説明

ダンパ

【課題】 物体のストローク端に向かって制動力が増加するシリンダタイプのダンパを提供することである。
【解決手段】 シリンダ4内に往復動可能な移動部材6を設け、この移動部材とシリンダの一端との間にスプリング14を介在させ、かつ、移動部材6におけるスプリング14との対向面に上記スプリング14に向かって先細りにした移動部材側斜面6bを設けるとともに、上記移動部材側斜面6bとスプリング14との間に、径方向に拡大可能にした制動部材15を設け、この制動部材15には上記移動部材側斜面6bに対向する制動部材側斜面15aを設け、上記移動部材6が上記スプリング14のばね力に抗して移動したとき、移動部材6の移動力とばね力とにより、上記対向する両斜面6b、が互いに押圧され、制動部材が拡径する構造にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、直線移動において制動機能を発揮するシリンダタイプのダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
直線移動において制動力を発揮するダンパ機構として、例えば、特許文献1に示すようなシリンダタイプのものがある。
この特許文献1に開示されたダンパは、ピストン本体にテーパー面を有するくさび部を形成し、このくさび部の外周に、上記テーパー面に嵌合する拡巾部材を設けている。また、拡巾部材の外周とシリンダ内周との間には、摺接シューを介在させている。
そして、ピストン本体の一方向への移動とともにテーパー面が移動し、テーパー面が上記拡巾部材に対して相対移動すると、拡巾部材が拡巾して、上記摺接シューがシリンダ内壁に圧接するようにしている。その結果、この摺接シューがピストンの移動に対して摺動抵抗となり、制動力を発揮するというものである。
【0003】
このようなダンパ機構では、上記テーパー面が、拡巾部材に対して移動している間は、拡巾部材の拡巾径が連続的に増加するが、拡巾部材が一定量まで広がって、テーパー面と拡巾部材とが一体的に移動している間は、摺接シューの圧接力は一定になる。つまり、拡巾部材が拡巾してしまえば、一定の圧接状態で移動するだけなので摺動抵抗は一定になる。その結果、制動力も一定である。
【特許文献1】実公平3−011086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ダンパ機構では、拡巾部材が、開いてしまえば、ピストンの移動に対する制動力が一定になる。
しかし、移動する物体の位置によって、特に制動力を必要とする場合がある。例えば、図17に示すように、グランドピアノの本体1に、ヒンジ3を介して回転自在に連結した蓋1のように、回転運動によって開閉する重い部材の場合には、蓋1が閉まる際に急激に落下しないようにダンパを取り付けることがある。具体的には、図17のように、蓋2とピアノ本体1との間に、シリンダタイプのダンパDを取り付け、その制動力によって、蓋2が荷重によって急激に落下することを防止するようにしている。このピアノの蓋1を、図17の状態から本体1を塞ぐまでの間には、蓋2が落下する方向の力、すなわち、荷重の回転方向の分力は変化し、その分力は、蓋2が水平に近づくほど大きくなる。つまり、蓋2が急激に落下しないように支えながら閉めるためには、蓋2が水平に近づくに従って大きな力が必要であり、その力は蓋2が閉まる直前に最大になる。
【0005】
言い換えれば、蓋2を静かに閉められるようにするためには、蓋2が閉まる方向へ移動する際に、その移動量にともなって、制動力が大きくなり、閉まる直前で最も大きな制動力を発揮するダンパが必要となる。しかし、上記従来技術のように、移動過程で一定の制動力を発揮するダンパでは、このような要求に対応できないという問題があった。
この発明の目的は、例えば、グランドピアノの蓋のように、回転によって開閉する様々な回転部材の制動装置にも対応できるように、物体のストローク端に向かって制動力が増加するシリンダタイプのダンパを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、シリンダ内に往復動可能な移動部材を設け、この移動部材とシリンダの一端との間にスプリングを介在させ、かつ、上記移動部材におけるスプリングとの対向面に上記スプリングに向かって先細りにした移動部材側斜面を設けるとともに、上記移動部材側斜面とスプリングとの間に、径方向に拡大可能にした制動部材を設け、この制動部材には上記移動部材側斜面に対向する制動部材側斜面を設け、上記移動部材が上記スプリングのばね力に抗して移動したとき、移動部材の移動力とばね力とにより、上記対向する両斜面が互いに押圧され、制動部材が拡径する構造にした点に特徴を有する。
【0007】
