項3】
前記車両管理手段は、最新の前記車両情報の各前記車両位置と各前記動態とを確認し、同確認した前記車両位置が前記配車除外エリア外か否かを前記配車除外エリア管理手段で判定し、その判定結果が前記配車除外エリア内に存在し、かつ、前記動態が空車の車両に対して、同車両が前記配車除外エリア内に存在する待機時間累計を記憶し、
前記配車手段は、前記配車依頼データ内の顧客が前記配車除外エリア外に位置する場合で、かつ、入力された前記待機時間累計が所定の時間以上となる待機超過車両を前記顧客への配車割り当て対象から除外し、前記待機超過車両以外で前記顧客に近い空車の別車両を前記顧客へ割り当てることを特徴とする請求項1記載のタクシー配車システム。
【請求項4】
前記配車手段は、前記待機超過車両を前記顧客への配車割り当てから除外した時、前記待機超過車両と対応する前記待機時間累計を減じることを特徴とする請求項3記載のタクシー配車システム。
【請求項5】
タクシーの車両に搭載され、同搭載された車両の現在の車両位置と現在の動態とからなる車両情報を随時無線で送信する車両端末と、同車両端末から受信した前記車両情報に基づいて、依頼された顧客へ配車する車両を選択して配車指令を行う配車管理装置とを備えたタクシー配車システムで用いられるタクシー配車方法において、
前記配車管理装置は、最新の前記車両情報を記憶するステップと、配車受付オペレータが受け付けた特定の前記顧客を識別する配車受付情報をデータ化するステップと、前記配車受付情報のデータを配車依頼データに変換するステップと、特定の前記顧客の周辺エリアに存在する車両への配車が禁止された配車除外エリアを更新するステップと、同配車除外エリアを記憶し、指定された車両位置が前記配車除外エリア外か否かを判定するステップと、前記車両情報内の車両位置が前記配車除外エリア外に存在し、かつ、特定の前記顧客に近い空車の車両を特定の前記顧客への配車車両として割り当てるステップとを実行することを特徴とするタクシー配車方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−223733(P2009−223733A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68899(P2008−68899)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】