タッチパネル
【課題】タッチ側基板の撓み変形量を小さくし、前記タッチ側基板のタッチにより撓み変形した部分における透過光の屈折を小さくすることができる抵抗膜型タッチパネルを提供する。
【解決手段】タッチ側とその反対側の一対の基板11,12の内面それぞれに設けられた第1と第2の抵抗膜13,14と、前記第1の抵抗膜13の複数の位置に予め定めた高さに突出させて設けられ、タッチ側基板11のタッチによる撓み変形により第2の抵抗膜14に接触して第1と第2の抵抗膜13,14とを導通させる複数の突起状接点15と、一対の基板11,12間に複数の突起状接点15の位置を避けて配置され、基板間の間隙を、複数の突起状接点15の高さよりも高く規定する複数の絶縁性スペーサ17と、一対の基板11,12間の間隙に封入された絶縁性液体28とを備える。
【解決手段】タッチ側とその反対側の一対の基板11,12の内面それぞれに設けられた第1と第2の抵抗膜13,14と、前記第1の抵抗膜13の複数の位置に予め定めた高さに突出させて設けられ、タッチ側基板11のタッチによる撓み変形により第2の抵抗膜14に接触して第1と第2の抵抗膜13,14とを導通させる複数の突起状接点15と、一対の基板11,12間に複数の突起状接点15の位置を避けて配置され、基板間の間隙を、複数の突起状接点15の高さよりも高く規定する複数の絶縁性スペーサ17と、一対の基板11,12間の間隙に封入された絶縁性液体28とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、抵抗膜型のタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗膜型のタッチパネルは、間隙を設けて対向配置されたタッチ側とその反対側の一対の基板の対向する内面それぞれに第1と第2の抵抗膜を設けたものであり、タッチ側基板がその外面側からのタッチにより撓み変形し、このタッチ側基板の内面の抵抗膜が局部的に前記反対側基板の内面の抵抗膜に接触して、前記第1の抵抗膜と前記第2の抵抗膜とがタッチ点に対応した部分において局部的に導通する。
【0003】
この抵抗膜型のタッチパネルにおいては、タッチ入力が行われないときにタッチ側基板の内面の抵抗膜がみだりに反対側基板の内面の抵抗膜に接触することが無いように、一対の基板間の間隙を複数のスペーサにより規定するか、或いは一対の基板間の間隙に絶縁性液体を封入している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭61−45519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の抵抗膜型タッチパネルは、タッチ側基板のタッチされた部分が一対の基板間の間隙に対応する深さに撓み変形したときに、前記タッチ側基板の内面の抵抗膜が反対側基板の内面の抵抗膜に接触して第1の抵抗膜と第2の抵抗膜とが導通するため、前記タッチ側基板の撓み変形量が大きい。
【0005】
そのため、液晶表示パネル等の表示パネルの観察側に上記従来の抵抗膜型タッチパネルを配置したタッチパネル付き表示装置は、表示パネルからの出射光が、前記タッチ側基板の撓み変形した部分において大きく屈折し、その部分の表示が歪んで見える。
【0006】
この発明は、タッチ側基板をタッチした際の押圧力による基板の変形を小さくして、その変形した部分を透過する光の屈折を小さくした抵抗膜型のタッチパネルを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の請求項1に記載のタッチパネルは、
互いに対向させて配置されたタッチ側とその反対側の一対の基板と、
前記一対の基板の対向する内面それぞれに設けられた第1と第2の抵抗膜と、
前記第1と第2の抵抗膜のうちの一方の抵抗膜の複数の位置にそれぞれ前記一方の抵抗膜の膜面よりも予め定めた高さに突出させて設けられ、前記タッチ側基板の外面側からのタッチの押圧力による撓み変形により他方の抵抗膜に接触して前記第1の抵抗膜と前記第2の抵抗膜とを前記タッチした部分で導通させる複数の突起状接点と、
前記一対の基板間に配置され、前記一対の基板間の間隙を、前記複数の突起状接点の高さよりも大きい値に規定する複数の絶縁性スペーサと、
前記一対の基板間の間隙をこれらの基板の周縁部の全周にわたってシールする枠状のシール材と、
前記一対の基板間の前記シール材により囲まれた間隙に封入された絶縁性液体と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載のタッチパネルにおいて、前記一対の基板のうちの一方の基板の内面の複数の位置に、前記突起状接点の高さに対応した複数の突起が設けられ、前記一方の基板の内面の抵抗膜は、前記複数の突起を覆って形成され、この抵抗膜の前記複数の突起を覆う部分により前記突起状接点が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1に記載のタッチパネルにおいて、前記複数のスペーサは、前記一対の基板のうちの一方の基板の内面上に設けられ、他方の基板の内面に当接する柱状スペーサであることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載のタッチパネルにおいて、前記複数の柱状スペーサは、前記一対の基板のうちの前記複数の突起状接点が設けられた基板の内面に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記請求項3に記載のタッチパネルにおいて、前記複数の柱状スペーサは、前記一対の基板のうちの前記複数の突起状接点が設けられていない基板の内面に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記請求項1に記載のタッチパネルにおいて、前記複数のスペーサは、前記一対の基板間に挟持された球状スペーサであることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記請求項1に記載のタッチパネルにおいて、前記絶縁性液体は、前記一対の基板及び前記第1と第2の抵抗膜との光の屈折率の差が0.1以下の液体であることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、前記請求項7に記載のタッチパネルにおいて、前記絶縁性液体は、常温で光学的に等方性な液晶であることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、前記請求項8に記載のタッチパネルにおいて、前記絶縁性液体は、5℃以上の温度においてアイソトロピック相を示す液晶であることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、前記請求項1に記載のタッチパネルにおいて、前記絶縁性液体は、沸点が100℃以上の有機、または無機の絶縁性の液状物質であることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、前記請求項1に記載のタッチパネルにおいて、前記一対の基板のうちの一方の基板の縁部に、前記一方の基板に設けられた抵抗膜の一方の方向の両端と、前記他方の基板に設けられた抵抗膜の前記一方の方向に対して直交する他方の方向の両端とをそれぞれタッチパネル駆動回路に接続するための複数の駆動回路接続端子が設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、前記請求項11に記載のタッチパネルにおいて、前記一対の基板のうちの一方の基板の内面に、他方の基板に設けられた第1の抵抗膜の一方の方向の両端の辺部にそれぞれ対向する複数の第1の電極と、前記第2の抵抗膜の前記他方の方向の両端の辺部にそれぞれ形成された複数の第2の電極と、前記複数の第1の電極及び前記複数の第2の電極を前記複数の駆動回路接続端子にそれぞれ接続する複数の配線とが設けられ、前記第1の抵抗膜の前記一方の方向の両端の辺部と前記複数の第1の電極との間に配置され、第1の抵抗膜の両端の辺部と前記複数の第1の電極とを電気的に接続する導電性部材を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、前記請求項12に記載のタッチパネルにおいて、前記複数の第1の電極は、前記第1の抵抗膜の一方の方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対向させて設けられ、前記複数の第2の電極は、前記第2の抵抗膜の前記他方の方向の両端の辺部にそれぞれその略全長にわたって設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項14に記載の発明は、前記請求項12または13に記載のタッチパネルにおいて、前記第1の抵抗膜は、一方の方向の両端の辺部をそれぞれ前記枠状のシール材によるシール部に対向させて形成され、前記第2の抵抗膜は、前記一方の方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部よりも内方に位置させて形成され、前記第1の抵抗膜の前記一方の方向の両端の辺部と前記複数の第1の電極とがそれぞれ前記シール部に設けられた導電性部材により接続されていることを特徴とする。
【0021】
請求項15に記載の発明は、前記請求項14に記載のタッチパネルにおいて、前記シール部は、前記枠状のシール材と、その中に分散され、前記一対の基板間の間隙に対応する直径を有する複数の導電性粒子とからなり、前記第1の抵抗膜の両端の辺部と前記複数の第1の電極は、これらの間に挟持された複数の前記導電性粒子により接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明のタッチパネルによれば、前記タッチ側とその反対側の一対の基板の対向する内面それぞれに設けられた第1の抵抗膜と第2の抵抗膜とを局部的に導通させるのに必要なタッチ側基板の撓み変形量を前記一対の基板間の間隙よりも充分に小さくし、前記タッチ側基板のタッチにより撓み変形した部分における透過光の屈折を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1の実施形態)
図1〜図8はこの発明の第1の実施例を示しており、図1はタッチパネル付き表示装置の側面図、図2はタッチパネルの平面図、図3は前記タッチパネルのタッチ側基板の内面側から見た平面図、図4は前記タッチパネルの反対側基板の内面側から見た平面図、図5は前記タッチパネルの断面図、図6は前記タッチパネルの一部分の拡大断面図、図7は前記タッチパネルの一部分のタッチ入力時の拡大断面図、図8はタッチパネル駆動回路を示す図である。
【0024】
まず、図1に示したタッチパネル付き表示装置について説明すると、この表示装置は、画像を表示する表示パネル1と、この表示パネル1の観察側に配置された抵抗膜型のタッチパネル10とにより構成されている。
【0025】
前記表示パネル1は、例えば液晶表示パネルであり、予め定めた間隙を設けて対向配置され、周縁部において枠状のシール材4を介して接合された観察側とその反対側の一対の透明基板2,3と、前記一対の基板2,3の対向する内面それぞれに設けられ、互いに対向する領域により複数の画素を形成する透明電極(図示せず)と、前記一対の基板2,3間の間隙の前記シール材4により囲まれた領域に封入された液晶(図示せず)と、前記一対の基板2,3の外面にそれぞれ配置された偏光板5,6とからなっている。
【0026】
なお、この液晶表示パネルは、TN型、STN型、非ツイストのホモジニアス型、垂直配向型、ベンド配向型、強誘電性または反強誘電性液晶表示パネルのいずれでもよく、また、一対の基板の内面にそれぞれ複数の画素を形成するための電極を設けたものに限らず、一対の基板のいずれか一方の内面に、複数の画素を形成するための第1の電極と、それよりも液晶層側に前記第1の電極と絶縁して形成された複数の細長電極部を有する第2の電極とを設け、これらの電極間に横電界(基板面に沿う方向の電界)を生じさせて液晶分子の配向状態を変化させる横電界制御型のものでもよい。
【0027】
さらに、前記表示パネル1は、液晶表示パネルに限らず、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネル等でもよい。
【0028】
前記タッチパネル10は、前記液晶表示パネル1の観察側に配置され、前記液晶表示パネル1の観察側偏光板5の外面に、透明な粘着材または樹脂からなる接着層7により貼付けられている。
【0029】
