説明

ダイヤモンド状物誘導体を含むフォトレジスト組成物

新規なポジティブ・ワーキング・フォトレジスト組成物が開示されている。該レジストの原樹脂のモノマーは、ポリマンタン系においてアダマンタンよりも高級なダイヤモンド状核含有側基、例えば、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン等を含有している。該ダイヤモンド状核含有側基は、水酸基のような親水性増進置換基を有することが出来、ラクトン基を含有することが出来る。本組成物の利点には、改良された解像度、感度、及び基体への接着性が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般にエキサイマレーザー及び電子ビームのリソグラフィ光源と共に用いられる高性能フォトレジスト組成物を対象にしている。具体的に、本発明のフォトレジスト組成物は、重合性官能価および親水性増進官能価を有するダイヤモンド状物誘導体を含有する。本発明のダイヤモンド状物には、アダマンタン、ジアマンタン、及びトリアマンタンの様な低級ダイヤモンド状物の他にテトラマンタン、ペンタマンタン、及びより高級な化合物のようなダイヤモンド状物が含まれる。
【背景技術】
【0002】
より高い回路密度を有する装置に対する需要が増加するにつれて、光リソグラフィにおいてより短い波長の光源が使用されるようになった。248nmの波長で操作されるKrF(弗化クリプトン)エキサイマレーザーによるリソグラフィは、0.25〜0.13ミクロンで変動する特色寸法を有する装置の製造に使用されている。マイクロ電子デバイスの小型化における急速な進歩、及び回路密度がますます大きくなる装置に対する需要は、193nmにおけるArF(弗化アルゴン)エキサイマレーザーによるリソグラフィを用いて使用される新規な像形成性ポリマーフォトレジスト材料の発展を必要としており、また極紫外及びやわらかいx線方式で操作出来るレジスト材料に対する展望の必要がある。「半導体のための全国的工業ロードマップ(The National Technology Roadmap for Semiconductors)」(半導体工業会、サンノゼ、カリフォルニア州、1997年)によれば、次の最も有望な候補は157nmで操作されるF光源である。
【0003】
従来のg線(436nm)及びi線(365nm)フォトレジストは、高解像度、高感度、及び良好な乾燥対腐食性の点でバランスが良いが、それらは典型的にノボラック原樹脂およびジアゾナフトキノンPAC(光活性化合物)を含んでおり、それらの両方が約365nmより下の波長を有する光を吸収するフェノール性成分を含んでいる。従って、フェノール性成分に基づくレジストは、193nmで完全に不透明なので、ArFリソグラフィにおいて見出されるような比較的短い波長方式では使用することが出来ない。入射輻射線は該レジストの全厚を貫通することが出来ないのである。これは、0.25ミクロン及び0.18ミクロン世代の装置に用いられる波長である248nm(KrF)において重大な問題である。
【0004】
フォトレジストは基体上に像を移動させるのに使用される材料である。フォトレジスト(又は「レジスト」)の層が基体上に形成され、次にマスクを通して輻射線源に露出される。該マスクは、該輻射線に対して不透明ないくつかの領域と透明ないくつかの領域を有している。輻射線に露出されるフォトレジストの部分は化学的変換を受けるので、マスクの模様がフォトレジスト層に移動され、該フォトレジスト層は現像後、下に横たわる基体を選択的に処理するのに使用出来るレリーフ像を提供する。
【0005】
一般に、フォトレジスト組成物は少なくとも樹脂結合剤と光活性剤を含む。今日使用されている「化学的に増幅された」レジストは、ミクロンより小さな像の形成や他の高性能用途のために開発された。それらは、陽画形成性であっても良いし、或いは陰画形成性であっても良い。陽画形成性レジストの場合、輻射線に露出される領域は現像液により溶解性となるが、露出されない領域は現像液に比較的より不溶性のままでいる。カチオン性開始剤は、フォトレジスト結合剤樹脂から垂れ下がった若干の「ブロック基」のへき開、又はフォトレジスト結合剤主鎖を構成する若干の基のへき開を誘発するのに使用される。フォトレジスト層の光線への露出によりブロック基がへき開すると、カルボン酸又はイミドのような塩基溶解性官能基が形成され、それによりレジスト層の露出領域および非露出領域の現像液溶解性に相違が生ずる。
【0006】
「珪素超大規模集積回路技術(Silicon VLSI Technology)」(Prentice Hall、Upper Saddle River、ニュージャージー州、2000年)221〜226頁においてJ.D. Plummer等により教示されているように、今日使用されている遠紫外(DUV)レジストは変性ノボラックレジストではない。今日使用されている遠紫外(DUV)フォトレジスト材料は、「化学的増幅」と呼ばれる現象を利用する化学に基づいている。365nm及び248nmで操作されるように設計された従来のレジスト材料は、約0.3の量子効率を達成したが、これは、入ってくる光子の約30パーセントが光活性化合物と相互に作用して該レジストを露出させたことを意味する。
【0007】
Plummerによれば、DUVレジストは図1に説明された異なる原理で作用する。図1を参照すると、入ってくる光子は光酸発生成分(PAG)101と反応して酸分子102を造り出す。酸分子102はその後の抵抗性焼付けの間触媒として作用し露出領域におけるレジストの性質を変化させる。光酸発生成分101は化学反応を開始し、それによりレジストは、輻射線への露出後に起こるその後の現像工程で現像液に溶解性となる。該反応は触媒的であり、酸分子102は各化学反応の後で再生し、従って数十の又は数百の更なる反応にも参加することが出来るのである。これが、化学的に増幅されたレジストにおける全量子効率を1よりもずっと大きくさせ、化学的に増幅されたレジストの感度を、従来のジアゾナフトキノンに対する約100mJcm−2という以前の値から新しい化学的に増幅された紫外フォトレジストに対する約20〜40という現在の値へと改良する原因なのである。
【0008】
化学的に増幅されたフォトレジストの原理は図1に説明されている。再び図1を参照すると、本発明のフォトレジストは、一般的に、光酸発生成分101、及び付着分子104(図1には「不溶性」と更にラベルが付けられている)のために現像液に不溶性であるブロックされた又は保護されたポリマー103を含む。入射遠紫外光子は光酸発生成分101と相互に作用して酸分子102を造り出す。レジスト内の酸分子102の分布様式は、マスク模様の「貯蔵された」、即ち潜在的像を造り出す。露出後、処理を受ける基体は、露出後焼付け(PEB)と呼ばれる処理において約120℃の温度で焼付けられる。露出後焼付けからの熱が酸分子102と不溶性側基104との間の反応に必要なエネルギーを提供し、そこで該反応が起こることになるのである。露出後焼付けからの熱は酸分子102とポリマー主鎖103に付着した不溶性側基104との間の反応に必要なエネルギーを提供し、更に露出後焼付けからの熱は酸分子102が未反応側基104を捜し出すための拡散易動度をも提供し、これがこの反応の触媒的性質の本質をなすのである。
【0009】
露出後焼付けの間、不溶性側基104は溶解性側基105に変換されるか、又はポリマー鎖103から剥離される。いずれの場合にも、不溶性ブロックトポリマーは水性アルカリ性現像液に溶解性の非ブロックトポリマーに変換される。
【0010】
鎖103を含むポリマーは、処理が容易で、機械的に強く、熱的に安定なポリアミド、ポリイミド、ポリエステル,及びポリカーボネートの様なポリマーを含むことが出来、従ってマイクロ電子技術産業において重要な材料となっている。脂環式環や他のケージ化炭化水素を含む多環式炭化水素置換基の導入は、得られるポリマーの機械的および熱的性質を改良しながら、より大きな溶解性および増進された剛性を付与することが示されている。以前の研究は、193nmレジスト中へのアダマンチル(adamantyl)基の導入を含んでいたが、出願人の知る限り、原樹脂構造中へアダマンタンより高級な任意のダイヤモンド状化合物を組入れる以前の試みは全く存在しない。これらの組成物はジアマンタン及び(又は)トリアマンタンのような低級ダイヤモンド状化合物をレジスト構造中へ組入れることも出来るし、或いはそれらはテトラマンタン及びそれよりも高級なダイヤモンド状化合物を含むことも出来る。
【0011】
多くの場合、光酸発生成分を使用すると、比較的弱い光酸および110℃以下のような比較的低い露出後焼付け(PEB)温度しか必要としないレジスト組成物が生成するので、顕著な利点が示されるであろう。例えば、もしも比較的弱い酸を用いて所望の脱保護化学反応を行うことが出来るならば、より広い範囲の光酸発生成分を潜在的に使用することが出来るであろう。更に、該産業は、均一性を考慮するため露出後焼付け温度の低下を探し続ける。
【0012】
かくして、193nmや157nmのような200nmより下の波長領域で効果的に像を形成することが出来る新規なフォトレジスト組成物、特に陽画形成性フォトレジスト組成物を得ることが有利であろう。光酸発生成分を使用したフォトレジスト組成物を提供することも又望ましい。
【0013】
ダイヤモンド状化合物族の最小メンバーであるアダマンタンは、縮合度の高い、例外的に安定な炭化水素化合物である。アダマンタン及び或る範囲のアダマンチル誘導体は、数年間市販されている。これによりアダマンタンは、大きな安定して嵩張った炭化水素成分が望まれる場合、種々様々の化学構造体族において正規の置換基となった。アダマンチル基は、ポリマーにおいて見出され、陽画フォトレジスト材料の構成成分として現在使用されている。
【0014】
ジアマンタンも縮合度の高い炭化水素化合物である。それは、二つの面縮合アダマンタン単位から作り上げられている。それは、合成することが出来るが、石油中にも自然に存在し、天然ガス流のような種々の深井戸炭化水素流から単離することも出来る。種々のモノ及びポリハロゲン化物、モノ及びジヒドロキシ物質、モノ及びジカルボン酸誘導体、モノ及びジアルキニル、及びモノ及びジアミンを含めて、多数のジアマンタン誘導体が文献に報告されている。更に、多数のジアマンタン含有ポリマーが文献に存在するが、一般的にこれらの物質は、ジアマンタンがポリマー主鎖の不可欠な部分を形成するように、ジアマンタンを二つ以上の結合によってポリマー中に結合させているように思われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
今や我々は、ジアマンチル(diamantyl)側基を有するポリマーを形成することが出来るジアマンタン誘導体族の提供を望むものである。尚、これらの誘導体は、それらが形成するポリマーに望ましい性質を付与するために、更なる官能価を含有することが出来る。
【0016】
本発明の態様は、ArFエキサイマレーザーからの193nm波長、157nm F光源、又は電子ビーム励起のような、約200nmより短いリソグラフィ波長で使用出来るポジティブ・ワーキング・フォトレジスト組成物を対象とする。本レジスト組成物の原樹脂は、ポリマンタン系においてアダマンタンより一般に高級な酸分裂性ダイヤモンド状側基を含有する。該ダイヤモンド状側基は、それらの親水性を増加させる置換基を有し、それによりそれらをアルカリ現像液により溶解性となし、その結果微小な特色サイズを解像する能力を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の態様には、具体的に、式 Pg−D−(R)(式中、Dはジアマンチル核であり、Pgは該ジアマンチル核の炭素に共有結合した重合性基であり、nは1〜6の範囲の整数であり、Rの少なくとも一つは、親水性増進成分であり、そして残るRの各々は水素および親水性増進成分から成る群から独立に選択される)を有する重合性ジアマンチルモノマーが含まれる。これらのジアマンチルモノマーの親水性増進成分は水酸基−OH、カルボキシル基−COOH、アルコキシ基−OCH又は−OC、ケト基−C(O)−、及び−OC(O)−OCH又は−OC(O)−OCから成る群から選択することが出来る。
【0018】
本発明の他の態様は、上述のジアマンチルモノマーのものと同様な重合性基および親水性増進成分を有するトリアマンチルモノマーの他に、重合性基および親水性増進成分を有するダイヤモンド状物含有モノマー(該ダイヤモンド状物含有モノマーのダイヤモンド状部分はテトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン、及びウンデカマンタンから成る群から選択される)をも又提供する。
【0019】
本発明の他の態様は、基体の表面上に模様入りフォトレジストの層を形成する方法であって、
a) 上述の、重合性基および親水性増進成分を有するジアマンチル、トリアマンチル、及びそれらより高級なダイヤモンド状物含有モノマーを含む層を基体の表面上に沈着させ、
b) 沈着させた該モノマーを重合して感光性ポリマーを含む重合層を該基体の表面上に生成し、そして
c) 該重合層の選択された領域を電磁ビームに露出させ、それにより電磁ビームに露出させた領域の感光性ポリマーを変性して選択的に変性された層を生ずる
諸工程を含む前記方法を提供する。
【0020】
他の態様において、該レジストの原樹脂は、一般式:
【化1】


