チアジド系化合物およびアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を含む放出性が制御された薬学的組成物
本発明は、チアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の薬学組成物とその複合製剤化技術に関する発明である。より詳しくは、チアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の薬学的複合製剤であって、両薬剤の単一製剤を同時に服用する場合と比較して、薬理学的及び臨床学的降圧効果と合併症予防効果を極大化し、副作用をより減少させる薬理学的複合製剤を開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の薬学組成物とその複合製剤化技術に関する発明である。
【0002】
より詳しくは、チアジド系化合物単一製剤とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤単一製剤を同時に服用する場合よりも、複合製剤化して服用することにより薬理学的及び臨床学的降圧効果と合併症予防効果を極大化するだけでなく、副作用をより減らす製剤化技術に関する発明である。
【0003】
特に、含有される複合成分の各体内薬理作用の発現時間を考慮して、時間差を置いて薬物を投与する時間差投薬原理(Chronotherapy)を基に、夕方から睡眠を経て早朝まで血圧調節ができるようにアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を遅延放出することで降圧効果を最大化する技術に関する発明である。
【0004】
それだけでなく、各成分のバイオリズム学的薬理作用発現曲線に従い一定の時間帯にそれぞれ最高の効果を発揮させることにより、二つの成分の降圧効果と合併症予防効果が24時間均等に維持されるようにする製剤化技術に関する発明である。
【0005】
よって本発明の製剤化技術は、複合製剤の投薬時間を午前12時までの午前中に一回だけにすることにより複合成分の総合的治療効果を極大化させる、いわゆる時間差投薬原理を製剤化させる最初の製剤化技術でもある。
【0006】
また本発明は、チアジド系化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤および薬学的にその許容可能な塩の複合組成物及びこの製剤化技術でもある。
【0007】
さらに、本発明は、時間差投薬原理に遅延放出技術を導入して朝の時間帯1回の服用でも血圧降下の効果が24時間以上維持されるだけでなく、患者の服薬遵守を簡便にし、医師の処方に対する服薬指導および薬剤師の調合を簡便にできる製剤化技術でもある。
【背景技術】
【0008】
高血圧治療の問題点
優れた降圧剤が多く開発され処方されている。それにもかかわらず高血圧治療は2分の1の法則に制限されている。すなわち、自分が高血圧であることを自覚している者が50%だということである。このうち50%、すなわち25%のみが治療を受けている。しかし、治療患者の50%、すなわち12.5%のみがきちんとした治療を受けているという意味である。
【0009】
特に、降圧療法は血圧を下げることだけが目的ではない。高血圧患者に合併し易い心筋梗塞、心不全、脳卒中、早期死亡等を予防し、その病態の悪化を防いで健康長寿を享受させることが降圧療法の目的である。このような目的を達成するために、薬物はより革新されるべきである。処方医の処方方法が簡便でなければならず、患者の服薬遵守が簡単でなければならない。
【0010】
複合製剤の必要性
過去30年間発表されてきた大規模な治験(例:HOT, UKPOS等)報告書には、軽症度から中症度の高血圧のときから複合剤で治療することにより、合併症の発病及び悪化を予防し長寿が保障されるという立証資料が増え続けて来た(参照:米国高血圧対策委員会 高血圧治療指針(JNC V1 & VII), WHO-ISH(1999))。
【0011】
高血圧は原因が非常に様々である。様々な原因が同一患者に重複して高血圧を誘発させている。よって、単一降圧剤を使用する場合は、どのような結果が表れるか事前の判断が難しい(参照:Journal of human hypertension 1995: 9: S33-S36)。
【0012】
そのため、降圧剤同士の複合処方が増え続けて来た。特に、このような複合処方の傾向は、ロサルタン、バルサルタン等のようなアンジオテンシン−II−受容体遮断剤(ARB: Angiotensin Receptor Blockers)を基礎薬物として処方し始めた以降から、より著しく表れている。
【0013】
臨床界及び学界を通じて非常に頻繁に発表されてきた高血圧治療剤複合処方の必要性を要約すると次の通りである(参考:J. Hum. Hypertens 1995: S33-S36)。
1) 同一患者でも様々な原因が重複して高血圧を引き起こしている。
2) 単一製剤が様々な病態を全て治療できないことは当然である。
3) 単一製剤の効果は処方患者の50%以下に有効なだけである。
4) 複合製剤の効果は処方患者の80%以上に有効である。
5) 特に、糖尿病等の合併症を有する者の高血圧に対して、単一製剤は目的とするところの降圧効果を得ることができないだけでなく、合併症を予防するのは非常に困難である。
6) 単一剤の低容量で効かない場合、容量を増やすことは副作用を増やすだけの場合が多い。むしろ複合剤は副作用を減らすことができる。
7) 複合製剤は、薬理作用が異なる薬効群同士を複合することによって様々な原因を除くと同時に、合併症を予防し副作用を相殺させることができる。よって、高血圧を初めから治療する場合にも、単一剤で始めるよりは複合剤で始めることが最善の治療法であると米国心臓学会(American Heart Association)は強調している。
8) 特に、合併症を有する高血圧患者は、合併症がない高血圧患者よりも血圧を更に下げなければならない。この場合は、複合処方が必須である。それにもかかわらず単一製剤を使用する場合は、26%の患者にしか効果が表れ得ない。複合処方は、約74%の患者で目標とする血圧を維持し、合併症の悪化を予防することができる(参照:HOT大規模臨床)。
9) 米国FDAは、30年前からいわゆる固定比率複合原理(Fixed-dose Combination Therapy)によって複合製剤の必要性を認めて来た。薬理作用が相違する薬物を複合させるときは、単一製剤のそれぞれを単独に処方するときと同量ずつを複合させなければならないという原理である。これを固定比率複合剤と言い、単一製剤の薬効と安全性が認定済みである限り、そして処方医等によって複合処方が実施されている限り、このような複合製剤は別途の実験をせずとも許可されている。
10) 固定比率複合降圧剤は、血圧降下作用により優れるということは周知の事実である。
11) 個々の成分の容量を増やさないため、個々の成分の副作用の出現を著しく予防することができる。
12) 血圧降下剤の副作用は、相当数が循環器系に対する副作用である。よって、相違する薬理を有する成分を複合することにより、互いの副作用を相殺させる場合が多い。
13) 複合製剤は、患者の服薬遵守を非常に簡単にする。老年人口の増加によって服薬の指導に所要する処方医の時間の浪費を半分に減らすことができるものである。
14) 複合製剤は、循環器系合併症の発病の危険因子を減少させることができるため、長期間の予防経費を減らすことができる。
15) 単一製剤をそれぞれ維持する包装費用の節減と専門的人材の投薬調合時間の節減は膨大な額に達し得る。
【0014】
活性成分の情報
本発明の複合剤に含有されている各成分の特徴による複合処方の合理性と個々の成分の薬理作用は、下記表1の通り非常に理想的である。
【0015】
(表1)各薬剤の特徴による複合薬剤の合理性
【0016】
1) チアジド系化合物利尿剤の代表的薬物であるヒドロクロロチアジドとその薬学的利用
代表的なチアジド系化合物利尿剤であるヒドロクロロチアジドは、その化学名が6−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−7−スルホンアミド−1,1−ジオキシドであり、高血圧治療補助剤として経口投与すると利尿効果が6〜12時間に亘り持続し、血中半減期が5.6〜14.8時間に至る1日1回の投与薬物である。
【0017】
高血圧治療としてのヒドロクロロチアジドは血管拡張(血管の弛緩)による血圧降下作用も示す。
【0018】
ヒドロクロロチアジドは、文献[参照:Pharmcological Properties of Combination : Therapies for Hypertension(American Journal of Hypertension 1997;10:13S-16S), Management of Hypertension : The Role of Combination Therapy(American Journal of Hypertension 1997;10:262S-271S), Molecular sites for diuretic action(Bruce M. Hendry and J.Clive Elloy ; TIPS-November 1988 vol.9)]等で左心房の圧力減少効果に起因した血圧降下作用と利尿促進により全体血中液量の減少による2次的な血圧降下作用等で詳しく言及されている。他のチアジド系化合物利尿剤としては、クロロチアジド、ベンドロフルメチアジド等がある。
【0019】
2) アンジオテンシン−II−受容体遮断剤とその薬学的利用
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤は、血管収縮を起こす根源物質の一つであるアンジオテンシンの受容体との結合を遮断して、心筋の収縮期と拡張期の両方において血圧降下作用を発揮する薬物として現在まで知られており、頻繁に臨床に適用されている一連の化合物群は薬学的に許容可能な塩を含み10種類余りに至っている。また、これらは高血圧と関連する諸症状の軽症度から中等度に至る患者に単独で、或いは類似メカニズムで降圧効果を示すアンジオテンシン変換酵素抑制剤等と共に用いられている[参照:Angiotension 2 Receptor Antagonist:An Overview, Am J Health-Syst Pharm 57(13):1231-1238,2000]。
【0020】
このような一連のアンジオテンシン−II−受容体遮断剤中でもロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン、オルメサルタン等は常用化され、過去数年間高血圧治療薬物として急激な成長を見せており、これと共にこれらの効果もやはり多くの臨床試験を通じて証明されている[参照:Pharmacologic, Pharmacokinetic, and Therapeutic Difference Among angiotensin−II−receptor Antagonist : Pharmcotherapy 20(2):130-139,2000]。このような多くの臨床試験等を通じて明らかになったところによると、これらのアンジオテンシン−II−受容体遮断剤は生体内の代謝経路と半減期等の薬物動態学的な違いにもかかわらず、適正投与量で心筋収縮期と拡張期に対する血圧降下作用は同等であり、同一受容体遮断剤として得られる高血圧の諸症状に関連する付加的な心不全予防及び治療、心筋梗塞後の不整脈と心不全予防治療、糖尿病性合併症予防治療、心不全予防治療、脳卒中予防治療、抗血小板作用、動脈硬化予防作用、アルドステロンの有害作用の抑制、代謝症候群作用の緩和、循環器系疾患の連鎖的悪化予防効果もやはり類似するものと知られている。
【0021】
上記のアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の降圧及び腎臓保護作用は、例えば次の刊行物[参照:J.Wagner et al.: Effects of AT1 receptor blockade on blood pressure and the renin angiotensin system in spontaneously hypertensive rats of the stroke prone strain, Clin,Exp. Hypertens.,vol.20(1998),p.205-221 ; M.Bohm et al.: angiotensin−II−receptor blockade in TGR(mREN2)27:Effects of renin-angiotensin-system gene expression and cardiovascular functions,J.Hypertens.,vol.13(8)(1995),p.891-899]に記述されている。
【0022】
第1の臨床試験で発見されたアンジオテンシン−II−受容体遮断剤のその他の腎臓保護効果が次の刊行物[参照:S.Andersen et al.: Renoprotective effects of angiotensin−II−receptor blockade in type 1 diabetic patients with diabetic nephropathy , Kidney Int., vol. 57(2)(2000),p. 601-606 ; L.M.Ruilope: Renoprotection and renin-angiotensin system blockade in diabetes mellitus, Am.J.Hypertens.,vol.10(12PT2)Suppl.(1997),p.325-331]に記載されている。
【0023】
内皮異常に対するアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の効果が刊行物[参照:E.L. Schiffrin et al.: Correction of arterial structure and endothelial dysfunction in human essential hypertension by the angiotensin receptor antagonist losartan ,Circulation, vol. 101(14)(2000),p.1653-1659 ; R.M.Touyz et al.:Angiotensin II stimulates DNA and protein synthesis in vascular smooth muscle cells from human arteries: role of extracellular singnal-regulated kinases,J.Hypertension.,vol17(7)(1999),p.907-916 ; E.L Schiffrin : Vascular remodelling and endothelial function in hypertensive patients:Effect of antihypertensive therapy, Scand. Cardiovasc. J., vol.32, Suppl. 47(1998),p.15-21 ; Prasad: Acute and Chronic angiotensin-1 receptor reverses endothelial dysfunction in atherosclerosis, Circulation, vol.101(2000),p.2349]に記載されている。また、大韓民国特許公開第2000-0070046号では、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤中の、特にロサルタンが心不全症患者の死亡率を減らし、急発性心臓麻痺による死亡率の減少と予防効果があることが言及されている。
【0024】
単純複合治療の問題点
1) 高血圧は疾患の特性上、その類型に関係なく、一日で血圧が最も上昇する時期である早朝に服用薬物の効果が発現しなければならなく、より好ましくは血管収縮を誘発する根源物質であるレニン(renin)の合成が行われる睡眠時間と、血圧上昇に直接的な原因として作用するアンジオテンシンとアルドステロンの合成が最高潮に至る早朝までの血圧降下作用を維持するために、夕方の時間帯に薬物の服用が勧奨される疾患[参照:Patterns of blood pressure response : Day and night variations ; American Journal of Hypertension April 2001-vol. 14, No. 4, Part 2, Preventing increase in early morning blood pressure, heart rate, and the rate-pressure product with controlled onset extended release verapamil at bedtime versus enalapril, losartan, and placebo on rising ; American Heart journal October 2002]である。このために単一製剤を単純に複合した複合製剤を投与する場合、利尿剤との併用投与で期待される付加的な血圧降下作用にもかかわらず、夜尿による睡眠障害と共に亜鉛のような特定電解質の不足が深刻化され得る[参照:Demographic, Environmental, and Genetic Predictors of Metabolic side effects of Hydrochlorothiazide treatment in Hypertensive Subjects : American Journal of Hypertension 2005;18:1077-1083]。
2) 夜尿による睡眠障害を避けるために、利尿剤であるチアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の単純複合製剤を、午前中に投与すると、睡眠時間中に合成される血管収縮誘発物質の合成を抑制できず、これにより一日で血圧が最高潮に至る早朝の時間帯に降圧効果を得ることができない。
【0025】
先行技術の例
チアジド系化合物利尿剤としてヒドロクロロチアジドとアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を活性成分とする複合製剤(製品名:Hyzaar、製造元:MSD;製品名:Diovan HCT、製造元:Novartis等)が市販中で、これらは臨床的に明らかになった併用投与時の付加的な血圧降下作用を長所として多くの高血圧患者に適用されており、文献[参照:Combination Therapy in the Management of Hypertension:Focus on Angiotension Receptor blocker Combined with Diuretics, J Clin Hypertens. 2005;7(2):96-101(非特許文献1), Antihypertensive Efficacy of Angiotension Receptor Blocker in Combination with Hydrochlorothiazide:A Review of the Factorial Design Study, J Clin Hypertens. 6(10):569-577, 2004(非特許文献2), BP circardian profile, T/P ratio and Smoothness Index After Treatment with fixed combination Losartan 100/HCTZ 25 in Essential Hypertension (American Journal of Hypertension ; April 2002-vol.15, No.4, Part 2)(非特許文献3), Losartan prevents the Diuretics-Induced Hypokalemia and Hyperuricemia in the patients with essential Hypertension (American Journal of Hypertension ; May 2005-vol.18, No.5, Part 2(非特許文献4)]等に二つの活性成分の併用投与による降圧作用の相乗降下とその有効性が詳しく説明されている。
【0026】
前記の文献によると、利尿剤であるチアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を複合製剤として投与する場合、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤の血圧降下作用だけでなく、利尿による全血漿容積を減少させることにより付加的な血圧降下作用を得ることができ、これにより軽症度の高血圧患者だけでなく、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤単一製剤の投与では正常の血圧に回復し難い中等度の高血圧患者の場合においても有意性のある降圧効果を得ることができることが明らかになっている。
【0027】
また、チアジド系化合物利尿剤であるヒドロクロロチアジドは、長期服用時に、利尿作用による副作用により腎臓を通じて正常以上にカリウムを排泄させてカリウム損失が誘発され、低カリウム血症を示す可能性がある。しかしながら、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤はアンジオテンシンの生成を抑制することによりカリウムの損失を防止することができる。アンジオテンシン−II−受容体遮断剤がチアジド系化合物利尿剤であるヒドロクロロチアジドの長期投与による副作用を減少させる。
【0028】
しかし、これら単純複合剤の朝の服用は、チアジド系化合物利尿剤であるヒドロクロロチアジドの夕方の投与によって夜尿による睡眠障害を克服することはできるが、合併症発生の最高危険時間までアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の薬理効果を維持できず、夕方の服用はアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の薬理効果を最大化できるが、チアジド系化合物利尿剤であるヒドロクロロチアジドの投与による夜尿と、夜尿による睡眠障害のような副作用は避けることができない。
【0029】
国際公開公報WO 06/063737(特許文献1)は、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤、又はアンジオテンシン−II−受容体遮断剤及び低容量のヒドロクロロチアジドの薬学的組成物を使用した治療時の血圧減少が十分でない患者の高血圧を治療するための薬学的組成物であって、テルミサルタン約80 mg及びヒドロクロロチアジド約25 mg又はテルミサルタン約160 mg及びヒドロクロロチアジド約50 mgを含む薬学的組成物に関して言及している。これはヒドロクロロチアジドとテルミサルタンが同時に溶出される単純複合剤に関するものであり、本発明でのようにヒドロクロロチアジドを先に溶出させて就寝前まで利尿作用を持続させて血圧降下作用を示すようにし、血管壁内に浸透して蓄積した後に睡眠中に夜間排尿による睡眠障害を最小化しつつ、血管拡張作用を発揮して夜間の血圧降下作用が持続されるようにし、ヒドロクロロチアジドが溶出した後、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤を時間差を置いて溶出させ、血管収縮を誘発する根源物質であるレニンの合成が行われる睡眠時間と、血圧上昇に直接的な原因として作用するアンジオテンシンとアルドステロンの合成が最高潮に至る起床以降の午前9時までの血圧降下作用を維持するように設計されたものとは概念が全く異なる2成分の単純複合剤であり、論理的や薬理学的に血圧降下作用及び合併症予防の薬効を十分に発揮できない非合理的製剤と思われる。現在市販されている製剤は、全て2成分の単純複合剤である。これは、ヒドロクロロチアジドとアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の最高の薬理効果に対する十分な認識がなかったためである。このような単純複合剤は、進歩性不足により拒絶されている。韓国公開特許第2000-7002144号(特許文献2)も、単純複合剤として韓国特許庁から拒絶された。
【0030】