このタッチパネル10は、図2〜図7のように、互いに対向させて配置されたタッチ側とその反対側の一対の透明基板11,12と、前記一対の基板11,12の対向する内面それぞれに設けられた第1と第2の透明な抵抗膜13,14と、前記第1と第2の抵抗膜13,14のうちの一方の抵抗膜、例えばタッチ側基板11の内面に設けられた第1の抵抗膜13の複数の位置にそれぞれ前記第1の抵抗膜13の膜面よりも予め定めた高さに突出させて設けられ、前記タッチ側基板11の外面側からのタッチの押圧力による撓み変形により他方の抵抗膜、つまり反対側基板12の内面に設けられた第2の抵抗膜14に接触して前記第1の抵抗膜13と前記第2の抵抗膜14とを前記タッチした部分で導通させる複数の突起状接点15と、前記一対の基板11,12間に前記複数の突起状接点15の位置を除いた位置に配置され、前記一対の基板11,12間の間隙(第1と第2の抵抗膜13,14間の間隙)を、前記複数の突起状接点15の高さよりも大きい値に規定する複数の絶縁性スペーサ17と、前記一対の基板11,12間の間隙をこれらの基板11,12の周縁部の全周にわたってシールする枠状のシール材24と、前記一対の基板11,12間の前記シール材24により囲まれた間隙に封入された絶縁性液体28とを備えている。
【0030】
前記一対の基板11,12のうちのタッチ側基板11は、矩形形状に形成されたガラス板または樹脂フィルムからなっており、反対側基板12は、前記タッチ側基板11と実質的に同じ大きさの矩形形状に形成され、且つその1つの縁部に、前記タッチ側基板11の外方に張出す張出部12aが一体に形成されたガラス板からなっている。
【0031】
なお、図では省略しているが、前記一対の基板11,12の内面にはその全体にわたってSiO2膜が設けられており、前記第1と第2の抵抗膜13,14は、前記SiO2膜上に成膜されたITO膜からなっている。
【0032】
この実施例のタッチパネル10は、前記枠状のシール材24によるシール部よりも内側の矩形状領域を、タッチ入力を行なうためのタッチエリア29としたものであり、前記第1と第2の抵抗膜13,14はそれぞれ、前記タッチエリア29よりも大きく、且つ前記シール部の外形よりも小さい矩形形状に形成されている。
【0033】
そして、前記複数の突起状接点15は、前記タッチ側基板11の内面に設けられた第1の抵抗膜13の前記タッチエリア29に対応する領域に、互いに直交する2つの方向、例えば前記タッチエリア29の左右方向と上下方向とにそれぞれ予め定めたピッチで、且つ前記2つの方向の各接点列中にそれぞれ、予め定めた数の突起状接点15毎に1つの突起状接点15を省略した複数の無接点部を設けた配列パターンで配置されている。
【0034】
前記複数の突起状接点15は、前記タッチ側基板11の内面の複数の位置に、前記突起状接点15の高さに対応した複数の透明な絶縁物からなる突起16を設け、前記第1の抵抗膜13を、前記複数の突起16を覆って形成することにより形成されている。
【0035】
また、前記複数のスペーサ17は、前記一対の基板11,12のうちの一方の基板の内面上に設けられ、他方の基板の内面に当接する柱状スペーサであり、この実施例では、前記複数の柱状スペーサ17を、前記複数の突起状接点15が設けられたタッチ側基板11の内面に設けられた第1の抵抗膜13の上に、前記第1の抵抗膜13のうちの前記突起状接点15が形成されていない複数の無接点部にそれぞれ1つずつ設けている。なお、図3では、突起状接点15と柱状スペーサ17とを区別しやすいように、柱状スペーサ17を黒く塗りつぶしている。
【0036】
前記複数の突起状接点15を形成するための複数の突起16と、前記複数の柱状スペーサ17はそれぞれ、透明な光硬化性樹脂を予め定めた膜厚に塗布し、その樹脂膜を露光及び現像処理することにより形成されたものであり、露光処理された前記樹脂膜を現像処理する際に、前記樹脂膜が膜表面に近い側ほど長時間現像液にされるため、前記突起16及び柱状スペーサ17はいずれも、基部から突出端に向かって径が小さくなった形状に形成される。
【0037】
図5〜図7では、前記複数の突起状接点15及び前記複数の柱状スペーサ17の高さを大きく誇張しているが、このようにして形成された突起16及び柱状スペーサ17は、図面上では高さを誇張して表しているが、これらの周面の傾斜角(タッチ側基板11面に対する角度)は、実際には40°〜50°である。したがって、前記第1の抵抗膜13を前記複数の突起16の全体を覆って成膜し、前記複数の突起状接点15を形成することができる。
【0038】
具体的には、前記複数の突起状接点15は、タッチ側基板11面と平行な断面形状が円形で、基部の直径が15μmまたは30μm、高さが2.0μmの形状に形成され、前記複数の柱状スペーサ17は、前記基板11面と平行な断面形状が円形で、基部の直径が30μm、高さが2.5μm、3.0μm、4.0μmのいずれか形状に形成されている。
【0039】
そして、前記複数の突起状接点15は、前記2つの方向(タッチエリア29の左右方向と上下方向)にそれぞれ、0.05mm、0.1mm、0.2mmのいずれかのピッチP1で配列され、前記突起状接点15を省略した複数の無接点部にそれぞれ設けられた前記複数の柱状スペーサ17は、前記2つの方向にそれぞれ、2mmまたは4mmのピッチP2で配置されている。
【0040】
なお、図3及び図5〜図7では、便宜上、5個の突起状接点15毎に1つのスペーサ17を配置しているが、前記複数の突起状接点15のピッチP1と前記複数のスペーサ17のピッチP2とがP1=0.05mm、P2=2mmの場合は、38個の突起状接点15毎に1つのスペーサ17が配置され、P1=0.2mm、P2=4mmの場合は、18個の突起状接点15毎に1つのスペーサ17が配置される。
【0041】
また、前記反対側基板12の張出部12aには、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜13の一方の方向、例えば前記タッチエリア29の左右方向(以下、X軸方向という)の両端と、前記反対側基板12に設けられた第2の抵抗膜14の前記一方の方向に対して直交する方向、つまり前記タッチエリア29の上下方向(以下、Y軸方向という)の両端とをそれぞれ図8に示したタッチパネル駆動回路31に接続するための複数、例えば4つの駆動回路接続端子20a,20b,21a,21bが設けられている。
【0042】
さらに、前記張出部12aが形成された反対側基板12の内面には、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の縁部にそれぞれ対向する複数の第1の電極18a,18bと、前記反対側基板12に設けられた前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の縁部にそれぞれ形成された複数の第2の電極19a,19bと、前記複数の第1の電極18a,18b及び前記複数の第2の電極19a,19bを前記張出部12aに設けられた4つの駆動回路接続端子20a,20b,21a,21bにそれぞれ接続する複数の配線22a,22b,23a,23bとが設けられている。
【0043】
この実施例において、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜13は、前記X軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記枠状のシール材24によるシール部に対応し、X軸方向に対して直交するY軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部よりも内方に位置する形状に形成され、前記反対側基板12に設けられた第2の抵抗膜13は、前記X軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部よりも内方に位置し、前記Y軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部の近傍または前記シール部に対応する形状に形成されている。
【0044】
また、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部にそれぞれ対向する複数の第1の電極18a,18bは、前記シール部に対応させて設けられており、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の辺部にそれぞれ形成された複数の第2の電極19a,19bは、前記第2の抵抗膜14の上に積層されている。
【0045】
なお、この実施例のタッチパネル10は、前記第1の電極18a,18bを、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端の辺部と他端の辺部とにそれぞれ対向させて1つずつ設け、前記第2の電極19a,19bを、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端の辺部と他端の辺部とにそれぞれ対向させて1つずつ設けたものであり、前記2つの第1の電極18a,18bは、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対向させて連続した帯形状に形成され、前記2つの第2の電極19a,19bは、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の辺部の略全長にわたって連続した帯形状に形成されている。
【0046】
前記2つの第1の電極18a,18bと前記2つの第2の電極19a,19bは、前記シール部に対応する部分に配線された複数(この実施例では4本)の配線22a,22b,23a,23bにより、前記張出部12aに設けられた4つの駆動回路接続端子20a,20b,21a,28bにそれぞれ接続されている。
【0047】
なお、前記第1の電極18a,18b及び第2の電極19a,19bと、前記駆動回路接続端子20a,20b,21a,21bと、前記配線22a,22b,23a,23bは、前記反対側基板12上または前記第2の抵抗膜14上に、モリブデンからなる第1層と、アルミニウム系合金からなる第2層と、モリブデンからなる第3膜とを積層して成膜し、この3層の積層膜をパターニングして形成されている。
【0048】
そして、前記第1の抵抗膜13の前記X軸方向の両端の辺部と前記2つの第1の電極18a,18bとはそれぞれ、前記シール部において導電性部材により接続されている。この実施例では、前記枠状のシール材24に、前記第1の抵抗膜13の前記X軸方向の両端の辺部と前記2つの第1の電極18a,18bとを接続するための導電性部材として、前記複数の柱状スペーサ17により規定される前記一対の基板11,12間の間隙に対応する直径を有する球状の導電性粒子25を分散させている。
【0049】
前記シール材24は、前記一対の基板11,12のいずれか一方の内面上に、前記反対側基板12の張出部12aが形成された側とは反対側の縁部に対応する辺部を部分的に欠落させて液体注入口26を設けた形状に印刷されており、前記一対の基板11,12は、前記タッチ側基板11の内面(第1の抵抗膜13上)に設けられた前記複数の柱状スペーサ17を前記反対側基板12の内面(第2の抵抗膜14上)に当接させることにより、これらの基板11,12間の間隙を前記複数の柱状スペーサ17により規定され、その状態で前記シール材24を硬化させることにより、前記シール材24を介して接合されている。
【0050】
そして、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部と、前記反対側基板12に前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部にそれぞれ対向させて設けられた2つの第1の電極18a,18bは、前記一対の基板11,12を前記シール材24を介して接合することにより、前記シール材24中に分散された球状の導電性粒子25のうちの前記第1の抵抗膜13と前記第1の電極18a,18bとの間に挟持された複数の前記導電性粒子25により電気的に接続されている。
【0051】
また、前記一対の基板11,12間の前記シール材24により囲まれた間隙に封入された絶縁性液体28は、密閉されたチャンバ内において、前記チャンバ内を真空状態にして前記液体注入口26を前記絶縁性液体28の浴に浸し、その状態でチャンバ内を大気圧に戻すことにより、前記チャンバ内と前記一対の基板11,12間の間隙内との圧力差によって前記絶縁性液体28を前記液体注入口26から前記一対の基板11,12間の間隙に注入することにより充填され、前記液体注入口26は、前記絶縁性液体28の充填後に封止樹脂27によって封止される。
【0052】
