説明

ダイヤモンド基体の製造方法

ウェーハスケール処理、例えば、ダイヤモンドプレートの上に電子又は他の装置構造体を製造する時のウェーハスケール処理をするのに適したダイヤモンドプレートのタイル張り状配列体である。ダイヤモンドプレートを、支持層、好ましくは多結晶質ダイヤモンド支持層に固定し、それぞれの固定されたダイヤモンドプレートの主要表面の少なくとも一つが、更に処理するために露出された製造表面を定めるように、実質的に平面状の配列として固定する。支持層は裏打層でもよく、その場合、ダイヤモンド基体の主要面のただ一つだけが更に処理するため露出されており、或いは支持層は、両方の主要表面が更に処理するため露出されるように、それぞれのダイヤモンド基体の間に伸びていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置用途で用いられる単結晶ダイヤモンド基体の製造方法、及びそのような方法で用いるためのダイヤモンドウェーハに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンドは、光伝導性、熱伝導性、剛性、耐摩耗性、及び電気的性質を含めた或る範囲の独特の性質を与える。ダイヤモンドの機械的性質の多くは、一種類より多くのダイヤモンドで実現することができるが、他の性質は、用いるダイヤモンドの種類に非常に影響を受け易い。例えば、最もよい電子的及び他の性質のためには、CVD単結晶ダイヤモンドが重要であり、しばしば多結晶質CVDダイヤモンド、HPHTダイヤモンド、及び天然ダイヤモンドよりも優れた性能を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
最終的ダイヤモンド製品の加工可能な領域又は表面が非常に小さな多くの用途が存在する。そのような用途では、規模の経済性を達成すること、或いは単結晶ダイヤモンド基体を希望の装置へ処理する実際的方法を与えることはしばしば困難である。例えば、小さな個々のダイヤモンド基体の表面に電気装置を製造することは面倒なことである。慣用的リトグラフ法及び現存するリトグラフ装置は、そのような単結晶ダイヤモンド基体のために考えられる複雑な電子構造のあるものを実現するのには適さない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、単結晶ダイヤモンド基体を処理する方法で用いるためのダイヤモンドウェーハ組立体は、支持層、好ましくは多結晶質ダイヤモンド支持層に固定された複数の単結晶ダイヤモンドプレートで、それぞれの固定されたダイヤモンドプレートの主要表面の少なくとも一つが、更に処理するために露出された製造表面を定めるように、実質的に平面状の配列として複数の単結晶ダイヤモンドプレートを含む。
【0005】
支持層は裏打層(backing layer)でもよく、その場合、単結晶ダイヤモンド基体の主要表面の一つだけが更に処理するために露出される。別法として、支持層は、両方の主要表面が、更に処理するため露出されているように、それぞれの単結晶ダイヤモンド基体の間に伸びていてもよい。
【0006】
本発明は、更に、単結晶ダイヤモンド基体を、ウェーハスケール(wafer scale)技術を用いて装置構造体へ後で処理するために用いられる、そのようなダイヤモンドウェーハ組立体にも及んでいる。
【0007】
本発明は、単結晶ダイヤモンド基体、特に装置用途のため、一層特別には電気用途のための基体を製造する方法にも及んでおり、その方法は、一対の相対する主要表面を有する複数の単結晶ダイヤモンドプレートを与え、然も、前記主要表面の一方又は両方が製造表面を定める工程、前記ダイヤモンドプレートを、実質的に平面状の配列として支持層に固定し、ダイヤモンドウェーハ組立体を形成し、必要に応じ、前記製造表面を処理してそれぞれの単結晶ダイヤモンド基体を生成させる工程を含む。
【0008】
単結晶ダイヤモンド基体は、製造表面上に装置構造体を後で形成するのに適している。
【0009】
支持層は、多結晶質ダイヤモンド層であるのが好ましい。多結晶質ダイヤモンド層は、複数の結晶ダイヤモンドプレートに、集約的に又は個々に、例えば、接着又は鑞付けのような適当な接着部材により結合することができる。支持層を単結晶ダイヤモンドプレートへ結合する場合、それは、支持層を単結晶ダイヤモンドプレートと接触させるか、又はその逆を行うことを含んでいることは分かるであろう。しかし、特に好ましいのは、多結晶質ダイヤモンド層を、その複数の単結晶ダイヤモンドプレートの上に成長させ、それにより層とプレートとの間に直接ダイヤモンドとダイヤモンドとの結合を形成することである。
【0010】
製造表面の処理は、製造表面上に電気又は他の装置機構(feature)を与えるためであるのが典型的であろう。
【0011】
ダイヤモンドウェーハ組立体は、例えば、単結晶ダイヤモンド基体の間の多結晶質ダイヤモンド又は他の支持層を開裂するか又はレーザー切断することにより、必要な場合には適当に形成した溝に沿って単結晶ダイヤモンド基体を開裂するか、又は他の手段により個々の単結晶ダイヤモンドプレート及び個々の装置、又はそれらのグループに分離することができる。
【0012】
ダイヤモンドウェーハ組立体は、現存するリトグラフ装置を用いて、慣用的リトグラフ法で用いるのに適したものになるように、大きさを定めるのが好ましい。
【0013】
本発明は、処理されたダイヤモンドウェーハ組立体で、多結晶質ダイヤモンド支持層中に埋め込まれるか、又はその層にダイヤモンドとダイヤモンドとの結合又は炭素単独結合の他の形態により結合された一つ以上の処理された単結晶ダイヤモンドプレートを含み、この場合、多結晶質ダイヤモンド支持層が、前記一つ以上の処理された単結晶ダイヤモンドプレートよりも広い領域を有する処理されたダイヤモンドウェーハ組立体にも関する。多結晶質ダイヤモンド支持層は、処理済みダイヤモンドウェーハ組立体のための機械的支持性、熱吸収性、電気絶縁性、又は大きな破壊電圧特性の一つ以上を与え、それにより、その処理済みダイヤモンドウェーハ組立体を、光学的、熱的、機械的、電気的、電子的、及びそれらの組合せから選択された用途で用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
好ましい態様についての記述
本発明は、ダイヤモンドプレートのタイル張り状配列体で、例えば、ダイヤモンドプレート上に電子又は他の装置構造体を製造するためにウェーハスケール処理(wafer scale processing)するのに適した配列体を与えることに関する。
【0015】
