説明

タッチセンサ

【課題】 スタイラスの軸方向に対して有害な曲げ振動の発生を防止することで、微細な表面形状の測定を可能にするタッチセンサを提供する。
【解決手段】 スタイラス1は、その軸方向に略対称の構造である。スタイラス1とスタイラスホルダ5とを連結する支持部材6〜9のスタイラス側の支持部10〜13は、スタイラスの重心3に対してスタイラスの軸方向に対称となる複数個所で、更に、その各個所においてスタイラスの軸4に対称な複数個所である。スタイラスの軸方向同一個所における各組の支持部材の重心が略前記軸上にある。加振手段31および検出手段32の少なくとも一方は、重心3から等距離となる少なくともスタイラス上の2個所に橋渡しされるように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば、微細形状測定機や表面粗さ測定機などによって被測定物の微細な表面形状を測定する場合、あるいは、小穴測定機で穴の内面形状を測定する場合などに用いられるプローブ用のタッチセンサに関する。
【0002】
【背景技術】微細形状測定機や小穴測定機には各種プローブが使用される。たとえば、小穴測定機用の接触式タッチトリガプローブの1つに、特願平10−220474号(本出願人が出願したもの)で開示される超音波式のタッチ信号プローブがある。図7に、そのプローブ用センサの概略を示す。このプローブ用センサ100は、図7に示すように、スタイラスホルダ101と、このスタイラスホルダ101に2個所の支持部102,103で支持されるとともに、先端に被測定物と接触する接触部104を有するスタイラス105と、このスタイラス105の2個所の支持部102,103の中央部を振動の節として、スタイラス105の軸方向の固有振動数に等しい振動数でスタイラス105を加振する加振手段106と、スタイラス105の接触部104が被測定物に接触する際に発生する振動状態の変化から、その接触を検知する検出手段107とを含む構造であって、スタイラス105の2個所の支持部102,103の中央部が、スタイラス105の重心と一致するように、しかも、スタイラス105の軸方向振動の節となるようしたことを特徴としている。なお、図中に示す108はカウンタバランス、109は支持部102,103を形成する支持部材である。
【0003】ここで、スタイラス105は形状的には軸方向に略対称の構造を有し、加振手段106と検出手段107とを支持部102,103の近傍に配置している。加振手段106により、スタイラス105自身は非接触時には共振状態にあり、スタイラス105の先端にある接触部104が被測定物に接触する際の共振状態の変化を検出手段107により検出し、その接触状態を知る。これが、スタイラス105が振動子と呼ばれる所以であり、また、スタイラス105自身が接触状態を検知できる機能を有しているのでセンサとも呼ばれる所以である。加振手段106と検出手段107とは、たとえば、圧電素子で実装される。
【0004】上記のほかに、微細形状測定機や小穴測定機に用いられる接触式タッチトリガプローブとして、特願平10−240351号(本出願人が出願したもの)で開示されるプローブ用センサがある。図8に、そのプローブ用センサの概略を示す。このプローブ用センサ200は、図8に示すように、1枚の金属板をエッチングなどでくり抜き、水熱合成法で加振手段201および検出手段202をスタイラス203の表面に形成(加振手段201の裏側に検出手段202が形成される)した構造である。ここで、201Aは加振手段201を構成する圧電材料膜、201Bは加振手段201を構成する導電材料層、204はスタイラス203の先端にある接触部、205はスタイラスホルダ、206,207はスタイラス203の軸方向と直交する方向に設けられてスタイラス203を支持する支持部、208は取り付け用の孔である。
【0005】これは、図7で開示されるプローブ用センサ100と同様に、スタイラス203がその軸方向に縦振動の共振を起こすように、加振手段201に正弦波の駆動信号が与えられ、スタイラス203の先端にある接触部204が被測定物に接触したときの振動変化を検出手段202で検出することで、被測定物との接触を検知する原理のセンサである。図7で開示されるプローブ用センサ100と比較して、小形化が可能であり、また、大量生産が可能であることで安価なものとなるという特徴がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した2つのプローブ用センサ(第1、第2のプローブ用センサ)100,200の大きな違いの1つは、スタイラスの支持法である。すなわち、図7に示す第1のプローブ用センサ100では、スタイラス105の支持部102,103は、スタイラス105の軸方向に沿った2個所であるが、図8に示す第2のプローブ用センサ200では、スタイラス203の支持部206,207は、スタイラス203の軸に対して直角方向に位置する2個所である。この違いにより、それぞれ長所、短所が生ずる。