前記絶縁性液体28は、前記一対の基板11,12及び第1と第2の抵抗膜13,14との光の屈折率の差が0.1以下の透明な液体である。すなわち、前記一対の基板11,12及び第1と第2の抵抗膜13,14の屈折率は約1.5であり、前記絶縁性液体28は、約1.4〜1.5の範囲の屈折率を有している。前記絶縁性液体28は、前記一対の基板11,12及び第1と第2の抵抗膜13,14の屈折率により近い屈折率、つまり約1.5の屈折率を有しているのが好ましい。
【0053】
この実施例では、前記絶縁性液体28として、常温で光学的に等方性な液晶、例えば、5℃以上の温度においてアイソトロピック相を示す液晶(N−I点が5℃未満のネマティック液晶)を前記一対の基板11,12間の間隙に封入している。このような特性の液晶としては、具体的には、2つから3つのシクロヘキサンまたはベンゼン環と、その両端にアルキル基を有し、誘電視異方性を実質的に持たない液晶材料を用いることができる。
【0054】
前記タッチパネル10は、前記タッチ側基板11の外面側から指先30等によってタッチ入力されるものであり、前記タッチ側基板11の外面がタッチされると、図7のように、タッチ側基板11がその外面側からのタッチにより内面方向に撓み変形し、前記タッチ側基板11の内面の第1の抵抗膜13の複数の位置にそれぞれ設けられた複数の突起状接点15のうちの前記タッチ側基板11の撓み変形部の突起状接点15が反対側基板12の内面の第2の抵抗膜14に接触して、前記第1の抵抗膜13と前記第2の抵抗膜14とがタッチ点に対応した部分において、導通する。
【0055】
そのため、タッチパネル駆動回路31により、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間とに一定値の電圧を交互に印加し、前記第1の抵抗膜13に電圧を印加したときの第2の抵抗膜14の一端の電圧値と、前記第2の抵抗膜14に電圧を印加したときの前記第1の抵抗膜13の一端の電圧値とを測定することにより、これらの電圧値に基づいて、タッチ点のX軸方向とY軸方向の座標を検出することができる。
【0056】
前記タッチパネル駆動回路31は、図8に示したように、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間とに一定値の電圧を交互に印加するための電圧印加回路32と、前記第1の抵抗膜13がタッチ側基板11の撓み変形した部分の突起状接点15を介して前記第2の抵抗膜14とが導通したときに、前記電圧印加回路32上の予め定めた点Aと前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端または前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端との間に生じる電圧を測定する電圧測定系40と、この電圧測定系40の測定値に基づいてタッチ点の座標を検出する座標検出手段45とを備えている。
【0057】
前記電圧印加回路32は、定電圧電源33と、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端と前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端とにそれぞれ接続された第1の抵抗膜接続配線34,35を介して、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端と前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端とに前記定電圧電源33の一方の極(図では−極)の電圧を選択的に供給する第1の接続切換スイッチ36と、それぞれ接続された第2の抵抗膜接続配線37,38を介して、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の他端と前記第2の抵抗膜14のY軸方向の他端とに前記定電圧電源33の他方の極(図では+極)の電圧を選択的に供給する第2の接続切換スイッチ39とからなっている。なお、図2に示した定電圧電源33は直流電源であるが、この定電圧電源33は交番する電圧を供給する電源でもよい。
【0058】
また、前記電圧測定系40は、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端と前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端とにそれぞれ接続された第3の抵抗膜接続配線41,42を介して、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端と前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端の電圧を電圧測定手段44に選択する第3の接続切換スイッチ43と、前記定電圧電源33の一方の極(図では−極)と前記第3の接続切換スイッチ43との間に介在された電圧測定手段44とにより構成されている。
【0059】
前記電圧印加回路32は、図示しない制御手段により、予め設定された周期、例えば0.1秒周期で、前記第1と第2の接続切換スイッチ36,39を、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端を前記定電圧電源33に接続する側(図8の状態)と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端を前記定電圧電源33に接続する側とに切換えられ、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間とに前記定電圧電源33の一定値の電圧を交互に印加する。
【0060】
また、座標検出手段45は、前記図示しない制御手段により制御され、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間に前記電圧を印加したときの前記電圧測定手段44の測定値に基づいて前記タッチ点のX軸方向の座標(以下、X座標という)を検出し、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間に前記電圧を印加したときの前記電圧測定手段44の測定値に基づいて前記タッチ点のY軸方向の座標(以下、Y座標という)を検出する。
【0061】
前記電圧測定手段44の測定値に基づく前記タッチ点のX,Y座標の検出は、次のような演算により行なう。
【0062】
前記定電圧電源33の電圧値をV0、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端のX座標値を0、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の他端のX座標値を1、前記タッチ点のX座標をx、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間の抵抗値をrx、前記電圧測定手段44の内部抵抗値をRとすると、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間に前記電圧V0を印加したときの前記電圧測定手段44の測定電圧値V(x)は、rx≪Rであるため、
V(x)=V0(1−x)
で表すことができる。
【0063】
また、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端のY座標値を0、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の他端のY座標値を1、前記タッチ点のY座標をy、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間の抵抗値をryとすると、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間に前記電圧V0を印加したときの前記電圧測定手段44の測定電圧値V(y)は、ry≪Rであるため、
V(y)=V0(1−y)
で表すことができる。
【0064】
したがって、前記タッチ点のX座標xとY座標yは、
x=1−V(x)/V0
y=1−V(y)/V0
により求めることができる。
【0065】
また、上記タッチパネル10は、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対向させて、連続した帯形状に形成された2つの第1の電極18a,18bを設け、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の辺部に、前記辺部の略全長にわたって連続した帯形状に形成された2つの第2の電極19a,19bを設け、これらの第1の電極18a,18b及び第2の電極19a,19bをそれぞれ配線22a,22b,23a,23bにより反対側基板12の張出部12aに設けられた駆動回路接続端子20a,20b,21a,21bに接続しているため、前記タッチパネル駆動回路31によって前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間とに交互に印加される電圧を、前記第1の抵抗膜13及び第2の抵抗膜14の略全域に均等に作用させ、前記タッチ点のX座標xとY座標yを高精度に検出することができる。
【0066】
なお、図1に示したタッチパネル付き表示装置は、表示パネル1に複数のキーパターンを表示させ、前記タッチパネル10の前記複数のキーパターンに対応した部分を選択的にタッチするキーボード的なタッチ入力の他に、例えば、前記表示パネル1に画像を表示させ、前記タッチパネル10の任意の点をタッチすることにより、前記表示パネル1にタッチ点を中心とした拡大画像を表示させたり、前記タッチパネル10上においてタッチ点を任意の方向に移動させることにより、前記表示パネル1の表示画像をスクロールさせたりすることができる。
【0067】
前記タッチパネル10は、前記タッチ側基板11の内面の第1の抵抗膜13の複数の位置にそれぞれ設けられた複数の突起状接点15が、前記抵抗膜13の膜面よりも突出しており、前記タッチ側基板11の外面側からのタッチによる撓み変形により、前記第1の抵抗膜13と反対側基板12の内面の第2の抵抗膜14とが、タッチ点に対応する部分において前記突起状接点15を介して局部的に導通するため、前記第1の抵抗膜13と第2の抵抗膜14とを局部的に導通させるのに必要なタッチ側基板11の撓み変形量を、前記一対の基板11,12間の間隙よりも充分に小さくすることができる。
【0068】
すなわち、上記実施例では上述したように、前記複数の突起状接点15を2.0の高さに形成し、前記複数の柱状スペーサ17を、2.5μm、3.0μm、4.0μmのいずれかの高さに形成しているため、前記複数の突起状接点15の突出端と反対側基板12の内面の第2の抵抗膜14との間のギャップΔd(図6参照)は、0.5μm、1.0μm、2.0μmのいずれかである。
【0069】
そして、前記第1の抵抗膜13と第2の抵抗膜14は、前記タッチ側基板11の外面側からのタッチによる撓み変形により前記突起状接点15が前記第2の抵抗膜14に接触することによって導通されるため、前記第1の抵抗膜13と第2の抵抗膜14とを導通させるのに必要なタッチ側基板11の撓み変形量は、前記突起状接点15の突出端と前記第2の抵抗膜14との間のギャップΔdに対応した、2.0μm、1.0μm、0.5μmのいずれかの極く小さい値である。
【0070】
そのため、前記タッチパネル10によれば、前記タッチ側基板11のタッチにより撓み変形した部分における透過光の屈折を小さくすることができ、したがって、図1に示したタッチパネル付き表示装置は、表示パネル1の表示画像を、前記タッチ側基板11の撓み変形した部分においても歪みをほとんど生じさせること無く観察させることができる。
【0071】
さらに、前記タッチパネル10は、前記一対の基板11,12間の間隙に、絶縁性液体28を封入しているため、このタッチパネル10を透過する光の前記反対側基板12及びタッチ側基板11と前記絶縁性液体28の層とのそれぞれの界面での反射や屈折を小さくすることができ、したがって、表示パネル1の表示画像を充分な明るさで観察させることができる。
【0072】
前記絶縁性液体28は、前記一対の基板11,12及び第1と第2の抵抗膜13,14との屈折率差が0.1以下の液体が好ましく、このような屈折率の液体を封入することにより、前記反対側基板12及びタッチ側基板11と前記絶縁性液体28の層とのそれぞれの界面での反射や屈折を、より効果的に小さくすることができる。
【0073】