(式中、Rは−H及び−CHから成る群から選択され、
は−H、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、及び1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基から成る群から選択され、
は−H、又は水酸基−OH、ケト基、カルボン酸基−COOH、アルコキシ基−OR、及び−OC(O)ORから成る群から選択される親水性増進成分であり、
は−CH又は−Cであり、
aは0.25〜0.75であり、
b+c=1−a、
cは零よりも大きく、そして
は非ダイヤモンド状酸分裂性側基である)
により表わすことが出来る。
【0021】
本発明の他の態様によれば、該原樹脂のダイヤモンド状側基はラクトン基を含有することが出来るので、それらは一つより多くのエステル結合基によりポリマー主鎖に結合することが出来、それにより光発生酸が反応出来る多数の場所を提供する。これにより、選択すべき、より弱い任意の酸、より低い露出後焼付け温度、及びより非常に様々な光酸発生成分が許容されるという長所が得られる。該ダイヤモンド状側基はラクトン基の酸素原子に加えて異原子を含有することが出来る。該異原子はO,N,B,S,及び(又は)Pの群から選択することが出来る。ブロック共重合体も又意図されている。
【0022】
〔発明の詳細な説明〕
本発明の態様は、ポジティブ・フォトレジスト組成物の原樹脂の側基としてダイヤモンド状物を含む。本明細書は次のように編成する、即ち、先ず、ダイヤモンド状物という用語を定義し、続いて、石油供給原料からのダイヤモンド状物の単離方法、単離されたそれらダイヤモンド状物の誘導体化、及び次に誘導体化されたダイヤモンド状物のフォトレジスト原樹脂への重合を説明する。
【0023】
ダイヤモンド状物の定義
「ダイヤモンド状物」(“diamondoids”(ダイヤモンドイド))という用語は、アダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン、ウンデカマンタン等、及びそれらのあらゆる異性体および立体異性体を含めたアダマンタン系の置換および非置換ケージ化化合物のことを言う。これらの化合物は「ダイヤモンド状」形状を有しているが、それはそれらの炭素原子配列を面心立方(FCC)ダイヤモンド格子の断片に重ね合わせることが出来ることを意味する。置換ダイヤモンド状物は、1〜10個、好ましくは1〜4個の独立に選択されたアルキル置換基を含む。ダイヤモンド状物は、本明細書に定義される「低級ダイヤモンド状物」および「ダイヤモンド状物」の他に、それらの任意の組合せ混合物をも又含む。
【0024】
「低級ダイヤモンド状物」という用語は、アダマンタン、ジアマンタン並びにトリアマンタン、及び、アダマンタン、ジアマンタン並びにトリアマンタンの非置換並びに置換誘導体の任意の一つ及び(又は)すべてのことを言う。これらの低級ダイヤモンド状成分は如何なる異性体又はキラリティーをも示さず、容易に合成され、「ダイヤモンド状物」から区別される。
【0025】
「ダイヤモンド状物」という用語は、任意の及び(又は)すべての置換および非置換テトラマンタン成分;任意の及び(又は)すべての置換および非置換ペンタマンタン成分;任意の及び(又は)すべての置換および非置換ヘキサマンタン成分;任意の及び(又は)すべての置換および非置換ヘプタマンタン成分;任意の及び(又は)すべての置換および非置換オクタマンタン成分;任意の及び(又は)すべての置換および非置換ノナマンタン成分;任意の及び(又は)すべての置換および非置換デカマンタン成分;任意の及び(又は)すべての置換および非置換ウンデカマンタン成分;の他にテトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン、及びウンデカマンタンの上記成分および異性体および立体異性体の混合物のことをも言う。
【0026】
アダマンタンの化学は、Chem.Rev.64巻、277〜300頁の「アダマンタン:ダイヤモンド状構造の帰結」においてFort,Jr.等により概説されている。アダマンタンは、ダイヤモンド状系の最小メンバーであり、単一ケージ結晶副単位と考えられる。ジアマンタンは2個の副単位を含み、トリアマンタンは3個を含み、テトラマンタンは4個を含み、以下同様である。アダマンタン、ジアマンタン、およびトリアマンタンには唯一つの異性体形が存在するが、テトラマンタンには4個の異なる異性体(それらの二つは鏡像異性対を表す)が存在する、即ち、4個のアダマンタン副単位を配列するための4個の可能な異なる方法が存在する。可能な異性体の数は、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン等のダイヤモンド状系の各メンバーが高級になるに従って非直線的に増加する。
【0027】
アダマンタンは、市販されているので、広く研究されている。該研究は、熱力学的安定性、官能性付与、およびアダマンタン含有物質の性質のような多数の分野を対象としている。例えば、以下の特許はアダマンタン副単位を含む物質を検討している、即ち、米国特許第3,457,318号はアルケニルアダマンタンからのポリマーの製造を教示し;米国特許第3,832,332はアルキルアダマンタンジアミンから形成されたポリアミドポリマーを教示し;米国特許第5,017,734号はアダマンタン誘導体からの熱的に安定な樹脂の形成を論じ;そして米国特許第6,235,851号は種々のアダマンタン誘導体の合成および重合を報告している。
【0028】
対照的に、ダイヤモンド状物は科学文献において比較的にほとんど注目を浴びていない。McKervay等は、Tetrahedron、36巻、971〜992頁(1980年)の「大きなダイヤモンド状炭化水素への合成的接近」において、骨の折れる多数工程法を用いたanti−テトラマンタンの低収率合成を報告している。本発明者の知る限り、これが今迄に合成された唯一のダイヤモンド状物である。Lin等は、Fuel、74(10)巻、1512〜1521頁(1995年)の「深油層におけるテトラマンタン(C2228)、ペンタマンタン(C2632)、及びヘキサマンタン(C3036)の自然発生」に報告されているように、質量分析研究を考慮して深油層におけるテトラマンタン、ペンタマンタン、及びヘキサマンタンの存在を示唆したが、単離はしなかった。ダイヤモンド状物含有原料油の蒸留後のポット物質におけるテトラマンタン及びペンタマンタンの存在の可能性は、米国特許第5,414,189号においてChen等により論じられている。
【0029】
4種のテトラマンタン構造体は、Tetrahedron 34巻、4599〜3606頁(1978年)の「ダイヤモンド炭化水素−Iの体系的分類および命名法」においてBalaban等により確立された規則に従ったこれらダイヤモンド状物に対する角かっこ付き命名法を用いると、iso−テトラマンタン〔1(2)3〕、anti−テトラマンタン〔121〕、及びskew−テトラマンタン〔123〕の二つの鏡像異性体である。4種のテトラマンタンはすべて式C2228(分子量292)を有する。10種のペンタマンタンが存在する可能性があり、9種は分子式C2632(分子量344)を有し、これらの9種の中には〔12(1)3〕、〔1234〕、〔1213〕により一般に表される3対の鏡像異性体と〔12(3)4〕、〔1(2,3)4〕、〔1212〕により表される9種の鏡像異性ペンタマンタンが存在する。又、分子式C2530(分子量330)により表されるペンタマンタン〔1231〕も存在する。
【0030】
ヘキサマンタンは39種の構造で存在する可能性があり、28種は分子式C3036(分子量396)を有し、これらの中6種は対称的であり、10種のヘキサマンタンは分子式C2934(分子量382)を有し、残りのヘキサマンタン〔12312〕は分子式C2630(分子量342)を有する。
【0031】
ヘプタマンタンは160種の構造で存在する可能性があると仮定されており、85種は分子式C3440(分子量448)を有し、これらの中7種はアキラル性で鏡像異性体を有さない。残りのヘプタマンタンの中で、67種は分子式C3338(分子量434)を有し、6種は分子式C3236(分子量420)を有し、残りの2種は分子式C3034(分子量394)を有する。
【0032】
オクタマンタンは8個のアダマンタン副単位を有し、5種の異なる分子量を有して存在する。オクタマンタンの中で、18種が分子式C3438(分子量446)を有する。又オクタマンタンは分子式C3844(分子量500);C3742(分子量486);C3640(分子量472);及びC3336(分子量432)をも有する。
【0033】
ノナマンタンは、以下の分子式、即ち、C4248(分子量552)、C4146(分子量538)、C4044(分子量524)、C3842(分子量498)、C3740(分子量484)、及びC3436(分子量444)を有し、6族の異なる分子量内で存在する。
【0034】
デカマンタンは7種の異なる分子量の族内で存在する。デカマンタンの中で、分子式C3536(分子量456)を有する単一のデカマンタンが存在するが、それはその他のデカマンタンに対して構造的に小型である。その他のデカマンタン族は分子式:C4652(分子量604);C4550(分子量590);C4448(分子量576);C4246(分子量550);C4144(分子量536);及びC3840(分子量496)を有する。
【0035】
ウンデカマンタンは8種の異なる分子量の族内で存在する。ウンデカマンタンの中で、分子式C3940(分子量508)を有する2種のウンデカマンタンが存在するが、それらはその他のウンデカマンタンに対して構造的に小型である。その他のウンデカマンタン族は分子式:C4142(分子量534);C4244(分子量548);C4548(分子量588);C4650(分子量602);C4852(分子量628);C4954(分子量642);及びC5056(分子量656)を有する。
【0036】
石油供給原料からのダイヤモンド状物の単離
回収出来る量のダイヤモンド状物を含有する原料油は、例えば、天然ガス凝縮物やクラッキング、蒸留、コークス化処理等から生ずる製油所流を含んでいる。特に好ましい原料油は、メキシコ湾のNorphlet Formation、およびカナダのLeDuc Formationが原産である。
【0037】
これらの原料油は、大量の(度々約3分の2程の)低級ダイヤモンド状物および比較的少量ではあるがかなりの量の(度々約0.3〜0.5重量パーセント程の)ダイヤモンド状物を含有している。非ダイヤモンド状物を除去し、(所望により)低級および高級ダイヤモンド状物を分離するための、かかる原料油の処理は、ほんの一例として、半透膜、分子篩、等のようなサイズ分離技術、常圧下または減圧下の蒸発分離器および熱分離器、抽出器、静電式分離器、結晶化、クロマトグラフィー、坑口分離器、等を用いて行うことが出来る。
【0038】
好ましい分離法は典型的に原料油の蒸留を含む。これは、低沸点非ダイヤモンド状成分を除去することが出来る。それは又、単離するために選択したダイヤモンド状物の沸点よりも低い沸点を有する低級ダイヤモンド状成分をも除去または分離することが出来る。いずれの場合も、比較的低沸点の留分は、低級ダイヤモンド状物および低沸点非ダイヤモンド状物質に富むであろう。蒸留は、確認されているダイヤモンド状物を最初に単離するために関心のある温度範囲のいくつかの留分を提供する様に操作することが出来る。ダイヤモンド状物または関心のあるダイヤモンド状物に富む留分は、保持して、更なる精製を必要とすることも出来る。ダイヤモンド状物に富む留分の汚染物質除去および更なる精製のための他の方法は、以下の限定されない例、即ち、サイズ分離技術、常圧下または減圧下の蒸発、昇華、結晶化、クロマトグラフィー、坑口分離器、フラッシュ蒸留、固定床および流動床反応器、減圧、等を更に含むことが出来る。
【0039】
非ダイヤモンド状物の除去は、蒸留より前または後に熱分解工程を含むことも出来る。熱分解は、炭化水素質非ダイヤモンド状成分を原料油から除去するのに有効な方法である。それは、真空条件下または不活性雰囲気中で原料油を少なくとも約390℃の温度、最も好ましくは約410〜450℃の範囲の温度に加熱することにより、行われる。熱分解は、熱分解前に供給材料中に存在していた非ダイヤモンド状成分の少なくとも約10重量パーセントを熱的に分解させるのに充分長い時間充分高い温度で続ける。より好ましくは非ダイヤモンド状物の少なくとも約50重量パーセントが、そして更により好ましくは少なくとも90重量パーセントが熱的に分解される。
【0040】
熱分解は、一態様においては好ましいが、ダイヤモンド状物の回収、単離または精製を促進するのには必ずしも必要ではない。他の分離方法はダイヤモンド状物の濃度を或る一定の原料油中で充分に高くすることが出来るので、分取ガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーを含むクロマトグラフィー、結晶化、分別昇華のような直接精製法を、ダイヤモンド状物を単離するのに使用することが出来る。
【0041】
蒸留または熱分解/蒸留の後でも、本発明で使用される組成物に使用するための選択されたダイヤモンド状物を提供するためには、該物質の更なる精製が望まれる。このような精製技術には、クロマトグラフィー、結晶化、熱拡散技術、帯域精製、進行性再結晶、サイズ分離、等が含まれる。例えば、或る方法において、回収された原料油は以下の追加操作、即ち、1)硝酸銀含浸シリカゲルを用いた重力カラムクロマトグラフィー;2)ダイヤモンド状物を単離するための2カラム分取キャピラリーガスクロマトグラフィー;3)高濃度ダイヤモンド状物の結晶を提供するための結晶化、を受ける。
【0042】
代りの方法は、高速液体クロマトグラフィーを含む単一カラム又は複数カラム液体クロマトグラフィーを用いて所定のダイヤモンド状物を単離することが出来る。上記のように、異なる選択性を有する複数のカラムを使用することが出来る。これらの方法を用いた更なる処理によって、より精製された分離が可能となり、実質的に純粋な成分が得られる。
【0043】
原料油を処理してダイヤモンド状物組成物を得る詳細な方法は、2001年1月19日に出願された米国仮特許出願第60/262,842号;2001年6月21日に出願された米国仮特許出願第60/300,148号;及び2001年7月20日に出願された米国仮特許出願第60/307,063号、に記載されているが、それらの全体を本明細書に引用して援用する。
【0044】
ダイヤモンド状物の誘導体化
本発明態様によれば、ダイヤモンド状側基を少なくとも1個の官能基で誘導体化して基本ポリマー鎖への結合を可能にする。好ましくは、これらの誘導体は以下の式I:
【化2】