ウェーハスケール処理に適したものにするため、ダイヤモンドプレートは、単結晶ダイヤモンドプレートであるのが好ましい。これらの単結晶ダイヤモンドプレートは、好ましくは到達可能な上方主要表面、場合によっては、到達可能な下方主要表面を有するCVDダイヤモンドであるか、或いは別法として、到達可能な上方表面を与えるが、下方表面は支持層に結合され、それによって覆われている。例えば、支持層が多結晶質ダイヤモンドである場合、上方主要面は多結晶質CVDダイヤモンドの層により取り巻かれているのに対し、下方主要面は多結晶質CVDダイヤモンド支持層で被覆され、それに結合されていてもよい。
【0016】
装置構造体を製造するのに用いるために適切に調製された各プレートの到達可能な表面、典型的には、主要面の一方又は両方を、「製造表面」として言及する。これらの製造表面は、ウェーハ内の各プレートの製造表面を、後で記述する技術のようなウェーハスケール技術により更に処理することができるように、一つの概念的平面に対し規定された誤差内に入る必要がある。例えば、一つの光学的焦点面にホトリトグラフ技術を適用する場合、製造表面の概念的平面に対する誤差は、約100μmより小さく、好ましくは約25μmより小さく、一層好ましくは約10μmより小さく、更に一層好ましくは約5μmより小さく、最も好ましくは約3μmより小さいのがよい。例えば、それぞれの製造表面に機械的処理技術を適用する場合、約5μmより小さく、好ましくは約2μmより小さく、一層好ましくは約1μmより小さく、更に一層好ましくは約0.5μmより小さく、最も好ましくは約0.2μmより小さい、一つの概念的平面に対する規定誤差内に製造表面が入ることが好ましい。製造表面を上方及び下方の両方の表面が与える場合、それぞれの製造表面は、上記機構を含むのが好ましい。
【0017】
単結晶ダイヤモンドプレート、即ちタイルは、各ダイヤモンドプレート上で用いる目的の製造表面が、ウェーハ毎に繰り返されていると言う意味で規則的な配列になっているような配列体として配列されているのが好ましく、それによりその配列体を作るためのジグ及びリトグラフマスク又は他のウェーハ処理装置は、各ウェーハについて同じように有効になる。好ましい態様は、各プレートの位置を規則的な二次元的格子という用語を用いて、物質格子点にある原子に類似したやり方で記述することができるように、配列の規則性が単一のウェーハ上の配列に広がっている場合である。原理的に、各格子点には一つより多くのプレートを伴わせることができ、特定の格子点に伴われる各プレートは、異なった幾何学的形態を持つことができるが、好ましい態様は、各単結晶プレートが同じ形を持つ場合であり、更に好ましい態様は、各格子点にただ一つの単結晶ダイヤモンド基体プレートが伴われている場合である。
【0018】
一つの好ましい態様は、単結晶ダイヤモンドプレートを、よく並んだ配列体として一緒に接するように配列するか、一層好ましくは予め定められた小さな間隔で離れて配置されるように配列する場合である。予め定められた小さな間隔は、取付け又は熱サイクル中に接触損傷を避けるのに充分なものであるが、裏打又は支持層上の全充填密度を実質的に減少する程大きくならないようにする。この間隔は、プレートの配置に互いに直接接触するような影響を与える、一つのプレートの形状誤差の問題も解消する。別の好ましい態様は、更に、プレートが全て矩形の形をしている場合である。更に別の態様として、単結晶ダイヤモンドプレートを、よく並んだ配列体として、比較的大きな予め定められた間隔によって、互いにかなり間隔を開けて配置する。
【0019】
当業者は、個々のプレートの幾何学的形態に、或いは個々のプレートを配列体として配置する際に、小さな欠陥が存在しても、そのような欠陥が最終的ウェーハスケール処理で得ることができる収率を実質的に低下しない限り、規則的配列体の一般的概念を無効にするものではないことは分かるであろう。
【0020】
本発明の一つの態様として、単結晶ダイヤモンドプレート、即ちタイルの配列体を、裏打層、特にその処理中に一致した熱膨張及び良好な熱吸収体を与える多結晶質ダイヤモンド層に結合する。裏打層と個々のタイルとの間の結合は、接着又は鑞付けのようなどのような適当なやり方で与えてもよい。しかし、ダイヤモンドウェーハの機能を助けるためには、例えば、1100℃までの高い処理温度で大きな熱伝導度、安定性、及びウェーハスケールの機械的処理を行うことができる大きな機械的強度の一つ以上を示すべきである。鑞付けは、約1100℃までの処理温度に対して許容することができ、比較的良好な熱伝導度及び機械的強度を与える。
【0021】
単結晶プレートは、数多くのやり方で裏打層に結合することができる。例えば、単結晶ダイヤモンドプレートを置いていって配列体とし、各単結晶ダイヤモンドの取付け表面を鑞又は接着剤のような接着部材を被覆し、裏打ウェーハを単結晶ダイヤモンドプレートと接触させ(又はそれを逆に行い)、次にもし必要ならば、前記接着部材を、どのような手段によってでも、例えば、組立体を加熱することにより活性化することができる。別法として、単結晶ダイヤモンドプレートを置いていって配列体とし、ばらばらな点として又は連続層として裏打ウェーハ上に接着部材を適当に配置し、その裏打層を単結晶ダイヤモンドプレートと接触させ(又はそれを逆に行い)、そしてもし必要ならば、接着部材をどのような方法によってでも、例えば、組立体を加熱することにより活性化することができる。接着部材の過剰のものは、もし必要と思えるならば、例えば、溶剤又はエッチング法を用いて除去することができる。
【0022】
更に別の態様として、裏打層を調製し、接着部材を、ばらばらな点又は連続層として裏打ウェーハの上に適切に配置する。次に単結晶ダイヤモンドプレートを、例えば、ピック・アンド・プレイス(pick and place)機械又は他の手段を用いて裏打層の上に一つ一つ置き、希望の配列体に従って単結晶を配置し、次に必要ならば接着部材を、どのような手段によってでも、例えば、組立体を加熱することにより、活性化することができる。更に別の態様として、各単結晶ダイヤモンドの取付け表面に、接着部材を被覆し、次にそれらの組立体を、例えば、ピック・アンド・プレイス機械又は他の手段を用いて裏打層の上に一つ一つ置き、希望の配列体に従って単結晶を配置し、次に必要ならば接着部材を、どのような方法でも、例えば、組立体を加熱することにより、活性化することができる。
【0023】