本発明は、チアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の機能性複合剤を通じて各成分の最高薬理効果を見せるだけでなく、2成分を共に使用したときに各成分の副作用を減らすと同時に薬理効果を極大化した時間差放出機能性複合剤を世界で最初に考案したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】国際公開公報WO 06/063737号
【特許文献2】韓国公開特許第2000-7002144号
【非特許文献】
【0032】
【非特許文献1】Combination Therapy in the Management of Hypertension:Focus on Angiotension Receptor blocker Combined with Diuretics, J Clin Hypertens. 2005;7(2):96-101
【非特許文献2】Antihypertensive Efficacy of Angiotension Receptor Blocker in Combination with Hydrochlorothiazide:A Review of the Factorial Design Study, J Clin Hypertens. 6(10):569-577, 2004
【非特許文献3】BP circardian profile, T/P ratio and Smoothness Index After Treatment with fixed combination Losartan 100/HCTZ 25 in Essential Hypertension (American Journal of Hypertension ; April 2002-vol.15, No.4, Part 2)
【非特許文献4】Losartan prevents the Diuretics-Induced Hypokalemia and Hyperuricemia in the patients with essential Hypertension (American Journal of Hypertension ; May 2005-vol.18, No.5, Part 2
【発明の概要】
【0033】
発明の開示
技術的問題
複合組成物の着目点
そこで本発明者等は、単一製剤よりも優れた血圧降下作用を有する複合製剤として、1日1回の服用で低カリウム血症の改善及び追加的な血圧降下作用等の長所を維持すると共に、単純併用投与時や単純複合製剤の限界点である夜尿による睡眠障害等を克服でき、各製剤の1日1回の朝の時間帯の合理的な投薬で患者の服薬順応度を上昇させることができる製剤を開発することで本発明を完成させるに至った。
【0034】
1)広く処方され合理的複合処方として認められてきたチアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を複合製剤化するが、チアジド系化合物単一製剤とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤単一製剤を同時に服用する場合より、複合製剤化して服用させることにより薬理学的、臨床学的降圧効果と合併症予防効果をより遥かに向上させるだけでなく、副作用をより減らせることが本発明の目的である。
【0035】
2) 異種薬物代謝学(Xenobiotics)理論と、時間差投薬原理(Chronotherapy)をどのように製剤化技術に繋げるかを世界薬学界に周知することで、固定比率複合剤開発における全盛期の幕開けを図ることも、本発明の目的である。
【0036】
3) 朝の時間帯の1回の服用でも血圧降下作用が24時間以上持続するため、患者の服薬遵守を簡便にし、処方医の処方と服薬指導を簡便にできるだけでなく、増加する老年層の服薬遵守を容易にさせることに目的がある。
【0037】
4) 複合処方量の急増に伴い、増加する単一製剤の包装コストと調製時間の浪費は2倍に増加しているため、この非経済的な浪費を減らすことに目的がある。
【0038】
本発明は、チアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の複合製剤に関するものであり、より詳しくは、生体内半減期が長いチアジド系化合物利尿剤と最上の治療効果が期待される特定時間帯に同時に投与できるように放出を遅延させたアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を活性成分とする複合製剤であって、高血圧治療に非常に効果的な薬学組成物及びその製造方法に関するものである。
【0039】
これにより本発明の薬学組成物は、高血圧治療補助剤としてチアジド系化合物利尿剤の投与時に発生する低カリウム血症、夜尿による睡眠障害等のような副作用を改善し、血管拡張による優れた降圧効果を示すアンジオテンシン−II−受容体遮断剤中、薬学的に許容される一つの活性成分を含み、これを遅延放出できる放出遅延型複合製剤であって、単一製剤投与時よりも優れた血圧降下作用を示す複合製剤の製造を目的とする。
1) チアジド系化合物を服用即時に速い速度で胃腸管で吸収させ、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤は一定時間後から放出されて長時間に亘って小腸で吸収される。
2) このように複合製剤化された製剤を朝食時に1回のみ服用させて、24時間均等な血圧調節作用と合併症抑制作用と副作用減少作用を発揮させる。
3) 特に、朝の時間帯に服用させる理由は次の通りである。
【0040】
チアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤は、他の薬物と同様に一日24時間が経過する過程でその作用の様相がバイオリズム曲線を有している[参照:J. Clin. Hypertens 5(1): 17-23, 30, 2003]。
【0041】
より詳しくは、チアジド系化合物は12時間持続型だが、午前中に1回だけ服用しても血管壁内に浸透し、一定量が蓄積される。この程度の蓄積量では、利尿作用を24時間持続するには足りないが、血管拡張作用を24時間持続するには適した量である。これが現在12時間持続型を一日一回ずつのみ投薬している理由である。
【0042】
一方、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤は、特に昼間4時から夜中12時までの血圧降下作用が強いため夜の睡眠中に血圧を均一に維持させる薬理リズムを有している。これはレニン系の血圧上昇物質であるアルドステロンとアンジオテンシン−IIが夜中に主に生成され作用するためであり、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤は直ぐにアルドステロンの生成を抑制し、アンジオテンシン−IIの作用を抑制するためである。
【0043】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤の代表的薬物であるロサルタンは、小腸にて吸収された後、肝臓に入る。そのうち一部は活性型自体であるロサルタン分子のまま血中に流出されるため、1時間以内に血中の最高濃度に至ることになる。しかし、残りの一部は肝臓内の酵素シトクロムP450 2C7と3A4という二つの酵素によって代謝されより活性が高いロサルタンカルボン酸に変化した後、3〜4時間後に最高血中濃度に至ることになる。即ち、ロサルタンの薬理作用は、ロサルタンとロサルタン活性代謝体であるロサルタンカルボン酸混合体の薬理作用である。経口投与容量の約14%が肝臓内酵素によって活性型代謝体であるロサルタンカルボン酸の形態に転換され、活性型代謝体はロサルタンの40倍に該当する薬理作用を示す。血中消失速度もロサルタンが600 mL/minで、活性型代謝体が50 mL/minであって活性型代謝体の方がより遅い消失速度を示すため、持続的な作用時間の維持に重要な役割をする。
【0044】
高血圧患者の治療は、特に血圧を24時間均等に維持させなければならず、心臓の交感系過剰興奮状態を24時間均等に抑制しなければならない。これは本発明の製剤化技術だけがその目的を達成することができる。
【0045】
より詳しくは、本発明はチアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の複合製剤に関するものであり、さらに詳しくは、生体内の半減期が長いチアジド系化合物利尿剤と最上の治療効果を得ることができる特定時間帯に同時に投与できるように放出を遅延させたアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を活性成分として含む複合製剤であって、高血圧症に非常に効果的な薬学組成物及びその製造方法に関するものである。
【0046】
これにより上記組成物は、高血圧治療剤としてチアジド系化合物利尿剤投与時に発生する低カリウム血症、夜尿による睡眠障害等のような副作用を改善し、高血圧治療剤でアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を遅延放出できる放出遅延型複合製剤であって、併用投与時に期待できる優れた血圧降下作用を維持しつつ、朝の時間帯の1日1回1錠の服用で血圧降下作用が24時間以上維持されて患者の服薬順応度を高めることができる薬物送達システムを提供する。
【0047】
即ち、一つの経口投与用製剤を服用することにより、チアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の併用投与による相乗効果は維持しつつ、夕方の時間帯から睡眠中まで血圧調節ができるようにアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を制御放出することにより、結果的に投薬時期、生体内の代謝速度を調節して夜尿による睡眠障害、複合投与による電解質の過多損失等の副作用を改善でき、血圧上昇が最高潮に至る朝まで効果が維持され、1日1回1錠を朝食時に服用できるようにする便宜性を付加し、患者の服薬順応度をより高めることができることを見いだし本発明を完成した。
【0048】
技術的解決
本発明は、チアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の複合製剤に関するものであり、より詳しくは生体内の半減期が長いチアジド系化合物利尿剤として最上の治療効果が期待される特定の時間帯に同時投与ができるように放出を遅延させたアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を活性成分とする複合製剤であって、高血圧症に非常に効果的な薬学組成物に関するものである。
【0049】
また、本発明は物理的に分離されたり区画されて各薬物の相違する放出速度を得ることができるように、即時放出型チアジド系化合物及び一定遅延時間後の放出型アンジオテンシン−II−受容体遮断剤を含む投与形態を含む。
【0050】
さらに、本発明は活性薬学成分の意図的放出のためにマトリックス内に効果的に圧着できるアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を含有する新規な顆粒組成物と即時放出を示すチアジド系化合物を含有する組成物を提供するものである。
【0051】
前記本発明の薬学的組成物中のアンジオテンシン−II−受容体遮断剤組成物は、腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子等で構成された群から選択される放出制御物質を含む通常のコーティング方法によってコーティングでき、こうして得られたコーティングされた粒子または顆粒と、即時放出性チアジド系化合物含有組成物の多成分粒子または顆粒は錠剤に打錠されたりカプセルに充填する。
【0052】
本発明において、「制御後の放出製剤」とは、経口投与後にチアジド系化合物は即時放出され1時間以内に薬物の85%が放出され、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤が一般的に4時間まで40%未満の活性成分が溶出される遅延時間を有する製剤を言い、好ましくは4時間までに30%未満のアンジオテンシン−II−受容体遮断剤が溶出される遅延時間を有する製剤をいう。このような遅延型製剤は、活性成分と放出制御物質、薬学的に許容可能な希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定化剤等と一緒に使用して製造できる。さらに好ましくは、チアジド系化合物の溶出の開始から4時間以降にアンジオテンシン−II−受容体遮断剤が実質的に放出されるように制御される。
【0053】
以下、本発明のチアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を含む薬学的組成物を具体的に説明する。
【0054】
前記のチアジド系化合物は、ヒドロクロロチアジド、クロロチアジド、ベンドロフルメチアジド及び薬学的に許容されるその塩の形態の1種であり、前記アンジオテンシン−II−受容体遮断剤は、ロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン、オルメサルタン及び薬学的に許容されるその塩の形態の1種であるが、本発明の範囲がこれに限定されるのではない。
【0055】
組成物当りのチアジド系化合物の容量は5 mg〜100 mgの範囲であり、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤の容量は5 mg〜1200 mgの範囲で、好ましくは錠当りのチアジド系化合物の容量が10 mg〜50 mgの範囲で、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤の容量は8 mg〜600 mgの範囲である。
【0056】
単純複合剤と比較した本発明の機能性複合剤の差別点とこの薬理効果の優秀性は次の表2の通りである。
【0057】
(表2)機能性複合剤と単純複合剤の比較
【0058】
有利な効果
本発明の目的は、二つの有効成分の放出をそれぞれ制御して治療学的な面で副作用を軽減させ、朝の時間帯の1日1回の投与で患者の服薬順応度を向上させた薬物送達システム及びその製造方法を提供するものである。血圧降下剤として代表的なアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の放出をチアジド系化合物投与後、3〜4時間以上、好ましくは4時間以上遅延されるように調節する。その時間中、血中半減期が12時間以上に至るチアジド系化合物を先に放出させると、利尿による全血漿容積の減少により血圧降下作用は次の投与時間まで維持され、睡眠障害を起こし得る排尿は日中に行われ、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤より先に生体内代謝を経て、併用投与時に誘発され得る電解質の追加的な消失を防止できる。引き続き放出されて長期間に亘り吸収されたアンジオテンシン−II−受容体遮断剤は、血管収縮誘発物質の合成が行われる夕方の時間帯から血圧の上昇が最高潮に至る早朝の時間帯に至るまで血圧降下作用が維持されるようにし、最上の治療効果が期待される特定の時間帯に血圧降下作用を示すことになる。単純複合剤よりも本発明による複合製剤が優れている点を表3に示した。
【0059】
(表3)単純複合剤よりも本発明の複合製剤が優れている点
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】ヒドロクロロチアジド単一剤、ロサルタン単一剤、実施例1の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図2】市販中のコザールプラス(ヒドロクロロチアジド、ロサルタン単純複合剤;実施例2)の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図3】実施例5〜8の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図4】実施例7、9〜11の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図5】市販中のコザールプラスエフ(ヒドロクロロチアジド、ロサルタン単純複合剤;実施例15)の製剤の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図6】ヒドロクロロチアジド単一剤、ロサルタン単一剤、実施例16の製剤の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図7】ヒドロクロロチアジド単一剤、バルサルタン単一剤、実施例20の製剤でイルベサルタンを活性成分にする製剤の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図8】ヒドロクロロチアジド単一剤、イルベサルタン単一剤、実施例21の製剤でイルベサルタンを活性成分にする製剤の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図9】ヒドロクロロチアジド単一剤、ロサルタン単一剤、実施例23、24の製剤の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図10】実験例10による臨床試験結果で、投与経路間収縮期血圧を比較したグラフである。
【図11】実験例10による臨床試験結果で、投与経路間弛緩期血圧を比較したグラフである。
【図12】実験例10による臨床試験結果で、投与経路間平均血圧を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
発明の形態
本発明の薬学的組成物は、意図的な遅延後の放出を示すアンジオテンシン−II−受容体遮断剤内核層及び即時放出を示すチアジド系化合物外層を有する二重内核錠の錠剤の形に製造できる。
【0062】
また、本発明の薬学的組成物は、意図的遅延後放出を示すアンジオテンシン−II−受容体遮断剤層及び即時放出を示すチアジド系化合物層を有する多層錠剤の形に製造できる。
【0063】
このような本発明の薬学的組成物は、腎臓疾患の予防及び治療用または心血管疾患の治療用に適し、1日1回、午前6時〜11時の間に服用する場合に有効な効果を発揮する。
【0064】
本発明の薬学的組成物に含まれる放出制御物質には腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子から選択される物質を使用することで得ることができる。
【0065】
上記の腸溶重合体としては、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、シェラック、セルロースアセテートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、オイドラギットL及びオイドラギットS等から選択される1種または2種以上の混合物を使用でき、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートが使用される。
【0066】
前記の水不溶性重合体は、薬学的に許容できるものとしてポリビニルアセテート、ポリメタクリレート共重合体としてポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)共重合体、ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート、トリメチルアミノエチルメタクリレート)共重合体、エチルセルロース及びセルロースアセテート等から選択される1種または2種以上の混合物を使用できる。
【0067】
上記の疎水性化合物は、脂肪酸または脂肪酸エステル類、脂肪酸アルコール類、ワックス類及び無機物質等を選択して使用でき、具体的に、脂肪酸または脂肪酸エステル類としてグリセリルパルミトステアレート、グリセリルステアレート、グリセリルベヘネート、セチルパルミテート、グリセリルモノオレート及びステアリン酸等;脂肪酸アルコール類としてセトステアリルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコール等;ワックス類としてカルナバワックス、蜜蝋及び微結晶ワックス等;無機物質としてタルク、沈降炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト及びビーガム等から選択される1種または2種を選択して使用できる。
【0068】
前記の親水性高分子は、糖類、セルロース誘導体、ガム類、蛋白質類、ポリビニル誘導体、ポリメタクリレート共重合体、ポリエチレン誘導体及びカルボキシビニル重合体等を選択して使用でき、具体的に糖類としてデキストリン、ポリデキストリン、デキストラン、ペクチン及びペクチン誘導体、アルギン酸塩、ポリガラクトロン酸、キシラン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、澱粉、ヒドロキシプロピルスターチ、アミロース、アミロペクチン等を選択して使用でき、セルロース誘導体としてヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロース等を選択して使用でき、ガム類としてグアガム、ローカストビーンガム、トラガカント、カラギナン、アカシアガム、アラビアガム、ジェランガム、キサンタンガム等を選択して使用でき、蛋白質類としてゼラチン、カゼイン及びゼイン等を選択して使用することができ、ポリビニル誘導体としてポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアセタルジエチルアミノアセテート等を選択して使用でき、ポリメタクリレート共重合体としてポリ(ブチルメタクリレート、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート、メチルメタクリレート)共重合体、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)共重合体、ポリ(メタクリル酸、エチルアクリレート)共重合体等を選択して使用でき、ポリエチレン誘導体としてポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド等を選択して使用でき、カルボキシビニルポリマーとしてカーボマーを使用できる。
【0069】
前記の高分子と活性成分以外に前記錠剤層には本発明の効果を損なわない範囲内で薬学的に許容可能な希釈剤として澱粉、微細結晶性セルロース、乳糖、ブドウ糖、マンニトール、アルギネート、アルカリ土類金属塩、クレイ、ポリエチレングリコール及びジカルシウムフォスフェート等を使用できる。結合剤として澱粉、微細結晶性セルロース、高分散性シリカ、マンニトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、天然ゴム、合成ゴム、コポビドン及びゼラチン等を使用できる。崩壊剤としてナトリウム澱粉グリコレート、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉または予備ゼラチン化澱粉等の澱粉または変性澱粉と、ベントナイト、モンモリロナイト、ビーガム等のクレイと、微細結晶性セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース又はカルボキシメチルセルロース等のセルロース類と、アルギン酸ナトリウム又はアルギン酸等のアルギン類と、クロスカルメロースナトリウム等の架橋セルロース類と、グアガム、キサンタンガム等のガム類と、クロスポビドン等の架橋重合体と、重炭酸ナトリウム、クエン酸等の沸騰性製剤等を混合使用できる。潤滑剤としては、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びアルカリ土類金属ステアレート型カルシウム、亜鉛等、ラウリルスルフェート、水素化植物性オイル、ナトリウムベンゾエート、ナトリウムステアリルフマレート、グリセリルモノステアレート及びポリエチレングリコール等を使用でき、それ以外にも着色剤、香料から選ばれた多様な添加剤として薬学的に許容できる添加剤を選択して使用できる。
【0070】
前記の放出制御物質は、単独または2種以上を使用して、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤重量対比10:0.5〜1:100まで使用し、好ましくは5:1〜1:50、最も好ましくは2:1〜1:30まで使用される。10:0.5以下の比率では十分な遅延時間を確保し難く、1:100以上の比率では薬物の放出が起きなかったり遅延時間が12時間を超過する。
【0071】
本発明の範囲は、前記添加剤の使用に限定されるのではなく、前記の添加剤は当業者の選択によって通常の範囲の容量を含有できる。