(式中、Dはダイヤモンド状核であり、R,R,R,R,R及びRは各々独立に水素および共有結合官能基から成る群から、少なくとも1個の官能基が存在するという条件で、選択される)を有する。より好ましくは、官能性が付与されたダイヤモンド状物は1個または2個の官能基を含有する。
【0045】
或る局面において、USSN 10/046,486に記載されているように、式Iにより表される官能性が付与されたダイヤモンド状物におけるR,R,R,R,R及びRは、好ましくは、−H,−F,−Cl,−Br,−I,−OH,−SH,−NH,−NHCOCH,−NHCHO,−COH,−COR’,−COCl,−CHO,−CHOH,=O,−NO,−CH=CH,−C CH及び−C(式中、R’はアルキル、好ましくはエチルである)から成る一群の成分から、R,R,R,R,R及びRのすべてが水素であるとは限らないという条件で、独立に選択される。典型的に、R〜Rの一つ又は二つは非水素成分であり、残りのRは水素である。
【0046】
いくつかの官能性が付与されたダイヤモンド状物は、ダイヤモンド状物から単一反応工程で製造することが出来る。これらの物質は、本明細書では「一次官能性付与ダイヤモンド状物」と言及され、例えば、式I(式中、官能基は臭素および塩素のようなハロゲン、オキサイド、ヒドロキシルおよびニトロである)のダイヤモンド状物の他にダイヤモンド状物から一反応で形成された他の誘導体をも又含む。
【0047】
他の局面において、官能性付与ダイヤモンド状物は一次官能性付与ダイヤモンド状物からその後の一以上の反応工程により製造された物質である。これらの物質は、本明細書では「二次官能性付与ダイヤモンド状物」と言及されることが度々ある。或る場合には、或る一次官能性付与ダイヤモンド状物は他の一次物質の転換により便宜的に形成することが出来ることは理解されるであろう。例えば、ポリブロモ物質は、単一の臭素化工程か又はいくつかの臭素化の繰返しにより形成することが出来る。同様に、ヒドロキシルダイヤモンド状物は、ダイヤモンド状物から直接に一工程で形成するか、又はブロモダイヤモンド状物、ダイヤモンド状物のオキサイド、等の反応により製造することが出来る。この事にも拘わらず、混乱を避けるために、本明細書では該一次物質は代表的な二次物質に含まれないであろう。しかしながら、それらは、それらへの両方のルートを表現するために、一次物質および二次物質を形成する反応を示した種々な図形で表現されるであろう。
【0048】
二次官能性付与ダイヤモンド状物の合成に利用出来る官能基は、クロロ、ブロモ、ヒドロオキサイド、等を含む広範囲の基から選択することが出来る。従って、以下のタイプの二次物質は単に代表に過ぎない。
【0049】
代表的二次官能性付与ダイヤモンド状物官能基には、フルオロ、ヨード、チオ、スルホニルハライド、スルホネート、アルキル、ハロアルキル、アルコキシル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアリール、アルキルチオ、アルコキシ、アミノアルキル、アミノアルコキシ、アリール、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルオキシ、アリールオキシ、及びヘテロアリールオキシが含まれる。
【0050】
二次官能性付与ダイヤモンド状物に存在し得る他の官能基は、式−C(O)Z(式中、Zは水素、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロチオ、アミノ、モノ置換アミノ、ジ置換アミノ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環式である)により;−COZ(式中、Zは前記に定義した通りである)により;−RCOZ及び−RCOZ(式中、Rはアルキレン、アミノアルキレン、又はハロアルキレンであり、Zは前記に定義した通りである)により;−NH,−NHR’,−NR’R’’,及び−NR’R’’R’’’(式中、R’、R’’、及びR’’’は独立にアルキル、アミノ、チオ、チオアルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである)により;−RNHCOR(式中、Rは−CH,−OCH,−NHCH,−CHCH,−OCHCHであり、Rはアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、又はヘテロアラルキルである)により;そして−R10CONHR11(式中、R10は−CH,−OCH,−NHCH,−CHCH,及び−OCHCHから選択され、R11はアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、及びヘテロアラルキルから選択される)により、表される。
【0051】
更なる局面において、官能性付与ダイヤモンド状物における1個以上の官能基は、以下の式:
【化3】


〔式中、nは2又は3であり、Xは−O−,−S−,又は−C(O)−であり、Yは=O又は=Sであり、そしてR12,R13,R14,及びR15は独立に水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール;=N−Z’’(式中、Z’’は水素、アミノ、ヒドロキシル、アルキル、
【化4】


シアノ、シアノアルキル、シアノアリール、又はシアノアルキルアミノである)である〕であることが出来る。
【0052】
更なる態様において、官能性付与ダイヤモンド状物における1個以上の官能基は、−NHR’,−NR’R’’,−NR’R’’R’’’,又は−NHQ’’〔式中、R’,R’’,及びR’’’は独立に水素;アリール;7員までの環を有するヘテロアリール;アルキル;アルケニル;又はアルキニル(該アルキル、アルケニル及びアルキニル残基は分岐、非分岐、または環状であることが出来、所望によりハロゲン、アリール又は7員までの環を有するヘテロアリールで置換することが出来る)であるか、又はR’及びR’’は窒素原子と一緒に7員までの環を有する複素環式基を形成し、Q’’はチオ、チオアルキル、アミノ、モノ置換アミノ、ジ置換アミノ、又は、ハロゲン、ヒドロオキサイド、サルフェート、ナイトレート、ホスフェート又は他のアニオンのような適切な対イオンを有するトリ置換アミノである〕である。
【0053】
なお更なる態様において、官能性付与ダイヤモンド状物における官能基は、−COOR16(式中、R16はアルキル、アリール、又はアラルキルである)、−COR17(式中、R17はアルキル、アリール、又はヘテロアルキルである)、−NHNHO,−R18NHCOR19〔式中、R18は存在しないか、又はアルキル、アリール、又はアラルキルから選択され、R19は水素、アルキル、−N、アリール、アミノ、又は、−NHR20(式中、R20は水素、−SO−アリール、−SO−アルキル、又は−SO−アラルキルでる)である〕、−CONHR21(式中、R21は水素、アルキル、及びアラルキルである)、−CSNHR21(式中、R21は上記に定義した通りである)、及び−NR22−(CH−NR2324(式中、R22、R23、R24は水素、アルキル、及びアリールから独立に選択され、nは1〜20である)である。
【0054】
更なる態様において、官能性付与ダイヤモンド状物における官能基は、−N=C=S,−N=C=O,−R−N=C=O,−R−N=C=S,−N=S=O,又は−R−N=S=O(式中、Rはアルキルである)、−PH,−POX(式中、Xはハロである)、−PO(OH),−OSOH,−OSOH,−SOX(式中、Xはハロである)、−SOR(式中、Rはアルキルである)、−SOOR(式中、Rはアルキルである)、−SONR2627(式中、R26及びR27は独立に水素又はアルキルである)、−N,−OC(O)Cl,又は−OC(O)SClであることが出来る。
【0055】
更なる局面において、該官能基は二つ以上のダイヤモンド状物に対して共有結合を形成することが出来るので、二つ以上のダイヤモンド状物間の結合基として役立つ。これは、下記の式II:
D−L−(D)
(式中、Dはダイヤモンド状核であり、Lは結合基であり、nは1以上、例えば1〜10、特に1〜4である)の官能性付与ダイヤモンド状物を提供する。
【0056】
この態様において、結合基Lは、−N=C−N−、
【化5】