単結晶ダイヤモンドプレートを、例えば、鑞付けにより、珪素又はタングステン又は多結晶質ダイヤモンド、又はそれらの組合せのような裏打ウェーハに結合した後、裏打層が更にダイヤモンドの成長と両立することができるように選択されている場合には、単結晶ダイヤモンド配列体の前面(製造面)から多結晶質ダイヤモンドの層を成長させることができる。用いられる成長条件は、用途と両立することができる単結晶ダイヤモンド基体の前面上に単結晶ダイヤモンドを与えるような条件にすることができ、或いはこれらの領域に成長するダイヤモンドを、例えば、研磨することにより後で除去することができ、或いは単結晶ダイヤモンド基体の装置面を、これらの領域でのダイヤモンド成長を抑制するため適当にマスクすることができる。この段階のダイヤモンド成長が完了したならば、最初の裏打層を残したまま用途で用いてもよく、或いはエッチング又は他の手段により除去してもよい。この最後の場合には、最終的形状は、支持多結晶質ダイヤモンド表面の両方の側に、単結晶ダイヤモンドプレートが露出されているような場合のものになる。これは、例えば、装置構造体を両方の表面上で完成させることができ、或いは装置を両面からの接点を有する単結晶ダイヤモンド層の主要部になるようにすることができる利点を有するであろう。
【0024】
本発明の特に好ましい態様である更に別の本発明の態様として、裏打層、好ましくは多結晶質ダイヤモンド層を、単結晶ダイヤモンドプレートの配列体の裏面上に成長させるか、又は他のやり方で形成する。
【0025】
a) 多結晶質ダイヤモンド層の場合には、この方法は直接ダイヤモンドとダイヤモンドとの結合、又は炭素単独結合の別の形態を形成し、重要な特徴は、単結晶ダイヤモンドプレートと多結晶質ダイヤモンドとが、それらの間に非炭素物質の中間層を用いることなく緊密に結合され、その結合が有利な熱的、電気的、機械的、及び他の連続ダイヤモンド層の性質を、実質的な程度で与えることである。用途で他の利点は、単結晶配列体とそれらの支持層との間の接合部の熱膨張整合が完全であり、後の処理で汚染を起こすような他の物質が存在せず、裏打層又は支持層と、単結晶ダイヤモンドプレート配列体の誘電性が同じで整合していることである。
【0026】
b) 別法として、裏打層は、熱可塑性又は低融点金属のような熱感応性材料、樹脂のような硬化性材料、又はCVDダイヤモンド以外の、例えば、溶媒堆積又は化学蒸着によって形成されるような堆積材料にすることができるであろう。
【0027】
CVD多結晶質ダイヤモンド層を形成するために化学蒸着を使用することは好ましい態様である。この場合、単結晶プレート配列体を配置する表面は、多結晶質ダイヤモンドのためのヘテロ核生成媒体として働き、その正確なプロファイルが、単結晶ダイヤモンド/多結晶質ダイヤモンド併用構造体の頂部表面プロファイルを制御することがある。例えば、平坦なプレートとしてタングステン又は珪素を用い、鑞付けによりそのタングステンに直接単結晶基体の最終的装置表面を結合し、その上に多結晶質ダイヤモンドの等角被覆を成長させてもよい。通常単結晶ダイヤモンド上への成長は、更に単結晶の成長を与える。しかし、多結晶質ダイヤモンドの核生成を促進させることが有利なこともあり、それは多くの方法で達成することができる。例えば、チタン又は他の金属のフラッシュ層を単結晶ダイヤモンドの取付け面上に、タングステンプレートの上に取付ける前又は取付けた後で、置いてもよく、或いはCVDダイヤモンド成長を、非常に高いメタン含有量を用いて開始し、多数の核生成を発生させてもよく、或いは単結晶ダイヤモンドの取付け表面を、例えば、ラップ盤磨きすることにより機械的に粗くすることができ、或いはこれら及び他の技術のどのような組合せを用いてもよい。
【0028】
更に別の態様は、単結晶ダイヤモンドの取付け面を、多結晶質ダイヤモンドで被覆する段階のため、一時的キャリヤーを用いることを含み、この場合その一時的キャリヤーは、最終的複合体表面を平坦とは掛け離れたものに修正する像輪郭面を有する。例えば、隆起部(ridge)により分離されたポケットの配列体は、単結晶プレートを配列すると共に、多結晶質ダイヤモンドの成長をコントロールする手段も与え、多結晶質装置表面と、多結晶質ダイヤモンド層の上表面との平坦でない最終的組合せを与えるであろう。珪素は、この製造方法で特に利点を有することがある。なぜなら、微細加工技術により像輪郭面の組合せ形成を行うため、珪素を除去するための簡単な主要操作及び化学的エッチングが比較的簡単になるためである。
【0029】
大きさ及び形が同様な一組の単結晶ダイヤモンドプレートを、それらを配列体へ取付け易くするため、用いるのが好ましい。しかし、一番上に識別できる境界を生ずることなく、単結晶ダイヤモンドを上に成長させるために用いられる連続的配列体で一緒に隣接させるように意図した一組のプレートの場合よりも、要求される誤差は遥かに小さくなる。同様に、一連の接触していないプレートを配列することは、接触タイル配列体の間の正確な配列及び均一な規則的接触を確実に与えることよりも容易である。更に、本発明では、唯一つのタイル位置、形、又は配向についての誤差は、そのタイルだけに影響を与え、ダイヤモンドウェーハ中の他のタイルには影響を与えない。
【0030】
ダイヤモンドウェーハの適用は、プレート全てが主要又は非主要表面の物理的配向を設定限界内で与えることによる利点をしばしば有するものと想定されている。これを達成するための一つの方法は、プレートの各々の一つの縁及び/又は一つの主要面を、必要な正確さで適切なやり方で調製し、その機構を、プレートを配列体へ結合する過程中、配列機構に接触させて配置するか、又はそれをピック・アンド・プレイス法で基準として用いることである。ただ一つの面を処理する場合の主要面の場合、製造表面となるこの並んだ面を、プレート結合過程中の基準面に対し配置することができ、裏面のどのような不均一性でも、その結合方法により取り込まれることになるであろう。
【0031】
好ましくは、単結晶ダイヤモンドプレートの縁又は非主要面を使用することにより、裏打層の表面に対し平行な面内にそれらプレートの非主要面の配列が、分散度(spread)(平面内に横たわる或る共通の方向について、取付けた全てのプレートの95%が±分散度値の範囲内に入るものとして定義される)が10°、一層好ましくは5°、最も好ましくは2°以内に入るように与えられるであろう。好ましくは、単結晶ダイヤモンドプレートの主要面を使用することにより、裏打層の表面に対し平行な面に対してそれらプレートの製造面の配列が、分散度(取付けた全てのプレートの95%が、裏打層の平面の垂線に対する角度を半分とした円錐内に入るものとして定義される)が5°、一層好ましくは2°、一層好ましくは1°、最も好ましくは0.5°以内に入るように与えられるであろう。
【0032】
ダイヤモンドウェーハの適用は、プレート全てが、同様な結晶学的配向を設定限界内に与えることによる利点を屡々有するものと想定されている。これを達成するため、それはプレートの各々の一つの縁及び/又は一つの主要面を、プレートの結晶配向に関し必要な正確さで調製することが一般的に必要なだけである。縁(エッジ)の場合、これを、プレートを配列体へ結合する過程中、配列機構に接触させて配置するか、又はそれをピック・アンド・プレイス法で基準として用いることであろう。ただ一つの面を処理する場合の時の主要面の場合、製造表面となるこの配列面を、プレート結合過程中の基準面に対し配置し、裏面のどのような不均一性でも、その結合方法により取り込まれることになるであろう。
