ダブルピストンサイクル機関
【課題】従来の燃焼機関より効率的で有害な排気放出物を低減可能なダブルピストンサイクル機関を提供する。
【解決手段】デュアルピストンサイクル機関は、第一のピストン03を中に収容する第一のシリンダー01と、第二のピストン04を中に収容する第二のシリンダー02と、燃料混合物が第一のシリンダーに入ることを可能にするための、第一のシリンダーに結合された吸気弁10と、排ガスが第二のシリンダーから出ることを可能にするための、第二のシリンダーに結合された排気弁11と、第一のシリンダーの内チャンバを第二のシリンダーの内チャンバに結合し、第一のシリンダーと第二のシリンダーとの間のデッドスペースを最小限にするように構成された段間弁12とを含み、第一のピストンが吸気および圧縮ストロークのみを実行し、第二のピストンが燃焼および排気ストロークのみを実行し、第一および第二のシリンダーが互いに熱的に隔離されている。
【解決手段】デュアルピストンサイクル機関は、第一のピストン03を中に収容する第一のシリンダー01と、第二のピストン04を中に収容する第二のシリンダー02と、燃料混合物が第一のシリンダーに入ることを可能にするための、第一のシリンダーに結合された吸気弁10と、排ガスが第二のシリンダーから出ることを可能にするための、第二のシリンダーに結合された排気弁11と、第一のシリンダーの内チャンバを第二のシリンダーの内チャンバに結合し、第一のシリンダーと第二のシリンダーとの間のデッドスペースを最小限にするように構成された段間弁12とを含み、第一のピストンが吸気および圧縮ストロークのみを実行し、第二のピストンが燃焼および排気ストロークのみを実行し、第一および第二のシリンダーが互いに熱的に隔離されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、内燃機関に関し、より具体的には、従来の燃焼機関よりも効率的であるダブルピストンサイクル機関(DPCE)に関する。
【0002】
関連出願
本出願は、参照により本明細書に組み入れられる、2005年3月11日出願の「DOUBLE PISTON CYCLE ENGINE (DPCE)」と題する米国特許仮出願第60/661,195号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
内燃機関は今日いたるところにあり、100年余りにわたって使用されていると考えられる。典型的には、内燃機関は一つまたは複数のシリンダーを含む。各シリンダーは、一般に吸気、圧縮、燃焼/パワーおよび排気ストロークと呼ばれる四つのストロークを実行する1個のピストンを含み、これらのストロークがいっしょになって従来のピストンの一つの完全なサイクルを形成する。
【0004】
従来の内燃機関に関する主要な問題は低い燃料効率である。従来の機関によって生成される潜在的な燃料熱エネルギーの半分超が、有用な機械的動作を成すことなく、機関構造を介して放散すると推定される。この熱廃棄の主な理由は、従来の機関に不可欠な冷却要件である。冷却システム(たとえばラジエータ)だけでも、有用な動作へと実際に変換されるすべての熱よりも大きな熱量をより高い速度で放散する。従来の内燃機関に関するもう一つの問題は、より高い燃焼温度を提供するための熱再生またはリサイクル法を使用する間、効率を高めることができないことである。
【0005】
従来の機関が効率の問題をこうむるもう一つの理由は、吸気および圧縮ストローク中のシリンダー内の高温がピストン動作をより困難にし、ひいてはそれらのストローク中に効率を下げるからである。
【0006】
既存の内燃機関に伴うもう一つの欠点は、燃焼温度および圧縮比をさらに高めることができないことである。理論的には、パワーストローク間のチャンバ温度を上げ、圧縮比を高めることが効率を改善するであろう。
【0007】
従来の機関に関するもう一つの問題は、有害な排気放出物を生じさせる不完全な化学燃焼プロセスである。
【0008】
これらの装置は、それらが対処しようとする特定の目的には適しているかもしれないが、ピストンの従来の四つのストロークを、各デュアルピストンによって実行される二つの低温ストローク(吸気および圧縮)と二つの高温ストローク(パワーおよび排気)とに分ける温度差別化デュアルシリンダーを利用する本発案のDPCEほど効率的ではない。
【0009】
以前に開示されたデュアルピストン燃焼機関構造は他にもあるが、いずれも、本発明の実質的な効率および性能改善を提供するものではない。たとえば、Casadayへの米国特許第1,372,216号(特許文献1)は、シリンダーとピストンとがそれぞれの対として配設されているデュアルピストン燃焼機関を開示している。点火シリンダーのピストンは圧縮シリンダーのピストンに先行して動く。Thurstonらへの米国特許第3,880,126号(特許文献2)は、2ストロークサイクル分割シリンダー内燃機関を開示している。誘導シリンダーのピストンがパワーシリンダーのピストンに半ストローク未満ほど先行して動く。誘導シリンダーは装荷を圧縮し、装荷をパワーシリンダーに伝達し、そこで、直前のサイクルからの燃焼生成物の残留装荷と混合され、さらに圧縮されたのち点火される。Scuderiへの米国特許出願第2003/0015171A1(特許文献3)は、4ストロークサイクル内燃機関を開示している。第一のシリンダー内のパワーピストンがクランクシャフトに接続されており、4ストロークサイクルのパワーおよび排気ストロークを実行する。第二のシリンダー内の圧縮ピストンもまたクランクシャフトに接続されており、クランクシャフトの同じ回転中に同じ4ストロークサイクルの吸気および圧縮ストロークを実行する。第一のシリンダーのパワーピストンは第二のシリンダーの圧縮ピストンに先行して動く。Suhらへの米国特許第6,880,501号(特許文献4)は、クランクシャフトに接続されたピストンをそれぞれが含むシリンダーの対を有する内燃機関を開示している。一方のシリンダーは吸気および圧縮ストロークに適合されている。他方のシリンダーはパワーおよび排気ストロークに適合されている。Brackettへの米国特許第5,546,897号(特許文献5)は、2、4またはディーゼル機関パワーサイクルを実行することができるマルチシリンダー往復ピストン内燃機関を開示している。
【0010】
しかし、これらの引用例は、シリンダー温度を差別化して点火(パワー)シリンダーを圧縮シリンダーおよび周囲環境から効果的に隔離する方法を開示していない。これらの引用例はさらに、シリンダーと周囲環境との間の相互の温度影響を最小化する方法を開示していない。加えて、これらの引用例は、従来の燃焼機関シリンダーよりも点火シリンダーの温度をさらに上げ、圧縮シリンダーの温度をさらに下げて機関効率および性能を高める機関改良を開示していない。具体的には、圧縮シリンダーの温度を最低限にすることは圧縮動作投資の削減を可能にし、パワーシリンダーの温度を高めることは熱再生の増大を可能にする。加えて、これらの引用例で開示されている別個のシリンダーはすべて、シリンダー間に「デッドスペース」容積を生じさせるある種の切換え弁または中間通路を介して接続されており、シリンダー間にガスを蓄積させ、機関の効率をさらに落としてしまう。さらには、上記の従来技術引用例のいずれも、シリンダーどうしを隔離してシリンダー間に改善された温度差を維持しながらもシリンダー間のデッドスペースを最小限にする対向型またはV型シリンダーおよびクランクシャフト形状を教示していない。
【0011】
Clarkeへの米国特許第5,623,894号(特許文献6)は、デュアル圧縮およびデュアル膨張内燃機関を開示している。2個のピストンを含む内ハウジングが外部ハウジング内で動いて、圧縮のためのチャンバと膨張のためのチャンバとを別個に形成する。しかし、Clarkeは、機関ストロークのすべてを実行する一つのチャンバを含み、本発明で開示されるようなシリンダーの隔離および/または改善された温度差別化を妨げる。
【0012】
Thomasへの米国特許第3,959,974号(特許文献7)は、一つのパワーピストンを含み、別のピストンを含む比較的低温を維持するリング区分に接続された、リングレス区分における高温に耐えることができる材料で部分的に形成された燃焼シリンダーを含む燃焼機関を開示している。しかし、Thomasの機関全体における高温は、燃焼および排気ストロークの間を通して存在するだけでなく、圧縮ストロークの一部の間にも存在する。さらに、Thomasは、対向型またはV型形状において機関シリンダーを隔離して、改善された温度差別化を可能にする方法を開示しておらず、シリンダーに接続する吸気ポート中に実質的なデッドスペースを含む機関を開示している。
【0013】
これらの点で、本発明のDPCEは、従来技術の通常概念および設計を実質的に逸脱したものであり、その際、従来の内燃機関よりも効率的である劇的に改良された内燃機関を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第1,372,216号
【特許文献2】米国特許第3,880,126号
【特許文献3】米国特許出願第2003/0015171A1
【特許文献4】米国特許第6,880,501号
【特許文献5】米国特許第5,546,897号
【特許文献6】米国特許第5,623,894号
【特許文献7】米国特許第3,959,974号
【発明の概要】
【0015】
発明の概要
従来技術に存在する公知のタイプの内燃機関に固有の前記欠点を考慮して、新たに発案された本発明は、従来の燃焼機関よりも効率的なやり方で燃料をエネルギーまたは動作に転換する温度差別化シリンダーを利用するDPCE燃焼機関を提供する。
【0016】
本発明の一つの態様で、DPCE機関は、第二のシリンダーに結合された第一のシリンダーと、第一のシリンダー内に配置されて吸気および圧縮ストロークを実行するように構成された第一のピストンと、第二のシリンダー内に配置されてパワーおよび排気ストロークを実行するように構成された第二のピストンとを含む。または、第一および第二のシリンダーを、1個のシリンダーの中で互いに結合された二つの別個のチャンバを有し、第一のピストンが第一のチャンバ中にあり、第二のピストンが第二のチャンバ中にある1個のシリンダーとみなすこともできる。
【0017】
さらなる態様で、DPCE機関はさらに、第一のシリンダーに結合された吸気弁と、第二のシリンダーに結合された排気弁と、第一のシリンダーの内チャンバを第二のシリンダーの内チャンバに結合する段間弁とを含む。
【0018】
さらなる態様で、機関は、2個のピストン連接棒、圧縮クランクシャフト、パワークランクシャフトおよび2個のクランクシャフト連接棒を含む。連接棒は、それぞれのピストンをそれぞれのクランクシャフトに接続する。圧縮クランクシャフトは、回転運動を第一のピストンの往復運動に転換する。パワークランクシャフトは、第二のピストンの往復運動を機関回転出力運動に転換する。クランクシャフト連接棒は、パワークランクシャフト回転を圧縮クランクシャフト回転に伝達する。
【0019】
一つの態様で、吸気弁は、大部分の4ストローク機関の吸気弁に使用されているものと同じ円錐形のシール面を有するシャフトで構成されている。排気弁は、大部分の4ストローク機関の排気弁に使用されているものと同じ円錐形のシール面を有するシャフトで構成されている。段間弁は、円錐形のシール面を有するシャフトで構成されている。
【0020】