または
【化6】


(式中、R28,R29,R30,R31,R32,R33は独立に水素又はアルキルであり、n及びmは独立に2〜20である)
【化7】


(式中、R28,R29,R30,R31,R32,及びR33は水素又はアルキルであり、R34,R35,R36,及びR37は、R34,R35,R36,及びR37の少なくとも一つが存在するという条件で、独立に存在しないか、又は水素又はアルキルであり、n及びmは独立に2〜20である)、等であることが出来る。該対イオンは、任意の受け入れられる一価アニオン、例えば、ハロゲン、ヒドロオキサイド、サルフェート、ナイトレート、ホスフェート、等であることが出来る。
【0057】
他の局面において、本発明は次の式III:
38−D−D−R39
(各Dはダイヤモンド状核であり、R38及びR39は該ダイヤモンド状核上の置換基で独立に水素または官能基である)を有する官能性付与ダイヤモンド状物に関する。好ましくは、該物質は一つ又は二つの官能基を含有する。好ましくは、R38及びR39はハロ、シアノ、アリール、アリールアルコキシ、アミノアルキル、又は−COOR40(式中、R40は水素又はアルキルである)である。
【0058】
更なる局面において、本発明は式I,II,及びIIIのダイヤモンド状物誘導体の塩、夫々の異性体、および異性体混合物を提供する。
【0059】
さてダイヤモンド状物の誘導体化反応の方を向くと、ダイヤモンド状物骨格には3種の異なる炭素、即ち、第四級(4°又はC−4)、第三級(3°又はC−3)、及び第二級(2°又はC−2)炭素が存在する。それらの異なる炭素の中で、第四級炭素はいかなる種類の反応を行うのも不可能である。化学反応は、ダイヤモンド状物骨格におけるそれらの第三級(3°又はC−3)及び第二級(2°又はC−2)炭素に対してのみ起こり得る。第三級または第二級炭素のいくつかは均等であると言わなければならない。この事は、それらの均等な第三級または第二級炭素で置換された誘導体が同一であることを意味する。
【0060】
図5はダイヤモンド状物の戦略に対するフローチャートを示し、図6はダイヤモンド状物のいくつかの代表的一次誘導体およびそれに相当する反応を示す。図6に示されているように、ダイヤモンド状物の誘導体化に対しては一般に機構により分類される3種の主要な反応、即ち、求核(S1タイプ)および求電子(S2タイプ)置換反応、および遊離基反応がある〔かかる反応に対する詳細およびそれらのアダマンタンとの利用は、例えば、「アダマンタンの化学」という題名の本(シュプリンガー出版、Berlin Heidelberg New York、1971年)の一章としてのR.C.BinghamおよびP.v.R.Schleryerによる「アダマンタンおよび関連多環式炭化水素における最近の発達」に;又Russian Chemical Review、68(12)、1001〜1020頁(1999年)に公開されたI.K.Moiseev,N.V.Makarova,M.N.Zemtsovaによる「求電子媒体におけるアダマンタンの反応」;George A.Olahにより編集された「ケージ炭化水素」(ジョンワイリー社、New York、1990年)に示されている〕。
【0061】
1反応はダイヤモンド状物カルボカチオンの発生を含み(ダイヤモンド状物カルボカチオンを発生させる異なった方法はいくつかあるが、たとえば、該カルボカチオンは、図7に示されているように、親ダイヤモンド状物、ヒドロキシル化ダイヤモンド状物またはハロゲン化ダイヤモンド状物から発生させる)、該カルボカチオンはその後種々の求核試薬と反応する。いくつかの代表的な例が図8に示されている。かかる求核試薬には、例えば、以下のもの、即ち、水(ヒドロキシル化ダイヤモンド状物を提供する);ハライドイオン(ハロゲン化ダイヤモンド状物を提供する);アンモニア(アミノ化ダイヤモンド状物を提供する);アジ化物(アジ化ダイヤモンド状物を提供する);ニトリル(リッター反応、加水分解後アミノ化ダイヤモンド状物を提供する);一酸化炭素(コッホ・ハーフ反応、加水分解後カルボキシル化ダイヤモンド状物を提供する);オレフィン(脱プロトン化後アルケニル化ダイヤモンド状物を提供する);および芳香族試薬(脱プロトン化後アリール化ダイヤモンド状物を提供する)が含まれる。該反応は、t−ブチル、t−クミルおよびシクロアルキル系のような開鎖アルキル系の反応と同様に起こる。ダイヤモンド状物の第三級(橋頭堡)炭素はS1反応条件下において第二級炭素よりもかなり反応性であるので、第三級炭素における置換が好意を持たれている。
【0062】
2タイプの反応(即ち、5配位カルボカチオン中間体経由のC−H結合の求電子試薬置換)には、例えば、以下の反応、即ち、重水素化超酸(例えば、DF−SbF又はDSOF−SbF)を用いた処理による水素−重水素交換;超酸(例えば、CFSOH)の存在下におけるNOBF又はNOPFのようなニトロニウム塩を用いた処理によるニトロ化;例えば、Cl+AgSbFとの反応によるハロゲン化;フリーデル・クラフツ条件下における橋頭堡炭素のアルキル化(即ち、S2タイプσアルキル化);コッホ反応条件下におけるカルボキシル化;及び、S2タイプσヒドロオキル化条件(例えば、H又はHOを夫々含む超酸触媒作用を用いた過酸化水素またはオゾン)下における酸素化が含まれる。いくつかの代表的なS2タイプの反応は図9に示されている。
【0063】
それらS1及びS2反応の中では、S1タイプの反応がダイヤモンド状物の誘導体化に最も頻繁に使用される。しかしながら、かかる反応は主に第三級炭素で置換された誘導体を生成する。ダイヤモンド状物の第二級炭素における置換はカルボニウムイオン法では容易でないが、これは、第二級炭素がイオン的方法では橋頭堡位置(第三級炭素)よりもかなり反応性が低いからである。しかしながら、第二級炭素における反応は、遊離基反応の低い選択性およびダイヤモンド状物における2°(第二級)水素対3°(第三級、橋頭堡)水素の高い比率をうまく利用することより成し遂げられる。従って、遊離基反応は、イオン的方法により得られるであろうよりも多数の所定のダイヤモンド状物の可能な異性体の製造方法を提供するのである。しかしながら、得られる複雑な生成物混合物および(又は)異性体は一般的に分離が難しい。置換されたダイヤモンド状物の対称性は減少しているので、これら基体の遊離基置換は非常に複雑な生成物混合物を生ずる可能性がある。従って、大部分の場合、ダイヤモンド状物の実際的で有用な遊離基置換は、特殊な環境下で光塩素化および(又は)光酸化を利用して生成物混合物のより簡単な分離を可能にしている。例えば、光塩素化は第二級炭素における塩素化ダイヤモンド状物の合成および第二級炭素における更なる誘導体化に特に有用であるが、それは第二級炭素における塩素化ダイヤモンド状物が反応性において第三級炭素における誘導体化物と同様であるからである。
【0064】
光酸化は第二級炭素におけるヒドロキシル化誘導体の合成に強力なもう一つの遊離基反応であるが、該誘導体はケト誘導体に更に酸化され、ケト誘導体はアルコールに還元されて第二級炭素における独特のヒドロキシル化ダイヤモンド状物誘導体を提供する。
【0065】
ケトダイヤモンド状物を分離するというこの顕著な利点を考慮すると、例えばLiAlHによりケト基を還元して第二級炭素における対応するヒドロキシル化誘導体を提供したり、それらのヒドロキシル化誘導体から出発した第二級炭素における更なる誘導体化のように、ケト誘導体(ダイヤモンドイドン)から出発して第二級炭素における種々のダイヤモンド状物誘導体が製造される。ダイヤモンドイドンは又、塩化水素の存在下、例えば過剰のフェノール又はアニリンとの酸触媒(HCl触媒)縮合反応を受けて、第二級炭素において置換された2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル) ダイヤモンド状物または2,2−ビス(4−アミノフェニル)高級ダイヤモンド状物を形成することが出来る。分離技術の発達により、例えば、最新のHPLC(高速液体クロマトグラフィー)を使用することにより、より多くの遊離基反応をダイヤモンド状物誘導体の合成に使用出来るかもしれないと我々は予測することが出来る。
【0066】
ダイヤモンド状物の誘導体化にそれら三つの主要なタイプの反応を使用して、多数のダイヤモンド状物誘導体が製造される。代表的芯反応および該誘導体を、ダイヤモンド状核を活性化する非常に重要な手段または更なる誘導体化のための非常に重要な前駆体として、以下のように提供する。
【0067】
図10は、臭素化ダイヤモンド状物誘導体を製造するためのいくつかの代表的経路を示す。モノ及びマルチ臭素化ダイヤモンド状物は、ダイヤモンド状物の誘導体化学において最も用途が広い中間体のいくつかである。これらの中間体は、例えば、コッホ・ハーフ、リッター、及びフリーデル・クラフツのアルキル化/アリール化反応に使用される。臭素化ダイヤモンド状物は、二つの異なる一般的経路により製造される。一つの経路には、ルイス酸(例えば、BBr−AlBr)触媒の存在または不存在下に元素状臭素を用いたダイヤモンド状物の直接臭素化が含まれる。他の経路には、臭化水素酸を用いたヒドロキシル化ダイヤモンド状物の置換反応が含まれる。
【0068】
ダイヤモンド状物の直接臭素化は、非常に選択的で橋頭堡(第三級)炭素における置換を生ずる。触媒および条件の適切な選択により、一つ、二つ、三つ、四つ、又はそれより多くの臭素を、すべて橋頭堡位置において、分子中に連続して導入することが出来る。触媒なしでは、モノブロモ誘導体が主要な生成物であり、それより高い臭素化生成物は少量形成される。しかしながら、適切な触媒を使用することにより、ジ、トリ、及びテトラ、ペンタ、及びそれより高いダイヤモンド状物の臭素化誘導体が、該臭素化で(例えば、異なるモル比の臭化硼素および臭化アルミニウムの触媒混合物を臭素反応混合物中に添加して)、主要生成物として単離される。典型的に、テトラブロモ又はそれより高いブロモ誘導体は、封管中で比較的高い温度で合成される。
【0069】
第二級炭素において置換されたブロモ誘導体を製造するためには、第二級炭素における対応するヒドロキシル化ダイヤモンド状物を穏やかな条件下臭化水素酸で処理する。好ましくは、第二級炭素においてヒドロキシル化されたダイヤモンド状物は、上述したように、対応するケト誘導体の還元により製造される。
【0070】
ダイヤモンド状物の臭素化反応は、該反応混合物を氷または氷水上に注ぎ、該氷混合物に適当量のクロロフォルム又はエチルエーテル又は四塩化炭素を添加することにより、通常徐々に進められる。過剰の臭素は、減圧蒸留および固体二硫化ナトリウム又は硫化水素ナトリウムの添加により除去される。クロロフォルム又はエチルエーテル又は四塩化炭素により、更に2〜3回、有機層が分離され、水性層が抽出される。次に該有機層を組合せ、水性炭酸水素ナトリウムおよび水で洗浄し、最後に乾燥させる。
【0071】
臭素化誘導体を単離するため、溶剤を真空下で除去する。典型的に、反応混合物は、標準的溶出条件(例えば、石油エーテル、n−ヘキサン又はシクロヘキサン、又はそれらとエチルエーテルとの混合物を用いた溶出)を用いて、アルミナ又はシリカゲル上で、カラムクロマトグラフィーに処することにより、精製される。普通のカラムクロマトグラフィーが困難であり、そして(又は)該反応が極めて少量の物質で行われる場合には、分取ガスクロマトグラフィー(GC)または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分離が使用される。
【0072】
臭素化反応と同様に、ダイヤモンド状物は塩素化または光塩素化されて、ダイヤモンド状物の種々のモノ、ジ、トリ、又はそれより高い塩素化誘導体をも提供する。図11は、塩素化ダイヤモンド状物誘導体、特に、光塩素化による第二級炭素におけるそれら塩素化誘導体を合成するためのいくつかの代表的経路を示す。
【0073】
図12は、ヒドロキシル化ダイヤモンド状物を合成するためのいくつかの代表的経路を示す。直接ヒドロキシル化も、N−ヒドロキシフタールイミド及び酢酸中の二成分助触媒を用いた処理により、ダイヤモンド状物に対して行われる。ヒドロキシル化は、種々のダイヤモンド状物誘導体を提供するS1反応を受ける酸性条件下におけるダイヤモンド状物カルボカチオンの発生のような更なる誘導体化のために、ダイヤモンド状核を活性化する非常に重要な方法である。更に、ヒドロキシル化誘導体は、非常に重要な求核試薬であり、これにより種々のダイヤモンド状物誘導体が製造される。例えば、ヒドロキシル化誘導体は、活性化された酸誘導体との反応のような標準的条件下でエステル化される。エーテルを製造するアルキル化は、適切なハロゲン化アルキルへの求核置換により、ヒドロキシル化誘導体に対して行われる。
【0074】
上述の原料油から直接に分離された原ダイヤモンド状物または置換ダイヤモンド状物に加えて、上述の3種の芯誘導体(ヒドロキシル化ダイヤモンド状物およびハロゲン化,特に臭素化および塩素化ダイヤモンド状物)は、ダイヤモンド状物の更なる誘導体化に最も頻繁に使用されており、例えば、第三級炭素におけるヒドロキシル化およびハロゲン化誘導体は高級ダイヤモンド状物カルボカチオンの発生のために非常に重要な前駆体であって、該カルボカチオンは、該臭化物または塩化物またはアルコールの第三級性およびその後の反応における骨格転位の不存在のおかげで、S1反応を受けて種々のダイヤモンド状物誘導体を提供する。例を以下に述べる。
【0075】
図13は、ヒドロキシル化または臭素化ダイヤモンド状物から出発したコッホ・ハーフ反応のようにカルボキシル化ダイヤモンド状物を合成するためのいくつかの代表的経路を示す。大部分の場合、臭素化ダイヤモンド状物を使用するよりヒドロキシル化前駆体を使用した方がより良い収率が得られる事を述べなければならない。例えば、カルボキシル化誘導体は、蟻酸を用いたヒドロキシル化誘導体の反応から加水分解後に得られる。カルボキシル化誘導体は、活性化(例えば、酸塩化物への転換)およびその後の適切なアルコールへの接触により、更にエステル化される。それらのエステルは還元されて対応するヒドロキシメチルダイヤモンド状物(ダイヤモンド状物置換メチルアルコール、D−CHOH)を提供する。カルボキシル化誘導体の活性化および適切なアミンとの反応により、アミド形成も行われる。還元剤(例えば、水素化リチウムアルミニウム)を用いたダイヤモンド状物カルボキサミドの還元により、対応するアミノメチルダイヤモンド状物(ダイヤモンド状物置換メチルアミン、D−CHNH)が提供される。
【0076】
図14は、ヒドロキシル化または臭素化ダイヤモンド状物から出発したリッター反応のように、アシルアミノ化ダイヤモンド状物を合成するためのいくつかの代表的経路を示す。コッホ・ハーフ反応と同様に、大部分の場合、臭素化ダイヤモンド状物を使用するよりヒドロキシル化前駆体を使用した方がより良い収率が得られる。アシルアミノ化ダイヤモンド状物は、アルカリ性加水分解後に、アミノ誘導体に変換される。アミノダイヤモンド状物は、アミノ化誘導体溶液に塩化水素ガスを導入することにより、大部分の場合精製なしにアミノダイヤモンド状物塩酸塩に更に転換される。アミノダイヤモンド状物は、医薬の合成において、非常に重要な前駆体のいくつかである。それらは又、ニトロ化化合物の還元からも製造される。図15は、ニトロダイヤモンド状物誘導体を合成するためのいくつかの代表的経路を示す。ダイヤモンド状物は、高温高圧下氷酢酸の存在で濃硝酸によりニトロ化される。ニトロ化ダイヤモンド状物は還元されて対応するアミノ誘導体を提供する。今度は、アミノダイヤモンド状物が必要により対応するニトロ誘導体に酸化される場合もある。アミノ誘導体は又、臭素化誘導体をホルムアミドの存在下で加熱し、その後得られたアミドを加水分解することにより、臭素化誘導体からも合成される。
【0077】
ヒドロキシル化化合物と同様に、アミノ高級ダイヤモンド状物はアシル化またはアルキル化される。例えば、アミノダイヤモンド状物を活性化酸誘導体と反応させると、対応するアミドが生成する。アルキル化は典型的に、該アミンを適切なカルボニル含有化合物と還元剤(例えば、水素化リチウムアルミニウム)の存在下で反応させることにより、行われる。アミノダイヤモンド状物は、適切に置換されたエチルN−アリールスルホニルカルバマートのようなカルバマートと熱トルエン中で縮合反応を受けて、例えば、N−アリールスルホニル−N’−ダイヤモンド状物尿素を提供する。
【0078】
図16は、フリーデル・クラフツ反応のように、アルキル化、アルケニル化、アルキニル化、及びアリール化ダイヤモンド状物を合成するためのいくつかの代表的経路を提示する。エテニル化ダイヤモンド状物誘導体は、臭素化ダイヤモンド状物をAlBrの存在下エチレンと反応させ、続いて水酸化カリウム(等)を用いた脱臭化水素により合成される。エテニル化化合物は、標準的反応条件(例えば、3−クロロ過安息香酸)下で対応するエポキシドに変換される。エテニル化ダイヤモンド状物の酸化的開裂(例えば、オゾン分解)により、関連するアルデヒドが提供される。エチニル化ダイヤモンド状物誘導体は、AlBrの存在下で臭素化ダイヤモンド状物を臭化ビニルで処理することにより得られる。得られた生成物を、KOH又はカリウムt−ブトキシドを用いて脱臭化水素させて所望の化合物を提供する。
【0079】
より多くの反応が、ダイヤモンド状物に官能性を付与するために用いられる方法を例証している。例えば、ダイヤモンド状物の弗素化は、ダイヤモンド状物をポリ(弗化水素)およびピリジンの混合物(30%Py、70%HF)とニトロニウムテトラフルオロボレートの存在下で反応させることにより行われる。四弗化硫黄は一塩化硫黄の存在下ダイヤモンド状物と反応してモノ、ジ、トリ、及び更に高い弗素化ダイヤモンド状物の混合物を提供する。ヨードダイヤモンド状物は、クロロ、ブロモ、又はヒドロキシルダイヤモンド状物の置換ヨウ素化により得られる。
【0080】
ジメチルホルムアミド(DMF)における臭素化誘導体の塩酸による反応により、該化合物は対応するヒドロキシル化誘導体に変換される。臭素化またはヨウ素化ダイヤモンド状物は、例えば、チオ酢酸と反応させてダイヤモンド状物チオアセテートを形成し、続いて塩基性条件下アセテート基を除去することにより、チオール化ダイヤモンド状物に変換される。臭素化ダイヤモンド状物、例えば、D−Brを、塩基、例えば、トリエチルアミンの存在において、過剰(10倍)のヒドロキシアルキルアミン、例えば、HO−CHCH−NHと共に還流下加熱すると、ダイヤモンド状物オキシアルキルアミン、例えば、D−O−CHCH−NHが得られる。酢酸無水物およびピリジンを用いたアミンのアセチル化で、種々のN−アセチル誘導体が得られる。双極子非プロトン性溶媒、例えば、DMFにおけるアジ化ナトリウムを用いた臭素化ダイヤモンド状物、例えば、D−Brの直接置換反応により、アジドダイヤモンド状物、例えば、D−Nが提供される。
【0081】
ダイヤモンド状物カルボン酸ヒドラジドは、ダイヤモンド状物カルボン酸を塩化チオニルによりクロロ無水物に変換し、イソニコチン酸またはニコチン酸ヒドラジドと縮合させることにより製造される(図17)。
【0082】
ダイヤモンドイドン、即ち、「ダイヤモンド状物酸化物」は、過酢酸の存在下におけるダイヤモンド状物の光酸化に続くクロム酸・硫酸の混合物を用いた処理により合成される。ダイヤモンドイドンは、例えば、LiAlHにより、第二級炭素がヒドロキシル化されたダイヤモンドイドールに還元される。ダイヤモンドイドンは又、塩化水素の存在下において、例えば、過剰のフェノール又はアニリンとの酸触媒(HCl触媒)縮合反応を受けて、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ダイヤモンド状物または2,2−ビス(4−アミノフェニル)ダイヤモンド状物を形成する。
【0083】
ダイヤモンドイドン(例えば、D=O)は、RCN(R=水素、アルキル、アリール、等)で処理し、LiAlHで還元すると、対応するC−2−アミノエチル−C−2−D−OHを生成し、これはトルエン中COCl又はCSClと加熱すると、式IV(式中、Z=O又はS)で示される以下の誘導体を提供する。
【化8】