第2の発明は、シリンダ内に往復動可能な第1移動部材と、この第1移動部材と相対移動可能にした第2移動部材とを設け、この第2移動部材とシリンダの一端との間にスプリングを介在させ、かつ、第1移動部材におけるスプリングとの対向面に上記第2移動部材に向かって先細りにした第1移動部材側斜面を設けるとともに、上記第2移動部材における第1移動部材との対向面に上記第1移動部材に向かって先細りにした上記第2移動部材側斜面を設け、上記第1移動部材側斜面と第2移動部材側斜面との間に径方向に拡大可能にした制動部材を設け、この制動部材の両端には、上記第1、第2移動部材側斜面に対向する制動部材側第1斜面、制動部材側第2斜面を設け、上記第1移動部材が上記スプリングのばね力に抗して移動したとき、第1移動部材の移動力とばね力とにより、上記制動部材側第1、第2斜面が、それぞれ、第1、第2移動部材側斜面に押圧され、制動部材が拡径する構造にした点に特徴を有する。
【0008】
第3の発明は、シリンダ内に往復動可能な第1移動部材と、この第1移動部材と相対移動可能にした第2移動部材とを設け、第2移動部材とシリンダの一端との間にスプリングを介在させ、かつ、上記第2移動部材におけるスプリングと反対方向であって第1移動部材との対向面側に上記第1移動部材に向かって先細りにした第2移動部材側斜面を設けるとともに、上記第2移動部材側斜面と第1移動部材との間に、径方向に拡大可能にした制動部材を設け、この制動部材には上記第2移動部材側斜面に対向する制動部材側斜面を設け、上記第1移動部材が上記スプリングのばね力に抗して移動したとき、第1移動部材の移動力とばね力とにより、上記対向する両斜面が互いに押圧され、制動部材が拡径する構造にした点に特徴を有する。
【0009】
第4の発明は、シリンダ内に往復動可能な第1移動部材と、この第1移動部材と相対移動可能にした第2移動部材とを設け、この第2移動部材とシリンダの一端との間にスプリングを介在させ、かつ、上記第2移動部材には、第1移動部材との対向面側に上記第1移動部材に向かって先細りにした第2移動部材側第1斜面および第2移動部材側第1斜面と反対側に、第1移動部材と反対方向に向かって先細りにした第2移動部材側第2斜面を、それぞれ設け、かつ、上記第1移動部材と第2移動部材側第1斜面との間には径方向に拡大可能にした第1制動部材を設けるとともに、上記第2移動部材側第2斜面とスプリングとの間には径方向に拡大可能にした第2制動部材を設け、上記第1、第2制動部材には、それぞれ、第2移動部材側第1斜面、第2移動部材側第2斜面に対向する第1制動部材側斜面、第2制動部材側斜面を設け、上記第1移動部材が上記スプリングのばね力に抗して移動したとき、第1移動部材の移動力とばね力とにより、上記第1制動部材側斜面、第2制動部材側斜面が、それぞれ、第2移動部材側第1斜面、第2移動部材側第2斜面に押圧され、第1および第2制動部材が拡径する構造にした点に特徴を有する。
【0010】
第5の発明は、上記第1〜第4の発明を前提とし、上記制動部材を、複数の部品を円周に沿って配置して構成した点に特徴を有する。
なお、上記「円周に沿って配置する」には、円周に沿ってほぼ連続するように部材を配置するほか、各部品が間隔を保って配置されていても、全体として、シリンダ内壁に対抗する円周上に配置されているものも含んでいる。
【0011】
第6の発明は、上記第1〜第4の発明を前提とし、上記制動部材には、軸方向に長さを有するスリットを複数形成するとともに、このスリットの一端を開放端とし、この開放端を制動部材に設けた斜面に臨ませ、上記スリットの他端には残余部を設け、この残余部によって上記制動部材を一体化した点に特徴を有する。
【0012】
第7の発明は、上記第2の発明を前提とし、上記制動部材には、軸方向に長さを有するスリットを複数形成するとともに、このスリットの一端を開放端とし、この開放端を制動部材側第1斜面および制動部材側第2斜面に臨ませ、上記スリットの他端には、残余部を設けることによって上記制動部材を一体化し、さらに、上記第1斜面に開放端を臨ませたスリットの制動部材の円周上における位置を、第2斜面に開放端を臨ませたスリットの制動部材の円周上における位置からずらした点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
第1〜第7の発明によれば、直線移動のストローク端に向かって、徐々に制動力を大きくし、ストローク端で最大制動力を得られるようになる。従って、グランドピアノの蓋のように、位置によって荷重による回転方向の分力が異なり、ストローク端で最も制動力を必要とするものに適用できる。
また、シリンダ内壁への制動部材の押圧力に基づく摺動面の摩擦抵抗およびスプリングのばね力によって制動力を得るようにしているため、粘性流体などを利用したダンパのようにシール機構が不要で、流体漏れの心配もない。
【0014】
また、第2の発明および第4の発明では、移動部材側の2つの斜面と、各移動部材側斜面に当接する制動部材側斜面とを備えているため、制動部材が径方向に拡大してシリンダ内壁を押圧する摺動面積が、対抗する斜面の組が1組の場合と比べて大きくなる。このように、シリンダと制動部材との摺動面積が大きくなれば、押圧力が同じでも、摺動面の摩擦抵抗が大きくなるので、大きな制動力を得ることができる。
【0015】
第5の発明は、ひとつの制動部材を複数の部品で構成しているので、制動部材の軸方向全体が拡径する。そのため、拡径部分が大きくなり、シリンダ内周面に対する摩擦力を大きくでき、制動力を大きくできる。
第6の発明によれば、残余部によって制動部材を1部品としているので、部品点数を少なくできるとともに、組み付け工数も少なくできる。