【0072】
また、必要に応じて前記錠剤層の外面にフィルム状のコーティング層を形成できる。
【0073】
本発明の新規な組成物は、物理的に分離されるか区画されて2個の薬物が相違する放出速度を得ることができるようにアンジオテンシン−II−受容体遮断剤、又はその薬学的に許容できる塩および所望の賦形剤を含む遅延放出型区画ならびに、チアジド系化合物、又はその薬学的に許容できる塩及び所望の賦形剤を含む即時放出型区画を含む。このような物理的な区画は多様な剤形に具現できる。例えば、裸錠、フィルムコーティング錠、多層錠、内核錠、カプセル剤等のような剤形にも具現できる。
a) アンジオテンシン−II−受容体遮断剤又はその薬学的に許容できる塩の形態中の1種を腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子等の前記高分子中で1種または2種以上を使用し、薬学的に使用される通常の添加剤を投与して混合、製粒或いはコーティングの方法によって得られた粒子、顆粒または錠剤の剤形。
b) チアジド系化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を薬学的に許容される通常の添加剤と混合し、かつ、当該混合物を錬合、乾燥、及び製粒を含む経口固形剤を生産するための通常の過程に供することによって得られる粒子剤形、もしくは顆粒剤形、又はフィルムコーティング剤中において当該粒子剤形または顆粒剤形を溶解または懸濁させることにより得られる剤形。
【0074】
本発明は、前記a)で示している遅延型、b)で示している即時放出型製剤が最終的に一つの剤形に含まれている。
【0075】
以下、本発明のチアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の効率的な放出システムの製造方法を各段階別に具体的に説明する。
【0076】
第1段階は、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤を薬学的に使用する通常の添加剤を投与して混合、製粒によって得られた顆粒または混合物をそのまま顆粒形態で使用したり、打錠機を利用して錠剤にし、コーティング液でコーティングして遅延放出型製剤を得る段階である。
【0077】
第2段階は、チアジド系化合物を薬学的に許容される通常の添加剤と混合し、混合物を練合、乾燥及び製粒を含む経口固形剤を生産するための通常の過程に供して、粒子剤形或いは顆粒剤形を得る。必要であれば、当該粒子剤形又は顆粒剤形は、フィルムコーティング剤中において溶解又は懸濁し、それによって、コーティング液剤を得る。
【0078】
第3段階は、各1、2段階で得られた粒子或いは顆粒物、又はコーティング液を薬学的な賦形剤と混合して打錠、コーティング又は充填して経口投与用錠剤を得る段階である。
【0079】
本方法によって本発明のチアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の効率的な放出を示す経口投与製剤が製造される。経口投与製剤のより詳しい製造方法は次の通りである。
A)錠剤の製造
第1段階で得られた顆粒をそのまま又は腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子等から選択される1種または2種以上を含む放出制御物質でコーティングした後、第2段階で製造した顆粒と混合して一定量の重さに打錠して錠剤を製造する。得られた錠剤は、安定性または性状改善の目的で必要に応じてフィルムコーティングを行うことができる。
B)加圧コーティング錠剤(press-coated tablet)の製造
第1段階で得られた錠剤を核として使用し、腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子等から選択される1種または2種以上を含む放出制御物質でコーティングした後、第2段階で得た顆粒と共に内核錠打錠機を利用して内核錠を製造するか、コーティングしてコーティング内核錠を製造できる。
C)多層錠の製造
第1段階で得られた顆粒をそのまま又は腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子等から選択される1種または2種以上を含む放出制御物質でコーティングし、乾燥した顆粒と第2段階で得られた顆粒を追加して多層錠打錠機を利用して二重錠に製造できる。必要に応じて放出補助層を追加して三重またはそれ以上の多層錠を製造するか、コーティングしてコーティング多層錠を製造できる。
D)フィルムコーティング錠の製造
第1段階で得られた顆粒を腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子等から選択される1種または2種以上を含む放出制御物質でコーティングし、乾燥した後一定量に打錠して錠剤を製造し、第2段階で得た薬物を含むコーティング液でコーティングしてフィルムコーティング錠を製造できる。
E)カプセル剤(顆粒)
第1段階で得られた顆粒をそのまま又は腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子等から選択される1種または2種以上を含む放出制御物質でコーティングし、乾燥した顆粒と、第2段階で得た顆粒をカプセル充填機に入れ、一定の大きさのカプセルに各主成分有効量の該当量だけ充填してカプセル剤を製造できる。
F)カプセル剤(ペレット)
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤と放出制御物質または製剤学的に許容できる添加剤を水または有機溶媒、或いは混合溶媒に溶解させたり懸濁させて球形砂糖顆粒(Spherical sugar granule)にコーティング、乾燥後、必要に応じて腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子等から選択される1種または2種以上を含む放出制御物質を水または有機溶媒、或いは混合溶媒に溶解させた後、コーティング、乾燥して、第2段階で得たコーティング液でコーティングしたペレットをカプセルにそのまま充填するか、フィルムコーティング後に充填するカプセル剤を製造できる。
【0080】
本製造に使用した機器、詳細な製造方法等は実施例にてさらに具体的に説明するが、本発明が実施例によって限定されるのではない。
【0081】
実施例1〜14:内核錠の製造
1) ロサルタンの遅延放出型核錠の製造
ロサルタンの遅延放出型核錠は、表4のようにロサルタンカリウム、微結晶セルロース、前糊化澱粉、コポビドン、アエロジル200を35号篩で篩過し、高速混合機で5分間混合して混合物を製造する。混合物にステアリン酸マグネシウム投入後4分間混合し、最終混合物をロータリー打錠機(MRC-33:セジョン機械、韓国)を使用して打錠し、これを核錠にする。このように製造した核錠をハイコーター(SFC-30N:セジョン機械、韓国)に投入し、表4の通りコーティング層の組成と含量を異にして核錠形態の遅延放出型製品を製造した。
【0082】
2) ヒドロクロロチアジド即時放出層の製造
ヒドロクロロチアジド即時放出層は、表4のような組成と含量で、ヒドロクロロチアジド、微結晶セルロース、乳糖、トウモロコシ澱粉、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを量り35号篩で篩過し、ダブルコーンミキサーで5分間混合して混合物を製造する。別にヒドロキシプロピルセルロースを精製水に溶かして結合液を製造する。前記混合物を流動層顆粒機または高速回転造粒機に入れ、結合液を加えて造粒する。好ましくは、流動層顆粒機を使用する。流動層顆粒機はGPCG-1(Glatt、ドイツ)を使用した。造粒が完了した後、流動層乾燥機または温水乾燥機で造粒物を乾燥させる。好ましくは、流動層乾燥機を使用する。流動層顆粒乾燥機はGPCG-1(Glatt、ドイツ)を使用した。乾燥が完了したら乾燥物を18号篩が装着されたオシレーターを使用して整粒する。整粒物にアエロジル200を入れ、ダブルコーンミキサーで混合する。上の混合物にステアリン酸マグネシウムを入れてダブルコーンミキサーで最終混合した。
【0083】
3) 打錠及びコーティング
内核錠打錠機(RUD-1: Kilian)を使用して、ロサルタン核錠を内核としヒドロクロロチアジドを含む組成物を外層として内核錠の製造を完了した後、別にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、酸化チタン、タルクを80%エタノールに溶解及び分散させたコーティング液を調製する。上の内核錠をハイコーター(SFC-30N:セジョン機械、韓国)に投入した後、コーティング液でコーティングして内核錠の製造を完了した。
【0084】
実施例15〜22:多層錠の製造
1) ロサルタン遅延放出層の製造
ロサルタン遅延放出層の製造は、実施例15の場合、ロサルタンカリウム、微結晶セルロース、澱粉グリコン酸ナトリウム、乳糖を35号篩で篩過し、高速混合機で5分間混合して混合物を製造する。別にヒドロキシプロピルセルロースとヒドロキシプロピルセルロースフタレート(HP-50)を精製水に溶かして結合液にして練合、製粒及び乾燥する。乾燥物を流動層コーティング機に入れ、別にヒドロキシプロピルセルロースフタレート(HP-55)とポリエチレングリコール6000を、エタノール220 mgと塩化メチレン980 mgに溶かした液を調製して上の造粒物を流動層顆粒コーティング機(GPCG-1 : Glatt、ドイツ)に入れ、コーティングする。コーティング完了後、アエロジル200を投入し混合してからステアリン酸マグネシウムを投入し、4分間混合してロサルタン遅延性層を製造した。
【0085】
実施例16〜22の場合、上と同じ多層錠の製造方法で表5のような組成と含量で遅延放出型製品を製造した。
【0086】
2) ヒドロクロロチアジド即時放出層の製造
ヒドロクロロチアジド即時放出層の製造はヒドロクロロチアジド、微結晶セルロース、前糊化澱粉、コポビドン、アエロジル200を35号篩で篩過し、高速混合機で5分間混合して混合物を製造する。混合物にステアリン酸マグネシウム投入後、4分間さらにダブルコーンミキサーで最終混合した。
【0087】
3) 打錠及びコーティング
多層錠打錠機(MRC-37T:セジョン)を使用して打錠する。ヒドロクロロチアジドを含む即時放出層組成物を1次粉末供給機に入れ、ロサルタンを含む遅延放出層組成物を2次粉末供給機に入れて層間への混入を最小化できる条件で打錠する。別に表5に示した含量の通り、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ヒドロキシプロピルセルロース、酸化チタン、タルクを80%エタノールに溶解及び分散させたコーティング液を調製する。上の多層錠をハイコーター(SFC-30N:セジョン機械、韓国)に投入した後、コーティング液でコーティングして多層錠形態の制御放出製剤の製造を完了した。
【0088】
実施例23:フィルムコーティング錠の製造
1) ロサルタンの遅延放出型顆粒の製造
表5に示された含量の通り、ロサルタンカリウム、微結晶セルロース、澱粉グリコン酸ナトリウム、乳糖を35号篩で篩過し、高速混合機で5分間混合して混合物を製造する。別にヒドロキシプロピルセルロースとヒドロキシプロピルセルロースフタレート(HP-50)を精製水に溶かして結合液にして練合、製粒及び乾燥する。乾燥物を流動層コーティング機に入れ、別にヒドロキシプロピルセルロースフタレート(HP-55)とポリエチレングリコール6000をエタノール220 mgと塩化メチレン980 mgに溶かした液を調製して上の造粒物を流動層顆粒コーティング機(GPCG-1:Glatt、ドイツ)に入れコーティングする。コーティング完了後、アエロジル200を投入し混合してからステアリン酸マグネシウムを投入し、4分間混合してロサルタン遅延性層を製造する。
【0089】
2) ヒドロクロロチアジド即時放出コーティング液の製造
ヒドロクロロチアジド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ヒドロキシプロピルセルロース、酸化チタン、タルクを80%エタノールに溶解及び分散させてヒドロクロロチアジドを含有したコーティング液を製造する。
【0090】
3) ロサルタン遅延放出層とヒドロクロロチアジド即時放出層を含むフィルムコーティング錠の製造
1)のロサルタン遅延放出型顆粒をロータリー打錠機で打錠した後、ハイコーターコーティング装置に、打錠錠剤をハイコーター(SFC-30N:セジョン機械、韓国)に投入してから、2)のヒドロクロロチアジド即時放出コーティング液でコーティングしてロサルタン遅延放出層とヒドロクロロチアジド即時放出コーティング層を含むフィルムコーティング錠形態の制御放出製剤の製造を完了した。
【0091】
実施例24:カプセル剤の製造
1) ロサルタンの遅延放出型顆粒の製造
表5に示された含量の通り、ロサルタンカリウム、微結晶セルロース、澱粉グリコン酸ナトリウム、乳糖を35号篩で篩過し、高速混合機で5分間混合して混合物を製造する。別にヒドロキシプロピルセルロースとヒドロキシプロピルセルロースフタレート(HP-50)を精製水に溶かして結合液にして練合、製粒及び乾燥する。乾燥物を流動層コーティング機に入れ、別にヒドロキシプロピルセルロースフタレート(HP-55)とポリエチレングリコール6000をエタノール220 mgと塩化メチレン980 mgに溶かした液を調製して上の造粒物を流動層顆粒コーティング機(GPCG-1:Glatt、ドイツ)に入れコーティングする。コーティング完了後、アエロジル200を投入し混合してからステアリン酸マグネシウムを投入し、4分間混合してロサルタン遅延放出型顆粒を製造する。
【0092】
2) ヒドロクロロチアジド即時放出層の製造
表5に示された含量の通り、ヒドロクロロチアジド、微結晶セルロース、前糊化澱粉、コポビドン、アエロジル200を35号篩で篩過し、高速混合機で5分間混合して混合物を製造する。
【0093】
3) 混合及びカプセル充填
工程1)と2)の最終組成物をダブルコーンミキサーで混合する。混合物にステアリン酸マグネシウムを入れてダブルコーンミキサーで最終混合する。最終混合された混合物を粉末供給機に投入しカプセル充填機を利用して充填する。
【0094】
(表4)
【0095】
(表5)
【0096】
実験例1:比較溶出プロファイル試験(comparative dissolution profile test)
前記実施例1に従い製造されたロサルタン/ヒドロクロロチアジド内核錠と、各成分の単一剤対照薬(コザール錠(登録商標)(MSD):ロサルタン単一剤/ジクロジド錠(登録商標)(ユハン):ヒドロクロロチアジド単一剤)の比較溶出プロファイル試験を実施した。ヒドロクロロチアジド成分の溶出プロファイル試験の場合、米国薬典(USP30)に基づいて溶出プロファイル試験を進め、ロサルタン成分の溶出プロファイル試験の場合は120分を起点に溶出液を人工胃液から人工腸液に変更して計480分間の溶出プロファイル試験を進めた。各成分別の溶出プロファイル試験方法は下記の通りであり、その結果を添付の図1の通り示した。
【0097】
図1によると、前記溶出プロファイル試験時に本発明の内核錠中のヒドロクロロチアジド成分は、対照製剤であるジクロジド錠と比較してほぼ同等な溶出特性を示すものと確認されたが、ロサルタン成分は対照製剤であるコザールと比較すると非常に遅延した溶出速度が確認できる。ロサルタン成分の溶出プロファイル試験結果を見ると、人工胃液区間の120分までのロサルタン成分の溶出率は、本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドの内核錠で10%以内だが、対照製剤は約60%であることが確認でき、これ以降の人工腸液区間でロサルタン成分の溶出率は、対照製剤で計150分で100%だが、本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドの内核錠機能性複合剤では、計240分で約20%であり相当遅いことが確認できた。
【0098】
このように、本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドの内核錠製剤は、対照薬であるロサルタン単一剤とヒドロクロロチアジド単一剤を同時に服用した場合の溶出プロファイルとは異なり、ロサルタンの初期放出がヒドロクロロチアジドより非常に遅いため、ヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入できるため、高血圧治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0099】
[ヒドロクロロチアジドの試験方法]
溶出プロファイル試験:米国薬典(USP 30)中の‘ヒドロクロロチアジド錠剤’項
試験方法:装置1 [パドル法(Paddle method)]、100回転/分
試験液:0.1N-塩酸、900 mL
分析方法:紫外可視部吸光光度法
検出波長:272 nm
【0100】
[ロサルタンカリウム試験方法]
溶出プロファイル試験:大韓薬典第8改正の一般試験法の溶出試験法
試験方法:パドル法、50回転/分
試験液:0.01M塩酸溶液、750 mL (人工胃液)
pH 6.8リン酸緩衝液、計1000 mL (人工腸液)
分析方法:紫外可視部吸光光度法(検出波長=最大230 nm)
【0101】
実験例2:比較溶出プロファイル試験
前記実施例2に従い製造されたロサルタン/ヒドロクロロチアジド内核錠と複合剤対照薬(コザールプラス錠(登録商標)(MSD):ロサルタン/ヒドロクロロチアジド複合剤)の比較溶出プロファイル試験を実施した。各成分別の溶出プロファイル試験方法は実験例1の通りであり、その結果を添付の図面2の通り示した。
【0102】
図2によると、実験例1の条件で、溶出プロファイル試験時に本発明の内核錠中のヒドロクロロチアジド成分は対照製剤コザールプラス錠と比較して早い溶出特性を示すことが確認されたが、コザールプラス錠のヒドロクロロチアジドの溶出は単一剤や本発明の内核錠と異なり区画を分けない単純複合剤のため、酸での溶出速度が遅いロサルタンの影響を受けてヒドロクロロチアジド単一剤と異なる溶出速度を示したと考えられる。ヒドロクロロチアジドが最高の効果を見せるためには、単純複合剤の遅延された溶出速度ではなく、単一剤と類似する早い溶出速度を示す必要がある。
【0103】
ロサルタン成分は、対照製剤であるコザールプラスと比較すると、実験例1のように非常に遅延した溶出速度が確認できる。
【0104】
このように本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドの内核錠製剤は、対照薬の区画を分けていないロサルタン/ヒドロクロロチアジド単純複合剤を同時に服用した場合の溶出プロファイルとは異なり、ヒドロクロロチアジドの放出速度がコザールプラスより速く、ロサルタンの初期放出がヒドロクロロチアジドより非常に遅いためヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入できるため、高血圧治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0105】
実験例3:比較溶出プロファイル試験
前記実施例5〜8の比較溶出プロファイル試験を実施した。各成分別の溶出プロファイル試験方法は実験例1の通りであり、その結果を添付の図3の通り示した。
【0106】
図3によると、実験例1の条件で溶出プロファイル試験時に本発明の内核錠はエチルセルロースの使用量が増加するにつれロサルタン成分が非常に遅延した溶出速度を見せることが確認できた。エチルセルロースを使用してコーティングすることにより、実施例5〜8で計240分までに20%以内のロサルタン溶出率が確認できた。
【0107】
このように、本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドの内核錠製剤は、エチルセルロースのコーティング時に使用量を調節することによりロサルタンの初期放出を意図した時間だけ遅延放出させることができる。よって、ロサルタンをヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入できるため、高血圧の治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0108】
実験例4:比較溶出プロファイル試験
前記実施例7、9〜11の比較溶出プロファイル試験を実施した。各成分別溶出プロファイル試験方法は実験例1の通りであり、その結果を添付の図4の通り示した。
【0109】
図4によると、実験例1の条件で、溶出プロファイル試験時に本発明の内核錠はエチルセルロースコーティングを施した遅延放出層内に架橋ポリビニルピロリドンがある場合、ロサルタン成分が意図した時間まで遅延時間を持った後、比較的急激に放出されることを確認できた。ロサルタン成分の溶出率は、計240分まで20%以内であり、架橋ポリビニルピロリドンの使用量が増加するに伴い、ロサルタン成分が急激に放出された。
【0110】
このように本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドの内核錠製剤はエチルセルロースのコーティングを施した遅延放出層内の架橋ポリビニルピロリドンの使用量を調節することにより意図した時間まで遅延時間を持った後、急激にロサルタンを放出させることができる。よって、ロサルタンをヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入できるため、高血圧治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0111】
実験例5:比較溶出プロファイル試験
前記の実施例15に従い製造されたロサルタン/ヒドロクロロチアジド多層錠と複合剤対照薬(コザールプラスエフ錠、MSD:ロサルタン/ヒドロクロロチアジド複合剤)の比較溶出プロファイル試験を実施した。各成分別溶出プロファイル試験方法は実験例1の通りであり、その結果を添付の図5の通り示した。
【0112】
図5によると、実験例1の条件で、溶出プロファイル試験時に本発明の多層錠中のヒドロクロロチアジド成分は、対照製剤コザールプラスエフ錠と比較して早い溶出特性を示すことが確認されたが、コザールプラスエフ錠のヒドロクロロチアジド溶出は単一剤や本発明の多層錠と異なり区画を分けていない単純複合剤のため、酸での溶出速度が遅いロサルタンの影響を受けてヒドロクロロチアジド単一剤と異なる溶出速度を示す。ヒドロクロロチアジドが最高の効果を示すためには、単純複合剤の遅延した溶出速度ではない単一剤と類似する早い溶出速度を示す必要がある。
【0113】
ロサルタン成分は、対照製剤であるコザールプラスエフ錠と比較すると、実験例1のように非常に遅延した溶出速度が確認できる。
【0114】
このように、本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドの多層錠製剤は、対照薬である区画を分けていないロサルタン/ヒドロクロロチアジド単純複合剤を同時に服用した場合の溶出プロファイルとは異なり、ヒドロクロロチアジドの放出速度がコザールプラスエフ錠より早く、ロサルタンの初期放出がヒドロクロロチアジドより非常に遅いため、ヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入でき、高血圧治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0115】
実験例6:比較溶出プロファイル試験
前記実施例16に従い製造されたロサルタン/ヒドロクロロチアジド多層錠と各成分単一剤対照薬(コザール錠、MSD:ロサルタン単一剤/ジクロジド錠、ユハン:ヒドロクロロチアジド単一剤)の比較溶出プロファイル試験を実施した。各成分別の溶出プロファイル試験方法は実験例1の通りであり、その結果を添付の図6の通り示した。
【0116】
図6によると、実験例1の条件で溶出プロファイル試験時に本発明の多層錠中のヒドロクロロチアジド成分は対照製剤であるジクロジド錠と比較してほぼ同等な溶出特性を示すことが確認されたが、ロサルタン成分は対照製剤であるコザールと比較すると非常に遅延した溶出速度を確認できた。
【0117】
このように本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドの多層錠製剤は、対照薬であるロサルタン単一剤とヒドロクロロチアジド単一剤を同時に服用した場合の溶出プロファイルとは異なり、ロサルタンの初期放出がヒドロクロロチアジドより非常に遅いため、ヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入でき、高血圧治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0118】