【0007】図7で示す第1のプローブ用センサ100は、高感度でありながら、外乱振動に強い特徴を有し、小型化に適した構造である。しかしながら、スタイラス105は片側で支持され、支持部102,103を形成する支持部材109の重心がスタイラス105の軸上にないため、スタイラス105の曲げ剛性は方向によって異なる結果となる。すなわち、スタイラス105の先端において、スタイラス軸に対して直角方向に様々な方向から力を加える場合、その方向により曲げの量が異なることになる。このため、スタイラス105の軸方向に共振振動をさせる場合、軸方向ばかりでなく、曲げ振動が重畳されることになる。
【0008】この状態のスタイラス105を表面形状測定機のプローブ用センサとして用いる場合を図9に示す。同図に示すように、スタイラス105の触針部(先端)は理想的には実線で示すように垂直方向のみの振動であるが、曲げ振動が重畳されると、点線で示すように、斜めの姿勢で被測定物の表面に接することになる。従って、被測定物表面との接触点がスタイラス軸の延長上より外れるため、本来の形状を忠実に表現できない欠点が生ずる。
【0009】図8で示す第2のプローブ用センサ200は、同様に高感度であることに加えて、図7で示すプローブ用センサ100の欠点であった、スタイラス軸に直角方向から接触する場合の方向による感度の差が顕著に現れないという長所がある。しかし、スタイラス203を支持する支持部206,207がスタイラス203の軸方向に関しては1個所しかないため、本来はスタイラスホルダ205の作る面と振動子(スタイラス203)の作る面とは一致する筈であるが、僅かな加工誤差や加工歪みにより両者の面がねじれるという欠点がある。この欠点は、振動子(スタイラス203)の大きさが小さいほど顕著となり、所望の振動を阻害する要因となる。つまり、センサとしての感度を鈍化させる原因となる。
【0010】また、仮に、このような問題が解決された場合でも、この支持法では測定の誤差を発生しかねないという問題が残る。なぜならば、支持部206,207がスタイラス203の軸方向に関して1個所であるため、被測定物の外力によりスタイラス203が支持部206,207を支点として図中の矢印の方向に回転運動を起こし易く、これがために、図9に示すように、走査方向に依存してスタイラス先端に作用する摩擦力により、スタイラス203の先端があるべき位置から位置ずれを起こしてしまうからである。
【0011】更に、上記第1および第2のプローブセンサのほかに、精密形状測定機に用いられる接触式タッチ信号プローブとして、特願平11−096377号(本出願人が出願したもの)で開示される振動式プローブがある。この第3のプローブ用センサは、前述した第1および第2のプローブ用センサに対して、更に、プローブの軸に直交する方向へ振動させる振動手段を付加し、軸方向の振動のみならず、軸に直交する方向への振動が重畳されるという特徴を有する。しかし、この第3のプローブセンサにおいても、同様に有害な曲げ振動が重畳され、接触子の軸直交方向振動が、あるべき振幅範囲から位置ずれをおこし、そのために測定の誤差を発生しかねないという問題が残る。
【0012】本発明の目的は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、スタイラスの軸方向に対して有害な曲げ振動の発生を防止することで、微細な表面形状の測定を実現可能とするタッチセンサを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、本発明のタッチセンサは、スタイラスホルダと、このスタイラスホルダに支持されるスタイラスと、前記スタイラスを共振状態で振動させるための加振手段と、前記スタイラスの先端部が被測定物に接触する際に生ずる前記共振状態の変化から前記接触を検出する検出手段とを含むタッチセンサにおいて、前記スタイラスは、その軸方向に略対称の構造であり、前記スタイラスと前記スタイラスホルダとを連結する支持部材のスタイラス側の支持部は、前記スタイラスの重心に対して前記スタイラスの軸方向に対称となる複数個所で、更に、その各個所において前記スタイラスの軸に対称な複数個所であり、前記スタイラスの軸方向同一個所における各組の支持部材の重心が略前記軸上に有る、ことを特徴とする。
