説明

ダンパおよび光ディスク装置

【課題】垂直状態での使用においても、高い振動吸収効率を得ることができるダンパおよび光ディスク装置を提供する。
【解決手段】ダンパは、軸方向の一方で光ディスク駆動用モータを取り付けたシャシを保持し、他方で筐体を保持する。ダンパは、側方において寸法を拡大するように突出した突出部を有し、突出部は、その外縁部で筐体に固定された壁面に当接し、突出部の外縁部はその内部よりも剛性が低くなる形状を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はダンパおよび光ディスク装置に関し、特に、高い振動吸収特性を有するダンパおよび光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD、CD−ROM、DVD、DVD−ROM等の光ディスク、光磁気ディスク、大容量FD等の光メディアを駆動する光ディスク装置が、たとえば特開2001−256762号公報(特許文献1)に開示されている。図5は光ディスク装置の要部を示す図である。(A)は、平面図であり、(B)は図(A)において矢印B−Bで示す部分の断面図であり、(C)は、図(A)において矢印C−Cで示す部分の矢視図である。
【0003】
図5を参照して、光ディスク装置10は、筐体11と、筐体11の周囲4箇所に設けられた円筒形状のダンパ40a,40b,47a,47bと、ダンパ40a,40b,47a,47bに保持されたトラバースシャシ12とを含む。トラバースシャシ12上には、図示のない光ディスクを駆動するためのターンテーブル15およびスピンドルモータ13と、光ディスクを読取る光ピックアップ14とが設けられている。
【0004】
ダンパ40a,40bとダンパ47a,47bとはその形状が異なっている。図5(A)、(B)はダンパ40bが下方向に位置するように垂直姿勢になるように光ディスク装置を設置した状態を示しているが、ダンパ40aと40bの径方向において突出した円板部の外縁部で図示のように筐体に固定された壁面である筐体受け部30に当接する。このようにダンパ40a,40bを設けることにより、光ディスク装置10を垂直姿勢にした際に、トラバースシャシ12が筐体11に直接接触することを防止している。
【特許文献1】特開2001−256762号公報(図1およびそれに関連する記載)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のダンパ40a,40bの形状を図6に示す。図6(A)は、従来のダンパ40a,40bの平面図であり、図6(B)は、図6(A)において、矢印B−Bで示す部分の断面図である。図6を参照して、従来のダンパ40は、全体が円筒状であり、径方向に最大寸法を有する上部円板部41と、その軸方向下部に設けられた、円筒状の突起部42と、その下部に設けられた下部円板部43とを有し、上部円板部41と突起部42とでトラバースシャシ12を保持し、突起部42と下部円板部43とで、筐体11を保持している。
【0006】
しかしながら、図6に示すようなダンパ40の構成では、光ディスク装置を垂直に設置した時にダンパ40の上部円板部41の外縁部と筐体受け部30との接触の際、ダンパ40の接触部の形状がソリッドの円板状であるため、剛性が高く、十分な振動吸収性能が得られないという問題があった。
【0007】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、垂直状態での使用においても、高い振動吸収効率を得ることができるダンパおよび光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るダンパは、軸方向の一方で光ディスク駆動用モータを取り付けたシャシを保持し、他方で筐体を保持する。ダンパは、側方において寸法を拡大するように突出した突出部を有し、突出部は、その外縁部で筐体に固定された壁面に当接し、突出部の外縁部はその内部よりも剛性が低い。
【0009】
筐体に当接する突出部の外縁部の剛性を内部よりも低くしたため、筐体との当接部での振動の吸収を高めることができる。
【0010】
その結果、垂直状態での使用においても、高い振動吸収効率を得ることができるダンパを提供できる。
【0011】
突出部の内部は、均一の厚さを有し、外縁部は、端部方向に厚さが薄くなっていてもよいし、外縁部は、その端部方向にテーパ状であってもよい。
【0012】
好ましくは、突出部は円板状である。
【0013】
この場合、外縁部の断面形状は、その端部方向に半円形状であってもよいし、外縁部は、その外周面に相互に間隔をあけて設けられた複数の突起部を有してもよい。
【0014】
また、突起部は半球状であってもよいし、リブ状であってもよい。
【0015】
なお、外縁部と内部とは、材質を異ならせてもよい。
【0016】
この発明の他の局面においては、光ディスク装置は、上記のダンパを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1はこの発明に係るダンパの一実施の形態を示す図であり、従来の図6に対応する。(A)はダンパ20の平面図であり、(B)は、(A)において矢印B-Bで示す部分の断面図である。図1を参照して、この実施の形態にかかるダンパ20は、図6に示す従来のものに比べて、筐体受け部30に当接する上部円板部21の外縁部の剛性をその内部よりも低くした。具体的には、外縁部の断面形状を半円状とした(図において○で囲んだ部分)。それ以外の部分については、図6に示した従来のダンパ40と同様であるので、対応部分に同一参照符号を付してその説明は省略する。
【0018】
この実施の形態においては、外縁部の剛性をその内部よりも低くするために、外縁部の形状を上記のような形状とした。その結果、従来に比べて、より高い振動吸収性を有する。また、垂直状態における姿勢保持も可能になる。
【0019】
図2は、この発明に係るダンパの他の実施の形態を示す図である。(A)はダンパ22の平面図であり、(B)は、(A)において矢印B-Bで示す部分の断面図である。
【0020】