もう一つの態様で、燃焼機関効率を改善する方法は、吸気および圧縮チャンバ(クールストローク)を燃焼および排気チャンバ(ホットストローク)から切り離し、そのようにして吸気および圧縮ストローク中の温度低下ならびに燃焼ストローク中の温度上昇を可能にし、それによって機関効率を高めることを含む。
【0021】
さらなる態様では、機関効率を改善する方法は、吸気および圧縮ストローク中の温度を最低限にするかまたは低下させることを含む。取り込まれて圧縮される空気/装荷温度が低くなればなるほど、機関効率は高くなる。
【0022】
さらに別の態様では、機関効率を改善する方法は、排気熱エネルギーを再生し、利用することを含む。
【0023】
さらなる態様では、外部冷却要件を大幅に減らし、それが他方でパワーストローク中の熱出力動作転換に利用可能な保有熱を高め、さらに燃料をより効率的に燃焼させ、それによって有害な放出物を減らすDPCE機関が提供される。
【0024】
もう一つの態様では、改善された効率の燃焼機関を提供する方法は、第一のシリンダーで吸気および圧縮を実行し、第二のシリンダーでパワーおよび排気ストロークを実行することを含み、第一のシリンダーが第二のシリンダーよりも低い温度に維持される。さらなる態様では、方法はまた、圧縮空気および燃料混合物を第一のシリンダーから第二のシリンダーに注入して、それによって第二のシリンダーを冷却することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】クランクシャフト角が270°の状態で示されている本発明の一つの態様のDPCE装置の略側断面図である。
【図2】クランクシャフト角が315°の状態で示されている図1のDPCE装置の略側断面図である。
【図3】クランクシャフト角が330°の状態で示されている図1のDPCE装置の略側断面図である。
【図4】クランクシャフト角が0°の状態で示されている図1のDPCE装置の略側断面図である。
【図5】クランクシャフト角が45°の状態で示されている図1のDPCE装置の略側断面図である。
【図6】クランクシャフト角が90°の状態で示されている図1のDPCE装置の略側断面図である。
【図7】クランクシャフト角が135°の状態で示されている図1のDPCE装置の略側断面図である。
【図8】クランクシャフト角が180°の状態で示されている図1のDPCE装置の略側断面図である。
【図9】クランクシャフト角が225°の状態で示されている図1のDPCE装置の略側断面図である。
【図10】本発明の一つの態様の、空冷圧縮シリンダーおよび排気加熱パワーシリンダーを有するDPCE装置の略側断面図である。
【図11】本発明の一つの態様の、水冷圧縮チャンバおよび排気加熱パワーチャンバを有するDPCE装置の略側断面図である。
【図12】本発明の一つの態様のDPCE圧縮およびパワーピストンの三次元(3D)略図である。
【図13】本発明の一つの態様のDPCE圧縮およびパワークランクシャフトの3D略図である。
【図14】本発明の一つの態様のDPCE圧縮およびパワークランクシャフトの3D略図である。
【図15】本発明の一つの態様の、クランクシャフト連接棒を示すDPCEクランクシャフトシステムの3D略図である。
【図16】本発明の一つの態様の、2個のクランクシャフト連接棒を有するDPCEクランクシャフトシステムの3D略図である。
【図17】本発明の一つの態様の、異なるクランクシャフト角を示すDPCEクランクシャフトシステムの3D略図である。
【図18】本発明の一つの態様の、1個のクランクシャフト連接棒をタイミングベルト(またはチェーンもしくはV字形ベルト)と組み合わせて有するDPCEクランクシャフトシステムの3D略図である。
【図19】本発明の一つの態様の、タイミングベルト(またはチェーンもしくはV字形ベルト)のみを有するDPCEクランクシャフトシステムの3D略図である。
【図20】本発明の一つの態様の、接続機構としてクランクシャフト歯車を有するDPCEクランクシャフトシステムの3D略図である。
【図21】本発明のもう一つの態様の、接続機構としてクランクシャフト歯車を有するDPCEクランクシャフトシステムの3D略図である。
【図22】本発明の一つの態様の段間弁の略断面図である。
【図23】本発明の一つの態様の段間逃がし弁の略断面図である。
【図24】本発明の一つの態様の半自動段間弁の略断面図である。
【図25】本発明の一つの態様の、過給能力を有するDPCE装置の略断面図である。
【図26】本発明の一つの態様の、圧縮シリンダーとパワーシリンダーとを異なる面に有するDPCE装置の3D略図である。
【図27】本発明の一つの態様の、両シリンダーが互いに対して平行であり、両ピストンが並行に動くDPCE装置の略3D図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。各図を通じて同様の要素を同様な符号で参照する。図面は、必ずしも原寸に比例して描かれてはおらず、また、必ずしも例示する様々な例示的態様のすべての詳細を示すものでもないことを理解すること。むしろ、本発明の例示的な態様の説明を可能にすることを提供する特定の特徴および要素を示すだけである。
【0027】
図1を参照すると、本発明の一つの態様にしたがって、DPCEシリンダーは、圧縮シリンダー01、パワーシリンダー02、圧縮ピストン03、パワーピストン04、2個のピストン連接棒それぞれ05および06、圧縮クランクシャフト07、パワークランクシャフト08、クランクシャフト連接棒09、吸気弁10、排気弁11および段間弁12を含む。圧縮シリンダー01は、圧縮ピストン03、吸気弁10および段間弁12の一部を収容するピストン機関シリンダーである。パワーシリンダー02は、パワーピストン04、排気弁11、段間弁12の一部およびシリンダー02中の燃焼チャンバに対面するパワーピストン04の面の前に位置するスパークプラグ(図示せず)を収容するピストン機関シリンダーである。圧縮ピストン03は、吸気および圧縮機関ストロークに働く。パワーピストン04は、パワーおよび排気ストロークに働く。連接棒05および06は、それぞれのピストンをそれぞれのクランクシャフトに接続する。圧縮クランクシャフト07は、回転運動を圧縮ピストン03の往復運動に転換する。パワーピストン04の往復運動は、パワークランクシャフト08の回転運動に転換され、それが他方で機関回転運動または動作に転換される(すなわち、クランクシャフト08はDPCE出力シャフトとして働く)。クランクシャフト連接棒09は、パワークランクシャフト08の回転を圧縮クランクシャフト07の回転に変える。
【0028】
一つの態様では、吸気弁10は、大部分の従来の4ストローク機関の吸気弁に使用されているものと同じ円錐形のシール面を有するシャフトで構成されている。排気弁11は、大部分の従来の4ストローク機関の排気弁に使用されているものと同じ円錐形シール面を有するシャフトで構成されている。段間弁12もまた、円錐形シール面を有するシャフトで構成されている。
【0029】
再び図1を参照すると、圧縮シリンダー01の内キャビティBの中には圧縮ピストン03がある。圧縮ピストン03は、圧縮シリンダー01に対し、図示する矢印によって示す方向に動く。パワーシリンダー02の内キャビティCの中にはパワーピストン04がある。パワーピストン04は、パワーシリンダー02に対し、図示する矢印によって示す方向に動く。圧縮シリンダー01と圧縮ピストン03とがチャンバBを画定する。パワーシリンダー02とパワーピストン04とがチャンバCを画定する。好ましい態様では、パワーピストン圧力面は、チャンバCを補足し、燃焼中にさらなる燃焼チャンバ容積として機能する成形された空洞26(同じく図12を参照)を有している。チャンバBは、段間機械的作動弁12を介してチャンバCと流動的に連絡している。圧縮シリンダー01は吸気弁10を有する。チャンバBは、吸気弁10を介して気化燃料/空気装荷Aと流動的に連絡している。パワーシリンダー02は排気弁11を有している。チャンバCは、排気弁11を介して周囲の空気Dと流動的に連絡している。排気弁11は、開放位置にあるとき、排ガスを吐出させることができる。燃焼ストローク中、パワーピストン04がパワー連接棒06を押して、パワークランクシャフト08を右回りに回転させる。排気ストローク中、慣性力(図示しないフライホイール質量によって誘発される)がパワークランクシャフト08をしてその右回り回転を続けさせ、パワー連接棒06をしてパワーピストン04を動かすと、それが他方で、燃焼済み燃料排気を弁11から吐出する。クランクシャフト連接棒09を介するパワークランクシャフト08の回転は、圧縮クランクシャフト07を同期回転のために統合する(すなわち、両クランクシャフトが同じ速度および動的角度で回転する)。一つの態様で、両ピストン、すなわちパワーピストン04および圧縮ピストン03は、それらの上死点(TDC)位置および下死点(BDC)位置を同時に通過する。代替態様で、所望のタイミング構成に依存して、パワーピストン04と圧縮ピストン03との相対位置は、所望の量だけ位相シフトされてもよい。一つの態様では、DPCEデュアルシリンダー装置は、従来の加圧冷却およびオイル潤滑法およびシステム(図示せず)を利用する。本発明の態様では、パワーチャンバCの構造部品(たとえばシリンダー02およびピストン04)は、従来の燃焼機関よりもずっと高い温度を維持するが、一つの態様では、パワーチャンバCの構成部品は、冷却システムを使用して温度制御される。そのうえ、構成部品のいくつかまたは全部を耐高温性材料、たとえばセラミックス、炭素またはステンレス鋼で製造することもできる。さらなる態様では、DPCE装置は、周知の高電圧タイミングおよびスパークプラグ電気システム(図示せず)ならびに電気スタータモータを利用してスパークプラグ点火、タイミングおよび機関初期回転を制御することができる。
【0030】
図1〜9に示すように、電気スタータがDPCE出力シャフト6' (図15)と係合すると、両クランクシャフト07および08がそれぞれの右回り回転を開始し、両ピストン03および04がそれぞれの往復運動を始める。図5に示すように、圧縮ピストン03およびパワーピストン04は、チャンバBおよびチャンバCの容積を増す方向に動く。吸気弁10はその開放位置にあり、この段階でチャンバBの容積が一定に増すため、気化燃料または新鮮な空気装荷(燃料噴射システムを使用する場合)がA地点(たとえば気化器出力ポートを表す)から吸気弁10を介してチャンバBに流れ込む。図6〜8それぞれに示すように、燃料−空気装荷が流れ込むときチャンバB容積は増大する。圧縮ピストン03がそのBDC点に達すると、吸気弁10が閉じて、チャンバBの空気−燃料装荷内容物を閉じ込める。クランクシャフトの右回り回転が続く間、図9および図1〜3それぞれに示すように、チャンバBの容積は減り、その今や閉じ込められた空気−燃料装荷の温度および圧力が高まる。圧縮ピストン03が所定の点(図3)に近づくと、段間弁12が開き、チャンバBの空気−燃料装荷がチャンバCに流れ込む。圧縮ピストンがそのTDC点に近づくと(態様によっては、いくらかの遅延または先行を導入してもよい)、段間弁12が閉じると同時にスパークプラグの点火が起こる。
【0031】
図5〜8はパワーストロークを示す。燃焼が起こると、チャンバCの圧力が増大してパワーピストン04を強く押し、それが他方で連接棒06を動かして、DPCE出力シャフト06'に結合されているパワークランクシャフト08を回転させる。その間、圧縮ピストン03がそのTDC位置から押し戻されると、吸気弁10が再び開いて、新たな空気燃料装荷AをチャンバBに吸い込むことができる。