【0014】ここで、上述した本発明のタッチセンサの構成を、図1を参照して説明する。図中、1はスタイラス、2はスタイラス1の先端に設けられる接触部、3はスタイラス重心、4はスタイラス軸、5はスタイラスホルダ、6,7,8,9は支持部材を構成するスタイラス支持部材、10,11,12,13は支持部を構成するスタイラス支持部である。本発明では、支持部は、スタイラス1の重心3に対してスタイラス1の軸方向に対称となる複数個所で、更に、その各個所においてスタイラス1の軸4に対称な複数個所(たとえば、2個所)であり、この構成に従って、図1に示すように、スタイラス1をたとえば4点で支持するようにしたことを特徴としている。
【0015】すなわち、図7に示す第1のプローブ用センサ100の場合、スタイラス105の支持は、スタイラス105の軸方向に沿った2個所であり、図8に示す第2のプローブ用センサ200の場合、スタイラス203の支持は、スタイラス203の軸方向に直交する方向の2個所であるのに対して、本発明では、スタイラス1をたとえば4点で支持するようにしたことを特徴としている。
【0016】本発明では、図1に示すように、スタイラス1をその軸方向に複数個所で支持することにより、スタイラス1の先端に設けられる接触部2の位置決めを確固たるものとし、また、その各個所で、スタイラス1の軸方向と直交する方向に複数個所、たとえば、2個所でスタイラス1を支持することにより、スタイラス軸方向と直交する方向への有害な横ぶれ振動が無視できるほど微小なものとすることを実現している。
【0017】本発明においても、振動形態がスタイラスの重心からスタイラス軸方向に対称な振動モードとなる軸方向振動である場合には、前記支持部材をスタイラス軸に対して軸対称構造とすることで、前記支持部の中心がスタイラスの軸方向振動の節と一致し、かつ、スタイラスの重心と一致するように構成することが好ましい。更に、この効果を確かなものとするために、スタイラスホルダをスタイラス軸に対して軸対称構造とすることが好ましい。
【0018】また、この効果をより確かなものとするために、スタイラスを支持する全ての支持部を軸方向に平均した位置がスタイラスの振動の節に略一致するように設定されていることが好ましい。更に、スタイラスの振動の節が1つ以上ある場合に、少なくとも1組の支持部の軸方向位置をスタイラスの振動の節に略一致させることにより、更に確実なスタイラスの支持が可能になる。このようなスタイラスの支持構造によれば、スタイラスの振動が軸方向の振動のほか、スタイラスの軸に直交する方向の振動である場合にも、スタイラスの支持を確実に行うことができる。また、前記加振手段および前記検出手段の少なくとも一方は、前記重心から等距離となる少なくとも前記スタイラス上の2個所に橋渡しされるように設ける構造とすることによって、スタイラスをコンパクトにまとめることができる。
【0019】また、前記加振手段および前記検出手段を一体の素子に形成し、この素子を、前記重心を境に前記スタイラスの軸方向に前記加振手段、前記検出手段となるようにして、前記スタイラスの軸に沿った平面の表裏もしくは前記平面と直交する2個所に配置することが好ましい。このようにすると、スタイラスの重心に振動の節を形成することができるとともに、加振手段および検出手段のスタイラスへの取り付けも容易で、かつ、全体として小型化できる。
【0020】また、スタイラスの振動を妨げないようにするために、前記支持部材のスタイラス軸方向の曲げ剛性がスタイラスの軸方向の剛性よりも低いように構成することが好ましい。また、タッチセンサを構成する、前記スタイラス、前記スタイラスホルダおよび前記支持部材は、一体的に生成もしくは加工されていることが好ましい。このようにすれば、スタイラスホルダに対する取付強度が強固なものとなることから、多少の外力が加わっても変形の心配がなく、安定した測定が可能になるうえ、ワイヤーカットや精密ロストワックスや電着メッキ等の手段により一体化した製作が可能となることから、安価で安定した特性のものを提供できる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図2に、本実施形態にかかるタッチセンサを示す。同図に示すように、スタイラスホルダ5は取付部50と固定部51とを持つ。取付部50には、スタイラス1との連結を実現するための4つのスタイラス支持部材6,7,8,9が設けられ、一方、固定部51には、図示しない測定器本体等に固定するためのねじ穴等(図示せず)が設けられている。