【0084】
ダイヤモンドイドンは、適切な溶剤中適切な第一級アミンと反応して対応するイミンを形成する。該イミンを、約50℃で触媒としてPd/Cを使用してエタノール中で水素化すると、対応する第二級アミンが提供される。一般的操作〔例えば、H.W.Geluk及びV.G.KeiserのOrganic Synthesis,53:8(1973年)参照〕に続く該第二級アミンのメチル化により、対応する第三級アミンが生成する。該第三級アミンの第四級化により、例えば、約35℃で該アミンのエタノール溶液にCHI(過剰)を徐々に滴下することにより、対応する第四級アミンが形成される。
【0085】
ダイヤモンド状物のC−2誘導体、C−2D−R’(R’=アルキル、アルコキシ、ハロ、OH,Ph,COOH,CHCOOH,NHCOCH,CFCOOH)は、酸触媒の存在下0〜80℃における溶液状のダイヤモンド状物−C−2−スピロ−C−3−ジアジリンの求核置換により製造される。
【0086】
N−スルフィニルダイヤモンド状物〔D−(NSO),n=1,2,3,4,…〕は、ダイヤモンド状物−HClをベンゼン中で約半時間〜数時間SOClと一緒に還流してモノ、ジ、トリ、又はそれより高いN−スルフィニルダイヤモンド状物誘導体を提供することにより製造される。
【0087】
<195℃におけるHCONHによるD−Br及び(又は)D−Clの処理(重量比>1:2でない)に続く<110℃における<20%HClを用いたホルミルアミノダイヤモンド状物D−NHCHOの加水分解により、アミノダイヤモンド状物塩酸塩、D−NHHClが提供される。
【0088】
ダイヤモンド状物ジカルボキサミドは、ダイヤモンド状物塩化ジカルボニル又はダイヤモンド状物塩化ジアセチルとアミノアルキルアミンとの反応により製造される。例えば、D−(COCl)〔SOClおよび対応するジカルボン酸D−(COOH)から得られる〕をCN−C中で(CHNCHCHCHNHで処理すると、N,N’−ビス(ジメチルアミノプロピル)ダイヤモンド状物ジカルボキサミドが得られる。
【0089】
アミノエトキシアセチルアミノダイヤモンド状物は、クロロアセチルアミノダイヤモンド状物およびHOCHCHNR’R’’から製造される。従って、例えば、アミノダイヤモンド状物、D−NHとベンゼン中のClCHCOClをキシレン中の(CHNCHCHONaに添加し、約10時間還流すると、アミノエトキシアセチルアミノダイヤモンド状物が得られる(R’=R’’=CH)。
【0090】
C−3 D−OHとHCNのリッター反応はD−NHを生じ;ダイヤモンド状物とHCNからD−NHCHOが製造され;ダイヤモンド状物とニトリルとの反応はD−NHCHOおよびD−NHを生じ;ニトリル、および不飽和OH基およびSH基を含む化合物等からアザダイヤモンド状物が製造される。
【0091】
ヒドロキシル化ダイヤモンド状物、例えば、D−OHはCOCl又はCSClと反応してダイヤモンド状物オキシカルボニル誘導体、例えば、D−O−C(O)ClまたはD−O−C(S)Clを提供するが、前者は生化学合成における重要なブロック基である。
【0092】
図18は、D−NHおよびD−CONHおよび対応する誘導体(式中、Dはダイヤモンド状核である)から出発する代表的反応を示す。
【0093】
図19は、D−POClおよび対応する誘導体(式中、Dはダイヤモンド状核である)から出発する代表的反応を示す。
【0094】
図20は、D−SHまたはD−SOClおよび対応する誘導体(式中、Dはダイヤモンド状核である)から出発する代表的反応を示す。
【0095】
重合性ジアマンチル、およびトリアマンチル、および高級ダイヤモンド状物含有モノマー
本発明の態様には、具体的に、式Pg−D−(R)(式中、Dはジアマンチル核であり、Pgは該ジアマンチル核の炭素に共有結合した重合性基であり、nは1〜6の範囲の整数であり、Rの少なくとも一つは、親水性増進成分であり、そして残るRの各々は水素および親水性増進成分から成る群から独立に選択される)を有する重合性ジアマンチルモノマーが含まれる。これらのジアマンチルモノマーの親水性増進成分は水酸基−OH、カルボキシル基−COOH、アルキル基−OCH又は−OC、ケト基−C(O)−、及び基−OC(O)−OCH又は−OC(O)−OCから成る群から選択することが出来る。
【0096】
本発明の他の態様は、上述のジアマンチルモノマーのものと同様な重合性基および親水性増進成分を有するトリアマンチルモノマーの他に、重合性基および親水性増進成分を有するダイヤモンド状物含有モノマー(該ダイヤモンド状物含有モノマーのダイヤモンド状部分はテトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン、及びウンデカマンタンから成る群から選択される)をも又提供する。
【0097】
本発明の他の態様において、該ジアマンチル、トリアマンチル、高級ダイヤモンド状物含有モノマーの重合性基Pgは感光性ポリマーを形成することが出来る。該重合性基は、該ジアマンチル、トリアマンチル、又は高級ダイヤモンド状核の第二級(2°)炭素または第三級炭素(3°、橋頭堡炭素とも呼ばれる)に共有結合することが出来る。これらの重合性基は、該ジアマンチル、トリアマンチル、又は高級ダイヤモンド状核に結合してエステルを形成する不飽和酸残基から成ることが出来、該不飽和酸残基はアクレレート又は低級アルキルアクリレートから成ることが出来る。該不飽和酸残基がアクリル酸残基である場合、夫々のモノマーはアクリレートモノマーとなる。同様に、該不飽和酸残基がメタクリル酸残基である場合、夫々のモノマーはメタクリレートモノマーとなる。
【0098】
本発明の更なる態様は、基体の表面上に模様入りフォトレジストの層を形成する方法を提供する。かかる方法は、
a)重合性基および少なくとも1個の親水性増進基を有するジアマンチルモノマー、重合性基および少なくとも1個の親水性増進基を有するトリアマンチルモノマー、及び重合性基および少なくとも1個の親水性増進基を有するダイヤモンド状物含有モノマーであって、該ダイヤモンド状物がテトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン、及びウンデカマンタンから成る群から選択される該ダイヤモンド状物含有モノマーから成る群から選択されるモノマーからポリマーを形成し、
b)該ポリマーを基体の表面上に感光性ポリマーを含むポリマー層として沈着させ、そして
c)該ポリマー層の選択された領域を電磁ビームに露出させ、それにより電磁ビームに露出させた領域の感光性ポリマーを変性して選択的に変性された層を生ずる
諸工程を含む。
【0099】
更なる態様によれば、上述の方法は、該選択的に変性された層を溶剤系と接触させて該変性された領域を溶解する工程を含むことが出来る。該電磁ビームは約200nmより短い波長を有する電磁線から成ることが出来、典型的な波長は193nmおよび157nmである。該電磁ビームは又電子ビーム又はX線ビームであることが出来る。
【0100】
説明されるであろうが、これらのモノマーおよびポリマーに対する一つの優れた応用は、フォトレジストの成分としてである。この応用において該モノマーおよびポリマーは沈着層の成分として役立つことが出来る。これらの層は、模様入り層およびそれらの製造方法として本発明の更なる局面であり、それらのすべてが本発明のジアマンチル及び(又は)トリアマンチルモノマーおよびポリマーを使用しているのである。
【0101】
フォトレジスト原樹脂
ポジティブ・アクティング・フォトレジストに使用されてきた従来技術のポリマーは、Fujitsu Sci.Tech.J.,38,1,3〜12頁(2002年6月)の「ArFエキサイマレーザーおよび電子ビームリソグラフィ用の高性能レジスト材料」においてK.NozakiおよびE.Yanoにより論じられている。これらの著者は、従来ポリビニルフェノール系レジストが一般的に電子ビームリソグラフィに使用され、かかる樹脂はアセタール、tert−ブトキシカルボニルおよびtert−ブチルのような種々の保護基を利用した、と教示している。これらの保護基の欠点には、該脂肪族構造のため、悪い乾燥耐腐食性が含まれていた。この問題を克服するため、K.NozakiおよびE.Yanoは、酸感受性で乾燥耐腐食性の保護基の使用を示唆した。これらの著者は、酸分裂性脂環式置換基を原ポリマーに組入れることによりレジストに乾燥耐腐食性を付与することが出来ると、教示している。
【0102】
K.NozakiおよびE.Yanoは、メバロン酸ラクトンメタクリレート(MLMA)および2−メチル−2−アダマンタンメタクリレート(MAdMA)ベースの共重合体の使用について報告した。アダマンチル多環式炭化水素置換基は優れた感度、解像度、および乾燥耐腐食性を提供したが、ラクトン含有モノマーは水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)のような従来の現像剤との相溶性およびシリコン基体への接着性を提供した。アダマンタンおよびラクトン置換基は、メタクリレートポリマー中で酸不安定エステル基として作用することが出来るので、選択された。親水性メバロン酸ラクトン基はシリコン基体への接着性を提供し、酸感受性β−ヒドロキシケトン構造および第三級アルコールを含有していたので酸分裂性であった。脂環式アダマンチル置換基は、乾燥耐腐食性を提供し、第三級アルコールの故に酸分裂性でもあった。これらの著者は、アダマンチル基は例えばt−ブチル側基よりも強い溶解抑制作用を有するが、それはその高い疎水性および嵩ばった構造から生じると、教示している。かくして、少量の保護除去により大きな極性変化が得られるので、レジストの露出領域と非露出領域との間に優れたコントラストが実現され、解像度を高めることに貢献出来るのである。
【0103】
K.NozakiおよびE.Yanoにより得られた結像結果が特に面白い。モノマー比、MLMA/ MAdMAが夫々0/100,22/78,51/49,72/28,および100/0で変化する一連の5種類のメタクリレートポリマーが製造された。後の二つのモノマー比から製造したポリマーは、アルカリ溶解性であったので結像することが出来ず、いかなるレジスト模様を解像することも出来なかった。更に、100/0比から製造したポリマーは、レジスト組成物から光酸発生成分が分離したので、スピン塗布することが難しかった。最初の二つのモノマー比から製造したポリマーは、配合されたレジスト模様がシリコン基体から剥離したので、同様に充分結像しなかった(或いは結像することが出来なかった)が、これは堅いアダマンチル単位がレジストに脆さを付与したことを示唆するものである。大体等量の該両モノマーを含有するフォトレジスト組成物が有望な折衷であると考えられ、彼等の観察に基づいて原重合体用の最適組成物は大体MAdMA/MLMA=1/1であった。
【0104】
本態様のフォトレジスト組成物には、同族列においてアダマンタンよりも高級な酸分裂性ダイヤモンド状物ブロック基が含まれる。かかるダイヤモンド状物を含む利点は、高められた耐腐食性が原樹脂に付与され、それによりレジストの解像度が改良されることであるが、アダマンタンよりも高級なダイヤモンド状物、その使用量、およびそれを誘導体化する親水性増進基の数の選択は本開示の主題の一部を構成する。
【0105】
アダマンタンより高級なダイヤモンド状物を有する共重合体原樹脂
本発明の態様によれば、ポジティブ・アクティング・フォトレジストの原樹脂は、図21A−Cに図解された一般式により表すことが出来る。図21Aに示されたポジティブ・ワーキング・フォトレジスト組成物は、ポリマー主鎖210を含み、該主鎖は側基212を含むことが出来る。該側基212は、Pにより表される非ダイヤモンド状物側基であっても良いし、或いは該側基はアダマンタンベースの側基214又はジアダマンタンベースの側基216のようにダイヤモンド状物を含有していても良い。この例において、側基212はエステル基218により主鎖210に結合されているが、該エステル基は図21Aに示された原樹脂に酸分裂性を付与する結合である。又図21Aにアルキル基Rが描かれているが、それらは親水性増進基Rと同様に、ブロック基214および216が分裂する際、第三級アルコールを生ずる。
【0106】
この典型的な原樹脂において具体的に、Rは、ポリマー主鎖210がアクリレート系ポリマーまたはメタクリレート系ポリマーを夫々構成するように、−Hであっても良いし、或いは−CHであっても良い。この例におけるRは、−Hであっても良いし(この場合ダイヤモンド状物含有モノマーは酸分裂性ではない)、或いは1〜4個の炭素原子を有する(−CHのような)アルキル基であっても良い。後者の場合、ダイヤモンド状物含有側基は、炭素・炭素二重結合を形成する可能性が存在するので、酸分裂性である。該側基の溶解性能(即ち、該側基がアルカリ現像液に溶解する性能)は、Rがアルキル基またはアルコキシ基である場合、第三級アルコールが形成されることにより、改良される。Rは−Hまたは親水性増進部分であり、後者は水酸基−OH、カルボキシル基−COOH、アルキル基−OR、ケト基−C(O)−、又は−OC(O)−ORであることが出来る。−ORはアルコール基−OHがアルキル基又はアセテート基の形で保護されている状況を表すことは、当業者に明らかであろう。
【0107】
本態様の新規性に貢献する一つの特色は、K.NozakiおよびE.Yanoにより教示された原重合体と違って、アダマンタンよりも高級なダイヤモンド状側基を有するモノマーが原樹脂に含まれているという事である。アダマンタンよりも高級な側基を含有するこの典型的なモノマーは、図21Aにジアダマンタンとして示されている。アダマンタンよりも高級なダイヤモンド状物含有側基を有するモノマーを含める利点は、sp混成軌道ダイヤモンド立方体結晶構造には比較的多数の炭素が存在するので、ブロック基はエッチング処理に対して比較的抵抗性があり、従ってレジストの露出領域と非露出領域との境界線の正確な位置が比較的良く示されるという事である。この特色は解像度を高める。更に、耐腐食性が改良されているので、比較的少ない量のジアダマンタン含有モノマーを原樹脂に配合してレジストが基体に接着する性能を改良することが出来る。
【0108】
本発明の態様によれば、図21Aに描かれた典型的原樹脂に対する供給物モノマー比は、下記の関係、
aは0.25〜0.75であり、
b+c=1−a、そして
cは零よりも大きい、
(式中、a,b,およびcは、夫々、非ダイヤモンド状物含有モノマー、アダマンタン含有モノマー、およびジアダマンタン含有モノマーの相対的量を表す)により表すことが出来る。図21Aに示された式が概略に過ぎず、量a,b,およびcで表された繰返し単位がポリマー鎖において実質的にいかなる順序でも現れることが出来ることは、当業者により理解されるであろう。換言すれば、該繰返し単位は、a,b,c,a,b,cの形に従う必要はなく、その代りにa,a,b,a,c,a,b,b,a,b,c,a,c,b等の形を取ることが出来るのである。
【0109】
アダマンタンよりも高級なダイヤモンド状物含有側基を有するモノマーを含める結果は、該側基がより疎水性となり、従って該ブロック基をアルカリ現像液に溶解するのがより難しくなるという事である。しかしながら、この問題点は、ジアダマンタン又はそれより高級な側基を多数の親水性増進基、例えば、−OH基Rで誘導体化することにより、対処することが出来る。必要とされるこれらの数は又本開示の主題である。
【0110】
