説明

ダックビル弁

【課題】先端側からの流体の流動を確実に規制することが可能で、かつ、手術器具などの挿入、及び、抜去の操作がスムーズで、該手術器具の動作により変形のないダックビル弁を提供すること。
【解決手段】基側から先端に向けて収束するように延出した一対の傾斜したリップ面3と、該リップ面3の先端となる合せ面に直線状のスリット4とを備えてなる、先端側から基方向への流体の流動を規制するダックビル弁において、前記スリット4に直交する位置に、一対のリップ面3に直立、かつ、対向させて、前記リップ先端31近傍からリップ外周32近傍まで翼状に拡がる、肉厚0.35mm以上、0.65mm以下の柔軟なシート状のリブ5を、好ましくは3対並列して備えて構成し、弁体の内側面には、潤滑剤としてフッ素系樹脂をコーティングして形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流動を規制する弁に関し、詳しくは、特に医療用として外套管内に配置されて用いられるダックビル弁に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡下気腹手術に用いられ、鉗子等手術器具の挿入通路となる外套管(トロカール)には、腹腔内に充填した気腹ガスが体腔外に漏出しないような気密性が求められ、その為の機能として、該外套管のハウジング内には、先端側(腹腔内側)からのガスの流動を規制する逆止弁が設けられている。この逆止弁としては、いくつかのものがあるが、その一つとして、全体が弾性体よりなり、弁の入口側(基側)から出口端(先端側)の方向に向って収束するように延出した実質的に平坦な一対のリップと、前記出口端において前記両リップが合わさって形成されたスリットとを備えるダックビル弁と、同様に弾性体よりなり、挿入される手術器具の径と同等の径の孔を備えたリング状の弁とを組み合わせて、前記外套管のハウジング内に設置し、前記手術器具が挿入されているときは、リング状の弁の孔に器具が密着されることで体外へのガス漏れを防止し、手術器具が挿入されていないときには、前記ダックビル弁のスリットの閉塞により気密を維持する逆止弁がある。(例えば、引用文献1)
しかし、前記一般的なダックビル弁を気腹手術用の外套管に装着する場合は、該外套管の大きさの規制から弁を小さく、薄く形成する必要があることで、特に、リップ部分の強度が弱くなるきらいがあり、先端側からの流体の流動に対して十分な規制ができない(気密がとれない)場合がある。また、特に本用途においては、ダックビル弁に一旦手術器具を挿入し、抜いた後は、スリットに開き癖が付いてしまい形状復帰が不完全で、リップの合せ目となるスリットが確実に閉塞されず、十分な気密がとれなくなってしまうといった問題がある。
また、手術器具の中には先端部が鋭利な器具もあり、器具を挿入するさいに弁の先端部を誤穿刺して破損させてしまう懸念もある。
【0003】
また、これら問題点に対し、リップ部のスリットを閉じた状態に維持して、流体の流動を確実に規制することを課題とした、前記ダックビル弁の先端部に対向するように突出部を設けて構成するダックビル弁が提案されている。(特許文献2)
【0004】
【特許文献1】特開2001−443
【特許文献2】特開2007−239865
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記引用文献2のダックビル弁によると、前記突出部を設けることで、リップの先端部の肉厚がリップの他の部位の肉厚より実質的に大きくなり、従来のものに比較して、リップ部が変形しにくく、スリットが閉塞状態を保ちやすいため、流動規制することにある程度貢献している。また、リップ部の先端が肉厚であることで、誤穿刺に対する防御となっている。
しかし、このようにリップ部の先端を肉厚に形成すると、外套管に組み入れて、手術器具を挿入、抜去するさいに、該手術器具とリップ部のスリットとの接触抵抗が大きくなり、挿入、抜去がしにくく、更には、該器具の抜去のさいに、器具にリップ部がくっ付き、リップ部を巻き込んで反転させてしまう懸念があり、スリットの確実な閉塞と、手術器具の挿入、抜去の良好な操作性のバランスをリップ部の肉厚で調整することは、手術器具の個体差等から考えても困難であるといった問題がある。また、手術器具を挿入、抜去することを用途とした場合に、この手段のみにより、スリットの開き癖等の変形を確実に防止し、確実な閉塞状態が保てるかどうかは疑問がある。
【0006】