【0016】
第7の発明によれば、制動部材の両側に斜面を形成して、両側にスリットを設けたので、一方だけにスリットを設ける場合より、拡径部分を大きくできる。
特に、両側に開口端を備えたスリットの円周上の位置が一致しないようにしたため、1本のスリットを長くできる。スリットを長くできれば、その分、拡径する部分の長さを長くできる。従って、制動部材を1部品としながら、シリンダへの摺動面積を大きく、制動力を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1〜図4にこの発明の第1実施形態を示す。
このダンパD1は、シリンダ4内にロッド5に連結した移動部材6を移動可能に設けている。この移動部材6は、一方の端部に凹部6aを形成し、この凹部6aには、ビス7によってパッド8を取り付けた上記ロッド5の先端を挿入支持している。これにより、ロッド5の移動によって、移動部材6を移動させることができる。なお、移動部材6の外周には、環状のグリスホルダー9を設けている。このグリスホルダー9から染み出すグリスによって、移動部材6がシリンダ4に対してスムーズに移動できるようにしている。
なお、上記シリンダ4の両端を、キャップ10およびキャップ11で塞いでいる。ただし、キャップ11には、ロッド5を支持するためのブッシュ12を取り付けるとともに、ロッド5を貫通する貫通穴を形成している。
【0018】
また、上記移動部材6の、ロットとは反対側にはガイド筒13部を設け、移動部材6とシリンダの一端であるキャップ10との間には、上記ガイド筒部13を挿入したコイル状のスプリング14を介在させている。そして、上記移動部材6であって、このスプリング14との対向面には、スプリング14に向かって先細りにした斜面6bを円周方向に連続的に設けている。この斜面6bが、この発明の移動部材側斜面に相当する。
そして、移動部材6の斜面6bと上記スプリング14との間には、図3に示す筒状の制動部材15を介在させている。
【0019】
この制動部材15は、図3に示すように、側壁に厚みを有する筒状部材で、一方の開口端に斜面15aを備えるとともに、この斜面15a側端部に開放端を有する複数のスリット15bを形成している。このスリット15bは、制動部材15の軸方向に貫通するものではなく、制動部材15には残余部15cを備えている。このような形状にすることによって、この制動部材15は、斜面15a側が拡径可能になる。
そして、この斜面15aを、移動部材6の斜面6bに対向させている。
このように、上記斜面6bと斜面15aとを対向させているので、移動部材6が制動部材15に対して近づく方向に移動して、斜面6bが制動部材15の斜面15a内に食い込めば、制動部材15を拡径させることになる。
なお、図中符号16は、ダンパ機能を必要として相対移動する部材の一方にシリンダD1を取り付けるためのジョイント部材でである。
【0020】
このようなシリンダD1の作用を、以下に説明する。なお、図2は、ロッド5がシリンダ4内に収容され、このシリンダD1が最も収縮した状態である。
そこで、図1の伸長状態から図2の収縮状態まで、ロッド5を介して移動部材6を移動させる場合について説明する。なお、図1の状態において、上記スプリング14は自然長であるとする。
【0021】
この状態からロッド5に外力が作用し、移動部材6が図の左方向、すなわち、一方のキャップ10方向へ移動すると、移動体6の移動力Faが、斜面6bを介して制動部材15の斜面15aに作用する。一方、制動部材15において、移動部材6とは反対側には、スプリング14が接触している。そして、このスプリング14は、図1に示す自然長状態から撓むと、スプリング14が伸長する方向のばね力Fbが発生する。
つまり、制動部材15には、移動部材6から左方向の力Faが作用し、スプリング14からは右方向の力Fbが作用することになる。このように、両側から対抗する方向の力が作用するので、移動部材6の斜面6bと制動部材15の斜面15aとが押圧され、移動部材6が制動部材15の斜面15a内に食い込む。これにより、制動部材15が拡径して、その外周面がシリンダ4の内壁に押圧される。
【0022】
このように、制動部材15の外周面がシリンダ4の内壁に押圧された状態で、移動部材6とともに移動すると、この押圧力に対応した摩擦力が、制動部材15とシリンダ4との摺動面に発生する。この摩擦力が、キャップ10方向へ移動する移動体6の移動に対する制動力となる。
そして、上記摩擦力は、制動部材15のシリンダ4への押圧力に応じて決まるが、この押圧力は、制動部材15の拡径量に応じて決まる。また、この拡径量は、制動部材15に対する斜面6bの食い込み量に関連して変化するが、この食い込み量は、上記ドッロ5側からの力Faとスプリング14側からの力Fbとのバランスによって決まる。
【0023】
一方、スプリング14のばね力は、そのたわみ量に比例するので、上記力Fbは、移動部材6及び制動部材15の位置によって変化し、シリンダD1が図2の収縮状態に近づくほど大きくなる。
そのため、移動部材6がキャップ10方向へ移動する過程では、徐々にばね力Fbが増し、それにともなって、制動部材15の拡径量およびシリンダ4への押圧量が増加し、摺動面の摩擦力が増加する。このように、摺動面の摩擦力が増加するため、制動力が増加する。