【0033】
好ましくは、単結晶ダイヤモンドプレートの縁(エッジ)又は非主要面を使用することにより、裏打層の表面に対し平行な面内にそれらプレートの結晶学的配向の配列が、分散度(平面内に横たわる或る共通の方向について、取付けた全てのプレートの95%が±分散度値の範囲内に入るものとして定義される)が10°、一層好ましくは5°、最も好ましくは2°以内に入るように与えられるであろう。好ましくは、単結晶ダイヤモンドプレートの主要面を使用することにより、裏打層の表面に対し平行な面に対してそれらプレートの結晶学的配向の配列が、分散度(同じ平面を有する全てのプレートの95%が、裏打層の平面に対する垂線のに対する角度を半分とした円錐内に通常入るものとして定義される)が5°、一層好ましくは2°、一層好ましくは1°、最も好ましくは0.5°以内に入るように与えられるであろう。
【0034】
本発明のダイヤモンドウェーハ組立体の重要な用途は、それに結合した単結晶ダイヤモンドプレートをバッチ処理するための手段を与えることである。従って、重要な要件は、ウェーハについてのレイアウトが予め定められており、一つのウェーハから次のウェーハへ繰り返すことができ、そのため、例えば、直接書き込み過程のための処理マスク又は指令を設定し、修正することなく多数のウェーハに対して用いることができることである。原理的に、これは、個々のウェーハについて特定の対称性を必要とせず、一つのウェーハから次のウェーハへの反復性だけであり、個々のウェーハの裏打中の対称性又は規則性の度合いが、一般に一層充分なパッキング性及び使用し易さを与えることになる。更に、ダイヤモンドウェーハ組立体は、ウェーハを自動的に処理するために、ウェーハ取扱い装置で使用にするのに適しているのが好ましい。これをし易くするため、ダイヤモンドウェーハ組立体は、一つの端に小さな平坦部、又は他の孔、切り抜き、又は機械で読取りることができるマークのような機構を、そのようなウェーハ取扱い装置でその相対的配向を自動的に決定することができるように、持っていてもよい。
【0035】
そのような機械で読取ることができる機構は、ダイヤモンドウェーハ組立体に、ウェーハに垂直な軸の周りの配向を与えるのがよく、それは、分散度(全てのプレートの95%の配向が±分散度値の範囲内に入るものとして定義される)が5°、一層好ましくは2°、一層好ましくは1°、最も好ましくは0.5°以内に入る。
【0036】
多結晶質ダイヤモンド層と、単結晶ダイヤモンドプレートの配列体とを一緒に結合するのが好ましい。なぜなら、それは、取付け体と個々のプレートとの優れた熱膨張整合を与え、最大の熱伝導度を確実に与え、非常に高い温度での安定性を有し、プレートに対し用いられる処理温度を遥かに高いものにすることができ、単結晶ダイヤモンドプレートに対する同様な化学的不活性性を有し、その結果激しい化学的処理を用いることができるからである。更に、ウェーハを構成する個々のダイヤモンドプレートの表面に装置を製造することに続き、単結晶ダイヤモンドプレート間の多結晶質ダイヤモンド層を通って切り取ることにより、装置をウェーハから簡単に取り出すことができるが、レーザー切断が好ましいことがある。
【0037】
多結晶質CVDダイヤモンドに単結晶ダイヤモンドプレートを結合した組合せは、独特の利点を与えることができる。これは、特に単結晶ダイヤモンドプレートが意図的に広い間隔で配置されている場合の本発明の更に好ましい一つの態様の場合であり、その場合、それは、各個々の単結晶ダイヤモンド又は一群の単結晶ダイヤモンドプレートに実質的に結合した裏打(又はこの場合には取り巻いた)層を与える。これは、例えば、単に個々の単結晶ダイヤモンドプレートの基底の所だけよりも遥かに広い面積の熱吸収部を与え、或いは、例えば、高電圧又は高電力エレクトロニクスで装置を用いる場合の電気絶縁性を増大する。単結晶ダイヤモンドに多結晶質CVDダイヤモンドを直接結合することが一般に好ましいが、この適用形態は、当分野で知られている他の結合形態、例えば、接着剤又は鑞付けが用いられる場合にも依然として利点を有する。そのような場合、結合した多結晶質裏打層は、その場で更に成長させ、単結晶ダイヤモンドプレートをその中に埋めることができるであろう。この構成で用いる裏打層は多結晶質ダイヤモンドであるのが好ましいが、他の形態の裏打層を、それが適当な場合には、用いることもできる。
【0038】
本明細書の目的から、単結晶ダイヤモンド基体の表面に製造された構造体を指す用語「装置構造体」とは、最終的用途としてダイヤモンドが一つの集積部分を形成している電気装置、電子装置、光学的又は機械的装置としての機能性を与えるか、又はそれを修正するため、単結晶ダイヤモンド基体の表面中へ、又はその上に製造されたどのような異成分又は非平面状構造体でも指すものとする。例として、次のことを考慮することができるが、それに限定されるものではない:ヒータートラック(heater track)のためのインプラントされたドーピング、機械的又は熱的絶縁、又は繊維配置のために与えられた溝、例えば、レーザーダイオード配列体と共に用いられるようなもの、接点金属化が用いられた簡単なpi接合から、多層、多成分材料、及び/又は多接点装置までの簡単又は複雑な電子装置、光学的素子、例えば、電気光学的、又は光電子的用途のためのマイクロレンズ、マイクロミラーのようなもの、及び機械的構造体、例えば、ビーム、懸垂物質、及び加速度計、圧力センサー等のような電気機械的装置で用いることができるようなものである。
【0039】
装置構造体を製造するための処理工程は、一般に二つの範疇に入り、同時的な意味でのウェーハスケールになるもの、及び連続的意味でのウェーハスケールになるものである。
【0040】
同時的意味でのウェーハスケール処理の例には、リトグラフ技術、例えば、湿式エッチング又は乾式プラズマエッチングと組合せて一つ以上の金属層を与え、ダイヤモンドに電気接点を作ることが含まれる。別の例には、接点部材、又は装置の活性素子、又は均一に分布したイオンインプランテーション処理を与えるための、ドープしたダイヤモンドのようなダイヤモンド被覆、及び最終的装置で機能的素子を与えることができる他の半導体材料のような非ダイヤモンド被覆が含まれる。
【0041】
連続的ウェーハスケール処理の例は、装置の機構を書き込むために走査ビームを用いたイオンインプランテーションが含まれ、この場合、イオンインプランターは、連続的やり方で個々のウェーハ上の単結晶プレートの全配列体を自動的に処理するように予めプログラムすることができる。同様な例は、上の層又はダイヤモンド自身の中にトラックを切り込むためのレーザー処理、及び装置に小さな細部を作るためのイオンビーム切削である。
【0042】