そこで、本発明は、特に医療用として外套管内に配置されて用いられる弁において、先端側からの流体の流動を確実に規制することが可能で、かつ、手術器具などの挿入、及び、抜去の操作がスムーズな、該手術器具の動作により変形のないダックビル弁を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基側から先端に向けて収束するように延出した一対の傾斜したリップ面と、該リップ面の先端となる合せ面に直線状のスリットとを備えてなる、先端側から基方向への流体の流動を規制するダックビル弁において、前記スリットに直交する位置に、一対のリップ面に直立、かつ、対向させて、前記リップ先端近傍からリップ外周近傍まで翼状に拡がる柔軟なシート状のリブを複数対並列して備えて構成する。
【0008】
また、前記翼状のリブは、次のように形成、あるいは、構成することが好ましい。
・リブは並列させ3対を備える。
・リブのリップ外周近傍側の立ち上がり端は、リップの外周と同等か、あるいは、外周より外方に(大きく)、該リップの外周よりはみ出して形成する。
・リブのリップ外周近傍側の立ち上がり端の上端の位置(高さ)は、前記リップの先端部の位置(高さ)と同等か、あるいは、上方(先端側)に形成し、リブの上端の面は、外周側より中心側(スリット側)に向け下方(基側)に傾斜して形成する。
・リブのリップ先端近傍側の立ち上がり端は、リップ先端部と同等か、あるいは、下方(基側)に形成する。
・リブの上端の面は、リップの外周側において、少なくとも一部に直線部分を備える。
・リブの肉厚は、0.35mm以上、0.65mm以下とする。
【0009】
更に、前記弁体の内側面に潤滑剤をコーティングすることが好ましく、該潤滑剤はフッ素系樹脂であることが一層好ましい。
【0010】
(作用)
本手段のダックビル弁によると、スリットに直交する位置に、一対のリップ面に直立、かつ、対向させて、前記リップ先端近傍からリップ外周近傍まで翼状に拡がる比較的大きな面をもつリブを複数対(好適には3対)備えることにより、リップ部の強度が高まり、保形性が良好となることで、自然状態であるスリットが閉じた状態が維持しやすくなる。特に、外套管のハウジング内に装着されると、該リブの外周側の立ち上がり部(弁体の外周囲にあたる部位)が該ハウジングの内壁に接触することで、該内壁からリブを僅かに内側に押し付ける作用が働き、スリットを両側から閉じる方向に押すことで、一層スリットを確実に閉じた状態に保持することができる。更に、この状態で手術器具を挿入すると、スリットが拡開され、リブの外周側がハウジングの内壁に押し付けられることにより、内壁からの反作用でリブがスリットを押し付けて閉塞する方向にも力が働き、手術器具を装着した状態でも、本ダックビル弁のみによって気密状態をある程度保持することができ、また、該器具を抜去した後も、リブのスリットへの押し付け作用によりリップ部は元の閉じた状態に戻りやすく、開き癖による変形を防止することができる。
【0011】
また、リブは、肉厚が薄く形成された翼状に拡がる柔軟なシート状として形成されることにより、その柔軟性から、例えば、リップの肉厚を厚く形成することなどにより問題となる、前記手術器具の挿入や抜去のさいの該器具との接触抵抗の大幅な増加を招くことはなく、一般的な肉厚のダックビル弁の開閉のスムーズさを保つことができる。また、比較的大きな面のリブを複数対備えることで保形性が良好となるため、手術器具の抜去のさい、手術器具との接触抵抗によりリブが裏側に巻き込まれるといったことはなく、リップ部の反転を防止している。
【0012】
更に、リブを3対とすると、内視鏡下気腹手術に使用する外套管に組み込まれるダックビル弁のサイズにおいて、最も前記作用が発揮されるものとすることができる。即ち、リブが1対、あるいは、2対であると、スリットへの十分な押し付け効果が得られず、確実な気密がとれない懸念があると共に、手術器具として、先端が鋭利な器具を使用した場合に、リブとリブの隙間などの肉薄なリップ部分に鋭利な先端部が導入され、リップ部を誤穿刺してしまう可能性が高まる問題がある。一方、4対以上であると、本用途のサイズのダックビル弁では、必要以上に強くスリットを押し付けてしまったり、また、リップ部の強度が強くなりすぎたりすることにより手術器具の挿入、抜去の操作性を悪くしてしまう懸念が生じる。
また、同様な理由によりリブの肉厚は、0.35mm以上、0.65mm以下とすると、前記用途において、最も前記作用が発揮されるものとすることができる。即ち、0.35mmより薄く形成されると、スリットへの押し付け効果が十分に得られず、気密がとれない懸念があり、0.65mmより厚く形成するとスリットを必要以上に強く押し付けてしまったり、リブの強度が強くなりすぎたりにより前記操作性を悪くしてしまう懸念が生じる。