さらに、前記絶縁性液体28は、常温で光学的に等方性な液晶、例えば、5℃以上の温度においてアイソトロピック相を示す液晶が望ましく、この液晶を封入することにより、常温での前記反対側基板12及びタッチ側基板11と前記絶縁性液体28の層とのそれぞれの界面での反射や屈折を小さくすることができる。
【0074】
また、上記実施例のタッチパネル10は、タッチ側基板11の内面の複数の位置に、前記突起状接点15の高さに対応した複数の透明な突起16を設け、前記タッチ側基板11の内面の第1の抵抗膜13を前記複数の突起16を覆って形成することにより、この抵抗膜13の前記複数の突起16を覆う部分により複数の突起状接点15を形成しているため、前記第1の抵抗膜13の上に導電性金属により複数の突起状接点を形成する場合のように、これらの突起状接点によって透過光が遮られることは無く、したがって、前記表示パネル1の表示画像を、前記複数の突起状接点15に対応する部分に黒点を生じさせること無く観察させることができる。
【0075】
(第2の実施形態)
図9はこの発明の第2の実施例を示すタッチパネルの一部分の拡大断面図である。
【0076】
この実施例のタッチパネル10は、一対の基板11,12のうちの反対側基板12の内面の第2の抵抗膜14の複数の位置にそれぞれ複数の突起状接点15を設け、さらに、前記反対側基板12の内面(第2の抵抗膜14の上)に複数の柱状スペーサ17を設けたものであり、他の構成は上記第1の実施例と同じである。
【0077】
(第3の実施形態)
図10はこの発明の第3の実施例を示すタッチパネルの一部分の拡大断面図である。
【0078】
この実施例のタッチパネル10は、複数の突起状接点15を、一対の基板11,12の一方、例えばタッチ側基板11の内面の第1の抵抗膜13の複数の位置にそれぞれ設け、複数の柱状スペーサ17を、前記複数の突起状接点15が設けられていない基板、つまり反対側基板12の内面(第2の抵抗膜14の上)に設けたものであり、他の構成は上記第1の実施例と同じである。
【0079】
(第4の実施形態)
図11はこの発明の第4の実施例を示すタッチパネルの一部分の拡大断面図である。
【0080】
この実施例のタッチパネル10は、上記第1〜第3の実施例における複数の柱状スペーサ17に代えて、一対の基板11,12間に、前記突起状接点15の高さよりも大きい直径を有する複数の球状スペーサ17aを複数の突起状接点15の位置を避けて配置し、これらの球状スペーサ17aにより、前記一対の基板11,12間の間隙を、前記複数の突起状接点15の高さよりも大きい値に規定したものであり、他の構成は上記第1の実施例と同じである。
【0081】
(他の実施形態)
なお、上記各実施例のタッチパネル10では、一対の基板11,12間のシール材24により囲まれた間隙に、絶縁性液体28として、常温で光学的に等方性な液晶を封入しているが、前記絶縁性液体28としては、沸点が100℃以上の有機、または無機の絶縁性の液状物質、具体的には、ブタノール、トルエン、キシレン、イソブチルアルコール、イソペプンチルアルコール、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、テトラクロルエチレン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチレングリコールモノエーテル、エチレングリコールモノエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、テレビンオイル等の有機の液状物質、またはシリコンオイル等の無機の液状物質を用いることができる。
【0082】
また、上記実施例では、前記第1の電極18a,18bと第2の電極19a,19bとをそれぞれ連続した帯形状に形成しているが、前記第1の電極18a,18b及び第2の電極19a,19bは、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部の略全長及び前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対応させて、予め定めたピッチで断続的に設けてもよく、その場合も、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間とに交互に印加される電圧を、前記第1の抵抗膜13及び第2の抵抗膜14の略全域に均等に作用させ、タッチ点のX座標xとY座標yを高精度に検出することができる。
【0083】
このように、前記第1の電極18a,18b及び第2の電極19a,19bを、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部の略全長及び前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対応させて断続的に設ける場合は、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端の辺部に対向する複数の第1の電極同士と、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の他端の辺部に対向する複数の第1の電極同士と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端の辺部に対向する複数の第2の電極同士と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の他端の辺部に対向する複数の第2の電極同士をそれぞれ共通接続し、前記反対側基板12の張出部12aに設けられた複数の駆動回路接続端子20a,20b,21a,21bに複数の配線22a,22b,23a,23bを介して接続すればよい。
【0084】
さらに、上記実施例では、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の他端の縁部と、これらの端部に対向させて設けられた前記複数の第1の電極18a,18bとを、前記シール材24中に分散された球状の導電性粒子25により電気的に接続しているが、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の他端の辺部と前記複数の第1の電極18a,18bとは、そのいずれか一方の上に、前記シール材24によるシール部に対応させて柱状の導電性部材を設けることにより、この導電性部材を介して電気的に接続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】この発明の第1の実施例を示すタッチパネル付き表示装置の側面図。
【図2】第1の実施例のタッチパネルの平面図。
【図3】前記タッチパネルのタッチ側基板の内面側から見た平面図。
【図4】前記タッチパネルの反対側基板の内面側から見た平面図。
【図5】前記タッチパネルの断面図。
【図6】は前記タッチパネルの一部分の拡大断面図。
【図7】前記タッチパネルの一部分のタッチ入力時の拡大断面図。
【図8】タッチパネル駆動回路を示す図。
【図9】この発明の第2の実施例を示すタッチパネルの一部分の拡大断面図。
【図10】この発明の第3の実施例を示すタッチパネルの一部分の拡大断面図。
【図11】この発明の第4の実施例を示すタッチパネルの一部分の拡大断面図。
【符号の説明】
【0086】
1…表示パネル、10…タッチパネル、11,12…基板、12a…張出部、13,14…抵抗膜、15…突起状接点、16…突起、17…柱状スペーサ、17a…球状スペーサ、18a,18b…第1の電極、19a,19b…第2の電極、20a,20b,21a,21b…駆動回路接続端子、22a,22b,23a,23b…配線、24…シール材、25…導電性粒子(導電性部材)、23…液体注入口、24…封止樹脂、28…絶縁性液体(液晶)、29…タッチエリア、31…タッチパネル駆動回路。
【技術分野】
【0001】
この発明は、抵抗膜型のタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗膜型のタッチパネルは、間隙を設けて対向配置されたタッチ側とその反対側の一対の基板の対向する内面それぞれに第1と第2の抵抗膜を設けたものであり、タッチ側基板がその外面側からのタッチにより撓み変形し、このタッチ側基板の内面の抵抗膜が局部的に前記反対側基板の内面の抵抗膜に接触して、前記第1の抵抗膜と前記第2の抵抗膜とがタッチ点に対応した部分において局部的に導通する。
【0003】
この抵抗膜型のタッチパネルにおいては、タッチ入力が行われないときにタッチ側基板の内面の抵抗膜がみだりに反対側基板の内面の抵抗膜に接触することが無いように、一対の基板間の間隙を複数のスペーサにより規定するか、或いは一対の基板間の間隙に絶縁性液体を封入している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭61−45519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の抵抗膜型タッチパネルは、タッチ側基板のタッチされた部分が一対の基板間の間隙に対応する深さに撓み変形したときに、前記タッチ側基板の内面の抵抗膜が反対側基板の内面の抵抗膜に接触して第1の抵抗膜と第2の抵抗膜とが導通するため、前記タッチ側基板の撓み変形量が大きい。
【0005】
そのため、液晶表示パネル等の表示パネルの観察側に上記従来の抵抗膜型タッチパネルを配置したタッチパネル付き表示装置は、表示パネルからの出射光が、前記タッチ側基板の撓み変形した部分において大きく屈折し、その部分の表示が歪んで見える。
【0006】
この発明は、タッチ側基板をタッチした際の押圧力による基板の変形を小さくして、その変形した部分を透過する光の屈折を小さくした抵抗膜型のタッチパネルを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の請求項1に記載のタッチパネルは、
互いに対向させて配置されたタッチ側とその反対側の一対の基板と、
前記一対の基板の対向する内面それぞれに設けられた第1と第2の抵抗膜と、
前記第1と第2の抵抗膜のうちの一方の抵抗膜の複数の位置にそれぞれ前記一方の抵抗膜の膜面よりも予め定めた高さに突出させて設けられ、前記タッチ側基板の外面側からのタッチの押圧力による撓み変形により他方の抵抗膜に接触して前記第1の抵抗膜と前記第2の抵抗膜とを前記タッチした部分で導通させる複数の突起状接点と、
前記一対の基板間に配置され、前記一対の基板間の間隙を、前記複数の突起状接点の高さよりも大きい値に規定する複数の絶縁性スペーサと、
前記一対の基板間の間隙をこれらの基板の周縁部の全周にわたってシールする枠状のシール材と、
前記一対の基板間の前記シール材により囲まれた間隙に封入された絶縁性液体と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載のタッチパネルにおいて、前記一対の基板のうちの一方の基板の内面の複数の位置に、前記突起状接点の高さに対応した複数の突起が設けられ、前記一方の基板の内面の抵抗膜は、前記複数の突起を覆って形成され、この抵抗膜の前記複数の突起を覆う部分により前記突起状接点が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1に記載のタッチパネルにおいて、前記複数のスペーサは、前記一対の基板のうちの一方の基板の内面上に設けられ、他方の基板の内面に当接する柱状スペーサであることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載のタッチパネルにおいて、前記複数の柱状スペーサは、前記一対の基板のうちの前記複数の突起状接点が設けられた基板の内面に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記請求項3に記載のタッチパネルにおいて、前記複数の柱状スペーサは、前記一対の基板のうちの前記複数の突起状接点が設けられていない基板の内面に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記請求項1に記載のタッチパネルにおいて、前記複数のスペーサは、前記一対の基板間に挟持された球状スペーサであることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記請求項1に記載のタッチパネルにおいて、前記絶縁性液体は、前記一対の基板及び前記第1と第2の抵抗膜との光の屈折率の差が0.1以下の液体であることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、前記請求項7に記載のタッチパネルにおいて、前記絶縁性液体は、常温で光学的に等方性な