【0024】
従って、この第1実施形態のシリンダD1は、移動部材6が一方のキャップ10側へ移動するに従って制動力が増加し、特に、そのストローク端近傍で、大きな制動力を得ることができる。
このダンパD1を、例えば、図17に示すダンパDの代わりに、グランドピアノの本体1と蓋2との間に取り付ければ、蓋2の荷重による下方に向かう分量が最大となる、蓋2が閉まる直前に、最も大きな制動力を発揮して、急激な落下を防止したり、蓋2を支える人手を助けたりすることができる。
【0025】
なお、上記スプリング14のばね力は、移動部材6の移動開始直後から作用しなければならないというものではない。例えば、図1における制動部材15の位置より、キャップ10からスプリング14の自然長の方が短い場合には、移動部材6が移動しても、はじめのうちはばね力が作用しないため、上記のような制動力は発揮されない。しかし、移動部材6とともに制動部材15が移動して、スプリング14に接触してからは、スプリング14のばね力が制動部材15に作用して上記と同様に機能する。このように、コイルスプリングの長さを選択することによって、制動力を発揮される開始点を調整することができる。どの時点から制動力を発揮させるかは、その利用場面に応じて設定すればよい。
【0026】
また、図1、図2では、図3に示すように残余部15cを備えた制動部材15を用いているが、拡径可能な制動部材としては、図4に示すように複数の部品からなる制動部材を用いることもできる。
図4に示す制動部材18は、厚みのある円筒を分割した4個の制動用チップ18aからなり、それぞれのチップ18aの一端には、この発明の制動部材側斜面である斜面18bを形成している。
この制動部材18を用いる場合には、4個の制動用チップ18aを、その斜面18bが上記移動部材6の斜面6bに対向するようにして、上記ガイド筒部13の外周に配置するようにする。
【0027】
この制動部材18のように、複数の制動用チップ18aからなる制動部材を用いた場合には、制動部材18の斜面18bと移動部材6の斜面6bとに、互いに押し付けられる力が作用すると、移動部材6の斜面6bが、斜面18bを押圧しながら、斜面18bの径方向内側に入り込む。そのため、斜面18bは、斜面6b上に沿って外周方向へ移動し、チップ18a全体が外径方向へ移動するので、制動部材15のように、1部品からなる制動部材と比べて、制動部材18として拡径する部分が大きくなる。そのため、シリンダ4の内壁を押圧する面積が大きくなり、摺動面の摩擦抵抗が大きくなって、大きな制動力を得ることができる。
これに対し、図3の制動部材15のように、スリットの残余部15cによって一体化した制動部材では、スリットの開放端側は拡径するが、残余部15cは拡径しないため、押圧面積が小さくなる。ただし、部品点数や、組み付け工数を少なくできるというメリットがある。
【0028】
図5、図6に示す第2実施形態のダンパD2は、伸長過程において、制動力を増加させることができるダンパであり、スプリング14の相対位置が上記第1実施形態のダンパD1とは異なるが、制動力を発揮する原理はダンパD1と同じである。そして、図1に示す第1実施形態のダンパD1と同じ構成要素には同じ符号を用いるとともに、詳細な説明は省略し、ダンパD1と異なる部分を中心に説明する。
なお、図5は、ダンパD2の収縮時であり、図6は伸長時である。
このダンパD2は、シリンダ4内に組み込む移動体17に貫通穴17cを形成し、ここにロッド5を貫通させる。ロッド5の先端には大径部5aを形成し、移動部材17には、この大径部5aが嵌る凹部17aを形成している。
【0029】
上記移動部材17の外形は、第1実施形態の移動部材6とほぼ同様で、ガイド筒部13を形成し、この発明の移動部材側斜面である斜面17bを設けている。ただし、このダンパD2では、スプリング14をロッド5の取り付け側のキャップ11と移動部材17との間に介在させ、移動部材17の取り付け方向を上記移動部材6と反対向きにしている。
すなわち、移動部材17の斜面17bを、キャップ11に向かって先細りにし、この斜面17bとスプリング14との間に、制動部材15を設けている。
このようなダンパD2は、上記ロッド5に外力を作用させることによって移動体17を移動させ、図5に示す収縮状態から図6に示す伸長状態になる過程で、制動力を発揮させることができる。
【0030】
図5に示すダンパD2の収縮状態では、スプリング14は最長状態であり、ばね力はほとんど発生していない。この状態から、ロッド5が引き出されて移動部材17が、移動すると、その移動力Faが発するとともに、スプリング14が撓んで、ばね力Fbが発生する。
このように、移動部材17と制動部材15には、反対方向の力が作用するので、移動部材17の斜面17bが、斜面15aを押圧して、制動部材15が拡径する。制動部材15が拡径すれば、シリンダ4への押圧力が増加し、制動部材15とシリンダ4の内壁との摺動面の摩擦抵抗が大きくなって、移動体17の移動に対する制動力となる。
【0031】