【0022】スタイラス1の一端には、被測定物と接触する接触部2が設けられ、スタイラス1の他端には、カウンタバランス20が必要に応じて設けられている。このスタイラス1は、概ね同一断面形状からなる柱状体であり、その重心位置3は、略スタイラス1の軸方向の中心であり、かつ、スタイラス軸4上にある。つまり、スタイラス1は、軸方向に略対称な構造である。
【0023】ちなみに、スタイラス1を小穴測定機のプローブ用センサとして用いる場合には、接触部2は球形あるいは円盤状の形状となり、表面粗さ計のプローブ用センサとして用いる場合には、図2に示すように、接触部2はその先端が尖った触針形状となる。また、カウンタバランス20は接触部2と同一形状でもよいが、重量が同一の角形などの別形状でもよいし、その重量がスタイラス重量に比較して無視できる場合には省略することも可能である。
【0024】スタイラス1には、4個所のスタイラス支持部10,11,12,13が形成され、この部分でスタイラス支持部材6,7,8,9と連結することで、スタイラスホルダ5と連結する。スタイラス支持部10,11のスタイラス重心3からの距離は、スタイラス支持部12,13のスタイラス重心3からの距離と一致している。つまり、スタイラス支持部10,11とスタイラス支持部12,13とは、スタイラス1の重心3に対してスタイラス1の軸方向に対称となる位置、具体的には、スタイラス1の重心3からスタイラス1の軸方向に等距離となる個所に設けられている。そして、スタイラス支持部10とスタイラス支持部11とは、スタイラス軸4に対して軸対称の位置に設けられ、また、スタイラス支持部12とスタイラス支持部13とは、スタイラス軸4に対して軸対称の位置に設けられる。
【0025】すなわち、4個所のスタイラス支持部10,11,12,13は、スタイラス1の重心(中心)3に対して対称の位置に設けられ、かつ、スタイラス軸4に対して軸対称の位置に設けられているこれらのスタイラス支持部10,11,12,13には、スタイラスホルダ5の取付部50から突出するスタイラス支持部材6,7,8,9が連結されており、スタイラス支持部材6とスタイラス支持部材7との組の重心がスタイラス軸4上にあるとともに、スタイラス支持部材8とスタイラス支持部材9との組の重心がスタイラス軸4上にあるように、これらのスタイラス支持部材6,7,8,9はスタイラス軸対称に設けられている。
【0026】更に、スタイラス支持部材6,7,8,9のスタイラス軸方向の曲げ剛性がスタイラス1の軸方向の剛性よりも低くなるように、スタイラス支持部材6,7,8,9の腕が細くなるように形成されている。これは、スタイラス支持部材6,7,8,9の曲げの剛性がスタイラス1の軸方向の振動を妨げないようにするためである。
【0027】一方、加振手段31および検出手段32は一体の圧電素子30に形成され、そして、スタイラス1の重心3を境にして、スタイラス1の軸方向に、たとえば加振手段31がカウンタバランス20の側に配置され、たとえば検出手段32が接触部2の側に配置されるという形で並んで配列されるように形成される。このようにして形成される圧電素子30は、スタイラス1の重心3から等距離に設けられる2個所の支持部14,15に、それらの中間にある窪み部分16を跨ぐような形で、接着や半田付けなどの手段により固着される。
【0028】同様にして、スタイラス1の裏面にも、スタイラス軸4が対称軸となるように同一形状の圧電素子30が固着される。スタイラス1の中央部分が若干薄く削られることより形成される窪み部分16が設けられることで、圧電素子30との固定部分がその両端になるようにと工夫されているが、これは圧電素子30を橋渡しするための一手段に過ぎず、他の手段を用いることも可能である。たとえば、圧電素子30の両端にのみ接着剤を塗布し、スタイラス1に圧電素子30を押し付けて接着を行うようにすれば、スタイラス1の中央部分を薄く削らなくても固定部分が両端のみとなることで、この橋渡しを実現できる。