液晶であることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、前記請求項8に記載のタッチパネルにおいて、前記絶縁性液体は、5℃以上の温度においてアイソトロピック相を示す液晶であることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、前記請求項1に記載のタッチパネルにおいて、前記絶縁性液体は、沸点が100℃以上の有機、または無機の絶縁性の液状物質であることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、前記請求項1に記載のタッチパネルにおいて、前記一対の基板のうちの一方の基板の縁部に、前記一方の基板に設けられた抵抗膜の一方の方向の両端と、前記他方の基板に設けられた抵抗膜の前記一方の方向に対して直交する他方の方向の両端とをそれぞれタッチパネル駆動回路に接続するための複数の駆動回路接続端子が設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、前記請求項11に記載のタッチパネルにおいて、前記一対の基板のうちの一方の基板の内面に、他方の基板に設けられた第1の抵抗膜の一方の方向の両端の辺部にそれぞれ対向する複数の第1の電極と、前記第2の抵抗膜の前記他方の方向の両端の辺部にそれぞれ形成された複数の第2の電極と、前記複数の第1の電極及び前記複数の第2の電極を前記複数の駆動回路接続端子にそれぞれ接続する複数の配線とが設けられ、前記第1の抵抗膜の前記一方の方向の両端の辺部と前記複数の第1の電極との間に配置され、第1の抵抗膜の両端の辺部と前記複数の第1の電極とを電気的に接続する導電性部材を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、前記請求項12に記載のタッチパネルにおいて、前記複数の第1の電極は、前記第1の抵抗膜の一方の方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対向させて設けられ、前記複数の第2の電極は、前記第2の抵抗膜の前記他方の方向の両端の辺部にそれぞれその略全長にわたって設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項14に記載の発明は、前記請求項12または13に記載のタッチパネルにおいて、前記第1の抵抗膜は、一方の方向の両端の辺部をそれぞれ前記枠状のシール材によるシール部に対向させて形成され、前記第2の抵抗膜は、前記一方の方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部よりも内方に位置させて形成され、前記第1の抵抗膜の前記一方の方向の両端の辺部と前記複数の第1の電極とがそれぞれ前記シール部に設けられた導電性部材により接続されていることを特徴とする。
【0021】
請求項15に記載の発明は、前記請求項14に記載のタッチパネルにおいて、前記シール部は、前記枠状のシール材と、その中に分散され、前記一対の基板間の間隙に対応する直径を有する複数の導電性粒子とからなり、前記第1の抵抗膜の両端の辺部と前記複数の第1の電極は、これらの間に挟持された複数の前記導電性粒子により接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明のタッチパネルによれば、前記タッチ側とその反対側の一対の基板の対向する内面それぞれに設けられた第1の抵抗膜と第2の抵抗膜とを局部的に導通させるのに必要なタッチ側基板の撓み変形量を前記一対の基板間の間隙よりも充分に小さくし、前記タッチ側基板のタッチにより撓み変形した部分における透過光の屈折を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1の実施形態)
図1〜図8はこの発明の第1の実施例を示しており、図1はタッチパネル付き表示装置の側面図、図2はタッチパネルの平面図、図3は前記タッチパネルのタッチ側基板の内面側から見た平面図、図4は前記タッチパネルの反対側基板の内面側から見た平面図、図5は前記タッチパネルの断面図、図6は前記タッチパネルの一部分の拡大断面図、図7は前記タッチパネルの一部分のタッチ入力時の拡大断面図、図8はタッチパネル駆動回路を示す図である。
【0024】
まず、図1に示したタッチパネル付き表示装置について説明すると、この表示装置は、画像を表示する表示パネル1と、この表示パネル1の観察側に配置された抵抗膜型のタッチパネル10とにより構成されている。
【0025】
前記表示パネル1は、例えば液晶表示パネルであり、予め定めた間隙を設けて対向配置され、周縁部において枠状のシール材4を介して接合された観察側とその反対側の一対の透明基板2,3と、前記一対の基板2,3の対向する内面それぞれに設けられ、互いに対向する領域により複数の画素を形成する透明電極(図示せず)と、前記一対の基板2,3間の間隙の前記シール材4により囲まれた領域に封入された液晶(図示せず)と、前記一対の基板2,3の外面にそれぞれ配置された偏光板5,6とからなっている。
【0026】
なお、この液晶表示パネルは、TN型、STN型、非ツイストのホモジニアス型、垂直配向型、ベンド配向型、強誘電性または反強誘電性液晶表示パネルのいずれでもよく、また、一対の基板の内面にそれぞれ複数の画素を形成するための電極を設けたものに限らず、一対の基板のいずれか一方の内面に、複数の画素を形成するための第1の電極と、それよりも液晶層側に前記第1の電極と絶縁して形成された複数の細長電極部を有する第2の電極とを設け、これらの電極間に横電界(基板面に沿う方向の電界)を生じさせて液晶分子の配向状態を変化させる横電界制御型のものでもよい。
【0027】
さらに、前記表示パネル1は、液晶表示パネルに限らず、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネル等でもよい。
【0028】
前記タッチパネル10は、前記液晶表示パネル1の観察側に配置され、前記液晶表示パネル1の観察側偏光板5の外面に、透明な粘着材または樹脂からなる接着層7により貼付けられている。
【0029】
このタッチパネル10は、図2〜図7のように、互いに対向させて配置されたタッチ側とその反対側の一対の透明基板11,12と、前記一対の基板11,12の対向する内面それぞれに設けられた第1と第2の透明な抵抗膜13,14と、前記第1と第2の抵抗膜13,14のうちの一方の抵抗膜、例えばタッチ側基板11の内面に設けられた第1の抵抗膜13の複数の位置にそれぞれ前記第1の抵抗膜13の膜面よりも予め定めた高さに突出させて設けられ、前記タッチ側基板11の外面側からのタッチの押圧力による撓み変形により他方の抵抗膜、つまり反対側基板12の内面に設けられた第2の抵抗膜14に接触して前記第1の抵抗膜13と前記第2の抵抗膜14とを前記タッチした部分で導通させる複数の突起状接点15と、前記一対の基板11,12間に前記複数の突起状接点15の位置を除いた位置に配置され、前記一対の基板11,12間の間隙(第1と第2の抵抗膜13,14間の間隙)を、前記複数の突起状接点15の高さよりも大きい値に規定する複数の絶縁性スペーサ17と、前記一対の基板11,12間の間隙をこれらの基板11,12の周縁部の全周にわたってシールする枠状のシール材24と、前記一対の基板11,12間の前記シール材24により囲まれた間隙に封入された絶縁性液体28とを備えている。
【0030】
前記一対の基板11,12のうちのタッチ側基板11は、矩形形状に形成されたガラス板または樹脂フィルムからなっており、反対側基板12は、前記タッチ側基板11と実質的に同じ大きさの矩形形状に形成され、且つその1つの縁部に、前記タッチ側基板11の外方に張出す張出部12aが一体に形成されたガラス板からなっている。
【0031】
なお、図では省略しているが、前記一対の基板11,12の内面にはその全体にわたってSiO2膜が設けられており、前記第1と第2の抵抗膜13,14は、前記SiO2膜上に成膜されたITO膜からなっている。
【0032】
この実施例のタッチパネル10は、前記枠状のシール材24によるシール部よりも内側の矩形状領域を、タッチ入力を行なうためのタッチエリア29としたものであり、前記第1と第2の抵抗膜13,14はそれぞれ、前記タッチエリア29よりも大きく、且つ前記シール部の外形よりも小さい矩形形状に形成されている。
【0033】
そして、前記複数の突起状接点15は、前記タッチ側基板11の内面に設けられた第1の抵抗膜13の前記タッチエリア29に対応する領域に、互いに直交する2つの方向、例えば前記タッチエリア29の左右方向と上下方向とにそれぞれ予め定めたピッチで、且つ前記2つの方向の各接点列中にそれぞれ、予め定めた数の突起状接点15毎に1つの突起状接点15を省略した複数の無接点部を設けた配列パターンで配置されている。
【0034】
前記複数の突起状接点15は、前記タッチ側基板11の内面の複数の位置に、前記突起状接点15の高さに対応した複数の透明な絶縁物からなる突起16を設け、前記第1の抵抗膜13を、前記複数の突起16を覆って形成することにより形成されている。
【0035】
また、前記複数のスペーサ17は、前記一対の基板11,12のうちの一方の基板の内面上に設けられ、他方の基板の内面に当接する柱状スペーサであり、この実施例では、前記複数の柱状スペーサ17を、前記複数の突起状接点15が設けられたタッチ側基板11の内面に設けられた第1の抵抗膜13の上に、前記第1の抵抗膜13のうちの前記突起状接点15が形成されていない複数の無接点部にそれぞれ1つずつ設けている。なお、図3では、突起状接点15と柱状スペーサ17とを区別しやすいように、柱状スペーサ17を黒く塗りつぶしている。
【0036】
前記複数の突起状接点15を形成するための複数の突起16と、前記複数の柱状スペーサ17はそれぞれ、透明な光硬化性樹脂を予め定めた膜厚に塗布し、その樹脂膜を露光及び現像処理することにより形成されたものであり、露光処理された前記樹脂膜を現像処理する際に、前記樹脂膜が膜表面に近い側ほど長時間現像液にされるため、前記突起16及び柱状スペーサ17はいずれも、基部から突出端に向かって径が小さくなった形状に形成される。
【0037】
図5〜図7では、前記複数の突起状接点15及び前記複数の柱状スペーサ17の高さを大きく誇張しているが、このようにして形成された突起16及び柱状スペーサ17は、図面上では高さを誇張して表しているが、これらの周面の傾斜角(タッチ側基板11面に対する角度)は、実際には40°〜50°である。したがって、前記第1の抵抗膜13を前記複数の突起16の全体を覆って成膜し、前記複数の突起状接点15を形成することができる。
【0038】
具体的には、前記複数の突起状接点15は、タッチ側基板11面と平行な断面形状が円形で、基部の直径が15μmまたは30μm、高さが2.0μmの形状に形成され、前記複数の柱状スペーサ17は、前記基板11面と平行な断面形状が円形で、基部の直径が30μm、高さが2.5μm、3.0μm、4.0μmのいずれか形状に形成されている。
【0039】
そして、前記複数の突起状接点15は、前記2つの方向(タッチエリア29の左右方向と上下方向)にそれぞれ、0.05mm、0.1mm、0.2mmのいずれかのピッチP1で配列され、前記突起状接点15を省略した複数の無接点部にそれぞれ設けられた前記複数の柱状スペーサ17は、前記2つの方向にそれぞれ、2mmまたは4mmのピッチP2で配置されている。
【0040】
なお、図3及び図5〜図7では、便宜上、5個の突起状接点15毎に1つのスペーサ17を配置しているが、前記複数の突起状接点15のピッチP1と前記複数のスペーサ17のピッチP2とがP1=0.05mm、P2=2mmの場合は、38個の突起状接点15毎に1つのスペーサ17が配置され、P1=0.2mm、P2=4mmの場合は、18個の突起状接点15毎に1つのスペーサ17が配置される。
【0041】
また、前記反対側基板12の張出部12aには、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜13の一方の方向、例えば前記タッチエリア29の左右方向(以下、X軸方向という)の両端と、前記反対側基板12に設けられた第2の抵抗膜14の前記一方の方向に対して直交する方向、つまり前記タッチエリア29の上下方向(以下、Y軸方向という)の両端とをそれぞれ図8に示したタッチパネル駆動回路31に接続するための複数、例えば4つの駆動回路接続端子20a,20b,21a,21bが設けられている。
【0042】