【0013】
また、リブのリップ外周近傍側の立ち上がり端をリップの外周と同等か、あるいは、外周より外方に形成することにより、前記外套管のハウジング内に組み込んださいに、該外套管の内壁にリブの外周側の端を確実に接触させることができ、更に、リブの幅を内壁より大きなサイズとすることにより、該リブを前記内壁に押し付けた状態でハウジング内に装着することができ、リブによるスリットへの押し付け効果を高めることができる。
また、リブのリップ外周近傍側の立ち上がり端の上端の高さの位置を、前記リップ先端部の位置と同等か、あるいは、上方(高い位置)に形成し、リブの上端の面を、弁の外周側より中心側に向け下方に傾斜して形成すると、リブの外周側が高い位置にあり、内側が低い位置にあることになり、また、中心方向に向って下方に傾斜させていることで、力を付与する側のリブ外周側のハウジング内壁との接触部が大きく、力を受ける側のリップ側先端側のリブとの接触部が小さいことにより、必要部位(リップ面)に力が効率的に伝わること、また、傾斜するリップに斜め上方からの押す力が働くことで効果的にリップ面に力が伝わることが考察され、リブがリップ部分を押し付ける効果を僅かに高めることが期待される。更に、リブの上端の面のリップの外周側において、少なくとも一部に直線部分を備えることによっても、直線部分を備えない、先端を鋭角にして傾斜のみとした場合と比較すると、リブの変形による押し付け力の逃げが少なくなることが考察され、リブによるスリットへの押し付け作用を僅かに高めることが期待される。
更に、リブのリップ先端近傍側の立ち上がり端を、リップ先端部よりも下方に形成することにより、リップ最先端部分のスリットへのリブによる直接の押し付け作用を避けることができ、必要以上に強い押し付け作用をスリット部分に掛け、手術器具のスムーズな挿入抜去を阻害することを防止することができる。また、リブ最先端部の必要以上の肉厚の増加を防ぐことができる。
【0014】
更に、弁体の内側面に潤滑剤としてフッ素系樹脂などをコーティングすることにより、手術器具との挿入、抜去時の摩擦抵抗が低下し、スムーズな挿入、抜去の操作をすることができる。特に、本手段において、リブにより僅かに高まる該器具との接触抵抗を相殺することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のダックビル弁によると、特に、医療用として外套管内に配置されて用いられる弁において、前記構成のリブ、及び、前記した作用により、手術器具の装着状態にあってもある程度の閉塞状態の維持が可能であり、手術器具の未挿着状態にあっては、スリットの確実な閉塞状態の維持が可能となり、先端側からの流体の流動を確実に規制することができる。
加えて、外套管内に配置されたさいの手術器具などの挿入、及び、抜去の操作がスムーズで、また、該手術器具の動作により変形することのないダックビル弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態を示すダックビル弁の構成図。
【図2】前記器具の正面図の断面図。
【図3】前記実施形態のダックビル弁を取り付けた外套管の構成図。
【図4】前記ダックビル弁と組み合わせるリング弁を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のダックビル弁の一形態につき図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態のダックビル弁の構成図で、Aが正面図、Bが側面図、Cが上面図を示し、図2は、前記正面図の断面図を示している。
本形態のダックビル弁は、主に内視鏡下気腹手術のさいに腹壁等に穿刺され、内視鏡や、鉗子等の手術器具を体腔内に導入するための通路となる外套管(トロカール)に組み込まれ、腹腔内に充填した気腹ガスを体外に漏出させないため、先端部側からのガスの流動を規制する逆止弁として用いられ、そのさいに、主に、手術器具未装着時の流動を規制し、手術器具装着時の弁となる後記するリング弁と共に組み合わされて使用される。