【0029】圧電素子30の表面の電極は駆動電極と検出電極とに2分割されているが、接着面となる裏面は共通電極として1つの電極構造となっている。そして、駆動電極に駆動電圧を印加するためのリード線を設け、また、検出電極に検出信号を取り出すためのリード線を設けることで、それぞれ加振手段31、検出手段32が構成される。
【0030】この実施形態においては、加振手段31によりスタイラス1は軸方向に振動させられ、その振動の節はスタイラス1の重心3の位置に略一致する。また、4個所のスタイラス支持部10,11,12,13のそれぞれの位置を軸方向に平均した位置はスタイラス1の重心3、すなわち、振動の節に略一致することになる。
【0031】このように構成されるタッチセンサでは、スタイラス1をその軸方向に複数箇所(2個所)で支持することにより、スタイラス1の先端に設けられる接触部2の位置決めを確固たるものとし、また、その各個所で、スタイラス1の軸方向と直交する方向に、たとえば、2個所でスタイラス1を支持することにより、スタイラス軸方向と直交する方向への横ぶれ振動が無視できるほど微小なものとすることができる。
【0032】その結果、本実施形態のタッチセンサによれば、スタイラス1の軸方向共振振動が完全に軸方向成分のみとなり、微細な表面形状の測定を実現できるようになる。
【0033】上述した図2のセンサでは、スタイラス1とスタイラスホルダ5とを連結するスタイラス支持部材6〜9のスタイラス1側の支持部10〜13が、スタイラス1の重心3に対してスタイラス1の軸方向に対称となる各個所において、スタイラス1の軸4に対称な2個所であったが、スタイラス1の重心3に対してスタイラス1の軸方向に対称となる各個所において、スタイラス1の軸4に対称な3個所以上であってもよい。
【0034】また、図2においては、スタイラス1の軸方向2個所において左右から、計4個所を支持する例を示したが、スタイラス1の重心3位置を含む軸方向の奇数個所で支持する構造とすることもできる。図3は、その例を示すタッチセンサの側方断面図である。このセンサでは、図2に対して、スタイラス1の重心3(振動の節にあたる)の両側(左右)に支持部17,18が追加されている。振動の節においては、振動変位が少ないため、この支持部17,18の部材には他の支持個所より剛性の高い支持部材を用いることができる。このような支持構造とすることによって、更に支持の安定度を高めることができる。
【0035】また、図2においては、スタイラス1の軸方向に振動を付与する例を示したが、スタイラスの軸に対して、直交する方向の振動を生じるタッピングプローブにも適用できる。図4は、そのタッピングプローブ用センサの側方断面図である。この例においては、スタイラス1の接触部2は加振手段によって曲げ振動を加えられ、その振動の節は、支持部10(11),12(13)に一致する2個所で生じる。このような支持構造とすることによって、軸に直交する方向の振動を生じるタッピングプローブにおいても、剛性を低下させずに、支持の安定度を高めつつ、有害な横ぶれ振動が無視できるほど微小なものとすることができる。
【0036】また、図2のセンサ構造では、スタイラス軸4に対して完全対称な構造となっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば、図5に示すように、測定機本体のアーム40との装着法によっては様々なスタイラスホルダ5の形状が考えられる。
【0037】また、圧電素子30に一体形成される加振手段31および検出手段32の配置についても、図2や図5に示す実施形態に限定されるものではなく、たとえば、図6に示すように、加振手段31と検出手段32とをスタイラス1の軸方向に平行に配置する形で設けるようにしてもよい。
【0038】また、圧電素子30の装着位置についても、図2や図5に示す実施形態のように、スタイラス1の軸に沿った平面の表裏に配置する場合に限らず、たとえば、図6に示すように、前記平面(スタイラス1の軸に沿った平面)と直交する2個所、具体的には、スタイラス1の側面に装着するようにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のタッチセンサによれば、スタイラスの軸方向に対して有害な曲げ振動の発生を防止できるので、微細な表面形状の測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の模式図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるタッチセンサの斜視図である。