さらに、前記張出部12aが形成された反対側基板12の内面には、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の縁部にそれぞれ対向する複数の第1の電極18a,18bと、前記反対側基板12に設けられた前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の縁部にそれぞれ形成された複数の第2の電極19a,19bと、前記複数の第1の電極18a,18b及び前記複数の第2の電極19a,19bを前記張出部12aに設けられた4つの駆動回路接続端子20a,20b,21a,21bにそれぞれ接続する複数の配線22a,22b,23a,23bとが設けられている。
【0043】
この実施例において、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜13は、前記X軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記枠状のシール材24によるシール部に対応し、X軸方向に対して直交するY軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部よりも内方に位置する形状に形成され、前記反対側基板12に設けられた第2の抵抗膜13は、前記X軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部よりも内方に位置し、前記Y軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部の近傍または前記シール部に対応する形状に形成されている。
【0044】
また、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部にそれぞれ対向する複数の第1の電極18a,18bは、前記シール部に対応させて設けられており、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の辺部にそれぞれ形成された複数の第2の電極19a,19bは、前記第2の抵抗膜14の上に積層されている。
【0045】
なお、この実施例のタッチパネル10は、前記第1の電極18a,18bを、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端の辺部と他端の辺部とにそれぞれ対向させて1つずつ設け、前記第2の電極19a,19bを、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端の辺部と他端の辺部とにそれぞれ対向させて1つずつ設けたものであり、前記2つの第1の電極18a,18bは、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対向させて連続した帯形状に形成され、前記2つの第2の電極19a,19bは、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の辺部の略全長にわたって連続した帯形状に形成されている。
【0046】
前記2つの第1の電極18a,18bと前記2つの第2の電極19a,19bは、前記シール部に対応する部分に配線された複数(この実施例では4本)の配線22a,22b,23a,23bにより、前記張出部12aに設けられた4つの駆動回路接続端子20a,20b,21a,28bにそれぞれ接続されている。
【0047】
なお、前記第1の電極18a,18b及び第2の電極19a,19bと、前記駆動回路接続端子20a,20b,21a,21bと、前記配線22a,22b,23a,23bは、前記反対側基板12上または前記第2の抵抗膜14上に、モリブデンからなる第1層と、アルミニウム系合金からなる第2層と、モリブデンからなる第3膜とを積層して成膜し、この3層の積層膜をパターニングして形成されている。
【0048】
そして、前記第1の抵抗膜13の前記X軸方向の両端の辺部と前記2つの第1の電極18a,18bとはそれぞれ、前記シール部において導電性部材により接続されている。この実施例では、前記枠状のシール材24に、前記第1の抵抗膜13の前記X軸方向の両端の辺部と前記2つの第1の電極18a,18bとを接続するための導電性部材として、前記複数の柱状スペーサ17により規定される前記一対の基板11,12間の間隙に対応する直径を有する球状の導電性粒子25を分散させている。
【0049】
前記シール材24は、前記一対の基板11,12のいずれか一方の内面上に、前記反対側基板12の張出部12aが形成された側とは反対側の縁部に対応する辺部を部分的に欠落させて液体注入口26を設けた形状に印刷されており、前記一対の基板11,12は、前記タッチ側基板11の内面(第1の抵抗膜13上)に設けられた前記複数の柱状スペーサ17を前記反対側基板12の内面(第2の抵抗膜14上)に当接させることにより、これらの基板11,12間の間隙を前記複数の柱状スペーサ17により規定され、その状態で前記シール材24を硬化させることにより、前記シール材24を介して接合されている。
【0050】
そして、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部と、前記反対側基板12に前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部にそれぞれ対向させて設けられた2つの第1の電極18a,18bは、前記一対の基板11,12を前記シール材24を介して接合することにより、前記シール材24中に分散された球状の導電性粒子25のうちの前記第1の抵抗膜13と前記第1の電極18a,18bとの間に挟持された複数の前記導電性粒子25により電気的に接続されている。
【0051】
また、前記一対の基板11,12間の前記シール材24により囲まれた間隙に封入された絶縁性液体28は、密閉されたチャンバ内において、前記チャンバ内を真空状態にして前記液体注入口26を前記絶縁性液体28の浴に浸し、その状態でチャンバ内を大気圧に戻すことにより、前記チャンバ内と前記一対の基板11,12間の間隙内との圧力差によって前記絶縁性液体28を前記液体注入口26から前記一対の基板11,12間の間隙に注入することにより充填され、前記液体注入口26は、前記絶縁性液体28の充填後に封止樹脂27によって封止される。
【0052】
前記絶縁性液体28は、前記一対の基板11,12及び第1と第2の抵抗膜13,14との光の屈折率の差が0.1以下の透明な液体である。すなわち、前記一対の基板11,12及び第1と第2の抵抗膜13,14の屈折率は約1.5であり、前記絶縁性液体28は、約1.4〜1.5の範囲の屈折率を有している。前記絶縁性液体28は、前記一対の基板11,12及び第1と第2の抵抗膜13,14の屈折率により近い屈折率、つまり約1.5の屈折率を有しているのが好ましい。
【0053】
この実施例では、前記絶縁性液体28として、常温で光学的に等方性な液晶、例えば、5℃以上の温度においてアイソトロピック相を示す液晶(N−I点が5℃未満のネマティック液晶)を前記一対の基板11,12間の間隙に封入している。このような特性の液晶としては、具体的には、2つから3つのシクロヘキサンまたはベンゼン環と、その両端にアルキル基を有し、誘電視異方性を実質的に持たない液晶材料を用いることができる。
【0054】
前記タッチパネル10は、前記タッチ側基板11の外面側から指先30等によってタッチ入力されるものであり、前記タッチ側基板11の外面がタッチされると、図7のように、タッチ側基板11がその外面側からのタッチにより内面方向に撓み変形し、前記タッチ側基板11の内面の第1の抵抗膜13の複数の位置にそれぞれ設けられた複数の突起状接点15のうちの前記タッチ側基板11の撓み変形部の突起状接点15が反対側基板12の内面の第2の抵抗膜14に接触して、前記第1の抵抗膜13と前記第2の抵抗膜14とがタッチ点に対応した部分において、導通する。
【0055】
そのため、タッチパネル駆動回路31により、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間とに一定値の電圧を交互に印加し、前記第1の抵抗膜13に電圧を印加したときの第2の抵抗膜14の一端の電圧値と、前記第2の抵抗膜14に電圧を印加したときの前記第1の抵抗膜13の一端の電圧値とを測定することにより、これらの電圧値に基づいて、タッチ点のX軸方向とY軸方向の座標を検出することができる。
【0056】
前記タッチパネル駆動回路31は、図8に示したように、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間とに一定値の電圧を交互に印加するための電圧印加回路32と、前記第1の抵抗膜13がタッチ側基板11の撓み変形した部分の突起状接点15を介して前記第2の抵抗膜14とが導通したときに、前記電圧印加回路32上の予め定めた点Aと前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端または前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端との間に生じる電圧を測定する電圧測定系40と、この電圧測定系40の測定値に基づいてタッチ点の座標を検出する座標検出手段45とを備えている。
【0057】
前記電圧印加回路32は、定電圧電源33と、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端と前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端とにそれぞれ接続された第1の抵抗膜接続配線34,35を介して、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端と前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端とに前記定電圧電源33の一方の極(図では−極)の電圧を選択的に供給する第1の接続切換スイッチ36と、それぞれ接続された第2の抵抗膜接続配線37,38を介して、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の他端と前記第2の抵抗膜14のY軸方向の他端とに前記定電圧電源33の他方の極(図では+極)の電圧を選択的に供給する第2の接続切換スイッチ39とからなっている。なお、図2に示した定電圧電源33は直流電源であるが、この定電圧電源33は交番する電圧を供給する電源でもよい。
【0058】
また、前記電圧測定系40は、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端と前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端とにそれぞれ接続された第3の抵抗膜接続配線41,42を介して、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端と前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端の電圧を電圧測定手段44に選択する第3の接続切換スイッチ43と、前記定電圧電源33の一方の極(図では−極)と前記第3の接続切換スイッチ43との間に介在された電圧測定手段44とにより構成されている。
【0059】
前記電圧印加回路32は、図示しない制御手段により、予め設定された周期、例えば0.1秒周期で、前記第1と第2の接続切換スイッチ36,39を、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端を前記定電圧電源33に接続する側(図8の状態)と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端を前記定電圧電源33に接続する側とに切換えられ、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間とに前記定電圧電源33の一定値の電圧を交互に印加する。
【0060】
また、座標検出手段45は、前記図示しない制御手段により制御され、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間に前記電圧を印加したときの前記電圧測定手段44の測定値に基づいて前記タッチ点のX軸方向の座標(以下、X座標という)を検出し、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間に前記電圧を印加したときの前記電圧測定手段44の測定値に基づいて前記タッチ点のY軸方向の座標(以下、Y座標という)を検出する。
【0061】