実験例7:比較溶出プロファイル試験
前記の実施例20に従い製造されたバルサルタン/ヒドロクロロチアジド多層錠と各成分単一剤対照薬(ディオバン錠(登録商標)、MSD:バルサルタン単一剤/ジクロジド錠、ユハン:ヒドロクロロチアジド単一剤)の比較溶出プロファイル試験を実施した。各成分別の溶出プロファイル試験方法は実験例1の通りであり、その結果を添付の図7の通り示した。
【0119】
図7によると、実験例1の条件で溶出プロファイル試験時の本発明の多層錠中のヒドロクロロチアジド成分は対照製剤であるジクロジド錠と比較してほぼ同等の溶出特性を示すことが確認されたが、バルサルタン成分は対照製剤であるディオバンと比較すると非常に遅延した溶出速度が確認できた。バルサルタン成分の溶出プロファイル試験結果を見ると、人工腸液区間でバルサルタン成分の溶出率は対照製剤と異なり、本発明のバルサルタン/ヒドロクロロチアジドの多層錠機能性複合剤では計240分で約20%とかなり遅いことが確認できた。
【0120】
このように本発明のバルサルタン/ヒドロクロロチアジドの多層錠製剤は、対照薬であるバルサルタン単一剤とヒドロクロロチアジド単一剤を同時に服用した場合の溶出プロファイルとは異なり、バルサルタンの初期放出がヒドロクロロチアジドより非常に遅いため、ヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入でき、高血圧治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0121】
実験例8:比較溶出プロファイル試験
前記の実施例21に従い製造されたイルベサルタン/ヒドロクロロチアジド多層錠と各成分単一剤対照薬(アプロヴェル錠(登録商標)、MSD:イルベサルタン単一剤/ジクロジド錠、ユハン:ヒドロクロロチアジド単一剤)の比較溶出プロファイル試験を実施した。各成分別溶出プロファイル試験方法は、実験例1の通りであり、その結果を添付の図8の通り示した。
【0122】
図8によると、実験例1の条件で溶出プロファイル試験時の本発明の多層錠中のヒドロクロロチアジド成分は、対照製剤であるジクロジド錠と比較してほぼ同等な溶出特性を示すことが確認されたが、イルベサルタン成分は対照製剤であるアプロヴェルと比較すると非常に遅延した溶出速度が確認できた。イルベサルタン成分の溶出プロファイル試験結果を見ると、人工腸液区間でイルベサルタン成分の溶出率は対照製剤と異なり、本発明のイルベサルタン/ヒドロクロロチアジドの多層錠機能性複合剤では計240分で約20%とかなり遅いことが確認できた。
【0123】
このように本発明のイルベサルタン/ヒドロクロロチアジドの多層錠製剤は、対照薬であるイルベサルタン単一剤とヒドロクロロチアジド単一剤を同時に服用した場合の溶出プロファイルとは異なり、イルベサルタンの初期放出がヒドロクロロチアジドより非常に遅いため、ヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入でき、高血圧の治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0124】
実験例9:比較溶出プロファイル試験
前記の実施例23、24に従い製造されたロサルタン/ヒドロクロロチアジドフィルムコーティング錠またはカプセル剤であり、これと各成分単一剤対照薬(コザール錠、MSD:ロサルタン単一剤/ジクロジド錠、ユハン:ヒドロクロロチアジド単一剤)の比較溶出プロファイル試験を実施した。各成分別溶出プロファイル試験方法は実験例1の通りであり、その結果を添付の図9の通り示した。
【0125】
図9によると、実験例1の条件で、溶出プロファイル試験時の本発明のフィルムコーティング錠またはカプセル剤中のヒドロクロロチアジド成分は対照製剤であるジクロジド錠と比較してほぼ同等な溶出特性を示すことが確認されたが、ロサルタン成分は対照製剤であるコザールと比較すると非常に遅延した溶出速度が確認できた。ロサルタン成分の溶出プロファイル試験結果を見ると、人工腸液区間でロサルタン成分の溶出率は、本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドのフィルムコート錠またはカプセルでは計240分で約20%であり、本発明の錠剤またはカプセル中のロサルタン成分の溶出速度は、対照薬の溶出速度と比べてかなり遅いことが確認できた。
【0126】
このように本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドのフィルムコーティング錠またはカプセル製剤は対照薬であるロサルタン単一剤とヒドロクロロチアジド単一剤を同時に服用した場合の溶出プロファイルとは異なり、ロサルタンの初期放出がヒドロクロロチアジドより非常に遅いため、ヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入でき、高血圧の治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0127】
実験例10:動物試験
本実験は、市販中の対照薬(コザールプラス錠、MSD:ロサルタン/ヒドロクロロチアジド複合剤)の放出時間と類似するようにヒドロクロロチアジドとロサルタンの同時投与群と、実験群として本発明の実施例によって提供される組成物の放出時間と同一であるようにヒドロクロロチアジドとロサルタンを時間差投与することで、本発明による組成物としての効果を確認するための動物試験を表6の通り実施した。
【0128】
また、本実験は最高の降圧効果を見せるための時間帯別投与も確認できるように試験設計が行われた。
【0129】
(表6)
【0130】
本比較動物臨床の結果、明らかになった動物臨床結果の薬動学/薬力学は表7及び図10〜12の通りである。
【0131】
(表7)
【0132】
本試験はラットをモデルにした動物試験で明条件と暗条件に分けて設計され、ラットと人の生体リズムは正反対のため人に適用する際には時間帯を反対に適用させる。
1. 血圧降下面で収縮期の血圧と拡張期の血圧はスクリーニング群に比べて5日目に低い血圧数値を示した。
2. 血圧降下面で同時投与群と時間差投与群の比較時、時間差投与群で最も低い血圧数値を見せ、時間差投与群中では夕方の投与(明条件)より朝の投与(暗条件)で最も低い血圧数値を示した。
3. 時間帯別血圧降下作用は、図10〜12の通りである。朝の時間差投与群(暗条件)が4グループ中で最も血圧降下作用が優れることを確認した。
4. 臨床的副作用の観察によると、夕方の投与群(明条件)で夜尿の症状を見せ、朝の投与群(暗条件)ではなかった。朝の投与群(暗条件)では夜尿による睡眠障害問題が発生しないことが予想できる。
【0133】
これにより、本発明による組成物が通常の同時投与群とは異なり、平均血圧が最高潮に至る投与翌日の朝から昼間に至る時間中に最適な血圧降下作用を奏することが分かる。
【0134】
本発明によるアンジオテンシン−II−受容体遮断剤とヒドロクロロチアジドの複合製剤のように、時間差投与した場合がアンジオテンシン−II−受容体遮断剤とヒドロクロロチアジドの単一製剤のそれぞれを同時に投与するときの場合より、血圧降下の目的で投与されたアンジオテンシン−II−受容体遮断剤とヒドロクロロチアジドの臨床的な降圧効果の最適効果が発現することが分かる。
【0135】
一方、表8はロサルタンとヒドロクロロチアジドの同時投与群及び本発明による朝の時間差投与群(暗条件)間の血圧及び脈拍数を測定した結果である。ロサルタンとヒドロクロロチアジドによる血圧降下作用は、本発明によって提供される試験群である時間差投与群で同時投与群よりも平均座位収縮期の血圧降下作用は5.8%、平均座位弛緩期の血圧降下作用は5.6%、平均血圧降下作用は9.9%と全体的血圧降下作用が有意的に増加することが観察でき、脈拍数は0.08%の増加であり、この増加による有意な差はないことが観察できた。
【0136】
これにより本発明によって意図された通り、4時間に亘る時間差を置いて血圧降下の目的として投与されたロサルタンの遅延した薬物放出を通じて、時間差投与群が同時投与群に比べて優れた血圧降下作用を有することが証明された。
【0137】
(表8)
【0138】
本試験はラットをモデルにした動物試験であり、明条件と暗条件に分けて設計し、ラットと人の生体リズムは正反対のため人に適用する際には時間帯を反対にして適用させる。
【0139】
一方、表9はロサルタンとヒドロクロロチアジドの投与時間による血圧を測定した結果である。ロサルタンとヒドロクロロチアジドによる血圧降下作用が本発明によって提供される試験群である朝の時間差投与群(暗条件)で夕方の時間差投与群(明条件)より平均座位収縮期の血圧降下作用は4.0%、平均座位弛緩期の血圧降下作用は2.2%、平均血圧降下作用は3.1%、脈拍数は7.0%と全体的血圧降下作用が有意に増加することが観察できた。
【0140】
これにより本発明によって意図された通り、血圧降下の目的として投与されたロサルタンとヒドロクロロチアジド複合剤の朝の時間帯時間差投与が夕方の時間帯投与群(明条件)に比べて優れた血圧降下作用を有することが証明された。
【0141】
(表9)
【0142】
本試験はラットをモデルにした動物試験で明条件と暗条件に分けて設計し、ラットと人の生体リズムは正反対のため人に適用する際には時間帯を反対にして適用させる。
【0143】
結論として、前記臨床試験を通じて本願発明でロサルタンに代表されるアンジオテンシン−II−受容体遮断剤とヒドロクロロチアジドに代表されるチアジド系化合物の複合製剤を同時に投与する時よりは、時間差投与した場合または夕方の投与(明条件)よりも、朝の投与(暗条件)の場合に血圧降下の目的として投与されたアンジオテンシン−II−受容体遮断剤が放出時間の延長によって同一な投与容量でも上昇した血圧降下作用が証明され、これにより最適な効果の発現が予測されることが分かる。
【0144】
産業上の利用の可能性
本発明によって製剤化された複合製剤は、
1) チアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の単一製剤を同時に服用することにより、減少する薬理学的臨床学的治療効果を完璧に発揮できる。
2) 朝食の時間に服用させることで、24時間均等に降圧作用と合併症予防作用を発揮させることができ、特に血圧上昇が最高潮に至る時期に最高の血圧降下作用を示すことができる。
3) 朝の時間の服用という簡単な服薬遵守方法は、増加する多くの老年層患者に期待以上の貢献をもたらすことになり、処方医の処方箋の作成および服薬指導を簡便にすることができる。
4) 心臓、腎臓、脳卒中という3大合併症の予防に最大の効果を得ることができる複合処方のため、国民の健康、長寿に莫大な寄与ができる。
5) 糖尿病が併発した高血圧に対する最優秀複合処方になり得る。
6) 増加する老年層に必須不可欠な最適複合製剤になり得る。
7) 相違する薬理を有する成分の複合製剤のため、副作用を相殺させるだけでなく、循環器系合併症の発病の危険因子を減少させ得るため、長期間の予防経費を節減させることができる。
8) 単一製剤をそれぞれ維持する包装費用の節減と高度に熟練した人材の投薬調製時間の節減は莫大な額に達し得る。
9) 今まさに芽生えた時間差投薬原理(Chronotherapy)をどのように製剤化技術に繋げるかを世界薬学界に周知し、固定比率複合剤の開発の全盛期の幕開けが期待できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、チアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の薬学組成物とその複合製剤化技術に関する発明である。
【0002】
より詳しくは、チアジド系化合物単一製剤とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤単一製剤を同時に服用する場合よりも、複合製剤化して服用することにより薬理学的及び臨床学的降圧効果と合併症予防効果を極大化するだけでなく、副作用をより減らす製剤化技術に関する発明である。
【0003】
特に、含有される複合成分の各体内薬理作用の発現時間を考慮して、時間差を置いて薬物を投与する時間差投薬原理(Chronotherapy)を基に、夕方から睡眠を経て早朝まで血圧調節ができるようにアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を遅延放出することで降圧効果を最大化する技術に関する発明である。
【0004】
それだけでなく、各成分のバイオリズム学的薬理作用発現曲線に従い一定の時間帯にそれぞれ最高の効果を発揮させることにより、二つの成分の降圧効果と合併症予防効果が24時間均等に維持されるようにする製剤化技術に関する発明である。
【0005】
よって本発明の製剤化技術は、複合製剤の投薬時間を午前12時までの午前中に一回だけにすることにより複合成分の総合的治療効果を極大化させる、いわゆる時間差投薬原理を製剤化させる最初の製剤化技術でもある。
【0006】
また本発明は、チアジド系化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤および薬学的にその許容可能な塩の複合組成物及びこの製剤化技術でもある。
【0007】
さらに、本発明は、時間差投薬原理に遅延放出技術を導入して朝の時間帯1回の服用でも血圧降下の効果が24時間以上維持されるだけでなく、患者の服薬遵守を簡便にし、医師の処方に対する服薬指導および薬剤師の調合を簡便にできる製剤化技術でもある。
【背景技術】
【0008】
高血圧治療の問題点
優れた降圧剤が多く開発され処方されている。それにもかかわらず高血圧治療は2分の1の法則に制限されている。すなわち、自分が高血圧であることを自覚している者が50%だということである。このうち50%、すなわち25%のみが治療を受けている。しかし、治療患者の50%、すなわち12.5%のみがきちんとした治療を受けているという意味である。
【0009】
特に、降圧療法は血圧を下げることだけが目的ではない。高血圧患者に合併し易い心筋梗塞、心不全、脳卒中、早期死亡等を予防し、その病態の悪化を防いで健康長寿を享受させることが降圧療法の目的である。このような目的を達成するために、薬物はより革新されるべきである。処方医の処方方法が簡便でなければならず、患者の服薬遵守が簡単でなければならない。
【0010】
複合製剤の必要性
過去30年間発表されてきた大規模な治験(例:HOT, UKPOS等)報告書には、軽症度から中症度の高血圧のときから複合剤で治療することにより、合併症の発病及び悪化を予防し長寿が保障されるという立証資料が増え続けて来た(参照:米国高血圧対策委員会 高血圧治療指針(JNC V1 & VII), WHO-ISH(1999))。
【0011】
高血圧は原因が非常に様々である。様々な原因が同一患者に重複して高血圧を誘発させている。よって、単一降圧剤を使用する場合は、どのような結果が表れるか事前の判断が難しい(参照:Journal of human hypertension 1995: 9: S33-S36)。
【0012】
そのため、降圧剤同士の複合処方が増え続けて来た。特に、このような複合処方の傾向は、ロサルタン、バルサルタン等のようなアンジオテンシン−II−受容体遮断剤(ARB: Angiotensin Receptor Blockers)を基礎薬物として処方し始めた以降から、より著しく表れている。
【0013】
臨床界及び学界を通じて非常に頻繁に発表されてきた高血圧治療剤複合処方の必要性を要約すると次の通りである(参考:J. Hum. Hypertens 1995: S33-S36)。
1) 同一患者でも様々な原因が重複して高血圧を引き起こしている。
2) 単一製剤が様々な病態を全て治療できないことは当然である。
3) 単一製剤の効果は処方患者の50%以下に有効なだけである。
4) 複合製剤の効果は処方患者の80%以上に有効である。
5) 特に、糖尿病等の合併症を有する者の高血圧に対して、単一製剤は目的とするところの降圧効果を得ることができないだけでなく、合併症を予防するのは非常に困難である。
6) 単一剤の低容量で効かない場合、容量を増やすことは副作用を増やすだけの場合が多い。むしろ複合剤は副作用を減らすことができる。
7) 複合製剤は、薬理作用が異なる薬効群同士を複合することによって様々な原因を除くと同時に、合併症を予防し副作用を相殺させることができる。よって、高血圧を初めから治療する場合にも、単一剤で始めるよりは複合剤で始めることが最善の治療法であると米国心臓学会(American Heart Association)は強調している。
8) 特に、合併症を有する高血圧患者は、合併症がない高血圧患者よりも血圧を更に下げなければならない。この場合は、複合処方が必須である。それにもかかわらず単一製剤を使用する場合は、26%の患者にしか効果が表れ得ない。複合処方は、約74%の患者で目標とする血圧を維持し、合併症の悪化を予防することができる(参照:HOT大規模臨床)。
9) 米国FDAは、30年前からいわゆる固定比率複合原理(Fixed-dose Combination Therapy)によって複合製剤の必要性を認めて来た。薬理作用が相違する薬物を複合させるときは、単一製剤のそれぞれを単独に処方するときと同量ずつを複合させなければならないという原理である。これを固定比率複合剤と言い、単一製剤の薬効と安全性が認定済みである限り、そして処方医等によって複合処方が実施されている限り、このような複合製剤は別途の実験をせずとも許可されている。
10) 固定比率複合降圧剤は、血圧降下作用により優れるということは周知の事実である。
11) 個々の成分の容量を増やさないため、個々の成分の副作用の出現を著しく予防することができる。
12) 血圧降下剤の副作用は、相当数が循環器系に対する副作用である。よって、相違する薬理を有する成分を複合することにより、互いの副作用を相殺させる場合が多い。
13) 複合製剤は、患者の服薬遵守を非常に簡単にする。老年人口の増加によって服薬の指導に所要する処方医の時間の浪費を半分に減らすことができるものである。
14) 複合製剤は、循環器系合併症の発病の危険因子を減少させることができるため、長期間の予防経費を減らすことができる。
15) 単一製剤をそれぞれ維持する包装費用の節減と専門的人材の投薬調合時間の節減は膨大な額に達し得る。
【0014】
活性成分の情報
本発明の複合剤に含有されている各成分の特徴による複合処方の合理性と個々の成分の薬理作用は、下記表1の通り非常に理想的である。
【0015】
(表1)各薬剤の特徴による複合薬剤の合理性
【0016】
1) チアジド系化合物利尿剤の代表的薬物であるヒドロクロロチアジドとその薬学的利用
代表的なチアジド系化合物利尿剤であるヒドロクロロチアジドは、その化学名が6−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−7−スルホンアミド−1,1−ジオキシドであり、高血圧治療補助剤として経口投与すると利尿効果が6〜12時間に亘り持続し、血中半減期が5.6〜14.8時間に至る1日1回の投与薬物である。
【0017】
高血圧治療としてのヒドロクロロチアジドは血管拡張(血管の弛緩)による血圧降下作用も示す。
【0018】
ヒドロクロロチアジドは、文献[参照:Pharmcological Properties of Combination : Therapies for Hypertension(American Journal of Hypertension 1997;10:13S-16S), Management of Hypertension : The Role of Combination Therapy(American Journal of Hypertension 1997;10:262S-271S), Molecular sites for diuretic action(Bruce M. Hendry and J.Clive Elloy ; TIPS-November 1988 vol.9)]等で左心房の圧力減少効果に起因した血圧降下作用と利尿促進により全体血中液量の減少による2次的な血圧降下作用等で詳しく言及されている。他のチアジド系化合物利尿剤としては、クロロチアジド、ベンドロフルメチアジド等がある。
【0019】
2) アンジオテンシン−II−受容体遮断剤とその薬学的利用
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤は、血管収縮を起こす根源物質の一つであるアンジオテンシンの受容体との結合を遮断して、心筋の収縮期と拡張期の両方において血圧降下作用を発揮する薬物として現在まで知られており、頻繁に臨床に適用されている一連の化合物群は薬学的に許容可能な塩を含み10種類余りに至っている。また、これらは高血圧と関連する諸症状の軽症度から中等度に至る患者に単独で、或いは類似メカニズムで降圧効果を示すアンジオテンシン変換酵素抑制剤等と共に用いられている[参照:Angiotension 2 Receptor Antagonist:An Overview, Am J Health-Syst Pharm 57(13):1231-1238,2000]。
【0020】
このような一連のアンジオテンシン−II−受容体遮断剤中でもロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン、オルメサルタン等は常用化され、過去数年間高血圧治療薬物として急激な成長を見せており、これと共にこれらの効果もやはり多くの臨床試験を通じて証明されている[参照:Pharmacologic, Pharmacokinetic, and Therapeutic Difference Among angiotensin−II−receptor Antagonist : Pharmcotherapy 20(2):130-139,2000]。このような多くの臨床試験等を通じて明らかになったところによると、これらのアンジオテンシン−II−受容体遮断剤は生体内の代謝経路と半減期等の薬物動態学的な違いにもかかわらず、適正投与量で心筋収縮期と拡張期に対する血圧降下作用は同等であり、同一受容体遮断剤として得られる高血圧の諸症状に関連する付加的な心不全予防及び治療、心筋梗塞後の不整脈と心不全予防治療、糖尿病性合併症予防治療、心不全予防治療、脳卒中予防治療、抗血小板作用、動脈硬化予防作用、アルドステロンの有害作用の抑制、代謝症候群作用の緩和、循環器系疾患の連鎖的悪化予防効果もやはり類似するものと知られている。
【0021】
上記のアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の降圧及び腎臓保護作用は、例えば次の刊行物[参照:J.Wagner et al.: Effects of AT1 receptor blockade on blood pressure and the renin angiotensin system in spontaneously hypertensive rats of the stroke prone strain, Clin,Exp. Hypertens.,vol.20(1998),p.205-221 ; M.Bohm et al.: angiotensin−II−receptor blockade in TGR(mREN2)27:Effects of renin-angiotensin-system gene expression and cardiovascular functions,J.Hypertens.,vol.13(8)(1995),p.891-899]に記述されている。
【0022】
第1の臨床試験で発見されたアンジオテンシン−II−受容体遮断剤のその他の腎臓保護効果が次の刊行物[参照:S.Andersen et al.: Renoprotective effects of angiotensin−II−receptor blockade in type 1 diabetic patients with diabetic nephropathy , Kidney Int., vol. 57(2)(2000),p. 601-606 ; L.M.Ruilope: Renoprotection and renin-angiotensin system blockade in diabetes mellitus, Am.J.Hypertens.,vol.10(12PT2)Suppl.(1997),p.325-331]に記載されている。
【0023】