【図3】本発明の他の実施形態にかかるタッチセンサの側方断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態にかかるタッチセンサの側方断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態にかかるタッチセンサの斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態にかかるタッチセンサの斜視図である。
【図7】先に出願したプローブ用センサの斜視図である。
【図8】先に出願したプローブ用センサの斜視図である。
【図9】本発明が解決すべき問題点の説明図である。
【符号の説明】
1 スタイラス
2 接触部
3 スタイラス重心
4 スタイラス軸
5 スタイラスホルダ
6〜9 スタイラス支持部材
10〜13 スタイラス支持部
17,18 スタイラス支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 スタイラスホルダと、このスタイラスホルダに支持されるスタイラスと、前記スタイラスを共振状態で振動させるための加振手段と、前記スタイラスの先端部が被測定物に接触する際に生ずる前記共振状態の変化から前記接触を検出する検出手段とを含むタッチセンサにおいて、前記スタイラスは、その軸方向に略対称の構造であり、前記スタイラスと前記スタイラスホルダとを連結する支持部材のスタイラス側の支持部は、前記スタイラスの重心に対して前記スタイラスの軸方向に対称となる複数個所で、更に、その各個所において前記スタイラスの軸に対称な複数個所であり、前記スタイラスの軸方向同一個所における各組の支持部材の重心が略前記軸上に有る、ことを特徴とするタッチセンサ。
【請求項2】 請求項1に記載のタッチセンサにおいて、前記各組の支持部材は、前記スタイラスの軸に対して軸対称構造に配置されていることを特徴とするタッチセンサ。
【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のタッチセンサにおいて、前記スタイラスホルダは、前記スタイラスの軸に対して軸対称構造に形成されていることを特徴とするタッチセンサ。
【請求項4】 請求項1に記載のタッチセンサにおいて、前記全ての支持部の位置を軸方向に平均した位置が前記スタイラスの振動の節に略一致するように設定されていることを特徴とするタッチセンサ。
【請求項5】 請求項1に記載のタッチセンサにおいて、前記少なくとも1組の支持部の位置がスタイラスの振動の節に略一致するように設定されていることを特徴とするタッチセンサ。
【請求項6】 請求項1に記載のタッチセンサにおいて、前記振動の方向が、前記スタイラスの軸に直交する方向の振動であることを特徴とするタッチセンサ。
【請求項7】 請求項1に記載のタッチセンサにおいて、前記加振手段および前記検出手段の少なくとも一方は、前記重心から等距離となる少なくとも前記スタイラス上の2個所に橋渡しされるように設けられていることを特徴とするタッチセンサ。
【請求項8】 請求項7に記載のタッチセンサにおいて、前記加振手段および前記検出手段は一体の素子に形成され、この素子は、前記重心を境に前記スタイラスの軸方向に前記加振手段、前記検出手段となるようにして、前記スタイラスの軸に沿った平面の表裏もしくは前記平面と直交する2個所に配置されていることを特徴とするタッチセンサ。
【請求項9】 請求項1に記載のタッチセンサにおいて、前記支持部材の前記軸方向の曲げ剛性が前記スタイラスの軸方向の剛性よりも低いことを特徴とするタッチセンサ。
【請求項10】 請求項1に記載のタッチセンサにおいて、前記スタイラス、前記スタイラスホルダおよび前記支持部材は、一体的に生成もしくは加工されていることを特徴とするタッチセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2001−91236(P2001−91236A)
【公開日】平成13年4月6日(2001.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−272452
【出願日】平成11年9月27日(1999.9.27)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】