【0032】
排気ストロークは、パワーピストン04がそのBDC点(図8)に達したときに始まる。排気弁11が開き、チャンバCの容積が減ると、燃焼済みの排ガスがチャンバCから開口した排気弁11を介して周囲環境Dに押し出される。
【0033】
このように、DPCE機関は、従来の燃焼機関の1個のピストンおよびシリンダーによって実行されるストロークを二つの熱的に差別化されたシリンダーに分け、各シリンダーが4ストロークサイクルの半分を実行する。「コールド」シリンダーが吸気および圧縮ストロークを実行し、熱的に隔離された「ホット」シリンダーが燃焼および排気ストロークを実行する。従来の機関に比べて、この革新的システムおよびプロセスは、DPCE機関をより高い燃焼チャンバ温度ならびにより低い吸気および圧縮チャンバ温度で動作させることを可能にする。低めの吸気および圧縮温度を維持しながらより高い燃焼温度を使用すると、機関冷却要件が軽減され、圧縮エネルギー所要量が減少し、ひいては、機関効率が向上する。さらには、パワーシリンダーを外部環境から熱的に隔離することは、外部熱損失を抑制し、同じ熱エネルギーを次のストロークで再使用することを可能にし、各サイクルでより少ない燃料しか燃やさない。
【0034】
一つの態様で、圧縮シリンダー01は、圧縮ピストン03、吸気弁10および段間弁12の一部を収容する従来のピストン機関シリンダーに類似している。圧縮シリンダー01は、圧縮ピストン03とともに動作して、送り込まれる空気および/または燃料装荷を吸い込み、圧縮する。好ましい態様では、圧縮シリンダーは冷却される。図10は、熱吸収および放射リブ20を有する空冷圧縮シリンダーを示す。図11は、冷却液通路22を有する液冷圧縮シリンダーを示す。好ましい態様では、冷却空気源または冷却液源は、従来技術で周知のものと同じであることができる。好ましい態様では、圧縮シリンダー01およびパワーシリンダー02は、互いおよび周囲環境から熱的に隔離されるべきである。図26は、2個のシリンダーが異なる面に構築され、それにより、シリンダー間の往復運動伝導性を最小限で行使する態様を示す。
【0035】
パワーシリンダー02は、パワーピストン02、排気弁11、段間弁12の一部およびスパークプラグ(図示せず)を収容するピストン機関シリンダーである。パワーシリンダー02は、パワーピストン04とともに機能してシリンダー02のチャンバ内で圧縮空気/燃料混合物を燃焼させ、得られたエネルギーを機械的動作としてパワークランクシャフト08に伝達する。その往復運動サイクルの第二の半分の間、パワーピストン04は、排ガスをシリンダー02から排気弁11を介して吐出させるかまたは押し出すように動作する。パワーシリンダー02は、シリンダー02中の燃焼チャンバに対面するパワーピストン04の面の正面に位置するスパークプラグを収納する。図12に示すように、一つの態様で、パワーピストン04は、燃焼チャンバとして働く、成形された空洞26を有する。排気ストローク中、パワーピストン04が燃焼済みガスをシリンダー02から排気弁11を介して押し出す。
【0036】
一つの好ましい態様では、パワーシリンダー02は、外部に対して熱的に隔離されることに加え、排気加熱される。図10および11は、呼気流中に、排ガスが熱をパワーシリンダー加熱通路24中に伝導するときの排気熱利用を示す。
【0037】
上記で説明したように、圧縮連接棒05は、圧縮クランクシャフト07を圧縮ピストン03と接続してピストン03をシリンダーに対して往復して動くように動かす。パワー連接棒06は、パワークランクシャフト08をパワーピストン04と接続する。燃焼段階では、パワー連接棒06がピストン04の運動をパワークランクシャフト08に伝達してそれを回転させる。排気段階では、パワークランクシャフト08の回転および運動量がパワーピストン04を圧縮シリンダー01に向かって押し戻すと、それが燃焼済みガスを排気弁を介して吐出させる(排気ストローク)。
【0038】
図13を参照すると、圧縮クランクシャフト07が、回転運動を圧縮ピストン03の往復運動に転換している。圧縮クランクシャフト07は、圧縮連接棒05 (図1)をクランクシャフト連接棒09と接続する。クランクシャフト連接棒09の運動が圧縮クランクシャフト07を回転させる。圧縮クランクシャフト07の回転が圧縮連接棒05の運動を引き起こし、それが他方で圧縮ピストン03をそのシリンダーハウジング01に対して往復して動くように動かす。
【0039】
本発明の種々の態様で、圧縮クランクシャフト07およびパワークランクシャフト08の構造形状は所望の機関形状および設計にしたがって変化させることができる。たとえば、いくつかのクランクシャフト設計要因は、デュアルシリンダーの数、相対的なシリンダー配置、クランクシャフトギヤ機構および回転方向である。たとえば、圧縮クランクシャフト07およびパワークランクシャフト08が同じ方向に回転するならば、クランクシャフト07および08の軸は、図13に示すように、互いに対して180°に配置されるべきである。または、圧縮クランクシャフト07とパワークランクシャフト08とがそれぞれ反対方向に回転するならば、両クランクシャフト軸は、図14に示すように、互いに対して同相に配置されるべきである。
【0040】
パワークランクシャフト08は、パワー連接棒06をクランクシャフト連接棒09と接続する。燃焼が起こると、パワーピストン04の運動が、そのパワー連接棒06を介して、同じく機関出力シャフト(図示せず)に結合されているパワークランクシャフト08を回転させ、それが連接棒09をして圧縮クランクシャフト07を回転させ、圧縮ピストン03の往復運動を発生させる。
【0041】
クランクシャフト連接棒09がパワークランクシャフト08を圧縮クランクシャフト07と接続し、それにより、両クランクシャフトに同期回転を提供する。図15は、本発明の一つの態様にしたがって各クランクシャフト07および08に結合されたクランクシャフト連接棒09の斜視図を示す。クランクシャフト連接棒09の機能は、パワークランクシャフト08と圧縮クランクシャフト07とを連結することである。特定の設計では、両クランクシャフト07および08は、それぞれが互いに対して同期的に回転することができる(同じ方向、同じ角度)。他の設計では、2個のクランクシャフト07および08は、所定の位相角の有無にかかわらず、反対方向に回転することもできる。
【0042】
図17は、各クランクシャフト07および08に結合された連接棒09の斜視図を示す。各クランクシャフトは、他方、それぞれのピストン連接棒05および06に結合されて、クランクシャフト07および08が、そうでなければ同期的なピストン03および04の動きの間に、所定の位相差を提供するように互いに対して配向している。所定の位相差とは、図4に示す圧縮ピストンTDC位置とパワーピストンTDC位置との間に時間差を達成するために、相対的なピストン位相遅延または先行をいずれかのピストンに導入することができることをいう。図17は、ピストン03および04がそれぞれのTDC位置に達するまでの時間の間に所望の位相遅延または先行を提供するために、ピストン連接棒05および06が互いに対して位相はずれである状態を示す。一つの態様では、位相遅延は、パワーシリンダーのピストンが圧縮シリンダーのピストンよりもわずかに先行して動いて、圧縮された装荷をほぼ完全な圧縮ストロークの下で伝えることを可能にし、パワーピストンが完全な排気ストロークを完了することを可能にするように導入される。圧縮ピストンに通じるパワーピストンに関する位相遅延のこのような利点はまた、Casadayへの米国特許第1,372,216号およびScuderiの米国特許出願第2003/0015171A1号に記載されている。代替態様では、圧縮ピストンがパワーピストンに先行して動き、パワーピストンが圧縮シリンダーからの装荷を点火前にさらに圧縮するような反対位相遅延が導入される。この手法の恩典は、Thurstonらへの米国特許第3,880,126号およびThomasへの米国特許第3,959,974号で述べられている。
【0043】
さらなる態様で、圧縮クランクシャフト07およびパワークランクシャフト08の正しい回転方向を強要するため、図16に示すように、第二のクランクシャフト連接棒13が使用される。
【0044】
図18を参照すると、一つのクランクシャフト連接棒14をタイミングベルトまたはチェーン機構15と組み合わせて有することにより、クランクシャフト07および08の回転方向を確立するための代替手段を具現化することができる。図19に示すように、もう一つの態様では、チェーン機構またはタイミングベルト機構15そのものが、上述したクランクシャフト接続機構のいずれかに対する代替として働くことができる。
【0045】
図20および21は、クランクシャフト連接棒09に代わるための代替機構を示す。図20は、互いに係合した3個の歯車32を含むクランクシャフト接続歯車機構30を示す。この態様では、両クランクシャフト07および08は一方向だけに回転する(3個の歯車を利用する)。図21は、偶数個の歯車32を有し、それにより、クランクシャフト07および08を反対方向に回すように構成された歯車機構40および42を接続するクランクシャフトの二つの態様を示す。
【0046】
一つの態様では、吸気弁10は、大部分の4ストローク機関の吸気弁に使用されているものと同じ円錐形のシール面を有するシャフトで構成されている。吸気弁10は、周囲空気または気化空気/燃料装荷が圧縮シリンダー01に流れ込むときそれらを管理する。圧縮シリンダー01は少なくとも一つの吸気弁を有する。好ましい態様では、圧縮ピストン03の瞬間的位置に対して、吸気弁の場所、機能、タイミングおよび動作は、従来の4ストローク内燃機関の吸気弁と同様または同一であることができる。
【0047】
一つの態様では、排気弁11は、大部分の4ストローク機関の排気弁に使用されているものと同じ円錐形のシール面を有するシャフトで構成されている。パワーシリンダー02上に位置する排気弁11は燃焼済みガス吐出流を管理する。パワーシリンダー02は少なくとも一つの排気弁を有する。好ましい態様では、排気弁位置、機能、タイミングおよび動作方法は、周知の従来の4ストローク燃焼機関で見られる排気弁と同様または同一であることができる。
【0048】
図22を参照すると、一つの態様で、段間弁12は、円錐形のシール面を有するシャフトで構成されている。段間弁は、圧縮シリンダー01内の容積Bからの圧縮気流または圧縮気化空気/燃料装荷(本明細書でまとめて「燃料」または「燃料混合物」という)がパワーシリンダー02内の容積Cに押し込まれるときそれを管理する。段間弁12はまた、容積Cから容積Bへの燃料の逆流を防ぐ。段間弁12は、開放位置にあるとき、圧縮燃料が圧縮シリンダー01からパワーシリンダー02に流れ込むことを可能にする。燃焼中およびパワーストロークを通して、段間弁12は閉じたままである。一つの態様では、段間弁の動作機構は、周知の燃焼機関の吸入または排気弁の機構と同様または同一であることができる。段間弁12の閉止または開放位置は、動的なDPCEシャフト/部品の一つ(たとえばピストン03)と結合または係合する機械的連結機構によって操作される。また、正確な弁動タイミングは多くのエンジニアリング設計考慮事項に依存するということを理解すること。ただし、通例として、段間弁12は、排気弁11が閉じるころに開き、パワーストロークおよび排気ストロークの少なくとも大部分の間、閉じたままであるべきである。