アダマンタンよりも高級な側基を有するダイヤモンド状物含有モノマーは、ジアダマンタンに限定されず、実際トリアマンタン220、およびポリマンタン炭化水素系においてトリアマンタンよりも更に高級なダイヤモンド状物222を含むことも出来るのである。これは図21Bに図解されている。図21Bにおける用語「ダイヤモンド状物」は、ダイヤモンド状物、テトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン、及びウンデカマンタンの任意の物を表すと意図されている。再び、該鎖における繰返し単位の順序は、図21Bに示された順序に限定されないが、それは該順序が典型的ポリマーの概略図に過ぎないからである。もしも該ポリマーがジアダマンタンおよびトリアマンタンの一方または両方、更にダイヤモンド状物をも含有しているならば、これら繰返し単位の量(それらは、重合過程中のモノマーの反応性に依って、供給物中のモノマーの相対的量のことを言うのと同じ事であるかも知れない)は、夫々、c,d,およびeにより表すことが出来る。
【0111】
図21Aの典型的ポリマーにおいて、Pは、図21C−Dに示された構造により表すことが出来る非ダイヤモンド状酸分裂性側基である。「n」の値は、0または1のいずれであっても良い。n=0ならば、図21Cに示された非ダイヤモンド状側基は、RまたはR置換基を環上に有さない5員複素環を構成する。n=1ならば、図21Cに示された非ダイヤモンド状側基は、5員複素環とポリマー主鎖との結合に関連してアルファ炭素上にRまたはR置換基を有する5員複素環を構成する。再び、この典型的ポリマーにおける結合は、該ポリマーをアクリレートまたはメタクリレートにするエステル結合であるが、多数の異なるタイプの結合が可能である。
【0112】
非ダイヤモンド状酸分裂性側基Pに対する6員複素環は、図21Dに示されている。この場合、又典型的ではあるが、RまたはR置換基は常にアルファ炭素上に存在する。
【0113】
図21A−Bで使用されている命名法は、ダイヤモンド状側基の炭素骨組上への典型的置換基RおよびRの結合場所が複数あることを表すことが意図されていることは、当業者により理解されるであろう。この概念の例は図22A−Eに概略的に図解されている。図22Aにおける224には典型的ダイヤモンド状側基テトラマンタンが示されている。テトラマンタン側基224は、前のように、エステル結合226によりポリマー主鎖に結合している。該テトラマンタン分子は、置換基R,R,R,およびRを含むものとして示されており、図22Aにおける命名法は、これらの置換基が該テトラマンタン炭素骨組に多数の可能な場所(図22B−Eに示された第二級および第三級炭素)で結合出来ることを示すことが意図されている。アダマンタンよりも高級なダイヤモンド状物含有側基を含める利点の一つは、親水性増進基、アルキル基、および重合性基を結合させる膨大な数の可能な場所であることは、読者に明らかとなるであろう。
【0114】
耐腐食性
アダマンタンよりも高級なダイヤモンド状物含有モノマーを含めることは、該ポリマーに高められた耐腐食性を付与するという有利な結果を有することが意図されている。W.D.Hinsberg等による「平版印刷レジスト」という名称の参考文献(IBM研究部門、K−Othmerの化学工学百科事典)で論じられているように、フォトレジストの化学組成をエッチング環境に耐える性能と関連付けるパラメーターがOhnishi等により考え出された。該パラメーターは、N/(N−N)(式中、Nはポリマー繰返し単位における水素原子を含めた原子の総数であり、Nは炭素原子の数であり、Nは酸素原子の数である)により与えられる。
【0115】
該モデルは、反応性イオンエッチングの場合と同じように、物理的イオン衝撃が重要な要素である条件下で、ポリマーに対するエッチング速度の公平な予言者として役立つ。該関係は、エッチング機構が本質的に主として化学的である、下流グロー放電処理で起こる条件のような、低イオンエネルギープラズマ条件に対しては、役に立たなくなる。Ohnishiのパラメーター(Ohnishi parameter)によれば、高含量の炭素を有するポリマー(例えば、低いOhnishiの数(Ohnishi number))は低いエッチング速度を示すことが予測される。炭素含量が増加するとエッチング速度は減少するが、対照的に、水素及び(又は)酸素を繰返し単位構造中に組入れるとエッチング速度は増加する。
【0116】
本発明の典型的モノマーに対するOhnishiの数が、アダマンタンを比較にして、図23Aにそれらの夫々の概略図と共に示されている。図23Aを参照すると、アダマンタン含有繰返し単位は3.00のOhnishiの数を有するが、この数はジアマンタン、トリアマンタン、およびテトラマンタンに対して2.75、2.60、および2.50のように減少する。しかしながら、本開示により教示されているように、ダイヤモンド状側基上に親水性増進基を置換基として含めることが必要であり、必要とされるこれら親水性増進基の数は、ダイヤモンド状物の大きさが増加するにつれて、増加するであろう。
【0117】
これら親水性増進基の丁度いくつが耐腐食性に関して許容され得るかは、驚くべき結果である。例えば、図23Bは、ダイヤモンド状物の大きさが増加する度に唯一つの追加水酸基が置換基として加えられる、同じ系列のアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、およびテトラマンタンに対してOhnishiの数を計算している。レジストの耐腐食性に対するこの追加の「負荷」を以ってしても、Ohnishiの数は、一つのヒドロキシル置換基を有するアダマンタン、二つのヒドロキシル置換基を有するジアマンタン、三つのヒドロキシル置換基を有するトリアマンタン、および四つのヒドロキシル置換基を有するテトラマンタンの系列に対して、依然として減少するのである(夫々、3.36、3.29、3.24、および3.20)。
【0118】
複数の酸不安定性箇所
本発明の態様は、ダイヤモンド状物含有側基が該側基をポリマー主鎖に結合させる結合基における複数の箇所で分裂される性能を含んでいる。これは図24A−Dに概略的に図解されている。図24Aを参照すると、メチル基232およびエステル基234と共にこの典型的ポリマーをメタクリレートとして特徴付けている重合性基230は、第二のエステル結合236を通してダイヤモンド状物238に結合している。ダイヤモンド状物238は、エステル結合236と同じ炭素原子に結合したアルキル置換基240を有している。模範的な目的のため、ヒドロキシル置換基242は、この場合ジアマンタン分子であるダイヤモンド状物238に結合しているのが示されている。
【0119】
複数のエステル結合234および236の目的は、露出事象から生ずる酸がダイヤモンド状側基238をポリマー主鎖(示されていない)から分裂させるための複数の箇所を提供することである。複数の酸分裂性箇所を提供する利点は、少なくとも2倍、即ち、1)比較的弱い酸を使用して、ダイヤモンド状側基を分裂させると同時に、露出後焼付け温度を、さもなくば必要であったであろう温度と比べて減少させることが出来、更に2)潜在的により多種多様な光酸発生成分が利用出来るようになることである。露出後焼付け温度を、例えば、110℃以下に下げることが出来るという事は、均一性の見地から当該産業において極めて望ましい。複数の酸分裂性個所は、酸分裂処理が拡散駆動処理であるから、上述の目的に有効であると予期され、より多くの個所が利用出来るということは、酸分子が遠くまで拡散する必要がないことを意味する。
【0120】
複数の酸不安定性個所を有するダイヤモンド状物含有モノマーの三つの例が更に図24B,C,及びDに示されているが、図24Bにおけるダイヤモンド状物はヒドロキシルおよびメチル置換基を有するトリアマンタンであり、結合基244は3個のエステル結合を含有し、図24Cにおけるテトラマンタンはアセテートおよびカルボン酸置換基(および2個のエステル結合)を有し、図24Dにおけるトリアマンタンは2個のヒドロキシル置換基(および3個のエステル結合)を有する。
【0121】
ラクトン含有ダイヤモンド状側基
接着性増進ラクトン基は、図21A−Bの非ダイヤモンド状物含有側基Pに限定する必要はない。非ダイヤモンド状物およびダイヤモンド状物含有側基の両方にラクトン基を含有する典型的ポリマーは、図25A−Bに示されている。
【0122】
充分に配合されたレジスト
本フォトレジスト組成物は、二塩化エチレン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチレンカーボネート、トルエン、エチルアセテート、ブチルアセテート、メチルラクテート、エチルラクテート、メチルメトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネート、メチルメトキシプロピオネート、エチルピルベート、プロピルピルベート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、およびテトラヒドロフランのような溶剤を更に含むことが出来る。
【0123】
本態様のフォトレジスト組成物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア水、第一級アミン、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、第二級アミン、例えば、ジエチルアミン、ジn−ブチルアミン、第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、アルコールアミン、例えば、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、第四級アンモニウム塩、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、環状アミン、例えば、ピロール、及びピペリジンのようなアルカリ性水溶液中で現像することが出来る。
【0124】
本発明のフォトレジスト組成物は、オニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩、有機ハロゲノ化合物、及び有機金属/有機ハロゲン化物化合物から成る群から選択される光酸発生成分を更に含む。該光酸発生成分は、o−ニトロベンジル系保護基を有することが出来、光分解でスルホン酸を発生することが出来る。
【0125】
本態様のフォトレジスト組成物は、界面活性剤、有機塩基性化合物、酸分解性溶解抑制化合物、染料、可塑剤、光増感剤、および現像液溶解性促進化合物から成る群から選択される添加剤の他に、ダイヤモンド状物誘導体をも又添加剤として、更に含むことが出来る。
【0126】
〔実施例〕
本発明を以下に実施例という形で詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に決して限定されない。反応混合物および生成物をガスクロマトグラフィー/質量分光測定(GC/MS)により分析し特徴付けて、形成された目的化合物の存在および分離された生成物の純度を確認した。使用したGC/MS系は、HP 5973シリーズMSD(質量選択検出器)に結合されたHP 5890シリーズIIクロマトグラフィーである。
【実施例1】
【0127】
47.1gのジアマンタンを375mlの酢酸に溶解し、次に4.1gのN−ヒドロキシフタールイミド(NHPI)および0.322gのCo(acac)(コバルト(II)アセチルアセトネート)を該混合物中に添加した。該混合物を、酸素通気雰囲気において約75℃で約23時間攪拌した。該反応中、追加部分のNHPIおよびCo(acac)を添加した。室温(20℃)に冷却し未反応沈殿ジアマンタンを濾過除去してから、オレンジ色の反応混合物を真空下濃縮してえんじ色の油状液を得た。該えんじ色の油状液を塩化メチレンに溶解した。反応混合物の塩化メチレン溶液を先ず水で数回抽出した。併せた水層を次に塩化メチレンで2,3回抽出し、併せた有機層を最後に濃縮しシリカゲル・カラムクロマトグラフィーに処して、約30%の収率でジ−ヒドロキシル化ジアマンタンを生成した。ジアマンタンの転換率は約64%であった。
【実施例2】
【0128】
9.42gのジアマンタン、0.82gのN−ヒドロキシフタールイミド(NHPI)、0.064gのCo(acac)(コバルト(II)アセチルアセトネート)、および75mlの酢酸の混合物を、酸素通気雰囲気において約75℃で約23時間攪拌した。該反応中、追加部分のNHPIおよびCo(acac)を添加した。室温(20℃)に冷却してから、反応混合物を濃縮しシリカゲル・カラムクロマトグラフィーに処して、ジ−およびトリ−ヒドロキシル化ジアマンタンを夫々約30%および20%の収率で生成した。
【実施例3】
【0129】
18.84gのジアマンタン、1.64gのN−ヒドロキシフタールイミド(NHPI)、0.129gのCo(acac)(コバルト(II)アセチルアセトネート)、および75mlの酢酸の混合物を、酸素通気雰囲気において約75℃で約23時間攪拌した。該反応中、追加部分のNHPIおよびCo(acac)を添加した。反応混合物を濃縮し、濃縮した反応混合物を塩化メチレンに溶解した。反応混合物の塩化メチレン溶液を先ず水で数回抽出した。併せた水層を次に塩化メチレンで2,3回抽出し、最後に水を蒸発させ、残渣をフラッシュ・シリカゲル・カラムクロマトグラフィーに処して、約20%の収率でトリ−ヒドロキシル化ジアマンタンを生成した。
【実施例4】
【0130】
主としてトリ−ヒドロキシル化ジアマンタンを含有する、実施例1における水抽出からの粗製赤色油状液12.4gを、約200mlのエチルアルコールに溶解した。該エチルアルコール溶液に27gの活性炭(60〜100メッシュ)を添加した。該混合物を次に室温(20℃)で約3.5時間攪拌した。濾過後、無色の溶液を濃縮して無色の油状液を得た。
【実施例5】
【0131】
実施例1における併せられた塩化メチレン抽出液600mlに6gの活性炭を添加した。該混合物を室温(20℃)で約20時間攪拌した。濾過後、浅黄色溶液が得られたので、該溶剤を蒸発させて浅黄色固体を得た。該粗製固体をシリカゲル・カラムクロマトグラフィーに処して、ジ−ヒドロキシル化ジアマンタンの無色固体を生成した。
【実施例6】
【0132】
実施例3における水抽出液からの色鮮やかな油状液5gを70mlのエチルアルコールに溶解した。次に10gの活性炭を添加し、該混合物を室温(20℃)で約3.5時間攪拌した。濾過後、無色の溶液を殆んど無色の油状液に濃縮した。該液体を次に2:1 v/vの塩化メチレンおよびTHF(テトラヒドロフラン)に溶解した。該溶液を、最初は2:1 v/vの塩化メチレンおよびTHFを用いて、次にTHFおよびエチルアルコール(5:1 v/v)を用いて、フラッシュ・シリカゲル短カラム溶離に通過させた。第二の画分を濃縮してトリ−ヒドロキシル化ジアマンタンの無色油状液を得た。第一の画分を濃縮して、主にジ−ヒドロキシル化ジアマンタンの白色固体を得た。
【実施例7】
【0133】
実施例1におけるえんじ色の油状液の一部を大過剰量の塩化メチレンに添加して固体を沈殿させた。濾過および上記のような活性炭による脱色の後で、該固体をGC/MSにより分析して、テトラ−ヒドロキシル化ジアマンタンの存在を示した。
【実施例8】
【0134】
乾燥窒素雰囲気において約−30〜0℃で、塩化メタクリロイルを、等モル量のジ−ヒドロキシル化ジアマンタン、過剰のトリエチルアミン、および塩化メチレンの攪拌溶液に、滴状に添加した。次に、得られた混合物を、該温度を維持しながら、数時間更に攪拌した。得られた混合物を濾過し、濾液を真空下濃縮した。濃縮された混合物を水および食塩水で洗浄した。水層を併せ、塩化メチレンで抽出した。有機層を併せ、無水NaSO上で乾燥させ、真空で濃縮した。最後に、該濃縮物をシリカゲル・カラムクロマトグラフィーに処して、モノ−ヒドロキシルジアマンタンメタクリレートを生成した(収率:5%)。ジ−ヒドロキシル化ジアマンタンの転換率は約10%であった。
【実施例9】
【0135】