内皮異常に対するアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の効果が刊行物[参照:E.L. Schiffrin et al.: Correction of arterial structure and endothelial dysfunction in human essential hypertension by the angiotensin receptor antagonist losartan ,Circulation, vol. 101(14)(2000),p.1653-1659 ; R.M.Touyz et al.:Angiotensin II stimulates DNA and protein synthesis in vascular smooth muscle cells from human arteries: role of extracellular singnal-regulated kinases,J.Hypertension.,vol17(7)(1999),p.907-916 ; E.L Schiffrin : Vascular remodelling and endothelial function in hypertensive patients:Effect of antihypertensive therapy, Scand. Cardiovasc. J., vol.32, Suppl. 47(1998),p.15-21 ; Prasad: Acute and Chronic angiotensin-1 receptor reverses endothelial dysfunction in atherosclerosis, Circulation, vol.101(2000),p.2349]に記載されている。また、大韓民国特許公開第2000-0070046号では、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤中の、特にロサルタンが心不全症患者の死亡率を減らし、急発性心臓麻痺による死亡率の減少と予防効果があることが言及されている。
【0024】
単純複合治療の問題点
1) 高血圧は疾患の特性上、その類型に関係なく、一日で血圧が最も上昇する時期である早朝に服用薬物の効果が発現しなければならなく、より好ましくは血管収縮を誘発する根源物質であるレニン(renin)の合成が行われる睡眠時間と、血圧上昇に直接的な原因として作用するアンジオテンシンとアルドステロンの合成が最高潮に至る早朝までの血圧降下作用を維持するために、夕方の時間帯に薬物の服用が勧奨される疾患[参照:Patterns of blood pressure response : Day and night variations ; American Journal of Hypertension April 2001-vol. 14, No. 4, Part 2, Preventing increase in early morning blood pressure, heart rate, and the rate-pressure product with controlled onset extended release verapamil at bedtime versus enalapril, losartan, and placebo on rising ; American Heart journal October 2002]である。このために単一製剤を単純に複合した複合製剤を投与する場合、利尿剤との併用投与で期待される付加的な血圧降下作用にもかかわらず、夜尿による睡眠障害と共に亜鉛のような特定電解質の不足が深刻化され得る[参照:Demographic, Environmental, and Genetic Predictors of Metabolic side effects of Hydrochlorothiazide treatment in Hypertensive Subjects : American Journal of Hypertension 2005;18:1077-1083]。
2) 夜尿による睡眠障害を避けるために、利尿剤であるチアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の単純複合製剤を、午前中に投与すると、睡眠時間中に合成される血管収縮誘発物質の合成を抑制できず、これにより一日で血圧が最高潮に至る早朝の時間帯に降圧効果を得ることができない。
【0025】
先行技術の例
チアジド系化合物利尿剤としてヒドロクロロチアジドとアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を活性成分とする複合製剤(製品名:Hyzaar、製造元:MSD;製品名:Diovan HCT、製造元:Novartis等)が市販中で、これらは臨床的に明らかになった併用投与時の付加的な血圧降下作用を長所として多くの高血圧患者に適用されており、文献[参照:Combination Therapy in the Management of Hypertension:Focus on Angiotension Receptor blocker Combined with Diuretics, J Clin Hypertens. 2005;7(2):96-101(非特許文献1), Antihypertensive Efficacy of Angiotension Receptor Blocker in Combination with Hydrochlorothiazide:A Review of the Factorial Design Study, J Clin Hypertens. 6(10):569-577, 2004(非特許文献2), BP circardian profile, T/P ratio and Smoothness Index After Treatment with fixed combination Losartan 100/HCTZ 25 in Essential Hypertension (American Journal of Hypertension ; April 2002-vol.15, No.4, Part 2)(非特許文献3), Losartan prevents the Diuretics-Induced Hypokalemia and Hyperuricemia in the patients with essential Hypertension (American Journal of Hypertension ; May 2005-vol.18, No.5, Part 2(非特許文献4)]等に二つの活性成分の併用投与による降圧作用の相乗降下とその有効性が詳しく説明されている。
【0026】
前記の文献によると、利尿剤であるチアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を複合製剤として投与する場合、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤の血圧降下作用だけでなく、利尿による全血漿容積を減少させることにより付加的な血圧降下作用を得ることができ、これにより軽症度の高血圧患者だけでなく、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤単一製剤の投与では正常の血圧に回復し難い中等度の高血圧患者の場合においても有意性のある降圧効果を得ることができることが明らかになっている。
【0027】
また、チアジド系化合物利尿剤であるヒドロクロロチアジドは、長期服用時に、利尿作用による副作用により腎臓を通じて正常以上にカリウムを排泄させてカリウム損失が誘発され、低カリウム血症を示す可能性がある。しかしながら、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤はアンジオテンシンの生成を抑制することによりカリウムの損失を防止することができる。アンジオテンシン−II−受容体遮断剤がチアジド系化合物利尿剤であるヒドロクロロチアジドの長期投与による副作用を減少させる。
【0028】
しかし、これら単純複合剤の朝の服用は、チアジド系化合物利尿剤であるヒドロクロロチアジドの夕方の投与によって夜尿による睡眠障害を克服することはできるが、合併症発生の最高危険時間までアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の薬理効果を維持できず、夕方の服用はアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の薬理効果を最大化できるが、チアジド系化合物利尿剤であるヒドロクロロチアジドの投与による夜尿と、夜尿による睡眠障害のような副作用は避けることができない。
【0029】
国際公開公報WO 06/063737(特許文献1)は、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤、又はアンジオテンシン−II−受容体遮断剤及び低容量のヒドロクロロチアジドの薬学的組成物を使用した治療時の血圧減少が十分でない患者の高血圧を治療するための薬学的組成物であって、テルミサルタン約80 mg及びヒドロクロロチアジド約25 mg又はテルミサルタン約160 mg及びヒドロクロロチアジド約50 mgを含む薬学的組成物に関して言及している。これはヒドロクロロチアジドとテルミサルタンが同時に溶出される単純複合剤に関するものであり、本発明でのようにヒドロクロロチアジドを先に溶出させて就寝前まで利尿作用を持続させて血圧降下作用を示すようにし、血管壁内に浸透して蓄積した後に睡眠中に夜間排尿による睡眠障害を最小化しつつ、血管拡張作用を発揮して夜間の血圧降下作用が持続されるようにし、ヒドロクロロチアジドが溶出した後、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤を時間差を置いて溶出させ、血管収縮を誘発する根源物質であるレニンの合成が行われる睡眠時間と、血圧上昇に直接的な原因として作用するアンジオテンシンとアルドステロンの合成が最高潮に至る起床以降の午前9時までの血圧降下作用を維持するように設計されたものとは概念が全く異なる2成分の単純複合剤であり、論理的や薬理学的に血圧降下作用及び合併症予防の薬効を十分に発揮できない非合理的製剤と思われる。現在市販されている製剤は、全て2成分の単純複合剤である。これは、ヒドロクロロチアジドとアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の最高の薬理効果に対する十分な認識がなかったためである。このような単純複合剤は、進歩性不足により拒絶されている。韓国公開特許第2000-7002144号(特許文献2)も、単純複合剤として韓国特許庁から拒絶された。
【0030】
本発明は、チアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の機能性複合剤を通じて各成分の最高薬理効果を見せるだけでなく、2成分を共に使用したときに各成分の副作用を減らすと同時に薬理効果を極大化した時間差放出機能性複合剤を世界で最初に考案したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】国際公開公報WO 06/063737号
【特許文献2】韓国公開特許第2000-7002144号
【非特許文献】
【0032】
【非特許文献1】Combination Therapy in the Management of Hypertension:Focus on Angiotension Receptor blocker Combined with Diuretics, J Clin Hypertens. 2005;7(2):96-101
【非特許文献2】Antihypertensive Efficacy of Angiotension Receptor Blocker in Combination with Hydrochlorothiazide:A Review of the Factorial Design Study, J Clin Hypertens. 6(10):569-577, 2004
【非特許文献3】BP circardian profile, T/P ratio and Smoothness Index After Treatment with fixed combination Losartan 100/HCTZ 25 in Essential Hypertension (American Journal of Hypertension ; April 2002-vol.15, No.4, Part 2)
【非特許文献4】Losartan prevents the Diuretics-Induced Hypokalemia and Hyperuricemia in the patients with essential Hypertension (American Journal of Hypertension ; May 2005-vol.18, No.5, Part 2
【発明の概要】
【0033】
発明の開示
技術的問題
複合組成物の着目点
そこで本発明者等は、単一製剤よりも優れた血圧降下作用を有する複合製剤として、1日1回の服用で低カリウム血症の改善及び追加的な血圧降下作用等の長所を維持すると共に、単純併用投与時や単純複合製剤の限界点である夜尿による睡眠障害等を克服でき、各製剤の1日1回の朝の時間帯の合理的な投薬で患者の服薬順応度を上昇させることができる製剤を開発することで本発明を完成させるに至った。
【0034】
1)広く処方され合理的複合処方として認められてきたチアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を複合製剤化するが、チアジド系化合物単一製剤とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤単一製剤を同時に服用する場合より、複合製剤化して服用させることにより薬理学的、臨床学的降圧効果と合併症予防効果をより遥かに向上させるだけでなく、副作用をより減らせることが本発明の目的である。
【0035】
2) 異種薬物代謝学(Xenobiotics)理論と、時間差投薬原理(Chronotherapy)をどのように製剤化技術に繋げるかを世界薬学界に周知することで、固定比率複合剤開発における全盛期の幕開けを図ることも、本発明の目的である。
【0036】
3) 朝の時間帯の1回の服用でも血圧降下作用が24時間以上持続するため、患者の服薬遵守を簡便にし、処方医の処方と服薬指導を簡便にできるだけでなく、増加する老年層の服薬遵守を容易にさせることに目的がある。
【0037】
4) 複合処方量の急増に伴い、増加する単一製剤の包装コストと調製時間の浪費は2倍に増加しているため、この非経済的な浪費を減らすことに目的がある。
【0038】
本発明は、チアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の複合製剤に関するものであり、より詳しくは、生体内半減期が長いチアジド系化合物利尿剤と最上の治療効果が期待される特定時間帯に同時に投与できるように放出を遅延させたアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を活性成分とする複合製剤であって、高血圧治療に非常に効果的な薬学組成物及びその製造方法に関するものである。
【0039】
これにより本発明の薬学組成物は、高血圧治療補助剤としてチアジド系化合物利尿剤の投与時に発生する低カリウム血症、夜尿による睡眠障害等のような副作用を改善し、血管拡張による優れた降圧効果を示すアンジオテンシン−II−受容体遮断剤中、薬学的に許容される一つの活性成分を含み、これを遅延放出できる放出遅延型複合製剤であって、単一製剤投与時よりも優れた血圧降下作用を示す複合製剤の製造を目的とする。
1) チアジド系化合物を服用即時に速い速度で胃腸管で吸収させ、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤は一定時間後から放出されて長時間に亘って小腸で吸収される。
2) このように複合製剤化された製剤を朝食時に1回のみ服用させて、24時間均等な血圧調節作用と合併症抑制作用と副作用減少作用を発揮させる。
3) 特に、朝の時間帯に服用させる理由は次の通りである。
【0040】
チアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤は、他の薬物と同様に一日24時間が経過する過程でその作用の様相がバイオリズム曲線を有している[参照:J. Clin. Hypertens 5(1): 17-23, 30, 2003]。
【0041】
より詳しくは、チアジド系化合物は12時間持続型だが、午前中に1回だけ服用しても血管壁内に浸透し、一定量が蓄積される。この程度の蓄積量では、利尿作用を24時間持続するには足りないが、血管拡張作用を24時間持続するには適した量である。これが現在12時間持続型を一日一回ずつのみ投薬している理由である。
【0042】
一方、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤は、特に昼間4時から夜中12時までの血圧降下作用が強いため夜の睡眠中に血圧を均一に維持させる薬理リズムを有している。これはレニン系の血圧上昇物質であるアルドステロンとアンジオテンシン−IIが夜中に主に生成され作用するためであり、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤は直ぐにアルドステロンの生成を抑制し、アンジオテンシン−IIの作用を抑制するためである。
【0043】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤の代表的薬物であるロサルタンは、小腸にて吸収された後、肝臓に入る。そのうち一部は活性型自体であるロサルタン分子のまま血中に流出されるため、1時間以内に血中の最高濃度に至ることになる。しかし、残りの一部は肝臓内の酵素シトクロムP450 2C7と3A4という二つの酵素によって代謝されより活性が高いロサルタンカルボン酸に変化した後、3〜4時間後に最高血中濃度に至ることになる。即ち、ロサルタンの薬理作用は、ロサルタンとロサルタン活性代謝体であるロサルタンカルボン酸混合体の薬理作用である。経口投与容量の約14%が肝臓内酵素によって活性型代謝体であるロサルタンカルボン酸の形態に転換され、活性型代謝体はロサルタンの40倍に該当する薬理作用を示す。血中消失速度もロサルタンが600 mL/minで、活性型代謝体が50 mL/minであって活性型代謝体の方がより遅い消失速度を示すため、持続的な作用時間の維持に重要な役割をする。
【0044】
高血圧患者の治療は、特に血圧を24時間均等に維持させなければならず、心臓の交感系過剰興奮状態を24時間均等に抑制しなければならない。これは本発明の製剤化技術だけがその目的を達成することができる。
【0045】
より詳しくは、本発明はチアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の複合製剤に関するものであり、さらに詳しくは、生体内の半減期が長いチアジド系化合物利尿剤と最上の治療効果を得ることができる特定時間帯に同時に投与できるように放出を遅延させたアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を活性成分として含む複合製剤であって、高血圧症に非常に効果的な薬学組成物及びその製造方法に関するものである。
【0046】
これにより上記組成物は、高血圧治療剤としてチアジド系化合物利尿剤投与時に発生する低カリウム血症、夜尿による睡眠障害等のような副作用を改善し、高血圧治療剤でアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を遅延放出できる放出遅延型複合製剤であって、併用投与時に期待できる優れた血圧降下作用を維持しつつ、朝の時間帯の1日1回1錠の服用で血圧降下作用が24時間以上維持されて患者の服薬順応度を高めることができる薬物送達システムを提供する。
【0047】
即ち、一つの経口投与用製剤を服用することにより、チアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の併用投与による相乗効果は維持しつつ、夕方の時間帯から睡眠中まで血圧調節ができるようにアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を制御放出することにより、結果的に投薬時期、生体内の代謝速度を調節して夜尿による睡眠障害、複合投与による電解質の過多損失等の副作用を改善でき、血圧上昇が最高潮に至る朝まで効果が維持され、1日1回1錠を朝食時に服用できるようにする便宜性を付加し、患者の服薬順応度をより高めることができることを見いだし本発明を完成した。
【0048】
技術的解決
本発明は、チアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の複合製剤に関するものであり、より詳しくは生体内の半減期が長いチアジド系化合物利尿剤として最上の治療効果が期待される特定の時間帯に同時投与ができるように放出を遅延させたアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を活性成分とする複合製剤であって、高血圧症に非常に効果的な薬学組成物に関するものである。
【0049】
また、本発明は物理的に分離されたり区画されて各薬物の相違する放出速度を得ることができるように、即時放出型チアジド系化合物及び一定遅延時間後の放出型アンジオテンシン−II−受容体遮断剤を含む投与形態を含む。
【0050】
さらに、本発明は活性薬学成分の意図的放出のためにマトリックス内に効果的に圧着できるアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を含有する新規な顆粒組成物と即時放出を示すチアジド系化合物を含有する組成物を提供するものである。
【0051】
前記本発明の薬学的組成物中のアンジオテンシン−II−受容体遮断剤組成物は、腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子等で構成された群から選択される放出制御物質を含む通常のコーティング方法によってコーティングでき、こうして得られたコーティングされた粒子または顆粒と、即時放出性チアジド系化合物含有組成物の多成分粒子または顆粒は錠剤に打錠されたりカプセルに充填する。
【0052】
本発明において、「制御後の放出製剤」とは、経口投与後にチアジド系化合物は即時放出され1時間以内に薬物の85%が放出され、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤が一般的に4時間まで40%未満の活性成分が溶出される遅延時間を有する製剤を言い、好ましくは4時間までに30%未満のアンジオテンシン−II−受容体遮断剤が溶出される遅延時間を有する製剤をいう。このような遅延型製剤は、活性成分と放出制御物質、薬学的に許容可能な希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定化剤等と一緒に使用して製造できる。さらに好ましくは、チアジド系化合物の溶出の開始から4時間以降にアンジオテンシン−II−受容体遮断剤が実質的に放出されるように制御される。
【0053】
以下、本発明のチアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤を含む薬学的組成物を具体的に説明する。
【0054】
前記のチアジド系化合物は、ヒドロクロロチアジド、クロロチアジド、ベンドロフルメチアジド及び薬学的に許容されるその塩の形態の1種であり、前記アンジオテンシン−II−受容体遮断剤は、ロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン、オルメサルタン及び薬学的に許容されるその塩の形態の1種であるが、本発明の範囲がこれに限定されるのではない。
【0055】
組成物当りのチアジド系化合物の容量は5 mg〜100 mgの範囲であり、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤の容量は5 mg〜1200 mgの範囲で、好ましくは錠当りのチアジド系化合物の容量が10 mg〜50 mgの範囲で、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤の容量は8 mg〜600 mgの範囲である。
【0056】
単純複合剤と比較した本発明の機能性複合剤の差別点とこの薬理効果の優秀性は次の表2の通りである。
【0057】
(表2)機能性複合剤と単純複合剤の比較
【0058】
有利な効果