【0049】
図23を参照すると、もう一つの態様で、予荷重ばね作動式逃がし弁17が段間弁12として働く。この態様は、連結ベースの作動機構を要しない自動弁を提供する。吸気および動作ストローク中、作動圧および予荷重ばね16がバルブステム17を閉止かつシールされた状態に強要する。圧縮および排気ストローク中、容積B中の増大した圧縮燃料圧が容積C中の低下した排気圧とともに弁の予荷重ばね16の力に打ち勝ち、ひいてはバルブステム17を開かせ、それにより、圧縮燃料がパワーシリンダー02のチャンバCに流れ込むことを可能にする。
【0050】
図24は、燃焼チャンバEと、プラグ弁19を包囲する円柱形またはリング状部分を有する弁18を含む新規な半自動段間弁との組み合わせを示す。この態様では、燃焼チャンバEは、弁18によって圧縮チャンバBからシールされ、弁19によって動作チャンバCからシールされる。ばね20が両方の弁18および19を同時にそれらの対応する閉止位置に向かって押す。スパークプラグ21が燃焼チャンバEの空洞の内部に位置している。燃焼チャンバEおよび段間弁の動作は以下のとおりである。図示するように、段階Jで、初期圧縮および排気ストローク中、ばね20がバルブステム18およびバルブステム19を押して、シールされた閉止位置に両弁をとどまらせる。段階Hで、圧縮ストロークが進行すると、その圧縮空気/装荷圧が上がり、一定の段階で、弁18に作用する上昇圧がばね20の予荷重力に打ち勝ち、それにより、弁18を開かせると、圧縮空気/装荷が燃焼チャンバEに流れ込む。段階Gで、圧縮および動作ピストンがそれらのTDC位置に近づくと、スパークプラグ21が点火され、パワーピストン22の突出部分23が弁19と機械的に係合して、それを動かし、弁19をシール解除(開放)させると、その弁が他方で弁18と係合し、それをその閉止位置へと押す。さらには、上昇する燃焼容積圧がパワーピストンとともに動作して弁18を強制的に閉止させる。段階Fで、燃焼が起こると、チャンバEの圧力が激烈かつ速やかに上昇し、弁18がすでに閉止されており、高温の燃焼流が弁19を通過して流れ、パワーピストン22を押して弁19から離れさせる。
【0051】
パワーピストン22が後退しても(パワーストローク中)、弁19は、今やその吸気段階にあるチャンバBの中にあるずっと低い圧力に対するチャンバCの高い燃焼圧の間に存在する圧力差のせいで、開いたままである。パワーストロークが終了するとともに燃焼チャンバおよび段間弁サイクルは終了する。そして、パワーピストン22がその排気ストロークを始めるとき、ばね20が弁19をその閉止位置に押し戻す。
【0052】
図25は、本発明の一つの態様の、過給能力を有するDPCEデュアルシリンダー形状を示す。図25に示すように、圧縮シリンダー部50はパワーシリンダー部52よりも大きく、したがって、より多量の空気/燃料混合物を圧縮チャンバB中で受け、圧縮することが可能になる。圧縮ストロークが完了すると、圧縮チャンバB中の圧縮空気/燃料混合物(すなわち「過給」燃料混合物)のより大きな体積および増大した圧力が段間弁12を介して燃焼チャンバCに注入される。したがって、より多量および/またはより高圧の燃料混合物をパワーシリンダー52の燃焼チャンバCに注入して、パワーストローク中、より大きな爆発、ひいてはより多くのエネルギーおよび動作を提供することができる。
【0053】
上述したように、図26は、本発明の一つの態様の、圧縮シリンダー60がパワーシリンダー62からオフセットされて、2個のシリンダーの間の伝熱性を最小限にしている代替DPCEデュアルシリンダー形状を示す。この態様では、段間弁12は、2個のシリンダーの間の小さな重複区域に位置している。
【0054】
図27は、本発明のさらなる態様の、両シリンダーが互いに対して平行に構築され、両ピストンが並行に動くDPCEデュアルシリンダー形状を示す。この態様では、吸気、排気および段間弁は、上記と同じ方法で作動することができる。しかし、図27に示すように、段間弁は、第一および第二のシリンダーを結合する横方向導管中に位置している。
【0055】
本発明の様々な態様を例示し、説明したが、当業者は、態様の上記説明が例示的なものにすぎず、上記に開示した装置および技術を改変または変形して本発明を実施することもできることを理解するであろう。当業者は、通常の域を超えない程度の実験を使用して、本明細書に記載する発明の特定の態様に対する多くの等価物を知るまたは確かめることができるであろう。そのような改変、変形および等価物は、請求の範囲に述べる本発明の本質および範囲に入ると考えられる。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、内燃機関に関し、より具体的には、従来の燃焼機関よりも効率的であるダブルピストンサイクル機関(DPCE)に関する。
【0002】
関連出願
本出願は、参照により本明細書に組み入れられる、2005年3月11日出願の「DOUBLE PISTON CYCLE ENGINE (DPCE)」と題する米国特許仮出願第60/661,195号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
内燃機関は今日いたるところにあり、100年余りにわたって使用されていると考えられる。典型的には、内燃機関は一つまたは複数のシリンダーを含む。各シリンダーは、一般に吸気、圧縮、燃焼/パワーおよび排気ストロークと呼ばれる四つのストロークを実行する1個のピストンを含み、これらのストロークがいっしょになって従来のピストンの一つの完全なサイクルを形成する。
【0004】
従来の内燃機関に関する主要な問題は低い燃料効率である。従来の機関によって生成される潜在的な燃料熱エネルギーの半分超が、有用な機械的動作を成すことなく、機関構造を介して放散すると推定される。この熱廃棄の主な理由は、従来の機関に不可欠な冷却要件である。冷却システム(たとえばラジエータ)だけでも、有用な動作へと実際に変換されるすべての熱よりも大きな熱量をより高い速度で放散する。従来の内燃機関に関するもう一つの問題は、より高い燃焼温度を提供するための熱再生またはリサイクル法を使用する間、効率を高めることができないことである。
【0005】
従来の機関が効率の問題をこうむるもう一つの理由は、吸気および圧縮ストローク中のシリンダー内の高温がピストン動作をより困難にし、ひいてはそれらのストローク中に効率を下げるからである。
【0006】
既存の内燃機関に伴うもう一つの欠点は、燃焼温度および圧縮比をさらに高めることができないことである。理論的には、パワーストローク間のチャンバ温度を上げ、圧縮比を高めることが効率を改善するであろう。
【0007】
従来の機関に関するもう一つの問題は、有害な排気放出物を生じさせる不完全な化学燃焼プロセスである。
【0008】
これらの装置は、それらが対処しようとする特定の目的には適しているかもしれないが、ピストンの従来の四つのストロークを、各デュアルピストンによって実行される二つの低温ストローク(吸気および圧縮)と二つの高温ストローク(パワーおよび排気)とに分ける温度差別化デュアルシリンダーを利用する本発案のDPCEほど効率的ではない。
【0009】
以前に開示されたデュアルピストン燃焼機関構造は他にもあるが、いずれも、本発明の実質的な効率および性能改善を提供するものではない。たとえば、Casadayへの米国特許第1,372,216号(特許文献1)は、シリンダーとピストンとがそれぞれの対として配設されているデュアルピストン燃焼機関を開示している。点火シリンダーのピストンは圧縮シリンダーのピストンに先行して動く。Thurstonらへの米国特許第3,880,126号(特許文献2)は、2ストロークサイクル分割シリンダー内燃機関を開示している。誘導シリンダーのピストンがパワーシリンダーのピストンに半ストローク未満ほど先行して動く。誘導シリンダーは装荷を圧縮し、装荷をパワーシリンダーに伝達し、そこで、直前のサイクルからの燃焼生成物の残留装荷と混合され、さらに圧縮されたのち点火される。Scuderiへの米国特許出願第2003/0015171A1(特許文献3)は、4ストロークサイクル内燃機関を開示している。第一のシリンダー内のパワーピストンがクランクシャフトに接続されており、4ストロークサイクルのパワーおよび排気ストロークを実行する。第二のシリンダー内の圧縮ピストンもまたクランクシャフトに接続されており、クランクシャフトの同じ回転中に同じ4ストロークサイクルの吸気および圧縮ストロークを実行する。第一のシリンダーのパワーピストンは第二のシリンダーの圧縮ピストンに先行して動く。Suhらへの米国特許第6,880,501号(特許文献4)は、クランクシャフトに接続されたピストンをそれぞれが含むシリンダーの対を有する内燃機関を開示している。一方のシリンダーは吸気および圧縮ストロークに適合されている。他方のシリンダーはパワーおよび排気ストロークに適合されている。Brackettへの米国特許第5,546,897号(特許文献5)は、2、4またはディーゼル機関パワーサイクルを実行することができるマルチシリンダー往復ピストン内燃機関を開示している。
【0010】
しかし、これらの引用例は、シリンダー温度を差別化して点火(パワー)シリンダーを圧縮シリンダーおよび周囲環境から効果的に隔離する方法を開示していない。これらの引用例はさらに、シリンダーと周囲環境との間の相互の温度影響を最小化する方法を開示していない。加えて、これらの引用例は、従来の燃焼機関シリンダーよりも点火シリンダーの温度をさらに上げ、圧縮シリンダーの温度をさらに下げて機関効率および性能を高める機関改良を開示していない。具体的には、圧縮シリンダーの温度を最低限にすることは圧縮動作投資の削減を可能にし、パワーシリンダーの温度を高めることは熱再生の増大を可能にする。加えて、これらの引用例で開示されている別個のシリンダーはすべて、シリンダー間に「デッドスペース」容積を生じさせるある種の切換え弁または中間通路を介して接続されており、シリンダー間にガスを蓄積させ、機関の効率をさらに落としてしまう。さらには、上記の従来技術引用例のいずれも、シリンダーどうしを隔離してシリンダー間に改善された温度差を維持しながらもシリンダー間のデッドスペースを最小限にする対向型またはV型シリンダーおよびクランクシャフト形状を教示していない。
【0011】
Clarkeへの米国特許第5,623,894号(特許文献6)は、デュアル圧縮およびデュアル膨張内燃機関を開示している。2個のピストンを含む内ハウジングが外部ハウジング内で動いて、圧縮のためのチャンバと膨張のためのチャンバとを別個に形成する。しかし、Clarkeは、機関ストロークのすべてを実行する一つのチャンバを含み、本発明で開示されるようなシリンダーの隔離および/または改善された温度差別化を妨げる。
【0012】
Thomasへの米国特許第3,959,974号(特許文献7)は、一つのパワーピストンを含み、別のピストンを含む比較的低温を維持するリング区分に接続された、リングレス区分における高温に耐えることができる材料で部分的に形成された燃焼シリンダーを含む燃焼機関を開示している。しかし、Thomasの機関全体における高温は、燃焼および排気ストロークの間を通して存在するだけでなく、圧縮ストロークの一部の間にも存在する。さらに、Thomasは、対向型またはV型形状において機関シリンダーを隔離して、改善された温度差別化を可能にする方法を開示しておらず、シリンダーに接続する吸気ポート中に実質的なデッドスペースを含む機関を開示している。