0.4gのモノ−ヒドロキシル化ジアマンタンを50mlの塩化メチレンに溶解した。塩化メタクリロイル(0.2ml)およびトリエチルアミン(0.5ml)を乾燥窒素雰囲気下室温(20℃)で該溶液に添加した。該混合物を、乾燥窒素雰囲気下室温(20℃)で約2時間攪拌した。次に、該混合物を0℃に冷却し、他の量の塩化メタクリロイル(0.15ml)および5mlの冷塩化メチレン中50mgの4−DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)を該混合物中に添加した。該混合物を0℃で30分間攪拌してから、冷却浴を除去した。該混合物を室温(20℃)で3日間再び攪拌した。反応混合物のGC−MSにより、ジアマンタンメタクリレートの形成が示された。
【実施例10】
【0136】
50mlの塩化メチレンに、ジ−ヒドロキシル化ジアマンタン(5.73ミリモル)およびメタクリル酸(1.1モル当量)が添加された。該混合物を乾燥窒素下0℃で15分間攪拌した。約25mlの冷塩化メチレン中ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、2.1モル当量)および4−DMAP(0.3モル当量)を添加してから、該混合物を乾燥窒素下0℃で30分間攪拌した。次に冷却浴を除去し、該溶液を室温(約20℃)に暖めた。窒素の下で50時間攪拌してから、反応混合物を微細なガラスフリットに通して濾過し、清澄な濾液および微細な灰白色固体としての不溶性尿素副生成物を生成した。該清澄な濾液を、水(3x50ml)、5%酢酸水溶液(3x20ml)で洗浄し、最後に再び水(3x30ml)で洗浄した。有機層を分離し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、溶剤を蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーに処して、モノ−ヒドロキシルジアマンタンメタクリレートを得た(収率:50%)。ジ−ヒドロキシル化ジアマンタンの転換率は約60%であった。
【実施例11】
【0137】
5.8ミリモルのジ−ヒドロキシル化ジアマンタン、6.4ミリモルのトリエチルアミン、および75mlの塩化メチレンを三つ口丸底フラスコに入れた。5.5ミリモルの塩化メタクリロイルおよび5mlの塩化メチレンの混合溶液を、反応温度を0℃に維持して攪拌しながら5分間かけて、滴状に添加し、該混合物を窒素の下で0℃において3時間更に攪拌した。次に冷却浴を除去し、該混合物を室温(20℃)で23時間攪拌した。遂に温度が約30℃に上昇したので、0.25mlの該酸塩化物および0.5mlのトリエチルアミンを添加しながら、該混合物を該上昇温度で更に2時間攪拌した。反応混合物に水を添加することにより抽出を行い、有機層を分離し水および食塩水で洗浄した。水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を併せ、無水NaSOで乾燥させ、真空で濃縮した。該濃縮物をシリカゲル・カラムクロマトグラフィーに処して、モノ−ヒドロキシルジアマンタンメタクリレートを生成した(収率:40%)。ジ−ヒドロキシル化ジアマンタンの転換率は約60%であった。
【0138】
上記に開示した本発明の典型的態様について多数の変形が、当業者の頭に容易に浮かぶであろう。従って、本発明は、別紙特許請求の範囲内に入るあらゆる構造および方法を含むと解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】J.D.Plummer等の「珪素超大規模集積回路技術(Silicon VLSI Technology)」(Prentice Hall、Upper Saddle River、ニュージャージー州、2000年)221〜226頁から取込んだ、化学的に増幅されたポジ型レジストの機能の仕方を説明した概略図である。
【図2】KrF(248nm)リソグラフィに使用されてきた典型的フォトレジスト、およびArF(193nm)に使用されてきた典型的フォトレジストを図解する。
【図3】ダイヤモンド結晶格子に対するダイヤモンド状物の関係を図解し、多数の利用出来るダイヤモンド状物を化学量論的式により列挙する。
【図4】石油からダイヤモンド状物を単離するための、典型的な処理の流れを示す。
【図5A】ダイヤモンド状物が如何にして親水性増進基および重合性基で誘導体化されて供給物モノマーを形成することが出来るかを図解した流れ図であり、該モノマーを次に重合してレジストの原樹脂を形成することが出来、該原樹脂を次に溶剤、光酸発生成分、および他の添加剤と混合して完全に配合されたレジストを製造するのである。
【図5B】ダイヤモンド状物を誘導体化されたダイヤモンド状物にする化学および処理が如何にフォトレジスト性能に貢献するかを概略的に示す。
【図6−20】ダイヤモンド状物を誘導体化する典型的経路を図解する。
【図21A−B】本発明の典型的原樹脂を図解しており、該原樹脂は(アダマンタンをも含有することが出来るけれども)ポリマンタン系においてアダマンタンより高級なダイヤモンド状側基を含有している。
【図21C−D】典型的な非ダイヤモンド状ラクトン含有側基を図解する。
【図22A−E】アダマンタンより高級なダイヤモンド状物上の親水性増進置換基および重合性置換基が如何にして種々の結合点を有するかを図解した、本構造式に対する命名法を提供する。
【図23A−B】アダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、およびイソテトラマンタン側基、及び、夫々1,2,3、および4個の水酸基がある同じ側基を有する原樹脂繰返し単位に対するOhnishiパラメーターの計算値を図解する。
【図24A−D】複数の酸不安定個所を有する典型的なダイヤモンド状物含有モノマーを示す。
【図25A−B】典型的なラクトン含有側基を図解しており、該ラクトン基はダイヤモンド状物含有側基または非ダイヤモンド状物含有側基の一部であることが出来る。
【図26】本発明の典型的ブロック共重合体を図解する。
【図27】イソテトラマンタン側基を含有するポリマーを製造する合成経路を図解する。
【図28】得られたヒドロキシル化反応混合物の全イオンクロマトグラム(TIC)を示す(10〜18分)。
【図29】分離したジヒドロキシル化ジアマンタンのTICを、その対応する質量スペクトルと共に示す。
【図30】分離したトリヒドロキシル化ジアマンタン異性体(複数)のTICを一異性体の質量スペクトルと共に示す。
【図31】ヒドロキシル化反応混合物からトリヒドロキシル化ジアマンタンを分離し精製する方法、即ち、工程1:水抽出;工程2:第一フラッシュ・カラムクロマトグラフィー;工程3:第二フラッシュ・カラムクロマトグラフィーを示す。本発明の一態様において、工程2は除去することが出来る。
【図32】ヒドロキシル化反応から沈澱した固体のTIC、およびテトラヒドロキシル化ジアマンタンを同定する17.27分における質量スペクトルを示す。
【図33】13〜18分における(Aは実施例10からの、Bは実施例11からの)エステル化反応混合物のTICを示す。
【図34】分離したモノヒドロキシルジアマンタンメタクリレート異性体(複数)のTICを、一異性体の質量スペクトルと共に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式 Pg−D−(R)(式中:
Dはジアマンチル(diamantyl)核であり、
Pgは該ジアマンチル核の炭素に共有結合した重合性基であり、
nは1〜6の範囲の整数であり、
Rの少なくとも一つは、親水性増進成分であり、そして
残るRの各々は水素および親水性増進成分から成る群から独立に選択される)
を有する重合性ジアマンチルモノマー。
【請求項2】
該親水性増進成分が水酸基−OH、カルボキシル基−COOH、アルキル基−OCH又は−OC、ケト基−C(O)−、及び基−OC(O)−OCH又は−OC(O)−OCから成る群から選択される、請求項1のジアマンチルモノマー。
【請求項3】
該重合性基Pgが感光性ポリマーを形成する、請求項1のジアマンチルモノマー。
【請求項4】
該重合性基Pgが該ジアマンチル核の第三級(3°)橋頭堡炭素に共有結合した、請求項1のジアマンチルモノマー。
【請求項5】
該重合性基Pgが該ジアマンチル核に結合してエステルを形成する不飽和酸残基である、請求項1のジアマンチルモノマー。
【請求項6】
該不飽和酸残基がアクレリレート又は低級アルキルアクリレートである、請求項5のジアマンチルモノマー。
【請求項7】
該不飽和酸残基が、該ジアマンチルモノマーがアクリレートモノマーであるようなアクリル酸残基である、請求項6のジアマンチルモノマー。
【請求項8】
該不飽和酸残基が、該ジアマンチルモノマーがメタクリレートモノマーであるようなメタクリル酸残基である、請求項6のジアマンチルモノマー。
【請求項9】
式 Pg−D−(R)(式中:
Dはトリアマンチル(triamantyl)核であり、
Pgは該トリアマンチル核の炭素に共有結合した重合性基であり、
nは1〜6の範囲の整数であり、
Rの少なくとも一つは、親水性増進成分であり、そして
残るRの各々は水素および親水性増進成分から成る群から独立に選択される)
を有する重合性トリアマンチルモノマー。
【請求項10】
該親水性増進成分が水酸基−OH、カルボキシル基−COOH、アルキル基−OCH又は−OC、ケト基−C(O)−、及び基−OC(O)−OCH又は−OC(O)−OCから成る群から選択される、請求項9のトリアマンチルモノマー。
【請求項11】
該重合性基Pgが感光性ポリマーを形成する、請求項9のトリアマンチルモノマー。
【請求項12】
該重合性基Pgが該トリアマンチル核の第三級(3°)橋頭堡炭素に共有結合した、請求項9のトリアマンチルモノマー。
【請求項13】
該重合性基Pgが該トリアマンチル核に結合してエステルを形成する不飽和酸残基である、請求項9のトリアマンチルモノマー。
【請求項14】
該不飽和酸残基がアクレリレート又は低級アルキルアクリレートである、請求項13のトリアマンチルモノマー。
【請求項15】
該不飽和酸残基が、該トリアマンチルモノマーがアクリレートモノマーであるようなアクリル酸残基である、請求項14のトリアマンチルモノマー。
【請求項16】
該不飽和酸残基が、該トリアマンチルモノマーがメタクリレートモノマーであるようなメタクリル酸残基である、請求項14のトリアマンチルモノマー。
【請求項17】
式 Pg−D−(R)(式中:
Dはテトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン、及びウンデカマンタンから成る群から選択されるダイヤモンド状核であり、
Pgは該ダイヤモンド状核の炭素に共有結合した重合性基であり、
nは1〜6の範囲の整数であり、
Rの少なくとも一つは、親水性増進成分であり、そして
残るRの各々は水素および親水性増進成分から成る群から独立に選択される)
を有する重合性ダイヤモンド状物含有モノマー。
【請求項18】
該親水性増進成分が水酸基−OH、カルボキシル基−COOH、アルキル基−OCH又は−OC、ケト基−C(O)−、及び基−OC(O)−OCH又は−OC(O)−OCから成る群から選択される、請求項17のダイヤモンド状物含有モノマー。
【請求項19】
該重合性基Pgが感光性ポリマーを形成する、請求項17のダイヤモンド状物含有モノマー。
【請求項20】
該重合性基Pgが該ダイヤモンド状核の第三級(3°)橋頭堡炭素に共有結合した、請求項17のダイヤモンド状物含有モノマー。
【請求項21】
該重合性基Pgが該ダイヤモンド状核に結合してエステルを形成する不飽和酸残基である、請求項17のダイヤモンド状物含有モノマー。
【請求項22】
該不飽和酸残基がアクレリレート又は低級アルキルアクリレートである、請求項21のダイヤモンド状物含有モノマー。
【請求項23】
該不飽和酸残基が、該ダイヤモンド状物含有モノマーがアクリレートモノマーであるようなアクリル酸残基である、請求項22のダイヤモンド状物含有モノマー。
【請求項24】
該不飽和酸残基が、該ダイヤモンド状物含有モノマーがメタクリレートモノマーであるようなメタクリル酸残基である、請求項22のダイヤモンド状物含有モノマー。
【請求項25】
a)重合性基および少なくとも1個の親水性増進基を有するジアマンチルモノマー、
b)重合性基および少なくとも1個の親水性増進基を有するトリアマンチルモノマー、及び
c)重合性基および少なくとも1個の親水性増進基を有するダイヤモンド状物含有モノマーであって、該ダイヤモンド状物がテトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン、及びウンデカマンタンから成る群から選択される該ダイヤモンド状物含有モノマー
から成る群から選択される反復単位を有するポリマー。
【請求項26】
請求項25のポリマーを含む沈着層。
【請求項27】
基体の表面上に模様入りフォトレジストの層を形成する方法であって、
a)重合性基および少なくとも1個の親水性増進基を有するジアマンチルモノマー、重合性基および少なくとも1個の親水性増進基を有するトリアマンチルモノマー、及び重合性基および少なくとも1個の親水性増進基を有するダイヤモンド状物含有モノマーであって、該ダイヤモンド状物がテトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン、及びウンデカマンタンから成る群から選択される該ダイヤモンド状物含有モノマーから成る群から選択されるモノマーからポリマーを形成する工程、
b)該ポリマーを基体の表面上に感光性ポリマーを含むポリマー層として沈着させる工程、及び
c)該ポリマー層の選択された領域を電磁ビームに露出させ、それにより電磁ビームに露出させた領域の感光性ポリマーを変性して選択的に変性された層を生ずる工程
を含む前記方法。
【請求項28】
該選択的に変性された層を溶剤系と接触させて該変性された領域を溶解する工程を更に含む、請求項27の方法。
【請求項29】
該電磁ビームが約200nmより短い波長を有する電磁線を含む、請求項28の方法。
【請求項30】
該電磁線が約193nmの波長を有する、請求項29の方法。
【請求項31】
該電磁線が約157nmの波長を有する、請求項29の方法。
【請求項32】
該電磁ビームが電子ビームである、請求項28の方法。
【請求項33】
該電磁ビームがX線ビームである、請求項28の方法。
【請求項34】
請求項27の方法により形成された模様入り表面。
【請求項35】
基体の表面上に選択された模様を形成する方法であって、
a)少なくとも1個の重合性基および少なくとも1個の親水性増進基を有するジアマンチルモノマー、重合性基および少なくとも1個の親水性増進基を有するトリアマンチルモノマー、及び重合性基および少なくとも1個の親水性増進基を有するダイヤモンド状物含有モノマーであって、該ダイヤモンド状物がテトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン、及びウンデカマンタンから成る群から選択される該ダイヤモンド状物含有モノマーから成る群から選択されるモノマーを含む感光性ポリマーを基体の表面上に形成する工程、及び
b)該感光性ポリマーを含む層の選択された領域を電磁ビームに露出させ、それにより電磁ビームに露出させた領域の感光性ポリマーを変性して選択的に変性された層を生ずる工程
を含む前記方法。
【請求項36】
該選択的に変性された層を溶剤系と接触させて該変性された領域を溶解する工程を更に含む、請求項35の方法。
【請求項37】
該溶剤系がアルカリ現像液を含む、請求項36の方法。
【請求項38】
該電磁ビームが約200nmより短い波長を有する電磁線を含む、請求項35の方法。
【請求項39】
該電磁線が約193nmの波長を有する、請求項38の方法。
【請求項40】
該電磁線が約157nmの波長を有する、請求項38の方法。
【請求項41】
該電磁ビームが電子ビーム及びX線ビームから成る群から選択される、請求項35の方法。
【請求項42】
請求項35の方法により形成された模様入り表面。
【請求項43】
一般式:
【化1】