前記電圧測定手段44の測定値に基づく前記タッチ点のX,Y座標の検出は、次のような演算により行なう。
【0062】
前記定電圧電源33の電圧値をV0、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端のX座標値を0、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の他端のX座標値を1、前記タッチ点のX座標をx、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間の抵抗値をrx、前記電圧測定手段44の内部抵抗値をRとすると、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間に前記電圧V0を印加したときの前記電圧測定手段44の測定電圧値V(x)は、rx≪Rであるため、
V(x)=V0(1−x)
で表すことができる。
【0063】
また、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端のY座標値を0、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の他端のY座標値を1、前記タッチ点のY座標をy、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間の抵抗値をryとすると、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間に前記電圧V0を印加したときの前記電圧測定手段44の測定電圧値V(y)は、ry≪Rであるため、
V(y)=V0(1−y)
で表すことができる。
【0064】
したがって、前記タッチ点のX座標xとY座標yは、
x=1−V(x)/V0
y=1−V(y)/V0
により求めることができる。
【0065】
また、上記タッチパネル10は、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対向させて、連続した帯形状に形成された2つの第1の電極18a,18bを設け、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の辺部に、前記辺部の略全長にわたって連続した帯形状に形成された2つの第2の電極19a,19bを設け、これらの第1の電極18a,18b及び第2の電極19a,19bをそれぞれ配線22a,22b,23a,23bにより反対側基板12の張出部12aに設けられた駆動回路接続端子20a,20b,21a,21bに接続しているため、前記タッチパネル駆動回路31によって前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間とに交互に印加される電圧を、前記第1の抵抗膜13及び第2の抵抗膜14の略全域に均等に作用させ、前記タッチ点のX座標xとY座標yを高精度に検出することができる。
【0066】
なお、図1に示したタッチパネル付き表示装置は、表示パネル1に複数のキーパターンを表示させ、前記タッチパネル10の前記複数のキーパターンに対応した部分を選択的にタッチするキーボード的なタッチ入力の他に、例えば、前記表示パネル1に画像を表示させ、前記タッチパネル10の任意の点をタッチすることにより、前記表示パネル1にタッチ点を中心とした拡大画像を表示させたり、前記タッチパネル10上においてタッチ点を任意の方向に移動させることにより、前記表示パネル1の表示画像をスクロールさせたりすることができる。
【0067】
前記タッチパネル10は、前記タッチ側基板11の内面の第1の抵抗膜13の複数の位置にそれぞれ設けられた複数の突起状接点15が、前記抵抗膜13の膜面よりも突出しており、前記タッチ側基板11の外面側からのタッチによる撓み変形により、前記第1の抵抗膜13と反対側基板12の内面の第2の抵抗膜14とが、タッチ点に対応する部分において前記突起状接点15を介して局部的に導通するため、前記第1の抵抗膜13と第2の抵抗膜14とを局部的に導通させるのに必要なタッチ側基板11の撓み変形量を、前記一対の基板11,12間の間隙よりも充分に小さくすることができる。
【0068】
すなわち、上記実施例では上述したように、前記複数の突起状接点15を2.0の高さに形成し、前記複数の柱状スペーサ17を、2.5μm、3.0μm、4.0μmのいずれかの高さに形成しているため、前記複数の突起状接点15の突出端と反対側基板12の内面の第2の抵抗膜14との間のギャップΔd(図6参照)は、0.5μm、1.0μm、2.0μmのいずれかである。
【0069】
そして、前記第1の抵抗膜13と第2の抵抗膜14は、前記タッチ側基板11の外面側からのタッチによる撓み変形により前記突起状接点15が前記第2の抵抗膜14に接触することによって導通されるため、前記第1の抵抗膜13と第2の抵抗膜14とを導通させるのに必要なタッチ側基板11の撓み変形量は、前記突起状接点15の突出端と前記第2の抵抗膜14との間のギャップΔdに対応した、2.0μm、1.0μm、0.5μmのいずれかの極く小さい値である。
【0070】
そのため、前記タッチパネル10によれば、前記タッチ側基板11のタッチにより撓み変形した部分における透過光の屈折を小さくすることができ、したがって、図1に示したタッチパネル付き表示装置は、表示パネル1の表示画像を、前記タッチ側基板11の撓み変形した部分においても歪みをほとんど生じさせること無く観察させることができる。
【0071】
さらに、前記タッチパネル10は、前記一対の基板11,12間の間隙に、絶縁性液体28を封入しているため、このタッチパネル10を透過する光の前記反対側基板12及びタッチ側基板11と前記絶縁性液体28の層とのそれぞれの界面での反射や屈折を小さくすることができ、したがって、表示パネル1の表示画像を充分な明るさで観察させることができる。
【0072】
前記絶縁性液体28は、前記一対の基板11,12及び第1と第2の抵抗膜13,14との屈折率差が0.1以下の液体が好ましく、このような屈折率の液体を封入することにより、前記反対側基板12及びタッチ側基板11と前記絶縁性液体28の層とのそれぞれの界面での反射や屈折を、より効果的に小さくすることができる。
【0073】
さらに、前記絶縁性液体28は、常温で光学的に等方性な液晶、例えば、5℃以上の温度においてアイソトロピック相を示す液晶が望ましく、この液晶を封入することにより、常温での前記反対側基板12及びタッチ側基板11と前記絶縁性液体28の層とのそれぞれの界面での反射や屈折を小さくすることができる。
【0074】
また、上記実施例のタッチパネル10は、タッチ側基板11の内面の複数の位置に、前記突起状接点15の高さに対応した複数の透明な突起16を設け、前記タッチ側基板11の内面の第1の抵抗膜13を前記複数の突起16を覆って形成することにより、この抵抗膜13の前記複数の突起16を覆う部分により複数の突起状接点15を形成しているため、前記第1の抵抗膜13の上に導電性金属により複数の突起状接点を形成する場合のように、これらの突起状接点によって透過光が遮られることは無く、したがって、前記表示パネル1の表示画像を、前記複数の突起状接点15に対応する部分に黒点を生じさせること無く観察させることができる。
【0075】
(第2の実施形態)
図9はこの発明の第2の実施例を示すタッチパネルの一部分の拡大断面図である。
【0076】
この実施例のタッチパネル10は、一対の基板11,12のうちの反対側基板12の内面の第2の抵抗膜14の複数の位置にそれぞれ複数の突起状接点15を設け、さらに、前記反対側基板12の内面(第2の抵抗膜14の上)に複数の柱状スペーサ17を設けたものであり、他の構成は上記第1の実施例と同じである。
【0077】
(第3の実施形態)
図10はこの発明の第3の実施例を示すタッチパネルの一部分の拡大断面図である。
【0078】
この実施例のタッチパネル10は、複数の突起状接点15を、一対の基板11,12の一方、例えばタッチ側基板11の内面の第1の抵抗膜13の複数の位置にそれぞれ設け、複数の柱状スペーサ17を、前記複数の突起状接点15が設けられていない基板、つまり反対側基板12の内面(第2の抵抗膜14の上)に設けたものであり、他の構成は上記第1の実施例と同じである。
【0079】
(第4の実施形態)
図11はこの発明の第4の実施例を示すタッチパネルの一部分の拡大断面図である。
【0080】
この実施例のタッチパネル10は、上記第1〜第3の実施例における複数の柱状スペーサ17に代えて、一対の基板11,12間に、前記突起状接点15の高さよりも大きい直径を有する複数の球状スペーサ17aを複数の突起状接点15の位置を避けて配置し、これらの球状スペーサ17aにより、前記一対の基板11,12間の間隙を、前記複数の突起状接点15の高さよりも大きい値に規定したものであり、他の構成は上記第1の実施例と同じである。
【0081】
(他の実施形態)
なお、上記各実施例のタッチパネル10では、一対の基板11,12間のシール材24により囲まれた間隙に、絶縁性液体28として、常温で光学的に等方性な液晶を封入しているが、前記絶縁性液体28としては、沸点が100℃以上の有機、または無機の絶縁性の液状物質、具体的には、ブタノール、トルエン、キシレン、イソブチルアルコール、イソペプンチルアルコール、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、テトラクロルエチレン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチレングリコールモノエーテル、エチレングリコールモノエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、テレビンオイル等の有機の液状物質、またはシリコンオイル等の無機の液状物質を用いることができる。
【0082】
また、上記実施例では、前記第1の電極18a,18bと第2の電極19a,19bとをそれぞれ連続した帯形状に形成しているが、前記第1の電極18a,18b及び第2の電極19a,19bは、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部の略全長及び前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対応させて、予め定めたピッチで断続的に設けてもよく、その場合も、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間とに交互に印加される電圧を、前記第1の抵抗膜13及び第2の抵抗膜14の略全域に均等に作用させ、タッチ点のX座標xとY座標yを高精度に検出することができる。
【0083】
このように、前記第1の電極18a,18b及び第2の電極19a,19bを、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部の略全長及び前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対応させて断続的に設ける場合は、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端の辺部に対向する複数の第1の電極同士と、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の他端の辺部に対向する複数の第1の電極同士と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端の辺部に対向する複数の第2の電極同士と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の他端の辺部に対向する複数の第2の電極同士をそれぞれ共通接続し、前記反対側基板12の張出部12aに設けられた複数の駆動回路接続端子20a,20b,21a,21bに複数の配線22a,22b,23a,23bを介して接続すればよい。
【0084】
さらに、上記実施例では、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の他端の縁部と、これらの端部に対向させて設けられた前記複数の第1の電極18a,18bとを、前記シール材24中に分散された球状の導電性粒子25により電気的に接続しているが、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の他端の辺部と前記複数の第1の電極18a,18bとは、そのいずれか一方の上に、前記シール材24によるシール部に対応させて柱状の導電性部材を設けることにより、この導電性部材を介して電気的に接続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】この発明の第1の実施例を示すタッチパネル付き表示装置の側面図。