【0013】
これらの点で、本発明のDPCEは、従来技術の通常概念および設計を実質的に逸脱したものであり、その際、従来の内燃機関よりも効率的である劇的に改良された内燃機関を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第1,372,216号
【特許文献2】米国特許第3,880,126号
【特許文献3】米国特許出願第2003/0015171A1
【特許文献4】米国特許第6,880,501号
【特許文献5】米国特許第5,546,897号
【特許文献6】米国特許第5,623,894号
【特許文献7】米国特許第3,959,974号
【発明の概要】
【0015】
発明の概要
従来技術に存在する公知のタイプの内燃機関に固有の前記欠点を考慮して、新たに発案された本発明は、従来の燃焼機関よりも効率的なやり方で燃料をエネルギーまたは動作に転換する温度差別化シリンダーを利用するDPCE燃焼機関を提供する。
【0016】
本発明の一つの態様で、DPCE機関は、第二のシリンダーに結合された第一のシリンダーと、第一のシリンダー内に配置されて吸気および圧縮ストロークを実行するように構成された第一のピストンと、第二のシリンダー内に配置されてパワーおよび排気ストロークを実行するように構成された第二のピストンとを含む。または、第一および第二のシリンダーを、1個のシリンダーの中で互いに結合された二つの別個のチャンバを有し、第一のピストンが第一のチャンバ中にあり、第二のピストンが第二のチャンバ中にある1個のシリンダーとみなすこともできる。
【0017】
さらなる態様で、DPCE機関はさらに、第一のシリンダーに結合された吸気弁と、第二のシリンダーに結合された排気弁と、第一のシリンダーの内チャンバを第二のシリンダーの内チャンバに結合する段間弁とを含む。
【0018】
さらなる態様で、機関は、2個のピストン連接棒、圧縮クランクシャフト、パワークランクシャフトおよび2個のクランクシャフト連接棒を含む。連接棒は、それぞれのピストンをそれぞれのクランクシャフトに接続する。圧縮クランクシャフトは、回転運動を第一のピストンの往復運動に転換する。パワークランクシャフトは、第二のピストンの往復運動を機関回転出力運動に転換する。クランクシャフト連接棒は、パワークランクシャフト回転を圧縮クランクシャフト回転に伝達する。
【0019】
一つの態様で、吸気弁は、大部分の4ストローク機関の吸気弁に使用されているものと同じ円錐形のシール面を有するシャフトで構成されている。排気弁は、大部分の4ストローク機関の排気弁に使用されているものと同じ円錐形のシール面を有するシャフトで構成されている。段間弁は、円錐形のシール面を有するシャフトで構成されている。
【0020】
もう一つの態様で、燃焼機関効率を改善する方法は、吸気および圧縮チャンバ(クールストローク)を燃焼および排気チャンバ(ホットストローク)から切り離し、そのようにして吸気および圧縮ストローク中の温度低下ならびに燃焼ストローク中の温度上昇を可能にし、それによって機関効率を高めることを含む。
【0021】
さらなる態様では、機関効率を改善する方法は、吸気および圧縮ストローク中の温度を最低限にするかまたは低下させることを含む。取り込まれて圧縮される空気/装荷温度が低くなればなるほど、機関効率は高くなる。
【0022】
さらに別の態様では、機関効率を改善する方法は、排気熱エネルギーを再生し、利用することを含む。
【0023】
さらなる態様では、外部冷却要件を大幅に減らし、それが他方でパワーストローク中の熱出力動作転換に利用可能な保有熱を高め、さらに燃料をより効率的に燃焼させ、それによって有害な放出物を減らすDPCE機関が提供される。
【0024】
もう一つの態様では、改善された効率の燃焼機関を提供する方法は、第一のシリンダーで吸気および圧縮を実行し、第二のシリンダーでパワーおよび排気ストロークを実行することを含み、第一のシリンダーが第二のシリンダーよりも低い温度に維持される。さらなる態様では、方法はまた、圧縮空気および燃料混合物を第一のシリンダーから第二のシリンダーに注入して、それによって第二のシリンダーを冷却することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】クランクシャフト角が270°の状態で示されている本発明の一つの態様のDPCE装置の略側断面図である。
【図2】クランクシャフト角が315°の状態で示されている図1のDPCE装置の略側断面図である。
【図3】クランクシャフト角が330°の状態で示されている図1のDPCE装置の略側断面図である。
【図4】クランクシャフト角が0°の状態で示されている図1のDPCE装置の略側断面図である。
【図5】クランクシャフト角が45°の状態で示されている図1のDPCE装置の略側断面図である。
【図6】クランクシャフト角が90°の状態で示されている図1のDPCE装置の略側断面図である。
【図7】クランクシャフト角が135°の状態で示されている図1のDPCE装置の略側断面図である。
【図8】クランクシャフト角が180°の状態で示されている図1のDPCE装置の略側断面図である。
【図9】クランクシャフト角が225°の状態で示されている図1のDPCE装置の略側断面図である。
【図10】本発明の一つの態様の、空冷圧縮シリンダーおよび排気加熱パワーシリンダーを有するDPCE装置の略側断面図である。
【図11】本発明の一つの態様の、水冷圧縮チャンバおよび排気加熱パワーチャンバを有するDPCE装置の略側断面図である。
【図12】本発明の一つの態様のDPCE圧縮およびパワーピストンの三次元(3D)略図である。
【図13】本発明の一つの態様のDPCE圧縮およびパワークランクシャフトの3D略図である。
【図14】本発明の一つの態様のDPCE圧縮およびパワークランクシャフトの3D略図である。
【図15】本発明の一つの態様の、クランクシャフト連接棒を示すDPCEクランクシャフトシステムの3D略図である。
【図16】本発明の一つの態様の、2個のクランクシャフト連接棒を有するDPCEクランクシャフトシステムの3D略図である。
【図17】本発明の一つの態様の、異なるクランクシャフト角を示すDPCEクランクシャフトシステムの3D略図である。
【図18】本発明の一つの態様の、1個のクランクシャフト連接棒をタイミングベルト(またはチェーンもしくはV字形ベルト)と組み合わせて有するDPCEクランクシャフトシステムの3D略図である。
【図19】本発明の一つの態様の、タイミングベルト(またはチェーンもしくはV字形ベルト)のみを有するDPCEクランクシャフトシステムの3D略図である。
【図20】本発明の一つの態様の、接続機構としてクランクシャフト歯車を有するDPCEクランクシャフトシステムの3D略図である。
【図21】本発明のもう一つの態様の、接続機構としてクランクシャフト歯車を有するDPCEクランクシャフトシステムの3D略図である。
【図22】本発明の一つの態様の段間弁の略断面図である。
【図23】本発明の一つの態様の段間逃がし弁の略断面図である。
【図24】本発明の一つの態様の半自動段間弁の略断面図である。
【図25】本発明の一つの態様の、過給能力を有するDPCE装置の略断面図である。
【図26】本発明の一つの態様の、圧縮シリンダーとパワーシリンダーとを異なる面に有するDPCE装置の3D略図である。
【図27】本発明の一つの態様の、両シリンダーが互いに対して平行であり、両ピストンが並行に動くDPCE装置の略3D図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。各図を通じて同様の要素を同様な符号で参照する。図面は、必ずしも原寸に比例して描かれてはおらず、また、必ずしも例示する様々な例示的態様のすべての詳細を示すものでもないことを理解すること。むしろ、本発明の例示的な態様の説明を可能にすることを提供する特定の特徴および要素を示すだけである。
【0027】
図1を参照すると、本発明の一つの態様にしたがって、DPCEシリンダーは、圧縮シリンダー01、パワーシリンダー02、圧縮ピストン03、パワーピストン04、2個のピストン連接棒それぞれ05および06、圧縮クランクシャフト07、パワークランクシャフト08、クランクシャフト連接棒09、吸気弁10、排気弁11および段間弁12を含む。圧縮シリンダー01は、圧縮ピストン03、吸気弁10および段間弁12の一部を収容するピストン機関シリンダーである。パワーシリンダー02は、パワーピストン04、排気弁11、段間弁12の一部およびシリンダー02中の燃焼チャンバに対面するパワーピストン04の面の前に位置するスパークプラグ(図示せず)を収容するピストン機関シリンダーである。圧縮ピストン03は、吸気および圧縮機関ストロークに働く。パワーピストン04は、パワーおよび排気ストロークに働く。連接棒05および06は、それぞれのピストンをそれぞれのクランクシャフトに接続する。圧縮クランクシャフト07は、回転運動を圧縮ピストン03の往復運動に転換する。パワーピストン04の往復運動は、パワークランクシャフト08の回転運動に転換され、それが他方で機関回転運動または動作に転換される(すなわち、クランクシャフト08はDPCE出力シャフトとして働く)。クランクシャフト連接棒09は、パワークランクシャフト08の回転を圧縮クランクシャフト07の回転に変える。
【0028】
一つの態様では、吸気弁10は、大部分の従来の4ストローク機関の吸気弁に使用されているものと同じ円錐形のシール面を有するシャフトで構成されている。排気弁11は、大部分の従来の4ストローク機関の排気弁に使用されているものと同じ円錐形シール面を有するシャフトで構成されている。段間弁12もまた、円錐形シール面を有するシャフトで構成されている。
【0029】
再び図1を参照すると、圧縮シリンダー01の内キャビティBの中には圧縮ピストン03がある。圧縮ピストン03は、圧縮シリンダー01に対し、図示する矢印によって示す方向に動く。パワーシリンダー02の内キャビティCの中にはパワーピストン04がある。パワーピストン04は、パワーシリンダー02に対し、図示する矢印によって示す方向に動く。圧縮シリンダー01と圧縮ピストン03とがチャンバBを画定する。パワーシリンダー02とパワーピストン04とがチャンバCを画定する。好ましい態様では、パワーピストン圧力面は、チャンバCを補足し、燃焼中にさらなる燃焼チャンバ容積として機能する成形された空洞26(同じく図12を参照)を有している。チャンバBは、段間機械的作動弁12を介してチャンバCと流動的に連絡している。圧縮シリンダー01は吸気弁10を有する。チャンバBは、吸気弁10を介して気化燃料/空気装荷Aと流動的に連絡している。パワーシリンダー02は排気弁11を有している。チャンバCは、排気弁11を介して周囲の空気Dと流動的に連絡している。排気弁11は、開放位置にあるとき、排ガスを吐出させることができる。燃焼ストローク中、パワーピストン04がパワー連接棒06を押して、パワークランクシャフト08を右回りに回転させる。排気ストローク中、慣性力(図示しないフライホイール質量によって誘発される)がパワークランクシャフト08をしてその右回り回転を続けさせ、パワー連接棒06をしてパワーピストン04を動かすと、それが他方で、燃焼済み燃料排気を弁11から吐出する。クランクシャフト連接棒09を介するパワークランクシャフト08の回転は、圧縮クランクシャフト07を同期回転のために統合する(すなわち、両クランクシャフトが同じ速度および動的角度で回転する)。一つの態様で、両ピストン、すなわちパワーピストン04および圧縮ピストン03は、それらの上死点(TDC)位置および下死点(BDC)位置を同時に通過する。代替態様で、所望のタイミング構成に依存して、パワーピストン04と圧縮ピストン03との相対位置は、所望の量だけ位相シフトされてもよい。一つの態様では、DPCEデュアルシリンダー装置は、従来の加圧冷却およびオイル潤滑法およびシステム(図示せず)を利用する。本発明の態様では、パワーチャンバCの構造部品(たとえばシリンダー02およびピストン04)は、従来の燃焼機関よりもずっと高い温度を維持するが、一つの態様では、パワーチャンバCの構成部品は、冷却システムを使用して温度制御される。そのうえ、構成部品のいくつかまたは全部を耐高温性材料、たとえばセラミックス、炭素またはステンレス鋼で製造することもできる。さらなる態様では、DPCE装置は、周知の高電圧タイミングおよびスパークプラグ電気システム(図示せず)ならびに電気スタータモータを利用してスパークプラグ点火、タイミングおよび機関初期回転を制御することができる。