(式中、Rは−H及び−CHから成る群から選択され、
は−H、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、及び1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基から成る群から選択され、
は−H、又は水酸基−OH、ケト基=O、カルボン酸基−COOH、アルコキシ基−OR、及びラクトン基−OC(O)ORから成る群から選択される親水性増進成分であり、
は−CH又は−Cであり、
aは0.25〜0.75であり、
b+c=1−a、
cは零よりも大きく、そして
は非ダイヤモンド状酸分裂性側基である)
により表される原樹脂を含むポジティブ・ワーキング・フォトレジスト組成物。
【請求項44】
bが約0であり、cが約0.5である、請求項43のフォトレジスト組成物。
【請求項45】
がラクトン含有側基である、請求項43のフォトレジスト組成物。
【請求項46】
【化2】


(式中、nは0又は1であり、そして
、R、及びRは各々、H、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、及び1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基から成る群から個々に選択される)
から成る群からPが選択される、請求項44のフォトレジスト組成物。
【請求項47】
一般式:
【化3】


(式中、Rは−H及び−CHから成る群から選択され、
は−H、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、及び1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基から成る群から選択され、
は−H、又は水酸基−OH、ケト基=O、カルボン酸基−COOH、アルコキシ基−OR、及びラクトン基−OC(O)ORから成る群から選択される親水性増進成分であり、
は−CH又は−Cであり、
aは0.25〜0.75であり、
b+c+dは実質的に1−aと等しく、そして
は非ダイヤモンド状酸分裂性側基である)
により表される原樹脂を含むポジティブ・ワーキング・フォトレジスト組成物。
【請求項48】
cが約0〜0.25である、請求項47のフォトレジスト組成物。
【請求項49】
dが約0〜0.25である、請求項47のフォトレジスト組成物。
【請求項50】
c+dが約0〜0.25である、請求項47のフォトレジスト組成物。
【請求項51】
3b及び2bが実質的にdと等しい、請求項47のフォトレジスト組成物。
【請求項52】
がラクトン含有側基である、請求項43のフォトレジスト組成物。
【請求項53】
【化4】


(式中、nは0又は1であり、そして
、R、及びRは各々、H、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、及び1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基から成る群から個々に選択される)
から成る群からPが選択される、請求項44のフォトレジスト組成物。
【請求項54】
一般式:
【化5】


(式中、Rは−H及び−CHから成る群から選択され、
は−H、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、及び1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基から成る群から選択され、
は−H、又は水酸基−OH、ケト基=O、カルボン酸基−COOH、アルコキシ基−OR、及び基−OC(O)ORから成る群から選択される親水性増進成分であり、
は−CH又は−Cであり、
aは0.25〜0.75であり、
b+c+d+eは実質的に1−aと等しく、そして
は非ダイヤモンド状酸分裂性側基である)
により表される原樹脂を含むポジティブ・ワーキング・フォトレジスト組成物。
【請求項55】
cが約0〜0.25で変動する、請求項54のフォトレジスト組成物。
【請求項56】
dが約0〜0.25で変動する、請求項54のフォトレジスト組成物。
【請求項57】
eが約0〜0.25で変動する、請求項54のフォトレジスト組成物。
【請求項58】
c+d+eが約0〜0.25で変動する、請求項54のフォトレジスト組成物。
【請求項59】
アダマンタン含有モノマーの量、bがジアマンタン、トリアマンタン、及びダイヤモンド状物含有モノマーの合計量、c+d+eと大体等しい、請求項54のフォトレジスト組成物。
【請求項60】
がラクトン含有側基である、請求項54のフォトレジスト組成物。
【請求項61】
【化6】


(式中、nは0又は1であり、そして
、R、及びRは各々、H、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、及び1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基から成る群から個々に選択される)
から成る群からPが選択される、請求項60のフォトレジスト組成物。
【請求項62】
一般式:
【化7】


(式中、Rは−H及び−CHから成る群から選択され、
は−H、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、及び1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基から成る群から選択され、
は−H、又は水酸基−OH、ケト基=O、カルボン酸基−COOH、アルコキシ基−OR、及び基−OC(O)ORから成る群から選択される親水性増進成分であり、
は−CH又は−Cであり、
aは0.25〜0.75であり、
b=1−a、そして
は非ダイヤモンド状酸分裂性側基である)
により表される原樹脂を含むポジティブ・アクティング・フォトレジスト組成物。
【請求項63】
b及びcが各々約0〜0.5で変動する、請求項62のフォトレジスト組成物。
【請求項64】
b及びcが大体互いに等しい、請求項62のフォトレジスト組成物。
【請求項65】
がラクトン含有側基である、請求項62のフォトレジスト組成物。
【請求項66】
【化8】


(式中、nは0又は1であり、そして
、R、及びRは各々、H、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、及び1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基から成る群から個々に選択される)
から成る群からPが選択される、請求項62のフォトレジスト組成物。
【請求項67】
以下のモノマー:
【化9】


(式中、Rは−H及び−CHから成る群から選択され、
は−H、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、及び1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基から成る群から選択され、
は−H、又は水酸基−OH、ケト基=O、カルボン酸基−COOH、アルコキシ基−OR、及び基−OC(O)ORから成る群から選択される親水性増進成分であり、
は−CH又は−Cである)
の任意のモノマーから重合された原樹脂を含むポジティブ・アクティング・フォトレジスト組成物。
【請求項68】
側基としてアダマンタンを有するモノマーを更に含む、請求項67のフォトレジスト組成物。
【請求項69】
ダイヤモンド状側基を有するモノマーを更に含む、請求項67のフォトレジスト組成物。
【請求項70】
側基としてヘテロダイヤモンド状基を有する原樹脂を含むポジティブ・アクティング・フォトレジスト組成物。
【請求項71】
該原樹脂が以下のモノマー:
【化10】


(式中、Rは−H及び−CHから成る群から選択され、
は−H、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、及び1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基から成る群から選択され、
は−H、又は水酸基−OH、ケト基=O、カルボン酸基−COOH、アルコキシ基−OR、及び基−OC(O)ORから成る群から選択される親水性増進成分であり、
は−CH又は−Cであり、
Xは酸素、窒素、硼素、及び硫黄から成る群から選択される)
の任意のモノマーから重合されている、請求項70のフォトレジスト組成物。
【請求項72】
原樹脂が含む、ポジティブ・アクティング・フォトレジスト組成物。
【請求項73】
ダイヤモンド状物含有モノマーの任意のモノマーの平均オニチ(Onichi)数が約3よりも大きい、請求項43,47,54,62,67、又は71の任意の1項のフォトレジスト組成物。
【請求項74】
cal0.5/cm1.5の単位で表した原樹脂の溶解パラメーターの平均値が約8〜13で変動する、請求項43,47,54,62,67、又は71の任意の1項のフォトレジスト組成物。
【請求項75】
オニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩、有機ハロゲノ化合物、及び有機金属/有機ハロゲン化物化合物から成る群から選択される光酸発生成分を更に含む、請求項43,47,54,62,67、又は71の任意の1項のフォトレジスト組成物。
【請求項76】
該光酸発生成分がo−ニトロベンジル系保護基を有する、請求項75のフォトレジスト組成物。
【請求項77】
該光酸発生成分が光分解でスルホン酸を発生する、請求項75のフォトレジスト組成物。
【請求項78】
組成物中の光酸発生成分の量が約0.01〜30重量パーセントで変動する、請求項75のフォトレジスト組成物。
【請求項79】
界面活性剤、有機塩基性化合物、酸分解性溶解抑制化合物、染料、可塑剤、光増感剤、現像液溶解性促進化合物、及び親水性ダイヤモンド状物誘導体含有添加剤から成る群から選択される添加剤を更に含む、請求項43,47,54,62,67、又は71の任意の1項のフォトレジスト組成物。
【請求項80】
二塩化エチレン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチレンカーボネート、トルエン、エチルアセテート、ブチルアセテート、メチルラクテート、エチルラクテート、メチルメトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネート、メチルメトキシプロピオネート、エチルピルベート、プロピルピルベート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、及びテトラヒドロフランから成る群から選択される溶剤を更に含む、請求項43,47,54,62,67、又は71の任意の1項のフォトレジスト組成物。
【請求項81】
該組成物用の現像液がアルカリ性水溶液を含む、請求項43,47,54,62,67、又は71の任意の1項のフォトレジスト組成物。
【請求項82】
該アルカリ性水溶液が無機アルカリ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア水、第一級アミン、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、第二級アミン、例えば、ジエチルアミン、ジn−ブチルアミン、第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、アルコールアミン、例えば、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、第四級アンモニウム塩、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、環状アミン、例えば、ピロール、及びピペリジンを含む、請求項79のフォトレジスト組成物。
【請求項83】
該原樹脂が一般式:
【化11】


(式中、D繰返し単位はラクトン含有基である)
により表されるブロック共重合体を含む、請求項43,47,54,62,67、又は71の任意の1項のフォトレジスト組成物。
【請求項84】
ジヒドロキシル化ジアマンタン、トリヒドロキシル化ジアマンタン、テトラヒドロキシル化ジアマンタン、及びそれらの混合物から成る群から選択されるヒドロキシル化ジアマンタンの製造方法であって、
a) 反応混合物中でジアマンタンをN−ヒドロキシフタールイミド(NHPI)及びCo(acac)(コバルト(II)アセチルアセトネート)と反応させる工程、
b) 該反応混合物を濃縮して濃縮生成物を形成する工程、及び
c) 該濃縮生成物からヒドロキシル化ジアマンタンを回収する工程
を含む前記方法。
【請求項85】
工程a)中に該反応混合物に追加部分のN−ヒドロキシフタールイミド(NHPI)及びCo(acac)(コバルト(II)アセチルアセトネート)を添加する工程を更に含む、請求項84の方法。
【請求項86】
該濃縮生成物を溶剤に溶解させ、得られた溶液を次に水で抽出して水層および溶剤層を形成する工程を更に含む、請求項84の方法。
【請求項87】
該溶剤層をシリカゲルカラム・クロマトグラフィーに処してジヒドロキシル化ジアマンタンを回収する工程を更に含む、請求項86の方法。
【請求項88】
該溶剤が塩化メチレンである、請求項86の方法。
【請求項89】
該水層をエチルアルコールに溶解させてエチルアルコール溶液を形成し、該エチルアルコール溶液に活性炭を添加し、次に該活性炭およびエチルアルコール溶液からトリヒドロキシル化ジアマンタンを回収する諸工程を更に含む、請求項86の方法。
【請求項90】
a)該水層をエチルアルコールに溶解させてエチルアルコール溶液を形成する工程、
b)工程a)のエチルアルコール溶液に活性炭を添加する工程、
c)工程b)の活性炭およびエチルアルコール溶液を濃縮して濃縮生成物にする工程、
d)工程c)の濃縮生成物を塩化メチレン及びテトラヒドロフランに溶解させる工程、及び
e)工程d)の溶解濃縮生成物をシリカゲルカラムに通して、塩化メチレン及びテトラヒドロフラン分画、およびテトラヒドロフラン及びエチルアルコール分画を溶出する工程
を更に含む、請求項86の方法。
【請求項91】
該塩化メチレン及びテトラヒドロフラン分画からジヒドロキシル化ジアマンタンを回収する工程を更に含む、請求項90の方法。
【請求項92】
該テトラヒドロフラン及びエチルアルコール分画からトリヒドロキシル化ジアマンタンを回収する工程を更に含む、請求項90の方法。
【請求項93】
該濃縮生成物を大過剰の塩化メチレンに溶解させて固体を沈殿させ、次に該沈殿固体からテトラヒドロキシル化ジアマンタンを回収する諸工程を更に含む、請求項84の方法。
【請求項94】
ジアマンタンメタクリレートの製造方法であって、
a)モノヒドロキシル化ジアマンタン及びトリエチルアミンに塩化メタクリロイルを添加して反応混合物を形成する工程、
b)工程a)の反応混合物に追加量の塩化メタクリロイル及び4−ジメチルアミノピリジンを添加する工程、及び
c)工程b)の反応混合物からジアマンタンメタクリレートを回収する工程
を含む前記方法。
【請求項95】
モノヒドロキシル化ジアマンタンメタクリレートの製造方法であって、
a)ジヒドロキシル化ジアマンタン及びトリエチルアミンに塩化メタクリロイルを添加して反応混合物を形成する工程、及び
b)工程a)の反応混合物からモノヒドロキシル化ジアマンタンメタクリレートを回収する工程
を含む前記方法。
【請求項96】
モノヒドロキシル化ジアマンタンメタクリレートの製造方法であって、
a)ジヒドロキシル化ジアマンタン及びメタクリ酸に塩化メタクリロイルを添加して反応混合物を形成する工程、
b)工程a)の反応混合物にジシクロヘキシルカーボジイミド及び4−ジメチルアミノピリジンを添加する工程、及び
c)工程b)の反応混合物からモノヒドロキシル化ジアマンタンメタクリレートを回収する工程
を含む前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公表番号】特表2007−507593(P2007−507593A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534053(P2006−534053)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/031929
【国際公開番号】WO2005/036265
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(503148834)シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド (258)
【Fターム(参考)】