このダンパD2は、図6に示す最大伸長時に、スプリング14が最も圧縮されているため、弾性量が最大となり、その結果、制動力も最大となる。そして、図5に示す状態から、図6に示す状態まで移動過程では、スプリング14の撓み量が徐々に大きくなるため、それにともなってばね力も増加し、制動力も増加する。
このようなダンパD2は、伸長方向の移動に対して制動力を発揮し、その最大ストローク時に、最大制動力を必要とする用途に利用できる。
【0032】
例えば、図7、図8に示すように、壁面30に、軸31を介して回転自在に取り付けた台部材32を、壁面30に沿って収納していた状態から、回転させて水平にする場合に用いることができる。図7のように、台部材32が垂直の状態から矢印方向へ回転すると、ダンパD2が伸びるが、それにともなって、シリンダ4内では移動部材17が移動しながら、スプリング14を撓ませている。従って、制動力が徐々に増加し、図8に示す水平状態になるときに最大値に達する。
一方で、台部材32の荷重は、図7の状態では、鉛直方向のみに作用しているが、台部材32が回転し始めると、台部材32を壁面30から放す方向である回転方向の力が大きくなる。
このように、回転方向の力が大きくなるのに対応して、制動力も大きくなるので、台部材32が急激に開いて、水平状態で停止する際に、衝撃が発生するようなこともない。
【0033】
なお、上記第2実施形態でも、図3に示す制動部材15を用いているが、図4に示す複数の制動用チップ18aからなる制動部材18を用いてもよい。その場合、4個の制動用チップ18aを、その斜面18bが上記移動部材17の斜面17bに対向するように、上記ガイド筒部13の外周に配置する。
【0034】
図9〜図12に示す第3実施形態のダンパD3は、図1に示す第1実施形態のダンパD1に、第2移動部材19を設けるとともに、上記制動部材15に換えて、図11に示す制動部材20を備えたダンパである。その他の構成は、第1実施形態と同じである。従って、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
ダンパD3は、シリンダ4内のスプリング14と移動部材6との間であって、ガイド筒部13の外周に、環状の第2移動部材19を設けている。この第2移動部材19には、移動部材6に向かって先細りで、円周方向に連続する斜面19aを備えている。そして、この第2移動部材19の斜面19aと上記移動部材6の斜面6bとの間に、制動部材20を介在させている。
【0035】
この制動部材20は、図11に示すように、両側に、第1移動部材6の斜面6bに対向した傾斜面20aと、第2移動部材19の斜面19aに対抗した斜面20dを形成した部材で、一方の斜面20aに開放端を臨ませ、反対側に残余部20cを残したスリット20bと、他方の斜面20dに開放端を臨ませ、残余部20fを残したスリット20eとを形成している。このようなスリット20bと20eを設けたので、制動部材20は、その内周側から外周方向へ力が作用したときに、上記スリット20b,20eの部分が開いて拡径する。
【0036】
また、上記スリット20bとスリット20eとは、制動部材20の円周上における位置をずらしている。このように、両端から形成したスリット20bとスリット20eとの円周上の位置をずらしたので、両スリットの円周所の位置が一致する場合と比べて、各スリットの長さを長くすることができる。
なお、この実施例では、上記移動部材6が、この発明の第1移動部材であり、制動部材20における斜面20aがこの発明の制動部材側第1斜面であり、斜面20dがこの発明の制動部材側第2斜面である。
【0037】
この第3実施形態のダンパD3は、移動体6が、上記ピストン14を押し縮める方向へ移動したとき、この移動力Faが、移動部材6の斜面6bを制動部材20の斜面20aに押し付ける。
一方、上記移動体6の移動にともなってスプリング14が収縮すると、スプリング14には、その撓み量に応じたばね力Fbが発生する。そして、このばね力Fbが第2移動体19に作用して、第2移動体19の斜面19aが制動部材20の斜面20dへ押し付けられる。
このように、制動部材20には両側から対向する方向の力が作用すると、制動部材20の斜面20aが、移動部材6の斜面6bに沿って外周方向へ移動し、斜面20dが、第2移動部材19の斜面19aに沿って外周方向へ移動する。すなわち、制動部材20の両端が拡径して、シリンダ4の内壁を押圧する。その結果、摺動面に摩擦抵抗が発生して制動力となる。
【0038】
このダンパD3においても、上記スプリング14の撓み量に応じて、ばね力が変化し、図10に示す最大収縮時であるストローク端でばね力が最大となって、制動力も最大となる。つまり、ダンパD3も、移動体のストローク端に向かって、徐々に制動力を大きくし、ストローク端で最大制動力を発揮する。
また、上記制動部材20には、残余部を備えたスリットを形成しているため、制動部材を1部品とすることができるとともに、両側にスリットを形成しているので、一方だけにスリットを設ける場合より、拡径部分を大きくできる。
特に、両側に開口端を備えたスリットの円周上の位置をずらして、1本のスリットを長くしているので、その分、拡径する部分の長さを長くできる。従って、制動部材を1部品としながら、シリンダへの摺動面積を大きく、制動力を高めることができる。