単結晶ダイヤモンド基体及び希望の装置の相対的大きさにより、各単結晶ダイヤモンド基体に一つ以上の装置を作ることができる。二つ以上の装置をそのように形成する場合、ウェーハスケール処理の一つは、単結晶基体にレーザーにより切り込みのような溝を与え、例えば、その溝に沿って開裂することにより、後でそれら装置を分離するための手段を与えることである。
【0043】
本発明の更に別の態様は、多結晶質ダイヤモンド裏打層又は支持層により一緒に結合した単結晶プレートを、後の処理段階として、又は最終的適用として、前記裏打層又は支持層により依然として一緒に結合されたプレート群(グループ)として用いる場合である。これらの群(グループ)は、元のウェーハとして形成されたプレートの二つ以上から全集合体まで、どのような数の単結晶プレートを含んでいてもよい。本発明のこの態様では、場合によりウェーハ状態で単結晶プレートの処理を一度行い、プレートの片側又は両側の主要面に均一な光学的研磨を与えるような工程を含んでいてもよい。プレート集合体の強度を維持し、更に裏面を研磨することができるようにするため、プレートを一層広く離し、結合が、裏面に亙って生ずるよりも、むしろプレート間に生ずることが出来るようにし、例えば、多結晶質ダイヤモンド裏打層を合成する間に、一層広く間隔を開けたプレートが、プレート間の間隙中に成長物を移動させ、その場所に多結晶質ダイヤモンド層を形成することができるようにしてもよい。この適用でプレートの主要裏面上に多結晶質ダイヤモンド層が成長するのを防ぐため、裏打層のような手段を用いるのが有利であろう。そのようなプレート集合体を利用する最終的用途には、専用熱吸収体、複雑なセンサー及び電気的又は電気光学的装置としての用途、及び多数の窓をもつ光学的用途が含まれる。その場合、取り巻く多結晶質ダイヤモンドは、装置組立体の機能と一体化した部分であってもよく、例えば、熱吸収、又は付加的高電圧絶縁のための一層大きな領域を与える部分になっていてもよい。
【0044】
当業者は、本発明の目的を実現することができる数多くの更に別の態様が存在することを認めるであろう。例えば、裏打ウェーハは、単一の層である必要はなく、珪素の上の多結晶質ダイヤモンド層であってもよい。この場合、その珪素は最終的用途で除去し、多結晶質ダイヤモンド層だけに結合した単結晶ダイヤモンドを残すようにすることができる。
【0045】
本発明を、次の例により例示するが、本発明は、それに限定されるものではない。
【0046】
例1
一組のHPHT単結晶プレートを、次の基準に従って製造した:
a) 全てのプレートを、大きな欠陥又は強く歪んだ領域を示さない材料から選択した:
b) <100>の縁を持つ全てのプレートは、角が欠如することによる<100>縁の長さの減少が15%以下である:
c) 全ての<100>縁は、3.8〜4.0mmである:
d) 全ての露出主要面(製造表面)は、{100}の2°以内である:
e) 全てプレートは、それらの両側の主要面が3°以内で平行であり、全厚さが0.6mm±0.02mmである:
f) 全てのプレートは、一つの基準縁が、<100>方向に対し3°より良くなるように配列している:
g) 製造表面は、Ra<10nmまで仕上げられ、次の電子用途に適したやり方で調製されている。
【0047】
配列体を形成している単結晶プレートの裏面は、続く多結晶質ダイヤモンド層への結合を改良するため、ラップ盤で>200nmの表面仕上げまで磨いた。
【0048】
次に、これらの単結晶プレートを、個々のプレートを近づけて充填するが、わずか0.3mm間隔で離れている良く並んだ配列体になるようにする調製された配列マウントの中に配置した。ラップ盤磨きした表面を一番上にして配置した。次にそのマウントをCVDダイヤモンド反応室中に入れ、配列体の磨かれた表面上に多結晶質CVDダイヤモンドを形成した。この例では、多結晶質ダイヤモンド層は350μmの厚さであったが、多結晶質層の厚さは、もし望むならば、1又は2μmから数mmの範囲にすることができる。
【0049】
一度び配列体を多結晶質ダイヤモンド層により一緒に結合したならば、それは遥かに頑丈なものになり、単一のウェーハとして取扱うことができ、もはや個々の結晶を一緒に保持するためのマウントは不必要になった。
【0050】
多結晶質層は、もし必要ならば、ラップ盤で磨くか又は研磨することができ、多結晶表面の配列体も、もしそのように要求されるならば、後の処理工程により更に研磨することができる。
【0051】
そのようにして製造したダイヤモンドウェーハは、製造表面を更に処理して、それに電子装置を適用するのに適した単結晶ダイヤモンド基体を生成するのに適している。
【0052】
例2
一組のCVD単結晶プレートを、特許出願WO 01/96633で明らかにされた方法を用いて製造し、次に例1のa)〜g)に記載した基準まで処理した。単結晶プレートの裏面及び縁を、ラップ盤で約1μmの表面仕上げまで磨いた。
【0053】
次に、これらの単結晶プレートを、珪素で作った調製配列マウントの中に入れ、そこで、結晶が配置される平面の上に、プレートを一時的に結合してその熱を吸収するための熱伝導性ペーストの薄い層を用いて、200μmの分離リッジ(separating ridge)により、良く並んだ配列体として1.2cm間隔で個々のプレートが分離されるようにした。磨かれた表面が一番上になるようにして配置した。珪素ウェーハに微細構造体を与える方法は当業者に知られており、ウェーハの結晶配向を有する機構の正確な配列体を与える。
【0054】
次にそのマウントをCVDダイヤモンド反応室中に入れ、ラップ盤磨きした単結晶表面上の多結晶質ダイヤモンドの核生成を最初に促進するため高濃度のメタンを用いて、配列体のラップ盤磨きした表面上に多結晶質CVDダイヤモンドを形成した。多結晶質ダイヤモンド層を800μmの厚さに成長させ、次に露出したダイヤモンド面をラップ盤で平面化し、元のSiウェーハ配向平面を基準として用いてダイヤモンドウェーハ組立体の上をレーザー加工し、機械で読取ることができる配向平面にした。これは、個々の単結晶ダイヤモンドプレートの物理的配向を分散度2°以内に設定することができ、自動ウェーハ取扱い装置に関してはウェーハ組立体について1°未満の配向分散度、自動ウェーハ取扱い装置により与えられる機構配向については3°以内に設定することができた。同様に、この方法は、個々の単結晶ダイヤモンドプレートの結晶学的配向を分散度4°以内に設定することができ、自動ウェーハ取扱い装置に関してはウェーハ組立体について1°未満の配向分散度、自動ウェーハ取扱い装置により与えられる機構配向については5°以内に設定することができた。
【0055】
次に、珪素をエッチング除去することにより、単結晶プレートの装置表面を露出した。次に試験の目的で、単結晶ダイヤモンドプレートの装置表面中又はその上に、インプランテーション工程、イオンビーム又はプラズマによるエッチング工程、マスク適用工程、更にCVD合成工程の組合せを用いて種々の簡単な加熱用素子装置を形成し、主要部処理能力を評価し、Bドープ伝導性加熱用トラック及び接点パッドを与えた。