【0030】
図1〜9に示すように、電気スタータがDPCE出力シャフト6' (図15)と係合すると、両クランクシャフト07および08がそれぞれの右回り回転を開始し、両ピストン03および04がそれぞれの往復運動を始める。図5に示すように、圧縮ピストン03およびパワーピストン04は、チャンバBおよびチャンバCの容積を増す方向に動く。吸気弁10はその開放位置にあり、この段階でチャンバBの容積が一定に増すため、気化燃料または新鮮な空気装荷(燃料噴射システムを使用する場合)がA地点(たとえば気化器出力ポートを表す)から吸気弁10を介してチャンバBに流れ込む。図6〜8それぞれに示すように、燃料−空気装荷が流れ込むときチャンバB容積は増大する。圧縮ピストン03がそのBDC点に達すると、吸気弁10が閉じて、チャンバBの空気−燃料装荷内容物を閉じ込める。クランクシャフトの右回り回転が続く間、図9および図1〜3それぞれに示すように、チャンバBの容積は減り、その今や閉じ込められた空気−燃料装荷の温度および圧力が高まる。圧縮ピストン03が所定の点(図3)に近づくと、段間弁12が開き、チャンバBの空気−燃料装荷がチャンバCに流れ込む。圧縮ピストンがそのTDC点に近づくと(態様によっては、いくらかの遅延または先行を導入してもよい)、段間弁12が閉じると同時にスパークプラグの点火が起こる。
【0031】
図5〜8はパワーストロークを示す。燃焼が起こると、チャンバCの圧力が増大してパワーピストン04を強く押し、それが他方で連接棒06を動かして、DPCE出力シャフト06'に結合されているパワークランクシャフト08を回転させる。その間、圧縮ピストン03がそのTDC位置から押し戻されると、吸気弁10が再び開いて、新たな空気燃料装荷AをチャンバBに吸い込むことができる。
【0032】
排気ストロークは、パワーピストン04がそのBDC点(図8)に達したときに始まる。排気弁11が開き、チャンバCの容積が減ると、燃焼済みの排ガスがチャンバCから開口した排気弁11を介して周囲環境Dに押し出される。
【0033】
このように、DPCE機関は、従来の燃焼機関の1個のピストンおよびシリンダーによって実行されるストロークを二つの熱的に差別化されたシリンダーに分け、各シリンダーが4ストロークサイクルの半分を実行する。「コールド」シリンダーが吸気および圧縮ストロークを実行し、熱的に隔離された「ホット」シリンダーが燃焼および排気ストロークを実行する。従来の機関に比べて、この革新的システムおよびプロセスは、DPCE機関をより高い燃焼チャンバ温度ならびにより低い吸気および圧縮チャンバ温度で動作させることを可能にする。低めの吸気および圧縮温度を維持しながらより高い燃焼温度を使用すると、機関冷却要件が軽減され、圧縮エネルギー所要量が減少し、ひいては、機関効率が向上する。さらには、パワーシリンダーを外部環境から熱的に隔離することは、外部熱損失を抑制し、同じ熱エネルギーを次のストロークで再使用することを可能にし、各サイクルでより少ない燃料しか燃やさない。
【0034】
一つの態様で、圧縮シリンダー01は、圧縮ピストン03、吸気弁10および段間弁12の一部を収容する従来のピストン機関シリンダーに類似している。圧縮シリンダー01は、圧縮ピストン03とともに動作して、送り込まれる空気および/または燃料装荷を吸い込み、圧縮する。好ましい態様では、圧縮シリンダーは冷却される。図10は、熱吸収および放射リブ20を有する空冷圧縮シリンダーを示す。図11は、冷却液通路22を有する液冷圧縮シリンダーを示す。好ましい態様では、冷却空気源または冷却液源は、従来技術で周知のものと同じであることができる。好ましい態様では、圧縮シリンダー01およびパワーシリンダー02は、互いおよび周囲環境から熱的に隔離されるべきである。図26は、2個のシリンダーが異なる面に構築され、それにより、シリンダー間の往復運動伝導性を最小限で行使する態様を示す。
【0035】
パワーシリンダー02は、パワーピストン02、排気弁11、段間弁12の一部およびスパークプラグ(図示せず)を収容するピストン機関シリンダーである。パワーシリンダー02は、パワーピストン04とともに機能してシリンダー02のチャンバ内で圧縮空気/燃料混合物を燃焼させ、得られたエネルギーを機械的動作としてパワークランクシャフト08に伝達する。その往復運動サイクルの第二の半分の間、パワーピストン04は、排ガスをシリンダー02から排気弁11を介して吐出させるかまたは押し出すように動作する。パワーシリンダー02は、シリンダー02中の燃焼チャンバに対面するパワーピストン04の面の正面に位置するスパークプラグを収納する。図12に示すように、一つの態様で、パワーピストン04は、燃焼チャンバとして働く、成形された空洞26を有する。排気ストローク中、パワーピストン04が燃焼済みガスをシリンダー02から排気弁11を介して押し出す。
【0036】
一つの好ましい態様では、パワーシリンダー02は、外部に対して熱的に隔離されることに加え、排気加熱される。図10および11は、呼気流中に、排ガスが熱をパワーシリンダー加熱通路24中に伝導するときの排気熱利用を示す。
【0037】
上記で説明したように、圧縮連接棒05は、圧縮クランクシャフト07を圧縮ピストン03と接続してピストン03をシリンダーに対して往復して動くように動かす。パワー連接棒06は、パワークランクシャフト08をパワーピストン04と接続する。燃焼段階では、パワー連接棒06がピストン04の運動をパワークランクシャフト08に伝達してそれを回転させる。排気段階では、パワークランクシャフト08の回転および運動量がパワーピストン04を圧縮シリンダー01に向かって押し戻すと、それが燃焼済みガスを排気弁を介して吐出させる(排気ストローク)。
【0038】
図13を参照すると、圧縮クランクシャフト07が、回転運動を圧縮ピストン03の往復運動に転換している。圧縮クランクシャフト07は、圧縮連接棒05 (図1)をクランクシャフト連接棒09と接続する。クランクシャフト連接棒09の運動が圧縮クランクシャフト07を回転させる。圧縮クランクシャフト07の回転が圧縮連接棒05の運動を引き起こし、それが他方で圧縮ピストン03をそのシリンダーハウジング01に対して往復して動くように動かす。
【0039】
本発明の種々の態様で、圧縮クランクシャフト07およびパワークランクシャフト08の構造形状は所望の機関形状および設計にしたがって変化させることができる。たとえば、いくつかのクランクシャフト設計要因は、デュアルシリンダーの数、相対的なシリンダー配置、クランクシャフトギヤ機構および回転方向である。たとえば、圧縮クランクシャフト07およびパワークランクシャフト08が同じ方向に回転するならば、クランクシャフト07および08の軸は、図13に示すように、互いに対して180°に配置されるべきである。または、圧縮クランクシャフト07とパワークランクシャフト08とがそれぞれ反対方向に回転するならば、両クランクシャフト軸は、図14に示すように、互いに対して同相に配置されるべきである。
【0040】
パワークランクシャフト08は、パワー連接棒06をクランクシャフト連接棒09と接続する。燃焼が起こると、パワーピストン04の運動が、そのパワー連接棒06を介して、同じく機関出力シャフト(図示せず)に結合されているパワークランクシャフト08を回転させ、それが連接棒09をして圧縮クランクシャフト07を回転させ、圧縮ピストン03の往復運動を発生させる。
【0041】
クランクシャフト連接棒09がパワークランクシャフト08を圧縮クランクシャフト07と接続し、それにより、両クランクシャフトに同期回転を提供する。図15は、本発明の一つの態様にしたがって各クランクシャフト07および08に結合されたクランクシャフト連接棒09の斜視図を示す。クランクシャフト連接棒09の機能は、パワークランクシャフト08と圧縮クランクシャフト07とを連結することである。特定の設計では、両クランクシャフト07および08は、それぞれが互いに対して同期的に回転することができる(同じ方向、同じ角度)。他の設計では、2個のクランクシャフト07および08は、所定の位相角の有無にかかわらず、反対方向に回転することもできる。
【0042】
図17は、各クランクシャフト07および08に結合された連接棒09の斜視図を示す。各クランクシャフトは、他方、それぞれのピストン連接棒05および06に結合されて、クランクシャフト07および08が、そうでなければ同期的なピストン03および04の動きの間に、所定の位相差を提供するように互いに対して配向している。所定の位相差とは、図4に示す圧縮ピストンTDC位置とパワーピストンTDC位置との間に時間差を達成するために、相対的なピストン位相遅延または先行をいずれかのピストンに導入することができることをいう。図17は、ピストン03および04がそれぞれのTDC位置に達するまでの時間の間に所望の位相遅延または先行を提供するために、ピストン連接棒05および06が互いに対して位相はずれである状態を示す。一つの態様では、位相遅延は、パワーシリンダーのピストンが圧縮シリンダーのピストンよりもわずかに先行して動いて、圧縮された装荷をほぼ完全な圧縮ストロークの下で伝えることを可能にし、パワーピストンが完全な排気ストロークを完了することを可能にするように導入される。圧縮ピストンに通じるパワーピストンに関する位相遅延のこのような利点はまた、Casadayへの米国特許第1,372,216号およびScuderiの米国特許出願第2003/0015171A1号に記載されている。代替態様では、圧縮ピストンがパワーピストンに先行して動き、パワーピストンが圧縮シリンダーからの装荷を点火前にさらに圧縮するような反対位相遅延が導入される。この手法の恩典は、Thurstonらへの米国特許第3,880,126号およびThomasへの米国特許第3,959,974号で述べられている。
【0043】
さらなる態様で、圧縮クランクシャフト07およびパワークランクシャフト08の正しい回転方向を強要するため、図16に示すように、第二のクランクシャフト連接棒13が使用される。
【0044】
図18を参照すると、一つのクランクシャフト連接棒14をタイミングベルトまたはチェーン機構15と組み合わせて有することにより、クランクシャフト07および08の回転方向を確立するための代替手段を具現化することができる。図19に示すように、もう一つの態様では、チェーン機構またはタイミングベルト機構15そのものが、上述したクランクシャフト接続機構のいずれかに対する代替として働くことができる。