【0039】
なお、この第3実施形態において、上記制動部材20に換えて、図12に示す複数の部品からなる制動部材21を用いることもできる。制動部材21は、図12に示すように、図11に示す制動部材20を分割したような、4個の制動用チップ21aからなり、それぞれのチップ21aの両端には、この発明の制動部材側第1斜面である第1斜面21bと、第2斜面21cとを形成している。
上記制動部材21を用いる場合には、4個の制動用チップ21aを、その第1斜面21bが移動部材17の斜面17bに対抗し、第2斜面20dが第2移動部材19の斜面19aに対向するように、上記ガイド筒部13の外周に配置する。
【0040】
このように、複数の部品からなる制動部材21は、図4に示す制動部材18と同様に、1部品からなる制動部材20と比べて、拡径部分を大きくすることができるため、大きな制動力を発揮することができる。
ただし、制動部材20のように1部品で構成される制動部材を用いた場合には、部品点数を少なくできるメリットがある。
【0041】
図13、図14に示す第4実施形態のダンパD4は、スプリング14をロッド側キャップ11と移動部材との間に設けたものである。第2移動部材19を設けるとともに、上記制動部材18に換えて図11に示す制動部材20を設けた点が、上記第2実施形態のダンパD2と異なるが、その他の構成は、第2実施形態のダンパD2と同様である。
また、上記第2移動部材19および制動部材20は、上記第3実施形態のダンパD3で用いたものと同じである。そして、第2移動体19の斜面19aを移動体17の斜面17bに対向させ、両斜面17b、19a間に、図11に示す制動部材20を設けている。
【0042】
この第4実施形態の説明においても、他の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を用い、詳細な説明は省略する。
また、この第4実施形態のダンパD4が制動力を発揮する機構は、上記他の実施形態と同じである。
すなわち、上記ダンパD4も、ロッド5に外力を作用させることによって移動体17を移動させる過程で、移動体17の移動力Faとスプリング14のばね力Fbとによって、制動部材20が拡径する。このように、制動部材20が拡径すると、シリンダ4の内壁との摺動面に摩擦抵抗が発生し、制動力を発揮させることができる。
【0043】
そして、上記移動体17を移動させ、ダンパD4を、図13に示す収縮状態から図14に示す伸長状態にする過程で、上記スプリング14の撓み量に応じてばね力が変化するので、ストローク端に向かって徐々に制動力を増加させることができる。
さらに、この第4実施形態においても、制動部材として、複数の部品からなる図12に示す制動部材21を用いてもよい。
【0044】
図15に示す第5実施形態のダンパD5は、シリンダ4内に、ロッド5に取り付けた第1移動部材22と、これと別部材の第2移動部材23とを備え、これら移動部材間に、制動部材18を設けている。
なお、この第5実施形態においても、他の実施形態と同様の構成要素には、同じ符号を用い、各部材についての詳細は省略する。
上記第1移動部材22は、上記第1実施形態の移動部材6と同様に、先端に凹部22を形成するとともに、そこにロッド5の先端取り付けた筒状の部材である。また、第1移動部材22の外周には、グリスホルダー9を備えている。
【0045】
上記第2移動部材23は、シリンダ4内で、上記第1移動部材22よりキャップ10側に、第1移動部材と相対移動可能に設け、ガイド筒部13を備えた部材である。さらに、第2移動部材23とキャップ10との間には、コイル状のスプリング14を介在させている。
そして、上記第2部材23の第1移動部材22側には、この発明の第2移動部材側斜面である第1移動部材22へ向かって先細りにした斜面23aを円周方向に連続的に形成し、この斜面に、上記制動部材18の斜面18bを対向させている。
【0046】
上記制動部材18は、図4に示すように4個の制動用チップ18aで構成され、一端に斜面18bを備え、全体として径方向に拡大可能な部材である。上記各制動用チップ18aは、斜面18bを第2移動部材23の斜面23aに接触させ、この斜面18bと反対側の端面を上記第1移動部材22に接触するように設けられている。そこで、制動部材18は、ロッド5によって第1移動部材22がスプリング14を圧縮しながら移動する際には、第1移動部材22とともに移動する。
そして、第1移動部材22が、キャップ10方向へ移動してスプリング14が撓んだ場合には、上記制動部材18の斜面18bと、これに対向する斜面23aとには、第1移動部材22からの移動力Faと、スプリング14のばね力Fbとが作用する。
【0047】
そのため、制動用チップ18aの斜面18bが、第2移動部材23の斜面23aに沿って外径方向へ移動し、制動部材18が拡径する。これにより、制動部材18とシリンダ4の内壁面との摺動面に摩擦抵抗が発生し、制動力となる。
なお、上記制動部材18の制動用チップ18aが第2移動部材23の斜面23aに沿って外径方向へ移動する際に、僅かではあるが、第1移動部材22が第2移動部材23に近づくことになる。このような相対移動を可能にするために、上記移動力が作用していない状態で、第1移動部材22と第2移動部材23との間に、隙間24が形成されるようにしている。