【0056】
次に、レーザーを用いて単結晶プレート間で多結晶質層を分割し、次にその装置の熱的挙動を試験した。単結晶層に直接結合した多結晶質ダイヤモンド層は、中間的鑞付け又は他の形式の結合を用いた同様な構造体よりも、遥かに良好で一層一貫した熱吸収能力を与え、一層高い電力装置を一層低い温度で操作できるようにするであろう。
【0057】
例3
一組のCVD単結晶プレートを、特許出願WO 01/96633で明らかにされた方法を用いて製造し、次に例1のa)〜g)に記載した基準まで処理した。但し、両方の主要面を電子用途に適するように調製した点を加えた。次に、各単結晶プレートの一方の面を、その面を後で回復し易くする材料の層で被覆した。用いた材料には、珪素及びタングステンが含まれており、用いた技術には、蒸着及びスパッタリングが含まれていた。それらの層は、典型的には、5〜15μmの厚さであった。次に、単結晶プレートの縁(エッジ)をラップ盤で約2μmの表面仕上げまで磨き、多結晶質ダイヤモンドの核生成を促進するようにした。
【0058】
次に、異なった表面回復被覆で処理した各バッチを、珪素で作った調製配列マウントの中に別々に入れ、そこで、結晶が配置される平面の上に、プレートを一時的に結合してその熱を吸収するための熱伝導性ペーストの薄い層を用いて、100μmの分離リッジにより、良く並んだ配列体として1.2cm間隔で個々のプレートが分離されるようにし、被覆した表面を露出させるようにした。次にその組立体をCVDダイヤモンド反応室中に入れ、ラップ盤磨きされた単結晶表面上の多結晶質ダイヤモンドの核生成を最初に促進するため高濃度のメタンを用いて、結晶配列体の間及び上に多結晶質CVDダイヤモンド層を成長させた。多結晶質ダイヤモンド層を650μmの厚さに成長させた。反応器から取り出した後、表面回復被覆の上に横たわる非平面状多結晶質ダイヤモンド表面をラップ盤で磨いて平面化し、更に薄くして表面回復被覆を露出させた。この最終的薄層化は、ある場合にはラップ盤磨きにより行い、ある場合には高温金属薄化を用いて行い、自然エッチング停止物として表面回復被覆を用いた。最後に、化学エッチングにより単結晶プレートから被覆回復被覆を除去した。これにより、埋められていた単結晶ダイヤモンドプレートが両方の表面に露出した約480μmの厚さの多結晶質ダイヤモンド層を与え、その単結晶の両表面は、電子用途のために既に適切に調製されていた。この方法は、裏打層によって定められる平面に対し分散度2°以内にプレートの主要面の物理的配向を与え、同様に、基体の初期調製により、裏打層によって定められる平面に対し分散度4°以内にプレートの主要面の結晶学的配向を与えた(即ち、プレートの少なくとも95%の{100}面が、ダイヤモンドウェーハ組立体の一部を構成している裏打層の平面の4°以内にあった)。
【0059】
これらの構造体から3種類の装置を製造した。第一は、反射防止被覆を有する光学的窓であり、この場合、AR被覆は、一つのバッチとして全配列体を横切って製造することができた。第二のものは検出器装置で、この場合、電荷ピックアップ及び接点バッドを、ウェーハスケール技術を用いて単結晶プレートの両側に製造することができた。第三の種類の装置は、光学的又は電子ビーム活性化高電圧スイッチで、この場合もウェーハスケール処理を用いて処理した。
【0060】
レーザーを用いて多結晶質ダイヤモンド層を分離し、個々の小さな単結晶プレート群が多結晶質ダイヤモンドフレームで囲まれたものを与え、最終的試験を行なった。
【0061】
付加的多結晶質フレームは、a)単結晶ダイヤモンド窓を取り付け及び冷却する手段、b)検出器の取り付け及びその取扱いを改良し、検出器配列体を与える手段、及びc)高電圧スイッチのためのフラッシュオーバーの危険に対し有用な電気的絶縁を与える手段を与えた。
【0062】
例4
一組のCVD単結晶プレートを、特許出願WO 01/96633で明らかにされた方法を用いて製造し、次に、例1のa)〜g)に記載した基準まで処理した。
【0063】
単結晶プレートの側面及び裏面を、後の多結晶質ダイヤモンド層への結合を改良するため>500nmの表面仕上げまでラップ盤で磨き、プレート状装置を粘着性又は触覚(tactile)表面上に配列体として面を下にして配置し、それれらの位置を維持した。プレートの各々の上に鑞付けペーストを置き、次に多結晶質ダイヤモンドウェーハのラップ盤磨きした表面を鑞付けペーストに接触させ、その融点(約800℃)まで全組立体を加熱し、更にバッチ処理するのに適切な単結晶ダイヤモンドプレートの一つのウェーハ配列体を形成した。
【0064】
例5
一組のHPHT単結晶プレートを、特許出願WO 01/96633で明らかにされた方法を用いて、一つの表面上に薄い(20μm)厚さの装置品質のCVDダイヤモンドを成長させることにより製造し、次に、例1のa)〜g)に記載した基準まで処理した。各プレートの裏面をラップ盤で>500まで磨いた。
【0065】
珪素ウェーハの上に直径100mm、厚さ300μmの多結晶質CVDダイヤモンド円板を形成し、次にその表面をラップ盤で磨いて5μmRaまで平らにした。多結晶質ダイヤモンド被覆を持たない第二珪素ウェーハを調製した。
【0066】
次に各ウェーハを次のように処理した:
単結晶ダイヤモンドプレートの各々のラップ盤磨きした面に鑞付けペーストを適用し、次にピック・アンド・プレイス技術を用いて、それぞれをウェーハの上に配置した。ウェーハに単結晶ダイヤモンドプレートの配列体を完全に植え付けた後、コンプレッサー板を単結晶ダイヤモンドプレートの上面に接触させ、正確な高さ/平坦性を確実に与え、次に組立体をその鑞付けを溶融するのに充分加熱し、単結晶ダイヤモンドプレートをウェーハに固定し、更にバッチ処理するのに適した単結晶ダイヤモンドプレートの一つのウェーハ配列体を形成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶ダイヤモンド基体を処理する方法で用いるためのダイヤモンドウェーハ組立体において、支持層に固定された複数の単結晶ダイヤモンドプレートで、それぞれの固定された単結晶ダイヤモンドプレートの主要表面の少なくとも一つが、更に処理するため露出された製造表面を定めるように、実質的に平面状の配列で支持層に固定された複数の単結晶ダイヤモンドプレートを含む、ダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項2】
それぞれの固定単結晶ダイヤモンドプレートの主要表面のただ一つが更に処理するため露出しており、支持層が、前記固定単結晶ダイヤモンドプレートのための、各製造表面とは反対側の裏打層を形成している、請求項1に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項3】