本発明の目的は、二つの有効成分の放出をそれぞれ制御して治療学的な面で副作用を軽減させ、朝の時間帯の1日1回の投与で患者の服薬順応度を向上させた薬物送達システム及びその製造方法を提供するものである。血圧降下剤として代表的なアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の放出をチアジド系化合物投与後、3〜4時間以上、好ましくは4時間以上遅延されるように調節する。その時間中、血中半減期が12時間以上に至るチアジド系化合物を先に放出させると、利尿による全血漿容積の減少により血圧降下作用は次の投与時間まで維持され、睡眠障害を起こし得る排尿は日中に行われ、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤より先に生体内代謝を経て、併用投与時に誘発され得る電解質の追加的な消失を防止できる。引き続き放出されて長期間に亘り吸収されたアンジオテンシン−II−受容体遮断剤は、血管収縮誘発物質の合成が行われる夕方の時間帯から血圧の上昇が最高潮に至る早朝の時間帯に至るまで血圧降下作用が維持されるようにし、最上の治療効果が期待される特定の時間帯に血圧降下作用を示すことになる。単純複合剤よりも本発明による複合製剤が優れている点を表3に示した。
【0059】
(表3)単純複合剤よりも本発明の複合製剤が優れている点
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】ヒドロクロロチアジド単一剤、ロサルタン単一剤、実施例1の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図2】市販中のコザールプラス(ヒドロクロロチアジド、ロサルタン単純複合剤;実施例2)の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図3】実施例5〜8の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図4】実施例7、9〜11の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図5】市販中のコザールプラスエフ(ヒドロクロロチアジド、ロサルタン単純複合剤;実施例15)の製剤の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図6】ヒドロクロロチアジド単一剤、ロサルタン単一剤、実施例16の製剤の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図7】ヒドロクロロチアジド単一剤、バルサルタン単一剤、実施例20の製剤でイルベサルタンを活性成分にする製剤の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図8】ヒドロクロロチアジド単一剤、イルベサルタン単一剤、実施例21の製剤でイルベサルタンを活性成分にする製剤の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図9】ヒドロクロロチアジド単一剤、ロサルタン単一剤、実施例23、24の製剤の溶出プロファイルを示したグラフである。
【図10】実験例10による臨床試験結果で、投与経路間収縮期血圧を比較したグラフである。
【図11】実験例10による臨床試験結果で、投与経路間弛緩期血圧を比較したグラフである。
【図12】実験例10による臨床試験結果で、投与経路間平均血圧を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
発明の形態
本発明の薬学的組成物は、意図的な遅延後の放出を示すアンジオテンシン−II−受容体遮断剤内核層及び即時放出を示すチアジド系化合物外層を有する二重内核錠の錠剤の形に製造できる。
【0062】
また、本発明の薬学的組成物は、意図的遅延後放出を示すアンジオテンシン−II−受容体遮断剤層及び即時放出を示すチアジド系化合物層を有する多層錠剤の形に製造できる。
【0063】
このような本発明の薬学的組成物は、腎臓疾患の予防及び治療用または心血管疾患の治療用に適し、1日1回、午前6時〜11時の間に服用する場合に有効な効果を発揮する。
【0064】
本発明の薬学的組成物に含まれる放出制御物質には腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子から選択される物質を使用することで得ることができる。
【0065】
上記の腸溶重合体としては、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、シェラック、セルロースアセテートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、オイドラギットL及びオイドラギットS等から選択される1種または2種以上の混合物を使用でき、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートが使用される。
【0066】
前記の水不溶性重合体は、薬学的に許容できるものとしてポリビニルアセテート、ポリメタクリレート共重合体としてポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)共重合体、ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート、トリメチルアミノエチルメタクリレート)共重合体、エチルセルロース及びセルロースアセテート等から選択される1種または2種以上の混合物を使用できる。
【0067】
上記の疎水性化合物は、脂肪酸または脂肪酸エステル類、脂肪酸アルコール類、ワックス類及び無機物質等を選択して使用でき、具体的に、脂肪酸または脂肪酸エステル類としてグリセリルパルミトステアレート、グリセリルステアレート、グリセリルベヘネート、セチルパルミテート、グリセリルモノオレート及びステアリン酸等;脂肪酸アルコール類としてセトステアリルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコール等;ワックス類としてカルナバワックス、蜜蝋及び微結晶ワックス等;無機物質としてタルク、沈降炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト及びビーガム等から選択される1種または2種を選択して使用できる。
【0068】
前記の親水性高分子は、糖類、セルロース誘導体、ガム類、蛋白質類、ポリビニル誘導体、ポリメタクリレート共重合体、ポリエチレン誘導体及びカルボキシビニル重合体等を選択して使用でき、具体的に糖類としてデキストリン、ポリデキストリン、デキストラン、ペクチン及びペクチン誘導体、アルギン酸塩、ポリガラクトロン酸、キシラン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、澱粉、ヒドロキシプロピルスターチ、アミロース、アミロペクチン等を選択して使用でき、セルロース誘導体としてヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロース等を選択して使用でき、ガム類としてグアガム、ローカストビーンガム、トラガカント、カラギナン、アカシアガム、アラビアガム、ジェランガム、キサンタンガム等を選択して使用でき、蛋白質類としてゼラチン、カゼイン及びゼイン等を選択して使用することができ、ポリビニル誘導体としてポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアセタルジエチルアミノアセテート等を選択して使用でき、ポリメタクリレート共重合体としてポリ(ブチルメタクリレート、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート、メチルメタクリレート)共重合体、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)共重合体、ポリ(メタクリル酸、エチルアクリレート)共重合体等を選択して使用でき、ポリエチレン誘導体としてポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド等を選択して使用でき、カルボキシビニルポリマーとしてカーボマーを使用できる。
【0069】
前記の高分子と活性成分以外に前記錠剤層には本発明の効果を損なわない範囲内で薬学的に許容可能な希釈剤として澱粉、微細結晶性セルロース、乳糖、ブドウ糖、マンニトール、アルギネート、アルカリ土類金属塩、クレイ、ポリエチレングリコール及びジカルシウムフォスフェート等を使用できる。結合剤として澱粉、微細結晶性セルロース、高分散性シリカ、マンニトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、天然ゴム、合成ゴム、コポビドン及びゼラチン等を使用できる。崩壊剤としてナトリウム澱粉グリコレート、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉または予備ゼラチン化澱粉等の澱粉または変性澱粉と、ベントナイト、モンモリロナイト、ビーガム等のクレイと、微細結晶性セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース又はカルボキシメチルセルロース等のセルロース類と、アルギン酸ナトリウム又はアルギン酸等のアルギン類と、クロスカルメロースナトリウム等の架橋セルロース類と、グアガム、キサンタンガム等のガム類と、クロスポビドン等の架橋重合体と、重炭酸ナトリウム、クエン酸等の沸騰性製剤等を混合使用できる。潤滑剤としては、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びアルカリ土類金属ステアレート型カルシウム、亜鉛等、ラウリルスルフェート、水素化植物性オイル、ナトリウムベンゾエート、ナトリウムステアリルフマレート、グリセリルモノステアレート及びポリエチレングリコール等を使用でき、それ以外にも着色剤、香料から選ばれた多様な添加剤として薬学的に許容できる添加剤を選択して使用できる。
【0070】
前記の放出制御物質は、単独または2種以上を使用して、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤重量対比10:0.5〜1:100まで使用し、好ましくは5:1〜1:50、最も好ましくは2:1〜1:30まで使用される。10:0.5以下の比率では十分な遅延時間を確保し難く、1:100以上の比率では薬物の放出が起きなかったり遅延時間が12時間を超過する。
【0071】
本発明の範囲は、前記添加剤の使用に限定されるのではなく、前記の添加剤は当業者の選択によって通常の範囲の容量を含有できる。
【0072】
また、必要に応じて前記錠剤層の外面にフィルム状のコーティング層を形成できる。
【0073】
本発明の新規な組成物は、物理的に分離されるか区画されて2個の薬物が相違する放出速度を得ることができるようにアンジオテンシン−II−受容体遮断剤、又はその薬学的に許容できる塩および所望の賦形剤を含む遅延放出型区画ならびに、チアジド系化合物、又はその薬学的に許容できる塩及び所望の賦形剤を含む即時放出型区画を含む。このような物理的な区画は多様な剤形に具現できる。例えば、裸錠、フィルムコーティング錠、多層錠、内核錠、カプセル剤等のような剤形にも具現できる。
a) アンジオテンシン−II−受容体遮断剤又はその薬学的に許容できる塩の形態中の1種を腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子等の前記高分子中で1種または2種以上を使用し、薬学的に使用される通常の添加剤を投与して混合、製粒或いはコーティングの方法によって得られた粒子、顆粒または錠剤の剤形。
b) チアジド系化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を薬学的に許容される通常の添加剤と混合し、かつ、当該混合物を錬合、乾燥、及び製粒を含む経口固形剤を生産するための通常の過程に供することによって得られる粒子剤形、もしくは顆粒剤形、又はフィルムコーティング剤中において当該粒子剤形または顆粒剤形を溶解または懸濁させることにより得られる剤形。
【0074】
本発明は、前記a)で示している遅延型、b)で示している即時放出型製剤が最終的に一つの剤形に含まれている。
【0075】
以下、本発明のチアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の効率的な放出システムの製造方法を各段階別に具体的に説明する。
【0076】
第1段階は、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤を薬学的に使用する通常の添加剤を投与して混合、製粒によって得られた顆粒または混合物をそのまま顆粒形態で使用したり、打錠機を利用して錠剤にし、コーティング液でコーティングして遅延放出型製剤を得る段階である。
【0077】
第2段階は、チアジド系化合物を薬学的に許容される通常の添加剤と混合し、混合物を練合、乾燥及び製粒を含む経口固形剤を生産するための通常の過程に供して、粒子剤形或いは顆粒剤形を得る。必要であれば、当該粒子剤形又は顆粒剤形は、フィルムコーティング剤中において溶解又は懸濁し、それによって、コーティング液剤を得る。
【0078】
第3段階は、各1、2段階で得られた粒子或いは顆粒物、又はコーティング液を薬学的な賦形剤と混合して打錠、コーティング又は充填して経口投与用錠剤を得る段階である。
【0079】
本方法によって本発明のチアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の効率的な放出を示す経口投与製剤が製造される。経口投与製剤のより詳しい製造方法は次の通りである。
A)錠剤の製造
第1段階で得られた顆粒をそのまま又は腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子等から選択される1種または2種以上を含む放出制御物質でコーティングした後、第2段階で製造した顆粒と混合して一定量の重さに打錠して錠剤を製造する。得られた錠剤は、安定性または性状改善の目的で必要に応じてフィルムコーティングを行うことができる。
B)加圧コーティング錠剤(press-coated tablet)の製造
第1段階で得られた錠剤を核として使用し、腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子等から選択される1種または2種以上を含む放出制御物質でコーティングした後、第2段階で得た顆粒と共に内核錠打錠機を利用して内核錠を製造するか、コーティングしてコーティング内核錠を製造できる。
C)多層錠の製造
第1段階で得られた顆粒をそのまま又は腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子等から選択される1種または2種以上を含む放出制御物質でコーティングし、乾燥した顆粒と第2段階で得られた顆粒を追加して多層錠打錠機を利用して二重錠に製造できる。必要に応じて放出補助層を追加して三重またはそれ以上の多層錠を製造するか、コーティングしてコーティング多層錠を製造できる。
D)フィルムコーティング錠の製造
第1段階で得られた顆粒を腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子等から選択される1種または2種以上を含む放出制御物質でコーティングし、乾燥した後一定量に打錠して錠剤を製造し、第2段階で得た薬物を含むコーティング液でコーティングしてフィルムコーティング錠を製造できる。
E)カプセル剤(顆粒)
第1段階で得られた顆粒をそのまま又は腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子等から選択される1種または2種以上を含む放出制御物質でコーティングし、乾燥した顆粒と、第2段階で得た顆粒をカプセル充填機に入れ、一定の大きさのカプセルに各主成分有効量の該当量だけ充填してカプセル剤を製造できる。
F)カプセル剤(ペレット)
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤と放出制御物質または製剤学的に許容できる添加剤を水または有機溶媒、或いは混合溶媒に溶解させたり懸濁させて球形砂糖顆粒(Spherical sugar granule)にコーティング、乾燥後、必要に応じて腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性高分子等から選択される1種または2種以上を含む放出制御物質を水または有機溶媒、或いは混合溶媒に溶解させた後、コーティング、乾燥して、第2段階で得たコーティング液でコーティングしたペレットをカプセルにそのまま充填するか、フィルムコーティング後に充填するカプセル剤を製造できる。
【0080】
本製造に使用した機器、詳細な製造方法等は実施例にてさらに具体的に説明するが、本発明が実施例によって限定されるのではない。
【0081】
実施例1〜14:内核錠の製造
1) ロサルタンの遅延放出型核錠の製造
ロサルタンの遅延放出型核錠は、表4のようにロサルタンカリウム、微結晶セルロース、前糊化澱粉、コポビドン、アエロジル200を35号篩で篩過し、高速混合機で5分間混合して混合物を製造する。混合物にステアリン酸マグネシウム投入後4分間混合し、最終混合物をロータリー打錠機(MRC-33:セジョン機械、韓国)を使用して打錠し、これを核錠にする。このように製造した核錠をハイコーター(SFC-30N:セジョン機械、韓国)に投入し、表4の通りコーティング層の組成と含量を異にして核錠形態の遅延放出型製品を製造した。
【0082】
2) ヒドロクロロチアジド即時放出層の製造
ヒドロクロロチアジド即時放出層は、表4のような組成と含量で、ヒドロクロロチアジド、微結晶セルロース、乳糖、トウモロコシ澱粉、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを量り35号篩で篩過し、ダブルコーンミキサーで5分間混合して混合物を製造する。別にヒドロキシプロピルセルロースを精製水に溶かして結合液を製造する。前記混合物を流動層顆粒機または高速回転造粒機に入れ、結合液を加えて造粒する。好ましくは、流動層顆粒機を使用する。流動層顆粒機はGPCG-1(Glatt、ドイツ)を使用した。造粒が完了した後、流動層乾燥機または温水乾燥機で造粒物を乾燥させる。好ましくは、流動層乾燥機を使用する。流動層顆粒乾燥機はGPCG-1(Glatt、ドイツ)を使用した。乾燥が完了したら乾燥物を18号篩が装着されたオシレーターを使用して整粒する。整粒物にアエロジル200を入れ、ダブルコーンミキサーで混合する。上の混合物にステアリン酸マグネシウムを入れてダブルコーンミキサーで最終混合した。
【0083】
3) 打錠及びコーティング
内核錠打錠機(RUD-1: Kilian)を使用して、ロサルタン核錠を内核としヒドロクロロチアジドを含む組成物を外層として内核錠の製造を完了した後、別にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、酸化チタン、タルクを80%エタノールに溶解及び分散させたコーティング液を調製する。上の内核錠をハイコーター(SFC-30N:セジョン機械、韓国)に投入した後、コーティング液でコーティングして内核錠の製造を完了した。
【0084】
実施例15〜22:多層錠の製造
1) ロサルタン遅延放出層の製造
ロサルタン遅延放出層の製造は、実施例15の場合、ロサルタンカリウム、微結晶セルロース、澱粉グリコン酸ナトリウム、乳糖を35号篩で篩過し、高速混合機で5分間混合して混合物を製造する。別にヒドロキシプロピルセルロースとヒドロキシプロピルセルロースフタレート(HP-50)を精製水に溶かして結合液にして練合、製粒及び乾燥する。乾燥物を流動層コーティング機に入れ、別にヒドロキシプロピルセルロースフタレート(HP-55)とポリエチレングリコール6000を、エタノール220 mgと塩化メチレン980 mgに溶かした液を調製して上の造粒物を流動層顆粒コーティング機(GPCG-1 : Glatt、ドイツ)に入れ、コーティングする。コーティング完了後、アエロジル200を投入し混合してからステアリン酸マグネシウムを投入し、4分間混合してロサルタン遅延性層を製造した。
【0085】
実施例16〜22の場合、上と同じ多層錠の製造方法で表5のような組成と含量で遅延放出型製品を製造した。
【0086】
2) ヒドロクロロチアジド即時放出層の製造
ヒドロクロロチアジド即時放出層の製造はヒドロクロロチアジド、微結晶セルロース、前糊化澱粉、コポビドン、アエロジル200を35号篩で篩過し、高速混合機で5分間混合して混合物を製造する。混合物にステアリン酸マグネシウム投入後、4分間さらにダブルコーンミキサーで最終混合した。
【0087】
3) 打錠及びコーティング
多層錠打錠機(MRC-37T:セジョン)を使用して打錠する。ヒドロクロロチアジドを含む即時放出層組成物を1次粉末供給機に入れ、ロサルタンを含む遅延放出層組成物を2次粉末供給機に入れて層間への混入を最小化できる条件で打錠する。別に表5に示した含量の通り、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ヒドロキシプロピルセルロース、酸化チタン、タルクを80%エタノールに溶解及び分散させたコーティング液を調製する。上の多層錠をハイコーター(SFC-30N:セジョン機械、韓国)に投入した後、コーティング液でコーティングして多層錠形態の制御放出製剤の製造を完了した。
【0088】
実施例23:フィルムコーティング錠の製造
1) ロサルタンの遅延放出型顆粒の製造
表5に示された含量の通り、ロサルタンカリウム、微結晶セルロース、澱粉グリコン酸ナトリウム、乳糖を35号篩で篩過し、高速混合機で5分間混合して混合物を製造する。別にヒドロキシプロピルセルロースとヒドロキシプロピルセルロースフタレート(HP-50)を精製水に溶かして結合液にして練合、製粒及び乾燥する。乾燥物を流動層コーティング機に入れ、別にヒドロキシプロピルセルロースフタレート(HP-55)とポリエチレングリコール6000をエタノール220 mgと塩化メチレン980 mgに溶かした液を調製して上の造粒物を流動層顆粒コーティング機(GPCG-1:Glatt、ドイツ)に入れコーティングする。コーティング完了後、アエロジル200を投入し混合してからステアリン酸マグネシウムを投入し、4分間混合してロサルタン遅延性層を製造する。
【0089】
2) ヒドロクロロチアジド即時放出コーティング液の製造
ヒドロクロロチアジド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ヒドロキシプロピルセルロース、酸化チタン、タルクを80%エタノールに溶解及び分散させてヒドロクロロチアジドを含有したコーティング液を製造する。
【0090】
3) ロサルタン遅延放出層とヒドロクロロチアジド即時放出層を含むフィルムコーティング錠の製造
1)のロサルタン遅延放出型顆粒をロータリー打錠機で打錠した後、ハイコーターコーティング装置に、打錠錠剤をハイコーター(SFC-30N:セジョン機械、韓国)に投入してから、2)のヒドロクロロチアジド即時放出コーティング液でコーティングしてロサルタン遅延放出層とヒドロクロロチアジド即時放出コーティング層を含むフィルムコーティング錠形態の制御放出製剤の製造を完了した。
【0091】
実施例24:カプセル剤の製造
1) ロサルタンの遅延放出型顆粒の製造
表5に示された含量の通り、ロサルタンカリウム、微結晶セルロース、澱粉グリコン酸ナトリウム、乳糖を35号篩で篩過し、高速混合機で5分間混合して混合物を製造する。別にヒドロキシプロピルセルロースとヒドロキシプロピルセルロースフタレート(HP-50)を精製水に溶かして結合液にして練合、製粒及び乾燥する。乾燥物を流動層コーティング機に入れ、別にヒドロキシプロピルセルロースフタレート(HP-55)とポリエチレングリコール6000をエタノール220 mgと塩化メチレン980 mgに溶かした液を調製して上の造粒物を流動層顆粒コーティング機(GPCG-1:Glatt、ドイツ)に入れコーティングする。コーティング完了後、アエロジル200を投入し混合してからステアリン酸マグネシウムを投入し、4分間混合してロサルタン遅延放出型顆粒を製造する。
【0092】
2) ヒドロクロロチアジド即時放出層の製造
表5に示された含量の通り、ヒドロクロロチアジド、微結晶セルロース、前糊化澱粉、コポビドン、アエロジル200を35号篩で篩過し、高速混合機で5分間混合して混合物を製造する。
【0093】
3) 混合及びカプセル充填
工程1)と2)の最終組成物をダブルコーンミキサーで混合する。混合物にステアリン酸マグネシウムを入れてダブルコーンミキサーで最終混合する。最終混合された混合物を粉末供給機に投入しカプセル充填機を利用して充填する。