【0048】
また、この第5実施形態においても、第1および第2移動部材22、23の移動ともなって圧縮されるスプリング14のばね力Fbが変化するため、移動部材のストロークに応じて制動力が変化し、ダンパD4の最収縮状態における移動部材のストローク端近傍で最大の制動力を得ることができる。
なお、この第5実施形態においても、制動部材18に換えて、残余部15cを備え、1部品化した図3に示す制動部材15を用いてもよい。
また、上記制動部材15の端面や、制動部材18の各制動用チップ18aの端面を第1移動部材22の端面と接合し、第1移動部材22と制動部材とを一体化してもかまわない。
ただし、上記各制動用チップ18aと第1制動部材22との間に、フレキシブルな連結部材を介在させれば、制動部材18を第1移動部材22と一体化しても、個々の制動用チップ18aを個別に、拡径方向へ移動可能にすることができる。
【0049】
図16に示す第6実施形態のダンパD6は、第1移動部材22と相対移動可能に設けた第2移動部材25に、第1斜面25aと第2斜面25bとを形成している。そして、各斜面に、それぞれ対向する斜面を有する制動部材18,15を設けている。
上記第1斜面25aを第1移動部材22に対向させ、この第1斜面25aと第1移動部材22との間に、この発明の第1制動部材である図4に示す制動部材18を設け、制動部材18の斜面18bを上記第1斜面25aに対向させている。また、上記第2斜面25bとスプリング14との間には、この発明の第2制動部材である図3に示す制動部材15を設け、この制動部材15の斜面15aを上記第2斜面25bに対向させている。
ただし、その他の構成は、第5実施形態のダンパD5と同じである。また、この第6実施形態においても、他の実施形態と同じ構成要素には、同じ符号を用い、詳細な説明は省略する。
【0050】
上記のようなダンパD6も、制動力が発生する機構は、上記した他の実施形態のダンパを同じである。
つまり、第1、第2移動部材22,25が、スプリング14のばね力に抗して移動する際に、制動部材18および制動部材15が、それぞれ、移動力Faとばね力Fbとによって拡径して、摩擦抵抗による制動力を発揮する。
また、第1、第2移動部材の移動によってスプリング14が撓むと、その撓み量に応じてばね力が変化し、制動力も変化する。従って、スプリング14の最大収縮時である、ストローク端近傍で最大制動力を得られるとともに、このストローク端に向かって徐々に大きくなる制動力を得ることができる。
【0051】
なお、この第6実施形態において、第1制動部材を図3に示す1部品からなる制動部材15としても良いし、第2制動部材を複数部品からなる図4に示す制動部材18などで構成してもかまわない。さらに、上記第1制動部材を、図3に示す制動部材15とし、その一端を第1移動部材22の端面と接合して、第1移動部材22と第1制動部材とを一体化してもよいし、制動部材18の各制動用チップ18aの端部を第1移動部材22に接合してもよい。
【0052】
また、上記第1〜第6実施形態における第1移動部材および第2移動部材側斜面は、円周方向に連続した斜面であるが、これらの斜面は、対応する制動部材側斜面に対向する位置に斜面があれば、全体として不連続であってもかまわない。
さらに、上記第1〜第6のいずれの実施形態においても、ばね力を発揮するスプリング14は、コイル状でなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1実施形態の断面図であり、スプリングの伸長状態を示している。
【図2】第1実施形態の断面図であり、スプリングの圧縮状態を示している。
【図3】第1実施形態の制動部材の斜視図である。
【図4】第1実施形態に用いたのとは別の制動部材の斜視図である。
【図5】第2実施形態の断面図であり、スプリングの伸長状態を示している。
【図6】第2実施形態の断面図であり、スプリングの圧縮状態を示している。
【図7】第2実施形態におけるダンパの使用例の模式図である。
【図8】第2実施形態におけるダンパの使用例の模式図である。
【図9】第3実施形態の断面図であり、スプリングの伸長状態を示している。
【図10】第3実施形態の断面図であり、スプリングの圧縮状態を示している。
【図11】第3実施形態の制動部材の斜視図である。
【図12】第3実施形態に用いたのとは別の制動部材の斜視図である。
【図13】第4実施形態の断面図であり、スプリングの伸長状態を示している。
【図14】第4実施形態の断面図であり、スプリングの圧縮状態を示している。
【図15】第5実施形態の断面図である。
【図16】第6実施形態の断面図である。
【図17】従来例のダンパの使用例を示した正面図である。
【符号の説明】
【0054】
D1〜D6 ダンパ
4 シリンダ
6、17 移動部材
6b、17b 斜面
10,11 キャップ
14 スプリング
15、18,20、21 制動部材
15a、18b、20a、20d 斜面
15b、20b、20e スリット
15c、20c、20f 残余部
18a、21a 制動用チップ
19 第2移動部材
19a 斜面
21b 第1斜面