それぞれの固定単結晶ダイヤモンドプレートの主要表面の両方が更に処理するため露出されており、支持層が、各固定単結晶ダイヤモンドプレートの間に伸びている、請求項1に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項4】
単結晶ダイヤモンドプレートが、CVDダイヤモンドプレートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項5】
単結晶ダイヤモンドプレートが、予め定められた配列体として配列されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項6】
予め定められた配列体が規則的であり、各格子点に一つ以上のプレートが伴われた二次元配列格子点に基づいている、請求項1に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項7】
ダイヤモンドウェーハ組立体が、自動ウェーハ取扱い装置に適し、機械で読取ることができる配向機構を与え、ダイヤモンドウェーハ組立体の配向を、その垂直軸の周りに、或る限界内で与える、請求項1〜6のいずれか1項に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項8】
機械で読取ることができる配向機構が、分散度5°以内で配向を達成できるようにしている、請求項7に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項9】
それぞれの製造表面が、一つの概念的平面に対し規定された誤差内に入る、請求項1〜8のいずれか1項に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項10】
それぞれの製造表面の概念的平面に対する誤差が、約100μmより小さい、請求項9に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項11】
それぞれの製造表面の概念的平面に対する誤差が、約10μmより小さい、請求項10に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項12】
それぞれの製造表面の概念的平面に対する誤差が、約5μmより小さい、請求項11に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項13】
それぞれの製造表面の概念的平面に対する誤差が、約3μmより小さい、請求項12に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項14】
それぞれの製造表面の概念的平面に対する誤差が、約1μmより小さい、請求項13に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項15】
それぞれの製造表面の概念的平面に対する誤差が、約0.2μmより小さい、請求項14に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項16】
単結晶ダイヤモンドプレートが、良く並んだ配列体として一緒に隣接して配列されている、請求項1〜15のいずれか1項に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項17】
単結晶ダイヤモンドプレートが、良く並んだ配列体として配列され、予め定められた間隔を開けて互いに配置されている、請求項1〜15のいずれか1項に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項18】
支持層が、単結晶ダイヤモンドプレートの少なくとも一部分を前記支持層中に埋め込むように、各単結晶ダイヤモンドプレートの間の間隙内に伸びている裏打層を含む、請求項17に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項19】
支持層が、多結晶質CVDダイヤモンド支持層である、請求項1〜18のいずれか1項に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項20】
単結晶ダイヤモンドプレートが、予め定められた配列体として配列され、ウェーハに対するそれらの物理的配列が規定された限界内にある、請求項1〜19のいずれか1項に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項21】
支持層の平面に平行な単結晶ダイヤモンドプレートの物理的配向が、分散度10°以内入る、請求項20に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項22】
支持層の平面に平行な単結晶ダイヤモンドプレートの物理的配向が、分散度5°以内入る、請求項21に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項23】
単結晶ダイヤモンドプレートの物理的配向が、裏打層の表面に平行な平面に対し前記プレートの製造面の配列を分散度5°以内になるように含む、請求項20〜22のいずれか1項に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項24】
単結晶ダイヤモンドプレートが、予め定められた配列体として配列され、ウェーハに対するそれらの結晶学的配列が規定された限界内にある、請求項1〜23のいずれか1項に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項25】
支持層の平面に平行な単結晶ダイヤモンドプレートの結晶学的配向が、分散度10°以内入る、請求項24に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項26】
支持層の平面に平行な単結晶ダイヤモンドプレートの結晶学的配向が、分散度5°以内入る、請求項25に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項27】
単結晶ダイヤモンドプレートの結晶学的配向が、裏打層の表面に平行な平面に対し前記プレートの製造面の配列を分散度5°以内になるように含む、請求項24〜26のいずれか1項に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項28】
単結晶ダイヤモンドプレートが、接着部材により支持層に結合されている、請求項1〜27のいずれか1項に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項29】