【0045】
図20および21は、クランクシャフト連接棒09に代わるための代替機構を示す。図20は、互いに係合した3個の歯車32を含むクランクシャフト接続歯車機構30を示す。この態様では、両クランクシャフト07および08は一方向だけに回転する(3個の歯車を利用する)。図21は、偶数個の歯車32を有し、それにより、クランクシャフト07および08を反対方向に回すように構成された歯車機構40および42を接続するクランクシャフトの二つの態様を示す。
【0046】
一つの態様では、吸気弁10は、大部分の4ストローク機関の吸気弁に使用されているものと同じ円錐形のシール面を有するシャフトで構成されている。吸気弁10は、周囲空気または気化空気/燃料装荷が圧縮シリンダー01に流れ込むときそれらを管理する。圧縮シリンダー01は少なくとも一つの吸気弁を有する。好ましい態様では、圧縮ピストン03の瞬間的位置に対して、吸気弁の場所、機能、タイミングおよび動作は、従来の4ストローク内燃機関の吸気弁と同様または同一であることができる。
【0047】
一つの態様では、排気弁11は、大部分の4ストローク機関の排気弁に使用されているものと同じ円錐形のシール面を有するシャフトで構成されている。パワーシリンダー02上に位置する排気弁11は燃焼済みガス吐出流を管理する。パワーシリンダー02は少なくとも一つの排気弁を有する。好ましい態様では、排気弁位置、機能、タイミングおよび動作方法は、周知の従来の4ストローク燃焼機関で見られる排気弁と同様または同一であることができる。
【0048】
図22を参照すると、一つの態様で、段間弁12は、円錐形のシール面を有するシャフトで構成されている。段間弁は、圧縮シリンダー01内の容積Bからの圧縮気流または圧縮気化空気/燃料装荷(本明細書でまとめて「燃料」または「燃料混合物」という)がパワーシリンダー02内の容積Cに押し込まれるときそれを管理する。段間弁12はまた、容積Cから容積Bへの燃料の逆流を防ぐ。段間弁12は、開放位置にあるとき、圧縮燃料が圧縮シリンダー01からパワーシリンダー02に流れ込むことを可能にする。燃焼中およびパワーストロークを通して、段間弁12は閉じたままである。一つの態様では、段間弁の動作機構は、周知の燃焼機関の吸入または排気弁の機構と同様または同一であることができる。段間弁12の閉止または開放位置は、動的なDPCEシャフト/部品の一つ(たとえばピストン03)と結合または係合する機械的連結機構によって操作される。また、正確な弁動タイミングは多くのエンジニアリング設計考慮事項に依存するということを理解すること。ただし、通例として、段間弁12は、排気弁11が閉じるころに開き、パワーストロークおよび排気ストロークの少なくとも大部分の間、閉じたままであるべきである。
【0049】
図23を参照すると、もう一つの態様で、予荷重ばね作動式逃がし弁17が段間弁12として働く。この態様は、連結ベースの作動機構を要しない自動弁を提供する。吸気および動作ストローク中、作動圧および予荷重ばね16がバルブステム17を閉止かつシールされた状態に強要する。圧縮および排気ストローク中、容積B中の増大した圧縮燃料圧が容積C中の低下した排気圧とともに弁の予荷重ばね16の力に打ち勝ち、ひいてはバルブステム17を開かせ、それにより、圧縮燃料がパワーシリンダー02のチャンバCに流れ込むことを可能にする。
【0050】
図24は、燃焼チャンバEと、プラグ弁19を包囲する円柱形またはリング状部分を有する弁18を含む新規な半自動段間弁との組み合わせを示す。この態様では、燃焼チャンバEは、弁18によって圧縮チャンバBからシールされ、弁19によって動作チャンバCからシールされる。ばね20が両方の弁18および19を同時にそれらの対応する閉止位置に向かって押す。スパークプラグ21が燃焼チャンバEの空洞の内部に位置している。燃焼チャンバEおよび段間弁の動作は以下のとおりである。図示するように、段階Jで、初期圧縮および排気ストローク中、ばね20がバルブステム18およびバルブステム19を押して、シールされた閉止位置に両弁をとどまらせる。段階Hで、圧縮ストロークが進行すると、その圧縮空気/装荷圧が上がり、一定の段階で、弁18に作用する上昇圧がばね20の予荷重力に打ち勝ち、それにより、弁18を開かせると、圧縮空気/装荷が燃焼チャンバEに流れ込む。段階Gで、圧縮および動作ピストンがそれらのTDC位置に近づくと、スパークプラグ21が点火され、パワーピストン22の突出部分23が弁19と機械的に係合して、それを動かし、弁19をシール解除(開放)させると、その弁が他方で弁18と係合し、それをその閉止位置へと押す。さらには、上昇する燃焼容積圧がパワーピストンとともに動作して弁18を強制的に閉止させる。段階Fで、燃焼が起こると、チャンバEの圧力が激烈かつ速やかに上昇し、弁18がすでに閉止されており、高温の燃焼流が弁19を通過して流れ、パワーピストン22を押して弁19から離れさせる。
【0051】
パワーピストン22が後退しても(パワーストローク中)、弁19は、今やその吸気段階にあるチャンバBの中にあるずっと低い圧力に対するチャンバCの高い燃焼圧の間に存在する圧力差のせいで、開いたままである。パワーストロークが終了するとともに燃焼チャンバおよび段間弁サイクルは終了する。そして、パワーピストン22がその排気ストロークを始めるとき、ばね20が弁19をその閉止位置に押し戻す。
【0052】
図25は、本発明の一つの態様の、過給能力を有するDPCEデュアルシリンダー形状を示す。図25に示すように、圧縮シリンダー部50はパワーシリンダー部52よりも大きく、したがって、より多量の空気/燃料混合物を圧縮チャンバB中で受け、圧縮することが可能になる。圧縮ストロークが完了すると、圧縮チャンバB中の圧縮空気/燃料混合物(すなわち「過給」燃料混合物)のより大きな体積および増大した圧力が段間弁12を介して燃焼チャンバCに注入される。したがって、より多量および/またはより高圧の燃料混合物をパワーシリンダー52の燃焼チャンバCに注入して、パワーストローク中、より大きな爆発、ひいてはより多くのエネルギーおよび動作を提供することができる。
【0053】
上述したように、図26は、本発明の一つの態様の、圧縮シリンダー60がパワーシリンダー62からオフセットされて、2個のシリンダーの間の伝熱性を最小限にしている代替DPCEデュアルシリンダー形状を示す。この態様では、段間弁12は、2個のシリンダーの間の小さな重複区域に位置している。
【0054】
図27は、本発明のさらなる態様の、両シリンダーが互いに対して平行に構築され、両ピストンが並行に動くDPCEデュアルシリンダー形状を示す。この態様では、吸気、排気および段間弁は、上記と同じ方法で作動することができる。しかし、図27に示すように、段間弁は、第一および第二のシリンダーを結合する横方向導管中に位置している。
【0055】
本発明の様々な態様を例示し、説明したが、当業者は、態様の上記説明が例示的なものにすぎず、上記に開示した装置および技術を改変または変形して本発明を実施することもできることを理解するであろう。当業者は、通常の域を超えない程度の実験を使用して、本明細書に記載する発明の特定の態様に対する多くの等価物を知るまたは確かめることができるであろう。そのような改変、変形および等価物は、請求の範囲に述べる本発明の本質および範囲に入ると考えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のピストンを中に収容する第一のシリンダーと、
第二のピストンを中に収容し、該第一のシリンダーの表面の少なくとも一部分が第二のシリンダーの表面の少なくとも一部分に隣接し、それに流動的に結合するように該第一のシリンダーと第二のシリンダーが互いに隣接して位置する第二のシリンダーと、
燃料混合物を該第一のシリンダーに入れることを可能にするための、該第一のシリンダーに結合された、該第一のピストンが吸気および圧縮ストロークだけを実行する吸気弁と、
排ガスを該第二のシリンダーから出すことを可能にするための、該第二のシリンダーに結合された、該第二のピストンが燃焼および排気ストロークだけを実行する排気弁と、
該第一のシリンダーの内チャンバを第二のシリンダーの内チャンバに流動的に結合するために該第一および第二のシリンダーの隣接する表面部分の近くに位置する段間弁とを含む、
燃焼機関で使用するためのデュアルピストン装置。
【請求項2】
第一のピストンに結合された第一のクランクシャフトと、
第二のピストンに結合された第二のクランクシャフトと、
該第一および第二のクランクシャフトに結合され、該第一のクランクシャフトと第二のクランクシャフトとの間の動きを変えるように構成されたクランクシャフト接続機構とをさらに含む、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
クランクシャフト接続機構が、第一および第二のクランクシャフトにそれぞれ結合された第一および第二の端部を有するクランクシャフト接続ロッドを含む、請求項2記載の装置。
【請求項4】
クランクシャフト接続機構が複数の歯車を含み、第一の歯車が第一のクランクシャフトに結合され、第二の歯車が第二のクランクシャフトに結合され、該第一および第二の歯車が互いに機械的に結合されている、請求項2記載の装置。
【請求項5】
クランクシャフト接続機構が、第一および第二のクランクシャフトに結合された駆動ベルトまたはチェーンを含む、請求項2記載の装置。
【請求項6】
第一および第二のピストンがそれぞれの第一および第二のシリンダーの中で互いに同相で同時に動く、請求項1記載の装置。
【請求項7】
第一および第二のピストンがそれぞれの第一および第二のシリンダーの中で互いに位相はずれで同時に動く、請求項1記載の装置。
【請求項8】
第二のピストンが第一のピストンよりもわずかに先行して位相はずれで動く、請求項7記載の装置。
【請求項9】
第一のピストンが第二のピストンよりもわずかに先行して位相はずれで動く、請求項7記載の装置。
【請求項10】
第一のシリンダーの内部容積が第二のシリンダーの内部容積よりも大きい、請求項1記載の装置。
【請求項11】
第二のピストンが、燃焼チャンバとして機能する、その中に形成されたチャンバを含む、請求項1記載の装置。
【請求項12】
段間弁が、
円錐形のシール面および円柱形のシャフトを有する第一の弁と、
円錐形のシール面およびロッド形の中実シャフトを有し、該円柱形のシャフトが該ロッド形の中実シャフトを包囲する第二の弁と、
該円柱形のシャフトを包囲し、該第一および第二の弁をそれらの対応する閉止位置に向けて同時に押すように構成されたばねと、
を含む半自動ばね弁を含む、請求項1記載の装置。
【請求項13】
第一および第二のシリンダーが互いに熱的に隔離されている、請求項1記載の装置。
【請求項14】
吸気および圧縮ストロークのみを実行する第一のピストンを中に収容する第一のシリンダーと、
燃焼および排気ストロークのみを実行する第二のピストンを中に収容し、該第一のシリンダーと第二のシリンダーとの間のデッドスペースを最小限にするように該第一のシリンダーの一部分が該第二のシリンダーの一部分に隣接する第二のシリンダーと、
該第一のシリンダーの内チャンバを該第二のシリンダーの内チャンバに流動的に結合する、該第一のシリンダーの該一部分が該第二のシリンダーの該一部分に隣接するところの近くに位置する段間弁とを含む、