本例の弁は、ゴム弾性樹脂(本例においては、シリコーン樹脂)よりなる一体成型品として形成され、円環状の弁基1、該弁基1より肉薄に形成される円筒状の弁本体2、該弁本体2中途(基側)から対向して先端に向かって収束するように延出した一対の傾斜したリップ面3、該リップ面3の先端の合せ面に形成される直線状のスリット4、及び、該スリット4に直交する位置(方向)に、一対のリップ面3に直立して、かつ、前記スリット4を挟んで対向させて、前記リップ先端31の近傍からリップ外周32の近傍まで翼状に拡がる3対のシート状のリブ5の各部より構成される。そして、スリット4の対向する合せ面を含めた弁の内側全面に、外套管への手術器具の挿入、抜去のさいに接触摩擦抵抗を低減するための潤滑剤として、本例においては、フッ素樹脂(PTFE:ポリテトラフルオロエチレン)をコーティングして形成した。
【0018】
弁基1は、本ダックビル弁の基側端部に円環状に形成され、弁全体の変形の防止など保形強度を維持するため、他の部位よりも肉厚(本例においては、肉厚2.35mm)に形成し、後記弁本体2より外方に突起させ、該突起部の段差により、外套管内に装着するさい、後記する外套管6のハウジング端部622に係止され、弁の外套管6への位置固定の手段としている。
弁本体2は、前記弁基1から上方に連続して円筒状に肉薄に(本例においては、肉厚1mm)形成され、外套管6に装着するさいにハウジング内壁621に接するよう、該ハウジングの内径に適合する外径(本例においては、10mm)として形成される。
リップ面3は、前記の通り、前記弁本体2の中途(リップ外周部32)から対向して先端(リップ先端31)に向け収束するように延出した一対の傾斜面として薄膜状(本例においては、肉厚約0.58mm)に形成され、本例においては、R17からR19程度の内側に湾曲する湾曲面として形成した。
スリット4は、前記リップ面3のリップ先端31の合せ面に、外套管に挿入される手術器具を容易に挿入、抜去可能な長さとして、本例においては、7.5mmの直線の切り込みとして形成され、前記手術器具の挿入、抜去のさいの通路とされる。
【0019】
リブ5は、前述の通り、前記スリット4に対し直交する方向に、リップ面3に直立、かつ、スリット4を挟んで対向させ、前記リップ先端31の近傍からリップ外周部32の近傍までの間に翼状に拡がる、薄厚0.35mm以上、0.65mm以下のシート状(本例においては、膜厚0.5mm)として形成し、本例においては、中心線上とその両脇に3対を等間隔(本例においては、2mm間隔)に並列に並べて構成した。
本例のリブ5についてより詳細に説明すると、リブ5の設定位置となる、リップ先端3近傍のリブ先端立ち上がり部51は、スリットが4形成されるリップ先端31より僅かに下がった(基側)位置(本例においては、約0.5mm下方)に設定し、一方、リップ外周部32近傍のリブ外周部立ち上がり部52は、弁本体2外周面より僅かに突出する位置(本例においては、0.8mm外方)に設定し、該外周立ち上がり部52の下端は、前記リップ外周部32と同等な高さの位置とし、上端521は、リップ先端31よりも高い(先端側)位置(本例においては、約1mm上方)に設定して、リブ5の上面となる上端の面53は、本例においては、前記外周立ち上がり部上端521から外周側8mmを直線部分として水平面に形成し、以降、前記リブ先端立ち上がり部51に向け傾斜する傾斜面として形成して、これらを各々対向して等間隔に並列に3対並べて構成した。
【0020】
図3は、前記実施形態のダックビル弁を組み込んだ外套管の構成図で、Aが組み込み前、Bが組み込んだ状態を示している。また、図4は、前記ダックビル弁と組み合わせて用いられるリング弁を示している。
本形態の外套管6は、穿刺部となる円筒状の外筒61と、外套管の基部となり内腔620に弁を装着するハウジング62と、該ハウジング62の後端部に取り付け、装着された弁を固定するポート631を設けたポートキャップ63を備えて構成し、該外套管6へのダックビル弁の組み込みは、外套管のハウジング62の内腔620にダックビル弁を挿着するが、ダックビル弁の弁本体2の外径(本例においては、10mm)は、該ハウジング内腔620の径とほぼ同等に形成されており、該弁本体2の外周がハウジング内壁621に接して装着され、前記した弁基1の段差(突起部)がハウジング端面622に当接して、該弁基1がハウジング後端から突出した状態で位置が固定される。このように装着されることにより、前記弁本体2より外方方向に突出して形成されたリブ5は、該ハウジング内腔620の径より大きいため、変形した状態(押し潰された状態)で装着され、また、該リブ5は対向して形成されているため、該リブ5は、ハウジング内壁621から中心のリップ3やスリット4に向って両側から押し付ける状態となり、スリット4の閉塞した状態をサポートすることになり、外套管6の外筒61側からの流体の流動を確実に規制することができる。