【0094】
(表4)
【0095】
(表5)
【0096】
実験例1:比較溶出プロファイル試験(comparative dissolution profile test)
前記実施例1に従い製造されたロサルタン/ヒドロクロロチアジド内核錠と、各成分の単一剤対照薬(コザール錠(登録商標)(MSD):ロサルタン単一剤/ジクロジド錠(登録商標)(ユハン):ヒドロクロロチアジド単一剤)の比較溶出プロファイル試験を実施した。ヒドロクロロチアジド成分の溶出プロファイル試験の場合、米国薬典(USP30)に基づいて溶出プロファイル試験を進め、ロサルタン成分の溶出プロファイル試験の場合は120分を起点に溶出液を人工胃液から人工腸液に変更して計480分間の溶出プロファイル試験を進めた。各成分別の溶出プロファイル試験方法は下記の通りであり、その結果を添付の図1の通り示した。
【0097】
図1によると、前記溶出プロファイル試験時に本発明の内核錠中のヒドロクロロチアジド成分は、対照製剤であるジクロジド錠と比較してほぼ同等な溶出特性を示すものと確認されたが、ロサルタン成分は対照製剤であるコザールと比較すると非常に遅延した溶出速度が確認できる。ロサルタン成分の溶出プロファイル試験結果を見ると、人工胃液区間の120分までのロサルタン成分の溶出率は、本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドの内核錠で10%以内だが、対照製剤は約60%であることが確認でき、これ以降の人工腸液区間でロサルタン成分の溶出率は、対照製剤で計150分で100%だが、本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドの内核錠機能性複合剤では、計240分で約20%であり相当遅いことが確認できた。
【0098】
このように、本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドの内核錠製剤は、対照薬であるロサルタン単一剤とヒドロクロロチアジド単一剤を同時に服用した場合の溶出プロファイルとは異なり、ロサルタンの初期放出がヒドロクロロチアジドより非常に遅いため、ヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入できるため、高血圧治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0099】
[ヒドロクロロチアジドの試験方法]
溶出プロファイル試験:米国薬典(USP 30)中の‘ヒドロクロロチアジド錠剤’項
試験方法:装置1 [パドル法(Paddle method)]、100回転/分
試験液:0.1N-塩酸、900 mL
分析方法:紫外可視部吸光光度法
検出波長:272 nm
【0100】
[ロサルタンカリウム試験方法]
溶出プロファイル試験:大韓薬典第8改正の一般試験法の溶出試験法
試験方法:パドル法、50回転/分
試験液:0.01M塩酸溶液、750 mL (人工胃液)
pH 6.8リン酸緩衝液、計1000 mL (人工腸液)
分析方法:紫外可視部吸光光度法(検出波長=最大230 nm)
【0101】
実験例2:比較溶出プロファイル試験
前記実施例2に従い製造されたロサルタン/ヒドロクロロチアジド内核錠と複合剤対照薬(コザールプラス錠(登録商標)(MSD):ロサルタン/ヒドロクロロチアジド複合剤)の比較溶出プロファイル試験を実施した。各成分別の溶出プロファイル試験方法は実験例1の通りであり、その結果を添付の図面2の通り示した。
【0102】
図2によると、実験例1の条件で、溶出プロファイル試験時に本発明の内核錠中のヒドロクロロチアジド成分は対照製剤コザールプラス錠と比較して早い溶出特性を示すことが確認されたが、コザールプラス錠のヒドロクロロチアジドの溶出は単一剤や本発明の内核錠と異なり区画を分けない単純複合剤のため、酸での溶出速度が遅いロサルタンの影響を受けてヒドロクロロチアジド単一剤と異なる溶出速度を示したと考えられる。ヒドロクロロチアジドが最高の効果を見せるためには、単純複合剤の遅延された溶出速度ではなく、単一剤と類似する早い溶出速度を示す必要がある。
【0103】
ロサルタン成分は、対照製剤であるコザールプラスと比較すると、実験例1のように非常に遅延した溶出速度が確認できる。
【0104】
このように本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドの内核錠製剤は、対照薬の区画を分けていないロサルタン/ヒドロクロロチアジド単純複合剤を同時に服用した場合の溶出プロファイルとは異なり、ヒドロクロロチアジドの放出速度がコザールプラスより速く、ロサルタンの初期放出がヒドロクロロチアジドより非常に遅いためヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入できるため、高血圧治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0105】
実験例3:比較溶出プロファイル試験
前記実施例5〜8の比較溶出プロファイル試験を実施した。各成分別の溶出プロファイル試験方法は実験例1の通りであり、その結果を添付の図3の通り示した。
【0106】
図3によると、実験例1の条件で溶出プロファイル試験時に本発明の内核錠はエチルセルロースの使用量が増加するにつれロサルタン成分が非常に遅延した溶出速度を見せることが確認できた。エチルセルロースを使用してコーティングすることにより、実施例5〜8で計240分までに20%以内のロサルタン溶出率が確認できた。
【0107】
このように、本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドの内核錠製剤は、エチルセルロースのコーティング時に使用量を調節することによりロサルタンの初期放出を意図した時間だけ遅延放出させることができる。よって、ロサルタンをヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入できるため、高血圧の治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0108】
実験例4:比較溶出プロファイル試験
前記実施例7、9〜11の比較溶出プロファイル試験を実施した。各成分別溶出プロファイル試験方法は実験例1の通りであり、その結果を添付の図4の通り示した。
【0109】
図4によると、実験例1の条件で、溶出プロファイル試験時に本発明の内核錠はエチルセルロースコーティングを施した遅延放出層内に架橋ポリビニルピロリドンがある場合、ロサルタン成分が意図した時間まで遅延時間を持った後、比較的急激に放出されることを確認できた。ロサルタン成分の溶出率は、計240分まで20%以内であり、架橋ポリビニルピロリドンの使用量が増加するに伴い、ロサルタン成分が急激に放出された。
【0110】
このように本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドの内核錠製剤はエチルセルロースのコーティングを施した遅延放出層内の架橋ポリビニルピロリドンの使用量を調節することにより意図した時間まで遅延時間を持った後、急激にロサルタンを放出させることができる。よって、ロサルタンをヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入できるため、高血圧治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0111】
実験例5:比較溶出プロファイル試験
前記の実施例15に従い製造されたロサルタン/ヒドロクロロチアジド多層錠と複合剤対照薬(コザールプラスエフ錠、MSD:ロサルタン/ヒドロクロロチアジド複合剤)の比較溶出プロファイル試験を実施した。各成分別溶出プロファイル試験方法は実験例1の通りであり、その結果を添付の図5の通り示した。
【0112】
図5によると、実験例1の条件で、溶出プロファイル試験時に本発明の多層錠中のヒドロクロロチアジド成分は、対照製剤コザールプラスエフ錠と比較して早い溶出特性を示すことが確認されたが、コザールプラスエフ錠のヒドロクロロチアジド溶出は単一剤や本発明の多層錠と異なり区画を分けていない単純複合剤のため、酸での溶出速度が遅いロサルタンの影響を受けてヒドロクロロチアジド単一剤と異なる溶出速度を示す。ヒドロクロロチアジドが最高の効果を示すためには、単純複合剤の遅延した溶出速度ではない単一剤と類似する早い溶出速度を示す必要がある。
【0113】
ロサルタン成分は、対照製剤であるコザールプラスエフ錠と比較すると、実験例1のように非常に遅延した溶出速度が確認できる。
【0114】
このように、本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドの多層錠製剤は、対照薬である区画を分けていないロサルタン/ヒドロクロロチアジド単純複合剤を同時に服用した場合の溶出プロファイルとは異なり、ヒドロクロロチアジドの放出速度がコザールプラスエフ錠より早く、ロサルタンの初期放出がヒドロクロロチアジドより非常に遅いため、ヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入でき、高血圧治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0115】
実験例6:比較溶出プロファイル試験
前記実施例16に従い製造されたロサルタン/ヒドロクロロチアジド多層錠と各成分単一剤対照薬(コザール錠、MSD:ロサルタン単一剤/ジクロジド錠、ユハン:ヒドロクロロチアジド単一剤)の比較溶出プロファイル試験を実施した。各成分別の溶出プロファイル試験方法は実験例1の通りであり、その結果を添付の図6の通り示した。
【0116】
図6によると、実験例1の条件で溶出プロファイル試験時に本発明の多層錠中のヒドロクロロチアジド成分は対照製剤であるジクロジド錠と比較してほぼ同等な溶出特性を示すことが確認されたが、ロサルタン成分は対照製剤であるコザールと比較すると非常に遅延した溶出速度を確認できた。
【0117】
このように本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドの多層錠製剤は、対照薬であるロサルタン単一剤とヒドロクロロチアジド単一剤を同時に服用した場合の溶出プロファイルとは異なり、ロサルタンの初期放出がヒドロクロロチアジドより非常に遅いため、ヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入でき、高血圧治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0118】
実験例7:比較溶出プロファイル試験
前記の実施例20に従い製造されたバルサルタン/ヒドロクロロチアジド多層錠と各成分単一剤対照薬(ディオバン錠(登録商標)、MSD:バルサルタン単一剤/ジクロジド錠、ユハン:ヒドロクロロチアジド単一剤)の比較溶出プロファイル試験を実施した。各成分別の溶出プロファイル試験方法は実験例1の通りであり、その結果を添付の図7の通り示した。
【0119】
図7によると、実験例1の条件で溶出プロファイル試験時の本発明の多層錠中のヒドロクロロチアジド成分は対照製剤であるジクロジド錠と比較してほぼ同等の溶出特性を示すことが確認されたが、バルサルタン成分は対照製剤であるディオバンと比較すると非常に遅延した溶出速度が確認できた。バルサルタン成分の溶出プロファイル試験結果を見ると、人工腸液区間でバルサルタン成分の溶出率は対照製剤と異なり、本発明のバルサルタン/ヒドロクロロチアジドの多層錠機能性複合剤では計240分で約20%とかなり遅いことが確認できた。
【0120】
このように本発明のバルサルタン/ヒドロクロロチアジドの多層錠製剤は、対照薬であるバルサルタン単一剤とヒドロクロロチアジド単一剤を同時に服用した場合の溶出プロファイルとは異なり、バルサルタンの初期放出がヒドロクロロチアジドより非常に遅いため、ヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入でき、高血圧治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0121】
実験例8:比較溶出プロファイル試験
前記の実施例21に従い製造されたイルベサルタン/ヒドロクロロチアジド多層錠と各成分単一剤対照薬(アプロヴェル錠(登録商標)、MSD:イルベサルタン単一剤/ジクロジド錠、ユハン:ヒドロクロロチアジド単一剤)の比較溶出プロファイル試験を実施した。各成分別溶出プロファイル試験方法は、実験例1の通りであり、その結果を添付の図8の通り示した。
【0122】
図8によると、実験例1の条件で溶出プロファイル試験時の本発明の多層錠中のヒドロクロロチアジド成分は、対照製剤であるジクロジド錠と比較してほぼ同等な溶出特性を示すことが確認されたが、イルベサルタン成分は対照製剤であるアプロヴェルと比較すると非常に遅延した溶出速度が確認できた。イルベサルタン成分の溶出プロファイル試験結果を見ると、人工腸液区間でイルベサルタン成分の溶出率は対照製剤と異なり、本発明のイルベサルタン/ヒドロクロロチアジドの多層錠機能性複合剤では計240分で約20%とかなり遅いことが確認できた。
【0123】
このように本発明のイルベサルタン/ヒドロクロロチアジドの多層錠製剤は、対照薬であるイルベサルタン単一剤とヒドロクロロチアジド単一剤を同時に服用した場合の溶出プロファイルとは異なり、イルベサルタンの初期放出がヒドロクロロチアジドより非常に遅いため、ヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入でき、高血圧の治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0124】
実験例9:比較溶出プロファイル試験
前記の実施例23、24に従い製造されたロサルタン/ヒドロクロロチアジドフィルムコーティング錠またはカプセル剤であり、これと各成分単一剤対照薬(コザール錠、MSD:ロサルタン単一剤/ジクロジド錠、ユハン:ヒドロクロロチアジド単一剤)の比較溶出プロファイル試験を実施した。各成分別溶出プロファイル試験方法は実験例1の通りであり、その結果を添付の図9の通り示した。
【0125】
図9によると、実験例1の条件で、溶出プロファイル試験時の本発明のフィルムコーティング錠またはカプセル剤中のヒドロクロロチアジド成分は対照製剤であるジクロジド錠と比較してほぼ同等な溶出特性を示すことが確認されたが、ロサルタン成分は対照製剤であるコザールと比較すると非常に遅延した溶出速度が確認できた。ロサルタン成分の溶出プロファイル試験結果を見ると、人工腸液区間でロサルタン成分の溶出率は、本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドのフィルムコート錠またはカプセルでは計240分で約20%であり、本発明の錠剤またはカプセル中のロサルタン成分の溶出速度は、対照薬の溶出速度と比べてかなり遅いことが確認できた。
【0126】
このように本発明のロサルタン/ヒドロクロロチアジドのフィルムコーティング錠またはカプセル製剤は対照薬であるロサルタン単一剤とヒドロクロロチアジド単一剤を同時に服用した場合の溶出プロファイルとは異なり、ロサルタンの初期放出がヒドロクロロチアジドより非常に遅いため、ヒドロクロロチアジドの2次的な血圧降下作用が発生する時点に投入でき、高血圧の治療に非常に効果的な薬学組成物である。
【0127】
実験例10:動物試験
本実験は、市販中の対照薬(コザールプラス錠、MSD:ロサルタン/ヒドロクロロチアジド複合剤)の放出時間と類似するようにヒドロクロロチアジドとロサルタンの同時投与群と、実験群として本発明の実施例によって提供される組成物の放出時間と同一であるようにヒドロクロロチアジドとロサルタンを時間差投与することで、本発明による組成物としての効果を確認するための動物試験を表6の通り実施した。
【0128】
また、本実験は最高の降圧効果を見せるための時間帯別投与も確認できるように試験設計が行われた。
【0129】
(表6)
【0130】
本比較動物臨床の結果、明らかになった動物臨床結果の薬動学/薬力学は表7及び図10〜12の通りである。
【0131】
(表7)
【0132】
本試験はラットをモデルにした動物試験で明条件と暗条件に分けて設計され、ラットと人の生体リズムは正反対のため人に適用する際には時間帯を反対に適用させる。
1. 血圧降下面で収縮期の血圧と拡張期の血圧はスクリーニング群に比べて5日目に低い血圧数値を示した。
2. 血圧降下面で同時投与群と時間差投与群の比較時、時間差投与群で最も低い血圧数値を見せ、時間差投与群中では夕方の投与(明条件)より朝の投与(暗条件)で最も低い血圧数値を示した。
3. 時間帯別血圧降下作用は、図10〜12の通りである。朝の時間差投与群(暗条件)が4グループ中で最も血圧降下作用が優れることを確認した。
4. 臨床的副作用の観察によると、夕方の投与群(明条件)で夜尿の症状を見せ、朝の投与群(暗条件)ではなかった。朝の投与群(暗条件)では夜尿による睡眠障害問題が発生しないことが予想できる。
【0133】
これにより、本発明による組成物が通常の同時投与群とは異なり、平均血圧が最高潮に至る投与翌日の朝から昼間に至る時間中に最適な血圧降下作用を奏することが分かる。
【0134】
本発明によるアンジオテンシン−II−受容体遮断剤とヒドロクロロチアジドの複合製剤のように、時間差投与した場合がアンジオテンシン−II−受容体遮断剤とヒドロクロロチアジドの単一製剤のそれぞれを同時に投与するときの場合より、血圧降下の目的で投与されたアンジオテンシン−II−受容体遮断剤とヒドロクロロチアジドの臨床的な降圧効果の最適効果が発現することが分かる。
【0135】
一方、表8はロサルタンとヒドロクロロチアジドの同時投与群及び本発明による朝の時間差投与群(暗条件)間の血圧及び脈拍数を測定した結果である。ロサルタンとヒドロクロロチアジドによる血圧降下作用は、本発明によって提供される試験群である時間差投与群で同時投与群よりも平均座位収縮期の血圧降下作用は5.8%、平均座位弛緩期の血圧降下作用は5.6%、平均血圧降下作用は9.9%と全体的血圧降下作用が有意的に増加することが観察でき、脈拍数は0.08%の増加であり、この増加による有意な差はないことが観察できた。
【0136】
これにより本発明によって意図された通り、4時間に亘る時間差を置いて血圧降下の目的として投与されたロサルタンの遅延した薬物放出を通じて、時間差投与群が同時投与群に比べて優れた血圧降下作用を有することが証明された。
【0137】
(表8)
【0138】
本試験はラットをモデルにした動物試験であり、明条件と暗条件に分けて設計し、ラットと人の生体リズムは正反対のため人に適用する際には時間帯を反対にして適用させる。
【0139】
一方、表9はロサルタンとヒドロクロロチアジドの投与時間による血圧を測定した結果である。ロサルタンとヒドロクロロチアジドによる血圧降下作用が本発明によって提供される試験群である朝の時間差投与群(暗条件)で夕方の時間差投与群(明条件)より平均座位収縮期の血圧降下作用は4.0%、平均座位弛緩期の血圧降下作用は2.2%、平均血圧降下作用は3.1%、脈拍数は7.0%と全体的血圧降下作用が有意に増加することが観察できた。
【0140】
これにより本発明によって意図された通り、血圧降下の目的として投与されたロサルタンとヒドロクロロチアジド複合剤の朝の時間帯時間差投与が夕方の時間帯投与群(明条件)に比べて優れた血圧降下作用を有することが証明された。
【0141】
(表9)
【0142】
本試験はラットをモデルにした動物試験で明条件と暗条件に分けて設計し、ラットと人の生体リズムは正反対のため人に適用する際には時間帯を反対にして適用させる。
【0143】
結論として、前記臨床試験を通じて本願発明でロサルタンに代表されるアンジオテンシン−II−受容体遮断剤とヒドロクロロチアジドに代表されるチアジド系化合物の複合製剤を同時に投与する時よりは、時間差投与した場合または夕方の投与(明条件)よりも、朝の投与(暗条件)の場合に血圧降下の目的として投与されたアンジオテンシン−II−受容体遮断剤が放出時間の延長によって同一な投与容量でも上昇した血圧降下作用が証明され、これにより最適な効果の発現が予測されることが分かる。
【0144】
産業上の利用の可能性
本発明によって製剤化された複合製剤は、
1) チアジド系化合物とアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の単一製剤を同時に服用することにより、減少する薬理学的臨床学的治療効果を完璧に発揮できる。
2) 朝食の時間に服用させることで、24時間均等に降圧作用と合併症予防作用を発揮させることができ、特に血圧上昇が最高潮に至る時期に最高の血圧降下作用を示すことができる。
3) 朝の時間の服用という簡単な服薬遵守方法は、増加する多くの老年層患者に期待以上の貢献をもたらすことになり、処方医の処方箋の作成および服薬指導を簡便にすることができる。
4) 心臓、腎臓、脳卒中という3大合併症の予防に最大の効果を得ることができる複合処方のため、国民の健康、長寿に莫大な寄与ができる。
5) 糖尿病が併発した高血圧に対する最優秀複合処方になり得る。
6) 増加する老年層に必須不可欠な最適複合製剤になり得る。
7) 相違する薬理を有する成分の複合製剤のため、副作用を相殺させるだけでなく、循環器系合併症の発病の危険因子を減少させ得るため、長期間の予防経費を節減させることができる。
8) 単一製剤をそれぞれ維持する包装費用の節減と高度に熟練した人材の投薬調製時間の節減は莫大な額に達し得る。
9) 今まさに芽生えた時間差投薬原理(Chronotherapy)をどのように製剤化技術に繋げるかを世界薬学界に周知し、固定比率複合剤の開発の全盛期の幕開けが期待できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分としてチアジド系化合物または薬学的に許容されるその塩およびアンジオテンシン−II−受容体遮断剤または薬学的に許容されるその塩を含む薬学的組成物であって、組成物の経口投与後にチアジド系化合物または薬学的に許容されるその塩は即時放出され、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤または薬学的に許容されるその塩は意図した遅延時間を持った後に放出される、遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項2】
活性成分であるアンジオテンシン−II−受容体遮断剤または薬学的に許容されるその塩、腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物及び親水性高分子から選択される1種または2種以上を含む放出制御物質及び薬学的に使用できる賦形剤の混合物から得られた粒子または顆粒からなる遅延放出区画;および、チアジド系化合物または薬学的に許容されるその塩と薬学的に許容される賦形剤の混合物から得られた粒子或いは顆粒からなる即時放出性区画を含む、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項3】
組成物の経口投与後にチアジド系化合物が即時放出され1時間以内に組成物の85%が放出される、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項4】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤が遅延放出され、4時間までに40%未満が溶出し、放出される、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項5】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤が遅延放出されて4時間までに30%未満が溶出される、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項6】
チアジド系化合物がヒドロクロロチアジド、クロロチアジド又はベンドロフルメチアジドであることを特徴とする、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項7】
チアジド系化合物がヒドロクロロチアジドであることを特徴とする、請求項6に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項8】