図2を参照して、この実施の形態にかかるダンパ22は、図1に示したものに比べて、筐体受け部30に当接する上部円板部23の外縁部の形状が異なっている。すなわち、この実施の形態におけるダンパ22においては、上部円板部23の外縁部の断面形状が外周部にいくほどその厚みが減るテーパ状となっている(図において○で囲んだ部分)。それ以外の部分については、図6に示した従来のダンパ40と同様であるので、対応部分に同一参照符号を付してその説明は省略する。
【0021】
この実施の形態においても、筐体受け部30に当接する部分の剛性を下げることができる。その結果、図1に示したダンパと同様の効果を奏する。
【0022】
図3は、この発明に係るダンパのさらに他の実施の形態を示す図である。(A)はダンパ24の平面図であり、(B)は、(A)において矢印B-Bで示す部分の断面図である。
【0023】
図3を参照して、この実施の形態にかかるダンパ24は、上部円板部25の外縁部に、相互に離れた複数の半球状の突起26を有する。それ以外の部分については、図6に示した従来のダンパ40と同様であるので、対応部分に同一参照符号を付してその説明は省略する。
【0024】
この実施の形態においても、筐体受け部30に当接する部分の剛性を下げることができる。その結果、図1に説明したダンパと同様の効果を奏する。
【0025】
図4は、この発明に係るダンパのさらに他の実施の形態を示す図である。(A)はダンパ27の平面図であり、(B)は、(A)において矢印B-Bで示す部分の断面図である。
【0026】
図4を参照して、この実施の形態にかかるダンパ27は、上部円板部28の外縁部に、相互に離れた複数のリブ状の突起29を有する。それ以外の部分については、図6に示した従来のダンパ40と同様であるので、対応部分に同一参照符号を付してその説明は省略する。
【0027】
この実施の形態においても、筐体受け部30に当接する部分の剛性を下げることができる。その結果、図1に説明したダンパと同様の効果を奏する。
【0028】
なお、上記実施の形態おいては、ダンパの筐体と接触する上部円筒部の形状として様々な例を上げたが、これらに限らず、当接部の剛性を下げることができれば、任意の形状を採用できる。また、形状に限らず、外縁部の剛性を下げるように、外縁部とその内部との材料を変えるようにしてもよい。また、外縁部の内部を中空としてその剛性を下げるようにしてもよい。
【0029】
また、上記実施の形態においては、ダンパの上部円板部と突起部とでトラバースシャシを保持し、下部円板部と突起部とで筐体を保持するようにしたが、これに限らず、ダンパの上部円板部と突起部とで筐体を保持し、下部円板部と突起部とでトラバースシャシを保持するようにしてもよい。
【0030】
さらに上記実施の形態においては、ダンパの形状を径方向に突出した3箇所を有する円筒状である場合について説明したが、これに限らず、突出部の形状は、矩形状や楕円状や、任意の形状であってもよい。この場合、トラバースシャシや筐体を保持する方向に交わる側方向において寸法を拡大する方向に延在する部分が突出部となる。
【0031】
図面を参照してこの発明の一実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態に限定されるものではない。本発明と同一の範囲内において、または均等の範囲内において、図示した実施形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明に係るダンパは、垂直姿勢になるよう設置した場合においても振動吸収効性が高いため、それを用いた光ディスク装置等において、有利に利用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の一実施の形態に係るダンパを示す図である。
【図2】この発明の他の実施の形態に係るダンパを示す図である。
【図3】この発明のさらに他の実施の形態に係るダンパを示す図である。
【図4】この発明のさらに他の実施の形態に係るダンパを示す図である。
【図5】光ディスク装置の要部を示す図である。
【図6】従来の光ディスクに使用されるダンパを示す図である。
【符号の説明】
【0034】
10 光ディスク装置、11 筐体、12 トラバースシャシ、13 スピンドルモータ、14 光ピックアップ、15 ターンテーブル、20 ダンパ、21 上部円筒板、30 筐体受け部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一方で光ディスク駆動用モータを取り付けたシャシを保持し、他方で筐体を保持するダンパであって、
側方において寸法を拡大するように突出した突出部を有し、
前記突出部は、その外縁部で前記筐体に固定された壁面に当接し、
前記突出部の外縁部はその内部よりも剛性が低い、ダンパ。
【請求項2】
前記突出部の内部は、均一の厚さを有し、前記外縁部は、端部方向に厚さが薄くなっている、請求項1に記載のダンパ
【請求項3】
前記外縁部は、その端部方向にテーパ状である、請求項2に記載のダンパ。
【請求項4】
前記突出部は円板状である、請求項1から3のいずれかに記載のダンパ。
【請求項5】
前記外縁部の断面形状は、その端部方向に半円形状である、請求項4に記載のダンパ。
【請求項6】
前記外縁部は、その外周面に相互に間隔をあけて設けられた複数の突起部を有する、請求項4に記載のダンパ。
【請求項7】
前記突起部は半球状である、請求項6に記載のダンパ。
【請求項8】
前記突起部はリブ状である、請求項6に記載のダンパ。
【請求項9】
前記外縁部と内部とは、材質が異なる、請求項1から4のいずれかに記載のダンパ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のダンパを有する光ディスク装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−223799(P2008−223799A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59125(P2007−59125)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000114710)ヤマウチ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】