【0021】
しかし、前記ダックビル弁に手術器具を挿入した状況を考慮すると、この状態でも、前記作用により、従来の一般的なダックビル弁に比較して高い気密性が期待されるとはいえ、弁の構造上、スリットと手術器具の間に僅かな隙間が生じることは避けられず、該手術器具装着時の確実な気密維持のため、本例においては、次のようなリング弁7を組み合わせて併用している。
本例のリング弁7は、ダックビル弁同様にゴム弾性樹脂(本例においては、シリコーン樹脂)より一体成型され、装着される手術器具より僅かに小さな径に形成される孔部71と、前記ダックビル弁と組み合わせるため、該ダックビル弁の弁基1を包み込むような凹型に形成される弁基1との係合部72を備えて構成し、本例においては、手術器具を導入しやすいように、中心部に設ける前記孔部71は、周辺部からすり鉢状に傾斜させた端部として形成した。
そして、ダックビル弁が装着された外套管6に、該リング弁7を、該外套管6の後端から突出している弁基1に覆うように取り付け、更に、前記外套管6のハウジング後端に、手術器具挿入のためのポート631を備えたポートキャップ63を、前記リング弁7を覆うように嵌め込んで本形態の外套管6とした。
本構成により、外套管6に手術器具が装着されている場合は、ダックビル弁に加え、リング弁7の孔部71による閉塞で確実な気密が可能で、手術器具が装着されていない場合は、ダックビル弁のリップ3による閉塞で確実に気密することができる。
【符号の説明】
【0022】
1. 弁基
2. 弁本体
3. リップ(面)
31. リップ先端
32. リップ外周部
4. スリット
5. リブ
51. リブ先端立ち上がり部
52. リブ外周部立ち上がり部
521.外周立ち上がり部上端
53. リブ上端面
531.リブ上端面水平部
532.リブ上端面傾斜部
6. 外套管
61. 外筒
62. ハウジング
620.ハウジング内腔
621.ハウジング内壁
622.ハウジング端面
63. ポートキャップ
631.ポート
7. リング弁
71. 孔部
72. 係合部
73. すり鉢状傾斜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基側から先端に向けて収束するように延出した一対の傾斜したリップ面と、該リップ面先端の合せ面に直線状のスリットとを備えてなる、先端側から基方向への流体の流動を規制するダックビル弁において、前記スリットに直交する位置に、一対のリップ面に直立、かつ、対向させて、前記リップ先端近傍からリップ外周近傍まで翼状に拡がる柔軟なシート状のリブを複数対並列して備えたことを特徴とするダックビル弁。
【請求項2】
前記リブは並列して3対を備える請求項1のダックビル弁。
【請求項3】
前記リブのリップ外周近傍側の立ち上がり端は、リップの外周と同等か、あるいは、外周より外方に(大きく)形成される請求項1乃至2のいずれかのダックビル弁。
【請求項4】
前記リブのリップ外周近傍側の立ち上がり端の上端の位置は、前記リップ先端部の位置(高さ)と同等か、あるいは、上方(先端側)に形成され、リブの上端の面は、外周側より中心側(スリット側)に向け下方(基側)に傾斜して形成される請求項1乃至3のいずれかのダックビル弁。
【請求項5】
前記リブのリップ先端近傍側の立ち上がり端は、リップ先端部と同等か、あるいは、下方(基側)に形成する請求項1乃至4のいずれかのダックビル弁。
【請求項6】
前記リブの上端の面は、リップの外周側において、少なくとも一部に直線部分を備える請求項1乃至5のいずれかのダックビル弁。
【請求項7】
前記リブの肉厚は、0.35mm以上、0.65mm以下である請求項1乃至6のいずれかのダックビル弁。
【請求項8】
前記弁体の内側面に潤滑剤をコーティングした請求項1乃至7のいずれかのダックビル弁。
【請求項9】
前記潤滑剤は、フッ素系樹脂である請求項8のダックビル弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−270800(P2010−270800A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121480(P2009−121480)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000153823)株式会社八光 (45)
【Fターム(参考)】