単結晶ダイヤモンドプレートが、接着剤又は金属鑞付けにより支持層に結合されている、請求項28に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項30】
単結晶ダイヤモンドプレートが、ダイヤモンドとダイヤモンドとの結合により支持層に結合されている、請求項28に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項31】
組立体を、支持層が単結晶ダイヤモンド基体(単数又は複数)よりも大きい領域を有する一つ以上の単結晶ダイヤモンド基体へ分離することができる、請求項1〜15及び17〜30のいずれか1項に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項32】
支持層に取り付けた単結晶ダイヤモンド基体を、光学的、熱的、機械的、又は電子的用途、又はそれらの組合せで用いることができる、請求項31に記載のダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項33】
それぞれ一対の相対する主要表面を有する複数の単結晶ダイヤモンドプレートを与え、然も、前記主要表面の一方又は両方が製造表面を定める工程、前記ダイヤモンドプレートを、実質的に平面状の配列として支持層に固定し、ダイヤモンドウェーハ組立体を形成し、必要に応じ、前記製造表面を処理して各単結晶ダイヤモンド基体を生成させる工程を含む、単結晶ダイヤモンド基体の製造方法。
【請求項34】
支持層を、集約的に又は個々に単結晶ダイヤモンドプレートに結合する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
支持層を、接着部材により単結晶ダイヤモンドプレートに結合する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
支持層を、単結晶ダイヤモンドプレートに接着又は鑞付けする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
支持層を、ダイヤモンドとダイヤモンドとの結合により単結晶ダイヤモンドプレートに結合する、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
製造表面を処理して、単結晶ダイヤモンド基体上に電子又は他の装置機構を与える、請求項33〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
電子又は他の装置機構を、リトグラフ処理技術により形成する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
電子又は他の装置機構を、機械的処理技術により形成する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
支持層を、それぞれの単結晶ダイヤモンドプレートのための裏打層として形成し、それらの主要表面のただ一つだけを更に処理するために露出させる、請求項33〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
支持層を、それぞれの単結晶ダイヤモンドプレートの間に形成し、それらの主要表面の両方を更に処理するために露出させる、請求項33〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
支持層が多結晶質CVDダイヤモンド支持層である、請求項33〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
ダイヤモンドウェーハ組立体を開裂し、個々の単結晶ダイヤモンド基体又はそのグループを生成する、請求項33〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
ダイヤモンドウェーハ組立体を、個々の基体又はそのグループの上に残留する支持層が、個々の基体又はそのグループに対し領域としてそれぞれ補足的であるような仕方で開裂する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
ダイヤモンドウェーハ組立体を、個々の基体又はそのグループの上に残留する支持層が、個々の基体又はそのグループよりも、それぞれ領域として大きくなるような仕方で開裂する、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
単結晶ダイヤモンドプレートの各々が、そのプレートの結晶学的配列に支持層を与えるように調製された一つ以上の非主要表面を有する、請求項33〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
一つ以上の非主要表面を、支持層上の細部又は前記方法で用いられる一時的基体と接触させ、プレートの結晶学的配列に支持層を与える、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
多結晶質ダイヤモンド支持層中に埋め込まれるか、或いはその層にダイヤモンドとダイヤモンドとの結合又は他の炭素単独結合の形態により結合された一つ以上の処理された単結晶ダイヤモンドプレートを含み、然も、前記多結晶質ダイヤモンド支持層が、前記一つ以上の処理された単結晶ダイヤモンドプレートよりも大きい領域を有する、処理されたダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項50】
多結晶質ダイヤモンド支持層が、処理されたダイヤモンドウェーハ組立体のための機械的支持性、熱吸収性、電気絶縁性、又は高い破壊電圧特性の一つ以上を与える、請求項49に記載の処理されたダイヤモンドウェーハ組立体。
【請求項51】
処理されたダイヤモンドウェーハ組立体が、光学的、熱的、機械的、電気的、電子的、及びそれらの組合せから選択された用途で用いられる、請求項49又は50に記載の処理されたダイヤモンドウェーハ組立体。

【公表番号】特表2007−500439(P2007−500439A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521690(P2006−521690)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002391
【国際公開番号】WO2005/010245
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(503458043)エレメント シックス リミテッド (45)
【Fターム(参考)】