チアジド系化合物が組成物中に5〜100mgの量で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項9】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤がロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン又はオルメサルタンであることを特徴とする、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項10】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤がロサルタンであることを特徴とする、請求項9に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項11】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤が組成物中に5〜1200mgの量で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項12】
腸溶重合体がポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、シェラック、セルロースアセテートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、オイドラギットL及びオイドラギットSからなる群より選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項2に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項13】
水不溶性重合体がポリビニルアセテート、ポリメタクリレート共重合体としてポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)共重合体、およびポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート、およびトリメチルアミノエチルメタクリレート)共重合体、エチルセルロース及びセルロースアセテートからなる群より選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項2に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項14】
疎水性化合物が脂肪酸、脂肪酸エステル類、脂肪酸アルコール類、ワックス類及び無機物質からなる群より選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項2に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項15】
疎水性化合物が脂肪酸または脂肪酸エステル類としてグリセリルパルミトステアレート、グリセリルステアレート、グリセリルベヘネート、セチルパルミテート、グリセリルモノオレート及びステアリン酸;脂肪酸アルコール類としてセトステアリルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコール;ワックス類としてカルナバワックス、蜜蝋及び微結晶ワックス;無機物質としてタルク、沈降炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト及びビーガムからなる群より選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項14に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項16】
親水性高分子が糖類、セルロース誘導体、ガム類、蛋白質類、ポリビニル誘導体、ポリメタクリレート共重合体、ポリエチレン誘導体及びカルボキシビニル重合体からなる群より選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項2に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項17】
親水性高分子が糖類としてデキストリン、ポリデキストリン、デキストラン、ペクチン及びペクチン誘導体、アルギン酸塩、ポリガラクトロン酸、キシラン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、澱粉、ヒドロキシプロピルスターチ、アミロース及びアミロペクチン;セルロース誘導体としてヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート及びヒドロキシエチルメチルセルロース;ガム類としてグアガム、ローカストビーンガム、トラガカント、カラギナン、アカシアガム、アラビアガム、ジェランガム及びキサンタンガム;蛋白質類としてゼラチン、カゼイン及びゼイン;ポリビニル誘導体としてポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアセタルジエチルアミノアセテート;ポリメタクリレート共重合体としてポリ(ブチルメタクリレート、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート、メチルメタクリレート)共重合体、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)共重合体及びポリ(メタクリル酸、エチルアクリレート)共重合体;ポリエチレン誘導体としてポリエチレングリコール及びポリエチレンオキシド;カルボキシビニルポリマーとしてカーボマーからなる群より選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項16に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項18】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤に対する放出制御物質の重量比が10:0.5〜1:100の範囲であることを特徴とする、請求項2に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項19】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤に対する放出制御物質の重量比が5:1〜1:50の範囲であることを特徴とする、請求項18に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項20】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤に対する放出制御物質の重量比が2:1〜1:30の範囲であることを特徴とする、請求項19に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項21】
遅延後に放出されるアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の顆粒および、即時放出されるチアジド系化合物顆粒で構成される遅延放出裸錠形態、または裸錠をコーティングすることによって形成したフィルムコーティング錠形態である、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項22】
遅延後に即時放出されるアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の核および、即時放出されるチアジド系化合物の外層からなる内核錠(a press-coated tablet)形態である、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項23】
遅延後に放出されるアンジオテンシン−II−受容体層および即時放出されるチアジド系化合物層からなる多層錠形態である、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項24】
遅延後に即時放出されるアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の裸錠層および、コーティング液剤(coating solution)中において溶解、または懸濁しているチアジド系化合物のフィルム層からなるフィルムコーティング錠形態である、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項25】
コーティング液剤が被膜剤、被膜補助剤またはこれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項24に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項26】
遅延後に放出されるアンジオテンシン−II−受容体遮断剤顆粒と、即時放出されるチアジド系化合物顆粒とから構成されるカプセル剤形態である、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項27】
腎臓疾患予防及び治療用である、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項28】
心血管疾患治療用である、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項29】
遅延放出型経口投与用薬学的組成物の製造方法であって、以下の工程を含む製造方法:
(1)混合物または顆粒を得るために、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤と薬学的に使用できる添加剤を混合または製粒する工程、または遅延放出型錠剤を得るために打錠機を使用して前記顆粒または混合物を錠剤へと打錠し、コーティング液剤で前記錠剤をコーティングする工程、
(2)混合物を得るために、チアジド系化合物と薬学的に許容される添加剤の混合物から粒子または顆粒を得る工程、またはコーティング液剤を得るために前記粒子または顆粒をフィルムコーティング剤に溶解または懸濁し、それによって即時放出製剤を得る工程;および、
(3)工程1及び工程2で得た粒子、顆粒、又はコーティング液剤を薬学的に許容される賦形剤と混合し、混合物を打錠、コーティング、又は充填し、それによって薬学的組成物を得る工程。
【請求項30】
高血圧を含む心血管疾患治療用で、1日1回、午前6時〜11時の間に服用されることを特徴とする、請求項1〜28の何れかに記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項1】
活性成分としてチアジド系化合物または薬学的に許容されるその塩およびアンジオテンシン−II−受容体遮断剤または薬学的に許容されるその塩を含む薬学的組成物であって、組成物の経口投与後にチアジド系化合物または薬学的に許容されるその塩は即時放出され、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤または薬学的に許容されるその塩は意図した遅延時間を持った後に放出される、遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項2】
活性成分であるアンジオテンシン−II−受容体遮断剤または薬学的に許容されるその塩、腸溶重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物及び親水性高分子から選択される1種または2種以上を含む放出制御物質及び薬学的に使用できる賦形剤の混合物から得られた粒子または顆粒からなる遅延放出区画;および、チアジド系化合物または薬学的に許容されるその塩と薬学的に許容される賦形剤の混合物から得られた粒子或いは顆粒からなる即時放出性区画を含む、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項3】
組成物の経口投与後にチアジド系化合物が即時放出され1時間以内に組成物の85%が放出される、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項4】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤が遅延放出され、4時間までに40%未満が溶出し、放出される、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項5】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤が遅延放出されて4時間までに30%未満が溶出される、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項6】
チアジド系化合物がヒドロクロロチアジド、クロロチアジド又はベンドロフルメチアジドであることを特徴とする、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項7】
チアジド系化合物がヒドロクロロチアジドであることを特徴とする、請求項6に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項8】
チアジド系化合物が組成物中に5〜100mgの量で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項9】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤がロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン又はオルメサルタンであることを特徴とする、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項10】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤がロサルタンであることを特徴とする、請求項9に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項11】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤が組成物中に5〜1200mgの量で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項12】
腸溶重合体がポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、シェラック、セルロースアセテートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、オイドラギットL及びオイドラギットSからなる群より選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項2に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項13】
水不溶性重合体がポリビニルアセテート、ポリメタクリレート共重合体としてポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)共重合体、およびポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート、およびトリメチルアミノエチルメタクリレート)共重合体、エチルセルロース及びセルロースアセテートからなる群より選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項2に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項14】
疎水性化合物が脂肪酸、脂肪酸エステル類、脂肪酸アルコール類、ワックス類及び無機物質からなる群より選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項2に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項15】
疎水性化合物が脂肪酸または脂肪酸エステル類としてグリセリルパルミトステアレート、グリセリルステアレート、グリセリルベヘネート、セチルパルミテート、グリセリルモノオレート及びステアリン酸;脂肪酸アルコール類としてセトステアリルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコール;ワックス類としてカルナバワックス、蜜蝋及び微結晶ワックス;無機物質としてタルク、沈降炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト及びビーガムからなる群より選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項14に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項16】
親水性高分子が糖類、セルロース誘導体、ガム類、蛋白質類、ポリビニル誘導体、ポリメタクリレート共重合体、ポリエチレン誘導体及びカルボキシビニル重合体からなる群より選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項2に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項17】
親水性高分子が糖類としてデキストリン、ポリデキストリン、デキストラン、ペクチン及びペクチン誘導体、アルギン酸塩、ポリガラクトロン酸、キシラン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、澱粉、ヒドロキシプロピルスターチ、アミロース及びアミロペクチン;セルロース誘導体としてヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート及びヒドロキシエチルメチルセルロース;ガム類としてグアガム、ローカストビーンガム、トラガカント、カラギナン、アカシアガム、アラビアガム、ジェランガム及びキサンタンガム;蛋白質類としてゼラチン、カゼイン及びゼイン;ポリビニル誘導体としてポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアセタルジエチルアミノアセテート;ポリメタクリレート共重合体としてポリ(ブチルメタクリレート、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート、メチルメタクリレート)共重合体、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)共重合体及びポリ(メタクリル酸、エチルアクリレート)共重合体;ポリエチレン誘導体としてポリエチレングリコール及びポリエチレンオキシド;カルボキシビニルポリマーとしてカーボマーからなる群より選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項16に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項18】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤に対する放出制御物質の重量比が10:0.5〜1:100の範囲であることを特徴とする、請求項2に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項19】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤に対する放出制御物質の重量比が5:1〜1:50の範囲であることを特徴とする、請求項18に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項20】
アンジオテンシン−II−受容体遮断剤に対する放出制御物質の重量比が2:1〜1:30の範囲であることを特徴とする、請求項19に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項21】
遅延後に放出されるアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の顆粒および、即時放出されるチアジド系化合物顆粒で構成される遅延放出裸錠形態、または裸錠をコーティングすることによって形成したフィルムコーティング錠形態である、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項22】
遅延後に即時放出されるアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の核および、即時放出されるチアジド系化合物の外層からなる内核錠(a press-coated tablet)形態である、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項23】
遅延後に放出されるアンジオテンシン−II−受容体層および即時放出されるチアジド系化合物層からなる多層錠形態である、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項24】
遅延後に即時放出されるアンジオテンシン−II−受容体遮断剤の裸錠層および、コーティング液剤(coating solution)中において溶解、または懸濁しているチアジド系化合物のフィルム層からなるフィルムコーティング錠形態である、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項25】
コーティング液剤が被膜剤、被膜補助剤またはこれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項24に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項26】
遅延後に放出されるアンジオテンシン−II−受容体遮断剤顆粒と、即時放出されるチアジド系化合物顆粒とから構成されるカプセル剤形態である、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項27】
腎臓疾患予防及び治療用である、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項28】
心血管疾患治療用である、請求項1に記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【請求項29】
遅延放出型経口投与用薬学的組成物の製造方法であって、以下の工程を含む製造方法:
(1)混合物または顆粒を得るために、アンジオテンシン−II−受容体遮断剤と薬学的に使用できる添加剤を混合または製粒する工程、または遅延放出型錠剤を得るために打錠機を使用して前記顆粒または混合物を錠剤へと打錠し、コーティング液剤で前記錠剤をコーティングする工程、
(2)混合物を得るために、チアジド系化合物と薬学的に許容される添加剤の混合物から粒子または顆粒を得る工程、またはコーティング液剤を得るために前記粒子または顆粒をフィルムコーティング剤に溶解または懸濁し、それによって即時放出製剤を得る工程;および、
(3)工程1及び工程2で得た粒子、顆粒、又はコーティング液剤を薬学的に許容される賦形剤と混合し、混合物を打錠、コーティング、又は充填し、それによって薬学的組成物を得る工程。
【請求項30】
高血圧を含む心血管疾患治療用で、1日1回、午前6時〜11時の間に服用されることを特徴とする、請求項1〜28の何れかに記載の遅延放出型経口投与用薬学的組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−508266(P2010−508266A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534504(P2009−534504)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【国際出願番号】PCT/KR2007/005403
【国際公開番号】WO2008/054121
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(509121835)ハナル ファーマシューティカル カンパニー リミテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【国際出願番号】PCT/KR2007/005403
【国際公開番号】WO2008/054121
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(509121835)ハナル ファーマシューティカル カンパニー リミテッド (6)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]