【図2】第1の実施例のタッチパネルの平面図。
【図3】前記タッチパネルのタッチ側基板の内面側から見た平面図。
【図4】前記タッチパネルの反対側基板の内面側から見た平面図。
【図5】前記タッチパネルの断面図。
【図6】は前記タッチパネルの一部分の拡大断面図。
【図7】前記タッチパネルの一部分のタッチ入力時の拡大断面図。
【図8】タッチパネル駆動回路を示す図。
【図9】この発明の第2の実施例を示すタッチパネルの一部分の拡大断面図。
【図10】この発明の第3の実施例を示すタッチパネルの一部分の拡大断面図。
【図11】この発明の第4の実施例を示すタッチパネルの一部分の拡大断面図。
【符号の説明】
【0086】
1…表示パネル、10…タッチパネル、11,12…基板、12a…張出部、13,14…抵抗膜、15…突起状接点、16…突起、17…柱状スペーサ、17a…球状スペーサ、18a,18b…第1の電極、19a,19b…第2の電極、20a,20b,21a,21b…駆動回路接続端子、22a,22b,23a,23b…配線、24…シール材、25…導電性粒子(導電性部材)、23…液体注入口、24…封止樹脂、28…絶縁性液体(液晶)、29…タッチエリア、31…タッチパネル駆動回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向させて配置されたタッチ側とその反対側の一対の基板と、
前記一対の基板の対向する内面それぞれに設けられた第1と第2の抵抗膜と、
前記第1と第2の抵抗膜のうちの一方の抵抗膜の複数の位置にそれぞれ前記一方の抵抗膜の膜面よりも予め定めた高さに突出させて設けられ、前記タッチ側基板の外面側からのタッチの押圧力による撓み変形により他方の抵抗膜に接触して前記第1の抵抗膜と前記第2の抵抗膜とを前記タッチした部分で導通させる複数の突起状接点と、
前記一対の基板間に配置され、前記一対の基板間の間隙を、前記複数の突起状接点の高さよりも大きい値に規定する複数の絶縁性スペーサと、
前記一対の基板間の間隙をこれらの基板の周縁部の全周にわたってシールする枠状のシール材と、
前記一対の基板間の前記シール材により囲まれた間隙に封入された絶縁性液体と、
を備えることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
一対の基板のうちの一方の基板の内面の複数の位置に、突起状接点の高さに対応した複数の突起が設けられ、前記一方の基板の内面の抵抗膜は、前記複数の突起を覆って形成され、この抵抗膜の前記複数の突起を覆う部分により前記突起状接点が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
複数のスペーサは、一対の基板のうちの一方の基板の内面上に設けられ、他方の基板の内面に当接する柱状スペーサであることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項4】
複数の柱状スペーサは、一対の基板のうちの複数の突起状接点が設けられた基板の内面に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のタッチパネル。
【請求項5】
複数の柱状スペーサは、一対の基板のうちの複数の突起状接点が設けられていない基板の内面に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のタッチパネル。
【請求項6】
複数のスペーサは、一対の基板間に挟持された球状スペーサであることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項7】
絶縁性液体は、一対の基板及び第1と第2の抵抗膜との光の屈折率の差が0.1以下の液体であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項8】
絶縁性液体は、常温で光学的に等方性な液晶であることを特徴とする請求項7に記載のタッチパネル。
【請求項9】
絶縁性液体は、5℃以上の温度においてアイソトロピック相を示す液晶であることを特徴とする請求項8に記載のタッチパネル。
【請求項10】
絶縁性液体は、沸点が100℃以上の有機、または無機の絶縁性の液状物質であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項11】
一対の基板のうちの一方の基板の縁部に、前記一方の基板に設けられた抵抗膜の一方の方向の両端と、前記他方の基板に設けられた抵抗膜の前記一方の方向に対して直交する他方の方向の両端とをそれぞれタッチパネル駆動回路に接続するための複数の駆動回路接続端子が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項12】
一対の基板のうちの一方の基板の内面に、他方の基板に設けられた第1の抵抗膜の一方の方向の両端の辺部にそれぞれ対向する複数の第1の電極と、前記第2の抵抗膜の前記他方の方向の両端の辺部にそれぞれ形成された複数の第2の電極と、前記複数の第1の電極及び前記複数の第2の電極を前記複数の駆動回路接続端子にそれぞれ接続する複数の配線とが設けられ、前記第1の抵抗膜の前記一方の方向の両端の辺部と前記複数の第1の電極との間に配置され、第1の抵抗膜の両端の辺部と前記複数の第1の電極とを電気的に接続する導電性部材を備えることを特徴とする請求項11に記載のタッチパネル。
【請求項13】
複数の第1の電極は、第1の抵抗膜の一方の方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対向させて設けられ、複数の第2の電極は、第2の抵抗膜の前記他方の方向の両端の辺部にそれぞれその略全長にわたって設けられていることを特徴とする請求項12に記載のタッチパネル。
【請求項14】
第1の抵抗膜は、一方の方向の両端の辺部をそれぞれ枠状のシール材によるシール部に対向させて形成され、第2の抵抗膜は、前記一方の方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部よりも内方に位置させて形成され、前記第1の抵抗膜の前記一方の方向の両端の辺部と複数の第1の電極とがそれぞれ前記シール部に設けられた導電性部材により接続されていることを特徴とする請求項12または13に記載のタッチパネル。
【請求項15】
シール部は、枠状のシール材と、その中に分散され、一対の基板間の間隙に対応する直径を有する複数の導電性粒子とからなり、第1の抵抗膜の両端の辺部と複数の第1の電極は、これらの間に挟持された複数の前記導電性粒子により接続されていることを特徴とする請求項14に記載のタッチパネル。
【請求項1】
互いに対向させて配置されたタッチ側とその反対側の一対の基板と、
前記一対の基板の対向する内面それぞれに設けられた第1と第2の抵抗膜と、
前記第1と第2の抵抗膜のうちの一方の抵抗膜の複数の位置にそれぞれ前記一方の抵抗膜の膜面よりも予め定めた高さに突出させて設けられ、前記タッチ側基板の外面側からのタッチの押圧力による撓み変形により他方の抵抗膜に接触して前記第1の抵抗膜と前記第2の抵抗膜とを前記タッチした部分で導通させる複数の突起状接点と、
前記一対の基板間に配置され、前記一対の基板間の間隙を、前記複数の突起状接点の高さよりも大きい値に規定する複数の絶縁性スペーサと、
前記一対の基板間の間隙をこれらの基板の周縁部の全周にわたってシールする枠状のシール材と、
前記一対の基板間の前記シール材により囲まれた間隙に封入された絶縁性液体と、
を備えることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
一対の基板のうちの一方の基板の内面の複数の位置に、突起状接点の高さに対応した複数の突起が設けられ、前記一方の基板の内面の抵抗膜は、前記複数の突起を覆って形成され、この抵抗膜の前記複数の突起を覆う部分により前記突起状接点が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
複数のスペーサは、一対の基板のうちの一方の基板の内面上に設けられ、他方の基板の内面に当接する柱状スペーサであることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項4】
複数の柱状スペーサは、一対の基板のうちの複数の突起状接点が設けられた基板の内面に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のタッチパネル。
【請求項5】
複数の柱状スペーサは、一対の基板のうちの複数の突起状接点が設けられていない基板の内面に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のタッチパネル。
【請求項6】
複数のスペーサは、一対の基板間に挟持された球状スペーサであることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項7】
絶縁性液体は、一対の基板及び第1と第2の抵抗膜との光の屈折率の差が0.1以下の液体であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項8】
絶縁性液体は、常温で光学的に等方性な液晶であることを特徴とする請求項7に記載のタッチパネル。
【請求項9】
絶縁性液体は、5℃以上の温度においてアイソトロピック相を示す液晶であることを特徴とする請求項8に記載のタッチパネル。
【請求項10】
絶縁性液体は、沸点が100℃以上の有機、または無機の絶縁性の液状物質であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項11】
一対の基板のうちの一方の基板の縁部に、前記一方の基板に設けられた抵抗膜の一方の方向の両端と、前記他方の基板に設けられた抵抗膜の前記一方の方向に対して直交する他方の方向の両端とをそれぞれタッチパネル駆動回路に接続するための複数の駆動回路接続端子が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項12】
一対の基板のうちの一方の基板の内面に、他方の基板に設けられた第1の抵抗膜の一方の方向の両端の辺部にそれぞれ対向する複数の第1の電極と、前記第2の抵抗膜の前記他方の方向の両端の辺部にそれぞれ形成された複数の第2の電極と、前記複数の第1の電極及び前記複数の第2の電極を前記複数の駆動回路接続端子にそれぞれ接続する複数の配線とが設けられ、前記第1の抵抗膜の前記一方の方向の両端の辺部と前記複数の第1の電極との間に配置され、第1の抵抗膜の両端の辺部と前記複数の第1の電極とを電気的に接続する導電性部材を備えることを特徴とする請求項11に記載のタッチパネル。
【請求項13】
複数の第1の電極は、第1の抵抗膜の一方の方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対向させて設けられ、複数の第2の電極は、第2の抵抗膜の前記他方の方向の両端の辺部にそれぞれその略全長にわたって設けられていることを特徴とする請求項12に記載のタッチパネル。
【請求項14】
第1の抵抗膜は、一方の方向の両端の辺部をそれぞれ枠状のシール材によるシール部に対向させて形成され、第2の抵抗膜は、前記一方の方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部よりも内方に位置させて形成され、前記第1の抵抗膜の前記一方の方向の両端の辺部と複数の第1の電極とがそれぞれ前記シール部に設けられた導電性部材により接続されていることを特徴とする請求項12または13に記載のタッチパネル。
【請求項15】
シール部は、枠状のシール材と、その中に分散され、一対の基板間の間隙に対応する直径を有する複数の導電性粒子とからなり、第1の抵抗膜の両端の辺部と複数の第1の電極は、これらの間に挟持された複数の前記導電性粒子により接続されていることを特徴とする請求項14に記載のタッチパネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−33499(P2010−33499A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197628(P2008−197628)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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