21c 第2斜面
22 第1移動部材
23、25 第2移動部材
22a、23a 斜面
25a 第1斜面
25b 第2斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ内に往復動可能な移動部材を設け、この移動部材とシリンダの一端との間にスプリングを介在させ、かつ、上記移動部材におけるスプリングとの対向面に上記スプリングに向かって先細りにした移動部材側斜面を設けるとともに、上記移動部材側斜面とスプリングとの間に、径方向に拡大可能にした制動部材を設け、この制動部材には上記移動部材側斜面に対向する制動部材側斜面を設け、上記移動部材が上記スプリングのばね力に抗して移動したとき、移動部材の移動力とばね力とにより、上記対向する両斜面が互いに押圧され、制動部材が拡径する構造にしたダンパ。
【請求項2】
シリンダ内に往復動可能な第1移動部材と、この第1移動部材と相対移動可能にした第2移動部材とを設け、この第2移動部材とシリンダの一端との間にスプリングを介在させ、かつ、第1移動部材におけるスプリングとの対向面に上記第2移動部材に向かって先細りにした第1移動部材側斜面を設けるとともに、上記第2移動部材における第1移動部材との対向面に上記第1移動部材に向かって先細りにした上記第2移動部材側斜面を設け、上記第1移動部材側斜面と第2移動部材側斜面との間に径方向に拡大可能にした制動部材を設け、この制動部材の両端には、上記第1、第2移動部材側斜面に対向する制動部材側第1斜面、制動部材側第2斜面を設け、上記第1移動部材が上記スプリングのばね力に抗して移動したとき、第1移動部材の移動力とばね力とにより、上記制動部材側第1、第2斜面が、それぞれ、第1、第2移動部材側斜面に押圧され、制動部材が拡径する構造にしたダンパ。
【請求項3】
シリンダ内に往復動可能な第1移動部材と、この第1移動部材と相対移動可能にした第2移動部材とを設け、第2移動部材とシリンダの一端との間にスプリングを介在させ、かつ、上記第2移動部材におけるスプリングと反対方向であって第1移動部材との対向面側に上記第1移動部材に向かって先細りにした第2移動部材側斜面を設けるとともに、上記第2移動部材側斜面と第1移動部材との間に、径方向に拡大可能にした制動部材を設け、この制動部材には上記第2移動部材側斜面に対向する制動部材側斜面を設け、上記第1移動部材が上記スプリングのばね力に抗して移動したとき、第1移動部材の移動力とばね力とにより、上記対向する両斜面が互いに押圧され、制動部材が拡径する構造にしたダンパ。
【請求項4】
シリンダ内に往復動可能な第1移動部材と、この第1移動部材と相対移動可能にした第2移動部材とを設け、この第2移動部材とシリンダの一端との間にスプリングを介在させ、かつ、上記第2移動部材には、第1移動部材との対向面側に上記第1移動部材に向かって先細りにした第2移動部材側第1斜面および第2移動部材側第1斜面と反対側に、第1移動部材と反対方向に向かって先細りにした第2移動部材側第2斜面を、それぞれ設け、かつ、上記第1移動部材と第2移動部材側第1斜面との間には径方向に拡大可能にした第1制動部材を設けるとともに、上記第2移動部材側第2斜面とスプリングとの間には径方向に拡大可能にした第2制動部材を設け、上記第1、第2制動部材には、それぞれ、第2移動部材側第1斜面、第2移動部材側第2斜面に対向する第1制動部材側斜面、第2制動部材側斜面を設け、上記第1移動部材が上記スプリングのばね力に抗して移動したとき、第1移動部材の移動力とばね力とにより、上記第1制動部材側斜面、第2制動部材側斜面が、それぞれ、第2移動部材側第1斜面、第2移動部材側第2斜面に押圧され、第1および第2制動部材が拡径する構造にしたダンパ。
【請求項5】
上記制動部材を、複数の部品を円周に沿って配置して構成した請求項1〜4のいずれか1に記載のダンパ。
【請求項6】
制動部材には、軸方向に長さを有するスリットを複数形成するとともに、このスリットの一端を開放端とし、この開放端を制動部材に設けた斜面に臨ませ、上記スリットの他端には残余部を設け、この残余部によって上記制動部材を一体化した請求項1〜4のいずれか1に記載のダンパ。
【請求項7】
制動部材には、軸方向に長さを有するスリットを複数形成するとともに、このスリットの一端を開放端とし、この開放端を制動部材側第1斜面および制動部材側第2斜面に臨ませ、上記スリットの他端には、残余部を設けることによって上記制動部材を一体化し、さらに、上記第1斜面に開放端を臨ませたスリットの制動部材の円周上における位置を、第2斜面に開放端を臨ませたスリットの制動部材の円周上における位置からずらしたことを特徴とする請求項2に記載のダンパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−132399(P2007−132399A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324704(P2005−324704)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000110206)トックベアリング株式会社 (83)
【Fターム(参考)】