燃焼機関で使用するためのデュアルピストン装置。
【請求項15】
第一および第二のシリンダーが互いに空間的にオフセットされており、段間弁が、該第一のシリンダーと第二のシリンダーとの間の空間重複区域に位置している、請求項14記載の装置。
【請求項16】
第一のシリンダーの上面の少なくとも一部分が第二のシリンダーの上面の少なくとも一部分に隣接し、それに流動的に結合するように該第一および第二のシリンダーが互いに対して平行かつ直列に位置している、請求項14記載の装置。
【請求項17】
第一および第二のシリンダーがV形状を形成するように配置され、段間弁が該第一のシリンダーと第二のシリンダーとの間の空間重複区域に位置している、請求項14記載の装置。
【請求項18】
段間弁がばね付勢されている、請求項14記載の装置。
【請求項19】
段間弁が、
円錐形のシール面および円柱形のシャフトを有する第一の弁と、
円錐形のシール面およびロッド形の中実シャフトを有し、該円柱形のシャフトが該ロッド形の中実シャフトを包囲する第二の弁と、
該円柱形のシャフトを包囲し、該第一および第二の弁をそれらの対応する閉止位置に向けて同時に押すように構成されたばねと、
を含む半自動ばね弁を含む、請求項14記載の装置。
【請求項20】
第一および第二のシリンダーが互いに熱的に隔離されている、請求項14記載の装置。
【請求項21】
吸気および圧縮ストロークのみを実行する第一のピストンを中に収容する第一のシリンダーと、
燃焼および排気ストロークのみを実行する第二のピストンを中に収容する第二のシリンダーと、
第一のシリンダーの内チャンバを第二のシリンダーの内チャンバに結合する段間弁とを含み、該第一のシリンダーが該第二のシリンダーから熱的に隔離され、動作中、該第一のシリンダーが該第二のシリンダーよりも低い温度に維持される、燃焼機関で使用するためのデュアルピストン装置。
【請求項22】
第一のシリンダーが、該第一のシリンダーの外面に位置する複数の冷却リブを含む、請求項21記載の装置。
【請求項23】
第一のシリンダーが複数の液体冷却通路をそのハウジング内に含む、請求項21記載の装置。
【請求項24】
第二のシリンダーが、第二のピストンによって放出された排ガスによって提供される熱を利用して該第二のシリンダーをさらに加熱するための複数の排気加熱通路を含む、請求項21記載の装置。
【請求項25】
第一のシリンダーの上面の少なくとも一部分が第二のシリンダーの上面の少なくとも一部分に隣接し、それに流動的に結合するように該第一および第二のシリンダーが互いに対して平行かつ直列に位置している、請求項21記載の装置。
【請求項26】
第一および第二のシリンダーがV形状を形成するように配置され、段間弁が該第一のシリンダーと第二のシリンダーとの間の空間重複区域に位置している、請求項21記載の装置。
【請求項27】
動作中、第二のシリンダーが、周囲環境よりも高い温度に維持されるよう、該周囲環境から熱的に隔離されている、請求項21記載の装置。
【請求項1】
第一のピストンを中に収容する第一のシリンダーと、
第二のピストンを中に収容し、該第一のシリンダーの表面の少なくとも一部分が第二のシリンダーの表面の少なくとも一部分に隣接し、それに流動的に結合するように該第一のシリンダーと第二のシリンダーが互いに隣接して位置する第二のシリンダーと、
燃料混合物を該第一のシリンダーに入れることを可能にするための、該第一のシリンダーに結合された、該第一のピストンが吸気および圧縮ストロークだけを実行する吸気弁と、
排ガスを該第二のシリンダーから出すことを可能にするための、該第二のシリンダーに結合された、該第二のピストンが燃焼および排気ストロークだけを実行する排気弁と、
該第一のシリンダーの内チャンバを第二のシリンダーの内チャンバに流動的に結合するために該第一および第二のシリンダーの隣接する表面部分の近くに位置する段間弁とを含む、
燃焼機関で使用するためのデュアルピストン装置。
【請求項2】
第一のピストンに結合された第一のクランクシャフトと、
第二のピストンに結合された第二のクランクシャフトと、
該第一および第二のクランクシャフトに結合され、該第一のクランクシャフトと第二のクランクシャフトとの間の動きを変えるように構成されたクランクシャフト接続機構とをさらに含む、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
クランクシャフト接続機構が、第一および第二のクランクシャフトにそれぞれ結合された第一および第二の端部を有するクランクシャフト接続ロッドを含む、請求項2記載の装置。
【請求項4】
クランクシャフト接続機構が複数の歯車を含み、第一の歯車が第一のクランクシャフトに結合され、第二の歯車が第二のクランクシャフトに結合され、該第一および第二の歯車が互いに機械的に結合されている、請求項2記載の装置。
【請求項5】
クランクシャフト接続機構が、第一および第二のクランクシャフトに結合された駆動ベルトまたはチェーンを含む、請求項2記載の装置。
【請求項6】
第一および第二のピストンがそれぞれの第一および第二のシリンダーの中で互いに同相で同時に動く、請求項1記載の装置。
【請求項7】
第一および第二のピストンがそれぞれの第一および第二のシリンダーの中で互いに位相はずれで同時に動く、請求項1記載の装置。
【請求項8】
第二のピストンが第一のピストンよりもわずかに先行して位相はずれで動く、請求項7記載の装置。
【請求項9】
第一のピストンが第二のピストンよりもわずかに先行して位相はずれで動く、請求項7記載の装置。
【請求項10】
第一のシリンダーの内部容積が第二のシリンダーの内部容積よりも大きい、請求項1記載の装置。
【請求項11】
第二のピストンが、燃焼チャンバとして機能する、その中に形成されたチャンバを含む、請求項1記載の装置。
【請求項12】
段間弁が、
円錐形のシール面および円柱形のシャフトを有する第一の弁と、
円錐形のシール面およびロッド形の中実シャフトを有し、該円柱形のシャフトが該ロッド形の中実シャフトを包囲する第二の弁と、
該円柱形のシャフトを包囲し、該第一および第二の弁をそれらの対応する閉止位置に向けて同時に押すように構成されたばねと、
を含む半自動ばね弁を含む、請求項1記載の装置。
【請求項13】
第一および第二のシリンダーが互いに熱的に隔離されている、請求項1記載の装置。
【請求項14】
吸気および圧縮ストロークのみを実行する第一のピストンを中に収容する第一のシリンダーと、
燃焼および排気ストロークのみを実行する第二のピストンを中に収容し、該第一のシリンダーと第二のシリンダーとの間のデッドスペースを最小限にするように該第一のシリンダーの一部分が該第二のシリンダーの一部分に隣接する第二のシリンダーと、
該第一のシリンダーの内チャンバを該第二のシリンダーの内チャンバに流動的に結合する、該第一のシリンダーの該一部分が該第二のシリンダーの該一部分に隣接するところの近くに位置する段間弁とを含む、
燃焼機関で使用するためのデュアルピストン装置。
【請求項15】
第一および第二のシリンダーが互いに空間的にオフセットされており、段間弁が、該第一のシリンダーと第二のシリンダーとの間の空間重複区域に位置している、請求項14記載の装置。
【請求項16】
第一のシリンダーの上面の少なくとも一部分が第二のシリンダーの上面の少なくとも一部分に隣接し、それに流動的に結合するように該第一および第二のシリンダーが互いに対して平行かつ直列に位置している、請求項14記載の装置。
【請求項17】
第一および第二のシリンダーがV形状を形成するように配置され、段間弁が該第一のシリンダーと第二のシリンダーとの間の空間重複区域に位置している、請求項14記載の装置。
【請求項18】
段間弁がばね付勢されている、請求項14記載の装置。
【請求項19】
段間弁が、
円錐形のシール面および円柱形のシャフトを有する第一の弁と、
円錐形のシール面およびロッド形の中実シャフトを有し、該円柱形のシャフトが該ロッド形の中実シャフトを包囲する第二の弁と、
該円柱形のシャフトを包囲し、該第一および第二の弁をそれらの対応する閉止位置に向けて同時に押すように構成されたばねと、
を含む半自動ばね弁を含む、請求項14記載の装置。
【請求項20】
第一および第二のシリンダーが互いに熱的に隔離されている、請求項14記載の装置。
【請求項21】
吸気および圧縮ストロークのみを実行する第一のピストンを中に収容する第一のシリンダーと、
燃焼および排気ストロークのみを実行する第二のピストンを中に収容する第二のシリンダーと、
第一のシリンダーの内チャンバを第二のシリンダーの内チャンバに結合する段間弁とを含み、該第一のシリンダーが該第二のシリンダーから熱的に隔離され、動作中、該第一のシリンダーが該第二のシリンダーよりも低い温度に維持される、燃焼機関で使用するためのデュアルピストン装置。
【請求項22】
第一のシリンダーが、該第一のシリンダーの外面に位置する複数の冷却リブを含む、請求項21記載の装置。
【請求項23】
第一のシリンダーが複数の液体冷却通路をそのハウジング内に含む、請求項21記載の装置。
【請求項24】
第二のシリンダーが、第二のピストンによって放出された排ガスによって提供される熱を利用して該第二のシリンダーをさらに加熱するための複数の排気加熱通路を含む、請求項21記載の装置。
【請求項25】
第一のシリンダーの上面の少なくとも一部分が第二のシリンダーの上面の少なくとも一部分に隣接し、それに流動的に結合するように該第一および第二のシリンダーが互いに対して平行かつ直列に位置している、請求項21記載の装置。
【請求項26】
第一および第二のシリンダーがV形状を形成するように配置され、段間弁が該第一のシリンダーと第二のシリンダーとの間の空間重複区域に位置している、請求項21記載の装置。
【請求項27】
動作中、第二のシリンダーが、周囲環境よりも高い温度に維持されるよう、該周囲環境から熱的に隔離されている、請求項21記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
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【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−180835(P2012−180835A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−91757(P2012−91757)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【分割の表示】特願2008−500950(P2008−500950)の分割
【原出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(507301051)ツアー エンジン インコーポレーティッド (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【分割の表示】特願2008−500950(P2008−500950)の分割
【原出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(507301051)ツアー エンジン インコーポレーティッド (3)
【Fターム(参考)】
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